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特開2024-167098情報処理システム、情報処理方法、及びプログラム
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024167098
(43)【公開日】2024-11-29
(54)【発明の名称】情報処理システム、情報処理方法、及びプログラム
(51)【国際特許分類】
   G16H 80/00 20180101AFI20241122BHJP
【FI】
G16H80/00
【審査請求】未請求
【請求項の数】6
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2024081977
(22)【出願日】2024-05-20
(31)【優先権主張番号】P 2023083108
(32)【優先日】2023-05-19
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(71)【出願人】
【識別番号】523187251
【氏名又は名称】株式会社ケイ・ワイ・ビーメディカルサービス
(74)【代理人】
【識別番号】100190621
【弁理士】
【氏名又は名称】崎間 伸洋
(74)【代理人】
【識別番号】100212510
【弁理士】
【氏名又は名称】笠原 翔
(72)【発明者】
【氏名】小池 佐和子
(72)【発明者】
【氏名】高橋 理美
(72)【発明者】
【氏名】佐藤 由郁
(72)【発明者】
【氏名】金子 雅希
(72)【発明者】
【氏名】内野 英香
【テーマコード(参考)】
5L099
【Fターム(参考)】
5L099AA03
5L099AA15
(57)【要約】
【課題】健康に関する検査を受けたユーザにとってより理解し易い検査結果の表示態様を実現させる。
【解決手段】情報処理システムSでは、管理サーバ1のCPU11で機能する取得部31が、ユーザの健康に関する検査結果を、検査項目ごとに取得し、管理部32が、ユーザの健康を多角的な見地から評価するための指標となる、複数の評価見地の各々に関連する検査項目を、関連検査項目として、複数の評価見地の各々に対応付けて管理し、受診者端末3のCPUで機能する表示制御部53が、評価見地に対応付けられた関連検査項目が持つ、評価見地における意味内容を、関連検査項目の検査結果とともに評価見地ごとに表示する制御を行い、1の関連検査項目が、複数の評価見地の各々に対応付けられることが許容され、1の関連検査項目の意味内容が、評価見地ごとに異なることが許容されている。
【選択図】図3
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ユーザの健康に関する検査結果を、検査項目ごとに取得する取得手段と、
前記ユーザの健康を多角的な見地から評価するための指標となる、複数の評価見地の各々に関連する前記検査項目を、関連検査項目として、前記複数の評価見地の各々に対応付けて管理する管理手段と、
前記評価見地に対応付けられた前記関連検査項目が持つ、前記評価見地における意味内容を、前記関連検査項目の検査結果とともに前記評価見地ごとに表示する表示手段と、
を有し、
1の前記関連検査項目が、複数の前記評価見地の各々に対応付けられることが許容され、1の前記関連検査項目の前記意味内容が、前記評価見地ごとに異なることが許容されていること特徴とする、
情報処理システム。
【請求項2】
前記評価見地に対応付けられた1又は複数の前記関連検査項目の検査結果に基づいて、前記ユーザの健康の評価を前記評価見地ごとに行う評価手段をさらに有し、
前記表示手段は、前記評価見地ごとの評価結果をさらに表示することを特徴とする、
請求項1に記載の情報処理システム。
【請求項3】
前記取得手段は、前記検査項目としての総蛋白、アルブミン、中性脂肪、赤血球数、体脂肪率、尿糖、飲酒習慣、血液検査、尿検査、身体測定、アンケートのうち1以上の検査結果を取得することを特徴とする、
請求項1に記載の情報処理システム。
【請求項4】
前記管理手段は、前記評価見地としてのタンパク質の見地、血糖の見地、脂質の見地、貧血の見地、炎症及び免疫の見地、酸化ストレスの見地、酵素の見地、ミネラルの見地、腎及び尿の見地、唾液の見地のうち1以上の見地の各々に、前記関連検査項目と、前記検査結果とを対応付けて管理することを特徴とする、
請求項1に記載の情報処理システム。
【請求項5】
ユーザの健康に関する検査結果を、検査項目ごとに取得するステップと、
前記ユーザの健康を多角的な見地から評価するための指標となる、複数の評価見地の各々に関連する前記検査項目を、関連検査項目として、前記複数の評価見地の各々に対応付けて管理するステップと、
前記評価見地に対応付けられた前記関連検査項目が持つ、前記評価見地における意味内容を、前記関連検査項目の検査結果とともに前記評価見地ごとに表示するステップと、
を含み、
1の前記関連検査項目が、複数の前記評価見地の各々に対応付けられることが許容され、1の前記関連検査項目の前記意味内容が、前記評価見地ごとに異なることが許容されていること特徴とする、
情報処理方法。
【請求項6】
情報処理システムに
ユーザの健康に関する検査結果を、検査項目ごとに取得させ、
前記ユーザの健康を多角的な見地から評価するための指標となる、複数の評価見地の各々に関連する前記検査項目を、関連検査項目として、前記複数の評価見地の各々に対応付けて管理させ、
前記評価見地に対応付けられた前記関連検査項目が持つ、前記評価見地における意味内容を、前記関連検査項目の検査結果とともに前記評価見地ごとに表示させ、
1の前記関連検査項目が、複数の前記評価見地の各々に対応付けられることが許容され、1の前記関連検査項目の前記意味内容が、前記評価見地ごとに異なることが許容されていること特徴とする情報処理を実行させるプログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、情報処理システム、情報処理方法、及びプログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、検査項目(例えば肝機能)の検査結果として、血液検査の各項目を紐づけて記憶し、ユーザに対してその検査項目の検査結果の表示画面や改善アドバスを提供するシステムが存在する(例えば、特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2016-184198号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
