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  • 特開-ポリエステルフィルム 図1
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024167032
(43)【公開日】2024-11-29
(54)【発明の名称】ポリエステルフィルム
(51)【国際特許分類】
   B32B 27/36 20060101AFI20241122BHJP
   C08L 67/03 20060101ALI20241122BHJP
   C08L 83/04 20060101ALI20241122BHJP
   C08K 5/098 20060101ALI20241122BHJP
   C08K 3/36 20060101ALI20241122BHJP
【FI】
B32B27/36
C08L67/03 ZAB
C08L83/04
C08K5/098
C08K3/36
【審査請求】有
【請求項の数】10
【出願形態】OL
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2023159297
(22)【出願日】2023-09-23
(31)【優先権主張番号】112118634
(32)【優先日】2023-05-19
(33)【優先権主張国・地域又は機関】TW
(71)【出願人】
【識別番号】501296612
【氏名又は名称】南亞塑膠工業股▲分▼有限公司
【氏名又は名称原語表記】NAN YA PLASTICS CORPORATION
(74)【代理人】
【識別番号】100204490
【弁理士】
【氏名又は名称】三上 葉子
(72)【発明者】
【氏名】廖 ▲徳▼超
(72)【発明者】
【氏名】楊 文政
(72)【発明者】
【氏名】曹 俊哲
(72)【発明者】
【氏名】蕭 嘉彦
(72)【発明者】
【氏名】劉 岳欣
【テーマコード(参考)】
4F100
4J002
【Fターム(参考)】
4F100AA07
4F100AA08
4F100AA20
4F100AK12
4F100AK25
4F100AK42A
4F100AK42B
4F100AK42C
4F100BA03
4F100BA07
4F100BA10A
4F100BA10B
4F100BA16
4F100CA19
4F100CB05
4F100JA04
4F100JA06
4F100JA11
4F100JK16C
4F100JL13
4F100JL14C
4F100JL16A
4F100JL16B
4F100JN01
4J002CF031
4J002CP032
4J002DJ017
4J002EG016
4J002FD106
4J002FD162
4J002FD177
4J002GF00
4J002GG00
4J002HA09
(57)【要約】      (修正有)
【課題】加工性及び品質を維持することが可能なポリエステルフィルムを提供する。
【解決手段】ポリエステルフィルムは、第1層と第2層と第3層とを含む。第1層は第1再生材を含む。第2層は第2再生材を含む。第1再生材及び第2再生材のいずれもPETボトル再生材である。第3層は第1層と第2層との間に設けられる。第3層は第3再生材を含み、第3再生材は離型フィルム再生材を含む。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1再生材を含む第1層と、
第2再生材を含む第2層と、
前記第1層と前記第2層との間に設けられた第3層と
を含み、
前記第1再生材及び前記第2再生材のいずれもPETボトル再生材であり、
前記第3層は第3再生材を含み、前記第3再生材は離型フィルム再生材を含む、
ポリエステルフィルム。
【請求項2】
前記ポリエステルフィルムはシリコンを有する、
請求項1に記載のポリエステルフィルム。
【請求項3】
前記シリコンの含有量は前記ポリエステルフィルムの含有量範囲における0.7重量%以下である、
