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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024167066
(43)【公開日】2024-11-29
(54)【発明の名称】風味付与増強剤
(51)【国際特許分類】
   A23L 27/00 20160101AFI20241122BHJP
   A23L 27/10 20160101ALI20241122BHJP
   A23L 23/00 20160101ALI20241122BHJP
   A23L 5/00 20160101ALI20241122BHJP
   A23L 5/10 20160101ALI20241122BHJP
【FI】
A23L27/00 Z
A23L27/10 B
A23L23/00
A23L5/00 H
A23L5/10 A
【審査請求】未請求
【請求項の数】9
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2024078308
(22)【出願日】2024-05-14
(31)【優先権主張番号】P 2023093551
(32)【優先日】2023-05-19
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(71)【出願人】
【識別番号】000210067
【氏名又は名称】池田食研株式会社
(72)【発明者】
【氏名】松尾 拓俊
(72)【発明者】
【氏名】上崎 英範
【テーマコード(参考)】
4B035
4B036
4B047
【Fターム(参考)】
4B035LC01
4B035LE03
4B035LG17
4B035LG19
4B035LG42
4B035LK01
4B035LP01
4B035LP21
4B035LP22
4B036LC01
4B036LF01
4B036LG05
4B036LH09
4B036LH10
4B036LH37
4B036LK01
4B036LP01
4B036LP07
4B047LB09
4B047LE01
4B047LF08
4B047LF10
4B047LG21
4B047LG54
4B047LG60
4B047LG62
4B047LP01
4B047LP05
(57)【要約】
【課題】 本発明は、飲食品に風味を付与又は飲食品の風味を増強することができ、原料由来の生臭みが抑えられ、濁りが少ない風味付与増強剤及びその製造方法、風味付与増強方法、並びに該風味付与増強剤を含む飲食品を提供することを目的とする。
【解決手段】 魚介類エキス及び還元糖を含む混合液を加熱することで、該混合液の加熱物を有効成分とする風味付与増強剤が得られることを見出し、本発明を完成した。
【選択図】なし
【特許請求の範囲】
【請求項1】
魚介類エキス及び還元糖を含む混合液であって、魚介類エキスの固形分を1とする場合に、還元糖の固形分が0.18以上である混合液の加熱物を有効成分とする、風味付与増強剤。
【請求項2】
焦がし風味を有する加熱物である、請求項1記載の風味付与増強剤。
【請求項3】
0.05重量%水溶液とした際の濁度(OD660nm)が0.03以下である、請求項1又は2記載の風味付与増強剤。
【請求項4】
魚介類エキスの固形分を1とする場合に、還元糖の固形分が0.18以上となる混合比で混合した、魚介類エキス及び還元糖を含む混合液を加熱することを特徴とする、風味付与増強剤の製造方法。
【請求項5】
飲食品に、魚介類エキス及び還元糖を含む混合液であって、魚介類エキスの固形分を1とする場合に、還元糖の固形分が0.18以上である混合液の加熱物を添加することを特徴とする、飲食品の風味付与増強方法。
【請求項6】
焦がし風味を有する加熱物を添加する、請求項5記載の風味付与増強方法。
【請求項7】
0.05重量%水溶液とした際の濁度(OD660nm)が0.03以下である加熱物を添加する、請求項5又は6記載の風味付与増強方法。