健康に関する検査を受けたユーザにとってより理解し易い検査結果の表示態様が近年要求されている。しかしながら、このような要求に十分にこたえられていない状況であった。
【0005】
本発明は、このような状況に鑑みてなされたものであり、健康に関する検査を受けたユーザにとってより理解し易い検査結果の表示態様を実現することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記目的を達成するため、本発明の一態様は、
ユーザの健康に関する検査結果を、検査項目ごとに取得する取得手段と、
前記ユーザの健康を多角的な見地から評価するための指標となる、複数の評価見地の各々に関連する前記検査項目を、関連検査項目として、前記複数の評価見地の各々に対応付けて管理する管理手段と、
前記評価見地に対応付けられた前記関連検査項目が持つ、前記評価見地における意味内容を、前記関連検査項目の検査結果とともに前記評価見地ごとに表示する表示手段と、
を有し、
1の前記関連検査項目が、複数の前記評価見地の各々に対応付けられることが許容され、1の前記関連検査項目の前記意味内容が、前記評価見地ごとに異なることが許容されていること特徴とする、
情報処理システムである。
【0007】
本発明の一態様の上記情報処理システムに対応する情報処理方法及びプログラムも、本発明の一態様の情報処理システムに対応する情報処理装置及びプログラムとして提供される。
【発明の効果】
【0008】
本発明によれば、健康に関する検査を受けたユーザにとってより理解し易い検査結果の表示態様を実現できる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
図1】本発明の一実施形態に係る情報処理システムの全体構成の一例を示す図である。
図2】本実施形態に係る管理サーバのハードウェア構成の一例を示すブロック図である。
図3】管理サーバにおける機能的構成の一例を示す機能ブロック図である。
図4】管理サーバの処理の流れの一例を示すフローチャートである。
図5】受診者に提供されるメディカルレポートの具体例を示す図である。
図6】受診者に提供されるメディカルレポートの具体例を示す図である。
図7】受診者に提供されるメディカルレポートの具体例を示す図である。
図8】受診者に提供されるメディカルレポートの具体例を示す図である。
図9】受診者に提供されるメディカルレポートの具体例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、本実施形態について、図面を用いて説明する。
<情報処理システムS>
図1は、本発明の一実施形態に係る情報処理システムSの全体構成の一例を示す図である。
本発明の一実施形態に係る情報処理システムSは、自己の健康に関する検査を受けた受診者に対し、検査項目ごとの検査結果を含む情報(以下、「メディカルレポート」と呼ぶ。)を提供するサービス(以下、「本サービス」と呼ぶ。)に適用される情報処理システムである。メディカルレポートは、受診者の健康を多角的な見地から評価するものであり、受診者の健康上のリスクを漏れなく明らかにし、医師又は管理栄養士による生活習慣や食生活のより細かなアドバイスを可能にするレポートである。このため、メディカルレポートは、予防医療やセルフメディケーションを促進させるための重要な役割を果たす。
【0011】
情報処理システムSは、管理サーバ1と、検査機関端末2と、受診者端末3-1乃至3-n(nは1以上の整数値)とがネットワークNを介して接続されることで構成される。ネットワークNは、例えば、インターネット、LAN(Local Area Network)、VPN(Vertual Private Network)等である。以下、受診者端末3-1乃至3-nの各々を個別に説明する必要がない場合には、これらをまとめて「受診者端末3」と呼ぶ。
【0012】
(管理サーバ1)
管理サーバ1は、情報処理システムSの全体を管理するサーバとしての情報処理装置である。管理サーバ1は、本サービスを提供する者により管理される。管理サーバ1は、情報処理システムSを利用可能にする所定のアプリケーションプログラムを実行可能とする。管理サーバ1は、検査機関端末2、受診者端末3、及び外部から送信されてくる各種の情報を取得し、各種の処理を行うことを可能とする。また、管理サーバ1は、検査機関端末2、受診者端末3、及び外部に向けて各種の情報を送信し、各種の処理を実行させることを可能とする。
【0013】
例えば、管理サーバ1は、受診者の健康に関する検査の検査結果を、検査項目ごとに取得し、データベース(後述する図3の検査項目DB41及び検査結果DB42)に格納して管理する。検査結果は、検査機関端末2から提供される情報である。検査項目には、例えば、総蛋白、アルブミン、中性脂肪、赤血球数、体脂肪率、尿糖、飲酒習慣、血液検査、尿検査、身体測定、アンケートなどが含まれる。
【0014】
また、管理サーバ1は、受診者の健康を多角的な見地から評価するための指標となる、複数の評価見地の各々に関連する検査項目を、関連検査項目として、複数の評価見地の各々に対応付けて管理する。評価見地及び関連検査項目は、医師等の専門家により、病気の分類、予防医療、セルフメディケーション等に基づいて定義されたものであり、情報処理システムSにて予め管理されている情報である。管理サーバ1は、評価見地及び関連検査項目をデータベース(後述する図3の評価見地DB43)に格納して管理している。
【0015】
ここで、「評価見地」とは、評価における観点であって、病気の分類、予防医療及びセルフメディケーションを考慮したものである。
評価見地には、例えば、タンパク質、血糖、脂質、貧血、炎症及び免疫、酸化ストレス、酵素、ミネラル、腎及び尿、唾液などが含まれる。
換言すれば、評価見地毎に対応付けられた関連検査項目は、評価見地の夫々に関連する検査項目であるといえる。ユーザは、評価見地毎の評価や、関連検査項目の結果の夫々を確認することで、予防医療、セルフメディケーションに取り組むことができるようになる。
【0016】
また、管理サーバ1は、受診者の検査結果と、評価見地ごとの評価結果とに基づくメディカルレポートを生成し、受診者端末3に向けて送信する。メディカルレポートには、評価見地ごとの関連検査項目の検査結果が含まれる。ここで特筆すべきは、1の検査項目が、複数の評価見地に対応付けられることが許容されることである。即ち、メディカルレポートでは、1の評価見地に対応付けられた関連検査項目が、他の評価見地にも重複して対応付けられていることがある。受診者の健康診断の結果を示すレポートは従来から存在するが、これらの従来のレポートには、検査項目ごとの検査結果が夫々1箇所にのみ記載される。このため、受診者は、1の検査項目の検査結果が、具体的にどのような健康上の意味合いを持つのかを十分に把握できない。
