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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024016711
(43)【公開日】2024-02-07
(54)【発明の名称】感熱記録材料
(51)【国際特許分類】
   B41M 5/26 20060101AFI20240131BHJP
【FI】
B41M5/26
【審査請求】未請求
【請求項の数】6
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022119022
(22)【出願日】2022-07-26
(71)【出願人】
【識別番号】000122298
【氏名又は名称】王子ホールディングス株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000796
【氏名又は名称】弁理士法人三枝国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】青山 茂生
【テーマコード(参考)】
2H111
【Fターム(参考)】
2H111HA07
2H111HA12
2H111HA23
2H111HA34
(57)【要約】
【課題】染料前駆体及び顕色剤を実質的に含まない感熱記録材料であって、白色度、発色濃度及び印字適性に優れる感熱記録材料を提供する。
【解決手段】少なくとも1つの着色面を含む支持体、及びその着色面の上に配置された光散乱層を有する感熱記録材料であって、前記光散乱層が少なくとも中空を有するポリマー粒子と透明化剤と無機顔料とを含有し、前記光散乱層が染料前駆体及び顕色剤を実質的に含有しない感熱記録材料。
【選択図】なし
【特許請求の範囲】
【請求項1】
少なくとも1つの着色面を含む支持体、及びその着色面の上に配置された光散乱層を有する感熱記録材料であって、前記光散乱層が少なくとも中空を有するポリマー粒子と透明化剤と無機顔料とを含有し、前記光散乱層が染料前駆体及び顕色剤を実質的に含有しない感熱記録材料。
【請求項2】
前記無機顔料として吸油量が100ml/100g以上の無機顔料を含有する、請求項1に記載の感熱記録材料。
【請求項3】
前記無機顔料として平均粒子径が0.2~0.7μmの無機顔料を含有する、請求項1又は2に記載の感熱記録材料。
【請求項4】
前記無機顔料の含有割合が前記光散乱層の全固形量中10~25質量%である、請求項1又は2に記載の感熱記録材料。
【請求項5】
前記中空を有するポリマー粒子の含有割合が前記光散乱層の全固形量中6~35質量%である、請求項1又は2に記載の感熱記録材料。
【請求項6】
前記透明化剤が前記中空を有するポリマー粒子1質量部に対して固形分換算で1質量部以上含まれ、前記透明化剤が、
A)脂肪酸アミドのみからなる、又は
B)脂肪酸アミドと、下記一般式(1):
【化1】
(式中、Xは同一又は異なってCH又はClを表す。)で表される化合物及び1,2-フェノキシメチルベンゼンからなる群から選択される少なくとも1種との組合せである、
請求項1又は2に記載の感熱記録材料。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、感熱記録材料に関するものである。
【背景技術】
【0002】
無色又は淡色の染料前駆体と、フェノール類又は有機酸との加熱発色反応を利用して発色画像を記録する感熱記録材料は、広く実用化されている。このような感熱記録材料は、単に加熱するだけで発色画像が形成されるため、記録装置をコンパクトにでき、記録装置の保守も容易で、騒音の発生が少ないなどの利点を有している。そのため感熱記録材料は、ラベルプリンタ等の発行機、自動券売機、CD・ATM、飲食店等の注文伝票出力機、科学研究用機器のデータ出力機等における各種情報記録材料として広範囲に使用されている。
【0003】
このような染料前駆体と顕色剤との発色反応を利用した感熱記録材料以外の感熱記録材料として、例えば、特許文献1で報告されている感熱記録材料が存在する。
【0004】
特許文献1では、a)少なくとも1つの着色面を含む支持体;並びに、その上に配置されたb)層を含む記録材料であって、前記層が、コア/シェル構造を有するポリマー粒子、および前記ポリマー粒子の重量を基準にして1重量%から90重量%の、45℃から200℃の融点を有する不透明性低減剤を含み、前記粒子が40℃から130℃の計算Tgを有する外側第1ポリマーシェルを有し、前記粒子が乾燥時に少なくとも1つの空隙を含む、記録材料が報告されている。
【0005】
このような感熱記録材料では、着色面が不透明の層で隠蔽されており、熱により不透明性低減剤が溶融することで着色面上の層が透明になって着色面が見えるようになることで印字することが可能となる。
【0006】
しかしながら、従来の染料前駆体及び顕色剤を実質的に含まない感熱記録材料は、白色度、発色濃度及び印字適性が不十分であり、改善の余地を有するものであった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】特表2014-512290号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
