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  • 特開-電力供給装置 図1
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024167043
(43)【公開日】2024-11-29
(54)【発明の名称】電力供給装置
(51)【国際特許分類】
   H02M 7/12 20060101AFI20241122BHJP
【FI】
H02M7/12 H
【審査請求】有
【請求項の数】4
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2024020825
(22)【出願日】2024-02-15
(31)【優先権主張番号】202310576307.5
(32)【優先日】2023-05-19
(33)【優先権主張国・地域又は機関】CN
(71)【出願人】
【識別番号】523107950
【氏名又は名称】レノボ・(ベイジン)・リミテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100108453
【弁理士】
【氏名又は名称】村山 靖彦
(74)【代理人】
【識別番号】100205785
【弁理士】
【氏名又は名称】▲高▼橋 史生
(72)【発明者】
【氏名】全 申賢
(72)【発明者】
【氏名】小黒 健
(72)【発明者】
【氏名】▲譚▼ 越
【テーマコード(参考)】
5H006
【Fターム(参考)】
5H006CA07
5H006CB01
5H006CC01
5H006DA02
5H006DB01
5H006DC05
5H006FA01
5H006GA04
(57)【要約】      (修正有)
【課題】過大な商用交流電源の入力に対して電力供給装置の回路の保護を図る。
【解決手段】電力供給装置100は、商用交流電源VACを整流する一次側整流回路111と前記一次側整流回路の出力を平滑化するバルクキャパシタC1とを含む一次側整流平滑回路101と、前記バルクキャパシタの両端電圧をスイッチングして二次側に供給し、二次側に供給された電圧に基づく電力を出力する電力供給部であるスイッチング回路102、トランス103及び直流変換回路104と、前記一次側整流平滑回路の動作をオン・オフするように設けられるスイッチQ1と、前記商用交流電源の電圧を検出し、検出した電圧値が所定値を超える状態となったことに応じて、前記スイッチをオンからオフに切り替える電圧検出回路105と、を備える。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
商用交流電源を整流する一次側整流回路と前記一次側整流回路の出力を平滑化するバルクキャパシタとを含む一次側整流平滑回路と、
前記バルクキャパシタの両端電圧をスイッチングして二次側に供給し、二次側に供給された電圧に基づく電力を出力する電力供給部と、
前記一次側整流平滑回路の動作をオン・オフするように設けられるスイッチと、
前記商用交流電源の電圧を検出し、検出した電圧値が所定値を超える状態となったことに応じて、前記スイッチをオンからオフに切り替える電圧検出部と
を備える電力供給装置。
【請求項2】
前記電力供給部の電力供給先の電子機器と信号線を介して接続される制御部をさらにそなえ、前記制御部は、前記検出した電圧値が所定値を超える状態となったことに応じて、商用交流電源の電圧値が過大となったことを通知する通知信号を前記電子機器に出力する
請求項1に記載の電力供給装置。
【請求項3】
前記スイッチは、前記一次側整流回路の出力端子と前記バルクキャパシタとを含む一次側整流平滑回路において、前記一次側整流回路により整流された電流が流れる経路に直列に挿入される
請求項1または2に記載の電力供給装置。
【請求項4】
前記電圧検出部は、前記検出した電圧値が所定値を超える状態が一定時間以上継続したことに応じて前記スイッチをオンからオフに切り替える
請求項1から3のいずれか一項に記載の電力供給装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電力供給装置に関する。
【背景技術】
【0002】
一次側にて商用交流電源を整流した出力を平滑化するコンデンサ(バルクキャパシタンス)の両端電圧をスイッチングして交流として二次側に伝送し、二次側にて伝送された交流を平滑化することで、直流電源をノートPCに供給するようにされたACアダプタが知られている(例えば、特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2021-65019号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