【0017】
これに対して、本サービスで提供されるメディカルレポートには、1の検査項目の検査結果が、複数の評価見地の各々の関連検査項目として複数の箇所に記載される。例えば、検査項目としての「赤血球数(RBC)」は、受診者の健康を「タンパク質」の見地から評価するため関連検査項目になるとともに、受診者の健康を「貧血」の見地から評価するため関連検査項目にもなる。このため、メディカルレポートでは、「赤血球数(RBC)」を関連検査項目とする「タンパク質」と「貧血」との各々の評価結果が、関連検査項目の検査結果とともに夫々記載される。これにより、受診者は、1の検査項目(関連検査項目)の検査結果を、評価見地ごとに容易に確認できる。なお、1の検査項目が、複数の評価見地の各々の関連検査項目として記載されることを許容するメディカルレポートの具体例については、図5乃至図9を参照して後述する。
【0018】
また、管理サーバ1は、評価見地ごとの関連検査項目が持つ、その評価見地における意味内容を、関連検査項目の検査結果とともに受診者端末3に表示させる。即ち、受診者に提供されるメディカルレポートには、評価見地ごとの関連検査項目が持つ、その評価見地における意味内容が記載される。ここで特筆すべきは、1の関連検査項目の意味内容が、評価見地ごとに異なることが許容されていることである。即ち、メディカルレポートにおいて、1の評価見地に対応付けられた関連検査項目が、他の評価見地にも重複して対応付けられている場合には、記載される関連検査項目の意味内容が評価見地ごとに異なることがある。
【0019】
例えば、検査項目としての「赤血球数(RBC)」の検査結果が持つ意味内容は、受診者の健康を「タンパク質」という見地から評価した場合と、「貧血」という見地から評価した場合とでは同一にならない場合がある。このため、メディカルレポートでは、1の検査項目(関連検査項目)の検査結果が持つ評価見地「タンパク質」と「貧血」との各々における意味内容に関する記載が同一にならない場合がある。これにより、受診者は、1の検査項目(関連検査項目)の検査結果と、その検査項目(関連検査項目)が持つ評価見地における意味内容とを、評価見地ごとに容易に把握できる。なお、1の関連検査項目の意味内容が、評価見地ごとに異なることを許容するメディカルレポートの具体例については、図5乃至図9を参照して後述する。
【0020】
また、管理サーバ1は、評価見地に対応付けられた1又は複数の関連検査項目の検査結果に基づいて、受診者の健康の評価を評価見地ごとに行い、その評価結果を評価見地ごとに受診者端末3に表示させる。即ち、受診者に提供されるメディカルレポートには、評価見地ごとの評価結果が記載される。なお、管理サーバ1の具体的な構成や処理の詳細については後述する。
【0021】
(検査機関端末2)
検査機関端末2は、受診者の健康に関する検査を行う検査機関の担当者が、情報処理システムSを利用するために操作する情報処理装置である。検査機関としては、例えば、総合病院、クリニック、健診センター等が挙げられる。検査機関端末2は、例えば、パーソナルコンピュータ、タブレット端末、スマートフォン等で構成される。検査機関端末2は、情報処理システムSを利用可能にする所定のアプリケーションプログラムを実行可能とする。
【0022】
検査機関端末2は、管理サーバ1と外部との各々から送信されてくる各種の情報や、検査機関の担当者の操作により入力された各種の情報等に基づいて、各種の処理を行うことを可能とする。また、検査機関端末2は、管理サーバ1と外部との各々に向けて各種の情報を送信することを可能とする。例えば、検査機関端末2は、受診者の検査結果を管理サーバ1に提供する。
【0023】
(受診者端末3)
受診者端末3は、健康に関する検査を受けた受診者が、情報処理システムSを利用するために操作する情報処理装置である。受診者端末3は、例えば、スマートフォン、タブレット端末、パーソナルコンピュータ等で構成される。受診者端末3は、情報処理システムSを利用可能にする所定のアプリケーションプログラムを実行可能とする。
【0024】
受診者端末3は、管理サーバ1と外部との各々から送信されてくる各種の情報や、受診者の操作により入力された各種の情報等に基づいて、各種の処理を行うことを可能とする。また、受診者端末3は、管理サーバ1と外部との各々に向けて各種の情報を送信することを可能とする。例えば、受診者端末3は、管理サーバ1から送信されてきた受診者のメディカルレポートを取得してディスプレイ等に表示する。
【0025】
情報処理システムSを構成する管理サーバ1、検査機関端末2、及び受診者端末3の各々による上述の処理は一例である。また、情報処理システムS全体として上述の処理を実現させる機能を備えていればよいので、上述の処理を実現させる機能のうち一部又は全部を情報処理システムS内で分担してもよいし協働してもよい。
【0026】
例えば、管理サーバ1の機能の一部又は全部を情報処理システムS内の他の情報処理装置の機能としてもよい。また、情報処理システムS内の他の情報処理装置の機能の一部又は全部を管理サーバ1の機能としてもよい。さらに、管理サーバ1の機能の一部又は全部を図示せぬ他のサーバ等に移譲してもよい。これにより、情報処理システムS全体としての処理が促進され、また、処理を補完し合うことが可能となる。
【0027】
<ハードウェア構成>
(管理サーバ1のハードウェア構成)
図2は、本実施形態に係る管理サーバ1のハードウェア構成の一例を示すブロック図である。
管理サーバ1は、CPU(Central Processing Unit)11と、ROM(Read Only Memory)12と、RAM(Random Access Memory)13と、バス14と、入出力インターフェース15と、出力部16と、入力部17と、記憶部18と、通信部19と、ドライブ20とを備えている。
【0028】
CPU11は、ROM12に記録されているプログラム、又は、記憶部18からRAM13にロードされたプログラムに従って各種の処理を実行する。RAM13には、CPU11が各種の処理を実行する上において必要なデータ等も適宜記憶される。CPU11、ROM12、及びRAM13は、バス14を介して相互に接続されている。このバス14にはまた、入出力インターフェース15も接続されている。
【0029】
入出力インターフェース15には、出力部16、入力部17、記憶部18、通信部19、及びドライブ20が接続されている。出力部16は、ディスプレイやスピーカ等で構成され、各種の情報を画像や音声として出力する。入力部17は、キーボード、マウス、タッチパネル等で構成され、各種情報の入力を受け付ける。記憶部18は、ハードディスクやDRAM(Dynamic Random Access Memory)等で構成され、各種データを記憶する。通信部19は、インターネット等で構成された上述のネットワークNを介して他の装置との間で通信を行う。
