(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024167054
(43)【公開日】2024-11-29
(54)【発明の名称】静電容量による非接触式高さ測定方法
(51)【国際特許分類】
G01F 23/263 20220101AFI20241122BHJP
E04G 21/02 20060101ALI20241122BHJP
【FI】
G01F23/263
E04G21/02 103Z
【審査請求】有
【請求項の数】10
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2024068454
(22)【出願日】2024-04-19
(31)【優先権主張番号】P 2023083392
(32)【優先日】2023-05-19
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
【公序良俗違反の表示】
(特許庁注:以下のものは登録商標)
1.ホームタイ
(71)【出願人】
【識別番号】593089046
【氏名又は名称】青木あすなろ建設株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100218062
【弁理士】
【氏名又は名称】小野 悠樹
(72)【発明者】
【氏名】佐藤 俊男
(72)【発明者】
【氏名】駒田 憲司
(72)【発明者】
【氏名】村田 康平
(72)【発明者】
【氏名】山口 潤
【テーマコード(参考)】
2E172
2F014
【Fターム(参考)】
2E172AA05
2E172DB03
2E172DB13
2E172HA03
2F014EA01
(57)【要約】
【課題】 壁体を隔てた反対側の誘電体物質の高さレベルを電極体間の静電容量の値に基づいて検出する方法において、特に容器内の液体や粉体の高さレベルを複雑な電気信号を処する回路を必要とせず、高い高さレベルまで測定でき、低コストで製造可能で簡便に使用可能な静電容量による非接触式高さ測定方法を提供すること。
【解決手段】 導線10が接続された一対の電極体11を、空間を有する非金属材料体2の外側部に、上下方向に、間隔を置いて密着配置又は離隔して配設し、空間を有する非金属材料体の内部に導入する誘電体物質20の高さを電極体間の静電容量の値に基づいて測定することを特徴とする。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
導線が接続された一対の電極体を、空間を有する非金属材料体の外側部、上下方向に、間隔を置いて密着配置又は離隔して配設し、前記空間を有する非金属材料体の内部に導入する誘電体物質の高さを前記電極体間の静電容量の値に基づいて測定する方法であって、
前記一対の電極体に、任意の測定周波数の測定用交流信号を入力し、
前記電極体間のインピーダンスと位相角を測定して容量性リアクタンスを算出し、静電容量の値を計算して、その値により前記誘電体物質の高さを求めることを特徴とする静電容量による非接触式高さ測定方法。
【請求項2】
前記一対の電極体が帯状であることを特徴とする請求項1に記載の静電容量による非接触式高さ測定方法。
【請求項3】
前記測定用交流信号が5mVrms~5Vrms、前記測定周波数が1KHz~20MHzの範囲であることを特徴とする請求項1に記載の静電容量による非接触式高さ測定方法。
【請求項4】
測定時の静電容量の初期値をゼロ値として測定することを特徴とする請求項1に記載の静電容量による非接触式高さ測定。
【請求項5】
前記空間を有する非金属材料体が型枠であり、該型枠の内部に導入する前記誘電体物質がセメント系物質であることを特徴とする請求項1に記載の静電容量による非接触式高さ測定法。
【請求項6】
前記空間を有する非金属材料体が型枠であり、該型枠が、前記電極体を非金属材料体に取り付けて一体化したセンサ付き高さ測定用型枠を、他の型枠に接続させた型枠であることを特徴とする請求項1に記載の静電容量による非接触式高さ測定法。
【請求項7】
前記一対の電極体が、長尺の電極体であり、該長尺の電極体の長手方向の所定の一部が幅広に形成されていることを特徴とする請求項1に記載の静電容量による非接触式高さ測定方法。
【請求項8】
複数の前記一対の電極体が、導線で接続されていることを特徴とする請求項1に記載の静電容量による非接触式高さ測定方法。
【請求項9】
前記型枠の接続部において、前記一対の電極体同士がコネクタで接続されていることを特徴とする請求項5又は6に記載の静電容量による非接触式高さ測定方法。
【請求項10】
前記一対の電極体が防水されていることを特徴とする請求項1に記載の静電容量による非接触式高さ測定方法。
【請求項11】
前記測定に係るデータを無線通信装置で表示装置に送信することを特徴とする請求項1に記載の静電容量による非接触式高さ測定方法。
【請求項12】
高さの数値又は図表を表示装置により表示することを特徴とする請求項1に記載の静電容量による非接触式高さ測定方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、静電容量による非接触式高さ測定方法に関し、詳しくは、壁体を隔てた反対側の誘電体物質の高さレベルを電極体間の静電容量の値に基づいて検出する非接触式高さ測定方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来から、空間を形成する非金属材料体の内部に存する誘電体物質、例えば、液体を収容する容器内の液面レベルを静電容量の変化に基づいて検出する静電容量による液面レベルセンサが知られている( 例えば特許文献1、特許文献2を参照)。
