(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024016705
(43)【公開日】2024-02-07
(54)【発明の名称】遊技機
(51)【国際特許分類】
A63F 7/02 20060101AFI20240131BHJP
【FI】
A63F7/02 315A
A63F7/02 320
【審査請求】未請求
【請求項の数】4
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022119014
(22)【出願日】2022-07-26
(71)【出願人】
【識別番号】599104196
【氏名又は名称】株式会社サンセイアールアンドディ
(74)【代理人】
【識別番号】110000992
【氏名又は名称】弁理士法人ネクスト
(72)【発明者】
【氏名】鈴木 唯史
(72)【発明者】
【氏名】河邉 法広
【テーマコード(参考)】
2C088
2C333
【Fターム(参考)】
2C088BA02
2C088EA10
2C088EB14
2C088EB42
2C088EB52
2C088EB74
2C333AA11
2C333CA08
2C333CA78
2C333DA02
(57)【要約】
【課題】特殊な遊技操作による利益獲得を防止することができる遊技機を提供する。
【解決手段】パチンコ遊技機1は、時短遊技状態中の特図当たり判定が通常小当たり当選
となった場合、遊技制御用マイコン61が、時短遊技状態を終了させることなく小当たり
状態を生起させる一方、特図当たり判定が転落小当たり当選となった場合、遊技制御用マ
イコン61が、時短遊技状態を終了させ非時短遊技状態に移行させてから小当たり状態を
生起させる。遊技制御用マイコン61は、時短遊技状態中の特図当たり判定が通常小当た
り当選となったことに基づいて生起する小当たり状態中に特定領域を遊技球が通過しなか
った場合に、当該小当たり状態の終了時点で時短遊技状態を終了させる。
【選択図】
図29
【特許請求の範囲】
【請求項1】
遊技領域を流下する遊技球が入球可能な可変始動口及び特別入賞口と、前記特別入賞口
に入球した遊技球が通過可能な特定領域と、前記可変始動口への遊技球の入球を契機とし
て入球判定を実行する判定手段と、前記判定手段による前記入球判定の結果に基づいて状
態を変化させる生起手段とを備え、
前記生起手段が、前記判定手段による前記入球判定の結果に基づいて、前記特別入賞口
への遊技球の入球が可能な小当たり状態を生起可能であると共に、前記小当たり状態中に
遊技球が前記特定領域を通過したことに基づいて該小当たり状態を大当たり遊技状態に発
展させ、かつこの大当たり遊技状態の終了後に、通常遊技状態よりも前記可変始動口への
遊技球の入球が容易な入球容易状態を生起可能な遊技機であって、
前記入球容易状態中に前記判定手段が実行した前記入球判定が第1結果となった場合、
前記生起手段が、当該入球容易状態を終了させることなく前記小当たり状態を生起させる
一方、前記入球容易状態中に前記判定手段が実行した前記入球判定が第2結果となった場
合には、前記生起手段が、当該入球容易状態を終了させ前記通常遊技状態で前記小当たり
状態を生起させ、
前記生起手段は、前記入球容易状態中に前記判定手段が実行した前記入球判定が前記第
1結果となったことに基づいて生起する前記小当たり状態中に前記特定領域を遊技球が通
過しなかった場合に、当該小当たり状態の終了時点で前記入球容易状態を終了させる
ことを特徴とする遊技機。
【請求項2】
前記通常遊技状態を終了してから次に前記通常遊技状態を開始するまでに前記入球容易
状態が開始された回数である連続生起回数を計数するカウント手段と、
前記連続生起回数が予め定めた上限回数に達した場合に、新たな前記入球容易状態が生
起するのを阻止するリミッタ手段とを備え、
前記入球容易状態中に前記判定手段が実行した前記入球判定が第1結果となった場合、
前記生起手段が、当該入球容易状態を終了させることなく前記小当たり状態を生起させる
と共に、該小当たり状態中に遊技球が前記特定領域を通過したことに基づく前記大当たり
遊技状態の終了後に新たな前記入球容易状態を生起させ、この新たな前記入球容易状態の
開始に応じて前記カウント手段が前記連続生起回数を1加算する一方、
前記入球容易状態中に前記判定手段が実行した前記入球判定が第2結果となった場合、
前記生起手段が、当該入球容易状態を終了させ前記通常遊技状態で前記小当たり状態を生
起させると共に、該小当たり状態中に遊技球が前記特定領域を通過したことに基づく前記
大当たり遊技状態の終了後に新たな前記入球容易状態を生起させ、この新たな前記入球容
易状態の開始前に前記カウント手段が前記連続生起回数の計数をクリアし、当該新たな前
記入球容易状態を1回目として計数する請求項1に記載の遊技機。
【請求項3】
遊技に関する演出を制御する演出制御手段を備え、
前記演出制御手段は、前記通常遊技状態の終了から別の前記通常遊技状態の開始までの
有利期間の間に生じた所定の現象の合計回数を計数して報知するように制御可能であり、
当該有利期間中に前記入球判定が前記第2結果となって遊技状態が一時的に前記通常遊技
状態に移行した後も、前記合計回数の計数をクリアせず報知する請求項2記載の遊技機。
【請求項4】
遊技球が入球可能な固定始動口を前記遊技領域に備えると共に、
前記固定始動口への遊技球の入球を契機として第1始動入球情報を取得し、前記可変始
動口への遊技球の入球を契機として第2始動入球情報を取得する情報取得手段と、
前記第1始動入球情報を予め定めた数まで記憶可能な第1保留記憶手段と、
前記第2始動入球情報を予め定めた数まで記憶可能な第2保留記憶手段とを備え、
前記判定手段は、前記第1始動入球情報よりも前記第2始動入球情報を優先的に用いて
前記入球判定を実行可能であり、
前記第2始動入球情報に基づいて実行される前記入球判定が前記小当たり状態を生起さ
せることに対応する判定結果となる確率が、前記第1始動入球情報に基づいて実行される
前記入球判定が前記小当たり状態を生起させることに対応する判定結果となる確率よりも
高く設定されている請求項1~3の何れか一項に記載の遊技機。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、パチンコ遊技機等の遊技機に関するものである。
【背景技術】
【0002】
遊技機としては例えば、遊技球を用いて遊技を行うパチンコ遊技機が知られている。こ
のパチンコ遊技機は、機内部に配置されている遊技盤の前面側に遊技領域が形成されてお
り、その遊技領域を機前方から視認できるように構成されている。遊技領域には複数種類
の入球口が点在している。このため、遊技者のハンドル操作等によって遊技領域に打ち出
された遊技球が当該遊技領域を流下する過程で、複数のうち何れかの入球口に入球したり
、或いは入球せず遊技領域の下端まで流下してアウト口から排出されたりする。そして、
遊技球が入球口に入球した場合、その入球口の種類に応じた賞球が遊技者に向けて付与さ
れる。すなわち、パチンコ遊技機で遊技を行う場合、遊技球が入球口に入球することに応
じて利益を得ることができる(例えば、特許文献1)。
【0003】
一般的なパチンコ遊技機では、遊技領域の入球口として、始動口や特別入賞口(大入賞
口)、ゲート(作動口)等が設けられる。そして、始動口への遊技球の入球を契機として
当たり判定(特図当たり判定)を行い、この当たり判定の判定結果に基づいて、特別入賞
口への入球が可能な大当たり遊技状態や小当たり状態とするか否かが決定される。また、
始動口として、遊技領域を流下する遊技球が入球可能な状態と入球不可能な状態とに変化
する可変式の始動口(可変始動口)が設けられており、この可変始動口を遊技球が入球可
能な状態とするか否かをゲートへの遊技球の入球(通過)を契機とする当たり判定(普図
当たり判定)によって決定している。またパチンコ遊技機では、遊技者に有利な遊技状態
の一種として、通常遊技状態よりも普通作動部材の作動時間を長くしたり作動頻度を高め
たりすることで、遊技球が可変始動口に入球し易い入球容易状態(時短遊技状態)を生じ
させる。なお、入球容易状態は、特図当たり判定の当選確率が通常遊技状態よりも高い遊
技状態(確変状態)と共に生起させることもある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
近年のパチンコ遊技機では、遊技者に有利な状態が連続的に生じ得る遊技性が求められ
ており、このような要望を満たす新たな遊技性の検討が進められている。しかしながら、
適正ではない特殊な遊技操作(攻略打ち)を行うことで有利な状態を長く継続させること
ができる仕様は避ける必要がある。
【0006】
本発明は、従来における問題点を解決するためになされたものであり、その目的は、特
殊な遊技操作による利益獲得を防止可能な遊技機を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
前記目的を達成するため本発明に係る遊技機は、遊技領域を流下する遊技球が入球可能
な可変始動口及び特別入賞口と、前記特別入賞口に入球した遊技球が通過可能な特定領域
と、前記可変始動口への遊技球の入球を契機として入球判定を実行する判定手段と、前記
判定手段による前記入球判定の結果に基づいて状態を変化させる生起手段とを備え、
前記生起手段が、前記判定手段による前記入球判定の結果に基づいて、前記特別入賞口
への遊技球の入球が可能な小当たり状態を生起可能であると共に、前記小当たり状態中に
遊技球が前記特定領域を通過したことに基づいて該小当たり状態を大当たり遊技状態に発
展させ、かつこの大当たり遊技状態の終了後に、通常遊技状態よりも前記可変始動口への
遊技球の入球が容易な入球容易状態を生起可能な遊技機であって、
前記入球容易状態中に前記判定手段が実行した前記入球判定が第1結果となった場合、
前記生起手段が、当該入球容易状態を終了させることなく前記小当たり状態を生起させる
一方、前記入球容易状態中に前記判定手段が実行した前記入球判定が第2結果となった場
合には、前記生起手段が、当該入球容易状態を終了させ前記通常遊技状態で前記小当たり
状態を生起させ、
前記生起手段は、前記入球容易状態中に前記判定手段が実行した前記入球判定が前記第
1結果となったことに基づいて生起する前記小当たり状態中に前記特定領域を遊技球が通
過しなかった場合に、当該小当たり状態の終了時点で前記入球容易状態を終了させること
を特徴とする。
【0008】
これによれば、入球容易状態中に判定手段が実行した入球判定が第2結果となった場合
は、入球容易状態から通常遊技状態に移行した後に小当たり状態が生じるため、この小当
たり状態で遊技球が特定領域を通過しない場合も、入球容易状態は終了する。これに対し
、入球容易状態中に判定手段が実行した入球判定が第1結果となった場合には、入球容易
状態を終了しないまま小当たり状態となるため、この小当たり状態で遊技球が特定領域を
通過しない場合は入球容易状態が維持される虞がある。そこで、入球容易状態中の入球判
定が第1結果となって小当たり状態が入球容易状態中に生起する場合、その小当たり状態
の終了時点で入球容易状態を終了させるようにすることで、確実に入球容易状態を終了さ
せることができる。
【発明の効果】
【0009】
前記構成を有する本発明に係る遊技機によれば、特殊な遊技操作による不正な利益獲得
を防止することができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【
図1】実施形態におけるパチンコ遊技機の正面図である。
【
図3】主制御基板及び周辺機器の電気的構成をブロックで示す説明図である。
【
図4】サブ制御基板及び周辺機器の電気的構成をブロックで示す説明図である。
【
図6】(a)は、第1特図用の大当たり種別判定テーブルの説明図であり、(b)は、第2特図用の大当たり種別判定テーブルの説明図である。
【
図8】(a)は、第1特図用のリーチ判定テーブルの説明図、(b)は、第2特図用のリーチ判定テーブルの説明図である。
【
図9】(a)は、第1特図用の特図変動パターン選択テーブルの説明図、(b)は、第2特図用の特図変動パターン選択テーブルの説明図である。
【
図10】普通図柄当否判定テーブルの説明図である。
【
図11】普図当たり種別判定テーブルの説明図である。
【
図12】メイン側主制御処理のフローチャートである。
【
図13】メイン側タイマ割込処理のフローチャートである。
【
図14】図柄用センサ検出処理のフローチャートである。
【
図16】特別図柄待機処理のフローチャートである。
【
図17】特図大当たり判定処理のフローチャートである。
【
図18】特図変動パターン選択処理のフローチャートである。
【
図20】特別図柄関連処理のフローチャートである。
【
図21】遊技状態管理処理のフローチャートである。
【
図22】特別電動役物処理(1種大当たり、V当たり)のフローチャートである。
【
図23】特別電動役物処理(小当たり)のフローチャートである。
【
図24】サブ側主制御処理のフローチャートである。
【
図25】1msタイマ割込処理のフローチャートである。
【
図26】10msタイマ割込処理のフローチャートである。
【
図27】受信コマンド解析処理のフローチャートである。
【
図28】変動演出開始処理のフローチャートである。
【
図29】遊技状態及び演出モードに関する説明図である。
【
図30】(a)は、通常小当たりによる時短遊技状態の終了条件が成立する場合の状態変化に関するタイムチャートであり、(b)は、転落小当たりによる時短遊技状態の終了条件が成立する場合の状態変化に関するタイムチャートである。
【
図31】(a)は、時短遊技状態が大当たり遊技状態を挟んで連続的に生起した後、時短リミッタが作動することで非時短遊技状態に復帰する流れを示す説明図であり、(b)は、時短遊技状態が大当たり遊技状態を挟んで連続的に生起し、7回目の時短遊技状態で転落小当たりに当選したことに応じて、時短リミッタが作動するまでの期間が延長された場合の流れを示す説明図である。
【
図32】時短遊技状態が大当たり遊技状態を挟んで連続的に生起する状態と、演出表示装置の画面上での時短モード連続設定回数の表示内容との関係を示す説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
本発明の実施形態に係る遊技機について図を参照しつつ説明する。以下の説明では、本
発明の実施形態に係る遊技機として、遊技球を用いて遊技を行うパチンコ遊技機を例に挙
げる。なお、パチンコ遊技機の各部について方向や位置関係を説明する場合は、このパチ
ンコ遊技機と対向して遊技を行う遊技者から見た状態での「左」「右」及び「上」「下」
を基準とする。また、遊技者から見て近い側(手前側)を「前」とし、遠い側(奥側)を
「後」とする。
【0012】
[パチンコ遊技機1の主要構成]
実施形態のパチンコ遊技機1は、
図1に示すように、遊技機枠を備える。遊技機枠は、
後述する遊技盤2を保持する内枠16と、この内枠16の前面を覆う扉状の前面枠18と
を少なくとも含むように構成され、矩形枠状の外枠Wを介して遊技店内の設置島(図示せ
ず)に設置される。前面枠18は、左サイドランプ23aと、右サイドランプ23bと、
トップランプ23cとを備え、これらで囲まれる内側に窓18aが形成されている。この
窓18aは、遊技盤2の盤面(前面)に形成される遊技領域3を視認可能とする開口であ
り、この窓18aを塞ぐように透明なガラス板が設けられるが、
図1では省略している。
また、前面枠18の左右の上端部(トップランプ23cを挟む左右両側)に、音楽、効果
音及び報知音等の音を演出内容に応じて出力する音出力手段としてのスピーカ8が夫々設
けられている。
【0013】
前面枠18は、左サイドランプ23a及び右サイドランプ23bを構成する両側部が透
光性を有し、その透光性を有する部分の内側には複数のLEDが配置されている。各LE
Dは、それぞれ複数色を発光可能であり、演出内容に応じて点灯または点滅し、更に発光
色を変化させる。
また、トップランプ23cは、内部(図示せず)にLEDおよび回転リフレクタを有す
る回転灯を構成している。LEDは、複数色を発光可能であり、演出内容や報知内容に応
じて点灯または点滅し、更に発光色を変化させる。回転リフレクタは、可動体モータ23
d(
図4)の駆動に応じてLEDの周囲で回転し、LEDの光の反射方向を変化させる。
【0014】
また、前面枠18の下部には、ハンドル4と、打球供給皿(上皿ともいう)24と、余
剰球受皿(下皿ともいう)25とが設けられている。打球供給皿24は、貸球払出装置8
0(
図3)及び賞球払出装置400(
図3)から払出された遊技球を貯留する、又は発射
装置90(
図3)に供給する遊技球を貯留するためのものである。余剰球受皿(下皿とも
いう)25は、前面枠18のうち打球供給皿24の下方に設けられている。余剰球受皿2
5は、打球供給皿24の貯留可能数を超えた遊技球を貯留する。
【0015】
ハンドル4は、前面枠18のうち右下、つまり、パチンコ遊技機1と対向して遊技を行
う遊技者が右手で握ることができる位置に設けられている。ハンドル4は、タッチスイッ
チ92(
図3)と、発射レバー4aと、発射停止ボタン4bとを備えている。タッチスイ
ッチ92は、遊技者がハンドル4に触れたことを示す信号を出力するものであり、ハンド
ル4を握った遊技者の右手が触れる部分に配置されている。発射レバー4aは、発射装置
90(打撃槌)による遊技球の発射強度を調整するためのものであり、ハンドル4に回動
可能に設けられている。発射停止ボタン4bは、遊技球が発射されているときに遊技球の
発射を停止するためのものであり、ハンドル4を握った右手の親指により操作可能な位置
に設けられている。
【0016】
前面枠18のうち打球供給皿24の上面に、演出ボタン5が設けられている。この演出
ボタン5は、パチンコ遊技機1と対向する遊技者が片手で押下操作可能であるが、当該遊
技者が片手のみでハンドル4と同時に操作することが不可能な位置に設けられている。ま
た、演出ボタン5は、遊技者が片手のみで後述する演出レバー6と同時に操作することが
不可能な位置に設けられている。演出ボタン5にはバネ等の弾性部材(図示せず)が内蔵
されており、演出ボタン5に対する押下操作状態が解除された際に、この弾性部材の復元
力によって演出ボタン5が押下操作前の状態に復帰するようになっている。この演出ボタ
ン5には、演出ボタン5に対する押下操作を検出する演出ボタン検出スイッチ5a(
図4
)と、演出ボタン5を振動させる演出ボタン振動モータ5b(
図4)と、演出ボタン5を
発光させる演出ボタンランプ5c(
図4)とが内蔵されている。演出ボタン振動モータ5
bは、例えば演出ボタン5の押下操作が有効な期間において所定のタイミングで振動する
。本実施形態では、演出ボタン振動モータ5bの作動によって演出ボタン5を振動させた
り、演出ボタンランプ5c(本実施形態ではLED)の発光によって透光性材料からなる
演出ボタン5の表面を点灯または点滅させたりすることで、例えば演出ボタン5の操作が
有効な期間であることを報知したり、大当たりの期待度を高めたりする演出が行われる。
演出ボタン5の押下操作が有効な期間に遊技者が演出ボタン5を押下操作すると、その操
作が演出ボタン検出スイッチ5aによって検出され、これを契機として特定の演出が行わ
れる。以下、演出ボタン5の操作を契機として行われる特定の演出のことをボタン演出と
いう。
【0017】
前面枠18のうち余剰球受皿25の左方(下側の左端寄り)に、演出レバー6が設けら
れている。この演出レバー6は、パチンコ遊技機1と対向する遊技者が片手で把持して操
作可能であるが、当該遊技者が片手のみでハンドル4や演出ボタン5と同時に操作するこ
とが不可能な位置に設けられている。具体的には、演出レバー6は、把持した手で奥側へ
押し込むように操作(押込操作)できる他、左右に回転させるように操作(回転操作)す
ることも可能に構成されている。また、演出レバー6には、演出レバー6の押込操作を検
出する演出レバー押込検出スイッチ6a(
図4)と、演出レバー6の右回転操作や左回転
操作を検出する演出レバー回転検出スイッチ6b(
図4)と、演出レバー6を振動させる
演出レバー振動モータ6c(
図4)とが設けられている。本実施形態では、演出レバー振
動モータ6cの作動によって演出レバー6を振動させることで、例えば演出レバー6の操
作が有効な期間であることを報知したり、大当たりの期待度を高めたりする演出が行われ
る。演出レバー6の操作が有効な期間に遊技者が演出レバー6を押込操作または回転操作
すると、その操作が演出レバー押込検出スイッチ6aや演出レバー回転検出スイッチ6b
によって検出され、これを契機として特定の演出が行われる。以下、演出レバー6の操作
を契機として行われる特定の演出のことをレバー演出という。
【0018】
[遊技盤2の構成]
遊技盤2は、その盤面(前面)が遊技者の顔と略正対する位置となるように内枠16に
保持されている。この遊技盤2は、前面枠18の前述したガラス板により前方から覆われ
ているが、その盤面は、ガラス板(窓18a)を介して遊技者側(前方)から透視可能と
なっている。なお、
図1では、遊技盤2の盤面の外周側(正面視で窓18aよりも外側に
ある範囲)が確認できないが、遊技球が流下(転動)する領域である遊技領域3を内周側
に区画形成する環状の遊技領域形成手段(レール部材17等)が配置されている。なお、
遊技盤2の盤面左側部ではレール部材17が左右2列となっており、その内側を発射装置
90(
図3)による発射球が上昇移動して遊技領域3に至るようになっている。この場合
に発射球は、レール部材17の前述した左右2列の部分のうち
図1で確認できない左側の
部分に案内されて遊技領域3の上部領域に到達する。
【0019】
また、図示省略するが、遊技盤2の盤面のうち遊技領域3の範囲には複数の遊技釘が打
ち込まれている。このため、遊技領域3を流下する遊技球は遊技釘に接触してその挙動が
変化する。遊技球は、遊技領域3を流下する過程で後述する入球口10a,11a,12a
,14a,15aに入球するか、または入球せず遊技領域3を下端まで流下してアウト口1
9から遊技領域3外(内枠16側)へと排出される。アウト口19は遊技領域3に少なく
とも一つ設けられており、複数ある場合はその一つが遊技領域3の下端に位置している。
【0020】
ここで、遊技盤2の盤面の中央側に、大型のセンター装飾体20が配置されて、レール
部材17等の遊技領域形成手段から内側に離間している。このセンター装飾体20は環状
あるいは枠状であり、遊技盤2の略中央に形成されている大型の開口(図示せず)の縁に
沿って取り付けられている。そして、遊技盤2の背後に位置する演出表示装置7(液晶パ
ネル等)の画面(前面)の略全体が、センター装飾体20の内側開口を通じて盤面前側に
露出し、パチンコ遊技機1の正面視では、センター装飾体20が演出表示装置7の画面の
周囲を装飾するように位置している。センター装飾体20は透光性を有し、その内側には
、演出内容に応じて点灯・点滅する複数のLEDが設けられている。
なお、遊技盤2には、前述したセンター装飾体20内を含む複数箇所に発光手段(LE
D)が設けられており、その発光により遊技盤2を装飾するように構成されている。この
ように遊技盤2に設けられる装飾用の発光手段のことを、以下では「盤ランプ2a」と称
することとする(
図4)。盤ランプ2aを構成する各LEDは、複数色を発光可能であり
、演出内容に応じて点灯または点滅し、更に発光色を変化させる。
【0021】
センター装飾体20は、遊技盤2の盤面より前側に環状(枠状)に突出しているので、
遊技領域3を流下する遊技球がセンター装飾体20の内周側(画面の前方空間)に移動す
ることが防止される。そしてこのセンター装飾体20により、遊技領域3がその上部で左
右に分岐するように区画されている。すなわち、遊技領域3は、センター装飾体20の左
側を流下する遊技球の経路である左遊技領域(第1の球流下領域)3Lと、センター装飾
体20の右側を流下する遊技球の経路である右遊技領域(第2の球流下領域)3Rとを含
む領域である。
【0022】
遊技盤2には、その厚み方向に貫通する装着口(図示せず)が複数形成されており、そ
の各装着口に対応して、第1始動入賞装置10と、一般入賞部材11と、第2始動入賞装
置12と、ゲート13と、第1大入賞装置14と、第2大入賞装置15とが配置されてい
る。これらの構成は、遊技領域3を流下する遊技球が入球可能な入球口10a,11a,1
2a,13,14a,15aを有している。以下の説明では、遊技球の入球に対して賞球を
付与可能な入球口として定められているものを「入賞口」と称することがある。なお、入
賞口への遊技球の入球のことを「入賞」と表現してもよい。また、入球口(入賞口)の一
種である「始動口」(または「契機口」)とは、遊技球の入球が後述する特別図柄の変動
表示の契機となる入賞口のことである。この始動口への遊技球の入球のことを「始動入球
(始動入賞)」と表現することができる。
【0023】
第1始動入賞装置10は、センター装飾体20の下方領域の中央部に、遊技盤2の盤面
から前側(ガラス板側)に突出するように設けられている。この第1始動入賞装置10は
、第1始動口10a及び第1始動口センサ10bを有する入賞装置(入賞部)である。第
1始動口10aは、遊技領域3内で上方に向けて開口している。第1始動口センサ10b
(
図3)は、第1始動口10aに入球(始動入球)した遊技球を検出するセンサ(検出手
段)であり、第1始動口10aに入球した遊技球を遊技盤2の後面側に導く入賞球通路(
図示せず)の途中に配置されている。第1始動入賞装置10は、第1始動口10aを常に
入球可能な状態に維持するように構成されており、第1始動口10aへの入球し易さや開
口寸法を変化させるような部材は備えていない。
【0024】
一般入賞部材11は、センター装飾体20の下方領域のうち左寄りの位置に、遊技盤2
の盤面から前側(ガラス板側)に突出するように設けられている。この一般入賞部材11
は、一般入賞口11a及び一般入賞口センサ11bを有する入賞装置(入賞部)である。
一般入賞口11aは、遊技領域3内で上方に向けて開口している。一般入賞口センサ11
b(
図3)は、一般入賞口11aに入球した遊技球を検出するセンサ(検出手段)であり
、一般入賞口11aに入球した遊技球を遊技盤2の後面側に導く入賞球通路(図示せず)
の途中に配置されている。一般入賞部材11は、一般入賞口11aを常に入球可能な状態
に維持するように構成されており、一般入賞口11aへの入球し易さや開口寸法を変化さ
せるような部材は備えていない。
【0025】
図2には、遊技領域3の右下部(右遊技領域3Rの下半部)を拡大して示してある。
この
図2に示すように、ゲート13(作動口)は、センター装飾体20の右方領域に、
遊技盤2の盤面から前側(ガラス板側)に突出するように設けられている。このゲート1
3には、通過する遊技球を検出するゲートセンサ13a(
図3)が配置されている。なお
、ゲート13は、遊技球が上下方向(上から下)に通過(入球)可能に構成されており、
遊技球を遊技領域3外(遊技盤2の後面側)に導くような通路構造を有していない。
【0026】
第2始動入賞装置12は、
図1及び
図2に示すように、センター装飾体20の右下方に
配置されている。この第2始動入賞装置12は、第2始動口12a、普通作動部材12b
、第2始動口センサ12c(
図2、
図3)及び第2始動口ソレノイド12d(
図3)を有
する入賞装置(入賞部)であり、遊技盤2の盤面から前側(ガラス板側)に突出するよう
に設けられている。第2始動口12aは、遊技領域3内で左上方に向けて開口している。
第2始動口センサ12cは、第2始動口12aに入球(始動入球)した遊技球を検出する
センサ(検出手段)であり、第2始動口12aに続く入賞球通路(入球した遊技球を遊技
盤2の後面側に導く球通路)の途中に配置されている。普通作動部材12bは、傾斜面状
の上面を有する板状部材であり、後側の入球阻止姿勢(第1姿勢)と前側の入球許容姿勢