【0030】
ドライブ20には、磁気ディスク、光ディスク、光磁気ディスク、或いは半導体メモリ等からなるリムーバブルメディア21が適宜装着される。ドライブ20によりリムーバブルメディア21から読み出されたプログラムは、必要に応じて記憶部18にインストールされる。また、リムーバブルメディア21は、記憶部18に記憶されている各種データも、記憶部18と同様に記憶することができる。
【0031】
(検査機関端末2及び受診者端末3のハードウェア構成)
また、図示はしないが、検査機関端末2及び受診者端末3は、図2に示す管理サーバ1のハードウェア構成と同様の構成を有する。即ち、検査機関端末2及び受診者端末3は、図2のCPU11、ROM12、RAM13、バス14、入出力インターフェース15、出力部16、入力部17、記憶部18、通信部19、ドライブ20、及びリムーバブルメディア21の各々に対応する、CPU、ROM、RAM、バス、入出力インターフェース、出力部、入力部、記憶部、通信部、ドライブ、及びリムーバブルメディアの各々を有する。
【0032】
<機能構成>
(管理サーバ1の機能構成)
図3は、管理サーバ1における機能的構成の一例を示す機能ブロック図である。
管理サーバ1のCPU11においては、動作する際に、取得手段として機能する取得部31と、管理手段として機能する管理部32と、評価手段として機能する評価部33と、生成部34と、送信制御部35とが機能する。
【0033】
また、管理サーバ1の記憶部18においては、各種のデータベースが設けられている。例えば、検査項目を格納する検査項目DB41、受診者の検査結果を格納する検査結果DB42、評価見地を格納する評価見地DB43、評価見地ごとの評価結果を格納する評価結果DB44などが設けられている。
【0034】
取得部31は、各種の情報を取得する。例えば、取得部31は、受診者の健康に関する検査の検査結果を、検査項目ごとに取得する。取得された検査結果は、記憶部18の検査結果DB42に格納される。
【0035】
管理部32は、記憶部18のデータベースに格納された各種の情報を管理する。例えば、管理部32は、検査項目DB41に格納された検査項目を管理する。具体的には、管理部32は、1の検査項目に対し、1又は複数の評価見地の各々における意味内容を対応付けて管理する。また、管理部32は、検査結果DB42に格納された受診者の検査結果を管理する。また、管理部32は、評価見地DB43に格納された評価見地を管理する。また、管理部32は、評価結果DB44に格納された、評価見地ごとの評価結果を管理する。
【0036】
評価部33は、受診者の健康の評価を行う。具体的には、評価部33は、受診者の検査結果に基づいて、受診者の健康の評価を評価見地ごとに行う。例えば、評価部33は、A乃至Eの5段階で評価をおこなってもよい。この場合、評価部33は、Aは、「とても良い(評価点91%以上)」、Bは、「良い(評価点81~90%)」、Cは、「改善の余地あり(評価点61~80%)」、Dは、「改善が必要(評価点31~60%)」、Eは、「早急な対応が必要(評価点30%以下)」といった基準による評価を行ってもよい。また、評価部33は、所定のAIモデルを用いて受診者の健康の評価を行ってもよい。この場合、評価部33は、所定のAIモデルとして、大規模言語モデル(Large Language Model(LLM))が採用された生成AIモデルを用いて受診者の健康の評価を行ってもよい。
【0037】
生成部34は、各種の情報を生成する。例えば、生成部34は、受診者の検査結果と、評価部33による評価の結果とに基づいて、メディカルレポートを生成する。生成部34により生成されるメディカルレポートには、評価見地ごとの関連検査項目の検査結果と、評価見地ごとの関連検査項目が持つ、その評価見地における意味内容とが含まれる。生成部34は、検査項目ごとに対応付けられている1又は複数の評価見地の各々における意味内容から、その検査項目の検査結果に応じた意味内容を抽出してメディカルレポートに記載する。
【0038】
送信制御部35は、通信部19を介して各種の情報を送信する制御を行う。具体的には、送信制御部35は、検査機関端末2、受診者端末3、及び外部の夫々に向けて各種の情報を送信する制御を行う。例えば、送信制御部35は、生成されたメディカルレポートを、対象となる受診者の受診者端末3に向けて送信する制御を行う。
【0039】
(受診者端末3の機能構成)
受診者端末3のCPUにおいては、動作する際に、取得部51と、表示制御部52と、送信制御部53とが機能する。
【0040】
取得部51は、各種の情報を取得する。例えば、取得部51は、管理サーバ1又は外部から受診者端末3に向けて送信されてきた各種の情報を取得する。管理サーバ1から送信されてくる情報としては、例えば、メディカルレポートなどが挙げられる。また、取得部51は、入力部により入力が受け付けられた情報を取得する。入力部により入力が受け付けられる情報としては、例えば、メディカルレポートを表示するために入力された情報などが挙げられる。
【0041】
表示制御部52は、各種の情報を表示させる制御を行う。具体的には、表示制御部52は、各種の情報を出力部のディスプレイ等に表示させる制御を行う。例えば、表示制御部52は、メディカルレポートを出力部のディスプレイ等に表示させる制御を行う。
送信制御部53は、通信部を介して各種の情報を送信する制御を行う。
【0042】
<管理サーバ1の処理の流れ>
図4は、管理サーバ1の処理の流れの一例を示すフローチャートである。
管理サーバ1の管理部32は、評価見地と関連検査項目とを対応付けて管理する(ステップS1)。管理サーバ1の取得部31は、検査機関端末2から受診者の検査結果が送信されてくると(ステップS2でYES)、送信されてきた検査結果を取得する(ステップS3)。これに対して、検査結果が送信されてきていない場合(ステップS2でNO)、取得部31は、検査結果が送信されてくるまでステップS2の判断処理を繰り返す。
【0043】
管理サーバ1の評価部33は、受診者の検査結果に基づいて、受診者の健康の評価を評価見地ごとに行う(ステップS4)。管理サーバ1の生成部34は、受診者の検査結果と、ステップS4における評価の結果に基づいて、メディカルレポートを生成する(ステップS5)。管理サーバ1の送信制御部35は、ステップS5で生成されたメディカルレポートを、対象となる受診者の受診者端末3に向けて送信する制御を行う(ステップS6)。
【0044】
<具体例>
図5乃至図9は、受診者に提供されるメディカルレポートの具体例を示す図である。
