(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024167062
(43)【公開日】2024-11-29
(54)【発明の名称】形状が広くて薄く、且つ平坦な導電構造を有するダンパ及びその製造方法
(51)【国際特許分類】
H04R 9/02 20060101AFI20241122BHJP
【FI】
H04R9/02 103A
【審査請求】有
【請求項の数】10
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2024076749
(22)【出願日】2024-05-09
(31)【優先権主張番号】112118753
(32)【優先日】2023-05-19
(33)【優先権主張国・地域又は機関】TW
(71)【出願人】
【識別番号】524175675
【氏名又は名称】大原 祐子
(74)【代理人】
【識別番号】100142804
【弁理士】
【氏名又は名称】大上 寛
(72)【発明者】
【氏名】大原 祐子
【テーマコード(参考)】
5D012
【Fターム(参考)】
5D012BA08
5D012EA08
5D012HA00
(57)【要約】 (修正有)
【課題】縫い糸を必要とせず、形状が広くて薄く、かつ、平坦な導電構造を有するダンパ及びその製造方法を提供する。
【解決手段】ダンパを製造する方法は、金属層を芯線の外面に被覆することで、金属糸を形成し、金属糸の第一の交絡部を、金属糸の第二の交絡部に交絡し、マルチフィラメント糸体を編む。ここで、互いに平行な第一の交絡部の両端が、互いに平行な第二の交絡部に接続され、第一の交絡部と第二の交絡部との延在方向は異なる。方法はまた、数本の経糸を、少なくとも1本のマルチフィラメント糸体と間隔をあけて設置させ、直線的に延ばし且つ互に平行させ、複数本の緯糸を経糸とマルチフィラメント糸体との間に交絡することで基材を編み、基材を樹脂溶液に浸漬し、次いで基材を乾燥し、基材に本体及び導電構造を熱プレス成形し、本体と基材を分離すると同時に、導電構造とマルチフィラメント糸体を分離する。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
形状が広くて薄く、且つ平坦な導電構造を有するダンパの製造方法であって、
金属層を芯線の外面に被覆することで、金属糸を形成するステップと、
複数本の金属糸の複数の第一の交絡部を前記複数本の金属糸の複数の第二の交絡部に交絡することで、形状が広くて薄く、且つ平坦なマルチフィラメント糸体を編むステップであって、各前記第一の交絡部の両端が、それぞれ第二の交絡部に接続され、前記複数の第一の交絡部が互に平行し、前記複数の第二の交絡部がお互に平行し、且つ前記複数の第一の交絡部と前記複数の第二の交絡部との延在方向が異なるステップと、
複数本の経糸を、少なくとも1本のマルチフィラメント糸体と間隔をあけて設置させ、前記複数本の経糸を、前記少なくとも1本のマルチフィラメント糸体と直線的に延びて且つ互に平行させるステップと、
複数本の緯糸を前記複数本の経糸と前記少なくとも1本のマルチフィラメント糸体との間に交絡することで、基材を編むステップと、
前記基材を樹脂溶液に浸漬するステップと、
前記基材を乾燥するステップと、
前記基材にダンパの本体を熱プレス成形すると同時に、前記少なくとも1本のマルチフィラメント糸体に形状が広くて薄く、且つ平坦な少なくとも2本の導電構造を熱プレス成形するステップと、
前記本体と前記基材とを分離すると同時に、前記少なくとも2本の導電構造と前記少なくとも一つのマルチフィラメント糸体とを分離するステップと、を含む、
ダンパの製造方法。
【請求項2】
前記複数本の経糸を、前記少なくとも1本のマルチフィラメント糸体と間隔をあけて設置させるステップにおいて、
前記少なくとも1本のマルチフィラメント糸体とその両側の経糸との距離を前記複数本の経糸間の距離よりも大きくすることをさらに含み、
前記基材を編むステップにおいて、
