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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024016703
(43)【公開日】2024-02-07
(54)【発明の名称】基板洗浄装置および基板洗浄方法
(51)【国際特許分類】
   H01L 21/304 20060101AFI20240131BHJP
   B08B 1/32 20240101ALI20240131BHJP
   B08B 3/02 20060101ALI20240131BHJP
【FI】
H01L21/304 644A
H01L21/304 643A
H01L21/304 644C
B08B1/04
B08B3/02 B
【審査請求】未請求
【請求項の数】12
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022119010
(22)【出願日】2022-07-26
(71)【出願人】
【識別番号】000207551
【氏名又は名称】株式会社SCREENホールディングス
(74)【代理人】
【識別番号】100108523
【弁理士】
【氏名又は名称】中川 雅博
(74)【代理人】
【識別番号】100125704
【弁理士】
【氏名又は名称】坂根 剛
(74)【代理人】
【識別番号】100187931
【弁理士】
【氏名又は名称】澤村 英幸
(72)【発明者】
【氏名】田中 克典
(72)【発明者】
【氏名】帆角 良平
(72)【発明者】
【氏名】矢野 航
【テーマコード(参考)】
3B116
3B201
5F157
【Fターム(参考)】
3B116AA03
3B116AB01
3B116BA02
3B116BB22
3B201AA03
3B201AB01
3B201BA02
3B201BB22
3B201BB92
5F157AA14
5F157AB02
5F157AB16
5F157AB33
5F157AB90
5F157AC01
5F157BA02
5F157BA13
5F157BA31
5F157DB32
5F157DB47
(57)【要約】
【課題】 洗浄ブラシの交換によるダウンタイムの削減が可能な基板洗浄装置および基板洗浄方法を提供する。
【解決手段】 基板洗浄装置100は、基板Wを保持しつつ回転させる基板回転保持部と、基板回転保持部に保持された基板Wの第1のベベル領域に接触可能に傾斜した第1の洗浄面を有する第1の洗浄ブラシと、基板回転保持部により回転される基板の第1のベベル領域に第1の洗浄面が接触する第1の接触状態と基板回転保持部により回転される基板の第1のベベル領域から第1の洗浄面が離間する第1の離間状態とに第1の洗浄ブラシを移行させるように構成された第1の駆動部と、予め定められた第1の条件が満たされた場合に、第1の接触状態における第1のベベル領域に対する第1の洗浄面の接触位置が変更されるように第1の駆動部を制御する制御部60とを備える。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1の主面を有するとともに前記第1の主面の周縁部に第1のベベル領域を有する基板を洗浄する基板洗浄装置であって、
基板を保持しつつ回転させる基板回転保持部と、
前記基板回転保持部に保持された基板の前記第1のベベル領域に接触可能に傾斜した第1の洗浄面を有する第1の洗浄ブラシと、
前記基板回転保持部により回転される基板の前記第1のベベル領域に前記第1の洗浄面が接触する第1の接触状態と前記基板回転保持部により回転される基板の前記第1のベベル領域から前記第1の洗浄面が離間する第1の離間状態とに前記第1の洗浄ブラシを移行させるように構成された第1の駆動部と、
予め定められた第1の条件が満たされた場合に、前記第1の接触状態における前記第1のベベル領域に対する前記第1の洗浄面の接触位置が変更されるように前記第1の駆動部を制御する制御部とを備えた、基板洗浄装置。
【請求項2】
前記制御部は、前記第1の条件が満たされた場合に、前記第1のベベル領域に対する前記第1の洗浄面の変更後の接触位置が前記第1のベベル領域に対する前記第1の洗浄面の変更前の接触位置よりも高い位置となるように前記第1の駆動部を制御する、請求項1記載の基板洗浄装置。
【請求項3】
前記第1の条件は、前記第1のベベル領域に対する前記第1の洗浄面の接触に起因して生じ得る前記第1の洗浄面の汚染または摩耗に関連する第1の因子が予め定められた値に達したことを含む、請求項1または2記載の基板洗浄装置。
【請求項4】
前記第1の因子は、前記第1の洗浄面により洗浄された基板の数、前記第1のベベル領域に対する前記第1の洗浄面の洗浄力および前記第1の洗浄面による前記第1のベベル領域の洗浄時間のうち少なくとも1つを含む、請求項3記載の基板洗浄装置。
【請求項5】
前記第1のベベル領域に対する前記第1の洗浄面の洗浄力は、前記第1のベベル領域に対する前記第1の洗浄面の押圧力を含む、請求項4記載の基板洗浄装置。
【請求項6】
基板は、前記第1の主面と反対側の第2の主面を有するとともに前記第2の主面の周縁部に第2のベベル領域を有し、
前記第1の洗浄ブラシは、前記基板回転保持部に保持された基板の前記第2のベベル領域に接触可能に傾斜した第2の洗浄面を有し、
前記第1の駆動部は、前記基板回転保持部より回転される基板の前記第2のベベル領域に前記第2の洗浄面が接触する第2の接触状態と前記基板回転保持部より回転される基板の前記第2のベベル領域から前記第2の洗浄面が離間する第2の離間状態とに前記第1の洗浄ブラシを移行させるように構成され、
前記制御部は、予め定められた第2の条件が満たされた場合に、前記第2の接触状態における前記第2のベベル領域に対する前記第2の洗浄面の接触位置が変更されるように前記第1の駆動部を制御する、請求項1または2記載の基板洗浄装置。
【請求項7】
