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特開2024-16709品質問題発生予測装置及び品質問題発生予測プログラム
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024016709
(43)【公開日】2024-02-07
(54)【発明の名称】品質問題発生予測装置及び品質問題発生予測プログラム
(51)【国際特許分類】
   G06Q 50/08 20120101AFI20240131BHJP
【FI】
G06Q50/08
【審査請求】未請求
【請求項の数】7
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022119019
(22)【出願日】2022-07-26
(71)【出願人】
【識別番号】000003621
【氏名又は名称】株式会社竹中工務店
(74)【代理人】
【識別番号】110001519
【氏名又は名称】弁理士法人太陽国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】綿谷 聡
(72)【発明者】
【氏名】佐藤 玄
(72)【発明者】
【氏名】仲川 正則
(72)【発明者】
【氏名】柿沢 忠弘
(72)【発明者】
【氏名】三好 徹志
【テーマコード(参考)】
5L049
【Fターム(参考)】
5L049CC07
(57)【要約】
【課題】品質問題が発生するか否かを予測することができるとともに、品質問題が発生すると予測した場合に、発生しない人員配置を決定することができる品質問題発生予測装置及び品質問題発生予測プログラムを提供する。
【解決手段】属性情報及び人員配置予定情報を取得する取得部と、属性情報及び人員配置予定情報を品質問題発生予測モデルに入力することで発生状況情報を導出する導出部と、発生状況情報が示す品質問題の発生状況に関する情報である品質問題発生関連情報と、を備え、取得部は、発生状況情報が品質問題が発生するものである場合に、人員配置予定情報を更新した更新人員配置予定情報を取得し、導出部は、更新人員配置予定情報を品質問題発生予測モデルに入力することで発生状況情報を再導出する。
【選択図】図12
【特許請求の範囲】
【請求項1】
予測対象とする建設工事に関する属性情報及び人員配置予定情報が入力情報とされ、当該建設工事での品質問題の発生状況を示す発生状況情報が出力情報とされた品質問題発生予測モデルを用いた品質問題発生予測装置であって、
前記属性情報及び前記人員配置予定情報を取得する取得部と、
前記取得部によって取得された前記属性情報及び前記人員配置予定情報を前記品質問題発生予測モデルに入力することで前記発生状況情報を導出する導出部と、
前記導出部によって導出された前記発生状況情報が示す品質問題の発生状況に関する情報である品質問題発生関連情報を提示する提示部と、を備え、
前記取得部は、
前記導出部によって導出された前記発生状況情報が品質問題が発生するものである場合に、前記人員配置予定情報を更新した更新人員配置予定情報を取得し、
前記導出部は、前記更新人員配置予定情報を前記品質問題発生予測モデルに入力することで前記発生状況情報を再導出する品質問題発生予測装置。
【請求項2】
前記発生状況情報には、品質問題発生の有無及び発生する品質問題の内容を含む請求項1に記載の品質問題発生予測装置。
【請求項3】
前記導出部は、
前記更新人員配置予定情報から、前記建設工事の追加費用又は利益率を算出する請求項1に記載の品質問題発生予測装置。
【請求項4】
前記品質問題発生予測モデルは、前記属性情報及び前記人員配置予定情報を入力情報とし、当該属性情報と当該人員配置予定情報で発生した前記発生状況情報を出力情報として機械学習されたものである、
請求項1に記載の品質問題発生予測装置。
【請求項5】
前記取得部は、予め定められた間隔毎に前記人員配置予定情報を取得し、
前記導出部は、前記予め定められた間隔毎に前記発生状況情報を導出する請求項1に記載の品質問題発生予測装置。
【請求項6】
前記導出部により前記予め定められた間隔毎に前記発生状況情報を導出する前記品質問題発生予測モデルは、継続的に取得される前記属性情報及び前記人員配置予定情報を入力情報とし、当該属性情報及び当該人員配置予定情報で発生した前記発生状況情報を出力情報として機械学習されたものである、
請求項5に記載の品質問題発生予測装置。
【請求項7】
予測対象とする建設工事に関する属性情報及び人員配置予定情報が入力情報とされ、当該建設工事での品質問題の発生状況を示す発生状況情報が出力情報とされた品質問題発生予測モデルを用いた品質問題発生予測プログラムであって、
前記属性情報及び前記人員配置予定情報を取得し、
取得した前記属性情報及び前記人員配置予定情報を前記品質問題発生予測モデルに入力することで前記発生状況情報を導出し、
導出した前記発生状況情報が示す品質問題の発生状況に関する情報である品質問題発生関連情報を提示し、
導出した前記発生状況情報が品質問題が発生するものである場合に、前記人員配置予定情報を更新した更新人員配置予定情報を取得し、
前記更新人員配置予定情報を前記品質問題発生予測モデルに入力することで前記発生状況情報を再導出する、
処理をコンピュータに実行させるための品質問題発生予測プログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、品質問題発生予測装置及び品質問題発生予測プログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、施工品質情報を取得し、取得した施工品質情報を送信し、管理担当者による判定を受ける施工管理システムが知られている(例えば、特許文献1)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2017-182545号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかし、上記特許文献1に記載の技術では、品質問題が発生した後で、専門性の高い現場員を増員し、同一工事での品質問題の再発に備えることはできるが、事後対応に過ぎない。