【請求項8】
請求項1又は2記載の風味付与増強剤を含む、飲食品。
【請求項9】
請求項1又は2記載の風味付与増強剤を飲食品に添加することを特徴とする、飲食品の製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は風味付与増強剤及びその製造方法、風味付与増強方法、並びに該風味付与増強剤を含む飲食品等に関する。
【背景技術】
【0002】
魚介類を水で抽出した抽出物を原料として、原料特有の生臭みを抑えた魚介類エキスの製造方法として、特許文献1には、該原料に対してグルコースとしての添加量が固形物換算で0.1%~25%となるように、グルコースを含有する素材を添加する工程と、好気条件下で微生物由来のグルコース酸化酵素を用いて酵素処理する工程とを含むことを特徴とする魚介類エキスの製造方法が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特許第6019527号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明は、飲食品に風味を付与又は飲食品の風味を増強することができ、原料由来の生臭みが抑えられ、濁りが少ない風味付与増強剤及びその製造方法、風味付与増強方法、並びに該風味付与増強剤を含む飲食品を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
発明者らは、魚介類エキス及び還元糖を含む混合液を加熱することで、該混合液の加熱物を有効成分とする風味付与増強剤が得られることを見出し、本発明を完成した。
【0006】
すなわち、本発明は、以下の[1]~[9]の構成からなる。
[1]魚介類エキス及び還元糖を含む混合液であって、魚介類エキスの固形分を1とする場合に、還元糖の固形分が0.18以上である混合液の加熱物を有効成分とする、風味付与増強剤。
[2]焦がし風味を有する加熱物である、[1]記載の風味付与増強剤。
[3]0.05重量%水溶液とした際の濁度(OD660nm)が0.03以下である、[1]又は[2]記載の風味付与増強剤。
[4]魚介類エキスの固形分を1とする場合に、還元糖の固形分が0.18以上となる混合比で混合した、魚介類エキス及び還元糖を含む混合液を加熱することを特徴とする、風味付与増強剤の製造方法。
[5]飲食品に、魚介類エキス及び還元糖を含む混合液であって、魚介類エキスの固形分を1とする場合に、還元糖の固形分が0.18以上である混合液の加熱物を添加することを特徴とする、飲食品の風味付与増強方法。
[6]焦がし風味を有する加熱物を添加する、[5]記載の風味付与増強方法。
[7]0.05重量%水溶液とした際の濁度(OD660nm)が0.03以下である加熱物を添加する、[5]又は[6]記載の風味付与増強方法。
[8][1]又は[2]記載の風味付与増強剤を含む、飲食品。
[9][1]又は[2]記載の風味付与増強剤を飲食品に添加することを特徴とする、飲食品の製造方法。
【発明の効果】
【0007】
本発明によって、原料由来の生臭みが抑えられた風味付与増強剤を提供できるようになり、飲食品に風味を付与又は飲食品の風味を増強することができる。また、本発明の風味付与増強剤を使用することで、飲食品の風味を改善できると共に、濁りにより経時的に発生するオリの発生を抑える等して、価値を高めた飲食品を提供できるようになった。
【発明を実施するための形態】
【0008】
本発明の風味付与増強剤は、魚介類エキス及び還元糖を含む混合液を加熱することで得られる、魚介類エキス加熱物であって、飲食品に添加することで、飲食品に風味を付与又は飲食品の風味を増強することができる。
【0009】