【0003】
上記特許文献1の提案は、液体又は粉体等の入ったタンク容器等の貯蔵レベルや貯蔵量をセンサ体を用いて計測するものであり、このセンサ体は、絶縁材料からなる2枚のフィルムの間に膜状の2枚の電極体を互いに間隔を置いて配置し、これら2枚の電極体の各々にリード線を接続するとともに、2枚のフィルムを互いに密着させてフレキシブルなセンサ体を形成している。そして、電極体に接続されたリード線を信号増幅器等の電気回路に接続している。また、リード線の途中に可撓性を有する信号処理電気回路部を介在させて接続してフレキシブルなセンサ体を形成し、このセンサ体において検出信号を信号処理してもよいことが記載されている。
【0004】
このセンサ体は、変形容器やガラスビン等のサイズのものの液面レベルの計測に使用し、センサ本体によって検出された検出信号を信号増幅器等の電気回路に接続し信号処理しているが、センサ体への入力電圧、出力信号とその信号の処理については記載されていない。
【0005】
特許文献2の提案においては、液面レベルセンサがセンサ本体及びセンサ回路を備えており、センサ本体は、可撓性材料からなる絶縁シー トと、絶縁シートの一方の面に形成された検出電極と、他方の面に、検出電極と対向し検出電極の領域を含むように広く形成されたガード電極と、絶縁シートのいずれかの面に、検出電極又はガード電極から所定距離離れた位置に、検出電極又はガード電極に対して対称的に形成された一対の接地電極を有し、検出電極と接地電極およびガード電極間の静電容量を検出するとしている。また、センサ回路はセンサ本体に接続され、センサ本体によって検出された静電容量を電気信号に変換し、電気信号を信号処理して液面レベルを検出している。
【0006】
この液面レベルセンサは、液体を収容する容器内の液面レベルを静電容量の変化に基づいて検出電極として検出電極、ガード電極及び接地電極の3つの電極を必要とするとともに、センサ本体によって検出された静電容量を電気信号に変換して信号処理するセンサ回路を通じて液面レベルを検出しているため、構成が複雑であり高価なセンサとなる。
【0007】
また、特許文献3は、ジャンカ等のコンクリート欠陥をコンクリート硬化前に検出する装置であり、コンクリート打設前と打設後に型枠の外面の一対の側点の間に高周波電流を印加してコンクリート型枠及びコンクリート外側部分の静電容量を測定し、その静電容量の差により型枠内部のコンクリート欠陥を検出するとしている。この検出方法は、測点に装置の両端子を当接させて測定するが、両端子の間のジャンカ等を検出するものであり、部分的な検出である。
【0008】
また、非特許文献1に記載の製品は、静電容量型液面レベルセンサであり、樹脂製等のタンクの外側にフィルム状の電極を貼り付け、静電容量の変化によりタンク内部の液体の高さを検出するものである。この場合、検出高さが最大250mmであり、比較的低い検出高さを対象としている。また、電源電圧はDC12V/DC245Vの直流電源を用いている。
【0009】
さらに、非特許文献2には、金属テープを容器の外側に貼り付け、その金属テープの静電容量を静電容量センサで計測し、静電容量値を水位の変化(cm)に換算し、水位を算出するものが記載されている。この水位変化の検出原理は、容量値の変化を共振周波数でとらえている静電容量センサ(Texas Instruments社のFDC2214)を使用し、任意のコンデンサとコイルをLC共振させ、センサ部(金属部)で生じた誘電率の変化に伴う容量値の変化を共振周波数の変化でとらえる仕組みである。
【0010】
これは、水位が上昇するとセンサの容量値が増加し、共振周波数は下がるという検出原理を用いているが、文献中の水位と容量値の関係のグラフに示されるように水位20cm程度までのレベルの計測に適用され、比較的計測高さが限られている。
【0011】
また、特許文献4においては、測定対象物の界面の高さを測定するための界面計測センサであって、界面の高さを測定する測定範囲に応じた長さを有する、測定対象物が導入される構造物の垂直方向に取り付けられる第1と第2の電極とを有しており、これらの電極間の容量を算出し、算出された結果を無線によって外部に送信する無線タグを有する界面計測センサが記載されている。
【0012】
この場合、界面計測センサは、型枠(杭や柱など、管状の構造物)の内側に垂直方向に延びる方向に設置され、測定対象物(例えばコンクリート)は直接レベルセンサに接触しての測定となる。
【0013】
また、特許文献5においては、水平方向に一定の間隔をおいて互いに平行し、上下方向に延在する一対の電極線を絶縁材で被覆してなるレベルセンサを型枠の内側の空所内に設置し、空所内にコンクリートが打設されるのに伴い、コンクリートの比誘電率に応じて一対の電極線間に生じる静電容量の変化に基づいて空所に打設されたコンクリートの打ち上がり高さを算出している。
【0014】
この場合、レベルセンサは、型枠の内側の空所内に上下方向に延在して設置されるため、コンクリートが直接レベルセンサに接触しての測定となる。
【0015】
特許文献6においては、トンネル内に配設された型枠面に、コンクリートに接触する長さに応じて検出量が変化する、一対の電極線を絶縁材で被覆してなる細長形状のレベルセンサーを、その長手方向を型枠面の長さ方向あるいは幅方向に沿って延在するように取り付けている。そして、レベルセンサーがコンクリートに接触することにより、コンクリートの比誘電率に応じて一対の電極線間に生じる静電容量を検出し、この検出量から打設されたコンクリートの高さを把握するとしている。
【0016】