請求項2に記載のポリエステルフィルム。
【請求項4】
前記第1再生材と前記第2再生材と前記第3再生材の総重量は、前記ポリエステルフィルムの80重量%以上を占める、
請求項1に記載のポリエステルフィルム。
【請求項5】
前記離型フィルム再生材の重量は、前記第3層の重量範囲における0%よりも多く50重量%以下を占める、
請求項1に記載のポリエステルフィルム。
【請求項6】
前記第3再生材はPETボトル再生材を更に含む、
請求項1に記載のポリエステルフィルム。
【請求項7】
前記ポリエステルフィルムの濁度は10%未満である、
請求項1に記載のポリエステルフィルム。
【請求項8】
静電粘着剤、スリップ剤、又はそれらの組合せを更に含む、
請求項1に記載のポリエステルフィルム。
【請求項9】
前記静電粘着剤は、アルカリ金属イオンの金属塩、アルカリ土類金属イオンの金属塩、又はそれらの組合せを含む、
請求項8に記載のポリエステルフィルム。
【請求項10】
前記スリップ剤は、二酸化ケイ素、炭酸カルシウム、硫酸バリウム、ポリスチレン、シリカゲル、アクリル、又はそれらの組合せを含む、
請求項8に記載のポリエステルフィルム。
【請求項11】
ポリエステル材料を含み、固相重合又は液相増粘により形成される前記ポリエステル材料の固有粘度は0.6dL/g~0.76dL/gの間である、
請求項1に記載のポリエステルフィルム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明はポリエステルフィルムに関するものである。
【背景技術】
【0002】
環境保護意識の高まりを受け、プラスチック製品は徐々に、再生材を用いて再製造されている。例えば、ポリエステルフィルムは再生ポリエステルフィルム(例えば、PETボトル再生材、生地再生材、離型フィルム再生材)から製造されることができる。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
しかし、離型フィルム再生材の耐熱性及び/又は透明度が劣るといった問題のため、ポリエステルフィルムが離型フィルム再生材を含む場合、その加工性及び品質を維持することがより難しい。
【課題を解決するための手段】
【0004】
本発明は、加工性及び品質を維持することが可能なポリエステルフィルムを提供する。
【0005】
本発明のポリエステルフィルムは、第1層と第2層と第3層とを含む。第1層は第1再生材を含む。第2層は第2再生材を含む。第1再生材と第2再生材のいずれもPETボトル再生材である。第3層は、第1層と第2層との間に設けられる。第3層は第3再生材を含み、第3再生材は離型フィルム再生材を含む。
【0006】
本発明の1つの実施形態において、ポリエステルフィルムはシリコンを有する。
【0007】
本発明の1つの実施形態において、シリコンの含有量はポリエステルフィルムの含有量範囲における0.7重量%以下である。
【0008】
本発明の1つの実施形態において、第1再生材と第2再生材と第3再生材の総重量はポリエステルフィルムの80重量%以上を占める。
【0009】
本発明の1つの実施形態において、離型フィルム再生材の重量は、第3層の重量範囲において0%よりも多く50重量%未満を占める。
【0010】
本発明の1つの実施形態において、第3再生材はPETボトル再生材を更に含む。
【0011】
本発明の1つの実施形態において、ポリエステルフィルムの濁度(HAZE)は10%未満である。
【0012】
本発明の1つの実施形態において、ポリエステルフィルムは、静電粘着剤、スリップ剤、又はそれらの組合せを更に含む。
【0013】
本発明の1つの実施形態において、静電粘着剤は、アルカリ金属イオンの金属塩、アルカリ土類金属イオンの金属塩、又はそれらの組合せを含む。
【0014】
本発明の1つの実施形態において、スリップ剤は、二酸化ケイ素、炭酸カルシウム、硫酸バリウム、ポリスチレン、シリカゲル、アクリル、又はそれらの組合せを含む。
【発明の効果】
【0015】
