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特開2024-167056ブロック共重合体、分散剤、および、着色組成物
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024167056
(43)【公開日】2024-11-29
(54)【発明の名称】ブロック共重合体、分散剤、および、着色組成物
(51)【国際特許分類】
   C08F 293/00 20060101AFI20241122BHJP
   C08K 3/013 20180101ALI20241122BHJP
   C08L 53/00 20060101ALI20241122BHJP
【FI】
C08F293/00
C08K3/013
C08L53/00
【審査請求】未請求
【請求項の数】14
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2024072456
(22)【出願日】2024-04-26
(31)【優先権主張番号】P 2023083098
(32)【優先日】2023-05-19
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(71)【出願人】
【識別番号】000206901
【氏名又は名称】大塚化学株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100125184
【弁理士】
【氏名又は名称】二口 治
(74)【代理人】
【識別番号】100188488
【弁理士】
【氏名又は名称】原谷 英之
(72)【発明者】
【氏名】池田 翔
【テーマコード(参考)】
4J002
4J026
【Fターム(参考)】
4J002BP031
4J002FD020
4J002FD040
4J002FD050
4J002FD070
4J002FD096
4J002FD180
4J002FD310
4J002GP00
4J002GQ00
4J002HA06
4J026HA11
4J026HA20
4J026HA22
4J026HA25
4J026HA32
4J026HA38
4J026HA43
4J026HA48
4J026HA49
4J026HB11
4J026HB22
4J026HB25
4J026HB32
4J026HB42
4J026HB43
4J026HB45
4J026HB48
4J026HC11
4J026HC22
4J026HC25
4J026HC32
4J026HC42
4J026HC43
4J026HC45
4J026HE04
(57)【要約】
【課題】着色組成物の分散剤として用いた際に、着色材の分散性能が高いブロック共重合体を提供する。
【解決手段】ブロック共重合体は、AブロックとBブロックとCブロックとを含有し、各ブロックの配列がAブロック-Bブロック-Cブロックの順であり、前記Aブロックがヒドロキシ基および/またはエーテル基を有する構造単位(a-1)、前記Bブロックが含窒素官能基を有する構造単位(b-1)、前記Cブロックがヒドロキシ基を有する構造単位(c-1)をそれぞれ含有し、前記構造単位(c-1)の前記構造単位(b-1)に対するモル体積比((c-1)/(b-1))が0.1~1.5であり、前記Aブロックを構成する構造単位100mol%中の前記構造単位(b-1)の含有率が3mol%以下であり、前記Cブロックを構成する構造単位100mol%中の前記構造単位(b-1)の含有率が3mol%以下であることを特徴とする。
【選択図】なし
【特許請求の範囲】
【請求項1】
AブロックとBブロックとCブロックとを含有するブロック共重合体であって、
前記各ブロックの配列が、Aブロック-Bブロック-Cブロックの順であり、
前記Aブロックが、ヒドロキシ基および/またはエーテル基を有する構造単位(a-1)を含有し、
前記Bブロックが、含窒素官能基を有する構造単位(b-1)を含有し、
前記Cブロックが、ヒドロキシ基を有する構造単位(c-1)を含有し、
前記構造単位(c-1)の前記構造単位(b-1)に対するモル体積比((c-1)/(b-1))が0.1~1.5であり、
前記Aブロックを構成する構造単位100mol%中の前記構造単位(b-1)の含有率が3mol%以下であり、
前記Cブロックを構成する構造単位100mol%中の前記構造単位(b-1)の含有率が3mol%以下であることを特徴とするブロック共重合体。
【請求項2】
前記構造単位(a-1)の前記構造単位(b-1)に対するモル体積比((a-1)/(b-1))が0.1~10.0である、請求項1に記載のブロック共重合体。
【請求項3】
前記構造単位(a-1)が、式(1)で表される構造単位である、請求項1または2に記載のブロック共重合体。
【化1】
[式(1)において、R11は水素原子またはメチル基を表す。
11はエステル基、アミド基または単結合を表す。
12は2価の炭化水素基、-R14-(O-CO-R15m1-基または-R16-(OR17n1-基を表す。
13は水素原子または1価の炭化水素基を表す。ただし、R12が2価の炭化水素基、または、-R14-(O-CO-R15m1-基の場合、R13は水素原子である。
m1は1~10の整数を表す。
14は2価の炭化水素基を表す。
15は2価の炭化水素基を表し、m1が2以上である場合、複数存在するR15はそれぞれ同一であっても異なっていてもよい。
n1は1~30の整数を表す。
16は2価の炭化水素基を表す。
17は2価の炭化水素基を表し、n1が2以上である場合、複数存在するR17はそれぞれ同一であっても異なっていてもよい。]
【請求項4】
前記構造単位(b-1)が、式(6)で表される構造単位および/または式(7)で表される構造単位である、請求項1または2に記載のブロック共重合体。
【化2】
[式(6)において、R61は水素原子またはメチル基を表す。
61はエステル基、アミド基または単結合を表す。
62は2価の炭化水素基を表す。
63およびR64は、それぞれ独立して、水素原子、置換基を有していてもよい鎖状または環状の炭化水素基を表す。]
【化3】
[式(7)において、R71、R72、R73およびR74は、同一または異なって、水素原子または置換基を有していてもよい炭素数1~10のアルキル基を示す。
m7は0~4の整数を示す。
n7は1~3の整数を示す。]
【請求項5】
前記構造単位(c-1)が、式(8)で表される構造単位である、請求項1または2に記載のブロック共重合体。
【化4】
[式(8)において、R81は水素原子またはメチル基を表す。
81はエステル基、アミド基または単結合を表す。
82は2価の炭化水素基、-R83-(O-CO-R84m8-基または-R85-(OR86n8-基を表す。
m8は1~10の整数を表す。
83は2価の炭化水素基を表す。
84は2価の炭化水素基を表し、m8が2以上である場合、複数存在するR84はそれぞれ同一であっても異なっていてもよい。
n8は1~30の整数を表す。
85は2価の炭化水素基を表す。
86は2価の炭化水素基を表し、n8が2以上である場合、複数存在するR86はそれぞれ同一であっても異なっていてもよい。]
【請求項6】
前記ブロック共重合体のアミン価が、10mgKOH/g~150mgKOH/gである、請求項1または2に記載のブロック共重合体。
【請求項7】
前記Bブロックを構成する構造単位100mоl%中の前記構造単位(b-1)の含有率が、5mol%~100mol%である、請求項1または2に記載のブロック共重合体。
【請求項8】
前記Aブロックを構成する構造単位の総モル量と、前記Bブロックを構成する構造単位の総モル量とのモル比(Aブロック/Bブロック)が10/90~95/5であり、 前記Cブロックを構成する構造単位の総モル量と、前記Bブロックを構成する構造単位の総モル量とのモル比(Cブロック/Bブロック)が、10/90~95/5である、請求項1または2に記載のブロック共重合体。
【請求項9】
前記ブロック共重合体の重量平均分子量が、5,000~40,000である、請求項1また2に記載のブロック共重合体。
【請求項10】
前記ブロック共重合体がリビング重合で得られたものであり、その分子量分布(Mw/Mn)が3.0未満である、請求項1または2に記載のブロック共重合体。
【請求項11】
請求項1または2に記載のブロック共重合体を含有することを特徴とする分散剤。
【請求項12】
着色材、分散媒体、および、請求項11に記載の分散剤を含有することを特徴とする着色組成物。
【請求項13】
カラーフィルタ用である請求項12に記載の着色組成物。
【請求項14】
請求項12に記載の着色組成物を用いて形成された着色層を備えることを特徴とするカラーフィルタ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ブロック共重合体に関し、特に着色組成物の着色材の分散剤として使用できるブロック共重合体に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、液晶ディスプレー等に用いられるカラーフィルタの製造において、基材への着色材の付与方法としては、染色法、印刷法、インクジェット法、電着法、顔料分散法等が知られている。これらの中でも、分光特性、耐久性、パターン形状および精度の観点から、顔料分散法が主流となっている。この顔料分散法においては、顔料、分散剤、分散媒体(溶媒)、バインダー樹脂等を混合した着色組成物からなる塗布膜を基板上に形成し、所望のパターン形状のフォトマスクを介して放射線を照射して硬化し、アルカリ現像が行われる。
【0003】
近年、カラーフィルタの良好な色再現性および高コントラストを得るために着色組成物中の顔料の高濃度化が検討されている。顔料を高濃度化する場合、相対的に分散剤の割合が減少するため、分散剤には高い分散性が求められる(例えば、特許文献1(段落0004)参照)。また、アルカリ現像では、アルカリ可溶性を有するバインダー樹脂が大きな役割を果している。しかし、顔料を高濃度化した顔料分散組成物の場合には、現像成分であるバインダー樹脂の割合が減少し、アルカリ現像性が低下する。そのため、本来、バインダー樹脂に求められてきたアルカリ現像性が、分散剤にも求められる。このような分散剤として、特許文献2には、側鎖にポリラクトン鎖を有するAブロックと、側鎖に3級アミノ基を有するBブロックとからなる、A-Bブロック共重合体を顔料分散として用いることが記載されている(特許文献2(段落0023~0045)参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2009-265515号公報
【特許文献2】特開2013-119568号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
樹脂型分散剤において、着色材の分散性を高めるために、側鎖に3級アミノ基を導入することが提案されている(特許文献2参照)。しかし、近年の着色組成物中の着色材の高濃度化から、さらなる分散性能の向上が求められている。
【0006】
本発明は上記事情に鑑みてなされたものであり、着色組成物の分散剤として用いた際に、着色材の分散性能が高いブロック共重合体を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記課題を解決することができた本発明のブロック共重合体は、AブロックとBブロックとCブロックとを含有するブロック共重合体であって、前記各ブロックの配列がAブロック-Bブロック-Cブロックの順であり、前記Aブロックが、ヒドロキシ基および/またはエーテル基を有する構造単位(a-1)を含有し、前記Bブロックが、含窒素官能基を有する構造単位(b-1)を含有し、前記Cブロックが、ヒドロキシ基を有する構造単位(c-1)を含有し、前記構造単位(c-1)の前記構造単位(b-1)に対するモル体積比((c-1)/(b-1))が0.1~1.5であり、前記Aブロックを構成する構造単位100mol%中の前記構造単位(b-1)の含有率が3mol%以下であり、前記Cブロックを構成する構造単位100mol%中の前記構造単位(b-1)の含有率が3mol%以下であることを特徴とする。
【0008】
本発明のブロック共重合体は、前記Aブロックが構造単位(a-1)、前記Bブロックが構造単位(b-1)、前記Cブロックが構造単位(c-1)をそれぞれ含有し、AブロックおよびCブロックの構造単位(b-1)の含有率が3mоl%以下である。構造単位(a-1)および構造単位(c-1)は、分散媒体との親和性が高く、構造単位(b-1)が着色材との親和性が高いため、構造単位(b-1)が着色材に吸着する。
そして、前記構造単位(c-1)の前記構造単位(b-1)に対するモル体積比((c-1)/(b-1))を所定の範囲内に制御することで、分散剤の着色材からの脱離を抑制することができる。
【発明の効果】
【0009】
本発明のブロック共重合体は着色材の分散性能に優れており、着色材の分散剤として使用すれば、粘度安定性に優れた着色組成物が得られる。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、本発明を実施した好ましい形態の一例について説明する。ただし、以下の実施形態は単なる例示である。本発明は以下の実施形態に何ら限定されない。
【0011】
<定義>
本明細書において、「(メタ)アクリル」とは「アクリルおよびメタクリルの少なくとも一方」を意味する。「(メタ)アクリレート」とは「アクリレートおよびメタクリレートの少なくとも一方」を意味し、また(メタ)アクリル酸が有するカルボキシ基の水素原子が、有機基に置換されたエステル化合物である。「(メタ)アクリロイル」とは「アクリロイルおよびメタクリロイルの少なくとも一方」を意味する。「(メタ)アクリルモノマー」とは「分子中に(メタ)アクリロイル基を有するモノマー」を意味し、「(メタ)アクリレート」も包含する。「ビニルモノマー」とは「分子中にラジカル重合可能な炭素-炭素二重結合を有するモノマー」を意味し、「(メタ)アクリレート」、「(メタ)アクリルモノマー」も包含する。
【0012】
本明細書において、「(メタ)アクリレートに由来する構造単位」とは「(メタ)アクリレートのラジカル重合可能な炭素-炭素二重結合が重合して炭素-炭素単結合になった構造単位」を意味する。「(メタ)アクリルモノマーに由来する構造単位」とは「(メタ)アクリルモノマーのラジカル重合可能な炭素-炭素二重結合が重合して炭素-炭素単結合になった構造単位」を意味する。「ビニルモノマーに由来する構造単位」とは「ビニルモノマーのラジカル重合可能な炭素-炭素二重結合が重合して炭素-炭素単結合になった構造単位」を意味する。
【0013】
