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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024016710
(43)【公開日】2024-02-07
(54)【発明の名称】感熱記録材料
(51)【国際特許分類】
   B41M 5/36 20060101AFI20240131BHJP
【FI】
B41M5/36 500
【審査請求】未請求
【請求項の数】8
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022119021
(22)【出願日】2022-07-26
(71)【出願人】
【識別番号】000122298
【氏名又は名称】王子ホールディングス株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000796
【氏名又は名称】弁理士法人三枝国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】秋元 真也
(72)【発明者】
【氏名】青山 茂生
【テーマコード(参考)】
2H111
【Fターム(参考)】
2H111HA07
2H111HA12
2H111HA23
2H111HA35
(57)【要約】
【課題】染料前駆体及び顕色剤を実質的に含まない感熱記録材料であって、白色度、発色濃度及び印字適性に優れる感熱記録材料を提供する。
【解決手段】少なくとも1つの着色面を含む支持体、及びその上に配置された光散乱層を有する感熱記録材料であって、前記光散乱層が中空を有さないポリマー粒子と透明化剤とを含有し、前記中空を有さないポリマー粒子の含有割合が前記光散乱層の全固形量中25~60質量%であり、前記透明化剤の含有割合が前記光散乱層の全固形量中10~40質量%であり、前記光散乱層が染料前駆体及び顕色剤を実質的に含有しない感熱記録材料。
【選択図】なし
【特許請求の範囲】
【請求項1】
少なくとも1つの着色面を含む支持体、及びその上に配置された光散乱層を有する感熱記録材料であって、前記光散乱層が中空を有さないポリマー粒子と透明化剤とを含有し、前記中空を有さないポリマー粒子の含有割合が前記光散乱層の全固形量中25~60質量%であり、前記透明化剤の含有割合が前記光散乱層の全固形量中10~40質量%であり、前記光散乱層が染料前駆体及び顕色剤を実質的に含有しない感熱記録材料。
【請求項2】
前記透明化剤が、ステアリン酸アミド、パルミチン酸アミド、芳香族シュウ酸エステル、芳香族エチレングリコールエーテル、エチレン-ビス-ステアリン酸アミド、1,2-ジフェニルオキシエタン、1,2ジ(3-メチルフェノキシ)エタン、ジベンジルオキサレート、ジベンジルテレフタレート、ベンジル-ビフェニル、ベンジル-2-ナフチルエーテル、ジフェニルスルホン、m-テルフェニル、p-ベンジルオキシベンジルベンゾエート、シクロヘキサンジメタノールベンゾエート、p-トルエンスルホンアミド、o-トルエンスルホンアミド、2,6-ジイソプロピルナフタレン、4,4-ジイソプロピルビフェニル及びエルカ酸アミドからなる群から選択される少なくとも1種を含有する、請求項1に記載の感熱記録材料。
【請求項3】
前記透明化剤が、ステアリン酸アミド及びパルミチン酸アミドからなる群から選択される少なくとも1種を含有する、請求項1に記載の感熱記録材料。
【請求項4】
前記透明化剤が、ステアリン酸アミド及びパルミチン酸アミドの両方を含有する、請求項1に記載の感熱記録材料。
【請求項5】
前記中空を有さないポリマー粒子の含有割合が前記光散乱層の全固形量中30~50質量%である、請求項1~4のいずれか1項に記載の感熱記録材料。
【請求項6】
前記透明化剤の含有割合が前記光散乱層の全固形量中20~35質量%である、請求項1~4のいずれか1項に記載の感熱記録材料。
【請求項7】
前記中空を有さないポリマー粒子の平均粒子径が0.2~3.0μmである、請求項1~4のいずれか1項に記載の感熱記録材料。
【請求項8】
前記中空を有さないポリマー粒子の屈折率が1.55~1.65である、請求項1~4のいずれか1項に記載の感熱記録材料。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、感熱記録材料に関するものである。
【背景技術】
【0002】
無色又は淡色の染料前駆体と、フェノール類又は有機酸との加熱発色反応を利用して発色画像を記録する感熱記録材料は、広く実用化されている。このような感熱記録材料は、単に加熱するだけで発色画像が形成されるため、記録装置をコンパクトにでき、記録装置の保守も容易で、騒音の発生が少ないなどの利点を有している。そのため感熱記録材料は、ラベルプリンタ等の発行機、自動券売機、CD・ATM、飲食店等の注文伝票出力機、科学研究用機器のデータ出力機等における各種情報記録材料として広範囲に使用されている。