前記制御部は、前記第2の条件が満たされた場合に、前記第2のベベル領域に対する前記第1の洗浄面の変更後の接触位置が前記第2のベベル領域に対する前記第2の洗浄面の変更前の接触位置よりも高い位置となるように前記第1の駆動部を制御する、請求項6記載の基板洗浄装置。
【請求項8】
前記第2の条件は、前記第2のベベル領域に対する前記第2の洗浄面の接触に起因して生じ得る前記第2の洗浄面の汚染または摩耗に関連する第2の因子が予め定められた値に達したことを含む、請求項6記載の基板洗浄装置。
【請求項9】
前記基板回転保持部に保持された基板の前記第1のベベル領域に接触可能に傾斜した第3の洗浄面および前記基板回転保持部に保持された基板の前記第2のベベル領域に接触可能に傾斜した第4の洗浄面を有する第2の洗浄ブラシと、
前記基板回転保持部により回転される基板の前記第1のベベル領域に前記第3の洗浄面が接触する第3の接触状態と前記基板回転保持部により回転される基板の前記第1のベベル領域から前記第3の洗浄面が離間する第3の離間状態とに前記第2の洗浄ブラシを移行させ、前記基板回転保持部により回転される基板の前記第2のベベル領域に前記第4の洗浄面が接触する第4の接触状態と前記基板回転保持部により回転される基板の前記第2のベベル領域から前記第4の洗浄面が離間する第4の離間状態とに前記第2の洗浄ブラシを移行させるように構成された第2の駆動部とをさらに備え、
前記制御部は、予め定められた第3の条件が満たされた場合に、前記第3の接触状態における前記第1のベベル領域に対する前記第3の洗浄面の接触位置が変更され、予め定められた第4の条件が満たされた場合に、前記第4の接触状態における前記第2のベベル領域に対する前記第4の洗浄面の接触位置が変更されるように前記第2の駆動部を制御する、請求項6記載の基板洗浄装置。
【請求項10】
前記制御部は、前記第1の洗浄ブラシの前記第1の洗浄面が前記第1のベベル領域に接触しているときに前記第2の洗浄ブラシの前記第4の洗浄面が前記第2のベベル領域に接触し、前記第1の洗浄ブラシの前記第2の洗浄面が前記第2のベベル領域に接触しているときに前記第2の洗浄ブラシの前記第3の洗浄面が前記第2のベベル領域に接触するように前記第1および第2の駆動部を制御する、請求項9記載の基板洗浄装置。
【請求項11】
前記制御部は、前記第1の条件が満たされた場合に、前記第1のベベル領域に対する前記第1の洗浄面の変更後の接触位置が前記第1のベベル領域に対する前記第1の洗浄面の変更前の接触位置よりも高い位置となり、前記第2の条件が満たされた場合に、前記第2のベベル領域に対する前記第2の洗浄面の変更後の接触位置が前記第2のベベル領域に対する前記第2の洗浄面の変更前の接触位置よりも高い位置となり、前記第3の条件が満たされた場合に、前記第1のベベル領域に対する前記第3の洗浄面の変更後の接触位置が前記第1のベベル領域に対する前記第3の洗浄面の変更前の接触位置よりも高い位置となり、前記第4の条件が満たされた場合に、前記第2のベベル領域に対する前記第4の洗浄面の変更後の接触位置が前記第2のベベル領域に対する前記第4の洗浄面の変更前の接触位置よりも高い位置となるように、前記第1および第2の駆動部を制御する、請求項9記載の基板洗浄装置。
【請求項12】
主面を有するとともに主面の周縁部にベベル領域を有する基板を洗浄する基板洗浄方法であって、
複数の基板のうち一の基板を基板回転保持部により保持および回転させつつ前記一の基板の前記ベベル領域に洗浄ブラシの傾斜した洗浄面を駆動部により接触させることを前記複数の基板について順次行うステップと、
予め定められた条件が満たされた場合に、前記ベベル領域に対する前記洗浄面の接触位置が変更されるように前記駆動部を制御するステップとを含む、基板洗浄方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、基板洗浄装置および基板洗浄方法に関する。
【背景技術】
【0002】
基板処理装置においては、上面および下面における周縁にベベル部を有する基板が処理の対象になることがある。例えば、基板のベベル部が汚染された状態で基板の露光処理を行うと、露光ステージを汚染することになる。また、液浸液を用いて露光を行うような液浸露光装置において、基板のベベル部が汚染された状態で露光を行うと露光装置のレンズが汚染され、露光パターンの寸法不良および形状不良が発生する可能性がある。そこで、例えば、特許文献1に記載されるように、ベベル部を洗浄するための洗浄ブラシを有する基板洗浄装置が用いられている。また、基板に対して各種の成膜処理が行われており、その成膜処理の過程で基板のベベル部が汚染される場合もある。
【0003】
特許文献1に記載された洗浄ブラシは、鉛直軸に関して回転対称な形状を有し、下ベベル洗浄面および上ベベル洗浄面を含む。基板のベベル部の洗浄においては、スピンチャックに保持および回転された基板の下面のベベル部に洗浄ブラシの下ベベル洗浄面が接触する。同様に、回転する基板の上面のベベル部に洗浄ブラシの上ベベル洗浄面が接触する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2009-032889号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、洗浄ブラシが継続的に使用されると、基板のベベル部と洗浄ブラシのベベル洗浄面との摩擦によりベベル洗浄面に摩耗による溝が発生することがある。また、洗浄ブラシのベベル洗浄面が汚染する。そのため、定期的に洗浄ブラシの交換作業を実施する必要がある。洗浄ブラシの交換作業においては、洗浄ブラシの取り外し、洗浄ブラシの交換、交換後の洗浄ブラシに対するティーチング作業、洗浄ブラシのスタートアップおよび交換後の洗浄ブラシの動作のモニタチェック等を行う必要がある。そのため、基板処理装置の運用において、多大なダウンタイムが発生することになる。近年では、デバイスの生産量の拡大に伴い、基板処理におけるダウンタイムの削減が求められる。
【0006】
本発明の目的は、洗浄ブラシの交換によるダウンタイムの削減が可能な基板洗浄装置および基板洗浄方法を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
