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  • 特開-ポリアミド系樹脂発泡粒子 図1
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024016707
(43)【公開日】2024-02-07
(54)【発明の名称】ポリアミド系樹脂発泡粒子
(51)【国際特許分類】
   C08J 9/16 20060101AFI20240131BHJP
   C08L 77/00 20060101ALI20240131BHJP
【FI】
C08J9/16 CFG
C08L77/00
【審査請求】未請求
【請求項の数】8
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022119017
(22)【出願日】2022-07-26
(71)【出願人】
【識別番号】000131810
【氏名又は名称】株式会社ジェイエスピー
(74)【代理人】
【識別番号】110002620
【氏名又は名称】弁理士法人大谷特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】山中 諒
【テーマコード(参考)】
4F074
4J002
【Fターム(参考)】
4F074AA71
4F074AA72
4F074AA98
4F074AB03
4F074AB05
4F074AC02
4F074AC11
4F074AC13
4F074AC32
4F074AD15
4F074AG03
4F074AG06
4F074AG20
4F074BA31
4F074BA32
4F074BA34
4F074BA95
4F074BC04
4F074BC12
4F074CA34
4F074CA39
4F074CA42
4F074CA49
4F074CC04Y
4F074CC12Z
4F074CC22X
4F074CC32X
4F074CC32Y
4F074CC32Z
4F074CC34X
4F074CC34Y
4F074CC34Z
4F074CC47Z
4F074DA02
4F074DA03
4F074DA12
4F074DA35
4F074DA47
4J002CL01W
4J002CL03W
4J002CL03X
4J002CL05W
4J002DA036
4J002DJ040
4J002FD096
4J002GN00
4J002GQ00
(57)【要約】
【課題】型内成形時の成形サイクルを短縮できるポリアミド系樹脂発泡粒子を提供する。
【解決手段】ポリアミド系樹脂Aとポリアミド系樹脂Bとの混合樹脂を基材樹脂とするポリアミド系樹脂発泡粒子であって、前記ポリアミド系樹脂Aが脂肪族ポリアミドであり、前記ポリアミド系樹脂Bがキシリレン基含有ポリアミド系樹脂であり、前記ポリアミド系樹脂Aと前記ポリアミド系樹脂Bとの質量比(ポリアミド系樹脂A:ポリアミド系樹脂B)が97:3~60:40である、ポリアミド系樹脂発泡粒子。
【選択図】なし
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ポリアミド系樹脂Aとポリアミド系樹脂Bとの混合樹脂を基材樹脂とするポリアミド系樹脂発泡粒子であって、
前記ポリアミド系樹脂Aが脂肪族ポリアミドであり、
前記ポリアミド系樹脂Bがキシリレン基含有ポリアミド系樹脂であり、
前記ポリアミド系樹脂Aと前記ポリアミド系樹脂Bとの質量比(ポリアミド系樹脂A:ポリアミド系樹脂B)が97:3~60:40である、ポリアミド系樹脂発泡粒子。
【請求項2】
前記ポリアミド系樹脂Bの275℃、荷重0.325kgにおけるメルトフローレイトが5g/10分以下である、請求項1に記載のポリアミド系樹脂発泡粒子。
【請求項3】
前記発泡粒子がカーボンブラックを含む、請求項1に記載のポリアミド系樹脂発泡粒子。
【請求項4】
前記ポリアミド系樹脂Aの融点(TmA)が180℃を超え250℃以下である、請求項1に記載のポリアミド系樹脂発泡粒子。
【請求項5】
前記ポリアミド系樹脂Aの融点(TmA)と前記ポリアミド系樹脂Bの融点(TmB)との差(TmB-TmA)が30℃以上100℃以下である、請求項1に記載のポリアミド系樹脂発泡粒子。
【請求項6】
前記発泡粒子の見掛け密度が10kg/m以上300kg/m以下である、請求項1に記載のポリアミド系樹脂発泡粒子。
【請求項7】
前記発泡粒子の独立気泡率が70%以上である、請求項1に記載のポリアミド系樹脂発泡粒子。
【請求項8】
請求項1~7のいずれか1項に記載のポリアミド系樹脂発泡粒子を型内成形してなる、ポリアミド系樹脂発泡粒子成形体。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ポリアミド系樹脂発泡粒子に関する。
【背景技術】
【0002】
ポリアミド系樹脂は、耐熱性が高く、また耐摩耗性、耐薬品性等にも優れたプラスチックとして知られている。このポリアミド系樹脂を発泡させた発泡成形体は、耐熱性、耐摩耗性、耐薬品性等の優れた特性を保ちつつ、軽量化を図ることができることから、自動車部品、電気製品等での更なる用途展開が期待されている。
【0003】
例えば、特許文献1には、ポリアミド系樹脂を含み、X線回折プロフィールにおいて最も狭いピーク幅を有するピークに基づいて算出したとき、結晶子サイズDが特定値以上であり、結晶化度Xが特定の範囲である、ポリアミド系樹脂発泡成形体が開示され、耐熱性及び遮音性に優れたポリアミド系樹脂発泡成形体を工業的に提供することができると記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】国際公開第2016/147582号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ポリアミド系樹脂は、その軟化温度の高さゆえに、型内発泡時にポリスチレン系樹脂に比べて高い成形圧を必要とする傾向にある。そのため、成形コストが高くなり、成形サイクルが長くなるという課題があった。
【0006】
特許文献1では、ポリアミド系樹脂発泡成形体の成形サイクルについて検討されておらず、ポリアミド系樹脂発泡成形体の成形サイクルの短縮について改善の余地があった。
【0007】
本発明が解決しようとする課題は、型内成形時の成形サイクルを短縮できるポリアミド系樹脂発泡粒子を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明者は、ポリアミド系樹脂発泡粒子が、前記課題を解決できることを見出した。
すなわち、本発明は、以下のとおりである。
<1> ポリアミド系樹脂Aとポリアミド系樹脂Bとの混合樹脂を基材樹脂とするポリアミド系樹脂発泡粒子であって、前記ポリアミド系樹脂Aが脂肪族ポリアミドであり、前記ポリアミド系樹脂Bがキシリレン基含有ポリアミド系樹脂であり、前記ポリアミド系樹脂Aと前記ポリアミド系樹脂Bとの質量比(ポリアミド系樹脂A:ポリアミド系樹脂B)が97:3~60:40である、ポリアミド系樹脂発泡粒子。
<2> 前記ポリアミド系樹脂Bの275℃、荷重0.325kgにおけるメルトフローレイトが5g/10分以下である、<1>に記載のポリアミド系樹脂発泡粒子。
<3> 前記発泡粒子がカーボンブラックを含む、<1>又は<2>に記載のポリアミド系樹脂発泡粒子。
<4> 前記ポリアミド系樹脂Aの融点(TmA)が180℃を超え250℃以下である、<1>~<3>のいずれか1つに記載のポリアミド系樹脂発泡粒子。
<5> 前記ポリアミド系樹脂Aの融点(TmA)と前記ポリアミド系樹脂Bの融点(TmB)との差(TmB-TmA)が30℃以上100℃以下である、<1>~<4>のいずれか1つに記載のポリアミド系樹脂発泡粒子。
<6> 前記発泡粒子の見掛け密度が10kg/m以上300kg/m以下である、<1>~<5>のいずれか1つに記載のポリアミド系樹脂発泡粒子。
<7> 前記発泡粒子の独立気泡率が70%以上である、<1>~<6>のいずれか1つに記載のポリアミド系樹脂発泡粒子。
<8> <1>~<7>のいずれか1つに記載のポリアミド系樹脂発泡粒子を型内成形してなる、ポリアミド系樹脂発泡粒子成形体。
【発明の効果】
【0009】
本発明によれば、型内成形時の成形サイクルを短縮できるポリアミド系樹脂発泡粒子を提供できる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
図1】ポリアミド系樹脂発泡粒子の1回目のDSC曲線を例示する図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
[発泡粒子]
