(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024167140
(43)【公開日】2024-12-02
(54)【発明の名称】食料切断方法および食料切断装置
(51)【国際特許分類】
B26D 3/28 20060101AFI20241125BHJP
B26D 5/26 20060101ALI20241125BHJP
B26D 5/34 20060101ALI20241125BHJP
A22C 17/00 20060101ALI20241125BHJP
【FI】
B26D3/28 610J
B26D3/28 610S
B26D5/26 B
B26D5/34 Z
A22C17/00
【審査請求】未請求
【請求項の数】29
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023083542
(22)【出願日】2023-05-20
(71)【出願人】
【識別番号】000152815
【氏名又は名称】株式会社日本キャリア工業
(72)【発明者】
【氏名】野本 浩嗣
(72)【発明者】
【氏名】佐藤 正二郎
(72)【発明者】
【氏名】武智 賢治
(72)【発明者】
【氏名】河野 幸輝
(72)【発明者】
【氏名】川本 竜士
(72)【発明者】
【氏名】栗原 孝洋
(72)【発明者】
【氏名】野村 純一
【テーマコード(参考)】
4B011
【Fターム(参考)】
4B011EA02
(57)【要約】 (修正有)
【課題】切断された食料片の集合体の重量のばらつきを少なくすると共に、各集合体における食料片の厚さを揃えることのできる食料切断方法および食料切断装置を実現すること。
【解決手段】食料の先端部を所定の送り出し量だけ送り出すごとに、この食料の先端部を切断手段との相対的な移動によって所定の切断位置で切断し、送り出し量に略等しい厚さの食料片を切り出す食料切断方法であって、送られる食料の断面プロファイルを、送り経路の中間部上方の位置から順次測定し、測定された複数の断面プロファイルをプロファイル情報として格納し、このプロファイル情報と食料の密度情報から、設定重量に対応した体積とするために必要な食料の送り方向での第1寸法と、この第1寸法を複数に略等分割した第2寸法とを算出し、前記送り出し量をこの第2寸法に略一致するように自動的に調整する。
【選択図】
図19
【特許請求の範囲】
【請求項1】
食料の先端部を所定の送り出し量だけ送り出すごとに、この食料の先端部を切断手段との相対的な移動によって所定の切断位置で切断し、送り出し量に略等しい厚さの食料片を切り出す食料切断方法であって、送られる食料の断面プロファイルを、送り経路の中間部上方の位置から順次測定し、測定された複数の断面プロファイルをプロファイル情報として格納し、このプロファイル情報と食料の密度情報から、設定重量に対応した体積とするために必要な食料の送り方向での第1寸法と、この第1寸法を複数に略等分割した第2寸法とを算出し、前記送り出し量をこの第2寸法に略一致するように自動的に調整することを特徴とする食料切断方法。
【請求項2】
前記送り出し量を、第2寸法に略一致するように自動的に調整する状態と、第1寸法に略一致するように自動的に調整する状態とに切換自在とする請求項1に記載の食料切断方法。
【請求項3】
送り出された食料の先端部を当接位置で当接させて位置決めし、この当接位置から送り方向上流側へ間隔をおいた位置に切断位置を設定し、この切断位置と当接位置との間隔が前記第2寸法に略一致するように、前記当接位置を自動的に調整する請求項1に記載の食料切断方法。
【請求項4】
食料を送り経路の任意の位置へ供給し、所定の第1操作をしたときに、この食料の先端部が前記当接位置に到達するまでこの食料を自動的に送ってから停止させ、この後、第2操作によって、または自動的に、食料の先端部と切断手段との相対的な移動を開始して食料片を切り出す請求項3に記載の食料切断方法。
【請求項5】
食料を送り経路の任意の位置へ供給した状態で前記第1操作をしたときに、食料が検出された場合には、この検出がなくなるまで食料を送り方向上流側へ自動的に送り、この後、食料を、断面プロファイルの測定位置と当接位置との間隔に略等しい距離だけ送り方向下流側へ自動的に送る請求項4に記載の食料切断方法。
【請求項6】
前記第1操作によって食料が自動的に送られている間に、測定された複数の断面プロファイルを第1プロファイル情報として格納し、食料の停止後、前記第2操作によって、または自動的に、前記第1プロファイル情報に基づく食料片の切り出しを開始し、この食料片の切り出し中に、送られている食料の断面プロファイルを順次測定し、この測定された断面プロファイルを前記第1プロファイル情報に後続する第2プロファイル情報として順次格納していき、前記第1プロファイル情報に基づく食料片の切り出しが完了した時点で、前記第2プロファイル情報に基づく食料片の切り出しへ移行させる請求項4に記載の食料切断方法。
【請求項7】
前記第2寸法ごとに切断された複数の食料片を、少なくともその一部が互いに重なるように送り方向にずらしながら並べて、前記設定重量を有した食料片の集合体を形成し、測定された食料の断面プロファイルに基づいて、食料片を並べるピッチを自動的に変更し、前記集合体の長さを設定された長さに形成する請求項1に記載の食料切断方法。
【請求項8】
前記第2寸法だけ送り出され当接位置で位置決めされた食料の先端部を、この食料の上下方向の揺動範囲の上端側への揺動時に切断手段に当てて切断し、この食料の揺動範囲の下端側への揺動時または揺動後に食料の先端部を再び第2寸法分だけ送り出し、食料が揺動範囲の下端部付近に至ったときに、この食料の断面プロファイルを測定する請求項3に記載の食料切断方法。
【請求項9】
食料の先端部が第2寸法分だけ送り出されて停止したときにこの食料の断面プロファイルを測定する状態と、食料の先端部が第2寸法分だけ送り出されている間にこの食料の断面プロファイルを測定する状態とに、切換自在とする請求項1に記載の食料切断方法。
【請求項10】
前記算出された第2寸法で切り出される食料片の数が設定範囲から外れると判定された場合に、この食料片の数が前記設定範囲内に収まるように、食料の送り出し量を前記算出された第2寸法に対して増減させた量に自動的に変更する請求項1に記載の食料切断方法。
【請求項11】
測定された食料の断面プロファイルに基づいて、切断される食料片の適不適を判定し、不適と判定される食料片が切り出される食料の先端部位を、前記第2寸法に拘わらずに予め設定された寸法ごとに送り出して切断する請求項7に記載の食料切断方法。
【請求項12】
左右複数列で供給された食料の夫々の断面プロファイルを測定し、この測定結果に基づいて、切断される食料片の適不適を判定し、適すると判定される食料片が切り出される側の食料の先端部位を、前記第2寸法ごとに送り出して切断する一方、不適と判定される食料片が切り出される食料の先端部位を、前記第2寸法に拘わらずに予め設定された寸法ごとに送り出して切断する請求項7に記載の食料切断方法。
【請求項13】
前記密度情報を、食料の種類や状態に応じて予め設定した複数の密度情報から選択可能とする請求項1から請求項12のいずれか一項に記載の食料切断方法。
【請求項14】
レーザー光を用いる光切断方式のセンサーで食料の断面プロファイルを測定する請求項1から請求項12のいずれか一項に記載の食料切断方法。
【請求項15】
塊状の食料(FB)を送る送り装置(9)と、この食料(FB)を切断する切断刃(49)とを備え、前記送り装置(9)から食料(FB)の先端部を所定の送り出し量だけ送り出すごとに、この送り装置(9)と切断刃(49)との相対的な移動によって食料(FB)の先端部を所定の切断位置(CP)で切断し、前記送り出し量に略等しい厚さの食料片(fb)を切り出すように構成した食料切断装置であって、前記送り装置(9)よって送られる食料(FB)の断面プロファイルを順次測定するセンサー(204)を、前記送り装置(9)の送り経路(20)の中間部上方に配置し、このセンサー(204)によって測定された複数の断面プロファイルをプロファイル情報として格納し、このプロファイル情報と食料(FB)の密度情報から、設定重量に対応した体積とするために必要な食料(FB)の送り方向での第1寸法(LF)と、この第1寸法(LF)を複数に略等分割した第2寸法(L1)とを算出し、前記送り出し量をこの第2寸法(L1)に略一致するように自動的に調整する制御装置(300)を備えたことを特徴とする食料切断装置。
【請求項16】
前記送り出し量を、前記第2寸法(L1)に略一致するように自動的に調整する状態と、前記第1寸法(LF)に略一致するように自動的に調整する状態とに切換自在に構成した請求項15に記載の食料切断装置。
【請求項17】
前記送り装置(9)から送り出された食料(FB)の先端部を当接させて位置決めする位置決め部材(43)を設け、前記切断位置(CP)を、前記位置決め部材(43)と食料(FB)の先端部との当接位置(AP)から送り方向上流側へ間隔をおいた位置に設定し、この切断位置(CP)と当接位置(AP)との間隔が前記第2寸法(L1)に略一致するように、前記位置決め部材(43)の位置を自動的に調整する構成とした請求項15に記載の食料切断装置。
【請求項18】
食料(FB)を前記送り装置(9)の送り経路の任意の位置へ供給し、所定の第1操作要素(312)を操作したときに、この食料(FB)の先端部が前記当接位置(AP)に到達するまで、前記送り装置(9)が自動的に送り作動してから停止し、この後、第2操作要素(313)の操作によって、または自動的に、前記送り装置(9)と切断刃(49)との相対的な移動が開始され、食料片(fb)が切り出されるように構成した請求項17に記載の食料切断装置。
【請求項19】
食料(FB)を前記送り装置(9)の送り経路の任意の位置へ供給した状態で、前記第1操作要素(312)を操作したときに、前記センサー(204)によって食料(FB)が検出された場合には、この食料(FB)が検出されなくなるまで前記送り装置(9)が送り方向上流側へ自動的に作動し、この後、前記送り装置(9)が前記センサー(204)による測定位置(LP)と前記当接位置(AP)との間隔に略等しい距離だけ送り方向下流側へ自動的に作動する構成とした請求項18に記載の食料切断装置。
【請求項20】
前記第1操作要素(312)の操作によって前記送り装置(9)が自動的に送り作動している間に、前記センサー(204)によって測定された複数の断面プロファイルを第1プロファイル情報として格納し、前記送り装置(9)の停止後、前記第2操作要素(313)の操作によって、または自動的に、前記第1プロファイル情報に基づく食料片(fb)の切り出しが開始され、この食料片(fb)の切り出し中に、送られている食料(FB)の断面プロファイルを前記センサー(204)によって順次測定し、この測定された断面プロファイルを、前記第1プロファイル情報に後続する第2プロファイル情報として順次格納していき、前記第1プロファイル情報に基づく食料片(fb)の切り出しが完了した時点で、前記第2プロファイル情報に基づく食料片(fb)の切り出しへ移行するように構成した請求項18に記載の食料切断装置。
【請求項21】
前記第2寸法(L1)ごとに切断された複数の食料片(fb)を、少なくともその一部が互いに重なるように送り方向にずらしながら並べて、前記設定重量を有した食料片(fb)の集合体(BG)を形成する構成とし、前記センサー(204)によって測定された食料(FB)の断面プロファイルに基づいて、食料片(fb)を並べるピッチ(K)を自動的に変更し、前記集合体(BG)の長さを設定された長さ(E)に形成する構成とした請求項15に記載の食料切断装置。
【請求項22】
前記切断刃(49)の位置を固定する一方、前記送り装置(9)を所定の揺動範囲で上下方向に往復揺動する構成とし、前記送り装置(9)から第2寸法(L1)分だけ送り出され、前記位置決め部材(43)に当接して位置決めされた食料の先端部を、この送り装置(9)の揺動範囲の上端側への揺動時に切断刃(49)に当てて切断し、この送り装置(9)の揺動範囲の下端側への揺動時または揺動後に前記送り装置(9)を送り作動させて食料(FB)の先端部を再び第2寸法(L1)分だけ送り出す構成とし、前記送り装置(9)が揺動範囲の下端部付近に至ったときに、前記センサー(204)によって食料(FB)の断面プロファイルを測定する構成とした請求項17に記載の食料切断装置。
【請求項23】
