(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024167052
(43)【公開日】2024-11-29
(54)【発明の名称】動的相関のためのミニ走査
(51)【国際特許分類】
D21G 9/00 20060101AFI20241122BHJP
【FI】
D21G9/00
【審査請求】有
【請求項の数】4
【出願形態】OL
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2024066575
(22)【出願日】2024-04-17
(31)【優先権主張番号】18/199,713
(32)【優先日】2023-05-19
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(71)【出願人】
【識別番号】500575824
【氏名又は名称】ハネウェル・インターナショナル・インコーポレーテッド
【氏名又は名称原語表記】Honeywell International Inc.
(74)【代理人】
【識別番号】100118902
【弁理士】
【氏名又は名称】山本 修
(74)【代理人】
【識別番号】100106208
【弁理士】
【氏名又は名称】宮前 徹
(74)【代理人】
【識別番号】100196508
【弁理士】
【氏名又は名称】松尾 淳一
(74)【代理人】
【識別番号】100138759
【弁理士】
【氏名又は名称】大房 直樹
(72)【発明者】
【氏名】エリック ジェイ.フォルンズビー
【テーマコード(参考)】
4L055
【Fターム(参考)】
4L055DA16
4L055DA18
4L055DA29
(57)【要約】 (修正有)
【課題】オンライン走査センサ読み取り値を、連続プロセスで生産されたシート材料の実験室試験結果に相関させる方法を提供する。
【解決手段】精度及び再現性の検証のためにオンライン走査センサ読み取り値を実験室試験結果に相関させることは、スキャナの走査パラメータを変更し、サンプリングされるシートの小部分のみを走査し、センサのミニ走査読み取り値をより適切なものにし、再現可能な結果である可能性をより高くし、動的相関プロセス全体は、より短い時間長でより信頼性の高い結果を達成する。アクチュエータと下流の走査センサとを含む連続シート製造システム動作技術は、(a)走査センサを用いて連続シートのシート物理特性を測定し、測定値の横方向プロファイルを表示することと、(b)プロファイル内の横方向領域を選択することと、(c)領域内の走査センサを用いてシートの物理特性を測定することと、を含む。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
機械方向(MD)に移動する連続シート製品を製造するためのシステムであって、生産モード中に移動シートの全幅にわたって前後に周期的に横断する走査センサを採用するシステムにおける、走査センサ測定値を実験室分析に相関させる方法であって、
(a)各走査に沿って選択されたシート特性の値を検出するために、横方向(CD)においてシートの全幅にわたって前後に周期的に横断するように、生産モードにおいて前記走査センサを動作させることと、
(b)各走査の横方向幅を走査対象のシートの全幅よりも実質的に小さくなるように変更して、各走査に沿って選択されたシート特性の値を検出して前記検出値を生成することによって、前記走査センサを検証モードで動作させることと、
(c)前記検証モード中に生産された材料の前記シートのサンプルを取得することと、
(d)試験結果を確認するために、前記検証モード中に取得された前記サンプルを試験することと、
(e)前記検査結果を前記検証モードで得られた前記検出値と比較することと、を含む、方法。
【請求項2】
前記方法は、ステップ(b)の前に、前記検出値のCDプロファイルを分析することと、前記CDプロファイルの領域を選択することと、を含み、ステップ(b)は、前記CDプロファイル内で前記走査センサを動作させることを含む、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
横方向に沿って位置付けられた複数のアクチュエータと、前記複数のアクチュエータの下流に位置付けられた、前記移動する材料シートの特性データを測定及び取得するための走査センサと、を含む、連続シート製造システムを動作させる方法であって、
(a)前記走査センサを用いて前記連続シートのシート物理特性を測定し、前記測定値の横方向プロファイルを表示することと、
(b)前記プロファイル内の横方向領域を選択することと、
(c)前記領域内の前記走査センサを用いて前記連続シートのシート物理特性を測定することと、を含む、方法。