本発明に記載の魚介類エキスは、魚類、貝類等の魚介類から抽出し固液分離して得られた抽出液であればよく、カツオ、マグロ、サバ、イワシ等の赤身魚、タイ、トビウオ等の白身魚、ホタテ、イカ、タコ等が例示でき、ボイル、蒸す等、蒸煮により抽出したエキスが好ましく、抽出後に濃縮したエキスがより好ましく、市販のエキスを使用できる。魚介類エキスのBrixは特に限定されないが、Brix40°以上が好ましく、50°以上がより好ましく、55°以上がさらに好ましく、60°又は65°以上が特に好ましく、Brixの上限は85°以下、80°以下又は75°以下が好ましい。Brixは、20℃のショ糖溶液の質量百分率に相当する値であって、市販の糖度計を使用して測定できる。
【0010】
本発明に記載の還元糖は、還元性を有する糖質を含む糖質であれば特に限定されず、ブドウ糖、果糖等の単糖類、砂糖、麦芽糖等の二糖類、水あめ、果糖ぶどう糖液糖、砂糖混合ぶどう糖果糖液糖、グルコオリゴ糖シラップ、イソマルトオリゴ糖、異性化液糖、液状デキストリン等が例示でき、それらの群から選ばれる1種以上を用いることができる。本発明では、還元糖を用いることによってアミノカルボニル反応が生じることで、本発明の風味付与増強剤となるため、糖アルコールの様な、還元性を有する糖質ではない場合、本発明の風味付与増強剤は得られない。
【0011】
本発明では、魚介類エキス及び還元糖を含む混合液を加熱すればよく、魚介類エキスと還元糖の混合比は、魚介類エキスの固形分を1とする場合に、還元糖の固形分が0.18以上であればよく、本発明の風味付与増強剤が得られれば特に限定されないが、15以下が好ましく、0.20~13がより好ましく、0.23~10がさらに好ましく、0.25~8が特に好ましく、該混合液を加熱することで、濁りが少ない本発明の風味付与増強剤が得られる。魚介類エキスの固形分を1とする場合に、還元糖の固形分が0.16以下の混合液を使用した場合、加熱後に、濁りが強く、本発明の風味付与増強剤が得られない。また、加熱前の混合液のpH調整の有無は限定されないが、調整する場合は、例えば水酸化ナトリウム、アンモニア等で、例えばpH5.5~8.5又はpH6.0~8.0に調整してもよい。
【0012】
本発明の加熱条件は、本発明の風味付与増強剤が得られれば特に限定されず、加圧加熱、直火加熱、誘導加熱等で加熱すればよく、通常の加熱設備が利用でき、減圧釜、加圧釜等の密閉釜、直火釜、誘導加熱装置等が例示できるが、密閉条件下で加熱するのが好ましく、例えば魚介類エキス及び還元糖を釜に投入して加熱を開始することができ、さらに水を添加してもよく、加熱温度は本発明の風味付与増強剤が得られるように適宜設定できるが、100~150℃が好ましく、105~140℃がより好ましく、110~130がさらに好ましく、加熱時間は適宜設定できるが、10分~5時間が好ましく、20分~4時間がより好ましく、30分~3時間がさらに好ましい。
【0013】
上記工程を含むことにより、魚介類エキス加熱物が得られ、該加熱物を有効成分とする本発明の風味付与増強剤を得ることができ、該風味付与増強剤は、原料とする魚介類エキスの生臭みが抑えられ、また該魚介類エキスより酸味及び塩味が強くなっており、かつ該魚介類エキスでは感じられなかった焦がし風味及び苦味が付与されている。本発明の風味付与増強剤は、Brix20~85°が好ましく、Brix30~80°がより好ましく、Brix40~75°がさらに好ましく、Brix50°以上が特に好ましく、加熱後にBrixを前記範囲に調整してもよい。また、pHは特に限定されないが、加熱前より低下しており、pH7.0以下が好ましく、例えば、pH2.5~6.5が例示でき、pH3.0~6.0が好ましく、pH3.5~5.5がより好ましく、pH5.0以下又は5.0未満がさらに好ましく、加熱前のpHより0.5以上低下するのが好ましく、0.6以上低下するのがより好ましく、0.7以上低下するのがさらに好ましく、0.8以上低下するのが特に好ましい。また、濁りが少ないのが好ましく、0.05重量%水溶液とした際の濁度(OD660nm)が0.03以下であるのが好ましく、0.025以下であるのがより好ましく、0.02以下であるのがさらに好ましい。なお、本発明の濁度とは、波長660nmにおけるOD(Optical Density)を表し、常法に従い、一般の分光光度計で測定することができる。本発明では、魚介類エキス及び還元糖を含む混合液を加熱することで、加熱後の魚介類エキス加熱物においては、濁りが少ないため、風味付与増強剤として、濁りが好まれない飲食品に広く利用でき、添加した場合に、濁りにより経時的に発生するオリの発生を抑える等して、価値を高めた飲食品を提供できる。