図5乃至図9に例示するメディカルレポートには、評価見地ごとの評価結果と、評価見地の関連検査項目ごとの検査結果と、評価見地ごとの関連検査項目が持つ、その評価見地における意味内容とが含まれる。
【0045】
例えば、図5には、メディカルレポートの一部の内容として、受診者の健康を「タンパク質」の見地から評価した場合の評価結果が「C」であることが示されている。また、評価見地「タンパク質」の関連検査項目に含まれる関連検査項目101乃至105の各々が、「総タンパク TP」、「アルブミン ALB」、「尿素窒素(BUN)」、「赤血球数(RBC)」、及び「ヘモグロビン(HB)」の各々であることが示されている。また、関連検査項目101乃至105の各々の検査結果が示されている。また、関連検査項目101乃至105の各々には基準値が示されている。
【0046】
具体的には、関連検査項目101の「総タンパク TP」は、基準値が「6.7~8.3」(g/dL)であるのに対して、検査結果が「6.9」(g/dL)であり、基準値の範囲内である。また、関連検査項目101の「総タンパク TP」が持つ、その評価見地「タンパク質」における意味内容は、「血清中のタンパク質濃度 (低値)低タンパク血症など (高値)脱水など」である。また、関連検査項目102の「アルブミン ALB」は、基準値が「4.50~5.00」(g/dL)であるのに対して、検査結果が「4.29」(g/dL)である。ここで、検査結果の欄に表記された下向きの矢印は、検査結果が基準値を下回っていることを示している。また、関連検査項目102の「アルブミン ALB」が持つ、その評価見地「タンパク質」における意味内容は、「血中の輸送体タンパク質 (低値)栄養状態の悪化、肝障害の程度、炎症など (高値)脱水症など」である。
【0047】
また、関連検査項目103の「尿素窒素(BUN)」は、基準値が「8.0~20.0」(mg/dL)であるのに対して、検査結果が「20.1」(mg/dL)である。ここで、検査結果の欄に表記された上向きの矢印は、検査結果が基準値を上回っていることを示している。また、関連検査項目103の「尿素窒素(BUN)」が持つ、その評価見地「タンパク質」における意味内容は、「タンパク質が分解された最終産物 (低値)タンパク質不足など (高値)消化管出血、脱水、タンパク異化亢進、腎疾患、高タンパク食および食後の採血など」である。
【0048】
また、関連検査項目104の「赤血球数(RBC)」は、基準値が「430~570」(万/μL)であるのに対して、検査結果が「510」(万/μL)であり、基準値の範囲内である。また、関連検査項目104の「赤血球数(RBC)」が持つ、その評価見地「タンパク質」における意味内容は、「酸素を運搬する細胞であり、ヘム(色素)とグロビン(タンパク質)からなるヘモグロビンを含む (低値)貧血など (高値)脱水、ストレス、喫煙、多血症など」である。
【0049】
また、関連検査項目105の「ヘモグロビン(HB)」は、基準値が「13.5~17.5」(g/dL)であるのに対して、検査結果が「13.0」(g/dL)であり、検査結果が基準値を下回っている。また、関連検査項目105の「ヘモグロビン(HB)」が持つ、その評価見地「タンパク質」における意味内容は、「血中の赤血球に含まれる輸送体タンパク質 (低値)栄養状態の悪化、肝障害の程度、炎症、貧血など (高値)脱水、ストレス、喫煙、多血症など」である。
【0050】
また、図6には、メディカルレポートの一部の内容として、受診者の健康を「炎症及び免疫」の見地から評価した場合の評価結果が「C」であることが示されている。また、評価見地「炎症及び免疫」の関連検査項目に含まれる関連検査項目201乃至203の各々が、「C反応性タンパク(CRP)」、「アルブミン/グロブリン比(A/G)」、及び「アルブミン(ALB)」の各々であることが示されている。また、関連検査項目201乃至203の各々の検査結果が示されている。また、関連検査項目201乃至203の各々には基準値が示されている。
【0051】
具体的には、関連検査項目201の「C反応性タンパク(CRP)」は、基準値が「0.30イカ(以下)」(mg/dL)であるのに対して、検査結果が「1.01」(g/dL)であり、検査結果が基準値を上回っている。また、関連検査項目201の「C反応性タンパク(CRP)」が持つ、その評価見地「炎症及び免疫」における意味内容は、「炎症で反応するタンパク質 (高値)感染、炎症、動脈硬化、心血管疾患など」である。
【0052】
また、関連検査項目202の「アルブミン/グロブリン比(A/G)」は、基準値が「1.3~1.9」であるのに対して、検査結果が「1.6」であり、基準値の範囲内である。また、関連検査項目202の「アルブミン/グロブリン比(A/G)」が持つ、その評価見地「炎症及び免疫」における意味内容は、「アルブミンに対するグロブリンの比 (低値)栄養状態の悪化、肝障害の程度、炎症など」である。
【0053】
また、関連検査項目203は、上述の図5の関連検査項目102と同じ「アルブミン ALB」であり、基準値が「4.50~5.00」(g/dL)であるのに対して、検査結果が「4.29」(g/dL)である。このため、検査結果が基準値を下回っている。ただし、関連検査項目203の「アルブミン ALB」が持つ、その評価見地「炎症及び免疫」における意味内容は、図5の関連検査項目102の「アルブミン ALB」が持つ、その評価見地「タンパク質」における意味内容と同一ではなく、「血中の輸送体タンパク質 (低値)炎症、免疫力低下など」である。
【0054】
即ち、関連検査項目203の「アルブミン ALB」が持つ、その評価見地「炎症及び免疫」における意味内容には、図5の関連検査項目102の「アルブミン ALB」が持つ、その評価見地「タンパク質」における意味内容に含まれる「(高値)脱水症など」の文言が含まれない。これは、受診者の健康を「炎症及び免疫」の見地から評価する場合には、「アルブミン ALB」についての検査結果が基準値よりも低いことによるリスクを優先的に受診者に伝達することが重要だからである。
【0055】
これに対して、図5に示すように、受診者の健康を「タンパク質」の見地から評価する場合には、「アルブミン ALB」についての検査結果が基準値よりも低いときのリスクだけではなく、基準値よりも高いときのリスクについても伝達することが、受診者の健康の維持を図るうえで好ましい。このため、関連検査項目203の「アルブミン ALB」が持つ、その評価見地「炎症及び免疫」における意味内容と、図5の関連検査項目102の「アルブミン ALB」が持つ、その評価見地「タンパク質」における意味内容とが同一になっていない。つまり、メディカルレポートでは、受診者の健康の評価、検査結果、及び関連検査項目の意味内容が、評価見地ごとに端的にまとめられているため、受診者は、自己の健康の改善及び維持を図るために留意すべき事項を、評価見地ごとに容易に把握できる。
