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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024167037
(43)【公開日】2024-11-29
(54)【発明の名称】皮膚外用剤
(51)【国際特許分類】
   A61K 8/49 20060101AFI20241122BHJP
   A61K 8/36 20060101ALI20241122BHJP
   A61K 8/73 20060101ALI20241122BHJP
   A61Q 19/00 20060101ALI20241122BHJP
【FI】
A61K8/49
A61K8/36
A61K8/73
A61Q19/00
【審査請求】未請求
【請求項の数】4
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023210782
(22)【出願日】2023-12-14
(31)【優先権主張番号】P 2023083495
(32)【優先日】2023-05-19
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(71)【出願人】
【識別番号】398028503
【氏名又は名称】株式会社東洋新薬
(72)【発明者】
【氏名】吉田 健志
(72)【発明者】
【氏名】森山 昌明
(72)【発明者】
【氏名】小林 伸次
(72)【発明者】
【氏名】桑畑 明穂
【テーマコード(参考)】
4C083
【Fターム(参考)】
4C083AA122
4C083AB032
4C083AC012
4C083AC022
4C083AC072
4C083AC102
4C083AC122
4C083AC172
4C083AC302
4C083AC352
4C083AC422
4C083AC442
4C083AC482
4C083AC712
4C083AC851
4C083AC852
4C083AD092
4C083AD152
4C083AD172
4C083AD311
4C083AD312
4C083AD531
4C083AD532
4C083CC02
4C083DD33
4C083DD41
4C083EE01
4C083EE06
4C083EE07
(57)【要約】      (修正有)
【課題】ナイアシンアミドを配合しながらも、使用感に優れた皮膚外用剤を提供すること。
【解決手段】(A)ナイアシンアミド5質量%以上、(B)グリチルリチン酸ジカリウム、(C)ヘパリン類似物質を含有することを特徴とする皮膚外用剤である。
【選択図】なし
【特許請求の範囲】
【請求項1】
(A)ナイアシンアミド 5質量%以上、(B)グリチルリチン酸ジカリウム、及び、(C)ヘパリン類似物質を含有することを特徴とする皮膚外用剤。
【請求項2】
(B)の含有量が0.05質量%以上であることを特徴とする請求項1に記載の皮膚外用剤。
【請求項3】
粘度が3,000mPa・s以上であることを特徴とする請求項1に記載の皮膚外用剤。
【請求項4】
水中油型であることを特徴とする請求項1に記載の皮膚外用剤。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ナイアシンアミド、グリチルリチン酸ジカリウム、及びヘパリン類似物質を含有する皮膚外用剤に関する。
【背景技術】
【0002】
ナイアシンアミドは、美白、抗シワ、アンチエイジングとしての効果を有することが知られており、これらの効果を享受する目的で、ナイアシンアミドを配合した様々な皮膚外用剤が提案されている(特許文献1)。これらの効果を発揮するためには、ナイアシンアミドを多量に配合する必要があるが、ナイアシンアミドはべたつきが発生しやすいなど、使用感に課題がある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2021-063061号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
そこで、本発明者らは、ナイアシンアミドを含有しながらも、使用感に優れた皮膚外用剤の提供を課題として、種々の検討を行った。
【課題を解決するための手段】
【0005】
その結果、本発明者らは、ナイアシンアミドと共にグリチルリチン酸ジカリウム及びヘパリン類似物質を含有する皮膚外用剤とすることで、使用感に優れた皮膚外用剤の開発に成功し、本発明を完成するに至った。
【0006】
すなわち、本発明は、以下のとおりのものである。
