(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024167044
(43)【公開日】2024-11-29
(54)【発明の名称】冷凍食品およびその製造方法
(51)【国際特許分類】
A23L 5/10 20160101AFI20241122BHJP
【FI】
A23L5/10 E
【審査請求】未請求
【請求項の数】7
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2024024661
(22)【出願日】2024-02-21
(31)【優先権主張番号】202310572934.1
(32)【優先日】2023-05-19
(33)【優先権主張国・地域又は機関】CN
(71)【出願人】
【識別番号】391064647
【氏名又は名称】株式会社大福食品工業
(74)【代理人】
【識別番号】110001726
【氏名又は名称】弁理士法人綿貫国際特許・商標事務所
(72)【発明者】
【氏名】門脇 一郎
【テーマコード(参考)】
4B035
【Fターム(参考)】
4B035LC01
4B035LC16
4B035LE18
4B035LG32
4B035LG38
4B035LG43
4B035LK15
4B035LK19
4B035LP07
4B035LP27
4B035LP43
4B035LP59
(57)【要約】
【課題】従来の衣揚げに新たな外観を付与し、衣揚げを見る者および食する者に新鮮な視覚を付与することができる衣揚げ用の冷凍食品およびその製造方法を提供する。
【解決手段】本発明に係る冷凍食品(10)は、衣揚げ用の冷凍食品(10)であって、具材(12)の外周面が衣(14)に覆われており、前記衣(14)の外周面の一部に、可食性インクによる表示(18)が描かれたシート状体(16)が付着されており、前記具材(12)、前記衣(14)、および前記シート状体(16)が凍結されていることを特徴とする。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
衣揚げ用の冷凍食品であって、
具材の外周面が衣に覆われており、
前記衣の外周面の一部に、可食性インクによる表示が描かれたシート状体が付着されており、
前記具材、前記衣、および前記シート状体が凍結されていること
を特徴とする冷凍食品。
【請求項2】
前記シート状体が、前記衣の外周面のうち面と面との境界線を含む位置、もしくは前記衣の外周面のうち曲面を含む位置に付着されていること、
または、
前記シート状体が、前記衣の外周面に巻き付けられていること
を特徴とする請求項1記載の冷凍食品。
【請求項3】
前記シート状体が、前記衣の外周面の複数の面に複数付着されていること
を特徴とする請求項1記載の冷凍食品。
【請求項4】
前記衣の表面はパン粉が付着されており、前記シート状体の表面は該パン粉が付着されずに露出しており、
前記パン粉が、前記具材、前記衣、および前記シート状体と共に凍結されていること
を特徴とする請求項1~3のいずれか一項に記載の冷凍食品。
【請求項5】
前記シート状体は、穀物粉の生地、餅、卵焼き、カット果物、カット野菜、または海苔であること
を特徴とする請求項1~3のいずれか一項に記載の冷凍食品。
【請求項6】
衣揚げ用の冷凍食品の製造方法であって、
具材の外周面を衣で覆い、
次いで、前記具材を覆う前記衣の外周面の一部に、シート状体を付着させ、
次いで、前記衣の表面にはパン粉を付着させ、前記シート状体の表面には該パン粉を付着させずに露出させ、
次いで、冷凍すること、を特徴とし、
さらに、前記衣に前記シート状体を付着させる前に、予め該シート状体の表面に可食性インクによる表示を描くこと、
または、
前記衣に前記パン粉を付着させた後であって、冷凍前に、露出している前記シート状体の表面に可食性インクによる表示を描くこと
を特徴とする冷凍食品の製造方法。
【請求項7】
前記表示を、プリンタを使用して描くこと
を特徴とする請求項6記載の冷凍食品の製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、冷凍食品およびその製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
