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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024167003
(43)【公開日】2024-11-29
(54)【発明の名称】更生管案内装置
(51)【国際特許分類】
   F16L 55/18 20060101AFI20241122BHJP
   F16L 1/00 20060101ALI20241122BHJP
【FI】
F16L55/18 B
F16L1/00 J
【審査請求】未請求
【請求項の数】9
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023083506
(22)【出願日】2023-05-19
(71)【出願人】
【識別番号】505142964
【氏名又は名称】株式会社クボタケミックス
(71)【出願人】
【識別番号】000149206
【氏名又は名称】株式会社大阪防水建設社
(74)【代理人】
【識別番号】100162031
【弁理士】
【氏名又は名称】長田 豊彦
(74)【代理人】
【識別番号】100175721
【弁理士】
【氏名又は名称】高木 秀文
(72)【発明者】
【氏名】鈴木 晃介
(72)【発明者】
【氏名】山ノ内 智之
(72)【発明者】
【氏名】伊藤 丈覚
(57)【要約】
【課題】ローラユニットを容易に支持することが可能な更生管案内装置を提供する。
【解決手段】後側マンホール1B及び前側マンホール1Fの内側に配置され、当該後側マンホール1B及び前側マンホール1Fと接続される既設管2の内側を通過するように更生管3を案内するローラユニット50と、ローラユニット50を地上Gから支持する地上ローラ20、パイプガイド30及び吊り下げパイプ40と、を具備し、ローラユニット50は、吊り下げパイプ40に対して着脱可能に構成される。
【選択図】図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
マンホールの内側に配置され、当該マンホールと接続される既設管の内側を通過するように更生管を案内するローラユニットと、
前記ローラユニットを地上から支持する支持部材と、
を具備する、
更生管案内装置。
【請求項2】
前記ローラユニットは、
前記支持部材に対して着脱可能に構成される、
請求項1に記載の更生管案内装置。
【請求項3】
前記ローラユニットは、
前記更生管を案内可能なガイドローラと、
前記ガイドローラを回転可能に支持すると共に、前記支持部材に対して着脱可能なユニット本体部と、
を具備し、
前記支持部材及び前記ユニット本体部が相対回転することで、前記ユニット本体部が前記支持部材に係合された係合状態と、前記支持部材との係合が解除された係合解除状態とが切り替えられる、
請求項2に記載の更生管案内装置。
【請求項4】
前記支持部材及び前記ユニット本体部の相対位置を調整可能に構成される、
請求項3に記載の更生管案内装置。
【請求項5】
前記支持部材は、
地上から前記マンホールの内側へと延設される長手状の延設部材を具備し、
前記延設部材の長手方向を回転軸方向として前記延設部材が前記ユニット本体部に対して相対回転することで、前記支持部材及び前記ユニット本体部の前記係合状態と前記係合解除状態とが切り替えられる、
請求項3又は請求項4に記載の更生管案内装置。
【請求項6】
前記ユニット本体部は、
前記延設部材の前記長手方向を向いた平面部と、
前記平面部を貫通する貫通孔と、
を具備し、
前記延設部材は、
前記ユニット本体部に対して相対回転することで、前記長手方向の端部が前記貫通孔を通過可能な第1の向きと、前記端部が前記貫通孔を通過不能な第2の向きとを変更可能に形成される、
請求項5に記載の更生管案内装置。
【請求項7】
前記ユニット本体部は、
複数の前記貫通孔を具備する、
請求項6に記載の更生管案内装置。
【請求項8】
前記ローラユニットは、
紐状部材を固定可能な固定部を具備する、
請求項1から請求項4までのいずれか一項に記載の更生管案内装置。
【請求項9】
前記支持部材は、
地上から前記マンホールの内側へと延設され、前記ローラユニットと連結される延設部材と、
地上において前記延設部材を揺動可能に支持する揺動支持部材と、
を具備し、
前記ローラユニットは、
前記マンホールに対して当接することで、前記延設部材の揺動を規制可能な規制部を具備する、
請求項1から請求項4までのいずれか一項に記載の更生管案内装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、既設管の内側に更生管を案内するための更生管案内装置の技術に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、既設管の内側に更生管を案内するための更生管案内装置の技術は公知となっている。例えば、特許文献1に記載の如くである。
【0003】
特許文献1に記載の引き込み装置は、引き込みユニット及びガイドローラを具備する。引き込みユニットは、地下(マンホール、既設管内)に配置され、引っ張りロープを介して地上に設置されたウインチと結合される。また引き込みユニットには、更生管が取り付けられる。当該引き込みユニットは、ウインチの動作によって地下を走行することで、更生管を既設管内に引き込むことができる。ガイドローラは、マンホール内に固定された軸受に回転可能に支持され、引き込みユニットの走行時に回転して更生管を案内することができる。
【0004】
しかしながら特許文献1に記載の引き込み装置を設置するためには、作業者がマンホール内に入ってガイドローラを設置(支持)する必要がある。この場合、作業スペースが限られてしまうため、ガイドローラを容易に支持することができない可能性があった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特許第5249741号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本開示の一態様は、以上の如き状況を鑑みてなされたものであり、その解決しようとする課題は、ローラユニットを容易に支持することが可能な更生管案内装置を提供するものである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本開示の一態様の解決しようとする課題は以上の如くであり、次にこの課題を解決するための手段を説明する。