本明細書において、「X~Y」(X、Yは任意の数字)と記載した場合は「X以上、Y以下」を意味する。また、「X以上」(Xは任意の数字)と記載した場合は「X、または、X超」の意味も包含し、「Y以下」(Yは任意の数字)と記載した場合は「Y、または、Y未満」の意味も包含する。さらに、「Xおよび/またはY(X、Yは任意の構成)」とは「XおよびYの少なくとも一方」を意味し、「Xのみ」、「Yのみ」、「XおよびY」の3通り意味するものである。
【0014】
<ブロック共重合体>
本発明のブロック共重合体は、AブロックとBブロックとCブロックとを含有するブロック共重合体である。
【0015】
本明細書において、「Aブロック」は「Aセグメント」と言い換えることができ、「Bブロック」は「Bセグメント」と言い換えることができ、「Cブロック」は「Cセグメント」と言い換えることができる。
【0016】
(Aブロック)
前記Aブロックは、ヒドロキシ基および/またはエーテル基を有する構造単位(a-1)を含有する。前記構造単位(a-1)は、1種を単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。前記Aブロックは、分散媒体との親和性が高く、相溶性部位として働く。また、前記Aブロックは、立体反発効果により、経時変化による着色材粒子間の凝集を抑制することができる。
【0017】
前記Aブロックを構成する構造単位100mol%中の前記構造単位(a-1)の含有率は5mоl%以上が好ましく、より好ましくは10mоl%以上、さらに好ましくは20mоl%以上であり、95mоl%以下が好ましく、より好ましくは70mоl%以下、さらに好ましくは50mоl%以下、特に好ましくは40mоl%以下である。構造単位(a-1)の含有率が5mоl%以上であれば分散媒体への親和性がより高まり、また、アルカリ現像液への溶解性がより増し、着色組成物のアルカリ現像性を一層向上させることができ、95mоl%以下であれば分散媒体への親和性が高まり、分散性をより向上させることができる。
【0018】
前記構造単位(a-1)は、Bブロックが有する構造単位(b-1)に対するモル体積比((a-1)/(b-1))が、0.1以上が好ましく、より好ましくは0.5以上、さらに好ましくは3.0以上であり、10.0以下が好ましく、より好ましくは9.0以下、さらに好ましくは7.0以下、特に好ましくは6.0以下である。前記モル体積比((a-1)/(b-1))が上記範囲内であれば立体反発による着色材粒子間の凝集をより効果的に抑制できる。なお、Bブロックが複数種の構造単位(b-1)を含有する場合、モル体積比は、最も含有率が高い構造単位(b-1)のモル体積との比を算出する。
【0019】
構造単位のモル体積(V)は、構造単位を構成する原子団iの各モル体積Viの合計である。代表的な原子団のモル体積Viを表1に示す。なお、前記構造単位(a-1)と後述する構造単位(b-1)との組み合わせ、および、後述する構造単位(c-1)と構造単位(b-1)との組み合わせは、計算科学/情報科学を利用したマテリアルズ・インフォマティクスという方法を用いて検討することもできる。
【0020】
【表1】
【0021】
前記Aブロックは、モル体積比((a-1)/(b-1))が上記範囲外となる構造単位(a-1)を含有してもよい。なお、Aブロックが含有する構造単位(a-1)100mоl%中のモル体積比((a-1)/(b-1))が上記範囲内である構造単位の含有率が、20mоl%以上が好ましく、より好ましくは50mоl%以上、さらに好ましくは100mоl%である。
【0022】
(構造単位(a-1))
前記構造単位(a-1)は、式(1)で表される構造単位が好ましい。
【0023】
【化1】
[式(1)において、R11は水素原子またはメチル基を表す。
11はエステル基、アミド基または単結合を表す。
12は2価の炭化水素基、-R14-(O-CO-R15m1-基または-R16-(OR17n1-基を表す。
13は水素原子または1価の炭化水素基を表す。ただし、R12が2価の炭化水素基、または、-R14-(O-CO-R15m1-基の場合、R13は水素原子である。
m1は1~10の整数を表す。
14は2価の炭化水素基を表す。
15は2価の炭化水素基を表し、m1が2以上である場合、複数存在するR15はそれぞれ同一であっても異なっていてもよい。
n1は1~30の整数を表す。
16は2価の炭化水素基を表す。
17は2価の炭化水素基を表し、n1が2以上である場合、複数存在するR17はそれぞれ同一であっても異なっていてもよい。]
【0024】
前記A11はエステル基(-CO-O-)、アミド基(-CO-NH-)または単結合を表し、エステル基またはアミド基が好ましい。なお、エステル基、アミド基の結合方向は特に限定されない。エステル基の結合態様としてはC-CO-O-R12またはC-O-CO-R12が挙げられ、C-CO-O-R12が好ましい。アミド基の結合態様としてはC-CO-NH-R12またはC-NH-CO-R12が挙げられ、C-CO-NH-R12が好ましい。
【0025】
前記R12で表される2価の炭化水素基としては、炭素数1~20のアルキレン基、炭素数2~20のアルケニレン基、炭素数6~20のアレーンジイル基等が挙げられる。これらの中でも炭素数1~20のアルキレン基が好ましい。アルキレン基は、直鎖状、分岐鎖状のいずれでもよいが、直鎖状が好ましい。前記アルキレン基の炭素数は、より好ましくは1~4である。前記アルキレン基としては、メチレン基、エチレン基、トリメチレン基、テトラメチレン基、ペンタメチレン基、ヘキサメチレン基、ヘプタメチレン基等が挙げられる。
【0026】
前記R12で表される-R14-(O-CO-R15m1-基または-R16-(OR17n1-基において、R14、R15、R16またはR17で表される2価の炭化水素基としては、炭素数1~20のアルキレン基、炭素数2~20のアルケニレン基、炭素数6~20のアレーンジイル基等が挙げられる。これらの中でもR14、R15、R16またはR17で表される2価の炭化水素基としては、炭素数1~20のアルキレン基が好ましい。
【0027】
前記構造単位(a-1)としては、式(2)で表される構造単位(a-11)、式(3)で表される構造単位(a-12)、および、式(4)で表される構造単位(a-13)よりなる群から選択される1種以上が好ましい。
【0028】
(構造単位(a-11))
構造単位(a-11)は、ヒドロキシ基を有する(メタ)アクリレートに由来する構造単位である。
【0029】
【化2】
[式(2)において、R21は水素原子またはメチル基を表す。
22は炭素数1~20のアルキレン基、炭素数2~20のアルケニレン基、または、炭素数6~20のアレーンジイル基を表す。]
【0030】
前記R22は、炭素数が1~12のアルキレン基であることが好ましく、炭素数が1~5のアルキレン基であることがより好ましい。前記アルキレン基は、直鎖状、分岐鎖状のいずれでもよいが、直鎖状が好ましい。
【0031】
前記式(2)で示される構造単位を形成するビニルモノマーの具体例としては、(メタ)アクリル酸2-ヒドロキシエチル、(メタ)アクリル酸3-ヒドロキシプロピル、(メタ)アクリル酸2-ヒドロキシプロピル、(メタ)アクリル酸4-ヒドロキシブチル、(メタ)アクリル酸6-ヒドロキシヘキシル、(メタ)アクリル酸8-ヒドロキシオクチル、(メタ)アクリル酸10-ヒドロキシデシル、(メタ)アクリル酸12-ヒドロキシラウリル、(メタ)アクリル酸4-ヒドロキシフェニル等が挙げられる。これらの中でも炭素数が1~5のヒドロキシアルキル基を有する(メタ)アクリレートがより好ましい。
【0032】
(構造単位(a-12))
構造単位(a-12)は、ラクトン変性ヒドロキシ基を有する(メタ)アクリレートに由来する構造単位である。
【0033】
【化3】
[式(3)において、R31は炭素数が1~10のアルキレン基を表す。
32は炭素数が1~10のアルキレン基を表す。
33は水素原子またはメチル基を表す。
m3は1~10の整数を示す。なお、m3が2以上である場合、複数存在するR31は、それぞれ同一であっても異なっていてもよい。]
【0034】
前記R31、R32で表される炭素数が1~10のアルキレン基は、直鎖状、分岐鎖状のいずれでもよいが、直鎖状が好ましい。
前記R31は、炭素数が1~8のアルキレン基であることが好ましく、炭素数が3~8のアルキレン基であることがより好ましい。
前記R32は、炭素数が1~5のアルキレン基であることが好ましい。
前記m3は、1~7の整数であることが好ましく、1~5の整数であることがより好ましい。
【0035】
前記式(3)で示される構造単位を形成するビニルモノマーの具体例としては、(メタ)アクリル酸ヒドロキシアルキルのカプロラクトン付加物(式(3)中、R31がペンタメチレン基)等が挙げられる。前記(メタ)アクリル酸ヒドロキシアルキルとしては、(メタ)アクリル酸2-ヒドロキシエチル、(メタ)アクリル酸3-ヒドロキシプロピル、(メタ)アクリル酸2-ヒドロキシプロピル、(メタ)アクリル酸4-ヒドロキシブチル等が挙げられる。これらの中でも、(メタ)アクリル酸2-ヒドロキシエチルのカプロラクトン付加物(式(3)中、R33が水素原子またはメチル基、R32がエチレン基、R31がペンタメチレン基、m3が1~10)が好ましい。
【0036】
前記(メタ)アクリル酸2-ヒドロキシエチルのカプロラクトン付加物としては、(メタ)アクリル酸2-ヒドロキシエチルのカプロラクトン1mol付加物、(メタ)アクリル酸2-ヒドロキシエチルのカプロラクトン2mol付加物、(メタ)アクリル酸2-ヒドロキシエチルのカプロラクトン3mol付加物、(メタ)アクリル酸2-ヒドロキシエチルのカプロラクトン4mol付加物、(メタ)アクリル酸2-ヒドロキシエチルのカプロラクトン5mol付加物等が挙げられる。
【0037】
(構造単位(a-13))
構造単位(a-13)は、ポリアルキレングリコール構造を有する(メタ)アクリレートに由来する構造単位である。
【0038】
【化4】
[式(4)において、R41は水素原子または炭素数が1~3のアルキル基を表す。
42は炭素数が1~3のアルキレン基を表す。
43は炭素数が1~3のアルキレン基を表す。
44は水素原子またはメチル基を表す。
m4は1~30の整数を示す。なお、m4が2以上である場合、複数存在するR42は、それぞれ同一であっても異なっていてもよい。]
【0039】
前記R41で示される炭素数が1~3のアルキル基は、直鎖状、分岐鎖状のいずれでもよいが、直鎖状が好ましい。前記R41で示される炭素数が1~3のアルキル基の具体例としては、メチル基、エチル基、n-プロピル基、イソプロピル基等が挙げられる。
前記R42、R43で示される炭素数が1~3のアルキレン基は、直鎖状、分岐鎖状のいずれでもよいが、直鎖状が好ましい。
前記R42で示される炭素数が1~3のアルキレン基としては、エチレン基またはトリメチレン基が好ましい。
前記R43で示される炭素数が1~3のアルキレン基としては、エチレン基またはトリメチレン基が好ましい。
前記m4は、2以上、好ましくは5以上であり、30以下、好ましくは20以下、さらに好ましくは15以下である。
【0040】
前記式(4)で表される構造単位を構成するモノマーとしては、ポリアルキレングリコール構造を有する(メタ)アクリレート等が挙げられる。なお、ポリアルキレングリコール部分は、例えばエチレンオキシドとプロピレンオキシドとの混合体でもよい。前記ポリアルキレングリコール構造を有する(メタ)アクリレートとしては、ポリエチレングリコール(重合度=2~30)メチルエーテル(メタ)アクリレート、ポリエチレングリコール(重合度=2~30)エチルエーテル(メタ)アクリレート、ポリエチレングリコール(重合度=2~30)プロピルエーテル(メタ)アクリレート、ポリエチレングリコール(重合度=2~30)モノ(メタ)アクリレート等のポリエチレングリコール構造を有する(メタ)アクリレート;ポリプロピレングリコール(重合度=2~30)メチルエーテル(メタ)アクリレート、ポリプロピレングリコール(重合度=2~30)エチルエーテル(メタ)アクリレート、ポリプロピレングリコール(重合度=2~30)プロピルエーテル(メタ)アクリレート、ポリプロピレングリコール(重合度=2~30)モノ(メタ)アクリレート等のポリプロピレングリコール構造単位を有する(メタ)アクリレート等が挙げられる。
【0041】
前記Aブロックは、構造単位(a-1)のみから構成されていても良いし、他の構造単位が含まれていてもよい。
【0042】
前記他の構造単位を構成するビニルモノマーは、例えば、(メタ)アクリル系ビニルモノマー、α-オレフィン、芳香族ビニルモノマー、ヘテロ環を含有するビニルモノマー、ビニルアミド、カルボン酸ビニル、ジエン類等を挙げることができ、これらの中から1種または2種以上を組み合わせて用いることができる。
【0043】
前記(メタ)アクリル系ビニルモノマーとしては、例えば、鎖状アルキル基を有する(メタ)アクリレート、環状アルキル基を有する(メタ)アクリレート、芳香族基を有する(メタ)アクリレート、アルコキシ基を有する(メタ)アクリレート、環状エーテル基を有する(メタ)アクリレート、酸性基を有する(メタ)アクリレート、(メタ)アクリル酸等が挙げられる。
【0044】
前記鎖状アルキル基を有する(メタ)アクリレートとしては、直鎖アルキル基を有する(メタ)アクリレート、分岐鎖アルキル基を有する(メタ)アクリレートが挙げられる。
【0045】
前記直鎖アルキル基を有する(メタ)アクリレートとしては、直鎖アルキル基の炭素数が1~20である直鎖アルキル基を有する(メタ)アクリレートが好ましく、直鎖アルキル基の炭素数が1~10である直鎖アルキル基を有する(メタ)アクリレートがより好ましく、直鎖アルキル基の炭素数が1~5である直鎖アルキル基を有する(メタ)アクリレートがさらに好ましい。前記直鎖アルキル基を有する(メタ)アクリレートとしては、(メタ)アクリル酸メチル、(メタ)アクリル酸エチル、(メタ)アクリル酸n-プロピル、(メタ)アクリル酸n-ブチル、(メタ)アクリル酸n-ペンチル、(メタ)アクリル酸n-ヘキシル、(メタ)アクリル酸n-オクチル、(メタ)アクリル酸n-ノニル、(メタ)アクリル酸n-デシル、(メタ)アクリル酸n-ラウリル、(メタ)アクリル酸n-ステアリル等が挙げられる。
【0046】
前記分岐鎖アルキル基を有する(メタ)アクリレートとしては、分岐鎖アルキル基の炭素数が3~20である分岐鎖アルキル基を有する(メタ)アクリレートが好ましく、分岐鎖アルキル基の炭素数が3~10である分岐鎖アルキル基を有する(メタ)アクリレートが好ましい。前記分岐鎖アルキル基を有する(メタ)アクリレートとしては、(メタ)アクリル酸イソプロピル、(メタ)アクリル酸イソブチル、(メタ)アクリル酸sec-ブチル、(メタ)アクリル酸tert-ブチル、(メタ)アクリル酸イソオクチル、(メタ)アクリル酸2-エチルヘキシル、(メタ)アクリル酸イソノニル、(メタ)アクリル酸イソデシル等が挙げられる。
【0047】