【0005】
また、品質問題の確認や注意喚起は、知識やスキルを持った人員が必要である。しかし、知識やスキルを持った人員であっても、品質問題の発生時期や発生する事象の予測は困難である。
【0006】
また、品質問題が発生すると推測できた場合であっても、どの程度の人員を増員すればよいのかの予測も困難である。
【0007】
本開示は、品質問題が発生するか否かを予測することができるとともに、品質問題が発生すると予測した場合に、発生しない人員配置を決定することができる品質問題発生予測装置及び品質問題発生予測プログラムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記目的を達成するために、第1の態様の品質問題発生予測装置は、予測対象とする建設工事に関する属性情報及び人員配置予定情報が入力情報とされ、当該建設工事での品質問題の発生状況を示す発生状況情報が出力情報とされた品質問題発生予測モデルを用いた品質問題発生予測装置であって、前記属性情報及び前記人員配置予定情報を取得する取得部と、前記取得部によって取得された前記属性情報及び前記人員配置予定情報を前記品質問題発生予測モデルに入力することで前記発生状況情報を導出する導出部と、前記導出部によって導出された前記発生状況情報が示す品質問題の発生状況に関する情報である品質問題発生関連情報を提示する提示部と、を備え、前記取得部は、前記導出部によって導出された前記発生状況情報が品質問題が発生するものである場合に、前記人員配置予定情報を更新した更新人員配置予定情報を取得し、前記導出部は、前記更新人員配置予定情報を前記品質問題発生予測モデルに入力することで前記発生状況情報を再導出する。
【0009】
第1の態様によれば、品質問題が発生するか否かを予測することができるとともに、品質問題が発生すると予測した場合に、発生しない人員配置を決定することが可能となる。
【0010】
第2の態様の品質問題発生予測装置は、前記発生状況情報には、品質問題発生の有無及び発生する品質問題の内容を含む。
【0011】
第2の態様によれば、品質問題発生の有無と、品質問題の内容を提示することが可能となる。
【0012】
第3の態様の品質問題発生予測装置は、前記導出部は、前記更新人員配置予定情報から、前記建設工事の追加費用又は利益率を算出する。
【0013】
第3の態様によれば、建設工事の追加費用又は利益率を算出することができ、追加費用や利益率から人員配置予定情報を検討することが可能となる。
【0014】
第4の態様の品質問題発生予測装置は、前記品質問題発生予測モデルは、前記属性情報及び前記人員配置予定情報を入力情報とし、当該属性情報と当該人員配置予定情報で発生した前記発生状況情報を出力情報として機械学習されたものである。
【0015】
第4の態様によれば、属性情報及び人員配置予定情報から、発生状況情報を出力することが可能な品質問題発生予測モデルを構築することが可能となる。
【0016】
第5の態様の品質問題発生予測装置は、前記取得部は、予め定められた間隔毎に前記人員配置予定情報を取得し、前記導出部は、前記予め定められた間隔毎に前記発生状況情報を導出する。
【0017】
第5の態様によれば、新しい人員配置予定情報に基づいて発生状況情報を導出することが可能となる。
【0018】
第6の態様の品質問題発生予測装置は、前記導出部により前記予め定められた間隔毎に前記発生状況情報を導出する前記品質問題発生予測モデルは、継続的に取得される前記属性情報及び前記人員配置予定情報を入力情報とし、当該属性情報及び当該人員配置予定情報で発生した前記発生状況情報を出力情報として機械学習されたものである。
【0019】
第6の態様によれば、新しい属性情報と人員配置予定情報とに基づいて、機械学習することができ、機械学習の精度を向上させることが可能となる。
【0020】
第7の態様の品質問題発生予測プログラムは、予測対象とする建設工事に関する属性情報及び人員配置予定情報が入力情報とされ、当該建設工事での品質問題の発生状況を示す発生状況情報が出力情報とされた品質問題発生予測モデルを用いた品質問題発生予測プログラムであって、前記属性情報及び前記人員配置予定情報を取得し、取得した前記属性情報及び前記人員配置予定情報を前記品質問題発生予測モデルに入力することで前記発生状況情報を導出し、導出した前記発生状況情報が示す品質問題の発生状況に関する情報である品質問題発生関連情報を提示し、導出した前記発生状況情報が品質問題が発生するものである場合に、前記人員配置予定情報を更新した更新人員配置予定情報を取得し、前記更新人員配置予定情報を前記品質問題発生予測モデルに入力することで前記発生状況情報を再導出する、処理をコンピュータに実行させる。
【0021】
第7の態様によれば、品質問題が発生するか否かを予測することができるとともに、品質問題が発生すると予測した場合に、発生しない人員配置を決定することが可能な品質問題発生予測プログラムを提供することができる。
【発明の効果】
【0022】
本発明によれば、危険範囲に入らないと推測された場合には警告を行わないようにすることができ、無駄な作業の中断を防止することを可能にすることができる、という効果が得られる。
【図面の簡単な説明】
【0023】
図1】実施形態に係る品質問題発生予測システムの概略構成図である。
図2】実施形態に係る品質問題発生予測装置の概略ブロック図である。
図3】実施形態に係る品質問題発生予測の、品質問題発生予測モデルの学習時における機能構成の例を示すブロック図である。
図4】実施形態に係る品質問題発生予測の、品質問題発生予測モデルの運用時における機能構成の例を示すブロック図である。
図5】実施形態に係る情報蓄積装置のストレージの構成を示すブロック図である。
図6】実施形態に係る品質問題発生予測装置のストレージの構成を示すブロック図である。
図7】実施形態に係る第1モデルの学習用情報データベースの一例を示す説明図である。
図8】実施形態に係る第2モデルの学習用情報データベースの一例を示す説明図である。
図9】実施形態に係る第3モデルの学習用情報データベースの一例を示す説明図である。