前記複数本の緯糸には、前記少なくとも1本のマルチフィラメント糸体の第一側から、前記少なくとも1本のマルチフィラメント糸体の前記第一側に最も近い経糸までの領域が第一の弾性調整領域に設定され、且つ前記少なくとも1本のマルチフィラメント糸体の第二側から、前記少なくとも1本のマルチフィラメント糸体の前記第二側に最も近い経糸までの領域が第二の弾性調整領域に設定され、前記第一の弾性調整領域の幅が、前記第二の弾性調整領域の幅と等しいことをさらに含む、
請求項1に記載のダンパの製造方法。
【請求項3】
前記本体と前記基材を分離するステップの後に、前記複数の導電構造の両端に半田付けをすることで、少なくとも四つの半田部を形成するステップをさらに含む、請求項1に記載のダンパの製造方法。
【請求項4】
前記芯線の材質は、綿である、請求項1に記載のダンパの製造方法。
【請求項5】
前記複数本の金属糸の本数は、7本である、請求項1に記載のダンパの製造方法。
【請求項6】
形状が広くて薄く、且つ平坦な導電構造を有するダンパであって、
複数本の経糸と複数本の緯糸とを交絡することにより形成する本体と、
形状が広くて薄く、且つ平坦であり、前記複数本の経糸と間隔をあけて設置され、直線的に延びて互に平行し、前記複数本の緯糸と交絡される少なくとも2本の導電構造とを含み、
各前記導電構造は、形状が広くて薄く、且つ平坦なマルチフィラメント糸体であり、前記マルチフィラメント糸体は、複数本の金属糸の複数の第一の交絡部と前記複数本の金属糸の複数の第二の交絡部とを交絡することにより形成し、
各前記金属糸は、金属層を芯線の外面に被覆することにより形成し、
各前記第一の交絡部の両端は、それぞれ第二の交絡部に接続し、前記複数の第一の交絡部は互に平行し、前記複数の第二の交絡部は互に平行し、且つ前記複数の第一の交絡部は、前記複数の第二の交絡部との延在方向が異なる、ダンパ。
【請求項7】
前記少なくとも1本のマルチフィラメント糸体とその両側の経糸との距離は、前記複数本の経糸間の距離よりも大きく、
前記複数本の緯糸には、前記少なくとも1本のマルチフィラメント糸体の第一側から、前記少なくとも1本のマルチフィラメント糸体の前記第一側に最も近い経糸までの領域が第一の弾性調整領域に設定され、前記少なくとも1本のマルチフィラメント糸体の第二側から、前記少なくとも1本のマルチフィラメント糸体の前記第二側に最も近い経糸までの領域が第二の弾性調整領域に設定される、
請求項6に記載のダンパ。
【請求項8】
それぞれ半田付けによりこれらの導電構造の両端に形成される少なくとも四つの半田部をさらに含む、請求項6に記載のダンパ。
【請求項9】
前記芯線の材質は、綿である、請求項6に記載のダンパ。
【請求項10】
前記複数本の金属糸の本数は、7本である、請求項6に記載のダンパ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ダンパ及びその製造方法、特に形状が広くて薄く、且つ平坦な導電構造を有するダンパ及びその製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
ムービングコイルスピーカーでは、導電構造は、パワー交流電力をボイスコイルに伝送することを担当し、ダンパは、ボイスコイルが磁石の鉄心の間隙にある位置を正確な位置に保持し、ボイスコイルに力が付与された時にボイスコイルが軸線方向に往復運動することを確保することを担当する。導電構造は、ダンパの本体に固定され、本体は、導電構造を支持し、導電構造の耐疲労性を向上させることができ、導電構造が破断しにくくなる。
【0003】
導電構造は、縫い糸によりダンパの本体に固定されることができる。しかしながら、縫い糸で導電構造をダンパの本体の表面に縫合固定するために、人手でミシンを操作する必要がある。さらに、ステップは、かなり複雑である。
【0004】
導電構造は、2枚の本体で挟むことができる。しかしながら、熱プレス成形の過程で、導電構造の位置がずれて、最適な位置から離れることがあるため、ダンパ、ボイスコイルと振動板の共振効率に影響を及ぼす。さらに、各ダンパにおいて、導電構造のずれ具合が異なるため、スピーカーごとに音質に少し違う。なお、ステップは、かなり複雑である。