本発明は、染料前駆体及び顕色剤を実質的に含まない感熱記録材料であって、白色度、発色濃度及び印字適性に優れる感熱記録材料を提供することを主な目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明者等は、上記目的を解決すべく鋭意検討を重ねた結果、光散乱層中に少なくとも中空を有するポリマー粒子と透明化剤と無機顔料とを使用することにより、上記課題が解決されることを見出し、本発明を完成するに至った。すなわち、本発明は、下記の感熱記録材料に係る。
【0010】
項1:少なくとも1つの着色面を含む支持体、及びその着色面の上に配置された光散乱層を有する感熱記録材料であって、前記光散乱層が少なくとも中空を有するポリマー粒子と透明化剤と無機顔料とを含有し、前記光散乱層が染料前駆体及び顕色剤を実質的に含有しない感熱記録材料。
項2:前記無機顔料として吸油量が100ml/100g以上の無機顔料を含有する、項1に記載の感熱記録材料。
項3:前記無機顔料として平均粒子径が0.2~0.7μmの無機顔料を含有する、項1又は2に記載の感熱記録材料。
項4:前記無機顔料の含有割合が前記光散乱層の全固形量中10~25質量%である、項1~3のいずれか1項に記載の感熱記録材料。
項5:前記中空を有するポリマー粒子の含有割合が前記光散乱層の全固形量中6~35質量%である、項1~4のいずれか1項に記載の感熱記録材料。
項6:前記透明化剤が前記中空を有するポリマー粒子1質量部に対して固形分換算で1質量部以上含まれ、前記透明化剤が、
A)脂肪酸アミドのみからなる、又は
B)脂肪酸アミドと、下記一般式(1):
【0011】
【化1】
(式中、Xは同一又は異なってCH又はClを表す。)で表される化合物及び1,2-フェノキシメチルベンゼンからなる群から選択される少なくとも1種との組合せである、
項1~5のいずれか1項に記載の感熱記録材料。
【発明の効果】
【0012】
本発明の感熱記録材料は、着色剤前駆体及び顕色剤を実質的に含まない感熱記録材料であって、白色度、発色濃度及び印字適性に優れる。特に、印字適性において耐ヘッド粕性とヘッド磨耗防止性の両方に優れている。
【発明を実施するための形態】
【0013】
本明細書中において、「含む」なる表現については、「含む」、「実質のみからなる」、及び「のみからなる」旨の概念を含む。
【0014】
本明細書において「~」を用いて表される数値範囲は、「~」前後に記載される数値を下限値及び上限値として含む範囲を意味する。
【0015】
本発明におけるラテックスは、分散媒体を乾燥させることにより形成されるゲル又は乾燥皮膜の状態を含む。
【0016】
また、本発明では「平均粒子径」は、レーザ回析法によって測定される体積基準のメジアン径をいう。より簡単には、電子顕微鏡を使用し、粒子画像(SEM画像)から粒子径をそれぞれ測定し、10個の平均値で示しても構わない。
【0017】
本発明は、少なくとも1つの着色面を含む支持体、及びその着色面の上に配置された光散乱層を有する感熱記録材料であって、前記光散乱層が少なくとも中空を有するポリマー粒子と透明化剤と無機顔料とを含有し、前記光散乱層が染料前駆体及び顕色剤を実質的に含有しないことを特徴とする。
【0018】
[支持体]
本発明における支持体は、種類、形状、寸法等に格別の限定はなく、例えば、上質紙(酸性紙、中性紙)、中質紙、コート紙、アート紙、キャストコート紙、グラシン紙、樹脂ラミネート紙、ポリオレフィン系合成紙、合成繊維紙、不織布、合成樹脂フィルム等の他、各種透明支持体等の中から適宜選択して使用することができる。本発明の態様では、支持体は一方の面に着色面を有していてもよく、両側が着色されていてもよい。色は、例えば、顔料、染料又は支持体の固有の色により付与されてもよく、支持体は、着色面を提供するために、着色剤に浸漬させてもよい。支持体の厚みは特に制限されず、通常、20~200μm程度である。また、支持体の密度は特に制限されず、0.60~0.85g/cm程度が好ましい。
【0019】
[着色面]
本発明の感熱記録材料では、支持体上に少なくとも1つの着色面を有する。これにより、光散乱層が熱により透明になった際に印字することが可能となる。
【0020】
支持体は一方の面に着色面を有していてもよく、両方の面に着色面を有していてもよい。着色面は、その上に配置された光散乱層に対して、目視によって対照的な十分な色濃度を有していればよい。着色面は、色濃度が均一であってもよいし、色濃度が変化していてもよく、パターン形成されていてもよい。着色面の色の種類も特に限定されず、いずれの色であってもよい。
【0021】
着色面としては、支持体上に形成された着色層であってもよい。着色層には、色を付与するための着色剤として、染料、顔料、カーボンブラックなどを含有させることができる。着色剤の含有割合は、広い範囲から選択できるが、一般には着色層の全固形量のうち、5~50質量%程度が好ましく、7~30質量%程度がより好ましい。