このレベルセンサーは、型枠の外側に幅方向に沿って延在するように取り付けられているので、センサーが直接コンクリートに接触しての測定である。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0017】
【特許文献1】特開2007- 303982 号公報
【特許文献2】特開2013- 167651 号公報
【特許文献3】特開2005- 300482 号公報
【特許文献4】特開2011- 174718 号公報
【特許文献5】特開2012- 172375 号公報
【特許文献6】特開2019- 78047 号公報
【非特許文献】
【0018】
【非特許文献1】亀岡電子カタログ(静電容量型液面レベルセンサ CLA Series インターネット<URL:https://www.ipros.jp/popup/download/catalog/?objectExpression=2-1447607&sourceObjectId=1447607&sourceObjectType=2&hub=45+bing>)
【非特許文献2】マクニカ([IoT/M2M展 2017レポート]IoT PoV 検証モデル展示コーナー 水位計測事例 インターネット<URL:https://www.macnica.co.jp/business/semiconductor/articles/texas_instruments/122549/>)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0019】
本発明は、壁体を隔てた反対側の誘電体物質の高さレベルを電極体間の静電容量の値に基づいて検出する方法において、特に容器内の液体や粉体の高さレベルを複雑な電気信号を処する回路を必要とせず、高い高さレベルまで測定でき、低コストで製造可能で簡便に使用可能な静電容量による非接触式高さ測定方法を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0020】
本発明の静電容量による非接触式高さ測定方法は、上記の技術的課題を解決するためになされたものであって、以下のことを特徴としている。
【0021】
第1に、本発明の静電容量による非接触式高さ測定方法は、導線が接続された一対の電極体を、空間を有する非金属材料体の外側部、上下方向に、間隔を置いて密着配置又は離隔して配設し、前記空間を有する非金属材料体の内部に導入する誘電体物質の高さを前記電極体間の静電容量の値に基づいて測定する方法であって、
前記一対の電極体に、任意の測定周波数の測定用交流信号を入力し、
前記電極体間のインピーダンスと位相角を測定して容量性リアクタンスを算出し、静電容量の値を計算して、その値により前記誘電体物質の高さを求めることを特徴とする。
第2に、上記第1の発明の静電容量による非接触式高さ測定方法において、前記一対の電極体が帯状であることが好ましい。
第3に、上記第1又は第2の発明の静電容量による非接触式高さ測定方法において、前記測定用交流信号が5mVrms~5Vrms、前記測定周波数が1KHz~20MHzの範囲であることが好ましい。
第4に、上記第1から第3の発明の静電容量による非接触式高さ測定方法において、測定時の静電容量の初期値をゼロ値として測定することが好ましい。
第5に、上記第1から第4の発明の静電容量による非接触式高さ測定方法において、前記空間を有する非金属材料体が型枠であり、該型枠の内部に導入する前記誘電体物質がセメント系物質であることが好ましい。
第6に、上記第1から第5の発明の静電容量による非接触式高さ測定方法において、前記空間を有する非金属材料体が型枠であり、該型枠が、前記電極体を非金属材料体に取り付けて一体化したセンサ付き高さ測定用型枠を、他の型枠に接続させた型枠であることが好ましい。
第7に、上記第1から第6の発明の静電容量による非接触式高さ測定方法において、前記一対の電極体が、長尺の電極体であり、該長尺の電極体の長手方向の所定の一部が幅広に形成されていることが好ましい。
第8に、上記第1から第7の発明の静電容量による非接触式高さ測定方法において、複数の前記一対の電極体が、導線で接続されていることが好ましい。
第9に、上記第5又は第6の発明の静電容量による非接触式高さ測定方法において、前記型枠の接続部において、前記一対の電極体同士がコネクタで接続されていることが好ましい。
第10に、上記第1から第9の発明の静電容量による非接触式高さ測定方法において、前記一対の電極体が防水されていることが好ましい。
第11に、上記第1から第10の発明の静電容量による非接触式高さ測定方法において、前記測定に係るデータを無線通信装置で表示装置に送信することが好ましい。
第12に、上記第1から第11の発明の静電容量による非接触式高さ測定方法において、高さの数値又は図表を表示装置により表示することが好ましい。
【発明の効果】
【0022】
本発明の静電容量による非接触式高さ測定方法によれば、空間を形成する非金属材料体の空間内の液体や粉体等の誘電体物質の高さレベルを、非金属材料体の外側に配置した簡便で製造コストが安価なセンサにより、複雑な電気信号を処する回路を必要とせず容易に検出でき、特に比較的高い高さレベルに対しても検出することができる。
【図面の簡単な説明】
【0023】
【
図1】(a)は、本発明の静電容量による非接触式高さ測定方法において、空間を形成する非金属材料体の形状が四角の容器で、一対の帯状の電極体を、容器の同一側面に配設した実施形態を示す概略斜視図であり、(b)は、(a)における上面視図である。
【
図2】(a)は、本発明の静電容量による非接触式高さ測定方法において、空間を形成する非金属材料体の形状が四角の容器で、一対の帯状の電極体を、容器の隣り合う側面に配設した実施形態を示す概略斜視図であり、(b)は、(a)における上面視図である。