【0003】
このような染料前駆体と顕色剤との発色反応を利用した感熱記録材料以外の感熱記録材料として、例えば、特許文献1で報告されている感熱記録材料が存在する。
【0004】
特許文献1では、a)少なくとも1つの着色面を含む支持体;並びに、その上に配置されたb)層を含む記録材料であって、前記層が、コア/シェル構造を有するポリマー粒子、および前記ポリマー粒子の重量を基準にして1重量%から90重量%の、45℃から200℃の融点を有する不透明性低減剤を含み、前記粒子が40℃から130℃の計算Tgを有する外側第1ポリマーシェルを有し、前記粒子が乾燥時に少なくとも1つの空隙を含む記録材料が報告されている。
【0005】
このような感熱記録材料では、着色面が不透明の層で隠蔽されており、熱により不透明性低減剤が溶融することで着色面上の層が透明になって着色面が見えるようになることで印字することが可能となる。
【0006】
しかしながら、従来の染料前駆体及び顕色剤を実質的に含まない感熱記録材料は、白色度、発色濃度及び印字適性が不十分であり、改善の余地を有するものであった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】特表2014-512290号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
本発明は、染料前駆体及び顕色剤を実質的に含まない感熱記録材料であって、白色度、発色濃度及び印字適性に優れる感熱記録材料を提供することを主な目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明者等は、上記目的を解決すべく鋭意検討を重ねた結果、光散乱層中に、中空を有さないポリマー粒子を25~60質量%、透明化剤を10~40質量%配合することにより、上記課題が解決されることを見出し、本発明を完成するに至った。すなわち、本発明は、下記の感熱記録材料に係る。
【0010】
項1:少なくとも1つの着色面を含む支持体、及びその上に配置された光散乱層を有する感熱記録材料であって、前記光散乱層が中空を有さないポリマー粒子と透明化剤とを含有し、前記中空を有さないポリマー粒子の含有割合が前記光散乱層の全固形量中25~60質量%であり、前記透明化剤の含有割合が前記光散乱層の全固形量中10~40質量%であり、前記光散乱層が染料前駆体及び顕色剤を実質的に含有しない感熱記録材料。
項2:前記透明化剤が、ステアリン酸アミド、パルミチン酸アミド、芳香族シュウ酸エステル、芳香族エチレングリコールエーテル、エチレン-ビス-ステアリン酸アミド、1,2-ジフェニルオキシエタン、1,2ジ(3-メチルフェノキシ)エタン、ジベンジルオキサレート、ジベンジルテレフタレート、ベンジル-ビフェニル、ベンジル-2-ナフチルエーテル、ジフェニルスルホン、m-テルフェニル、p-ベンジルオキシベンジルベンゾエート、シクロヘキサンジメタノールベンゾエート、p-トルエンスルホンアミド、o-トルエンスルホンアミド、2,6-ジイソプロピルナフタレン、4,4-ジイソプロピルビフェニル及びエルカ酸アミドからなる群から選択される少なくとも1種を含有する、項1に記載の感熱記録材料。
項3:前記透明化剤が、ステアリン酸アミド及びパルミチン酸アミドからなる群から選択される少なくとも1種を含有する、項1に記載の感熱記録材料。
項4:前記透明化剤が、ステアリン酸アミド及びパルミチン酸アミドの両方を含有する、項1に記載の感熱記録材料。
項5:前記中空を有さないポリマー粒子の含有割合が前記光散乱層の全固形量中30~50質量%である、項1~4のいずれか1項に記載の感熱記録材料。
項6:前記透明化剤の含有割合が前記光散乱層の全固形量中20~35質量%である、項1~5のいずれか1項に記載の感熱記録材料。
項7:前記中空を有さないポリマー粒子の平均粒子径が0.2~3.0μmである、項1~6のいずれか1項に記載の感熱記録材料。
項8:前記中空を有さないポリマー粒子の屈折率が1.55~1.65である、項1~7のいずれか1項に記載の感熱記録材料。
【発明の効果】
【0011】
本発明の感熱記録材料は、着色剤前駆体及び顕色剤を実質的に含まない感熱記録材料であって、白色度、発色濃度及び印字適性に優れる。
【発明を実施するための形態】
【0012】
本明細書中において、「含む」なる表現については、「含む」、「実質のみからなる」、及び「のみからなる」旨の概念を含む。
【0013】
本明細書において「~」を用いて表される数値範囲は、「~」前後に記載される数値を下限値及び上限値として含む範囲を意味する。
【0014】
本発明におけるラテックスは、分散媒体を乾燥させることにより形成されるゲル又は乾燥皮膜の状態を含む。
【0015】