【0022】
着色層には、着色剤以外の顔料を含有させることができる。顔料としては、例えば、炭酸カルシウム、炭酸マグネシウム、カオリン、焼成カオリン、クレー、タルク、焼成クレー、シリカ、珪藻土、合成珪酸アルミニウム、酸化亜鉛、酸化チタン、水酸化アルミニウム、硫酸バリウム、表面処理された炭酸カルシウム、シリカ等の無機顔料、中空を有するポリマー粒子、中空を有さないポリマー粒子などが挙げられる。顔料の含有割合は、広い範囲から選択できるが、一般に着色層の全固形量のうち、30~80質量%程度が好ましく、40~70質量%程度がより好ましい。
【0023】
着色層は、一般に水を媒体として、着色剤、着色剤以外の顔料、接着剤、助剤等を混合及び攪拌することにより調製された着色層用塗工液を、支持体上に塗布及び乾燥することにより形成される。着色層用塗工液の塗布量は、特に限定するものではないが、乾燥質量で2~15g/m程度が好ましく、3~10g/m程度がより好ましい。
【0024】
接着剤としては、例えば、ポリビニルアルコール及びその誘導体、澱粉及びその誘導体、ヒドロキシメチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース、カルボキシメチルセルロース、メチルセルロース、エチルセルロース等のセルロース誘導体、ポリアクリル酸ソーダ、ポリビニルピロリドン、アクリルアミド-アクリル酸エステル共重合体、アクリルアミド-アクリル酸エステル-メタアクリル酸エステル共重合体、スチレン-無水マレイン酸共重合体、イソブチレン-無水マレイン酸共重合体、カゼイン、ゼラチン及びそれらの誘導体等の水溶性高分子材料、並びにポリ酢酸ビニル、ポリウレタン、ポリアクリル酸、ポリアクリル酸エステル、塩化ビニル-酢酸ビニル共重合体、ポリブチルメタクリレート、エチレン-酢酸ビニル共重合体等のエマルジョン、又はスチレン-ブタジエン系共重合体、スチレン-ブタジエン-アクリル系共重合体等の水不溶性重合体のラテックス等を挙げることができる。接着剤の含有割合は、広い範囲から選択できるが、一般には着色層の全固形量のうち、5~40質量%程度が好ましく、10~30質量%程度がより好ましい。
【0025】
[光散乱層]
本発明の感熱記録材料は、着色面の上に光散乱層を有する。光散乱層は、少なくとも中空を有するポリマー粒子と透明化剤と無機顔料とを含有している。また、光散乱層は、染料前駆体及び顕色剤を実質的に含有しない。
【0026】
(中空を有するポリマー粒子)
中空を有するポリマー粒子を含有することによって、光散乱層において光散乱が生じる結果、着色面を隠蔽することができる。中空を有するポリマー粒子を含有することによって、白色度を高めることができる。
【0027】
中空を有するポリマー粒子は、その製造方法の違いによって、発泡タイプと非発泡タイプとに分けることができる。これら二種のうち、発泡タイプの中空を有するポリマー粒子は、一般に、非発泡タイプの中空を有するポリマー粒子より平均粒子径が大きく中空率も高い。
【0028】
非発泡タイプの中空を有するポリマー粒子は、溶液中でシードを重合させた後に、シードを包むように他の樹脂を重合させ、その後内部のシードを膨潤及び溶解させて除去することにより、内部に空洞を形成することで製造できる。内部のシードを膨潤及び溶解させて除去するときには、アルカリ水溶液等が用いられる。アルカリ膨潤性を有するコア粒子を、アルカリ膨潤性を有しないシェル層で被覆したコア-シェル粒子をアルカリ膨潤処理することにより、平均粒子径が比較的小さい非発泡タイプの中空粒子を得ることもできる。
【0029】
発泡タイプの中空を有するポリマー粒子は、樹脂の内部に揮発性液体を封じ込めた粒子を作製し、加熱により前記樹脂を軟化させると共に、前記粒子の内部の液体を気化及び膨張させることで製造できる。
【0030】
中空を有するポリマー粒子の中空率は、30~99%程度が例示できる。ここで中空率は、次の式(d/D)×100で求められる値である。式中、dは中空を有するポリマー粒子の内径を表し、Dは中空を有するポリマー粒子の外径を表す。
【0031】
本発明における中空を有するポリマー粒子の平均粒子径は、好ましくは0.2~5.0μm、より好ましくは0.4~2.0μmである。ここで、平均粒子径は、粒子径で2つに分けたとき、大きい側の粒子と小さい側の粒子の占める容積が等量となる径、つまり50体積%頻度の粒子径であるメジアン径であり、D50とも呼称される。中空を有するポリマー粒子の平均粒子径(D50)は、レーザ回折式粒度分布測定装置によって測定することができる。また、電子顕微鏡を使用し、粒子画像(SEM画像)から粒子径をそれぞれ測定し、10個の平均値で示しても構わない。
【0032】
本発明における中空を有するポリマー粒子の含有割合は、光散乱層の全固形量のうち、6~35質量%であることが好ましく、10~30質量%であることがより好ましく、20~30質量%であることがさらに好ましい。中空を有するポリマー粒子の含有割合が6質量%以上であると、白色度を向上させることができる。一方、中空を有するポリマー粒子の含有割合が35質量%以下であると、発色濃度を高めることができる上、印字適性を向上させることができる。