前記送り装置(9)が第2寸法(L1)分だけ送り作動して停止したときにこの送り装置(9)上の食料(FB)の断面プロファイルを測定する状態と、前記送り装置(9)が第2寸法(L1)分だけ送り作動している間にこの送り装置(9)上の食料(FB)の断面プロファイルを測定する状態とに、切換自在に構成した請求項15に記載の食料切断装置。
【請求項24】
前記算出された第2寸法(L1)で切り出される食料片(fb)の数が設定範囲から外れると判定された場合には、この食料片(fb)の数が前記設定範囲内に収まるように、前記送り出し量を前記算出された第2寸法(L1)に対して増減させた量に自動的に変更するように構成した請求項15に記載の食料切断装置。
【請求項25】
前記センサー(204)によって測定された食料(FB)の断面プロファイルに基づいて、切断される食料片(fb)の適不適を判定し、不適と判定される食料片(fb)が切り出される食料(FB)の先端部位を、前記第2寸法に拘わらずに予め設定された寸法(L0)ごとに送り出して切断する構成とした請求項21に記載の食料切断装置。
【請求項26】
前記送り装置(9)に食料(FB,FB)を左右複数列で供給し、前記センサー(204)によってこの複数列の食料(FB,FB)の夫々の断面プロファイルを測定する構成とし、この測定結果に基づいて、切断される食料片(fb)の適不適を判定し、適すると判定される食料片(fb)が切り出される側の食料(FB)の先端部位を、前記第2寸法(L1)ごとに送り出して切断する一方、不適と判定される食料片(fb)が切り出される食料(FB)の先端部位を、前記第2寸法(L1)に拘わらずに予め設定された寸法(L0)ごとに送り出して切断する構成とした請求項21に記載の食料切断装置。
【請求項27】
前記送り装置(9)の周辺を覆う第1カバー(201)と、前記センサー(204)を支持するとともにこのセンサー(204)を覆う第2カバー(203)とを備え、この第2カバー(203)を、前記第1カバー(201)に形成した開口部(201S)に対して位置規制部(201PK)を介して着脱自在に取り付ける構成とした請求項15に記載の食料切断装置。
【請求項28】
前記密度情報を、食料(FB)の種類や状態に応じて予め設定した複数の密度情報から選択可能とした請求項15から請求項27のいずれか一項に記載の食料切断装置。
【請求項29】
前記センサー(204)を、レーザー光を用いる光切断方式のセンサーとした請求項15から請求項27のいずれか一項に記載の食料切断装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、塊状の食料を切断する方法および装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来の塊状の食料を切断する方法および装置として、例えば、生の部分肉等の塊状の食品を順次薄く切断して食料片とし、これら複数の食料片を、その一部が互いに重なるように並べて食料片の集合体を形成するものがある。
このように複数の食料片を一つの集合体とすることで、トレーに容易に収容でき、加工工場での作業能率が向上する。また、容器から食料片を一枚ずつ分離しながら取り出すことが容易となり、調理における利便性も向上する。
【0003】
しかして、集合体を収容したトレーはラップによって包装され、食料の種類や重量等を表示したラベルが貼付されて、商品として加工工場から出荷される。
この商品が入荷したスーパー等の店先では、食料の種類や重量帯等に応じてトレーの陳列位置が区分けされている。
このため、加工工場において集合体ごとに重量を揃えておく必要があり、このために種々の切断方法および切断装置が試みられている。
【0004】
例えば特許文献1には、以下のような技術が開示されている。
すなわち、塊状の食料を切断位置へ向けて送り、送り出された食料の先端部を所定の切断位置で切断して食料片とし、この切断された食料片の数が設定数に達した時点で、この設定数の食料片の合計重量を計測する。
そして、この計測結果から、規定数の食料片としたときの合計重量を予測し、この予測した合計重量と、規定数の食料片を収容したトレーに表示する重量との差に基づいて、食料の送り出し量を増減させ、切断される食料片の厚さを自動的に調節するというものである。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
例えば生の部分肉等の塊状の食料は、先端部から後端部まで均一な断面形状ではなく、この断面形状は不規則に変化する。
このため、これを均一な厚さに切断しても、切断された食料片の重量は均一にならない。
したがって、同一数の食料片で集合体を形成した場合、各集合体の重量がばらつき、加工工場における手作業での調整を要し、作業能率が低下するような問題が生じる。
また、特許文献1に開示された技術を利用し、切断される食料片の厚さを調整した場合、同じトレーに収容された食料片の厚さがばらつき、例えば食感が均一でないなどの理由により、商品価値が低下する問題が生じうる。
【0007】
また、特許文献1に開示された技術では、食料片の切断厚さが、食料の送り出し量に依存する。
すなわち、送り出された食料の先端部を当接させて位置決めし、この位置決めされた食料の先端部を切断するものではない。
このため、切断される食料片の厚さを揃えることが困難である。
本発明は、上述のような従来技術の課題を解決し、切断された食料片の集合体の重量のばらつきを少なくすると共に、各集合体における食料片の厚さを揃えることのできる食料切断方法および食料切断装置を実現することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明は、上述の課題を解決するために、以下の技術的手段を講じる。
すなわち、請求項1に記載の発明は、食料の先端部を所定の送り出し量だけ送り出すごとに、この食料の先端部を切断手段との相対的な移動によって所定の切断位置で切断し、送り出し量に略等しい厚さの食料片を切り出す食料切断方法であって、送られる食料の断面プロファイルを、送り経路の中間部上方の位置から順次測定し、測定された複数の断面プロファイルをプロファイル情報として格納し、このプロファイル情報と食料の密度情報から、設定重量に対応した体積とするために必要な食料の送り方向での第1寸法と、この第1寸法を複数に略等分割した第2寸法とを算出し、前記送り出し量をこの第2寸法に略一致するように自動的に調整することを特徴とする食料切断方法とする。
【0009】
請求項2に記載の発明は、前記送り出し量を、第2寸法に略一致するように自動的に調整する状態と、第1寸法に略一致するように自動的に調整する状態とに切換自在とする請求項1に記載の食料切断方法とする。
【0010】
請求項3に記載の発明は、送り出された食料の先端部を当接位置で当接させて位置決めし、この当接位置から送り方向上流側へ間隔をおいた位置に切断位置を設定し、この切断位置と当接位置との間隔が前記第2寸法に略一致するように、前記当接位置を自動的に調整する請求項1に記載の食料切断方法とする。
【0011】
請求項4に記載の発明は、食料を送り経路の任意の位置へ供給し、所定の第1操作をしたときに、この食料の先端部が前記当接位置に到達するまでこの食料を自動的に送ってから停止させ、この後、第2操作によって、または自動的に、食料の先端部と切断手段との相対的な移動を開始して食料片を切り出す請求項3に記載の食料切断方法とする。
【0012】
請求項5に記載の発明は、食料を送り経路の任意の位置へ供給した状態で前記第1操作をしたときに、食料が検出された場合には、この検出がなくなるまで食料を送り方向上流側へ自動的に送り、この後、食料を、断面プロファイルの測定位置と当接位置との間隔に略等しい距離だけ送り方向下流側へ自動的に送る請求項4に記載の食料切断方法とする。
【0013】
請求項6に記載の発明は、前記第1操作によって食料が自動的に送られている間に、測定された複数の断面プロファイルを第1プロファイル情報として格納し、食料の停止後、前記第2操作によって、または自動的に、前記第1プロファイル情報に基づく食料片の切り出しを開始し、この食料片の切り出し中に、送られている食料の断面プロファイルを順次測定し、この測定された断面プロファイルを前記第1プロファイル情報に後続する第2プロファイル情報として順次格納していき、前記第1プロファイル情報に基づく食料片の切り出しが完了した時点で、前記第2プロファイル情報に基づく食料片の切り出しへ移行させる請求項4に記載の食料切断方法とする。
【0014】
請求項7に記載の発明は、前記第2寸法ごとに切断された複数の食料片を、少なくともその一部が互いに重なるように送り方向にずらしながら並べて、前記設定重量を有した食料片の集合体を形成し、測定された食料の断面プロファイルに基づいて、食料片を並べるピッチを自動的に変更し、前記集合体の長さを設定された長さに形成する請求項1に記載の食料切断方法とする。
【0015】
請求項8に記載の発明は、前記第2寸法だけ送り出され当接位置で位置決めされた食料の先端部を、この食料の上下方向の揺動範囲の上端側への揺動時に切断手段に当てて切断し、この食料の揺動範囲の下端側への揺動時または揺動後に食料の先端部を再び第2寸法分だけ送り出し、食料が揺動範囲の下端部付近に至ったときに、この食料の断面プロファイルを測定する請求項3に記載の食料切断方法とする。
【0016】
請求項9に記載の発明は、食料の先端部が第2寸法分だけ送り出されて停止したときにこの食料の断面プロファイルを測定する状態と、食料の先端部が第2寸法分だけ送り出されている間にこの食料の断面プロファイルを測定する状態とに、切換自在とする請求項1に記載の食料切断方法とする。
【0017】
請求項10に記載の発明は、前記算出された第2寸法で切り出される食料片の数が設定範囲から外れると判定された場合に、この食料片の数が前記設定範囲内に収まるように、食料の送り出し量を前記算出された第2寸法に対して増減させた量に自動的に変更する請求項1に記載の食料切断方法とする。
【0018】
請求項11に記載の発明は、測定された食料の断面プロファイルに基づいて、切断される食料片の適不適を判定し、不適と判定される食料片が切り出される食料の先端部位を、前記第2寸法に拘わらずに予め設定された寸法ごとに送り出して切断する請求項7に記載の食料切断方法とする。
【0019】
請求項12に記載の発明は、左右複数列で供給された食料の夫々の断面プロファイルを測定し、この測定結果に基づいて、切断される食料片の適不適を判定し、適すると判定される食料片が切り出される側の食料の先端部位を、前記第2寸法ごとに送り出して切断する一方、不適と判定される食料片が切り出される食料の先端部位を、前記第2寸法に拘わらずに予め設定された寸法ごとに送り出して切断する請求項7に記載の食料切断方法とする。
【0020】
請求項13に記載の発明は、前記密度情報を、食料の種類や状態に応じて予め設定した複数の密度情報から選択可能とする請求項1から請求項12のいずれか一項に記載の食料切断方法とする。
【0021】
請求項14に記載の発明は、レーザー光を用いる光切断方式のセンサーで食料の断面プロファイルを測定する請求項1から請求項12のいずれか一項に記載の食料切断方法とする。
【0022】
請求項15に記載の発明は、塊状の食料(FB)を送る送り装置(9)と、この食料(FB)を切断する切断刃(49)とを備え、前記送り装置(9)から食料(FB)の先端部を所定の送り出し量だけ送り出すごとに、この送り装置(9)と切断刃(49)との相対的な移動によって食料(FB)の先端部を所定の切断位置(CP)で切断し、前記送り出し量に略等しい厚さの食料片(fb)を切り出すように構成した食料切断装置であって、前記送り装置(9)よって送られる食料(FB)の断面プロファイルを順次測定するセンサー(204)を、前記送り装置(9)の送り経路(20)の中間部上方に配置し、このセンサー(204)によって測定された複数の断面プロファイルをプロファイル情報として格納し、このプロファイル情報と食料(FB)の密度情報から、設定重量に対応した体積とするために必要な食料(FB)の送り方向での第1寸法(LF)と、この第1寸法(LF)を複数に略等分割した第2寸法(L1)とを算出し、前記送り出し量をこの第2寸法(L1)に略一致するように自動的に調整する制御装置(300)を備えたことを特徴とする食料切断装置とする。
【0023】
請求項16に記載の発明は、前記送り出し量を、前記第2寸法(L1)に略一致するように自動的に調整する状態と、前記第1寸法(LF)に略一致するように自動的に調整する状態とに切換自在に構成した請求項15に記載の食料切断装置とする。
【0024】