(第2姿勢)との間で前後にスライド可能に構成されている。第2始動口ソレノイド12
dは、普通作動部材12bと連結されており、消磁状態(非作動状態)において普通作動
部材12bを入球阻止姿勢に維持すると共に、励磁状態(作動状態)において普通作動部
材12bを入球許容状態に維持する。そして、入球阻止姿勢の普通作動部材12bは、遊
技盤2の盤面よりも後側に位置して上方(ゲート13側)からの遊技球を受けることなく
下方へ通過させることで第2始動口12aへの遊技球の入球(始動入球)を阻止する。一
方で、入球許容姿勢の普通作動部材12bは、遊技盤2の盤面よりも前側に位置して上方
(ゲート13側)からの遊技球を受け、上面を傾斜に沿って転動させる状態となることで
第2始動口12aへの入球(始動入球)を許容する。すなわち、第2始動入賞装置12に
設けられる第2始動口12aは、遊技球の入球し易さが姿勢に応じて変動する入賞口(可
変入球口、可変始動口)である。
この第2始動口12aについて、実際には開口寸法が変化しているわけではないが、以
下の説明では便宜上、普通作動部材12bが入球阻止姿勢となっていて遊技球が入球し得
ない状態を「閉鎖状態」と表現し、当該閉鎖状態に変化することを「閉鎖する」と表現す
ることがある。また、普通作動部材12bが入球許容姿勢となっていて遊技球が入球し得
る状態を「開放状態」と表現し、当該開放状態に変化することを「開放する」と表現する
ことがある。
【0027】
第1大入賞装置14は、
図1及び
図2に示すように、センター装飾体20の右下方領域
(第2始動入賞装置12に対して下方)に、遊技盤2の盤面から前側(ガラス板側)に突
出するように設けられている。この第1大入賞装置14は、第1大入賞口14a(特別入
賞口、特別入球口)、第1特別作動部材14b、第1大入賞口センサ14c(
図3)及び
第1大入賞口ソレノイド14d(
図3)を有する入賞装置(入賞部)である。第1大入賞
口14aは、遊技領域3内で上方に向けて開口している。第1大入賞口センサ14cは、
第1大入賞口14aに入球した遊技球を検出するセンサ(検出手段)であり、第1大入賞
口14aに入球した遊技球を遊技盤2の後面側に導く入賞球通路(図示せず)の途中に配
置されている。第1特別作動部材14bは、傾斜面状の上面を有する板状部材であり、前
側の入球阻止姿勢(第1姿勢)と後側の入球許容姿勢(第2姿勢)との間で前後にスライ
ド可能に構成されている。第1大入賞口ソレノイド14dは、第1特別作動部材14bと
連結されており、消磁状態(非作動状態)において第1特別作動部材14bを入球阻止姿
勢に維持すると共に、励磁状態(作動状態)において第1特別作動部材14bを入球許容
状態に維持する。そして、入球阻止姿勢の第1特別作動部材14bは、遊技盤2の盤面よ
りも前側に位置して第1大入賞口14aを閉鎖することで第1大入賞口14aへの遊技球
の入球を阻止し、遊技球を傾斜上の上面によって下流側(左下方)へと流下させる。一方
で、入球許容姿勢の第1特別作動部材14bは、遊技盤2の盤面よりも後側に位置して第
1大入賞口14aを開放し、第1大入賞口14aへの遊技球の入球を許容する。すなわち
、第1大入賞装置14に設けられる第1大入賞口14aは、その開口寸法が変動する(遊
技球の入球し易さが姿勢に応じて変動する)入賞口(可変入球口)である。
この第1大入賞口14aについて、以下の説明では、第1特別作動部材14bが入球阻
止姿勢となっていて遊技球が入球し得ない状態を「閉鎖状態」と表現し、当該閉鎖状態に
変化することを「閉鎖する」と表現することがある。また、第1特別作動部材14bが入
球許容姿勢となっていて遊技球が入球し得る状態を「開放状態」と表現し、当該開放状態
に変化することを「開放する」と表現することがある。
【0028】
第2大入賞装置15は、
図1及び
図2に示すように、センター装飾体20の右下方領域
(第1大入賞装置14に対して左下方)に、センター装飾体20の下方領域のうち右寄り
の位置に、遊技盤2の盤面から前側(ガラス板側)に突出するように設けられている。こ
の第2大入賞装置15は、第2大入賞口15a(特別入賞口、特別入球口)、第2特別作
動部材15b、第2大入賞口センサ15c(
図2、
図3)及び第2大入賞口ソレノイド1
5d(
図3)を有する入賞装置(入賞部)である。第2大入賞口15aは、遊技領域3内
で上方に向けて開口している。第2大入賞口センサ15cは、第2大入賞口15aに入球
した遊技球を検出するセンサ(検出手段)であり、第2大入賞口15aに入球した遊技球
を遊技盤2の後面側に導く入賞球通路(図示せず)の途中に配置されている。第2特別作
動部材15bは、傾斜面状の上面を有する板状部材であり、前側の入球阻止姿勢(第1姿
勢)と後側の入球許容姿勢(第2姿勢)との間で前後にスライド可能に構成されている。
第2大入賞口ソレノイド15dは、第2特別作動部材15bと連結されており、消磁状態
(非作動状態)において第2特別作動部材15bを入球阻止姿勢に維持すると共に、励磁
状態(作動状態)において第2特別作動部材15bを入球許容状態に維持する。そして、
入球阻止姿勢の第2特別作動部材15bは、遊技盤2の盤面よりも前側に位置して第2大
入賞口15aを閉鎖することで第2大入賞口15aへの遊技球の入球を阻止し、遊技球を
傾斜上の上面によって下流側(左下方)へと流下させる。一方で、入球許容姿勢の第2特
別作動部材15bは、遊技盤2の盤面よりも後側に位置して第2大入賞口15aを開放し
、第2大入賞口15aへの遊技球の入球を許容する。すなわち、第2大入賞装置15に設
けられる第2大入賞口15aは、その開口寸法が変動する(遊技球の入球し易さが姿勢に
応じて変動する)入賞口(可変入球口)である。
この第2大入賞口15aについて、以下の説明では、第2特別作動部材15bが入球阻
止姿勢となっていて遊技球が入球し得ない状態を「閉鎖状態」と表現し、当該閉鎖状態に
変化することを「閉鎖する」と表現することがある。また、第2特別作動部材15bが入
球許容姿勢となっていて遊技球が入球し得る状態を「開放状態」と表現し、当該開放状態
に変化することを「開放する」と表現することがある。
【0029】
また、第2大入賞装置15の内部には、第2大入賞口15aに入球した遊技球が通過(
入球)可能な特定領域及び非特定領域が形成されており、第2大入賞口15aに入球した
遊技球は特定領域または非特定領域を介して遊技盤2の後面側に排出されるようになって
いる。そして、第2大入賞装置15には、特定領域を通過(入球)する遊技球を検出する
特定領域センサ55a(
図2、
図3)と、非特定領域を通過(入球)する遊技球を検出す
る非特定領域センサ55b(
図2、
図3)とが設けられている。なお、第2大入賞装置1
5の内部の前述した入賞球通路は、特定領域センサ55aが配置された(特定領域を形成
する)通路部分と、非特定領域センサ55bが配置された(非特定領域を形成する)通路
部分とが下流側で接続され、その接続部分によって、特定領域を通過した遊技球と非特定
領域を通過した遊技球とが合流する構成となっている。そして接続部分に、前述した第2
大入賞口センサ15cが配置されている。
また、第2大入賞装置15の内部に振分部材56(
図2)が設けられており、この振分
部材56が振分部材ソレノイド55c(
図3)のプランジャに連結されている。そして、
振分部材ソレノイド55cの励磁・消磁の変化に応じて振分部材56が前後方向に進退す
るように構成されている。すなわち、振分部材56は、振分部材ソレノイド55cが消磁
状態の時に前側の進出位置に位置して特定領域を塞ぐことで、第2大入賞口15aに入球
した遊技球が非特定領域に誘導し、この非特定領域を通過する遊技球を非特定領域センサ
55bによって検出するようになっている。また、振分部材56は、振分部材ソレノイド
55cを励磁状態とすることで作動し、当該作動時に後側の退避位置に位置して特定領域
を開放することで、第2大入賞口15aに入球した遊技球が特定領域を通過するのを許容
し、この特定領域を通過する遊技球を特定領域センサ55aによって検出するようになっ
ている。本実施形態では、後述の小当たり状態中の特定領域への遊技球の通過が、後述の
V当たり状態への移行(後述の2種大当たり状態への発展)の契機となっている。
【0030】
ところで、パチンコ遊技機1は、前述したハンドル4の操作に応じて遊技球の発射強度
を調節することが可能であるので、発射強度の調節によって遊技球を左遊技領域3Lと右
遊技領域3Rとに打ち分けることができる。本実施形態では、前述の盤面構成により、左
遊技領域3Lに向かって発射(以下「左打ち」という)した遊技球が、左遊技領域3Lに
設けられる入球口(第1始動口10a、一般入賞口11a)に入球する可能性がある。一
方、右遊技領域3Rに向かって発射(以下「右打ち」という)した遊技球は、右遊技領域
3Rに設けられる入球口(ゲート13、第2始動口12a、第1大入賞口14a、第2大
入賞口15a)に入球する可能性がある。
【0031】
[表示器類50の構成]
図1に示すように、遊技盤2の右下端部(遊技領域3の右下方)に、各種の遊技情報を
表示する遊技情報表示手段である表示器類50が設けられている。この表示器類50は、
図3に示すように、第1特別図柄(第1特図または特
図1ともいう)を変動表示する第1
特別図柄表示器51と、第2特別図柄(第2特図または特
図2ともいう)を変動表示する
第2特別図柄表示器52と、普通図柄(普図ともいう)を変動表示する普通図柄表示器5
3とを備える。更に、表示器類50は、第1特別図柄表示器51での第1特図の作動保留
の記憶数を表示する第1特図保留表示器51aと、第2特別図柄表示器52での第2特図
の作動保留の記憶数を表示する第2特図保留表示器52aとを備える。なお、本実施形態
では、普通図柄表示器53での普通図柄の作動保留を記憶する記憶部が設けられていない
(普図変動表示が行われていない状態に限り、ゲート13への遊技球の通過を契機として
作動入球情報を取得し、普図当たり判定用に記憶する)ため、当該普通図柄の作動保留の
記憶数を表示する表示器も備えていない。これに対し、普通図柄の作動保留を記憶する記
憶部(普図保留記憶部)と、その記憶数を表示する表示器(普図保留表示器)とを備える
ようにしてもよい。
以下、第1特図及び第2特図に共通の事項を説明する際に、単に特別図柄または特図と
いう場合がある。また、第1特別図柄表示器51及び第2特別図柄表示器52に共通の事
項を説明する場合は、単に特別図柄表示器という場合がある。
【0032】
普通図柄表示器53は、例えば2個のLEDから構成されている。点灯したLED及び
消灯したLEDが普通図柄を表しており、各LEDが交互に点灯する状態が普通図柄の変
動表示を表している。また、遊技球がゲート13(ゲートセンサ13a)を通過すると、
所定の入球口(本実施形態では第2始動口12a)を開放するか否かの判定(普図当たり
判定)が実行され、普通図柄表示器53が普通図柄を変動表示する。そして、普通図柄表
示器53は、普通図柄の変動表示を開始してから所定時間経過後に、普図当たり判定の結
果に対応する普通図柄を確定表示する。普通図柄表示器53が確定表示した普通図柄が、
当たりを示す普通図柄であった場合は、第2始動入賞装置12の普通作動部材12bが入
球許容姿勢となることで、第2始動口12aが開放して普図当たり状態(後述する補助遊
技)が発生する。
【0033】
各特別図柄表示器51,52は、それぞれ複数のLEDにより構成されている。各特別
図柄表示器51,52を構成する各LEDは、それぞれ所定の点灯パターンにて点灯し、
点灯しているLED及び消灯しているLEDの組み合わせが特別図柄を表しており、点灯
するLED及び消灯しているLEDの組み合わせが変化している状態が特別図柄の変動表
示を表している。以下、特別図柄が変動表示を開始してから特別図柄が確定表示されるま
での特別図柄の変動パターンを特図変動パターンという。なお、特別図柄には、特図当た
り判定(内部判定、大当たり判定、当否判定、始動入球判定等とも称する)が大当たりの
判定結果となったことを示す大当たり図柄と、特図当たり判定(内部判定、小当たり判定
、当否判定、始動入球判定等とも称する)が小当たりの判定結果となったことを示す小当
たり図柄と、特図当たり判定がハズレの判定結果となったことを示すハズレ図柄とがある
。なお、小当たりについては後述する。
【0034】
遊技球が第1始動口10aに入球すると、特図当たり判定が実行され、第1特別図柄表
示器51が第1特図を変動表示する。そして、第1特別図柄表示器51は、第1特図の変
動表示を開始してから所定の変動時間の経過後に、特図当たり判定の結果に対応する第1
特図を確定表示する。第1特別図柄表示器51での新たな第1特図の変動表示の開始が禁
止されているとき(第1特別図柄表示器51が第1特図を変動表示しているときや、大当
たり遊技状態が発生しているとき)に、遊技球が第1始動口10aに入球した場合は、そ
の入球を契機とする第1特別図柄表示器51での第1特図の変動表示が保留(作動保留)
され、その作動保留の数が第1特図保留表示器51aによって表示される。以下、第1特
別図柄表示器51の作動保留数を第1特図保留数という。
【0035】
また、遊技球が第2始動口12aに入球すると、特図当たり判定が実行され、第2特別
図柄表示器52が第2特図を変動表示する。そして、第2特別図柄表示器52は、第2特
図の変動表示を開始してから所定の変動時間の経過後に、特図当たり判定の結果に対応す
る第2特図を確定表示する。第2特別図柄表示器52での新たな第2特図の変動表示の開
始が禁止されているとき(第2特別図柄表示器52が第2特図を変動表示しているときや
、大当たり遊技状態が発生しているとき)に、遊技球が第2始動口12aに入球した場合
は、その入球を契機とする第2特別図柄表示器52での第2特図の変動表示が保留(作動
保留)され、その作動保留の数が第2特図保留表示器52aによって表示される。以下、
第2特別図柄表示器52の作動保留数を第2特図保留数という。また、第1特図保留数及
び第2特図保留数に共通の事項を説明する場合は、単に特図保留数という。
【0036】
以下、特別図柄表示器が特別図柄の変動表示を開始してから特別図柄を確定表示するま
でを1回の特図変動(または特別図柄の1回の変動)という。また、特図変動の実行によ
って特図保留数が1個ずつ減少することを特図保留の消化という。パチンコ遊技機1では
、特別図柄表示器の作動保留がその発生タイミングの時系列順に特別図柄の変動表示に用
いられ、特図保留数が消化される。但し、第2特図保留数の消化が第1特図保留数の消化
に優先して実行される(第2特図の変動表示が第1特図の変動表示よりも優先的に実行さ
れる)。なお、特別図柄表示器において特別図柄の変動表示が終了してから特図保留数の
消化によって次の特別図柄の変動表示が開始されるまでの間に、所定の変動インターバル
(特別図柄の停止時間)が設けられている。
【0037】
[演出表示装置7の表示領域]
次に、演出表示装置7について説明する。演出表示装置7は、演出画像、メッセージ画
像、デモンストレーション画像等の動画像及び静止画像を表示する。遊技者は、パチンコ
遊技機1の前方からそれらの画像を見ながら遊技を行う。演出表示装置7は、演出画像と
して、演出(装飾)図柄を特別図柄の変動表示と同期させて変動表示する。演出図柄は、
算用数字(例えば、1~10)を表した図柄である。なお、演出図柄には、アルファベッ
トや特別なキャラクタ等、数字以外を表した図柄を含めてもよいし、数字以外を表した図
柄と組み合わせてもよい。演出表示装置7が演出図柄を変動表示する領域として、左から
順に、左演出図柄表示領域、中演出図柄表示領域、右演出図柄表示領域が設定されている
。左演出図柄表示領域では左演出図柄7Lが、中演出図柄表示領域では中演出図柄7Cが
、右演出図柄表示領域では右演出図柄7Rがそれぞれ変動表示される(
図1)。以下、左
演出図柄表示領域、中演出図柄表示領域及び右演出図柄表示領域に共通の事項を説明する
場合は、単に演出図柄表示領域という。
【0038】
各演出図柄の変動態様としては例えば、演出図柄が表す数字が昇順となるように画面の
上から下に移動する態様、つまり、縦方向にスクロールする態様がある。なお、他の変動
態様として、演出図柄が画面の左右の一方から他方へ移動する横スクロール方式、演出図
柄が同じ表示位置にて数字の昇順に順番に表示される切替方式等を用いることもできる。
また、演出表示装置7は、演出画像として各演出図柄の背景に背景画像を表示する。例え
ば、背景画像は、テレビドラマや映画等の動画像、その動画像をアニメ化した動画像、ア
ニメーション、パチンコ遊技機メーカーオリジナルの動画像等である。演出表示装置7は
、液晶表示装置である。なお、演出表示装置7として、有機EL表示装置、ドットマトリ
クスLEDを使った表示装置等を用いることもできる。
【0039】
演出表示装置7は、前述した特別図柄表示器51,52での特別図柄の変動表示と同期
させて各演出図柄を変動表示し、特別図柄が確定表示されると同時に各演出図柄を確定表
示し、特図当たり判定の結果を演出的に表示する。ここで、左演出図柄7L、中演出図柄
7C及び右演出図柄7Rは、同じ演出図柄が上下や左右に揺れながら停止位置に存在する
表示状態(仮停止表示)となった後に、完全に停止した表示状態(確定表示)となってそ
の変動表示が終了する。なお、全ての演出図柄7L,7C,7Rが同時に確定表示される。
【0040】
以下、特図当たり判定(大当たり判定、内部判定、始動入球判定)の結果が大当たりで
あったことを表す組み合わせの演出図柄を「大当たり演出図柄」といい、特図当たり判定
(小当たり判定)の結果が小当たりであったことを表す組み合わせの演出図柄を「小当た
り演出図柄」といい、特図当たり判定の結果がハズレ(小当たり以外)であったことを表
す組み合わせの演出図柄を「ハズレ演出図柄」という。大当たり演出図柄は、各演出図柄
が同じ数字を表す演出図柄で揃った状態、いわゆる、ぞろ目の状態である。例えば、
図1
に示すように、確定表示された左演出図柄7L、中演出図柄7C及び右演出図柄7Rがそ
れぞれ「7」で揃った状態である。これに対し、小当たり演出図柄は、大当たり演出図柄
(ぞろ目)以外の特定の組み合わせであり、例えば、左右の演出図柄の同じ数字を表す演
出図柄で揃い、かつ中演出図柄がチャンス図柄(小当たり用チャンス図柄)となる組み合
わせ等である。この他、ハズレ演出図柄は、大当たり演出図柄・小当たり演出図柄以外の
演出図柄の組み合わせである。以下、演出表示装置7が特別図柄表示器での特別図柄の変
動表示(特図変動)と同期させて行う演出図柄の変動表示を「変動演出」という。また、
変動演出での演出図柄の背後に表示される画像を「背景画像」という。なお、変動演出以
外の演出や報知等についても、演出表示装置7に表示する主たる表示画像に対してその背
後に表示する画像のことを「背景画像」ということがある。背景画像は、静止画像または
動画像である。
【0041】
演出図柄の変動演出は、特図の変動表示と同期して行われ、特別図柄表示器の作動保留
が発生した場合は、演出表示装置7の作動も保留される。つまり、特別図柄表示器の作動
保留数と、演出表示装置7の作動保留数とは一致する。なお、特図保留数に対応する演出
表示装置7の作動保留数は、
図1に示すように、保留画像によって演出表示装置7の予め
定められた表示領域(以下「演出保留表示領域7Ba,7Bb」という)に表示される。
従って、遊技者は、演出表示装置7(演出保留表示領域7Ba,7Bb)に表示される保
留画像の数を数えることにより、特別図柄の変動表示の作動保留数(第1特図保留数や第
2特図保留数)を知ることができる。本実施形態では、遊技状態毎に、入球が生じ易い側
の始動口(第1始動口10aまたは第2始動口12a)に対応する一方の特別図柄(第1
特図または第2特図)の作動保留数を、左側のメイン演出保留表示領域7Baで表示し、
他方の特別図柄の作動保留数を、右側のサブ演出保留表示領域7Bbで表示する。また、
演出表示装置7の画面において、演出保留表示領域7Ba,7Bbの左側に、実行中の変
動演出の存在を示すための当該変動用表示領域7Bcが設けられている。なお、演出保留
表示領域7Ba,7Bbや当該変動用表示領域7Bcは、演出表示装置7の画面に設けら
れる必要はなく、別の表示装置の画面上に設けるようにしてもよいし、LED等を用いた
ランプ(発光手段)により構成するようにしてもよい。
【0042】
また、パチンコ遊技機1では、変動演出の結果(演出図柄の停止表示)による特図当た
り判定の結果の報知に加えて、その変動演出の結果を示唆したりその結果表示までの過程
を盛り上げたりする演出等を行う。このような演出は、演出表示装置7に表示される画像
、スピーカ8から出力される音、遊技盤2や前面枠18のランプ(盤ランプ2a、左サイ
ドランプ23a、右サイドランプ23b、トップランプ23c)の点灯等を複合的に用い
て行われる。すなわち、パチンコ遊技機1に設けられる演出表示装置7、スピーカ8、ラ
ンプ2a,23a,23b,23cは、演出を実行する演出実行手段として機能する。
なお、演出表示装置7、スピーカ8、ランプ2a,23a,23b,23cは、パチンコ
遊技機1に生じた異常状態を報知するための異常報知手段としても機能する。
【0043】
[パチンコ遊技機1の主な電気的構成]
次に、
図3及び
図4を参照し、パチンコ遊技機1の主な電気的構成について説明する。
パチンコ遊技機1は、主制御基板60と、電源基板70と、払出制御基板73と、発射
制御回路75と、音声制御基板78と、ランプ制御基板79と、貸球払出装置80と、発
射装置90と、サブ制御基板100と、画像制御基板200とを備えている。
【0044】
図3に示すように、主制御基板60には、遊技制御用ワンチップマイコン(以下、遊技
制御用マイコンという)61が実装されている。遊技制御用マイコン61は、CPU62
と、ROM63と、RAM64と、入出力回路65とを備えている。遊技制御用マイコン
61は、大当たり乱数、大当たり種別乱数、小当たり種別乱数、リーチ乱数、変動パター
ン乱数、普図当たり乱数、普図当たり種別乱数等、各種の判定(抽選)にて使用する乱数
を発生する。CPU62は、入球の検出、特図当たり判定、普図当たり判定、各種乱数の
更新等を実行する(入球口への遊技球の入球を契機として判定を行う判定手段として機能
する)。ROM63には、CPU62が実行するコンピュータプログラム、当否判定テー
ブルT1、大当たり種別判定テーブルT2,T3、小当たり種別判定テーブルT4、リー
チ判定テーブルT5,T6、特図変動パターン選択テーブルT7,T8、普図当たり種別判
定テーブルT10等の各種のテーブルが記憶されている。RAM64は、CPU62がコ
ンピュータプログラムを実行するときのワークメモリ等として使用される。
【0045】
また、RAM64には、第1特図保留記憶部64a(第1保留記憶手段)と、第2特図
保留記憶部64b(第2保留記憶手段)とが設けられている。
第1特図保留記憶部64aは、第1乃至第4記憶領域を備えている。つまり、記憶可能
な第1特図保留数は最大4個である。各記憶領域には、遊技球が第1始動口10aに入球
したことに起因して遊技制御用マイコン61(情報取得手段)が取得した大当たり乱数、
大当たり種別乱数、小当たり種別乱数、リーチ乱数及び変動パターン乱数等の値(始動入
賞情報)が記憶される。例えば第1特別図柄表示器51が第1特図を変動表示していると
きに遊技球が第1始動口10aに入球すると、その入球に基づく第1特図の変動表示の実
行はその時点では待機状態とされる。この場合、当該入球を契機として取得された始動入
賞情報が第1特図保留記憶部64aに記憶され、その後に変動開始が可能となった時に、
その始動入賞情報に基づく第1特図の変動表示が開始される。すなわち、第1始動口10
aへの入球を契機として始動入賞情報が取得されたタイミングで特図変動表示を開始でき
ない場合、その始動入賞情報に基づく第1特図の変動表示の実行は、変動開始条件(始動
条件)が成立するまで保留(作動保留)される。
【0046】
第2特図保留記憶部64bは、第1乃至第4記憶領域を備えている。つまり、記憶可能
な第2特図保留数は最大4個である。各記憶領域には、遊技球が第2始動口12aに入球
したことに起因して遊技制御用マイコン61が取得した大当たり乱数、大当たり種別乱数
、小当たり種別乱数、リーチ乱数及び変動パターン乱数等の値(始動入賞情報)が記憶さ
れる。例えば第2特別図柄表示器52が第2特図を変動表示しているときに遊技球が第2
始動口12aに入球すると、その入球に基づく第2特図の変動表示の実行はその時点では
待機状態とされる。この場合、当該入球を契機として取得された始動入賞情報が第2特図
保留記憶部64bに記憶され、その後に変動開始が可能となった時に、その始動入賞情報
に基づく第2特図の変動表示が開始される。すなわち、第2始動口12aへの入球を契機
として始動入賞情報が取得されたタイミングで特図変動表示を開始できない場合、その始
動入賞情報に基づく第2特図の変動表示の実行は、変動開始条件(始動条件)が成立する
まで保留(作動保留)される。
【0047】
大当たり乱数等の始動入賞情報は、作動保留の発生順、つまり、遊技制御用マイコン6
1による取得順に第1特図保留記憶部64a及び第2特図保留記憶部64bの各第1記憶
領域から順番に記憶される。このため例えば、第1特図保留記憶部64aにおいて始動入
賞情報が第1乃至第4記憶領域まで記憶されている場合は、第4記憶領域に記憶されてい
る始動入賞情報が時間的に最も新しい情報であり、第1記憶領域に記憶されている始動入
賞情報が時間的に最も古い情報である。また例えば、第2特図保留記憶部64bにおいて
始動入賞情報が第1乃至第4記憶領域まで記憶されている場合は、第4記憶領域に記憶さ
れている始動入賞情報が時間的に最も新しい情報であり、第1記憶領域に記憶されている
始動入賞情報が時間的に最も古い情報である。各記憶領域に記憶されている始動入賞情報
は、特別図柄の変動表示が1回終了する毎に、記憶の順番が古い方の記憶領域に1つずつ
シフトする。例えば、第2記憶領域に記憶されていた大当たり乱数等は第1記憶領域にシ
フトする。また、第1記憶領域に記憶されている始動入賞情報に基づく特図当たり判定等
の判定(抽選)は、特別図柄表示器による特別図柄の当該変動表示が終了し、次の変動表
示の開始タイミングが到来した際(変動表示の始動条件が成立した際)に実行される。
【0048】
なお、パチンコ遊技機1では、前述したように第2特図保留数の消化が第1特図保留数
の消化に優先して実行される。つまり、第1特図保留数と第2特図保留数とが何れも複数
存在する場合、先ず第2特図保留数が順に消化され、次に第1特図保留数が順に消化され
る。例えば、第1特図保留記憶部64aの第1記憶領域と、第2特図保留記憶部64bの
第1記憶領域とに始動入賞情報が記憶されている状態で、特図の変動表示の開始タイミン
グが到来した場合は、第2特図保留記憶部64bの第1記憶領域に記憶されている始動入
賞情報が実行エリア(実行対象領域)にシフトし、この始動入賞情報に基づく特図当たり
判定等の判定が実行される。一方でこの時、第1特図保留記憶部64aでは第1記憶領域
の始動入賞情報はシフトされず、その後に第2特図保留数が0の状態での特図の変動表示
の開始タイミング到来時になると実行エリア(実行対象領域)にシフトして、この始動入
賞情報に基づく特図当たり判定等の判定が実行される。
【0049】
なお、本実施形態のパチンコ遊技機1は、普通図柄表示器53での普図変動表示中に遊
技球がゲート13を通過したことに起因して遊技制御用マイコン61が取得した情報(作
動入球情報)を記憶するための記憶部(記憶領域)を備えていない。すなわち、普通図柄
表示器53で普通図柄を変動表示しておらず、かつ補助遊技をしていない(普通作動部材
12bを作動していない)状態で(後述するゲート入球フラグがOFFの時に)遊技球が
ゲート13を通過した場合にのみ、普図当たり乱数(普通図柄が当たりか否かを判定(抽
選)するための乱数)や普図当たり種別乱数(普図当たりの種類を決定するための乱数)
等の値(作動入球情報)が取得され、その取得された乱数値(作動入球情報)を契機とす
