(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024167072
(43)【公開日】2024-11-29
(54)【発明の名称】移動ロボット、検査室システム、および方法
(51)【国際特許分類】
G01N 35/04 20060101AFI20241122BHJP
【FI】
G01N35/04 H
【審査請求】有
【請求項の数】15
【出願形態】OL
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2024080564
(22)【出願日】2024-05-17
(31)【優先権主張番号】23174325.3
(32)【優先日】2023-05-19
(33)【優先権主張国・地域又は機関】EP
(71)【出願人】
【識別番号】522247091
【氏名又は名称】ロッシュ ダイアグノスティクス インターナショナル アクチェンゲゼルシャフト
(74)【代理人】
【識別番号】110001896
【氏名又は名称】弁理士法人朝日奈特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】クラウディオ チェルビーニ
(72)【発明者】
【氏名】オイゲン ルッサー
(72)【発明者】
【氏名】ダニエル ミュラー
(72)【発明者】
【氏名】エリック ストローケン
【テーマコード(参考)】
2G058
【Fターム(参考)】
2G058CB08
2G058CB11
2G058CB15
2G058CD11
2G058CD18
2G058CD21
2G058CF01
2G058CF17
2G058CF25
2G058GB08
2G058GB10
2G058GE05
2G058HA04
(57)【要約】 (修正有)
【課題】検査室システム用の移動ロボットに関する。
【解決手段】検査室システム50用の移動ロボット1は、試料容器キャリアCを搬送するため、および検査室システム50の少なくとも1つのインターフェースモジュール51にドッキングするために構成され、移動ロボット1は、少なくとも1つのインターフェースモジュール51が配置される検査室の床F上で移動ロボット1を移動させるように構成された駆動ベース2と、駆動ベース2に取り付けられた搬送モジュール3とを備え、搬送モジュール3は、その上に置かれた試料容器キャリアCを運ぶための搬送面4と、ドッキング時にインターフェースモジュール51に対する搬送面4の位置ずれを検出するためのセンサユニット5と、検出された位置ずれを補正するために駆動ベース2に対して搬送面4を調整するための位置合わせ駆動ユニットとを備える。
【選択図】
図8
【特許請求の範囲】
【請求項1】
検査室システム(50)用の移動ロボット(1)であって、前記移動ロボット(1)は、試料容器キャリア(C)を搬送するように、および前記検査室システム(50)の少なくとも1つのインターフェースモジュール(51)にドッキングするように構成され、前記移動ロボット(1)は、
前記少なくとも1つのインターフェースモジュール(51)が配置される検査室の床(F)上で前記移動ロボット(1)を移動させるように構成された駆動ベース(2)と、
前記駆動ベース(2)に取り付けられた搬送モジュール(3)と
を備え、前記搬送モジュール(3)は、
上に配置された試料容器キャリア(C)を運ぶための搬送面(4)と、
ドッキング時に前記インターフェースモジュール(51)に対する前記搬送面(4)の位置決めにおけるずれを検出するためのセンサユニット(5)と、
検出されたずれを補償するように、前記駆動ベース(2)に対して前記搬送面(4)を調整するための位置合わせ駆動ユニット(6)と
を備える、移動ロボット(1)。
【請求項2】
前記搬送モジュール(3)は、一対のばね付勢されたフィンガー(7)を有し、ドッキング時に、前記搬送面(4)と前記インターフェースモジュール(51)との間の隙間(52)が橋渡しされて、試料容器キャリア(C)が、前記ばね付勢されたフィンガー(7)上を滑ることによって前記隙間(52)を横切ることができるように、前記ばね付勢されたフィンガー(7)は、前記搬送面(4)の同一平面延長上に突き出ている、ことを特徴とする、請求項1に記載の移動ロボット(1)。
【請求項3】
前記センサユニット(5)は、
前記搬送モジュール(3)のばね付勢されたフィンガー(7)それぞれの変位を検出するための、および/または、
ドッキング時の前記搬送面(4)の角度ずれを検出するための、および/または、
前記インターフェースモジュール(51)の表面(53)に対する前記搬送面(4)の高さ位置を検出するための、および/または、
前記検査室の床(F)からの前記搬送面(4)の高さ(H)を検出するための、および/または、
前記インターフェースモジュール(51)の表面(53)に対するドッキング時の前記搬送面(4)の傾きを検出するための
センサ(16、8)、特に位置センサ(16、8)、を備える、ことを特徴とする、請求項1または2に記載の移動ロボット(1)。
【請求項4】
前記位置合わせ駆動ユニット(6)は、前記搬送面(4)を水平にするように、および/または鉛直方向に移動させるように構成されており、
特に、前記位置合わせ駆動ユニット(6)は、少なくとも2つの個別に駆動可能な鉛直スピンドル(9)を有する、ことを特徴とする、請求項1~3のいずれか一項に記載の移動ロボット(1)。
【請求項5】
前記搬送モジュール(3)は、前記搬送面(4)上で前記搬送モジュール(3)の搬送方向(T)に試料容器キャリア(C)を押すための、および/または、前記搬送方向(T)とは逆方向で試料容器キャリア(C)を保持するための、駆動可能なスレッジ(10)を有する、ことを特徴とする、請求項1~4のいずれか一項に記載の移動ロボット(1)。
【請求項6】
前記搬送モジュール(3)は、試料容器キャリア(C)を搬送方向(T)に前記搬送面(4)から押し出すための、および/または、試料容器キャリア(C)を前記搬送方向(T)とは逆方向に前記搬送面(4)上へ押し動かすための、および/または、試料容器キャリア(C)を前記搬送方向(T)で保持するための駆動可能なスライダ(11)を有し、
特に、前記スライダ(11)は、前記搬送面(4)に対して前記搬送方向(T)の周りで枢動駆動可能なバリア部(12)を有し、前記バリア部(12)は、試料容器キャリア(C)と係合するための水平の向きと、試料容器キャリア(C)を通過させるための直立の向きとの間で枢動可能である、ことを特徴とする、請求項1~5のいずれか一項に記載の移動ロボット(1)。
【請求項7】
前記駆動可能なスレッジ(10)および前記駆動可能なスライダ(11)は、試料容器キャリア(C)を前記搬送方向(T)に沿って、特に、前記搬送方向(T)に、および/もしくは前記搬送方向(T)とは逆方向に、前記搬送面(4)上で、および前記搬送面(4)から離れて、双方向に移動させるように構成されていること、ならびに/または
前記搬送方向(T)は、前記移動ロボット(1)の駆動方向に対して略平行または略垂直に向けられていること、を特徴とする、請求項5および6に記載の移動ロボット(1)。
【請求項8】
前記移動ロボット(1)は、制御ユニット(13)を有し、
前記制御ユニット(13)は、前記センサユニット(5)からのフィードバックに基づく閉ループ方式で前記位置合わせ駆動ユニット(6)を制御するように構成され、
特に、前記制御ユニット(13)は、前記移動ロボット(1)から試料容器キャリア(C)を前記インターフェースモジュール(51)にロードする際に、前記搬送面(4)が所定の鉛直距離だけ前記インターフェースモジュール(51)の表面(53)より上方にあり、および/または、前記移動ロボット(1)へ試料容器キャリア(C)を前記インターフェースモジュール(51)からアンロードする際に、前記搬送面(4)が所定の鉛直距離だけ前記インターフェースモジュール(51)の前記表面(53)より下方にあるように、前記位置合わせ駆動ユニット(6)を制御するように構成され、前記所定の鉛直距離は、特に0.05~5.0mm、特に0.1~1.0mm、特に0.2mmである、ことを特徴とする、請求項1~7のいずれか一項に記載の移動ロボット(1)。
【請求項9】
前記制御ユニット(13)は、前記搬送面(4)が前記駆動ベース(2)に対してその最も近い位置に保持され、および/または、前記移動ロボット(1)が前記検査室の床(F)上を移動する場合には、前記搬送面(4)が前記検査室の床(F)に対してその最も近い位置に保持されるように、前記位置合わせ駆動ユニット(6)を制御するように構成され、
特に、前記最も近い位置は、前記検査室の床(F)より200~1000mm上方、特に300~790mm上方、特に400~600mm上方、特に530mm上方の位置である、ことを特徴とする、請求項8に記載の移動ロボット(1)。