本発明のポリアミド系樹脂発泡粒子(以下、単に「ポリアミド系樹脂発泡粒子」又は「発泡粒子」ともいう)は、ポリアミド系樹脂Aとポリアミド系樹脂Bとの混合樹脂を基材樹脂とするポリアミド系樹脂発泡粒子であって、前記ポリアミド系樹脂Aが、脂肪族ポリアミドであり、前記ポリアミド系樹脂Bが、キシリレン基含有ポリアミド系樹脂であり、前記ポリアミド系樹脂Aと前記ポリアミド系樹脂Bとの質量比(ポリアミド系樹脂A:ポリアミド系樹脂B)が97:3~60:40である。
【0012】
<基材樹脂>
(ポリアミド系樹脂A)
本発明のポリアミド系樹脂発泡粒子の基材樹脂となる混合樹脂を構成するポリアミド系樹脂Aは、脂肪族ポリアミドである。脂肪族ポリアミドとしては、脂肪族ホモポリアミド、脂肪族ポリアミド共重合体、及びこれらの混合物が挙げられる。ポリアミド共重合体とは、2種以上の繰り返し単位を有し、それぞれの繰り返し単位の少なくとも一部にアミド結合を有するものを意味する。
脂肪族ホモポリアミドとしては、例えば、ポリ(カプロラクタム)としても知られるポリ(6-アミノヘキサン酸)(ポリカプロアミド、ナイロン6)、ポリ(ラウロラクタム)(ナイロン12)、ポリ(ヘキサメチレンアジパミド)(ナイロン66)、ポリ(7-アミノヘプタン酸)(ナイロン7)、ポリ(8-アミノオクタン酸)(ナイロン8)、ポリ(9-アミノノナン酸)(ナイロン9)、ポリ(10-アミノデカン酸)(ナイロン10)、ポリ(11-アミノウンデカン酸)(ナイロン11)、ポリ(ヘキサメチレンセバカミド)(ナイロン610)、ポリ(デカメチレンセバカミド)(ナイロン1010)、ポリ(ヘキサメチレンアゼラミド)(ナイロン69)、ポリ(テトラメチレンアジパミド)(ナイロン46)、ポリ(テトラメチレンセバカミド)(ナイロン410)、ポリ(ペンタメチレンアジパミド)(ナイロン56)、及びポリ(ペンタメチレンセバカミド)(ナイロン510)等が挙げられる。
脂肪族ポリアミド共重合体としては、例えば、ポリカプロアミド/ポリヘキサメチレンアジパミドコポリマー(ナイロン6/66)、カプロラクタム/ヘキサメチレンジアミノアジピン酸/ラウリルラクタム(ナイロン6/66/12)、カプロラクタム/ラウリルラクタム共重合体(ナイロン6/12)等が挙げられる。
ポリアミド系樹脂Aは、1種単独で用いてもよく、2種以上を組み合わせて用いてもよく、脂肪族ホモポリアミドと脂肪族ポリアミド共重合体との混合物であってもよい。
これらの中でも、ポリアミド系樹脂Aは、ナイロン6、ナイロン66、ナイロン6/66、及びナイロン6/66/12からなる群より選択される1種以上であることが好ましく、ナイロン6/66及びナイロン6/66/12からなる群より選択される1種以上であることがより好ましい。
【0013】
ポリアミド共重合体は、ある一定量同じ繰り返し単位のアミドが続いた後に異なる種類のアミドがある一定量続くブロック共重合体であっても、異なる種類のアミドがそれぞれランダムに繰り返すランダム共重合体であってもよいが、ランダム共重合体であることが好ましい。ポリアミド共重合体がランダム共重合体であれば、発泡粒子を型内成形する際に比較的低い成形圧力で成形することが可能となる。
【0014】
ポリアミド系樹脂Aは、分子鎖末端の官能基が封鎖されている末端封鎖ポリアミド系樹脂であることが好ましい。これにより、発泡粒子の製造過程での加水分解をより確実に抑制することができ、型内成形に耐えうる発泡粒子が得られやすくなるとともに、ポリアミド系樹脂発泡粒子成形体(以下、単に「発泡粒子成形体」、又は「成形体」ともいう)の耐久性が向上する。
上記分子鎖末端を封鎖するための末端封鎖剤としては、例えば、カルボジイミド化合物、オキサゾリン化合物、イソシアネート化合物、エポキシ化合物等を用いることができる。
これらの中でも、末端封鎖剤は、好ましくはカルボジイミド化合物である。カルボジイミド化合物としては、例えば、ビス(ジプロピルフェニル)カルボジイミド(例えば、ラインケミー社製「Stabaxol 1-LF」)等の芳香族モノカルボジイミド、芳香族ポリカルボジイミド(例えば、ラインケミー社製「Stabaxol P」、「Stabaxol P100」、「Stabaxol P400」等)、ポリ(4,4’-ジシクロヘキシルメタンカルボジイミド)等の脂肪族ポリカルボジイミド(例えば日清紡ケミカル株式会社製「カルボジライトLA-1」)等が挙げられる。これらの末端封鎖剤は単独で用いてもよく、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
末端封鎖剤の配合量は、基材樹脂中、好ましくは0.1質量%以上、より好ましくは0.5質量%以上であり、そして、好ましくは5質量%以下、より好ましくは3質量%である。
このように、ポリアミド系樹脂Aは、カルボジイミド化合物、エポキシ化合物、及びイソシアネート化合物からなる群より選ばれる1種以上の末端封鎖剤にて末端封鎖されたポリアミド系樹脂であることが好ましく、カルボジイミド化合物にて末端封鎖されたポリアミド系樹脂であることがより好ましく、芳香族ポリカルボジイミドにて末端封鎖されたポリアミド系樹脂であることが更に好ましい。
【0015】
(ポリアミド系樹脂B)
ポリアミド系樹脂Bは、キシリレン基含有ポリアミド系樹脂である。キシリレン基含有ポリアミド樹脂は、キシリレンジアミンを含むジアミンと、ジカルボン酸とを重縮合してなる重合体であり、キシリレンジアミンに由来する構成単位と、ジカルボン酸に由来する構成単位とを有する。キシリレン基含有ポリアミド樹脂は、ジアミンに由来する構成単位(ジアミン単位)のうち、キシリレンジアミンに由来する構成単位を、50モル%以上含有することが好ましく、70モル%以上含有することがより好ましく、80モル%以上含有することが更に好ましく、90モル%以上含有することがより更に好ましく、そして、100モル%含有してもよい。
キシリレンジアミンとしては、メタキシリレンジアミン及びパラキシリレンジアミンの少なくとも一方を含むことが好ましく、メタキシリレンジアミンを含むことがより好ましい。
キシリレン基含有ポリアミド樹脂を構成するジアミン単位は、メタキシリレンジアミン由来の構成単位を、50モル%以上含有することが好ましく、70モル%以上含有することがより好ましく、80モル%以上含有することが更に好ましく、90モル%以上含有することがより更に好ましく、そして、100モル%含有してもよい。
【0016】
キシリレン基含有ポリアミド樹脂におけるジアミン単位は、キシリレンジアミン由来の構成単位のみからなっていてもよいが、キシリレンジアミン以外のジアミン由来の構成単位を含有していてもよい。キシリレンジアミン以外のジアミンとしては、例えば、エチレンジアミン、テトラメチレンジアミン、ペンタメチレンジアミン、2-メチルペンタンジアミン、ヘキサメチレンジアミン、ヘプタメチレンジアミン、オクタメチレンジアミン、ノナメチレンジアミン、デカメチレンジアミン、ドデカメチレンジアミン、2,2,4-トリメチル-ヘキサメチレンジアミン、2,4,4-トリメチル-ヘキサメチレンジアミン等の直鎖又は分岐構造を有する脂肪族ジアミン;1,3-ビス(アミノメチル)シクロヘキサン、1,4-ビス(アミノメチル)シクロヘキサン、1,3-ジアミノシクロヘキサン、1,4-ジアミノシクロヘキサン、ビス(4-アミノシクロヘキシル)メタン、2,2-ビス(4-アミノシクロヘキシル)プロパン、ビス(アミノメチル)デカリン、ビス(アミノメチル)トリシクロデカン等の脂環式ジアミン;ビス(4-アミノフェニル)エーテル、パラフェニレンジアミン、メタフェニレンジアミン、ビス(アミノメチル)ナフタレン等の芳香環を有するジアミン類等が挙げられる。
【0017】
キシリレン基含有ポリアミド樹脂において、ジカルボン酸単位を構成しうる化合物としては、コハク酸、グルタル酸、アジピン酸、ピメリン酸、スベリン酸、アゼライン酸、セバシン酸、ウンデカン二酸、ドデカン二酸等の炭素数4以上20以下のα,ω-直鎖状脂肪族ジカルボン酸;1,4-シクロヘキサンジカルボン酸等の脂環式ジカルボン酸;ダイマー酸等のその他の脂肪族ジカルボン酸;テレフタル酸、イソフタル酸、オルソフタル酸、キシリレンジカルボン酸、ナフタレンジカルボン酸などの芳香族ジカルボン酸等が挙げられる。
これらの中でも、ジカルボン酸単位を構成しうる化合物としては、好ましくは炭素数4以上20以下のα,ω-直鎖状脂肪族ジカルボン酸であり、より好ましくはアジピン酸及びセバシン酸からなる群より選択される1種以上であり、更に好ましくはアジピン酸である。
キシリレン基含有ポリアミド樹脂は、ジカルボン酸に由来する構成単位(ジカルボン酸単位)のうち、アジピン酸由来の構成単位を、50モル%以上含有することが好ましく、70モル%以上含有することがより好ましく、80モル%以上含有することが更に好ましく、90モル%以上含有することがより更に好ましく、そして、100モル%含有してもよい。
【0018】
