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特開2024-167090DSB-SC変調信号を生成する駆動回路
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024167090
(43)【公開日】2024-11-29
(54)【発明の名称】DSB-SC変調信号を生成する駆動回路
(51)【国際特許分類】
   H03C 1/52 20060101AFI20241122BHJP
   H03D 1/24 20060101ALI20241122BHJP
【FI】
H03C1/52
H03D1/24
【審査請求】有
【請求項の数】30
【出願形態】OL
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2024080764
(22)【出願日】2024-05-17
(31)【優先権主張番号】63/467,914
(32)【優先日】2023-05-19
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(31)【優先権主張番号】18/665,525
(32)【優先日】2024-05-15
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(71)【出願人】
【識別番号】521287935
【氏名又は名称】エクスメムス ラブズ,インコーポレイテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100107766
【弁理士】
【氏名又は名称】伊東 忠重
(74)【代理人】
【識別番号】100229448
【弁理士】
【氏名又は名称】中槇 利明
(72)【発明者】
【氏名】ジェム ユエ リヤーン
(72)【発明者】
【氏名】ジン‐ムオン リウ
(57)【要約】
【課題】DSB-SC変調信号を生成する駆動回路を提供する。
【解決手段】駆動回路が第1のキャパシタを有する。サンプリング動作の間、第1のキャパシタは、第1の入力端子と第2の入力端子との間に結合される。転送動作中、第1のキャパシタの一端は電圧を受け、第1のキャパシタの他端は負荷に結合される。駆動回路は、負荷を駆動するための第1の駆動信号を生成し、第1の駆動信号は、第1の極性をもつ複数の第1の部分と、第1の極性とは反対の第2の極性をもつ複数の第2の部分とを含む。複数の第1の部分および複数の第2の部分は、第1の入力端子と第2の入力端子との間の入力信号に応じて変調される第1の駆動信号の一般化DSB-SC変調成分を形成する。
【選択図】図3
【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1のキャパシタを有する駆動回路であって、
サンプリング動作の間、前記第1のキャパシタは、前記駆動回路の第1の入力端子と第2の入力端子との間に結合され;
転送動作の間、前記第1のキャパシタの一端は電圧を受け、前記第1のキャパシタの他端は負荷に結合され;
前記駆動回路は、前記負荷を駆動するための第1の駆動信号を生成し、前記第1の駆動信号は、第1の極性をもつ複数の第1の部分と、第2の極性をもつ複数の第2の部分とを含み、前記第2の極性は前記第1の極性とは反対であり、前記第1の極性および前記第2の極性は、前記電圧に関するものであり;
前記複数の第1の部分および前記複数の第2の部分は、前記第1の入力端子と前記第2の入力端子との間の入力信号に応じて変調される前記第1の駆動信号の一般化DSB-SC(DSB-SC:Double Sideband with Suppressed Carrier[抑圧搬送波両側波帯])変調成分を形成する、
駆動回路。
【請求項2】
前記第1のキャパシタの第1の端部に結合された第1のサンプリング・スイッチと;
前記第1のキャパシタの第2の端部に結合された第2のサンプリング・スイッチとを有する、
請求項1に記載の駆動回路。
【請求項3】
前記第1のサンプリング・スイッチは、前記第1のキャパシタの前記第1の端部と前記第1の入力端子との間に結合され;
前記第2のサンプリング・スイッチは、前記第1のキャパシタの前記第2の端部と前記第2の入力端子との間に結合される、
請求項2に記載の駆動回路。
【請求項4】
前記第1および第2のサンプリング・スイッチは、前記サンプリング動作の間、導通する、請求項2に記載の駆動回路。
【請求項5】
前記サンプリング動作の間、前記第1のサンプリング・スイッチは、前記第1のキャパシタの前記第1の端部と前記第1の入力端子との間を導通し、前記第2のサンプリング・スイッチは、前記第1のキャパシタの前記第2の端部と前記第2の入力端子との間を導通させる、請求項2に記載の駆動回路。
【請求項6】
前記第1の極性に対応する第1のサンプリング動作の間、前記第1のサンプリング・スイッチは、前記第1のキャパシタの前記第1の端部と前記第1の入力端子との間を導通させ、前記第2のサンプリング・スイッチは、前記第1のキャパシタの前記第2の端部と前記第2の入力端子との間を導通させ;
前記第2の極性に対応する第2のサンプリング動作の間、前記第1のサンプリング・スイッチは、前記第1のキャパシタの前記第1の端部と前記第2の入力端子との間を導通させ、前記第2のサンプリング・スイッチは、前記第1のキャパシタの前記第2の端部と前記第1の入力端子との間を導通させる、
請求項2に記載の駆動回路。
【請求項7】
前記第1の極性をもつ前記複数の第1の部分のうちのある第1の部分に対応する第1の転送動作の間、前記第1のキャパシタの第1の端部は前記電圧を受け、前記第1のキャパシタの第2の端部は前記負荷に結合され;