<1>(A)ナイアシンアミド 5質量%以上、(B)グリチルリチン酸ジカリウム、及び、(C)ヘパリン類似物質を含有することを特徴とする皮膚外用剤。
<2>(B)の含有量が0.05質量%以上であることを特徴とする<1>に記載の皮膚外用剤。
<3>(C)の含有量が0.05質量%以上であることを特徴とする<1>に記載の皮膚外用剤。
<4>(A)ナイアシンアミド 5質量%以上、(B)グリチルリチン酸ジカリウム 0.05質量%以上、及び、(C)ヘパリン類似物質 0.05質量%以上を含有することを特徴とする皮膚外用剤。
<5>さらに、油剤、増粘剤、アルコール類から選ばれる少なくとも1種を含有することを特徴とする<1>~<4>のいずれかに記載の皮膚外用剤。
<6>粘度が3,000mPa・s以上であることを特徴とする<1>~<4>のいずれかに記載の皮膚外用剤。
<7>水中油型であることを特徴とする<1>~<4>のいずれかに記載の皮膚外用剤。
【発明の効果】
【0007】
本発明によれば、ナイアシンアミドと共にヘパリン類似物質及びグリチルリチン酸ジカリウムを含有することにより、使用感に優れた皮膚外用剤を提供することができる。
【発明を実施するための形態】
【0008】
以下、本発明の皮膚外用剤について詳細を説明する。なお、本発明は以下に示す実施形態に限定されるものではなく、他の実施形態、追加、修正、削除など、当業者が想到することができる範囲内で変更することができ、いずれの態様においても本発明の作用・効果を奏する限り、本発明の範囲に含まれるものである。
【0009】
<(A)ナイアシンアミド>
本発明の皮膚外用剤は、ナイアシンアミドを含有することを特徴とする。ナイアシンアミドはナイアシン(ニコチン酸/ビタミンB)のアミドであり、ビタミンB群の1種で水溶性ビタミンである。本発明において、ナイアシンアミドは、通常化粧品や医薬部外品等で使用されているものを用いることができ、例えば、天然物から抽出したもの、それを精製したもの、公知の方法によって合成したものなど、市販品を使用することもできる。
【0010】
本発明の皮膚外用剤において、ナイアシンアミドは、その効果を発揮する観点から皮膚外用剤中、5質量%以上配合される。その上限は特に制限はないが30質量%以下が好ましく、より好ましくは20質量%以下であり、使用感に優れ、かつ、ナイアシンアミドの効果を享受した皮膚外用剤が得られる観点から、特に好ましくは10質量%以下である。本発明の皮膚外用剤におけるナイアシンアミドの含有量は、例えば高速液体クロマトグラフィーにより分析することができる。
【0011】
<(B)グリチルリチン酸ジカリウム>
本発明の皮膚外用剤は、グリチルリチン酸ジカリウムを含有することを特徴とする。グリチルリチン酸ジカリウムは、グリチルリチン酸とカリウムの塩。グリチルリチン酸二カリウム、グリチルリチン酸2K、グリチルリチン酸K2、グリチノンK2とも呼ばれ、カンゾウ(甘草)に含まれることが知られる抗炎症作用を有する成分である。本発明において、グリチルリチン酸ジカリウムは、通常化粧品や医薬部外品等で使用されているものを用いることができ、例えば、天然物から抽出したもの、それを精製したもの、公知の方法によって合成したものなど、市販品を使用することもできる。
【0012】
本発明の皮膚外用剤におけるグリチルリチン酸ジカリウムの含有量は特に制限はなく、例えば0.001質量%以上が好ましく、より好ましくは0.01質量%以上であり、使用感に優れた皮膚外用剤が得られる観点から、特に好ましくは0.05質量%以上である。また、10質量%以下が好ましく、より好ましくは5質量%以下であり、特に好ましくは1質量%以下である。本発明の皮膚外用剤におけるグリチルリチン酸ジカリウムの含有量は、例えば高速液体クロマトグラフィーにより分析することができる。
【0013】
<(C)ヘパリン類似物質>
本発明の皮膚外用剤は、ヘパリン類似物質を含有することを特徴とする。ヘパリン類似物質は、D-グルクロン酸とN-アセチル-D-ガラクトサミンからなる二糖を反復単位とする多糖体を多硫酸化させた、コンドロイチン多硫酸等の多硫酸化ムコ多糖であり、保湿作用、抗炎症作用、血行促進作用等を有することが知られている。本発明において、ヘパリン類似物質は、通常化粧品や医薬部外品等で使用されているものを用いることができ、例えば、天然物から抽出したもの、それを精製したもの、公知の方法によって合成したものなど、市販品を使用することもできる。
【0014】