【0005】
導電構造が経糸と緯糸よりも硬く、導電構造の弾性及び靭性が経糸と緯糸の弾性及び靭性よりも悪いため、導電構造が通過する領域は、ダンパの本体の他の領域よりも硬く、導電構造が通過する領域の弾性及び靭性は、ダンパの本体の他の領域の弾性及び靭性よりも悪い。そのため、ダンパの硬さ、弾性及び靭性が不均一になるため、ダンパの弾性復元力及び耐疲労性が不均一になり、ダンパが変形しやすくなり、さらにスピーカーの出力音質に影響を及ぼす。
【0006】
従来の導電構造の断面は、円形であり、円形の導電構造は、一般的には、複数本の金属糸を撚り合わせたものであり、各金属糸には、一部が中心に位置し、中心に位置する部分は、他の金属糸で遮られ、発生した熱が排出されにくくなり、熱が蓄積されるという問題があるため、円形の導電構造は過熱しやすくなる。
【0007】
さらに、円形の導電構造が比較的に太くて、ダンパの本体の表面に大きく突出するため、円形の導電構造は、金型に圧傷されやすくなり、ひいては破断することになる。
【0008】
なお、撚り合わせた円形の導電構造の末端は、発散状であり、接着剤により接続端子の接触点とボイスコイルのコイルに結び付けられることが容易ではない。
【0009】
また、糊剤が劣化しやすいため、その粘性を失うことがあり、その結果、円形の導電構造の末端は、発散しやすくなり、接続端子の接触点及びボイスコイルのコイルと分離される。
【0010】
また、一般的な金属糸は、全体が金属でできており、コストが比較的に高い。
【0011】
また、これらの金属糸の本数は、少なくとも20本以上であれば、円形の導電構造を撚り合わせることができ、製造コストが比較的に高い。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0012】
本発明の主な目的は、形状が広くて薄く、且つ平坦な導電構造を有するダンパ及びその製造方法を提供し、緯糸を利用してマルチフィラメント糸体を固定し、縫い糸を完全に必要としないことである。
【0013】
本発明の他の目的は、形状が広くて薄く、且つ平坦な導電構造を有するダンパ及びその製造方法を提供し、緯糸を利用してマルチフィラメント糸体を固定し、熱プレス成形の過程で、マルチフィラメント糸体がずれないことを確保し、切断された後、導電構造が最適な位置にあることを確保することである。
【0014】
本発明のまた他の目的は、形状が広くて薄く、且つ平坦な導電構造を有するダンパ及びその製造方法を提供し、弾性調整領域を利用して導電構造が通過する領域の硬さ、弾性と靭性を調整することで、導電構造が通過する領域が柔らかくなり、より弾性があり、且つより靭性があることである。
【0015】
本発明のさらに他の目的は、形状が広くて薄く、且つ平坦な導電構造を有するダンパ及びその製造方法、導電構造の形状と金属糸の編む方法を提供することで、他の金属糸で遮られないように金属糸が外部に露出されることである。
【0016】
本発明の別の目的は、形状が広くて薄く、且つ平坦な導電構造を有するダンパ及びその製造方法を提供し、導電構造が圧傷されるリスクが比較的に低いことである。
【0017】
本発明のまた別の目的は、形状が広くて薄く、且つ平坦な導電構造を有するダンパ及びその製造方法を提供し、半田部は、導電構造の末端が発散することを防止し、且つ導電構造の末端を接続端子とボイスコイルルに結び付けることができることである。
【0018】
本発明のさらに他の目的は、形状が広くて薄く、且つ平坦な導電構造を有するダンパ及びその製造方法を提供し、金属糸の構成は、コストを低減し、且つ一定の導電率を保つことができることである。
【0019】
本発明のまた別の目的は、形状が広くて薄く、且つ平坦な導電構造を有するダンパ及びその製造方法を提供し、金属糸の編む方法として、最低本数を利用してマルチフィラメント糸体を編むことができることである。
【課題を解決するための手段】
【0020】