【請求項4】
機械方向と横方向とを有する連続シートプロセスにおけるプロセス変数を測定する方法であって、
(i)センサを含むマウンティングヘッドを支持する細長い部材を提供することと、
(ii)連続的な材料のシートを生産するためにアクチュエータを作動させることと、
(iii)前記移動する連続的な材料のシートを機械方向に沿って方向付けることであって、前記シートは、第1の縁部と第2の縁部とを有し、前記第1の細長い部材は、前記移動する連続的な材料のシートに隣接して、横方向に沿って位置付けられる、方向付けることと、
(iv)前記センサが、前記材料のシートの前記第1の縁部と第2の縁部との間の前記シートの特性を測定し、前記センサが、前記測定値に対応する第1の信号を生成するように、前記マウンティングヘッドを、第1の走査位置と第2の走査位置との間で前後に誘導することと、
(v)前記第1の信号に応答して前記アクチュエータを制御することと、
(vi)前記第1の信号に応答して前記アクチュエータの制御を停止することと、
(vii)前記センサが前記第1の縁部及び前記第2の縁部内にある前記材料のシートの領域間の前記シートの特性を測定し、前記センサが前記測定値に対応する第2の信号を生成するように、前記マウンティングヘッドを第3の走査位置と第4の走査位置との間で前後に誘導することと、
(viii)ステップ(vii)の間に生産された前記材料のシートのサンプルを取得することと、
(ix)試験結果を取得するために、ステップ(viii)で取得された前記サンプルを分析することと、
(x)前記試験結果を前記第2の信号と比較することと、を含む、方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、一般に、シート材料を製作するための品質管理技術に関し、より詳細には、オンライン走査センサ読み取り値を、連続プロセスで生産されたシート材料の実験室試験結果に相関させることを容易にする方法に関する。
【背景技術】
【0002】
オンライン測定は、製造中にシート材料の特性を検出して、シート作製プロセスの促進制御を可能にし、ひいては、生産される規格外のシート材料の量を低減しながらシート品質を保証するために使用される。シート作製中のオンライン測定を行う際の主な問題のうちの1つは、シート材料の物理的特性が、通常、機械方向及び横方向において変化することである。(「機械方向」とは、製造中のシート材料の移動方向を指し、「横方向」という用語は、機械方向に垂直なシートの表面を横切る方向を指す)
【0003】
シート材料のばらつきを検出するために、各走査に沿った坪量又はキャリパなどの選択されたシート特性の値を検出しながら、横方向にシート作製機械を横切って周期的に前後に横断する走査センサが用いられる。通常、生産されているシートは、各走査中に縁から縁まで横断する。典型的な走査に必要な時間は、概して、数メートルにもなり得る横方向の長さに応じて、約数秒~数十秒である。測定読み取り値がそのようなスキャナによって提供される速度は、通常調整可能であり、典型的な速度は、ミリ秒毎に約1回の測定読み取り値である。
【0004】
実際には、走査センサによって提供された測定情報は、通常、各走査の後に組み立てられて、横方向で検出されたシート特性の「プロファイル」を提供する。言い換えれば、各プロファイルは、横方向の隣接する場所での一連のシート測定値で構成される。プロファイルの目的は、シート特性の横方向のばらつきを容易に検出することを可能にすることである。検出されたシート特性における検出された横方向のばらつきに基づいて、横方向及び機械方向の両方のプロファイルのばらつきを低減することを目的として、適切な制御調整をシート作製機械に行うことができる。
【0005】
一定の速度でシートを周期的に横断する走査センサは、シートの長手方向縁部に正確に垂直に整列される場所で選択されたシート特性を測定することができない。シート速度のために、走査センサは、実際にシート表面を横切って斜めに移動し、結果として、連続する走査経路は、シートの長手方向縁部に垂直な方向に対してジグザグパターンを有する。実際には、各走査にわたるプロファイル測定の平均を計算することが典型的である。
【0006】
長網抄紙機と呼ばれることが多い工業用抄紙機では、走査センサは定期的に試験されるが、この試験プロセスは時間がかかる。
【発明の概要】
【0007】
本発明は、部分的に、スキャナの走査パラメータを変更して、サンプリングされるシートの小部分のみを走査するようにすることによって、精度及び再現性の検証のためにオンライン走査センサ読み取り値を実験室試験結果に相関させることが容易にされ得るという認識に基づいている。この特徴は、センサのミニ走査読み取り値をより適切なものにし、再現可能な結果である可能性をより高くする。動的相関プロセス全体は、より短い時間長でより信頼性の高い結果を達成する。