請求項17に記載の発明は、前記送り装置(9)から送り出された食料(FB)の先端部を当接させて位置決めする位置決め部材(43)を設け、前記切断位置(CP)を、前記位置決め部材(43)と食料(FB)の先端部との当接位置(AP)から送り方向上流側へ間隔をおいた位置に設定し、この切断位置(CP)と当接位置(AP)との間隔が前記第2寸法(L1)に略一致するように、前記位置決め部材(43)の位置を自動的に調整する構成とした請求項15に記載の食料切断装置とする。
【0025】
請求項18に記載の発明は、食料(FB)を前記送り装置(9)の送り経路の任意の位置へ供給し、所定の第1操作要素(312)を操作したときに、この食料(FB)の先端部が前記当接位置(AP)に到達するまで、前記送り装置(9)が自動的に送り作動してから停止し、この後、第2操作要素(313)の操作によって、または自動的に、前記送り装置(9)と切断刃(49)との相対的な移動が開始され、食料片(fb)が切り出されるように構成した請求項17に記載の食料切断装置とする。
【0026】
請求項19に記載の発明は、食料(FB)を前記送り装置(9)の送り経路の任意の位置へ供給した状態で、前記第1操作要素(312)を操作したときに、前記センサー(204)によって食料(FB)が検出された場合には、この食料(FB)が検出されなくなるまで前記送り装置(9)が送り方向上流側へ自動的に作動し、この後、前記送り装置(9)が前記センサー(204)による測定位置(LP)と前記当接位置(AP)との間隔に略等しい距離だけ送り方向下流側へ自動的に作動する構成とした請求項18に記載の食料切断装置とする。
【0027】
請求項20に記載の発明は、前記第1操作要素(312)の操作によって前記送り装置(9)が自動的に送り作動している間に、前記センサー(204)によって測定された複数の断面プロファイルを第1プロファイル情報として格納し、前記送り装置(9)の停止後、前記第2操作要素(313)の操作によって、または自動的に、前記第1プロファイル情報に基づく食料片(fb)の切り出しが開始され、この食料片(fb)の切り出し中に、送られている食料(FB)の断面プロファイルを前記センサー(204)によって順次測定し、この測定された断面プロファイルを、前記第1プロファイル情報に後続する第2プロファイル情報として順次格納していき、前記第1プロファイル情報に基づく食料片(fb)の切り出しが完了した時点で、前記第2プロファイル情報に基づく食料片(fb)の切り出しへ移行するように構成した請求項18に記載の食料切断装置とした。
【0028】
請求項21に記載の発明は、前記第2寸法(L1)ごとに切断された複数の食料片(fb)を、少なくともその一部が互いに重なるように送り方向にずらしながら並べて、前記設定重量を有した食料片(fb)の集合体(BG)を形成する構成とし、前記センサー(204)によって測定された食料(FB)の断面プロファイルに基づいて、食料片(fb)を並べるピッチ(K)を自動的に変更し、前記集合体(BG)の長さを設定された長さ(E)に形成する構成とした請求項15に記載の食料切断装置とする。
【0029】
請求項22に記載の発明は、前記切断刃(49)の位置を固定する一方、前記送り装置(9)を所定の揺動範囲で上下方向に往復揺動する構成とし、前記送り装置(9)から第2寸法(L1)分だけ送り出され、前記位置決め部材(43)に当接して位置決めされた食料の先端部を、この送り装置(9)の揺動範囲の上端側への揺動時に切断刃(49)に当てて切断し、この送り装置(9)の揺動範囲の下端側への揺動時または揺動後に前記送り装置(9)を送り作動させて食料(FB)の先端部を再び第2寸法(L1)分だけ送り出す構成とし、前記送り装置(9)が揺動範囲の下端部付近に至ったときに、前記センサー(204)によって食料(FB)の断面プロファイルを測定する構成とした請求項17に記載の食料切断装置とする。
【0030】
請求項23に記載の発明は、前記送り装置(9)が第2寸法(L1)分だけ送り作動して停止したときにこの送り装置(9)上の食料(FB)の断面プロファイルを測定する状態と、前記送り装置(9)が第2寸法(L1)分だけ送り作動している間にこの送り装置(9)上の食料(FB)の断面プロファイルを測定する状態とに、切換自在に構成した請求項15に記載の食料切断装置とする。
【0031】
請求項24に記載の発明は、前記算出された第2寸法(L1)で切り出される食料片(fb)の数が設定範囲から外れると判定された場合には、この食料片(fb)の数が前記設定範囲内に収まるように、前記送り出し量を前記算出された第2寸法(L1)に対して増減させた量に自動的に変更するように構成した請求項15に記載の食料切断装置とする。
【0032】
請求項25に記載の発明は、前記センサー(204)によって測定された食料(FB)の断面プロファイルに基づいて、切断される食料片(fb)の適不適を判定し、不適と判定される食料片(fb)が切り出される食料(FB)の先端部位を、前記第2寸法に拘わらずに予め設定された寸法(L0)ごとに送り出して切断する構成とした請求項21に記載の食料切断装置とする。
【0033】
請求項26に記載の発明は、前記送り装置(9)に食料(FB,FB)を左右複数列で供給し、前記センサー(204)によってこの複数列の食料(FB,FB)の夫々の断面プロファイルを測定する構成とし、この測定結果に基づいて、切断される食料片(fb)の適不適を判定し、適すると判定される食料片(fb)が切り出される側の食料(FB)の先端部位を、前記第2寸法(L1)ごとに送り出して切断する一方、不適と判定される食料片(fb)が切り出される食料(FB)の先端部位を、前記第2寸法(L1)に拘わらずに予め設定された寸法(L0)ごとに送り出して切断する構成とした請求項21に記載の食料切断装置とする。
【0034】
請求項27に記載の発明は、前記送り装置(9)の周辺を覆う第1カバー(201)と、前記センサー(204)を支持するとともにこのセンサー(204)を覆う第2カバー(203)とを備え、この第2カバー(203)を、前記第1カバー(201)に形成した開口部(201S)に対して位置規制部(201PK)を介して着脱自在に取り付ける構成とした請求項15に記載の食料切断装置とする。
【0035】
請求項28に記載の発明は、前記密度情報を、食料(FB)の種類や状態に応じて予め設定した複数の密度情報から選択可能とした請求項15から請求項27のいずれか一項に記載の食料切断装置とする。
【0036】
請求項29に記載の発明は、前記センサー(204)を、レーザー光を用いる光切断方式のセンサーとした請求項15から請求項27のいずれか一項に記載の食料切断装置とする。
【発明の効果】
【0037】
本発明によれば、切断された食料片の集合体の重量のばらつきを少なくすると共に、各集合体における食料片の厚さを揃えることのできる食料切断方法および食料切断装置を実現することができる。
【図面の簡単な説明】
【0038】
【
図1】本発明の実施形態におけるスライサー(食料切断装置)の左側面図である。
【
図2】本発明の実施形態におけるスライサーの平面図である。
【
図3】本発明の実施形態におけるスライサーの伝動構成説明用の左側面図である。
【
図4】本発明の実施形態におけるスライサーの伝動構成説明用の平面図である。
【
図5】本発明の実施形態における供給部の左側面図である。
【
図6】本発明の実施形態における供給部の平面図である。
【
図7】本発明の実施形態における枠部材の正面図である。
【
図8】本発明の実施形態における切断部の要部の説明用右側面図である。
【
図9】本発明の実施形態における切断部周辺の説明用左側面図である。
【
図10】本発明の実施形態における切断部周辺の説明用平面図である。
【
図11】本発明の実施形態における肉片(食料片)の集合体の説明用左側面図である。
【
図12】本発明の実施形態における塊状肉搬送装置(送り装置)の周辺を覆うカバー(第1カバー)の斜視図である。
【
図13】本発明の実施形態における塊状肉搬送装置の周辺を覆うカバーの平面図である。
【
図14】本発明の実施形態におけるセンサーを覆うカバー(第2カバー)であって、(a)は平面図、(b)は左側面図である。
【
図15】本発明の実施形態における塊状肉搬送装置の周辺を覆うカバーに、センサーを覆うカバーを装着した状態を示す平面図である。
【
図16】本発明の実施形態における塊状肉搬送装置の周辺を覆うカバーに、センサーを覆うカバーを装着した状態を一部断面して示す説明用左側面図である。
【
図17】本発明の実施形態における塊状肉搬送装置の周辺を覆うカバーに、センサーを覆うカバーを装着した状態を左斜め前方から視て示す斜視図である。
【
図18】本発明の実施形態における制御用のブロック回路図である。
【
図19】本発明の実施形態におけるレーザーセンサーによる断面プロファイルの測定状態を示す説明用左側面図である。
【
図20】本発明の実施形態における1列切断作業状態での断面プロファイルの測定状態を左前方から視た説明用斜視図である。
【
図21】本発明の実施形態における1列切断作業状態での断面プロファイルの測定状態を示す説明用正面図である。
【
図22】本発明の実施形態における2列切断作業状態での断面プロファイルの測定状態を左前方から視た説明用斜視図である。
【
図23】本発明の実施形態における2列切断作業状態での断面プロファイルの測定状態を示す説明用正面図である。
【
図24】本発明の実施形態における第1メインフローチャートである。
【
図25】本発明の実施形態におけるスキャンモードのフローチャートである。
【
図26】本発明の実施形態における作業中測定モードのフローチャートである。
【
図27】本発明の実施形態における第2メインフローチャートである。
【
図28】本発明の実施形態における第3メインフローチャートである。
【
図29】本発明の実施形態における折り畳み処理のフローチャートである。
【
図30】本発明の実施形態における2列処理のフローチャートである。
【
図31】本発明の実施形態におけるくず肉判定後の2列処理を示すフローチャートである。
【
図32】本発明の実施形態における2列処理での左側の搬送通路の塊状肉のスライス枚数とスライス厚さの決定処理を示すフローチャートである。
【
図33】本発明の実施形態における2列処理での右側の搬送通路の塊状肉のスライス枚数とスライス厚さの決定処理を示すフローチャートである。
【
図34】本発明の実施形態における1列切断作業状態での塊状肉(食料)の先端部の切断位置を示す説明用平面図である。
【
図35】本発明の実施形態における2列切断作業状態での塊状肉(食料)の先端部の切断位置を示す説明用平面図である。
【
図36】集合体の形成状態を示す説明用平面図である。
【
図37】集合体の形成状態を示す説明用左側面図である。
【発明を実施するための形態】
【0039】
本発明を実施するための形態について、塊状肉(請求項における「食料」)FBを連続的に切断し、複数枚の肉片(請求項の「食料片」)fbを複数枚ごとの集合体BGとして搬送するスライサー(本発明の「食料切断方法」を実現する「食料切断装置」。)1を実施例として詳述する。
この塊状肉FBとして、例えば、左右幅が大きく高さの低い豚バラ肉や、左右幅が小さく高さの高い豚ロース肉などが挙げられる。
なお、このスライサー1によって切断される塊状肉FBおよび肉片fbの集合体BGの搬送方向を基準として、上手側を「後側」、下手側を「前側」と定義し、下手側に向いた状態での左手側を「左側」、右手側を「右側」と定義して説明する。
【0040】
(スライサーの全体構成)
図1、
図2に示すように、スライサー1は、基体となる機台2に対して供給部3と、切断部4と、搬送部5と、制御部7を設けて構成する。
機台2は、所定の高さを有した平面視で長方形状の枠体である。
供給部3は、作業者によって供給された1列ないし2列の塊状肉を前方へ搬送するものであり、切断部4は、供給部3の前端部から前方へ突出した塊状肉FBの前端部を所定の厚さに切断するものである。
搬送部5は、切断部4で切断された肉片fbを前方へ搬送するものである。
制御部7は、各部を駆動する電動モーターやエアシリンダー等を作動制御するものである。
なお、衛生上の観点から、各部は主にステンレス鋼を用いて構成し、ステンレス製のカバーで覆う。
図3以降は、このカバーを取り外して示す。
【0041】
(供給部)
図3~
図6に示すように、供給部3は、平面視で矩形に枠組みされた枠体8と、この枠体8に対して取り付けられ、手作業で供給された塊状肉FBを前方へ搬送する塊状肉搬送装置(請求項の「送り装置」)9を備える。
この塊状肉搬送装置9には、枠体8の左右両側部に左右の側壁10,10を立設し、この左右の側壁10,10の後端部から、左右の支点軸11,11の夫々を外側方へ突出する姿勢で固定する。