【請求項10】
前記位置合わせ駆動ユニット(6)は、前記搬送面(4)に作用する振動および衝撃を減衰させるための能動的および/または受動的減衰システムを有する、ことを特徴とする、請求項1~9のいずれか一項に記載の移動ロボット(1)。
【請求項11】
前記位置合わせ駆動ユニット(6)は、前記搬送面(4)を鉛直方向空間軸(Z)の周りに、特に90°の角度ステップで、回転させるように構成されていること、および/または
前記駆動ベース(2)は、少なくとも3つの、特に4つの、オムニホイール(14)を備えること、および/または
前記搬送モジュール(3)は、前記搬送面(4)に向かって狭くなるファンネル(15)を有し、前記ファンネル(15)は、ドッキング時の前記インターフェースモジュール(51)に対する前記搬送面(4)の横方向のずれを補償するように構成されていること、を特徴とする、請求項1~10のいずれか一項に記載の移動ロボット(1)。
【請求項12】
前記移動ロボット(1)は、2つまたは3つ以上の搬送モジュール(3)を有し、
特に、前記搬送モジュール(3)のうちの少なくとも2つが、それらの位置合わせ駆動ユニット(6)および/またはそれらのセンサユニット(5)を共有する、ことを特徴とする、請求項1~11のいずれか一項に記載の移動ロボット(1)。
【請求項13】
少なくとも1つのインターフェースモジュール(51)と、
請求項1~12のいずれか一項に記載の少なくとも1つの移動ロボット(1)と
を備える検査室システム(50)であって、
特に、前記インターフェースモジュール(51)のレーンが、前記インターフェースモジュール(51)の表面(53)に向かって狭くなるファンネル(55)を有し、前記ファンネル(55)が、ドッキング時の前記インターフェースモジュール(51)に対する前記搬送面(4)の横方向のずれを補償するように構成されている、検査室システム(50)。
【請求項14】
前記移動ロボット(1)を前記検査室の床(F)上で移動させるステップ、特に自律的に駆動させるステップと、
前記移動ロボット(1)を前記インターフェースモジュール(51)にドッキングさせるステップであって、前記センサユニット(5)が、前記インターフェースモジュール(51)に対する前記搬送面(4)の位置決めにおけるずれを検出し、前記位置合わせ駆動ユニット(6)が、検出されたずれを補償するように前記搬送面(4)を調整する、前記移動ロボット(1)を前記インターフェースモジュール(51)にドッキングさせるステップと、
少なくとも1つの試料容器キャリア(C)を前記搬送面(4)から前記インターフェースモジュール(51)にロードする、および/または、少なくとも1つの試料容器キャリア(C)を前記インターフェースモジュール(51)から前記搬送面(4)にアンロードするステップと、
を含む、請求項13に記載の検査室システム(50)を操作するための方法。
【請求項15】
前記移動ロボット(1)の前記搬送モジュール(3)は、前記搬送面(4)上で前記搬送モジュール(3)の搬送方向(T)に試料容器キャリア(C)を押すための、および/または、前記搬送方向(T)とは逆方向で試料容器キャリア(C)を保持するための駆動可能なスレッジ(10)を有し、
前記搬送モジュール(3)は、試料容器キャリア(C)を前記搬送方向(T)に前記搬送面(4)から押し出すための、および/または、試料容器キャリア(C)を前記搬送方向(T)とは逆方向に前記搬送面(4)上へ押し動かすための、および/または、試料容器キャリア(C)を前記搬送方向(T)で保持するための駆動可能なスライダ(11)を有し、
前記スライダ(11)は、前記搬送面(4)に対して前記搬送方向(T)の周りで枢動駆動可能なバリア部(12)を有し、前記バリア部(12)は、試料容器キャリア(C)と係合するための水平の向きと、試料容器キャリア(C)を通過させるための直立の向きとの間で枢動可能である、ことを特徴とし、
前記インターフェースモジュール(51)にロードするステップは、
前記バリア部(12)を直立の向きに枢動させ、前記スレッジ(10)を駆動して試料容器キャリア(C)を前記搬送方向(T)に押し、押された前記試料容器キャリア(C)が前記バリア部(12)のそばを通過するようにすることと、
前記バリア部(12)を水平の向きに枢動させ、前記スライダ(11)を駆動して、以前に前記バリア部(12)のそばを通過した前記試料容器キャリア(C)を、前記搬送方向(T)に前記搬送面(4)から押し出して前記インターフェースモジュール(51)に入れることと、
を含み、および/または
前記インターフェースモジュール(51)からアンロードするステップは、
前記バリア部(12)を直立の向きに枢動させ、前記インターフェースモジュール(51)のインターフェーススレッジ(55)を駆動して、試料容器キャリア(C)を前記搬送方向(T)とは逆方向に押し、前記試料容器キャリア(C)が前記バリア部(12)のそばを通過して前記搬送面(4)上に配置されるようにすることと、
前記バリア部(12)を水平の向きに枢動させ、前記スライダ(11)を駆動して、以前に前記バリア部(12)のそばを通過した前記試料容器キャリア(C)を、前記搬送方向(T)とは逆方向に前記搬送面(4)上へ押し動かして、前記搬送面(4)上に配置することと、
前記搬送面(4)上に配置された前記試料容器キャリア(C)を、水平の向きの前記バリア部(12)によって前記搬送方向(T)で保持することと、
を含む、請求項14に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、検査室システム用の移動ロボット、検査室システム、およびそのような検査室システムの操作方法に関する。
【背景技術】
【0002】
一般に、移動ロボットは、目標位置への駆動(走行)において、ある程度の不正確さ、および/または不精確さを持つことがある。移動ロボットには「停止位置精度」および/または「停止位置再現性」を指定することができ、詳細には、前記停止位置再現性は、通常、約±8mmおよび±0.5°である。一般的な移動ロボットが、移動ロボットとインターフェースモジュールとの間で試料容器キャリアを移送するために、検査室システムのインターフェースモジュールにドッキングする場合、停止位置精度と再現性、および検査室の床の凹凸により、移動ロボットとインターフェースモジュールとの間に隙間が生じる可能性があり、前記隙間は、移動ロボットとインターフェースモジュールとの間の試料容器キャリアの移送を複雑にする。
【発明の概要】
【0003】
本発明の目的は、検査室システム用の移動ロボットを提供すること、そのような移動ロボットを有する検査室システムを提供すること、およびそのような検査室システムを操作するための方法を提供することであり、それぞれの場合において、移動ロボットと検査室システムのインターフェースモジュールとの間での試料容器キャリアの特に信頼性の高い移送を可能にする。
【0004】
本発明による移動ロボットは、検査室システムでの使用に適合されている。したがって、移動ロボットは、移動検査室ロボットとすることができる。移動ロボットは、自己誘導型車両、または自律誘導型車両、または自律移動ロボットとすることができる。好ましくは、移動ロボットは、自律的に移動経路を選択し、および/または自律的に障害物を回避するように構成された自律移動ロボットである。自律移動ロボットが障害物を検出した場合、自律移動ロボットは、障害物が取り除かれるのを待つか、障害物を迂回するように構成され得る。移動ロボットは、試料容器キャリアを搬送するように構成されている。試料容器キャリアは、試料容器を運ぶように構成され得る。このような試料容器内に保管される試料は、例えば血液試料などの試料液の一部であってもよい。試料容器は、管状であってもよい。したがって、試料容器は、試料管であってもよい。試料容器キャリアは、5ポジションラック、例えば最大5本の試料管用のラックとすることができる。言うまでもなく、移動ロボットによって他の形態の試料容器キャリア、例えば他のタイプのラックや、単一の試料管を保持するための単一のホルダーを搬送することができる。移動ロボットは、検査室システムの少なくとも1つのインターフェースモジュールにドッキングするように構成されている。移動ロボットは、駆動ベースを備える。駆動ベースは、少なくとも1つのインターフェースモジュールが配置される検査室の床上で移動ロボットを移動させるように構成されている。さらに、移動ロボットは、駆動ベースに取り付けられた搬送モジュールを備える。搬送モジュールは、上に配置された試料容器キャリアを運ぶための搬送面を備える。搬送面は、同義で移送面と呼ばれることもある。搬送モジュールは、ドッキング時にインターフェースモジュールに対する搬送面の位置決めにおけるずれを検出するためのセンサユニットを備える。搬送モジュールは、検出されたずれを補正するために、駆動ベースに対して搬送面を調整するための位置合わせ駆動ユニットを備える。検出されたずれの補正は、インターフェースモジュールの表面および/または検査室の床に対する搬送面の高さおよび/または傾きを補正することを含み得る。さらに、検出されたずれの補正は、搬送モジュールの搬送面の縁部とインターフェースモジュールの表面とが略平行になるように、具体的には、隙間が縁部に沿って実質的に一定の幅を有するように、検出された角度ずれの角度補正を含むことができる。この位置合わせにより、試料容器キャリアは、インターフェースモジュールと移動ロボットの間を特に高い信頼度で移送されることができる。