【0008】
本開示の一態様においては、マンホールの内側に配置され、当該マンホールと接続される既設管の内側を通過するように更生管を案内するローラユニットと、前記ローラユニットを地上から支持する支持部材と、を具備するものである。
本開示の一態様によれば、ローラユニットを容易に支持することができる。
【0009】
本開示の一態様においては、前記ローラユニットは、前記支持部材に対して着脱可能に構成されるものである。
本開示の一態様によれば、必要に応じて支持部材とローラユニットとを着脱することができるため、利便性を向上させることができる。
【0010】
本開示の一態様においては、前記ローラユニットは、前記更生管を案内可能なガイドローラと、前記ガイドローラを回転可能に支持すると共に、前記支持部材に対して着脱可能なユニット本体部と、を具備し、前記支持部材及び前記ユニット本体部が相対回転することで、前記ユニット本体部が前記支持部材に係合された係合状態と、前記支持部材との係合が解除された係合解除状態とが切り替えられるものである。
本開示の一態様によれば、支持部材及びユニット本体部の相対回転により、ローラユニットの着脱を容易に行うことができる。
【0011】
本開示の一態様においては、前記支持部材及び前記ユニット本体部の相対位置を調整可能に構成されるものである。
本開示の一態様によれば、必要に応じて支持部材及びユニット本体部の相対位置を調整することができるため、利便性を向上させることができる。
【0012】
本開示の一態様においては、前記支持部材は、地上から前記マンホールの内側へと延設される長手状の延設部材を具備し、前記延設部材の長手方向を回転軸方向として前記延設部材が前記ユニット本体部に対して相対回転することで、前記支持部材及び前記ユニット本体部の前記係合状態と前記係合解除状態とが切り替えられるものである。
本開示の一態様によれば、ローラユニットを簡単に着脱することができる。
【0013】
本開示の一態様においては、前記ユニット本体部は、前記延設部材の前記長手方向を向いた平面部と、前記平面部を貫通する貫通孔と、を具備し、前記延設部材は、前記ユニット本体部に対して相対回転することで、前記長手方向の端部が前記貫通孔を通過可能な第1の向きと、前記端部が前記貫通孔を通過不能な第2の向きとを変更可能に形成されるものである。
本開示の一態様によれば、簡単な構成でローラユニットの着脱を行うことができる。
【0014】
本開示の一態様においては、前記ユニット本体部は、複数の前記貫通孔を具備するものである。
本開示の一態様によれば、簡単な構成で支持部材及びユニット本体部の相対位置を調整することができる。
【0015】
本開示の一態様においては、前記ローラユニットは、紐状部材を固定可能な固定部を具備するものである。
本開示の一態様によれば、ローラユニットを設置する際及びローラユニットを撤去する際に、紐状部材(ロープ等)を利用してローラユニットを容易に昇降させることができる。
【0016】
本開示の一態様においては、前記支持部材は、地上から前記マンホールの内側へと延設され、前記ローラユニットと連結される延設部材と、地上において前記延設部材を揺動可能に支持する揺動支持部材と、を具備し、前記ローラユニットは、前記マンホールに対して当接することで、前記延設部材の揺動を規制可能な規制部を具備するものである。
本開示の一態様によれば、規制部により延設部材の揺動を規制することで、ローラユニットを簡単に位置決めすることができる。
【発明の効果】
【0017】
本開示の一態様によれば、ローラユニットを容易に支持することができる。
【図面の簡単な説明】
【0018】
図1】マンホール、既設管及び更生管を示す側面断面図。
図2】本発明の一実施形態に係る更生管案内装置を示す側面図。
図3】(a)初期状態の更生管案内装置を示す側面図。(b)矢印A方向視における更生管案内装置を示す図。
図4】パイプガイド及び吊り下げパイプを示す正面図。
図5】(a)吊り下げパイプの下端部を示す斜視図。(b)同じく、底面図。(c)同じく、側面図。
図6】(a)ローラユニットを示す正面図。(b)同じく、側面図。
図7】同じく、平面図。
図8】(a)A1-A1断面図。(b)A2-A2断面図。
図9】更生管が既設管内に引き込まれる様子を示す側面断面図。
図10】(a)ローラユニットをセットする様子を示す側面図。(b)A3-A3断面図。(c)A4-A4断面図。
図11】フックを具備するローラユニットを示す正面図。
図12】ロープによってローラユニットを引き上げる様子を示す側面図。
【発明を実施するための形態】
【0019】
以下では、図中の矢印U、矢印D、矢印F、矢印B、矢印L及び矢印Rで示した方向を、それぞれ上方向、下方向、前方向、後方向、左方向及び右方向と定義して説明を行う。
【0020】
以下では、本発明の一実施形態に係る更生管案内装置10について説明する。
【0021】
図2に示す更生管案内装置10は、マンホール1に接続される既設管2の内側に更生管3を案内するためのものである。以下ではまず図1及び図2を参照し、マンホール1、既設管2及び更生管3について説明する。
【0022】
マンホール1は、地上Gに開けられた縦孔である。本実施形態のマンホール1は、平面視略円状に形成される内壁部1aを具備する。内壁部1aの下部は、上部よりも内径が大きくなるように形成される。
【0023】
既設管2は、地下に水路(下水道)を形成するためのものである。既設管2は、図2に示す2つのマンホール1を連通するように構成される。本実施形態の既設管2は、長手方向を前後方向に向けた略円筒状に形成され、マンホール1の下部に接続される。既設管2の前後両端部は、マンホール1に接続される。以下では、既設管2の前端部が接続されるマンホール1を「前側マンホール1F」、既設管2の後端部が接続されるマンホール1を「後側マンホール1B」と称する。
【0024】