【
図3】(a)は、空間を形成する非金属材料体が上面視円形のアクリルパイプで、誘電体物質が水である場合の高さ測定状況を示す概略斜視図であり、(b)は、(a)を用いて測定した静電容量と高さの関係の測定結果を示すグラフである。
【
図4】(a)は、空間を形成する非金属材料体がFRP型枠で、誘電体物質がフレッシュコンクリートである場合の高さ測定状況を示す概略斜視図であり、(b)は、(a)を用いて測定した高さと静電容量の関係の測定結果を示すグラフである。
【
図5】(a)は、空間を形成する非金属材料体が木製型枠で、誘電体物質がフレッシュコンクリートである場合の高さ測定状況を示す概略斜視図であり、(b)は、(a)における高さと静電容量の関係の測定結果を示すグラフである。
【
図6】(a)は、センサ付き高さ測定用型枠として、電極体を取り付けたFRP型枠を用いた実施形態の概略正面図であり、(b)は、センサ付き高さ測定用型枠としての電極体を取り付けたFRP型枠を他の型枠としての木製型枠に接続させた実施形態を示す概略斜視図である。
【
図7】(a)は、空間を形成する非金属材料体がトンネルの二次覆工に用いるFRP型枠で、誘電体物質としてフレッシュコンクリートを打設する場合の高さ測定状況を示す斜視図であり、(b)は、(a)における横断面図である。
【
図8】(a)は、一対の電極体を、長尺の電極体と、所定の位置の電極の幅を大きくした電極体からなる電極体を配置して高さを測定する実施形態の正面図であり、(b)は、(a)における高さと静電容量の関係の測定結果を示すグラフである。
【
図9】(a)は、一対の電極体と測定装置を導線で接続した実施形態を示す概略正面図であり、(b)は(a)における高さと静電容量の関係の測定結果を示すグラフである。
【
図10】(a)は、上下の型枠の縦方向の接続部において、上下一対の電極体をコネクタで縦方向に接続した実施形態を示す概略正面図であり、(b)は、(a)における電極体の接続部の横断面拡大図である。
【
図11】一対の電極体を防水した実施形態を示す上面視図である。
【
図12】計測装置で測定したデータを無線通信装置で表示装置に送信する実施形態を示す概略斜視図である。
【
図13】トンネルの二次覆工におけるコンクリートの打設高さをモニタ表示する実施形態の説明図である。
【
図14】電極体をFRP型枠の各側面の外側、上下方向に取り付けた複数のセンサ付き高さ測定用型枠を木製型枠の間に接続した実施形態を示す概略斜視図である。
【
図15】
図14におけるコンクリートの打設高さをモニタで画面表示した実施形態の説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0024】
本発明の静電容量による非接触式高さ測定方法は、導線が接続された一対の電極体を、空間を有する非金属材料体の外側部、上下方向に、間隔を置いて密着配置又は離隔して配設し、前記空間を有する非金属材料体の内部に導入する誘電体物質の高さを前記電極体間の静電容量の値に基づいて測定する方法である。
【0025】
以下に、本発明に係る静電容量による非接触式高さ測定方法の一実施形態を図面に基づいて詳細に説明する。
図1(a)は、本発明の静電容量による非接触式高さ測定方法において、空間を形成する非金属材料体の形状が四角の容器において、一対の電極体が帯状で、容器の同じ側面に配設されている場合の概略斜視図であり、
図1(b)は、
図1(a)における上面視図である。なお、この実施形態により本発明が限定されるものではない。
【0026】
本発明の静電容量による非接触式高さ測定方法の動作原理は、距離をおいて空気で絶縁させた一対の電極体11間に交流電流を印加することにより、電極体11間に電界を生じさせてコンデンサのように静電容量を生じさせ、この電界内に空気より比誘電率の高い誘電体物質20を導入すると静電容量が増加するという原理を用いている。
【0027】
誘電体物質20としては、比誘電率が高く測定可能なものであれば特に限定されるものではなく、液体、流動体、粉体等のいずれでもよく、具体的には、例えばフレッシュコンクリート、フレッシュモルタル等のセメント系物質22や水等を例示することができる。空間を有する非金属材料体2の材質は絶縁体であり、有機材料としては、プラスチック、ゴム、木材、皮革等を例示することができ、無機材料としては、ファインセラミックス、ガラス、陶磁器、耐火物、セメント系物質やFRP等、また、これらの複合材料を例示することができる。
【0028】
一対の電極体11への入力信号は、所定の周波数の測定用交流信号であり、電極体11間のインピーダンスと位相角を測定して容量性リアクタンスを算出し、次式を用いて静電容量の値を計算して、その値により誘電体物質20の高さレベルを求める。
XC=1/(2πfC)
(XC:容量リアクタンス f:交流電圧の周波数 C:静電容量)
測定用交流信号は5mvV~5vVrms、測定周波数は1KHz~20MHzの範囲が好ましい。測定周波数を高い周波数範囲に設定することにより、電界の変動に対する検出感度が向上し、微細な静電容量の変化が検出できるとともに、ノイズに対して比較的耐性を有し、外部からの干渉や電磁ノイズの影響を抑えることができる。
【0029】
静電容量の計測装置3としては、LCRメータ、マルチメータあるいはインピーダンスアナライザ等交流入力信号の静電容量を測定できる機器を好適に用いることができる。なお、非金属材料体2の厚みについては、厚さが増加するにつれて静電容量が検出しづらくなるため、検出可能な範囲の厚みとすることが考慮される。また、計測装置3で測定した計測データは、表示装置5により表示することができる。