また、本発明では「平均粒子径」は、レーザ回析法によって測定される体積基準のメジアン径をいう。より簡単には、電子顕微鏡を使用し、粒子画像(SEM画像)から粒子径をそれぞれ測定し、10個の平均値で示しても構わない。
【0016】
本発明は、少なくとも1つの着色面を含む支持体、及びその上に配置された光散乱層を有する感熱記録材料であって、前記光散乱層が中空を有さないポリマー粒子と透明化剤とを含有し、前記中空を有さないポリマー粒子の含有割合が前記光散乱層の全固形量中25~60質量%であり、前記透明化剤の含有割合が前記光散乱層の全固形量中10~40質量%であり、前記光散乱層が染料前駆体及び顕色剤を実質的に含有しないことを特徴とする。
【0017】
[支持体]
本発明における支持体は、種類、形状、寸法等に格別の限定はなく、例えば、上質紙(酸性紙、中性紙)、中質紙、コート紙、アート紙、キャストコート紙、グラシン紙、樹脂ラミネート紙、ポリオレフィン系合成紙、合成繊維紙、不織布、合成樹脂フィルム等の他、各種透明支持体等の中から適宜選択して使用することができる。本発明の態様では、支持体は一方の面に着色面を有していてもよく、両側が着色されていてもよい。色は、例えば、顔料、染料又は支持体の固有の色により付与されてもよく、支持体は、着色面を提供するために、着色剤に浸漬させてもよい。支持体の厚みは特に制限されず、通常、20~200μm程度である。また、支持体の密度は特に制限されず、0.60~0.85g/cm程度が好ましい。
【0018】
[着色面]
本発明の感熱記録材料では、支持体上に少なくとも1つの着色面を有する。これにより、光散乱層が熱により透明になった際に印字することが可能となる。
【0019】
支持体は一方の面に着色面を有していてもよく、両方の面に着色面を有していてもよい。着色面は、その上に配置された光散乱層に対して、目視によって対照的な十分な色濃度を有していればよい。着色面は、色濃度が均一であってもよいし、色濃度が変化していてもよく、パターン形成されていてもよい。着色面の色の種類も特に限定されず、いずれの色であってもよい。
【0020】
着色面としては、支持体上に形成された着色層であってもよい。着色層には、色を付与するための着色剤として、染料、顔料、カーボンブラックなどを含有させることができる。着色剤の含有割合は、広い範囲から選択できるが、一般には着色層の全固形量のうち、5~50質量%程度が好ましく、7~30質量%程度がより好ましい。
【0021】
着色層には、着色剤以外の顔料を含有させることができる。顔料としては、例えば、炭酸カルシウム、炭酸マグネシウム、カオリン、焼成カオリン、クレー、タルク、焼成クレー、シリカ、珪藻土、合成珪酸アルミニウム、酸化亜鉛、酸化チタン、水酸化アルミニウム、硫酸バリウム、表面処理された炭酸カルシウム、シリカ等の無機顔料、中空を有するポリマー粒子、中空を有さないポリマー粒子などが挙げられる。顔料の含有割合は、広い範囲から選択できるが、一般に着色層の全固形量のうち、30~80質量%程度が好ましく、40~70質量%程度がより好ましい。
【0022】
着色層は、一般に水を媒体として、着色剤、着色剤以外の顔料、接着剤、助剤等を混合及び攪拌することにより調製された着色層用塗工液を、支持体上に塗布及び乾燥することにより形成される。着色層用塗工液の塗布量は、特に限定するものではないが、乾燥質量で2~15g/m程度が好ましく、3~10g/m程度がより好ましい。
【0023】
接着剤としては、例えば、ポリビニルアルコール及びその誘導体、澱粉及びその誘導体、ヒドロキシメチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース、カルボキシメチルセルロース、メチルセルロース、エチルセルロース等のセルロース誘導体、ポリアクリル酸ソーダ、ポリビニルピロリドン、アクリルアミド-アクリル酸エステル共重合体、アクリルアミド-アクリル酸エステル-メタアクリル酸エステル共重合体、スチレン-無水マレイン酸共重合体、イソブチレン-無水マレイン酸共重合体、カゼイン、ゼラチン及びそれらの誘導体等の水溶性高分子材料、並びにポリ酢酸ビニル、ポリウレタン、ポリアクリル酸、ポリアクリル酸エステル、塩化ビニル-酢酸ビニル共重合体、ポリブチルメタクリレート、エチレン-酢酸ビニル共重合体等のエマルジョン、又はスチレン-ブタジエン系共重合体、スチレン-ブタジエン-アクリル系共重合体等の水不溶性重合体のラテックス等を挙げることができる。接着剤の含有割合は、広い範囲から選択できるが、一般には着色層の全固形量のうち、5~40質量%程度が好ましく、10~30質量%程度がより好ましい。
【0024】
[光散乱層]
本発明の感熱記録材料は、着色面の上に光散乱層を有する。光散乱層は、中空を有さないポリマー粒子と透明化剤とを含有している。また、光散乱層は、染料前駆体及び顕色剤を実質的に含有しない。