コロッケ、フライ、天ぷら等の、衣に覆われた具材が油で揚られた食品(以下、これを「衣揚げ」と表記する)が知られている。衣揚げは、一般には、具材の外周面を衣で覆い、さらに任意で衣の表面にパン粉を付着させた衣揚げ用の加工品を、揚げ調理に供することで得られる食品である。また、油で揚げる前の衣揚げ用の加工品が凍結された冷凍食品(以下、これを「衣揚げ用の冷凍食品」と表記する)も知られている。
【0003】
このような衣揚げに、新たな外観および食味を付加した衣揚げ用の冷凍食品が知られている。特許文献1(特開平5-146262号公報)には、具材を覆う衣の一部に、野菜等のような揚げて食することができる小片が付着された衣揚げ用の冷凍食品が記載されている。当該冷凍食品は、小片の表面が衣等によって実質的に覆われていない状態で、凍結された衣によって具材と小片とが一体に結着されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
特許文献1に係る冷凍食品は、冷凍食品が油で揚げられた衣揚げに、揚げ野菜等の形状および色彩からなる新たな外観を付与し、衣揚げを見る者および食する者に新鮮な視覚を付与する。また、衣揚げを食したとき、口の中で衣揚げの味と揚げ野菜等の味とを同時に味わうことができる新たな食味を付与し、衣揚げを見る者および食する者に新鮮な味覚も付与する。
【0006】
しかしながら、このような野菜等の小片が結着された衣揚げ用の冷凍食品であっても、視覚的な新鮮さは不十分であった。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明は、上記事情に鑑みてなされ、従来の衣揚げに新たな外観を付与し、衣揚げを見る者および食する者に新鮮な視覚を付与することができる衣揚げ用の冷凍食品およびその製造方法を提供することを目的とする。
【0008】
本発明は、一実施形態として以下に記載するような解決手段により、前記課題を解決する。
【0009】
本発明に係る冷凍食品は、衣揚げ用の冷凍食品であって、具材の外周面が衣に覆われており、前記衣の外周面の一部に、可食性インクによる表示が描かれたシート状体が付着されており、前記具材、前記衣、および前記シート状体が凍結されていることを特徴とする。
【0010】
本発明によれば、シート状体に描かれた表示によって、冷凍食品が油で揚げられた衣揚げに新たな外観を付与できる。可食性インクによって表示を描くことから、プリンタを使用できる。したがって、自由なメッセージ、デザイン等をプリンタにデータとして取り込むことで、シート状体の表面に簡易に表示を描くことができる。可食性インクによる表示はしっかりとプリントされて崩れにくく、冷凍食品が油で揚げられた後も鮮明に維持される。したがって、例えば、シート状体を、衣の外周面の平坦面上だけでなく、比較的不安定な面と面との境界線や曲面を含む位置に付着させた場合も、衣揚げに鮮明な表示を現すことができる。そして、例えば、シート状体を、衣の外周面に巻き付けた場合も、衣揚げに鮮明な表示を現すことができる。また、例えば、シート状体を、衣の外周面の一の面に一枚だけでなく、複数の面に複数枚を付着させた場合も、衣揚げにそれぞれ鮮明な表示を現すことができる。
【0011】
すなわち、本発明は、前記シート状体が、前記衣の外周面のうち面と面との境界線を含む位置、もしくは前記衣の外周面うち曲面を含む位置に付着されている構成とすることができる。あるいは、本発明は、前記シート状体が、前記衣の外周面に巻き付けられている構成とすることができる。あるいは、本発明は、前記シート状体が、前記衣の外周面の複数の面に複数付着されている構成とすることができる。
【0012】
また、本発明は、衣揚げのパン粉の有無に関わらず適用可能である。パン粉が付着される衣揚げに適用する場合、本発明は、前記衣の表面はパン粉が付着されており、前記シート状体の表面は該パン粉が付着されずに露出しており、前記パン粉が、前記具材、前記衣、および前記シート状体と共に凍結されている構成とすることができる。これによれば、パン粉が付着される衣揚げに適用する場合も、シート状体に描かれた表示によって、衣揚げに新たな外観を付与できる。