この左右の支点軸11,11は、同一軸心上に配置し、その両端部を、左右のベアリング12,12を介して機台2側に支持する。
【0042】
また、左右の側壁10,10の間の左右方向中心位置に、仕切壁19を、ノブボルト19Nを介して着脱自在に取り付ける。
この仕切壁19を取り外した状態では、左右広幅の1列の搬送通路(請求項の「送り経路」)20が形成され、この1列の搬送通路20に、豚バラ肉のような左右幅が広く高さの低い塊状肉FBの供給が可能となる。
一方、仕切壁19を装着した状態では、左右の側壁10,10間に仕切壁19で仕切られた狭幅の2列の搬送通路20,20が形成され、この2列の搬送通路20,20に、豚ロース肉のような左右幅が狭く高さの高い塊状肉FBの2列供給が可能となる。
また、搬送通路20の数は、1列、2列に限らず、3列以上に設定することも可能である。
なお、この塊状肉搬送装置9とは、下部無端ベルト25だけでなく、その前端部に有した枠部材36を含めた総称である。
この下部無端ベルト25および枠部材36の構成については後述する。
【0043】
(供給部の揺動機構)
図4に示すように、機台2における枠体8の下方の部位に揺動用電動モーター13を取り付け、この揺動用電動モーター13の出力軸14にクランクアーム15の一端部を取り付ける。
そして、このクランクアーム15の他端部に軸支したベアリング16と、枠体8における支点軸11,11よりも前側下方の部位に支持したベアリング17を、連動ロッド18の両端に備えた円筒部(図示省略)に篏合して固定する。
これによって、供給部3は、搬送終端側となる前端部ほど低くなるように、前下がりに傾斜した姿勢で支持される。
揺動用電動モーター13を駆動すると、供給部3が支点軸11を中心として斜め上下方向に揺動し、供給部3の前端部は、支点軸11を中心とする円弧軌跡上を、この軌跡の下端部と上端部の間で往復揺動する。
また、
図5、
図6に示すように、左右両端部に有した側壁10,10を、その前部と後部において、搬送通路20の上方を跨いで配置された門型またはアーチ形状の補強フレーム21で連結し、枠体8の剛性を確保する。
【0044】
(供給部のコンベア)
図4、
図6に示すように、塊状肉搬送装置9には、搬送通路20,20の下部に、塊状肉搬送用の広幅の下部コンベア22を設ける。
この下部コンベア22は、搬送通路20の底部を形成し、塊状肉FBを載せて搬送する。
また、下部コンベア22は、前端ローラー23および後端ローラー24と、これら前端ローラー23と後端ローラー24に巻き掛けられる粗雑面を有した下部無端ベルト25と、この下部無端ベルト25に張力を付与する前後方向中間部のテンションローラー26から構成する。
前端ローラー23は、左右のフレーム(図示省略)の前端部に固定された左右方向の軸に対して、回転自在に支持する。
この左右のフレームは一体的に構成され、枠体8の下部に着脱自在な構成とする。
後端ローラー24は、左右のフレームの後端部に軸受された左右方向の下部駆動軸27に固定する。
【0045】
テンションローラー26は、枠体8の前後方向中間部に配置し、下部無端ベルト25の下側巻回域の上面に当接させ、下方へ弾発付勢する。これによって、下部無端ベルト25に、搬送に適した張力が付与される。
また、テンションローラー26を弾発付勢する構成に代えて、テンションローラー26の高さを調節して固定する構成としてもよい。
なお、前端ローラー23、後端ローラー24、テンションローラー26、下部無端ベルト25は、左右の側壁10,10の内側面間隔よりも幅広に形成し、その左右両端部の夫々を、左右の側壁10,10の下側に入り込ませる。
また、枠体8における前端ローラー23とテンションローラー26の間、および、テンションローラー26と後端ローラー24の間には、下部無端ベルト25の上側巻回域の下面を摺接支持する摺接板体(図示省略)を取り付ける。この摺接板体は、左右の側壁10,10の内側面間にわたる幅広に形成する。
【0046】
(供給部の押圧板)
図4~
図6に示すように、左右の支点軸11,11における側壁10,10とベアリング12,12の間の部位には、左右の押圧アーム28,28の基部を軸受支持する。
これによって、左右の押圧アーム28,28は左右の側壁10,10の外側に上下揺動自在に配置される。
この左右の押圧アーム28,28の前端には、搬送通路20の前端部上側に臨む押圧板29,29をそれぞれ取り付ける。
この押圧板29,29は、左右の押圧アーム28,28の前端部に取り付けた取付ステー30,30に対してノブボルト30N,30Nで締結固定する。
なお、この取付ステー30,30は、押圧アーム28,28の前端部(自由端部)から上方へ延出した後、搬送通路20,20の上方へ向けて屈折する。
【0047】
押圧板29,29は、取付ステー30,30に締結固定される上面部と、この上面部の前端から前下がり傾斜する斜面部と、この斜面部の前端から前方へ延出する押圧面部を有する板体である。
なお、
図6に示すように、左右の側壁10,10の間に仕切壁を装着し、2列の搬送通路20,20を形成した場合には、各搬送通路20の前端部上側に、各一つの押圧板29が臨む。
また、
図3、
図5に示すように、枠体8における左右の側壁10,10からステー30T,30Tを立ち上げ、このステー30T,30Tに左右のエアシリンダー30S,30Sのシリンダー部を左右方向の軸30Y,30Yで回動自在に軸支する。これによって、エアシリンダー30S,30Sは上下方向の姿勢として取り付けられる。
そして、このエアシリンダー30S,30Sのピストンの先端を、左右の押圧アーム28,28の前部に左右方向の軸心回りに回動自在に軸支する。
【0048】
このエアシリンダー30S,30Sが伸長作動すると、押圧アーム28,28が下方回動し、押圧板29,29が下方の下部無端ベルト25の上面に向けて押圧され、この押圧板29,29の押圧面部によって搬送通路20,20の前部まで搬送された塊状肉FB,FBの前端部を押圧する。
すなわち、このエアシリンダー30S,30Sの伸長および短縮のタイミングを、支点軸11を中心とする供給部3の揺動に同調するように制御する。
これにより、供給部3の上昇揺動によって塊状肉の前端部が切断部4で切断される直前に、エアシリンダー30S,30Sが伸長して、この塊状肉FB,FBの前端部を押圧し、切断時の位置ずれを防止する。
切断後、このエアシリンダー30S,30Sが短縮して塊状肉の押圧が解除され、下部無端ベルト25の駆動によって、塊状肉FB,FBの前端が後述する受板に当接するまで送り出される。
【0049】
(供給部の伝動)
図4に示すように、供給部3における枠体8の下面側に、搬送用電動モーター31を左右方向に向けて取り付け、この搬送用電動モーター31の左右方向の出力軸に出力ギヤ32を固定する。
そして、この出力ギヤ32を、枠体8の後部に軸受された中間ギヤ33に噛み合わせ、この中間ギヤ33を、下部駆動軸27の左側端部に固定した入力ギヤ34に噛み合わせる。
【0050】
(枠部材)
図6~
図8に示すように、供給部3における枠体8の前端部に、開口部35を有する枠部材36をボルト37で締結固定する。
図7に示すように、この枠部材36は、左右両端部にボルト孔を有した取付部38,38を備え、この左右の取付部38,38の間に、幅広の矩形の開口部35を貫通させて形成する。
この枠部材36における開口部35の前面には、この開口部35の左右側縁と底部側縁の3縁を連続的に囲う摺接縁部40を前方へ隆起させて形成する。
図8に示すように、この摺接縁部40の前面は、側面視で供給部3の支点軸11を中心とした円弧状に形成する。
【0051】
なお、塊状肉搬送装置9の下部無端ベルト25によって搬送された2列の塊状肉FB,FBの前端部は、側面視において、枠部材36の前面に形成された摺接縁部40から前方へ突出する。(請求項における「送り出し量」とは、この枠部材36の摺接縁部40の前面を基準位置とし、この基準位置から塊状肉FBの先端部が突出した距離を指す。)
この摺接縁部40の前面に、後述する無端状帯刃が摺接することとなり、この摺接縁部40の前面における無端状帯刃の摺接位置が、塊状肉搬送装置9の搬送方向(請求項の「送り方向」)における切断位置CPとなる。
また、
図8に示すように、この摺接縁部40の上部前面は後上がりした傾斜面41とし、供給部3の上昇揺動時に、後述する無端状帯刃を摺接縁部40上に摺接案内する。
なお、開口部35の底部側縁の上縁は刃物状に形成する。
【0052】
(切断部の受板)
図3、
図8、
図9、
図25、
図28、
図31に示すように、上述の枠部材36の揺動軌跡の前側に対向する位置に、開口部35から送り出される塊状肉FB,FBの先端部を、当接位置APで当接させて位置決めする受板(請求項の「位置決め部材」)43を配置する。
この受板43の後面の全面またはその一部の面を、側面視で供給部3の支点軸11を中心とした円弧に沿う曲率に形成する。
すなわち、上述の枠部材36の摺接縁部40の前面と、受板43の後面は、側面視において同一または近似した曲率の円弧形状とする。
なお、後述するように、この受板43は、電動モーター61の作動によって、枠部材36の摺接縁部40の前面に対して接近および離間する方向へ位置調節される。
【0053】
(切断刃)
図4に示すように、切断部4には、切断用電動モーター44と、この切断用電動モーター44の出力軸45に取り付けた駆動プーリー46と、従動軸47に取り付けた従動プーリー48と、駆動プーリー46と従動プーリー48にわたって巻き掛けられる鋼製の無端状帯刃(請求項の「切断刃」)49を備える。
切断用電動モーター44は、枠部材36の開口部35から左側方へ離れた部位に固定する。
一方、従動軸47は、開口部35から右側方へ離れた位置にベアリング50を介して回転自在に支持し、エアシリンダー(図示省略)の作動によって左右方向へ位置調節できるように機台2側に支持する。
なお、出力軸45と従動軸47は、同一の前上がり傾斜姿勢として平行に保持する。
【0054】
これにより、エアシリンダーを作動させて駆動プーリー46と従動プーリー48の間隔を縮小すれば、この2つのプーリー46,48に無端状帯刃49の巻き掛け作業および取り外し作業を容易に行うことができる。
無端状帯刃49を駆動プーリー46と従動プーリー48に巻き掛けた状態で切断用電動モーター44を起動すると、出力軸45における軸心の前上方延長線方向から見て、駆動プーリー46が反時計回りに駆動回転する。
また、無端状帯刃49を介して従動プーリー48も反時計方向に従動回転する。
これによって、無端状帯刃49の下側巻回域では、無端状帯刃49が従動プーリー48側から駆動プーリー46側へ(右から左へ)周回移動する。
したがって、この下側巻回域では、無端状帯刃49は緊張状態で周回移動することとなり、この無端状帯刃49の下側巻回域を塊状肉の切断作用域として使用する。
【0055】
なお、この無端状帯刃49の下側巻回域(切断作用域)は、機台2に対して固定された位置に配置される。
また、このように周回移動する無端状帯刃49に塊状肉FB,FBの切断抵抗等によって過負荷が掛かった場合には、従動軸47に出力軸45側へ向かう方向の力が掛かる。
しかしながら、この従動軸47を移動調節するエアシリンダー内の空気が圧縮されることによって、過負荷による破損を防止することができる。
なお、無端状帯刃49の一側縁が鋭利な刃縁に形成されている。
図8、
図25に示すように、無端状帯刃49を案内する案内部材51を、駆動プーリー46と従動プーリー48の間における受板43の上方に配置する。
【0056】
この案内部材51は、左右方向に長尺の板体の下縁部に、下向きに開口した左右方向の溝を形成しており、この溝に、無端状帯刃49の刃縁のない側縁部分を左右方向へ摺動自在に嵌入させる。
そして、この案内部材51の位置および姿勢を固定することで、無端状帯刃49の巻き掛け面が後下がり傾斜した設定姿勢に保持され、この無端状帯刃49の刃縁と受板43の上端との間に間隔部Tが形成される。
なお、案内部材51によって無端状帯刃49の内面と外面が摺接支持されるため、周回移動時の位置および傾斜姿勢が安定する。
【0057】
(切断部の支持、第1支持部材、第3支持部材)
図1、
図3に示すように、機台2の上部左右両側に、2つの平板状のレール52,52を、前後方向に向け、左右方向に間隔をおいて固設する。
平面視で矩形に枠組み形成した第3支持部材53の下部には、その前部の左右両側に、各2個のローラー54を天秤揺動式に支持する。
また、この第3支持部材53の下部における後部の左右両側には、各1個のローラー54を軸支する。
第3支持部材53を機台2上に搭載した状態で、全6個のローラー54が左右のレール52,52の上面に載置され、第3支持部材53が機台2に対して前後方向へ移動自在に支持される。