【0008】
一態様では、本発明は、横方向に沿って位置付けられた複数のアクチュエータと、複数のアクチュエータの下流に位置付けられた、移動する材料のシートの特性データを測定及び取得するための走査センサと、を含む、連続シート製造システムを動作させる方法に関連し、該方法は、
(a)走査センサを用いて連続シートのシート物理特性を測定し、測定値の横方向プロファイルを表示することと、
(b)プロファイル内の横方向領域を選択することと、
(c)領域内の走査センサを用いて連続シートのシート物理特性を測定することと、を含む。アクチュエータのうちの1つ以上は、測定値に応じて調整され得る。
【0009】
別の態様では、本発明は、機械方向(MD)に移動する連続シート製品を製造するためのシステムであって、生産モード中に移動シートの全幅にわたって前後に周期的に横断する走査センサを採用するシステムにおいて採用される、走査センサ測定値を実験室分析に相関させる方法に関する。該方法は、
(a)各走査に沿って選択されたシート特性の値を検出するために、横方向(CD)においてシートの全幅にわたって前後に周期的に横断するように、生産モードにおいて走査センサを動作させることと、
(b)各走査の横方向幅を走査対象のシートの全幅よりも実質的に小さくなるように変更して、各走査に沿って選択されたシート特性の値を検出して検出値を生成することによって、走査センサを検証モードで動作させることと、
(c)検証モード中に生産された材料のシートのサンプルを取得することと、
(d)試験結果を確認するために、検証モード中に取得されたサンプルを試験することと、
(e)検査結果を検証モードで得られた検出値と比較することと、を含む。
【0010】
更なる態様では、本発明は、機械方向と横方向とを有する連続シートプロセスにおけるプロセス変数を測定する方法であって、
(i)センサを含むマウンティングヘッドを支持する細長い部材を提供することと、
(ii)連続的な材料のシートを生産するためにアクチュエータを作動させることと、
(iii)移動する連続的な材料のシートを機械方向に沿って方向付けることであって、シートは、第1の縁部と第2の縁部とを有し、第1の細長い部材は、移動する連続的な材料のシートに隣接して、横方向に沿って位置付けられる、方向付けることと、
(iv)センサが、材料のシートの第1の縁部と第2の縁部との間のシートの特性を測定し、センサが、測定値に対応する第1の信号を生成するように、マウンティングヘッドを、第1の走査位置と第2の走査位置との間で前後に誘導することと、
(v)第1の信号に応答してアクチュエータを制御することと、
(vi)第1の信号に応答してアクチュエータの制御を停止することと、
(vii)センサが第1の縁部及び第2の縁部内にある材料のシートの領域間のシートの特性を測定し、センサが測定値に対応する第2の信号を生成するように、マウンティングヘッドを第3の走査位置と第4の走査位置との間で前後に誘導することと、
(viii)ステップ(vii)の間に生産された材料のシートのサンプルを取得することと、
(ix)試験結果を取得するために、ステップ(viii)で取得されたサンプルを分析することと、
(x)試験結果を第2の信号と比較することと、を含む、方法に関する。
【0011】
本発明は、製紙において実施されるものとして例示されているが、本発明は、例えば、ゴムシート、プラスチックフィルム、電極、金属箔、織物などの製造における、他の連続シート作製プロセスに適用可能であることが理解される。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【発明を実施するための形態】
【0013】
図1は、製紙機械2と、制御システム4と、ネットワーク6と、を含むシート製造システム10を示す。製紙機械2は、巻取りリール14によって回収される、紙材料12の連続シートを生産する。紙材料12は、特定の幅を有するものであり、木繊維及び他の材料の水性混合物を含むパルプ懸濁液原料から生産されるが、これは、品質制御システム4によって監視及び制御される様々な単位動作を受ける。ネットワーク6は、システム10の構成要素の間の通信を容易にする。製紙については、Backstrom及びForbesの米国特許第9,309,625号、並びにHughes及びTixierの米国特許第8,021,517号に記載されており、これらは参照により本明細書に組み込まれる。
【0014】