【0014】
本発明の風味付与増強剤は、麺つゆ、だし、鍋つゆ、漬物の素、パスタソース、三杯酢、ドレッシング等、各種調味液、スープ等の飲食品に広く利用できる。各飲食品に添加することにより、好ましい風味等を付与及び/又は増強することができ、また飲食品の濁度に影響を与えにくく、オリの発生を抑えた飲食品を製造することができる。本発明の風味付与増強剤は、飲食品の風味を増強する効果を有し、用途は特に限定されないが、飲食品が本来保有する風味の増強用に使用するのが好ましく、調味液・スープ用に使用するのが好ましく、例えば、魚介風味の調味液、しょう油味の調味液、発酵系調味液、酸性調味液等、又はスープ等において、魚介風味、くん感、酸味、厚み、しょう油風味、コク、塩味等を増強し、煮込み感を付与し、全体の味のバランスを向上させることができる。各飲食品等への添加量は特に限定されないが、好ましくは0.001~5重量%、より好ましくは0.005~3重量%、さらに好ましくは0.01~1重量%である。
【実施例0015】
以下、実施例を示して本発明を具体的に説明するが、本発明は以下の例によって限定されるものではない。尚、本発明において、%は別記がない限り全て重量%である。
【0016】
[実施例1]
(風味付与増強剤の調製)
魚介類エキスとして市販のカツオエキス(Brix66°)、カツオエキス(Brix56°)、マグロエキス(Brix74.5°)、ホタテエキス(Brix42.2°)又はイカエキス(Brix41.1°)と、還元糖としてイソマルトオリゴ糖(Brix75°)又は水飴(Brix70°)とを混合し、水酸化ナトリウムによるpH調整有り又は無しで、密閉釜に投入し、密閉条件で加熱し、各温度に達温後、各時間で加熱した後、回収し、100メッシュ(目開き:0.149mm)パスした。尚、各原料及び条件は、表1に従った(実施例1-1~1-15)。原料とする魚介類エキスと還元糖との混合比及び各固形分を表1に記載し、さらに、加熱前の魚介類エキスの固形分あたりの糖質の固形分を算出し、固形分比:糖質/魚介類エキスとして、表1に示した。尚、pH調整有りの場合の加熱前のpHは7.5、pH調整無しの場合の加熱前のpHは5.0~5.6だった。
【0017】
[比較例1]
実施例1と同じ原料である市販のカツオエキス(Brix66°)と水飴(Brix70°)とを使用して混合し、密閉釜に投入し、密閉条件で加熱し、115℃に達温後、120分間加熱した後、回収し、100メッシュ(目開き:0.149mm)パスしたが、目詰まりが発生した(比較例1-1)。また、実施例1記載の還元糖の代わりに、糖アルコールであるアマミール(登録商標)(Brix70°)を使用し、その他は、実施例1-9と同様に処理し、回収し、100メッシュ(目開き:0.149mm)パスしたが、目詰まりが発生した(比較例1-2)。尚、各原料及び条件は、表1に従った(比較例1-1又は1-2)。原料とする魚介類エキスと糖との混合比及び各固形分を表1に記載し、さらに、加熱前の魚介類エキスの固形分あたりの糖質の固形分を算出し、固形分比:糖質/魚介類エキスとして、表1に示した。尚、加熱前の比較例1-1又は1-2のpHは、pH5.62又はpH5.70だった。
【0018】
[評価試験1]