る普図当たり判定が実行されて、その普図当たり判定の結果に基づく内容の普図変動表示
が普通図柄表示器53で実行される。
【0050】
また、主制御基板60には、RAMクリアスイッチ66が搭載されている。すなわち、
RAMクリアスイッチ66は、パチンコ遊技機1の後側から押下可能となっている。パチ
ンコ遊技機1は、RAMクリアスイッチ66が押下された状態で起動すると、RAM64
及びサブ制御基板100のRAM120を初期化する。
【0051】
また、主制御基板60には、表示器類50が電気的に接続されている。更に、主制御基
板60には、中継基板74を介して、第1始動口センサ10bと、一般入賞口センサ11
bと、第2始動口センサ12cと、第1大入賞口センサ14cと、第2大入賞口センサ1
5cと、ゲートセンサ13aと、特定領域センサ55aと、非特定領域センサ55bとが
電気的に接続されている。
【0052】
第1始動口センサ10bは、第1始動口10aに入球した遊技球を検出して検出信号を
主制御基板60へ出力する。一般入賞口センサ11bは、一般入賞口11aに入球した遊
技球を検出して検出信号を主制御基板60へ出力する。第2始動口センサ12cは、第2
始動口12aに入球した遊技球を検出して検出信号を主制御基板60へ出力する。第1大
入賞口センサ14cは、第1大入賞口14aに入球した遊技球を検出して検出信号を主制
御基板60へ出力する。第2大入賞口センサ15cは、第2大入賞口15aに入球した遊
技球を検出して検出信号を主制御基板60へ出力する。ゲートセンサ13aは、ゲート1
3に入球した(通過している)遊技球を検出して検出信号を主制御基板60へ出力する。
遊技球が前述の各センサ10b,11b,12c,14c,15c,13aのうちゲートセン
サ13a以外のセンサによって検出されると、センサ毎に予め定めた個数の賞球の払出条
件がそれぞれ成立する。
【0053】
ここで、本実施形態では、第1始動口センサ10bによる1回の検出(第1始動口10
aへの入球1個)に対する賞球が「1個」と定められており、第2始動口センサ12cに
よる1回の検出(第2始動口12aへの入球1個)に対する賞球が「2個」と定められて
おり、第1大入賞口センサ14cによる1回の検出(第1大入賞口14aへの入球1個)
に対する賞球が「10個」と定められており、第2大入賞口センサ15cによる1回の検
出(第2大入賞口15aへの入球1個)に対する賞球が「1個」と定められており、一般
入賞口センサ11bによる1回の検出(一般入賞口11aへの入球1個)に対する賞球が
「10個」と定められている。
【0054】
また、特定領域センサ55aは、第2大入賞装置15内部の特定領域を通過する遊技球
を検出して検出信号を主制御基板60へ出力する。同様に、非特定領域センサ55bは、
第2大入賞装置15内部の非特定領域を通過する遊技球を検出して検出信号を主制御基板
60へ出力する。
【0055】
また、主制御基板60には、中継基板74を介して、第2始動口ソレノイド12dと、
第1大入賞口ソレノイド14dと、第2大入賞口ソレノイド15dと、振分部材ソレノイ
ド55cとが電気的に接続されている。第2始動口ソレノイド12dは、主制御基板60
の制御に基づいて励磁され、普通作動部材12bを入球阻止姿勢から入球許容姿勢へと変
更する。第1大入賞口ソレノイド14dは、主制御基板60の制御に基づいて励磁され、
第1特別作動部材14bを入球阻止姿勢から入球許容姿勢へと変更する。第2大入賞口ソ
レノイド15dは、主制御基板60の制御に基づいて励磁され、第2特別作動部材15b
を入球阻止姿勢から入球許容姿勢へと変更する。振分部材ソレノイド55cは、主制御基
板60の制御に基づいて第2入賞装置12の内部の振分部材56を駆動する。
【0056】
主制御基板60には、払出制御基板73を介してカードユニット76と、貸球払出装置
80と、賞球払出装置400(賞球付与手段)とが電気的に接続されている。カードユニ
ット76は、パチンコ遊技機1に隣接して設けられており、プリペイドカードに対して残
高の読取りや書き込み等を行う。貸球払出装置80は、球貸モータ81と、球貸センサ8
2とを備えている。球貸モータ81は、貸球としての遊技球を払出す部材を駆動し、球貸
センサ82は、その部材によって遊技球が払出されたことを示す信号を、払出制御基板7
3を介して主制御基板60へ出力する。遊技制御用マイコン61は、払出制御基板73か
ら出力される信号に基づいて、貸球払出装置80が払出した貸球数を計数する。カードユ
ニット76に挿入されたプリペイドカードに、払出可能な最小残高以上の残高が記録され
ているときに、球貸ボタン(図示せず)が操作されると、貸球払出装置80が作動し、最
小単位個数の貸球が打球供給皿24に払出される。
【0057】
賞球払出装置400は、賞球モータ401と、賞球センサ402とを備えている。賞球
モータ401は、賞球としての遊技球を払出す部材を駆動し、賞球センサ402は、その
部材によって遊技球が払出されたことを示す信号を、払出制御基板73を介して主制御基
板60へ出力する。遊技制御用マイコン61は、払出制御基板73から出力される信号に
基づいて、賞球払出装置400が払出した賞球数を計数する。
【0058】
また、主制御基板60には、発射制御回路75を介して発射装置90が電気的に接続さ
れている。発射装置90は、発射モータ91と、タッチスイッチ92と、発射ボリューム
93とを備えている。発射モータ91は、遊技球を打撃して発射する打撃槌(図示せず)
を駆動する。タッチスイッチ92は、遊技者がハンドル4に触れたことを示す信号を出力
する。発射ボリューム93は、発射レバー4aの回転量に応じて、打撃槌が遊技球を打撃
する強度を調節する。
【0059】
また、パチンコ遊技機1は、電源基板70を備えている。電源基板70は、主制御基板
60及び払出制御基板73に電力を供給する。また、電源基板70は、払出制御基板73
に電気的に接続された各装置に対して、払出制御基板73を介して電力を供給する。また
、電源基板70は、中継基板74に電気的に接続された各センサ及びソレノイドに対して
、主制御基板60から中継基板74を介して電力を供給する。また、電源基板70は、主
制御基板60に電気的に接続された表示器類50に対して、主制御基板60を介して電力
を供給する。
【0060】
電源基板70には、バックアップ電源回路71が設けられている。バックアップ電源回
路71は、パチンコ遊技機1に対して外部から電力が供給されていない場合に、主制御基
板60のRAM64等に対して情報の保持に必要な電力を供給する。電源基板70には、
電源基板70へ電力を供給する主電源をオンオフするための電源スイッチ72が電気的に
接続されている。
【0061】
主制御基板60は、サブ制御基板100(
図4)に対して各種コマンドを送信する。主
制御基板60は、コマンドをサブ制御基板100へ送信することはできるが、サブ制御基
板100は、主制御基板60へコマンドを送信することができない。つまり、主制御基板
60とサブ制御基板100との通信は、主制御基板60からサブ制御基板100へ送信す
ることのみが可能な単方向通信となっている。
【0062】
図4に示すように、サブ制御基板100には、演出制御用ワンチップマイコン(以下、
演出制御用マイコンという)101が実装されている。演出制御用マイコン101は、C
PU102と、ROM110と、RAM120と、入出力回路103とを備えている。C
PU102は、遊技に伴って演出を制御する。ROM110には、CPU102が演出を
制御するためのコンピュータプログラムの他、各種のテーブルが記憶されている。RAM
120は、CPU102がコンピュータプログラムを実行するときのワークメモリとして
使用される。また、RAM120には、第1特図保留演出記憶部121と、第2特図保留
演出記憶部122と、当該変動用演出記憶部123とが設けられている。
【0063】
第1特図保留演出記憶部121は、第1乃至第4記憶領域から成る4つの記憶領域を有
し、各記憶領域は、主制御基板60から出力(送信)される第1始動入賞コマンドが示す
始動入賞情報(乱数値等)を記憶する。第1始動入賞コマンドは、遊技球が第1始動口1
0aに入球したことを契機として、遊技制御用マイコン61が取得した始動入賞情報(大
当たり乱数、大当たり種別乱数、変動パターン乱数及びリーチ乱数等の値)を含むコマン
ドである。
【0064】
一方、第2特図保留演出記憶部122は、第1乃至第4記憶領域から成る4つの記憶領
域を有し、各記憶領域は、主制御基板60から出力(送信)される第2始動入賞コマンド
が示す始動入賞情報(乱数値等)を記憶する。第2始動入賞コマンドは、遊技球が第2始
動口12aに入球したことを契機として、遊技制御用マイコン61が取得した始動入賞情
報(大当たり乱数、大当たり種別乱数、小当たり種別乱数、変動パターン乱数及びリーチ
乱数等の値)を含むコマンドである。
【0065】
当該変動用演出記憶部123は、変動演出パターンの当該変動に用いる第1始動入賞コ
マンドまたは第2始動入賞コマンドが示す始動入賞情報(乱数値等)を記憶する。入出力
回路103は、サブ制御基板100に接続された各基板等との間でデータの送信または受
信を行う。
【0066】
また、サブ制御基板100には、リアルタイムクロック(RTC)124が実装されて
いる。RTC124は、現在(現時点)の日時(日付及び時刻)を計測するものである。
RTC124は、例えば、外部の電源装置からパチンコ遊技機1へ電力が供給されている
ときには、その電力によって動作し、外部の電源装置から電力が供給されていないときに
は、電源基板70が備えるバックアップ電源回路71から供給される電力によって動作す
る。このため、RTC124は、パチンコ遊技機1の電源が投入されていないときや、R
AM120の記憶内容がクリアされたときでも、現在の日時を計測することが可能である
。なお、RTC124へ電力を供給するバックアップ電源回路をサブ制御基板100に設
けてもよい。パチンコ遊技機1では、RTC124による計時の結果に基づいて特別な演
出を実行することが可能となっている。
【0067】
サブ制御基板100には、画像制御基板200が電気的に接続されている。画像制御基
板200には、VDP201(Video Display Processor)と、画像制御用CPU202と
、制御用ROM203と、制御用RAM204と、CGROM(Character Generator Rea
d Only Memory)205と、VRAM(Video Random Access Memory)206とが実装されて
いる。画像制御用CPU202は、変動演出パターン、ボタン演出画像、及び予告画像等
の演出画像を表示するよう演出表示装置7を制御する。制御用ROM203には、画像制
御用CPU202が演出表示装置7を制御するためのコンピュータプログラムが記憶され
ている。制御用RAM204は、画像制御用CPU202がコンピュータプログラムを実
行するときのワークメモリとして使用される。CGROM205には、演出表示装置7が
演出画像を表示するための画像データが記憶されている。VDP201は、画像制御用C
PU202によって作成されるディスプレイリストに従って、CGROM205から画像
データを読み出し、その読み出した画像データをVRAM206内の展開領域に展開する
。そして、VDP201は、VRAM206内に展開した画像データを合成し、その合成
した画像データをVRAM206内のフレームバッファに記憶する。そして、VDP20
1は、VRAM206内のフレームバッファに記憶した画像データをRGB信号に変換し
て演出表示装置7に出力する。これにより、演出表示装置7は演出画像を表示する。
【0068】
サブ制御基板100には、ランプ制御基板79を介して盤ランプ2a、演出ボタンラン
プ5c、左サイドランプ23a、右サイドランプ23b、トップランプ23cおよび可動
体モータ23dが電気的に接続されている。演出制御用マイコン101は、ROM110
に記憶されているデータを用いて各ランプの発光態様を決める発光パターンデータを作成
し、その発光パターンデータをランプ制御基板79に送信する。そして、ランプ制御基板
79は、受信した発光パターンデータに従って各ランプの発光制御を行う。また、演出制
御用マイコン101は、ROM110に記憶されているデータを用いて、トップランプ2
3c内の回転リフレクタの動作態様を決める回転動作パターンデータを作成し、その回転
動作パターンデータをランプ制御基板79に送信する。そして、ランプ制御基板79は、
受信した回転動作パターンデータに従って可動体モータ23dの駆動制御を行う。
【0069】
サブ制御基板100には、音声制御基板78を介して各スピーカ8が電気的に接続され
ている。音声制御基板78には、音声制御用CPU(図示せず)と、音声データROM(
図示せず)と、音声合成回路(図示せず)と、アンプ(図示せず)とが搭載されている。
音声データROMには、各スピーカ8が音楽や効果音等の音を出力するための音声データ
が記憶されている。音声制御用CPUは、サブ制御基板100から受信したコマンドに基
づいて音声データROMから音声データを読み出し、その読み出した音声データを音声合
成回路に出力する。音声合成回路は、入力した音声データを合成するとともに、その合成
した合成音声データをアナログの音声信号に変換してアンプに出力する。アンプは、入力
した音声信号を増幅して各スピーカ8に出力する。そして、各スピーカ8は、入力した音
声信号により示される音を出力する。
【0070】
また、サブ制御基板100には、演出ボタン検出スイッチ5aと、演出レバー押込検出
スイッチ6aと、演出レバー回転検出スイッチ6bと、演出ボタン振動モータ5bと、演
出レバー振動モータ6cとが電気的に接続されている。
【0071】
演出ボタン検出スイッチ5aは、演出ボタン5が押下操作されたことを示す信号をサブ
制御基板100に出力する。また、演出レバー押込検出スイッチ6aは、演出レバー6が
押込操作されたことを示す信号をサブ制御基板100に出力する。更に、演出レバー回転
検出スイッチ6bは、演出レバー6が回転操作されたことを示す信号をサブ制御基板10
0に出力する。これに対し、演出制御用マイコン101は、演出の一種であるボタン演出
の期間中、演出ボタン検出スイッチ5aから入力した信号に基づいて、ボタン演出の演出
内容に変化を付与する。また、演出制御用マイコン101は、演出の一種であるレバー演
出(遊技者に押込操作や回転操作を促すレバー演出)の期間中、演出レバー押込検出スイ
ッチ6aや演出レバー回転検出スイッチ6bから入力した信号に基づいて、レバー演出の
演出内容に変化を付与する。
【0072】
演出ボタン振動モータ5bは、演出ボタン5を振動させる部材であり、演出ボタン5の
内部に収容されている。演出レバー振動モータ6cは、演出レバー6を振動させる部材で
あり、演出レバー6と接する部位または演出レバー6の内部に設けられている。ROM1
10には、演出ボタン振動モータ5bの動作パターンを決める動作パターンデータと、演
出レバー振動モータ6cの動作パターンを決める動作パターンデータとが記憶されている
。演出制御用マイコン101は、演出ボタン5を振動させる演出タイミングになったとき
に、ROM110から動作パターンデータを読み出し、その読み出した動作パターンデー
タに基づいて演出ボタン振動モータ5bを駆動制御する。また、演出制御用マイコン10
1は、演出レバー6を振動させる演出タイミングになったときに、ROM110から動作
パターンデータを読み出し、その読出した動作パターンデータに基づいて演出レバー振動
モータ6cを駆動制御する。
【0073】
[遊技状態の説明]
次に、パチンコ遊技機1の遊技状態について説明する。
【0074】
(大当たり遊技状態、小当たり状態)
本実施形態のパチンコ遊技機1は、従来において1種パチンコ機および2種パチンコ機
と呼ばれていた各遊技機の遊技性を組み合わせた、いわゆる1種2種混合機と呼ばれる機
種である。ここで、1種パチンコ機の遊技性とは、始動口への入球を契機とする特図当た
り判定の大当たり判定(大当たり抽選)で当選となった場合に大当たり遊技状態を生じさ
せるものであり、2種パチンコ機の遊技性は、始動口への入球を契機とする特図当たり判
定の小当たり判定(小当たり抽選)で当選となった場合に大入賞口を開放し、その開放中
に入球した遊技球が当該大入賞口内部の特定領域を通過したことを契機として大当たり遊
技状態へと発展させるものである。1種2種混合機である本実施形態のパチンコ遊技機1
では、始動口への入球を契機とする特図当たり判定において大当りに当選した場合に大当
たり遊技状態(以下「1種大当たり状態」ということがある)を生じさせる。また、始動
口への入球を契機とする特図当たり判定において、大当たり判定がハズレかつ小当たり判
定が当たりの結果となった場合(小当たりに当選した場合)には、大入賞口を開放する小
当たり状態を生じさせ、この小当たり状態中に大入賞口に入球した遊技球が特定領域に入
球した場合に限り、大当たり遊技状態(以下「2種大当たり状態」ということがある)へ
と発展させる。なお、2種大当たり状態は、前述の如く小当たり状態から発展するもので
あるので、小当たり状態を1ラウンドとみなし、特定領域への入球後に生じる開放(V当
たり状態)については2ラウンド以降のラウンドとして計数する。すなわち、小当たり状
態とその後のV当たり状態とによって2種大当たり状態が構成される。これに対し、V当
たり状態のみを大当り遊技状態と捉えることも可能である。
【0075】
本実施形態では、特図当たり判定による大当たりの判定結果に基づく大当たり遊技状態
(1種大当たり状態)の他、小当たり状態やV当たり状態(2種大当たり状態の2ラウン
ド以降)が生起する可能性がある。1種大当たり状態やV当たり状態では、第1大入賞口
14aへの遊技球の入球を狙うことができる一方、小当たり状態では第2大入賞口15a
の何れかへの遊技球の入球を狙うことができる。そして、小当たり状態中に第2大入賞口
15aに入球した遊技球が特定領域を通過した場合に、第1大入賞口14aを開放するV
当たり状態を生起させる(2種大当たり状態へと発展させる)ようになっている。
【0076】
大当たり遊技状態は、オープニング期間、複数回のラウンド(遊技球の入球を狙うこと
のできる期間)が生じる連続作動期間、エンディング期間の順に状態が変化する。ラウン
ド中は、第1大入賞口ソレノイド14dを駆動することにより第1特別作動部材14bを
作動させて、第1大入賞口14aを開放する。ここで、2種大当たり状態の1ラウンド(
小当たり状態)を除いた大当たり遊技状態の各ラウンドは、第1大入賞口14aに入球し
た遊技球の個数が予め定めた上限個数(例えば10球)に達するか、所定の開放時間(例
えば30秒)が経過するかの何れか早い方のラウンド終了条件が成立することに応じて終
了する。なお、大当たり遊技状態では、ラウンドとラウンドの間にインターバル時間(ラ
ウンドインターバル)が設定されており、少なくともこのインターバル時間には第1大入
賞口14aが閉鎖状態を維持するように設定(第1大入賞口ソレノイド14dが非作動に
制御)される。第1大入賞口14aへの入球1個に対する賞球が10個と定められている
ので、大当たり遊技状態(1種大当たり状態、V当たり状態)中、第1大入賞口14aへ
の入球に対する賞球によって遊技者の持ち球が大幅に増加する。
【0077】
一方で、小当たり状態は、それ以外のラウンドよりも短い開放時間(例えば1.8秒)
だけ第2大入賞口15aが開放するか、第2大入賞口15aに入球した遊技球の個数が予
め定めた上限個数(10球以下の所定個数)に達するかの何れか早い方のラウンド終了条
件(基本的には開放時間の経過)が成立することに応じて終了する。なお、第2大入賞口
15aへの入球1個に対する賞球は1個と定められているので、小当たり状態中、第2大
入賞口15aへの入球に対する賞球によって遊技者の持ち球が増加することはない。
ここで、本実施形態では、全ての小当たり状態を、振分部材56(振分部材ソレノイド
55c)を作動する期間中に第2大入賞口15aが開放し、第2大入賞口15aに入球し
た遊技球が特定領域を通過できる小当たり状態(有利小当たり状態)として生起する。こ
れに対し、遊技球が特定領域を通過する有利小当たり状態と非特定領域を通過する(特定
領域を通過しない)不利小当たり状態とを生起可能としてもよい。この場合の不利小当た
り状態は、振分部材56の作動期間と第2大入賞口15aの開放期間とを異ならせること
で実現し得る。
【0078】
(時短遊技状態、非時短遊技状態)
以下、一般的な時短遊技状態の各機能(特別図柄の変動時間短縮機能、普通図柄の変動
短縮機能、第2始動口12aの開放時間延長機能、第2始動口12aの開放回数増加機能
)について説明する。
なお、本実施形態のパチンコ遊技機1は、以下に説明する機能のうち、特別図柄の変動
時間短縮機能と、普通図柄の変動時間短縮機能と、第2始動口12aの開放時間延長機能
とを有し、これらの機能を作動させることによって、非時短遊技状態(通常遊技状態、入
球非容易状態)とは異なる時短遊技状態(入球容易状態)を生起させる。但し、後述する
ように、本実施形態では、非時短遊技状態から大当たり遊技状態に移行した後、再び非時
短遊技状態に復帰するまでの間における時短遊技状態の生起回数(「連続生起回数」と称
する)が予め定められた上限回数に達した場合に、大当たり遊技状態から時短遊技状態へ
の移行を禁止して強制的に非時短遊技状態へと復帰させるようになっている(時短リミッ
タ機能を有する)。
【0079】
普通図柄表示器53での表示(普通図柄)の確率変動機能が作動する遊技状態を時短遊
技状態とし、当該機能が作動しない遊技状態を非時短遊技状態とすることができる。この
普通図柄の確率変動機能が作動すると、作動していないときに比して普図当たり判定の当
たり確率が向上する。その結果、普通図柄の確率変動機能が作動する状態では、普通作動
部材12bが作動して第2始動口12aが開放する頻度を高めることが可能である。
但し、本実施形態のパチンコ遊技機1(遊技制御用マイコン61)は、普通図柄の確率
変動機能を有しない。これに対し、当該機能を有することとしてもよい。
また、本実施形態のパチンコ遊技機1は、第1特別図柄表示器51及び第2特別図柄表
示器52での各表示(特別図柄)についての確率変動機能(特図当たり判定の当たり確率
を向上させる機能)も備わっておらず、通常(低確率状態)よりも大当たり確率が高い遊
技状態(所謂「確変遊技状態」)は存在しない。これに対し、特別図柄の確率変動機能を
作動させる確変遊技状態を生起可能としてもよい。なおこの場合、確変遊技状態は時短遊
技状態と同時に生起させてもよい。
【0080】
特別図柄の変動時間短縮機能が作動する遊技状態を時短遊技状態とし、当該機能が作動
しない遊技状態を非時短遊技状態とすることができる。特別図柄の変動時間短縮機能が作
動すると、作動していないときに比して特別図柄の変動時間として短い変動時間が選択さ
れ易くなる。その結果、特別図柄の変動時間短縮機能が作動する状態では、例えば特図変
動表示の結果が導出される頻度を高めることができ、大当たり遊技状態等が生起するまで
の遊技時間を短縮することが可能である。また、特図保留の消化ペースが早いことで始動
口への有効な入球(特図保留)が発生し易くなるため、スムーズな遊技進行を実現可能で
ある。
また、普通図柄の変動時間短縮機能が作動する遊技状態を時短遊技状態とし、当該機能
が作動しない遊技状態を非時短遊技状態とすることができる。普通図柄の変動時間短縮機
能が作動すると、作動していないときに比して、普通図柄の変動時間が短くなる。本実施
形態のパチンコ遊技機1は当該機能を有しており、普通図柄の変動時間は、変動時間短縮
機能が作動していない状態では30秒(30000ms)、変動時間短縮機能が作動している状
態では0.1秒(100ms)となるように設定されている。これに対し、普通図柄の変動時間
短縮機能を有しないようにしてもよい。
更に、第2始動口12aについての開放時間延長機能及び開放回数増加機能の少なくと
も何れかが作動する遊技状態を時短遊技状態とし、当該機能が作動しない遊技状態を非時
短遊技状態とすることができる。普通図柄が予め定めた普通図柄で確定表示された場合に
、現在の遊技状態に応じた作動パターンにて第2始動口12aを開閉させる補助遊技が行
われる。この補助遊技における第2始動口12aの開放時間が、開放時間延長機能によっ
て非時短遊技状態の場合よりも長くなる。また、この補助遊技における第2始動口12a
の開放回数が、開放回数増加機能によって非時短遊技状態の場合よりも多くなる。従って
、開放時間延長機能や開放回数増加機能が作動する状況下では、第2始動口12aへの遊
技球の入球頻度が高められる。その結果、発射球数に対する賞球数の割合が高くなるため
、遊技者は、手持ちの遊技球を大きく減らすことなく大当たり(又は小当たり)を狙うこ
とができる。
【0081】
このように、特別図柄や普通図柄についての変動時間短縮機能と、第2始動口12aに
ついての開放時間延長機能及び開放回数増加機能とは、第2始動口12aへの遊技球の入
球頻度を高めるためのサポート機能である。これらのうち特に、普通作動部材12bの動
作(第2始動口ソレノイド12dの駆動)に関する開放時間延長機能及び開放回数増加機
能について、その少なくとも1つの機能を作動させる制御のことを、「電サポ制御」とい
うことがある。
【0082】
本実施形態のパチンコ遊技機1(遊技制御用マイコン61)は、上記機能のうち、特別
図柄の変動時間短縮機能と、普通図柄の変動時間短縮機能と、第2始動口12aの開放時
間延長機能とを作動可能であり、遊技状態として、これら3つの機能が共に作動しない非
時短遊技状態と、これら3つの機能が共に作動する時短遊技状態とを生起させ得るように
なっている(複数種類の状態を生起させる生起手段として機能する)。但し、時短遊技状
態は、少なくとも1つの機能を作動させる状態であればよく、例えば、上記3つの機能に
加えてまたは少なくとも1つの機能に替えて、普通図柄の確率変動機能を作動する遊技状
態としてもよい。
【0083】
なお、本実施形態における「時短遊技状態」は、(開放時間延長機能による)電サポ制
御がなされる状態であり、発射球数に対する賞球数の割合が高くなるため、「高ベース状
態(有利遊技状態)」と言い換えることができる。一方で「非時短遊技状態」は、前述し
た高ベース状態に対して「低ベース状態(通常遊技状態)」と言い換えることができる。
【0084】
ここで、パチンコ遊技機1における時短遊技状態の付与条件としては例えば、予め定め
られた大当たり図柄(特別図柄)を決定したことに基づく大当たり遊技状態(1種大当た
り状態)が終了すること、予め定められた小当たり図柄(特別図柄)を決定した場合の小
当たり状態で遊技球が特定領域を通過したことに基づく大当たり遊技状態(2種大当たり
状態)が終了すること、予め定められた時短図柄(特別図柄)を決定した際の特図当たり
判定の結果に基づく特図変動表示が終了すること、等を設定することができる。本実施形
態では、大当たり図柄や小当たり状態の決定に基づく大当たり遊技状態(1種大当たり状
態、2種大当たり状態)の終了後に時短遊技状態が付与されることがある他、時短図柄の
決定に基づいて時短遊技状態が付与されることがある。
また、パチンコ遊技機1における時短遊技状態の終了条件としては例えば、予め定めら
れた回数の特図変動表示が実行されること、予め定められた回数の普図変動表示が実行さ
れること、予め定められた回数の特図変動表示(または予め定められた回数の普図変動表
示)が実行されるまでの間に大当たりが決定されて対応する特図変動表示が終了(大当た
り遊技状態が開始)すること、予め定められた回数の特図変動表示(または予め定められ
た回数の普図変動表示)が実行されるまでの間に予め定められた回数目の小当たりが決定
されて対応する特図変動表示が終了(小当たり状態が開始)すること、予め定められた回
数の特図変動表示(普図変動表示)が実行されるまでの間に予め定められた小当たり図柄