前記第2の極性をもつ前記複数の第2の部分のうちのある第2の部分に対応する第2の転送動作の間、前記第1のキャパシタの前記第2の端部は前記電圧を受け、前記第1のキャパシタの前記第1の端部は前記負荷に結合される、
請求項1に記載の駆動回路。
【請求項8】
前記第1のキャパシタに接続され、前記電圧を受ける第1の転送スイッチと;
前記第1のキャパシタと前記負荷との間に結合された第2の転送スイッチとを有する、
請求項1に記載の駆動回路。
【請求項9】
前記第1および第2の転送スイッチは、前記転送動作の間、導通する、
請求項8に記載の駆動回路。
【請求項10】
前記第1のキャパシタに結合され、前記電圧を受ける第3の転送スイッチと;
前記第1のキャパシタと前記負荷との間に結合された第4の転送スイッチとを有する、
請求項8に記載の駆動回路。
【請求項11】
前記第1の転送スイッチの第1の端部は、前記第1のキャパシタの第1の端部に結合され、前記第1の転送スイッチの第2の端部は、前記電圧を受け;
前記第3の転送スイッチの第1の端部は、前記第1のキャパシタの第2の端部に結合され、前記第3の転送スイッチの第2の端部は、前記電圧を受ける、
請求項10に記載の駆動回路。
【請求項12】
前記第1および第2の転送スイッチは、前記第1の極性をもつ前記複数の第1の部分のうちのある第1の部分に対応する第1の転送動作の間、導通し;
前記第3および第4の転送スイッチは、前記第2の極性をもつ前記複数の第2の部分のうちのある第2の部分に対応する第2の転送動作の間、導通する
請求項10に記載の駆動回路。
【請求項13】
第2のキャパシタをさらに有する、請求項1に記載の駆動回路であって、
前記第1のキャパシタは、第1のサンプリング動作および第1の転送動作を行い;
前記第2のキャパシタは、第2のサンプリング動作および第2の転送動作を行い;
前記第2のサンプリング動作の間、前記第2のキャパシタは、前記駆動回路の前記第1の入力端子と前記第2の入力端子との間に結合され;
前記第2の転送動作の間、前記第2のキャパシタの一端が前記電圧を受け、前記第2のキャパシタの他端が前記負荷に結合される、
請求項1に記載の駆動回路。
【請求項14】
前記第2のキャパシタが前記第2のサンプリング動作を行うとき、前記第1のキャパシタは前記第1の転送動作を行い、前記第2のキャパシタが前記第2の転送動作を行うとき、前記第1のキャパシタは前記第1のサンプリング動作を行う、請求項13に記載の駆動回路。
【請求項15】
前記第1のキャパシタに結合され、前記電圧を受ける第1の転送スイッチと;
前記第1のキャパシタと前記負荷との間に結合された第2の転送スイッチと;
前記第2のキャパシタと前記第1の入力端子との間に結合された第1のサンプリング・スイッチと;
前記第2のキャパシタと前記第2の入力端子との間に結合された第2のサンプリング・スイッチと;
前記第1および第2のサンプリング・スイッチが導通しているときに、前記第1および第2の転送スイッチが導通する、
請求項13に記載の駆動回路。
【請求項16】
前記第1のキャパシタと前記第1の入力端子との間に結合された第3のサンプリング・スイッチと;
前記第1のキャパシタと前記第2の入力端子との間に結合された第4のサンプリング・スイッチと;
前記第2のキャパシタに結合され、前記電圧を受ける第3の転送スイッチと;
前記第2のキャパシタと前記負荷との間に結合された第4の転送スイッチとを有しており、
第1の動作期間の間、前記第1および第2の転送スイッチならびに前記第1および第2のサンプリング・スイッチが導通し、前記第3および第4のサンプリング・スイッチならびに前記第3および第4の転送スイッチが遮断される、
請求項15に記載の駆動回路。
【請求項17】
第2の動作期間の間、前記第1および第2の転送スイッチならびに前記第1および第2のサンプリング・スイッチが遮断され、前記第3および第4のサンプリング・スイッチならびに前記第3および第4の転送スイッチが導通する、
請求項16に記載の駆動回路。
【請求項18】
容量性素子と;
前記負荷と前記容量性素子との間に結合されたインダクタと
をさらに有する請求項1に記載の駆動回路であって、
前記インダクタおよび前記容量性素子は、前記第1の極性と前記第2の極性との間で極性遷移を行う、
請求項1に記載の駆動回路。
【請求項19】
前記インダクタに結合されたスイッチを有しており、
前記スイッチは、前記極性遷移の間、導通する、
請求項18に記載の駆動回路。
【請求項20】
前記負荷は容量性負荷である、請求項1に記載の駆動回路。
【請求項21】
前記駆動回路の前記第1の入力端子は、増幅器の第1の出力端子に結合される、請求項1に記載の駆動回路。
【請求項22】
前記駆動回路の前記第2の入力端子は、前記増幅器の第2の出力端子に結合される、請求項21に記載の駆動回路。
【請求項23】
復調信号発生器を有する請求項1に記載の駆動回路であって、前記復調信号発生器は:
第1のスイッチ、第2のスイッチ、第3のスイッチ、および第4のスイッチであって、前記第1および第2のスイッチは、第1のノードに結合され、前記第3および第4のスイッチは、第2のノードに結合され、前記第1および第3のスイッチは、第1の電圧を受け、前記第2および第4のスイッチは、第2の電圧を受ける、第1のスイッチ、第2のスイッチ、第3のスイッチ、および第4のスイッチと;
前記第1のノードと前記第2のノードとの間に結合された、第5のスイッチおよびインダクタと
を有しており、
前記復調信号発生器は、前記第1のノードにおいて第1の復調信号を生成し、前記第2のノードにおいて第2の復調信号を生成し、前記第1の復調信号と前記第2の復調信号とは反対の極性を有する、
駆動回路。
【請求項24】
前記第1の復調信号の周波数は、前記第1の駆動信号の周波数の半分である、請求項23に記載の駆動回路。
【請求項25】
前記第1の復調信号の遷移と前記駆動信号の遷移とは、互いにインターリーブされる、請求項23に記載の駆動回路。