(1)本発明の一局面に従う基板洗浄装置は、第1の主面を有するとともに第1の主面の周縁部に第1のベベル領域を有する基板を洗浄する基板洗浄装置であって、基板を保持しつつ回転させる基板回転保持部と、基板回転保持部に保持された基板の第1のベベル領域に接触可能に傾斜した第1の洗浄面を有する第1の洗浄ブラシと、基板回転保持部により回転される基板の第1のベベル領域に第1の洗浄面が接触する第1の接触状態と基板回転保持部により回転される基板の第1のベベル領域から第1の洗浄面が離間する第1の離間状態とに第1の洗浄ブラシを移行させるように構成された第1の駆動部と、予め定められた第1の条件が満たされた場合に、第1の接触状態における第1のベベル領域に対する第1の洗浄面の接触位置が変更されるように第1の駆動部を制御する制御部とを備える。
【0008】
(2)本発明の他の局面に従う基板洗浄方法は、主面を有するとともに主面の周縁部にベベル領域を有する基板を洗浄する基板洗浄方法であって、複数の基板のうち一の基板を基板回転保持部により保持および回転させつつ一の基板のベベル領域に洗浄ブラシの傾斜した洗浄面を駆動部により接触させることを複数の基板について順次行うステップと、予め定められた条件が満たされた場合に、ベベル領域に対する洗浄面の接触位置が変更されるように駆動部を制御するステップとを含む。
【発明の効果】
【0009】
本発明によれば、 洗浄ブラシの交換によるダウンタイムの削減が可能になる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
図1】本発明の一実施の形態に係る基板洗浄装置の模式的側面図である。
図2】基板の周縁部の形状を説明するための模式的断面図である。
図3】基板の周縁部の洗浄時における基板および洗浄ブラシの状態を示す図である。
図4】基板の周縁部の洗浄時における基板および洗浄ブラシの状態を示す図である。
図5】洗浄時の洗浄ブラシの接触位置の変更例を示す図である。
図6】基板洗浄装置100の動作の一例を示すフローチャートである。
図7】他の実施の形態に係る基板洗浄装置の模式的側面図である。
図8】基板に対する複数の洗浄ブラシの洗浄例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、本発明の一実施の形態に係る基板洗浄装置および基板洗浄方法について図面を参照しながら詳細に説明する。以下の説明において、基板とは、半導体基板(半導体ウェハ)、液晶表示装置または有機EL(Electro Luminescence)表示装置等に用いられるFPD(Flat Panel Display)用基板、光ディスク用基板、磁気ディスク用基板、光磁気ディスク用基板、フォトマスク用基板、セラミック基板または太陽電池用基板等をいう。また、以下に説明する基板は、平面視でノッチの形成部分を除いて円形状を有する
【0012】
(1)基板洗浄装置
図1は、本発明の一実施の形態に係る基板洗浄装置100の模式的側面図である。図1に示すように、基板洗浄装置100は、スピンチャック10、洗浄ブラシ20、アーム30、アーム駆動部40、ブラシ回転駆動部50、制御部60および表示部70を備える。
【0013】
基板洗浄装置100においては、図示しない搬送ロボットにより基板Wが当該基板洗浄装置100内に搬入および搬出される。スピンチャック10は、保持部11およびチャック回転駆動部12を含む。搬送ロボットにより搬入された基板Wは、保持部11上に載置される。保持部11には、図示しない複数の吸気路が形成され、吸気路内が排気されることにより、基板Wの下面が保持部11に真空吸着する。それにより、保持部11は、基板Wを水平姿勢で保持する。保持部11には、接続部材を介してチャック回転駆動部12が接続される。チャック回転駆動部12は、例えば電動モータを含み、保持部11を回転可能に構成される。それにより、保持部11に水平姿勢で保持された基板Wが回転する。
【0014】
保持部11の近傍には、下面洗浄ノズル13,14がそれぞれ設けられ、水平姿勢で保持された基板Wの下面に向けて洗浄液を供給する。保持部11の上方には、上面洗浄ノズル15が設けられ、水平姿勢で保持された基板Wの上面に向けて洗浄液を供給する。下面洗浄ノズル13,14および上面洗浄ノズル15から吐出された洗浄液は、基板Wの回転による遠心力によって外方に広がる。
【0015】
スピンチャック10の外方には、アーム30に支持された洗浄ブラシ20が配置される。洗浄ブラシ20の詳細は、後述する。アーム駆動部40は、例えば、アクチュエータを含み、アーム30に支持された洗浄ブラシ20を3次元的に移動可能に構成される。ブラシ回転駆動部50は、例えば電動モータを含み、アーム30に支持された洗浄ブラシ20を鉛直方向の軸の周りで回転可能に構成される。本実施の形態においては、ブラシ回転駆動部50は、洗浄ブラシ20を保持部11に保持された基板Wが回転する方向と反対の方向に回転させる。この状態で、アーム駆動部40により、洗浄ブラシ20が水平方向に移動する。それにより、洗浄ブラシ20と回転する基板Wの周縁部とが接触することにより、基板Wの周縁部が洗浄される。
【0016】
制御部60は、CPU(中央演算処理装置)、RAM(ランダムアクセスメモリ)、ROM(リードオンリメモリ)および記憶装置等を含む。制御部60は、スピンチャック10およびアーム駆動部40の動作を制御する。制御部60の詳細は後述する。表示部70には、基板Wの洗浄に関する種々の情報が表示される。
【0017】
図2は、基板Wの周縁部の形状を説明するための模式的断面図である。本実施の形態の基板洗浄装置100に搬入される基板Wの周縁部は、環状のベベル部Rを含む。ベベル部Rは、基板Wの上面WUに連続的につながるように傾斜する環状のベベル領域Aおよび基板Wの下面WDに連続的につながるように傾斜する環状のベベル領域Bを含む。鉛直方向の軸に対するベベル領域Aの傾斜角θ1と鉛直方向の軸に対するベベル領域Bの傾斜角θ2とは実質的に等しい。ベベル領域Aの幅方向の長さ(鉛直方向の断面における長さ)はLA1に設定され、ベベル領域Bの幅方向の長さ(鉛直方向の断面における長さ)はLB1に設定される。