前記の目的を達成するために、本発明は、形状が広くて薄く、且つ平坦な導電構造を有するダンパの製造方法であって、金属層を芯線の外面に被覆することで、金属糸を形成するステップと、複数本の金属糸の複数の第一の交絡部を前記複数本の金属糸の複数の第二の交絡部に交絡することで、形状が広くて薄く、且つ平坦なマルチフィラメント糸体を編むステップであって、各前記第一の交絡部の両端が、それぞれ第二の交絡部に接続され、前記複数の第一の交絡部が互に平行し、前記複数の第二の交絡部が互に平行し、且つ前記複数の第一の交絡部と前記複数の第二の交絡部との延在方向が異なるステップと、複数本の経糸を、少なくとも1本のマルチフィラメント糸体と間隔をあけて設置させ、前記複数本の経糸は、前記少なくとも1本のマルチフィラメント糸体と直線的に延びて且つ互に平行させるステップと、複数本の緯糸を前記複数本の経糸と前記少なくとも1本のマルチフィラメント糸体との間に交絡して、基材を編むステップと、前記基材を樹脂溶液に浸漬するステップと、前記基材を乾燥するステップと、前記基材にダンパの本体を熱プレス成形すると同時に、前記少なくとも1本のマルチフィラメント糸体に形状が広くて薄く、且つ平坦な少なくとも2本の導電構造を熱プレス成形するステップと、前記本体と前記基材を分離すると同時に、前記少なくとも2本の導電構造と前記少なくとも一つのマルチフィラメント糸体とを分離するステップと、を含む、ダンパの製造方法が提供される。
【0021】
いくつかの実施例では、前記複数本の経糸を、前記少なくとも1本のマルチフィラメント糸体と間隔をあけて設置させるステップにおいて、前記少なくとも1本のマルチフィラメント糸体とその両側の経糸との距離を前記複数本の経糸間の距離よりも大きくすることをさらに含み、前記基材を編むステップにおいて、前記複数本の緯糸には、前記少なくとも1本のマルチフィラメント糸体の第一側から、前記少なくとも1本のマルチフィラメント糸体の前記第一側に最も近い経糸までの領域が第一の弾性調整領域に設定され、且つ前記少なくとも1本のマルチフィラメント糸体の第二側から、前記少なくとも1本のマルチフィラメント糸体の前記第二側に最も近い経糸までの領域が第二の弾性調整領域に設定され、前記第一の弾性調整領域の幅が、前記第二の弾性調整領域の幅と等しいことをさらに含む。
【0022】
いくつかの実施例では、前記本体と前記基材を分離するステップの後に、前記複数の導電構造の両端に半田付けをすることで、少なくとも四つの半田部を形成するステップをさらに含む。
【0023】
いくつかの実施例では、前記芯線の材質は、綿である。
【0024】
いくつかの実施例では、前記複数本の金属糸の本数は、7本である。
【0025】
前記目的を達成するために、本発明は、形状が広くて薄く、且つ平坦な導電構造を有するダンパであって、本体と、少なくとも2本の導電構造とを含む。前記本体は、複数本の経糸と複数本の緯糸とを交絡することにより形成する。前記少なくとも2本の導電構造の形状は、広くて薄く、且つ平坦であり、前記複数本の経糸と間隔をあけて設置され、直線的に延びて互に平行し、前記複数本の緯糸と交絡される。各前記導電構造は、形状が広くて薄く、且つ平坦なマルチフィラメント糸体であり、前記マルチフィラメント糸体は、複数本の金属糸の複数の第一の交絡部と前記複数本の金属糸の複数の第二の交絡部とが交絡することにより形成する。各前記金属糸は、金属層を芯線の外面に被覆することにより形成する。各前記第一の交絡部の両端は、それぞれ第二の交絡部に接続し、前記複数の第一の交絡部は互に平行し、前記複数の第二の交絡部は互に平行し、且つ前記複数の第一の交絡部は、前記複数の第二の交絡部との延在方向が異なる、ダンパが提供される。
【0026】
いくつかの実施例では、前記少なくとも1本のマルチフィラメント糸体とその両側の経糸との距離は、前記複数本の経糸間の距離よりも大きく、前記複数本の緯糸には、前記少なくとも1本のマルチフィラメント糸体の第一側から、前記少なくとも1本のマルチフィラメント糸体の前記第一側に最も近い経糸までの領域が第一の弾性調整領域に設定され、前記少なくとも1本のマルチフィラメント糸体の第二側から、前記少なくとも1本のマルチフィラメント糸体の前記第二側に最も近い経糸までの領域が第二の弾性調整領域に設定される。