【0033】
(透明化剤)
透明化剤を含有することによって、熱が加えられた際に、透明化剤が溶融し、光散乱層の屈折率が変化する結果、光散乱層が透明になり、着色面が見えるようになる。
【0034】
透明化剤の具体例としては、ミリスチン酸アミド、ステアリン酸アミド、パルミチン酸アミド、アラキジン酸アミド、ベヘン酸アミド、芳香族シュウ酸エステル、芳香族エチレングリコールエーテル、エチレン-ビス-ステアリン酸アミド、1,2-ジフェニルオキシエタン、1,2-ジ(3-メチルフェノキシ)エタン、1,2-フェノキシメチルベンゼン、ジベンジルオキサレート、ジベンジルテレフタレート、ベンジル-ビフェニル、ベンジル-2-ナフチルエーテル、ジフェニルスルホン、m-テルフェニル、p-ベンジルオキシベンジルベンゾエート、シクロヘキサンジメタノールベンゾエート、p-トルエンスルホンアミド、o-トルエンスルホンアミド、2,6-ジイソプロピルナフタレン、4,4-ジイソプロピルビフェニル、エルカ酸アミド、シュウ酸ジ-p-クロロベンジルエステル、シュウ酸ジ-p-メチルベンジルエステルなどが挙げられる。もちろん、これらに制限されるものではなく、また必要に応じて2種以上の化合物を併用することもできる。
【0035】
透明化剤としては、中でも、印字適性に優れるといった観点から、
A)脂肪酸アミドのみからなる、又は
B)脂肪酸アミドと、一般式(1):
【0036】
【化2】
(式中、Xは同一又は異なってCH又はClを表す。)で表される化合物及び1,2-フェノキシメチルベンゼンからなる群から選択される少なくとも1種との組合せであることが好ましい。これにより、印字適性を向上させることができる。
【0037】
脂肪酸アミドとしては、例えば、ミリスチン酸アミド、パルミチン酸アミド、ステアリン酸アミド、アラキジン酸アミド、ベヘン酸アミドなどを挙げることができる。これらの中でも、印字適正に優れるといった観点から、ステアリン酸アミド及びパルミチン酸アミドが好ましく、ステアリン酸アミド及びパルミチン酸アミドを併用することが発色濃度を高めることができるため特に好ましい。もちろん、これらに制限されるものではなく、また必要に応じて2種以上の化合物を併用することもできる。
【0038】
一般式(1)で表される化合物としては、特に限定されず、シュウ酸ジ-p-クロロベンジルエステル、及びシュウ酸ジ-p-メチルベンジルエステルからなる群より選ばれる少なくとも1種が挙げられる。
【0039】
かかる透明化剤の含有割合は、特に制限されず、光散乱層の全固形量のうち、20~35質量%程度が好ましく、25~30質量%程度がより好ましい。20質量%以上とすることにより発色濃度を高めることができる。35質量%以下とすることにより、発色濃度を高めることができる上、印字適性を向上させることができる。
【0040】
透明化剤の含有量は、中空を有するポリマー粒子1質量部に対して1質量部以上であることが好ましい。一方、上記A)の場合、透明化剤の含有量は、中空を有するポリマー粒子1質量部に対して、3.5質量部以下が好ましく、2.5質量部以下がより好ましく、1.5質量部以下がさらに好ましい。一方、上記B)の場合、透明化剤の含有量は、中空を有するポリマー粒子1質量部に対して、4質量部以下が好ましく、3質量部以下がより好ましく、2質量部以下がさらに好ましい。1質量部以上とすることにより、発色濃度を高めることができる。
【0041】
(無機顔料)
無機顔料を含有することによって、透明化剤のサーマルヘッドへの付着(ヘッド粕)を防止することができる。
【0042】
無機顔料の吸油量は、ヘッド粕の発生等の印字障害を効果的に減らす観点から、100ml/100g以上が好ましく、120ml/100g以上がより好ましく、150ml/100g以上がさらに好ましい。一方、記録濃度を高める観点から、240ml/100g以下が好ましく、200ml/100g以下がより好ましく、180ml/100g以下がさらに好ましい。ここで、吸油量はJIS K 5101の方法に従い、求められる値である。
【0043】
上記吸油性顔料としては、各種のものが使用できるが、具体例としては、軽質炭酸カルシウム等の炭酸カルシウム、水酸化アルミニウム、シリカ、無定形シリカ、焼成カオリン、カオリン等のクレー、タルク等の無機顔料が挙げられる。これらの中でも、サーマルヘッド表面の磨耗性の観点から炭酸カルシウム、水酸化アルミニウムが好ましい。
【0044】
本発明における無機顔料の一次粒子の平均粒子径は0.2~0.7μm程度、特に0.3~0.6μm程度であるのが好ましい。0.2μm以上とすることによりヘッド粕掻き取り性を向上させることができる。0.7μm以下とすることにより、ヘッドの磨耗防止性を向上させることができる。
【0045】
かかる無機顔料の含有割合は、特に制限されず、光散乱層の全固形量のうち、10~25質量%程度が好ましく、12~20質量%程度がより好ましい。10質量%以上とすることにより印字適性を向上させることができる。25質量%以下とすることにより、発色濃度を高めることができる。