【0030】
導線10が接続された一対の電極体11は、
図1(b)に示すように、非金属材料体2としての上面視矩形容器の外側部に間隔を空けて密着して配設されている。そして、矩形容器の内側に誘電体物質20が充填されると、充填高さの増加に伴い電極体11間の静電容量の値も増加する。これにより、静電容量の値に基づいて誘電体物質20の高さを測定することができる。なお、
図1(a)では、2本の導線10はそれぞれ一対の電極体11の上端部に接続されているが、電極体11への接続部は電極のどの高さ位置でもよく、例えば電極の下端部でもよい。
【0031】
電極体11は、導電性を有する金属板状のものであればよく、特に、銅、アルミ等の材質で、薄板状、膜状のものが軽量で好適である。電極体11の容器への取り付けは、例えば、容器側面の密着面に両面テープ又は絶縁性を有する接着剤により取り付けたり、電極体11の片面に接着剤が塗布された導電性銅箔粘着テープや導電性アルミ箔粘着テープ等を使用することもできる。電極体11の外側面は、絶縁性を有する片面粘着のテープで覆う等の保護をすることが望ましい。
【0032】
また、予め一組の電極体11を絶縁体上に形成しておくこともできる。具体的には、例えば、絶縁材料からなる1枚のフィルムの片面に、板状又は膜状の2枚の電極体11を互いに間隔を置いて配設したり、絶縁材料からなる2枚のフィルムの間に、膜状の2枚の電極体11を互いに間隔を置いて配設する等して一対の電極体11を一体に形成することができる。また、容器は、電極体11との密着面が非金属材料体2であればよく複合材料であってもよい。また、膜状の電極体11は、フィルムに印刷又は蒸着又はめっきにより形成されていてもよい。
【0033】
導線10は、リード線でも同軸ケーブルでもよく、リード線は単線でも撚線でもよい。ただし、リード線の場合は、高周波になるほど外部から到来する電磁波の影響を受けやすいため、伝送長さが長い場合は電磁波の影響を受けにくい、高周波信号伝送用のケーブルとして用いる同軸ケーブルを用いるのが好ましい。
【0034】
図2(a)は、本発明の静電容量による非接触式高さ測定方法において、空間を形成する非金属材料体の形状が四角の容器で、一対の帯状の電極体を、容器の隣り合う側面に配設した実施形態の概略斜視図であり、
図2(b)は、
図2(a)における上面視図である。本発明においては、このように一対の帯状の電極体11を同じ側面ではなく、隣り合う側面に一列ずつ配設することもできる。この場合も、距離をおいて空気で絶縁された一対の電極体11間に交流電流を印加することにより、電極体11間に電界を生じさせてコンデンサのように静電容量を生じさせることができる。また、一対の帯状の電極体各々の距離が遠くなく電界が届く範囲であれば、一対の帯状の電極体11を向かい合う面に配設することもできる。
【0035】
以下に、上記本発明の静電容量による非接触式高さ測定方法による効果を確認した実験(実験1~3)を示す。
<実験1>
図3(a)は、空間を形成する非金属材料体2が上面視円形のアクリルパイプで、誘電体物質20が水である場合の高さ測定状況の概略斜視図である。このアクリルパイプは、円筒形の形状であるが、一対の電極体11が可撓性を有する帯状の電極体11であれば、曲線を伴う各種形状のタンクや容器、あるいは型枠形状のもの等空間を形成するものにフレキシブルに対応でき、容器内にある物質の高さレベルを検出することができる。
【0036】
図3(b)は、
図3(a)における誘電体物質20が水である場合の水位と静電容量との関係を示すグラフである。なお、静電容量の測定は、測定用交流信号を0.63Vrms、測定周波数を100kHzの条件で測定した。また、測定開始時の静電容量は、電極体11設置時の周囲の環境による静電容量の値があるので、その値をゼロ値として初期値とした。なお、以下の実験においても同様の計測装置を使用し、初期値をゼロとして測定した。
【0037】
アクリルパイプの厚さは3mm、導電性銅箔テープの幅は、より広くすることにより比例定数が高くなるので、適宜、測定精度や取り付けスペースの制限等の条件に応じて適宜決定することができ、本実験1では20mmのものを使用した。なお、以下の実験においても本実験1で使用した導電性銅箔テープを用いた。測定結果より、静電容量は水位にほぼ比例して増加したため水位8mまで測定した。比例定数としては、約0.53pF/cmであった。
【0038】
<実験2>
図4(a)は、空間を形成する非金属材料体2がFRP型枠464で、誘電体物質20がフレッシュコンクリート22である場合の高さ測定状況の概略斜視図である。土木、建築工事等で構築する構造物は、型枠46を設置し、その型枠46内へフレッシュコンクリート22を打設して築造する。その際、電極体11を型枠46の外側に上下に取り付け、コンクリート22の打設高さを測定する。FRP(繊維強化プラスチック)型枠464は、鋼製の型枠と比較して優れた保温性を有し、剥離性に優れるのでケレン作業の軽減ができ、面板48が錆びることがない等の特長がある。本実験2では厚さ6mmの型枠で4側面を形成し、型枠46内部にフレッシュコンクリート22を打設して、フレッシュコンクリート22の打設高さと静電容量の関係を調べた。
【0039】
図4(b)は、
図4(a)における打設高さと静電容量の関係の測定結果を示すグラフである。この測定結果より、静電容量は、水位の場合と同様にフレッシュコンクリート22の打設高さにほぼ比例して高さ1.7mまで増加している。比例定数としては、約0.32pF/cmであった。なお、本実験2で用いたFRP型枠464の厚さは6mmである。
<実験3>
【0040】