本発明の皮膚外用剤におけるヘパリン類似物質の含有量は特に制限はなく、例えば0.001質量%以上が好ましく、より好ましくは0.01質量%以上であり、使用感に優れた皮膚外用剤が得られる観点から、特に好ましくは0.05質量%以上である。また、10質量%以下が好ましく、より好ましくは5質量%以下であり、特に好ましくは1質量%以下である。本発明の皮膚外用剤におけるヘパリン類似物質の含有量は、例えば高速液体クロマトグラフィーや、日本薬局方外医薬品成分規格2002ヘパリン類似物質の定量法(3)記載の有機硫酸基測定法により分析することができる。
【0015】
<その他成分>
本発明の皮膚外用剤には、上記成分以外に、必要に応じてその他の成分を配合することができる。その他の成分としては、油剤、増粘剤、ゲル化剤、アルコール類、保湿剤、分散剤、可塑剤、展着剤、防腐剤、香料、界面活性剤、皮膜形成剤、pH調整剤、消臭剤、キレート剤、酸化防止剤、抗菌剤、防菌防かび剤、抗炎症剤、美白剤等の有効成分、動物エキス、植物エキス、ナイアシンアミド以外のビタミン類などの美容成分や薬効成分等、通常皮膚外用剤に使用される成分の一種以上が挙げられる。
【0016】
その他成分の中でも、本発明の皮膚外用剤は、油剤を含有することが好ましい。本発明において使用できる油剤は、通常皮膚外用剤に使用されるものであれば特に限定されないが、25℃で液状の油剤が好ましく、不揮発性であることが特に好ましい。具体的には、例えば、流動パラフィン、スクワラン、スクワレン等の炭化水素油類;イソステアリン酸、オレイン酸、ポリヒドロキシステアリン酸等の脂肪酸類;オクチルドデカノール、テトラデシルデカノール等の高級アルコール類;パルミチン酸イソプロピル、ミリスチン酸イソプロピル、ステアリン酸イソプロピル、ステアリン酸イソブチル、ステアリン酸2-エチルヘキシル、イソステアリン酸イソプロピル、イソステアリン酸ブチル、イソステアリン酸デシル、イソステアリン酸ラウリル、イソデカン酸イソデシル、イソノナン酸イソデシル、イソノナン酸イソトリデシル、イソノナン酸イソノニル、リンゴ酸ジイソステアリル、ジオクタン酸ネオペンチルグリコ-ル、ジカプリン酸プロピレングリコ-ル、ジカプリル酸プロピレングリコ-ル、トリ2-エチルヘキサン酸グリセリル、モノイソステアリン酸ポリグリセリル、ジイソステアリン酸ポリグリセリル、トリイソステアリン酸ジグリセリル、テトライソステアリン酸ジグリセリル、セバシン酸ジエチル、2-エチルヘキサン酸セチル、パルミチン酸エチルヘキシル、ミリスチン酸オクチルドデシル、オレイン酸オレイル、オレイン酸エチル、N-ラウロイル-グルタミン酸ジ(フィトステリル/2-オクチルドデシル)、N-ラウロイル-グルタミン酸ジ(フィトステリル/ベヘニル/2-オクチルドデシル)、N-ラウロイル-グルタミン酸ジ(コレステリル/2-オクチルドデシル)、N-ラウロイル-サルコシン-イソプロピル等のエステル油類;ジメチルポリシロキサン、シクロペンタシロキサン、アルコキシ変性ポリシロキサン等のシリコーン油類;等が挙げられ、これらの中から1種又は2種以上を使用することができる。
【0017】
本発明の皮膚外用剤において油剤を配合する場合、その含有量は特に制限はなく、例えば1質量%以上が好ましく、より好ましくは3質量%以上であり、使用感に優れた皮膚外用剤が得られる観点から、特に好ましくは5質量%以上である。また、50質量%以下が好ましく、より好ましくは40質量%以下であり、特に好ましくは30質量%以下である。なお、油剤を2種以上配合する場合は、その合計量である。
【0018】
また、本発明の本発明の皮膚外用剤は、増粘剤を含有することが好ましい。本発明の皮膚外用剤で使用できる増粘剤としては、化粧品、外用医薬品、医薬部外品等で使用できる水溶性成分であれば特に限定されるものでなく、合成高分子、半合成高分子、天然高分子、粘度鉱物等が使用できる。
【0019】
合成高分子としては、カルボキシビニルポリマー、ポリビニルアルコール、アクリル酸・メタクリル酸アルキル共重合体、アクリレーツ/アクリル酸アルキルクロスポリマー、ポリアクリル酸、ポリアクリルアミド、ポリアルキルアクリルアミド/ポリアクリルアミドコポリマー、カルボキシメチルセルロース、カチオン化セルロースをはじめとする親水性合成高分子が挙げられる。
【0020】
半合成高分子は、セルロース誘導体としては例えば、カルボキシメチルセルロース又はその塩類、メチルセルロース、エチルセルロース、プロピルセルロース、ヒドロキシメチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、スルホン化セルロース誘導体などが挙げられる。その他の半合成高分子として、アルギン酸プロピレングリコールエステル、アルギン酸エチレングリコールエステル、デキストリン脂肪酸エステル、ゼラチン脂肪酸エステル、ゼラチン脂肪酸アミドなどが挙げられる。