【0046】
(中空を有さないポリマー粒子)
本発明における光散乱層中には中空を有さないポリマー粒子を含有させることができる。これにより、発色濃度を高めることができる。
【0047】
中空を有さないポリマー粒子に用いることができる樹脂には、一般的にアクリル樹脂、ポリスチレン樹脂が挙げられ、特にスチレン-アクリル共重合体が好ましい。
【0048】
光散乱層を構成する他の成分材料としては接着剤を用い、さらに必要により、架橋剤、滑剤、耐水化剤、分散剤等の助剤を用いることができる。
【0049】
接着剤としては、例えば、ポリビニルアルコール及びその誘導体、澱粉及びその誘導体、ヒドロキシメチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース、メチルセルロース、エチルセルロース等のセルロース誘導体、ポリアクリル酸ソーダ、ポリビニルピロリドン、アクリルアミド-アクリル酸エステル共重合体、アクリルアミド-アクリル酸エステル-メタアクリル酸エステル共重合体、スチレン-無水マレイン酸共重合体、イソブチレン-無水マレイン酸共重合体、カゼイン、ゼラチン及びそれらの誘導体等の水溶性高分子材料、並びにポリ酢酸ビニル、ポリウレタン、ポリアクリル酸、ポリアクリル酸エステル、塩化ビニル-酢酸ビニル共重合体、ポリブチルメタクリレート、エチレン-酢酸ビニル共重合体等のエマルジョン、又はスチレン-ブタジエン系共重合体、スチレン-ブタジエン-アクリル系共重合体等の水不溶性重合体のラテックス等を挙げることができる。これらの中でも、ポリビニルアルコール、ラテックス等が好ましい。接着剤の含有割合は、広い範囲から選択できるが、一般には光散乱層の全固形量のうち、7~60質量%程度が好ましく、10~45質量%程度がより好ましい。
【0050】
架橋剤を光散乱層中に含有させることにより、光散乱層の耐水性を向上させることができる。架橋剤としては、例えば、グリオキザール等のアルデヒド系化合物、ポリエチレンイミン等のポリアミン系化合物、エポキシ系化合物、ポリアミド樹脂、メラミン樹脂、グリオキシル酸塩、ジメチロールウレア化合物、アジリジン化合物、ブロックイソシアネート化合物;過硫酸アンモニウム、塩化第二鉄、塩化マグネシウム、四硼酸ソーダ、四硼酸カリウム等の無機化合物;硼酸、硼酸トリエステル、硼素系ポリマー、ヒドラジド化合物、グリオキシル酸塩等が挙げられる。これらは1種単独で用いてもよいし、2種以上を組合せて使用してもよい。
【0051】
滑剤として金属石鹸を使用してもよい。金属石鹸としては、例えば高級脂肪酸多価金属塩、すなわちステアリン酸亜鉛、ステアリン酸アルミニウム、ステアリン酸カルシウム、オレイン酸亜鉛などが挙げられる。
【0052】
光散乱層は、例えば、水を分散媒体とし透明化剤をボールミル、コボールミル、アトライター、縦型及び横型のサンドミル等の各種撹拌・湿式粉砕機によりポリアクリルアミド、ポリビニルピロリドン、ポリビニルアルコール、メチルセルロース、スチレン-無水マレイン酸共重合体塩等のような水溶性合成高分子化合物、その他界面活性剤と共に分散して、それぞれの分散液とした後、平均粒子径が2μm以下となるように微細化して得た分散液を用いて、中空を有するポリマー粒子を混合し、必要により、接着剤、中空を有さないポリマー粒子、助剤等を混合することにより調製された光散乱層用塗工液を塗布した後、乾燥されて着色面上に形成される。光散乱層用塗工液の塗布量は、特に制限されず、乾燥後の塗布量で1~15g/m程度が好ましく、2~10g/m程度がより好ましく、2.5~8g/m程度がさらに好ましく、3~5g/m程度が特に好ましい。なお、光散乱層は必要に応じて2層以上に分けて形成することができ、各層の組成と塗布量とは、同一であってもよく、また異なっていてもよい。
【0053】
[保護層]
感熱記録材料では、光散乱層上に必要に応じて保護層を備えることもできる。保護層は、顔料及び接着剤を含有することが好ましい。さらに保護層には、サーマルヘッドに対するスティッキングを防止する目的で、ポリオレフィンワックス、ステアリン酸亜鉛のような滑剤を含有させることが好ましく、紫外線吸収剤を含有させることもできる。また、光沢を有する保護層を設けることにより、製品の付加価値を高めることもできる。
【0054】
保護層に含有される顔料としては、特に限定されず、例えば無定形シリカ、カオリン、クレー、軽質炭酸カルシウム、重質炭酸カルシウム、焼成カオリン、酸化チタン、炭酸マグネシウム、水酸化アルミニウム、コロイダルシリカ、合成層状雲母等の無機顔料、尿素-ホルマリン樹脂フィラー等のプラスティックピグメント等が挙げられる。
【0055】
保護層に含有される接着剤としては、特に制限されず、水溶性又は水分散性の水性接着剤を使用できる。接着剤は、光散乱層に使用できるものの中から適宜選択することができる。これらの接着剤のうち、アセトアセチル変性ポリビニルアルコール、カルボキシ変性ポリビニルアルコール、ジアセトン変性ポリビニルアルコール等の各種変性ポリビニルアルコールがより好ましく用いられる。