(特別図柄)が決定されて対応する特図変動表示が終了(小当たり状態が開始)すること
、等を設定することができる。
【0085】
[主な判定テーブル]
次に、パチンコ遊技機1の遊技制御用マイコン61が参照する主な判定テーブルについ
て説明する。
【0086】
(当否判定テーブルT1)
図5に示す当否判定テーブルT1は、遊技制御用マイコン61が特図当たり判定(大当
たり判定、小当たり判定)を実行する際に参照するテーブルである。当否判定テーブルT
1は、特図当たり判定の種類(第1特図・第2特図のどちらに対応するか)と、大当たり
乱数値とを対応付けて構成されている。大当たり乱数値は、大当たり乱数カウンタが発生
させる値である。大当たり乱数カウンタを動作させるためのコンピュータプログラムは、
ROM63に記憶されており、そのコンピュータプログラムをCPU62が実行すること
により、大当たり乱数カウンタが動作して大当たり乱数値が発生する。大当たり乱数カウ
ンタは、カウンタIC等の乱数生成回路を利用したものでもよい。パチンコ遊技機1の大
当たり乱数カウンタは、0~65535の計65536個の値をカウントする。つまり、
0~65535の計65536個の大当たり乱数値を発生させ得る。
【0087】
当否判定テーブルT1には、第1特図の特図当たり判定用の大当たり乱数値(0~65
535)が、大当たり・ハズレの各判定結果に割り振られている。遊技制御用マイコン6
1は、大当たり乱数カウンタから取得した大当たり乱数値が0~327の範囲内の値であ
った場合は大当たりと判定し、0~65535のうち0~327以外(328~6553
5)であった場合は、大当たりではない、つまり、ハズレと判定する。
また、当否判定テーブルT1には、第2特図の特図当たり判定用の大当たり乱数値(0
~65535)が、大当たり・小当たり・ハズレの各判定結果に割り振られている。遊技
制御用マイコン61は、取得した大当たり乱数値が0~327の範囲内の値であった場合
は大当たりと判定し、0~65535のうち0~327以外(328~65535)であ
った場合は、大当たりではない、つまり、ハズレと判定する。但し、ハズレ(大当たりで
はない)と判定される大当たり乱数値のうち、328~982の範囲内の値であった場合
は、小当たりと判定される。すなわち、第1特図の当たり判定と第2特図の当たり判定と
では、大当たりと判定される確率は変わらないが、大当たりではないと判定された場合、
第2特図の判定では小当たりと判定されることがあり、その当選確率は大当たりに比べて
高い。また、本実施形態では、第1特図の当たり判定で小当たりと判定されることがない
ため、第2特図の判定では、第1特図の当たり判定に比して小当たりと判定される確率が
非常に高い。
【0088】
(大当たり種別判定テーブルT2,T3)
図6(a)および
図6(b)に示す大当たり種別判定テーブルT2,T3は、特図当たり判
定において大当たりと判定された場合に遊技制御用マイコン61が大当たりの種別判定を
実行する際に参照するテーブルである。大当たり種別判定テーブルは、大当たり種別(大
当たり図柄種別)毎に所定個数の大当たり種別乱数値を対応付けて構成されている。大当
たり種別乱数値は、大当たり種別乱数カウンタが発生させる値である。大当たり種別乱数
カウンタを動作させるためのコンピュータプログラムは、ROM63に記憶されており、
そのコンピュータプログラムをCPU62が実行することにより、大当たり種別乱数カウ
ンタが動作して大当たり種別乱数値が発生する。大当たり種別乱数カウンタは、カウンタ
IC等の乱数生成回路を利用したものでもよい。本実施形態において大当たり種別乱数カ
ウンタは、0~99の計100個の大当たり種別乱数をカウントする。つまり、0~99
の計100個の大当たり種別乱数値を発生させ得る。
【0089】
ここで、特別図柄のうち第1特図として、大当たりしたこと(大当たり遊技状態が生起
すること)を示す1種類の大当たり図柄1-1と、大当たりや小当たりではないことを示
す少なくとも1種類のハズレ図柄とが設定されている。なお、第1特図については、小当
たりしたこと(小当たり状態が生起すること)を示す小当たり図柄は設定されていない。
第1特図の特図当たり判定で大当たりと判定した場合は、
図6(a)に示す大当たり種別判
定テーブルT2に基づいて、大当たり図柄(大当たり種別)が決定され、この大当たり図
柄の決定により、大当たり遊技状態の種類やその後の遊技状態の種類が決定される。なお
、各大当たり遊技状態では、各ラウンドでの第1大入賞口14aの開放時間の上限が30
秒に設定されている。
【0090】
第1特図の特図当たり判定が大当たりの判定結果で、第1特図の大当たり種別を決定す
る際、大当たり種別乱数値が0~99の範囲内のどの値でも(100パーセント)、大当
たり図柄として「大当たり図柄1-1」が決定され、大当たり遊技状態の種類(ラウンド
数)として、3ラウンド大当たりが決定され、大当たり遊技状態後の遊技状態を時短遊技
状態とすることが決定される。この場合の時短遊技状態は、大当たり遊技状態の生起が決
定されるか、特図変動表示が100回実行されるか、または、小当たりの種別が後述する
「転落小当たり」に決定されることに応じて終了する。
【0091】
一方で、特別図柄のうち第2特図としては、大当たりしたこと(大当たり遊技状態が生
起すること)を示す1種類の大当たり図柄2-1と、小当たりしたこと(小当たり状態が
生起すること)を示す2種類の小当たり図柄a,bと、大当たりや小当たりではないこと
を示す少なくとも1種類のハズレ図柄とが設定されている。すなわち、第2特図について
は第1特図と異なり、小当たり図柄が設定されている。
【0092】
第2特図の特図当たり判定で大当たりと判定した場合は、
図6(b)に示す大当たり種別
判定テーブルT2に基づいて、大当たり図柄(大当たり種別)が決定され、この大当たり
図柄の決定により、大当たり遊技状態の種類やその後の遊技状態の種類が決定される。な
お、大当たり遊技状態では、各ラウンドでの第1大入賞口14aの開放時間の上限が30
秒に設定されている。本実施形態では、第2特図の特図当たり判定が大当たりの判定結果
である場合に、大当たり種別乱数値が0~99の範囲内のどの値でも(100パーセント
)、大当たり図柄として「大当たり図柄2-1」が決定され、大当たり遊技状態の種類(
ラウンド数)として、5ラウンド大当たりが決定され、大当たり遊技状態後の遊技状態を
時短遊技状態とすることが決定される。この場合の時短遊技状態は、大当たり遊技状態の
生起が決定されるか、特図変動表示が100回実行されるか、または、小当たりの種別が
後述する「転落小当たり」に決定されることに応じて終了する。
【0093】
(小当たり種別判定テーブル)
図7に示す小当たり種別判定テーブルT4は、小当たりと判定された場合に遊技制御用
マイコン61が小当たりの種別判定を実行する際に参照するテーブルである。小当たり種
別判定テーブルT4は、小当たり種別(小当たり図柄種別)毎に所定個数の小当たり種別
乱数値を対応付けて構成されている。小当たり種別乱数値は、小当たり種別乱数カウンタ
が発生する値である。小当たり種別乱数カウンタを動作させるためのコンピュータプログ
ラムは、ROM63に記憶されており、そのコンピュータプログラムをCPU62が実行
することにより、小当たり種別乱数カウンタが動作して小当たり種別乱数値を発生させる
。小当たり種別乱数カウンタは、カウンタIC等の乱数生成回路を利用したものでもよい
。本実施形態において小当たり種別乱数カウンタは、0~99の計100個の値をカウン
トする。つまり、0~99の計100個の小当たり種別乱数値を発生させ得る。本実施形
態では前述のように、小当たり図柄として「小当たり図柄a」及び「小当たり図柄b」の
2種類が設定されている。
本実施形態では、遊技制御用マイコン61による小当たり種別(小当たり図柄)の決定
により、小当たり判定結果に対応する特図変動表示の終了後(つまり小当たり状態中)の
遊技状態(時短遊技状態・非時短遊技状態)が決定される。具体的には、時短遊技状態中
の特図当たり判定(小当たり判定)で小当たりの判定結果となり、かつ特別図柄が小当た
り図柄aに決定された場合には、その時短遊技状態を継続しつつ小当たり状態を生起させ
る。一方で、時短遊技状態中の特図当たり判定(小当たり判定)で小当たりの判定結果と
なり、かつ特別図柄が小当たり図柄bに決定された場合には、その時短遊技状態を終了し
て非時短遊技状態に移行させた後に、小当たり状態を生起させる。従って、以下の説明で
は、時短遊技状態の終了契機とならない小当たり図柄aに対応する小当たり種別のことを
「通常小当たり」と称し、時短遊技状態の終了契機となる小当たり図柄bに対応する小当
たり種別のことを「転落小当たり」と称することがある。
ここで、「転落小当たり」とは、時短遊技状態から非時短遊技状態への移行(遊技状態
の転落)を伴う小当たりのことである。従って、非時短遊技状態中は、「転落小当たり」
の当選が生じても遊技状態の転落の機能については無効となり、遊技状態は変化しない。
なお、「通常小当たり」及び「転落小当たり」のどちらを決定した場合も、生起させる
小当たり状態では、第2大入賞口15aが所定時間(1.8秒)開放して、振分部材56
が作動し、第2大入賞口15aに入球した遊技球が特定領域に誘導される。遊技球が特定
領域を通過すると、これを契機に小当たり状態から2種大当たり状態(大当たり遊技状態
)に発展(V当たり状態に移行)する。この2種大当たり状態の各ラウンド(2ラウンド
以降のV当たり状態)では、第1大入賞口14aが開放する。この開放時間の上限は、1
種大当たり状態と同様に30秒に設定されている。
【0094】
遊技制御用マイコン61は、遊技状態が非時短遊技状態であるか時短遊技状態であるか
に関わらず、第2特図の特図当たり判定において小当たりの判定結果が導出された場合、
小当たり種別乱数値が0~94の範囲内であれば(95パーセント)、小当たり図柄とし
て小当たり図柄aが決定される。また、小当たり種別乱数値が95~99の範囲内であれ
ば(5パーセント)、小当たり図柄として小当たり図柄bが決定される。但し、前述した
ように、非時短遊技状態中に小当たり図柄bを決定したとしても遊技状態は変化しない。
なお、小当たり状態から大当たり遊技状態(V当たり状態)へと発展(移行)した場合
に、その大当たり遊技状態(V当たり状態)の終了後に時短遊技状態が生起するが、この
時短遊技状態についても終了条件は前述のとおりである。すなわち、特図変動表示が10
0回実行されるか、または、小当たりの種別が後述する「転落小当たり」に決定されるこ
とに応じて終了する。
【0095】
(リーチ判定テーブル)
図8(a)に示すリーチ判定テーブルT5は、遊技制御用マイコン61による第1特図の
変動表示に対応する特図変動パターンの決定に関し、リーチ(ハズレリーチ)が出現する
特図変動パターン(ハズレリーチ変動パターン)とするか否かを決定する際に参照するテ
ーブルである。また、
図8(b)に示すリーチ判定テーブルT6は、遊技制御用マイコン6
1による第2特図の変動表示に対応する特図変動パターンの決定に関し、リーチ(ハズレ
リーチ)が出現する特図変動パターン(ハズレリーチ変動パターン)とするか否かを決定
する際に参照するテーブルである。これらのリーチ判定テーブルT5,T6は、リーチ乱
数カウンタが発生させるリーチ乱数値と遊技状態とを対応付けて構成されている。本実施
形態においてリーチ乱数カウンタは、0~255の計256個の値をカウントする。すな
わち、リーチ乱数カウンタは、0~255の計256個のリーチ乱数値を発生させ得る。
リーチ乱数カウンタを動作させるためのコンピュータプログラムは、ROM63に記憶さ
れており、そのコンピュータプログラムをCPU62が実行することにより、リーチ乱数
カウンタが動作してリーチ乱数値を発生させる。
【0096】
なお、リーチとは、演出表示装置7において変動表示される複数の演出図柄群(左演出
図柄7L、中演出図柄7C、右演出図柄7R)のうち、特図当たり判定の結果を示す演出
図柄の組み合わせのうち残り1つの演出図柄に対応する演出図柄群が停止表示(仮停止表
示、停留表示)していない状態であって、その停止表示していない演出図柄が停止表示さ
れた時に、大当たりか否か等を示す演出図柄の組み合わせが構成されることになる。例え
ば、大当たり演出図柄の組み合わせの1つが「777」である場合に、左演出図柄表示領
域において左演出図柄7Lとして「7」が停止表示されていると共に、右演出図柄表示領
域において右演出図柄7Rとして「7」が停止表示されており、中演出図柄表示領域にお
いて中演出図柄7Cが停止表示(仮停止表示、停留表示)されていない状態(スクロール
表示や切替表示がされている状態)は、リーチの状態である。
また、前述した「停止表示(仮停止表示、停留表示)」は、演出図柄が表示領域内に留
まりつつも静止していない表示状態であり、演出図柄が揺れている状態の他、拡大と縮小
を繰り返す状態等が概念的に含まれる。これに対し、演出図柄の「確定表示」は、停止表
示された演出図柄の組み合わせを静止させて表示する状態であり、その変動表示が終了し
たことを示す。
【0097】
図8(a)に示すように、第1特図の特図当たり判定が非時短遊技状態で行われてハズレ
の判定結果となった場合において、リーチ乱数値が0~27の範囲であれば、リーチ有り
(すなわちハズレリーチ変動パターンとすること)を決定し、それ以外であれば、リーチ
無し(すなわちリーチが出現しない通常変動パターンとすること)を決定する。これに対
し、時短遊技状態では、第1特図の特図当たり判定が行われてハズレの判定結果となった
場合に、リーチ乱数値が0~255の範囲のどの値であっても、リーチ無し(すなわちリ
ーチが出現しない通常変動パターンとすること)を決定する。すなわち、時短遊技状態で
第1特図の特図当たり判定が行われてハズレの判定結果となった場合には必ず、リーチが
出現しない変動演出が実行され、リーチが出現する変動演出は実行されることがない(大
当たりとなる変動演出のみ、リーチが出現し得る)。
図8(b)に示すように、第2特図の特図当たり判定がハズレの判定結果となった場合に
は、その時の遊技状態が時短遊技状態であるか非時短遊技状態であるかに関わらず、リー
チ乱数値が0~9の範囲であれば、リーチ有り(すなわちハズレリーチ変動パターンとす
ること)を決定し、それ以外(10~255の範囲)であれば、リーチ無し(すなわちリ
ーチが出現しない通常変動パターンとすること)を決定する。なお、第2特図の特図当た
り判定がハズレの判定結果となった場合の遊技状態が時短遊技状態である場合と非時短遊
技状態である場合とで、リーチ有り・リーチ無しを決定する確率を異ならせてもよい。
【0098】
(特図変動パターン選択テーブル)
図9(a)に示す特図変動パターン選択テーブルT7は、遊技制御用マイコン61が第1
特図の変動表示に関する特図変動パターンを決定する際に参照するテーブルである。また
、
図9(b)に示す特図変動パターン選択テーブルT8は、遊技制御用マイコン61が第2
特図の変動表示に関する特図変動パターンを決定する際に参照するテーブルである。特図
変動パターン選択テーブルT7,T8には、大当たり乱数値、小当たり種別乱数値及びリ
ーチ乱数値等の乱数値(大当たり判定、小当たり判定、リーチ判定の判定結果)と、変動
パターン乱数値と、その特図当たり判定時の遊技状態や特図保留数と、の関係で、特図変
動パターンの種類が振り分けられている。なお、特図変動パターンは、特図変動表示の変
動時間や、変動演出の内容(変動演出パターン)等の情報を含んでいる。なお、特図変動
パターン選択テーブルT7,T8に示す変動演出パターンは、特図変動パターンに対応し
て決定される変動演出の大まかな種類(演出内容)であり、参考のために記載してある。
【0099】
変動パターン乱数値は、変動パターン乱数カウンタが発生する値である。変動パターン
乱数カウンタを動作させるためのコンピュータプログラムは、ROM63に記憶されてお
り、そのコンピュータプログラムをCPU62が実行することにより、変動パターン乱数
カウンタが動作して変動パターン乱数値を発生させる。変動パターン乱数カウンタは、カ
ウンタIC等の乱数生成回路を利用したものでもよい。本実施形態において変動パターン
乱数カウンタは、0~99の計100個の値をカウントする。つまり、0~99の計10
0個の変動パターン乱数値を発生させ得る。
【0100】
図9(a)に示すように、第1特図の特図当たり判定が非時短遊技状態で行われ、大当た
りの判定結果となった場合には、特図保留数に関係なく、変動パターン乱数値が0~94
の範囲内であれば特図変動パターンP1が選択され、95~99の範囲内であれば特図変
動パターンP2が選択される。特図変動パターンP1の変動時間は70秒(70,000ms)で
あり、特図変動パターンP2の変動時間は30秒(30,000ms)である。特図変動パターン
P1に対応する変動演出パターンには、リーチ状態から発展したSPリーチを表示させる
内容が対応付けられている。特図変動パターンP2に対応する変動演出パターンには、ノ
ーマルリーチを表示させる内容が対応付けられている。これに対し、第1特図の特図当た
り判定が非時短遊技状態で行われてハズレの判定結果となった場合であり、かつリーチ判
定でリーチ有りとなった場合には、変動パターン乱数値が0~4の範囲内であれば特図変
動パターンP3が選択される一方、変動パターン乱数値が5~99の範囲内であれば特図
変動パターンP4が選択される。特図変動パターンP3の変動時間は70秒(70,000ms)
であり、特図変動パターンP4の変動時間は30秒(30,000ms)である。特図変動パター
ンP3に対応する変動演出パターンには、リーチ状態から発展したSPリーチを表示させ
る内容が対応付けられている。特図変動パターンP4に対応する変動演出パターンには、
ノーマルリーチを表示させる内容が対応付けられている。また、第1特図の特図当たり判
定が非時短遊技状態で行われてハズレの判定結果となった場合であり、リーチ判定でリー
チ無しとなった場合には、リーチが出現しない通常変動パターンが選択される。この場合
に、特図保留数が0~2個であれば、変動時間が10秒(10,000ms)の特図変動パターン
P5が選択され、特図保留数が3,4個であれば、変動時間が5秒(5,000ms)の特図変動
パターンP6が選択される。これらの特図変動パターンP5,P6に対応する変動演出パ
ターンには、通常変動(非リーチかつハズレ変動)の演出内容が対応付けられている。
【0101】
また、第1特図の特図当たり判定が時短遊技状態で行われ、大当たりの判定結果となっ
た場合には、特図保留数に関係なく、変動パターン乱数値が0~99の範囲内のどの値で
あっても、特図変動パターンP7が選択される。特図変動パターンP7の変動時間は5秒
(50,000ms)であり、リーチ状態から発展したSPリーチを表示させる内容が対応付けら
れている。これに対し、第1特図の特図当たり判定が時短遊技状態で行われてハズレの判
定結果となった場合には、リーチ判定でリーチ有りと判定されることがなく、特図変動パ
ターンとしてリーチが出現しない通常変動パターンが選択される。この場合に、特図保留
数が0,1個であれば、変動時間が5秒(5,000ms)の通常変動パターンP8が選択され、
特図保留数が2~4個であれば、変動時間が2.5秒(2,500ms)の通常変動パターンP
9が選択される。これらの特図変動パターンP8,P9に対応する変動演出パターンには
、通常変動(非リーチかつハズレ変動)の演出内容が対応付けられている。
【0102】
図9(b)に示すように、第2特図の特図当たり判定が非時短遊技状態で行われて、大当
たりの判定結果となった場合には、特図保留数に関係なく、変動パターン乱数値が0~9
9の範囲内のどの値であっても、特図変動パターンP10が選択される。特図変動パター
ンP10の変動時間は50秒(50,000ms)であり、リーチ状態から発展したSPリーチを
表示させる内容が対応付けられている。
また、第2特図の特図当たり判定が非時短遊技状態で行われて、小当たりの判定結果と
なった場合(特別図柄として小当たり図柄a及び小当たり図柄bの何れかが決定された場
合)には、特図保留数に関係なく、変動パターン乱数値が0~99の範囲内のどの値であ
っても、特図変動パターンP11が選択される。特図変動パターンP11の変動時間は5
0秒(50,000ms)であり、リーチ状態から発展した(小当たり用の)SPリーチの演出内
容が対応付けられている。なお、本実施形態では前述のように、小当たり図柄aが「通常
小当たり」に対応していると共に、小当たり図柄bが「転落小当たり」に対応している。
但し、非時短遊技状態中は、「転落小当たり」による遊技状態の転落が無効であり、遊技
状態は移行しない。どちらの小当たり図柄が決定されても同じ状態となるので、「小当た
り図柄a」を決定した場合と「小当たり図柄b」を決定した場合とで、特図変動パターン
を共通(特図変動パターンP11)としている。なお、特図変動パターンを異ならせても
よい。
【0103】
第2特図の特図当たり判定が非時短遊技状態で行われてハズレの判定結果となった場合
であり、かつリーチ判定でリーチ有りとなった場合には、変動パターン乱数値が0~99
の範囲内のどの値であっても、特図変動パターンP12が選択される。特図変動パターン
P12の変動時間は50秒(50,000ms)である。特図変動パターンP12に対応する変動
演出パターンには、リーチ状態から発展したSPリーチを表示させる内容が対応付けられ
ている。また、第2特図の特図当たり判定が非時短遊技状態で行われてハズレの判定結果
となった場合であり、リーチ判定でリーチ無しとなった場合には、リーチが出現しない通
常変動パターンが選択される。この場合、特図保留数が0,1個であれば、変動時間が5
0秒(5,000ms)の通常変動パターンP13が選択され、特図保留数が2~4個であれば
、変動時間が2.5秒(2,500ms)の通常変動パターンP14が選択される。これらの特
図変動パターンP13,P14に対応する変動演出パターンには、通常変動(非リーチか
つハズレ変動)の演出内容が対応付けられている。
【0104】
また、第2特図の特図当たり判定が時短遊技状態で行われて、大当たりの判定結果とな
った場合には、特図保留数に関係なく、変動パターン乱数値が0~99の範囲内のどの値
であっても、特図変動パターンP15が選択される。特図変動パターンP15の変動時間
は50秒(50,000ms)であり、リーチ状態から発展したSPリーチを表示させる内容が対
応付けられている。
また、第2特図の特図当たり判定が時短遊技状態で行われて、小当たりの判定結果とな
った場合(特別図柄として小当たり図柄a及び小当たり図柄bの何れかが決定された場合
)には、特図保留数に関係なく、変動パターン乱数値が0~99の範囲内のどの値であっ
ても、特図変動パターンP16が選択される。特図変動パターンP16の変動時間は50
秒(50,000ms)であり、リーチ状態から発展した(小当たり用の)SPリーチの演出内容
が対応付けられている。なお、前述のように、小当たり図柄aが「通常小当たり」に対応
していると共に、小当たり図柄bが「転落小当たり」に対応している。時短遊技状態中は
、「転落小当たり」による遊技状態の転落が有効であり、遊技状態が時短遊技状態から非
時短遊技状態への移行する。但し、本実施形態では、「転落小当たり」の方が「通常小当
たり」よりも遊技者にとって有利な小当たり種別となっている。このため、小当たり図柄
aが決定された場合と小当たり図柄bが決定された場合とで特図変動パターンを異ならせ
、小当たり図柄aに対応する特図変動パターンよりも小当たり図柄bに対応する特図変動
パターンの方が、遊技者の期待感を高めることができる演出内容(演出パターン)に対応
させてもよい。
【0105】
第2特図の特図当たり判定が時短遊技状態で行われてハズレの判定結果となった場合で
あり、かつリーチ判定でリーチ有りとなった場合には、変動パターン乱数値が0~99の
範囲内のどの値であっても、特図変動パターンP17が選択される。特図変動パターンP
17の変動時間は50秒(50,000ms)である。特図変動パターンP17に対応する変動演
出パターンには、リーチ状態から発展したSPリーチを表示させる内容が対応付けられて
いる。また、第2特図の特図当たり判定が非時短遊技状態で行われてハズレの判定結果と
なった場合であり、リーチ判定でリーチ無しとなった場合には、リーチが出現しない通常
変動パターンが選択される。この場合に、特図保留数が0,1個であれば、変動時間が5
0秒(5,000ms)の通常変動パターンP18が選択され、特図保留数が2~4個であれば
、変動時間が2.5秒(2,500ms)の通常変動パターンP19が選択される。これらの特
図変動パターンP18,P19に対応する変動演出パターンには、通常変動(非リーチか
つハズレ変動)の演出内容が対応付けられている。
【0106】
(普通図柄当否判定テーブル)
図10に示す普通図柄当否判定テーブルT9は、遊技制御用マイコン61が普図当たり
判定を実行する際に参照するテーブルである。普通図柄当否判定テーブルT9は、普図当
たり乱数値と普図当たり判定の判定結果とを対応付けて構成されている。普図当たり乱数
値は、普図当たり乱数カウンタが発生させる値である。普図当たり乱数カウンタを動作さ
せるためのコンピュータプログラムは、ROM63に記憶されており、そのコンピュータ
プログラムをCPU62が実行することにより、普図当たり乱数カウンタが動作して普図
当たり乱数値が発生する。普図当たり乱数カウンタは、カウンタIC等の乱数生成回路を
利用したものでもよい。パチンコ遊技機1の普図当たり乱数カウンタは、0~65535
の計65536個の値をカウントする。つまり、0~65535の計65536個の普図
当たり乱数値を発生させ得る。
【0107】
普通図柄当否判定テーブルT9には、普図当たり判定用の当たり乱数値として、0~5
9999の計60000個の値が設定されている。遊技制御用マイコン61は、普図当た
り乱数カウンタから取得した普図当たり乱数値が0~59999の範囲内の値であった場
合は普図当たりと判定し、60000~65535の範囲内の値であった場合は、普図当
たりではない、つまり、ハズレと判定する。
【0108】
(普図当たり種別判定テーブル)
図11に示す普図当たり種別判定テーブルT10は、遊技制御用マイコン61が普通作
動部材12bの作動パターンを決定する際に参照するテーブルである。普図当たり種別判
定テーブルT10には、普通図柄の当たり図柄毎に普図当たり種別乱数値が振り分けられ
、各当たり図柄には普通作動部材12bの作動パターン対応付けられている。なお、普通
作動部材12bの作動パターンは、第2始動口12aの開放時間(普通作動部材12bの
作動時間)の情報を含んでいる。
【0109】
普図当たり種別乱数値は、普図当たり種別乱数カウンタが発生する値である。普図当た
り種別乱数カウンタを動作させるためのコンピュータプログラムは、ROM63に記憶さ
れており、そのコンピュータプログラムをCPU62が実行することにより、普図当たり
種別乱数カウンタが動作して普図当たり種別乱数値を発生させる。普図当たり種別乱数カ
ウンタは、カウンタIC等の乱数生成回路を利用したものでもよい。本実施形態において
普図当たり種別乱数カウンタは、0~232の計233個の値をカウントする。つまり、
0~232の計233個の普図当たり種別乱数値を発生させ得る。
【0110】
ここで、本実施形態のパチンコ遊技機1では、普通作動部材12bの作動パターンとし
て、第1作動パターンFS1、第2作動パターンFS2及び第3作動パターンFS3の3
種類が設定されている。このうち第1作動パターンFS1は、第2始動口ソレノイド12
dを0.036秒(36ms)だけ励磁状態とする(普通作動部材12bを作動して第2始動
口12aを開放する)作動パターンである。第2作動パターンFS2は、第2始動口ソレ
ノイド12dを0.58秒(580ms)にわたって励磁状態とする作動パターンである。第
3作動パターンFS3は、第2始動口ソレノイド12dを1.8秒(1800ms)にわたって