【0025】
(中空を有さないポリマー粒子)
中空を有さないポリマー粒子を含有することによって、光散乱層において光散乱が生じる結果、着色面を隠蔽することができる。また、中空を有さないポリマー粒子を使用することにより、中空を有するポリマー粒子を使用する場合と比べて、発色濃度の点で優れている。
【0026】
中空を有さないポリマー粒子に用いることができる樹脂には、一般的にアクリル樹脂、ポリスチレン樹脂が挙げられ、特にスチレン-アクリル共重合体が好ましい。
【0027】
本発明における中空を有さないポリマー粒子の平均粒子径は、好ましくは0.1~5.0μm、より好ましくは0.2~3.0μm、さらに好ましくは0.4~2.0μmである。ここで、平均粒子径は、粒子径で2つに分けたとき、大きい側の粒子と小さい側の粒子の占める容積が等量となる径、つまり50体積%頻度の粒子径であるメジアン径であり、D50とも呼称される。中空を有さないポリマー粒子の平均粒子径(D50)は、レーザ回折式粒度分布測定装置によって測定することができる。また、電子顕微鏡を使用し、粒子画像(SEM画像)から粒子径をそれぞれ測定し、10個の平均値で示しても構わない。中空を有さないポリマー粒子の平均粒子径が0.1~5.0μmであると、感熱記録材料の白色度を向上させることができる。
【0028】
本発明における中空を有さないポリマー粒子の屈折率は、好ましくは1.55~1.65、より好ましくは1.57~1.63、さらに好ましくは1.57~1.60である。ここで、屈折率は、JIS K7142 B法(ベッケ線法)などにより測定することが可能である。中空を有さないポリマー粒子の屈折率が1.55以上であると、感熱記録材料の白色度を向上させることができる。一方、中空を有さないポリマー粒子の屈折率が1.65以下であると、感熱記録材料の発色濃度を高めることができる。
【0029】
本発明における中空を有さないポリマー粒子の含有割合は、光散乱層の全固形量のうち、25~60質量%であり、30~50質量%であることが好ましく、35~50質量%であることがより好ましい。中空を有さないポリマー粒子の含有割合が25質量%以上であると、感熱記録材料の白色度を向上させることができる。一方、中空を有さないポリマー粒子の含有割合が60質量%以下であると、発色濃度を高めることができる。
【0030】
(透明化剤)
透明化剤を含有することによって、熱が加えられた際に、透明化剤が溶融し、光散乱層の屈折率が変化する結果、光散乱層が透明になり、着色面が見えるようになる。
【0031】
透明化剤の具体例としては、ステアリン酸アミド、パルミチン酸アミド、芳香族シュウ酸エステル、芳香族エチレングリコールエーテル、エチレン-ビス-ステアリン酸アミド、1,2-ジフェニルオキシエタン、1,2ジ(3-メチルフェノキシ)エタン、ジベンジルオキサレート、ジベンジルテレフタレート、ベンジル-ビフェニル、ベンジル-2-ナフチルエーテル、ジフェニルスルホン、m-テルフェニル、p-ベンジルオキシベンジルベンゾエート、シクロヘキサンジメタノールベンゾエート、p-トルエンスルホンアミド、o-トルエンスルホンアミド、2,6-ジイソプロピルナフタレン、4,4-ジイソプロピルビフェニル、エルカ酸アミドなどが挙げられる。もちろん、これらに制限されるものではなく、また必要に応じて2種以上の化合物を併用することもできる。
【0032】
透明化剤としては、中でも、印字適正に優れるといった観点から、ステアリン酸アミド及びパルミチン酸アミドが好ましく、ステアリン酸アミド及びパルミチン酸アミドを併用することが発色濃度を高めることができるため特に好ましい。
【0033】
かかる透明化剤の含有割合は、光散乱層の全固形量のうち、10~40質量%であり、20~35質量%であることが好ましく、20~30質量%であることがより好ましい。10質量%以上とすることにより発色濃度を高めることができる。40質量%以下とすることにより、印字適性を向上させることができる。
【0034】
透明化剤の含有量は、中空を有さないポリマー粒子1質量部に対して、0.2質量部以上であることが好ましく、0.4質量部以上であることがより好ましい。一方、透明化剤の含有量は、中空を有さないポリマー粒子1質量部に対して、2.0質量部以下が好ましく、1.6質量部以下がより好ましい。
【0035】
(中空を有するポリマー粒子)
中空を有するポリマー粒子を含有することによって、光散乱層において光散乱が生じる結果、着色面を隠蔽することができる。
【0036】
中空を有するポリマー粒子は、着色面の隠蔽性は中空を有さないポリマー粒子よりも良好であるものの、発色濃度は中空を有さないポリマー粒子よりも低調である。
【0037】
光散乱層を構成する他の成分材料としては接着剤を用い、さらに必要により、架橋剤、滑剤、耐水化剤、分散剤等の助剤を用いることができる。