【0056】
また、図7には、メディカルレポートの一部の内容として、受診者の健康を「腎及び尿」の見地から評価した場合の評価結果が「B」であることが示されている。また、評価見地「腎及び尿」の関連検査項目に含まれる関連検査項目301乃至304の各々が、「尿素窒素(BUN)」、「クレアチニン(CRE)」、「尿糖」、及び「尿ケトン体」の各々であることが示されている。また、関連検査項目301乃至304の各々の検査結果が示されている。また、関連検査項目301乃至304の各々には基準値が示されている。
【0057】
具体的には、関連検査項目301は、上述の図5の関連検査項目103と同じ「尿素窒素(BUN)」であり、基準値が「8.0~20.0」(mg/dL)であるのに対して、検査結果が「20.1」(mg/dL)である。このため、検査結果が基準値を上回っている。ただし、関連検査項目301の「尿素窒素(BUN)」が持つ、その評価見地「腎及び尿」における意味内容は、図5の関連検査項目103の「尿素窒素(BUN)」が持つ、その評価見地「タンパク質」における意味内容と同一ではなく、「タンパク質が分解された最終産物 (高値)消化管出血、脱水、タンパク異化亢進、腎疾患など」である。
【0058】
即ち、関連検査項目301の「尿素窒素(BUN)」が持つ、その評価見地「腎及び尿」における意味内容には、図5の関連検査項目103の「尿素窒素(BUN)」が持つ、その評価見地「タンパク質」における意味内容に含まれている「(低値)タンパク質不足など」の文言が含まれない。さらに、関連検査項目301の「尿素窒素(BUN)」が持つ、その評価見地における意味内容は、「腎及び尿」の見地における意味内容であるため、腎及び尿に関連する内容に絞られている。具体的には、関連検査項目301の「尿素窒素(BUN)」が持つ、その評価見地「腎及び尿」における意味内容には、図5の関連検査項目103の「尿素窒素(BUN)」が持つ、その評価見地「タンパク質」における意味内容に含まれている「高タンパク食および食後の採血」の文言が含まれない。
【0059】
このような文言の違いは、受診者に何を優先的に伝達すべきか、あるいは受診者がどのような情報を求めているのかに応じて生じる違いとなる。即ち、受診者の健康を「腎及び尿」の見地から評価する場合には、「尿素窒素(BUN)」についての検査結果が基準値よりも高いことによるリスクを優先的に受診者に伝達することが重要になる。これに対して、受診者の健康を「タンパク質」の見地から評価する場合には、「尿素窒素(BUN)」についての検査結果が基準値よりも高いときのリスクだけではなく、基準値よりも低いときのリスクについても伝達することが、受診者の健康の維持を図るうえで重要になる。このような理由から、関連検査項目301の「尿素窒素(BUN)」が持つ、その評価見地「腎及び尿」における意味内容と、図5の関連検査項目103の「尿素窒素(BUN)」が持つ、その評価見地「タンパク質」における意味内容とが同一になっていない。
【0060】
また、関連検査項目302の「クレアチニン(CRE)」は、基準値が「0.61~1.04」(mg/dL)であるのに対して、検査結果が「1.03」(mg/dL)であり、基準値の範囲内である。また、関連検査項目302の「クレアチニン(CRE)」が持つ、その評価見地「腎及び尿」における意味内容は、「筋肉に含まれる代謝物 (低値)筋肉量の低下など (高値)腎機能低下、脱水など」である。また、関連検査項目303の「尿糖」は、基準値が「(-)」であるのに対して、検査結果が「(2+)」であり、検査結果が基準値を上回っている。また、関連検査項目303の「尿糖」が持つ、その評価見地「腎及び尿」における意味内容は、「血液中の糖が尿中に排泄された糖 (陽性)高血糖、尿細管における再吸収低下など」である。
【0061】
また、関連検査項目303の「尿ケトン体」は、基準値が「(-)」であるのに対して、検査結果が「(+-)」であり、検査結果が基準値を上回っている。また、関連検査項目303の「尿ケトン体」が持つ、その評価見地「腎及び尿」における意味内容は、「脂肪分解時の中間代謝産物 (陽性)長時間の絶食、糖尿病の悪化、過度の糖質制限など」である。
【0062】
また、図8には、メディカルレポートの一部の内容として、受診者の健康を「貧血」の見地から評価した場合の評価結果が「D」であることが示されている。また、評価見地「貧血」の関連検査項目に含まれる関連検査項目401及び402の各々が、「赤血球数(RBC)」及び「ヘモグロビン(HB)」の各々であることが示されている。また、関連検査項目401及び402の各々の検査結果が示されている。また、関連検査項目401及び402の各々には基準値が示されている。
【0063】
具体的には、関連検査項目401は、上述の図5の関連検査項目104と同じ「赤血球数(RBC)」であり、基準値が「430~570」(万/μL)であるのに対して、検査結果が「510」(万/μL)である。このため、基準値の範囲内である。ただし、関連検査項目401の「赤血球数(RBC)」が持つ、その評価見地「貧血」における意味内容は、図5の関連検査項目104の「赤血球数(RBC)」が持つ、その評価見地「タンパク質」における意味内容と同一ではなく、「酸素を運搬する細胞であり、ヘム(色素)とグロビン(タンパク質)からなるヘモグロビンを含む (低値)ビタミンや鉄不足による貧血など」である。
【0064】
即ち、関連検査項目401の「赤血球数(RBC)」が持つ、その評価見地「貧血」における意味内容には、図5の関連検査項目104の「赤血球数(RBC)」が持つ、その評価見地「タンパク質」における意味内容に含まれている「(低値)貧血、タンパク質不足など」の文言が含まれない。さらに、関連検査項目401の「赤血球数(RBC)」が持つ、その評価見地「貧血」における意味内容は、低値における貧血のリスクの原因も含む内容になっている。具体的には、関連検査項目401の「赤血球数(RBC)」が持つ、その評価見地「貧血」における意味内容には、図5の関連検査項目104の「赤血球数(RBC)」が持つ、その評価見地における意味内容に含まれていない「脱水、ストレス、喫煙、多血症など」の文言が含まれている。
【0065】