すなわち、ポリアミド系樹脂Bは、メタキシリレンジアミンに由来する構成単位を50モル%以上含有するジアミンに由来する構成単位と、アジピン酸に由来する構成単位を50モル%以上含有するジカルボン酸に由来する構成単位とを有することが好ましく、メタキシリレンジアミンに由来する構成単位を80モル%以上含有するジアミンに由来する構成単位と、アジピン酸に由来する構成単位を80モル%以上含有するジカルボン酸に由来する構成単位とを有することがより好ましく、メタキシリレンジアミンに由来する構成単位を90モル%以上含有するジアミンに由来する構成単位と、アジピン酸に由来する構成単位を90モル%以上含有するジカルボン酸に由来する構成単位とを有することが更に好ましく、そして、メタキシリレンジアミンに由来する構成単位を100モル%含有するジアミンに由来する構成単位と、アジピン酸に由来する構成単位を100モル%含有するジカルボン酸に由来する構成単位とを有していてもよい。
メタキシリレンジアミンを除く残部のジアミン単位としては、パラキシリレンジアミンに由来する構成単位が好ましい。
アジピン酸を除く残部のジカルボン酸単位としては、炭素数4以上20以下のα,ω-直鎖状脂肪族ジカルボン酸に由来する構成単位が好ましい。
【0019】
前記のジアミン及びジカルボン酸以外にも、キシリレン基含有ポリアミド樹脂を構成する成分として、本発明の効果を損なわない範囲で、ε-カプロラクタムやラウロラクタム等のラクタム類、アミノカプロン酸、アミノウンデカン酸等の脂肪族アミノカルボン酸類;p-アミノメチル安息香酸のような芳香族アミノカルボン酸も共重合成分として用いることができる。
【0020】
≪メルトフローレイト(MFR)≫
ポリアミド系樹脂Bの275℃、荷重0.325kgにおけるメルトフローレイト(MFR)は、成形サイクル短縮の観点から、好ましくは10g/10分以下、より好ましくは8g/10分以下、更に好ましくは5g/10分以下であり、そして、その下限は特に限定されないが、0.1g/10分以上である。ポリアミド系樹脂Bのメルトフローレイトは、JIS K7210-2:2014に基づき、試験温度275℃、公称荷重0.325kgにて測定される値である。なお、測定試料としては、含有水分量を1000質量ppm以下としたものを用いる。
【0021】
(ポリアミド系樹脂Aとポリアミド系樹脂Bとの質量比)
基材樹脂中のポリアミド系樹脂Aとポリアミド系樹脂Bとの質量比(ポリアミド系樹脂A:ポリアミド系樹脂B)は、97:3~60:40である。型内成形時の成形サイクルを短縮する観点から、ポリアミド系樹脂Bの質量比は、5質量%以上であることが好ましく、7質量%以上であることがより好ましく、10質量%以上であることが更に好ましい(ただし、基材樹脂中のポリアミド系樹脂Aの含有量とポリアミド系樹脂Bの含有量の合計を100質量%とする)。一方、成形体の収縮をより抑制する観点から、ポリアミド系樹脂Aの質量比は、70質量%以上であることが好ましく、75質量%以上であることがより好ましく、80質量%以上であることが更に好ましい(ただし、基材樹脂中のポリアミド系樹脂Aの含有量とポリアミド系樹脂Bの含有量の合計を100質量%とする)。
【0022】
(ポリアミド系樹脂Aの融点(TmA)及びポリアミド系樹脂Bの融点(TmB))
ポリアミド系樹脂Aの融点(TmA)及びポリアミド系樹脂Bの融点(TmB)は、以下の条件1にて得られる2回目のDSC曲線から求めることができる。
【0023】
条件1
JIS K7121-1987の熱流束示差走査熱量測定法に基づき、発泡粒子を試験片とし、加熱速度10℃/分にて30℃から融解ピーク終了時よりも30℃高い温度まで加熱溶融させる際に測定されるDSC曲線を1回目のDSC曲線とし、次いでその温度にて10分間保った後、冷却速度10℃/分にて30℃まで冷却し、再度、加熱速度10℃/分にて融解ピーク終了時よりも30℃高い温度まで加熱溶融させる際に測定されるDSC曲線を2回目のDSC曲線とする。なお、測定試料としては、含有水分量を1000質量ppm以下としたものを用いる。
【0024】
2回目のDSC曲線において、ポリアミド系樹脂A固有の融解ピーク(I)と、融解ピーク(I)よりも高温側にポリアミド系樹脂B固有の融解ピーク(III)とが現れる。前記2回目のDSC曲線の融解ピーク(I)の頂点の温度は発泡粒子を製造するための原料であるポリアミド系樹脂Aの融点(TmA)に相当し、2回目のDSC曲線の融解ピーク(III)の頂点の温度は発泡粒子を製造するための原料であるポリアミド系樹脂Bの融点(TmB)に相当する。融解ピーク(I)及び融解ピーク(III)は、1回目のDSC曲線にも2回目のDSC曲線にも現れる。融解ピーク(I)及び融解ピーク(III)の頂点の温度は、それぞれ1回目のDSC曲線と2回目のDSC曲線で多少異なる場合があるが、通常その差は5℃以下程度である。
【0025】
(差(TmB-TmA))
基材樹脂中のポリアミド系樹脂Aの融点(TmA)とポリアミド系樹脂Bの融点(TmB)との差(TmB-TmA)は、型内成形時における発泡粒子の二次発泡性及び融着性の観点から、好ましくは20℃以上、より好ましくは30℃以上、更に好ましくは35℃以上、より更に好ましくは40℃以上であり、そして、好ましくは100℃以下、より好ましくは80℃以下、更に好ましくは60℃以下、より更に好ましくは55℃以下である。ポリアミド系樹脂Aの融点(TmA)とポリアミド系樹脂Bの融点(TmB)との差(TmB-TmA)は、発泡粒子を試験片とする2回目のDSC曲線における、ポリアミド系樹脂Aの融点(TmA)とポリアミド系樹脂Bの融点(TmB)との差から求められる。
【0026】
≪融点(TmA)≫
ポリアミド系樹脂Aの融点(TmA)は、本発明のポリアミド系樹脂発泡粒子を相互に融着してなるポリアミド系樹脂発泡粒子成形体の耐熱性を向上する観点から、好ましくは150℃以上、より好ましくは160℃以上、更に好ましくは170℃以上、より更に好ましくは180℃を超え、そして、発泡粒子の融着性を向上する観点及び成形体の軽量性を向上する観点から、好ましくは250℃以下、より好ましくは230℃以下、更に好ましくは210℃以下、より更に好ましくは200℃以下、より更に好ましくは190℃以下である。
【0027】
≪融点(TmB)≫
ポリアミド系樹脂Bの融点(TmB)は、成形体の耐熱性を向上する観点から、好ましくは200℃以上、より好ましくは210℃以上、更に好ましくは220℃以上、より更に好ましくは230℃以上であり、そして、発泡粒子の融着性を向上する観点から、好ましくは270℃以下、より好ましくは260℃以下、更に好ましくは250℃以下、より更に好ましくは240℃以下である。
【0028】
前記条件1において、試験片として発泡粒子を用いた1回目のDSC曲線には、ポリアミド系樹脂A固有の融解ピーク(I)よりも高温側であり、樹脂粒子を発泡させて発泡粒子を得るまでの熱履歴により形成されるポリアミド系樹脂の二次結晶に起因する融解ピーク(II)が存在する場合がある。本明細書において、融解ピーク(II)を高温ピークという。高温ピーク(融解ピーク(II))は2つ以上存在する場合もある。また、高温ピーク(融解ピーク(II))は、2回目のDSC曲線には認められない。高温ピーク(融解ピーク(II))の頂点の温度は、試験片として発泡粒子を用いた1回目のDSC曲線において、融解ピーク(I)よりも高温側に現れる。また、ポリアミド系樹脂A固有の融解ピークの頂点の温度とポリアミド系樹脂B固有の融解ピークの頂点の温度との差にもよるが、高温ピーク(融解ピーク(II))の頂点の温度は、1回目のDSC曲線において、融解ピーク(I)と融解ピーク(III)の間に存在することが好ましい。すなわち、前記条件1にて得られる1回目のDSC曲線には、低温側から融解ピーク(I)、融解ピーク(II)、融解ピーク(III)の順で存在することが好ましい。高温ピークは、ポリアミド系樹脂A固有の融解ピーク(I)よりも高温側に現れる。そのため、高温ピークの結晶は、ポリアミド系樹脂A固有の融解ピーク(I)よりも型内成形時に融解し難く、結晶が残留しやすいと考えられる。前記ポリアミド系樹脂Bを含有することに加え、ポリアミド系樹脂Aが高温ピークを有する場合には、過度に二次発泡することがより抑制されやすくなり、最大面圧が過度に高くなることも抑えられると考えられる。その結果、ポリアミド系樹脂Aが高温ピークを有する場合、水冷時の面圧低下が速くなりさらに水冷時間が短縮されると考えられる。
【0029】
融解ピーク(I)の頂点の温度と高温ピークの頂点の温度との差は、好ましくは10℃以上、より好ましくは12℃以上、更に好ましくは15℃以上である。一方、融解ピーク(I)の頂点の温度と高温ピークの頂点の温度との差は、好ましくは40℃以下、より好ましくは30℃以下、更に好ましくは25℃以下である。なお、融解ピーク(I)と高温ピークの頂点の温度の差の比較において、1回目のDSC曲線において、高温ピークが2つ以上現れる場合には、最も低温側の高温ピークの頂点の温度と融解ピーク(I)の頂点の温度とを比較する。
【0030】