励磁状態とする作動パターンである。なお、普通作動部材12bの0.58秒の作動時間
は、ゲート13を通過した遊技球を上面で受けて第2始動口12aまで転動させることが
可能な時間である。
【0111】
図11に示すように、非時短遊技状態で行われた普図当たり判定が当たりの判定結果と
なった場合には、普図当たり種別乱数値が0~232のうち何れの値であっても、普通図
柄の当たり図柄として図柄hz1が決定され、作動パターンとして第1作動パターンFS
1が選択される。すなわち、非時短遊技状態では、ゲート13への遊技球の通過を契機と
する普図当たり判定において当たりの判定結果となった場合に必ず(100パーセント)
第1作動パターンFS1となるので、普図当たり判定が当たりの判定結果となっても第2
始動口12aは短時間しか開放されない。
【0112】
これに対し、時短遊技状態で行われた普図当たり判定が当たりの判定結果となった場合
には、普図当たり種別乱数値が0~232のうち0~99の範囲内の値であれば、普通図
柄の当たり図柄として図柄hz2が決定され、作動パターンとして第2作動パターンFS
2が選択される。また、普図当たり種別乱数値が0~232のうち100~232の範囲
内値であれば、普通図柄の当たり図柄として図柄hz3が決定され、作動パターンとして
第3作動パターンFS3が選択される。すなわち、時短遊技状態では、ゲート13への遊
技球の通過を契機とする普図当たり判定において当たりの判定結果となった場合に、普通
作動部材12bの作動パターンとして、遊技球を第2始動口12aに誘導可能な作動パタ
ーンが選択される。
【0113】
以上のように、遊技制御用マイコン61は、非時短遊技状態と時短遊技状態とで異なる
決定確率により普通作動部材12bの複数種類の作動パターンを決定する。ここで、遊技
制御用マイコン61が時短遊技状態において非時短遊技状態よりも高い確率で第2始動口
12aの開放時間が長い作動パターン(第2作動パターンFS2、第3作動パターンFC
3)を決定するように制御することが、前述した(開放時間延長機能による)電サポ制御
に相当する。
【0114】
[遊技制御用マイコン61の主な処理]
次に、遊技制御用マイコン61が実行する主な処理について図を参照しつつ説明する。
【0115】
(メイン側主制御処理)
最初に、
図12を参照し、メイン側主制御処理の内容について説明する。
遊技制御用マイコン61は、パチンコ遊技機1の電源がオンされると、ROM63から
メイン側主制御処理のコンピュータプログラムを読み出して実行する。遊技制御用マイコ
ン61は、最初に初期設定を行う(ステップ(以下、Sと略す)1)。この初期設定では
、例えば、スタックの設定、定数の設定、割込時間の設定、CPU62の設定、SIO(S
ystem Input/Output)、PIO(Parallel Input/Output)、CTC(Counter/Timer Circuit
:割込時間を管理するための回路)の設定、各種のフラグ、カウンタ及びタイマ等のリセ
ット等を行う。続いて、遊技制御用マイコン61は、割込禁止を実行し(S2)、普通図
柄・特別図柄主要乱数更新処理を実行する(S3)。この普通図柄・特別図柄主要乱数更
新処理では、前述した大当たり乱数値、大当たり種別乱数値、小当たり種別乱数値、リー
チ乱数値、変動パターン乱数値、普図当たり乱数値及び普図当たり種別乱数値を発生する
各乱数カウンタの初期値をそれぞれ「1」加算して更新する。各乱数カウンタのカウント
値は上限値に達すると「0」に戻って再び「1」加算される。なお、各乱数カウンタの初
期値は「0」以外の値であってもよく、ランダムに変更されるものであってもよい。また
、各乱数カウンタのカウント値にそれぞれ「2」以上の数値を加算して更新してもよい。
また、各乱数は、カウンタIC等から成る公知の乱数生成回路を利用して生成される、い
わゆるハードウェア乱数であってもよい。このハードウェア乱数を用いる場合は、ソフト
ウェアによる乱数の更新処理(S3)は必要ない。
【0116】
続いて、遊技制御用マイコン61は、割込許可を実行する(S4)。割込許可中は、メ
イン側タイマ割込処理(S5)の実行が可能となる。メイン側タイマ割込処理(S5)は
、例えば、4ms周期でCPU62に対して入力される割込パルスに基づいて実行される
。つまり、4ms周期で実行される。そして、メイン側タイマ割込処理(S5)が終了し
てから、次にメイン側タイマ割込処理(S5)が開始されるまでの間に、普通図柄・特別
図柄主要乱数更新処理(S3)による各種カウンタの初期値更新処理が実行される。なお
、割込禁止状態のときにCPU62に割込パルスが入力された場合は、メイン側タイマ割
込処理(S5)は直ぐには開始されず、割込許可(S4)が実行されてから開始される。
【0117】
(メイン側タイマ割込処理)
次に、
図13を参照し、メイン側タイマ割込処理(S5)について説明する。
遊技制御用マイコン61は、出力処理を実行する(S10)。この出力処理では、以下
に説明する各処理において主制御基板60のRAM64に設けられた出力バッファにセッ
トされたコマンド等をサブ制御基板100や払出制御基板73等に出力する。続いて、遊
技制御用マイコン61は、入力処理を実行する(S11)。この入力処理では、主にパチ
ンコ遊技機1に取付けられている各種センサ(第1始動口センサ10b、第2始動口セン
サ12c、ゲートセンサ13a、第1大入賞口センサ14c、第2大入賞口センサ15c
、特定領域センサ55a、非特定領域センサ55b、一般入賞口センサ11b等)が検出
した各検出信号を読み込む。続いて、遊技制御用マイコン61は、タイマ更新処理を実行
する(S12)。このタイマ更新処理では、タイマとして作動している減算カウンタの更
新(減算)を行う。続いて、遊技制御用マイコン61は、賞球制御処理を実行する(S1
3)。この賞球制御処理では、入力処理(S11)において読み込んだ各種センサの検出
信号に基づいて、入賞口の種類に応じた賞球を払い出すための払出コマンドをRAM64
の出力バッファにセットする。払出コマンドは、払出制御基板73に対して出力されるコ
マンドである。続いて、遊技制御用マイコン61は、普通図柄・特別図柄主要乱数更新処
理を実行する(S14)。この普通図柄・特別図柄主要乱数更新処理は、
図12のメイン
側主制御処理で実行する普通図柄・特別図柄主要乱数更新処理(S3)と同じである。つ
まり、各乱数カウンタの初期値の更新処理は、メイン側タイマ割込処理(S5)の実行期
間と、それ以外の期間(メイン側タイマ割込処理(S5)の終了後、次のメイン側タイマ
割込処理(S5)が開始されるまでの期間)との両方で行われている。
【0118】
続いて、遊技制御用マイコン61は、後述するセンサ検出処理(S15)、普通動作処
理(S16)、特別図柄待機処理(S17)、特別図柄関連処理(S18)を順に実行し
、次にその他の処理(S19)を実行して、メイン側タイマ割込処理を終了する。その他
の処理(S19)は、パチンコ遊技機1に異常状態が生じているかを判定する異常判定処
理等である。例えば異常判定処理としては、不正入球を検出する不正入球検出処理、不正
な磁気を検出する磁気検出処理、前面枠18や内枠の開放を検出する扉開放処理、不正な
電波を検出する電波検出処理、衝撃(振動)を検出する衝撃検出処理等がある。また、そ
の他の処理では、第1特図保留数に基づいて第1特図保留表示器51aをその数を示す表
示態様に制御したり、第2特図保留数に基づいて第2特図保留表示器52aをその数を示
す表示態様に制御したりする。そして、次にCPU62に割込パルスが入力されるまでは
メイン側主制御処理のS2~S4の処理が繰り返し実行され、割込パルスが入力されると
(約4ms後)、再びメイン側タイマ割込処理(S5)が実行される。再び実行されたメ
イン側タイマ割込処理の出力処理(S10)においては、前回のメイン側タイマ割込処理
(S5)にてRAM64の出力バッファにセットされたコマンド等が所定の基板へ出力さ
れる。
【0119】
(図柄用センサ検出処理)
次に、
図14を参照し、図柄用センサ検出処理(S15)について説明する。
遊技制御用マイコン61は、遊技球がゲート13を通過したか否かを判定する(S30
)。遊技球がゲート13を通過したことはゲートセンサ13aによって検出される。遊技
球がゲート13を通過したと判定した場合(S30:Yes)、遊技制御用マイコン61
は、ゲート通過処理を実行する(S31)。このゲート通過処理では、ゲート入球フラグ
がONであるかOFFであるかを判定する。このゲート入球フラグは、遊技球がゲート1
3を通過してから対応する普図変動表示が終了するまで(普図当たりの場合は普通作動部
材12bの作動が終了するまで)の期間にONとされるフラグである。前述したように本
実施形態では普通図柄の作動保留を記憶する記憶部を備えていないことから、当該ゲート
通過処理(S31)においてゲート入球フラグの状態を確認し、ONの場合には、前述し
たゲートセンサ13aによる検出を無効な検出(普図変動表示または補助遊技の実行中の
検出)として当該処理を終了する。これに対し、ゲート入球フラグがOFFの場合には、
ゲートセンサ13aによる検出を有効な検出(普図変動表示及び補助遊技の非実行中の検
出)として、ゲート入球フラグをONに変更し、当該処理を終了する。
【0120】
S31の終了後、又は遊技球がゲート13を通過していないと判定した場合(S30:
No)、遊技制御用マイコン61は、遊技球が第2始動口12aに入球したか否かを判定
する(S32)。遊技球が第2始動口12aに入球したことは第2始動口センサ12cに
よって検出される。遊技球が第2始動口12aに入球していない場合(S32:No)、
S38に進むが、遊技球が第2始動口12aに入球したと判定した場合(S32:Yes
)、遊技制御用マイコン61は、第2特図保留数U2が上限値である「4」に達している
か否か判定する(S33)。第2特図保留数U2が上限値である「4」に達している場合
(S33:Yes)、S38に進むが、第2特図保留数U2が「4」に達していない場合
(S33:No)、遊技制御用マイコン61は、第2特図保留数U2に1を加算する(S
34)。これにより、第2特図の変動保留条件が成立する。
【0121】
続いて、遊技制御用マイコン61は、第2特図関係乱数取得処理を実行する(S35)
。この第2特図関係乱数取得処理では、大当たり乱数と、大当たり種別乱数と、小当たり
種別乱数と、リーチ乱数と、変動パターン乱数とを取得し、それら取得した各乱数を第2
特図保留記憶部64bのうち、現在の第2特図保留数に応じた記憶領域に格納する。例え
ば、現在の第2特図保留数が「3」であった場合は、各乱数を第4記憶領域に記憶する。
【0122】
続いて、遊技制御用マイコン61は、第2始動入賞コマンド作成処理を実行する(S3
6)。この第2始動入賞コマンド作成処理では、S35において取得した各乱数群に基づ
いて第2始動入賞コマンドを作成する。この第2始動入賞コマンドは、遊技球が第2始動
口12aに入球したことを示すデータ、S35において取得した各乱数を示すデータ等に
より構成されている。続いて、遊技制御用マイコン61は、S36において作成した第2
始動入賞コマンドをRAM64の出力バッファにセットする(S37)。このセットされ
た第2始動入賞コマンドは、出力処理(S10)においてサブ制御基板100に出力され
、演出制御用マイコン101が第2始動入賞コマンドに含まれる各乱数に基づいて演出を
実行する。
【0123】
続いて、遊技制御用マイコン61は、遊技球が第1始動口10aに入球したか否かを判
定する(S38)。遊技球が第1始動口10aに入球したことは第1始動口センサ10b
によって検出される。遊技球が第1始動口10aに入球していない場合(S38:No)
、センサ検出処理を終了するが、第1始動口10aに入球したと判定した場合(S38:
Yes)、遊技制御用マイコン61は、第1特図保留数U1が上限値の「4」に達してい
るか否か判定する(S39)。第1特図保留数U1が「4」に達している場合(S39:
Yes)、センサ検出処理を終了するが、第1特図保留数U1が「4」に達していない場
合(S39:No)、遊技制御用マイコン61は、第1特図保留数U1に1を加算する(
S40)。これにより、第1特図の変動保留条件が成立する。
【0124】
続いて、遊技制御用マイコン61は、第1特図関係乱数取得処理を実行する(S41)
。この第1特図関係乱数取得処理では、大当たり乱数と、大当たり種別乱数と、リーチ乱
数と、変動パターン乱数とを取得し、それら取得した各乱数を第1特図保留記憶部64a
のうち、現在の第1特図保留数に応じた記憶領域に格納する。例えば、現在の第1特図保
留数が「3」であった場合は、各乱数を第4記憶領域に記憶する。
【0125】
続いて、遊技制御用マイコン61は、第1始動入賞コマンド作成処理を実行する(S4
2)。この第1始動入賞コマンド作成処理では、S41で第1特図保留記憶部64aに格
納した各乱数群に基づいて第1始動入賞コマンドを作成する。この第1始動入賞コマンド
は、遊技球が第1始動口10aに入球したことを示すデータ、S41で第1特図保留記憶
部64aに格納した各乱数を示すデータ等により構成されている。続いて、遊技制御用マ
イコン61は、S42で作成した第1始動入賞コマンドをRAM64の出力バッファにセ
ットする(S43)。このセットされた第1始動入賞コマンドは、出力処理(S10)に
おいてサブ制御基板100に出力され、演出制御用マイコン101が第1始動入賞コマン
ドに含まれる各乱数に基づいて演出を実行する。
【0126】
(普通動作処理)
次に、
図15を参照し、普通動作処理(S16)について説明する。
遊技制御用マイコン61は、補助遊技中(普通作動部材12bの作動中)であるか否か
を判定し(S50)、補助遊技中ではないと判定した場合は(S50:No)普通図柄の
停止表示中か否かを判定する(S51)。ここで、遊技制御用マイコン61は、普通図柄
の停止表示中ではないと判定した場合は(S51:No)、普通図柄の変動表示中か否か
を判定し(S52)、普通図柄の変動表示中ではないと判定した場合は(S52:No)
、前述したゲート入球フラグがOFFであるか否か(すなわちゲートセンサ13aによる
有効な検出が発生したか否か)を判定する(S53)。ここで、遊技制御用マイコン61
は、ゲート入球フラグがOFFであると判定した場合は(S53:Yes)、普通動作処
理を終える。
【0127】
また、遊技制御用マイコン61は、S53においてゲート入球フラグがONであると判
定した場合、すなわち有効なタイミングで遊技球がゲート13を通過した場合には(S5
3:No)、普図当たり判定処理を行う(S54-1)。この普図当たり判定処理(S5
4-1)では、取得した普図当たり乱数値と普通図柄当否判定テーブルT9との関係に基
づいて普図当たり判定を行い、普図当たりか否か判定する。そして、この普図当たり判定
が当たりの判定結果の場合、普図当たり種別乱数値と普図当たり種別判定テーブルT10
との関係に基づいて普図決定処理(普図当たり種別決定処理を含む)を行い、普図当たり
判定の結果に応じた普図停止図柄データをRAM64の所定の記憶領域にセットする(S
54-2)。つまり、普図決定処理(S54-2)では、「ハズレ」であれば「普通ハズ
レ図柄」に応じたデータをセットし、「当たり」であれば、当たりの普通当たり図柄(普
通図柄hz1または普通図柄hz2)を決定し、その決定した普通図柄に応じたデータを
セットする。
【0128】
続いて、遊技制御用マイコン61は、普図変動時間決定処理を行う(S54-3)。普
図変動時間決定処理(S54-3)では、遊技状態が時短遊技状態であれば、普通図柄の
変動時間が0.1秒であって普通図柄の停止時間が0.5秒である普通図柄変動パターン
を選択する。一方、遊技状態が非時短遊技状態であれば、普通図柄の変動時間が30.0
秒であって普通図柄の停止時間が0.5秒である普通図柄変動パターンを選択する。
【0129】
続いて、遊技制御用マイコン61は、S54-1、S54-2及びS54-3において
決定した内容(変動時間、停止図柄)に基づいて普通図柄の変動表示を開始する(S54
-4)。なお、これに伴い、サブ制御基板100に普通図柄の変動開始と、その変動表示
の結果(停止表示する普通図柄の種類)とを知らせるため、普図変動開始コマンドをセッ
トする。この普図変動開始コマンドには、S54-1、S54-2及びS54-3におい
て決定した普図当たり判定の当否、停止図柄及び普図変動時間が含まれている。
【0130】
また、遊技制御用マイコン61は、S52において、普通図柄の変動表示中であると判
定した場合は(S52:Yes)、普通図柄の変動時間が終了したか否か判定し(S55
-1)、終了していないと判定した場合は(S55-1:No)、普通動作処理を終える
。一方、終了したと判定した場合は(S55-1:Yes)、普通図柄の変動表示を、普
図当たり判定や普図当たり種別判定の結果に応じた表示結果(普通当たり図柄または普通
ハズレ図柄)で停止させる(S55-2)。そして、サブ制御基板100に普通図柄の変
動停止を知らせるための普図変動停止コマンド(普図用の変動停止コマンド)をセットす
るとともに(S55-3)、普通図柄の停止時間をセットし(S55-4)、普通動作処
理を終える。
【0131】
また、遊技制御用マイコン61は、S51において、普通図柄の停止表示中であると判
定した場合は(S51:Yes)、S56-1において普通図柄の停止時間が終了したか
否か判定し、終了していないと判定した場合は(S56-1:No)、普通動作処理を終
える。一方、終了していると判定した場合は(S56-1:Yes)、普通当たり図柄の
普図停止図柄データがセットされているか否か、つまり、当たりか否かを判定し(S56
-2)、当たりではないと判定した場合は(S56-2:No)、ゲート入球フラグをO
FFとして(S59)、普通動作処理を終える。一方、当たりと判定した場合は(S56
-2:Yes)、時短遊技状態であるか否かを判定し(S56-3)、時短遊技状態であ
ると判定した場合は(S56-3:Yes)、普通作動パターン決定処理(時短)を実行
する(S57-1)。これに対し、当たりと判定し(S56-2:Yes)かつ非時短遊
技状態であると判定した場合は(S56-3:No)、普通作動パターン決定処理(非時
短)を実行する(S57-2)。
【0132】
ここで、S57-1の普通作動パターン決定処理(時短)では、普通作動部材12bの
普通作動パターンを、前述した普図当たり種別判定テーブルT10(
図11)に基づいて
決定する。すなわち、時短遊技状態中に補助遊技を行う場合の普通作動部材12bの作動
パターンとして、第2作動パターンFS2が決定される。そして、遊技制御用マイコン6
1は、続くS57-3において作動パターンをセットし、補助遊技(普通作動部材12b
の作動)を開始させる(S57-3)。これにより、時短遊技状態中には、第2始動口1
2aが5.8秒(5800ms)開放される。そして、普通動作処理を終了する。
これに対し、S57-2の普通作動パターン決定処理(非時短)では、普通作動部材1
2bの普通作動パターンを、前述した普図当たり種別判定テーブルT10(
図11)に基
づいて決定する。すなわち、非時短遊技状態中に補助遊技を行う場合の普通作動部材12
bの作動パターンとして、第1作動パターンFS1が決定される。そして、遊技制御用マ
イコン61は、続くS57-3において作動パターンをセットし、補助遊技(普通作動部
材12bの作動)を開始させる(S57-3)。これにより、非時短遊技状態中には、第
2始動口12aが0.036秒(36ms)開放される。そして、普通動作処理を終了する。
【0133】
また、遊技制御用マイコン61は、前述したS50において補助遊技中(普通作動部材
12bの作動中)であると判定した場合は(S50:Yes)、補助遊技の終了条件(普
通作動部材12bの作動終了条件)が満足されたか否かを判定する(S58-1)。ここ
で、作動終了条件とは、S57-1またはS57-2においてセットされた作動パターン
毎の作動時間が終了したという作動時間終了条件、あるいは、第2始動口12aへの入球
数が規定の入球数に達したという規定入球数条件である。また、規定入球数条件は、第2
始動口12aへの入球数が10個と定められている。
遊技制御用マイコン61は、作動終了条件が満足されていないと判定した場合は(S5
8-1:No)、普通動作処理を終える。一方、満足されたと判定した場合は(S58-
1:Yes)、補助遊技(普通作動部材12bの作動)を終了させ(S58-2)、かつ
ゲート入球フラグをOFFとして(S59)、普通動作処理を終了する。
【0134】
(特別図柄待機処理)
次に、
図16を参照し、特別図柄待機処理(S17)について説明する。
遊技制御用マイコン61は、特別図柄の変動時間および停止時間の何れかを計測中であ
るか否かを判定し(S60)、計測中であれば(S60:Yes)、特別図柄待機処理を
終了する。一方で、特別図柄の変動時間および停止時間の何れも計測していなければ(S
60:No)、S61に進む。遊技制御用マイコン61は、S61において、第2特図保
留数U2が「0」であるか否かを判定する。そして、「0」ではないと判定した場合(S
61:No)、すなわち、第2特図の変動表示についての始動条件が成立した場合に、遊
技制御用マイコン61は、後述する第2特図当たり判定処理(S62)及び第2特図変動
パターン選択処理(S63)を実行する。続いて、遊技制御用マイコン61は、第2特図
保留数U2から「1」を減算し(S64)、第2特図保留記憶部64bの各記憶領域に記
憶されている各データを、記憶の順番が古い方の記憶領域、つまり読み出される側に1つ
ずつシフトする(S65)。続いて、遊技制御用マイコン61は、第2特図変動開始処理
を実行する(S66)。この第2特図変動開始処理では、特図変動開始コマンドをRAM
64の出力バッファにセットし、第2特別図柄表示器52において第2特図の変動表示を
開始する。RAM64の出力バッファにセットする特図変動開始コマンドには、後述する
第2特図大当たり判定処理(
図17)においてセットされた特図停止図柄のデータや第2
特図変動パターン選択処理(
図18及び
図19)においてセットされた第2特図変動パタ
ーンのデータが含まれている。S66の実行後、遊技制御用マイコン61は、特別図柄待
機処理を終了する。
【0135】
また、遊技制御用マイコン61は、前述したS61において、第2特図保留数U2が「
0」であると判定した場合(S61:Yes)、第1特図保留数U1が「0」であるか否
かを判定する(S67)。「0」ではないと判定した場合(S67:No)、すなわち、
第1特図の変動表示についての始動条件が成立した場合に、遊技制御用マイコン61は、
後述する第1特図当たり判定処理(S68)及び第1特図変動パターン選択処理(S69
)を実行する。続いて、遊技制御用マイコン61は、第1特図保留数U2から「1」を減
算し(S70)、第1特図保留記憶部64aの各記憶領域に格納されている各データを、
記憶の順番が古い方の記憶領域、つまり、読み出される側に1つずつシフトする(S71
)。続いて、遊技制御用マイコン61は、第1特図変動開始処理を実行する(S72)。
この第1特図変動開始処理では、特図変動開始コマンドをRAM64の出力バッファにセ
ットし、第1特別図柄表示器51において第1特図の変動表示を開始する。RAM64の
出力バッファにセットする特図変動開始コマンドには、後述する第1特図当たり判定処理
(
図17)においてセットされた特図停止図柄のデータや第1特図変動パターン選択処理
(
図18及び
図19)においてセットされた第1特図変動パターンのデータが含まれてい
る。S72の実行後、遊技制御用マイコン61は、特別図柄待機処理を終了する。
【0136】
一方、第1特図保留数U1が「0」であると判定した場合(S67:Yes)、遊技制
御用マイコン61は、待機状態中か否かを判定する(S73)。待機状態は、大当たり遊
技状態中でなく、特別図柄の変動中ではなく、かつ特図保留数が零である状態を指す。よ
り詳しくは、待機状態は、前述の条件に加え、特別図柄(又は演出図柄)の確定表示後に
、図柄が停止した状態が一定時間以上経過したことを契機に生起する状態である。ここで
、待機状態中と判定した場合(S73:Yes)、遊技制御用マイコン61は、特別図柄
待機処理を終了する。一方、待機状態中ではないと判定した場合(S73:No)、遊技
制御用マイコン61は、待機画面設定処理を実行する(S74)。この待機画面設定処理
では、所定の待機時間を計測し、この待機時間の経過を待って、待機画面を表示させるた
めの客待ち待機コマンドをRAM64の出力バッファにセットする。その後、遊技制御用
マイコン61は特別図柄待機処理を終了する。
このように、本実施形態では、第1特図の変動表示は第2特図保留数U2が「0」の場
合(S61:Yes)に限って行われる。つまり、第2特図保留の消化は、第1特図保留
の消化に優先して実行される。
【0137】
(特図当たり判定処理)
次に、
図17を参照し、第2特図当たり判定処理(S61)及び第1特図当たり判定処
理(S67)について説明する。なお、第2特図当たり判定処理と第1特図当たり判定処
理とは、処理の流れが同じであるため、まとめて説明する。
【0138】
遊技制御用マイコン61は、RAM64の特図保留記憶部の第1記憶領域に記憶されて
いる大当たり乱数を読み出し(S80)、当否判定テーブル(この例では当否判定テーブ
ルT1)を参照する(S81)。続いて、遊技制御用マイコン61は、当否判定テーブル
T1の大当たりに対応する乱数値(判定値)の範囲を参照し、S80で読み出した大当た
り乱数値と同じ乱数値が存在するか否か、つまり、大当たりか否かの当否判定を行う(S
82)。
【0139】
大当たりと判定した場合(S82:Yes)、遊技制御用マイコン61は、大当たりと
判定したことを示す大当たりフラグをONにする(S83)。その後、遊技制御用マイコ
ン61は、特図保留記憶部の第1記憶領域に記憶されている大当たり種別乱数を読み出し
、複数の大当たりの種別が設定された大当たり種別判定テーブル(この例では大当たり種
別判定テーブルT2,T3)を参照し、大当たりの種別を判定する(S84)。大当たり
の種別によって、特図の大当たり図柄、特図の停止図柄、振分率、最大ラウンド数及び大
当たり演出図柄等が異なる。また、大当たりの種類によって時短遊技状態中の特図変動表
示の上限回数についても決定される。その後、遊技制御用マイコン61は、S84で判定
した大当たりの種別に応じた特図の大当たり図柄を確定表示するための特図停止図柄デー
タをRAM64に設けた特図バッファにセットし(S88)、本処理を終了する。
【0140】
一方、大当たりと判定しなかった場合(S82:No)、遊技制御用マイコン61は、
当否判定テーブルT1の小当たりに対応する乱数値の範囲を参照し、S80で読み出した
大当たり乱数と同じ乱数があるか否か、すなわち小当たりか否かの判定を行う(S85)
。前述したように、第1特図の抽選では小当たりに当選せず、第2特図の抽選で小当たり
に当選する場合がある。小当たりと判定した場合(S85:Yes)、遊技制御用マイコ
ン61は、小当たりと判定したことを示す小当たりフラグをONにする(S86)。その
後、遊技制御用マイコン61は、特図保留記憶部の第1記憶領域に記憶されている小当た
り種別乱数を読み出し、複数の小当たりの種別が設定された小当たり種別判定テーブルT
4を参照し、小当たりの種別を判定する(S87)。小当たりの種別によって、特図の小
当たり図柄、特図の停止図柄、振分率、小当たり演出図柄等が異なる。また、小当たりの
種類によって、特定領域の通過による大当たり遊技状態の有無、時短遊技状態の継続、時
短遊技状態の終了等についても決定される。その後、遊技制御用マイコン61は、S87
で判定した小当たりの種別に応じた特図の小当たり図柄を確定表示するための特図停止図
柄データをRAM64に設けた特図バッファにセットし(S88)、本処理を終了する。
【0141】