前記環状アルキル基を有する(メタ)アクリレートとしては、環状アルキル基の炭素数が6~12の環状アルキル基を有する(メタ)アクリレートであることが好ましい。環状アルキル基としては、単環構造を有する環状アルキル基(例えば、シクロアルキル基)、橋かけ環構造を有する環状アルキル基(例えば、アダマンチル基、ノルボルニル基、イソボルニル基)が挙げられる。
【0048】
前記単環構造の環状アルキル基を有する(メタ)アクリレートの具体例としては、(メタ)アクリル酸シクロヘキシル、(メタ)アクリル酸メチルシクロヘキシル、(メタ)アクリル酸シクロドデシル等が挙げられる。
前記橋かけ環構造を有する環状アルキル基を有する(メタ)アクリレートの具体例としては、(メタ)アクリル酸イソボルニル、(メタ)アクリル酸ジシクロペンテニルオキシエチル、(メタ)アクリル酸ジシクロペンタニルオキシエチル、(メタ)アクリル酸2-メチル-2-アダマンチル、(メタ)アクリル酸2-エチル-2-アダマンチル等が挙げられる。
【0049】
前記芳香族基を有する(メタ)アクリレートとしては、芳香族基の炭素数が6~12の芳香族基を有する(メタ)アクリレートであることが好ましく、芳香族基の炭素数が6~9の芳香族基を有する(メタ)アクリレートであることがより好ましい。芳香族基としては、アリール基等を挙げることができ、またアルキルアリール基、アラルキル基、アリールオキシアルキル基等のように鎖状部分を有していてもよい。芳香族基を有する(メタ)アクリレートの具体例としては、(メタ)アクリル酸ベンジル、(メタ)アクリル酸フェニル、(メタ)アクリル酸フェノキシエチル等が挙げられる。
【0050】
前記アルコキシ基を有する(メタ)アクリレートとしては、(メタ)アクリル酸メトキシエチル、(メタ)アクリル酸エトキシエチル等が挙げられる。
【0051】
前記環状エーテル基を有する(メタ)アクリレートとしては、(メタ)アクリル酸グリシジル、(メタ)アクリル酸テトラヒドロフルフリル、(メタ)アクリル酸テトラヒドロフラニルメトキシエチル、(メタ)アクリル酸テトラヒドロフラニルメトキシプロピル、(メタ)アクリル酸テトラヒドロフラニルメトキシイソプロピル、(メタ)アクリル酸(3-エチルオキセタン-3-イル)メチル、(メタ)アクリル酸(2-メチル-2-エチル-1,3-ジオキソラン-4-イル)メチル、環状トリメチロールプロパンホルマール(メタ)アクリレート、(メタ)アクリル酸2-〔(2-テトラヒドロピラニル)オキシ〕エチル、(メタ)アクリル酸(1,3-ジオキソラン-4-イル)メチル等が挙げられる。
【0052】
前記酸性基としては、カルボキシ基(-COOH)、スルホン酸基(-SO3H)、リン酸基(-OPO32)、ホスホン酸基(-PO32)、ホスフィン酸基(-PO22)が挙げられる。前記酸性基を有する(メタ)アクリレートとしては、カルボキシ基を有する(メタ)アクリレート、リン酸基を有する(メタ)アクリレート、スルホン酸基を有する(メタ)アクリレートが挙げられる。
【0053】
前記カルボキシ基を有する(メタ)アクリレートとしては、(メタ)アクリル酸カルボキシエチル、(メタ)アクリル酸カルボキシペンチル、2-(メタ)アクリロイルオキシエチルサクシネート、2-(メタ)アクリロイルオキシエチルマレアート、2-(メタ)アクリロイルオキシエチルフタレート等のヒドロキシ基を有する(メタ)アクリレートに無水マレイン酸、無水コハク酸、無水フタル酸等の酸無水物を反応させたモノマー等が挙げられる。前記リン酸基を有する(メタ)アクリレートとしては、(メタ)アクリル酸2-(ホスホノオキシ)エチル等が挙げられる。前記スルホン酸基を有する(メタ)アクリレートとしては、スルホン酸エチル(メタ)アクリレート等が挙げられる。
【0054】
前記α-オレフィンとしては、1-ヘキセン、1-オクテン、1-デセン等が挙げられる。
前記芳香族ビニルモノマーとしては、スチレン、α-メチルスチレン、4-メチルスチレン、2-メチルスチレン、3-メチルスチレン、4-メトキシスチレン、2-ヒドロキシメチルスチレン、1-ビニルナフタレン等が挙げられる。
前記ヘテロ環を含有するビニルモノマーとしては、2-ビニルチオフェン等が挙げられる。
前記ビニルアミドとしては、N-ビニルホルムアミド、N-ビニルアセトアミド等が挙げられる。
前記カルボン酸ビニルとしては、酢酸ビニル、ピバル酸ビニル、安息香酸ビニル等が挙げられる。
ジエン類としては、ブタジエン、イソプレン、4-メチル-1,4-ヘキサジエン、7-メチル-1,6-オクタジエン等が挙げられる。
【0055】
(構造単位(a-2))
前記Aブロックは、構造単位(a-2)として、鎖状アルキル基を有する(メタ)アクリレート、環状アルキル基を有する(メタ)アクリレート、および、芳香族基を有する(メタ)アクリレートよりなる群から選択される1種以上のビニルモノマーに由来する構造単位を有することが好ましい。
【0056】
前記構造単位(a-2)は、式(5)で表される構造単位が好ましい。
【0057】
【化5】
[式(5)において、R51は炭素数が1~20のアルキル基または炭素数が6~20の芳香族炭化水素基を表す。
52は水素原子またはメチル基を表す。]
【0058】
前記R51で示される炭素数が1~20のアルキル基は、鎖状アルキル基、環状構造を有するアルキル基のいずれでもよい。
前記R51で示される鎖状アルキル基の炭素数は、1~10が好ましく、より好ましくは1~5である。
前記R51で示される環状構造を有するアルキル基の炭素数は、4~18が好ましく、より好ましくは6~12、さらに好ましくは6~10である。
【0059】
前記R51で示される炭素数が6~20の芳香族炭化水素基としては、置換基を有していてもよいアリール基、置換基を有していてもよいアラルキル基が挙げられる。
前記R51で示される置換基を有していてもよいアリール基の炭素数は6~12が好ましく、より好ましくは6~8である。なお、前記アリール基が有する置換基としては、炭素数が1~5のアルキル基が挙げられる。
前記R51で示される置換基を有していてもよいアラルキル基の炭素数は6~12が好ましく、より好ましくは6~8である。なお、前記アラルキル基が有する置換基としては、炭素数が1~5のアルキル基が挙げられる。
【0060】
前記Aブロックが構造単位(a-2)を含有する場合、前記Aブロックを構成する構造単位100mol%中の前記構造単位(a-2)の含有率は5mоl%以上が好ましく、より好ましくは30mоl%以上、さらに好ましくは50mоl%以上、特に好ましくは60mоl%以上であり、95mоl%以下が好ましく、より好ましくは90mоl%以下、さらに好ましくは80mоl%以下である。構造単位(a-2)の含有率が5mоl%以上であれば分散媒体への親和性がより高まり、また、アルカリ現像液への溶解性がより増し、着色組成物のアルカリ現像性を一層向上させることができ、95mоl%以下であれば分散媒体への親和性がより高まり、分散性を一層向上させることができる。
【0061】
前記Aブロックが構造単位(a-2)を含有する場合、前記Aブロックを構成する構造単位100mol%中の前記構造単位(a-1)と前記構造単位(a-2)との合計含有率は80mоl%以上が好ましく、より好ましくは90mоl%以上、さらに好ましくは98mоl%以上である。前記合計含有率が80mоl%以上であれば分散媒体への親和性がより高まり、分散性を一層向上させることができる。
【0062】
前記Aブロックは、酸性基を有するビニルモノマー(好ましくは酸性基を有する(メタ)アクリレート、(メタ)アクリル酸)に由来する構造単位を有していてもよい。酸性基を有するビニルモノマーに由来する構造単位を有することでアルカリ現像液への溶解性が増し、着色組成物のアルカリ現像性を向上させることができる。
【0063】
酸性基を有するビニルモノマーに由来する構造単位を含有する場合、その含有率は、Aブロックを構成する構造単位100mol%中において2mol%以上が好ましく、20mol%以下が好ましい。酸性基を有するビニルモノマーに由来する構造単位の含有率が2mol%以上であればアルカリ現像において、アルカリで中和した際の溶解速度が速くなり、20mol%以下であれば親水性が高すぎず、形成される画素が乱雑になることを抑制できる。
【0064】
前記Aブロックを構成する構造単位100mol%中の後述する構造単位(b-1)の含有率は、3mol%以下であり、より好ましくは2mоl%以下、さらに好ましくは1mоl%以下である。Aブロック中の構造単位(b-1)の含有率が3mol%以下であれば着色材への吸着に寄与しない効率的な相溶部位として働く。
【0065】
Aブロックにおいて2種以上の構造単位が含有される場合は、Aブロックに含有される各種構造単位は、Aブロック中においてランダム共重合、ブロック共重合等のいずれの態様で含有されていてもよく、均一性の観点からランダム共重合の態様で含有されていることが好ましい。例えば、Aブロックが、a1ブロックからなる構造単位とa2ブロックとからなる構造単位との共重合体により形成されていてもよい。
【0066】
(Bブロック)
前記Bブロックは、含窒素官能基を有する構造単位(b-1)を含有する。前記構造単位(b-1)は、1種を単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。
前記Bブロックは、着色材表面に存在する官能基との親和性が高く、良好な分散性を付与することができる。
【0067】
前記Bブロックを構成する構造単位100mol%中の前記構造単位(b-1)の含有率は5mоl%以上が好ましく、より好ましくは40mоl%以上、さらに好ましくは60mоl%以上であり、100mоl%以下が好ましく、より好ましくは95mоl%以下、さらに好ましくは90mоl%以下である。前記構造単位(b-1)の含有率が上記範囲内であれば着色材がBブロックにより吸着されやすくなる。
【0068】
前記含窒素官能基としては、アミノ基、含窒素ヘテロ環基、アミド基、シアノ基等が挙げられ、これらの中でもアミノ基または含窒素ヘテロ環基が好ましい。本明細書においてアミノ基とは、一般的なアミノ基(-NH2)に加え、Hが炭化水素基により置換された、-NHRa、-NRab(Ra、Rbはそれぞれ独立に鎖状または環状の炭化水素基を表す。)で表される置換アミノ基等を包含する。前記含窒素ヘテロ環基としては、4-ピリジル基、1-イミダゾール基、2-ピリジル基、9-カルバゾール基等の芳香族ヘテロ環基;1-ピペリジル基、4-モルホリノ基、1-ピロリジル基、ピロリドン基、メチルピロリドン基、エチルピロリドン基、プロピルピロリドン基、ブチルピロリドン基等の非芳香族ヘテロ環基が挙げられる。
【0069】
前記構造単位(b-1)としては、例えば、含窒素官能基を有するビニルモノマーに由来する構造を挙げることができる。前記構造単位(b-1)としては、式(6)で表される構造単位および/または式(7)で表される構造単位が好ましい。
【0070】
【化6】
[式(6)において、R61は水素原子またはメチル基を表す。
61はエステル基、アミド基または単結合を表す。
62は2価の炭化水素基を表す。
63およびR64は、それぞれ独立して、水素原子、置換基を有していてもよい鎖状または環状の炭化水素基を表す。]
【0071】
前記A61は、エステル基(-CO-O-)、アミド基(-CO-NH-)または単結合を示し、エステル基またはアミド基が好ましい。なお、エステル基、アミド基の結合方向は特に限定されない。エステル基の結合態様としてはC-CO-O-R62またはC-O-CO-R62が挙げられ、C-CO-O-R62が好ましい。アミド基の結合態様としてはC-CO-NH-R62またはC-NH-CO-R62が挙げられ、C-CO-NH-R62が好ましい。
【0072】
前記R62で示される2価の炭化水素基としては、炭素数1~10のアルキレン基、炭素数2~10のアルケニレン基、炭素数6~10のアレーンジイル基等が挙げられる。これらの中でも炭素数1~10のアルキレン基が好ましい。アルキレン基は、直鎖状、分岐鎖状のいずれでもよいが、直鎖状が好ましい。前記アルキレン基の炭素数は、より好ましくは1~4である。前記アルキレン基としては、メチレン基、エチレン基、トリメチレン基、テトラメチレン基、ペンタメチレン基、ヘキサメチレン基、ヘプタメチレン基等が挙げられる。
【0073】
63およびR64で表される鎖状の炭化水素基としては、直鎖状アルキル基、分岐鎖状アルキル基等が挙げられる。直鎖状アルキル基の炭素数としては、炭素数1~20が好ましく、炭素数1~10がより好ましく、炭素数1~5がさらに好ましい。直鎖状アルキル基としては、メチル基、エチル基、n-プロピル基、n-ブチル基、n-ヘキシル基、n-オクチル基、n-ノニル基、n-デシル基、n-ラウリル基等が挙げられる。分岐鎖状アルキル基の炭素数としては、炭素数3~20が好ましく、炭素数3~10がより好ましく、炭素数3~5がさらに好ましい。前記分岐鎖状アルキル基としては、イソプロピル基、イソブチル基、sec-ブチル基、tert-ブチル基、2-エチルヘキシル基、ネオペンチル基、イソオクチル基等が挙げられる。
【0074】
63およびR64で表される鎖状の炭化水素基が有する置換基としては、ハロゲン基、アルコキシ基、ベンゾイル基(-COC65)、ヒドロキシ基等が挙げられる。
【0075】
63およびR64で表される環状の炭化水素基としては、環状アルキル基、芳香族基等が挙げられ、環状アルキル基および芳香族基は鎖状部分を有していてもよい。前記環状アルキル基の炭素数としては、炭素数4~18が好ましく、炭素数6~12がより好ましく、炭素数6~10がさらに好ましい。環状アルキル基としては、シクロブチル基、シクロペンチル基、シクロヘキシル基、シクロヘプチル基、シクロオクチル基等が挙げられる。芳香族基の炭素数としては、炭素数6~18が好ましく、炭素数6~12がより好ましく、炭素数6~8がさらに好ましい。前記芳香族基としては、フェニル基、トリル基、キシリル基、メシチル基等が挙げられる。鎖状部分を有する環状アルキル基および鎖状部分を有する芳香族基の鎖状部分の例としては、炭素数1~12のアルキレン基、好ましくは炭素数1~6のアルキレン基、より好ましくは炭素数1~3のアルキレン基が挙げられる。
【0076】
63およびR64で表される環状の炭化水素基が有する置換基としては、ハロゲン基、アルコキシ基、鎖状のアルキル基、ヒドロキシ基等が挙げられる。
【0077】
式(6)で表される構造単位を形成するビニルモノマーの具体例としては、(メタ)アクリル酸2-(ジメチルアミノ)エチル、(メタ)アクリル酸3-(ジメチルアミノ)プロピル、(メタ)アクリル酸4-(ジメチルアミノ)ブチル、(メタ)アクリル酸2-(ジエチルアミノ)エチル、(メタ)アクリル酸3-(ジエチルアミノ)プロピル、(メタ)アクリル酸4-(ジエチルアミノ)ブチル、(メタ)アクリル酸2-(エチルアミノ)エチル、(メタ)アクリル酸3-(エチルアミノ)プロピル、(メタ)アクリル酸4-(エチルアミノ)ブチル、(メタ)アクリル酸2-(プロピルアミノ)エチル、(メタ)アクリル酸3-(プロピルアミノ)プロピル、(メタ)アクリル酸4-(プロピルアミノ)ブチル、(メタ)アクリルアミド等が挙げられる。