1回目のDSC曲線において、ポリアミド系樹脂A固有の融解ピーク(I)の融解熱量は、好ましくは25J/g以上、より好ましくは30J/g以上である。ポリアミド系樹脂A固有の融解ピーク(I)の融解熱量は、好ましくは60J/g以下、より好ましくは50J/g以下である。1回目のDSC曲線において、ポリアミド系樹脂B固有の融解ピーク(III)の融解熱量は、好ましくは3J/g以上、より好ましくは4J/g以上である。ポリアミド系樹脂B固有の融解ピーク(III)の融解熱量は、好ましくは15J/g以下、より好ましくは10J/g以下である。1回目のDSC曲線において、高温ピーク(融解ピーク(II))の融解熱量は、好ましくは1J/g以上、より好ましくは2J/g以上である。高温ピーク(融解ピーク(II))の融解熱量は、好ましくは13J/g以下、より好ましくは10J/g以下である。ここで、各融解ピークの頂点の温度及び融解熱量は次のようにして求めることができる。
【0031】
前記条件1である、熱流束示差走査熱量測定によって10℃/分の昇温速度で、30℃から融解ピーク終了時よりも30℃高い温度まで昇温して測定したときに得られる1回目のDSC曲線に得られた融解ピークから、各融解ピークの頂点の温度を求めることができる。各融解ピークの融解熱量は、以下の条件2により得られるDSC曲線に基づいて求めることができる。なお、測定装置として、高感度型示差走査熱量計「EXSTAR DSC7020」(エスアイアイ・ナノテクノロジー社製)を使用することができる。
【0032】
条件2
JIS K7122-1987の熱流束示差走査熱量測定法に基づき、発泡粒子を試験片とし、加熱速度10℃/分にて30℃から融解ピーク終了時よりも30℃高い温度まで加熱溶融させ、1回目のDSC曲線を得る。
【0033】
以下に図1(1回目のDSC曲線)を例に具体的に説明する。例えば図1に示す1回目のDSC曲線において、3つの融解ピークが存在するが、最も低温側のピークがポリアミド系樹脂A固有の融解ピーク(I)、2番目のピークが高温ピーク(融解ピーク(II))、最も高温側のピークがポリアミド系樹脂B固有の融解ピーク(III)である。各融解ピークの頂点の温度は、それぞれのピークの最も吸熱量の多い点の温度である。
【0034】
各融解ピークの頂点の融解熱量は、図1に示すDSC曲線において、各融解ピークの面積に相当し、以下のようにして求めることができる。DSC曲線上の120℃の点と、DSC曲線上の融解ピーク(II)の融解終了温度を示す点とを結ぶ直線を引く(ポリアミド系樹脂A由来の融解ピークのベースライン)。融解ピーク(I)と融解ピーク(II)を、融解ピーク(I)と融解ピーク(II)との間の谷部にあたるDSC曲線上の点から前記ポリアミド系樹脂A由来の融解ピークのベースラインまでグラフ横軸の温度に対して垂直な直線で分割する。分割された低温側のピークの面積1がポリアミド系樹脂A固有の融解ピーク(I)の融解熱量に相当し、分割された高温側のピークの面積2が樹脂粒子を発泡させて発泡粒子を得るまでの熱履歴により形成されるポリアミド系樹脂の二次結晶に起因する高温ピーク(融解ピーク(II))の融解熱量に相当する。
【0035】
DSC曲線上の融解ピーク(III)の融解開始温度を示す点と、ポリアミド系樹脂B固有の融解ピーク(III)の融解終了温度を示す点とを結ぶ直線を引く(ポリアミド系樹脂B固有の融解ピークのベースライン)。前記ポリアミド系樹脂B由来の融解ピークのベースラインとDSC曲線によって囲まれる部分の面積3がポリアミド系樹脂B固有の融解ピーク(III)の融解熱量に相当する。
【0036】
基材樹脂には、本発明の目的、効果を阻害しない範囲において、ポリアミド系樹脂A及びポリアミド系樹脂Bの他に、他の熱可塑性樹脂を含有させてもよい。他の熱可塑性樹脂としては、例えば、ポリエチレン系樹脂、ポリプロピレン系樹脂、ポリスチレン系樹脂、酢酸ビニル樹脂、熱可塑性ポリエステル樹脂、アクリル酸エステル樹脂、メタクリル酸エステル樹脂、変性ポリフェニレンエーテル樹脂、ポリカーボネート樹脂、ポリアセタール樹脂、ポリブチレンテレフタレート樹脂、ポリスルホン樹脂、ポリエーテルスルホン樹脂、ポリアミドイミド樹脂、ポリエーテルイミド樹脂、ポリエーテルエーテルケトン樹脂、ポリアミド系樹脂A及びポリアミド系樹脂B以外のポリアミド系樹脂等が挙げられる。
基材樹脂中の他の熱可塑性樹脂の含有量は、耐熱性、耐摩耗性、及び耐薬品性に優れた発泡粒子を得る観点から、好ましくは10質量%以下であり、より好ましくは5質量%以下であり、更に好ましくは3質量%以下である。基材樹脂は、ポリアミド系樹脂A及びポリアミド系樹脂Bのみからなることが特に好ましい。
【0037】
(熱安定剤)
本発明の発泡粒子には、成形体の用途に応じて、熱安定剤を配合することができる。熱安定剤とは、発泡粒子又は発泡粒子成形体が高温環境下に置かれた際に熱による樹脂の劣化を抑制する効果を有するものである。発泡粒子には、熱安定剤を配合することが好ましい。
発泡粒子に熱安定剤を配合する場合、熱安定剤としては、ヒンダードアミン系化合物、ヒンダードフェノール系化合物、リン系化合物、銅化合物、ハロゲン化物等が挙げられる。
ヒンダードアミン系化合物の具体例としては、Bis(2,2,6,6,-tetramethyl-4-piperidyl)sebacate(商品名:Tinuvin770、BASFジャパン株式会社製)が挙げられる。ヒンダードフェノール系化合物の具体例としては、N,N'-hexane-1,6-diylbis(3-(3,5-di-tert-butyl-4-hydroxyphenylpropionamide))(商品名:Iruganox1098、BASFジャパン株式会社製)が挙げられる。リン系化合物の具体例としては、Tris(2,4-di-tert-butylphenyl)phosphite(商品名:Irugafos168、BASFジャパン株式会社製)が挙げられる。銅化合物は、後述するハロゲン化物を除くものであり、例えば、塩化銅、臭化銅、ヨウ化銅、リン酸銅、ステアリン酸銅の他、ハイドロタルサイト、スチヒタイト、パイロライト等の天然鉱物が挙げられる。ハロゲン化物としては、例えば、ヨウ化アンモニウム、ステアリルトリエチルアンモニウムブロマイド、ベンジルトリエチルアンモニウムアイオダイド;塩化カリウム、塩化ナトリウム、臭化カリウム、ヨウ化カリウム、ヨウ化ナトリウム等のハロゲン化アルカリ金属塩等が挙げられる。
これらの中でも、熱安定剤は、成形体により優れた耐候性を付与する観点から、ヒンダードアミン系化合物、ヒンダードフェノール系化合物、リン系化合物、銅化合物、及びハロゲン化物からなる群より選択される1種以上であることが好ましく、銅化合物及びハロゲン化物からなる群より選択される1種以上であることがより好ましく、銅化合物及びハロゲン化アルカリ金属塩からなる群より選択される1種以上であることが更に好ましく、ヨウ化銅及びヨウ化カリウムからなる群より選択される1種以上であることがより更に好ましく、ヨウ化銅及びヨウ化カリウムを含むことがより更に好ましい。
【0038】
熱安定剤の配合量は、発泡粒子中、好ましくは0.1質量%以上、より好ましくは0.2質量%以上であり、そして、好ましくは5質量%以下、より好ましくは3質量部以下である。なお、熱安定剤を2種以上含む場合にはその合計量が上記範囲であることが好ましい。
【0039】
(着色剤)
本発明の発泡粒子は、好ましくは着色剤を含む。着色剤としては、無機又は有機の顔料や染料を用いることができる。着色剤は、得られる成形体の外観を向上させ、意匠性を高めるために用いられる。
無機顔料としては、酸化チタン、カーボンブラック、チタンイエロー、酸化鉄、群青、コバルトブルー、焼成顔料、メタリック顔料、マイカ、パール顔料、亜鉛華、沈降性シリカ、カドミウム赤等が挙げられる。
有機顔料としては、モノアゾ系顔料、縮合アゾ系顔料、アンスラキノン系顔料、イソインドリノン系顔料、ペリノン系顔料、キナクリドン系顔料、ペリレン系顔料、チオインジゴ系顔料、ジオキサジン系顔料、フタロシアニン系顔料、ニトロソ系顔料、有機蛍光顔料等が挙げられる。
染料としては、例えば、アンスラキノン系染料、ペリノン系染料、塩基性染料、酸性染料、媒染染料等を挙げられる。
これらの中でも、着色剤は、耐候性の観点から、有機顔料又は無機顔料であることが好ましく、耐熱性及び耐候性の点から、無機顔料であることがより好ましく、成形サイクルを短縮しやすい観点から、カーボンブラックであることが更に好ましい。
【0040】
発泡粒子が着色剤を含有する場合、着色剤の配合量は、得られる発泡粒子成形体に優れた意匠性を与える観点から、発泡粒子中、好ましくは0.5質量%以上、より好ましくは0.8質量%以上、更に好ましくは1質量%以上であり、そして、好ましくは10質量%以下、より好ましくは5質量%以下、更に好ましくは3質量%以下である。
【0041】