即ち、受診者の健康を「貧血」の見地から評価する場合には、「赤血球数(RBC)」についての検査結果が基準値よりも低いときのリスクである「貧血」を優先的に受診者に伝達することが重要になる。これに対して、図5に示すように、受診者の健康を「タンパク質」の見地から評価する場合には、「赤血球数(RBC)」についての検査結果が基準値よりも低いときのリスクだけではなく、基準値よりも高いときのリスクについても伝達することが、受診者の健康の維持を図るうえで重要になる。このような理由から、関連検査項目401の「赤血球数(RBC)」が持つ、その評価見地「貧血」における意味内容と、図5の関連検査項目104の「赤血球数(RBC)」が持つ、その評価見地「タンパク質」における意味内容とが同一になっていない。
【0066】
また、関連検査項目402は、上述の図5の関連検査項目105と同じ「ヘモグロビン(HB)」であり、基準値が「13.5~17.5」(g/dL)であるのに対して、検査結果が「13.0」(g/dL)であり、基準値を下回っている。ただし、関連検査項目402の「ヘモグロビン(HB)」が持つ、その評価見地「貧血」における意味内容は、図5の関連検査項目105の「ヘモグロビン(HB)」が持つ、その評価見地「タンパク質」における意味内容と同一ではなく、「血中の赤血球に含まれる輸送体タンパク質 (低値)栄養状態の悪化、肝障害の程度、炎症、貧血など」である。
【0067】
即ち、関連検査項目402の「ヘモグロビン(HB)」が持つ、その評価見地「貧血」における意味内容には、図5の関連検査項目105の「ヘモグロビン(HB)」が持つ、その評価見地「タンパク質」における意味内容に含まれている「(高値)脱水、ストレス、喫煙、多血症など」の文言が含まれない。これは、受診者の健康を「貧血」の見地から評価する場合には、「ヘモグロビン(HB)」についての検査結果が基準値よりも低いことによるリスクを優先的に受診者に伝達することが重要だからである。これに対して、図5に示すように、受診者の健康を「タンパク質」の見地から評価する場合には、「ヘモグロビン(HB)」についての検査結果が基準値よりも低いときのリスクだけではなく、基準値よりも高いときのリスクについても伝達することが、受診者の健康の維持を図るうえで重要になる。このような理由から、関連検査項目402の「ヘモグロビン(HB)」が持つ、その評価見地「貧血」における意味内容と、図5の関連検査項目105の「ヘモグロビン(HB)」が持つ、その評価見地「タンパク質」における意味内容とが同一になっていない。
【0068】
また、図9には、メディカルレポートの一部の内容として、受診者の健康を「血糖」の見地から評価した場合の評価結果が「E」であることが示されている。また、評価見地「血糖」の関連検査項目に含まれる関連検査項目501乃至503の各々が、「血糖値(BS)」、「尿糖」、及び「尿ケトン体」の各々であることが示されている。また、関連検査項目501乃至503の各々の検査結果が示されている。また、関連検査項目501乃至503の各々には基準値が示されている。
【0069】
具体的には、関連検査項目501の「血糖値(BS)」は、基準値が「70~109」(mg/dL)であるのに対して、検査結果が「185」(mg/dL)であり、検査結果が基準値を大幅に上回っている。また、関連検査項目501の「血糖値(BS)」が持つ、その評価見地「血糖」における意味内容は、「空腹時ブドウ糖濃度 (低値)低血糖など (高値)耐糖能異常、糖尿病、ストレスなど」である。ここで、関連検査項目501の「血糖値(BS)」の検査結果が高値であるにも関わらず、低値であるときのリスクである「(低値)低血糖など」の文言が含まれている。これは、関連検査項目501の「血糖値(BS)」が評価見地「血糖」以外の他の評価見地の関連検査項目に含まれていないからである。ただし、図9の例のように検査結果が高値である場合には、「(低値)低血糖など」の文言を記載することなく、端的に「空腹時ブドウ糖濃度 (高値)耐糖能異常、糖尿病、ストレスなど」の文言だけであってもよい。これにより、受診者が、健康の改善及び維持を図るために留意すべき事項を評価見地ごとに容易に把握できる。
【0070】
また、関連検査項目502は、上述の図7の関連検査項目303と同じ「尿糖」であり、基準値が「(-)」であるのに対して、検査結果が「(2+)」であり、検査結果が基準値を上回っている。また、関連検査項目502の「尿糖」が持つ、その評価見地「血糖」における意味内容は、図7の関連検査項目303の「尿糖」が持つ、その評価見地「腎及び尿」における意味内容と同一である。また、関連検査項目503は、上述の図7の関連検査項目304と同じ「尿ケトン体」であり、基準値が「(-)」であるのに対して、検査結果が「(+-)」であり、検査結果が基準値を上回っている。また、関連検査項目503の「尿ケトン体」が持つ、その評価見地「血糖」における意味内容は、図7の関連検査項目304の「尿ケトン体」が持つ、その評価見地「腎及び尿」における意味内容と同一である。即ち、図9に示す例のように、メディカルレポートには、その評価見地における意味内容が、他の評価見地における意味内容と同一でない関連検査項目(図9の例では関連検査項目501)と、同一である関連検査項目(図9の例では関連検査項目502及び503)とが混在していてもよい。
【0071】
このように、メディカルレポートにおいて、1の関連検査項目が、複数の評価見地の各々に対応付けられることが許容され、1の関連検査項目の前記意味内容が、評価見地ごとに異なることが許容されている。
なお、メディカルレポートの意味内容は以下のようになっていれば足りる。
即ち、メディカルレポートにおいて、複数の評価見地が含まれている。このとき、1以上の関連検査項目が2以上の評価見地に対応付けられて、メディカルレポートに含まれている。そして、ある「2以上の評価見地に対応付けられている関連検査項目」は、対応付けられている評価見地毎に異なる意味内容が記載されている。より具体的には、「2以上の評価見地に対応付けられている関連検査項目」の意味内容は、メディカルレポート内においてその関連検査項目が記載されている評価見地に対する意味内容を少なくとも含んでいる。
これにより、ユーザは、その評価見地に対するその関連検査項目の意味内容を容易に把握可能となるのである。
【0072】
さらには、「2以上の評価見地に対応付けられている関連検査項目」は、メディカルレポート内においてその対応付けられている他の関連検査項目に対する影響を含まないとより好適である。
これにより、ユーザは、その評価見地に対するその関連検査項目の意味内容を他の評価見地と混同せず、容易に把握可能となる。
【0073】
<本実施形態の有利な効果>
上述の実施形態によれば、健康に関する検査を受けたユーザにとってより理解し易い検査結果の表示態様を実現できる。
【0074】
<他の実施形態>
以上、本発明の一実施形態について説明したが、本発明は、上述の実施形態に限定されるものではなく、本発明の目的を達成できる範囲での変形、改良等は本発明に含まれるものである。