製紙機械2は、ヘッドボックス8を含むが、これは、水性パルプ懸濁液を、機械にわたって、機械方向(MD)に移動している連続スクリーン又はワイヤ30の上へ均等に分配する。ヘッドボックス8は、それを通してパルプ懸濁液がスクリーン又はワイヤ30上に分配されるスライス開口部を含み、スライス開口部は、パルプ懸濁液を受容し、かつ水又は他の材料をパルプ懸濁液から排出又は除去することを可能にするためのメッシュなどの適切な構造を備える。紙シート12の形成は、形成されている紙のシート12にわたって横断方向に延在する複数の直線アクチュエータ3によって左右される。アクチュエータ3は、横方向(CD)におけるシートの重量を制御する。アクチュエータの下流に位置付けられたセンサは、シートの性質を測定する。原料は、ヘッドボックスから間隙又は細長いオリフィス5を通してワイヤセクション30の上へ供給される。オリフィス又は間隙は、機械の幅を横切って延びる比較的狭い開口部である。そのような配設の重量プロファイル制御は、モータ付き直線アクチュエータ3によって機械にわたるスライスリップの位置を局所的に調整して、アクチュエータに直接隣接した間隙又はオリフィスの寸法を変動させることによって達成される。本明細書で使用される場合、シート製造システム10の「ウェットエンド」形成部分は、ヘッドボックス8及びワイヤ30並びにワイヤ30の前のセクションを含み、「ドライエンド」は、ワイヤ30の下流にあるセクションを含む。
【0015】
次いで、シート12は、複数のプレスロールを含むプレスセクション32に進入し、シート12は、(「ニップ」と称される)開口部を通ってプレスセクション32内の複数の対の対向回転ロールの間を通って進行する。このようにして、プレスセクション32内のロールは、シート12を形成するパルプ材料を圧縮する。これは、パルプ材料からより多くの水を除去し、シート12の特性をその両側で均等化するのに役立ち得る。
【0016】
シート12が乾燥機セクション34内の一連の加熱ロールの上を進行するとき、シート12中のより多くの水が蒸発する。カレンダー36は、例えば、シート12を平滑化し、かつ最終仕上げ、厚さ、光沢、又は他の特性を付与することによって、シート12の処理及び仕上げを行う。他の材料(デンプン又はワックスなど)をシート12に添加して、所望の仕上げを得ることもできる。誘導加熱アクチュエータ24のアレイは、CDに沿ってローラの1つ以上に熱を印加して、ロール直径、及びそれによってニップのサイズを制御する。カレンダー36による処理が終了すると、シート12は、リール14上へ回収される。
【0017】
シート作製システム10は、CDに沿って射出される高温蒸気の量を制御する、蒸気アクチュエータ20のアレイを更に含む。高温蒸気は、紙の表面温度を上昇させ、横断方向における紙シートからのより容易な水の除去を可能にする。また、紙シートの過度の乾燥を低減又は防止するために、紙材料14には、CDにおいて水がスプレーされる。同様に、再湿潤シャワーアクチュエータ22のアレイが、CDに沿って適用される水量を制御する。
【0018】
製紙プロセスを制御するために、シート12の選択された性質が連続的に測定され、製紙機械2が、シート品質を確実にするように調整される。測定することができる紙の典型的な物理的特性としては、例えば、厚さ、坪量、含水量、灰分などの化学組成、表面粗さ、光沢、キャリパ、色、及びクレープパターン表面特徴が挙げられる。CDの制御は、シート12を走査することが可能な1つ以上のスキャナ26、28を使用してシートの性質を測定し、シート12の1つ以上の特性を測定することによって達成することができる。例えば、スキャナ28は、シート12の乾燥重量、含水量、灰分、又は任意の他の若しくは追加の特性を測定するためのセンサを携持することができる。スキャナ28は、一組の又はアレイのセンサなどの、シート12の1つ以上の特性を測定又は検出するための好適な構造を含む。スキャナ28は、紙製品のドライエンド乾燥重量及び灰分含有量を測定するのに特に適している。
【0019】
スキャナ26及び28からの測定値は、シート12の機械方向及び横方向の特性に影響を及ぼす製紙機械2の様々なアクチュエータ又は動作を調整する制御システム4に提供される。シート12の機械方向の特性は、一般的に、機械方向において変動し、かつ制御される、シート12の平均特性を指す。この実施例では、制御システム4は、ヘッドボックス8へのパルプの供給を調整することによって、紙シートの乾燥重量を制御することが可能である。例えば、制御システム4は、弁を通り、ヘッドボックス8への原料の流れを制御する、原料流れコントローラに情報を提供することができる。制御システム4は、シート作製機械2又は他の機械の動作を制御するための任意のハードウェア、ソフトウェア、ファームウェア、又はこれらの組み合わせを含む。制御システム4は、例えば、プロセッサによって使用、生成、及び収集される命令及びデータを記憶するプロセッサ及びメモリを含むことができる。CDスキャナシート特性測定値は、将来の参照のために記憶され、かつ/又はリアルタイム観察及び分析のためにアクセスされる。製紙機械のための制御システムは、例えば、Backstrom及びForbesに付与された米国特許第9,309,625号、Backstrom及びForbesに付与された米国特許第10,174,456号、及びHeらに付与された米国特許第10,358,771号に記載されており、これらの特許は参照により組み込まれる。