【0078】
式(6)で表される構造単位は、アミノ基の一部が塩を形成してもよい。アミノ基の塩としては、アミノ基のハロゲン化物塩(F、Cl、Br、I等)、硫酸塩等の無機塩;有機化合物のスルホン酸塩、硫酸塩、リン酸塩もしくはカルボン酸塩等が挙げられる。なお、本明細書においては、アミノ基の塩としては、第4級アンモニウム基(-NH4 +、-NR4 +等)の塩(例えばハロゲン化物等)も含む。
【0079】
【化7】
[式(7)において、R71、R72、R73およびR74は、同一または異なって、水素原子または置換基を有していてもよい炭素数1~10のアルキル基を示す。
m7は0~4の整数を示す。
n7は1~3の整数を示す。]
【0080】
前記R71~R74におけるアルキル基の炭素数としては、1~6が好ましく、より好ましくは1~4である。前記アルキル基として、さらに好ましくはメチル基またはエチル基であり、特に好ましくはメチル基である。前記R71~R74における置換基としては、特に制限されないが、カルボキシ基、スルホン酸基及びこれらのエステルや塩;アミノ基;ヒドロキシ基等が挙げられる。
【0081】
前記R71としては水素原子またはメチル基であることが好ましく、より好ましくは水素原子である。
前記R72~R74としては水素原子であることが好ましい。
前記m7としては、0~2の整数であることが好ましく、より好ましくは0~1の整数であり、さらに好ましくは0である。
前記n7としては、1または2であることが好ましく、より好ましくは1である。
【0082】
前記式(7)で表される構造単位を形成するビニルモノマーとしては、例えば、N-ビニルピロリドン、N-ビニル-5-メチルピロリドン、N-ビニル-5-エチルピロリドン、N-ビニル-5-プロピルピロリドン、N-ビニル-5-ブチルピロリドン、1-(2-プロペニル)-2-ピロリドン等の5員環ラクタム基を有するビニルモノマー;N-ビニルピペリドン等の6員環ラクタム基を有するビニルモノマー;N-ビニルカプロラクタム等の7員環ラクタム基を有するビニルモノマー等が挙げられる。前記式(7)で表される構造単位を形成するビニルモノマーは、1種又は2種以上を用いることができる。これらの中でも5員環ラクタム基を有するビニルモノマーが好ましく、N-ビニルピロリドンがより好ましい。
【0083】
前記構造単位(b-1)のモル体積は、60cm3/mоl以上が好ましく、より好ましくは80cm3/mоl以上、さらに好ましくは100cm3/mоl以上であり、200cm3/mоl以下が好ましく、より好ましくは180cm3/mоl以下、さらに好ましくは150cm3/mоl以下である。構造単位(b-1)のモル体積が上記範囲内であれば着色材への効率的な吸着を示す。
【0084】
前記Bブロックは、構造単位(b-1)以外の他の構造単位を含有してもよい。Bブロックの他の構造単位を形成し得るビニルモノマーの具体例としては、Aブロックを形成し得るモノマーの具体例として例示したものと同一のものを挙げることができる。前記他の構造単位としては(メタ)アクリル系ビニルモノマーに由来する構造単位が好ましい。
【0085】
前記Bブロックを構成する構造単位100mоl%中のヒドロキシ基および/またはエーテル基を有する構造単位の含有率は、4mol%以下であり、より好ましくは2mоl%以下、さらに好ましくは1mоl%以下である。
【0086】
Bブロックにおいて2種以上の構造単位が含有される場合は、Bブロックに含有される各種構造単位は、Bブロック中においてランダム共重合、ブロック共重合等の何れの態様で含有されていてもよく、均一性の観点からランダム共重合の態様で含有されていることが好ましい。例えば、Bブロックが、b1ブロックからなる構造単位とb2ブロックとからなる構造単位との共重合体により形成されていてもよい。
【0087】
(Cブロック)
前記Cブロックは、ヒドロキシ基を有する構造単位(c-1)を含有する。前記構造単位(c-1)は、1種を単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。前記Cブロックは、分散媒体との親和性が高く、相溶部位として働く。
【0088】
前記Cブロックを構成する構造単位100mol%中の前記構造単位(c-1)の含有率は40mоl%以上が好ましく、より好ましくは50mоl%以上、さらに好ましくは90mоl%以上である。構造単位(c-1)の含有率が40mоl%以上であれば分散媒体と馴染みやすく効果的に相溶部位として働く。
【0089】
前記構造単位(c-1)は、Bブロックが有する構造単位(b-1)に対するモル体積比((c-1)/(b-1))が、0.1以上、好ましくは0.2以上、さらに好ましくは0.4以上であり、1.5以下、好ましくは1.2以下、より好ましくは0.9以下、さらに好ましくは0.7以下である。前記モル体積比((c-1)/(b-1))が上記範囲内であればCブロックがBブロックの吸着を妨げず、効果的に溶剤と馴染み相溶部位として働くことで着色材粒子間の凝集を抑制させることができる。なお、Bブロックが複数種の構造単位(b-1)を含有する場合、モル体積比は、最も含有率が高い構造単位(b-1)のモル体積との比を算出する。
【0090】
前記Cブロックは、モル体積比((c-1)/(b-1))が上記範囲外となる構造単位(c-1)を含有してもよい。なお、Cブロックが含有する構造単位(c-1)100mоl%中のモル体積比((c-1)/(b-1))が上記範囲内である構造単位の含有率が、50mоl%以上が好ましく、より好ましくは90mоl%以上、さらに好ましくは100mоl%である。
【0091】
(構造単位(c-1))
前記構造単位(c-1)は、式(8)で表される構造単位が好ましい。
【0092】
【化8】
[式(8)において、R81は水素原子またはメチル基を表す。
81はエステル基、アミド基または単結合を表す。
82は2価の炭化水素基、-R83-(O-CO-R84m8-基または-R85-(OR86n8-基を表す。
m8は1~10の整数を表す。
83は2価の炭化水素基を表す。
84は2価の炭化水素基を表し、m8が2以上である場合、複数存在するR84はそれぞれ同一であっても異なっていてもよい。
n8は1~30の整数を表す。
85は2価の炭化水素基を表す。
86は2価の炭化水素基を表し、n8が2以上である場合、複数存在するR86はそれぞれ同一であっても異なっていてもよい。]
【0093】
前記A81はエステル基(-CO-O-)、アミド基(-CO-NH-)または単結合を表し、エステル基またはアミド基が好ましく、エステル基がより好ましい。なお、エステル基、アミド基の結合方向は特に限定されない。エステル基の結合態様としてはC-CO-O-R82またはC-O-CO-R82が挙げられ、C-CO-O-R82が好ましい。アミド基の結合態様としてはC-CO-NH-R82またはC-NH-CO-R82が挙げられ、C-CO-NH-R82が好ましい。
【0094】
前記R82で表される2価の炭化水素基としては、炭素数1~20のアルキレン基、炭素数2~20のアルケニレン基、炭素数6~20のアレーンジイル基等が挙げられる。これらの中でも炭素数1~20のアルキレン基が好ましい。アルキレン基は、直鎖状、分岐鎖状のいずれでもよいが、直鎖状が好ましい。前記アルキレン基の炭素数は、より好ましくは1~4である。前記アルキレン基としては、メチレン基、エチレン基、トリメチレン基、テトラメチレン基、ペンタメチレン基、ヘキサメチレン基、ヘプタメチレン基等が挙げられる。
【0095】
前記R82で表される-R83-(O-CO-R84m8-基または-R85-(OR86n8-基において、R83、R84、R85またはR86で表される2価の炭化水素基としては、炭素数1~20のアルキレン基、炭素数2~20のアルケニレン基、炭素数6~20のアレーンジイル基等が挙げられる。これらの中でもR83、R84、R85またはR86で表される2価の炭化水素基としては、炭素数1~20のアルキレン基が好ましい。
【0096】
前記Cブロックは、構造単位(c-1)以外の他の構造単位を含有してもよい。Cブロックの他の構造単位を形成し得るビニルモノマーの具体例としては、Aブロックを形成し得るモノマー、Bブロックを形成し得るモノマーの具体例として例示したものと同一のものを挙げることができる。前記他の構造単位としては(メタ)アクリル系ビニルモノマーに由来する構造単位が好ましい。
【0097】
前記Cブロックを構成する構造単位100mol%中の後述する構造単位(b-1)の含有率は、3mol%以下であり、より好ましくは2mоl%以下、さらに好ましくは1mоl%以下である。Cブロック中の構造単位(b-1)の含有率が3mol%以下であれば着色材への吸着に寄与しない効率的な相溶部位として働く。
【0098】
Cブロックにおいて2種以上の構造単位が含有される場合は、Cブロックに含有される各種構造単位は、Cブロック中においてランダム共重合、ブロック共重合等のいずれの態様で含有されていてもよく、均一性の観点からランダム共重合の態様で含有されていることが好ましい。例えば、Cブロックが、c1ブロックからなる構造単位とc2ブロックとからなる構造単位との共重合体により形成されていてもよい。
【0099】
(ブロック共重合体)
前記ブロック共重合体の構造は、線状ブロック共重合体であり、各ブロックの配列がAブロック-Bブロック-Cブロックの順である。
AブロックおよびBブロックを有することで、Aブロックの構造単位(a-1)、Bブロックの構造単位(b-1)が局在化し、効率的に着色材と、分散媒体、バインダー樹脂と好適に作用することができると考えられる。さらにCブロックを有することで、Bブロックの作用を妨げずに相溶部位の効果が高まり、着色組成物の粘度安定性が向上する。
【0100】
前記ブロック共重合体は、本発明の効果を損なわない程度であれば、Aブロック、BブロックおよびCブロック以外の他のブロックを有していてもよい。また、AブロックとBブロックとの間に他のブロックを有していてもよいし、BブロックとCブロックとの間に他のブロックを有していてもよい。なお、前記ブロック共重合体は、Aブロック-Bブロック-Cブロックの順で配列されたトリブロック共重合体が好ましい。
【0101】
ブロック共重合体を構成する全構造単位において、前記Aブロックを構成する構造単位の総モル数の含有率は、15mol%以上が好ましく、より好ましくは20mol%以上、さらに好ましくは25mol%以上であり、80mol%以下が好ましく、より好ましくは70mol%以下、さらに好ましくは60mol%以下である。前記Aブロックを構成する構造単位の総モル数の含有率が、15mol%以上であれば分散媒体へより馴染みやすくなり、80mol%以下であれば相溶性部位として働きやすくなる。
【0102】
ブロック共重合体を構成する全構造単位において、前記Bブロックを構成する構造単位の総モル数の含有率は、5mol%以上が好ましく、より好ましくは10mol%以上、さらに好ましくは15mol%以上であり、70mol%以下が好ましく、より好ましくは60mol%以下、さらに好ましくは50mol%以下である。前記Bブロックを構成する構造単位の総モル数の含有率が、5mol%以上であれば着色材へ多点吸着することができ、70mol%以下であれば着色材粒子間の橋掛け吸着を防ぐことができる。
【0103】
ブロック共重合体を構成する全構造単位において、前記Cブロックを構成する構造単位の総モル数の含有率は、15mol%以上が好ましく、より好ましくは20mol%以上、さらに好ましくは25mol%以上であり、80mol%以下が好ましく、より好ましくは70mol%以下、さらに好ましくは60mol%以下である。前記Cブロックを構成する構造単位の総モル数の含有率が、15mol%以上であれば分散媒体へより馴染みやすくなり、80mol%以下であれば相溶部位として働きやすくなる。
【0104】
ブロック共重合体において、前記Aブロックを構成する構造単位の総モル量と、前記Bブロックを構成する構造単位の総モル量とのモル比(Aブロック/Bブロック)は、10/90以上が好ましく、より好ましくは20/80以上、さらに好ましくは40/60以上であり、95/5以下が好ましく、より好ましくは90/10以下、さらに好ましくは80/20以下である。前記モル比(Aブロック/Bブロック)が10/90以上であればAブロックが相溶部位として働きやすくなり、着色材粒子間の凝集をより抑制することができ、95/5以下であればBブロックが着色材へ吸着しやすくなり、分散性をより向上することができる。
【0105】
ブロック共重合体において、前記Cブロックを構成する構造単位の総モル量と、前記Bブロックを構成する構造単位の総モル量とのモル比(Cブロック/Bブロック)は、10/90以上が好ましく、より好ましくは20/80以上、さらに好ましくは40/60以上であり、95/5以下が好ましく、より好ましくは90/10以下、さらに好ましくは80/20以下である。前記モル比(Cブロック/Bブロック)が10/90以上であればCブロックが相溶部位として働きやすくなり、着色材粒子間の凝集をより抑制することができ、20/80以下であればBブロックが着色材へ吸着し分散性を向上することができる。
【0106】
前記ブロック共重合体の重量平均分子量(Mw)は5,000以上が好ましく、より好ましくは8,000以上、さらに好ましくは10,000以上であり、40,000以下が好ましく、より好ましくは30,000以下、さらに好ましくは20,000以下である。重量平均分子量が上記範囲内にあれば、分散剤として使用した際の分散性能がより良好となる。前記ブロック共重合体の分子量は、ゲル浸透クロマトグラフィー(以下「GPC」という)法により測定される。
【0107】
前記ブロック共重合体の分子量分布(Mw/Mn)は、3.0未満が好ましく、より好ましくは2.0以下、さらに好ましくは1.5以下である。分子量分布(Mw/Mn)が3.0未満であれば、分散剤として使用した際の分散性能がより良好となる。なお、分子量分布とは、(ブロック共重合体の重量平均分子量(Mw))/(ブロック共重合体の数平均分子量(Mn))によって求められる。分子量分布の値が小さいほど分子量分布の幅が狭い、分子量のそろった共重合体となり、その値が1.0のとき最も分子量分布の幅が狭い。即ち、分子量分布の下限値は1.0である。
【0108】
前記ブロック共重合体のアミン価は、着色材への吸着性および着色材分散性の観点から、10mgKOH/g以上が好ましく、より好ましくは25mgKOH/g以上、さらに好ましくは55mgKOH/g以上であり、150mgKOH/g以下が好ましく、より好ましくは120mgKOH/g以下、さらに好ましくは100mgKOH/g以下である。
【0109】
前記ブロック共重合体が酸性基を有する構造単位を含有する場合、ブロック共重合体の酸価は、5mgKOH/g以上が好ましく、50mgKOH/g以下が好ましい。酸価をこの範囲にすることで、ブロック共重合体の着色材との親和性を損なうことなく、バインダー樹脂(アルカリ可溶性樹脂)と好適に作用することができる。