【0021】
天然高分子としては、多糖類及びその誘導体、例えば、キサンタンガム、サクシノグリカン、カラギーナン、グアーガム、ローカストビーンガム、セルロース類、ガラクタン、アラビアガム、トラガントガム、タマリンドガム、寒天、アガロース、マンナン、カードラン、アルギン酸又はその塩類、アラビアゴム、ペクチン、クインシード、デンプン、アルゲコロイド、カゼイン、コラーゲン、ゼラチン、アルブミン、フィブロイン、エラスチン、ケラチン、セリシン等の水溶性タンパク質が挙げられる。
【0022】
粘土鉱物としては、ラポナイト、ベントナイト、スメクタイトカオリナイト、モンモリロナイト等が挙げられる。
【0023】
本発明の皮膚外用剤において増粘剤を配合する場合、その含有量は特に制限はなく、例えば0.01質量%以上が好ましく、より好ましくは0.05質量%以上であり、使用感に優れた皮膚外用剤が得られる観点から、特に好ましくは0.1質量%以上である。また、20質量%以下が好ましく、より好ましくは15質量%以下であり、特に好ましくは10質量%以下である。なお、増粘剤を2種以上配合する場合は、その合計量である。
【0024】
また、本発明の本発明の皮膚外用剤は、アルコール類を含有することが好ましい。本発明で使用できるアルコール類としては、エタノール、イソプロパノール等、炭素数5以下の低級アルコール;セタノール、セトステアリルアルコール、ステアリルアルコール、ベヘニルアルコール、オクチルドデカノール、イソステアリルアルコール、フィトステロール、及びコレステロール等、炭素数6~30の高級アルコール;プロピレングリコール(PG)、1,3-ブチレングリコール(BG)、ジプロピレングリコール、トリプロピレングリコール、1,2-ペンタンジオール(ペンチレングリコール)、1,5-ペンタンジオール、1,2-ヘキサンジオール、1,2-オクタンジール、グリセリン、ポリエチレングリコール等、2~3価の多価アルコール;ソルビトール、キシリトール等の糖アルコールが挙げられる。これらの中でも、本発明においては炭素数6~30の高級アルコール及び2~3価の多価アルコールから選ばれる1種以上を使用することが好ましく、2~3価の多価アルコールを使用することが特に好ましい。
【0025】
本発明の皮膚外用剤においてアルコール類を配合する場合、その含有量は特に制限はなく、例えば0.01質量%以上が好ましく、より好ましくは0.1質量%以上であり、使用感に優れた皮膚外用剤が得られる観点から、特に好ましくは1質量%以上である。また、50質量%以下が好ましく、より好ましくは40質量%以下であり、特に好ましくは35質量%以下である。なお、アルコール類を2種以上配合する場合は、その合計量である。
【0026】
<皮膚外用剤>
本発明の皮膚外用剤は、皮膚に塗布し、使用する組成物である。本発明の皮膚外用剤は粘度が高いものが好ましく、好ましくは500mPa・s以上であり、より好ましくは、1,000mPa・s以上であり、使用感に優れる観点から、特に好ましくは3,000mPa・s以上である。本発明の皮膚外用剤の粘度は、例えばB型粘度計(Brookfield回転粘度計、温度:25℃、回転数:5rpm)で測定することができる。
【0027】
また、本発明の皮膚外用剤はpHが3~9が好ましく、使用感に優れる観点から4~8.5がより好ましい。本発明の皮膚外用剤のpHは、例えばpH計を用いてガラス電極法にて測定することができる。
【0028】
本発明の皮膚外用剤は、医薬品、医薬部外品、化粧品に用いることができ、例えば化粧水、乳液、クリーム、美容液、ジェルなどのスキンケア化粧料に用いることができる。これらのなかでも、本発明の皮膚外用剤は乳液、クリーム、美容液、ジェルが好ましく、水中油型の乳液、クリーム、美容液、ジェルが特に好ましい。
【0029】
本発明の皮膚外用剤は、通常の方法に従って製造することができる。例えば、水中油型組成物を得る場合、水に(A)ナイアシンアミド、(B)グリチルリチン酸ジカリウム、(C)ヘパリン類似物質、及び任意に保湿剤、増粘剤、乳化剤などを均一に分散させた水相を調製し、あらかじめ均一化した油剤を投入し、ホモミキサーなどで均一に乳化を行い、必要に応じてpHを調整する事で本発明の皮膚外用剤を得ることができる。
【実施例0030】
以下、本発明を実施例に基づき説明するが、本発明はこれら実施例に限定されるものではなく、種々の態様をとることができる。なお、実施例で使用する各成分の量は特に断りが無い限り、質量%である。