上記に基づき、離型フィルム再生材を含む第3層がPETボトル再生材により形成された第1層と第2層との間に設けられる構造設計を介して、離型フィルム再生材がポリエステルフィルム全体の性能及び品質に及ぼす悪影響を軽減することができる。このようにして、加工性及び品質を維持しつつ再生材の供給源を増加させるために離型フィルム再生材をポリエステルフィルムに導入することができる。
【0016】
上述した本発明の特徴及び利点をより理解しやすくするため、以下に図面と併せて実施形態を詳細に説明する。
【図面の簡単な説明】
【0017】
図1】本発明の1つの実施形態によるポリエステルフィルムの概略図である。
【発明を実施するための形態】
【0018】
以下の詳細な説明において、限定ではなく例示の目的のため、特定の詳細を開示する例示的な実施形態を本発明の様々な原理の完全な理解を提供するために記載する。しかし、本発明の恩恵を受ける当業者にとって、本発明が本明細書に開示される特定の詳細から逸脱する他の実施形態において実施され得ることは明らかであろう。更に、本発明の様々な原理の説明を曖昧にしないために、周知の装置、方法、材料、及び他の特定の詳細の説明は省略する場合がある。
【0019】
ここで、「ある値~もう1つの値」により示される範囲は、明細書中の範囲内の全ての値を列挙することを回避する一般的な表現である。このため、特定の数値範囲の記録は、任意の数値及びより小さな数値範囲が明細書に明示的に記載されているかのように、該数値範囲内のそのような任意の数値及び該数値範囲内の任意の数値によって境界付けられる任意のより小さな数値範囲をカバーする。
【0020】
特記しない限り、数値範囲を定義するために本明細書で使用される「の間」という用語は、記載された端点に等しいかその間の範囲をカバーすることを意図している。例えば、サイズ範囲が第1の値と第2の値との間にある場合、サイズ範囲が第1の値、第2の値、及び第1の値と第2の値の間の任意の値をカバーし得ることを意味する。
【0021】
明細書において用いられる非限定的用語(例えば、可能、可能性がある、例えば、又は他の類似の用語)は、必須でないか選択的な実施、包含、添加、又は存在を指す。
【0022】
ここで用いられる全ての用語(技術用語及び科学用語を含む)は、別途定義しない限り、本発明が属する技術分野における一般知識での意味又は一般的に理解される意味と同じ意味を有する。用語(一般的に使用される辞書で定義されている用語等)は、関連する技術的文脈における意味と一致する意味を持つとして説明されるべきであり、ここで明確に定義される場合を除き、理想化や過度に形式的な意味で解釈されるべきではないことを理解されたい。
【0023】
図1は、本発明の1つの実施形態によるポリエステルフィルムの概略図である。図1を参照し、図1を参照し、本実施形態において、ポリエステルフィルム100は、第1層110と、第2層120と、第3層130とを含み、第3層130は第1層110と第2層120との間に設けられる。更に、第1層110は第1再生材を含み、第2層は第2再生材を含み、第1再生材と第2再生材のいずれもPETボトル再生材である。更に、第3層130は第3再生材を含み、第3再生材は離型フィルム再生材である。従って、離型フィルム再生材を含む第3層130がPETボトル再生材により形成された第1層110と第2層120との間に設けられる構造設計を介して、離型フィルム再生材がポリエステルフィルム100全体の性能及び品質に及ぼす悪影響を軽減することができる。このようにして、加工性及び品質を維持しつつ再生材の供給源を増加させるために離型フィルム再生材をポリエステルフィルム100に導入することができる。加えて、離型フィルム再生材はポリエステル材料を含み、固相重合又は液相増粘により形成されるポリエステル材料の固有粘度(ASTM D-2857標準試験により得られた)は0.6dL/g~0.76dL/gの間であり、ポリエステル材料の粘度は固相重合又は液相増粘により増加する。
【0024】