【0110】
(ブロック共重合体の製造方法)
前記ブロック共重合体の製造方法としては、ビニルモノマーの重合反応によって、Aブロックを先に製造し、AブロックにBブロックのモノマーを重合し、BブロックにCブロックのモノマーを重合する方法;Cブロックを先に製造し、CブロックにBブロックのモノマーを重合し、BブロックにAブロックのモノマーを重合する方法等が挙げられる。また、構造単位(b-1)が式(6)で表される構造単位である場合、得られた重合物中の構造単位(b-1)の一部の3級アミン構造を4級化する工程を有していてもよい。
【0111】
重合法は特に限定されないが、リビング重合が好ましい。すなわち、前記ブロック共重合体としては、リビング重合により重合されたものが好ましい。
リビング重合は、連鎖重合における開始反応、成長反応、停止反応、連鎖移動反応の4つの素反応のなかで、停止反応および連鎖移動反応のような副反応が実質的に伴わず、反応点(重合成長末端)が失活することなくビニルモノマーが反応しポリマー鎖が成長することから、分子量分布が狭く、均一な組成のポリマーの製造が容易である。リビング重合には、リビングラジカル重合、リビングアニオン重合、リビングカチオン重合等がある。これらの中でも、重合の簡便性の観点から、リビングラジカル重合であることが好ましい。また、リビングラジカル重合は、従来のラジカル重合の簡便性と汎用性を保ちながら、停止反応や、連鎖移動反応が起こりにくく、成長末端が失活することなく成長するため、分子量分布の精密制御、均一な組成のポリマーの製造が容易である点で好ましい。
【0112】
リビングラジカル重合には、重合成長末端を安定化させる手法の違いにより、ニトロキサイドラジカルを生じ得る化合物を用いる方法(ニトロキサイド法;NMP法);銅、ルテニウム等の金属錯体を用いて、ハロゲン化化合物を重合開始化合物として、その重合開始化合物からリビング的に重合させる方法(ATRP法);ジチオカルボン酸エステルやザンテート化合物を用いる方法(RAFT法);有機テルル化合物を用いる方法(TERP法);有機ヨウ素化合物を用いる方法(ITP法);ヨウ素化合物を重合開始化合物とし、リン化合物、窒素化合物、酸素化合物、又は炭化水素などの有機化合物を触媒として用いる方法(可逆的移動触媒重合;RTCP法、可逆的触媒媒介重合;RCMP法)等の方法がある。これらの方法の中でも、使用できるモノマーの多様性、高分子領域での分子量制御、均一な組成、または着色の観点から、TERP法を用いることが好ましい。
【0113】
TERP法とは、有機テルル化合物を連鎖移動剤として用い、ラジカル重合性化合物(ビニルモノマー)を重合させる方法であり、例えば、国際公開第2004/14848号、国際公開第2004/14962号、国際公開第2004/072126号、国際公開第2004/096870号および国際公開第2020/116144号に記載された方法である。
【0114】
TERP法の具体的な重合法としては、下記(a)~(d)が挙げられる。
(a)ビニルモノマーを、式(T1)で表される有機テルル化合物を用いて重合する方法。
(b)ビニルモノマーを、式(T1)で表される有機テルル化合物とアゾ系重合開始剤との混合物を用いて重合する方法。
(c)ビニルモノマーを、式(T1)で表される有機テルル化合物と式(T2)で表される有機ジテルリド化合物との混合物を用いて重合する方法。
(d)ビニルモノマーを、式(T1)で表される有機テルル化合物とアゾ系重合開始剤と式(T2)で表される有機ジテルリド化合物との混合物を用いて重合する方法。
【0115】
【化9】
[式(T1)において、Raは、炭素数1~8のアルキル基、アリール基または芳香族ヘテロ環基を示す。RbおよびRcは、それぞれ独立に、水素原子または炭素数1~8のアルキル基を示す。Rdは、炭素数1~8のアルキル基、アリール基、置換アリール基、芳香族ヘテロ環基、アルコキシ基、アシル基、アミド基、オキシカルボニル基、シアノ基、アリル基またはプロパルギル基を示す。
式(T2)において、Raは、炭素数1~8のアルキル基、アリール基または芳香族ヘテロ環基を示す。]
【0116】
式(T1)で表される有機テルル化合物は、具体的にはエチル=2-メチル-2-n-ブチルテラニル-プロピオネート、エチル=2-n-ブチルテラニル-プロピオネート、(2-ヒドロキシエチル)=2-メチル-メチルテラニル-プロピオネート等、国際公開第2004/14848号、国際公開第2004/14962号、国際公開第2004/072126号、国際公開第2004/096870号および国際公開第2020/116144号に記載された有機テルル化合物が挙げられる。式(T2)で表される有機ジテルリド化合物の具体例としては、ジメチルジテルリド、ジブチルジテルリド等が挙げられる。アゾ系重合開始剤は、通常のラジカル重合で使用するアゾ系重合開始剤であれば特に制限なく使用することができ、例えば、2,2’-アゾビス(イソブチロニトリル)(AIBN)、2,2’-アゾビス(2,4-ジメチルバレロニトリル)(ADVN)、1,1’-アゾビス(1-シクロヘキサンカルボニトリル)(ACHN)、ジメチル-2,2’-アゾビスイソブチレート(MAIB)、4,4’-アゾビス(4-シアノバレリアン酸)(ACVA)、2,2’-アゾビス(4-メトキシ-2,4-ジメチルバレロニトリル)(V-70)、2,2’-アゾビス(N-ブチル-2-メチルプロピオンアミド)(VAm-110)等が挙げられる。
【0117】
重合工程は、不活性ガスで置換した容器で、ビニルモノマーと式(T1)の有機テルル化合物と、ビニルモノマーの種類に応じて反応促進、分子量および分子量分布の制御等の目的で、さらにアゾ系重合開始剤および/または式(T2)の有機ジテルリド化合物を混合する。このとき、不活性ガスとしては、窒素、アルゴン、ヘリウム等を挙げることができる。好ましくは、アルゴン、窒素が良い。前記(a)、(b)、(c)および(d)におけるビニルモノマーの使用量は、目的とする共重合体の物性により適宜調節すればよい。
【0118】
重合反応は、無溶媒でも行うことができるが、ラジカル重合で一般に使用される非プロトン性溶媒またはプロトン性溶媒を使用し、前記混合物を撹拌して行なってもよい。使用できる非プロトン性溶媒は、例えば、アセトニトリル、メチルエチルケトン、アニソール、ベンゼン、トルエン、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート、酢酸エチル、テトラヒドロフラン(THF)、N,N-ジメチルホルムアミド(DMF)、ジメチルスルホキシド(DMSO)、N-メチル-2-ピロリドン(NMP)、アセトン、ジオキサン、クロロホルム、四塩化炭素等が挙げられる。また、プロトン性溶媒としては、例えば、水、メタノール、エタノール、イソプロパノール、n-ブタノール、エチルセロソルブ、ブチルセロソルブ、1-メトキシ-2-プロパノール、ヘキサフルオロイソプロパノール、ジアセトンアルコール等が挙げられる。溶媒は単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。溶媒の使用量としては、適宜調節すればよく、例えば、ビニルモノマー1gに対して、0.01ml~50mlが好ましい。重合反応では、溶媒に加え、さらに界面活性剤および/または分散剤を使用することもできる。反応温度、反応時間は、得られる共重合体の分子量或いは分子量分布により適宜調節すればよいが、通常、0℃~150℃で、1分~100時間撹拌する。このとき、圧力は、通常、常圧で行われるが、加圧または減圧しても構わない。また、重合反応は、光照射して行ってもよい。重合反応の終了後、得られた反応混合物から、通常の分離精製手段により、使用溶媒、残存ビニルモノマーの除去等を行い、目的とする共重合体を分離することができる。
【0119】
重合反応により得られる共重合体の成長末端は、テルル化合物由来の-TeRa(式中、Raは上記と同じである)の形態であり、重合反応終了後の空気中の操作により失活していくが、テルル原子が残存する場合がある。テルル原子が末端に残存した共重合体は着色したり、熱安定性が劣ったりするため、テルル原子を除去することが好ましい。テルル原子を除去する方法としては、ラジカル還元方法;活性炭等で吸着する方法;イオン交換樹脂等で金属を吸着する方法等が挙げられ、また、これらの方法を組み合わせて用いることもできる。なお、重合反応により得られる共重合体の他方端(成長末端と反対側の末端)は、テルル化合物由来の-CRbcd(式中、Rb、RcおよびRdは、式(T1)中のRb、RcおよびRdと同じである。)の形態である。よって、TERP法により得られる共重合体は、末端に硫黄原子を含有する置換基を有さない。
【0120】
構造単位(b-1)の3級アミン基を4級化する場合、4級化剤としては、塩化メチル、塩化エチル、臭化メチル、ヨウ化メチル等のハロゲン化アルキル;塩化ベンジル、臭化ベンジル、ヨウ化ベンジル等のハロゲン化アラルキル;硫酸ジフェニル等の硫酸ジアリール;硫酸ジメチル、硫酸ジエチル、硫酸ジ-n-プロピル等の硫酸ジアルキル;p-トルエンスルホン酸メチル、p-トルエンスルホン酸エチル等の芳香族スルホン酸アルキル等が挙げられる。これらの中でも、好ましくは塩化ベンジル、臭化ベンジル、ヨウ化ベンジル等のハロゲン化アラルキル、硫酸ジメチル、硫酸ジエチル、硫酸ジ-n-プロピル等の硫酸ジアルキル、p-トルエンスルホン酸メチル、p-トルエンスルホン酸エチル等の芳香族スルホン酸アルキルであり、より好ましくは塩化ベンジル、硫酸ジメチル、p-トルエンスルホン酸メチルである。4級化後の構造には、4級化剤に由来するアルキル基、アラルキル基が導入される。
【0121】
重合物中の塩基性基を有する構造単位の一部の3級アミン構造を4級化する方法としては、重合物と4級化剤とを接触させる方法が挙げられる。具体的には、塩基性基を有する構造単位を形成し得るビニルモノマーを含有するモノマー組成物を重合した後、この反応液に4級化剤を添加し、撹拌する方法が挙げられる。4級化剤を添加する反応液の温度は55℃~65℃が好ましく、撹拌時間は5時間~20時間が好ましい。
【0122】
<分散剤>
本発明の分散剤は、前記ブロック共重合体を含有する。前記分散剤は、前記ブロック共重合体を主成分(50質量%以上)として含有することが好ましい。前記ブロック共重合体は、その構造中(Bブロック)の窒素含有官能基が着色材に吸着することで、着色材分散性を高める作用を発揮する。すなわち、本発明の分散剤は、この作用によって着色材の良好に分散させる成分であるので、分散させる着色材の種類については特に限定されない。
本発明の分散剤は、着色材の分散性能が高く、カラーフィルタ用の着色組成物の分散剤として好適に使用できる。
また、本発明の分散剤は、着色材の分散性能が高いことから、インクジェット用インク、印刷用インク、筆記用具用インク、塗料等にも使用できる。なお、ブロック共重合体の組成を適宜変更することで、有機溶媒を用いた着色組成物だけでなく、水性溶媒を用いた着色組成物にも使用できる。
【0123】
前記分散剤中の前記ブロック共重合体の含有率は、好ましくは50質量%以上、より好ましくは70質量%以上、さらに好ましくは90質量%以上である。前記分散剤は、前記ブロック共重合体のみから構成されていてもよい。
【0124】
<着色組成物>
本発明の着色組成物は、前記分散剤、着色材、および、分散媒体を含有する。前記着色組成物は、カラーフィルタの着色層の形成に好適に使用できる。
【0125】
(着色材)
前記着色材の種類および粒子径は、その用途に応じて適宜選択すればよく、特に限定されない。前記着色組成物は、着色材として顔料を含有することが好ましい。顔料としては、有機顔料および無機顔料のいずれでもよいが、有機化合物を主成分とする有機顔料が特に好ましい。顔料としては、例えば、赤色顔料、黄色顔料、橙色顔料、青色顔料、緑色顔料、紫色顔料等の各色の顔料が挙げられる。顔料の構造は、モノアゾ系顔料、ジアゾ系顔料、縮合ジアゾ系顔料等のアゾ系顔料、ジケトピロロピロール系顔料、フタロシアニン系顔料、イソインドリノン系顔料、イソインドリン系顔料、キナクリドン系顔料、インディゴ系顔料、チオインディゴ系顔料、キノフタロン系顔料、ジオキサジン系顔料、アントラキノン系顔料、ペリレン系顔料、ペリノン系顔料等の多環系顔料等が挙げられる。着色組成物に含まれる顔料は、1種類のみであってもよいし、複数種類であってもよい。
【0126】
顔料の具体例としては、C.I.Pigment Red 7、9、14、41、48:1、48:2、48:3、48:4、81:1、81:2、81:3、122、123、146、149、168、177、178、179、187、200、202、208、210、215、224、254、255、264、291等の赤色顔料;C.I.Pigment Yellow 1、3、5、6、14、55、60、61、62、63、65、73、74、77、81、93、97、98、104、108、110、138、139、147、150、151、154、155、166、167、168、170、180、185、188、193、194、213等の黄色顔料;C.I.Pigment Orange 36、38、43等の橙色顔料;C.I.Pigment Blue 15、15:2、15:3、15:4、15:6、16、22、60等の青色顔料;C.I.Pigment Green 7、36、58、59、62、63、アルミニウムフタロシアニン、ポリハロゲン化アルミニウムフタロシアニン、アルミニウムフタロシアニンハイドロオキサイド、ジフェノキシホスフィニルオキシアルミニウムフタロシアニン、ジフェニルホスフィニルオキシアルミニウムフタロシアニン、ポリハロゲン化ジフェノキシホスフィニルオキシアルミニウムフタロシアニン、ポリハロゲン化ジフェニルホスフィニルオキシアルミニウムフタロシアニン等の緑色顔料;C.I.Pigment Violet 23、32、50等の紫色顔料等が挙げられる。顔料は、これらの中でも、C.I.Pigment Red 177、C.I.Pigment Red 254、C.I.Pigment Red 255、C.I.Pigment Red 264、C.I.Pigment Red 291、C.I.Pigment Blue 15、C.I.Pigment Blue 15:2、C.I.Pigment Blue 15:3、C.I.Pigment Blue 15:4、C.I.Pigment Blue 15:6、C.I.Pigment Blue 16、C.I.Pigment Green 7、C.I.Pigment Green 36、C.I.Pigment Green 58、C.I.Pigment Green 59、C.I.Pigment Green 62、Pigment Green 63等が好ましい。
【0127】