一方、小当たりと判定しなかった場合(S85:No)、すなわちハズレと判定した場
合には、遊技制御用マイコン61は、特図のハズレ図柄を確定表示するための特図停止図
柄データを特図バッファにセットし(S88)、本処理を終了する。
【0142】
(特図変動パターン選択処理)
次に、
図18及び
図19を参照し、第2特図変動パターン選択処理(S62)及び第1
特図変動パターン選択処理(S68)について説明する。なお、第2特図変動パターン選
択処理と第1特図変動パターン選択処理とは、処理の流れが同じであるため、特図変動パ
ターン選択処理としてまとめて説明する。
【0143】
遊技制御用マイコン61は、時短遊技状態であることを示す時短フラグがOFFである
か否かを判定する(S90)。時短フラグがOFFであると判定した場合(S90:Ye
s)、遊技制御用マイコン61は、S91に移行する。時短フラグがOFFではないと判
定した場合(S90:No)、遊技制御用マイコン61は、S99に移行する。
【0144】
S91,S99に移行した遊技制御用マイコン61は、大当たりフラグがONであるか
否かを判定する。大当たりフラグがONであると判定した場合(S91,S99:Yes
)、遊技制御用マイコン61は、特図変動パターン選択テーブルT7,T8のうち特別図
柄の種類に応じたテーブルを参照して大当たり用の特図変動パターンを選択する(S92
,S100)。例えば、非時短遊技状態である場合、特図変動パターン選択テーブルT7
を参照して大当たり用の特図変動パターンを選択する(S92)。また、時短遊技状態で
ある場合は、特図変動パターン選択テーブルT8を参照して大当たり用の特図変動パター
ンを選択する(S100)。特図変動パターンを選択した遊技制御用マイコン61は、そ
の後、S98に移行する。
【0145】
また、大当たりフラグがONではないと判定した場合(S91,S99:No)、遊技
制御用マイコン61は、小当たりフラグがONであるか否かを判定する(S93,S10
1)。小当たりフラグがONであると判定した場合(S93,S101:Yes)、遊技
制御用マイコン61は、特図変動パターン選択テーブルT7,T8のうち特別図柄の種類
に応じたテーブルを参照して特図変動パターンを選択する(S94)。前述したように本
実施形態では、第1特図の抽選で小当たりに当選せず、第2特図の抽選で小当たりに当選
する場合がある。第2特図の抽選で小当たりに当選した場合、遊技制御用マイコン61は
、特図変動パターン選択テーブルT8を参照して、小当たり用の特図変動パターンを選択
する。その後、遊技制御用マイコン61は、S98に移行する。
【0146】
一方で、小当たりフラグがOFFであると判定した場合(S93,S101:No)、
遊技制御用マイコン61は、S95,S103に移行する。
【0147】
遊技制御用マイコン61は、S95,S103において、特図保留記憶部の第1記憶領
域に記憶されているリーチ乱数値を取得し、その取得したリーチ乱数値がリーチ成立乱数
であるか否かを判定する。遊技制御用マイコン61は、取得したリーチ乱数が、リーチ判
定テーブルT5のリーチ成立に対応する乱数値(判定値)の中に存在するならば、リーチ
成立乱数であると判定する(S95,S103:Yes)。その後、遊技制御用マイコン
61は、特図変動パターン選択テーブルT7,T8のうち特別図柄の種類に応じたテーブ
ルを参照して、リーチ有りハズレ用の特図変動パターンを選択する(S96,S104)
。特図変動パターンを選択した遊技制御用マイコン61は、その後、S98に移行する。
【0148】
一方、取得したリーチ乱数がリーチ成立乱数ではないと判定した場合(S95,S10
3:No)、遊技制御用マイコン61は、特図変動パターン選択テーブルT7,T8のう
ち特別図柄の種類に応じたテーブルを参照して、リーチ無しハズレ用の特図変動パターン
を選択する(S97,S105)。特図変動パターンを選択した遊技制御用マイコン61
は、その後、S98に移行する。
【0149】
S92,S94,S96,S97,S100,S102,S104,S105の終了後
、S98に移行した遊技制御用マイコン61は、選択した変動パターンを示す変動パター
ンデータをRAM64に設けた特図変動パターンバッファにセットし、特図変動パターン
選択処理を終了する。S98で特図変動パターンバッファにセットした変動パターンデー
タは、前述した特別図柄待機処理のS66,S72でセットされる特図変動開始コマンド
に含められ、メイン側タイマ割込処理の出力処理(S10)により、サブ制御基板100
へ出力される。
【0150】
(特別図柄関連処理)
次に、
図20を参照し、特別図柄関連処理(S18)について説明する。
遊技制御用マイコン61は先ず、特別図柄(第1特図、第2特図)の変動時間(S98
でセットした特図変動パターンに応じた時間)の計測の終了タイミングであるか否かを判
定する(S110)。そして、変動時間の終了タイミングであると判定した場合(S11
0:Yes)、遊技制御用マイコン61は、S88でセットした特図停止図柄データに応
じた特別図柄の停止図柄を表示(特別図柄の変動表示を確定表示)する(S111-1)
と共に、特図変動停止コマンド(特図用の変動停止コマンド)をRAM64に設けた出力
バッファにセットする(S111-2)。また、特別図柄の停止時間の計測を開始する(
S111-3)。そして、遊技制御用マイコン61は、S111-3の終了後、特別図柄
関連処理を終了する。
【0151】
一方で、遊技制御用マイコン61は、前述したS110において特別図柄の変動時間の
終了タイミングではないと判定した場合(S110:No)、前述したS111-3にお
いて開始した特別図柄の停止時間の計測の終了タイミングであるか否かを判定する(S1
12)。停止時間の終了タイミングであると判定した場合(S112:Yes)、遊技制
御用マイコン61は、後述する遊技状態管理処理を実行する(S113)。その後、遊技
制御用マイコン61は、大当たりフラグがONであるか否かを判定し(S114-1)、
ONであると判定した場合(S114-1:Yes)、遊技状態リセット処理を実行する
(S114-2)。この遊技状態リセット処理では、時短フラグがONであるか否かを判
定し、ONになっていると判定した場合は、時短フラグをOFFにする。
【0152】
遊技制御用マイコン61は、前述したS112において特別図柄の停止時間の終了タイ
ミングではないと判定した場合(S112:No)、遊技状態が大当たり遊技状態(1種
大当たり状態またはV当たり状態)であるか否かを判定する(S115-1)。なお、遊
技制御用マイコン61は例えば、大当たりフラグがONであり、かつ特別図柄の変動時間
および停止時間の何れも計測していない場合に、大当たり遊技状態であると判定する。そ
してこのS115-1において大当たり遊技状態であると判定した場合には(S115-
1:Yes)、1種大当たり状態またはV当たり状態(2種大当たり状態の2ラウンド以
降)に関する特別電動役物処理(後述)を実行する(S115-2)。そして、S115
-2の終了後、特別図柄関連処理を終了する。
【0153】
一方で、遊技制御用マイコン61は、前述したS115-1において大当たり遊技状態
ではないと判定した場合(S115-1:No)、前述したS115-2を経由すること
なくS116-1に進み、遊技状態が小当たり状態であるか否かを判定する。なお、遊技
制御用マイコン61は例えば、小当たりフラグがONであり、かつ特別図柄の変動時間お
よび停止時間の何れも計測していない場合に、小当たり状態であると判定する。そしてこ
のS116-1において小当たり状態であると判定した場合には(S116-1:Yes
)、小当たり状態に関する特別電動役物処理(後述)を実行する(S116-2)。そし
て、S116-2の終了後、特別図柄関連処理を終了する。
【0154】
(遊技状態管理処理)
次に、
図21を参照し、遊技状態管理処理(S113)の内容について説明する。
遊技制御用マイコン61は、時短遊技状態であるか否かを判定すべく、時短フラグがO
Nであるか否かを判定する(S113-1)。時短フラグがOFFであると判定した場合
(S113-1:No)、遊技制御用マイコン61は、後述するS113-7へと移行す
る。一方、時短フラグがONであると判定した場合(S113-1:Yes)、遊技制御
用マイコン61は、時短カウンタの値を1減算する(S113-2)。その後、遊技制御
用マイコン61は、1減算後の時短カウンタの値が「0」になったか否かを判定する(S
113-3)。そして、1減算後の時短カウンタの値が「0」になったと判定した場合(
S113-3:Yes)に、時短フラグをOFFにし(S113-5)、時短遊技状態の
連続生起回数(後述)を計数するリミットカウンタ(後述)の値をクリアすると共に、連
続生起回数が上限回数に達したか否かを示すリミッタフラグ(後述)がONであればOF
Fとして(S113-6)、S113-7に移行する。
一方で、遊技制御用マイコン61は、前述したS113-3において1減算後の時短カ
ウンタの値が「0」ではないと判定した場合(S113-3:No)、時短遊技状態の終
了条件のうち、転落小当たりへの当選(小当たり図柄bの決定)に対応する小当たり変動
の終了タイミングが到来したことによる終了条件の成立時であるか否かを判定する(S1
13-4)。そして、転落小当たり変動の終了による時短遊技状態の終了条件の成立時で
あると判定した場合(S113-4:Yes)、時短フラグをOFFにし(S113-5
)、前述のリミットカウンタの値をクリアすると共に、リミッタフラグがONであればO
FFとして(S113-6)、S113-7に移行する。これに対し、転落小当たり変動
の終了による時短遊技状態の終了条件の成立時ではない判定した場合は(S113-4:
No)、S113-5やS113-6を経由することなく、S113-7に移行する。
このように、本実施形態のパチンコ遊技機1(遊技制御用マイコン61)は、時短遊技
状態の連続生起回数(非時短遊技状態を終了してから復帰するまでの時短遊技状態の生起
回数)が上限回数に達していなくても、時短遊技状態の終了条件が成立するまでの間に次
の時短遊技状態を生起させる契機を得ることができなければ、その終了条件の成立時点で
リミットカウンタの値をクリアして非時短遊技状態に復帰させる制御を行う。
【0155】
S113-7において遊技制御用マイコン61は、現在の遊技状態の情報を含む遊技状
態指定コマンドをRAM64の出力バッファにセットし、その後、遊技状態管理処理を終
了する。なお、本実施形態において、遊技状態指定コマンドは、遊技状態の情報として、
非時短遊技状態、時短遊技状態、大当たり遊技状態(1種大当たり状態、V当たり状態)
、小当たり状態、の何れかを含んでいる。S113-7(特別図柄の変動表示の終了時点
から所定の停止時間が経過した時点)でセットされ得る遊技状態指定コマンドは、非時短
遊技状態、時短遊技状態、大当たり遊技状態(1種大当たり状態)、小当たり状態の何れ
かである。RAM64の出力バッファにセットされた遊技状態指定コマンドは、メイン側
タイマ割込処理の出力処理(S10)においてサブ制御基板100に出力される。時短カ
ウンタの値は、特図変動が消化される度に1減算され、時短カウンタの値が「0」になる
と、今回の図柄変動の終了を以て時短遊技状態が終了し、非通常状態に移行する。
【0156】
(特別電動役物処理(1種大当たり状態、V当たり状態))
次に、
図22を参照し、1種大当たり状態またはV当たり状態に関する特別電動役物処
理(S117)の内容について説明する。遊技制御用マイコン61は、特別図柄の変動表
示中および停止表示中の何れでもなく、かつ大当たりフラグがONとなっている期間に、
図22に示す特別電動役物処理を実行する。
【0157】
遊技制御用マイコン61は、特別電動役物処理(1種大当たり状態、V当たり状態)に
おいて、大当たりオープニング設定(S117-1)、大当たりラウンド設定(S117
-2)、大当たりエンディング設定(S117-3)等を実行する。遊技制御用マイコン
61は、大当たりオープニング設定(S117-1)において、大当たり遊技状態(1種
大当たり状態)のオープニング期間(大当たりオープニング)の開始タイミングや終了タ
イミングを示すコマンド(オープニングコマンド(大当たり開始コマンド)、オープニン
グ終了コマンド)を、RAM64の出力バッファにセットする処理等を行う。また、遊技
制御用マイコン61は、大当たりラウンド設定(S117-2)において、大当たり遊技
状態(1種大当たり状態、V当たり状態)のラウンド期間(ラウンド演出)の開始タイミ
ングや終了タイミングを示すコマンド(ラウンド開始コマンド(開放コマンド)、ラウン
ド終了コマンド(閉鎖コマンド))を、RAM64の出力バッファにセットする処理等を
行う。更に、遊技制御用マイコン61は、大当たりエンディング設定(S117-3)に
おいて、大当たり遊技状態(1種大当たり状態、V当たり状態)のエンディング期間(大
当たりエンディング)の開始タイミングや終了タイミングを示すコマンド(エンディング
コマンド、エンディング終了コマンド(大当たり終了コマンド))を、RAM64の出力
バッファにセットする処理等を行う。
【0158】
なお、遊技制御用マイコン61は、前述した大当たりオープニング設定や大当たりエン
ディング設定において、大当たりオープニングや大当たりエンディングの実行時間を所定
のタイマにセットし、計測する。また、前述の大当たりラウンド設定において遊技制御用
マイコン61は、大当たり遊技状態の種類に応じた作動パターンで第1大入賞口14aを
開閉させる。そして、ラウンド遊技中、第1大入賞口14aに上限個数の遊技球が入球す
るか、あるいは所定時間が経過すると、遊技制御用マイコン61は第1大入賞口14aを
閉状態としてラウンド遊技を終了する。遊技制御用マイコン61は、大当たり遊技状態の
種別毎に定められたラウンド回数分、第1大入賞口14aを開閉する。また、遊技制御用
マイコン61は、ラウンド遊技を開始させる度に特別電役作動有効カウンタの値を1減算
し、特別電役作動有効カウンタの値が「0」となった場合のラウンド遊技の終了後に、大
当たりエンディング設定においてエンディングコマンドをRAM64の出力バッファにセ
ットし、出力する。
【0159】
続いて、遊技制御用マイコン61は、大当たり遊技状態の終了タイミング(大当たりエ
ンディングの終了タイミング)であるか否かを判定する(S117-4)。そして、大当
たり遊技状態の終了タイミングではないと判定した場合(S117-4:No)、特別電
動役物処理(1種大当たり状態、V当たり状態)を終了する。一方で、遊技制御用マイコ
ン61は、S117-4において大当たり遊技状態の終了タイミングであると判定した場
合(S117-4:Yes)、S117-5において大当たりフラグをOFFにする。ま
た、続くS117-6において、時短遊技状態の連続生起回数が上限回数に達したか否か
を示すためのリミッタフラグを確認し、当該リミッタフラグがOFFであるか否かを判定
する。リミッタフラグは、遊技制御用マイコン61のRAM64に設定されるフラグであ
り、時短遊技状態の連続生起回数(リミットカウンタによるカウント値)が上限回数に達
した場合にONとなり、それ以前ではOFFに維持される。遊技制御用マイコン61は、
リミッタフラグがOFFである場合(S117-6:Yes)、すなわち時短遊技状態の
連続生起回数が上限回数に達していない場合に、遊技制御用マイコン61は、S117-
7~S117-11の処理を実行した後に、S117-14に移行する。一方、リミッタ
フラグがONである場合(S117-6:No)、すなわち時短遊技状態の連続生起回数
が上限回数に達している場合には、S117-12~S117-13の処理を実行した後
に、S117-14に移行する。
【0160】
遊技制御用マイコン61は、リミッタフラグがOFFである場合(S117-6:Ye
s)、すなわち時短遊技状態の連続生起回数が上限回数に達していない場合に、S117
-7において、時短遊技状態であることを示す時短フラグをONにして、更にS117-
8において、時短遊技状態中の特図変動回数を計数するための時短カウンタをセットする
。この時短カウンタは、最初に「100」をセットし、特図変動表示が終了する毎に値を
1ずつ減算するカウンタである。続いて、遊技制御用マイコン61は、その時点から時短
遊技状態が開始されることに対応して、リミットカウンタの値から1を減算する(S11
7-9)。この処理(S117-9)が、時短遊技状態(入球容易状態)の連続生起回数
を計数する機能(カウント手段)に相当する。次に、遊技制御用マイコン61は、S11
7-9の処理でのリミットカウンタの値の減算によってリミットカウンタの値が0、すな
わち上限回数に達したか否か(時短リミッタに到達したか否か)を判定する(S117-
10)。そしてS117-10において、その時点から開始する時短遊技状態によって時
短リミッタに到達したと判定した場合には(S117-10:Yes)、続くS117-
11においてリミッタフラグをOFFからONに切り替える。そして、S117-14に
おいて、(最後の)時短遊技状態とすることに対応する遊技状態指定コマンドをRAM6
4の出力バッファにセットし、特別電動役物処理(1種大当たり状態、V当たり状態)を
終了する。これに対し、S117-10において、時短リミッタに到達しないと判定した
場合には(S117-10:No)、S117-11を経由することなく、S117-1
4に移行し、時短遊技状態とすることに対応する遊技状態指定コマンドをRAM64の出
力バッファにセットし、特別電動役物処理(1種大当たり状態、V当たり状態)を終了す
る。
このように、本実施形態のパチンコ遊技機1(遊技制御用マイコン61)は、リミット
カウンタの値が0となり時短遊技状態の連続生起回数が上限回数に達した場合、次回の時
短遊技状態の生起を禁止するための処理(リミッタフラグをONする処理)を実行する。
【0161】
また、遊技制御用マイコン61は、リミッタフラグがONである場合(S117-6:
No)、すなわち時短遊技状態の連続生起回数が上限回数に達している場合に、S117
-12において、時短遊技状態への移行を禁止し、非時短遊技状態への移行を決定する。
この処理(S117-12)が、連続生起回数の上限回数到達に応じて新たな時短遊技状
態(入球容易状態)の生起を阻止する機能(リミッタ手段、時短リミッタ機能)に相当す
る。そして、リミッタフラグをOFFとし(S117-13)、S117-14に移行す
る。このS117-14では、非時短遊技状態とすることに対応する遊技状態指定コマン
ドをRAM64の出力バッファにセットし、特別電動役物処理(1種大当たり状態、V当
たり状態)を終了する。
【0162】
そして、遊技制御用マイコン61は、特別電動役物処理(1種大当たり状態、V当たり
状態)の終了により、特別図柄関連処理を終了する。
【0163】
(特別電動役物処理(小当たり状態))
次に、
図23を参照し、小当たり状態に関する特別電動役物処理(S121)について
説明する。遊技制御用マイコン61は、小当たり当選に基づいて第1大入賞口14aまた
は第2大入賞口15aを開放させるために、
図23に示す特別電動役物処理(小当たり)
を実行する。なお、本実施形態における特別電動役物処理(小当たり状態)は第2特図に
関連して実行されるため、第2特図を前提として説明する。
【0164】
遊技制御用マイコン61は、特別電動役物処理(小当たり状態)において、小当たりオ
ープニング設定(S119-1)、小当たり開放設定(S119-2)、振分部材設定(
S119-3)等を実行する。
遊技制御用マイコン61は、小当たりオープニング設定(S119-1)において、小
当たり状態のオープニング期間(小当たりオープニング)の開始タイミングや終了タイミ
ングを示すコマンド(オープニングコマンド(小当たり開始コマンド)、オープニング終
了コマンド)を、RAM64の出力バッファにセットする処理等を行う。小当たりオープ
ニングとは、小当たりの発生を祝う演出画像を演出表示装置7に表示したり、小当たりの
発生を祝う楽曲を各スピーカ8から再生したりする演出のことである。小当たりオープニ
ング設定では、小当たりオープニングの実行時間を所定のタイマにセットし、計測する。
【0165】
また、遊技制御用マイコン61は、小当たり開放設定(S119-2)において、既に
決定されている小当たり種別(小当たり図柄)に応じて、第2特別作動部材15bの作動
開始タイミング(または小当たり状態の開始タイミング)や第2特別作動部材15bの作
動終了タイミング(または小当たり状態の終了タイミング)を決定し、その決定した作動
開始タイミング・作動終了タイミングに合わせて第2大入賞口ソレノイド15dを駆動制
御する。また、決定した作動開始タイミング・作動終了タイミングを示すコマンド(開放
コマンド、閉鎖コマンド)を、RAM64の出力バッファにセットする処理等を行う。す
なわち、生起させることが決定されている小当たり状態が有利小当たり状態である場合は
、振分部材設定(S119-3)で設定される振分部材56の作動期間(例えば小当たり
状態の開始時点から1.8秒間)に合わせて、第2大入賞口15aを1.8秒間にわたっ
て開放状態とするので、その開放開始時点を示す開放コマンドをセットして出力すると共
に、開放終了時点を示す閉鎖コマンドをセットして出力する。一方、生起させることが決
定されている小当たり状態が不利小当たり状態である場合は、振分部材56の作動期間(
例えば小当たり状態の開始時点から1.8秒間)と重ならない期間に第2大入賞口15a
を1.8秒間にわたって開放状態とするので、その開放開始時点を示す開放コマンドをセ
ットして出力すると共に、開放終了時点を示す閉鎖コマンドをセットして出力する。
【0166】
更に、遊技制御用マイコン61は、振分部材設定(S119-3)において、振分部材
56の作動開始タイミング・作動終了タイミングとして小当たり状態の種類に関わらず共
通のタイミングを決定し(例えば、小当たり状態の開始時点を作動開始タイミングとして
決定すると共に、その作動開始から1.8秒経過時点を作動終了タイミングと決定し)、
その決定した作動開始タイミング・作動終了タイミングに合わせて第2大入賞口ソレノイ
ド15dを駆動制御する。
【0167】
その後、遊技制御用マイコン61は、遊技球が特定領域を通過したか否かを判定する(
S119-4)。特定領域を通過する遊技球は、特定領域センサ55aによって検出され
る。遊技球が特定領域を通過したと判定した場合(S119-4:Yes)、遊技制御用
マイコン61は、前述したリミットカウンタの値が0であるか否か(リミットカウンタに
よる計数が開始されていない状況であるか否か)を判定する。そして、リミットカウンタ
の値が0の場合には(S119-5:Yes)、リミットカウンタの値として、連続生起
回数の上限回数に対応する値「10」をセットし(S119-6)、続くS119-7に
進む。一方、リミットカウンタの値が0以外の値である場合には(S119-5:No)
、リミットカウンタによる計数が既に行われているということであるので、S119-6
の処理を行うことなく、S119-7に進む。
【0168】
遊技制御用マイコン61は、S119-7において、大当たりフラグをONにする。そ
して次に、遊技状態の情報を含む遊技状態指定コマンドとして、V当たり状態とすること
を示す情報を含む遊技状態指定コマンドを、RAM64の出力バッファにセットする(S
119-8)。なお、この遊技状態指定コマンドは、メイン側タイマ割込処理の出力処理
(S10)においてサブ制御基板100に出力される。これにより、パチンコ遊技機1で
は、小当たり状態による第2大入賞口15aの開放中に遊技球が特定領域を通過した場合
も、特図当たり判定で大当たりと判定された場合と同じように大当たり遊技状態を生起さ
せる(小当たり状態を2種大当たり状態に発展させる)ための制御が実行可能となる。
【0169】
S119-4が否定判定の場合(S119-4:No)またはS119-8の終了後、
遊技制御用マイコン61は、S119-9に移行する。このS119-9において遊技制
御用マイコン61は、小当たり当選に基づく第2大入賞口15aの閉鎖条件が成立してい
るか否かを判定する。小当たり当選に基づく第2大入賞口15aの閉鎖条件は、第2大入
賞口15aが開状態となってから上限個数の遊技球が入球するか、あるいは当選した小当
たりの開放時間が経過することである。そして、第2大入賞口15aの閉鎖条件が成立し
たと判定した場合(S119-9:Yes)、遊技制御用マイコン61は、小当たりフラ
グをOFFにし(S119-10)、続くS119-11~S119-13の処理を実行
する。この場合、遊技制御用マイコン61は、前述したS119-9で第2大入賞口15
aの閉鎖条件が成立したと判定した小当たり状態について、遊技球が特定領域を通過しな
かったか否かを判定する(S119-11)。そして、その小当たり状態中に遊技球が特
定領域を通過したことで第2大入賞口15aの閉鎖条件が成立した状況では、小当たり状
態中に遊技球が特定領域を通過したと判定し(S119-11:No)、特別電動役物処
理(小当たり状態)を終了する。一方、その小当たり状態中に遊技球が特定領域を通過し
ないまま、時間の経過または入球個数に応じて第2大入賞口15aの閉鎖条件が成立した
状況では、小当たり状態中に遊技球が特定領域を通過しなかったと判定し(S119-1
1:Yes)、時短フラグをOFFにすると共に(S119-12)、リミットカウンタ
の値を0にクリアし、かつリミッタフラグがONであればOFFとして(S119-13
)、特別電動役物処理(小当たり状態)を終了する。
【0170】
一方、遊技制御用マイコン61は、S119の処理において、第2大入賞口15aの閉
鎖条件が成立していないと判定した場合は(S119-9:No)、S119-10~S
119-13までの処理を経由することなく、特別電動役物処理(小当たり状態)を終了
する。
【0171】
[演出制御用マイコン101の主な処理]
次に、演出制御用マイコン101(
図4)が実行する主な処理について図を参照しつつ
説明する。
【0172】
(サブ側主制御処理)
先ず、
図24を参照し、サブ側主制御処理について説明する。
最初に、演出制御用マイコン101は、初期設定を実行する(S160)。この初期設
定では、例えば、スタックの設定、定数の設定、割込時間の設定、CPU102の設定、
SIO(System Input/Output)、PIO(Parallel Input/Output)、CTC(Counter/Timer
Circuit:割込時間を管理するための回路)の設定、各種のフラグ、カウンタ及びタイマ
等のリセット等を行う。続いて、演出制御用マイコン101は、電源断信号がONしてお
り、かつ、RAM120の内容が正常であるか否かを判定し(S161)、否定判定した
場合(S161:No)、RAM120を初期化し(S162)、S163に進む。また
、S161において肯定判定した場合(S161:Yes)、演出制御用マイコン101
は、RAM120を初期化しないでS163に進む。つまり、電源断信号がONになって
いない場合、または、電源断信号がONになっていてもRAM120の内容が正常でない
場合には(S161:No)、演出制御用マイコン101は、RAM120を初期化する
が、停電等で電源断信号がONとなったがRAM120の内容が正常に保たれている場合
には(S161:Yes)、RAM120を初期化しない。なお、RAM120を初期化
すれば、各種のフラグ、カウンタ及びタイマ等の値はリセットされる。また、このS16
0~S162は、電源投入後に一度だけ実行され、それ以降は実行されない。
【0173】
続いて、演出制御用マイコン101は、割込禁止を行い(S163)、乱数更新処理を
実行する(S164)。この乱数更新処理では、種々の演出決定用乱数カウンタの初期値
を更新する。なお、演出決定用乱数には、変動演出パターンを決定するための変動演出パ
ターン乱数、種々の予告演出を決定するための予告演出乱数等がある。乱数の更新方法は