【0005】
本発明の一実施形態によれば、搬送モジュールは、ドッキング時に、搬送面とインターフェースモジュールとの間の隙間が橋渡しされて、試料容器キャリアが、ばね付勢されたフィンガー上を滑ることによって前記隙間を横切ることができるように、搬送面の同一平面延長上に突き出た一対のばね付勢されたフィンガーを有する。ばね付勢されたフィンガーは、ドッキング時に、均等または不均等に変位され、ずれの補償を支援することができる。ドッキング時に、ばね付勢されたフィンガーは、インターフェースモジュールに接触してもよい。角度ずれは、搬送モジュールの搬送面の角度回転によって補正され、その後、ばね付勢されたフィンガーを均等に変位させることができる。
【0006】
本発明の別の実施形態によれば、センサユニットは、搬送モジュールのそれぞれのばね付勢されたフィンガーの変位を検出するため、および/または、搬送モジュールの搬送面に対する2点におけるインターフェースモジュールの変位を検出するためのセンサを備える。1つのこのようなセンサが、それぞれのばね付勢されたフィンガーの変位を検出するために、ばね付勢されたフィンガーの各々の後ろに(詳細には、すぐ後ろに)配置されることができる。加えて、または代替として、センサユニットは、ドッキング時の搬送面の角度ずれを検出するためのセンサを備える。加えて、または代替として、センサユニットは、ドッキング時の検査室の床からの、および/またはインターフェースモジュールの搬送面からの搬送面の高さを検出するためのセンサを備える。加えて、または代替として、センサユニットは、インターフェースモジュールの表面に対する搬送面の高さ位置を検出するためのセンサを備えていてもよい。高さ位置は、搬送面とインターフェースモジュールの表面との間の特定された鉛直距離によって定義され得る。これにより、検査室の床からのインターフェースモジュールの搬送面の絶対的な高さとは無関係に、インターフェースモジュールの表面に対する搬送面の高さの位置合わせが可能になる。加えて、または代替として、センサユニットは、ドッキング時のインターフェースモジュールの表面に対する搬送面の傾きを検出するためのセンサを備える。
【0007】
現在の文脈では、角度ずれは、鉛直方向空間軸を参照することができる。搬送面の傾きは、少なくとも1つの水平方向空間軸、特に、2つの直交する水平方向空間軸に関連し得る。鉛直方向空間軸は、Z軸であってもよい。水平方向空間軸の1つはY軸であってもよく、水平方向空間軸のもう1つはX軸であってもよい。鉛直方向軸および両方の水平方向軸は、移動ロボットのナビゲーション、特に自己ナビゲーションのための3次元座標系を形成することができる。
【0008】
フィンガーの変位を検出するために、センサシステムのセンサとしてリニアトランスデューサを使用することができる。各フィンガーの後ろに、このようなリニアトランスデューサを取り付けることができる。高さおよび/または傾きの検出のために、光電近接センサをセンサシステムに使用することができる。詳細には、このような光電近接センサの2つが、搬送面の傾きを検出するために使用されると考えられ、前記2つの光電近接センサは、水平方向空間軸のうちの1つ(詳細には、移動ロボットの搬送方向に対して垂直の空間軸)に沿って互いに離間して配置される。バッチレーン方向が、搬送方向に沿って延びていてもよい。搬送面の傾きは、バッチレーン方向に沿って延びる第1の水平方向空間軸と、バッチレーン方向に垂直に延びる第2の水平方向空間軸とを参照して補償され得る。
【0009】
詳細には、センサユニットは、搬送面の下方に配置されたセンサを備え得る。搬送面の下方にある前記センサは、特に移動ロボットの初期化のための、搬送面の基本位置を定めるように構成され得る。
【0010】
本発明の別の実施形態によれば、位置合わせ駆動ユニットは、搬送面を水平にするように、および/または鉛直方向に移動させるように構成されている。搬送面を水平にするために、位置合わせ駆動ユニットは、少なくとも1つの(特に2つの直交する)水平方向空間軸を参照して搬送面を能動的に傾斜させるように構成され得る。搬送面を鉛直方向に移動させるために、位置合わせ駆動ユニットは、搬送面を鉛直方向空間軸に沿って直線的に移動させるように、および/または搬送面を少なくとも1つの水平方向空間軸の周りに回転させるように構成され得る。詳細には、位置合わせ駆動ユニットは、少なくとも2つの個別に駆動可能な鉛直スピンドルを有する。位置合わせ駆動ユニットは、搬送面を鉛直方向空間軸の周りに回転させるための駆動可能なターンテーブルを有することができ、特にターンテーブルは独立して駆動可能である。位置合わせ駆動ユニットは、インターフェースモジュールに対する搬送面の横方向のずれを能動的に補償するための駆動可能な水平スピンドルを備えていてもよい。
【0011】
本発明の別の実施形態によれば、搬送モジュールは、搬送面上で搬送モジュールの搬送方向に試料容器キャリアを押すため、および/または搬送方向とは逆方向で試料容器キャリアを保持するための駆動可能なスレッジを有する。駆動可能なスレッジは、クランプ部分および/または爪部分を有することができる。
【0012】
本発明の別の実施形態によれば、搬送モジュールは、試料容器キャリアを搬送方向に搬送面から押し出すため、および/または試料容器キャリアを搬送方向とは逆方向に搬送面上へ押し動かすため、および/または試料容器キャリアを搬送方向で保持するための駆動可能なスライダを有する。詳細には、スライダは、搬送方向の周りに、詳細には搬送方向と平行に延びる軸の周りに、搬送面に対して枢動駆動可能であるバリア部を有する。バリア部は、試料容器キャリアと係合するための水平の向きと、試料容器キャリアを通過させるための直立の向きとの間で枢動可能である。
【0013】
本発明の別の実施形態によれば、駆動可能なスレッジおよび駆動可能なスライダは、試料容器キャリアを搬送方向に沿って搬送面上で、および搬送面から離れて双方向に移動させるように構成されている。詳細には、スレッジとスライダの間に配置され、かつ/またはクランプされた試料容器キャリアは、スレッジとスライダの両方を同時に駆動することにより、搬送方向に沿って移動させることができる。スライダとスレッジの両方が、同様の機能を有するバリア部を有することができ、したがって、試料容器キャリアを搬送方向に沿って双方向に、非定常的に、および/または離散的に、および/またはバッチ式に、搬送することができる。
【0014】
本発明の別の実施形態によれば、搬送方向は、移動ロボットの駆動(走行)方向に対して略平行または略直角に向けられている。移動ロボットは、検査室の床上を駆動方向に移動する、詳細には駆動することができる。
【0015】
本発明の別の実施形態によれば、移動ロボットは、制御ユニットを有する。制御ユニットは、センサユニットからのフィードバックに基づく閉ループ方式で位置合わせ駆動ユニットを制御するように構成されている。詳細には、制御ユニットは、移動ロボットから試料容器キャリアをインターフェースモジュールにロードする際に、搬送面が所定の鉛直距離だけインターフェースモジュールの表面より上方にあり、および/または、移動ロボットへ試料容器キャリアをインターフェースモジュールからアンロードする際に、搬送面が所定の鉛直距離だけインターフェースモジュールの表面より下方にあるように、位置合わせ駆動ユニットを制御するように構成されている。所定の鉛直距離は、0.05~5.0mm、特に0.1~1.0mm、特に0.2mmとすることができる。
【0016】
本発明の別の実施形態によれば、制御ユニットは、搬送面が駆動ベースに対して最も近い位置に保持されるように、および/または移動ロボットが検査室の床上を移動する場合には、搬送面が検査室の床に対して最も近い位置に保持されるように、位置合わせ駆動ユニットを制御するように構成されている。最も近い位置は、重力方向に関して、詳細には鉛直方向空間軸に沿って、搬送面の最も低い位置であってもよい。詳細には、最も近い位置は、検査室の床の200~1,000mm上方、特に300~790mm上方、特に400~600mm上方、特に530mm上方の位置である。これにより、移動ロボットが検査室の床上を移動する際の移動ロボットの重心を特に低くすることができ、移動ロボットが検査室の床上を移動する際の試料容器内の液体のスロッシングを低減することができる。