また、前記着色材は、分散助剤として色素誘導体(シナジスト)を含有していてもよい。これにより着色材の分散性が向上する。色素誘導体は、色素骨格に酸性基、塩基性基又は中性基が導入されたものであり、好ましくは酸性基又は中性基が導入されたものである。色素誘導体は、例えば、スルホン酸基、カルボキシ基、リン酸基等の酸性基を有する化合物及び/又はこれらのアミン塩;スルホン酸アミド基や末端に3級アミノ基等の塩基性置換基を有する化合物;フェニル基やフタイミドアルキル基等の中性置換基を有する化合物等が挙げられる。色素骨格としては、着色組成物を構成している着色材と同一または類似の骨格、該着色材の原料となる化合物と同一または類似の骨格が好ましい。色素骨格の具体例としては、アゾ系色素骨格、フタロシアニン系色素骨格、アントラキノン系色素骨格、トリアジン系色素骨格、アクリジン系色素骨格、ペリレン系色素骨格等を挙げることができる。
色素誘導体の使用量は特に限定はないが、例えば、着色材100質量部に対して4質量部~17質量部であることが好ましい。
【0128】
着色組成物における着色材の含有量の上限値は、輝度の観点から、着色組成物の固形分全量中において、通常80質量%であり、70質量%が好ましく、60質量%がより好ましい。また、着色組成物における着色材の含有量の下限値は、着色組成物の固形分全量中において、通常10質量%であり、20質量%が好ましく、30質量%がより好ましい。ここで固形分とは、後述する分散媒体以外の成分である。
着色組成物における着色材に対する分散剤の含有量は、着色材100質量部に対して5質量部~200質量部が好ましく、10質量部~100質量部がより好ましく、10質量部~80質量部がさらに好ましい。分散剤の含有量が前記範囲であれば着色組成物の粘度が良好となる。
【0129】
(分散媒体)
本発明で使用する分散媒体としては、着色組成物を構成する他の成分を分散または溶解し、かつこれらの成分と反応せず、適度に揮発性を有するものである限り、適宜に選択して使用できる。例えば、従来公知の有機溶媒を使用することができ、例えば、従来公知の有機溶媒を使用することができ、例えば、エチレングリコールモノメチルエーテル、エチレングリコールモノエチルエーテル、エチレングリコールモノプロピルエーテル、エチレングリコールモノブチルエーテル、プロピレングリコールモノメチルエーテル、プロピレングリコールモノエチルエーテル、プロピレングリコールモノ-n-ブチルエーテル、プロピレングリコール-t-ブチルエーテル、ジエチレングリコールモノメチルエーテル、ジエチレングリコールモノエチルエーテル、ジエチレングリコールモノ-n-ブチルエーテル、メトキシメチルペンタノール、ジプロピレングリコールモノエチルエーテル、ジプロピレングリコールモノメチルエーテル、3-メチル-3-メトキシブタノール、トリエチレングリコールモノメチルエーテル、トリエチレングリコールモノエチルエーテル、トリプロピレングリコールメチルエーテル等のグリコールモノアルキルエーテル類;エチレングリコールジメチルエーテル、エチレングリコールジエチルエーテル、ジエチレングリコールジメチルエーテル、ジエチレングリコールジエチルエーテル、ジエチレングリコールジプロピルエーテル、ジエチレングリコールジブチルエーテル、ジプロピレングリコールジメチルエーテル等のグリコールジアルキルエーテル類;エチレングリコールモノメチルエーテルアセテート、エチレングリコールモノエチルエーテルアセテート、エチレングリコールモノ-n-ブチルエーテルアセテート、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート、プロピレングリコールモノエチルエーテルアセテート、プロピレングリコールモノプロピルエーテルアセテート、プロピレングリコールモノブチルエーテルアセテート、メトキシブチルアセテート、3-メトキシブチルアセテート、メトキシペンチルアセテート、ジエチレングリコールモノメチルエーテルアセテート、ジエチレングリコールモノエチルエーテルアセテート、ジエチレングリコールモノ-n-ブチルエーテルアセテート、ジプロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート、トリエチレングリコールモノメチルエーテルアセテート、トリエチレングリコールモノエチルエーテルアセテート、3-メチル-3-メトキシブチルアセテート等のグリコールアルキルエーテルアセテート類;エチレングリコールジアセテート、1,3-ブチレングリコールジアセテート、1,6-ヘキサノールジアセテート等のグリコールジアセテート類;シクロヘキサノールアセテート等のアルキルアセテート類;アミルエーテル、プロピルエーテル、ジエチルエーテル、ジプロピルエーテル、ジイソプロピルエーテル、ブチルエーテル、ジアミルエーテル、エチルイソブチルエーテル、ジヘキシルエーテル等のエーテル類;アセトン、メチルエチルケトン、メチルアミルケトン、メチルイソプロピルケトン、メチルイソアミルケトン、ジイソプロピルケトン、ジイソブチルケトン、メチルイソブチルケトン、シクロヘキサノン、エチルアミルケトン、メチルブチルケトン、メチルヘキシルケトン、メチルノニルケトン、メトキシメチルペンタノン等のケトン類;エタノール、プロパノール、ブタノール、ヘキサノール、シクロヘキサノール、エチレングリコール、プロピレングリコール、ブタンジオール、ジエチレングリコール、ジプロピレングリコール、トリエチレングリコール、メトキシプロパノール、メトキシメチルペンタノール、グリセリン、ベンジルアルコール等の1価または多価アルコール類;n-ペンタン、n-オクタン、ジイソブチレン、n-ヘキサン、ヘキセン、イソプレン、ジペンテン、ドデカン等の脂肪族炭化水素類;シクロヘキサン、メチルシクロヘキサン、メチルシクロヘキセン、ビシクロヘキシル等の脂環式炭化水素類;ベンゼン、トルエン、キシレン、クメン等の芳香族炭化水素類;アミルホルメート、エチルホルメート、酢酸エチル、酢酸ブチル、酢酸プロピル、酢酸アミル、メチルイソブチレート、エチレングリコールアセテート、エチルプロピオネート、プロピルプロピオネート、酪酸ブチル、酪酸イソブチル、イソ酪酸メチル、エチルカプリレート、ブチルステアレート、エチルベンゾエート、3-エトキシプロピオン酸メチル、3-エトキシプロピオン酸エチル、3-メトキシプロピオン酸メチル、3-メトキシプロピオン酸エチル、3-メトキシプロピオン酸プロピル、3-メトキシプロピオン酸ブチル、γ-ブチロラクトン等の鎖状または環状エステル類;3-メトキシプロピオン酸、3-エトキシプロピオン酸等のアルコキシカルボン酸類;ブチルクロライド、アミルクロライド等のハロゲン化炭化水素類;メトキシメチルペンタノン等のエーテルケトン類;アセトニトリル、ベンゾニトリル等のニトリル類等が挙げられる。有機溶媒は、着色材等の分散性、分散剤の溶解性、着色組成物の塗布性等の観点から、グリコールアルキルエーテルアセテート類、グリコールモノアルキルエーテル類、1価または多価アルコール類であることが好ましい。着色組成物に含まれる分散媒体は、1種類のみであってもよいし、複数種類であってもよい。
【0130】
フォトリソグラフィ法にてカラーフィルタの画素を形成する場合、分散媒体の沸点が100℃~200℃(圧力1013.25hPa条件下。以下、沸点に関しては全て同様。)が好ましく、120℃~170℃がより好ましい。上記分散媒体の中でも、塗布性、表面張力などのバランスがよく、着色組成物中の構成成分の溶解度が比較的高い点から、グリコールアルキルエーテルアセテート類が好ましい。グリコールアルキルエーテルアセテート類は単独で使用しても良いし、他の分散媒体を併用しても良い。また、沸点が150℃以上の分散媒体を併用することも好ましい。沸点の高い分散媒体を併用することにより、着色組成物が急激に乾燥することによる着色組成物の相互関係の破壊を抑制できる。なお、沸点が150℃以上の分散媒体が、グリコールアルキルエーテルアセテート類であってもよい。
【0131】
着色組成物中の分散媒体の含有量は、特に限定されず、適宜調整することができる。着色組成物中の分散媒体の含有量の上限値は、通常99質量%である。また、着色組成物中の分散媒体の含有量の下限値は、着色組成物の塗布に適した粘度を考慮して、通常70質量%であり、80質量%であることが好ましい。上記分散媒体は、着色組成物から形成される析出物を溶解、除去するための溶媒として使用できる。
【0132】
(バインダー樹脂)
前記着色組成物は、バインダー樹脂(ただし、前記ブロック共重合体は除く。)を含有してもよい。前記バインダー樹脂としては、アルカリ可溶性樹脂、重合性化合物(重合性樹脂、重合性不飽和結合を分子内に1個有するモノマー、重合性不飽和結合を分子内に2個以上有するモノマー、オリゴマー等)、熱硬化性樹脂、熱可塑性樹脂等が挙げられる。これらは単独又は2種以上を混合して用いることができる。これらの中でも、好ましくはアルカリ可溶性樹脂および/または重合性化合物である。
【0133】
着色組成物におけるバインダー樹脂の含有量は、使用するバインダー樹脂の合計量で、着色組成物の固形分全量中、1質量%以上が好ましく、より好ましくは2質量%以上、さらに好ましくは5質量%以上であり、70質量%以下が好ましく、より好ましくは60質量%以下、さらに好ましくは50質量%以下である。
【0134】
(アルカリ可溶性樹脂)
前記アルカリ可溶性樹脂としては、着色材に対してバインダーとして作用し、かつカラーフィルタを製造する際に、その現像処理工程において用いられる現像液、好ましくはアルカリ現像液に対して可溶性を有するものであれば、特に限定されるものではないが、カルボキシ基、フェノール性ヒドロキシ基等の酸性基を有する樹脂であることが好ましい。
【0135】
前記アルカリ可溶性樹脂としては、例えば、エポキシ基含有(メタ)アクリレートと、他のラジカル重合性単量体との共重合体に対し、該共重合体が有するエポキシ基の少なくとも一部に不飽和一塩基酸を付加させてなる樹脂、または該付加反応により生じたヒドロキシ基の少なくとも一部に多塩基酸無水物を付加させて得られる樹脂;主鎖にカルボキシ基を含有する直鎖状樹脂;カルボキシ基含有樹脂のカルボキシ基部分に、エポキシ基含有不飽和化合物を付加させた樹脂;(メタ)アクリル系樹脂;カルボキシ基を有するエポキシ(メタ)アクリレート樹脂等を挙げることができ、これらを単独または2種以上を混合して使用することができる。
【0136】
前記アルカリ可溶性樹脂としては、カルボキシ基含有ビニルモノマーに由来する構造単位と(メタ)アクリレートに由来する構造単位とスチレンとを含有するランダム共重合体、エポキシ樹脂に(メタ)アクリル基が導入された合成樹脂、カルボキシ基含有ビニルモノマーに由来する構造単位と(メタ)アクリレートに由来する構造単位とを含有するランダム共重合体が好ましい。前記カルボキシ基含有ビニルモノマーとしては、(メタ)アクリル酸が好ましい。前記(メタ)アクリレートとしては、(メタ)アクリル酸メチル、(メタ)アクリル酸エチル、(メタ)アクリル酸ブチル、(メタ)アクリル酸イソブチル、(メタ)アクリル酸ベンジル、(メタ)アクリル酸フェノキシエチル、(メタ)アクリル酸シクロヘキシル、(メタ)アクリル酸イソボルニル、(メタ)アクリル酸アダマンチル、(メタ)アクリル酸トリシクロデカニル、(メタ)アクリル酸2-ヒドロキシエチル、(メタ)アクリル酸4-ヒドロキシブチル、(メタ)アクリル酸ヒドロキシプロピル、グリセロールモノ(メタ)アクリレート、(メタ)アクリル酸グリシジル、(メタ)アクリル酸(3,4-エポキシシクロヘキシル)メチル、(メタ)アクリル酸テトラヒドロフルフリル等が挙げられる。
【0137】
前記アルカリ可溶性樹脂は、カルボキシ基含有ビニルモノマーに由来する構造単位と(メタ)アクリレートに由来する構造単位との合計含有率が、50質量%以上が好ましく、より好ましくは60質量%以上、さらに好ましくは70質量%以上である。また、前記アルカリ可溶性樹脂は、カルボキシ基含有ビニルモノマーに由来する構造の含有率が、5質量%以上が好ましく、より好ましくは10質量%以上、さらに好ましくは20質量%以上であり、90質量%以下が好ましく、より好ましくは70質量%以下である。
【0138】
前記アルカリ可溶性樹脂の中でも、カルボキシ基含有ビニルモノマーと(メタ)アクリレートとのランダム共重合体であることが好ましい。このような共重合体の具体例としては、(メタ)アクリル酸と(メタ)アクリル酸ブチルとのランダム共重合体、(メタ)アクリル酸と(メタ)アクリル酸ベンジルとのランダム共重合体、(メタ)アクリル酸と(メタ)アクリル酸ブチルと(メタ)アクリル酸ベンジルとのランダム共重合体等が挙げられる。アルカリ可溶性樹脂と着色材との親和性の観点からは、アルカリ可溶性樹脂は、(メタ)アクリル酸と(メタ)アクリル酸ベンジルとのランダム共重合体であることが特に好ましい。カルボキシ基含有ビニルモノマーと(メタ)アクリレートとの共重合体において、(メタ)アクリル酸の含有量は、全モノマー成分中、通常5質量%~90質量%であり、10質量%~70質量%であることが好ましく、20質量%~70質量%であることがより好ましい。これらランダム共重合体の重合法は特に限定されないが、アルカリ可溶解性の観点からリビング重合が好ましい。
【0139】
前記アルカリ可溶性樹脂は、側鎖にラジカル重合可能な炭素-炭素二重結合を有するものであってもよい。側鎖に二重結合を有することで、本発明に係る着色組成物の光硬化性が高まるため、解像度、密着性を更に向上することができる。側鎖にラジカル重合可能な炭素-炭素二重結合を導入する方法としては、例えば、(メタ)アクリル酸グリシジル、(メタ)アクリル酸(3,4-エポキシシクロヘキシル)メチル、o-(またはm-、またはp-)ビニルベンジルグリシジルエーテル等の化合物を、前記バインダー樹脂の酸性基に反応させる方法が挙げられる。
【0140】
アルカリ可溶性樹脂のMwは、3,000~100,000が好ましく、5,000~50,000がより好ましく、5,000~20,000がさらに好ましい。アルカリ可溶性樹脂のMwが3,000以上であると、着色組成物から形成された着色層の耐熱性、膜強度等が良好となり、Mwが100,000以下であると、この塗布膜のアルカリ現像性がより一層良好となる。
【0141】
アルカリ可溶性樹脂の酸価は、20mgKOH/g~170mgKOH/gが好ましく、50mgKOH/g~150mgKOH/gがより好ましく、90mgKOH/g~150mgKOH/gがさらに好ましい。アルカリ可溶性樹脂の酸価が20mgKOH/g以上であると、着色組成物を着色層としたときのアルカリ現像性がより一層良好となり、170mgKOH/g以下であると耐熱性が良好となる。
【0142】
着色組成物に含まれるアルカリ可溶性樹脂は、1種類のみであってもよいし、複数種類であってもよい。着色組成物において、アルカリ可溶性樹脂の含有量は、着色材100質量部に対して、5質量部~200質量部が好ましく、10質量部~100質量部がより好ましく、20質量部~80質量部がさらに好ましい。
【0143】
(重合性化合物)