【請求項26】
前記駆動回路は、前記第1のキャパシタに結合された複数の変調スイッチを有しており、前記複数の変調スイッチは、複数の変調制御信号によって制御され;
前記駆動回路は復調信号発生器を有しており、前記復調信号発生器は複数の復調スイッチを有しており、前記複数の復調スイッチは複数の復調制御信号によって制御され;
前記複数の変調制御信号と前記複数の復調制御信号とは同期している、
請求項1に記載の駆動回路。
【請求項27】
前記負荷は、膜構造を含み
前記駆動回路は、コモンモード運動を実行するよう前記膜構造を駆動するよう、前記第1の駆動信号を生成し;
前記駆動回路は、差動モード運動を実行するよう前記膜構造を駆動するよう、第1の復調駆動信号および第2の復調駆動信号を生成する、
請求項1に記載の駆動回路。
【請求項28】
前記膜構造は、第1のフラップおよび第2のフラップを含むフラップ対を含み;
前記駆動回路は、前記コモンモード運動を実行するよう前記フラップ対を駆動するよう、前記第1の駆動信号を生成し;
前記駆動回路は、前記差動モード運動を実行するよう前記フラップ対を駆動するよう、前記第1の復調駆動信号および前記第2の復調駆動信号を生成する、
請求項27に記載の駆動回路。
【請求項29】
前記負荷は、前記第1のフラップ上に配置された第1のアクチュエータを有し;
前記第1のアクチュエータは、第1の電極および第2の電極を有し;
前記第1の電極は前記駆動信号を受け、前記第2の電極は前記第1の復調信号を受ける、
請求項28に記載の駆動回路。
【請求項30】
前記負荷は、前記第2のフラップ上に配置された第2のアクチュエータを有し;
前記第2のアクチュエータは、第3の電極および第4の電極を有し;
前記第3の電極は前記駆動信号を受け、前記第4の電極は前記第2の復調信号を受ける、
請求項29に記載の駆動回路。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
1. 発明の分野
【0002】
本願は、駆動回路に関し、より詳細には、DSB-SC変調信号を生成することができる駆動回路に関する。
【背景技術】
【0003】
2. 従来技術の説明
抑圧搬送波両側波帯(double sideband with suppressed carrier、DSB-SC)は、振幅変調(AM)の一種であり、従来のAM変調方式よりも効率的であり、アナログ通信システムにおいて広く使用されている。
【0004】
アナログ通信以外でも、DSB-SC変調信号は、さまざまな用途で駆動信号として使用できる。たとえば、DSB-SC変調信号は、空気パルス発生(air-pulse generating、APG)装置を駆動するために使用されてもよく、APG装置は、オーディオ用途における音生成装置として使用されてもよい。
【0005】
しかしながら、オーディオ用途において、アナログ出力信号を生成する、クラスAB、クラスH、またはクラスD増幅器等の頻繁に使用される増幅器は、DSB-SC変調信号を生成しない。
【0006】
よって、アナログ出力をもつ任意の種類の増幅器からの信号をDSB-SC変調フォーマットに変換することが、この分野で必要とされている。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
したがって、本発明の主な目的は、DSB-SC変調信号を生成することができる駆動回路を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明のある実施形態は、第1のキャパシタを含む駆動回路を提供する。サンプリング動作の間、第1のキャパシタは、駆動回路の第1の入力端子と第2の入力端子との間に結合される。転送動作中、第1のキャパシタの一端は電圧を受け、第1のキャパシタの他端は負荷に結合される。駆動回路は、負荷を駆動するための第1の駆動信号を生成し、第1の駆動信号は、第1の極性をもつ複数の第1の部分と、第2の極性をもつ複数の第2の部分とを含み、第2の極性は、第1の極性とは反対であり、第1の極性および第2の極性は、前記電圧に関する。複数の第1の部分および複数の第2の部分は、第1の入力端子と第2の入力端子との間の入力信号に応じて変調される第1の駆動信号の一般化DSB-SC(DSB-SC:Double Sideband with Suppressed Carrier)変調成分を形成する。
【0009】
本発明のこれらの目的および他の目的は、さまざまな図および図面に示される好ましい実施形態の以下の詳細な説明を読んだ後に、間違いなく当業者に明らかになるであろう。
【図面の簡単な説明】
【0010】
図1】本発明のある実施形態による一般化DSB-SC信号の波形の概略図である。
【0011】
図2図1に示される信号の拡大波形を示す図である。
【0012】
図3】本発明のある実施形態による駆動回路10の概略図を示す。
【0013】
図4】本発明のある実施形態による制御信号の概略図を示す。
【0014】
図5図1に示される信号の拡大波形を示す。
【0015】
図6】本発明のある実施形態による制御信号の概略図を示す。
【0016】
図7】増幅器の概略図を示す。
【0017】
図8】本発明のある実施形態による駆動回路の概略図を示す。
【0018】
図9】本発明のある実施形態による極性遷移をもつ駆動信号の概略図を示す。
【0019】
図10】本発明のある実施形態による駆動回路の概略図を示す。
【0020】
図11】本発明のある実施形態による駆動信号および制御信号の概略図を示す。
【0021】
図12】本発明のある実施形態による駆動回路の概略図を示す。
【0022】
図13】本発明のある実施形態による負荷の概略図を示す。
【0023】
図14】本発明のある実施形態による駆動回路の概略図を示す。
【0024】