図10】実施形態に係る品質問題データベースの一例を示す説明図である。
図11】実施形態に係る学習フェーズの処理の流れの一例を示すフローチャートである。
図12】実施形態に係る運用フェーズの処理の流れの一例を示すフローチャートである。
図13】実施形態に係る建設工事の着工前である受注時に行われる第1モデルを用いて発生状況情報を導出した場合の導出例の一例を説明する説明図である。
図14図13に示す例から、施工管理人員数を変化させた場合の第1モデルを用いて発生状況情報を導出した場合の導出例の一例を説明する説明図である。
図15図13に示す例から、施工管理人員数を変化させた場合の第1モデルを用いて発生状況情報を導出した場合の導出例の他の一例を説明する説明図である。
図16】実施形態に係る発生状況情報が示す品質問題の発生状況に関する情報である品質問題発生関連情報を表示する一例を説明するための説明図である。
図17】実施形態に係る発生状況情報が示す品質問題の発生状況に関する情報である品質問題発生関連情報を表示する他の一例を説明するための説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0024】
以下、本開示の実施形態の一例を、図面を参照しつつ説明する。なお、各図面において同一又は等価な構成要素および部分には同一の参照符号を付与している。また、図面の寸法比率は、説明の都合上誇張されており、実際の比率とは異なる場合がある。
【0025】
図1を用いて、本実施形態に係る品質問題発生予測システム10の一例を説明する。
図1は、本実施形態に係る品質問題発生予測システム10の概略構成の一例を示す図である。
【0026】
図1に示すように、本実施形態に係る品質問題発生予測システム10は、品質問題発生予測装置20、情報蓄積装置30及び出力装置40を含む。本実施形態に係る品質問題発生予測装置20は、予め構築した品質問題発生予測モデル220に対して、予測対象とする建設工事に関する属性情報及び人員配置予定情報を入力することで、当該建設工事での品質問題の発生状況を示す情報である発生状況情報を導出するものである。また、本実施形態に係る情報蓄積装置30は、品質問題発生予測装置20で取り扱う各種情報を蓄積するものである。また、出力装置40は、主として、各建設工事の作業所に設置され、品質問題発生予測装置20で導出された品質問題発生関連情報を提示、例えば、ディスプレイに表示する装置である。なお、品質問題発生予測装置20で導出された品質問題発生関連情報の提示は、出力装置40のディスプレイに表示する場合に限定されず、品質問題発生予測装置20の表示部27に表示する場合も含む。
【0027】
本実施形態に係る情報蓄積装置30は不揮発性のストレージ31を備えている。ストレージ31はHDD(Hard Disk Drive)、SSD(Solid State Drive)、フラッシュメモリ等によって実現される。ストレージ31には、図5に示すように、学習用情報データベース32及び品質問題データベース33が記憶されている。学習用情報データベース32及び品質問題データベース33については、詳細を後述する。
【0028】
本実施形態に係る出力装置40の例としては、パーソナルコンピュータ及びサーバコンピュータ等の各種コンピュータが挙げられる。
【0029】
品質問題発生予測装置20、情報蓄積装置30及び出力装置40は、ネットワークNを介して接続されており、品質問題発生予測装置20、情報蓄積装置30及び出力装置40は、ネットワークNを介して相互に通信可能とされている。なお、本実施形態では、ネットワークNとしてLAN(Local Area Network)、WAN(Wide Area Network)等の企業内の通信回線を適用しているが、この形態に限定されるものではない。ネットワークNとして、例えば、インターネット、電話回線等の公共の通信回線を適用してもよく、これらの企業内の通信回線及び公共の通信回線を組み合わせて適用してもよい。また、本実施形態では、ネットワークNとして有線の通信回線を適用しているが、この形態に限定されるものではなく、無線の通信回線を適用してもよく、有線及び無線の各通信回線を組み合わせて適用してもよい。
【0030】
次に、図2を参照して、本実施形態に係る品質問題発生予測装置20のハードウェア構成を説明する。図2は、本実施形態に係る品質問題発生予測装置20のハードウェア構成の一例を示すブロック図である。なお、品質問題発生予測装置20の例としては、パーソナルコンピュータ及びサーバコンピュータ等の各種コンピュータが挙げられる。また、品質問題発生予測装置20は、クラウド・コンピューティングによって実現されてもよい。
【0031】
図2に示すように、品質問題発生予測装置20は、CPU(Central Processing Unit)21、ROM(Read Only Memory)22、RAM(Random Access Memory)23、ストレージ24、通信インタフェース25、入力部26および表示部27を有する。各構成は、バス28を介して相互に通信可能に接続されている。
【0032】
CPU21は、中央演算処理ユニットであり、各種プログラムを実行したり、各部を制御したりする。すなわち、CPU21は、ROM22又はストレージ24からプログラムを読み出し、RAM23を作業領域としてプログラムを実行する。CPU21は、ROM22又はストレージ24に記録されているプログラムにしたがって、上記各構成の制御および各種の演算処理を行う。本実施形態では、ROM22又はストレージ24には、後述する図6に示すように、学習プログラム200、品質問題発生予測プログラム210などのプログラム又は品質問題発生予測モデル220などのデータが格納されている。
【0033】
ROM22は、各種プログラムおよび各種データを格納する。RAM23は、作業領域として一時的にプログラム又はデータを記憶する。ストレージ24は、HDD、又はSSDにより構成され、オペレーティングシステムを含む各種プログラム、および各種データを格納する。
【0034】