【0038】
接着剤としては、例えば、ポリビニルアルコール及びその誘導体、澱粉及びその誘導体、ヒドロキシメチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース、メチルセルロース、エチルセルロース等のセルロース誘導体、ポリアクリル酸ソーダ、ポリビニルピロリドン、アクリルアミド-アクリル酸エステル共重合体、アクリルアミド-アクリル酸エステル-メタアクリル酸エステル共重合体、スチレン-無水マレイン酸共重合体、イソブチレン-無水マレイン酸共重合体、カゼイン、ゼラチン及びそれらの誘導体等の水溶性高分子材料、並びにポリ酢酸ビニル、ポリウレタン、ポリアクリル酸、ポリアクリル酸エステル、塩化ビニル-酢酸ビニル共重合体、ポリブチルメタクリレート、エチレン-酢酸ビニル共重合体等のエマルジョン、又はスチレン-ブタジエン系共重合体、スチレン-ブタジエン-アクリル系共重合体等の水不溶性重合体のラテックス等を挙げることができる。これらの中でも、ポリビニルアルコール、ラテックス等が好ましい。接着剤の含有割合は、広い範囲から選択できるが、一般には光散乱層の全固形量のうち、7~50質量%程度が好ましく、10~45質量%程度がより好ましい。
【0039】
架橋剤を光散乱層中に含有させることにより、光散乱層の耐水性を向上させることができる。架橋剤としては、例えば、グリオキザール等のアルデヒド系化合物、ポリエチレンイミン等のポリアミン系化合物、エポキシ系化合物、ポリアミド樹脂、メラミン樹脂、グリオキシル酸塩、ジメチロールウレア化合物、アジリジン化合物、ブロックイソシアネート化合物;過硫酸アンモニウム、塩化第二鉄、塩化マグネシウム、四硼酸ソーダ、四硼酸カリウム等の無機化合物;硼酸、硼酸トリエステル、硼素系ポリマー、ヒドラジド化合物、グリオキシル酸塩等が挙げられる。これらは1種単独で用いてもよいし、2種以上を組合せて使用してもよい。
【0040】
滑剤として金属石鹸を使用してもよい。金属石鹸としては、例えば高級脂肪酸多価金属塩、すなわちステアリン酸亜鉛、ステアリン酸アルミニウム、ステアリン酸カルシウム、オレイン酸亜鉛などが挙げられる。
【0041】
光散乱層は、例えば、水を分散媒体とし透明化剤をボールミル、コボールミル、アトライター、縦型及び横型のサンドミル等の各種撹拌・湿式粉砕機によりポリアクリルアミド、ポリビニルピロリドン、ポリビニルアルコール、メチルセルロース、スチレン-無水マレイン酸共重合体塩等のような水溶性合成高分子化合物、その他界面活性剤と共に分散して、それぞれの分散液とした後、平均粒子径が2μm以下となるように微細化して得た分散液を用いて、中空を有さないポリマー粒子を混合し、必要により、接着剤、助剤等を混合することにより調製された光散乱層用塗工液を塗布した後、乾燥されて着色面上に形成される。光散乱層用塗工液の塗布量は、特に制限されず、乾燥後の塗布量で1~15g/m程度が好ましく、2~10g/m程度がより好ましく、2.5~8g/m程度がさらに好ましく、3~5g/m程度が特に好ましい。なお、光散乱層は必要に応じて2層以上に分けて形成することができ、各層の組成と塗布量とは、同一であってもよく、また異なっていてもよい。
【0042】
[保護層]
感熱記録材料では、光散乱層上に必要に応じて保護層を備えることもできる。保護層は、顔料及び接着剤を含有することが好ましい。さらに保護層には、サーマルヘッドに対するスティッキングを防止する目的で、ポリオレフィンワックス、ステアリン酸亜鉛のような滑剤を含有させることが好ましく、紫外線吸収剤を含有させることもできる。また、光沢を有する保護層を設けることにより、製品の付加価値を高めることもできる。
【0043】
保護層に含有される顔料としては、特に限定されず、例えば無定形シリカ、カオリン、クレー、軽質炭酸カルシウム、重質炭酸カルシウム、焼成カオリン、酸化チタン、炭酸マグネシウム、水酸化アルミニウム、コロイダルシリカ、合成層状雲母等の無機顔料、尿素-ホルマリン樹脂フィラー等のプラスティックピグメント等が挙げられる。
【0044】
保護層に含有される接着剤としては、特に制限されず、水溶性又は水分散性の水性接着剤を使用できる。接着剤は、光散乱層に使用できるものの中から適宜選択することができる。これらの接着剤のうち、アセトアセチル変性ポリビニルアルコール、カルボキシ変性ポリビニルアルコール、ジアセトン変性ポリビニルアルコール等の各種変性ポリビニルアルコールがより好ましく用いられる。
【0045】
保護層は、例えば、水を分散媒体とし、顔料と接着剤、必要により助剤等を混合することにより調製された保護層用塗工液を塗布した後、乾燥されて光散乱層上に形成される。保護層用塗工液の塗布量は、特に制限されず、乾燥質量で0.3~15g/m程度が好ましく、0.3~10g/m程度がより好ましく、0.5~8g/m程度がさらに好ましく、1~8g/m程度が特に好ましく、1~5g/m程度がより一層好ましい。なお、保護層は、必要に応じて2層以上に分けて形成することができ、各層の組成と塗布量とは、同一であってもよく、また異なっていてもよい。