【0013】
また、前記シート状体は、穀物粉の生地、餅、卵焼き、カット果物、カット野菜、または海苔で構成することができる。
【0014】
また、本発明に係る冷凍食品の製造方法は、衣揚げ用の冷凍食品の製造方法であって、具材の外周面を衣で覆い、次いで、前記具材を覆う前記衣の外周面の一部に、シート状体を付着させ、次いで、前記衣の表面にはパン粉を付着させ、前記シート状体の表面には該パン粉を付着させずに露出させ、次いで、冷凍すること、を特徴とし、さらに、前記衣に前記シート状体を付着させる前に、予め該シート状体の表面に可食性インクによる表示を描くこと、または、前記衣に前記パン粉を付着させた後であって、冷凍前に、露出している前記シート状体の表面に可食性インクによる表示を描くこと、を特徴とする。
【0015】
本発明に係る冷凍食品の製造方法も、本発明に係る冷凍食品と同様に、冷凍食品が油で揚げられた衣揚げに新たな外観を付与できる。可食性インクによって表示を描くことから、プリンタを使用できる。したがって、自由なメッセージ、デザイン等をプリンタにデータとして取り込むことで、シート状体の表面に簡易に表示を描くことができる。可食性インクによる表示はしっかりとプリントされて崩れにくく、冷凍食品が油で揚げられた後も鮮明に維持される。したがって、例えば、シート状体を、衣の外周面の平坦面上だけでなく、比較的不安定な面と面との境界線や曲面を含む位置に付着させた場合も、衣揚げに鮮明な表示を現すことができる。また、例えば、シート状体を、衣の外周面の一の面に一枚だけでなく、複数の面に複数枚を付着させた場合も、衣揚げにそれぞれ鮮明な表示を現すことができる。
【0016】
すなわち、本発明に係る方法は、前記表示を、プリンタを使用して描くことが好ましい。
【発明の効果】
【0017】
本発明によれば、冷凍食品が油で揚げられた衣揚げに新たな外観を付与し、衣揚げを見る者および食する者に新鮮な視覚を付与することができる。
【図面の簡単な説明】
【0018】
【
図1】
図1(1A、1B)は、本発明の実施形態に係る冷凍食品の例を示す斜視図である。
図1Aは、パン粉が付着される衣揚げに適用する例である。
図1Bは、パン粉が付着されない衣揚げに適用する例である。
【
図2】
図2(2A、2B)は、
図1Aに示す冷凍食品の他の例を示す斜視図である。
図2Aは、冷凍食品の一方の面を上にした状態、
図2Bは、
図2Aに示す冷凍食品を裏返して他方の面を上にした状態である。
【
図6】
図6は、
図1Aに示す冷凍食品の製造方法の例(第1の方法の例)を示すフローチャートである。
【
図7】
図7は、
図1Aに示す冷凍食品の製造方法他の例(第2の方法の例)を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0019】
本発明でいう「衣揚げ」は、前述の通り、衣に覆われた具材が油で揚られた食品を意味し、コロッケ、フライ、天ぷら等が例示される。また、本発明でいう「衣揚げ」は、衣の表面にパン粉が付着される衣揚げ、および、衣の表面に付着されない衣揚げ、の両方を含む。
【0020】
図1(1A、1B)に、本実施形態に係る冷凍食品10の例を斜視図で示す。このうち、
図1Aに、パン粉20が付着される衣揚げに適用する例を示し、
図1Bに、パン粉20が付着されない衣揚げに適用する例を示す。なお、
図1Aに示す例は、衣揚げとして、おむすび状に形成されたコロッケに適用する例で示している。すなわち、
図1Aは、コロッケ用の冷凍食品10を示している。そして、
図2(2A、2B)、
図3、
図4、
図5は、それぞれ
図1Aに示すコロッケ用の冷凍食品10の他の例を示している。
【0021】
本実施形態に係る冷凍食品10は、
図1Aに示すように、衣揚げ用(コロッケ用)の冷凍食品10であって、具材12の外周面が衣14に覆われており、衣14の外周面の一部に、可食性インクによる表示18が描かれたシート状体16が付着されており、具材12、衣14、およびシート状体16が凍結されている。
【0022】