【0058】
この第3支持部材53の上側に、平面視で矩形に枠組み形成した第1支持部材55を配置し、この第1支持部材55の前後左右の4箇所に、4つの上部リンクアーム56の上端部を左右方向の上部軸57回りに回動自在に軸着する。
この4つの上部リンクアーム56の下端部は、第3支持部材53における前後方向中央部と後部に軸受支持した左右方向の下部軸58,58の左右両端部にそれぞれ固定し、左右の上部リンクアーム56,56が下部軸58,58回りに一体的に回動するように構成する。
また、これら4つの上部リンクアーム56の下端部には、下部リンクアーム59の上端部を連結固定する。これにより、下部リンクアーム59と上部リンクアーム56は、左側面視で逆く字形状を呈する。
また、前後の下部リンクアーム59,59の下端部に設けた左右方向の軸59P,59Pと第3支持部材53前部と後部に設けた軸53P,53Pの間を、前後の引張スプリング60,60で夫々連結する。
【0059】
また、この引張スプリング60,60の収縮方向への弾発力で第1支持部材55を上昇方向へ付勢する。
そして、第3支持部材53に、電動モーター61の基部を左右方向の軸心回りに軸支し、この電動モーター61によって回転駆動される螺子軸63に雌螺子部材64を螺合する。
また、この雌螺子部材64と共に移動する中間部材64aの先端部を、第1支持部材55の前後方向中間部に備えた左右方向のフレーム55a側のステー55bに、左右方向の軸65で回動自在に軸着する。
この電動モーター61の駆動によって螺子軸63が回転すると、これに螺合する雌螺子部材64が螺子軸63の軸心方向に移動する。
そして、中間部材64aを介して第1支持部材55のフレーム55aを押し引きし、第1支持部材55が第3支持部材53に対して移動する。
【0060】
この第1支持部材55の移動軌跡は、前後の上部リンクアーム56の上端部の揺動軌跡の設定によって決定される。
すなわち、4つの上部リンクアーム56の長さは全て同じ長さに形成し、第3支持部材53に対する前側の下部軸58の軸受位置を、第3支持部材53に対する後側の下部軸58の軸受位置よりも高く設定する。
そして、前側の左右の上部リンクアーム56,56の後下がり傾斜を、後側の左右の上部リンクアーム56,56の後下がり傾斜よりも緩く設定する。
これによって、第1支持部材55が第3支持部材53に対して接近するほど(下降するほど)、この第1支持部材55の前部側が後部側よりも大きく下降し、第1支持部材55が前下がりに傾斜していく。
【0061】
しかして、第1支持部材55の後部には、左右の側板66,66を有した後部支持台67の下端部を締結固定する。
また、この左右の側板66,66の下部間は、左右方向の丸棒状のフレーム68,68で連結し、左右の側板66,66の上方延出部の間は、左右方向のフレームで連結する。
また、左右の側板66,66の上部後側の部位に、前上がり傾斜した斜辺部を形成し、この斜辺部に、上述の受板43の前面における左右両端部から前方へ突設したステー70,70を、ナット71を介して締結固定する。
これによって、受板43が第1支持部材55上の定位置に固定される。
なお、第3支持部材53を機台2に対して前方へ移動させると、受板43が枠部材36から離間し、この受板43と枠部材36の間にメンテナンス用の空間が形成され、この空間を利用して切断部4および後述する搬送部5等のメンテナンスを行なうことができる。
【0062】
(切断される肉片の厚さ調節)
電動モーター61を駆動すると、第1支持部材55およびこれに一体的に支持された受板43が、上部リンクアーム56,56の揺動軌跡に拘束される方向に移動する。
すなわち、切断される肉片の厚さを厚くする場合に、電動モーター61を正転駆動して第1支持部材55を前方へ移動させると、第1支持部材55が前下がりに傾斜しながら前側下方へ移動する。
このとき、第1支持部材55に支持された受板43の後面は、前方へ傾倒するように姿勢変化する。
この結果、摺接縁部40の前面と受板43の後面との間隔が拡大するが、側面視において、受板43の後面が、摺接縁部40の揺動中心である支点軸11を中心とする円弧(仮想上の円弧)上に位置する状態は維持される。
すなわち、支点軸11から受板43の後面の上端までの距離と、支点軸から受板43の後面の下端までの距離が等しい状態を維持しながら、摺接縁部40の前面と受板43の後面との間隔が拡大する。
【0063】
電動モーター61を逆転駆動すると、上述と逆の作動によって、摺接縁部40の前面と受板43の後面との間隔が縮小する。
これによって、側面視において切断位置CPと当接位置APとの間隔によって定まる塊状肉FB,FBの切断厚さ、すなわち、切り出される肉片fbの厚さが、切断面の全面にわたって略均一な状態で調節される。
なお、側面視における摺接縁部40の前面の曲率と、受板43の後面の曲率を略等しくしている。
【0064】
このため、厳密には、上述の厚さ調節を行なうと、支点軸11から受板43の後面の上端および下端までの各距離と、支点軸11から受板43の後面の上下方向中間部までの距離とが僅かに相違したものとなる。
しかしながら、この僅かな相違は、切断された肉片fbの商品価値に影響するほどのものとはならない。
また、このように受板43を前方へ傾倒させながら前側下方へ移動させる構成は、この実施例におけるスライサーのように、支点軸11を中心とする摺接縁部40の円弧軌跡の下側領域で塊状肉を切断する構成の場合に適用される。
【0065】
(切断部の引継回転体)
図3、
図4、
図9、
図10に示すように、左右の側板66,66の上部間には、同一軸心上で独立して回転する左右の引継回転体72,72を設ける。
この左右の引継回転体72,72は、胴体73の外周部に、多数の鋭利な突起を形成した環状板74を、互いに間隔をおいて多数配列したものであり、この胴体73,73を、左右の側板66,66にわたって架設した支持軸75上に回転自在に軸受支持する。
なお、この環状板74の周縁部に形成される突起は、切断後の肉片に突き刺さるほどに尖った尖端を有する。
また、
図4に示すように、左右の側板66,66の上部外側面に引継用電動モーター76,76を取り付け、この引継用電動モーター76,76によって駆動される出力軸77,77を、左右の側板66,66に穿設した孔を通して各側板66,66の内側方へ突出させる。
【0066】
この出力軸77,77の突出端部に出力ギヤ78,78を固定し、左右の胴体73,73の外側端部に入力ギヤ79,79を固定し、この出力ギヤ78,78と入力ギヤ79,79を噛み合わせる。
なお、環状板74の周縁部の一部を、受板43の上部に形成した上下方向のスリットに侵入させ、この周縁部に形成した突起を切断中および切断後に間隔部Tから出てくる肉片fb,fbに突き刺すようにして引継回転体72,72上に引き継ぐ。
この際の開口部35の上動速度と引継回転体72,72の環状板74,74の外周速度を同方向および同速度に設定することで、切断された肉片fb,fbを円滑に引継搬送することができる。
【0067】
(折り畳み装置)
図4、
図9、
図10に示すように、上述の支持軸75の前側下方に、左右の揺動用電動モーター80,80によって往復回転する左右の棒状体81,81を配置する。
この左右の棒状体81,81には、長手方向に所定の間隔をおいて多数の細杆82,82を植設する。
この多数の細杆82,82は、支持軸75の回動開始前において、上述の隣接する環状板74,74の間に侵入し、この環状板74,74の上側周面に係止されて搬送される肉片fb,fbに干渉しない待機位置に格納される。
また、左右の揺動用電動モーター80,80と左右の棒状体81,81をユニット化する。
そして、
図11、
図12に示すように、この左右のユニット83,83を、左右の側板66,66の外側部に前上がりに傾斜させて平行に取り付けた2本の丸棒状の案内レール83L,83Lに対して、その長手方向に摺動自在に支持する。
【0068】
更に、左右の側板66,66の外側部に取り付けた左右の出退用電動モーター84,84から動力が供給されるギヤケース84G,84Gの出力軸に、クランクアーム85,85の一端部を取り付け、このクランクアーム85,85の他端部とユニット83,83にターンバックル式のロッド86,86の両端部を軸着する。
これにより、左右の棒状体81,81に植設された多数の細杆82,82は、左右の揺動用電動モーター80,80の作動によって傾斜姿勢が前後方向へ反転するように往復揺動する。
また、これら多数の細杆82,82は、左右の出退用電動モーター84,84の作動によって、ユニットごと案内レール83L,83Lに案内されながら、前上がり傾斜方向へ往復摺動する。
【0069】
(押圧装置)
図4、
図9に示すように、左右の側板66,66の上部間を連結する左右方向のフレーム69の中央部に、電動シリンダー87のシリンダー部を斜め上下方向に向けて取り付ける。
そして、この電動シリンダー87のピストン先端部に、左右方向に延在する押圧部材88の左右方向中央部を取り付ける。
この押圧部材88には、弾性を有した線材を山型に湾曲させて形成した4つの線状押圧部材89を、その一端を押圧部材88に固定し、他端を押圧部材88に穿設した孔に摺動自在に挿入して取り付ける。
【0070】
この状態において、各2つの線状押圧部材89どうしが交錯し、4つの線状押圧部材89の湾曲部が下端に位置する姿勢となる。
電動シリンダー87の伸長作動によって押圧部材88が下方へ移動すると、この押圧部材88の下縁によって、折り畳まれた肉片fbの上面が押圧される。
この後、電動シリンダー87の短縮作動によって押圧部材88が上方へ移動するとき、4つの線状押圧部材89の湾曲部によって、折り畳まれた2列の肉片fb,fbの夫々を、2点で同時に押圧する構成である。
【0071】
(肉片の折り畳みと集合体の形成)
上述の揺動用電動モーター80,80が作動して多数の細杆82が待機位置から前方へ揺動すると、引継回転体72の環状板74の上側周面に載って搬送されてくる肉片fbが、この多数の細杆82の先端部で環状板74の周面から剥ぎ取られる。
このとき、左右方向に並ぶ多数の細杆82の先端部が肉片fbの下面の前後方向中央部に当接し、この肉片fbの前後方向中央部を押し上げ、更に前方へ揺動する。
これによって、肉片fbの前後両端部が自重で垂れ下ることにより、この肉片fbは多数の細杆82の先端部が当接した位置で折り曲がり、二つ折りとなって、後述する搬送方向上手側(後側)の搬送作用部上に置かれる。
このとき、電動シリンダー87が伸長作動し、押圧部材88が下方へ移動し、この押圧部材88の下縁によって、二つ折りになった肉片fbが押圧される。
【0072】
この押圧状態で、出退用電動モーター84,84が作動し、左右の棒状体81,81が、左右の揺動用電動モーター80,80ごと後側下方へ摺動し、二つ折りの肉片fbに挟まれていた多数の細杆82が瞬時に抜き出される。
この後、線状押圧部材89の湾曲部で二つ折りの肉片fbの上面を下方へ押し離しながら、押圧部材88が上方へ退避する。
このような肉片fbの折り畳みを繰り返すことによって、
図11に示すように、折り畳まれた複数の肉片fb(この実施例では6枚の肉片fb)が、その一部どうしが上下に重なるように、搬送作動中の無端ベルト96の搬送始端部上に順次置かれ、肉片fbの集合体BGが形成される。
また、無端ベルト96の搬送速度を断続的に増減速する制御、または、引継回転体72の回転速度と細杆82の揺動タイミングが同期した状態を保ちながら、この細杆82が揺動する時間間隔を断続的に変更する制御等によって、一つの集合体BGと次の集合体BGとの間に所定の間隔が形成される。
【0073】
(搬送部)
図3、
図4、
図9、
図10に示すように、搬送部5は、後端部従動ローラー90と、後部従動ローラー群91と、駆動ローラー92及びこの前後に近接して配置した2つの従動ローラー93,93と、駆動ローラー92の上方に配置した上部従動ローラー92Uと、前部の従動ローラー群とにわたって無端ベルト96を巻き掛けて構成する。
なお、無端ベルト96の上側巻回域における各ローラー間には、この無端ベルト96の内周面を摺接支持する摺接支持板体(図示省略)を設ける。
これによって、搬送始端部から搬送終端部にわたる一連の搬送作用域が形成される。
この一連の搬送作用域は、搬送方向上流側(後側)の搬送作用部5Fと、搬送方向下流側(前側)の搬送作用部5Rから形成される。
【0074】
(搬送方向上手側の搬送作用部)
図3に示すように、第1支持部材55の前後方向中間部上に左右の非対称形状の板体97,97からなる中間部支持台98を搭載する。