【0027】
いくつかの実施例では、前記のダンパは、それぞれ半田付けによりこれらの導電構造の両端に形成される少なくとも四つの半田部をさらに含む。
【0028】
いくつかの実施例では、前記芯線の材質は、綿である。
【0029】
いくつかの実施例では、前記複数本の金属糸の本数は、7本である。
【発明の効果】
【0030】
本発明の効果は、緯糸を利用してマルチフィラメント糸体を固定し、縫い糸を完全に必要とせず、製造ステップを減らし、ダンパの製造コストを低減することである。
【0031】
さらに、緯糸を利用してマルチフィラメント糸体を固定し、熱プレス成形の過程で、マルチフィラメント糸体がずれないことを確保し、切断された後、導電構造が最適な位置にあることを確保する。
【0032】
なお、第一の弾性調整領域と第二の弾性調整領域を介し、共同で導電構造が通過する領域の硬さ、弾性と靭性を調整することで、導電構造が通過する領域が柔らかくなり、より弾性があり、且つより靭性があるため、導電構造が通過する領域の硬さ、弾性と靭性は、本体の他の領域と同等である。
【0033】
また、導電構造の形状が広くて薄く、且つ平坦であり、且つ金属糸の編む方法に基づき、他の金属糸で遮られないように金属糸が外部に露出され、発生した熱が排出されやすくなり、熱が蓄積される問題がないため、導電構造が過熱しない。
【0034】
また、導電構造の形状が広くて薄く、且つ平坦であり、本体の表面からわずかに突出しているだけで、金型で圧傷されるリスクが比較的に低い。
【0035】
また、半田部は、導電構造の末端が発散することを防止し、且つ導電構造の末端を接続端子の接触点とボイスコイルのコイルに直接に結び付けることができる。
【0036】
ちなみに、各金属糸の内層は、芯線であり、各金属糸の外層は、金属層であるため、コストを下げることができるだけでなく、一定の導電率を保つことができる。
【0037】
なお、金属糸の編む方法に基づき、金属糸の本数は、7本だけでマルチフィラメント糸体を編み、2本の導電構造に切断することができるため、製造コストが比較的に低い。
【図面の簡単な説明】
【0038】
【
図2】本発明の方法のステップS10の断面図である。
【
図3】本発明の方法のステップS20の模式図である。
【
図5】本発明の方法のステップS30の斜視図である。
【
図6】本発明の方法のステップS40の斜視図である。
【
図7】本発明の方法のステップS50の斜視図である。
【
図8】本発明の方法のステップS60の模式図である。
【
図9】本発明の方法のステップS70の模式図である。
【
図10】本発明の方法のステップS80の模式図である。
【
図11】本発明の方法のステップS90の模式図である。
【発明を実施するための形態】
【0039】
以下、添付図面及び符号を参照して本発明の実施の形態をより詳細に説明し、前記技術に習熟した者が本書を読んだ後に実施できるようにする。
【0040】
図1は、本発明の方法のフローチャートであり、
図2は、本発明の方法のステップS10の断面図であり、
図3は、本発明の方法のステップS20の模式図であり、
図4は、
図3の線IV-IVの断面図であり、
図5は、本発明の方法のステップS30の斜視図であり、
図6は、本発明の方法のステップS40の斜視図であり、
図7は、本発明の方法のステップS50の斜視図であり、
図8は、本発明の方法のステップS60の模式図であり、
図9は、本発明の方法のステップS70の模式図であり、
図10は、本発明の方法のステップS80の模式図であり、
図11は、本発明の方法のステップS90の模式図である。本発明は、形状が広くて薄く、且つ平坦な導電構造を有するダンパの製造方法を提供し、以下のステップを含む。
【0041】
ステップS10は、
図1及び
図2に示すように、金属層11を芯線12の外面に被覆することで、金属糸10を形成する。より具体的には、芯線12の材質は、導電性を有しなくてもよく、コストは、金属層よりも低く、且つ金属層11を支持する効果は良く、例えば綿である。金属層11の材質は、導電性を有してもよく、例えば銅、アルミニウム、銀、その他の金属または合金である。