【0017】
本発明の別の実施形態によれば、位置合わせ駆動ユニットは、搬送面に作用する振動および/または衝撃を減衰させるための能動的および/または受動的減衰システムを有する。このような受動的減衰システムは、ショックアブソーバーを備えることができる。これにより、移動ロボットが検査室の床上および/または障害物の上を移動する際の試料容器内の液体のスロッシングを低減することができる。
【0018】
別の実施形態によれば、搬送面は、駆動ベースに対して鉛直方向空間軸の周りに回転することはできない。別の実施形態によれば、搬送面は、+5°~-5°の補償角度の範囲内で、鉛直方向空間軸の周りに駆動ベースに対して限定的に回転することができる。
【0019】
別の実施形態によれば、位置合わせ駆動ユニットは、駆動ベースに対して鉛直方向空間軸の周りに搬送面を少なくとも90°、特に少なくとも180°、特に少なくとも270°、特に360°および/または無制限に回転させるように構成されている。
【0020】
本発明の別の実施形態によれば、位置合わせ駆動ユニットは、鉛直方向空間軸の周りに、特に90°および/または180°の角度ステップで、駆動ベースに対して搬送面を回すまたは回転させるように構成されている。
【0021】
本発明の別の実施形態によれば、駆動ベースは、少なくとも3つ、特に4つのオムニホイールを備える。「オムニホイール」は、同義的に「スウェーデンホイール(Swedish wheel)」、および/または「スタンフォードホイール(Stanford wheel)」、および/または「メカナムホイール」と呼ばれることもある。これにより、インターフェースモジュールに横向きにドッキングし、移動ロボットの主駆動方向に対して垂直の方向に試料容器キャリアをロードおよびアンロードすることができる。
【0022】
本発明の別の実施形態によれば、搬送モジュールは、搬送面に向かって狭くなっているファンネルを有し、ファンネルは、ドッキング時および/または試料容器キャリアの移送時に、インターフェースモジュールに対する搬送面の横方向のずれを補償するように構成されている。移動ロボットのファンネルは、試料容器キャリアが、インターフェースモジュールからのアンロード中、ファンネルによって中央に押されることができるように、横方向のずれを補償することができる。インターフェースモジュールは、搬送モジュールのファンネルと同様の、詳細には対応するファンネルを有することができる。これにより、インターフェースモジュールに横向きにドッキングし、移動ロボットの主駆動方向に対して垂直の方向に試料容器キャリアをロードおよびアンロードすることが可能になり得る。
【0023】
本発明の別の実施形態によれば、移動ロボットは、2つまたは3つ以上の搬送モジュールを有する。各搬送モジュールは、試料容器キャリアを、特にバッチ式に、搬送するためのレーンを形成することができる。詳細には、少なくとも2つの搬送モジュールが、位置合わせ駆動ユニットおよび/またはセンサユニットを共有する。各搬送モジュールによって形成されたレーンは、互いに平行またはある角度で配向され得る。搬送モジュールは、互いに横に並んで、および/または鉛直に積み重なるように配置され得る。
【0024】
本発明による検査室システムは、少なくとも1つのインターフェースモジュールを備える。検査室システムのインターフェースモジュールは、検査室の床に置かれている。検査室システムは、本発明による少なくとも1つの移動ロボットを、さらに備える。したがって、上述した本発明による移動ロボットの利点は、本発明による検査室システムにも当てはまる。検査室システムは、少なくとも1つのインターフェースモジュールおよび/または少なくとも1つの移動ロボットを制御するためのコントローラを有することができる。インターフェースモジュールのレーンは、インターフェースモジュールの表面に向かって狭くなっているファンネルを有することができ、前記ファンネルは、ドッキング時のインターフェースモジュールに対する搬送面の横方向のずれを補償するように構成されている。
【0025】
本発明による検査室システムを操作するための本発明による方法は、いくつかのステップを含む。1つのステップは、移動ロボットを検査室の床上で移動させること、特に自律的に駆動(走行)させることを含む。本方法の別のステップは、移動ロボットをインターフェースモジュールにドッキングさせることを含み、センサユニットが、インターフェースモジュールに対する搬送面の位置決めにおけるずれを検出し、位置合わせ駆動ユニットが、検出されたずれを補償するように搬送面を調整する。別のステップは、少なくとも1つの試料容器キャリアを搬送面からインターフェースモジュールにロードすること、および/または少なくとも1つの試料容器キャリアをインターフェースモジュールから搬送面にアンロードすることを含む。ロードおよび/またはアンロードするステップは、搬送面とインターフェースモジュールとの間で試料容器キャリアを移送するステップに包含されてもよい。
【0026】
本発明の、特に本方法の、一実施形態によれば、移動ロボットの搬送モジュールは、搬送面上で搬送モジュールの搬送方向に試料容器キャリアを押すため、および/または搬送方向とは逆方向で試料容器キャリアを保持するための駆動可能なスレッジを有する。さらに、搬送モジュールは、試料容器キャリアを搬送方向に搬送面から押し出すため、および/または試料容器キャリアを搬送方向で保持するための駆動可能なスライダを有する。駆動可能なスライダは、さらに、試料容器キャリアを搬送方向とは逆方向に搬送面上へ押し動かすように構成されてもよい。スライダは、搬送方向の周りで搬送面に対して枢動駆動可能なバリア部を有し、バリア部は、試料容器キャリアと係合するための水平の向きと、試料容器キャリアを通過させるための直立の向きとの間で枢動可能である。ここで、インターフェースモジュールにロードするステップは、バリア部を直立の向きに枢動させ、次に、スレッジを駆動して試料容器キャリアを搬送方向に押し、押された試料容器キャリアがバリア部のそばを通過するようにすることを含む。さらに、インターフェースモジュールにロードするステップは、バリア部を水平の向きに枢動させ、次に、スライダを駆動して、以前にバリア部のそばを通過した試料容器キャリアを、搬送方向に搬送面から押し出してインターフェースモジュールに入れることを含む。加えて、または代替として、インターフェースモジュールからアンロードするステップは、バリア部を直立の向きに枢動させ、次に、インターフェースモジュールのインターフェーススレッジを駆動して、試料容器キャリアを搬送方向とは逆方向に押し、試料容器キャリアがバリア部のそばを通過するようにすることを含む。次に、バリア部を水平の向きに枢動させ、スライダを駆動して、以前にバリア部のそばを通過した試料容器キャリアを、搬送方向とは逆方向に搬送面上へ押し動かして、搬送面上に配置する。インターフェースモジュールからアンロードするステップは、さらに、搬送面上に配置された試料容器キャリアが、水平の向きのバリア部によって搬送方向で保持されることを含む。
【0027】
本発明による移動ロボットおよび/または検査室システムは、上位の箱またはトレイを使用することなく、試料容器キャリアの搬送を可能にする。
【0028】
検査室システムの基準装置を、インターフェースモジュールに取り付けることができ、前記基準装置は、センサユニットと相互作用するように、ならびに/または、高さおよび/もしくは傾きの補償のための基準を与えるように構成されている。基準装置は、(詳細には鉛直に延びる)金属シートを備えることができる。
【0029】
移動ロボットのレーン数は、インターフェースモジュールのレーン数と等しくても異なっていてもよい。移動ロボットの各レーンは、それぞれの搬送面によって形成されてもよい。インターフェースモジュールの各レーンは、インターフェースモジュールのそれぞれの表面によって形成されてもよい。
【0030】
移動ロボットが、移動ロボットの駆動方向に対して横方向に試料容器キャリアをロードおよび/またはインターフェースモジュールからアンロードするように構成されている場合、ドッキング時の移動ロボットの駆動経路は、平坦なS字形状を有することができる。これにより、特に、移送面が鉛直方向空間軸の周りに駆動ベースに対して回転可能でない場合に、特に信頼性の高いドッキングが可能になり得る。
【0031】
検査室の床の一部には凹凸があることがあり、インターフェースモジュールなどの検査室システムのステーションは、具体的には、床の凹凸、またはそれらの設置、または機械的公差のために、異なる高さを持つことがある。