すなわち、この左右の板体97,97の下端部に前後方向の軸受穴を有したボス部材を固定し、第1支持部材55の左右両側面部に丸棒状の摺動案内杆の前後両端部を固定し、ボス部材を摺動案内杆に対して前後方向に摺動可能に篏合させる。(ボス部材、摺動案内杆は、いずれも図示省略)
また、摺動案内杆に対するボス部材の摺動位置を固定および固定解除するロック装置(図示省略)を設ける。
中間部支持台98を摺動範囲の後端まで摺動させてロック装置をロックすると、無端ベルト96の巻き掛け周長が拡大し、この無端ベルト96が張られて搬送可能な状態となる。
【0075】
一方、ロック装置をロック解除し、中間部支持台98を前方へ摺動させると、無端ベルト96の巻き掛け周長が縮小して無端ベルト96が弛み、この無端ベルト96を脱着可能な状態となる。
しかして、中間部支持台98における左右の板体97,97の前部に、左右の支持ステー101,101の基部を固定し、この左右の支持ステー101,101の後方延出端部に、左右方向長尺の支持軸102の左右両端部を上下回動自在に軸受支持する。
図4、
図9に示すように、この支持軸102には、左右方向に広幅に形成した上述の後端部従動ローラー90を回転自在に支持する。
これによって、後端部従動ローラー90は、上述の切断部4における間隔部Tの前側下方に位置する。
【0076】
また、この支持軸102の左右両端部には、上辺部と下辺部に分岐形成した揺動アーム103,103の頂部を、それぞれ上下回動自在に軸受支持する。
この揺動アーム103,103における左右の上辺部の間には、2つの後部上側従動ローラー91UF,91URを回転自在に軸支し、揺動アーム103,103における左右の下辺部の間に、2つの後部下側従動ローラー91DF,91DRを回転自在に軸支する。
これによって、上述の後部従動ローラー群91が形成され、この後部従動ローラー群91が、後端部従動ローラー90の前側に配置される。
また、右側の揺動アーム103の頂部から作動アーム104を一体的に垂下させて設ける。
一方、中間部支持台98における右側の板体97の右側面に、上下動用電動モーター105から伝動されるギヤケース106を固定し、このギヤケース106の出力軸107にクランクアーム108の一端部を取り付ける。
【0077】
そして、作動アーム104の先端部(下端部)とクランクアーム108の他端部を、ターンバックル式の連動ロッド109で軸着連結する。
この構成により、上下動用電動モーター105が正転駆動すると、クランクアーム108と作動アーム104が連動して回動し、左右の揺動アーム103,103が支持軸102の軸心を中心として上方回動する。
これによって、2つの後部上側従動ローラー91UF,91URが上昇して無端ベルト96の上側巻回域の内面を押し上げ、一連の搬送作用域における搬送方向上手側の搬送作用部5Fの搬送始端部(後端部)に、前上がりに傾斜する急傾斜面が形成される。
この後、上下動用電動モーター105が逆転駆動すると、左右の揺動アーム103,103が支持軸102の軸心を中心として下方回動し、2つの後部上側従動ローラー91UF,91URが下降して元の位置に復帰する。
【0078】
これによって、無端ベルト96の前部が元の位置まで下がり、搬送作用部5Fの搬送始端部は緩傾斜面に復帰する。
このとき、下降する2つの後部下側従動ローラー91DF,91DRによって無端ベルト96の下側巻回域の内面を押し下げることによって、無端ベルト96の弛みが防止される。
駆動ローラー92は、中間部支持台98における左右の板体97,97の間に配置し、その回転軸110の左右両端部を、ベアリング111,111を介して左右の板体97,97に軸受支持する。
右側の板体97の右側面に、搬送駆動モーター112から動力が供給されるギヤケース113を固定し、このギヤケース113の出力軸に駆動ローラー92の回転軸を連結する。
駆動ローラー92の前後に近接して配置した2つの従動ローラー93,93は、駆動ローラー92よりも高い位置に配置し、左右のベアリング114,114で左右の板体97,97間に軸受支持する。
【0079】
そして、無端ベルト96を、この2つの従動ローラー93,93の上側周面に巻き掛け、更にこの2つの間に配置した駆動ローラー92の下側周面に巻き掛けることによって、駆動ローラー92の下側周面に巻き掛けられる無端ベルト96の巻き掛け周長を長くする。
これによって、駆動ローラー92に対する無端ベルト96の滑りが少なくなる。
また、上述の上部従動ローラー92Uは、中間部支持台98における左右の板体97の上部間に取り付けた左右方向の軸(図示省略)に回転自在に軸受支持し、駆動ローラー92の上方に配置する。
しかして、上述の後端部従動ローラー90から上部従動ローラー92Uにわたる部位を主体として、搬送方向上手側の搬送作用部5Fが形成される。
【0080】
(第2支持部材)
図3に示すように、上述の第3支持部材53の後端部に、左右の板体115,115からなる前部支持台116を固設する。
すなわち、左右の板体115,115の下端部を第3支持部材53の後端部にボルト117,117で締結固定し、この左右の板体115,115の上端部を上述の中間部支持台98における左右の板体97,97の上端部と同等の高さまで延設する。
なお、この前部支持台116は、上述の第1支持部材55との間に前後方向の空間を隔てて配置されており、この第1支持部材55および中間部支持台98との直接的な連結関係はない。
【0081】
(搬送方向下手側の搬送作用部)
しかして、
図3、
図4に示すように、前部支持台116(左右の板体115,115)の上部から、後方へ上下方向が狭幅の左右の延設板体118,118を、後方へ向けて一体的に延設する。
また、この左右の延設板体118,118の各内側面には、この内側面と間隔をおいて、前後方向の丸棒状のガイドレール119,119を配置し、この左右のガイドレール119,119の各前端部と後端部を、延設板体118,118の内側面にステー120,120を介して取り付ける。
そして、前後方向の左右の移動板体121,121と、この左右の移動板体121,121の前後両端部間を連結する前側連結棒122および後側連結棒(図示省略)から、枠組みされた移動枠124を形成する。
【0082】
この移動枠124における左右の移動板体121,121の前部上縁には前下がりに傾斜する傾斜縁部を形成する。
そして、この傾斜縁部に沿って傾斜する前後方向の左右の斜設板体125,125の後端部を、左右の移動板体121,121間に架設した後部支持軸126の左右両端部に上下回動自在に軸支する。
この後部支持軸126には、左右方向に広幅の屈折部従動ローラー127を回転自在に篏合する。
また、左右の移動板体121,121の前端部に、上下方向の円弧状の長孔(図示省略)を形成し、この長孔にボルトを外側から挿通し、このボルトの先端部を左右の斜設板体125,125に設けたウエルドナット129に差し込んで、移動板体121と斜設板体125を共締めして固定する。
【0083】
このボルトを緩めることで、左右の斜設板体125,125の前下がり傾斜角度を調節することができる。
さらに、左右の斜設板体125,125の前端部外側に、左右の支持アーム(図示省略)を取り付け、この左右の支持アームの前端部間を連結軸(図示省略)で連結する。
そして、この連結軸に左右方向に広幅の前端部従動ローラー133を回転自在に軸受支持する。
また、左右の移動板体121,121の後部下側の部位を前下方へ延設し、この左右の延設端部間に架設した軸(図示省略)に、左右方向に広幅の移動ローラー150を回転自在に軸支する。
この移動ローラー150は、移動枠124と共に移動し、前端部従動ローラー133の前後移動によって生じる無端ベルト96の巻き掛け周長の変化を吸収する。
【0084】
しかして、左右の移動板体121,121の外側面における前後2箇所にボス部材134,134を取り付け、このボス部材134,134を上述の左右のガイドレール119,119に前後方向摺動自在に篏合する。
そして、前部支持台116における右側の板体115の右側面に伸縮用電動モーター135から動力が供給されるギヤケース136を固定する。
このギヤケース136の出力軸137における右側の板体115の内側への突出端部に、上下方向姿勢の揺動アーム138の下端部を固定する。
この揺動アーム138の上端部と、前側連結棒122における移動板体121から外側への突出端部に、ターンバックル式の連動ロッド139,139の前後両端部を軸着連結する。
【0085】
以上により、伸縮用電動モーター135が駆動すると、移動枠124側に支持された屈折部従動ローラー127と前端部従動ローラー133が一体で前後方向に移動し、無端ベルト96の搬送終端部(前端部)が前後方向に位置変更する。
この無端ベルト96における屈折部従動ローラー127から前端部従動ローラー133にわたる部位を、往復移動コンベアと称する。
また、上述の第1支持部材55の前端部左右両側の部位に、支持ステー145,145をボルト146,146で締結固定し、この左右の支持ステー145,145間に架設された軸147に、左右方向に広幅の下部従動ローラー148を軸受支持する。
【0086】
前述のように、切断される肉片の厚さが増すように調節するとき、第1支持部材55が第3支持部材53に対して接近するほど(下降するほど)、この第1支持部材55の前部側が後部側よりも大きく下降し、第1支持部材55が前下がりに傾斜していく。
このとき、無端ベルト96の巻き掛け周長が短縮され、無端ベルト96が弛むことになるが、この第1支持部材55の前端部に設けられた下部従動ローラー148が前下方へ移動することで、無端ベルト96の周長変化が吸収される。
しかして、上述の往復移動コンベアを主体として、搬送部5における搬送方向下手側の搬送作用部5Rが形成される。
なお、上述の搬送方向上手側の搬送作用部5Fから、この搬送方向下手側の搬送作用部5Rにわたって、無端ベルト96による一連の搬送作用域が形成される。
なお、上述の各ローラー間には、無端ベルト96における上側巻回域の下面を下から支える摺接板体(図示省略)を設けている。
【0087】
(基本的な切断作動)
しかして、上述のように構成したスライサー1によって、塊状肉FBを切断する基本的な切断作動について説明する。
まず、バラ肉を切断する場合など、搬送通路20を1列として使用する場合は、仕切壁19を取り外しておく。
一方、ロース肉を切断する場合など、搬送通路を2列として使用する場合は、この仕切壁19を装着しておく。
ここでは、搬送通路20を2列として使用する場合を例示して説明するが、1列として使用する場合でも、各部の作動は同様である。
そして、切断する塊状肉FB,FBの種類(バラ肉、ロース肉等)や状態(温度等)等に応じて作動条件を設定し、各部の設定条件等を変更し、後述する起動スイッチ301を操作する。
これによって、切断部4の無端状帯刃49の周回移動と、搬送部5の搬送駆動が開始される。
【0088】
この初期状態において、供給部3は揺動範囲の下限に位置しており、この状態で供給部3に塊状肉FBを投入し、フィードスイッチをON操作すると、塊状肉搬送装置9が駆動を開始する。
これによって、投入された塊状肉FB,FBは塊状肉搬送装置9の搬送作用を受けて前方へ搬送され、この塊状肉FB,FBの先端部が受板43の後面に当接位置APで当接し、この塊状肉FB,FBの先端部の位置が規制される。
そして、この状態から供給部3が上昇揺動するにつれて、塊状肉FB,FBにおける枠部材36の開口部35から突出した部位に、右側から左側へ周回移動する無端状帯刃49の刃縁が上側から切り込んでいく。
この無端状帯刃49による切断位置CPは、枠部材36に備えた摺接縁部40の前面における無端状帯刃49の摺接位置となる。
【0089】
このとき、塊状肉FB,FBの先端部が受板43によって位置規制されているので、無端状帯刃49によって塊状肉FB,FBの先端部が均一な厚みに切断される。
供給部3が揺動範囲の上限近くの位置まで上昇揺動すると、塊状肉FB,FBの先端部が無端状帯刃49によって切り離される。
そして、この所定の厚さに切断された肉片fb,fbが、受板43の上端と無端状帯刃49の下端との間に形成された間隔部Tを通過して、受板43の前側に配置された左右の引継回転体72,72の環状板74,74の上側周面に引き継がれる。
【0090】
この後、供給部3は再び上昇揺動し、上述の塊状肉の切断が繰り返される。
このようにして間隔部Tを通過して引継回転体72,72の環状板74,74の上側周面に引き継がれた肉片fb,fbは、揺動する多数の細杆82,82の先端部で、環状板74,74の周面から剥ぎ取られ、二つ折りとなる。