【0018】
図3および図4は、基板Wの周縁部の洗浄時における基板Wおよび洗浄ブラシ20の状態を示す図である。洗浄ブラシ20は、洗浄面21、洗浄面22および接続面23を含む。接続面23は、鉛直方向の軸心を有する円筒面である。洗浄ブラシ20は、例えば、ポリビニルアルコール(PVA)により形成されるが、洗浄ブラシ20の材料はこれに限定されず、他の樹脂材料またはセラミックス材料等を用いることができる。
【0019】
図3に示すように、洗浄面21は、接続面23の上端から外方かつ斜め上方に傾斜して延びるテーパ形状を有する。鉛直方向の軸に対する洗浄ブラシ20の洗浄面21の傾斜角θ3は、基板Wのベベル領域Aの傾斜角θ1と実質的に等しくなるように設定される。それにより、基板Wの長さLA1のベベル領域Aと洗浄ブラシ20の洗浄面21とを当接させることが可能になる。基板Wのベベル部Rのうちベベル領域Aを洗浄する場合、洗浄ブラシ20の洗浄面21が基板Wのベベル領域Aと接触可能な高さに洗浄ブラシ20の高さがアーム駆動部40により調整される。その後、洗浄ブラシ20が基板Wの外方から水平方向に移動することにより、洗浄ブラシ20の洗浄面21が基板Wのベベル領域Aに接触する。それにより、基板Wのベベル領域Aが洗浄される。
【0020】
図4に示すように、洗浄面22は、接続面23の下端から外方かつ斜め下方に傾斜して延びるテーパ形状を有する。鉛直方向の軸に対する洗浄ブラシ20の洗浄面22の傾斜角θ4は、基板Wのベベル領域Bの傾斜角θ2と実質的に等しくなるように設定される。それにより、基板Wの長さLB1のベベル領域Bと洗浄ブラシ20の洗浄面22とを当接させることが可能になる。基板Wのベベル部Rのうちベベル領域Bを洗浄する場合、洗浄ブラシ20の洗浄面22が基板Wのベベル領域Bに接触可能な高さに洗浄ブラシ20の高さがアーム駆動部40により調整される。その後、洗浄ブラシ20が基板Wの外方から水平方向に移動することにより、洗浄ブラシ20の洗浄面22が基板Wのベベル領域Bに接触する。それにより、基板Wのベベル領域Bが洗浄される。
【0021】
ここで、洗浄ブラシ20の洗浄面21による基板Wのベベル領域Aの洗浄が繰り返し行われると、ベベル領域Aに対する洗浄面21の接触位置が汚染または摩耗する。また、洗浄ブラシ20の洗浄面22による基板Wのベベル領域Bの洗浄が繰り返し行われると、ベベル領域Bに対する洗浄面22の接触位置が汚染または摩耗する。洗浄面21または洗浄面22の汚染が洗浄により除去されない場合または洗浄面21または洗浄面22に摩耗による溝が形成された場合には、洗浄ブラシ20の寿命が到来したと判断され、洗浄ブラシ20の交換が必要になる。後述する動作例では、洗浄ブラシ20の寿命を長くすることが可能になる。
【0022】
(2)基板洗浄装置100の動作
前述したように、制御部60は、アーム駆動部40の動作を制御する。具体的には、制御部60は、基板Wのベベル部Rのベベル領域Aの洗浄時において、予め定められた第1の条件が満たされた場合、基板Wのベベル領域Aに対する洗浄ブラシ20の洗浄面21の接触位置が変更されるように、アーム駆動部40を制御する。同様に、制御部60は、基板Wのベベル部Rのベベル領域Bの洗浄時において、予め定められた第2の条件が満たされた場合、基板Wのベベル領域Bに対する洗浄ブラシ20の洗浄面22の接触位置が変更されるように、アーム駆動部40を制御する。
【0023】
上述した第1および第2の条件とは、ベベル領域A,Bに対する洗浄面21,22の接触に起因して生じ得る洗浄面21,22の汚染または摩耗に関連する第1および第2の因子が予め定められた判定値に到達したことを意味する。第1および第2の因子は、洗浄面21,22により洗浄された基板Wの数を含んでもよく、ベベル領域A,Bに対する洗浄面21,22の洗浄力(例えば、基板Wのベベル領域A,Bに対する洗浄面21,22の押圧力等)を含んでもよく、洗浄面21,22によるベベル領域A,Bの洗浄時間を含んでもよい。または、第1および第2の因子は、これらの複数の因子を含んでもよい。例えば、第1および第2の因子は、洗浄面21,22により洗浄された基板Wの数であってもよい。この場合、判定値は、洗浄面21,22の洗浄力に応じて定められてもよい。具体的には、洗浄力が大きい場合には、判定値は小さく設定され、洗浄力が小さい場合には、判定値は大きく設定される。
【0024】
本実施の形態においては、第1および第2の因子は、洗浄面21,22により洗浄された基板Wの数である。換言すれば、第1および第2の条件は、洗浄面21,22において洗浄された基板Wの数が判定値に到達したか否かである。判定値は、例えば1000枚であるが、これに限定されない。
【0025】
図5は、洗浄時の洗浄ブラシ20の接触位置の変更例を示す図である。図6は、基板洗浄装置100の動作の一例を示すフローチャートである。図5に示すように、洗浄面21にベベル領域Aの長さLA1に対応する複数の位置が設定され、洗浄面22に、ベベル領域Bの長さLB1に対応する複数の位置が設定される。図5の例では、洗浄面21に下方から接触位置la1,la2,la3がこの順に設定され、洗浄面22に下方から接触位置lb1,lb2,lb3がこの順に設定される。接触位置la1,la2,la3の各々は、ベベル領域Aの長さLA1以上の長さを有する領域の位置である。接触位置lb1,lb2,lb3の各々は、ベベル領域Bの長さLB1以上の長さを有する領域の位置である。
【0026】
本実施の形態において、基板Wのベベル領域Aに対する洗浄ブラシ20の洗浄面21の接触位置は、接触位置la1,la2,la3の順に下方から上方へ変更される。また、基板Wのベベル領域Bに対する洗浄ブラシ20の洗浄面22の接触位置は、接触位置lb1,lb2,lb3の順に下方から上方へ変更される。洗浄面21,22における接触位置の数は、洗浄ブラシ20の種類に応じて決定される。本実施の形態において、洗浄ブラシ20の種類による洗浄面21,22における接触位置の数は、制御部60に予め記憶されている。