具材12の材料は限定されず、肉、魚介、野菜、果物、乳製品、芋類、豆類、穀類等の油で揚げて食することができる各種の食材を使用できる。これらの食材から一種類の食材が選択されてもよく、複数種類の食材が選択されてもよい。また、これらの食材に各種の調味料が混合されてもよい。一例として、
図1Aに示すコロッケ用の具材12には、ジャガイモ、クリームソース、肉、魚介、野菜等の通常のコロッケに使用される食材を適宜組み合わせて使用できる。
【0023】
具材12の形状も限定されないが、少なくとも衣14に覆われた状態においてシート状体16を付着できる範囲の外周面を有する形状である必要がある。ただし、シート状体16は平坦面に限らず起伏ある曲面にも付着できることから、前記外周面は曲面を含んでいてもよい。一例として、
図1Aに示すコロッケ用の具材12は、ジャガイモまたはクリームソース等を含む具材12が、平坦面(上面および下面)を含むおむすび状(所定の厚みを有する隅丸三角形板状)に成形されている。また、
図4および
図5に示すコロッケ用の具材12は、曲面を含む俵状または繭状(両端が椀状に形成された略円柱状、または略楕円体状)に成形されている。これ以外にも、具材12は、所定の厚みを有する円板状、楕円板状、星形状や、円柱状(例えば、棒状)、多角形状(例えば、サイコロ状)、球状等の様々な形状を取ることができる。
【0024】
衣14は「バッター」とも呼称され、小麦粉を水で溶いた溶液、卵を水で溶いた「溶き卵」等を例示できる。
【0025】
シート状体16は限定されず、油で揚げて食することができる各種の食材を材料として、これらの食材がシート状に形成された様々な加工品を含む。一例として、小麦粉、そば粉等のような穀物粉に水を加えて練った後、シート状に伸ばした生地等を例示できる。このような穀物粉の生地として、具体的には、餃子、春巻き等に使用される麺皮や、ピザ生地等を例示できる。これ以外にも、シート状体16として、餅、ビスケット、卵焼き、海苔等や、シート状にカットしたカット果物またはカット野菜等を例示できる。
【0026】
シート状体16の輪郭形状も限定されず、円、楕円、三角形、多角形、星形等の幾何学的な輪郭や、動物、植物、キャラクター等の輪郭等の様々な輪郭形状を取ることができる。
【0027】
シート状体16の表面には、文字、図形、記号、色彩、絵、またはこれらの結合等の表示18が描かれている。これによれば、冷凍食品10が油で揚げられた衣揚げに新たな外観を付与でき、衣揚げを見る者および食する者に新鮮な視覚を付与することができる。この表示18は可食性インクによって描かれることから、食用のプリンタを使用できる。したがって、自由なメッセージ、デザイン等をプリンタにデータで取り込むことで、シート状体16の表面に簡易に表示18描くことができる。可食性インクによる表示18はしっかりとプリントされて崩れにくく、冷凍食品10が油で揚げられた後も鮮明に維持される。したがって、例えば、シート状体16を、
図1Aに示すように衣14の外周面の平坦面上だけでなく、
図3に示すように、比較的不安定な、面と面との境界線を含む位置に付着させた場合も、衣揚げに鮮明な表示18を現すことができる。また、例えば、シート状体16を、
図4および
図5に示すように、比較的不安定な、衣14の外周面のうち曲面を含む位置に付着させた場合も、衣揚げに鮮明な表示18を現すことができる。そして、
図5に示すように、例えば、シート状体16を、衣14の外周面に巻き付けた場合も、衣揚げに鮮明な表示18を現すことができる。また、例えば、シート状体16を、
図1Aに示すように衣14の外周面の一の面(例えば、具材12の上面(表の面)に対応する面)に一枚だけでなく、
図2Aおよび
図2Bに示すように、衣14の外周面の複数の面(例えば、具材12のそれぞれ上面(表の面)および下面(裏の面)に対応する面)に複数枚を付着させた場合も、衣揚げにそれぞれ鮮明な表示18を現すことができる。
【0028】