ここで、ポリエステルフィルム100は二軸延伸ポリエステルフィルムであってよく、ポリエステルフィルム100の濁度は10%未満に制御されてよく、毎分20℃の冷却速度で溶融状態から冷却される。再結晶温度(Tc)は175℃~205℃に制御されてよく、延伸前スラブDSC分析は15%未満の結晶化速度に制御されてよく、ここで、押出機が溶融させて押し出し、延伸前スラブを形成するため成形ホイールが冷却され、二軸延伸ポリエステルフィルムを形成するためスラブが二方向に延伸されてよい。
【0025】
より具体的には、通常、スラリー及びシロキサン系離型剤が離型フィルム再生材に塗布されると、耐熱性や透明度が劣るといった問題が発生する。このため、ポリエステルフィルムを再度製造するために離型フィルム再生材が用いられる場合、シロキサンに容易に亀裂が入って熱延伸段階の間に熱延伸オーブンに付着し、時間経過とともに小さな分子に分解されてフィルムに吸着されて、ポリエステルフィルムの加工性及び品質が低下し、加工設備の損傷を引き起こしやすくなり、また低い透明度はポリエステルフィルムの濁度を大幅に増加させる。このため、離型フィルム再生材を含む第3層130をPETボトル再生材により形成された第1層110と第2層120との間に設ける構造設計を介して、シロキサン系離型剤が分解されて放出される可能性を低減させると同時に濁度に対するその悪影響を低減するため、離型フィルム再生材を含む第3層130を外部環境から隔離することができる。このため、ポリエステルフィルム100の性能及び品質を効果的に維持するのに加え、加工設備への損傷の可能性も低減させることができ、これにより製造コストを低減させるが、本発明はこれに限定されない。
【0026】
いくつかの実施形態において、PETボトル再生材の成分にシリコンを含まず、離型フィルム再生材の成分がシリコンを含むことから、再生源がPETボトル再生材のみであるポリエステルフィルムと比較し、離型フィルム再生材を含むポリエステルフィルム100はシリコンを有してよく(0%より多い)、例えばシリコン含有量はポリエステルフィルムの含有量範囲の0.7重量%以下を占めるが、本発明はこれに限定されない。
【0027】
いくつかの実施形態において、第1再生材及び第2再生材はPETボトル再生材のみで形成されてよいが、本発明はこれに限定されない。
【0028】
いくつかの実施形態において、本実施形態は再生材の供給源を増加させるために離型フィルム再生材を導入することから、再生材の使用率が大幅に増加し、ポリエステルフィルム100の競争力を向上させることができる。例えば、第1再生材と第2再生材と第3再生材の総重量は、ポリエステルフィルム100の80重量%以上(例えば80重量%~100重量%)を占める。ただし、本発明はこれに限定されず、再生材の割合は実際の設計要件に応じて決定されてよい。
【0029】
いくつかの実施形態において、離型フィルム再生材は第3層130の重量範囲における0%より多く50重量%以下を占めるが、本発明はこれに限定されない。
【0030】
いくつかの実施形態において、第3再生材は任意的にPETボトル再生材を更に含んでよく、PETボトル再生材が第3層130の重量範囲における50重量%以上を占めるが、本発明はこれに限定されない。
【0031】
いくつかの実施形態において、第1層110、第2層120、及び/又は第3層130におけるPETボトル再生材は、ポリエステルフィルム100におけるPETボトル再生材の使用率を更に増加させるため、物理的に再生されたポリエステル(物理的PETボトル再生材)と、化学的に再生されたポリエステル(化学的PETボトル再生材)とを含んでよいが、本発明はこれに限定されない。
【0032】
いくつかの実施形態において、第3層130中の離型フィルム再生材は物理的に再生された離型フィルム再生材であってよいが、本発明はこれに限定されない。
【0033】