前記重合性化合物としての重合性樹脂(例えば、ヒドロキシ基、カルボキシ基、アミノ基等の反応性の置換基を有する線状高分子にイソシアネート基、アルデヒド基、エポキシ基等を介して、(メタ)アクリル化合物、ケイヒ酸等の架橋性基を導入した樹脂)、重合性不飽和結合を分子内に1個有する化合物(例えば、単官能(メタ)アクリルモノマー((メタ)アクリル酸アルキル、(メタ)アクリル酸アラルキル等))、重合性不飽和結合を分子内に2個以上有する化合物(例えば、多官能(メタ)アクリルモノマー(2価アルコールのジ(メタ)アクリレート、3価以上の多価アルコールのポリ(メタ)アクリレート等))等が挙げられる。重合性不飽和結合としては、炭素-炭素二重結合、炭素-炭素三重結合が挙げられる。これらは単独または2種以上を混合して用いることができる。これらの中でも重合性不飽和結合を分子内に2個以上有する化合物が好ましい。
【0144】
前記重合性化合物としての重合性不飽和結合を分子内に2個以上有するモノマーとしては、ビスフェノールAジ(メタ)アクリレート、1,4-ブタンジオールジ(メタ)アクリレート、1,3-ブチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ジエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、グリセロールジ(メタ)アクリレート、ネオペンチルグリコールジ(メタ)アクリレート、ポリエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ポリプロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、テトラエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールペンタ(メタ)アクリレート等が挙げられる。
【0145】
着色組成物における重合性化合物の含有量は、着色材100質量部に対して、10質量部~1,000質量部が好ましく、20質量部~500質量部がより好ましい。重合性化合物の含有量が上記範囲内であれば、十分な硬化性が得られ、アルカリ現像性も良好となる。バインダー樹脂として、アルカリ可溶性樹脂と重合性化合物とを併用することも好ましい。
【0146】
(熱硬化性樹脂、熱可塑性樹脂)
前記熱硬化性樹脂や熱可塑性樹脂としては、例えば、ブチラール樹脂、スチレン-マレイン酸共重合体、塩素化ポリエチレン、塩素化ポリプロピレン、ポリ塩化ビニル、塩化ビニル-酢酸ビニル共重合体、ポリ酢酸ビニル、ポリウレタン系樹脂、フェノール樹脂、ポリエステル樹脂、アクリル系樹脂、アルキッド樹脂、スチレン樹脂、ポリアミド樹脂、ゴム系樹脂、環化ゴム、エポキシ樹脂、セルロース類、ポリブタジエン、ポリイミド樹脂、ベンゾグアナミン樹脂、メラミン樹脂、尿素樹脂等が挙げられる。
【0147】
(光重合開始剤)
本発明の着色組成物は、必要に応じて、光重合開始剤を含有してもよい。これにより、着色組成物に感放射線性を付与することができる。前記光重合開始剤は、可視光線、紫外線、遠赤外線、電子線、X線等の放射線の露光により、重合性化合物の重合を開始し得る活性種を発生する化合物である。
【0148】
前記光重合開始剤としては、例えば、チオキサントン系化合物、アセトフェノン系化合物、ビイミダゾール系化合物、トリアジン系化合物、O-アシルオキシム系化合物、オニウム塩系化合物、ベンゾイン系化合物、ベンゾフェノン系化合物、α-ジケトン系化合物、多核キノン系化合物、ジアゾ系化合物、イミドスルホナート系化合物等を挙げることができる。光重合開始剤は、単独または2種以上を混合して使用することができる。
【0149】
本発明の着色組成物において、光重合開始剤の含有量は、重合性化合物100質量部に対して、0.01質量部~120質量部が好ましく、1質量部~100質量部がより好ましい。この場合、光重合開始剤の含有量が少なすぎると、露光により硬化が不十分となるおそれがあり、一方多すぎると、形成された着色層が現像時に基板から脱落しやすくなる傾向がある。
【0150】
(他の配合剤)
本発明の着色組成物には、本発明の好ましい物性を損なわない範囲であれば、前記配合剤以外に、他の配合剤を配合することができる。他の配合剤としては、上記ブロック共重合体を除く分散剤(ウレタン系分散剤、ポリエチレンイミン系分散剤、ポリオキシエチレンアルキルエーテル系分散剤、ポリオキシエチレングリコールジエステル系分散剤、ソルビタン脂肪族エステル系分散剤、脂肪族変性ポリエステル系分散剤等)、増感色素、熱重合防止剤、界面活性剤(非イオン系界面活性剤、アニオン系界面活性剤、カチオン系界面活性剤、両性界面活性剤)、可塑剤、有機カルボン酸化合物、有機カルボン酸無水物、酸化防止剤、紫外線吸収剤、光安定剤、pH調整剤、防腐剤、防カビ剤、凝集防止剤、密着性改良剤、現像改良剤、保存安定剤等を挙げることができる。
【0151】
増感色素としては、4,4’-ジメチルアミノベンゾフェノン、4,4’-ジエチルアミノベンゾフェノン、2-アミノベンゾフェノン、4-アミノベンゾフェノン、4,4’-ジアミノベンゾフェノン、3,3’-ジアミノベンゾフェノン、3,4-ジアミノベンゾフェノン、2-(p-ジメチルアミノフェニル)ベンゾオキサゾール、2-(p-ジエチルアミノフェニル)ベンゾオキサゾール、2-(p-ジメチルアミノフェニル)ベンゾ[4,5]ベンゾオキサゾール、2-(p-ジメチルアミノフェニル)ベンゾ[6,7]ベンゾオキサゾール、2,5-ビス(p-ジエチルアミノフェニル)1,3,4-オキサゾール、2-(p-ジメチルアミノフェニル)ベンゾチアゾール、2-(p-ジエチルアミノフェニル)ベンゾチアゾール、2-(p-ジメチルアミノフェニル)ベンゾイミダゾール、2-(p-ジエチルアミノフェニル)ベンゾイミダゾール、2,5-ビス(p-ジエチルアミノフェニル)1,3,4-チアジアゾール、(p-ジメチルアミノフェニル)ピリジン、(p-ジエチルアミノフェニル)ピリジン、(p-ジメチルアミノフェニル)キノリン、(p-ジエチルアミノフェニル)キノリン、(p-ジメチルアミノフェニル)ピリミジン、(p-ジエチルアミノフェニル)ピリミジン等が挙げられる。
【0152】
熱重合防止剤としては、ハイドロキノン、p-メトキシフェノール、ピロガロール、カテコール、2,6-t-ブチル-p-クレゾール、β-ナフトール等が挙げられる。
【0153】
非イオン系界面活性剤としては、フッ素系界面活性剤(1,1,2,2-テトラフロロオクチル(1,1,2,2-テトラフロロプロピル)エーテル、1,1,2,2-テトラフロロオクチルヘキシルエーテル、オクタエチレングリコールジ(1,1,2,2-テトラフロロブチル)エーテル、ヘキサエチレングリコールジ(1,1,2,2,3,3-ヘキサフロロペンチル)エーテル、オクタプロピレングリコールジ(1,1,2,2-テトラフロロブチル)エーテル、ヘキサプロピレングリコールジ(1,1,2,2,3,3-ヘキサフロロペンチル)エーテル、パーフロロドデシルスルホン酸ナトリウム、1,1,2,2,8,8,9,9,10,10-デカフロロドデカン、1,1,2,2,3,3-ヘキサフロロデカン等)、シリコーン系界面活性剤、ポリオキシエチレン系界面活性剤(ポリオキシエチレンアルキルエーテル類、ポリオキシエチレンポリオキシプロピレンアルキルエーテル類、ポリオキシエチレンアルキルフェニルエーテル類、ポリオキシエチレンアルキルエステル類、ポリオキシエチレン脂肪酸エステル類、グリセリン脂肪酸エステル類、ポリオキシエチレングリセリン脂肪酸エステル類、ペンタエリスリット脂肪酸エステル類、ポリオキシエチレンペンタエリスリット脂肪酸エステル類、ソルビタン脂肪酸エステル類、ポリオキシエチレンソルビタン脂肪酸エステル類、ソルビット脂肪酸エステル類、ポリオキシエチレンソルビット脂肪酸エステル類等)等が挙げられる。
【0154】
アニオン系界面活性剤としては、アルキルスルホン酸塩類、アルキルベンゼンスルホン酸塩類、アルキルナフタレンスルホン酸塩類、ポリオキシエチレンアルキルエーテルスルホン酸塩類、アルキル硫酸塩類、アルキル硫酸エステル塩類、高級アルコール硫酸エステル塩類、脂肪族アルコール硫酸エステル塩類、ポリオキシエチレンアルキルエーテル硫酸塩類、ポリオキシエチレンアルキルフェニルエーテル硫酸塩類、アルキル燐酸エステル塩類、ポリオキシエチレンアルキルエーテル燐酸塩類、ポリオキシエチレンアルキルフェニルエーテル燐酸塩類、特殊高分子系界面活性剤等が挙げられる。
【0155】
カチオン系界面活性剤としては、第4級アンモニウム塩類、イミダゾリン誘導体類、アルキルアミン塩類等が挙げられる。
【0156】
両性界面活性剤としては、ベタイン型化合物類、イミダゾリウム塩類、イミダゾリン類、アミノ酸類等が挙げられる。
【0157】
可塑剤としては、ジオクチルフタレート、ジドデシルフタレート、トリエチレングリコールジカプリレート、ジメチルグリコールフタレート、トリクレジルホスフェート、ジオクチルアジペート、ジブチルセバケート、トリアセチルグリセリン等が挙げられる。
【0158】
有機カルボン酸化合物としては、ギ酸、酢酸、プロピオン酸、酪酸、吉草酸、ピバル酸、カプロン酸、グリコール酸、アクリル酸、メタクリル酸などの脂肪族モノカルボン酸;シュウ酸、マロン酸、コハク酸、グルタル酸、アジピン酸、ピメリン酸、シクロヘキサンジカルボン酸、シクロヘキセンジカルボン酸、イタコン酸、シトラコン酸、マレイン酸、フマル酸などの脂肪族ジカルボン酸;トリカルバリル酸、アコニット酸などの脂肪族トリカルボン酸;安息香酸、フタル酸、トリメシン酸、ピロペット酸、メロファン酸などのフェニル基に直接カルボキシル基が結合した芳香族カルボン酸;フェニル酢酸、ヒドロアトロパ酸、ヒドロケイ皮酸、フェニルコハク酸、シンナミリンデン酢酸などのフェニル基から炭素結合を介してカルボキシル基が結合した芳香族カルボン酸等が挙げられる。有機カルボン酸化合物を含有することで、アルカリ現像性および地汚れ改善することができる。
【0159】
有機カルボン酸無水物としては、無水酢酸、無水トリクロロ酢酸、無水トリフルオロ酢酸、無水テトラヒドロフタル酸、無水コハク酸、無水マレイン酸、無水シトラコン酸、無水イタコン酸、無水グルタル酸、無水1,2-シクロヘキセンジカルボン酸、無水n-オクタデシルコハク酸、無水5-ノルボルネン-2,3-ジカルボン酸、無水フタル酸、トリメリット酸無水物、ピロメリット酸無水物、無水ナフタル酸等が挙げられる。有機カルボン酸無水物を含有することで、アルカリ現像性および地汚れ改善することができる。
【0160】
<着色組成物の製造方法>
前記着色組成物は、着色材、分散剤(または分散剤溶液)、分散媒体、必要に応じて、バインダー樹脂、光重合開始剤、他の配合剤を混合することで調製できる。混合は、例えば、ペイントシェーカー、ビーズミル、ボールミル、ディゾルバー、ニーダー等の混合分散機を用いることができる。着色組成物は、混合後に濾過することが好ましい。前記着色組成物がアルカリ現像性を有する場合、カラーフィルタ用として好適に使用することができる。アルカリ現像液としては、有機溶剤または界面活性剤と水酸化カリウム、炭酸水素ナトリウム、炭酸ナトリウム、水酸化テトラメチルアンモニウム等のアルカリ性化合物とを含む水溶液が使用できる。
【0161】
<カラーフィルタ>
本発明のカラーフィルタは、前記着色組成物を用いて形成された着色層を備えるものである。
【0162】
カラーフィルタを製造する方法としては、例えば、次の方法が挙げられる。まず、ポリエステル系樹脂、ポリオレフィン系樹脂、ポリカーボネート樹脂、ポリメチルメタクリレート樹脂等の熱可塑性樹脂製シート、エポキシ樹脂、不飽和ポリエステル樹脂、ポリ(メタ)アクリル系樹脂等の熱硬化性樹脂シート、各種ガラス等の透明基板上に、例えば、赤色顔料が分散された着色組成物を塗布したのち、プレベークを行って溶媒(分散媒体)を蒸発させ、塗膜を形成する。次いで、この塗膜にフォトマスクを介して露光したのち、アルカリ現像液(有機溶剤または界面活性剤と水酸化カリウム、炭酸水素ナトリウム、炭酸ナトリウム、水酸化テトラメチルアンモニウム等のアルカリ性化合物とを含む水溶液等)を用いて現像して、塗膜の未露光部を溶解除去する。その後、ポストベークすることにより、赤色の画素パターンが所定の配列で配置された画素アレイを形成する。次いで、緑色の着色組成物または青色の着色組成物を用い、上記と同様にして、各着色組成物の塗布、プレベーク、露光、現像およびポストベークを行って、緑色の画素アレイおよび青色の画素アレイを同一基板上に順次形成する。これにより、赤色、緑色および青色の三原色の画素アレイが基板上に配置されたカラーフィルタが得られる。但し、本発明においては、各色の画素を形成する順序は、上記のものに限定されない。また、赤色、緑色および青色の三原色の画素アレイを形成に用いる透明基板上には、ブラックマトリックスが設けられていてもよい。
【0163】
着色組成物を基板に塗布する際には、スプレー法、ロールコート法、回転塗布法(スピンコート法)、スリットダイ塗布法、バー塗布法等の適宜の塗布法を採用することができるが、特に、スピンコート法、スリットダイ塗布法を採用することが好ましい。
【0164】
このようにして得られた画素パターン上に、必要に応じて保護膜を形成した後、透明導電膜(ITO等)をスパッタリングにより形成する。透明導電膜を形成した後、更にスペーサーを形成してカラーフィルタとすることもできる。
【0165】
本発明のカラーフィルタは、輝度、寸法精度等が高く、カラー液晶表示素子、カラー撮像管素子、カラーセンサー、有機EL表示素子、電子ペーパー等に好適に使用することができる。
【実施例0166】
以下、本発明について、具体的な実施例に基づいて、さらに詳細に説明する。本発明は、以下の実施例に何ら限定されるものではなく、その要旨を変更しない範囲において適宜変更して実施することが可能である。なお、ブロック共重合体の重合率、重量平均分子量(Mw)、分子量分布(Mw/Mn)、アミン価、ならびに、着色組成物および塗膜の物性は、下記の方法に従って評価した。
【0167】
なお、略語の意味は下記のとおりである。
BTEE:エチル=2-メチル-2-n-ブチルテラニル-プロピオネート
DBDT:ジブチルジテルリド
AIBN:2,2’-アゾビス(イソブチロニトリル)
CL5MA:2-ヒドロキシエチルメタクリレートの5molカプロラクトン付加物
CL2MA:2-ヒドロキシエチルメタクリレートの2molカプロラクトン付加物
CL5A:アクリル酸2-ヒドロキシエチルの5molカプロラクトン付加物(Green社製、KOMERATE-C050)
BA:アクリル酸n-ブチル
HEA:アクリル酸2-ヒドロキシエチル
HEMA:メタクリル酸2-ヒドロキシエチル
MMA:メタクリル酸メチル
BMA:メタクリル酸n-ブチル
CHMA:メタクリル酸シクロへキシル
BzMA:メタクリル酸ベンジル
MAA:メタクリル酸
DMAEMA:メタクリル酸ジメチルアミノエチル
VP:N-ビニル-2-ピロリドン