【0032】
試料容器キャリアは、比較的小さなフットプリントを有することができ、従って、インターフェースモジュールと移動ロボットとの間の隙間を介した移動ロボットとインターフェースモジュールとの間の前記試料容器キャリアの移送は、特に、1つ以上の試料容器キャリアを保持するための追加のより大きな上位トレイの使用が控えられる場合に、特に困難になり得る。追加のより大きな上位トレイを使用すると、空(から)のトレイのロジスティクスのために追加の労力が必要になる。
【0033】
通常、臨床検査室のスペースは、非常に狭いことがある。例えば、通路の幅はかなり狭く、移動ロボットの自由な移動スペースが制限されることがある。さらに、検査室の人員が検査室の床の同じスペースを使用する可能性があり、移動ロボットの移動スペースや検査室の人員の自由な移動スペースがさらに制限される可能性がある。検査室の規模によっては、移動ロボットの一団が使用されることもあり、利用可能なスペースはさらに制限され得る。
【0034】
検査室システムは、移動ロボットの一団を備えることもできる。移動ロボットは、群れのような相互作用をするように構成することができる。
【0035】
一般的なベルトコンベアとは対照的に、本発明による移動ロボットは、試料容器キャリア内の試料をバッチで(例えばバッチ式に)搬送することができる。しかしながら、いくつかのインターフェースモジュールが別々の部屋に置かれていることがあるため、または、同じシステムが全てのインターフェースモジュールに接続されているわけではないため、バッチ全体を同じインターフェースモジュールに搬送する必要がないと思われることもある。したがって、どこからどこへ、例えば、どのシステムからどのシステムへ、試料を搬送すべきかを定めるために、リソースマネージャソフトウェアを使用することができる。
【0036】
上に示したように、本発明は、インターフェースモジュールに対する搬送面の回転位置合わせを可能にすることができる。詳細には、インターフェースモジュールに対する搬送面の鉛直方向空間軸の周りの角度の調整は、搬送面の表(おもて)側とインターフェースモジュールの表側とが略平行に並ぶように行うことができる。各ばね付勢されたフィンガーの後ろにある距離センサおよび/または近接センサを使用して、前記平行性を調整することができる。ばね付勢されたフィンガーは、2つの機能を持つことができ、1つ目は橋渡しであり、2つ目は角度補正および/または補償である。
【0037】
さらに、本発明は、インターフェースモジュールに対する搬送面の高さおよび/または傾きの位置合わせを可能にすることができる。インターフェースモジュールに対する搬送面の少なくとも1つの水平方向空間軸の周りの高さおよび/または角度の調整は、特に、凹凸のある床またはステーションの機械的公差を考慮して、搬送面の表側とインターフェースモジュールの表側とが互いに略平行になるように行うことができる。
【0038】
詳細には、搬送面がインターフェースモジュールの表面と略同一平面上にあるように、位置合わせ駆動ユニットによって搬送面を調整することができる。
【0039】
詳細には、搬送面は、特に横方向のずれ(特に8mmを超える)を補償するために、位置合わせ駆動ユニットによって移動ロボットの駆動方向に対して横に移動させることができる。これにより、精密で正確な位置決めがあまり必要とされなくなり、移動ロボット自身による位置決めプロセスが容易になり、その結果、移動ロボットをインターフェースモジュールの前で位置決めする時間が短縮されるという利点が得られる。さらに、搬送モジュールの位置合わせ能力は、移動ロボットの停止位置精度と精密度にあまり依存しない。
【0040】
詳細には、試料容器キャリアを移送するとき、前記試料容器キャリアは、搬送面上および/またはインターフェースモジュールの表面上を直接滑ることができる。搬送面上および/またはインターフェースモジュールの表面上を試料容器キャリアが直接滑ることは、追加の上位トレイを控えることができ、従って、そのようなトレイのためのハンドリングおよび/または他のロジスティクスは不要であるという利点を有することができる。
【0041】
移送のために、試料容器キャリアは、駆動可能なスレッジと駆動可能なスライダによって、バッチとして、例えば1個から30個の5ポジションラックとして、押され得る。駆動可能なスレッジは、移動ロボットからインターフェースモジュールに向かってバッチを押すために使用され得る。駆動可能なスレッジは、移動ロボットのフットプリントの端を越えて移動できないかもしれない。しかしながら、(詳細には、残っている)試料容器キャリアが押されてインターフェースモジュールまで完全に渡ることができるように、駆動可能なスライダが、端を越えて移動することができる。
【0042】
駆動可能なスライダは、インターフェースモジュールの可動爪、詳細にはインターフェースモジュールの駆動可能なスレッジの可動爪が試料容器キャリアの大部分を移動ロボット上へ押し動かした後、インターフェースモジュールから移動ロボットへ試料容器キャリアを押すために、さらに使用され得る。
【0043】
移動ロボットのスレッジとスライダの両方が、移動ロボットの搬送面上での搬送中に試料容器キャリアのバッチを所定の位置に保持するための、ならびに/または搬送中および/もしくは駆動中に試料容器キャリアによって運ばれる試料容器が傾くのを回避するためのクランプとして機能し得る。
【0044】
フィンガーの上面とインターフェース表面との間の段差は、ドッキング時に、特に閉ループ方式で、制御され得る。段差は、試料がこぼれないように、試料管に対して機械的な影響および/または衝撃および/または勢いが加わらないように制御され得る。段差は、試料容器キャリアが段差に引っ掛からないように制御され得る。段差は、フィンガーを介して移送され、および/または押されているときに、試料管に機械的な影響および/または衝撃および/または勢いが加わり、その結果、蓋のない管から試料がこぼれるということがないように制御され得る。押す速度は、段差を越えて移送されているときに、蓋のない管からこぼれる可能性を減らすために、速過ぎてはならない。試料容器キャリアが引っ掛かったり、ひっくり返ったりするのを避けるため、移送方向に応じて段差を下降または上昇させることができる。段差は、鉛直距離であってもよい。
【0045】
減衰システムのショックアブソーバーは、油圧要素または空気圧要素を有することができる。受動的な振動減衰システムは、機械装置、流体、および/またはエラストマー材料を有することができる。能動的な振動減衰システムは、閉ループシステムにおけるセンサとアクチュエータを有することができる。減衰システムは、例えば移動ロボットの駆動中に、移動ロボットによる搬送中の試料管に作用する衝撃および/または振動の影響を低減するために、搬送モジュールに組み込まれることができる。このような減衰システムは、駆動中の衝撃および/または振動を低減し、したがって、搬送面および/またはその上に配置された試料容器キャリアに伝達される衝撃および/または振動エネルギーの量を低減することを可能にし、これは、より大きな影響および/または衝撃および/または勢いが試料液に影響を与える可能性がある、エレベータに乗り込むまたはケーブルダクトを乗り越えるような特別な場合に、特に有利となり得る。減衰システムの減衰能力は、発生しているまたは予想される振動および/または衝撃に応じて、特に安全係数を含めて、設計することができる。
【0046】
移送中または駆動中の振動、突然の動き、および/または衝撃は、例えば、赤血球の溶解、凝固アッセイにおける血小板の再懸濁、例えば試料液がスロッシングし過ぎる結果として、蓋のない管または蓋を外した管からこぼれることによる相互汚染など、試料の完全性に悪影響を与える可能性がある。したがって、試料容器キャリア内で試料管が傾き過ぎるのを回避して、蓋のない試料管からこぼれるのを防ぐことができる。こうして、管は、可能な限り真っ直ぐに保たれ、可能な限り滑らかに移送される。
【0047】
移動ロボットの駆動中に移動ロボットの搬送面を最も近い位置まで下降させることは、試料管内の液体のスロッシングを減らすことに役立ち得る。スロッシングは、走行する動きおよび移動ロボットが検査室の床と接触することの結果であり得る。特に、ケーブルダクトを乗り越える、またはエレベータに乗り込むと、液体の大きな動きおよび/またはスロッシングが発生し、最悪の場合、液体がこぼれる可能性がある。ホイール軸に対する試料管の開口部の相対的な動きはホイール軸からの距離の増加とともに増加し得るので、搬送面が低いほど、液体のスロッシングは減少する。例えば、搬送面を約250mm下げることができる。搬送面を下げる以外にも、移動ロボットの駆動(走行)速度を下げることが、スロッシングを回避するのに役立ち得る。