【0046】
[その他の層]
本発明では、支持体の少なくとも一方面に粘着層を有することが好ましい。これにより、感熱記録材料の付加価値を高めることができる。粘着層としては、例えば、一方面に粘着剤、再湿接着剤、ディレードタック型の粘着剤等による塗布加工を施すことにより粘着紙、再湿接着紙、ディレードタック紙等とすることができる。また、支持体の光散乱層とは逆側の面を利用して、これに熱転写用紙、インクジェット記録用紙、ノーカーボン用紙、静電記録用紙、ゼオグラフィー用紙等としての機能を付与し、両面記録が可能な記録紙とすることもできる。もちろん、両面感熱記録材料とすることもできる。また、感熱記録材料裏面からの油及び可塑剤の浸透を抑制したり、カールコントロールしたり、帯電防止したりするためにバック層を設けることもできる。保護層上にシリコーンを含有した剥離層を塗布加工し、一方面に粘着剤を塗布加工することにより、剥離紙を必要としないライナーレスラベルとすることも可能である。
【0047】
[感熱記録材料]
感熱記録材料は、支持体上に上記各層を形成することにより製造することができる。支持体上に上記各層を形成する方法としては、エアナイフ法、ブレード法、グラビア法、ロールコーター法、スプレー法、ディップ法、バー法、カーテン法、スロットダイ法、スライドダイ法、エクストルージョン法等の既知の塗布方法のいずれを利用してもよい。また、各塗料は1層ずつ塗布及び乾燥して各層を形成してもよく、同一の塗料を2層以上に分けて塗布してもよい。さらに、2つ以上の層を同時に塗布する同時多層塗布を行ってもよい。また、各層を形成し終えた後、又は全ての層を形成し終えた後の任意の過程で、スーパーカレンダー、ソフトカレンダー等の既知の方法を用いて平滑化処理することができる。
【実施例0048】
本発明を実施例によりさらに詳しく説明するが、本発明はこれらにより限定されるものではない。なお、特に断わらない限り、「部」及び「%」はそれぞれ「質量部」及び「質量%」を示す。平均粒子径は、レーザ回折式粒度分布測定装置SALD2200(島津製作所社製)によって測定した。ここで、平均粒子径とは、メジアン径(D50)である。
【0049】
中空を有さないポリマー粒子の屈折率は、以下の条件で測定した。
・試験方法:JIS K7142 B法(ベッケ線法)
・測定条件:浸液 ;テトラヨード水銀(II)酸カリウム水溶液
試験温度;23℃
光源 ;Na光源(D線/589nm)使用
・使用装置:アッベ屈折率計2T(アタゴ社製)
小型測定顕微鏡STM5-311(オリンパス社製、観察倍率400倍)
【0050】
(実施例1)
(1)着色層用塗工液の調製
プラスチック中空粒子分散液(商品名:ローペイクSN-1055、中空率:55%、平均粒子径:1.0μm、ダウケミカル社製、固形分濃度26.5質量%)169.8部、焼成カオリン(商品名:アンシレックス93、BASF社製)の50%水分散液(平均粒子径:0.6μm)40.0部、スチレン-ブタジエン系ラテックス(商品名:L-1571、旭化成ケミカルズ社製、固形分濃度48質量%)41.7部、酸化澱粉の10%水溶液50.0部、カーボンブラック分散液(商品名:Black FLTB、大日精化工業社製、固形分濃度38.0%)26.3部、及び水20部からなる組成物を混合して着色層用塗工液を得た。
【0051】
(2)脂肪酸アミド分散液の調製
ステアリン酸アミド12.5部、パルミチン酸アミド12.5部、部分ケン化PVA(商品名:クラレポバール5-88、クラレ社製)の10%水溶液25.0、及び水50部を混合し、サンドミル(アイメックス社製、サンドグラインダー)を用いて、レーザ回折式粒径測定器SALD2200(島津製作所社製)によるメジアン径が1.0μmになるまで粉砕して透明化剤分散液を得た。
【0052】
(3)光散乱層用塗工液の調製
中空を有さないポリマー粒子分散液(商品名:グロスデール130S、平均粒子径0.7μm、三井化学社製、固形分濃度53.0質量%、屈折率1.58)75.5部、(2)で得られた脂肪酸アミド分散液100.0部、完全ケン化PVA(商品名:クラレポバール11-98、クラレ社製)の10.0%水溶液225.0部、ステアリン酸亜鉛の水分散液(商品名:ハイドリンZ-9-36、中京油脂社製、固形分濃度36.0%)27.8部、及び水50.0部からなる組成物を混合して光散乱層用塗工液を得た。
【0053】
(4)感熱記録材料の作製
坪量42g/mの上質紙の片面上に、着色層用塗工液、光散乱層用塗工液を乾燥後の塗布量がそれぞれ6.0g/m、5.0g/mになるように塗布・乾燥して、着色層、光散乱層を順次形成し、感熱記録材料を得た。