【0056】
保護層は、例えば、水を分散媒体とし、顔料と接着剤、必要により助剤等を混合することにより調製された保護層用塗工液を塗布した後、乾燥されて光散乱層上に形成される。保護層用塗工液の塗布量は、特に制限されず、乾燥質量で0.3~15g/m程度が好ましく、0.3~10g/m程度がより好ましく、0.5~8g/m程度がさらに好ましく、1~8g/m程度が特に好ましく、1~5g/m程度がより一層好ましい。なお、保護層は、必要に応じて2層以上に分けて形成することができ、各層の組成と塗布量とは、同一であってもよく、また異なっていてもよい。
【0057】
[その他の層]
本発明では、支持体の少なくとも一方面に粘着層を有することが好ましい。これにより、感熱記録材料の付加価値を高めることができる。粘着層としては、例えば、一方面に粘着剤、再湿接着剤、ディレードタック型の粘着剤等による塗布加工を施すことにより粘着紙、再湿接着紙、ディレードタック紙等とすることができる。また、支持体の光散乱層とは逆側の面を利用して、これに熱転写用紙、インクジェット記録用紙、ノーカーボン用紙、静電記録用紙、ゼオグラフィー用紙等としての機能を付与し、両面記録が可能な記録紙とすることもできる。もちろん、両面感熱記録材料とすることもできる。また、感熱記録材料裏面からの油及び可塑剤の浸透を抑制したり、カールコントロールしたり、帯電防止したりするためにバック層を設けることもできる。保護層上にシリコーンを含有した剥離層を塗布加工し、一方面に粘着剤を塗布加工することにより、剥離紙を必要としないライナーレスラベルとすることも可能である。
【0058】
[感熱記録材料]
感熱記録材料は、支持体上に上記各層を形成することにより製造することができる。支持体上に上記各層を形成する方法としては、エアナイフ法、ブレード法、グラビア法、ロールコーター法、スプレー法、ディップ法、バー法、カーテン法、スロットダイ法、スライドダイ法、エクストルージョン法等の既知の塗布方法のいずれを利用してもよい。また、各塗料は1層ずつ塗布及び乾燥して各層を形成してもよく、同一の塗料を2層以上に分けて塗布してもよい。さらに、2つ以上の層を同時に塗布する同時多層塗布を行ってもよい。また、各層を形成し終えた後、又は全ての層を形成し終えた後の任意の過程で、スーパーカレンダー、ソフトカレンダー等の既知の方法を用いて平滑化処理することができる。
【実施例0059】
本発明を実施例によりさらに詳しく説明するが、本発明はこれらにより限定されるものではない。なお、特に断わらない限り、「部」及び「%」はそれぞれ「質量部」及び「質量%」を示す。平均粒子径は、レーザ回折式粒度分布測定装置SALD2200(島津製作所社製)によって測定した。ここで、平均粒子径とは、メジアン径(D50)である。
【0060】
(実施例1)
(1)着色層用塗工液の調製
プラスチック中空粒子分散液(商品名:ローペイクSN-1055、中空率:55%、平均粒子径:1.0μm、ダウケミカル社製、固形分濃度26.5質量%)169.8部、焼成カオリン(商品名:アンシレックス93、BASF社製)の50%水分散液(平均粒子径:0.6μm)40.0部、スチレン-ブタジエン系ラテックス(商品名:L-1571、旭化成ケミカルズ社製、固形分濃度48質量%)41.7部、酸化澱粉の10%水溶液50.0部、カーボンブラック分散液(商品名:Black FLTB、大日精化工業社製、固形分濃度38.0%)26.3部、及び水20部からなる組成物を混合して着色層用塗工液を得た。
【0061】
(2)脂肪酸アミド分散液の調製
ステアリン酸アミド12.5部、パルミチン酸アミド12.5部、部分ケン化PVA(商品名:クラレポバール5-88、クラレ社製)の10%水溶液25.0、及び水50部を混合し、サンドミル(アイメックス社製、サンドグラインダー)を用いて、レーザ回折式粒径測定器SALD2200(島津製作所社製)によるメジアン径が1.0μmになるまで粉砕して透明化剤分散液を得た。
【0062】
(3)光散乱層用塗工液の調製
プラスチック中空粒子分散液(商品名:ローペイクUltraE、中空率:44%、平均粒子径:0.4μm、ダウケミカル社製、固形分濃度29.5質量%)101.7部、微細シリカ(商品名:サイロジェットA30X、平均粒子径0.3μm、グレースアンドカンパニー社製、固形分濃度29.5質量%、吸油量180ml/100g)50.8部、(2)で得られた脂肪酸アミド分散液120.0部、中空を有さないポリマー粒子(商品名:グロスデール130S、平均粒子径:0.6μm、三井化学社製、固形分濃度53.0質量%)9.4部、完全ケン化PVA(商品名:クラレポバール11-98、クラレ社製)の10.0%水溶液70.0部、ステアリン酸亜鉛の水分散液(商品名:ハイドリンZ-9-36、中京油脂社製、固形分濃度36.0%)27.8部、及び水50.0部から成る組成物を混合して光散乱層用塗工液を得た。
【0063】
(4)感熱記録材料の作製
坪量42g/mの上質紙の片面上に、着色層用塗工液、光散乱層用塗工液を乾燥後の塗布量がそれぞれ6.0g/m、3.5g/mになるように塗布・乾燥して、着色層、光散乱層を順次形成し、感熱記録材料を得た。