【0048】
駆動速度を遅くすることに加え、減衰させることと面を下げることとの組み合わせが、有益となり得る。
【0049】
試料管の移送は、移動ロボットの前方を通って、または後方を通って、または左側方を通って、または右側方を通って、またはそれらの組み合わせを通って、特に移動ロボットの駆動方向を参照した前述の向きで、行われ得る。詳細には、狭い通路のような狭い環境では、目標位置まで直進するスペースがないため、移動ロボットがインターフェースモジュールまで前進走行できない可能性があり、横方向の移送が有利となり得る。試料の横方向移送は、移動ロボットが通路に沿ってインターフェースモジュールに対して横向きに自らを位置付け、移動ロボットのそれぞれの側部を通って試料容器キャリアをロードおよび/またはアンロードすることを可能にすることができる。インターフェースモジュールの前の必要なスペースを少なくすることができる。異なる移動ロボットが、簡単に互いのそばを通り過ぎることができ、または簡単に人のそばを通り過ぎることができる。移動ロボットの一団が使用され、これらの移動ロボットが同じインターフェースモジュールでロードまたはアンロードを行いたい場合、インターフェースモジュールの隣にタクシーの列が作られ得る。
【0050】
左側または右側のいずれからもアンロードできる能力は、狭い通路での必要な駆動動作を減らすことができる。このような能力は、駆動可能なスレッジおよび駆動可能なスライダが、搬送面上で試料容器キャリアを双方向に移動させるように構成されていることによって達成され得る。例えば、移動ロボットは、通路の右側に配置されたインターフェースモジュールと、通路の左側に配置された別のインターフェースモジュールとに試料のバッチを搬送する必要がある場合、方向を変える必要はない。
【0051】
前述の表面位置合わせ原理は、横方向のアンロードおよび/またはロードだけでなく、移動ロボットの前方および/または後方からのアンロードおよび/またはアンロードにも使用することができる。
【0052】
移動ロボットは、前進および/または後進が可能であり、フットプリントを変えることなく回転可能であり、インターフェースモジュールの前の目標位置まで実質的に回転することなく横向きに駆動可能である全方向移動ロボットとすることができる。横方向のアンロードおよび/またはロードの場合、ドッキング時に移動ロボットがインターフェースモジュールの前の目標位置まで駆動できるように、移動ロボットは、左側および/または右側に、インターフェースモジュールに対してある程度のスペースを必要とする場合がある。
【0053】
オムニホイールを持つ移動ロボットは、目標位置まで横方向に走行することができる。したがって、横方向のアンロードおよび/またはロードのためにインターフェースモジュールの左または右に追加のスペースが必要になることはない。
【0054】
様々なインターフェースモジュールとの間で試料を送受するための柔軟性および/または細かさを高めるために、搬送モジュールは、1つより多いレーン、例えば、側部からのアンロードおよび/またはロードの場合には、5ポジションラックのバッチを伴う最大4つのレーンを備えることができる。あるいは、搬送モジュールは、例えば最大150本の試料管を有する、単一バッチのための単一レーンを備えることもできる。
【0055】
例えば、移動ロボットは、試料容器キャリアの第1のバッチをインターフェースモジュールで、第2のバッチを別のインターフェースモジュールでアンロードまたはロードすることができる。さらに、移動ロボットは、離れ去ることなく、同じインターフェースモジュールで別のバッチをロードおよびアンロードすることもできる。例えば、移動ロボットは、インターフェースモジュールで第1のバッチをアンロードし、インターフェースモジュールで第3のバッチを同じ時間および/または同じ位置でロードすることができ、これによりスループットを向上させ、ターンアラウンドタイムを短縮することができる。同じインターフェースモジュールでのバッチのロードおよびアンロードは、位置を変えることなく、あるいは移動ロボットの位置をわずかに変えることで行うことができ、例えば、インターフェースモジュールに対して横向きに位置付ける場合、移動ロボットは、わずかに前進するだけでよい。移動ロボットが位置を変えない場合、インターフェースモジュールは、同じインターフェースモジュールで同時にアンロードとロードを行うために、対応するロードレーンおよびアンロードレーンを対応する位置に有する必要があり得る。
【0056】
上記の同じ表面位置合わせ原理が、1つより多いレーンでも機能し得る。各レーンは、ばね付きフィンガーを必要とするが、少なくとも2本のフィンガーのみが、回転位置合わせによって統合されたセンサを有する必要がある。詳細には、横方向に最も外側のフィンガーは、特に、より精密な制御とずれの補償のために、統合されたセンサを有し得る。
【0057】
本発明のさらなる利点および特徴は、特許請求の範囲から、ならびに図面に示される本発明の好ましい実施形態についての以下の説明から明らかになる。そこでは、等しい参照符号は、等しいか、類似しているか、または機能的に等しい構成要素に関連している。
【0058】
上述した特徴および以下に説明する特徴は、それぞれ記載した組み合わせにおいてのみ使用可能であるだけでなく、本発明の枠を出ることなく、他の組み合わせまたは単独でも使用可能であることを理解されたい。
【図面の簡単な説明】
【0059】
【
図1】本発明による移動ロボットの一実施形態を斜視図で模式的に示す。
【
図2】
図1による移動ロボットの詳細を斜視図で示す。
【
図6】
図1による移動ロボットの搬送モジュールを斜視図で別に示す。
【
図8】
図1による移動ロボットを有する、本発明による検査室システムの一実施形態を側面図で示す。
【
図9】
図8による検査室システムの詳細を側面図で示す。
【
図10】
図8による検査室システムを上面図で示す。
【発明を実施するための形態】
【0060】
検査室システム50は、少なくとも1つのインターフェースモジュール51と少なくとも1つの移動ロボット1を備える。検査室システム50は、検査室試料分配システムとすることができる。検査室システム50は、少なくとも1つのインターフェースモジュール51を制御するためのコントローラ54を有することができる。加えて、または代替として、コントローラ54は、少なくとも1つの移動ロボット1を制御するように構成され得る。移動ロボット1は、試料容器キャリアCを搬送するように構成されている。さらに、移動ロボット1は、少なくとも1つのインターフェースモジュール51にドッキングするように構成されている。
【0061】
移動ロボット1は、検査室の床F上で移動ロボット1を移動させるように構成された駆動ベース2を備える。少なくとも1つのインターフェースモジュール51は、検査室の床Fに置かれている。
【0062】
移動ロボット1は、駆動ベース2に取り付けられた搬送モジュール3を備える。搬送モジュール3は、駆動ベース2の上に取り付けることができる。搬送モジュール3は、上に配置された試料容器キャリアCを運ぶための搬送面4を備える。搬送面4は、移送面とすることができる。搬送モジュール3は、ドッキング時にインターフェースモジュール51に対する搬送面4の位置決めにおけるずれを検出するように構成されたセンサユニット5を有する。さらに、搬送モジュール3は、検出されたずれを補償するために、駆動ベース2に対して搬送面4を調整するための位置合わせ駆動ユニット6を備える。
【0063】
例えば、搬送モジュール3は、一対のばね付勢されたフィンガー7を備える。各フィンガー7は、ドッキング時に、搬送面4とインターフェースモジュール51との間の隙間52が橋渡しされて、試料容器キャリアCが、ばね付勢されたフィンガー7上を滑ることによって隙間52を横切ることができるように、搬送面4の同一平面延長上に突き出ている。センサフィンガー7は、特にインターフェースモジュール51とのドッキング接触により、移動ロボット1の搬送方向Tに沿って独立して変位可能であり得る。
【0064】
例えば、センサユニット5は、センサ16、8を備える。センサ16、8は、位置センサおよび/または距離センサおよび/または近接センサとすることができる。センサ16、8は、それぞれのばね付勢されたフィンガー7の変位を検出するように構成され得る。代替または追加として、センサ16、8は、ドッキング時の搬送面4の角度ずれを検出するように構成され得る。加えて、または代替として、センサ16、8は、検査室の床Fからの、および/またはインターフェースモジュール51の表面53からの搬送面4の高さHを検出するように構成され得る。加えて、または代替として、センサ16、8は、ドッキング時のインターフェースモジュール51の表面53に対する搬送面4の傾きを検出するように構成され得る。