このようにして、肉片fb,fbの一部どうしが上下に重なるように搬送作動中の無端ベルト96の搬送始端部上に順次置かれ、2列の肉片fb,fbの集合体BG,BGが形成される。
この2列の集合体BG,BGにおいて、各列における集合体BGと次の集合体BGとの間には、所定の間隔(集合体間隔)Pが形成される。
このような切断作業において、切断される肉片fbの厚さを調節する場合、肉厚調節用の電動モーター61を作動させて受板43を枠部材36の摺接縁部40の前面に対して位置調節する。
【0091】
これによって、受板43は、搬送方向上手側の搬送作用部5Fを支持する第1支持部材55と一体で前後方向に移動する。
しかし、搬送方向下手側の搬送作用部5Rを支持する前部支持台116は、機台2側の第3支持部材53に一体的に取り付けられているため、受板43の位置調節の影響を受けて前後方向に移動することはない。
このため、切断する肉片fbの厚さを調節しても、搬送部5における搬送方向下手側の搬送作用部5Rの位置は変化しない。
また、受板43と搬送部5における搬送方向上手側の搬送作用部5Fとの位置関係が変化しないので、切断されて折り畳まれた肉片mは、搬送作用部5Fに円滑に引き継がれて搬送される。
【0092】
(レーザーセンサーの装着)
図1、
図2、
図12~
図17に示すように、上述のように構成したスライサー1において、供給部3の塊状肉搬送装置9の周辺を覆う第1カバー201を装着する。
図12、
図13に示すように、この第1カバー201は、左右の側壁10,10の設置間隔よりも広い左右幅を有し、枠部材36の上側から下部コンベア22の後端部(搬送始端部)の上側付近に至る前後長を有し、下面を開放したフード状に形成する。
そして、この第1カバー201の前側下部に設けた左右の係合部201K,201Kを、切断部4において駆動プーリー46と従動プーリー48の下側に設けた左右の斜設板体側のピン(図示省略)にそれぞれ係合させる。
また、この第1カバー201の後側下部を、左右の斜設板体間を連結するフレーム(図示省略)に締結固定して取り付ける。
【0093】
なお、この第1カバー201の上部左右両側には、左右外側へ向けて傾斜した左右の傾斜面201L,201Rを形成し、この左右の傾斜面201L,201Rの夫々に、取手201H,201Hを取り付ける。
また、この第1カバー201の上面201Uには、前後方向を長辺とする矩形の開口部201Sを形成する。
そして、この上面201Uにおける開口部201Sの長辺側の部位を下方へ折り曲げて左右の垂下部201V,201Vを形成し、この左右の垂下部201V,201Vの前部に、左右方向の支持ピン201Pを固定した左右のステー201T,201Tを取り付ける。
また、左右の垂下部201V,201Vの後部には、左右方向中間部を小径に形成した段付きピン201D,201Dを取り付ける。
【0094】
なお、上面201Uにおける開口部201Sの右側の部位に、この開口部201Sと平行に矩形の開口部202Sを形成し、この開口部202Sを着脱可能な蓋板202Pで覆う。
この蓋板202Pを取り外すことによって、第1カバー201を取り付けたまま、この第1カバー201の内部の視認やメンテナンスを行うことができる。
一方、
図14に示すように、上述の開口部201Sに着脱自在に装着する第2カバー203を設ける。
この第2カバー203は、下面を開放した箱状に形成し、開口部201Sに嵌合する大きさに形成する。
この第2カバー203の左右の側壁203L,203Rには、その前部に上述の左右の支持ピン201P,201Pが嵌入する上下方向の溝203M,203Mを形成する。
また、その後部に、上述の段付きピン201D,201Dの小径部が嵌入する溝203N,203Nを形成する。
【0095】
そして、この第2カバー203の上壁203Uと後壁203Bに、取手203Hを取り付ける。
この第2カバー203の上壁203Uの下面に、レーザー光を用いて物体の断面プロファイルを測定する光切断方式のレーザーセンサー(請求項の「センサー」)204を、螺子205によって締結して取り付ける。
このレーザーセンサー204のハーネス204Hは、左側壁203Lの後端部に取り付けたゴム製のガイド部材204Gから外部へ引き出す。
しかして、
図15~
図17に、この第2カバー203を第1カバー201の開口部201Sに装着した状態を示す。
すなわち、取手203Hを持って、第2カバー203側の後部の溝203N,203Nを、第1カバー201側の段付きピン201D,201Dの小径部に嵌合させる。
【0096】
また、第2カバー203側の前部の溝203M,203Mを、第1カバー201側の支持ピン201P,201Pに嵌合させて載置する。
なお、この後部の溝203Nと段付きピン201Dとの嵌合部、および、前部の溝203Mとピン201Pとの嵌合部を、位置規制部(請求項の「位置規制部」)201PKと称する。
この状態で、左右の支持ピン201P,201Pの先端部に形成した雄螺子部に、ノブ205N,205Nの雌螺子部を螺合させ、左右の側壁203L,203Rを挟むように締結固定する。
これによって、第2カバー203を第1カバー201上に搭載するような状態で装着することができる。
この状態において、レーザーセンサー204が塊状肉搬送装置9における下部無端ベルト25の上面から上方へ離間させて配置される。
【0097】
そして、塊状肉搬送装置9によって送られる下部無端ベルト25上の塊状肉FBの断面プロファイル(または外形状)を、塊状肉搬送装置9の送り経路における中間部上方の固定位置から測定することができる。
また、第1カバー201と第2カバー203によって、レーザーセンサー204と塊状肉搬送装置9の周辺が覆われるので、レーザーセンサー204による断面プロファイルの測定に、外乱光の影響を受けにくくなる。
なお、作業終了後など、スライサー1の洗浄を行う際には、ノブ205N,205Nを緩めて第2カバー203ごとレーザーセンサー204を取り外すことができるので、洗浄時の水分の影響を防止することができる。
【0098】
(スライサーの制御回路)
図1、
図2に示すように、制御部7に備えたコントローラー300には、タッチパネル式のモニター7Aを接続する。
このモニター7Aには、各種の数値情報や文字情報が表示されると共に、タッチ操作可能な図形化されたスイッチ(請求項における「要素」)が表示される。
【0099】
しかして、
図18に示すように、コントローラー300に対して、その入力側に、モニター7Aと、起動スイッチ301と、トレーサイズ選択スイッチ302と、1つのトレーの盛付重量を設定する盛付重量設定スイッチ303と、基準スライス厚設定スイッチ304と、基準厚さ範囲設定スイッチ305と、範囲外スライス枚数設定スイッチ306と、基準スライス上限枚数設定スイッチ307と、基準スライス下限枚数設定スイッチ308と、基準比重(密度)選択スイッチ309と、集合体間隔形成用移動量基準値設定スイッチ310と、等厚定量制御有効/無効切換スイッチ311と、スキャンモードON/OFFスイッチ(請求項の「第1操作要素」)312と、作業開始スイッチ(請求項の「第2操作要素」)313と、スライス肉縦幅自動設定入り切りスイッチ314と、並列長さ手動設定スイッチ315と、並列枚数手動設定スイッチ316と、折り畳み制御有効/無効切換スイッチ317と、1列/2列設定スイッチ317Gと、厚切りモードスイッチ317Cと、測定タイミング切換スイッチ317Dと、供給部揺動角度計測用エンコーダ318と、下部無端ベルト移動距離計測用エンコーダ319と、左側引継回転体回転位相計測用エンコーダ320と、右側引継回転体回転位相計測用エンコーダ321と、左側棒状体回動角度検出用エンコーダ322と、右側棒状体回動角度検出用エンコーダ323と、押圧部材作動用の電動シリンダー伸縮位置計測用ポテンショメータ324と、揺動アーム揺動角度検出用エンコーダ325と、コンベア移動距離計測用エンコーダ326と、コンベア終端部進退位置計測用センサー327と、レーザーセンサー204とを接続する。
【0100】
一方、コントローラー300の出力側には、切断用モータードライバ331と、揺動用モータードライバ332と、搬送用モータードライバ333と、左側引継用モータードライバ334と、右側引継用モータードライバ335と、左側揺動用モータードライバ336と、右側揺動用モータードライバ337と、左側出退用モータードライバ338と、右側出退用モータードライバ339と、電動シリンダー伸縮用ソレノイド340と、搬送駆動用モータードライバ341と、上下動用モータードライバ342と、伸縮用モータードライバ343と、肉厚調節用モータードライバ344とを接続する。
【0101】
(入力側に接続されたスイッチ/センサー類の説明)
上述のコントローラー300の入力側に接続された起動スイッチ301は、スライサー1全体を起動するためのものであり、コントローラー300の出力側からモータードライバ等へ指令信号を出力可能な状態に切り替えるためのものである。
この起動スイッチ301の入り操作によって、コントローラー300の出力側から、まず、切断用モータードライバ331と、揺動用モータードライバ332と、搬送用モータードライバ333と、左側引継用モータードライバ334と、右側引継用モータードライバ335へ指令信号が出力され、切断部4と供給部3と搬送部5の駆動が開始される。
トレーサイズ選択スイッチ302は、予め登録された大きさの異なる複数のトレーから、使用するトレーを選択するためのものである。
【0102】
盛付重量設定スイッチ303は、例えば200gなど、一つのトレーに盛り付ける集合体BGの重量(目標重量)を設定するためのものである。
基準スライス厚設定スイッチ304は、一つの集合体BGを形成する肉片fbの基準となる厚さを設定するためのものである。
基準厚さ範囲設定スイッチ305は、一つの集合体BGを形成する肉片fbの厚さの基準範囲を設定するためのものである。
基準スライス上限枚数設定スイッチ307は、一つの集合体BGを形成する肉片fbの枚数の上限値を設定するためのものである。
基準スライス下限枚数設定スイッチ308は、一つの集合体BGを形成する肉片fbの枚数の下限値を設定するためのものである。
【0103】
範囲外スライス枚数設定スイッチ306は、一つの集合体BGを形成するうえで不適切な枚数(多すぎる枚数または少な過ぎる枚数)であるか否かを判定するための基準となる枚数の範囲を設定するためのものである。(断面が小さい屑肉の場合は、この範囲を超えた枚数となる。)
基準比重設定スイッチ309は、豚バラ、豚ロース、牛ロースなど、塊状肉FBの種類に応じて複数の比重の基準値をコントローラー300に登録しておき、作業者がこの比重の基準値の中から選択して設定するためのものである。なお、作業者が、塊状肉FBの脂身の割合等を目視で判断し、この基準値を変更することも可能である。
集合体間隔形成用移動量基準値設定スイッチ310は、搬送部5の無端ベルト96の間欠移動によって、この無端ベルト96上に形成される複数の集合体BGの相互間隔を設定するために、この無端ベルト96の連続移動量を設定するためのものである。
【0104】
等厚定量制御有効/無効切換スイッチ311は、等しい厚さの肉片fbから、目的とする重量の集合体BGを得るという、本願発明の制御機能を有効または無効に切り換えるためのものである。
スキャンモードON/OFFスイッチ312は、レーザーセンサー204によって測定対象の塊状肉FBの先端部を自動的に探し、この先端部の発見後に、塊状肉FBの所定長さの部位の断面プロファイルを測定する動作を行わせるためのものである。
作業開始スイッチ313は、スライサー1の供給部3、切断部4、搬送部5等を起動して切断作業を開始させるためのものである。
スライス肉縦幅自動設定入り切りスイッチ314は、切り出される肉片fbを折り畳む位置を変更し、肉片fbの縦幅(搬送方向における長さ)を自動的に調整するための制御を有効または無効に切り換えるためのものである。
【0105】
並列長さ手動設定スイッチ315は、一つの集合体BGの全長の基準値を設定するためのものである。
並列枚数手動設定スイッチ316は、一つの集合体BGを形成する肉片fbの基準枚数を設定するためのものである。
折り畳み制御有効/無効切換スイッチ317は、肉片fbを中間部で折り畳む制御を有効または無効に切り換えるためのものである。
1列/2列設定スイッチ317Gは、仕切壁19を取り外して1列の搬送通路20を形成して切断作業を行う1列処理と、仕切壁19を装着して左右2列の搬送通路20,20を形成して切断作業を行う2列処理とを択一選択するものである。
厚切りモードスイッチ317Cは、集合体GBを形成するために複数の薄い肉片fbを切り出す状態から、厚い肉片fbを1枚ずつ間隔をおいて切り出す状態に切り換えるものである。