【0075】
例えば、上述の実施形態では、検査項目として、総蛋白、アルブミン、中性脂肪、赤血球数、体脂肪率、尿糖、飲酒習慣、血液検査、尿検査、身体測定、及びアンケートが挙げられているが、検査項目はこれらに限定されない。また、上述の実施形態では、評価見地として、タンパク質、血糖、脂質、貧血、炎症及び免疫、酸化ストレス、酵素、ミネラル、腎及び尿、及び唾液が挙げられているが、評価見地はこれらに限定されない。
【0076】
また、例えば、上述した一連の処理は、ハードウェアにより実行させることもできるし、ソフトウェアにより実行させることもできる。換言すると、上述の機能的構成は例示に過ぎず、特に限定されない。即ち、上述した一連の処理を全体として実行できる機能が情報処理システムに備えられていれば足り、この機能を実現するためにどのような機能ブロックを用いるのかは特に上述の例に限定されない。
【0077】
また、機能ブロックの存在場所も、特に限定されず、任意でよい。例えば、管理サーバ1の機能ブロックを他の装置等に移譲させてもよいし、他の装置の機能ブロックをサーバ等に移譲させてもよい。また、一つの機能ブロックは、ハードウェア単体で構成してもよいし、ソフトウェア単体で構成してもよいし、それらの組み合わせで構成してもよい。
【0078】
一連の処理をソフトウェアにより実行させる場合には、そのソフトウェアを構成するプログラムが、コンピュータ等にネットワークや記録媒体からインストールされる。コンピュータは、専用のハードウェアに組み込まれているコンピュータであってもよい。また、コンピュータは、各種のプログラムをインストールすることで、各種の機能を実行することが可能なコンピュータ、例えばサーバの他汎用のスマートフォンやパーソナルコンピュータであってもよい。
【0079】
このようなプログラムを含む記録媒体は、ユーザ等にプログラムを提供するために装置本体とは別に配布される図示せぬリムーバブルメディアにより構成されるだけでなく、装置本体に予め組み込まれた状態でユーザ等に提供される記録媒体等で構成される。プログラムはネットワークを介して配信可能であることから、記録媒体は、ネットワークに接続された、或いは接続可能なコンピュータに搭載、或いはアクセス可能なものであってもよい。
【0080】
なお、本明細書において、記録媒体に記録されるプログラムを記述するステップは、その順序に沿って時系列的に行われる処理はもちろん、必ずしも時系列的に処理されなくとも、並列的あるいは個別に実行される処理をも含むものである。また、本明細書において、システムの用語は、複数の装置や複数の手段等より構成される全体的な装置を意味するものとする。
【0081】
換言すると、本発明が適用される情報処理システムは、次のような構成を有する各種各様の実施形態を取ることができる。
(1)即ち、本発明が適用される情報処理システムSは、
ユーザ(例えば、上述の受診者)の健康に関する検査結果を、検査項目ごとに取得する取得手段(例えば、図3の取得部31)と、
前記ユーザの健康を多角的な見地から評価するための指標となる、複数の評価見地の各々に関連する前記検査項目を、関連検査項目として、前記複数の評価見地の各々に対応付けて管理する管理手段(例えば、図3の管理部32)と、
前記評価見地に対応付けられた前記関連検査項目が持つ、前記評価見地における意味内容を、前記関連検査項目の検査結果とともに前記評価見地ごとに表示する表示手段(例えば、図3の表示制御部52)と、
を有し、
1の前記関連検査項目が、複数の前記評価見地の各々に対応付けられることが許容され、1の前記関連検査項目の前記意味内容が、前記評価見地ごとに異なることが許容されていること特徴とする、
情報処理システムである。
【0082】
(2)また、前記評価見地に対応付けられた1又は複数の前記関連検査項目の検査結果に基づいて、前記ユーザの健康の評価を前記評価見地ごとに行う評価手段(例えば、図3の評価部33)をさらに有し、
前記表示手段は、前記評価見地ごとの評価結果をさらに表示することを特徴とすることができる。
【0083】
(3)また、前記取得手段は、前記検査項目としての総蛋白、アルブミン、中性脂肪、赤血球数、体脂肪率、尿糖、飲酒習慣、血液検査、尿検査、身体測定、アンケートのうち1以上の検査結果を取得することを特徴とすることができる。
【0084】
(4)また、前記管理手段は、前記評価見地としてのタンパク質の見地、血糖の見地、脂質の見地、貧血の見地、炎症及び免疫の見地、酸化ストレスの見地、酵素の見地、ミネラルの見地、腎及び尿の見地、唾液の見地のうち1以上の見地の各々に、前記関連検査項目と、前記検査結果とを対応付けて管理することを特徴とすることができる。
【0085】
(5)また、本発明が適用される情報処理方法は、ユーザの健康に関する検査結果を、検査項目ごとに取得するステップと、
前記ユーザの健康を多角的な見地から評価するための指標となる、複数の評価見地の各々に関連する前記検査項目を、関連検査項目として、前記複数の評価見地の各々に対応付けて管理するステップと、
前記評価見地に対応付けられた前記関連検査項目が持つ、前記評価見地における意味内容を、前記関連検査項目の検査結果とともに前記評価見地ごとに表示するステップと、
を含み、
1の前記関連検査項目が、複数の前記評価見地の各々に対応付けられることが許容され、1の前記関連検査項目の前記意味内容が、前記評価見地ごとに異なることが許容されていること特徴とする、
情報処理方法である。
【0086】
(6)また、本発明が適用されるプログラムは、
情報処理システムに
ユーザの健康に関する検査結果を、検査項目ごとに取得させ、
前記ユーザの健康を多角的な見地から評価するための指標となる、複数の評価見地の各々に関連する前記検査項目を、関連検査項目として、前記複数の評価見地の各々に対応付けて管理させ、
前記評価見地に対応付けられた前記関連検査項目が持つ、前記評価見地における意味内容を、前記関連検査項目の検査結果とともに前記評価見地ごとに表示させ、
1の前記関連検査項目が、複数の前記評価見地の各々に対応付けられることが許容され、1の前記関連検査項目の前記意味内容が、前記評価見地ごとに異なることが許容されていること特徴とする情報処理を実行させるプログラムである。
【符号の説明】
【0087】
1:管理サーバ、2:検査機関端末、3:受診者端末、11:CPU、16:出力部、17:入力部、18:記憶部、19:通信部、31:取得部、32:管理部、33:評価部、34:生成部、35:送信制御部、51:取得部、52:表示制御部、53:送信制御部、S:情報処理システム、N:ネットワーク
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9