発泡粒子には、通常使用される帯電防止剤、導電性付与剤、滑剤、紫外線吸収剤、難燃剤、金属不活性化剤、結晶核剤、及び充填材等の各種の添加剤を、必要に応じて適宜配合することができる。これらの各種添加剤の添加量は、成形体の使用目的により異なるが、発泡粒子100質量部に対して、好ましくは25質量部以下、より好ましくは15質量部以下、更に好ましくは10質量部以下、より更に好ましくは5質量部以下である。
【0042】
<見掛け密度>
発泡粒子の見掛け密度は、成形体の収縮を抑制し、その結果としてより優れた成形体を得る観点から、好ましくは10kg/m以上、より好ましくは30kg/m以上、更に好ましく50kg/m以上、より更に好ましくは70kg/m以上であり、そして、好ましくは300kg/m以下、より好ましくは250kg/m以下、更に好ましくは200kg/m以下である。
発泡粒子の見掛け密度は、以下の方法で測定される。温度23℃の水の入ったメスシリンダーを用意し、相対湿度50%、23℃、1atmの条件にて2日間放置した約500cmの発泡粒子の質量W1を測定する。次に前記メスシリンダーに、該発泡粒子を金網を使用して沈める。金網の体積を考慮して、水位上昇分より読みとられる発泡粒子の容積V1[cm]を測定し、発泡粒子の質量W1[g]を容積V1で割り算し(W1/V1)、単位を[kg/m]に換算することにより、発泡粒子の見掛け密度が求められる。
【0043】
<平均気泡径>
発泡粒子の平均気泡径は、表面性に優れた成形体を得やすい観点から、好ましくは30μm以上、より好ましくは50μm以上、更に好ましくは70μm以上、より更に好ましくは90μm以上であり、そして、好ましくは250μm以下であり、より好ましくは200μm以下であり、更に好ましくは170μm以下、より更に好ましくは150μm以下である。
発泡粒子の平均気泡径は、以下の方法で測定される。まず、発泡粒子の中心部を通るように発泡粒子を約二分割し、切断面を走査型電子顕微鏡にて写真を撮影する。次いで、得られた断面写真において、発泡粒子切断面の中心付近から8方向に等間隔に直線を引き、その直線と交わる気泡の数を全てカウントする。該直線の合計長さを、カウントされた気泡数で除して得られた値を発泡粒子の気泡径とする。この操作を10個以上の発泡粒子について同様に行い、各発泡粒子の気泡径の算術平均値を発泡粒子の平均気泡径とする。
【0044】
<独立気泡径>
発泡粒子の独立気泡率は、融着性及び回復性に優れる成形体を得やすい観点から、好ましくは70%以上、より好ましくは80%以上、更に好ましくは85%以上、より更に好ましくは90%以上である。
発泡粒子の独立気泡率は、発泡粒子中の全気泡の容積に対する独立気泡の容積の割合であり、ASTM-D2856-70に基づき空気比較式比重計を用いて求めることができる。
【0045】
[発泡粒子の製造方法]
本発明のポリアミド系樹脂発泡粒子の製造方法は、前記ポリアミド系樹脂Aと前記ポリアミド系樹脂Bとの混合樹脂を基材樹脂とする樹脂粒子を発泡させてポリアミド系樹脂発泡粒子を製造する。
【0046】
<混合樹脂を基材樹脂とする樹脂粒子及びその製造方法>
前記樹脂粒子の1個の質量は、目的とする発泡粒子の大きさ、見掛け密度等に応じて適宜設定されるが、0.5mg以上15.0mg以下であることが好ましい。上記範囲内であれば、見掛け密度を高めることができる。かかる観点から、樹脂粒子の質量は、より好ましくは1.0mg以上、更に好ましくは1.5mg以上であり、そして、より好ましくは10.0mg以下、更に好ましくは7.0mg以下、より更に好ましくは5.0mg以下である。
【0047】
樹脂粒子の融点(Tm)は、耐熱性に優れた発泡粒子を得る観点から、好ましくは180℃以上、より好ましくは183℃以上、更に好ましくは185℃以上であり、そして、発泡時の温度コントロールが容易であるという観点から、好ましくは250℃以下、より好ましくは220℃以下、更に好ましくは200℃以下である。なお、樹脂粒子の融点とは、ポリアミド系樹脂Aとポリアミド系樹脂Bとを予め押出機等で混練した混練物の融点を指す。DSC曲線が複数の融解ピークを有する場合、最も大きな面積を有する融解ピークのピーク頂点温度を融点として採用する。
【0048】
一般的な押出機を用いてポリアミド系樹脂Aとポリアミド系樹脂Bとを溶融混練することにより溶融混練されたポリアミド系樹脂Aとポリアミド系樹脂Bとの混合樹脂を得ることができる。押出機は、単軸、二軸のいずれも使用可能である。樹脂粒子の製造方法は、特に限定されるものではなく、公知の方法により得ることができる。例えば、ポリアミド系樹脂A、ポリアミド系樹脂B、必要に応じて着色剤及び気泡調整剤等の添加剤を押出機に投入し、混練して溶融混練物とし、押出機先端に付設されたダイの小孔からストランド状に溶融混練物を押し出し、押出された溶融物を冷却固化した後にペレタイザーで所定の質量となるように切断するストランドカット法、前記溶融混練物を気相中に押出した直後に切断するホットカット法、前記溶融混練物を水中に押出した直後に切断するアンダーウォーターカット法(UWC法)等により、樹脂粒子を得ることができる。
【0049】
(発泡粒子の製造方法の例)
本発明の発泡粒子は、例えば、前記混合樹脂を基材樹脂とする樹脂粒子に発泡剤を含浸させ、加熱、圧力変化、体積変化等により、発泡剤を含浸した前記混合樹脂を基材樹脂とする樹脂粒子を発泡させる「発泡工程」を有する製造方法により作製することができる。
【0050】
≪発泡剤添加工程≫
発泡剤添加工程は、密閉容器内に発泡剤を添加する工程である。好ましくは、本工程において発泡剤を樹脂粒子に含浸させて、発泡性の樹脂粒子とすることもできる。発泡剤は、本工程及び後述する各工程(分散工程、昇温工程、保持工程)において、樹脂粒子に含浸させることができ、発泡性の樹脂粒子を得ることができる。また、本工程において、発泡剤を含浸させる場合は、オートクレーブ等の加圧可能な密閉容器内で樹脂粒子を水性溶媒中に分散させ、該樹脂粒子に発泡剤を含浸させることが好ましい。なお、発泡剤を樹脂粒子に短時間で十分に含浸させる観点から、樹脂粒子への発泡剤の含浸は、加圧及び/又は加熱して行うことが好ましい。
【0051】
(発泡剤)
本発明の発泡粒子の製造方法では、発泡剤として好ましくは物理発泡剤を用いる。物理発泡剤としては、有機物理発泡剤として、プロパン、ブタン、ペンタン、ヘキサン、ヘプタン等の脂肪族炭化水素、シクロペンタン、シクロヘキサン等の脂環式炭化水素、ハイドロフルオロオレフィン、クロロフルオロメタン、トリフルオロメタン、1,1-ジフルオロエタン、1,1,1,2-テトラフルオロエタン、メチルクロライド、エチルクロライド、及びメチレンクロライド等のハロゲン化炭化水素、ジメチルエーテル、ジエチルエーテル、及びメチルエチルエーテル等のジアルキルエーテル等が挙げられる。また、無機物理発泡剤として、二酸化炭素、窒素、ヘリウム、アルゴン、空気等が挙げられる。
物理発泡剤の中でも、環境への影響が少ないとともに可燃性がなく安全性に優れるという観点から、無機物理発泡剤が好ましく、二酸化炭素又は窒素がより好ましく、二酸化炭素が更に好ましい。
【0052】
また、短時間で発泡剤を十分に樹脂粒子に含浸させるため、本工程は加圧下で行われることが好ましい。加圧下で行われる含浸時の最大圧力(以下、含浸圧力ともいう。)は、発泡剤を樹脂粒子に短時間で十分に含浸させる観点から、分散液が入った容器に発泡剤を添加することにより、密閉容器内の圧力が、1.5MPa(G)以上となるようにすることが好ましく、2.5MPa(G)以上となるようにすることがより好ましく、7MPa(G)以下となるようにすることが好ましく、5MPa(G)以下となるようにすることがより好ましい。なお、「1.5MPa(G)」は、ゲージ圧で1.5MPaであることを意味する。
【0053】
(製造方法の例)
本発明の発泡粒子を製造する方法としては、前記「発泡剤添加工程」と「発泡工程」を有するものであれば、制限はないが、[1]樹脂粒子に発泡剤を含浸させた後、発泡剤を含浸させた樹脂粒子を発泡させずに取り出し、その後に発泡装置にて加熱して発泡粒子を得る方法、及び[2]密閉装置内の分散媒中に分散した樹脂粒子に発泡剤を含浸させるとともに、樹脂の軟化温度付近に昇温した後、低圧下で分散媒と共に樹脂粒子を装置外に放出することで発泡粒子を得る方法が好ましく、上記[2]の方法がより好ましい。
以下に[2]の方法である好適な製造方法を説明する。
【0054】
本発明の発泡粒子を製造する製造方法は、次の各工程を有することが好ましい。
(1)密閉容器内で、混合樹脂を基材樹脂とする前記樹脂粒子を水中に分散させ、分散液を得る分散工程と、
(2)該分散液を昇温する昇温工程と、
(3)該分散液を、樹脂粒子の融点(Tm)よりも90℃低い温度(Tm-90℃)以上50℃低い温度(Tm-50℃)未満で1分以上60分以下の保持時間で保持する保持工程