、前述の遊技制御用マイコン61が行う乱数更新処理と同様の方法をとることができる。
続いて、演出制御用マイコン101は、コマンド送信処理を実行する(S165)。この
コマンド送信処理では、演出制御用マイコン101のRAM120内の出力バッファに格
納されている各種のコマンドを、画像制御基板200、音声制御基板78及びランプ制御
基板79等に送信する。続いて、演出制御用マイコン101は割込許可を実行する(S1
66)。以降、S163~S166を繰り返し実行する。また、割込許可中においては、
受信割込処理(S167)、1msタイマ割込処理(S168)及び10msタイマ割込
処理(S169)の実行が可能となる。
【0174】
(受信割込処理)
次に、受信割込処理(S167)について説明する。
演出制御用マイコン101は、主制御基板60から、演出制御用マイコン101の外部
INT(割込)入力部に与えられるストローブ信号(STB信号)の信号レベルが変化し
たか否か、つまり、コマンドを受信するタイミングであるか否かを判定する。例えば、ス
トローブ信号の信号レベルがハイレベルからローレベルに変化したか否かを判定する。そ
して、受信するタイミングではないと判定した場合、演出制御用マイコン101は、本処
理を終了する。一方、受信するタイミングであると判定した場合、演出制御用マイコン1
01は、主制御基板60から送信されてきた各種のコマンドを受信し、それら受信した各
種のコマンドをRAM120の受信バッファに格納する。この受信割込処理は、他の割込
処理(S168,S169)に優先して実行される処理である。
【0175】
(1msタイマ割込処理)
次に、
図25を参照し、1msタイマ割込処理(S168)について説明する。
演出制御用マイコン101は、サブ制御基板100に1ms周期の割込パルスが入力さ
れる度に、この1msタイマ割込処理を実行する。演出制御用マイコン101は、入力処
理を実行する(S170)。この入力処理では、演出制御用マイコン101が、演出レバ
ー押込検出スイッチ6a、演出レバー回転検出スイッチ6b、及び演出ボタン検出スイッ
チ5aからの検出信号に基づいて、スイッチがONしたことを示すスイッチデータ(エッ
ジデータ及びレベルデータ)を作成する。
【0176】
続いて、演出制御用マイコン101は、出力処理を実行する(S171)。この出力処
理では、後述する変動演出開始処理においてRAM120の出力バッファにセットされる
変動演出開始コマンドを画像制御基板200に出力する。また、演出表示装置7の表示に
合わせて盤ランプ2a、左サイドランプ23a及び右サイドランプ23bを発光させるた
めに、後述する10msタイマ割込処理におけるランプ処理(S183)等で作成したラ
ンプデータをランプ制御基板79に出力する。つまり、ランプデータに従って盤ランプ2
a、左サイドランプ23a及び右サイドランプ23bを所定の発光態様で発光させる。ま
た、演出表示装置7の表示に合わせて可動体モータ23dを駆動させるために、駆動デー
タ(可動体モータ23dを駆動するためのデータ)を作成し、その作成した駆動データを
出力する。つまり、駆動データにしたがって可動体モータ23dを所定の動作パターンで
駆動させる。また、演出表示装置7の表示に合わせてスピーカ8から音声を出力させるた
めに、後述する10msタイマ割込処理における音声制御処理(S184)等で作成した
音声データを音声制御基板78に出力する。つまり、音声データに従ってスピーカ8から
音声を出力させる。
【0177】
続いて、演出制御用マイコン101は、変動演出開始コマンドを出力したか否かを判定
する(S172)。変動演出開始コマンドは、後述する変動演出開始処理においてRAM
120の出力バッファにセットされ、S171において画像制御基板200に出力される
。ここで、演出制御用マイコン101は、変動演出開始コマンドを出力したと判定した場
合(S172:Yes)、変動演出パターンの変動時間の計測を開始する(S173)。
続いて、演出制御用マイコン101は、ウォッチドッグタイマのリセット設定を行うウォ
ッチドッグタイマ処理を行う(S174)。S174の終了後、又は変動演出開始コマン
ドを出力していないと判定した場合(S172:No)、演出制御用マイコン101は、
本処理を終了する。
【0178】
(10msタイマ割込処理)
次に、
図26を参照し、10msタイマ割込処理(S169)について説明する。
演出制御用マイコン101は、サブ制御基板100に10ms周期の割込パルスが入力
される度に、この10msタイマ割込処理を実行する。演出制御用マイコン101は、後
述する受信コマンド解析処理(
図27)を実行し(S180)、スイッチ状態取得処理を
実行する(S181)。このスイッチ状態取得処理では、1msタイマ割込処理の入力処
理(S170)において作成したスイッチデータを10msタイマ割込処理用のスイッチ
データとしてRAM120に格納する。続いて、スイッチ状態取得処理にて格納したスイ
ッチデータに基づいて、演出表示装置7が表示するボタン演出等の表示内容を設定するス
イッチ処理を実行する(S182)。続いて、演出制御用マイコン101は、ランプ処理
を実行する(S183)。このランプ処理では、演出表示装置7の表示に合わせて各ラン
プ(盤ランプ2a、左サイドランプ23a及び右サイドランプ23b等)の発光を制御す
るためのランプデータの作成や発光演出の時間管理等を行う。これにより、各ランプは、
演出表示装置7の表示に合った発光演出を行う。
【0179】
続いて、演出制御用マイコン101は、音声制御処理を実行する(S184)。この音
声制御処理では、音声データ(各スピーカ8からの音声の出力を制御するためのデータ)
の作成、その作成した音声データの音声制御基板78への出力、音声演出の時間管理等を
行う。これにより、演出表示装置7の表示に合わせて音声が各スピーカ8から出力される
。続いて、演出制御用マイコン101は、その他の処理を実行し(S185)、本処理を
終了する。その他の処理(S185)では、変動演出パターン乱数、予告演出を決定する
ための予告演出乱数等を更新する等の処理を実行する。また、その他の処理(S185)
では、遊技者に対して右打ちを促す右打ち演出を行うための右打ち演出処理や、遊技制御
用マイコン61からの各種のコマンドの受信(S180)に応じて特定される遊技の状況
に合わせて演出モード(後述)を設定するための演出モード設定処理等を実行する。
【0180】
(受信コマンド解析処理)
次に、
図27を参照し、受信コマンド解析処理(S330)について説明する。
演出制御用マイコン101は、主制御基板60から遊技状態指定コマンドを受信したか
否かを判定し(S190-1)、受信したと判定した場合(S190-1:Yes)、サ
ブ側遊技状態設定処理を実行する(S190-2)。遊技状態指定コマンドには、遊技状
態(非時短遊技状態、時短遊技状態、1種大当たり状態、小当たり状態、V当たり状態の
何れであるか)を示す情報などが含まれている。このサブ側遊技状態設定処理では、受信
した遊技状態指定コマンドを解析し、遊技状態指定コマンドに含まれている情報に基づき
、現時点で設定されている遊技状態を特定し、その遊技状態を示す遊技状態フラグを「1
」にセットし、それ以外の遊技状態フラグを「0」にセットする。また、演出制御用マイ
コン101は、後述する変動演出終了処理(S196-2、特図変動停止コマンドの受信
時)において計測を開始した(左中右の演出図柄7L,7C,7Rの)停止時間の計測を終
了する。
演出制御用マイコン101は、S190-2の処理の終了後、または、S190-1に
おいて遊技状態指定コマンドを受信していないと判定した場合に(S190-1:No)
、S191-1へ進む。
【0181】
演出制御用マイコン101は、主制御基板60から始動入賞コマンド(第1始動入賞コ
マンドまたは第2始動入賞コマンド)を受信したか否かを判定し(S191-1)、受信
したと判定した場合は(S191-1:Yes)、先読み演出判定処理を実行する(S1
91-2)。先読み演出判定処理(S191-2)では、第1特図保留演出記憶部121
(または第2特図保留演出記憶部122)に記憶した始動入賞コマンドに含まれている始
動入賞情報(例えば、大当たり乱数値、大当たり種別乱数値、小当たり種別乱数値、リー
チ乱数値等)を判定する。つまり、遊技制御用マイコン61が特別図柄の変動表示を開始
する時点よりも前(始動入球時)に、特図当たり判定や大当たり種別判定や小当たり種別
判定やリーチ判定を行う(事前判定)。そして、事前判定の結果に応じた抽選により、示
唆演出を行うか否かを決定する。
演出制御用マイコン101は、S191-2の処理の終了後、または、S191-1に
おいて始動入賞コマンドを受信していないと判定した場合に(S191-1:No)、S
192-1へ進む。
【0182】
演出制御用マイコン101は、主制御基板60からオープニングコマンドを受信したか
否か判定し(S192-1)、受信したと判定した場合は(S192-1:Yes)、オ
ープニング演出選択処理を実行する(S192-2)。このオープニング演出選択処理で
は、オープニングコマンドを解析し、その解析結果に基づいて、大当たり遊技状態のオー
プニングで実行するオープニング演出のパターン(内容)を選択する。詳しくは、オープ
ニングコマンド毎にオープニング演出パターンが対応付けて設定されたオープニング演出
パターン選択テーブル(図示せず)を参照し、受信したオープニングコマンドと対応付け
られているオープニング演出パターンを選択する。そして、選択したオープニング演出パ
ターンにてオープニング演出を開始するためのオープニング演出開始コマンドをRAM1
20の出力バッファにセットする。
演出制御用マイコン101は、S192-2の処理の終了後、または、S192-1に
おいてオープニングコマンドを受信していないと判定した場合に(S192-1:No)
、S193-1へ進む。
【0183】
演出制御用マイコン101は、主制御基板60からラウンド指定コマンドを受信したか
否かを判定する(S193-1)。この処理においてラウンド指定コマンドを受信したと
判定した場合は(S193-1:Yes)、ラウンド演出選択処理を実行する(S193
-2)。ラウンド演出選択処理では、大当たり遊技状態の各ラウンドにおいて実行するラ
ウンド演出の種類を選択すると共に、選択したラウンド演出を開始するためのラウンド演
出開始コマンドをRAM120の出力バッファにセットする。
演出制御用マイコン101は、S193-2の処理の終了後、または、S193-1に
おいてラウンド指定コマンドを受信していないと判定した場合に(S193-1:No)
、S194-1へ進む。
【0184】
演出制御用マイコン101は、主制御基板60からエンディングコマンドを受信したか
否か判定し(S194-1)、受信したと判定した場合は(S194-1:Yes)、エ
ンディング演出選択処理を実行する(S194-2)。このエンディング演出選択処理で
は、エンディングコマンドを解析し、その解析結果に基づいて、大当たり遊技状態のエン
ディングで実行するエンディング演出のパターン(内容)を選択する。詳しくは、エンデ
ィングコマンド毎にエンディング演出パターンが対応付けて設定されたエンディング演出
パターン選択テーブル(図示せず)を参照し、受信したエンディングコマンドと対応付け
られているエンディング演出パターンを選択する。そして、選択したエンディング演出パ
ターンにてエンディング演出を開始するためのエンディング演出開始コマンドをRAM1
20の出力バッファにセットする。
演出制御用マイコン101は、S194-2の処理の終了後、または、S194-1に
おいてエンディングコマンドを受信していないと判定した場合に(S194-1:No)
、S195-1へ進む。
【0185】
演出制御用マイコン101は、主制御基板60から特図変動開始コマンドを受信したか
否か判定し(S195-1)、受信したと判定した場合は(S195-1:Yes)、後
述する変動演出開始処理(
図28)を実行する(195-2)。この変動演出開始処理で
は、主制御基板60から受信した特図変動開始コマンドに応じて、変動演出のより具体的
な演出内容(変動演出パターン)を決定し、その変動演出の実行を指示するコマンドをR
AM120の出力バッファにセットする。また、演出制御用マイコン101は、変動演出
開始処理(S195-2)において、受信した特図変動開始コマンドに含まれる特図変動
パターンに応じて特図変動表示の変動時間を特定し、特定した変動時間を変動演出の実行
時間(左中右の演出図柄7L,7C,7Rの変動時間)としてその計測を開始する。
【0186】
この変動演出開始処理(S195-2)の実行後、演出制御用マイコン101は、後述
する示唆演出選択処理を実行する(S195-3)。示唆演出選択処理では、変動演出中
に示唆演出を実行するか否かおよび実行する示唆演出の種類を決定する。そして、示唆演
出を実行することを決定した場合には、その示唆演出の実行を指示するコマンドをRAM
120の出力バッファにセットする。
演出制御用マイコン101は、S195-3の処理の終了後、または、S195-1に
おいて変動開始コマンドを受信していないと判定した場合に(S195-1:No)、S
196-1へ進む。
【0187】
演出制御用マイコン101は、主制御基板60から特図変動停止コマンドを受信したか
否か判定し(S196-1)、受信したと判定した場合は(S196-1:Yes)、変
動演出終了処理を実行する(S196-2)。この変動演出終了処理では、演出制御用マ
イコン101は、変動演出を終了させるための変動演出終了コマンドをRAM120の出
力バッファにセットする。セットした変動演出終了コマンドがコマンド送信処理(
図25
のS165)によって画像制御基板200に送信されると、画像制御基板200は、演出
表示装置7において停止状態(滞留状態)となっている左演出図柄7L、中演出図柄7C
および右演出図柄7Rを確定表示する。また、演出制御用マイコン101は、変動演出終
了処理(S196-2)において、前述した変動演出開始処理(S195-2)で計測開
始した変動時間の計測を終了し、変動演出後の演出図柄7L,7C,7Rの停止時間(特図
変動表示の停止時間と同じ時間)の計測を開始する。
演出制御用マイコン101は、S197-2の処理の終了後、または、S196-1に
おいて変動停止コマンドを受信していないと判定した場合に(S196-1:No)、S
197へ進む。
【0188】
続いて、演出制御用マイコン101は、上記のコマンド以外のコマンドの受信に関する
処理を行って(S197)、受信コマンド解析処理を終える。
【0189】
(変動演出開始処理)
次に、
図28を参照し、変動演出開始処理(S195-2)について説明する。
演出制御用マイコン101は、受信した特図変動開始コマンドを解析する(S210)
。特図変動開始コマンドには、第2特図変動パターン選択処理(第1特図変動パターン選
択処理)でセットされた第2特図変動パターン(第1特図変動パターン)の情報、特図停
止図柄(大当たり種別判定結果)等が含まれている。続いて、演出制御用マイコン101
は、S210において解析した特図変動開始コマンドが第1特図変動開始コマンドである
場合は、第1特図保留数と同期するよう、第1特図保留演出カウンタの値を「1」減算し
、第2特図変動開始コマンドである場合は、第2特図保留数と同期するよう、第2特図保
留演出カウンタの値を「1」減算する(S211)。第1特図保留演出カウンタは、第1
始動入賞コマンドの受信に基づいて第1特図保留数に対応する数をカウントするカウンタ
であり、第2特図保留演出カウンタは、第2始動入賞コマンドの受信に基づいて第2特図
保留数に対応する数をカウントするカウンタである。続いて、演出制御用マイコン101
は、特図保留演出記憶部に記憶されている始動入賞コマンド等の各データを古い記憶領域
の方にシフトする(S212)。次に、演出制御用マイコン101は、演出表示装置7が
変動演出パターンを表示する際に最終的に確定表示する左演出図柄7L、中演出図柄7C
及び右演出図柄7Rの組み合わせを、演出図柄選択テーブル(図示せず)を参照して選択
する(S213)。
【0190】
続いて、演出制御用マイコン101は、演出内容選択処理を実行する(S214)。演
出制御用マイコン101は、演出内容選択処理として、指示された特図変動パターンに基
づいて、変動演出パターン選択テーブル(図示せず)の中から、演出図柄の変動に伴って
行われる演出内容(変動演出パターン)を選択する。続いて、演出制御用マイコン101
は、S214において選択した演出内容(変動演出パターン)の表示を演出表示装置7に
開始させるための変動演出開始コマンドをRAM120の出力バッファにセットする(S
215)。変動演出開始コマンドには、演出内容(変動演出パターン)の他、演出図柄を
演出表示装置7に表示させるための演出画像データが含まれている。そして、その演出画
像データを含む変動演出開始コマンドが、RAM120の出力バッファにセットされるこ
とで、1msタイマ割込処理の出力処理(S171)において演出画像データが画像制御
基板200に出力される。これにより、演出画像データに基づく演出図柄や演出画像が演
出表示装置7に表示される。また、画像制御基板200は、演出制御用マイコン101か
らの変動演出開始コマンドを受信したことに基づき、演出表示装置7の表示上において当
該変動表示領域7Bcに表示される画像(当該変動画像)を消去すると共に、メイン演出
保留表示領域7Baやサブ演出保留表示領域7Bbに表示される画像(保留画像)をシフ
トする。その後、演出制御用マイコン101は、本処理を終了する。
【0191】
[遊技の流れと演出モード]
ここで、
図29~
図32等を参照し、遊技内容(遊技状態)と演出内容(演出モード)
との関係について説明する。
【0192】
本実施形態のパチンコ遊技機1は、遊技制御用マイコン61からのコマンドに基づいて
演出制御用マイコン101が遊技の状況(例えば遊技状態の変化等)を特定し、その状況
の変化に合わせて複数種類の演出モードの何れかを設定するように演出制御用マイコン1
01が制御を行う。各演出モードは、互いに演出内容や演出の実行頻度が異なっており、
その演出モードの違いを遊技者が識別することができる。そして、演出モードが遊技の状
況の変化に応じて変化することにより、遊技者はその遊技の状況の変化(遊技者にとって
の有利度の変化)を認識することができる。すなわち、演出モードを変化させることに応
じて、遊技者の期待感にメリハリを設けたり、または遊技者による遊技内容の理解を補助
したりすることができる。各演出モードでは例えば、演出表示装置7の画面上の表示情報
(背景画像や演出図柄、文字によるメッセージ等)の表示態様や、スピーカ8から出力さ
れる音声(BGM)の態様や、盤ランプ2a等の発光手段の発光態様を、互いに異ならせ
ている。
【0193】
前述した演出モードとして、「通常モード」及び「時短モード」の2種類が主に設けら
れている(大当たり遊技状態に対応して設定される演出モードについては説明を省略する
)。「通常モード」は、非時短遊技状態に対応して設定される演出モードである。「時短
モード」は、時短遊技状態に対応して設定される演出モードである。なお、本実施形態で
は、非時短遊技状態のうち、時短遊技状態の終了時に存在している第2特図の作動保留(
残保留)を消化する期間である「残保留消化期間」についても、「通常モード」の設定期
間に含まれることとするが、別の演出モードとしてもよい。
【0194】
遊技状態の種類について簡単に触れると、パチンコ遊技機1(遊技制御用マイコン61
)は、
図29に示すように、非時短遊技状態、時短遊技状態及び大当たり遊技状態を生起
可能であり、このうち時短遊技状態は、非時短遊技状態よりも遊技球を第2始動口12a
に入球させ易く、遊技者が右遊技領域3Rを狙って遊技球を発射することが遊技操作方法
として適した遊技状態である一方、非時短遊技状態は、遊技者が左遊技領域3Lを狙って
遊技球を発射することが遊技操作方法として適した遊技状態である。非時短遊技状態及び
時短遊技状態の相互間での第2始動口12aに対する遊技球の入球させ易さは、各遊技状
態で選択する普通作動部材12bの作動パターンの違いに応じて相違する(
図11)。こ
の他、大当たり遊技状態は、第1大入賞装置14及び第2大入賞装置15が右遊技領域3
Rに存在していることから、右遊技領域3Rを狙って遊技球を発射することが遊技操作方
法として適した遊技状態である。
また、パチンコ遊技機1(遊技制御用マイコン61)は、大当たり遊技状態として、1
種大当たり状態と2種大当たり状態とを生起可能である。1種大当たり状態は、特図当た
り判定(大当たり判定)による大当たりの判定結果に対応して生起する大当たり遊技状態
である。これに対し、2種大当たり状態は、特図当たり判定(小当たり判定)による小当
たりの判定結果に対応して生起する小当たり状態と、この小当たり状態で遊技球が特定領
域を通過した場合に生起するV当たり状態とからなる大当たり遊技状態である。本実施形
態では、第2特図用の特図当たり判定でのみ、小当たりの判定結果が導出される。ここで
、本実施形態では小当たり状態が、小当たりの判定結果が導出された場合に決定される小
当たり図柄の種類に関わらず、特定領域への遊技球の通過が可能な状態で第2大入賞口1
5aを開放する状態として生起することとなる。但し、小当たり図柄aが決定された場合
と小当たり図柄bが決定された場合とで、その小当たり状態が生起する際の遊技状態を異
ならせるように遊技制御用マイコン61が制御を行う。具体的には、小当たり図柄aを決
定した場合(通常小当たり)の小当たり状態を時短遊技状態中に生起させ、小当たり図柄
bを決定した場合(転落小当たり)の小当たり状態を非時短遊技状態中(時短遊技状態か
らの転落後)に生起させるようになっている。
【0195】
ところで、パチンコ遊技機1の電源投入に伴ってRAM64の初期化を行う場合には、
遊技制御用マイコン61によって非時短遊技状態が設定される。また遊技者は基本的に、
自身にとって不利な非時短遊技状態で遊技を終了し、次の遊技者が非時短遊技状態から遊
技を開始することになる。従って、遊技者が遊技を開始する際の遊技状態は、基本的には
非時短遊技状態となる。この非時短遊技状態では、演出制御用マイコン101によって「
通常モード」が設定される。「通常モード」では、第2始動口12aへの入球が困難であ
り、また遊技者が左遊技領域3Lに遊技球を打ち込んで(左打ちで)遊技を行うため、左
遊技領域3Lに設けられている第1始動口10aへの遊技球の入球を契機として第1特図
用の特図当たり判定が実行される。一方、右遊技領域3Rに設けられている第2始動口1
2aへの入球は基本的に生じない。第1特図用の特図当たり判定では、大当たりの判定結
果となる可能性がある一方で、小当たりの判定結果となることはない。従って「通常モー
ド」中は、1種大当たり状態の発生を期待して遊技者が遊技を行うことになる。「通常モ
ード」は、このような遊技の状況(遊技者にとって不利な状況)に合わせた演出内容の演
出モードとなっている。これに対し、時短遊技状態中は、演出制御用マイコン101によ
って「時短モード」が設定される。「時短モード」では、第2特図用の特図当たり判定が
実行されるため、小当たりの判定結果となる可能性が比較的高く、また大当たりの判定結
果となる可能性もある。このため「時短モード」は、遊技者にとって有利な状況に合わせ
た演出内容の演出モードとなっており、遊技者は小当たり状態や1種大当たり状態の発生
を期待して遊技を行うことになる。
【0196】
遊技制御用マイコン61は、非時短遊技状態(「通常モード」)中に遊技球が第1始動
口10aに入球したことを契機として、第1特図用の特図当たり判定を実行する。
図29に示すように、非時短遊技状態中の第1特図用の特図当たり判定(大当たり判定
)が大当たりの判定結果(大当たり当選)になると(
図29の符号z1)、遊技制御用マ
イコン61が大当たり遊技状態(具体的には、1種大当たり状態、3ラウンド大当たり)
を生起させ、その終了後に遊技状態を時短遊技状態に移行させる。
また、(時短遊技状態の終了による)非時短遊技状態の開始時点で第2特図の作動保留
が残っている場合(残保留消化期間)は、遊技制御用マイコン61が第2特図用の特図当
たり判定を実行する。この第2特図用の特図当たり判定では、大当たりか否かが決定され
ると共に、大当たりではない場合に小当たりか否かが決定され、その結果、大当たり遊技
状態や小当たり状態に移行することとなる。この残保留消化期間中に実行される第2特図
用の特図当たり判定(大当たり判定)が大当たりの判定結果になると、遊技制御用マイコ
ン61が大当たり遊技状態(具体的には、1種大当たり状態、5ラウンド大当たり)を生
起させ、その終了後に遊技状態を時短遊技状態に移行させる(
図29の符号z1)。この
場合、演出制御用マイコン101が制御する演出内容を「通常モード」から大当たり遊技
状態用の大当たり演出へと変化させ、その後に「時短モード」に移行させる。また、残保
留消化期間中の第2特図用の特図当たり判定(小当たり判定)が小当たりの判定結果(通
常小当たり当選)になると(
図29の符号z2)、遊技制御用マイコン61が小当たり状
態を生起させる。この場合、演出制御用マイコン101が制御する演出内容を「通常モー
ド」から小当たり状態用の小当たり演出へと変化させる。なお、非時短遊技状態中の小当
たり判定で小当たりの判定結果となった場合は、通常小当たりに対応する小当たり図柄a
が決定される。遊技制御用マイコン61は、小当たり状態中に遊技球が特定領域を通過し
たことを契機として、大当たり遊技状態(具体的には、2種大当たり状態、5ラウンド大
当たり)を生起させ、その終了後に遊技状態を時短遊技状態に移行させる(
図29の符号
z3)。一方、小当たり状態中に遊技球が特定領域を通過しなかった場合には、その小当
たり状態が特定領域への遊技球の通過を生じずに終了したことを契機として、非時短遊技
状態を維持する。演出制御用マイコン101は、遊技状態が時短遊技状態に移行する場合
、演出モードを「時短モード」に移行する。一方、非時短遊技状態を維持する場合には、
「通常モード」の演出に復帰する(
図29の符号z4)。
【0197】
また、遊技制御用マイコン61は、時短遊技状態(「時短モード」)中に遊技球が第2
始動口12aに入球したことを契機として、第2特図用の特図当たり判定を実行する。こ
の第2特図用の特図当たり判定では、大当たりか否かが決定されると共に、大当たりでは
ない場合に小当たりか否かが決定され、その結果、大当たり遊技状態や小当たり状態に移
行することとなる(
図29の符号z5~z7)。
図29に示すように、時短遊技状態(「時短モード」)中の特図当たり判定(大当たり
判定)が大当たりの判定結果(大当たり当選)になると(
図29の符号z5)、大当たり
遊技状態(具体的には、1種大当たり状態、5ラウンド大当たり)を生起させ、その終了
後に遊技状態を時短遊技状態に移行させる。この場合、演出制御用マイコン101は、制
御する演出内容を「時短モード」から大当たり遊技状態用の大当たり演出へと変化させ、
その後に「時短モード」に復帰させる。また、時短遊技状態(「時短モード」)中の特図
当たり判定(小当たり判定)が小当たりの判定結果(通常小当たり当選、転落小当たり当
選)になると(
図29の符号z6,z7)、遊技制御用マイコン61が小当たり状態を生
起させる。この場合、演出制御用マイコン101は、制御する演出内容を「時短モード」
から小当たり状態用の小当たり演出へと変化させる。そして、遊技制御用マイコン61は
、小当たり状態中に遊技球が特定領域を通過したことを契機として、大当たり遊技状態(
具体的には、2種大当たり状態、5ラウンド大当たり)を生起させ、その終了後の遊技状
態を再び時短遊技状態とする(
図29の符号z3,z8)。一方、小当たり状態中に遊技
球が特定領域を通過しなかった場合には、遊技状態を非時短遊技状態とする(
図29の符
号z4,z9)。演出制御用マイコン101は、遊技状態が時短遊技状態となる場合は演