また、本実施形態では、ストレージ24には、図6に示す学習プログラム200、品質問題発生予測プログラム210及び品質問題発生予測モデル220が記憶されている。本実施形態では、品質問題発生予測モデル220は、運用する時期に応じて異なるモデル、第1モデル221、第2モデル222及び第3モデル223を備える。なお、品質問題発生予測モデル220は、運用する時期に応じて異なるモデル(第1モデル221、第2モデル222及び第3モデル223)を備える場合に限定されず、1つのモデルであってもよいし、又、2つのモデルであってもよい。
【0035】
また、本実施形態に係る品質問題発生予測モデル220は、予測対象とする建設工事に関する属性情報及び人員配置予定情報が入力情報とされている。また、本実施形態に係る品質問題発生予測モデル220は、当該建設工事での品質問題の発生状況を示す発生状況情報が出力情報とされている。本実施形態では、発生状況情報として、品質問題の発生の有無、品質問題が発生する場合の品質問題の種別、内容及び品質問題が発生する時期の各々を示す情報を適用しているが、これに限定されない。
【0036】
本実施形態に係る品質問題発生予測モデル220は、GBDT(Gradient Boosting Decision Tree、勾配ブースティング決定木)モデルを用いたAI(Artificial Intelligence、人工知能)によるモデルとされているが、これに限るものではない。CNN(Convolutional Neural Network、畳み込みニューラルネットワーク)やBERT(Bidirectional Encoder Representations from Transformers、https://arxiv.org/abs/1810.04805)、transformer(https://arxiv.org/abs/1706.03762)を用いたAIによるモデルやMLP(Multilayer perceptron、多層パーセプトロン)等の、GBDTモデル以外のAI等の機械学習モデルを品質問題発生予測モデル220として適用する形態としてもよい。
【0037】
また、本実施形態では、属性情報として、図7図9に示すように、予測対象とする建設工事(以下、「対象建設工事」ともいう。)の対象とする建設物の階数B、階数F、階数P、建物用途、工事種別、法定延床面積を含む情報を適用している。ここで、階数Bは建設物の地下の階数であり、階数Fは建設物の地上の階数であり、階数Pは塔屋の階数である。建物用途は建設物の用途であり、例えば、事務所や病院、ホテルなどがある。工事種別は、工事の種別であり、例えば、新築や改修などがある。なお、属性情報は、上述したものに限定されず、他の情報、例えば、立地情報、契約情報、財務情報などを含んでもよいし、又、上述したものの全てではなく1部のみであってもよい。
【0038】
また、人員配置予定情報として、図7図9に示すように、作業員合計数、施工管理人員数、施工管理率を含む情報を適用している。ここで、作業員合計数は対象建設工事に携わった作業員の合計数である。施工管理人員数は対象建設工事に携わった施工管理の人数である。施工管理率は対象建設工事の作業員合計数を施工管理人員数で除した値である。なお、人員配置予定情報は、上述したものに限定されず、他の情報、例えば、作業員や施工管理人員の経験年数などの経験値を表す情報や人事評価などの評価値を表す情報を含んでもよいし、又、上述したものの全てではなく1部のみでもよい。
【0039】
通信インタフェース25は、情報蓄積装置30や出力装置40の他の機器と通信するためのインタフェースであり、例えば、無線LAN、インターネット等の規格が用いられる。
【0040】
入力部26は、マウス等のポインティングデバイス、およびキーボードを含み、各種の入力を行うために使用される。
【0041】
表示部27は、例えば、液晶ディスプレイであり、CPU21の制御に基づき各種の情報を表示する。また、表示部27は、タッチパネル方式を採用して、入力部26として機能しても良い。
【0042】
品質問題発生予測装置20は、上記のハードウェア資源を用いて、各種の機能を実現する。品質問題発生予測装置20が実現する機能構成について説明する。
【0043】
図3は、品質問題発生予測装置20の品質問題発生予測モデル220の学習時における機能構成の例を示すブロック図である。
【0044】
図3に示すように、品質問題発生予測モデル220の学習時における品質問題発生予測装置20のCPU21は、機能構成として、取得部110、学習部120及び出力部130を備える。各機能構成は、CPU21がROM22又はストレージ24に記憶された学習プログラム200を読み出し、実行することにより実現される。
【0045】
取得部110は、学習に用いる属性情報及び人員配置予定情報(以下、これらの情報を総称して「学習用情報」ともいう。)を取得する。
【0046】
また、取得部110は、予め定められた間隔毎、例えば、月次毎に人員配置予定情報を取得する。そして、後述する図8に示す第2学習用情報データベース322を新しいものに更新する。
【0047】
本実施形態では、CPU21が、上記学習用情報を、学習用情報データベース32から読み出すことにより取得する。なお、学習用情報をCPU21が学習用情報データベース32から読み出すことにより取得する場合に限定されず、学習用情報の全部又は一部を、入力部26を介してユーザにより入力させるようにしてもよい。
【0048】
学習部120は、属性情報及び人員配置予定情報を入力情報とし、当該属性情報と当該人員配置予定情報で発生した発生状況情報を出力情報として機械学習することにより、品質問題発生予測モデル220を生成する。
【0049】
出力部130は、学習部120により生成された品質問題発生予測モデル220を出力、具体的には、ストレージ24に記憶させる。
【0050】
図4は、品質問題発生予測装置20の品質問題発生予測モデル220の運用時における機能構成の例を示すブロック図である。
【0051】
図4に示すように、品質問題発生予測モデル220の運用時における品質問題発生予測装置20のCPU21は、機能構成として、取得部110、導出部140及び提示部150を備える。各機能構成は、CPU21がROM22又はストレージ24に記憶された品質問題発生予測プログラム210を読み出し、実行することにより実現される。