(4)発泡させる直前の分散液の温度(Te)を該樹脂粒子の融点(Tm)よりも90℃低い温度(Tm-90℃)以上、50℃低い温度(Tm-50℃)未満とし、発泡剤を含む樹脂粒子を水と共に密閉容器内から密閉容器内の圧力よりも低圧下に放出して発泡させる発泡工程
本発明の発泡粒子を製造する製造方法は、上記工程以外の工程を有していてもよいし、上記工程において、更に他の成分を添加してもよい。
【0055】
≪分散工程≫
分散工程は、密閉容器内で、前記樹脂粒子を水中に分散させ、分散液を得る工程である。
樹脂粒子を水中に分散させる方法としては、特に限定されるものではなく、公知の方法を用いることができる。例えば、撹拌機を使用して、水を撹拌しながら水に樹脂粒子を添加し、更に撹拌することによって、分散液を得ることができる。
また、必要に応じて分散液に、酸化アルミニウム、第三リン酸カルシウム、ピロリン酸マグネシウム、酸化亜鉛、カオリン、マイカ、タルク、スメクタイト等の無機物質等の分散剤、ドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウム、アルカンスルホン酸ナトリウム等のアニオン界面活性剤等の分散助剤を添加することが好ましい。樹脂粒子と分散剤との質量比(樹脂粒子/分散剤)は、20以上2000以下とすることが好ましく、より好ましくは30以上1000以下である。また、分散剤と分散助剤との質量比(分散剤/分散助剤)は、1以上500以下とすることが好ましく、より好ましくは1以上100以下である。
【0056】
≪昇温工程≫
昇温工程は、発泡粒子の製造において、任意の工程である。昇温工程は、前記発泡剤添加工程の前であっても、発泡剤添加工程の後であっても、発泡剤添加工程中に設けてもよい。本工程では、分散液を発泡温度又は後述する保持温度まで昇温することが好ましい。上記の昇温の過程において、水性溶媒中の水がポリアミド系樹脂にさらに吸収され易くなると考えられる。
昇温工程は、樹脂粒子を水中に分散せた分散液を、常温から保持工程の温度(以下、保持温度ともいう。)まで加熱する工程を含む。
【0057】
昇温後の温度は、好ましくは50℃以上、更に好ましくは80℃以上であり、そして、好ましくは樹脂粒子の融点(Tm(℃))以下、より好ましくは(Tm-20(℃))以下である。
【0058】
分散工程及び昇温工程は、樹脂粒子を吸水させる役割も有する。樹脂粒子を十分に吸水させて可塑化させる観点から、分散液を得る工程及び発泡剤を含浸させる工程の合計時間が20分以上であることが好ましく、30分以上であることがより好ましい。一方、発泡粒子の生産性の観点からは、上記時間が60分以下であることが好ましい。
また、昇温工程における昇温速度は、樹脂粒子を十分に吸水させて可塑化させる観点から、10℃/分以下とすることが好ましく、7℃/分以下とすることがより好ましい。一方、発泡粒子の生産性の観点から、昇温速度は、1℃/分以上とすることが好ましく、2℃/分以上とすることがより好ましい。
【0059】
≪保持工程≫
保持工程は、分散液を、好ましくは、樹脂粒子の融点(Tm)よりも90℃低い温度(Tm-90℃)以上50℃低い温度(Tm-50℃)未満で1分以上60分以下の保持時間で保持する工程である。
保持工程における分散液の保持温度は、ポリアミド系樹脂を十分に吸水させ可塑化させる観点、及び発泡剤を混合樹脂に均一に含浸させる観点から、好ましくは樹脂粒子の融点(Tm)よりも90℃低い温度(Tm-90℃)以上、より好ましくは80℃低い温度(Tm-80℃)以上、更に好ましくは70℃低い温度(Tm-70℃)以上、より更に好ましくは65℃低い温度(Tm-65℃)以上であり、そして、好ましくは50℃低い温度(Tm-50℃)未満、より好ましくは53℃低い温度(Tm-53℃)以下、更に好ましくは55℃低い温度(Tm-55℃)以下である。
【0060】
通常、ポリプロピレン系樹脂等の汎用樹脂を基材樹脂とする発泡粒子を製造する際、原材料の樹脂の融点付近で保持を行う。しかしながら、本発明の発泡粒子の製造方法においては、好ましくは、樹脂粒子の融点(Tm)よりも90℃低い温度(Tm-90℃)以上、50℃低い温度(Tm-50℃)未満で保持して製造される。これは、ポリアミド系樹脂が吸湿性を有するため、分散液として用いる水により樹脂粒子が可塑化され、融点が大幅に下がり、その結果、樹脂粒子の融点よりも大幅に低い温度で、所望の見掛け密度及び独立気泡率を有する発泡粒子を製造することが可能になったためと考えられる。
【0061】
保持工程における保持時間は、発泡剤を混合樹脂に均一に含浸させ、高い独立気泡率を有する発泡粒子を得る観点から、好ましくは1分以上、より好ましくは5分以上、更に好ましくは10分以上、より更に好ましくは13分以上である。そして、発泡粒子の生産性の観点、及びポリアミド系樹脂の加水分解を防ぐ観点から、保持する工程における保持時間は、好ましくは60分以下、より好ましくは40分以下、更に好ましくは30分以下、より更に好ましくは20分以下、より更に好ましくは18分以下である。上記時間で保持することにより、見掛け密度が低く、独立気泡率が高いポリアミド系樹脂発泡粒子を得ることが可能となる。保持する工程は、前記温度範囲内で多段階に設定することもでき、また、該温度範囲内で十分な時間を要してゆっくりと昇温させることも可能である。容易に製造が可能であるという観点からは、前記温度範囲内で一段階(保持温度が一定)に設定し、上記時間保持することが好ましい。
【0062】
保持工程は、発泡剤を混合樹脂に均一に含浸させる観点から、加圧下で行われることが好ましく、含浸圧力と同じ圧力を維持することが好ましい。分散液が入った容器内の圧力は、1.5MPa(G)以上となるようにすることが好ましく、2.5MPa(G)以上となるようにすることがより好ましい。また、分散液が入った容器内の圧力は、7MPa(G)以下となるようにすることが好ましく、5MPa(G)以下となるようにすることがより好ましい。
【0063】
≪発泡工程≫
発泡工程は、発泡剤を含浸した樹脂粒子を発泡させる工程である。樹脂粒子の発泡方法は特に限定されるものではないが、前記保持する工程に続いて、発泡剤が含浸した樹脂粒子を水とともに、保持する工程における圧力より低い圧力雰囲気下(通常は大気圧下)に放出して発泡させる発泡法が好ましい。
【0064】
発泡させる直前の分散液の温度Te(以下、発泡温度ともいう。)は、見掛け密度が低く、独立気泡率が高い発泡粒子を得る観点から、好ましくは樹脂粒子の融点(Tm)よりも90℃低い温度(Tm-90℃)以上、より好ましくは80℃低い温度(Tm-80℃)以上、更に好ましくは70℃低い温度(Tm-70℃)以上、より更に好ましくは65℃低い温度(Tm-65℃)以上である。また、発泡温度は、好ましくは樹脂粒子の融点(Tm)よりも50℃低い温度(Tm-50℃)未満、より好ましくは53℃低い温度(Tm-53℃)以下、更に好ましくは55℃低い温度(Tm-55℃)以下である。
【0065】
発泡させる工程における放出直前の圧力(発泡圧力)は、好ましくは0.5MPa(G)以上、より好ましくは1.5MPa(G)以上、更に好ましくは2.5MPa(G)以上である。また、発泡圧力は、好ましくは10MPa(G)以下、より好ましくは7MPa(G)以下、更に好ましくは5MPa(G)以下である。
【0066】
[発泡粒子成形体]
本発明のポリアミド系樹脂発泡粒子成形体は、前記発泡粒子が相互に融着してなる発泡粒子成形体である。すなわち、本発明の発泡粒子成形体は、本発明の前記発泡粒子を型内成形することにより得られる発泡粒子成形体(発泡粒子型内成形体)である。
本発明の発泡粒子は、融着性及び回復性に優れ、成形後の成形収縮を抑制することができるため、該発泡粒子成形体は、成形後の成形収縮が抑制され、外観が良好である発泡粒子成形体となる。本発明の前記発泡粒子を型内成形することにより得られる発泡粒子成形体は、成形後の成形収縮を抑制することができるため厚物の成形体が好適に得られる。発泡粒子成形体の厚みとしては、30mm以上であることが好ましく、40mm以上であることがより好ましい。
型内成形法は、従来公知の方法を採用することできるが、スチームによる加熱を用いることが好ましい。スチームにより、発泡粒子中のポリアミド系樹脂が、吸水し可塑化する為、成形圧を低くすることが可能となる。なお、得られた成形体を乾燥して水分を除去すれば、ポリアミド系樹脂本来の物性に戻り、成形体は高い耐熱性を有する成形体となる。
【0067】
本発明の発泡粒子は、型内成形性に優れる発泡粒子成形体とすることができる。具体的には、水冷時間を短くすることができ、その結果、全体の成形時間を短くすることができることから好ましい。