ここで、既設管2が老朽化した場合等に、既設管2の強度が低下したり、既設管2に亀裂が生じて既設管2内に水(侵入水)や土砂等が流入する可能性がある。そこで図1に示すように、既設管2の内側に、当該既設管2の内周面に密着するように更生管3を設けることで、管路の機能を回復させることができ、前記亀裂から既設管2内への侵入水等の流入を防止することができる。
【0025】
本実施形態の更生管案内装置10は、こうした更生管3の設置作業において、既設管2の内側を通過するように更生管3を案内するためのものである。以下、更生管案内装置10の構成について説明する。なお本実施形態では、後側マンホール1Bから前側マンホール1Fへ向けて更生管3が案内されるものとしている。また以下では、図3(a)に示す案内前の初期状態(更生管3がない状態)を基準として、更生管案内装置10の構成を説明する。
【0026】
図3に示すように、更生管案内装置10は、地上ローラ20、パイプガイド30、吊り下げパイプ40、及びローラユニット50を具備する。
【0027】
地上ローラ20は、地上Gから後側マンホール1B内に向けて既設管2を案内するためのものである。地上ローラ20は、後側マンホール1Bの開口部に設けられる。地上ローラ20は、ベース部21、ローラ部22及びガイド支持部23を具備する。
【0028】
ベース部21は、後側マンホール1Bの開口部に沿うような略円環状に形成される。ベース部21は、後側マンホール1Bの開口部に嵌め合わされる。ベース部21は、板状部21aを具備する。板状部21aは、板面を左右方向に向けて配置される。板状部21aは、ベース部21から略後上方へ延出するように形成される。板状部21aは、左右一対設けられる(図3(b)参照)。
【0029】
ローラ部22は、既設管2を案内するためのものである。ローラ部22は、軸方向を左右方向に向けて配置される。ローラ部22は、軸方向を中心に回転可能となるように、左右の板状部21aに支持される。またローラ部22は、板状部21aの形状に沿うように複数配置される。
【0030】
ガイド支持部23は、パイプガイド30を支持するためのものである。ガイド支持部23は、軸方向を左右方向に向けた略円筒状に形成される。ガイド支持部23は、ベース部21に固定され、ローラ部22よりも前方に配置される。ガイド支持部23は、左右一対設けられる(図3(b)参照)。
【0031】
図3及び図4に示すパイプガイド30は、吊り下げパイプ40を支持するためのものである。パイプガイド30は、後側マンホール1B及び前側マンホール1Fにそれぞれ設けられる(図2参照)。以下では、後側マンホール1Bに設けられるパイプガイド30を例に挙げ、パイプガイド30の構成を説明する。パイプガイド30は、2つの略円筒状の部材を互いに垂直に接続したような形状に形成される。図3(b)及び図4に示すように、パイプガイド30は、第1円筒部31及び第2円筒部32を具備する。
【0032】
第1円筒部31は、軸方向を左右方向(地上ローラ20のガイド支持部23の軸方向)に向けた略円筒状の部分である。第1円筒部31は、地上ローラ20のガイド支持部23の内径と略同一の外径を有する。第1円筒部31の長さは、ガイド支持部23よりも長い。図4に示すように、第1円筒部31は、第1取付孔31aを具備する。第1取付孔31aは、第1円筒部31を前後に貫通するように形成される。第1取付孔31aは、左右に複数(本実施形態では8つ)形成される。
【0033】
図3及び図4に示す第2円筒部32は、軸方向を上下方向に向けた略円筒状の部分である。第2円筒部32は、第1円筒部31の一端部に接続され、後側マンホール1Bの開口部を上下に通過するように配置される。第2円筒部32は、第2取付孔32aを具備する。第2取付孔32aは、第2円筒部32を前後に貫通するように形成される。第2取付孔32aは、上下に複数(本実施形態では2つ)形成される。
【0034】
図3(b)に示すように、パイプガイド30は、後側マンホール1Bに左右一対設けられる。左右のパイプガイド30は、地上ローラ20の左右のガイド支持部23に着脱可能に取り付けられる。より詳細には、パイプガイド30は、第1円筒部31がガイド支持部23に挿通され、第1取付孔31aにピン(不図示)が挿通されることで、ガイド支持部23に取り付けられる。
【0035】
また本実施形態では、複数の第1取付孔31aのうち、ガイド支持部23の左右外側に位置する第1取付孔31a(図4では左端の第1取付孔31a)に前記ピンが挿通される。これによってパイプガイド30は、第1円筒部31の軸方向を中心に、ガイド支持部23に対して相対回転可能にガイド支持部23に支持される。
【0036】
なお、図2に示す前側マンホール1Fに設けられるパイプガイド30は、後側マンホール1Bと同じような方法により、ウインチW1に相対回転可能に支持される。より詳細には、ウインチW1には、地上ローラ20にあるようなガイド支持部23が設けられており、パイプガイド30は、後側マンホール1Bにおいて、当該ガイド支持部23に相対回転可能に支持される。
【0037】
図3(a)及び図4に示す吊り下げパイプ40は、地上Gから地下へ向けて吊り下げられたパイプである。吊り下げパイプ40は、後側マンホール1B及び前側マンホール1Fにそれぞれ設けられる(図2参照)。なお図3(b)では、説明の便宜上、吊り下げパイプ40の記載が省略されている。以下では、後側マンホール1Bに設けられる吊り下げパイプ40を例に挙げ、吊り下げパイプ40の構成を説明する。吊り下げパイプ40は、軸方向を略上下方向に向けた長手状に形成される。吊り下げパイプ40は、パイプ本体部41、閉塞部42、接続部43及び係合部44を具備する。
【0038】
パイプ本体部41は、吊り下げパイプ40の主たる構造体を成す部分である。パイプ本体部41は、パイプガイド30の第2円筒部32の内径と略同一の外径を有する略円筒状に形成される。パイプ本体部41の長さは、地上Gから後側マンホール1Bの下部までに亘るように、ある程度長いものとなっている。例えばパイプ本体部41の長さは、マンホール1の深さと同程度となっている。パイプ本体部41には、パイプ取付孔41aが形成される。パイプ取付孔41aは、パイプ本体部41を前後に貫通するように形成される。パイプ取付孔41aは、パイプ本体部41の上部から下部に亘って、上下に複数形成される。