【0064】
(実施例2)
実施例1の光散乱層用塗工液の調製において、微細シリカ(商品名:サイロジェットA30X、平均粒子径0.3μm、グレースアンドカンパニー社製、固形分濃度29.5質量%、吸油量180ml/100g)50.8部に代えて、無定形シリカ(商品名:ニップシールE743、粒子径1.5μm、東ソー・シリカ社製、粉体、吸油量170ml/100g)15.0部とした以外は、実施例1と同様にして感熱記録材料を得た。
【0065】
(実施例3)
実施例1の光散乱層用塗工液の調製において、微細シリカ(商品名:サイロジェットA30X、平均粒子径0.3μm、グレースアンドカンパニー社製、固形分濃度29.5質量%、吸油量180ml/100g)50.8部に代えて、焼成カオリン(商品名:アンシレックス93、粒子径2.0μm、BASF社製、粉体、吸油量104ml/100g)15.0部とした以外は、実施例1と同様にして感熱記録材料を得た。
【0066】
(実施例4)
実施例1の光散乱層用塗工液の調製において、微細シリカ(商品名:サイロジェットA30X、平均粒子径0.3μm、グレースアンドカンパニー社製、固形分濃度29.5質量%、吸油量180ml/100g)50.8部に代えて、球状多孔質軽質炭酸カルシウム(商品名:カルライトKT、粒子径2.6μm、白石カルシウム社製、粉体、吸油量120ml/100g)15.0部とした以外は、実施例1と同様にして感熱記録材料を得た。
【0067】
(実施例5)
実施例1の光散乱層用塗工液の調製において、微細シリカ(商品名:サイロジェットA30X、平均粒子径0.3μm、グレースアンドカンパニー社製、固形分濃度29.5質量%、吸油量180ml/100g)50.8部に代えて、軽質炭酸カルシウム(商品名:Brilliant-15、粒子径0.6μm、白石カルシウム社製、粉体、吸油量56ml/100g)15.0部とした以外は、実施例1と同様にして感熱記録材料を得た。
【0068】
(実施例6)
実施例1の光散乱層用塗工液の調製において、微細シリカ(商品名:サイロジェットA30X、平均粒子径0.3μm、グレースアンドカンパニー社製、固形分濃度29.5質量%、吸油量180ml/100g)の量を50.8部に代えて16.9部とし、更に球状多孔質軽質炭酸カルシウム(商品名:カルライトKT、粒子径2.6μm、白石カルシウム社製、粉体、吸油量120ml/100g)10.0部を配合した以外は、実施例1と同様にして感熱記録材料を得た。
【0069】
(実施例7)
実施例1の光散乱層用塗工液の調製において、微細シリカ(商品名:サイロジェットA30X、平均粒子径0.3μm、グレースアンドカンパニー社製、固形分濃度29.5質量%、吸油量180ml/100g)の量を50.8部に代えて16.9部とし、完全ケン化PVA(商品名:クラレポバール11-98、クラレ社製)の10.0%水溶液の量を70.0部に代えて170.0部とした以外は、実施例1と同様にして感熱記録材料を得た。
【0070】
(実施例8)
実施例1の光散乱層用塗工液の調製において、微細シリカ(商品名:サイロジェットA30X、平均粒子径0.3μm、グレースアンドカンパニー社製、固形分濃度29.5質量%、吸油量180ml/100g)の量を50.8部に代えて101.7部とし、中空を有さないポリマー粒子(商品名:グロスデール130S、平均粒子径:0.6μm、三井化学社製、固形分濃度53.0質量%)の量を9.4部に代えて0部とし、完全ケン化PVA(商品名:クラレポバール11-98、クラレ社製)の10.0%水溶液の量を70.0部に代えて20.0部とし、ステアリン酸亜鉛の水分散液(商品名:ハイドリンZ-9-36、中京油脂社製、固形分濃度36.0%)の量を27.8部に代えて13.9部とした以外は、実施例1と同様にして感熱記録材料を得た。
【0071】
(実施例9)
実施例1の光散乱層用塗工液の調製において、プラスチック中空粒子分散液(商品名:ローペイクUltraE、中空率:44%、平均粒子径:0.4μm、ダウケミカル社製、固形分濃度29.5質量%)の量を101.7部に代えて16.9部とし、完全ケン化PVA(商品名:クラレポバール11-98、クラレ社製)の10.0%水溶液の量を70.0部に代えて320.0部とした以外は、実施例1と同様にして感熱記録材料を得た。
【0072】
(実施例10)
実施例1の光散乱層用塗工液の調製において、プラスチック中空粒子分散液(商品名:ローペイクUltraE、中空率:44%、平均粒子径:0.4μm、ダウケミカル社製、固形分濃度29.5質量%)の量を101.7部に代えて135.6部とし、完全ケン化PVA(商品名:クラレポバール11-98、クラレ社製)の10.0%水溶液の量を70.0部に代えて20.0部とし、ステアリン酸亜鉛の水分散液(商品名:ハイドリンZ-9-36、中京油脂社製、固形分濃度36.0%)の量を27.8部に代えて13.9部とした以外は、実施例1と同様にして感熱記録材料を得た。
【0073】
(実施例11)