図15】本発明のある実施形態による復調信号生成器の概略図を示す。
【0025】
図16】本発明のある実施形態による復調信号および制御信号の概略図を示す。
【0026】
図17】本発明のある実施形態による駆動回路の概略図を示す。
【0027】
図18】本発明のある実施形態による変調信号および復調信号の概略図を示す。
【発明を実施するための形態】
【0028】
本発明において、「結合される」という用語は、直接的または間接的な接続を指しうる。「構成要素Aが構成要素Bに結合される」は、構成要素Aが構成要素Bに直接接続されるか、または構成要素Aが何らかの構成要素Cを介して構成要素Bに接続されることを示しうる。
【0029】
1つの図/実施形態におけるすべての特徴が必須であるとは限らず、それらのうちのいくつかは省略されてもよい。以下の実施形態に記載される技術的特徴は、矛盾がない限り、さまざまな仕方で混合され、または組み合わされてもよい。
【0030】
図1は、本願のある実施形態による、電圧Vcom(太い実線に対応)に対する入力信号VoP-VoN(点線)またはその符号を変えたVoN-VoP(破線)に従って変調された駆動信号SM(実線に対応)の波形を示す。図1では、駆動信号SMは、192KHzの搬送周波数で、6KHzの正弦波信号(VoP-VoNまたはVoN-VoP)に従ってDSB-SC変調される。本願において、VoP-VoNまたはVoN-VoPは、駆動回路が駆動信号を生成するための入力信号を示すために使用される。
【0031】
図1から、駆動信号SMは、DSB-SC(DSB-SC:Double Sideband with Suppressed Carrier)変調成分を含む。振幅変調の一種である典型的なDSB-SC変調は、ベースバンド信号m(t)に搬送波周波数fcの正弦波信号cos(2πfct)を乗算すること/それにより変調することをいう。m(t)cos(2πfct)によって表されうる典型的なDSB-SC変調信号は、図1に示される実線と同様の波形を有することになり、典型的なDSB-SCの文脈における点線/破線は、ベースバンド信号m(t)と見なされうる。本願において、「変調」は、一般に、ベースバンド信号を搬送周波数fcのまわりの帯域まで上方に転送する動作を指す。
【0032】
典型的なDSB-SC変調信号は、正弦波状に振動する。しかしながら、本願において、DSB-SC変調信号は、正弦波以外の振動様式を有していてもよい。一般に、a)信号成分の極性が、搬送波周波数fcに対応する1サイクルTCY内で2回変化/遷移し(一方の遷移は、正から負であり、他方は、負から正である)、b)1サイクルTCY内の信号成分の(ピーク)振幅が、被変調信号(たとえば、ベースバンド信号m(t)、またはVoP-VoNもしくはVoN-VoPなどの変調信号発生器もしくは駆動回路の入力信号)の振幅に達する、該振幅に近づく、該振幅を達成する、または該振幅に比例する/関連するとき、信号成分は、DSB-SC変調されている、または一般化DSB-SC変調されていると考えられる。
【0033】
変調後の信号(たとえば、SM)と変調前の信号(たとえば、VoP-VoNまたはVoN-VoP)との間の振幅(変調された)関係を示すために、図1の駆動信号SMおよび電圧Vcomの波形は、ある量だけシフト/バイアスされてもよく、シフト/バイアスされた量は、図1の電圧Vcomであってもよい。よって、図1において、実線は実際にはSM-Vcomの波形を示し、太い実線は実際にはVcom-Vcomの波形を示す。
【0034】
具体的には、図2は、本発明のある実施形態によって生成されるDSB-SC変調信号成分の発振様式を示すために、図1に示される破線の長方形内の信号/電圧の拡大バージョンまたは拡大波形を示す。図2からわかるように、DSB-SC変調信号成分(またはSM)は、正弦波とは異なり、指数関数的または指数関数的な接近様式の集まりで被変調信号VoP-VoNまたはVoN-VoPの振幅に近づくが、これに限定されない。
【0035】
別の観点では、DSB-SC変調信号成分(またはSM)は、電圧Vcomより上の信号部分(SM-Vcom>0に対応する部分)と、電圧Vcomより下の信号部分(SM-Vcom<0に対応する部分)とを含む。電圧Vcomより上の信号部分は第1の部分と呼ばれ、電圧Vcomより下の信号部分は第2の部分と呼ばれる。第1の部分は、第1の極性をもつ、または第1の極性に偏っていてもよく、第2の部分は、第2の極性をもつ、または第2の極性に偏っていてもよい。第1の極性と第2の極性は、互いに反対である。第1および第2の極性は、電圧Vcomに対するものとみなされる。
【0036】
換言すれば、駆動信号SMは、複数の第1の部分および複数の第2の部分を含むものとみなされてもよく、複数の第1の部分および複数の第2の部分は、駆動信号SMの一般化DSB-SC変調成分を形成する。これは、図1および図2が示すように、1サイクルTCY(ここで、TCYは、搬送波周波数fcの逆数であってもよい)内で、駆動信号SMが、第1の極性に向かう1つの第1の部分と、第1の極性とは反対の第2の極性に向かう1つの第2の部分とを含むことを意味する。
【0037】
第1の極性をもつ第1の部分に対応する第1のデューティー期間TD1の間、駆動回路は、VoP-VoNおよびVoN-VoPのうちの一方、たとえば、図2に示されるようなVoP-VoNに近づこうとする駆動信号SMを生成する。第2の極性をもつ第2の部分に対応する第2のデューティー期間TD2の間、駆動回路は、VoP-VoNおよびVoN-VoPの他方、たとえば図2に示されるようなVoN-VoPに近づこうとする駆動信号SMを生成する。
【0038】
図3は、本発明のある実施形態による駆動回路10の概略図を示す。駆動回路10は、第1の入力端子VoPと、第2の入力端子VoNと、キャパシタCauxと、サンプリング・スイッチSamp,1~Samp,2と、転送スイッチStf,1~Stf,4とを備える。駆動回路10は、負荷CLを駆動するための駆動信号SMを生成するように構成される。