【0042】
ステップS20は、
図1、
図3及び
図4に示すように、複数本の金属糸10の複数の第一の交絡部13を複数本の金属糸10の複数の第二の交絡部14に交絡することで、形状が広くて薄く、且つ平坦なマルチフィラメント糸体20を編み、各第一の交絡部13の両端が、それぞれ第二の交絡部14に接続され、これらの第一の交絡部13が互に平行し、これらの第二の交絡部14が互に平行し、且つこれらの第一の交絡部13とこれらの第二の交絡部14との延在方向が異なる。好ましくは、これらの金属糸10の本数は、7本である。
【0043】
ステップS30は、
図1及び
図5に示すように、複数本の経糸30を2本のマルチフィラメント糸体20と間隔をあけて織機(不図示)に設置させ、これらの経糸30とこれらのマルチフィラメント糸体20の両端とを織機に固定することで、これらの経糸30を、これらのマルチフィラメント糸体20と直線的に延びて且つ互に平行させる。そして、各マルチフィラメント糸体20とその両側の経糸30の距離D1は、これらの経糸30同士間の距離D2よりも大きい。
【0044】
ステップS40は、
図1及び
図6に示すように、織機を利用して複数本の緯糸40をこれらの経糸30とこれらのマルチフィラメント糸体20との間に交絡することで、基材50を編む。そして、これらの緯糸40には、各マルチフィラメント糸体20の第一側21から、各マルチフィラメント糸体20の第一側21に最も近い経糸30までの領域が第一の弾性調整領域61に設定され、各マルチフィラメント糸体20の第二側22から、各マルチフィラメント糸体20の第二側22に最も近い経糸30までの領域が第二の弾性調整領域62に設定される。
【0045】
ステップS50は、
図1及び
図7に示すように、基材50を、樹脂タンク70内の樹脂溶液71に浸漬することで、樹脂をこれらのマルチフィラメント糸体20、これらの経糸30、及びこれらの緯糸40に吸着し接着させる。
【0046】
ステップS60は、
図1及び
図8に示すように、第一のベークプレート81と第二のベークプレート82の温度を利用して基材50上の樹脂の水分及び揮発性物質を除去して、基材50を乾燥する。そして、樹脂を基材50に浸透させて、これらのマルチフィラメント糸体20、これらの経糸30及びこれらの緯糸40に付着させることで樹脂固形層(不図示)を形成する。
【0047】
ステップS70は、
図1及び
図9に示すように、基材50を第一の金型91と第二の金型92との間に置き、且つこれらのマルチフィラメント糸体20と、第一の金型91の二つの溝911及び第二の金型92の二つの溝921との位置を合わせて、第一の金型91が第二の金型92と型締めされると、第一の金型91の圧着面912と第二の金型92の成形面922は、共同で基材50に加圧され、ダンパ200の本体210の複数の波状部211(
図10参照)及び中心孔プレカット領域212を形成し、各波状部211は、ピーク2111と、谷2112とを含み、そして、これらのマルチフィラメント糸体20は、第一の金型91のこれらの溝911と第二の金型92のこれらの溝921に位置し、且つ圧着面912は、成形面922と共同でこれらのマルチフィラメント糸体20に加圧されることで、2本の形状が広くて薄く、且つ平坦な導電構造220(
図10参照)を形成する。そして、加熱装置(不図示)は、第一の金型91と第二の金型92を190~270℃に加熱し、第一の金型91と第二の金型92の高温によって樹脂を軟化し、樹脂を液体に融けるだけでなく、さらに樹脂に間隙を埋めさせることができ、樹脂の各部分を接続して樹脂固形層の最終形態を形成して、本体210のこれらの経糸30、これらの緯糸40及びこれらの導電構造220の表面に被覆することができる。
【0048】
ステップS80は、
図1及び
図10に示すように、第一のカッタ110と第二のカッタ120で共同で本体210と基材50とを分離すると同時に、第一のカッタ110と第二のカッタ120で、共同でこれらの導電構造220とこれらのマルチフィラメント糸体20とを分離する。