【0054】
(実施例2)
実施例1の光散乱層用塗工液の調製において、中空を有さないポリマー粒子分散液(商品名:グロスデール130S、平均粒子径0.7μm、三井化学社製、固形分濃度53.0質量%、屈折率1.58)の量を75.5部に代えて47.2部に、完全ケン化PVA(商品名:クラレポバール11-98、クラレ社製)の10.0%水溶液の量を225.0部に代えて375.0部とした以外は、実施例1と同様にして感熱記録材料を得た。
【0055】
(実施例3)
実施例1の光散乱層用塗工液の調製において、中空を有さないポリマー粒子分散液(商品名:グロスデール130S、平均粒子径0.7μm、三井化学社製、固形分濃度53.0質量%、屈折率1.58)の量を75.5部に代えて113.2部に、完全ケン化PVA(商品名:クラレポバール11-98、クラレ社製)の10.0%水溶液の量を225.0部に代えて25.0部とした以外は、実施例1と同様にして感熱記録材料を得た。
【0056】
(実施例4)
実施例1の光散乱層用塗工液の調製において、(2)で得られた脂肪酸アミド分散液の量を100.0部に代えて160.0部に、完全ケン化PVA(商品名:クラレポバール11-98、クラレ社製)の10.0%水溶液の量を225.0部に代えて60.0部とした以外は、実施例1と同様にして感熱記録材料を得た。
【0057】
(実施例5)
実施例1の光散乱層用塗工液の調製において、(2)で得られた脂肪酸アミド分散液の量を100.0部に代えて40.0部に、完全ケン化PVA(商品名:クラレポバール11-98、クラレ社製)の10.0%水溶液の量を225.0部に代えて390.0部とした以外は、実施例1と同様にして感熱記録材料を得た。
【0058】
(実施例6)
実施例1の脂肪酸アミド分散液の調製において、ステアリン酸アミドの量を12.5部に代えて25.0部に、パルミチン酸アミドの量を12.5部に代えて0部とした以外は、実施例1と同様にして感熱記録材料を得た。
【0059】
(実施例7)
実施例1の脂肪酸アミド分散液の調製において、ステアリン酸アミドの量を12.5部に代えて0部に、パルミチン酸アミドの量を12.5部に代えて25.0部とした以外は、実施例1と同様にして感熱記録材料を得た。
【0060】
(実施例8)
実施例1の光散乱層用塗工液の調製において、(2)で得られた脂肪酸アミド分散液100.0部に代えて、以下の(5)の手順で調製した透明化剤分散液56.8部とした以外は、実施例1と同様にして感熱記録材料を得た。
【0061】
(5)透明化剤分散液の調製
シュウ酸ジ-p-メチルベンジルエステル44部、部分ケン化PVA(商品名:クラレポバール5-88、クラレ社製)の10%水溶液44部、及び水12部を混合し、サンドミル(アイメックス社製、サンドグラインダー)を用いて、レーザ回折式粒径測定器SALD2200(島津製作所社製)によるメジアン径が1.0μmになるまで粉砕して透明化剤分散液を得た。
【0062】
(実施例9)
実施例8の透明化剤分散液の調製において、シュウ酸ジ-p-メチルベンジルエステルに代えてジフェニルスルホンを用いた以外は、実施例8と同様にして感熱記録材料を得た。
【0063】
(実施例10)
実施例8の透明化剤分散液の調製において、シュウ酸ジ-p-メチルベンジルエステルに代えて1,2ジ(3-メチルフェノキシ)エタンを用いた以外は、実施例8と同様にして感熱記録材料を得た。
【0064】
(実施例11)
実施例1の光散乱層用塗工液の調製において、(2)で得られた脂肪酸アミド分散液の量を100.0に代えて40部とし、更に、(5)の手順で調製した透明化剤分散液34.1部を配合した以外は、実施例1と同様にして感熱記録材料を得た。
【0065】
(実施例12)
実施例1の光散乱層用塗工液の調製において、中空を有さないポリマー粒子分散液(商品名:グロスデール130S、平均粒子径0.7μm、三井化学社製、固形分濃度53.0質量%、屈折率1.58)75.5部に代えて、中空を有さないポリマー粒子分散液(商品名:グロスデール204S、平均粒子径0.2μm、三井化学社製、固形分濃度35.0質量%、屈折率1.58)114.3部とした以外は、実施例1と同様にして感熱記録材料を得た。
【0066】
(実施例13)
実施例1の光散乱層用塗工液の調製において、中空を有さないポリマー粒子分散液(商品名:グロスデール130S、平均粒子径0.7μm、三井化学社製、固形分濃度53.0質量%、屈折率1.58)75.5部に代えて、中空を有さないポリマー粒子分散液(商品名:サイビノールPG-5、平均粒子径3.0μm、サイデン化学社製、固形分濃度29.2質量%、屈折率1.58)137.0部とした以外は、実施例1と同様にして感熱記録材料を得た。
【0067】
(実施例14)