【0020】
図2は、
図1の巻取りリールの直前のドライエンドに配置された走査センサの1つの特定の実現例を示す。特に、放射源及び検出器は、生産される紙の1つ又は複数の特性を測定するために用いられ得るスキャナシステム50のデュアルマウンティングヘッドスキャナ58内に収容される。上部スキャナヘッド54は、シート全体の特性が測定され得るように、MDに移動する移動シート60の幅を横切ってCDに前後に繰り返し移動する。スキャナ58又はゲージは、上部走査ヘッド54及び下部走査ヘッド56がそれぞれ取り付けられた2つの梁52及び62によって支持されている。下部スキャナヘッド56及び上部スキャナヘッド54の動作面は、シート60を収容する測定ギャップ又はウィンドウを画定する。下部スキャナヘッド56は、シートが測定ウィンドウを通過する際にシートを一貫した平面上に維持するために、空気軸受スタビライザ(図示せず)などのシート安定化システムを含むことができる。デュアルスキャナヘッド54、56の移動は、速度及び方向に対して同期されて、その結果、それらは互いに整列される。工業的なCDにおけるシートの幅は、10メートルを超えることがあり、典型的には、通常生産モードでは、スキャナヘッドは毎秒0.3~0.7メートルの速度で移動する。
【0021】
監視される特性に応じて、走査センサは、透過モード又は反射モードで動作するように構成され得る。例えば、スキャナヘッド54は、放射線のビームを移動ウェブ又はシート26内に向ける放射線源を収容してもよく、スキャナヘッド56は、材料を透過した放射線を検出する放射線受信器を収容する。デュアルスキャナヘッドがCDに沿って前後に前進すると、センサはウェブ又はシート60の1つ以上の特性を測定する。透過モードで動作するセンサは、例えば、Tixier及びHughesに対する米国特許第9,182,360号、Hughes及びTixierに対する米国特許第8,527,212号、Tixierに対する米国特許第7,298,492号、Hughesらに対する米国特許出願公開第2021/0382173号、並びにTixier及びHughesに対する米国特許出願公開第2021/0262776号に記載されており、これらは参照により本明細書に組み込まれる。典型的には、通常生産モードでは、走査センサのサンプリングレートは、10~200ミリ秒毎に1サンプルの範囲である。
【0022】
反射モードでは、上部スキャナヘッド54は、ウェブ又はシート26の1つ以上の特性を測定するために、放射線源と検出器の両方を収容し得る。反射モードで動作するセンサは、例えば、米国特許第9,182,360号、同第8,527,212号、同第7,298,492号、及び米国特許出願公開第2020/0096308号に記載されており、これらは参照により本明細書に組み込まれる。
【0023】
シート60の表面画像を捕捉するために、カメラが上部又は下部スキャナヘッドに固定され得る。カメラは、Shakespeare及びKellomakiに付与された米国特許第7,695,592号に記載されており、この特許は参照により本明細書に組み込まれる。
【0024】
移動スキャナは、移動シート60の長手方向縁部に正確に垂直に整列される位置で選択されたシート特性を測定しない。代わりに、シート速度のために、走査デバイスは、シート表面を横切って斜めに移動し、結果として、連続する走査経路は、シートの長手方向縁に垂直な方向に対してジグザグパターンを有する。
【0025】
図3は、走査デバイス78が前後の連続走査中にシートの表面を横断するときにゲージによって製紙機械の通常動作中にトレースされるジグザグ走査パターン76の例を示す。ゲージは呼掛けスポット74を有し、パターン76は、シートの縁部70と縁部72との間の移動シート上で測定が行われる場所を表す。真のCDに対する走査経路の角度は、走査デバイス78の横方向速度、及びシートの機械方向速度に依存する。呼掛けスポット74のジグザグパターンは、シート表面の比較的小さい部分をカバーする。実際の動作では、スキャナ78は、シートの縁部に接近すると減速し、縁部で停止し、次いで縁部から離れてシートの中心に向かって移動する際に加速することに留意されたい。したがって、ジグザグパターンは、図示されるような鋭い角を示すのではなく、実際には湾曲している。