【0039】
図4及び図5に示す閉塞部42は、パイプ本体部41の下端部を塞ぐ部分である。閉塞部42は、パイプ本体部41の外径と略同一の外径を有する略円板状に形成される。閉塞部42は、例えば溶接等によってパイプ本体部41の下端部に固定される。
【0040】
接続部43は、閉塞部42と係合部44とを接続する部分である。接続部43は、閉塞部42の下面に設けられる。接続部43は、パイプ本体部41よりも外径が小さい略円板状に形成される。
【0041】
係合部44は、ローラユニット50と係合可能な部分である。本実施形態において、係合部44の底面視における形状は、円とは異なる形状に形成される。具体的には、図5(a)及び図5(b)に示すように、係合部44は、長手方向を前後方向に向けた底面視略トラック状に形成される。係合部44の長手方向幅(前後方向幅)は、接続部43の外径よりも大きい。また係合部44の短手方向幅(左右方向幅)は、接続部43の外径と同程度となっている。
【0042】
図4に示すように、吊り下げパイプ40のパイプ本体部41は、パイプガイド30の第2円筒部32に挿通される。当該パイプ本体部41のパイプ取付孔41a及び第2円筒部32の第2取付孔32aにピン(不図示)が挿通されることにより、パイプ本体部41はパイプガイド30に着脱可能に固定される。これによって吊り下げパイプ40は、地上Gから後側マンホール1Bの内側へと延出するように配置される。
【0043】
なお、図2に示す前側マンホール1Fに設けられる吊り下げパイプ40は、後側マンホール1Bと同じような方法により、前側マンホール1Fのパイプガイド30に固定される。
【0044】
ローラユニット50は、既設管2の内側を通過するように更生管3を案内するためのものである。ローラユニット50は、後側マンホール1B及び前側マンホール1Fの内側(底部近傍)にそれぞれ設けられる。以下では、後側マンホール1Bに設けられるローラユニット50を例に挙げ、ローラユニット50の構成を説明する。図6及び図7に示すように、ローラユニット50は、ユニット本体部60、ガイドローラ70及び規制部80を具備する。
【0045】
ユニット本体部60は、ローラユニット50の主たる構造体を成す部分である。ユニット本体部60は、長手状部61、側壁部62、取付部63及び収容部64を具備する。
【0046】
長手状部61は、長手状に形成される部分である。長手状部61は、長手方向を左右方向(既設管2の長手方向及び上下方向に対して直交する方向)に向けた略直方体状に形成される。
【0047】
図6に示す側壁部62は、ユニット本体部60において側壁を成す部分である。側壁部62は、板面を左右方向に向けた略板状に形成される。側壁部62は、長手状部61の左右両側にそれぞれ設けられる。側壁部62の下部は、長手状部61から下方へ突出する。
【0048】
図6(b)及び図7に示す取付部63は、規制部80が取り付けられる部分である。取付部63は、軸方向を前後方向に向けた略円筒状に形成される。取付部63は、長手状部61の左部及び右部にそれぞれ挿通される。取付部63には、上下に貫通する取付孔63aが形成される。取付孔63aは、前後に複数(本実施形態では3つ)形成される。
【0049】
収容部64は、吊り下げパイプ40の係合部44を収容可能な部分である。収容部64は、長手状部61の上面に設けられる。収容部64は、長手状部61の左部及び右部にそれぞれ2つ(合計4つ)設けられる。図8(b)に示すように、収容部64は、筒状部64a、平面部64b及び貫通孔64cを具備する。
【0050】
筒状部64aは、軸方向を上下方向に向けた略円筒状に形成される部分である。筒状部64aは、内側に係合部44を収容可能に形成される。より詳細には筒状部64aは、内径が係合部44の長手方向幅(前後方向幅)よりも大きくなるように形成される。また筒状部64aは、上下方向幅が係合部44の上下方向幅よりも大きくなるように形成される。
【0051】
平面部64bは、板面を上下方向(吊り下げパイプ40の軸方向)に向けて配置される部分である。平面部64bは、略平板状に形成され、筒状部64aの上端部を閉塞するように形成される。
【0052】
貫通孔64cは、平面部64bを上下に貫通する孔である。貫通孔64cは、長手方向を左右方向(係合部44の長手方向に対して垂直な方向)に向けた平面視略トラック状に形成される。本実施形態の貫通孔64cの長手方向幅(左右方向幅)は、吊り下げパイプ40の係合部44の長手方向幅(前後方向幅)と略同一の長さとなっている。また貫通孔64cの短手方向幅(前後方向幅)は、接続部43の外径及び係合部44の短手方向幅(左右方向幅)と略同一の長さとなっている。
【0053】
収容部64には、吊り下げパイプ40の係合部44が収容される。当該係合部44及び貫通孔64cは長手方向が互いに異なる方向を向いているため、平面部64bには、下側から係合部44が当接する。こうして平面部64bと係合部44とが係合し、吊り下げパイプ40はローラユニット50のユニット本体部60に連結される。なお、図2に示す前側マンホール1Fに設けられるローラユニット50は、後側マンホール1Bと同様にユニット本体部60に連結される。
【0054】
図6に示すガイドローラ70は、更生管3を案内可能なものである。ガイドローラ70は、軸方向を左右方向に向けた中空の略円柱状に形成される。ガイドローラ70には、左側面及び右側面を左右に貫通する複数の貫通孔71が形成される(図6(b)参照)。こうして貫通孔71が形成されることにより、ガイドローラ70の軽量化を図ることができる。ガイドローラ70は、左右一対の側壁部62に取り付けられるシャフト72を介して、ユニット本体部60に回転可能に支持される。
【0055】
ここで上述の如く、図3に示すパイプガイド30は、地上ローラ20に相対回転可能に支持される。したがって当該パイプガイド30に固定される吊り下げパイプ40は、パイプガイド30の相対回転によって揺動する。図6及び図7に示す規制部80は、当該吊り下げパイプ40の揺動を規制するためのものである。規制部80は、挿通部81、当接部82及び回転軸83を具備する。