PMA:プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート
MeOH:メタノール
【0168】
[評価方法]
(重合率)
核磁気共鳴(NMR)測定装置(ブルカー・バイオスピン製、型式:AVANCE500(周波数500MHz))を用いて、1H-NMRを測定(溶媒:CDCl3、内部標準:テトラメチルシラン)した。得られたNMRスペクトルについて、モノマー由来のピークとポリマー由来のピークの積分比を求め、モノマーの重合率を算出した。
【0169】
(重量平均分子量(Mw)および分子量分布(Mw/Mn))
高速液体クロマトグラフ(東ソー製、型式HLC-8320)を用いて、ゲル浸透クロマトグラフィー(GPC)より求めた。カラムはTOSOH TSKgel(登録商標) SuperMultiporeHZ-H(4.6mmI.D.×150mm,6μm)を1本、移動相にTHF、検出器に示差屈折計を使用した。測定条件は、カラム温度を40℃、試料濃度を20mg/mL、試料注入量を10μL、流速を0.2mL/minとした。標準物質としてポリスチレン(分子量70,500、37,900、19,920、10,200、4,290、2,630、1,150)を使用して検量線(校正曲線)を作成し、重量平均分子量(Mw)、数平均分子量(Mn)を測定した。この測定値から分子量分布(Mw/Mn)を算出した。
【0170】
(アミン価)
アミン価は、固形分1gあたりの塩基性成分と当量の水酸化カリウムの質量を表したものである。測定試料をテトラヒドロフランに溶解し、電位差滴定装置(商品名:GT-06、三菱化学製)を用いて、得られた溶液を塩酸(0.1mol/L)-プロパノール溶液で中和滴定した。滴定pH曲線の変曲点を滴定終点として次式によりアミン価(B)を算出した。
B=56.11×Vs×0.1×f/w
B:アミン価(mgKOH/g)
Vs:滴定に要した塩酸(0.1mol/L)-プロパノール溶液の使用量(mL)
f:塩酸(0.1mol/L)-プロパノール溶液の力価
w:測定サンプルの質量(g)(固形分換算)
【0171】
(酸価)
酸価は、固形分1gあたりの酸性成分を中和するのに要する水酸化カリウムの質量を表したものである。測定試料をテトラヒドロフランに溶解し、得られた溶液に1.0w/v%フェノールフタレインエタノール(90)溶液を指示薬として数滴加え、水酸化カリウム(0.1mol/L)-エタノール溶液で中和滴定した。少し赤みが残るところを滴定終点として、次式により酸価を算出した。
A=56.11×Vs×0.1×f/w
A:酸価(mgKOH/g)
Vs:滴定に要した水酸化カリウム(0.1mol/L)-エタノール溶液の使用量(mL)
f:水酸化カリウム(0.1mol/L)-エタノール溶液の力価
w:測定サンプル質量(g)(固形分換算)
【0172】
(初期粘度、経時粘度)
E型粘度計(商品名:RE-80L、東機産業製)を用い、コーンローター(0.8°×R24)を使用して、25℃下、ローター回転数50rpmで粘度(mPa・s)を測定した。
着色組成物について、調製した直後の初期粘度、および、40℃で1週間保存した後の経時粘度を測定した。
【0173】
<ブロック共重合体の合成>
(ブロック共重合体No.1)
アルゴンガス導入管、撹拌機を備えたフラスコにBMA 44.21g、CL5MA 120.25g、AIBN 0.789g、PMA 109.55gを仕込み、窒素置換後、BTEE 7.19g、DBDT 4.50gを加え、60℃で17.5時間反応させAブロックを重合した。重合率は98.8%であった。
【0174】
反応溶液に、予めアルゴン置換したDMAEMA 55.65g、CHMA 13.92g、AIBN 0.398g、PMA 46.42gの混合溶液を加え、60℃で23.5時間反応させ、Bブロックを重合した。重合率は99.2%であった。
【0175】
反応溶液に、予めアルゴン置換したHEMA 66.32g、AIBN 0.394g、PMA 44.14gの混合溶液を加え、60℃で23.0時間反応させ、Cブロックを重合した。重合率は99.8%であった。
【0176】
反応終了後、撹拌しているn-ヘプタン中に反応液を注いだ。析出したポリマーを吸引濾過、乾燥することによりブロック共重合体No.1を得た。得られたブロック共重合体No.1は、Mwが17,540、Mw/Mnが1.73、アミン価が65mgKOH/gであった。
【0177】
(ブロック共重合体No.2~9)
ブロック共重合体No.1の製造法と同様にして、ブロック共重合体No.2~9を作製した。表2、3に、使用したモノマー、有機テルル化合物、アゾ系重合開始剤、溶媒、反応条件、重合率を示した。また、表4、5に各ブロック共重合体の組成、Mw、Mw/Mn、アミン価を示した。なお、共重合体中の各構造単位の含有率は、重合反応に用いたモノマーの仕込み比率および重合率から算出した。
【0178】
【表2】
【0179】
【表3】
【0180】
<アルカリ可溶性樹脂(バインダー樹脂)の合成>
アルゴンガス導入管、撹拌機を備えたフラスコにMAA 20.0g、BzMA 80.0g、PMA 290.0gを仕込み、アルゴン置換後、AIBN 1.5g、n-ドデカンチオール 2.0g、PMA 10.0gを加え90℃まで昇温した。その溶液を90℃に保ちながら、その溶液にMAA 40.0g、BzMA 160.0g、AIBN 3.0g、n-ドデカンチオール 4.0g、PMA 25.0gを1.5時間かけて滴下した。滴下が終了してから60分後、温度を110℃まで昇温し、AIBN 0.3g、PMA 5.0gを加えて1時間反応させ、さらにAIBN 0.3g、PMA 5.0gを加え1時間反応させ、さらにAIBN 0.3g、PMA 5.0gを加え1時間反応させた。
【0181】
得られた反応溶液を室温に冷却し、PMA 120.0gを加え、不揮発分39.9%のアルカリ可溶性樹脂の溶液を得た。アルカリ可溶性樹脂のMwは11,873、Mw/Mnは1.77、酸価は127mgKOH/gであった。
【0182】
<着色組成物の調製>
(着色組成物No.1)
顔料濃度が10質量%になるように、顔料(C.I.Pigment Red254)1.8g、分散剤としてのブロック共重合体No.1の溶液(顔料100質量部に対してブロック共重合体40質量部)、アルカリ可溶性樹脂の溶液(顔料100質量部に対してアルカリ可溶性樹脂40質量部)、及びPMAをビーズミル(商品名:DISPERMAT CA、VMA-GETZMANN GmbH社製)に投入し、さらにジルコニアビーズ(φ0.3mm)50gを入れ、2時間撹拌した。撹拌終了後、ビーズをろ別して、着色組成物No.1を調製した。得られた着色組成物について、分散性能を評価し、結果を表4に示した。
【0183】
(着色組成物No.2、4~10)
分散剤(ブロック共重合体)を変更したこと以外は着色組成物No.1の調製法と同様にして、着色組成物No.2、4~10を調製した。得られた着色組成物を評価し、結果を表4、5に示した。
【0184】
(着色組成物No.3)
顔料をC.I.Pigment Green58に変更したこと以外は着色組成物No.2の調製法と同様にして、着色組成物No.3を調製した。得られた着色組成物を評価し、結果を表4に示した。
【0185】
(着色組成物No.11)
顔料をC.I.Pigment Green58に変更したこと以外は着色組成物No.10の調製法と同様にして、着色組成物No.11を調製した。得られた着色組成物を評価し、結果を表5に示した。
【0186】
【表4】
【0187】
【表5】
【0188】
ブロック共重合体No.1~5は、Aブロック-Bブロック-Cブロックの構造を有するトリブロックであり、Aブロックが構造単位(a-1)を含有し、Bブロックが構造単位(b-1)を含有し、Cブロックがモル体積比((c-1)/(b-1))が0.1~1.5である構造単位(c-1)を含有し、Aブロックを構成する構造単位100mol%中の構造単位(b-1)の含有率が3mol%以下であり、Cブロックを構成する構造単位100mol%中の前記構造単位(b-1)の含有率が3mol%以下である。
これらのブロック共重合体No.1~5を分散剤として使用した着色組成物No.1~6は、いずれも初期粘度が低く、かつ、経時粘度との差も小さく、着色材の分散性が高かった。
【0189】
ブロック共重合体No.6は、Aブロック-Bブロック-Cブロックの構造を有するトリブロックであり、Aブロックが構造単位(a-1)を含有し、Bブロックが構造単位(b-1)を含有するが、Cブロックがモル体積比((c-1)/(b-1))が0.1~1.5である構造単位(c-1)を含有しない場合である。
このブロック共重合体No.6を用いた着色組成物No.7は、初期粘度は低いものの、経時粘度が高く、保存安定性が劣っていた。
【0190】
ブロック共重合体No.7は、Aブロック-Bブロック-Cブロックの構造を有するトリブロックであり、Aブロックが構造単位(a-1)を含有し、Bブロックが構造単位(b-1)を含有するが、Cブロックが構造単位(c-1)を含有しない場合である。
このブロック共重合体No.7を用いた着色組成物No.8は、初期粘度が高く、着色材の分散性が劣っていた。
【0191】
ブロック共重合体No.8、9は、Aブロック-Bブロックの構造を有するジブロックである。これらのブロック共重合体No.8、9を用いた着色組成物No.9~11は、初期粘度に対する経時粘度の変化率が非常に高く、保存安定性が劣っていた。
【0192】
本発明は、以下の態様を含む。
【0193】
(態様1)
AブロックとBブロックとCブロックとを含有するブロック共重合体であって、
前記各ブロックの配列が、Aブロック-Bブロック-Cブロックの順であり、
前記Aブロックが、ヒドロキシ基および/またはエーテル基を有する構造単位(a-1)を含有し、
前記Bブロックが、含窒素官能基を有する構造単位(b-1)を含有し、
前記Cブロックが、ヒドロキシ基を有する構造単位(c-1)を含有し、
前記構造単位(c-1)の前記構造単位(b-1)に対するモル体積比((c-1)/(b-1))が0.1~1.5であり、
前記Aブロックを構成する構造単位100mol%中の前記構造単位(b-1)の含有率が3mol%以下であり、
前記Cブロックを構成する構造単位100mol%中の前記構造単位(b-1)の含有率が3mol%以下であることを特徴とするブロック共重合体。
【0194】
(態様2)
前記構造単位(a-1)の前記構造単位(b-1)に対するモル体積比((a-1)/(b-1))が0.1~10.0である、態様1に記載のブロック共重合体。
【0195】
(態様3)
前記構造単位(a-1)が、式(1)で表される構造単位である、態様1または2に記載のブロック共重合体。
【0196】
【化10】
[式(1)において、R11は水素原子またはメチル基を表す。
11はエステル基、アミド基または単結合を表す。
12は2価の炭化水素基、-R14-(O-CO-R15m1-基または-R16-(OR17n1-基を表す。
13は水素原子または1価の炭化水素基を表す。ただし、R12が2価の炭化水素基、または、-R14-(O-CO-R15m1-基の場合、R13は水素原子である。
m1は1~10の整数を表す。
14は2価の炭化水素基を表す。
15は2価の炭化水素基を表し、m1が2以上である場合、複数存在するR15はそれぞれ同一であっても異なっていてもよい。
n1は1~30の整数を表す。
16は2価の炭化水素基を表す。
17は2価の炭化水素基を表し、n1が2以上である場合、複数存在するR17はそれぞれ同一であっても異なっていてもよい。]
【0197】
(態様4)
前記構造単位(b-1)が、式(6)で表される構造単位および/または式(7)で表される構造単位である、態様1~3のいずれか一項に記載のブロック共重合体。
【0198】
【化11】
[式(6)において、R61は水素原子またはメチル基を表す。
61はエステル基、アミド基または単結合を表す。
62は2価の炭化水素基を表す。
63およびR64は、それぞれ独立して、水素原子、置換基を有していてもよい鎖状または環状の炭化水素基を表す。]
【0199】
【化12】
[式(7)において、R71、R72、R73およびR74は、同一または異なって、水素原子または置換基を有していてもよい炭素数1~10のアルキル基を示す。
m7は0~4の整数を示す。
n7は1~3の整数を示す。]
【0200】
(態様5)
前記構造単位(c-1)が、式(8)で表される構造単位である、態様1~4のいずれか一項に記載のブロック共重合体。
【0201】
【化13】
[式(8)において、R81は水素原子またはメチル基を表す。
81はエステル基、アミド基または単結合を表す。
82は2価の炭化水素基、-R83-(O-CO-R84m8-基または-R85-(OR86n8-基を表す。
m8は1~10の整数を表す。
83は2価の炭化水素基を表す。
84は2価の炭化水素基を表し、m8が2以上である場合、複数存在するR84はそれぞれ同一であっても異なっていてもよい。
n8は1~30の整数を表す。
85は2価の炭化水素基を表す。
86は2価の炭化水素基を表し、n8が2以上である場合、複数存在するR86はそれぞれ同一であっても異なっていてもよい。]
【0202】
(態様6)
前記ブロック共重合体のアミン価が、10mgKOH/g~150mgKOH/gである、態様1~5のいずれか一項に記載のブロック共重合体。
【0203】
(態様7)
前記Bブロックを構成する構造単位100mоl%中の前記構造単位(b-1)の含有率が、5mol%~100mol%である、態様1~6のいずれか一項に記載のブロック共重合体。
【0204】
(態様8) 前記Aブロックを構成する構造単位の総モル量と前記Bブロックを構成する構造とのモル比(Aブロック/Bブロック)が10/90~95/5であり、 前記Cブロックを構成する構造単位の総モル量と、前記Bブロックを構成する構造とのモル比(Cブロック/Bブロック)が、10/90~95/5である、態様1~7のいずれか一項に記載のブロック共重合体。
【0205】
(態様9) 前記ブロック共重合体の重量平均分子量が、5,000~40,000である、態様1~8のいずれか一項に記載のブロック共重合体。
【0206】
(態様10) 前記ブロック共重合体がリビング重合で得られたものであり、その分子量分布(Mw/Mn)が3.0未満である、態様1~9のいずれか一項に記載のブロック共重合体。
【0207】
(態様11) 態様1~10のいずれか一項に記載のブロック共重合体を含有することを特徴とする分散剤。
【0208】
(態様12) 着色材、分散媒体、および、態様11に記載の分散剤を含有することを特徴とする着色組成物。
【0209】
(態様13) カラーフィルタ用である態様12に記載の着色組成物。
【0210】
(態様14) 態様12または13に記載の着色組成物を用いて形成された着色層を備えることを特徴とするカラーフィルタ。