図5(a)は、空間を形成する非金属材料体2として木製型枠466を用い、誘電体物質20がフレッシュコンクリート22である場合の高さ測定状況の概略斜視図であり、
図5(b)は、
図5(a)を用いてフレッシュコンクリートを打設した場合の静電容量と高さの関係の測定結果を示すグラフである。測定結果によれば、静電容量はフレッシュコンクリート22の打設高さにほぼ比例して高さ1.7mまで増加している。比例定数としては、約0.27pF/cmであった。なお、本実験3で用いた木製型枠466の厚さは12mmである。
【0041】
以上、実験1(
図3(b))、実験2(
図4(b))、実験3(
図5(b))の結果より、アクリルパイプ、FRP型枠464、木製型枠466の非金属材料体2の外側に、1対の電極体11を互いに間隔を存して密着配置し、導線10を接続して所定の交流電圧を印加し、静電容量を該電極体11間に生じるインピーダンスと位相角を測定し、容量リアクタンスを算出して、静電容量の値を算出することにより、非金属材料体2からなる容器内の誘電体物質20である水、フレッシュコンクリート22の高さレベルを非接触で測定できることが確認できた。
【0042】
また、実験2では、型枠46としてFRP型枠464、実験3では、木製型枠466を使用したが、型枠46は非金属材料であれば特に限定されるものではなく、例えば、透明型枠、プラスチック型枠等を用いることもできる。なお、木製型枠466は、加工が容易で仕上がりが美しく、一般的に安価であるため特に好適に用いることができる。
【0043】
図6(a)は、センサ付き高さ測定用型枠463の実施形態を示す概略正面図である。本実施形態では、センサ付き高さ測定用型枠463として、電極体11を取り付けたFRP型枠464を用いている。本実施形態のセンサ付き高さ測定用型枠463では、高さ検知部である電極体11を非金属材料体であるFRP型枠464に取り付け一体化して、センサ付き高さ測定用型枠463として専用に用い、他の型枠465とを接続させる構成としている。より具体的には、電極体11をアクリル板等の保護材467で覆ったり、密着させ保護している。フレーム468には締結用穴469を設け、他の型枠465にボルトで固定できるようにしている。他の型枠465にセットして繰り返し測定することにより、多数箇所でのコンクリート打設や高架橋のような柱状構造物で下層から上層に順次コンクリートを打設する場合に、機能的にコンクリートの打設高さを測定することができる。なお、センサ付き高さ測定用型枠463に用いる非金属材料体は、FRP型枠464以外の非金属材料体でもよく、木製型枠、透明型枠、プラスチック型枠等を例示することができ、これらを適宜組み合わせで使用することもできる。
【0044】
図6(b)は、
図6(a)のセンサ付き高さ測定用型枠463としての電極体11を取り付けたFRP型枠464と他の型枠465を互いに側部で接続させた実施形態を示す概略斜視図である。本実施形態では、センサ付き高さ測定用型枠463としての電極体11を取り付けたFRP型枠464と、他の型枠465としての木製型枠466を互いに側部に接続し、電極体11をFRP型枠464の外側に上下に取り付けている。本実施形態においては、FRP型枠464と木製型枠466の間は継目がずれないようにすることが好ましく、具体的には、例えば単管をホームタイで締め付けたり、より確実に締め付けるために、FRP型枠464と木製型枠466の接続部471に締結用穴469を設けてボルトで固定したり、クランプで挟んで固定することができる。また、継目の止水をより強力にする場合は、FRP型枠464と木製型枠466の継目に防水テープを張ったり、継目の間にシールを挟むことで対応することもできる。なお、この場合、予めFRP型枠464のフレーム468に止水用のシール材を貼付しておくことが好ましい。
【0045】
以下に、本発明の上記静電容量による非接触式高さ測定方法をトンネルの施工に適用した実施形態について詳述する。
【0046】
図7(a)は、空間を形成する非金属材料体2がトンネル4の二次覆工に用いるFRP型枠464で、誘電体物質20としてフレッシュコンクリート22を打設する場合の高さ測定状況を示す斜視図である。トンネル4の二次覆工の実施形態では、電極体11をFRP製のセントル44の内側にトンネル天端部41に向けて円周方向に取り付け、セントル44の天井部付近からは電極体11に接続した導線10をトンネル4の長手方向に沿わせ、妻型枠側43の外部の計測装置3と表示装置5に繋げて測定、表示するようにしている。電極体11のセントル44への取り付けは、セントル44の内面に密着して取り付ける。セントル44のリブ等の部材に対しては穴開けするなど加工をしてセントル44に密着させるようにしてもよい。
【0047】
防水シート42とセントル44との間のコンクリート打設空間21にフレッシュコンクリート22を打設する。打設するフレッシュコンクリート22の流動性の状況により打設高さの高低差の大小が生じるため、フレッシュコンクリート22の流動性に応じて検出導線10の本数を定めるが、通常、片側2~4本程度をトンネル4の両側に配設する。
【0048】
図7(b)は、
図7(a)における横断面図である。電極体11は、セントル44の内面を下から上側に向けて内面に密着して沿わせて設置している。なお、
図7(a)では、セントル44の天井部から妻型枠側43に延伸した導線10を計測装置3に繋げているが
図7(b)では省略している。防水シート42とセントル44との間のコンクリート打設空間21にフレッシュコンクリート22を打設し、上方側に順次打設が進むのに伴い、コンクリート22の充填に応じて静電容量が増加し、その値に伴い円周方向での打設コンクリート22の充填高さを測定する。