【0027】
まず、制御部60は、予め記憶された洗浄面21,22の各々における接触位置の数k(kは、2以上の整数)を取得する(図6のステップS1)。次に、制御部60は、変数nを1に設定する(ステップS2)。図1のスピンチャック10は、搬入された基板Wを保持する。次に、アーム駆動部40は、洗浄面22に設定された接触位置lbnに基板Wのベベル領域Bが接触可能になるように、洗浄ブラシ20の高さを調整する(ステップS3)。ここで、下面洗浄ノズル13,14により、基板Wの下面に洗浄液が供給される。この状態で、アーム駆動部40が洗浄面22の接触位置lbnと基板Wのベベル領域Bとが接触するように洗浄ブラシ20を水平面内で移動させる。それにより、洗浄ブラシ20が洗浄面22の接触位置lbnで基板Wのベベル領域Bを洗浄する(ステップS4)。
【0028】
続いて、アーム駆動部40は、洗浄面21に設定された接触位置lanに基板Wのベベル領域Aが接触可能になるように、洗浄ブラシ20の高さを調整する(ステップS5)。ここで、上面洗浄ノズル15により、基板Wの上面に洗浄液が供給される。この状態で、アーム駆動部40が洗浄面21の接触位置lanと基板Wのベベル領域Aとが接触するように洗浄ブラシ20を水平面内で移動させる。それにより、洗浄ブラシ20は、洗浄面21の接触位置lanで基板Wのベベル領域Aを洗浄する(ステップS6)。
【0029】
その後、種々の工程を経てスピンチャック10の基板Wの保持が解除されるとともに、基板Wが搬送ロボットにより搬出される。制御部60は、洗浄面21,22の接触位置lbn,lanで洗浄された基板Wの数が予め定められた数に到達したか否かを判定する(ステップS8)。接触位置lbn,lanで洗浄された基板Wの数が予め定められた数に到達していない場合、制御部60は、ステップS3に戻る。それにより、他の基板Wに対する洗浄が行われる。
【0030】
接触位置lbn,lanで洗浄された基板Wの数が予め定められた数に到達した場合、制御部60は変数nに1を加算する(ステップS9)。ここで、制御部60は、変数nが洗浄面21,22の各々における接触位置の数kよりも大きいか否かを判定する(ステップS10)。変数nが接触位置の数k以下である場合、制御部60はステップS3に戻る。それにより、洗浄ブラシ20の洗浄面21,22における次の接触位置lbn,lan(本実施の形態では、変更前より上方の接触位置)で基板Wのベベル領域A,Bの洗浄が行われる。変数nが接触位置の数kよりも大きい場合、制御部60は、表示部70に洗浄ブラシ20の交換時期であることを表示させる(ステップS11)。
【0031】
(3)実施の形態の効果
上記実施の形態の基板洗浄装置100によれば、洗浄面21,22における各接触位置で洗浄された基板Wの数が予め定められた判定値に到達すると、ベベル領域A,Bに対する洗浄面21,22の接触位置が変更される。この場合、洗浄面21,22の汚染および摩耗していない領域でベベル領域A,Bの洗浄を行うことができる。それにより、洗浄ブラシ20の寿命を向上させることができる。その結果、基板洗浄装置100内において、洗浄ブラシ20の交換頻度を低減することが可能になる。
【0032】
また、基板Wのベベル領域A,Bに対する洗浄ブラシ20の洗浄面21,22の接触位置は、下方から上方に向かって変更される。それにより、変更前の接触位置に汚染物または摩耗により生じたパーティクルが付着しても、汚染物またはパーティクルが変更後の接触位置に接触する基板W上に落下することが防止される。したがって、ベベル領域A,Bを清浄に洗浄することが可能になる。
【0033】
基板Wのベベル領域A,Bに対する洗浄ブラシ20の洗浄面21,22の接触位置の変更は、洗浄面21,22において洗浄された基板Wの数が予め定められた判定値に到達したか否かにより設定される。それにより、洗浄面21,22の汚染または摩耗の程度に応じて、ベベル領域A,Bの洗浄が不十分となる前に、洗浄面21,22の接触領域を変更することができる。その結果、洗浄面21,22によるベベル領域A,Bの洗浄能力を長い期間にわたって一定に維持することが可能になる。
【0034】
(4)他の実施の形態
(4-1)上記実施の形態においては、単一の洗浄ブラシ20により基板Wのベベル領域A,Bが洗浄されるが、本発明はこれに限定されない。図7は、他の実施の形態に係る基板洗浄装置100aの模式的側面図である。図7に示すように基板洗浄装置100aは、洗浄ブラシ20a、アーム30a、アーム駆動部40aおよびブラシ回転駆動部50aをさらに備える。図7の例では、洗浄ブラシ20aは、基板Wを挟んで洗浄ブラシ20に対向するように設けられる。洗浄ブラシ20aの構成は、洗浄ブラシ20の構成と同様である。洗浄ブラシ20aは、洗浄ブラシ20と同様に、基板Wのベベル領域A,Bの傾斜に対応する洗浄面21a,22aを含む。また、洗浄ブラシ20a、アーム30a、アーム駆動部40aおよびブラシ回転駆動部50aの動作は、図1の基板洗浄装置100の洗浄ブラシ20、アーム30、アーム駆動部40およびブラシ回転駆動部50の動作と同様である。
【0035】
図8は、基板Wに対する複数の洗浄ブラシ20,20aの洗浄例を示す図である。予め定められた第3の条件が満たされた場合、基板Wのベベル領域Aに対する洗浄ブラシ20aの洗浄面21aの下方から上方に向かって接触位置が変更され、予め定められた第4の条件が満たされた場合、基板Wの第2のベベル領域Bに対する洗浄ブラシ20aの洗浄面22aの接触位置が下方から上方に向かって変更される。第3および第4の条件は、第1および第2の条件と同様に設定される。本例では、第3および第4の条件は、洗浄面21a,22aにおける各接触位置で洗浄された基板Wの数が予め定められた判定値に到達したことである。第3および第4の条件が洗浄面21a,22aにおける各接触位置での洗浄時間が判定値に達したことであってもよい。また、第3および第4の条件に対応する判定値がベベル領域A,Bに対する洗浄面21,22の洗浄力に基づいて設定されてもよい。