実施例1の光散乱層用塗工液の調製において、(2)で得られた脂肪酸アミド分散液の量を120.0部に代えて40.0部とし、更に以下に(5)の手順で得られた透明化剤分散液45.5部を配合した以外は、実施例1と同様にして感熱記録材料を得た。
【0074】
(5)透明化剤分散液の調製
シュウ酸ジ-p-メチルベンジルエステル44部、部分ケン化PVA(商品名:クラレポバール5-88、クラレ社製)の10%水溶液44部、及び水12部を混合し、サンドミル(アイメックス社製、サンドグラインダー)を用いて、レーザ回折式粒径測定器SALD2200(島津製作所社製)によるメジアン径が1.0μmになるまで粉砕して透明化剤分散液を得た。
【0075】
(実施例12)
実施例11の透明化剤分散液の調製において、シュウ酸ジ-p-メチルベンジルエステルに代えてシュウ酸ジ-p-クロロベンジルエステルを用いた以外は、実施例11と同様にして感熱記録材料を得た。
【0076】
(実施例13)
実施例11の透明化剤分散液の調製において、シュウ酸ジ-p-メチルベンジルエステルに代えて1,2-ジ(フェノキシメチル)ベンゼンを用いた以外は、実施例11と同様にして感熱記録材料を得た。
【0077】
(実施例14)
実施例11の透明化剤分散液の調製において、シュウ酸ジ-p-メチルベンジルエステルに代えて1,2-ジ(3-メチルフェノキシ)エタンを用いた以外は、実施例11と同様にして感熱記録材料を得た。
【0078】
(実施例15)
実施例11の透明化剤分散液の調製において、シュウ酸ジ-p-メチルベンジルエステルに代えてジフェニルスルホンを用いた以外は、実施例11と同様にして感熱記録材料を得た。
【0079】
(実施例16)
実施例11の光散乱層用塗工液の調製において、(2)で得られた脂肪酸アミド分散液の量を40.0部に代えて0部とし、(5)で得られた透明化剤分散液の量を45.5部に代えて68.2部とした以外は、実施例11と同様にして感熱記録材料を得た。
【0080】
(比較例1)
実施例1の光散乱層用塗工液の調製において、プラスチック中空粒子分散液(商品名:ローペイクUltraE、中空率:44%、平均粒子径:0.4μm、ダウケミカル社製、固形分濃度29.5質量%)の量を101.7部に代えて0部とし、完全ケン化PVA(商品名:クラレポバール11-98、クラレ社製)の10.0%水溶液の量を70.0部に代えて370.0部とした以外は、実施例1と同様にして感熱記録材料を得た。
【0081】
(比較例2)
実施例1の光散乱層用塗工液の調製において、微細シリカ(商品名:サイロジェットA30X、平均粒子径0.3μm、グレースアンドカンパニー社製、固形分濃度29.5質量%、吸油量180ml/100g)の量を50.8部に代えて0部とし、完全ケン化PVA(商品名:クラレポバール11-98、クラレ社製)の10.0%水溶液の量を70.0部に代えて220.0部とした以外は、実施例1と同様にして感熱記録材料を得た。
【0082】
(比較例3)
実施例1の光散乱層用塗工液の調製において、(2)で得られた脂肪酸アミド分散液の量を120.0部に代えて0部とし、完全ケン化PVA(商品名:クラレポバール11-98、クラレ社製)の10.0%水溶液の量を70.0部に代えて400.0部とした以外は、実施例1と同様にして感熱記録材料を得た。
【0083】
上記の実施例及び比較例について、以下の方法で評価を行った。その結果は、表1に示す通りであった。
【0084】
〔ISO白色度〕
得られた感熱記録材料を4枚重ねにし、カラーメーターSC-WT(スガ試験機社製)でISO白色度を測定した。ISO白色度は、35以上が必要であり、40以上が望ましく、50以上がより望ましい。
【0085】
〔印字濃度〕
感熱記録評価機(商品名:TH-PMD、大倉電機社製)を用い、印加エネルギー:0.24mJ/dotにて各感熱記録材料を記録し、得られた印字部をマクベス濃度計(RD-914、マクベス社製)のビジュアルモードで測定した。数値が大きい程、印字の濃度が濃いことを示しており、記録濃度については、1.30以上が必要であり、1.40以上が望ましい。
【0086】
〔印字適性〕
感熱プリンター(商品名:レスプリT-408v-ex、サトー社製)を用い、印加画エネルギー5Aにて、黒ベタ18cmを6回印字し、サーマルヘッドに付着したヘッド粕の量を以下の基準で判定した。
○:ヘッド粕量が非常に少なく、実使用上問題ないレベル。
△:ヘッド粕が発生するが、実使用上問題ないレベル。
×:ヘッド粕が大量に発生し、6回印字までに印字障害が発生した。実使用上問題になるレベル。
【0087】
〔サーマルヘッドの磨耗防止性〕
直径0.3175cmの真鍮球に200gの荷重をかけ、感熱記録材料の表面を125m走行させたときの真鍮球の磨耗深さをキーエンス社製形状測定装置Profle Measurement unit VHX-S15を用いて測定し、以下の基準で判定した。磨耗深さは小さいほど、ヘッド磨耗防止性が良好であり、100μm以下であることが必要である。
○:磨耗深さが60μm以下
△:磨耗深さが60μmより大きく、100μm以下
×:磨耗深さが100μmより大きい
【0088】
【表1】