【0031】
<皮膚外用剤の調製>
表1に従い、実施例1~9の水中油型ジェル状皮膚外用剤を下記の方法で調製した。具体的には、水に(A)、(B)、(C)と、1,3-ブチレングリコール、グリセリン、フェノキシエタノール、カルボキシビニルポリマー、ポリソルベート60、ステアリン酸グリセリルを均一に分散させた水相を調製し、均一化したスクワラン、パルミチン酸エチルヘキシルを投入し、ホモミキサーを用いて均一に乳化を行った。その後、水酸化ナトリウム又はクエン酸を用いてpHを調整した。
【0032】
【表1】
【0033】
<皮膚外用剤の安定性測定>
(1)粘度測定
得られた皮膚外用剤について、製造時(0日目)、製造後40℃90日保存後の粘度を、B型粘度計(ブルックフィールド社製 RVT型、温度:25℃、回転数:5rpm)を用いて測定した。また、製造時から90日保存後の変化率の絶対値を下記式により算出した。絶対値が小さいほど粘度変化が小さく、安定性が高いことを示す。結果を表2に示す。
【0034】
【数1】
【0035】
(2)pH測定
得られた皮膚外用剤について、製造時(0日目)、製造後40℃90日保存後のpHを、pH計(堀場製作所社製 pHメーターF71型)を用いて測定した。また、製造時から90日保存後の変化率の絶対値を下記式により算出した。絶対値が小さいほどpH変化が小さく、安定性が高いことを示す。結果を表2に示す。
【0036】
【数2】
【0037】
(3)析出の有無
得られた皮膚外用剤について、保存後の状態を観察した。具体的には、5℃で90日間保存し、析出の有無を目視で確認した。結果を表2に示す。
【0038】
<皮膚外用剤の評価>
(1)使用感の評価
得られた皮膚外用剤の使用感を評価した。サンプルは製造時(0日目)のものを使用した。被験者として、年齢が20代~30代のオールインワンジェル使用経験がある5名を無作為に選出した。被験者の顔に上記皮膚外用剤を使用し、使用感(塗布時の伸びの良さ、しっとり感)を評価項目として総合的に判断し、5段階の評価基準に基づいてアンケートを行った。アンケートの各項目の平均値を算出し、評価した。
(塗布時の伸びの良さ)
・5:とても良い(滑らかによく伸びる)
・4:良い(伸びがよい)
・3:どちらでもない(使用の際には気にならない程度の伸びである)
・2:悪い(伸びが悪く、使用の際に気になる)
・1:とても悪い(伸びがとても悪く、使用に不向き)
(塗布後のしっとり感)
・5:とても良い(塗布後にとてもしっとりしている)
・4:良い(塗布後にしっとりしている)
・3:どちらでもない(塗布後のしっとり感を少し感じる)
・2:悪い (塗布後のしっとり感をほとんど感じない)
・1:とても悪い(塗布後のしっとり感を感じられず、使用に不向き)
【0039】
【表2】
【0040】
本発明の皮膚外用剤である実施例1~9は、いずれもpHが4~8、粘度が3000~35000であった。また、40℃90日間保存後の粘度の変化率が10%未満と小さく、pHの変化率も5%以下であった。また、5℃90日間保存後も析出は発生せず、安定性に優れるものであった。一方、比較例1~4は40℃90日保存後の粘度変化が45%以上と大きく、pHの変化も大きいものであった。さらに、比較例1は5℃で析出が発生しており、比較例1~3の皮膚外用剤は安定性が悪いものであった。
【0041】
また、本発明の皮膚外用剤は、いずれも使用感に優れるものであった。実施例1~9の皮膚外用剤は、比較例1~4の皮膚外用剤に比べていずれも塗布時の伸びが良く、塗布後しっとりしており、使用感に優れたものであった。なお、実施例1~9の皮膚外用剤の塗布時の伸びの良さは40℃90日保管後も維持されていた。
【0042】
以上のことから、本発明の皮膚外用剤は塗布時の伸びの良さ、塗布後のしっとり感といった使用感に優れた皮膚外用剤であることがわかる。さらに、本発明の皮膚外用剤は使用感に優れるのみでなく、保存安定性にも優れるものであることがわかる。
【0043】
<皮膚外用剤の調製>
表3及び表4に記載された水中油型のジェル状皮膚外用剤を実施例と同様の方法で調製した。得られた皮膚外用剤は、いずれも粘度が5,000mPa・s以上、pHが5~8であり、使用時の塗布のしやすさ、使用後のしっとり感といった使用感に優れるものである。
【0044】
【表3】
【0045】
【表4】
【産業上の利用可能性】
【0046】
本発明の皮膚外用剤は、ナイアシンアミド、グリチルリチン酸ジカリウム、及びヘパリン類似物質を含有することにより、使用感に優れた皮膚外用剤を提供することができ、産業上の利用の可能性が高いものである。