商用交流電源が不安定であるような環境では、ACアダプタ等の電力供給装置に過大な電圧が入力される場合があり、電力供給装置の回路にかかる負担が大きくなる。このように電力供給装置に過大な電圧が入力されることによっては、特にバルクキャパシタが破損する可能性が高くなる。
このため、過大な商用交流電源の入力に対して電力供給装置の回路の保護が図られるようにすることが好ましい。
【0005】
本発明は、上記した課題を考慮して、過大な商用交流電源の入力に対して電力供給装置の回路の保護が図られるようにすることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上述した課題を解決する本発明の一態様は、商用交流電源を整流する一次側整流回路と前記一次側整流回路の出力を平滑化するバルクキャパシタとを含む一次側整流平滑回路と、前記バルクキャパシタの両端電圧をスイッチングして二次側に供給し、二次側に供給された電圧に基づく電力を出力する電力供給部と、前記一次側整流平滑回路の動作をオン・オフするように設けられるスイッチと、前記商用交流電源の電圧を検出し、検出した電圧値が所定値を超える状態となったことに応じて、前記スイッチをオンからオフに切り替える電圧検出部とを備える電力供給装置である。
【発明の効果】
【0007】
本発明によれば、過大な商用交流電源の入力に対して電力供給装置の回路の保護を図ることが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1】本実施形態における電力供給装置の構成例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
図1は、本実施形態の電力供給装置100の構成例を示している。同図の電力供給装置100は、商用交流電源VACを所定電圧値による直流に変換し、電源として電子機器200に電力を供給するようにされたACアダプタとされた例を示している。
【0010】
電力供給装置100には商用交流電源VACが入力される。電力供給装置100おいて、商用交流電源VACは一次側整流平滑回路101に入力される。
【0011】
一次側整流平滑回路101は、整流回路111とバルクキャパシタC1とを備える。整流回路111は、入力された商用交流電源VACを整流する。同図の整流回路111は、ブリッジ整流回路として全波整流を行うように構成された例を示している。整流回路111の回路構成については特に限定されない。バルクキャパシタC1は、整流回路111の正極出力端子と負極正極端子の間に接続される。バルクキャパシタC1は、整流回路111により全波整流された電圧を平滑化する。
【0012】
また、一次側整流平滑回路101においては、整流回路111の負極出力端子とバルクキャパシタC1の負極との間にスイッチQ1が直列に挿入されている。つまり、この場合のスイッチQ1は、整流回路111が有するダイオードにより整流された電流が流れる経路において直列に挿入されている。同図では、スイッチQ1にMOS-FETが用いられて例を示している。
【0013】
なお、一次側整流平滑回路101におけるスイッチQ1の挿入位置は、上記の位置に限定されない。例えば、スイッチQ1は、整流回路111の正極出力端子とバルクキャパシタC1の正極との間に挿入されてもよい。あるいは、スイッチQ1は、整流回路111の正極入力端子または負極入力端子と商用交流電源VACの間に挿入されてもよい。
例えば、バルクキャパシタC1に係る負担を軽減することを優先させたい場合には、整流回路111の入力端子側よりも、バルクキャパシタC1に近い整流回路111の出力端子側に挿入することが好ましい。
【0014】
スイッチQ1は一次側整流平滑回路101の動作のオン・オフを行う。つまり、スイッチQ1がオン(クローズ)のときには、一次側整流平滑回路101において整流電流が流れることから、一次側整流平滑回路101は商用交流電源VACを整流するように動作する。一方、スイッチQ1がオフ(オープン)のときには、一次側整流平滑回路101において整流電流の流れる経路が切断されることから、一次側整流平滑回路101は商用交流電源VACを整流する動作を停止する。
【0015】
バルクキャパシタC1の両端電圧(一次側平滑電圧)は、スイッチング回路102に入力される。スイッチング回路102は、入力された一次側平滑電圧をスイッチング(断続)して交流を出力する。なお、スイッチング回路の方式や構成については特に限定されない。
【0016】
トランス103は、スイッチング回路102から出力される交流を、巻線比に応じた電圧比により二次側に伝送する。
【0017】