【0049】
ステップS90は、
図1及び
図11に示すように、ボンディングツール130が、これらの導電構造220の両端に半田付けをすることで、8つの半田部230を形成する。
【0050】
図12は、本発明のダンパ200の斜視図である。
図12に示すように、
図2から
図11を参照すると、本発明は、本体210と、4本の導電構造220と、8つの半田部230と、を含む形状が広くて薄く、且つ平坦な導電構造220を有するダンパ200が提供される。
【0051】
図6に示すように、本体210は、複数本の経糸30と複数本の緯糸40とを交絡することにより形成するものである。
【0052】
図6に示すように、各導電構造220の形状が広くて薄く、且つ平坦であり、これらの経糸30と間隔をあけて設置され、直線的に延びて互に平行し、これらの緯糸40と交絡される。具体的には、
図3及び
図4に示すように、各導電構造220は、形状が広くて薄く、且つ平坦なマルチフィラメント糸体20であり、マルチフィラメント糸体20は、複数本の金属糸10の複数の第一の交絡部13とこれらの金属糸10の複数の第二の交絡部14とを交絡することにより形成するものである。
図2に示すように、各金属糸10は、金属層11を芯線12の外面に被覆することにより形成するものである。
図3及び
図4に示すように、各第一の交絡部13の両端は、それぞれ第二の交絡部14に接続し、これらの第一の交絡部13は互に平行し、これらの第二の交絡部14は互に平行し、且つこれらの第一の交絡部13は、これらの第二の交絡部14との延在方向が異なる。
【0053】
図12に示すように、これらの半田部230は、それぞれ半田付けによりこれらの導電構造220の両端に形成される。
【0054】
図13は、本発明のスピーカー300の斜視図であり、
図14は、本発明のスピーカー300の分解図であり、
図15は、本発明のスピーカー300の断面図である。
図13、
図14及び
図15に示すように、本発明は、スピーカー本体310と、ボイスコイル320と、前記ダンパ200とを含むスピーカー300が提供される。スピーカー本体310は、ベース311と、磁気リターン装置312と、外枠313と、振動板314と、防塵カバー315と、エッジ316と、複数の接続端子317とを含む。磁気リターン装置312は、ベース311に設置され、ボイスコイル320は、磁気リターン装置312に設置され、そしてコイル321を有し、外枠313は、磁気リターン装置312の上方に設置され、振動板314は、ボイスコイル320に外嵌され、防塵カバー315は、振動板314の中心孔に設置され、エッジ316は、振動板314の上縁と外枠313との間に設置され、各接続端子317は、外枠313に設置され、そして接触点を有する。ダンパ200は、ボイスコイル320に外嵌される。これらの導電構造220の両端は、これらの半田部230によりそれぞれこれらの接続端子317のこれらの接触点とボイスコイル320のコイル321に結び付けられる。
【0055】
以上のように、本発明の方法は、これらの緯糸40を利用してこれらのマルチフィラメント糸体20を固定し、縫い糸を完全に必要とせず、製造ステップを減らし、ダンパ200の製造コストを低減させる。
【0056】
さらに、本発明の方法は、これらの緯糸40を利用してこれらのマルチフィラメント糸体20を固定することで、これらのマルチフィラメント糸体20を最適な位置に強固に固定することができる。熱プレス成形の過程で、これらのマルチフィラメント糸体20がずれないことを確保する。これらのマルチフィラメント糸体20が切断された後、これらの導電構造220が最適な位置にあることを確保し、さらにダンパ200、ボイスコイル320と振動板314の共振効率を向上させ、スピーカー300ごとの音質を一定に保つことができる。
【0057】