【0056】
図6(b)及び図7に示す挿通部81は、ユニット本体部60の取付部63に挿通される部分である。挿通部81は、取付部63の内径と略同一の外径を有する有底略円筒状に形成される。挿通部81は、軸方向を前後方向に向けると共に、底部が前側に位置するように配置される。挿通部81には、取付孔81a及び延出部81bが形成される。
【0057】
図7に示す取付孔81aは、挿通部81を上下(取付部63の取付孔63aと同一方向)に貫通する。取付孔81aは、前後に複数形成される。図6(b)及び図7に示す延出部81bは、挿通部81の底部(前端部)から前方へ延出するように形成される。
【0058】
当接部82は、マンホール1の内壁部1aに対して当接可能な部分である。当接部82は、板面を略前後方向に向けた略板状に形成される。また当接部82は、マンホール1の内壁部1aに沿うような曲面状に形成される。より詳細には当接部82は、左右中途部が左右両端部よりも前方へ僅かに膨らむように形成される。当接部82は、挿通部81の前方に配置される。当接部82には、延出部82aが形成される。延出部82aは、当接部82から後方へ延出するように形成される。延出部82aは、挿通部81の延出部81bを挟んで上下一対形成される。
【0059】
回転軸83は、当接部82を挿通部81に対して相対回転可能に支持するためのものである。回転軸83は、軸方向を上下方向に向けて配置される。回転軸83は、挿通部81及び当接部82の延出部81b・82aにそれぞれ挿通される。これによって当接部82は、上下方向(回転軸83の軸方向)を中心に挿通部81に対して相対回転し、板面の向きを変更することができる。
【0060】
規制部80は、挿通部81がユニット本体部60の取付部63に挿通され、当該挿通部81及び取付部63の取付孔63a・81aにピン(不図示)が挿通されることにより、ユニット本体部60に着脱可能に取り付けられる。また規制部80は、左右の取付部63にそれぞれ取り付けられる。
【0061】
上述の如く構成される更生管案内装置10は、更生管3の設置作業で用いられる。より詳細には、図9に示す既設管2の内側に更生管3を引き込む作業で用いられる。以下では、更生管3の引き込み作業の一例について説明する。
【0062】
本引き込み作業において、更生管3は、例えば、芯材に巻回された状態で後側マンホール1Bの近傍に搬送される。当該更生管3の先端部は、既設管2内を通過するように配置されたワイヤーW2によって、ウインチW1と連結される。
【0063】
ワイヤーW2及び更生管3は、地上ローラ20のローラ部22、及び、前後のガイドローラ70に案内されるように、各ローラに対して位置合わせされる。この状態でウインチW1を作動させることで、ワイヤーW2が、前側マンホール1Fの近傍に配置されたドラム(不図示)に巻き取られる。
【0064】
この際、ワイヤーW2及び更生管3には張力が作用するため、吊り下げパイプ40及びローラユニット50は、当該張力によって既設管2に接近する方向に揺動する。またローラユニット50の規制部80の当接部82は、当該揺動によってマンホール1の内壁部1aに当接する。これによって規制部80は、吊り下げパイプ40等の揺動を規制し、吊り下げパイプ40等を一定の姿勢で保持することができる。
【0065】
特に本実施形態では、図6(b)及び図7に示す当接部82が挿通部81に対して相対回転可能であるため、規制部80は、当接部82の相対回転により、当該当接部82をマンホール1の内壁部1aに垂直に当接させることができる。
【0066】
ウインチW1を引き続き動作させてワイヤーW2を巻き取ることで、更生管3が後側マンホール1B側から前側マンホール1F側に向かって既設管2内へと引き込まれる。この際、地上ローラ20のローラ部22、及びローラユニット50のガイドローラ70が回転し、更生管3を円滑に既設管2へと案内することができる。
【0067】
前側マンホール1F内まで引き込まれた更生管3は、前側マンホール1F内のローラユニット50により、前側マンホール1Fの開口部(ウインチW1)に向けて案内される。図2に示すように、ウインチW1は、更生管3の先端部が前側マンホール1Fを介して地上Gに出るまで動作される。その後更生管案内装置10が撤去され、更生管3の不要部分が切断され、既設管2内の更生管3が既設管2の内面に密着するように拡径される。こうして図1に示すような更生管3が設けられ、管路の機能を回復することができる。
【0068】
図9に示すように、本実施形態では、少なくとも一部が地上Gに露出した地上ローラ20、パイプガイド30及び吊り下げパイプ40により、ローラユニット50を地上Gから支持することができる。これにより、マンホール1よりもスペースを確保し易い地上Gにおいて地上ローラ20等を設置する作業を行うことができるため、ローラユニット50を容易に支持することができる。
【0069】
また本実施形態では、マンホール1の内壁部1aに当接部82を当接させることで、吊り下げパイプ40等の揺動を規制している。当該構成によると、更生管3及びワイヤーW2の張力を利用して、吊り下げパイプ40を所定の揺動角度で保持することができる。また前記張力をマンホール1の内壁部1aで受けることができるため、更生管案内装置10に求められる剛性を比較的小さくし、更生管案内装置10の軽量化を図ることができる。
【0070】
また本実施形態のローラユニット50は、吊り下げパイプ40に対して着脱可能に構成されている。これにより、更生管案内装置10の設置作業及び撤去作業を効率的に行うことができる。まず、更生管案内装置10の設置作業の一例について説明する。また以下では、後側マンホール1Bに更生管案内装置10の各種部材を設置する場合を例に挙げ、本設置作業の一例を説明する。
【0071】
本設置作業では、まずローラユニット50が単体で後側マンホール1B内に搬入される。なおこの時点ではローラユニット50の規制部80は、ユニット本体部60から取り外された状態となっている。
【0072】
本設置作業では、ローラユニット50の搬入後に、地上ローラ20のベース部21が後側マンホール1Bに取り付けられる(図3(b)参照)。その後、地上ローラ20のガイド支持部23にパイプガイド30の第1円筒部31が挿通される(図3参照)。