発泡粒子成形体の水冷時間は、以下のようにして求められる。まず、得られた発泡粒子を成形型に充填し、スチーム加熱による型内成形を行なって板状の発泡粒子成形体を得る。加熱方法は両面の型のドレン弁を開放した状態でスチームを5秒間供給して予備加熱(排気工程)を行ったのち、移動側型よりスチームを供給し、次いで固定側型よりスチームを供給した後、成形加熱スチーム圧力(成形圧力=成形蒸気圧)まで加熱する。加熱終了後、放圧し、成形体の発泡力による表面圧力が0.04MPa(G)に低下するまで水冷したのち、型を開放し成形体を型から取り出す。発泡粒子成形体の水冷時間は、水冷開始から面圧が0.04MPa(G)に到達するまでに要した水冷時間(秒)とする。本発明において、発泡粒子を型内成形した際の水冷時間を短くすることができる理由としては以下のことが考えられる。発泡粒子を型内成形する際、スチームによる加熱と加圧によって、発泡粒子が二次発泡し、発泡粒子が相互に融着する。このとき、キシリレン基含有ポリアミド系樹脂が基材樹脂中に特定比率含まれていることにより、過度に二次発泡することが抑制され、最大面圧が過度に高くなることを抑えられる。その結果、水冷時の面圧低下が速くなり水冷時間の短縮ができると考えられる。
【0068】
<成形体密度>
発泡粒子成形体の密度(成形体密度)は、軽量性、回復性、及び融着性に優れる成形体を得る観点から、好ましくは10kg/m以上、より好ましくは30kg/m以上、更に好ましくは50kg/m以上、より更に好ましくは60kg/m以上であり、そして、好ましくは350kg/m以下、より好ましくは300kg/m以下、更に好ましくは250kg/m以下、より更に好ましくは200kg/m以下である。
成形体密度は、以下の方法で測定される。発泡粒子成形体を、相対湿度50%、温度23℃、1atmの条件にて2日間放置する。次いで、温度23℃の水が入った容器を用意し、任意の量の発泡粒子成形体(質量W[g])を容器内の水中に金網等の道具を使用して沈める。そして、金網等の道具の体積を考慮し、水位上昇分より読みとられる発泡粒子成形体の容積V[L]を測定する。容器に入れた発泡粒子成形体の質量W[g]を容積V[L]で除して(W/V)、単位を[kg/m]に換算することにより、成形体密度が求められる。
【実施例0069】
以下、本発明を実施例により詳細に説明するが、本発明はこれにより限定されるものではない。
【0070】
実施例及び比較例におけるポリアミド系樹脂、樹脂粒子、発泡粒子及び成形体は、以下の方法により測定及び評価した。
【0071】
[測定及び評価]
<樹脂粒子>
(融点)
JIS K7121-1987に基づき、熱流束示差走査熱量測定法により、ポリアミド系樹脂粒子の融点を測定した。窒素流入量30mL/分の条件下で、10℃/分の加熱速度で30℃から融解ピーク終了時よりも30℃高い温度まで加熱溶融(1回目の昇温)してから、次いでその温度にて10分間保った後、10℃/分の冷却速度で30℃まで冷却し、再度、加熱速度10℃/分で融解ピーク終了時よりも30℃高い温度まで加熱溶融して得られる2回目のDSC曲線の融解ピークのピーク頂点温度として求めた。なお、測定装置として、高感度型示差走査熱量計「EXSTAR DSC7020」(エスアイアイ・ナノテクノロジー社製)を使用した。また、試験片として用いた樹脂粒子は、高温、多湿条件下を避けて加水分解しないようデシケーター内で窒素雰囲気下とした後、真空吸引して水分量を1000質量ppm以下で24時間保存したものを融点の測定に使用した。なお、DSC曲線が複数の融解ピークを有する場合、最も大きな面積を有する融解ピークのピーク頂点温度を融点として採用した。
【0072】
<発泡粒子>
(融点及び融解熱量)
発泡粒子を試験片とし、熱流束示差走査熱量測定によって10℃/分の昇温速度で、30℃から融解ピーク終了時よりも30℃高い温度まで昇温して測定したときに得られる1回目のDSC曲線に得られた融解ピークから、各融解ピークの頂点の温度と融解熱量を求めた。なお、測定装置として、高感度型示差走査熱量計「EXSTAR DSC7020」(エスアイアイ・ナノテクノロジー社製)を使用した。以下に図1(1回目のDSC曲線)を用いて説明する。
図1に示す1回目のDSC曲線において、3つの融解ピークが存在するが、最も低温側のピークがポリアミド系樹脂A固有の融解ピーク(I)、2番目のピークが高温ピーク(融解ピーク(II))、最も高温側のピークがポリアミド系樹脂B固有の融解ピーク(III)である。各融解ピークの頂点の温度は、それぞれのピークの最も吸熱量の多い点の温度である。各融解ピークの頂点の融解熱量は、図1に示すDSC曲線において、各融解ピークの面積に相当し、以下のようにして求めた。まず、DSC曲線上の120℃の点と、DSC曲線上の融解ピーク(II)の融解終了温度を示す点とを結ぶ直線を引いた(ポリアミド系樹脂A由来の融解ピークのベースライン)。融解ピーク(I)と融解ピーク(II)を、融解ピーク(I)と融解ピーク(II)との間の谷部にあたるDSC曲線上の点から前記ポリアミド系樹脂A由来の融解ピークのベースラインまでグラフ横軸の温度に対して垂直な直線で分割した。分割された低温側のピークの面積1がポリアミド系樹脂A固有の融解ピーク(I)の融解熱量に相当し、分割された高温側のピークの面積2がポリアミド系樹脂A由来の高温ピーク(融解ピーク(II))の融解熱量に相当する。次に、DSC曲線上の融解ピーク(III)の融解開始温度を示す点と、ポリアミド系樹脂B固有の融解ピーク(III)の融解終了温度を示す点とを結ぶ直線を引いた(ポリアミド系樹脂B固有の融解ピークのベースライン)。前記ポリアミド系樹脂B由来の融解ピークのベースラインとDSC曲線によって囲まれる部分の面積3がポリアミド系樹脂B固有の融解ピーク(III)の融解熱量に相当する。
【0073】
(見掛け密度)
発泡粒子の見掛け密度は、以下の方法により測定した。温度23℃の水の入ったメスシリンダーを用意し、相対湿度50%、23℃、1atmの条件にて2日間放置した約500cmの発泡粒子の質量W1を測定した。次に前記メスシリンダーに、該発泡粒子を金網を使用して沈めた。金網の体積を考慮して、水位上昇分より読みとられる発泡粒子の容積V1[cm]を測定し、発泡粒子の質量W1[g]を容積V1で割り算し(W1/V1)、単位を[kg/m]に換算することにより、発泡粒子の見掛け密度を求めた。
【0074】
(平均気泡径)
発泡粒子の平均気泡径は、以下の方法により測定した。まず、発泡粒子の中心部を通るように発泡粒子を約二分割し、切断面を走査型電子顕微鏡にて写真を撮影した。次いで、得られた断面写真において、発泡粒子切断面の中心付近から8方向に等間隔に直線を引き、その直線と交わる気泡の数を全てカウントした。該直線の合計長さを、カウントされた気泡数で除して得られた値を発泡粒子の気泡径とした。この操作を30個の発泡粒子について同様に行い、各発泡粒子の気泡径の算術平均値を発泡粒子の平均気泡径とした。
【0075】
(独立気泡率)
発泡粒子の独立気泡径は、以下の方法により測定した。ASTM-D2856-70に記載されている手順Cに準じて、発泡粒子の真の体積(発泡粒子を構成する樹脂の容積と、発泡粒子内の独立気泡部分の気泡全容積との和)の値Vxを測定した。この真の体積Vxの測定には、東芝・ベックマン株式会社製の空気比較式比重計「930」を用いた。次いで、下記の式(1)により独立気泡率を算出し、5回の測定結果の算術平均値を求めた。
独立気泡率(%)=(Vx-W/ρ)×100/(Va-W/ρ)・・・(1)
Vx:上記方法で測定される発泡粒子の真の体積(cm
Va:発泡粒子の見掛けの体積(cm
W:発泡粒子測定用サンプルの質量(g)
ρ:発泡粒子を構成する樹脂の密度(g/cm
【0076】
<成形体>
(成形体密度)
成形体密度は、以下の方法により測定した。各実施例及び各比較例で得られた発泡粒子を用い、後述する<混合樹脂発泡粒子成形体の作製>に記載した方法で発泡粒子成形体を作製した。該発泡粒子成形体を、相対湿度50%、温度23℃、1atmの条件にて2日間放置した。次いで、温度23℃の水が入った容器を用意し、任意の量の発泡粒子成形体(質量W[g])を容器内の水中に金網等の道具を使用して沈めた。そして、金網等の道具の体積を考慮し、水位上昇分より読みとられる発泡粒子成形体の容積V[L]を測定した。容器に入れた発泡粒子成形体の質量W[g]を容積V[L]で除して(W/V)、単位を[kg/m]に換算することにより、成形体密度が求めた。
【0077】
(収縮率)
各実施例及び各比較例で得られた発泡粒子を用い、後述する<混合樹脂発泡粒子成形体の作製>に記載した方法で発泡粒子成形体を作製した。その後、23℃相対湿度50%の環境下に24時間静置した後、発泡粒子成形体の寸法を測定し、縦、横、厚さの長さをそれぞれa’、b’、c’とし、金型の寸法(内部寸法)である縦、横、厚さの長さをそれぞれa、b、cとしたときの次式で示される値を成形体の成形収縮率(%)とした。成形体の成形収縮率の値が小さいほど、成形収縮率が抑制されており、好ましい。
成形収縮率(%)=[(a-a’)/a+(b-b’)/b+(c-c’)/c]×100/3
【0078】
(水冷時間)