【0036】
図8に示すように、本例では、洗浄ブラシ20の洗浄面22によりベベル領域Bが洗浄されているときに、洗浄ブラシ20aの洗浄面21aによりベベル領域Aが洗浄される。また、洗浄ブラシ20の洗浄面21によりベベル領域Aが洗浄されているときに、洗浄ブラシ20aの洗浄面22aによりベベル領域Bが洗浄される。それにより、基板Wのベベル領域A,Bを短時間で洗浄することが可能になる。
【0037】
なお、図7の基板洗浄装置100aにおいては、洗浄ブラシ20の洗浄面22によりベベル領域Bが洗浄されているときに、洗浄ブラシ20aの洗浄面22aによりベベル領域Bが補助的に洗浄されてもよく、洗浄ブラシ20洗浄面21によりベベル領域Aが洗浄されているときに、洗浄ブラシ20aの洗浄面21aによりベベル領域Aが補助的に洗浄されてもよい。それにより、基板Wのベベル領域A,Bの清浄度を短時間で向上させることが可能になる。
【0038】
また、基板Wのベベル領域A,Bの洗浄については、洗浄ブラシ20,20aのいずれか一方が使用されてもよく、洗浄ブラシ20,20aのいずれか一方の交換時期の到来後に洗浄ブラシ20,20aの他方が用いられてもよい。それにより、洗浄ブラシ20,20aの交換によるダウンタイムの十分な削減が可能になる。
【0039】
(4-2)上記実施の形態においては、洗浄ブラシ20,20aは、基板Wのベベル領域A,Bに対応する洗浄面21,22を含むが、本発明はこれに限定されない。洗浄ブラシ20は、基板Wのベベル領域A,Bのいずれか一方に対応する洗浄面のみを有していてもよい。同様に、洗浄ブラシ20aは、基板Wのベベル領域A,Bのいずれか一方に対応する洗浄面のみを有していてもよい。
【0040】
(4-3)上記実施の形態においては、第1および第2の条件は、同一の条件に設定されているが、本発明はこれに限定されない。第1および第2の条件は、互いに異なる条件に設定されてもよい。同様に、第3および第4の条件は、互いに異なる条件に設定されてもよい。さらに、第1~第4の条件は、互いに異なる条件に設定されてもよい。
【0041】
(5)請求項の各構成要素と実施の形態の各部との対応関係
以下、請求項の各構成要素と実施の形態の各要素との対応の例について説明する。上記実施の形態では、基板Wの上面WUおよび下面WDのいずれか一方が第1の主面の例であり、基板Wの上面WUおよび下面WDの他方が第2の主面の例であり、スピンチャック10が基板回転保持部の例であり、洗浄ブラシ20が第1の洗浄ブラシの例であり、アーム駆動部40が第1の駆動部の例である。また、洗浄面21,22のいずれか一方が第1の洗浄面の例であり、洗浄面21,22の他方が第2の洗浄面の例であり、洗浄面21a,21bのいずれか一方が第3の洗浄面の例であり、洗浄面21a,21bの他方が第4の洗浄面の例である。また、洗浄ブラシ20aが第2の洗浄ブラシの例であり、アーム駆動部40aが第2の駆動部の例である。
【0042】
(6)実施の形態の総括
(第1項)一態様に係る基板洗浄装置は、第1の主面を有するとともに前記第1の主面の周縁部に第1のベベル領域を有する基板を洗浄する基板洗浄装置であって、
基板を保持しつつ回転させる基板回転保持部と、
前記基板回転保持部に保持された基板の前記第1のベベル領域に接触可能に傾斜した第1の洗浄面を有する第1の洗浄ブラシと、
前記基板回転保持部により回転される基板の前記第1のベベル領域に前記第1の洗浄面が接触する第1の接触状態と前記基板回転保持部により回転される基板の前記第1のベベル領域から前記第1の洗浄面が離間する第1の離間状態とに前記第1の洗浄ブラシを移行させるように構成された第1の駆動部と、
予め定められた第1の条件が満たされた場合に、前記第1の接触状態における前記第1のベベル領域に対する前記第1の洗浄面の接触位置が変更されるように前記第1の駆動部を制御する制御部とを備える。
【0043】
第1項に記載の基板洗浄装置によれば、第1の駆動部により第1の洗浄ブラシが第1の接触状態と第1の離間状態とに移行される。第1の接触状態では、回転される基板の第1のベベル領域に第1の洗浄ブラシの第1の洗浄面が接触する。それにより、基板の第1のベベル領域が洗浄される。第1の洗浄面による第1のベベル領域の洗浄が繰り返し行われると、第1のベベル領域に対する第1の洗浄面の接触位置が汚染または摩耗する。
【0044】
上記の構成によれば、予め定められた第1の条件が満たされた場合、第1の接触状態における第1のベベル領域に対する第1の洗浄面の接触位置が変更される。この場合、洗浄面の汚染および摩耗していない領域で第1のベベル領域の洗浄を行うことができる。それにより、第1の洗浄ブラシの寿命を向上させることができるので、第1の洗浄ブラシの交換頻度を低減することができる。その結果、第1の洗浄ブラシの交換によるダウンタイムの削減が可能になる。
【0045】
(第2項)第1項に記載の基板洗浄装置において、前記制御部は、前記第1の条件が満たされた場合に、前記第1のベベル領域に対する前記第1の洗浄面の変更後の接触位置が前記第1のベベル領域に対する前記第1の洗浄面の変更前の接触位置よりも高い位置となるように前記第1の駆動部を制御してもよい。
【0046】
第2項に記載の基板洗浄装置によれば、第1の洗浄面の変更前の接触位置に汚染物または摩耗により生じたパーティクルが付着しても、汚染物またはパーティクルが変更後の第1の洗浄面の変更後の接触位置に接触する基板上に落下することが防止される。それにより、第1の洗浄面の接触位置の変更後に、変更後の接触位置を清浄に保つことができる。したがって、基板の第1のベベル領域を清浄に洗浄することができる。
【0047】
(第3項)第1項または第2項に記載の基板洗浄装置において、前記第1の条件は、前記第1のベベル領域に対する前記第1の洗浄面の接触に起因して生じ得る前記第1の洗浄面の汚染または摩耗に関連する第1の因子が予め定められた値に達したことを含んでもよい。
【0048】