【0039】
回路構成要素間の接続は図3に示されており、簡潔のためにここでは説明しない。
【0040】
本願において、VoP/VoNは、駆動回路10の第1/第2の入力端子を示すために、また、第1/第2の入力端子における電圧レベルを示すために使用される。本発明の駆動回路のための入力信号は、2つの入力端子によって搬送され、すなわち、2つの入力端子間の電圧差であり、VoP-VoNまたはVoN-VoPのいずれかとして表せる。駆動回路のための入力信号は、変調されるべき信号と見なされてもよい。また、スイッチの表記は、その制御信号も指す。たとえば、Samp,1~Samp,2およびStf,1~Stf,4は、スイッチを示すために使用され、また、それらに対するオン‐オフ制御信号を示すためにも使用される。
【0041】
図4は、本発明のある実施形態による駆動回路10のためのオン‐オフ制御信号Samp,1~Samp,2およびStf,1~Stf,4の概略図を示し、制御信号のハイレベルはオン/導通を表し、制御信号のローレベルはオフ/遮断を表す。図4からわかるように、サンプリング動作(サンプリング・スイッチSamp,1~Samp,2が導通している期間)と転送動作(転送スイッチStf,1~Stf,2または転送スイッチStf,3~Stf,2のいずれかが導通している期間)とが交互に行われる。サンプリング動作は、キャパシタ(たとえば、Caux)が特定の時間に入力信号(たとえば、VoP-VoN)をサンプリングすることを指し、一方、転送動作は、キャパシタ(たとえば、Caux)が、前記特定の時間に対応するサンプリングされた入力信号を負荷CLに転送することを指す。図4はまた、VoP-VoN>0のときの制御信号Samp,1~Samp,2、Stf,1~Stf,4に対応する駆動回路10の入出力信号の波形も示している。
【0042】
具体的には、TD1内の第1のサンプリング動作(図4に示される時間TSP1に対応する)の間(この間、第1の極性をもつ第1の部分が生成される)、サンプリング・スイッチSamp,1~Samp,2が導通し(それにより、キャパシタCauxの第1の端部が第1の入力端子VoPに結合され、キャパシタCauxの第2の端部が第2の入力端子VoNに結合される)、キャパシタCauxは、その2つの端部の間にVoP-VoNとしての電圧差を有することになる。第1の転送動作中、転送スイッチStf,1~Stf,2が導通し(それにより、キャパシタCauxの第1の端部が負荷CLに結合され、キャパシタCauxの第2の端部が電圧Vcomを受信する)、キャパシタCauxは、電圧VcomとともにVoP-VoNとして電圧差を負荷に転送する。よって、駆動信号SMは、実質的に、時間TTF1(の終わり)においてVcom+VoP-VoNとしての電圧を有することになる。第1のサンプリング動作と第1の転送動作は、TD1の間に交互に数回繰り返されてもよく、それにより、TD1内の第1の極性をもつ駆動信号SMの第1の部分の振幅は、Vcomに関係なく、TD1に対応する入力信号VoP-VoNの振幅に近づき、上述のDSB-SC変調信号成分の要件b)を満たす。
【0043】
同様に、TD2内の第2のサンプリング動作(図4に示される時間TSP2に対応する)の間(この間、第2の極性をもつ第2の部分が生成される)、サンプリング・スイッチSamp,1~Samp,2が導通し、それにより、第1のサンプリング動作として、キャパシタCauxの第1の端部が第1の入力端子VoPに接続され、キャパシタCauxの第2の端部が第2の入力端子VoNに接続され、キャパシタCauxは、その2つの端部の間にVoP-VoNの電圧差を有することになる。第2の転送動作中、転送スイッチStf,3~Stf,4が導通し(それにより、キャパシタCauxの第1の端部が電圧Vcomを受け取り、キャパシタCauxの第2の端部が負荷CLに結合される)、キャパシタCauxは、電圧VcomとともにVoP-VoNとしての電圧差を負荷に転送する。よって、駆動信号SMは、実質的に、時間TTF2(の終わり)においてVcom-(VoP-VoN)としての電圧を有することになる。第2のサンプリング動作と第2の転送動作は、TD2の間に交互に数回繰り返されてもよく、それにより、TD2内の第2の極性をもつ駆動信号SMの第2の部分の振幅は、Vcomに関係なく、TD2に対応する入力信号-(VoN-VoP)の振幅に近づき、上述の一般化DSB-SC変調信号成分の要件b)を満たす。
【0044】
また、TD1内の動作とTD2内の動作も、長期間にわたって交互に繰り返される。TD1の動作とTD2の動作とが搬送波周波数fcで交互に繰り返される場合、駆動回路10によって生成される駆動信号SMは、一般化DSB-SC変調信号の要件a)を満たすことになる。
【0045】
なお、図2および図4は、VoP-VoN>0の場合を示している。VoP-VoN<0またはVoN-VoP>0の場合、対応する波形は図5および図6に示される。動作(原理)は、上述の段落と同様であり、簡潔のため説明しない。
【0046】
ある観点では、駆動回路におけるキャパシタCauxは、キャパシタCauxの両端のいずれも接地されていないので、フライング・キャパシタと見なされうる。駆動回路10は、一般化DSB-SC変調信号を生成するために、エネルギーを蓄積して転送するよう、フライング・キャパシタCauxを利用する。
【0047】
よって、駆動回路によって生成される駆動信号SMは、一般化DSB-SC変調成分を含むか、または第1の部分および第2の部分が一般化DSB-SC変調成分を形成すると見なすことができる。また、駆動回路が生成する駆動信号SMのAC(交流)成分は、一般化DSB-SC変調されているとみなすこともできる。