なお、これらの導電構造220がこれらの経糸30とこれらの緯糸40よりも硬く、これらの導電構造220の弾性と靭性がこれらの経糸30とこれらの緯糸40よりも悪いため、これらの導電構造220が通過する領域は、本体210の他の領域よりも硬く、これらの導電構造220が通過する領域の弾性と靭性は、本体210の他の領域よりも悪い。本発明のダンパ200は、これらの第一の弾性調整領域61とこれらの第二の弾性調整領域62に介し、共同でこれらの導電構造220が通過する領域の硬さ、弾性と靭性を調整することで、これらの導電構造220が通過する領域が柔らかくなり、より弾性があり、且つより靭性があるため、これらの導電構造220が通過する領域の硬さ、弾性と靭性は、本体210の他の領域と同等である。これにより、ダンパ200は、均一な硬さ、弾性及び靭性を有し、均一な弾性回復力及び耐疲労性を有し、変形や砕け散ることに強く、スピーカー300の出力音質を向上させる。
【0058】
また、これらの導電構造220の形状が広くて薄く、且つ平坦であり、且つこれらの金属糸10の編む方法に基づき、各金属糸10の第一の交絡部13と第二の交絡部14の上面及び底面は、ともに外部に露出し、他の金属糸10によって遮らなく、発生した熱が排出されやすくなり、熱が蓄積される問題がないため、これらの導電構造220が過熱しない。
【0059】
また、これらの導電構造220の形状が広くて薄く、且つ平坦であり、本体210の表面からわずかに突出しており、第一の金型91と第二の金型92に圧傷されるリスクが比較的に低い。念のため、第一の金型91と第二の金型92は、ともに複数の溝911、921を形成し、これらの溝911、921は、これらの導電構造220を保護し、これらの導電構造220が第一の金型91と第二の金型92によって圧傷されないことを確保することができる。これらの導電構造220が本体210の表面からわずかに突出するため、これらの溝911、921の深さを深く掘る必要がなく、金型の製造コストを下げる。
【0060】
また、これらの半田部230は、これらの導電構造220の末端の発散を防止することができるだけでなく、導電構造220の末端を接続端子317の接触点とボイスコイル320のコイル321に直接に結び付けられることができる。長期間使用しても、これらの半田部230による固定効果は、相変わらず変化しなく、これらの導電構造220の末端が接続端子317の接触点及びボイスコイル320のコイル321と分離されることがない。
【0061】
ちなみに、各金属糸10の内層は、芯線12であり、各金属糸10の外層は、金属層であり、コストを下げることができるだけでなく、一定の導電率を保つことができる。
【0062】
なお、これらの金属糸10の編む方法に基づき、これらの金属糸10の本数は、7本(最低本数)だけでマルチフィラメント糸体20を編み、2本の導電構造220に切断することができるため、製造コストが比較的に低い。
【0063】
以上に述べたものは、本発明の好ましい実施例を解釈するためのものであり、本発明をいかなる形で制限しようとするものではないため、同じ発明精神で行われた本発明に関するいかなる修飾又は変更は、いずれも本発明の意図的保護の範疇に含まれるべきである。
【符号の説明】
【0064】
10 金属糸
11 金属層
12 芯線
13 第一の交絡部
14 第二の交絡部
20 マルチフィラメント糸体
21 第一側
22 第二側
30 経糸
40 緯糸
50 基材
61 第一の弾性調整領域
62 第二の弾性調整領域
70 樹脂タンク
71 樹脂溶液
81 第一のベークプレート
82 第二のベークプレート
91 第一の金型
911 溝
912 圧着面
92 第二の金型
921 溝
922 成形面
110 第一のカッタ
120 第二のカッタ
130 ボンディングツール
200 ダンパ
210 本体
211 波状部
2111 ピーク
2112 谷
220 導電構造
230 半田部
300 スピーカー
310 スピーカー本体
311 ベース
312 磁気リターン装置
313 外枠
314 振動板
315 防塵カバー
316 エッジ
317 接続端子
320 ボイスコイル
321 コイル
D1、D2 距離
S10~S90 ステップ