第3項に記載の基板洗浄装置によれば、第1の洗浄面の汚染または摩耗に関連する第1の因子に基づいて、第1の洗浄面の接触位置が変更される。それにより、第1の洗浄面の接触位置の汚染または摩耗により第1のベベル領域の洗浄が不十分となる前に、第1の洗浄面の接触領域を変更することができる。それにより、第1のベベル領域に対する第1の洗浄面の洗浄能力を維持することが可能になる。
【0049】
(第4項)第3項に記載の基板洗浄装置において、前記第1の因子は、前記第1の洗浄面により洗浄された基板の数、前記第1のベベル領域に対する前記第1の洗浄面の洗浄力および前記第1の洗浄面による前記第1のベベル領域の洗浄時間のうち少なくとも1つを含んでもよい。
【0050】
第4項に記載の基板洗浄装置によれば、第1の洗浄面により洗浄された基板の数、第1のベベル領域に対する第1の洗浄面の洗浄力または第1の洗浄面による第1のベベル領域の洗浄時間に基づいて、第1の洗浄面の接触位置が変更される。それにより、第1の洗浄面の汚染または摩耗の程度に応じて、第1のベベル領域の洗浄が不十分となる前に、第1の洗浄面の接触領域を変更することができる。その結果、第1の洗浄面による第1のベベル領域の洗浄能力を長い期間にわたって一定に維持することが可能になる。
【0051】
(第5項)第4項に記載の基板洗浄装置において、前記第1のベベル領域に対する前記第1の洗浄面の洗浄力は、前記第1のベベル領域に対する前記第1の洗浄面の押圧力を含んでもよい。
【0052】
第5項に記載の基板洗浄装置によれば、第1のベベル領域に対する第1の洗浄面の押圧力に基づいて、第1のベベル領域に対する洗浄面の接触位置を変更することができる。それにより、第1の洗浄面の摩耗により生じる溝が洗浄能力を低下させる前に、第1の洗浄面の接触板を変更することができる。その結果、第1の洗浄面による第1のベベル領域の洗浄能力をより長い期間にわたって一定に維持することが可能になる。
【0053】
(第6項)第1項~第5項に記載の基板洗浄装置において、
基板は、前記第1の主面と反対側の第2の主面を有するとともに前記第2の主面の周縁部に第2のベベル領域を有し、
前記第1の洗浄ブラシは、前記基板回転保持部に保持された基板の前記第2のベベル領域に接触可能に傾斜した第2の洗浄面を有し、
前記第1の駆動部は、前記基板回転保持部より回転される基板の前記第2のベベル領域に前記第2の洗浄面が接触する第2の接触状態と前記基板回転保持部より回転される基板の前記第2のベベル領域から前記第2の洗浄面が離間する第2の離間状態とに前記第1の洗浄ブラシを移行させるように構成され、
前記制御部は、予め定められた第2の条件が満たされた場合に、前記第2の接触状態における前記第2のベベル領域に対する前記第2の洗浄面の接触位置が変更されるように前記第1の駆動部を制御してもよい。
【0054】
第6項に記載の基板洗浄装置によれば、第2の駆動部により第1の洗浄ブラシが第2の接触状態と第2の離間状態とに移行される。第2の接触状態では、回転される基板の第2のベベル領域に第1の洗浄ブラシの第2の洗浄面が接触する。それにより、基板の第2のベベル領域が洗浄される。第2の洗浄面による第2のベベル領域の洗浄が繰り返し行われると、第2のベベル領域に対する第2の洗浄面の接触位置が汚染または摩耗する。
【0055】
上記の構成によれば、予め定められた第2の条件が満たされた場合、第2の接触状態における第2のベベル領域に対する第2の洗浄面の接触位置が変更される。この場合、洗浄面の汚染および摩耗していない領域で第2のベベル領域の洗浄を行うことができる。この場合、基板の第1および第2のベベル領域の洗浄を行いつつ、第1の洗浄ブラシの寿命を向上させることができるので、第1の洗浄ブラシの交換頻度を低減することができる。その結果、第1の洗浄ブラシの交換によるダウンタイムの削減が可能になる。
【0056】
(第7項)第6項に記載の基板洗浄装置において、
前記制御部は、前記第2の条件が満たされた場合に、前記第2のベベル領域に対する前記第1の洗浄面の変更後の接触位置が前記第2のベベル領域に対する前記第2の洗浄面の変更前の接触位置よりも高い位置となるように前記第1の駆動部を制御してもよい。
【0057】
第7項に記載の基板洗浄装置によれば、第2の洗浄面の変更前の接触位置に汚染物または摩耗により生じたパーティクルが付着しても、汚染物またはパーティクルが変更後の第2の洗浄面の変更後の接触位置に落下することが防止される。それにより、第12洗浄面の接触位置の変更後に、変更後の接触位置を清浄に保つことができる。したがって、基板の第2のベベル領域を清浄に洗浄することができる。
【0058】
(第8項)第6項または第7項に記載の基板洗浄装置において、
前記第2の条件は、前記第2のベベル領域に対する前記第2の洗浄面の接触に起因して生じ得る前記第2の洗浄面の汚染または摩耗に関連する第2の因子が予め定められた値に達したことを含んでもよい。
【0059】
第8項に記載の基板洗浄装置によれば、第2の洗浄面の汚染または摩耗に関連する第2の因子に基づいて、第2の洗浄面の接触位置が変更される。それにより、第2の洗浄面の接触位置の汚染または摩耗により第2のベベル領域の洗浄が不十分となる前に、第2の洗浄面の接触領域を変更することができる。それにより、第2のベベル領域に対する第2の洗浄面の洗浄能力を維持することが可能となる。
【0060】
(第9項)第6項~第8項のいずれか一項に記載の基板洗浄装置は、
前記基板回転保持部に保持された基板の前記第1のベベル領域に接触可能に傾斜した第3の洗浄面および前記基板回転保持部に保持された基板の前記第2のベベル領域に接触可能に傾斜した第4の洗浄面を有する第2の洗浄ブラシと、
前記基板回転保持部により回転される基板の前記第1のベベル領域に前記第3の洗浄面が接触する第3の接触状態と前記基板回転保持部により回転される基板の前記第1のベベル領域から前記第3の洗浄面が離間する第3の離間状態とに前記第2の洗浄ブラシを移行させ、前記基板回転保持部により回転される基板の前記第2のベベル領域に前記第4の洗浄面が接触する第4の接触状態と前記基板回転保持部により回転される基板の前記第2のベベル領域から前記第4の洗浄面が離間する第4の離間状態とに前記第2の洗浄ブラシを移行させるように構成された第2の駆動部とをさらに備え、