【0026】
実際には、走査センサによって提供された測定情報は、通常、各走査の後に組み立てられて、横方向で検出されたシート特性の「プロファイル」を提供する。言い換えれば、各プロファイルは、横方向の隣接する場所での一連のシート測定値で構成される。特性測定値は、CDセグメントの有限サイズのビンにおいて平均化される。プロファイルの目的は、シート特性の横方向のばらつきを容易に検出することを可能にすることである。スキャナ測定値を表示するマップは、典型的に、幅にわたる点又はビンに分割される。例えば、各ビンは約5mmの距離を表すことができる。
【0027】
図4は、ドライエンドで紙の特性を測定するスキャナ28(
図1)によって生成される例示的な横方向プロファイルである。スキャナは、移動シートの全幅を端から端まで走査する生産モードで動作している。任意の単位で示される特性レベルは、ビン1から600までの紙の幅にわたって変動する。
【0028】
本発明によれば、ミニ走査は、オンラインセンサ読み取り値を実験室試験に相関させて精度及び再現性を検証するためにいつでも実行され得る。その手順では、実験室でサンプリングされている紙が、センサからの対応する読み取り値と照合される。通常走査モードでは、センサはx秒(走査時間)でシート全体を横断する。シートの小さな部分のみが検査されるので、検査に関連しない紙を読むのに多くの時間が費やされる。
【0029】
ミニ走査では、スキャナがサンプリングされるべきシートの部分のみを走査するように走査パラメータが変更され、それによって、すべてのセンサ読み取り値が関連し、再現可能な結果である可能性が高くなる。実際には、オペレータが横方向プロファイルを検討し、比較的一貫した読み取り値を示すCD領域を選択する。
図3において、丸で囲まれた「平坦な領域」は、ばらつきの少ない領域を示しており、相関付けが容易である。ミニ走査のためのこのCD領域の長さは、典型的には、フル走査のためのCD長の10%未満であり、好ましくは約2~6%である。典型的には、ミニ走査検証モードでは、スキャナヘッドは毎秒0.3~0.7メートルの速度で移動し、走査センサのサンプリング速度は10~200ミリ秒毎に1サンプルの範囲である。
【0030】
図3は、ミニ走査中に生成されたジグザグパターン86を示しているが、これは、境界80、82によって画定された領域内での前後の連続走査中に走査デバイス78がシートの表面を横断する際に、ゲージによる検証動作中にトレースされる。ゲージは呼掛けスポット88を有し、パターン86は移動シート上のどこで測定が行われるかを表す。明らかなように、ミニ走査パスは、実際のサンプリングされた製品を読み取るための多くのものを含む。ミニ走査で生成されたセンサデータは、平均化され、印刷され、表示されて、サンプルを試験するときに得られた実験室値と比較するために使用される。ミニ走査中は、走査センサの制御動作を停止することが好ましい。すなわち、測定されるシートは、製品全体の小部分を表すにすぎないので、通常動作中のようにMD又はCD制御を調整するために走査センサによって生成された信号を使用する必要はない。そうでなければ、製紙機械は、データの小さなサブセットで制御されることによって中断され得る。
【0031】
ミニ走査は、巻取りリール14(
図1)が所望のサイズに達したときに実施され得る。ミニ走査が完了すると、生産されている走行シートは新しいスプールに移送され、一杯になったシートは試験のために取り出される。ミニ走査に供されたシートの部分から紙サンプルを取り出し、サンプルをキャリパ、坪量、灰分などについて分析する。
【0032】
ミニ走査はまた、上流アクチュエータを診断するために使用され得る。例えば、
図1に示すように、紙シート12の形成は、CD方向に延びる複数のリニアアクチュエータ3によって影響を受ける。アクチュエータ3は、CDにおけるシートの重量を制御する。アクチュエータの1つが誤動作した場合、その影響がスキャナ28の測定値に示される。CDの選択された狭いセグメントでのミニ走査を使用して、どのアクチュエータがチューニング、調整又は交換を必要とするかを決定することができる。
【0033】
上記は、本発明の原理、好ましい実施形態、及び動作モードを説明してきた。しかしながら、本発明は、考察される特定の実施形態に限定されるものとして解釈されるべきではない。したがって、上述の実施形態は、限定的ではなく例示的なものとしてみなされるべきであり、以下の特許請求の範囲によって定義されるような本発明の範囲から逸脱することなく、当業者によってそれらの実施形態において変形が行われ得ることを理解されたい。
【外国語明細書】