直流変換回路104は、トランス103の二次側に伝送された交流を所定の電圧値で安定化された直流に変換する。直流変換回路104は、変換により得られた直流による電力を、電子機器200に電源として供給する。直流変換回路104は、電源ラインVbusとグランドラインGNDにより電子機器200に電源を供給する。
【0018】
本実施形態において、電源ラインVbusとグランドラインGNDと、後述の信号ラインCCは、例えばUSB PD(Power Delivery)に対応したケーブルで電子機器200と接続されてよい。
【0019】
電力供給装置100において、電圧検出回路105には商用交流電源VACが入力される。電圧検出回路105は、入力された商用交流電源VACの電圧値を検出する。また、電圧検出回路105は、スイッチQ1としてのMOS-FETのゲートと接続される。電圧検出回路105は、スイッチQ1に対してゲート電圧の停止、印加を切り替えることにより、スイッチQ1のオン・オフを行うことができる。
【0020】
電圧検出回路105は、検出した電圧が所定値以下の状態ではスイッチQ1がオンの状態を維持し、検出した電圧が所定時間以上にわたって所定値を超えた場合には、スイッチQ1をオンからオフとするように、ゲート電圧を出力する。
このようにスイッチQ1のオン・オフが行われることで、商用交流電源VACの電圧値が過大とされる状態となったことに応じて一次側整流平滑回路101の動作が停止されることとなり、一次側整流平滑回路101に負担がかかることを防止できる。また、一次側整流平滑回路101の動作が停止されることで、一次側整流平滑回路101の後段の電力供給部(スイッチング回路102、トランス103、直流変換回路104)の動作も停止されることから、電力供給部における回路に負担のかかることも防止できる。
【0021】
なお、電圧検出回路105は、検出した電圧が所定値を超えたタイミングで、所定時間が経過するのを待機することなく、スイッチQ1をオンからオフに切り替えてもよい。
しかしながら、この場合には、例えば商用交流電源VACの電圧値が過大となる状態が瞬時的であるような場合でもスイッチQ1がオフとなる。商用交流電源VACの電圧値が過大となる状態が瞬時的である場合には、電力供給装置100の動作を停止させずに継続させても回路に大きな負担がかかることはないので、電源が継続して供給されるようにしたほうが好ましい。
そこで、本実施形態の電圧検出回路105は、検出した電圧が所定時間以上にわたって継続して所定値を超えたことに応じてスイッチQ1をオフとするように構成している。このような構成により、電力供給装置100は、商用交流電源VACの電圧値が瞬時的に過大となる状態では動作を継続するが、商用交流電源VACの電圧値が一定時間以上継続して過大となって回路に負担をかける可能性が高い状態となったときに動作を停止することができる。
【0022】
なお、電圧検出回路105は、例えば商用交流電源VACの電圧が所定値を超えて以降は、商用交流電源VACの電圧が低下しても検出する電圧としては商用交流電源VACよりも高くなるように、所定のヒステリシス特性を与えてもよい。このようにヒステリシス特性が与えられる与されることで、例えば、商用交流電源VACの電圧が所定値を上下するように変動しているようなときには、電圧検出回路105の検出する電圧値が一定時間以上継続して所定値を超える状態となりやすく、回路の保護を優先するように動作することができる。
【0023】
また、電圧検出回路105は、商用交流電源VACの電圧が所定値を超えて一定時間以上経過したことに応じてスイッチQ1をオンからオフに切り替えるとともに、過電圧通知信号S1を出力する。
過電圧通知信号S1は、フォトカプラ106を介して制御部107に出力される。フォトカプラ106は、一次側と二次側とを電気的に絶縁して、過電圧通知信号S1を一次側から二次側に伝達する。
制御部107は、過電圧通知信号S2が入力されたことに応じて、信号ラインCCを介して過電圧通知信号S2を電子機器200に出力する。
電子機器200は、過電圧通知信号S2が入力されたことに応じて、ユーザに向けて電源状態警告報知を行ってよい。電子機器200は、電源状態警告報知として、例えば商用交流電源の状態が良好でないことや、電力供給装置100が入力する商法交流電源の環境の変更を促すといった内容のメッセージを表示してよい。
【0024】
なお、本実施形態の電力供給装置100の構成は、ACアダプタのほか、電子機器に内蔵される電源回路にも適用されてよい。
【符号の説明】
【0025】
100 電力供給装置、101 一次側整流平滑回路、102 スイッチング回路、103 トランス、104 直流変換回路、105 電圧検出回路、106 フォトカプラ、107 制御部、111 整流回路、200 電子機器、C1 バルクキャパシタ、CC 信号ライン、GND グランドライン
図1