【0048】
本発明の駆動信号は、平衡信号または不平衡信号を受領しうる。本発明の駆動信号は、シングルエンド出力または差動出力のいずれかをもつ(外部)増幅器に結合されうる。増幅器は、クラスAB、クラスH、クラスD増幅器であってもよいが、これに限定されない。
【0049】
すなわち、本発明の駆動回路は、キャパシタ(単数または複数)およびスイッチを利用することによって、任意の種類の増幅器からの任意の形のアナログ信号をDSB-SC変調信号に変換することができる。言い換えれば、本発明の駆動回路は、任意の種類の(外部/アナログ)増幅器と統合される、および/または任意の形のアナログ入力信号を受信してDSB-SC変調信号を生成する柔軟性を有する。ある観点では、駆動回路10は、DSB-SC変調信号を生成することができる変調信号生成器とみなすことができる。
【0050】
ある実施形態では、駆動回路の1つの入力端子は、(外部/アナログ)増幅器の出力端子に結合されてもよく、駆動回路の別の入力端子は、増幅器の別の出力端子に結合されてもよく(図7の左に示される)、接地に結合されてもよく(図7の右に示される)、または定電圧を受信してもよい。
【0051】
ある実施形態では、負荷CLは容量性負荷であってもよい。ある実施形態では、エネルギー・リサイクル動作が、第1の極性と第2の極性との間の遷移内で利用されうる。
【0052】
図8は、本発明のある実施形態による駆動回路20の概略図を示す。駆動回路10に加えて、駆動回路20は、容量性素子CSM,ER、インダクタLSM,ERおよびスイッチSSM,ERをさらに有する。容量性素子CSM,ERは、容量性であるか、またはキャパシタンスを有するキャパシタまたは他のコンポーネントであってもよい。インダクタLSM,ERおよびスイッチSSM,ERは、容量性負荷CLと容量性素子CSM,ERとの間に結合されている。スイッチSSM,ERは、図8に示されるようなインダクタLSM,ERの左端に結合されることに限定されない。スイッチSSM,ERは、インダクタLSM,ERの右端に結合されてもよい。
【0053】
エネルギー・リサイクルの概念は、米国特許第11,290,015号、第11,057,692号、および米国特許出願第18/396,678号において導入されている。スイッチSSM,ERは、図9に示されるように、TD1(第1の部分に対応する)とTD2(第2の部分に対応する)との間のエネルギー・リサイクル期間TERの間、導通する。
【0054】
容量性負荷CLにおける電圧(たとえば、SM)が容量性素子CSM,ERにおける電圧(たとえばVcom、ここで、ある実施形態では、容量性素子CSM,ERは電圧Vcomを有するように初期化されうる)よりも大きい、図9に示される導通期間TER,12のはじめにおいて、インダクタ電流IL,SMが容量性負荷CLから容量性素子CSM,ERに形成され、SMである容量性負荷CLにおける電圧が減少し、ここで、容量性負荷CLに蓄積された電気エネルギーが容量性素子CSM,ERに転送される。
【0055】
一方、容量性負荷CLにおける電圧(たとえば、SM)が容量性素子CSM,ERにおける電圧(たとえば、Vcom)よりも低い、図9に示される導通期間TER,21のはじめにおいて、インダクタ電流IL,SMが容量性素子CSM,ERから容量性負荷CLに形成され、SMである容量性負荷CLにおける電圧が増加し、容量性素子CSM,ERに蓄積された電気エネルギーが容量性負荷CLに転送される。
【0056】
複数のエネルギー・リサイクル期間にわたって、電気エネルギーは、容量性負荷CLと容量性素子CSM,ERとの間で行ったり来たりして転送され、これは、電気エネルギーがTER,12の間に容量性素子CSM,ERにリサイクルされ、TER,21の間に容量性負荷CLに転送し戻されることと見なすことができることに留意されたい。駆動回路の全体的な電力消費は著しく低減され、駆動回路の電力効率は向上する。
【0057】
図9から(図2および図5も参照して)わかるように、容量性素子CSM,ERから/への電気エネルギーの転送を介して、駆動信号の極性が変化する。インダクタLSM,ERおよび容量性素子CSM,ERは、第1の極性と第2の極性との間の極性遷移を実行し、スイッチSSM,ERは、極性遷移(または極性遷移期間、たとえばTER、ここでTERは極性遷移期間と見なされてもよい)の間に導通されると見なされうる。
【0058】
図10は、本発明のある実施形態による駆動回路30の概略図を示す。単一のフライング・キャパシタCauxを有する駆動回路10および20に加えて、駆動回路30は、2つの/デュアル(フライング)キャパシタCaux1、Caux2と、それらの対応するスイッチSamp,11~Samp,12、Samp,21~Samp,22、Stf,11~Stf,14およびStf,21~Stf,24とを有する。スイッチの接続およびタイミング、ならびに制御信号Samp,11~Samp,12、Samp,21~Samp,22、Stf,11~Stf,14およびStf,21~Stf,24は、図10および図11を参照することができる。キャパシタCaux1、Caux2のサンプリングおよび転送動作は、キャパシタCauxのサンプリングおよび転送動作と同様である。
【0059】
図10図11から、キャパシタCaux1とCaux2のサンプリング動作および転送動作は同期的に生起する。たとえば、キャパシタCaux2がサンプリング動作を行うときにキャパシタCaux1が転送動作を行い、および/または、キャパシタCaux2が転送動作を行うときにキャパシタCaux1がサンプリング動作を行う。
【0060】