【0065】
例えば、位置合わせ駆動ユニット6は、搬送面4を水平にするように構成されている。加えて、または代替として、位置合わせ駆動ユニット6は、搬送面4を鉛直方向に移動させるように構成されている。位置合わせ駆動ユニット6は、特に搬送面4を水平にすることができる、少なくとも2つの個別に駆動可能な鉛直スピンドル9を有することができる。さらに、位置合わせ駆動ユニット6は、移動ロボット1の鉛直方向空間軸Zの周りに搬送面4を回転させることができるターンテーブルを有することができる。
【0066】
例えば、搬送モジュール3は、駆動可能なスレッジ10を有する。駆動可能なスレッジ10は、搬送面4上で搬送モジュール3の搬送方向Tに試料容器キャリアCを押すように構成されている。加えて、または代替として、駆動可能なスレッジ10は、特に移動ロボット1が検査室の床F上を走行しているときに、搬送方向Tとは逆方向で試料容器キャリアCを保持するように構成されている。
【0067】
図からわかるように、搬送モジュール3は、駆動可能なスライダ11を有する。駆動可能なスライダ11は、搬送方向Tに試料容器キャリアCを搬送面4から押し出すように構成されている。加えて、または代替として、駆動可能なスライダ11は、特に移動ロボット1が検査室の床F上を走行しているときに、搬送方向Tで試料容器キャリアCを保持するように構成されている。例えば、スライダ11は、搬送方向Tの周りで搬送面4に対して枢動駆動可能なバリア部12を有する。バリア部12は、試料容器キャリアCと係合するための水平の向きと、試料容器キャリアCを通過させるための直立の向きとの間で枢動可能であり得る。
【0068】
図示されていない実施形態では、スレッジ10は、スライダ11と同様のバリア部を有することができ、詳細には、駆動可能なスレッジ10と駆動可能なスライダ11との相互作用によって、搬送方向Tに沿って搬送面4上で試料容器キャリアCを双方向に移動させることができる。搬送方向Tは、移動ロボット1の駆動方向に対して略平行または略直角に向けられ得る。
【0069】
図の例では、搬送方向Tは、移動ロボット1の駆動方向と等しい。
【0070】
例えば、移動ロボット1は、制御ユニット13を有する。制御ユニット13は、センサユニット5からのフィードバックに基づく閉ループ方式で位置合わせ駆動ユニット6を制御するように構成されている。制御ユニット13は、移動ロボット1から試料容器キャリアCをインターフェースモジュール51にロードする際に、搬送面4がインターフェースモジュール51の表面53より上方にあるように、位置合わせ駆動ユニット6を制御するように構成され得る。加えて、または代替として、制御ユニット13は、移動ロボット1へ試料容器キャリアCをインターフェースモジュール51からアンロードする際に、搬送面4がインターフェースモジュール51の表面53より下方にあるように、位置合わせ駆動ユニット6を制御するように構成されている。いずれの場合も、インターフェースモジュール51へのロード中、またはインターフェースモジュール51からのアンロード中、搬送面4と表面53との間に所定の鉛直距離または段差が存在し得る。所定の鉛直距離は、0.05~5.0mm、特に0.1~1.0mm、特に0.2mmとすることができる。
【0071】
例えば、制御ユニット13は、搬送面4が駆動ベース2に対して最も近い位置に保持されるように、位置合わせ駆動ユニット6を制御するように構成されている。加えて、または代替として、制御ユニット13は、搬送面4が検査室の床Fに対して最も近い位置に保持されるように、位置合わせ駆動ユニット6を制御するように構成されている。搬送面4は、移動ロボット1が検査室の床F上を移動する場合、その最も近い位置に保持され得る。最も近い位置は、検査室の床Fの上方、詳細には鉛直方向に、200~1000mm上方、特に300~790mm上方、特に400~600mm上方、特に530mm上方となる位置とすることができる。
【0072】
例えば、位置合わせ駆動ユニット6は、搬送面4および/またはその上に配置された試料容器キャリアCに作用する振動および/または衝撃を減衰させるための能動的減衰システムを有する。加えて、または代替として、位置合わせ駆動ユニット6は、搬送面4に作用する振動および/または衝撃を減衰させるための受動的減衰システムを有する。
【0073】
位置合わせ駆動ユニット6は、搬送面4を鉛直方向空間軸Zの周りに、特に90°または180°の角度ステップで、あるいは実質的に無段階で、回転させるように構成され得る。
【0074】
駆動ベース2は、少なくとも3つ、特に4つのオムニホイール14を備えることができる。
【0075】
図からわかるように、搬送モジュール3は、ファンネル15を有する。ファンネル15は、搬送面4に向かって狭くなることができる。インターフェースモジュール51は、インターフェースモジュール51の表面53に向かって狭くなっているファンネル55を有することができる。ファンネル15および/またはファンネル55は、ドッキング時のインターフェースモジュール51に対する搬送面4の横方向のずれを補償するように構成され得る。
【0076】
移動ロボット1は、2つまたは3つ以上の搬送モジュール3を持つことができる。そこでは、少なくとも2つの搬送モジュール3が、位置合わせ駆動ユニット6および/またはセンサユニット5を共有することができる。各搬送モジュール3は、それぞれの試料のバッチのための移動ロボット1のレーンを形成することができる。
【0077】
本発明によれば、検査室システム50は、次のように操作される。検査室システム50を操作する場合、移動ロボット1は、検査室の床F上を移動する。特に、移動ロボット1は、自律的に検査室の床F上を走行することができる。その後、移動ロボット1は、インターフェースモジュール51にドッキングし、センサユニット5が、インターフェースモジュール51に対する搬送面4の位置決めにおけるずれを検出する。ドッキングの際、位置合わせ駆動ユニット6は、検出されたずれを補償するために搬送面4を調整する。検査室システム50を操作する際、少なくとも1つの試料容器キャリアCを搬送面4からインターフェースモジュール51に移送することができる。加えて、または代替として、少なくとも1つの試料容器キャリアCをインターフェースモジュール51から搬送面4に移送することができる。
【0078】
例えば、インターフェースモジュール51に試料容器キャリアCをロードするステップは、バリア部12を直立の向きに枢動させることと、スレッジ10を駆動して試料容器キャリアCを搬送方向Tに押して、押された試料容器キャリアCがバリア部12のそばを通過するようにすることとを含む。次に、バリア部12を水平の向きに枢動させ、スライダ11を駆動して、以前にバリア部12のそばを通過した試料容器キャリアCを、搬送方向Tに搬送面4から押し出してインターフェースモジュール51に入れる。
【0079】
例えば、インターフェースモジュール51からアンロードするステップは、バリア部12を直立の向きに枢動させることと、インターフェースモジュール51のインターフェーススレッジ54を駆動して、試料容器キャリアCを搬送方向Tとは逆方向に押し、試料容器キャリアCがバリア部12のそばを通過するようにすることとを含む。次に、バリア部12を水平の向きに枢動させ、スライダ11を駆動して、以前にバリア部12のそばを通過した試料容器キャリアCを、搬送方向Tとは逆方向に搬送面4上へ押し動かして、試料容器キャリアCを搬送面4上に配置する。インターフェースモジュール51からアンロードするステップは、搬送面4上に配置された試料容器キャリアCが、水平の向きのバリア部12によって搬送方向Tで保持されるように、バリア部12を水平の向きに枢動させることを、さらに含む。
【手続補正書】
【提出日】2024-09-11
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
検査室システム(50)用の移動ロボット(1)であって、前記移動ロボット(1)は、試料容器キャリア(C)を搬送するように、および前記検査室システム(50)の少なくとも1つのインターフェースモジュール(51)にドッキングするように構成され、前記移動ロボット(1)は、
前記少なくとも1つのインターフェースモジュール(51)が配置される検査室の床(F)上で前記移動ロボット(1)を移動させるように構成された駆動ベース(2)と、
前記駆動ベース(2)に取り付けられた搬送モジュール(3)と
を備え、前記搬送モジュール(3)は、
上に配置された試料容器キャリア(C)を運ぶための搬送面(4)と、
ドッキング時に前記インターフェースモジュール(51)に対する前記搬送面(4)の位置決めにおけるずれを検出するためのセンサユニット(5)と、