【0052】
取得部110は、運用フェーズで品質問題発生予測モデル220に入力される属性情報及び人員配置予定情報を取得する。すなわち、品質問題が発生するかを予測する建設工事の属性情報及び人員配置予定情報を取得する。また、取得部110は、導出部140によって導出された発生状況情報が品質問題が発生するものである場合に、人員配置予定情報を更新した更新人員配置予定情報を取得する。なお、導出部140によって導出された発生状況情報が品質問題が発生するものである場合に人員配置予定情報を更新した更新人員配置予定情報を取得する場合に限定されず、品質問題が発生しないものである場合に更新人員配置予定情報を取得してもよい。
【0053】
導出部140は、取得部110によって取得された属性情報及び人員配置予定情報を品質問題発生予測モデル220に入力することで発生状況情報を導出する。また、導出部140は、取得部110によって取得された更新人員配置予定情報を品質問題発生予測モデル220に入力することで発生状況情報を再導出する。そして、導出部140は、予め定められた間隔毎、例えば、月次毎に発生状況情報を導出する。
【0054】
また、導出部140は、更新人員配置予定情報から、建設工事の追加費用又は利益率を算出する。追加費用や利益率は、人員配置予定情報が更新されることにより、施工管理人員数が増減することに基づいて算出される。例えば、施工管理人員数が「+1」の場合は、追加費用が「+100」(単位:万円)され、利益率を再計算する。
【0055】
提示部150は、導出部140によって導出された発生状況情報が示す品質問題の発生状況に関する情報である品質問題発生関連情報を提示する。ここで、品質問題発生関連情報は、後述する図16又は図17に示すように、信号機Sを模した画像で品質問題発生確率を表示することや、棒グラフGで発生する品質問題の種類を表示する。なお、提示部150が提示する情報は、品質問題発生関連情報に限定されず、品質問題の発生の有無と品質問題の種別、内容などの発生状況情報を提示してもよい。
【0056】
次に、図7図10を用いて、本実施形態における学習用情報データベース32及び品質問題データベース33の一例について説明する。本実施形態の学習用情報データベース32は、品質問題発生予測モデル220毎に第1学習用情報データベース321、第2学習用情報データベース322及び第3学習用情報データベース323が備えられる。
【0057】
図7に示す第1学習用情報データベース321は、第1モデル221用の学習用情報データベース32の一例である。第1モデル221は、建設工事の着工前である受注時に建設工事の工事中の月毎の品質問題発生の有無を予測するためのモデルである。
【0058】
第1学習用情報データベース321には、過去の建設工事の事例の、工事着工前の計画段階の階数B、階数F、階数P、建物用途、工事種別、法定延床面積、作業員合計数(計画値)、施工管理人員数(計画値)、及び施工管理率と、当該建設工事における品質問題の有無とのペアが教師データとして記憶されている。第1モデル221は、かかる教師データを学習する。ここで、第1学習用情報データベース321の作業員合計数と施工管理人員数とは、工事着工前であるため実際の人数ではない計画値である。
【0059】
図8に示す第2学習用情報データベース322は、第2モデル222用の学習用情報データベース32の一例である。第2モデル222は、建設工事の工事中の月次で品質問題発生の有無を予測するためのモデルである。
【0060】
第2学習用情報データベース322には、過去の建設工事の事例の、実際の施工された階数B、階数F、階数P、建物用途、工事種別、法定延床面積、作業員合計数、施工管理人員数、及び施工管理率と、当該建設工事における品質問題の有無とのペアが教師データとして記憶されている。第2モデル222は、かかる教師データを学習する。かかる第2学習用情報データベース322は、図7に示す第1学習用情報データベース321とは異なり、作業員合計数と施工管理人員数とが計画値ではない実際の建設工事に携わった人数となる。すなわち、第2学習用情報データベース322は、取得部110が予め定められた間隔、例えば、月次毎に、属性情報及び人員配置予定情報を継続的に取得することで、第1学習用情報データベース321から情報が更新された学習用情報データベース32である。
【0061】
ここで、かかる月次毎に更新される第2学習用情報データベース322は、品質問題が発生する確率を導出する建設工事の途中までの属性情報、人員配置予定情報及び品質問題の有無とのペアが含まれてもよい。すなわち、他の建設工事だけではなく、自らの建設工事で発生した品質問題についても学習することで、機械学習の精度を向上させることも可能となる。
【0062】
図9に示す第3学習用情報データベース323は、第3モデル223用の学習用情報データベース32の一例である。第3モデル223は、建設工事の工事中の月次で事象別に品質問題発生を予測するためのモデルである。
【0063】
第3学習用情報データベース323には、過去の建設工事の事例の、階数B、階数F、階数P、建物用途、工事種別、法定延床面積、作業員合計数、施工管理人員数、及び施工管理率と、発生した品質問題とのペアが教師データとして記憶されている。第3モデル223は、かかる教師データを学習する。第3学習用情報データベース323の「発生した品質問題」の項目は、図10に示す品質問題データベース33から、形態素解析によりワードの頻度、共起関係の整理やWord2vecによるベクトルのクラスタリングなどにより抽出する。ここで、品質問題データベース33は、過去の建設工事の事例で発生した品質問題を記憶したデータベースである。品質問題データベース33には、図10に示すように、建設工事のID、建物用途、発生した品質問題、工事種別、設計区分、速報・経緯・概要、要因、指摘、図面・写真などが記憶されている。建物用途は建設物の用途であり、例えば、事務所や病院、ホテルなどがある。発生した品質問題は、発生した品質問題の種類であり、例えば、鉄筋不具合や位置間違い、アンカー不具合などがある。内容は、発生した品質問題の内容である。工事種別は、工事の種別であり、例えば、新築や改修などがある。設計区分は、自社が設計したか他社が設計したかの区別である。速報・経緯・概要は、品質問題を認識した状況などである。要因は、品質問題が発生した要因である。指摘は、品質問題への対応などである。図面・写真は、建設工事の図面や写真などである。なお、品質問題データベース33は、上述したものに限定されず、他の情報を含んでもよいし、又、上述したものの全てではなく1部のみでもよい。また、発生した品質問題の項目の抽出は、上述した例に限定されず、他の手法によって行ってもよい。