具体的には、ある実施形態では、図11に示される動作期間TST1の間は、スイッチSamp,21~Samp,22、Stf,11~Stf,12が導通し、残りのスイッチが遮断される;図11に示される動作期間TST2の間は、スイッチSamp,11~Samp,12、Stf,21~Stf,22が導通し、残りのスイッチが遮断される。
【0061】
図11に示されるように、デュアル・キャパシタを用いることにより、駆動回路30によって生成される駆動信号SMは、デューティー期間TD1またはTD2内で、駆動回路10/20によって生成されるものよりも平滑である。
【0062】
ある実施形態では、サイクルTCYは192KHzのレートに対応してもよく(たとえば、TCY=1/192KHz、または搬送波周波数fcは192KHzであってもよい)、動作期間TST(たとえば、TST1またはTST2)は16×192=3072KHzのレートに対応してもよく(たとえば、TST=1/3.072MHz)、デューティー期間(たとえば、TD1またはTD2)は6動作期間を占めてもよく(たとえば、TD1=6・TSTまたはTD2=6・TST)、エネルギー・リサイクル期間TERは2動作期間以下であってもよい(たとえば、TER≦2・TST)が、これに限定されない。
【0063】
なお、エネルギー・リサイクル回路を有することに限定されない。たとえば、図12に示すようなエネルギー・リサイクル回路を有さないデュアル・フライング・キャパシタを備える駆動回路40も本発明の実施形態である。
【0064】
ある実施形態では、負荷CLは、米国特許第11,445,279号、第11,943,585号または米国特許出願第18/321,757号に教示される空気パルス発生(APG)装置であってもよいが、これらに限定されない。
【0065】
図13は、本発明のある実施形態による負荷CLの概略図を示す。負荷CLは、米国特許第11,943,585号または米国特許出願第18/321,757号に教示されるAPG装置である。負荷CLは、膜構造11を備える。米国特許第11,943,585号に教示されているように、膜構造11は、変調駆動信号(たとえば、駆動信号SM)によって駆動されて、コモンモード運動を実行することができる。また、膜構造11は、復調駆動信号+SVおよび復調駆動信号-SVによって駆動されて差動モード運動を実行することができる。本願において、「変調(復調)駆動信号」および「変調(復調)信号」という用語は、交換可能に使用される。
【0066】
さらに、膜構造11はフラップ対102を備え、フラップ対102はフラップ101および103を含む。図13に示される実施形態では、フラップ対102は、変調駆動信号SMによって駆動されてコモンモード運動を実行し、復調駆動信号±SVによって駆動されて差動モード運動を実行して、変調と復調のコロケーションまたはインシトゥ(in-situ)変調と復調を達成することができ、これは、変調と復調の両方が膜構造の同じ部分/位置によって実行されることを意味する。
【0067】
具体的には、負荷CLは、フラップ101上に配置されたアクチュエータ101Aと、フラップ103上に配置されたアクチュエータ103Aとを備えていてもよい。アクチュエータ101Aおよび103Aのそれぞれは、上部電極および下部電極を含む。
【0068】
図13に示される実施形態では、下部電極は、コモンモード運動を実行するように、任意的にはバイアス電圧VBIASだけシフトされた変調駆動信号SMを受信してもよく、アクチュエータ101Aおよび103Aの上部電極は、差動モード運動を実行するように、復調駆動信号+SVおよび-SVを受信してもよいが、これに限定されない。フラップ対が変調駆動信号SMを受信して変調動作のためのコモンモード運動を行い、復調駆動信号±SVを受信して復調動作のための差動モード運動を行う限り、それは本発明の範囲内である。
【0069】
ある実施形態では、VBIASは、+Vcomまたは-Vcomであってもよいが、これに限定されない。バイアス電圧VBIASが一定である限り、それは本発明の範囲内である。
【0070】
なお、本発明の駆動回路は、インシトゥ変調および復調をもつAPGに適用されることに限定されない。本発明の駆動回路は、インシトゥ変調および復調を有しない米国特許第11,445,279号または第11,943,585号のAPG装置に適用されてもよい。
【0071】
図14は、本発明のある実施形態による駆動回路50の概略図を示す。駆動回路50は、変調駆動信号SMを生成するように構成された変調信号生成器52を有し、復調(駆動)信号±SVを生成するように構成された復調信号生成器54を有する。
【0072】
変調信号発生器52は、本発明に開示された駆動回路10、20、30、または40によって実現されてもよい(Samp,1~Samp,2、Samp,11~Samp,12、Samp,21~Samp,22、Stf,1~Stf,4、Stf,11~Stf,14、Stf,21~Stf,24などのスイッチおよびその中の制御信号は、変調スイッチおよび変調制御信号と見なされてもよい)。復調信号発生器54は、米国特許出願第18/396,678号に記載されている復調信号発生器により実現されてもよい。
【0073】
たとえば、図15は、本発明のある実施形態による復調信号発生器60の概略図を示す。復調信号発生器60は、スイッチSW1H、SW1L、SW2H、SW2L、SWSV,ERと、インダクタLSV,ERとを備える。SW1H、SW1LはノードN101に結合され、SW2H、SW2LはノードN103に結合されている。スイッチSW1H、SW2Hは(高)電圧VHを受け、スイッチSW1L、SW2Lは(低)電圧VLを受ける。スイッチSWSV,ERおよびインダクタLSV,ERは、ノードN101とN103との間に結合され、ノードN101/N103は、フラップ101/103の(上部)電極に結合される。復調信号発生器60は、ノードN101において復調信号+SVを生じ、ノードN103において復調駆動信号-SVを生じる。ここで、復調駆動信号±SVは逆の極性をもつ。復調駆動信号±SVおよび制御信号SW1H、SW1L、SW2H、SW2L、SWSV,ERの波形は、図16に示される(ここで、SW1H、SW1L、SW2H、SW2L、SWSV,ERは、復調スイッチおよび復調制御信号と見なされてもよい)。