【0073】
本設置作業では、パイプガイド30の挿通後に、当該パイプガイド30の第2円筒部32に吊り下げパイプ40が挿通される(図4参照)。この際吊り下げパイプ40は、左右のパイプガイド30にそれぞれ挿通される。その後ローラユニット50は、吊り下げパイプ40の下端部に連結される。
【0074】
具体的には、吊り下げパイプ40は、ローラユニット50と連結される際には、パイプガイド30に固定されておらず、吊り下げパイプ40の周方向に沿って(軸方向を回転軸方向として)パイプガイド30及びローラユニット50に対して相対回転することができる。当該吊り下げパイプ40はローラユニット50との連結時に、図10に示すように、係合部44の長手方向が左右方向を向くように相対回転される。
【0075】
これによって係合部44の長手方向が収容部64(ローラユニット50)の貫通孔64cの長手方向と同一方向を向くこととなり、係合部44は、貫通孔64cを通過可能な状態となる。
【0076】
この状態で吊り下げパイプ40及びローラユニット50が互いに接近され、係合部44が貫通孔64cを通過する。その後吊り下げパイプ40は、図8に示すように、係合部44の長手方向が前後方向を向くように、ローラユニット50に対して相対回転される。これによって係合部44の長手方向が貫通孔64cの長手方向とは異なる方向を向くこととなり、係合部44は貫通孔64cを通過不能な状態となる。こうして係合部44と平面部64bとが係合され、吊り下げパイプ40の下端部にローラユニット50が連結される。
【0077】
ここで上述の如く、吊り下げパイプ40は、図3に示す左右のパイプガイド30にそれぞれ挿通される。当該左右の吊り下げパイプ40のうち、左側の吊り下げパイプ40は、上述した手順により、ユニット本体部60の左部に形成された収容部64(図7参照)のいずれか一方と連結される。また右側の吊り下げパイプ40は、ユニット本体部60の右部に形成された2つの収容部64のいずれか一方と連結される。
【0078】
このように、本実施形態では、1つの吊り下げパイプ40に対して貫通孔64cが複数(2つ)設けられている。当該構成によると、吊り下げパイプ40を通過させる貫通孔64cを適宜変更することで、吊り下げパイプ40に対するユニット本体部60の相対位置を調整することができる。この相対位置の調整により既設管2に対するローラユニット50の左右位置の調整を容易に行うことができるため、利便性を向上することができる。
【0079】
図10(a)に示すように、本設置作業では、左右の吊り下げパイプ40とユニット本体部60とが連結された後で、ユニット本体部60の取付部63に規制部80の挿通部81が挿通され、ピンによって取付部63に挿通部81が固定される。その後、吊り下げパイプ40がパイプガイド30に対して上下に相対移動され、ローラユニット50の高さ位置が調整される。吊り下げパイプ40は、当該高さ位置の調整後にピンによってパイプガイド30に固定される。
【0080】
本設置作業では、吊り下げパイプ40の固定後に、図4に示すパイプガイド30(第1円筒部31)の第1取付孔31aにピンが挿通され、パイプガイド30がガイド支持部23に支持される。こうして本設置作業が終了する。
【0081】
なお前側マンホール1Fにおける更生管案内装置10の設置作業は、地上ローラ20を設置しない点、及びパイプガイド30をウインチWに取り付ける点を除いて、後側マンホール1Bと同じような手順により行われる。
【0082】
本設置作業では、吊り下げパイプ40を回転させることで、ピン等の連結用の部材を用いることなく、吊り下げパイプ40とローラユニット50とを連結することができる。また、簡単な操作(吊り下げパイプ40を回転する操作)によって吊り下げパイプ40とローラユニット50とを連結することができる。これにより、設置作業の効率化を図ることができる。
【0083】
なお、上述した本設置作業は一例であり、必要に応じて内容を適宜変更することも可能である。例えば、本設置作業では、ローラユニット50が後側マンホール1B内に搬入された後で、地上ローラ20のベース部21が後側マンホール1Bに取り付けられるものとしたが、このローラユニット50の搬入とベース部21の取付とを反対の順番で行うことも可能である。
【0084】
次に、更生管案内装置10の撤去作業の一例について説明する。以下では、後側マンホール1Bに設置された更生管案内装置10の各種部材を撤去する場合を例に挙げ、本撤去作業の一例を説明する。
【0085】
本撤去作業では、まず吊り下げパイプ40及びパイプガイド30の固定が解除される。より詳細には、吊り下げパイプ40のパイプ取付孔41a及びパイプガイド30の第2取付孔32a(図4参照)に挿通されたピンが引き抜かれる。その後、上述した吊り下げパイプ40及びローラユニット50を連結する作業と同様の作業により、吊り下げパイプ40からローラユニット50が取り外される。
【0086】
すなわち、図8に示す吊り下げパイプ40がローラユニット50に対して相対回転され、図10(b)に示すように、係合部44の長手方向がローラユニット50の貫通孔64cの長手方向と同一方向を向けられる。この状態で吊り下げパイプ40及びローラユニット50が互いに離間され、吊り下げパイプ40からローラユニット50が取り外される。
【0087】
その後本撤去作業では、図4に示す吊り下げパイプ40がパイプガイド30から引き抜かれ、ローラユニット50が後側マンホール1Bから地上Gへと引き上げられる。そして図3に示すパイプガイド30が地上ローラ20から取り外され、地上ローラ20が後側マンホール1Bから取り外される。こうして本撤去作業が終了する。
【0088】
なお、上述した本撤去作業は一例であり、必要に応じて内容を適宜変更することも可能である。例えば、本撤去作業では、ローラユニット50が地上Gへと引き上げられた後で、地上ローラ20が取り外されるものとしたが、このローラユニット50の引き上げとベース部21の取り外しとを反対の順番で行うことも可能である。
【0089】