【0064】
次に、品質問題発生予測装置20の作用について説明する。
【0065】
次に、品質問題発生予測装置20による学習フェーズの流れについて、建設工事の着工前である受注時に使用される第1モデル221の学習を例にして説明する。
【0066】
図11は、品質問題発生予測装置20による学習フェーズの流れを示すフローチャートである。CPU21がROM22又はストレージ24から学習プログラム200を読み出して、RAM23に展開して実行することにより、学習フェーズが行なわれる。
【0067】
まず、ステップS100において、CPU21は、学習用情報データベース320から学習用情報として、一組の教師データの各情報を読み出す。具体的には、第1モデル221の学習の場合は、図7に示す第1学習用情報データベース321から一組の教師データ、例えば、ID「L001」の教師データとして、階数Bや建物用途などの属性情報と、作業員合計数(計画値)や施工管理人員数(計画値)などの人員配置予定情報、及び品質問題の有無の発生状況情報を読み出す。
【0068】
ここで、第2モデル222の学習の場合は、図8に示す継続的に取得される属性情報及び人員配置予定情報により更新された第2学習用情報データベース322から一組の教師データ、例えば、ID「L001」の教師データとして、階数Bや建物用途などの属性情報と、作業員合計数や施工管理人員数などの人員配置予定情報、及び品質問題の有無の発生状況情報を読み出す。また、第3モデル223の学習の場合は、図9に示す第3学習用情報データベース323から一組の教師データ、例えば、ID「L001」の教師データとして、階数Bや建物用途などの属性情報と、作業員合計数や施工管理人員数などの人員配置予定情報、及び発生した品質問題の内容である発生状況情報を読み出す。そして、次のステップS102に進む。
【0069】
ステップS102において、CPU21により、読み出した学習用情報に対して形態素解析を行う。そして、次のステップS104に進む。
【0070】
ステップS104において、CPU21により、ステップS102で形態素解析を行った属性情報及び人員配置予定情報を入力情報とし、当該属性情報と当該人員配置予定情報で発生した発生状況情報を出力情報として機械学習を行い、品質問題発生予測モデル220を作成する。そして、次のステップS106に進む。
【0071】
ステップS106において、CPU21により、ステップS104で作成した品質問題発生予測モデル220をストレージ24に格納する。そして、処理を終了する。
【0072】
次に、品質問題発生予測装置20による運用フェーズの流れについて、建設工事の着工前である受注時に行われる第1モデル221を用いた場合を例にして説明する。
【0073】
図12は、第1モデル221を用いた品質問題発生予測装置20による運用フェーズの流れを示すフローチャートである。CPU21がROM22又はストレージ24から品質問題発生予測プログラム210を読み出して、RAM23に展開して実行することにより、運用フェーズが行なわれる。
【0074】
まず、ステップS200において、CPU21により、品質問題の発生を予測する建設工事についての属性情報及び人員配置予定情報を取得する。具体的には、第1モデル221の運用の場合は、図13に示すような、階数B、階数F、階数P、建物用途、工事種別及び法定延床面積などの属性情報と、作業員合計数及び施工管理人員数などの人員配置予定情報を取得する。なお、属性情報及び人員配置予定情報は、ユーザにより入力される場合の他、属性情報及び人員配置予定情報が記録された運用フェーズ用のデータベースを読み出すことにより取得するようにしてもよい。そして、次のステップS202に進む。
【0075】
ステップS202において、CPU21により、図11に示すステップS106でストレージ24に格納された第1モデル221にステップS200で取得した属性情報及び人員配置予定情報を入力する。そして、次のステップS204に進む。
【0076】
ステップS204において、CPU21により、後述する図13に示すように、当該建設工事での品質問題の発生状況を示す発生状況情報が導出される。そして、次のステップS206に進む。
【0077】
ステップS206において、CPU21により、ステップS204で導出された発生状況情報が示す品質問題の発生状況に関する情報である品質問題発生関連情報が提示される。具体的には、後述する図16に示すように、品質問題が発生する確率や、図17に示すように、発生する品質問題の事象別発生割合が、出力装置40のディスプレイや品質問題発生予測装置20の表示部27に表示される。そして、次のステップS208に進む。
【0078】
ステップS208において、CPU21により、更新人員配置予定情報が取得されたか否かが判定される。すなわち、ステップS204で導出された発生状況情報が品質問題が発生するものである場合に、ユーザにより人員配置予定情報を更新した更新人員配置予定情報が作成されて品質問題発生予測装置20に入力されたか否かを判定する。なお、更新人員配置予定情報はユーザにより作成される場合に限定されず、CPU21により品質問題が発生する人員配置予定情報を元に更新人員配置予定情報が作成されるようにしてもよい。更新人員配置予定情報が取得されたと判定された場合は、次のステップS210に進む。一方、更新人員配置予定情報が取得されたと判定されない場合は、処理を終了する。
【0079】