いくつかの実施形態において、ポリエステルフィルム100は、静電粘着剤、スリップ剤、又はそれらの組合せを更に含み、静電粘着剤はアルカリ金属イオン(例えば、リチウム塩、ナトリウム塩、カリウム塩、又はそれらの組合せ)を含む。リチウム塩は、例えば酢酸リチウム二水和物(CHCOOLi・2HO)を含み、ナトリウム塩は、例えば酢酸ナトリウム三水和物(CHCOONa・3HO)を含む、及び/又は、カリウム塩は、例えば酢酸カリウム(CHCOOK)、アルカリ土類金属イオン、又はそれらの組合せの金属塩(例えばマグネシウム塩であり、マグネシウム塩は、例えば酢酸マグネシウム四水和物((CHCOO)Mg・4HO))を含み、スリップ剤は二酸化ケイ素、炭酸カルシウム、硫酸バリウム、ポリスチレン、シリカゲル、アクリル、又はそれらの組合せを含む。ここで、スリップ剤は粒状であってよい。
【0034】
いくつかの実施形態において、ポリエステルフィルム100は、それぞれポリエステル混合物により形成された第1再生材と第2再生材と第3再生材により形成されてよい。即ち、第1再生材はポリエステル混合物であり、第2再生材はポリエステル混合物であり、第3再生材はポリエステル混合物であり、ポリエステル混合物は、ポリエステル樹脂と、静電粘着剤と、スリップ剤とを含む。具体的には、各再生材(例えば、第1再生材、第2再生材、第3再生材)中、ポリエステル混合物を基準として静電粘着剤の金属イオンの重量濃度は40ppm~50ppmの間であり、ポリエステル混合物を基準としてスリップ剤の重量濃度は500ppm~3000ppmの間であるが、本発明はこれに限定されない。
【0035】
いくつかの実施形態において、静電粘着剤、スリップ剤、又はそれらの組合せは、第1層110、第2層120、及び/又は第3層130に添加されてよいが、本発明はこれに限定されない。
【0036】
いくつかの実施形態において、ポリエステルフィルム100はポリエチレンテレフタレート(PET)フィルムであってよい。このため、PETボトル再生材及び離型フィルム再生材もポリエチレンテレフタレート材料であってよく、再生材の供給源は産業廃棄PETフィルム材料であってよいが、本発明はこれに限定されない。
【0037】
いくつかの実施形態において、第1層110、第2層120、及び/又は第3層130は、加工の間に切り出された端切れといったポリエステルフィルムの余剰部分であってよいが、本発明はこれに限定されない。いくつかの実施形態において、第3層130は、加工の間に切り出された端切れといったポリエステルフィルム又は離型フィルムの余剰部分を更に含んでよいが、本発明はこれに限定されない。
【0038】
いくつかの実施形態において、第1層110、第2層120、及び/又は第3層130は、バージンポリエステルペレットといった非再生ポリエステル材料を更に含んでよいが、本発明はこれに限定されない。
【0039】
いくつかの実施形態において、ポリエステルフィルム100の応用分野には、磁気テープ、絶縁テープ、写真フィルム、製図フィルム、梱包フィルム、電気絶縁フィルム、エンジニアリングペーパーを含むが、本発明はこれに限定されない。応用分野によって、他の適切な添加剤がポリエステルフィルムの表面に更にスプレーされてよいが、本発明はこれに限定されないことに注意されたい。
【0040】
いくつかの実施形態において、ポリエステルフィルム100の厚さは、5μm(マイクロメートル)~350μmの範囲であるが、本発明はこれに限定されない。
【0041】
いくつかの実施形態において、第1層110の厚さはポリエステルフィルム100の厚さの1.5%~15%の範囲であり、第2層120の厚さはポリエステルフィルム100の厚さの1.5%~15%の範囲であり、第3層130の厚さはポリエステルフィルム100の厚さの70%~97%であるが、本発明はこれに限定されない。
【0042】
以下に、本発明の効果を表すため実施例と比較例を提供するが、本発明の特許範囲は実施例の範囲に限定されない。
【0043】
各実施例及び比較例において生成したポリエステルフィルムを下記方法で評価した。
【0044】
色:CIE1976色空間のb*値を有限会社東京電色のType ND300A色差計(ハンター法)を用いて分析した。