なお前側マンホール1Fにおける更生管案内装置10の撤去作業は、地上ローラ20の取り外しがない点、及びパイプガイド30をウインチWから取り外す点を除いて、後側マンホール1Bと同じような手順により行われる。
【0090】
本撤去作業では、吊り下げパイプ40を回転させることにより、地上Gから簡単に吊り下げパイプ40とユニット本体部60との係合を解除することができる。これによって吊り下げパイプ40からローラユニット50を容易に取り外すことができる。
【0091】
ここで本撤去作業は、上述した設置作業とは異なり、後側マンホール1Bの開口部から既設管2までに亘って更生管3が配置された状態(切断前の状態)で行われる場合がある。この場合において、後側マンホール1B内ではなく、地上Gから吊り下げパイプ40とユニット本体部60との係合を解除することで、更生管3が邪魔になるのを抑制することができるため、撤去作業を効率的に行うことができる。
【0092】
以上の如く、本実施形態に係る更生管案内装置10は、マンホール1の内側に配置され、当該マンホール1と接続される既設管2の内側を通過するように更生管3を案内するローラユニット50と、前記ローラユニット50を地上Gから支持する支持部材(地上ローラ20、パイプガイド30及び吊り下げパイプ40)と、を具備するものである。
【0093】
このように構成することにより、マンホール1よりもスペースを確保し易い地上Gにおいて、ローラユニット50を容易に支持することができる。
【0094】
また、前記ローラユニット50は、前記支持部材(吊り下げパイプ40)に対して着脱可能に構成されるものである(図8及び図10参照)。
【0095】
このように構成することにより、必要に応じて支持部材(吊り下げパイプ40)とローラユニット50とを着脱することができるため、利便性を向上させることができる。
例えば、更生管案内装置10を保管する際にローラユニット50が支持部材から取り外されることで、支持部材及びローラユニット50をコンパクトに保管することができる。また長さが異なる複数の支持部材がある場合、マンホール1の深さに応じて適切な支持部材にローラユニット50を取り付けることができる。
【0096】
また、前記ローラユニット50は、前記更生管3を案内可能なガイドローラ70と、前記ガイドローラ70を回転可能に支持すると共に、前記支持部材(吊り下げパイプ40)に対して着脱可能なユニット本体部60と、を具備し、前記支持部材及び前記ユニット本体部60が相対回転することで、前記ユニット本体部60が前記支持部材に係合された係合状態(図8に示す状態)と、前記支持部材との係合が解除された係合解除状態(図10に示す状態)とが切り替えられるものである。
【0097】
このように構成することにより、支持部材(吊り下げパイプ40)及びユニット本体部60の相対回転により、ローラユニット50の着脱を容易に行うことができる。
【0098】
また、前記更生管案内装置10は、前記支持部材(吊り下げパイプ40)及び前記ユニット本体部60の相対位置を調整可能に構成されるものである。
【0099】
このように構成することにより、必要に応じて支持部材(吊り下げパイプ40)及びユニット本体部60の相対位置を調整することができるため、利便性を向上させることができる。
【0100】
また、前記支持部材は、地上Gから前記マンホール1の内側へと延設される長手状の延設部材(吊り下げパイプ40)を具備し、前記延設部材の長手方向(上下方向)を回転軸方向として前記延設部材が前記ユニット本体部60に対して相対回転することで、前記支持部材及び前記ユニット本体部60の前記係合状態と前記係合解除状態とが切り替えられるものである(図8及び図10参照)。
【0101】
このように構成することにより、ローラユニット50を簡単に着脱することができる。
【0102】
また、前記ユニット本体部60は、前記延設部材(吊り下げパイプ40)の前記長手方向を向いた平面部64bと、前記平面部64bを貫通する貫通孔64cと、を具備し、前記延設部材は、前記ユニット本体部60に対して相対回転することで、前記長手方向の端部が前記貫通孔64cを通過可能な第1の向き(図8(a)参照)と、前記端部が前記貫通孔64cを通過不能な第2の向き(図10(b)参照)とを変更可能に形成されるものである。
【0103】
このように構成することにより、簡単な構成でローラユニット50の着脱を行うことができる。
【0104】
また、前記ユニット本体部60は、複数の前記貫通孔64cを具備するものである(図7参照)。
【0105】
このように構成することにより、簡単な構成で支持部材(吊り下げパイプ40)及びユニット本体部60の相対位置を調整することができる。
【0106】
また、前記支持部材は、地上Gから前記マンホール1の内側へと延設され、前記ローラユニット50と連結される延設部材(吊り下げパイプ40)と、地上Gにおいて前記延設部材を揺動可能に支持する揺動支持部材(パイプガイド30)と、を具備し、前記ローラユニット50は、前記マンホール1に対して当接することで、前記延設部材の揺動を規制可能な規制部80を具備するものである。
【0107】
このように構成することにより、ローラユニット50を簡単に位置決めすることができる。
【0108】
なお、本実施形態に係る地上ローラ20、パイプガイド30及び吊り下げパイプ40は、本発明に係る支持部材の実施の一形態である。
また、本実施形態に係る延設部材は、本発明に係る吊り下げパイプ40の実施の一形態である。
また、本実施形態に係る揺動支持部材は、本発明に係るパイプガイド30の実施の一形態である。
【0109】
以上、本発明の実施形態を説明したが、本発明は上記構成に限定されるものではなく、特許請求の範囲に記載された発明の範囲内で種々の変更が可能である。
【0110】
例えば本実施形態の更生管案内装置10は、下水道を構成する既設管2に更生管3を案内するものとしたが、更生管3の案内対象となる水路は下水道に限定されるものではなく、その他の水路(例えば上水道等)であってもよい。
【0111】