前記制御部は、予め定められた第3の条件が満たされた場合に、前記第3の接触状態における前記第1のベベル領域に対する前記第3の洗浄面の接触位置が変更され、予め定められた第4の条件が満たされた場合に、前記第4の接触状態における前記第2のベベル領域に対する前記第4の洗浄面の接触位置が変更されるように前記第2の駆動部を制御してもよい。
【0061】
第9項に記載の基板洗浄装置によれば、第1の洗浄ブラシの第1の洗浄面により基板の第1のベベル領域が洗浄され、第1の洗浄ブラシの第2の洗浄面により基板の第2のベベル領域が洗浄される。また、第2の洗浄ブラシの第3の洗浄面により基板の第1のベベル領域が洗浄され、第2の洗浄ブラシの第4の洗浄面により基板の第2のベベル領域が洗浄される。
【0062】
第2の洗浄ブラシについては、予め定められた第3の条件が満たされた場合、第3の接触状態における第1のベベル領域に対する第3の洗浄面の接触位置が変更される。また、予め定められた第4の条件が満たされた場合、第4の接触状態における第1のベベル領域に対する第4の洗浄面の接触位置が変更される。この場合、第3の洗浄面および第4の洗浄面の汚染および摩耗していない領域で第1のベベル領域および第2のベベル領域の洗浄を行うことができる。それにより、第2の洗浄ブラシの寿命を向上させることができるので、第2の洗浄ブラシの交換頻度を低減することができる。
【0063】
また、第1および第2の洗浄ブラシのうち一方の交換時期の到来後に第1および第2の洗浄ブラシのうち他方を用いることができる。その結果、第1および第2の洗浄ブラシの交換によるダウンタイムの十分な削減が可能になる。
【0064】
(第10項)第9項に記載の基板洗浄装置において、前記制御部は、前記第1の洗浄ブラシの前記第1の洗浄面が前記第1のベベル領域に接触しているときに前記第2の洗浄ブラシの前記第4の洗浄面が前記第2のベベル領域に接触し、前記第1の洗浄ブラシの前記第2の洗浄面が前記第2のベベル領域に接触しているときに前記第2の洗浄ブラシの前記第3の洗浄面が前記第2のベベル領域に接触するように前記第1および第2の駆動部を制御してもよい。
【0065】
第10項に記載の基板洗浄装置によれば、第1のベベル領域が第1および第2の洗浄ブラシの一方により洗浄されるとともに、第2のベベル領域が第1および第2の洗浄ブラシの他方により洗浄される。それにより、基板の第1のベベル領域および第2のベベル領域が短時間で洗浄される。この場合にも、第1および第2の洗浄ブラシの交換によるダウンタイムの十分な削減が可能になる。その結果、複数の基板の洗浄効率が向上する。
【0066】
(第11項)第9項または第10項に記載の基板洗浄装置において、
前記制御部は、前記第1の条件が満たされた場合に、前記第1のベベル領域に対する前記第1の洗浄面の変更後の接触位置が前記第1のベベル領域に対する前記第1の洗浄面の変更前の接触位置よりも高い位置となり、前記第2の条件が満たされた場合に、前記第2のベベル領域に対する前記第2の洗浄面の変更後の接触位置が前記第2のベベル領域に対する前記第2の洗浄面の変更前の接触位置よりも高い位置となり、前記第3の条件が満たされた場合に、前記第1のベベル領域に対する前記第3の洗浄面の変更後の接触位置が前記第1のベベル領域に対する前記第3の洗浄面の変更前の接触位置よりも高い位置となり、前記第4の条件が満たされた場合に、前記第2のベベル領域に対する前記第4の洗浄面の変更後の接触位置が前記第2のベベル領域に対する前記第4の洗浄面の変更前の接触位置よりも高い位置となるように、前記第1および第2の駆動部を制御してもよい。
【0067】
第11項に記載の基板洗浄装置においては、第1~第4の洗浄面の変更前の接触位置に汚染物または摩耗により生じたパーティクルが付着しても、汚染物またはパーティクルが変更後の第1~第4の洗浄面の変更後の接触位置に落下することが防止される。それにより、第1~第4の洗浄面の接触位置の変更後に、変更後の接触位置を清浄に保つことができる。したがって、基板の第1および第2のベベル領域を清浄に洗浄することができる。
【0068】
(第12項)他の態様に係る基板洗浄方法は、主面を有するとともに主面の周縁部にベベル領域を有する基板を洗浄する基板洗浄方法であって、
複数の基板のうち一の基板を基板回転保持部により保持および回転させつつ前記一の基板の前記ベベル領域に洗浄ブラシの傾斜した洗浄面を駆動部により接触させることを前記複数の基板について順次行うステップと、
予め定められた条件が満たされた場合に、前記ベベル領域に対する前記洗浄面の接触位置が変更されるように前記駆動部を制御するステップとを含む。
【0069】
第12項に記載の基板洗浄方法によれば、予め定められた条件が満たされた場合、接触状態におけるベベル領域に対する洗浄面の接触位置が変更される。この場合、洗浄面の汚染および摩耗していない領域でベベル領域の洗浄を行うことができる。それにより、洗浄ブラシの寿命を向上させることができるので、洗浄ブラシの交換頻度を低減することができる。その結果、洗浄ブラシの交換によるダウンタイムの削減が可能になる。
【符号の説明】
【0070】
10…スピンチャック,11…保持部,12…チャック回転駆動部,13,14…下面洗浄ノズル,15…上面洗浄ノズル,20,20a…洗浄ブラシ,21…第1の洗浄面,22…第2の洗浄面,21a…第3の洗浄面,22a…第4の洗浄面,23…接続面,30,30a…アーム,40,40a…アーム駆動部,50,50a…ブラシ回転駆動部,60…制御部,70…表示部,100,100a…基板洗浄装置,A…第1のベベル領域,B…第2のベベル領域,R…ベベル部,W…基板,WD…下面,WU…上面,la1~la3,lan…接触位置,lb1~lb3,lbn…接触位置
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8