【0045】
濁度:ポリエステルフィルムの濁度をヘーズメータ(有限会社日本電色、モデルNDH-7000)を用いて試験し、その方法はJIS K7705規格に符合したものである。
【0046】
再結晶温度(Tc):ISO 11357-3:2013(溶融及び結晶化の温度及びエンタルピーの決定)規格に基づき、示差走査熱量測定(DSC)によって分析を行った。
【0047】
結晶化率:ISO 11357-3:2013(溶融及び結晶化の温度及びエンタルピーの決定)規格に基づき、示差走査熱量測定(DSC)によって分析を行った。
【0048】
<比較例1、実施例1~3>
【0049】
ポリエステルフィルムを表1に示すような第1層、第2層、第3層を用いて作製し、対応する製造方法は次のとおりであった。
【0050】
物理的PETボトル再生材製造方法:再生ポリエステルPETボトル材料を溶融状態に溶かした。次いで、固形不純物を除去するため濾過スクリーンを介して再生PETボトルポリエステル材料を溶融状態において濾過した。次に、物理的PETボトル再生材を形成するため、濾過した再生PETボトルポリエステル材料を押出機(例えば、市販の単一スクリュー押出機(SSE)、ツインスクリュー押出機(TSE)、又は他の類似のスクリュー押出機)によって押し出して粒状にした。製造プロセスの間、対応するフィーダーを押出機に取り付けることによって、添加剤(例えば、静電粘着剤、スリップ剤)を添加して混合することができる。静電粘着剤は、1000ppmの酢酸マグネシウム四水和物、200ppmの酢酸リチウム二水和物、200ppmの酢酸ナトリウム三水和物、及び200ppmの酢酸カリウムを含んだ。スリップ剤は、5000ppmの約2.4マイクロメートル(μm)の平均粒径を有する二酸化ケイ素微粒子であった。
【0051】
化学的PETボトル再生材製造方法:比較的短い分子鎖を持つポリエステル成分又はエステルモノマー(例えば、ビス(2-ヒドロキシエチル)テレフタレート(BHET))を形成するため、解重合槽において再生PETボトルポリエステル材料に化学的解重合を行った。次に、解重合反応後の生成物を濾過してエステル化槽内でエステル化反応を行った。エステル化プロセスの間、エステル化槽に添加剤(例えば、静電粘着剤、スリップ剤、重合触媒)を添加することができる。次に、エステル化反応後の生成物を重合槽にて重合反応させ、槽内の材料が対応する固有粘度(IV)になるまで重合した。一般的なポリマーペレットの一般的な造粒方法を介して、PETボトル再生材を形成するため槽内の材料を押し出してペレット化してポリエステルペレットを形成した。静電粘着剤は、500ppmの酢酸マグネシウム四水和物、100ppmの酢酸リチウム二水和物、100ppmの酢酸ナトリウム三水和物、100ppmの酢酸カリウムを含んだ。スリップ剤は、5000ppmの約2.4マイクロメートル(μm)の平均粒径を有する二酸化ケイ素微粒子であった。重合触媒は350ppmの酢酸アンチモンであった。
【0052】
物理的離型フィルム再生材製造方法:表面のスラリーを除去して洗浄した再生離型フィルムを粉砕して溶融状態に溶かした。次いで、固体不純物を除去するため濾過スクリーンを介して再生離型フィルムポリエステル材料を溶融状態において濾過した。次に、物理的離型フィルム再生材を形成するため、濾過した再生離型フィルムポリエステル材料を押出機(例えば、単一スクリュー押出機、ツインスクリュー押出機、又は他の類似のスクリュー押出機)によって押し出して粒状にした。
【0053】