検出されたずれを補償するように、前記駆動ベース(2)に対して前記搬送面(4)を調整するための位置合わせ駆動ユニット(6)と
を備える、移動ロボット(1)。
【請求項2】
前記搬送モジュール(3)は、一対のばね付勢されたフィンガー(7)を有し、ドッキング時に、前記搬送面(4)と前記インターフェースモジュール(51)との間の隙間(52)が橋渡しされて、試料容器キャリア(C)が、前記ばね付勢されたフィンガー(7)上を滑ることによって前記隙間(52)を横切ることができるように、前記ばね付勢されたフィンガー(7)は、前記搬送面(4)の同一平面延長上に突き出ている、ことを特徴とする、請求項1に記載の移動ロボット(1)。
【請求項3】
前記センサユニット(5)は、
前記搬送モジュール(3)のばね付勢されたフィンガー(7)それぞれの変位を検出するための、および/または、
ドッキング時の前記搬送面(4)の角度ずれを検出するための、および/または、
前記インターフェースモジュール(51)の表面(53)に対する前記搬送面(4)の高さ位置を検出するための、および/または、
前記検査室の床(F)からの前記搬送面(4)の高さ(H)を検出するための、および/または、
前記インターフェースモジュール(51)の表面(53)に対するドッキング時の前記搬送面(4)の傾きを検出するための
センサ(16、8)を備える、ことを特徴とする、請求項1に記載の移動ロボット(1)。
【請求項4】
前記位置合わせ駆動ユニット(6)は、前記搬送面(4)を水平にするように、および/または鉛直方向に移動させるように構成されている、請求項1に記載の移動ロボット(1)。
【請求項5】
前記搬送モジュール(3)は、前記搬送面(4)上で前記搬送モジュール(3)の搬送方向(T)に試料容器キャリア(C)を押すための、および/または、前記搬送方向(T)とは逆方向で試料容器キャリア(C)を保持するための、駆動可能なスレッジ(10)を有する、ことを特徴とする、請求項1に記載の移動ロボット(1)。
【請求項6】
前記搬送モジュール(3)は、試料容器キャリア(C)を搬送方向(T)に前記搬送面(4)から押し出すための、および/または、試料容器キャリア(C)を前記搬送方向(T)とは逆方向に前記搬送面(4)上へ押し動かすための、および/または、試料容器キャリア(C)を前記搬送方向(T)で保持するための駆動可能なスライダ(11)を有している、請求項1に記載の移動ロボット(1)。
【請求項7】
前記搬送モジュール(3)は、試料容器キャリア(C)を搬送方向(T)に前記搬送面(4)から押し出すための、および/または、試料容器キャリア(C)を前記搬送方向(T)とは逆方向に前記搬送面(4)上へ押し動かすための、および/または、試料容器キャリア(C)を前記搬送方向(T)で保持するための駆動可能なスライダ(11)を有し、
前記駆動可能なスレッジ(10)および前記駆動可能なスライダ(11)は、試料容器キャリア(C)を前記搬送方向(T)に沿って、前記搬送面(4)上で、および前記搬送面(4)から離れて、双方向に移動させるように構成されていること、ならびに/または
前記搬送方向(T)は、前記移動ロボット(1)の駆動方向に対して略平行または略垂直に向けられていること、を特徴とする、請求項5に記載の移動ロボット(1)。
【請求項8】
前記移動ロボット(1)は、制御ユニット(13)を有し、
前記制御ユニット(13)は、前記センサユニット(5)からのフィードバックに基づく閉ループ方式で前記位置合わせ駆動ユニット(6)を制御するように構成されている、請求項1に記載の移動ロボット(1)。
【請求項9】
前記制御ユニット(13)は、前記搬送面(4)が前記駆動ベース(2)に対してその最も近い位置に保持され、および/または、前記移動ロボット(1)が前記検査室の床(F)上を移動する場合には、前記搬送面(4)が前記検査室の床(F)に対してその最も近い位置に保持されるように、前記位置合わせ駆動ユニット(6)を制御するように構成されている、請求項8に記載の移動ロボット(1)。
【請求項10】
前記位置合わせ駆動ユニット(6)は、前記搬送面(4)に作用する振動および衝撃を減衰させるための能動的および/または受動的減衰システムを有する、ことを特徴とする、請求項1に記載の移動ロボット(1)。
【請求項11】
前記位置合わせ駆動ユニット(6)は、前記搬送面(4)を鉛直方向空間軸(Z)の周りに回転させるように構成されていること、および/または
前記駆動ベース(2)は、少なくとも3つのオムニホイール(14)を備えること、および/または
前記搬送モジュール(3)は、前記搬送面(4)に向かって狭くなるファンネル(15)を有し、前記ファンネル(15)は、ドッキング時の前記インターフェースモジュール(51)に対する前記搬送面(4)の横方向のずれを補償するように構成されていること、を特徴とする、請求項1に記載の移動ロボット(1)。
【請求項12】
前記移動ロボット(1)は、2つまたは3つ以上の搬送モジュール(3)を有している、請求項1に記載の移動ロボット(1)。
【請求項13】
少なくとも1つのインターフェースモジュール(51)と、
請求項1~12のいずれか一項に記載の少なくとも1つの移動ロボット(1)と
を備える検査室システム(50)。
【請求項14】
前記移動ロボット(1)を前記検査室の床(F)上で移動させるステップと、
前記移動ロボット(1)を前記インターフェースモジュール(51)にドッキングさせるステップであって、前記センサユニット(5)が、前記インターフェースモジュール(51)に対する前記搬送面(4)の位置決めにおけるずれを検出し、前記位置合わせ駆動ユニット(6)が、検出されたずれを補償するように前記搬送面(4)を調整する、前記移動ロボット(1)を前記インターフェースモジュール(51)にドッキングさせるステップと、
少なくとも1つの試料容器キャリア(C)を前記搬送面(4)から前記インターフェースモジュール(51)にロードする、および/または、少なくとも1つの試料容器キャリア(C)を前記インターフェースモジュール(51)から前記搬送面(4)にアンロードするステップと、
を含む、請求項13に記載の検査室システム(50)を操作するための方法。
【請求項15】
前記移動ロボット(1)の前記搬送モジュール(3)は、前記搬送面(4)上で前記搬送モジュール(3)の搬送方向(T)に試料容器キャリア(C)を押すための、および/または、前記搬送方向(T)とは逆方向で試料容器キャリア(C)を保持するための駆動可能なスレッジ(10)を有し、
前記搬送モジュール(3)は、試料容器キャリア(C)を前記搬送方向(T)に前記搬送面(4)から押し出すための、および/または、試料容器キャリア(C)を前記搬送方向(T)とは逆方向に前記搬送面(4)上へ押し動かすための、および/または、試料容器キャリア(C)を前記搬送方向(T)で保持するための駆動可能なスライダ(11)を有し、
前記スライダ(11)は、前記搬送面(4)に対して前記搬送方向(T)の周りで枢動駆動可能なバリア部(12)を有し、前記バリア部(12)は、試料容器キャリア(C)と係合するための水平の向きと、試料容器キャリア(C)を通過させるための直立の向きとの間で枢動可能である、ことを特徴とし、
前記インターフェースモジュール(51)にロードするステップは、
前記バリア部(12)を直立の向きに枢動させ、前記スレッジ(10)を駆動して試料容器キャリア(C)を前記搬送方向(T)に押し、押された前記試料容器キャリア(C)が前記バリア部(12)のそばを通過するようにすることと、
前記バリア部(12)を水平の向きに枢動させ、前記スライダ(11)を駆動して、以前に前記バリア部(12)のそばを通過した前記試料容器キャリア(C)を、前記搬送方向(T)に前記搬送面(4)から押し出して前記インターフェースモジュール(51)に入れることと、
を含み、および/または
前記インターフェースモジュール(51)からアンロードするステップは、
前記バリア部(12)を直立の向きに枢動させ、前記インターフェースモジュール(51)のインターフェーススレッジ(55)を駆動して、試料容器キャリア(C)を前記搬送方向(T)とは逆方向に押し、前記試料容器キャリア(C)が前記バリア部(12)のそばを通過して前記搬送面(4)上に配置されるようにすることと、
前記バリア部(12)を水平の向きに枢動させ、前記スライダ(11)を駆動して、以前に前記バリア部(12)のそばを通過した前記試料容器キャリア(C)を、前記搬送方向(T)とは逆方向に前記搬送面(4)上へ押し動かして、前記搬送面(4)上に配置することと、
前記搬送面(4)上に配置された前記試料容器キャリア(C)を、水平の向きの前記バリア部(12)によって前記搬送方向(T)で保持することと、
を含む、請求項14に記載の方法。
【外国語明細書】