ステップS210において、CPU21により、ステップS202で第1モデル221に入力した属性情報と、ステップS208で取得した更新人員配置予定情報を第1モデル221に入力する。なお、属性情報もステップS208で更新人員配置予定情報と合わせて取得してもよい。そして、次のステップS212に進む。
【0080】
ステップS212において、CPU21により、後述する図14及び図15に示すように、当該建設工事での品質問題の発生状況を示す発生状況情報が再導出される。そして、次のステップS214に進む。
【0081】
ステップS214において、CPU21により、後述する図14及び図15に示すように、建設工事の追加費用又は利益率が算出される。追加費用、利益率は、施工管理人員数の増減に基づいて算出される。例えば、施工管理人員数が「+1」の場合は、追加費用が「+100」(単位:万円)され、利益率を再計算する。そして、次のステップS216に進む。
【0082】
ステップS216において、CPU21により、ステップS212で導出された発生状況情報が示す品質問題の発生状況に関する情報である品質問題発生関連情報が提示される。具体的には、後述する図16に示すように、品質問題が発生する危険度や、図17に示すように、発生する品質問題の事象別発生割合が、出力装置40のディスプレイや品質問題発生予測装置20の表示部27に表示される。そして、次のステップS218に進む。
【0083】
ステップS218において、CPU21により、更新人員配置予定情報が取得されたか否かが判定される。すなわち、ステップS204で導出された発生状況情報が品質問題が発生するものである場合に、ユーザにより人員配置予定情報を更新した更新人員配置予定情報が作成されて品質問題発生予測装置20に入力されたか否かを判定する。更新人員配置予定情報が取得されたと判定された場合は、再度ステップS210に戻る。一方、更新人員配置予定情報が取得されたと判定されない場合は、処理を終了する。
【0084】
このように更新人員配置予定情報の入力と発生状況情報の再導出を繰り返すことにより、品質問題発生が発生しない人員配置予定情報を導出することができる。なお、更新人員配置予定情報の入力は、ステップS204で導出された発生状況情報が品質問題が発生するものである場合に限定されず、発生状況情報が品質問題が発生しない場合に行われてもよい。これにより、人員配置が過剰となることを防止することができ、より効率的な人員配置を決定することができる。
【0085】
第2モデル222を用いた建設工事の工事中の月次で品質問題発生の有無を予測する品質問題発生予測装置20による運用フェーズの流れについては、品質問題発生の有無を予測する時期が異なるだけで、図12を用いて説明した建設工事の着工前である受注時に行われる第1モデル221を用いた場合と同様である。すなわち、第2モデル222を用いた品質問題発生の有無の予測は、予め定められた間隔、本実施形態では、月次毎に行われる。
【0086】
第3モデル223を用いた月次で事象別に品質問題発生を予測する品質問題発生予測装置20による運用フェーズの流れについては、図12を用いて説明した建設工事の着工前である受注時に行われる第1モデル221を用いた場合とほぼ同様であるが、導出される発生状況情報が、品質問題が発生する確率ではなく、発生する品質問題の種類と、種類別の発生割合である。
【0087】
次に、図13図15を用いて、導出された発生状況情報について説明する。
【0088】
図13は、建設工事の着工前である受注時に行われる第1モデル221を用いて発生状況情報を導出した場合の導出例である。
【0089】
具体的には、建設工事のID「B001」について、月毎の、階数Bや建物用途などの属性情報と作業員合計数(計画値)や施工管理人員数(計画値)などの人員配置予定情報と、導出された発生状況情報として品質問題の発生確率が対応付けられてストレージ24に記憶される。品質問題の発生確率は、発生確率毎に、例えば、確率50%以上を「高い」、10%以上50%未満を「やや高い」、10%未満を「普通」の3段階に分けて記憶される。そして、後述する図16に示すように、信号機Sと同様の表記に従い、品質問題発生確率を表示する。
【0090】
図14は、図13に示す「やや高い」が出力された「2022/01」の年月の人員配置予定情報を更新した更新人員配置予定情報を第1モデル221に入力することで発生状況情報の再導出と、建設工事の追加費用及び利益率の算出をした場合の導出例である。かかる導出結果は、ストレージ24に記憶される。
【0091】
具体的には、図14(A)は、建設工事のID「B001」の年月「2022/01」について、人員配置予定情報のうち施工管理人員数を元の「100」から「101」に更新した人員配置予定情報と、再導出された発生状況情報としての品質問題の発生確率と、算出された建設工事の追加費用及び利益率と、の例である。
【0092】
また、図14(B)は、人員配置予定情報のうち施工管理人員数を元の「100」から「102」に更新した場合に再導出された発生状況情報としての品質問題の発生確率と、算出された建設工事の追加費用及び利益率と、の例である。
【0093】
また、図14(C)は、人員配置予定情報のうち施工管理人員数を元の「100」から「103」に更新した場合に再導出された発生状況情報としての品質問題の発生確率と、算出された建設工事の追加費用及び利益率と、の例である。
【0094】
また、図14(D)は、人員配置予定情報のうち施工管理人員数を元の「100」から「104」に更新した場合に再導出された発生状況情報としての品質問題の発生確率と、算出された建設工事の追加費用及び利益率と、の例である。
【0095】
なお、人員配置予定情報を入力する場合に限定されず、CPU21が、品質問題の発生確率が予め定められた確率、例えば、「普通」になるまで人員配置予定情報を更新し続けて、品質問題の発生確率を再導出してもよい。また、図14では、品質問題の発生確率が「やや高い」であるため、施工管理人員数を減らした場合の予測の例は示していないが、施工管理人員数を減らした場合の予測をしてもよい。
【0096】