また本実施形態では、地上ローラ20、パイプガイド30及び吊り下げパイプ40によってローラユニット50を支持するものとしたが、ローラユニット50を地上Gから支持できるのであれば、本実施形態とは異なる構成によってローラユニット50を支持することも可能である。例えば本実施形態では、吊り下げパイプ40が揺動可能であるものとしたが(図3(a)参照)、揺動不能に設けられた吊り下げパイプ40によりローラユニット50を支持することも可能である。また、本実施形態(地上ローラ20等)とは形状、配置等が異なるその他の部材により、ローラユニット50を支持することも可能である。
【0112】
またローラユニット50は、吊り下げパイプ40に対して着脱可能に構成されるものとしたが、これに限定されるものではなく、吊り下げパイプ40に対して着脱不能に構成されていてもよい。
【0113】
また係合部44は、底面視略トラック状に形成されるものとしたが(図5(a)参照)、係合部44の形状は、ローラユニット50(平面部64b)と係合可能であれば、特に限定されるものではない。なお係合部44は、底面視において円とは異なる形状に形成されることが望ましい。これにより、吊り下げパイプ40を回転させることにより、係合部44が貫通孔64cを通過可能な状態と、貫通孔64cを通過不能な状態とを容易に切り替えることができる。
【0114】
またローラユニット50の貫通孔64cは、係合部44に対応する形状(底面視略トラック状)に形成されるものとしたが、係合部44の向きによって当該係合部44が通過可能な状態と通過不能な状態とを切替可能であれば、貫通孔64cの形状は特に限定されるものではない。
【0115】
例えば貫通孔64cは、左右方向に長く延びるスリット状に形成されるものであってもよい。当該貫通孔64c(スリット)の幅を、係合部44の短手方向幅よりも大きく、かつ、係合部44の長手方向幅よりも小さく形成することで、係合部44の向きによって当該スリットを通過可能な状態と通過不能な状態とを切り替えることができる。また当該構成において、吊り下げパイプ40をスリットの長手方向の任意の位置に移動させることができるため、ローラユニット50と吊り下げパイプ40との相対位置を任意に調整することができる。
【0116】
また本実施形態では、吊り下げパイプ40とローラユニット50との相対回転により、吊り下げパイプ40及びローラユニット50の係合状態と係合解除状態とが切り替えられるものとしたが、相対回転とは異なる方法により、係合状態及び係合解除状態を切り替えることも可能である。例えば、磁力のオンとオフとを切替可能な磁石を活用し、係合状態及び係合解除状態を切り替えることも可能である。この場合、前記磁石の磁力をオンにすることで、吊り下げパイプ40及びローラユニット50を互いに吸着させ、係合状態に切り替えることができる。また前記磁力をオフにすることで、吊り下げパイプ40及びローラユニット50の吸着を解除して、係合解除状態に切り替えることができる。
【0117】
また本実施形態のローラユニット50は、ユニット本体部60、ガイドローラ70及び規制部80を具備するものとしたが、更生管3を案内可能であれば、ローラユニット50の構成は特に限定されるものではない。例えばローラユニット50は、本実施形態とは異なる部材をさらに具備するものであってよい。図11には一例として、フック90をさらに具備するローラユニット50が記載される。
【0118】
図11に示すフック90は、ユニット本体部60の側壁部62に固定される。当該フック90には、ロープRやベルト等の紐状部材をつなぐことができる。当該構成により、ロープRに吊るした状態で、地上Gからマンホール1内へとローラユニット50を容易に下ろすことができる。また図12に示すように、更生管案内装置10の撤去作業においてロープRを地上Gから引き上げることで、作業者がマンホール1内に入ることなくローラユニット50を容易に撤去することができる。なお図12においては、説明の便宜上、ローラユニット50が模式的に記載されている。
【0119】
なおフック90の個数は、特に限定されるものではない。例えばフック90は、ローラユニット50に1つだけ固定されてもよいし、ローラユニット50に複数固定されてもよい。またフック90が設けられる箇所は、側壁部62に限定されるものではなく、適宜変更可能である。
【0120】
なおフック90は、ローラユニット50が水平方向に対して上下に傾斜した姿勢で引き上げ可能となるように、ローラユニット50の左右中央部に対して左右にずれた位置に設けられることが望ましい。特に図11に示すように、フック90は、ローラユニット50の左端部又は右端部の少なくとも一方に設けられることが望ましい。これにより、ロープRを地上Gから引き上げる際にローラユニット50が縦向きになる(ローラユニット50の軸方向が略上下方向を向く)ため、ローラユニット50がマンホール1の内壁部1aに衝突するのを抑制することができる。
【0121】
以上の如く、前記ローラユニット50は、紐状部材(ロープR等)を固定可能な固定部(フック90)を具備するものである。
【0122】
このように構成することにより、ローラユニット50を設置する際及びローラユニット50を撤去する際に、紐状部材(ロープR等)を利用してローラユニット50を容易に昇降させることができる。
【0123】
なお、本実施形態に係るフック90は、本発明に係る固定部の実施の一形態である。
【0124】
また、上述したロープRによりローラユニット50をマンホール1内から引き上げる場合、規制部80の当接部82(図7参照)がマンホール1の内壁部1aに衝突することが懸念される。そこでローラユニット50は、当接部82をユニット本体部60に向けて付勢する付勢部をさらに具備するものとしてもよい。当該構成によると、ロープRによりローラユニット50を引き上げる前に、規制部80及びユニット本体部60の固定を解除することで、当接部82をユニット本体部60側に移動させることができる。これによってローラユニット50の引き上げ時に、当接部82がマンホール1の内壁部1aに衝突するのを抑制することができる。
【符号の説明】
【0125】
1 マンホール
2 既設管
3 更生管
10 更生管案内装置
20 地上ローラ
30 パイプガイド
40 吊り下げパイプ
50 ローラユニット
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12