各実施例及び各比較例で得られた発泡粒子を用い、後述する<混合樹脂発泡粒子成形体の作製>に記載した方法で発泡粒子成形体を作製し、水冷開始から面圧が0.04MPa(G)に低下するまでに要した時間を水冷時間(秒)とした。
【0079】
(成形サイクル)
各実施例及び各比較例で得られた発泡粒子を用い、後述する<混合樹脂発泡粒子成形体の作製>に記載した方法で発泡粒子成形体を作製し、開いた状態の型を閉じ始めたときから、成形体の発泡力による表面圧力が0.04MPa(G)に低下して離型するまでにかかった時間を測定した。成形サイクルの時間が短いほど、成形サイクルが短縮されており、好ましい。
【0080】
(融着率)
発泡粒子成形体の融着率は、以下の方法により測定した。各実施例及び各比較例で得られた発泡粒子成形体の表面の一方に、カッターナイフで該試験片の縦の長さを2等分する位置に厚み方向に約10mmの深さの切り込みを入れ、切り込み部から成形体を折り曲げて破断させた。破断面に存在する材料破壊した発泡粒子の個数mと、破断面に存在する全部の発泡粒子の個数nの比(m/n×100[%])を算出した。なお、成形体を折り曲げても破断できない場合は、融着率100%とした。異なる試験片を用いて前記測定を5回行い、それぞれの材料破壊率を求め、それらを算術平均して融着率とした。
【0081】
(回復性)
発泡粒子成形体の回復性は、以下の方法により測定した。型内成形で用いた平板形状の金型の寸法に対応する発泡粒子成形体における端部(端より10mm内側)と中心部(縦方向、横方向とも2等分する部分)の厚みを計測した。次いで、発泡粒子成形体の厚み比(成形体中心部の厚み/成形体端部の厚み×100(%))を算出し、以下のように評価した。なお、厚みの測定は、後述する<混合樹脂発泡粒子成形体の作製>に記載した方法で作製した発泡粒子成形体に対して行った。
A:厚み比が95%以上である。
B:厚み比が95%未満、90%以上である。
C:厚み比が90%未満である。
【0082】
(結晶子サイズ)
発泡粒子成形体の結晶子サイズは、以下の方法により測定した。発泡粒子成形体を試験片とし、X線回折(XRD)測定を、X線散乱装置「Smart Lab SE」(リガク社製)を用いた反射法により、行った。検出器には1次元半導体検出器 D/teX Ultra250を用いた。試料には試料厚みが1.0mm程度になるようにスライスした発泡粒子成形体を用いた。また、標準物質六ホウ化ランタンを測定して、bを求めた。得られた一次元X線回折プロフィールを、ソフトウェア(商品名:Igor Pro Version6.3.2.3、Wavemetrics社製)を用いて、ピーク形状としてガウス関数を仮定して、結晶由来の回折ピークと非晶由来の回折ピークとにピーク分離を行った。なお、ピーク分離は自動フィッティングで行った。ピーク分離により得られたピークのうち、最も狭いピーク幅を有するピークの半価全幅β(rad)を計算し、該半価全幅βを用いて下記の式(2)に従って、発泡粒子成形体の結晶子サイズDを算出した。なお、式(2)中のλはX線の波長であり、θはピーク位置におけるブラッグ角(回折角2θの半分)である。
【0083】
【数1】
【0084】
[混合樹脂粒子、混合樹脂発泡粒子、及び混合樹脂発泡粒子成形体の作製]
混合樹脂粒子及び混合樹脂発泡粒子を作製するために用いたポリアミド系樹脂等を表1に示す。
【0085】
【表1】
【0086】
実施例1、2、4~9、比較例2、4~7
<混合樹脂粒子の作製>
押出機に、ポリアミド系樹脂A及びポリアミド系樹脂Bとして表2~4に記載されたポリアミド系樹脂を、表2~4に記載された配合割合となるように供給し、気泡調整剤としてタルク「タルカンパウダーPK-S」(林化成株式会社製)を表2~4に記載された量供給し、末端封鎖剤として芳香族ポリカルボジイミド「Stabaxol P」(ラインケミー社製)を1.0質量%、熱安定剤としてヨウ化銅0.05質量%及びヨウ化カリウム0.2質量%、着色剤としてカーボンブラックを表2~4に示す量となるようにそれぞれ供給し、溶融混練して溶融混練物を得た。その溶融混練物は、押出機先端に取り付けた口金の細孔から断面円形状のストランドとして押出し、押出されたストランドを水冷した後、ペレタイザーで質量が1個当たりの平均質量が2mgとなるように切断し、乾燥してペレット状の混合樹脂粒子を得た。樹脂粒子の融点を表2~4に示す。
【0087】
<混合樹脂発泡粒子の作製>
得られた混合樹脂粒子500gと、分散媒として水3.5リットルを、撹拌機を備えた5リットルのオートクレーブ内に仕込み、更に、混合樹脂粒子100質量部に対して、分散剤としてカオリン0.3質量部と、界面活性剤としてアルキルベンゼンスルホン酸ナトリウム0.004質量部とを添加した。オートクレーブ内の内容物を撹拌しながら室温(23℃)から保持温度(樹脂粒子の融点-55℃)まで昇温しながら、該オートクレーブ内に発泡剤として二酸化炭素を、オートクレーブ内の圧力が含浸圧力(4.0MPa(G))となるまで圧入した。このとき、室温(23℃)から保持温度(樹脂粒子の融点-55℃)に到達するまでの昇温時間は40分であった。次に、保持温度(樹脂粒子の融点-55℃)、4.0MPa(G)で15分間保持した。
その後、発泡剤が含浸された混合樹脂粒子を分散媒とともに大気圧(0.1MPa)下に放出した。発泡温度(発泡させる直前の分散液の温度)は樹脂粒子の融点-55℃である。得られた混合樹脂発泡粒子を60℃のオーブン内にて24時間養生し、その後徐冷することにより混合樹脂発泡粒子を得た。得られた混合樹脂発泡粒子について、前記測定を行った。その結果を表2~4に示す。
【0088】
<含水、内圧付与>
上記混合樹脂発泡粒子を用いて、混合樹脂発泡粒子および水をポリ袋内に入れた後、ポリ袋の口を閉じてよく振り、十分に混ぜ合わせて含水させた。その後、含水した混合樹脂発泡粒子180gを、加圧温度40℃に設定された3リットル耐圧容器に入れた。上記混合樹脂発泡粒子を耐圧容器内に入れて密閉すると同時に、物理発泡剤として空気を圧入して内圧を付与した。内圧付与は、耐圧容器内の圧力(加圧圧力)を0.12MPa(G)、加圧時間を16時間とした。
【0089】
<混合樹脂発泡粒子成形体の作製>
上記混合樹脂発泡粒子を用いて発泡粒子成形体を作製した。型が開いた状態から型を狭め、得られた混合樹脂発泡粒子を縦200mm×横65mm×厚さ40mmの平板成形型にクラッキング4mm(すなわち、クラッキング10%)だけ大きくなるように型が少し開いた状態で混合樹脂発泡粒子を充填し、充填完了後、完全に金型を閉じて発泡粒子を圧縮して型締めを行った。続いて、スチーム加熱による型内成形を行なって板状の発泡粒子成形体を得た。
加熱方法は両面の型のドレン弁を開放した状態でスチームを5秒間供給して予備加熱(排気工程)を行ったのち、固定側のドレン弁を開放した状態で移動側型よりスチームを供給し、次いで移動側のドレン弁を開放した状態で固定側型よりスチームを供給した後、排気弁を閉鎖し、成形加熱スチーム圧力0.12MPa(G)(成形圧力=成形蒸気圧)まで加熱した。加熱終了後、放圧し、成形体の発泡力による表面圧力が0.04MPa(G)に低下するまで水冷したのち、型を開放し成形体を型から取り出した。その後、80℃のオーブン内に静置し、24時間後に取り出し混合樹脂発泡粒子成形体を得た。得られた混合樹脂発泡粒子成形体について、前記測定及び評価を行った。その結果を表2~4に示す。なお、比較例4~6の発泡粒子成形体は、二次発泡性が優れず、融着性が劣っていたため、水冷時間及び成形サイクルの評価を行わなかった。
【0090】
実施例3
保持温度及び発泡温度を(樹脂粒子の融点-61)℃とした以外は、実施例1と同様にして、ポリアミド系樹脂粒子、ポリアミド系樹脂発泡粒子及びポリアミド系樹脂発泡粒子成形体を得た。得られたポリアミド系樹脂発泡粒子及びポリアミド系樹脂発泡粒子成形体について、前記測定及び評価を行った。その結果を表2に示す。
【0091】
比較例1及び3
ポリアミド系樹脂Bを用いず、表3に記載されたポリアミド系樹脂Aのみを供給した以外は、実施例1と同様にして、ポリアミド系樹脂粒子、ポリアミド系樹脂発泡粒子及びポリアミド系樹脂発泡粒子成形体を得た。得られたポリアミド系樹脂発泡粒子及びポリアミド系樹脂発泡粒子成形体について、前記測定及び評価を行った。その結果を表3に示す。
【0092】
【表2】
【0093】
【表3】
【0094】
【表4】
【0095】
表2~4より、実施例で得られた発泡粒子によれば、型内成形時の成形サイクルが短縮され、成形後の収縮が抑制され、かつ融着性も良好な発泡粒子成形体が得られることがわかる。
【産業上の利用可能性】
【0096】
本発明に係るポリアミド系樹脂発泡粒子は、型内成形時の成形サイクルが短縮され、成形後の収縮が抑制され、かつ融着性も良好な発泡粒子成形体が得られるため、自動車部品、電気製品等での更なる用途展開が期待される。
図1