実施例1の光散乱層用塗工液の調製において、中空を有さないポリマー粒子分散液(商品名:グロスデール130S、平均粒子径0.7μm、三井化学社製、固形分濃度53.0質量%、屈折率1.58)75.5部に代えて、中空を有さないポリマー粒子分散液(商品名:サイビノールPG-2、平均粒子径5.0μm、サイデン化学社製、固形分濃度26.5質量%、屈折率1.58)150.9部とした以外は、実施例1と同様にして感熱記録材料を得た。
【0068】
(実施例15)
実施例1の光散乱層用塗工液の調製において、中空を有さないポリマー粒子分散液(商品名:グロスデール130S、平均粒子径0.7μm、三井化学社製、固形分濃度53.0質量%、屈折率1.58)75.5部に代えて、中空を有さないポリマー粒子(商品名:エポスターMV1002、平均粒子径2.0μm、日本触媒社製、屈折率1.51)の水分散液(固形分濃度20.0質量%)200.0部とした以外は、実施例1と同様にして感熱記録材料を得た。
【0069】
(実施例16)
実施例1の光散乱層用塗工液の調製において、中空を有さないポリマー粒子分散液(商品名:グロスデール130S、平均粒子径0.7μm、三井化学社製、固形分濃度53.0質量%、屈折率1.58)75.5部に代えて、中空を有さないポリマー粒子(商品名:エポスターMS、平均粒子径2.0μm、日本触媒社製、屈折率1.66)の水分散液(固形分濃度20.0質量%)200.0部とした以外は、実施例1と同様にして感熱記録材料を得た。
【0070】
(比較例1)
実施例1の光散乱層用塗工液の調製において、中空を有さないポリマー粒子分散液(商品名:グロスデール130S、平均粒子径0.7μm、三井化学社製、固形分濃度53.0質量%)75.5部に代えて、プラスチック中空粒子分散液(商品名:ローペイクUltraE、中空率:44%、平均粒子径:0.4μm、ダウケミカル社製、固形分濃度29.5質量%)135.6部とした以外は、実施例1と同様にして感熱記録材料を得た。
【0071】
(比較例2)
実施例1の光散乱層用塗工液の調製において、中空を有さないポリマー粒子分散液(商品名:グロスデール130S、平均粒子径0.7μm、三井化学社製、固形分濃度53.0質量%、屈折率1.58)の量を75.5部に代えて28.3部に、完全ケン化PVA(商品名:クラレポバール11-98、クラレ社製)の10.0%水溶液の量を225.0部に代えて475.0部とした以外は、実施例1と同様にして感熱記録材料を得た。
【0072】
(比較例3)
実施例1の光散乱層用塗工液の調製において、中空を有さないポリマー粒子分散液(商品名:グロスデール130S、平均粒子径0.7μm、三井化学社製、固形分濃度53.0質量%、屈折率1.58)の量を75.5部に代えて122.6部に、完全ケン化PVA(商品名:クラレポバール11-98、クラレ社製)の10.0%水溶液の量を225.0部に代えて25.0部とした以外は、実施例1と同様にして感熱記録材料を得た。
【0073】
(比較例4)
実施例1の光散乱層用塗工液の調製において、(2)で得られた脂肪酸アミド分散液の量を100.0部に代えて20.0部に、完全ケン化PVA(商品名:クラレポバール11-98、クラレ社製)の10.0%水溶液の量を225.0部に代えて445.0部とした以外は、実施例1と同様にして感熱記録材料を得た。
【0074】
(比較例5)
実施例1の光散乱層用塗工液の調製において、(2)で得られた脂肪酸アミド分散液の量を100.0部に代えて180.0部に、完全ケン化PVA(商品名:クラレポバール11-98、クラレ社製)の10.0%水溶液の量を225.0部に代えて5.0部とした以外は、実施例1と同様にして感熱記録材料を得た。
【0075】
上記の実施例及び比較例について、以下の方法で評価を行った。その結果は、表1に示す通りであった。
【0076】
〔ISO白色度〕
得られた感熱記録材料を4枚重ねにし、カラーメーターSC-WT(スガ試験機社製)でISO白色度を測定した。ISO白色度は、35以上が必要であり、40以上が望ましい。
【0077】
〔印字濃度〕
感熱記録評価機(商品名:TH-PMD、大倉電機社製)を用い、印加エネルギー:0.24mJ/dotにて各感熱記録材料を記録し、得られた印字部をマクベス濃度計(RD-914、マクベス社製)のビジュアルモードで測定した。数値が大きい程、印字の濃度が濃いことを示しており、記録濃度については、1.30以上が必要であり、1.40以上が望ましい。
【0078】
〔印字適性〕
感熱プリンター(商品名:レスプリT-408v-ex、サトー社製)を用い、印加エネルギー3Aにて、黒ベタ18cmを6回印字し、サーマルヘッドに付着したヘッド粕の量を以下の基準で判定した。
○:ヘッド粕量が非常に少なく、実使用上問題ないレベル。
△:ヘッド粕が発生するが、実使用上問題ないレベル。
×:ヘッド粕が大量に発生し、印字障害が発生した。実使用上問題あるレベル。
【0079】
【表1】