また、表示18を描く可食性インクは水溶性であるため、例えば表示18が描かれた本実施形態に係るシート状体16をお湯に浸漬すると、可食性インクが溶け出して表示18が消えてしまう。これに対して、本実施形態に係るシート状体16を油で揚げると、シート状体16が油に浸された途端に可食性インクが油でコーティングされて、表示18が消えることはない。このように、本実施形態に可食性インクを適用することで、冷凍食品10が油で揚げられた後も鮮明に表示18が維持されて、衣揚げに鮮明な表示18を現すことができるという特有の有利な効果を発揮する。
【0029】
なお、シート状体16には所定の量の油分が含有されていることが好ましい。これによれば、油で揚げられたシート状体16の表面の凹凸やざらつきが抑えられ、表示18をさらに綺麗に現すことができる。これは、冷凍食品10(シート状体16)が油で揚げられる際、シート状体16が油に浸されると、シート状体16が柔らかいうちに(シート状体16が硬化する前に)シート状体16の中の油分が抜けて、シート状体16および具材12の中の水分が抜ける通路が形成され、その後、形成された通路が閉じられて、シート状体16が硬化することによるものと考えられる。好適な含有油分として、植物油を例示できる。
【0030】
さらに、本実施形態は、衣揚げのパン粉20の有無に関わらず適用可能である。パン粉20が付着される衣揚げに適用する場合、
図1Aに示すように、衣14の表面はパン粉20が付着され、シート状体16の表面はパン粉20が付着されずに露出している。そして、パン粉20が、具材12、衣14、およびシート状体16と共に凍結されている。このように、パン粉20が付着される衣揚げに適用する場合も、シート状体16に描かれた表示18によって、衣揚げに新たな外観を付与でき、衣揚げを見る者および食する者に新鮮な視覚を付与することができる。
【0031】
続いて、
図6および
図7を参照して、本実施形態に係る冷凍食品10の製造方法について説明する。
図6および
図7は、いずれも
図1Aに示すパン粉20が付着される衣揚げ用(コロッケ用)の冷凍食品10の製造方法の例を示すフローチャートである。
【0032】
図6に示す第1の方法の例は、食材の混合や成形等の準備を行ったコロッケ具材12の外周面を覆うように衣14を付着させる(工程S011a)。衣14の付着は、一例として、液状の衣14の中に具材12を潜らせることによって行うことができる。一方、必要に応じて成形や油分の含有等の準備を行ったシート状体16の表面に可食性インクによる表示18を描く(工程S011b)。表示18の作製は、プリンタを使用して描くのが好ましい。なお、本工程S011b(表示18の作製)は、実際にシート状体16の表面に表示18を描くことである。工程S011aと工程S011bとの実施の順序は限定されず、どちらを先に実施してもよく、どちらを後に実施してもよく、両工程を同時に実施(進行)してもよい。
【0033】
次いで、衣14の外周面の一部の所定の位置に、表示18が描かれたシート状体16を付着させる(工程S012)。このとき、
図2Aおよび
図2に示すように、シート状体16を、衣14の外周面の複数の面に複数付着させてもよい。あるいは、
図3に示すように、シート状体16を、衣14の外周面のうち面と面との境界線を含む位置に付着させてもよい。あるいは、
図4に示すように、シート状体16を、衣14の外周面のうち曲面を含む位置に付着させてもよい。あるいは、
図5に示すように、シート状体16を、衣14の外周面に巻き付けてもよい。
【0034】
次いで、衣14の表面にパン粉20を付着させる(工程S013)。このとき、衣14の表面にはパン粉20を付着させるが、シート状体16の表面にはパン粉20を付着させないで、シート状体16の表面を露出させる。パン粉20の付着は、一例として、衣14を付着した具材12を、堆積したパン粉20の中を通過させることによって行うことができる。相対的に水分含有量が多い液状の衣14にのみパン粉20が付着し、相対的に水分含有量の少ない固形状のシート状体16にはパン粉20が付着しないため、シート状体16の表面を露出させることができる。
【0035】