【0049】
この際、フレッシュコンクリート22の比誘電率は温度に依存し、フレッシュコンクリート22の温度が高い程比誘電率が低くなり、比例定数が多少変動することが考慮される。また、フレッシュコンクリート22の打設に際し、打設条件により長時間かけて打設するような場合、既に下方部に打設されているフレッシュコンクリート22が時間の経過により硬化が進行することで含水比が低下し、高さと静電容量との比例定数が多少変動することも考慮される。そのため、実際の施工に際しては、事前に使用するフレッシュコンクリート22における、発熱温度と硬化時間等の特性を考慮した高さと静電容量の比例定数を調べておき、実際の高さ測定の算定に反映させることもできる。
【0050】
図8(a)は、他の実施形態の正面図であり、一対の電極体11を長尺の電極体11と、所定の位置の電極体11の幅を大きくした電極体12からなる電極体11を配置して高さを測定する場合を示している。本実施形態では、一対の電極体11において、中央部の一定高さ区間を幅広に形成した電極体12をFRP型枠464の側部の定点高さに位置するように配置することで、フレッシュコンクリート22が幅広の電極体12の位置まで充填されていることが確認でき、より精度よく測定することができる。長尺の電極体11の横幅は20mm、途中の短尺で幅広の電極体12の横幅は80mm、長さは20mmであり、高さ50cmから52cmの箇所に取り付けている。打設時間が長時間に及ぶ場合の打設済みのコンクリート22の硬化に伴う比例定数の変化等が生じる場合の打設にも適用できる。幅広の電極体12は、必要に応じて複数個所設置することもできる。
【0051】
図8(b)は、
図8(a)におけるコンクリート高さと静電容量との関係を示すグラフである。この測定結果では、高さが0~50cm程度まで一定の増加率で50~52cm程度で増加率が高くなり、また52cm程度を過ぎると前の増加率に戻っている。この結果、50~52cmの箇所の増加率の変化から、この高さまで打設が行われたことが確認できる。それ以降、引き続き比例定数を基に高さを測定することができる。
【0052】
図9(a)は、他の実施形態の正面図であり、一対の電極体11を、導線10で複数接続した電極体11を配置して高さを測定する場合を示している。本実施形態では、複数接続した一対の短尺の電極体11をFRP型枠464の側部の定点高さに位置するように配置し、間欠的に物質の高さレベルを測定している。このように、定められた高さに短尺の電極体11を配置することにより、間欠的に高さを測定することもできる。電極体11の横幅は80mm、長さは20mmで、高さ10~60cmまで10cm間隔で取り付けている。打設時間が長時間に及ぶ場合の打設済みのコンクリート22の硬化に伴う比例定数の9化等が生じる場合の打設にも適用できる。
【0053】
図9(b)は、
図9(a)における高さと静電容量の関係の測定結果を示すグラフである。この測定結果では、高さが0~10cmのところで静電容量は増加せず、10~12cmのところで増加し、12~20cmのところでほとんど増加せず、それ以降高さ70cmまで同じ状況を繰り返している。この結果、10cm毎に静電容量が増加することにより、間欠的ではあるが打設高さを測定することができる。
【0054】
図10(a)は、上型枠461と下型枠462の縦方向の接続部において上下の一対の電極体11をコネクタ13で縦方向に接続した実施形態の正面図である。型枠46の高さを1.8mとした場合、その高さより高く打設する場合は、上型枠461と下型枠462を接続して型枠を高くして打設する。このとき、打設高さを測定するためには、型枠の接続部47で上下の電極体11を接続すればよい。その接続方法は、上型枠461と下型枠462の面板48(裏側)の上下に沿って取り付けている電極体11を上型枠461と下型枠462が接続される横フレーム482の箇所で、コネクタ13を用いて接続する。
【0055】
図10(b)は、
図10(a)の電極体接続部の横断面の拡大図である。電極体11の接続部では、縦フレーム481に対して横フレーム482の位置で上型枠461と下型枠462に跨って面板48(裏側)に沿って取り付けられている導線10を通じてコネクタ13で繋ぎ接続する。このようにして、型枠の接続部47でも連続的に打設高さを測定するが、上型枠461と下型枠462の接続部47は、電極体11が横フレーム482の厚さ分ないので、電極体接続部の高さを増加調整するため、下型枠462から上型枠461に打設部分が移ったとき、電極体11が接続されていない導線10の部分においては横フレーム482の厚みを高さの数値にプラスする。
【0056】
図11は、一対の電極体11を防水した実施形態を示す平面図である。一対の電極体11による静電容量は、空間21を形成する非金属材料体2の外側の電界内に誘電体物質である水等が付いた場合、静電容量が増加し、高さの値に誤差が生じると考えられる。そこで、電極体11の周囲を防水囲い49で覆うことが好ましい。防水囲い49は、電極体11に対してある程度距離を置き、間に絶縁体である空気層を設けるようにする。防水囲い49は他の誘電体物質の接触の防御にもなる。また、防水囲い49の代わりに、アクリル板等の板を直接銅シートに張り付けることも考えられる。この場合の張り付け方法は、両面テープか接着剤を使用する。
【0057】
図12は、計測装置3で測定したデータを無線通信装置6で表示装置5に送信する実施形態の斜視図である。本実施形態は、トンネル4の二次覆工において、打設高さの測定とトンネル天端部41の充填を検知している場合である。導線10を接続した計測装置3を妻型枠側43の外側に設置し、測定データを無線通信装置6でパソコン等の表示装置5に無線でデータ送信することができる。このように無線通信装置6を使用することにより、狭い場所での通信を有線から無線にすることができ、導線10の切断の危険性を解消するとともに作業性も向上させることができる。