実施例1-1~1-15、並びに比較例1-1及び1-2の加熱後の各サンプルのpH、Brix及び濁りの評価として濁度を測定し、表1に記載した。濁度については、各加熱品を0.05重量%水溶液とした際の濁度(OD660nm)を、分光光度計(U-2000:日立製作所製)を用いて、光路長1cm、波長660nmの条件で測定した。尚、比較例1-1及び1-2は、メッシュパス後に目詰まりが発生したため、濁度の測定は実施しなかった。また、官能評価として、加熱後の酸味、塩味、焦がし風味及び苦味について加熱前との比較を行った。加熱前に比べて、酸味、塩味、焦がし風味又は苦味が、同じものを「-」、やや強いものを「+」、強いものを「++」、非常に強いものを「+++」として、結果を表1に示した。
【0019】
【表1】
【0020】
実施例1-1~1-15では、魚介類エキス及び還元糖を含む混合液を加熱することで、加熱前と比較してpHが低下し、また、加熱前に比べて、酸味及び塩味が強く感じられ、かつ加熱前では感じられなかった焦がし風味及び苦味が強く感じられる魚介類エキス加熱物が得られることが分かった。一方、比較例1-1では、加熱前と比較してpHの低下幅は小さく、塩味及び焦がし風味は加熱前と同等だった。また、非還元糖である糖アルコールを使用した比較例1-2では、加熱前と比較してpHはあまり低下せず、酸味、塩味、焦がし風味及び苦味の何れも加熱前と同等だった。また、比較例1-1及び1-2は、何れも、加熱後のメッシュパスで詰まりが生じたことから、濁りがひどいことが分かった。尚、加熱前に感じられる原料エキス由来の生臭みは、何れのサンプルでも加熱処理後は感じられなかった。
【0021】
以上から、魚介類エキスの固形分あたりの糖質の固形分が0.16の混合液を使用した場合や、糖質として糖アルコールを使用した場合では、本発明の魚介類エキス加熱物は得られないことが分かった。
【0022】
[実施例2]
(風味付与増強効果の確認)
鰹だし(池田糖化工業株式会社製)を水道水で10倍に希釈した液に、実施例1-11で得られた魚介類エキス加熱物を、喫食時固形分0.08%になるように添加して実施品とし、以下の6項目について、専門パネラー13名で官能評価を行った。尚、比較品として、実施例1-11と同じ原料を同じ配合比で混合したのち、加熱処理を行わなかったカツオエキスと還元糖との混合液を使用し、前記と同様に鰹だしに添加して、評価した。
【0023】
評価は、実施品又は比較品添加前の鰹だし希釈液をブランクとし、ブランクと比較して、非常に強い:2点、強い:1点、同程度:0点、弱い:-1点、とても弱い:-2点とし、パネルの平均を評点として表2に示した。
【0024】
【0025】
表2に示す通り、実施例1-11の魚介類エキス加熱物を添加した実施品は、比較品と比較して、くん感、カツオの肉感、酸味、厚み及びバランスの何れもで強度が向上しており、また、生臭みは強度が低下していた。特に、くん感は有意に強度が向上していた。
【0026】
[実施例3]
麺つゆに、実施例1-11で得られた魚介類エキス加熱物を、喫食時固形分0.08%になるように添加したところ、しょうゆ感、コク及び厚みが増した麺つゆとなった。
【0027】
[実施例4]
しょうゆラーメンスープに、実施例1-11で得られた魚介類エキス加熱物を、喫食時固形分0.1%になるように添加したところ、塩味及びくん感が増したスープとなり、全体の味が濃くなったように感じられた。
【0028】
[実施例5]
市販のキムチ鍋の素を5倍希釈し、実施例1-11で得られた魚介類エキス加熱物を、喫食時固形分0.1%になるように添加したところ、キムチの酸味及びコクが増した風味となり、煮込み感も付与されていた。
【0029】
[実施例6]
調味酢である市販の三杯酢を5倍希釈し、実施例1-11で得られた魚介類エキス加熱物を、喫食時固形分0.1%になるように添加したところ、コクが増し、全体の味のバランスも良くなった。
【0030】
以上から、魚介類エキスと還元糖との混合液を加熱することで得られる魚介類エキス加熱物を各種飲食品に添加することで、飲食品の各種風味を増強したり、好ましい風味を付与したりすることで、風味を改善でき、該魚介類エキス加熱物を風味付与増強剤として利用できることが分かった。