次いで、このようにして製造した衣揚げ用(コロッケ用)の加工品を冷凍する(工程S014)。冷凍は、加工品を所定時間冷凍庫に入れればよい。冷凍条件は、通常の冷凍食品に適用される通常の条件に従えばよい。これにより、具材12、衣14、シート状体16、およびパン粉20が凍結されて、本実施形態に係る衣揚げ用(コロッケ用)の冷凍食品10が得られる。第1の方法をコロッケ以外の衣揚げに適用する場合、コロッケ具材12に代えて、対象の衣揚げに応じた具材12を準備すればよい。第1の方法をパン粉20が付着されない衣揚げに適用する場合、工程S013を不実施とすればよい。つまり、工程S012を実施して、衣14の外周面の一部に、表示18が描かれたシート状体16を付着させた後、次いで工程S014を実施して当該加工品を冷凍することで、具材12、衣14、およびシート状体16が凍結された衣揚げ用の冷凍食品10が得られる。
【0036】
次に、
図7に示す第2の方法の例は、食材の混合や成形等の準備を行ったコロッケ具材12の外周面を覆うように衣14を付着させる(工程S021)。衣14の付着は、一例として、液状の衣14の中に具材12を潜らせることによって行うことができる。
【0037】
次いで、衣14の外周面の一部の所定の位置に、必要に応じて成形や油成分の含有等の準備を行ったシート状体16を付着させる(工程S022)。ただし、第1の方法の例と違って、第2の方法の例では、予めシート状体16には表示18を描かない。つまり、第2の方法の例では、衣14の外周面の一部の所定の位置に、表示18を描いていないシート状体16を付着させる。このとき、
図2Aおよび
図2Bに示すように、シート状体16を、衣14の外周面の複数の面に複数付着させてもよい。あるいは、
図3に示すように、シート状体16を、衣14の外周面のうち面と面との境界線を含む位置に付着させてもよい。あるいは、
図4に示すように、シート状体16を、衣14の外周面のうち曲面を含む位置に付着させてもよい。あるいは、
図5に示すように、シート状体16を、衣14の外周面に巻き付けてもよい。
【0038】
次いで、衣14の表面にはパン粉20を付着させる(工程S023)。このとき、衣14の表面にはパン粉20を付着させるが、シート状体16の表面にはパン粉20を付着させないで、シート状体16の表面を露出させる。パン粉20の付着は、一例として、衣14を付着した具材12を、堆積したパン粉20の中を通過させることによって行うことができる。相対的に水分含有量が多い液状の衣14にのみパン粉20が付着し、相対的に水分含有量の少ない固形状のシート状体16にはパン粉20が付着しないため、シート状体16の表面を露出させることができる。
【0039】
次いで、このようにして製造した衣揚げ用(コロッケ用)の加工品の露出しているシート状体16の表面に可食性インクによる表示18を描く(工程S024)。表示18の作製は、プリンタを使用して描くのが好ましい。なお、本工程S024(表示18の作製)は、実際にシート状体16の表面に表示18を描くことである。
【0040】
次いで、シート状体16に表示18を描いた衣揚げ用(コロッケ用)の加工品を冷凍する(工程S025)。これにより、具材12、衣14、シート状体16、およびパン粉20が凍結されて、本実施形態に係る衣揚げ用(コロッケ用)の冷凍食品10が得られる。第2の方法をコロッケ以外の衣揚げに適用する場合、コロッケ具材12に代えて、対象の衣揚げに応じた具材12を準備すればよい。第2の方法をパン粉20が付着されない衣揚げに適用する場合、工程S023を不実施とすればよい。つまり、工程S022と実施して、衣14の外周面の一部に、シート状体16を付着させた後、次いで工程S024を実施して、衣14の外周面の一部に付着されたシート状体16の表面に可食性インクによる表示18を描けばよい。その後、工程S025を実施して当該加工品を冷凍することで、具材12、衣14、およびシート状体16が凍結された衣揚げ用の冷凍食品10が得られる。
【0041】
以上の第1の方法および第2の方法のいずれの例を使用しても、冷凍食品10が油で揚げられた衣揚げに可食性インクによる表示18を現して新たな外観を付与でき、衣揚げを見る者および食する者に新鮮な視覚を付与することができる。
【符号の説明】
【0042】
10 冷凍食品
12 具材
14 衣
16 シート状体
18 表示
20 パン粉