出モードとして「時短モード」を設定し、非時短遊技状態となる場合には演出モードとし
て「通常モード」を設定する。
【0198】
この他、遊技制御用マイコン61は、時短遊技状態(「時短モード」)中に特別図柄(
第2特図または第1特図)の変動表示回数が終了条件として予め定められた回数(100
回)に達した場合にも、遊技状態を時短遊技状態から非時短遊技状態に移行させる(
図2
9の符号z10)。
【0199】
ここで、本実施形態のパチンコ遊技機1は、遊技制御用マイコン61の機能として、時
短遊技状態の連続生起回数を制限する時短リミッタ機能(リミッタ手段)を有している。
すなわち、遊技制御用マイコン61は、非時短遊技状態から大当たり遊技状態に移行した
後、再び非時短遊技状態に復帰するまでの間における時短遊技状態の生起回数である連続
生起回数を計数し、この連続生起回数が上限回数(本実施形態では10回)に達した場合
、それ以降に時短遊技状態の契機が生じても当該時短遊技状態への移行を禁止して強制的
に非時短遊技状態とする(
図31(a)参照)。
【0200】
遊技制御用マイコン61は、時短リミッタ機能を作動するための構成として、連続生起
回数の計数を行うためのリミットカウンタ(カウント手段)と、このリミットカウンタに
よる計数が上限回数に対応する値に達したか否かを示すためのリミッタフラグとを備えて
いる。例えば、リミットカウンタは、連続生起回数の上限回数に対応する値(10)を初
期値とし、時短遊技状態が開始する毎に1ずつ減算することで、連続生起回数が上限回数
に達した際に値が0となるように計数する。リミッタフラグは、リミットカウンタによる
計数値がカウント0か否かを示す。これに対し、リミットカウンタが加算による計数を行
い、その値が上限値に到達したか否かをリミッタフラグで示すようにしてもよい。
【0201】
図29に示すように、遊技制御用マイコン61は、大当たり遊技状態(1種・2種大当
たり状態)の終了後に遊技状態を移行する際、連続生起回数が上限回数(リミットカウン
タの値が0)に達していなければ(
図29の符号z11)、時短遊技状態を開始すると共
に連続生起回数の計数を更新(1減算)する。この場合に演出モードは「時短モード」に
移行する。一方、連続生起回数が上限回数(リミットカウンタの値が0)に達していれば
(
図29の符号z12)、時短遊技状態への移行を禁止して非時短遊技状態に移行させる
。これにより演出モードが「通常モード」に移行する。
但し、遊技制御用マイコン61は、時短遊技状態を終了する条件として大当たり遊技状
態への移行以外の終了条件が成立した場合(
図29の符号z7,z10)に、連続生起回
数が上限回数に達していない段階でリミットカウンタによる計数を中止するように制御を
行う。具体的には、遊技制御用マイコン61は、時短遊技状態(「時短モード」)中の特
図変動表示が100回に達した場合(
図29の符号z10)に、時短遊技状態から非時短
遊技状態に移行させ、リミットカウンタの値を0にクリアする。また、遊技制御用マイコ
ン61は、時短遊技状態(「時短モード」)中に小当たりの判定結果となり、特別図柄と
して小当たり図柄b(転落小当たり)を決定した場合(
図29の符号z7)に、時短遊技
状態から非時短遊技状態に移行させ、リミットカウンタの値を0にクリアする。
【0202】
図30(a)は、時短遊技状態中に小当たりの判定結果となって特別図柄が小当たり図柄
aに決定された場合(通常小当たりに当選した場合)のタイムチャートを示しており、図
30(b)は、時短遊技状態中に小当たりの判定結果となって特別図柄が小当たり図柄bに
決定された場合(転落小当たりに当選した場合)のタイムチャートを示している。
図30
(a)に示すように、遊技制御用マイコン61は、時短遊技状態中に小当たり図柄aを決定
した場合、特図変動表示の終了(小当たり図柄aの停止表示)時点から所定の停止インタ
ーバル時間の経過後に、遊技状態を時短遊技状態に維持したまま小当たり状態を生起させ
る。そして、時短遊技状態中の小当たり状態で遊技球が特定領域を通過したことを契機と
して大当たり遊技状態を生起(2種大当たり状態に発展)させ、その終了後に新たな時短
遊技状態を生起させる。
【0203】
これに対し、遊技制御用マイコン61は、
図30(b)に示すように、時短遊技状態中に
小当たり図柄bを決定した場合、特図変動表示の終了(小当たり図柄bの停止表示)時点
から所定の停止インターバル時間の経過後に小当たり状態を生起させるものの、特図変動
表示の終了(小当たり図柄bの停止表示)時点で、遊技状態を時短遊技状態から非時短遊
技状態に移行(転落)させるようにする。そして、この非時短遊技状態中の小当たり状態
で遊技球が特定領域を通過したことを契機として大当たり遊技状態を生起(2種大当たり
状態に発展)させ、その終了後に新たな時短遊技状態を生起させる。
【0204】
ここで、例えば、
図31(a)に示すように、非時短遊技状態(非時短)から大当たり遊
技状態(大当たり)を介して1回目の時短遊技状態となり、以降、大当たり遊技状態を挟
んで時短遊技状態が連続的に生起する場合がある。本実施形態では、時短遊技状態の連続
生起回数が10回と定められ、リミットカウンタが最初にセットした値「10」から時短
遊技状態の開始毎に1ずつ減算するように計数する。これにより、最大で10回の時短遊
技状態が大当たり遊技状態を介して連続的に生起して、非時短遊技状態へと復帰する。な
お、説明の便宜上、大当たり遊技状態は全て2種大当たり状態(小当たり状態からV当た
り状態への移行)としているが、1種大当たり状態となる可能性もある。
【0205】
これに対し、
図31(b)に示すように、連続生起回数が上限回数に達していない状態で
の時短遊技状態(例えば7回目の時短遊技状態)中に特図当たり判定(小当たり判定)が
小当たりの判定結果となりかつ特別図柄として小当たり図柄b(転落小当たり)が決定さ
れた場合は、連続生起回数の計数をリセット(リミットカウンタの値を0にクリア)しつ
つ時短遊技状態から非時短遊技状態に移行(転落)させ、非時短遊技状態となった後に小
当たり状態を生起させる。この場合、リミットカウンタが新たにセットされて連続生起回
数の計数が開始される。このように、リミットカウンタの値がクリアされた後、小当たり
状態中に遊技球が特定領域を通過することで、再びリミットカウンタによる計数が最初か
ら行われることになる。すなわち、非時短遊技状態で生じた小当たり状態中に遊技球が特
定領域を通過することにより、当該特定領域への遊技球の通過以降の時短遊技状態の連続
生起回数が上限回数に達するまで、時短遊技状態の生起が許容されることになる。
このように、本実施形態のパチンコ遊技機1(遊技制御用マイコン61)は、時短リミ
ッタ機能を有することで、大当たり遊技状態を挟んで連続的に生起する時短遊技状態の連
続生起回数を上限回数である10回に制限し、これにより遊技者にとって有利な状態が長
く続き過ぎないようにしている。但し、転落小当たりに当選(小当たり図柄bの決定)し
た場合に限り、連続生起回数の上限回数を超える時短遊技状態(
図31(b)の例では17
回)が連続的に生起し得るようにすることで、遊技者の期待感を高めている。
【0206】
ここで、演出制御用マイコン101は、遊技者にとって有利な遊技状態が継続している
期間(非時短遊技状態の終了から別の非時短遊技状態の開始までの期間であり、大当たり
遊技状態と時短遊技状態とが交互に生起する期間)である有利期間について、遊技者が一
つの期間として認識できるように演出制御を行う。このような演出制御の一例として、演
出制御用マイコン101は、有利期間中に生じた所定の現象の合計回数を計数・報知する
ように構成されている。具体的には、演出制御用マイコン101は、遊技状態が時短遊技
状態となる毎に設定する「時短モード」についての設定回数(時短モード連続設定回数)
を計数し、報知する。すなわち、演出制御用マイコン101は、有利期間中の「時短モー
ド」の設定回数を計数する機能(モード回数計数手段)と、その時短モード連続設定回数
を有利期間中(「時短モード」中)に報知する機能(モード回数報知手段)とを有してい
る。なお、本実施形態では、時短モード連続設定回数を、演出表示装置7の画面上に表示
させることにより報知している。これに対し、音や光等で報知するようにしてもよい。
なお、前述した遊技制御用マイコン61は、時短遊技状態の連続生起回数を計数可能で
あり、転落小当たりに当選した場合には連続生起回数の計数をクリア・リセットするよう
に制御を行う。これに対し、演出制御用マイコン101は、転落小当たりに当選した場合
にも時短モード連続設定回数の計数をクリアせず、その後も「時短モード」の開始毎に時
短モード連続設定回数を1ずつ加算表示して、その後、「通常モード」への復帰以降に時
短モード連続設定回数の計数をクリアするように制御する(なお、転落小当たりへの当選
により一時的に非時短遊技状態となるが、その場合は「通常モード」へは移行しない)。
【0207】
例えば、
図32のタイムチャートは、
図31(b)の場合と同様に、非時短遊技状態での
特図当たり判定(大当たり判定)の結果として大当たり遊技状態が生起して以降、時短遊
技状態中に通常小当たりに当選して小当たり状態が生じ、遊技球が特定領域を通過して大
当たり遊技状態となり、その終了後に新たな時短遊技状態が生起する流れが連続し、7回
目の時短遊技状態中に転落小当たりに当選した場合を示している。この
図32において、
転落小当たりへの当選後は、連続生起回数が再び1回目から計数されることになる。これ
に対し、演出表示装置7の画面上に表示される時短モード連続設定回数の表示(
図32で
は「回数表示」としている)は、転落小当たりが生じる前は連続生起回数と同数(「1回
目」~「7回目」)を表示し、転落小当たりの直後の「時短モード」でも1加算した「8
回目」と表示して、以降も「時短モード」の開始毎に1ずつ加算した回数を表示する。
従って、遊技制御用マイコン61の制御により時短遊技状態の連続生起回数を10回に
制限しつつ、それ以上の回数が連続するかの如く演出することができ、遊技の興趣が高め
られる。
【0208】
(攻略打ちを防止する対策について)
前述のように、本実施形態のパチンコ遊技機1は、遊技制御用マイコン61が時短遊技
状態中の特図当たり判定(小当たり判定)で小当たりの判定結果となり、かつ小当たり図
柄aを決定した場合(通常小当たりに当選した場合)に、その時短遊技状態を継続しつつ
小当たり状態を生起させる。一般にパチンコ遊技機1では、単に小当たり状態を生起させ
るだけであれば遊技状態を変化させる必要がなく、そのような遊技状態の変化を生じさせ
ないようになっている。しかしながら、本実施形態のパチンコ遊技機1は、前述したよう
に、転落小当たりへの当選によってリミットカウンタによる計数値がクリアされて再び最
初からの計数となることで、非時短遊技状態に復帰するまでの期間(遊技者にとって有利
な状態)が延長される。このため、時短遊技状態中の小当たり状態で遊技球が特定領域を
通過しないことにより時短遊技状態が継続してしまう仕様では、これを利用した「攻略打
ち」が一部の遊技者によって行われる虞がある。すなわち、「攻略打ち」として、通常小
当たりに対応する小当たり状態で遊技球を特定領域に通過させないようにする遊技のしか
たが、転落小当たりに当選するまで継続されると、時短リミッタ機能の作動が不正に妨げ
られる虞がある。そこで、本実施形態では、遊技制御用マイコン61が、少なくとも時短
遊技状態中に生起する小当たり状態(通常小当たりに対応する小当たり状態)で遊技球が
特定領域を通過しなかった場合(
図29の符号z9)に、その小当たり状態の終了時点で
時短遊技状態を終了させ、非時短遊技状態へと移行させるように制御を行うようにしてい
る。すなわち、時短遊技状態中の小当たり状態が特定領域への遊技球の通過を生じること
なく終了することが、時短遊技状態の終了条件の1つとして設定されている。
【0209】
[実施形態の効果]
上述した実施形態のパチンコ遊技機1によれば、以下の作用効果を奏する。
(1-1)実施形態のパチンコ遊技機1は、遊技領域3を流下する遊技球が入球可能な
第2始動口12a(可変始動口)及び第2大入賞口15a(特別入賞口)と、第2大入賞
口15aに入球した遊技球が通過可能な特定領域とを備えると共に、遊技制御用マイコン
61が、第2始動口12aへの遊技球の入球を契機として特図当たり判定(入球判定)を
実行する機能(判定手段)と、特図当たり判定の結果に基づいて状態を変化させる機能(
生起手段)とを備えている。遊技制御用マイコン61(生起手段)は、特図当たり判定(
小当たり判定)の結果に基づいて、第2大入賞口15aへの遊技球の入球が可能な小当た
り状態を生起可能であると共に、小当たり状態中に遊技球が特定領域を通過したことに基
づいて該小当たり状態を2種大当たり状態(大当たり遊技状態)に発展させ、かつこの2
種大当たり状態の終了後に、非時短遊技状態(通常遊技状態)よりも第2始動口12aへ
の遊技球の入球が容易な時短遊技状態(入球容易状態)を生起可能である。そして、遊技
制御用マイコン61は、非時短遊技状態を終了してから次に非時短遊技状態を開始するま
でに時短遊技状態が開始された回数である連続生起回数を計数する機能(カウント手段)
と、この連続生起回数が予め定めた上限回数に達した場合に、新たな時短遊技状態が生起
するのを阻止する時短リミッタ機能(リミッタ手段)とを備えている。ここで、遊技制御
用マイコン61(判定手段)が時短遊技状態中に実行した特図当たり判定(小当たり判定
)が小当たりの判定結果となり、かつ小当たり図柄aを決定した(第1結果となった)場
合、遊技制御用マイコン61(生起手段)が時短遊技状態を終了させることなく小当たり
状態を生起させると共に、該小当たり状態中に遊技球が特定領域を通過したことに基づく
2種大当たり状態(大当たり遊技状態)の終了後に新たな時短遊技状態を生起させ、この
新たな時短遊技状態の開始に応じて遊技制御用マイコン61(カウント手段)が連続生起
回数を1減算(更新)する一方、遊技制御用マイコン61(判定手段)が時短遊技状態中
に実行した特図当たり判定(小当たり判定)が小当たりの判定結果となり、かつ小当たり
図柄bを決定した(第2結果となった)場合、遊技制御用マイコン61(生起手段)が、
当該時短遊技状態を終了させ非時短遊技状態で小当たり状態を生起させ、この小当たり状
態中に遊技球が特定領域を通過したことに基づく2種大当たり状態(大当たり遊技状態)
の終了後に新たな時短遊技状態を生起させて、この新たな時短遊技状態の開始前に遊技制
御用マイコン61(カウント手段)が連続生起回数の計数をクリアし、当該新たな時短遊
技状態を1回目として計数する。
このように、時短遊技状態中に行われた特図当たり判定が通常小当たりの当選(第1結
果)になると、その時短遊技状態中に小当たり状態が生じて遊技球が特定領域を通過し、
新たな時短遊技状態となる。従ってこの場合、連続生起回数が1増加し、連続生起回数が
予め定めた回数になると、次回は遊技制御用マイコン61(リミッタ手段)が新たな時短
遊技状態の生起を阻止する。これに対し、時短遊技状態中に行われた特図当たり判定が転
落小当たりの当選(第2結果)になると、その時短遊技状態が終了して非時短遊技状態と
なった後に小当たり状態が生じて遊技球が特定領域を通過し、新たな時短遊技状態となる
。この場合、連続生起回数のカウントがクリア・リセットされた状態で新たな時短遊技状
態が生起することとなる。すなわち、より多くの回数の時短遊技状態を連続的に生起させ
ることができる。
(1-2)また、実施形態のパチンコ遊技機1は、遊技に関する演出を制御する演出制
御用マイコン101(演出制御手段)を備えており、この演出制御用マイコン101が、
大当たり遊技状態及び時短遊技状態が交互に生起する期間(非時短遊技状態の終了から別
の非時短遊技状態の開始までの期間)である有利期間の間に生じた「時短モード」(所定
の現象)の合計回数を計数して報知する。ここで、演出制御用マイコン101は、有利期
間中に特図当たり判定が転落小当たり当選(第2結果)となって遊技状態が一時的に非時
短遊技状態に移行した後も、有利期間中の「時短モード」の合計回数の計数をクリアせず
報知する。
時短遊技状態中の遊技制御用マイコン61(判定手段)による特図当たり判定が転落小
当たり当選(第2結果)となって連続生起回数のカウントがクリア・リセットされる場合
も有利期間を継続し、この長い有利期間中に生じた「時短モード」(所定の現象)の合計
回数(時短モード連続設定回数)を計数して演出表示装置7の画面に表示(報知)するこ
とで、「時短モード」が生じた回数としてできるだけ大きな数を報知することができるの
で、遊技者が満足感を得ることができ、遊技の興趣を高めることができる。
(1-3)また、実施形態のパチンコ遊技機1は、遊技制御用マイコン61(情報取得
手段)が、遊技球が入球可能な第1始動口10a(固定始動口)を遊技領域3に備えると
共に、第1始動口10aへの遊技球の入球を契機として第1特図用の始動入球情報(第1
始動入球情報)を取得し、第2始動口12aへの遊技球の入球を契機として第2特図用の
始動入球情報(第2始動入球情報)を取得する。また、遊技制御用マイコン61のRAM
64は、第1始動入球情報を予め定めた数まで記憶可能な第1特図保留記憶部64a(第
1保留記憶手段)と、第2始動入球情報を予め定めた数まで記憶可能な第2特図保留記憶
部64b(第2保留記憶手段)とを備えている。遊技制御用マイコン61(判定手段)は
、第1始動入球情報よりも第2始動入球情報を優先的に用いて特図当たり判定(入球判定
)を実行可能であり、第2始動入球情報に基づいて実行される(第2特図用の)特図当た
り判定が小当たり状態を生起させることに対応する判定結果となる確率が、第1始動入球
情報に基づいて実行される(第1特図用の)特図当たり判定が小当たり状態を生起させる
ことに対応する判定結果となる確率よりも高く設定されている。
時短遊技状態の終了時において第2始動入球情報が記憶されていると、この第2始動入
球情報による特図当たり判定が第1始動入球情報による特図当たり判定よりも優先的に行
われる。しかも小当たり図柄bを決定する判定結果(第2結果)が導出され易く、仮に小
当たり図柄bを決定する判定結果が導出された場合は連続生起回数のカウントがリセット
された状態で新たな時短遊技状態が生起する。従って、時短遊技状態の終了時に存在する
第2始動入球情報に基づく特図当たり判定の結果に遊技者を惹き付けることができる。
(2-1)また、実施形態のパチンコ遊技機1は、時短遊技状態(入球容易状態)中に
遊技制御用マイコン61(判定手段)が実行した特図当たり判定(入球判定)が通常小当
たり当選(第1結果)となった場合、遊技制御用マイコン61(生起手段)が、時短遊技
状態を終了させることなく小当たり状態を生起させる一方、時短遊技状態中に遊技制御用
マイコン61(判定手段)が実行した特図当たり判定(入球判定)が転落小当たり当選(
第2結果)となった場合、遊技制御用マイコン61(生起手段)が、時短遊技状態を終了
させ非時短遊技状態で小当たり状態を生起させる。遊技制御用マイコン61(生起手段)
は、時短遊技状態中の特図当たり判定が通常小当たり当選(第1結果)となったことに基
づいて生起する小当たり状態中に特定領域を遊技球が通過しなかった場合に、当該小当た
り状態の終了時点で時短遊技状態を終了させる。
すなわち、時短遊技状態中に遊技制御用マイコン61が実行した特図当たり判定(小当
たり判定)が小当たりの判定結果となり、かつ小当たり図柄bが決定された(第2結果と
なった)場合は、時短遊技状態から非時短遊技状態に移行した後に小当たり状態が生じる
ため、この小当たり状態で遊技球が特定領域を通過しない場合も、時短遊技状態は終了す
る。これに対し、時短遊技状態中に遊技制御用マイコン61が実行した特図当たり判定(
小当たり判定)が小当たりの判定結果となり、かつ小当たり図柄aが決定された(第1結
果となった)場合には、時短遊技状態を終了しないまま小当たり状態となるため、この小
当たり状態で遊技球が特定領域を通過しない場合は時短遊技状態が維持される虞がある。
そこで、時短遊技状態中の特図当たり判定(小当たり判定)が小当たりの判定結果となり
かつ小当たり図柄aが決定されて(第1結果となって)小当たり状態が時短遊技状態中に
生起する場合、その小当たり状態の終了時点で時短遊技状態を終了させるようにすること
で、確実に時短遊技状態を終了させることができる。
【0210】
(2-2)また、実施形態のパチンコ遊技機1は、遊技制御用マイコン61が、非時短
遊技状態を終了してから次に非時短遊技状態を開始するまでに時短遊技状態が開始された
回数である連続生起回数を計数する機能(カウント手段)と、この連続生起回数が予め定
めた上限回数に達した場合に、新たな時短遊技状態が生起するのを阻止する時短リミッタ
機能(リミッタ手段)とを備えている。遊技制御用マイコン61(判定手段)が時短遊技
状態中に実行した特図当たり判定(小当たり判定)が小当たりの判定結果となり、かつ小
当たり図柄aを決定した(第1結果となった)場合、遊技制御用マイコン61(生起手段
)が時短遊技状態を終了させることなく小当たり状態を生起させると共に、該小当たり状
態中に遊技球が特定領域を通過したことに基づく2種大当たり状態(大当たり遊技状態)
の終了後に新たな時短遊技状態を生起させ、この新たな時短遊技状態の開始に応じて遊技
制御用マイコン61(カウント手段)が連続生起回数を1減算(更新)する一方、遊技制
御用マイコン61(判定手段)が時短遊技状態中に実行した特図当たり判定(小当たり判
定)が小当たりの判定結果となり、かつ小当たり図柄bを決定した(第2結果となった)
場合、遊技制御用マイコン61(生起手段)が、当該時短遊技状態を終了させ非時短遊技
状態で小当たり状態を生起させ、この小当たり状態中に遊技球が特定領域を通過したこと
に基づく2種大当たり状態(大当たり遊技状態)の終了後に新たな時短遊技状態を生起さ
せて、この新たな時短遊技状態の開始前に遊技制御用マイコン61(カウント手段)が連
続生起回数の計数をクリアし、当該新たな時短遊技状態を1回目として計数する。
このように、時短遊技状態中に行われた特図当たり判定が通常小当たりの当選(第1結
果)になると、その時短遊技状態中に小当たり状態が生じて遊技球が特定領域を通過し、
新たな時短遊技状態となる。従ってこの場合、連続生起回数が1増加し、連続生起回数が
予め定めた回数になると、次回は遊技制御用マイコン61(リミッタ手段)が新たな時短
遊技状態の生起を阻止する。これに対し、時短遊技状態中に行われた特図当たり判定が転
落小当たりの当選(第2結果)になると、その時短遊技状態が終了して非時短遊技状態と
なった後に小当たり状態が生じて遊技球が特定領域を通過し、新たな時短遊技状態となる
。この場合、連続生起回数のカウントがクリア・リセットされた状態で新たな時短遊技状
態が生起することとなる。すなわち、より多くの回数の時短遊技状態を連続的に生起させ
ることができる。
【0211】
<他の実施形態>
・前述した実施形態では、小当たり状態として遊技球が特定領域を通過可能な有利小当
たり状態のみを生起可能としたが、このような有利小当たり状態の他に、遊技球が特定領
域を通過不可能または通過困難な不利小当たり状態を生起可能としてもよい。
この場合には例えば、可変始動口(第2始動口)への遊技球の入球に伴う入球判定(第
2特図用の特図当たり判定)が小当たりの判定結果となった場合に決定可能な特別図柄(
小当たり図柄)として、有利な転落小当たりに対応する有利転落小当たり図柄と、不利な
転落小当たりに対応する不利転落小当たり図柄とを設ける。そして、入球容易状態(時短
遊技状態)中において有利転落小当たり図柄が決定された場合には、生起手段(遊技制御
用マイコン)が、入球容易状態を終了(遊技状態を転落)させ、通常遊技状態(非時短遊
技状態)で、特定領域への遊技球の通過が可能な有利小当たり状態を生起させる。これに
対し、入球容易状態(時短遊技状態)中において不利転落小当たり図柄が決定された場合
には、生起手段(遊技制御用マイコン)が、入球容易状態を終了(遊技状態を転落)させ
、通常遊技状態(非時短遊技状態)で、特定領域への遊技球の通過が不可能または困難な
不利小当たり状態を生起させる。すなわち、入球容易状態中に有利転落小当たり図柄が決
定された場合には、連続生起回数の計数がクリアされ再び最初から連続生起回数が計数さ
れる。これに対し、入球容易状態中に不利転落小当たり図柄が決定されると、入球容易状
態の連続生起回数が上限回数に達していないにも関わらず遊技者に有利な有利期間(通常
遊技状態が終了してから別の通常遊技状態が開始するまでの期間であり、大当たり遊技状
態と入球容易状態とが交互に生起する期間)が終了することになる。
・前述した実施形態では、大当たり遊技状態で入球可能とする特別入賞口(第1大入賞
口)と、小当たり状態で入球可能とする特別入賞口(第2大入賞口)とを異ならせたが、
大当たり遊技状態と小当たり状態とで同じ特別入賞口を入球可能としてもよい。
・前述した実施形態では、小当たり状態での特別入賞口(第2大入賞口)への入球に対
する賞球の付与によって遊技者の持ち球が増加しないように特別入賞口への入球に対する
賞球数を設定したが、当該賞球は前述した実施形態で設定した遊技球数に限られず、適宜
に設定可能である。
・前述した実施形態では、第1特図の特図当たり判定において小当たりの判定結果が導
出されないようにしたが、第1特図の特図当たり判定でも小当たりの判定結果が導出され
得るようにしてもよい。この場合には、第1特図の特図当たり判定で小当たりの判定結果
となる確率を第2特図の特図当たり判定における確率よりも低くするか、第1特図の特図
当たり判定に基づく小当たり状態中に遊技球が特定領域を通過する確率を第2特図の特図
当たり判定に基づく小当たり状態中よりも低くすることで、第1特図の特図当たり判定に
基づく遊技よりも第2特図の特図当たり判定に基づく遊技の方が有利な遊技性とすること
ができる。また逆に、第2特図の特図当たり判定で小当たりの判定結果となる確率を第1
特図の特図当たり判定における確率よりも低くするか、第2特図の特図当たり判定に基づ
く小当たり状態中に遊技球が特定領域を通過する確率を第1特図の特図当たり判定に基づ
く小当たり状態中よりも低くするようにしてもよく、この場合は、第2特図の特図当たり
判定に基づく遊技よりも第1特図の特図当たり判定に基づく遊技の方が有利な遊技性とす
ることができる。
・前述した実施形態では、普図変動表示や補助遊技が行われていない状態で遊技球が作
動口(ゲート)を通過した場合に限り、当該作動口への遊技球の通過を契機として制御手
段(遊技制御用マイコン)が普図当たり判定を実行する(普通図柄の作動保留を記憶する
ための記憶部を設けない)ように構成したが、普図変動表示や補助遊技が行われている状
態で作動口への遊技球の通過(入球)を契機として取得した作動入球情報を所定の上限数
まで記憶可能な普図保留記憶部を設けるようにしてもよい。
・前述した実施形態では、遊技者に有利な有利期間(通常遊技状態が終了してから別の
通常遊技状態が開始するまでの期間であり、大当たり遊技状態と入球容易状態とが交互に
生起する期間)における所定の演出モード(時短モード)の合計設定回数(すなわち入球
容易状態の合計生起回数)を報知するようにしたが、有利期間における大当たり演出モー
ドの合計設定回数(すなわち大当たり遊技状態の合計生起回数)を報知するようにしても
よいし、有利期間における所定の演出(例えば、所定種類のリーチ演出等)の合計実行回
数を報知するようにしてもよいし、有利期間における所定の状態(例えば、小当たり状態
等)の合計実行回数を報知するようにしてもよい。
【符号の説明】
【0212】
1…パチンコ遊技機、3…遊技領域、10a…第1始動口(固定始動口)、12a…第2
始動口(可変始動口)、15a…第2大入賞口(特別入賞口)、61…遊技制御用マイコ
ン(判定手段、生起手段、カウント手段、リミッタ手段、情報取得手段)、64a…第1
特図保留記憶部(第1保留記憶手段)、64b…第2特図保留記憶部(第2保留記憶手段
)、101…演出制御用マイコン(演出制御手段)。