【0058】
図13は、トンネル4の二次覆工におけるコンクリート22の打設高さをモニタ5で画面表示した説明図である。ここでは、一対の電極体11をセントル44の内側に、既設側、中央、妻側の3ヶ所で上下に左右取り付けて測定している。
図13の上部映像はトンネル4を側面から見た図で、下部映像はトンネル4を横断から見た図である。打設コンクリート22の高さをこのように表示、図化することにより、打設状況をリアルタイムに視覚的に把握することができる。この場合、トンネル4の断面形状はアーチ型になるので、事前にアーチ形状に合わせて電極体11がコンクリート22に浸かる長さと、そのときの打設高さとの関係を算定しておき、打設高さを算出することができる。
【0059】
図14は、電極体11をFRP型枠464の各側面の外側、上下方向に取り付けた複数のセンサ付き高さ測定用型枠463を木製型枠466の間に接続した実施形態の概略斜視図である。本実施形態では、打設面積が広く複数の位置の打設高さを知りたいときに、型枠に近い部分について同時に把握することができる。また、生コンポンプ車のブームの移動による打設ではなく、配管を用いたバルブの切り替えで打設をする場合、打設箇所のコンクリートの打設高さを知ることができるため、各バルブ切り替えのタイミングを適時把握することができる。ここでは、一対の電極体11をFRP型枠464の4面に計8箇所取り付けて測定している。また、データは無線通信装置6で伝送し、パソコン等の表示装置5で画面表示することができる。伝送先は、打設をしている作業所内のほか、遠く離れた事務所等に伝送してもよい。
【0060】
図15は、
図14におけるコンクリートの打設高さをモニタで画面表示した実施形態の説明図である。本実施形態では、8箇所の各位置の打設高さを表示している。この表示を作業所内の大型画面で表示することにより、作業関係者が打設の進捗状況を逐次把握することができ、次作業の準備などへの助けとすることができる。
【符号の説明】
【0061】
10 導線
11 電極体
12 幅広の電極体
13 コネクタ
2 空間を有する非金属材料体
20 誘電体物質
21 コンクリート打設空間
22 セメント系物質(フレッシュコンクリート)
3 計測装置
4 トンネル
41 トンネル天端部
42 防水シート
43 妻型枠側
44 セントル
45 地山
46 型枠
461 上型枠
462 下型枠
463 センサ付き高さ測定用型枠
464 FRP型枠
465 他の型枠
466 木製型枠
467 保護材
468 フレーム
469 締結用穴
47 上下型枠の接続部
471 センサ付き高さ測定用型枠(FRP型枠)と他の型枠(木製型枠)の接続部
48 面板
481 縦フレーム
482 横フレーム
49 防水囲い
5 表示装置(モニタ)
6 無線通信装置
【手続補正書】
【提出日】2024-08-21
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
導線が接続された一対の電極体を、空間を有する非金属材料体の外側部、上下方向に、間隔を置いて密着配置又は離隔して配設し、前記空間を有する非金属材料体の内部に導入する誘電体物質の高さを前記電極体間の静電容量の値に基づいて測定する方法であって、
前記一対の電極体が帯状であり、
静電容量の計測装置を用いて、前記一対の電極体に、測定周波数が1KHz~20MHz、5mVrms~5Vrmsの範囲の測定用交流信号を前記計測装置から導線を通して直接入力し、
前記電極体間のインピーダンスと位相角を測定して容量性リアクタンスを算出し、静電容量の値を計算して、その値と前記誘電体物質の高さが比例することを利用して、前記誘電体物質の高さを求めることを特徴とする静電容量による非接触式高さ測定方法。
【請求項2】
測定時の静電容量の初期値をゼロ値として測定することを特徴とする請求項1に記載の静電容量による非接触式高さ測定方法。
【請求項3】
前記空間を有する非金属材料体が型枠であり、該型枠の内部に導入する前記誘電体物質がセメント系物質であることを特徴とする請求項1に記載の静電容量による非接触式高さ測定方法。
【請求項4】
前記空間を有する非金属材料体が型枠であり、該型枠が、前記電極体を非金属材料体に取り付けて一体化したセンサ付き高さ測定用型枠を、他の型枠に接続させた型枠であることを特徴とする請求項1に記載の静電容量による非接触式高さ測定方法。
【請求項5】
前記一対の電極体が、長尺の電極体であり、該長尺の電極体の長手方向の所定の一部が幅広に形成されていることを特徴とする請求項1に記載の静電容量による非接触式高さ測定方法。
【請求項6】
複数の前記一対の電極体が、導線で接続されていることを特徴とする請求項1に記載の静電容量による非接触式高さ測定方法。
【請求項7】
前記型枠が、縦方向に接続された上型枠と下型枠とからなり、該上型枠と下型枠の接続部において、前記一対の電極体同士がコネクタで接続されていることを特徴とする請求項3又は4に記載の静電容量による非接触式高さ測定方法。
【請求項8】
前記一対の電極体が防水されていることを特徴とする請求項1に記載の静電容量による非接触式高さ測定方法。
【請求項9】
前記測定に係るデータを無線通信装置で表示装置に送信することを特徴とする請求項1に記載の静電容量による非接触式高さ測定方法。
【請求項10】
高さの数値又は図表を表示装置により表示することを特徴とする請求項1に記載の静電容量による非接触式高さ測定方法。