ポリエステルフィルム製造方法:ポリエステルペレット材料(物理的PETボトル再生材、化学的PETボトル再生材、物理的離型フィルム再生材、バージンポリエステルペレット)を設計に基づく適切な割合に混合して乾燥させた。ポリエステルフィルムの三層構造のために必要なポリエステルペレット材料を対応する3つの押出機内に順に配置し、共押出のため加熱して溶融させた。共押出プロセスにおいて、スタッキングに基づく3層溶融ポリエステル材料を押出ダイ(T-Die)から押し出して成形冷却ホイール上に落下させた。冷却及び成形後のシートを延伸前スラブと呼ぶ。次いで、二軸延伸ポリエステルフィルムを形成するため、延伸前スラブを二軸延伸させた。ここでは、先ず縦延伸スラブを形成するため延伸前スラブを縦延伸のための縦延伸機内へ導入し、次いで二軸延伸ポリエステルフィルムを形成するため、縦延伸スラブを横延伸のための横延伸機内へ導入した。
【0054】
製造されたポリエステルフィルムの関係する特長を試験した。その結果を表1に示す。表1の実施例1~3と比較例1の結果を比較した後、次の結論を得ることができる:比較例1と比較し、実施例1~3は、性能及び品質を一定水準に維持しつつ再生材の供給源を増加させるため、離型フィルム再生材をポリエステルフィルムに導入することができる。

【0055】
【表1】
【0056】
上記に基づき、本発明において、離型フィルム再生材を含む第3層をPETボトル再生材により形成された第1層と第2層との間に設ける構造設計を介して、離型フィルム再生材がポリエステルフィルム全体の性能及び品質に及ぼす悪影響を軽減することができる。このようにして、加工性及び品質を維持しつつ再生材の供給源を増加させるために離型フィルム再生材をポリエステルフィルムに導入することができる。
【0057】
本発明を上記の実施形態を参照して説明したが、本発明の精神から逸脱することなく、説明した実施形態に改変を加えることができることは当業者にとって明らかであろう。従って、本発明の範囲は、上記の詳細な説明によってではなく、添付の特許請求の範囲によって定義される。
【産業上の利用可能性】
【0058】
本発明のポリエステルフィルムは、任意の形態のポリエステルフィルムに適用することができる。
【符号の説明】
【0059】
100:ポリエステルフィルム
110:第1層
120:第2層
130:第3層
図1
【手続補正書】
【提出日】2024-09-20
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1再生材を含む第1層と、
第2再生材を含む第2層と、
前記第1層と前記第2層との間に設けられた第3層と
を含み、
前記第1再生材及び前記第2再生材のいずれもPETボトル再生材であり、
前記第3層は第3再生材を含み、前記第3再生材は離型フィルム再生材を含み、
前記第3再生材はPETボトル再生材を更に含む
ポリエステルフィルム。
【請求項2】
前記ポリエステルフィルムはシリコンを有する、
請求項1に記載のポリエステルフィルム。
【請求項3】
前記シリコンの含有量は前記ポリエステルフィルムの含有量範囲における0.7重量%以下である、
請求項2に記載のポリエステルフィルム。
【請求項4】
前記第1再生材と前記第2再生材と前記第3再生材の総重量は、前記ポリエステルフィルムの80重量%以上を占める、
請求項1に記載のポリエステルフィルム。
【請求項5】
前記離型フィルム再生材の重量は、前記第3層の重量範囲における0%よりも多く50重量%以下を占める、
請求項1に記載のポリエステルフィルム。
【請求項6】
前記ポリエステルフィルムの濁度は10%未満である、
請求項1に記載のポリエステルフィルム。
【請求項7】
静電粘着剤、スリップ剤、又はそれらの組合せを更に含む、
請求項1に記載のポリエステルフィルム。
【請求項8】
前記静電粘着剤は、アルカリ金属イオンの金属塩、アルカリ土類金属イオンの金属塩、又はそれらの組合せを含む、
請求項に記載のポリエステルフィルム。
【請求項9】
前記スリップ剤は、二酸化ケイ素、炭酸カルシウム、硫酸バリウム、ポリスチレン、シリカゲル、アクリル、又はそれらの組合せを含む、
請求項に記載のポリエステルフィルム。
【請求項10】
ポリエステル材料を含み、固相重合又は液相増粘により形成される前記ポリエステル材料の固有粘度は0.6dL/g~0.76dL/gの間である、
請求項1に記載のポリエステルフィルム。
【外国語明細書】