図15は、図13に示す「普通」が出力された「2022/03」の年月の人員配置予定情報を更新した更新人員配置予定情報を第1モデル221に入力することで発生状況情報の再導出と、建設工事の追加費用及び利益率の算出をした場合の導出例である。かかる導出結果は、ストレージ24に記憶される。
【0097】
具体的には、図15(A)は、建設工事のID「B001」の年月「2022/03」について、人員配置予定情報のうち施工管理人員数を元の「100」から「97」に更新した人員配置予定情報と、再導出された発生状況情報としての品質問題の発生確率と、算出された建設工事の追加費用及び利益率と、の例である。
【0098】
また、図15(B)は、人員配置予定情報のうち施工管理人員数を元の「100」から「98」に更新した場合に再導出された発生状況情報としての品質問題の発生確率と、算出された建設工事の追加費用及び利益率と、の例である。
【0099】
また、図15(C)は、人員配置予定情報のうち施工管理人員数を元の「100」から「99」に更新した場合に再導出された発生状況情報としての品質問題の発生確率と、算出された建設工事の追加費用及び利益率と、の例である。
【0100】
また、図15(D)は、人員配置予定情報のうち施工管理人員数を元の「100」から「101」に更新した場合に再導出された発生状況情報としての品質問題の発生確率と、算出された建設工事の追加費用及び利益率と、の例である。
【0101】
なお、図15では、品質問題の発生確率が「普通」であるため、施工管理人員数を減らした場合の予測の例を多く示しているが、施工管理人員数を増やした場合の予測の例も示している。
【0102】
図16は、第1モデル221又は第2モデル222で出力された発生状況情報が示す品質問題の発生状況に関する情報である品質問題発生関連情報を表示する一例を示すものである。本実施形態では、図16に示すように、信号機Sと同様の表記に従い、出力装置40のディスプレイや品質問題発生予測装置20の表示部27に、品質問題発生確率の「高い」を赤信号、「やや高い」を黄信号、「普通」を青信号で表示する。なお、品質問題の発生確率を信号機Sを用いて表示する場合に限定されず、例えば、発生確率を数値で表示してもよいし、他のマークに置き換えて表示してもよい。
【0103】
図17は、第3モデル223で出力された発生する発生状況情報が示す品質問題の発生状況に関する情報である品質問題発生関連情報を表示する一例を示すものである。本実施形態では、品質問題の種類を表示する。本実施形態では、図17に示すように、出力装置40のディスプレイや品質問題発生予測装置20の表示部27に棒グラフGで表示する。発生すると予想された品質問題が複数種類ある場合は、例えば、鉄筋、鉄骨、コンクリート(CON)、位置などの種類毎に色分けして表示している。なお、発生する品質問題の種類を棒グラフGで表示する場合に限定されず、例えば、円グラフで表示してもよいし、又、発生する確率が高い順にランキング形式で発生する品質問題の種類を表示してもよい。
【0104】
本発明は、上述した実施形態に限定されるものではなく、この発明の要旨を逸脱しない範囲内で様々な変形や応用が可能である。
【0105】
例えば、上記実施形態では、品質問題発生予測装置20と情報蓄積装置30とを備えた品質問題発生予測システム10としたが、これに限定されず、例えば、品質問題発生予測装置20と情報蓄積装置30とを一体化した単一の装置で品質問題発生予測装置を構成するようにしてもよい。
【0106】
また、上記実施形態では、品質問題発生予測装置20が機械学習する場合について説明したが、これに限定されず、別途、学習装置を設け、当該学習装置が機械学習するようにしてもよい。
【0107】
また、上記実施形態でCPU21がソフトウェア(プログラム)を読み込んで実行した処理を、CPU21以外の各種のプロセッサが実行しても良い。この場合のプロセッサとしては、GPU(Graphics Processing Unit)、FPGA(Field-Programmable Gate Array)等の製造後に回路構成を変更可能なPLD(Programmable Logic Device)、及びASIC(Application Specific Integrated Circuit)等の特定の処理を実行させるために専用に設計された回路構成を有するプロセッサである専用電気回路等が例示される。また、各処理を、これらの各種のプロセッサのうちの1つで実行してもよいし、同種又は異種の2つ以上のプロセッサの組み合わせ(例えば、複数のFPGA、及びCPUとFPGAとの組み合わせ等)で実行してもよい。また、これらの各種のプロセッサのハードウェア的な構造は、より具体的には、半導体素子等の回路素子を組み合わせた電気回路である。
【0108】
また、上記実施形態では、各処理のプログラムがROM22又はストレージ24に予め記憶(インストール)されている態様を説明したが、これに限定されない。プログラムは、CD-ROM(Compact Disk Read Only Memory)、DVD-ROM(Digital Versatile Disk Read Only Memory)、及びUSB(Universal Serial Bus)メモリ等の記録媒体に記録された形態で提供されてもよい。また、プログラムは、ネットワークを介して外部装置からダウンロードされる形態としても良い。
【符号の説明】
【0109】
10 品質問題発生予測システム
20 品質問題発生予測装置
21 CPU
22 ROM
23 RAM
24 ストレージ
25 通信インタフェース
26 入力部
27 表示部
28 バス
110 取得部
120 学習部
130 出力部
140 導出部
150 提示部
200 学習プログラム
210 品質問題発生予測プログラム
220 品質問題発生予測モデル
221 第1モデル
222 第2モデル
223 第3モデル
30 情報蓄積装置
31 ストレージ
32 学習用情報データベース
321 第1学習用情報データベース
322 第2学習用情報データベース
323 第3学習用情報データベース
33 品質問題データベース
40 出力装置
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
図15
図16
図17