【0074】
復調信号発生器の詳細については、たとえば、米国特許出願第18/396,678号が参照されうる。APG装置(の変調および復調原理)の詳細は、米国特許第第11,445,279号、第11,943,585号、または米国特許出願第18/321,757号が参照されうる。米国特許第第11,445,279号、第11,943,585号、米国特許出願第18/396,678号、出願第18/321,757号の内容は、参照により本明細書に組み込まれる。
【0075】
復調動作の差動運動のため、復調駆動信号±SVの復調周波数は、変調駆動信号SMの変調周波数の半分でありうる。変調周波数は、DSB-SC変調成分の搬送波周波数であってもよいし、あるいは1/TCYであってもよい。ある実施形態では、変調周波数(たとえば、1/TCY)は192KHzであってもよく、復調周波数(たとえば、1/(T1+T12+T2+T21))は96KHzであってもよいが、これに限定されるものではない。
【0076】
さらに、ある実施形態では、変調制御信号(たとえば、Samp,1~Samp,2、Samp,11~Samp,12、Samp,21~Samp,22、Stf,1~Stf,4、Stf,11~Stf,14、Stf,21~Stf,24)と復調制御信号(たとえば、SW1H、SW1L、SW2H、SW2L、SWSV,ER)とは同期されうる。同期的な変調および復調制御信号を達成するために、ある実施形態では、変調周波数は、復調周波数の整数倍であってもよい。同期的な変調および復調制御信号を達成するために、ある実施形態では、変調制御信号を生成するための(変調)クロック信号と、変調制御信号を生成するための(復調)クロック信号とが同期されてもよい。変調クロック信号および復調クロック信号は、同じクロック周波数に対応してもよく、または、変調クロック信号の変調クロック周波数fCLK,modおよび復調クロック信号の(復調)クロック周波数fCLK,demodは、有理関係を有していてもよい(すなわち、M・fCLK,mod=N・fCLK,demodであるような適切な整数M、Nが存在する)。同期的な変調および復調制御信号は、スイッチによってもたらされるノイズ/干渉を緩和し、および/または、望ましくないノイズ/干渉がベースバンド(可聴帯域など)に入るのを防止するという利点を有し、これは、ユーザー体験を向上させることになる。
【0077】
さらに、図18に示される実施形態(負荷CLとしての図13のAPG装置の抽象的な記号が図18の右上部分に示されている)では、変調信号SMのエネルギー・リサイクル期間または遷移(TSM,ERとして示される)が、復調信号±SVまたは単にSVのエネルギー・リサイクル期間または遷移(TSV,ERとして示される)と交互配置されてもよい。これは、変調信号発生器のエネルギー・リサイクルをより効果的にするために、容量素子CSM,ERおよびインダクタLSM,ERによって行われる極性遷移が、復調信号SVが一定電圧として維持されるときに起こることが提案されるからである。すなわち、期間TSM,ERおよびTSV,ERは、図18が示すように、オーバーラップしない、または同じことだがインターリーブされることが提案され、ここで、TSM,ER/TSV,ERは、変調/復調信号SM/SVの遷移を表しうる。
【0078】
特に、上記で述べた実施形態は、本発明の概念を説明するために利用される。当業者は、しかるべく修正および変更を行うことができ、本明細書に限定されない。たとえば、図17は、本発明のある実施形態による駆動回路70の概略図を示している。駆動回路70は、サンプリング・スイッチSamp,1'~Samp,2'と、転送スイッチStf,1'~Stf,2'とを備えている。駆動回路70の動作原理(および目的)は、駆動回路10と同様である。駆動回路10と同様に、デューティー期間の間、サンプリング動作と転送動作とが交互に行われる。
【0079】
駆動回路10と異なり、第1の極性に対応する第1のサンプリング動作の間、サンプリング・スイッチSamp,1'は、キャパシタCauxの第1の端部と入力端子VoPとの間の接続を導通させ、サンプリング・スイッチSamp,2'は、キャパシタCauxの第2の端部と入力端子VoNとの間の接続を導通させる;第2の極性に対応する第2のサンプリング動作の間、サンプリング・スイッチSamp,1'は、キャパシタCauxの第1の端部と入力端子VoNとの間の接続を導通させ、サンプリング・スイッチSamp,2'は、キャパシタCauxの第2の端部と入力端子VoPとの間の接続を導通させる。
【0080】
まとめると、本発明の駆動回路は、サンプリングおよび転送動作を介して、任意のアナログ信号を一般化DSB-SC変調信号に変換するために、フライング・キャパシタを利用する。本発明の駆動回路は、一般化DSB-SC変調信号を生成するために、任意の種類の外部アナログ増幅器(クラスAB、クラスH、またはクラスD増幅器など)と統合され、および/または任意の形のアナログ信号(シングルエンド、差動、平衡、または不平衡など)を受信する柔軟性/能力を有する。
【0081】
当業者は、本発明の教示を保持しながら、装置および方法の多数の修正および変更がなされうることを容易に認識するであろう。よって、上記の開示は、添付の特許請求の範囲の境界によってのみ限定されるものと解釈されるべきである。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
図15
図16
図17
図18
【外国語明細書】