測定タイミング切換スイッチ317Dは、レーザーセンサー204による断面プロファイルの測定タイミングを切り換えるものである。
【0106】
供給部揺動角度計測用エンコーダ318は、供給部3の上下揺動角度を計測するものである。
下部無端ベルト移動距離計測用エンコーダ319は、搬送用電動モーター31の回転数等から、供給部3における下部無端ベルト25の移動距離(塊状肉の搬送距離)を計測するものである。
左側引継回転体回転位相計測用エンコーダ320は、左側の引継回転体72の回転角度を計測するものである。
右側引継回転体回転位相計測用エンコーダ321は、右側の引継回転体72の回転角度を計測するものである。
左側棒状体回動角度検出用エンコーダ322は、多数の細杆82を備えた左側の棒状体81の回転角度を計測するものである。
右側棒状体回動角度検出用エンコーダ323は、多数の細杆82を備えた右側の棒状体81の回転角度を計測するものである。
【0107】
電動シリンダー伸縮位置計測用ポテンショメータ324は、線状押圧部材89を備えた押圧部材88を上下動させる電動シリンダー87の伸縮位置を計測するものである。
揺動アーム揺動角度検出用エンコーダ325は、搬送部5の始端部に設けられた揺動アーム103の上下揺動角度を計測するものである。
コンベア移動距離計測用エンコーダ326は、搬送駆動モーター112の回転数等から、搬送部5における無端ベルト96の移動距離量(搬送距離)を計測するものである。
コンベア終端部進退位置計測用センサー327は、伸縮用電動モーター135の回転数等から、搬送部5の搬送方向下手側の搬送作用部(第2搬送作用部)5Rの搬送終端部の移動位置を計測するものである。
レーザーセンサー204の構造および機能については後述する。
【0108】
(出力側に接続されたドライバ等の説明)
一方、上述のコントローラー300の入力側に接続された切断用モータードライバ331は、切断用電動モーター44に電力を供給して、無端状帯刃49を駆動制御するものである。
揺動用モータードライバ332は、揺動用電動モーター13に電力を供給して、供給部3を斜め上下方向に揺動駆動制御するものである。
搬送用モータードライバ333は、搬送駆動モーター112に電力を供給して、搬送部5を駆動制御するものである。
左側引継用モータードライバ334は、左側の引継用電動モーター76に電力を供給して、左側の引継回転体72を駆動制御するものである。
右側引継用モータードライバ335は、右側の引継用電動モーター76に電力を供給して、右側の引継回転体72を駆動制御するものである。
【0109】
左側揺動用モータードライバ336は、左側の揺動用電動モーター80に電力を供給して、多数の細杆82を備えた左側の棒状体81を駆動制御するものである。
右側揺動用モータードライバ337は、右側の揺動用電動モーター80に電力を供給して、多数の細杆82を備えた右側の棒状体81を駆動制御するものである。
左側出退用モータードライバ338は、左側の出退用電動モーター84に電力を供給して、左側の棒状体81ごと細杆82を出退駆動制御するものである。
右側出退用モータードライバ339は、右側の出退用電動モーター84に電力を供給して、右側の棒状体81ごと細杆82を出退駆動制御するものである。
電動シリンダー伸縮用ソレノイド340は、電動シリンダー87を作動させて、線状押圧部材89を備えた押圧部材88を上下動させるものである。
【0110】
搬送駆動用モータードライバ341は、搬送駆動モーター112に電力を供給して、搬送部5の無端ベルト96を駆動制御するものである。
上下動用モータードライバ342は、上下動用電動モーター105に電力を供給して、揺動アーム103を上下揺動制御するものである。
伸縮用モータードライバ343は、伸縮用電動モーター135に電力を供給して、搬送部5の搬送方向下手側の搬送作用部5Rの搬送終端部を前後方向に移動制御するものである。
肉厚調節用モータードライバ344は、電動モーター61に電力を供給して、受板43を移動制御するものである。
【0111】
(レーザーセンサーによる断面プロファイルの測定)
図19に示すように、レーザーセンサー204は、光切断法を利用したプロファイル測定器である。
このレーザーセンサー204には、その筐体204Aの内部に、帯状のレーザー光LA1を投光する投光器204Bと、反射光LA2を受光する受光レンズ204Cと、この受光レンズ204Cを通過した反射光LA2を受光する撮像素子204Dと、コントローラー204Eを内蔵する。
そして、このレーザーセンサー204は、投光器204Bから投光されるレーザー光LA1が、下部無端ベルト25の上面に対して側面視で略直角に投光される姿勢に設置する。
また、
図20、
図22、
図34、
図35に示すように、このレーザー光LA1の投光位置は、枠部材36の摺接縁部40の前面(切断位置CP)に対して、設定距離Dだけ搬送方向(請求項の「送り方向」)上流側へ偏倚した投光位置(請求項の「測定位置」)LPに設定する。
【0112】
これにより、投光されたレーザー光LA1は、
図20~
図23に示すように、正面視で拡がり角をもって投光され、食料FBおよび下部無端ベルト25の上面に、平面視で左右方向の直線を描くように当たる。
そして、塊状肉FBの上面の反射点RA1で反射した反射光LA2と、下部無端ベルト25の上面の反射点RA2で反射した反射光LA3とでは、各反射点RA1,RA2の高さの差によって、受光レンズ204Cへの入射角度が異なったものとなる。
これによって、受光レンズ204Cを通過した反射光LA2およびLA3は、撮像素子204D上において座標がずれた位置で受光される。
また、投光器204Bと受光レンズ204Dの間の基礎線分長Lは予め固定設定されている。
【0113】
このため、撮像素子204Dで検出された座標のずれから、反射光LA2,LA3の受光角度θ2を求め、この受光角度θ2と、基礎線分長Lと、基礎線分に対するレーザー光LA1の投光角度θ1から、三角法によって各反射点までの距離を算出することができる。
この算出は、レーザーセンサー204に備えたコントローラー204Eによって行われ、この算出結果がスライサー1のコントローラー300へ送信される。
これを用いて、塊状肉FBに向けてレーザー光LA1を投光し、この塊状肉FBの外周上の多数の反射点までの距離を算出することで、この塊状肉FBの断面プロファイル(断面の形状や大きさ。高さ寸法や左右幅寸法を含む。)を測定することができる。
(なお、投光されたレーザー光LA1が反射点で拡散するように反射しても、反射点と受光レンズ204Cの中心点とをつなぐ直線上に反射光LA2,LA3が存在すれば、上述の距離の算出は可能である。)
【0114】
図20、
図21に、豚バラ肉等の幅が大きく高さの低い塊状肉FBを切断するために、供給部3において仕切壁19を取り外し、1列の搬送通路20を形成した状態を示す。
塊状肉FBは、周回移動する無端状帯刃49との摺接および切断抵抗により、左側の側壁10の内側面に接触した状態で搬送される。
この状態で、搬送通路20の左右の側壁10,10の両内側面にまでレーザー光LA1が当たるように、レーザー光LA1の拡がり角と、レーザーセンサー204の設置高さを設定する。
また、
図22、
図23に、豚ロース等の幅が狭く高さの高い塊状肉FBを切断するために、仕切壁19を装着し、2列の搬送通路20,20を形成した状態を示す。
周回移動する無端状帯刃49との摺接および切断抵抗により、右側の塊状肉FBは、仕切り壁19の右側面に接触し、左側の塊状肉FBは、左側の側壁10の内側面に接触した状態で搬送される。
【0115】
この状態でも、レーザーセンサー204を仕切壁19の直上方に配置することで、仕切壁19による死角の発生を抑えることができる。
これによって、1列および2列であっても、この搬送通路20内を搬送される塊状肉FBの断面プロファイルを測定することができる。
なお、レーザー光LA1は塊状肉FBの下面までは当たらないが、この塊状肉FBの下面は、下部無端ベルト25との接触によって平面状となっているため、断面プロファイルの測定上の誤差は僅少である。
なお、2列の場合、レーザーセンサー204によって仕切壁19を検出できるため、この仕切壁19の両側に存在する2列の塊状肉FB,FBの断面プロファイルをそれぞれ独立して測定することができる。
なお、供給部3が揺動範囲の下端位置まで下降揺動する途中、または、下端位置まで下降揺動した時点で、塊状肉搬送装置9が作動し、切断位置CPと当接位置APの間隔に略等しい量だけ、塊状肉FB,FBの先端部を送り出す。
また、供給部3が揺動範囲の下端部付近に至ったときに、レーザーセンサー204によって塊状肉FBの断面プロファイルが測定される。
また、測定タイミング切換スイッチ317Dによって、塊状肉FBの先端部が、後述するスライス厚L1(請求項の「第2寸法」)だけ送り出されて停止したときにこの塊状肉FBの断面プロファイルを測定する状態と、塊状肉FBの先端部が、スライス厚L1にわたって送り出されている間にこの塊状肉FBの断面プロファイルを測定する状態とに、切換自在としている。
【0116】
(集合体の形成制御)
しかして、
図24~
図33に示すフローチャート、および
図34~
図38に示す説明図に基づいて、塊状肉FBの切断から肉片fbの集合体BGの形成までの処理について説明する。
なお、供給部3の搬送通路を1列にした場合と2列にした場合とで、共通する制御を中心に説明し、2列とした場合の特有な制御については補足説明する。
また、供給部3の左右の搬送通路20,20にわたって設けた下部無端ベルト25と、搬送部5に設けた無端ベルト96を、左右に分割形成し、夫々独立して駆動するものとすれば、左右両方の搬送通路20,20に塊状肉FBを供給して集合体GBの形成制御を行うことも可能である。
【0117】
(STEP1)
図24に示すように、まず作業前に、モニター7Aのタッチパネルの操作によって、各種の手動設定を行う。
この手動設定を以下に列記する。
まず、肉片fbの集合体BGの盛り付けに使用するトレーのサイズを、予め登録された大きさの異なる複数のトレーから、作業者がトレーサイズ選択スイッチ302で選択して設定する。
また、一つのトレーに盛り付ける集合体BGの設定重量(目標重量)Gsを、作業者が盛付重量設定スイッチ303を操作して設定する。
また、集合体BGを形成する肉片fbの基準スライス厚L0を、作業者が基準スライス厚設定スイッチ304を操作して設定する。
【0118】
また、集合体BGを形成する肉片fbの基準厚範囲LWを、作業者が基準厚さ範囲設定スイッチ305を操作して設定する。
また、集合体BGを形成する肉片fbの枚数の上限とする基準スライス上限枚数Mmaxは、作業者が基準スライス上限枚数設定スイッチ307を操作して設定する。
また、集合体BGを形成する肉片fbの枚数の下限とする基準スライス下限枚数Mminを、作業者が基準スライス下限枚数設定スイッチ308を操作して設定する。
なお、集合体BGを形成する肉片fbの基準スライス枚数M0は、基準スライス上限枚数Mmaxと、基準スライス下限枚数Mminの中心値として設定される。
【0119】
また、集合体BGを形成するうえで不適切な枚数(多すぎる枚数または少な過ぎる枚数)であるか否かを判定するための基準となる枚数の範囲を設定するために、範囲外スライス枚数Moutを、作業者が範囲外スライス枚数設定スイッチ306を操作して設定する。
また、塊状肉FBの種類に応じて、作業者が基準比重選択スイッチ309を操作し、基準比重Hsを選択する。
また、無端ベルト96上に形成される複数の集合体BGの相互間隔となる集合体間隔形成用移動量基準値P0を、作業者が集合体間隔形成用移動量基準値設定スイッチ310を操作して設定する。
【0120】
(STEP2)
そして、作業者が、塊状肉FBを塊状肉搬送装置9における任意の位置へ投入する。
なお、この塊状肉FBの投入は、塊状肉FBの先端部が受板43の後面に当接するまで押し込むのが好ましい。
(STEP3)
ここで、等厚定量制御有効/無効切換スイッチ311が有効状態に切り換えられているか否かの判定がなされ、有効状態に切り換えられている場合に、次のステップへ移行する。
(STEP4)
そして、スキャンモードON/OFFスイッチ312がONに切り換えられたか否かの判定がなされ、ONに切り換えられた場合に次のステップへ移行する。
(STEP5)
このステップでは、
図25に示すスキャンモードが開始される。
【0121】
(STEP100)
このスキャンモードが開始されると、レーザーセンサー204によって塊状肉FBを検出したか否かが判定される。
すなわち、レーザーセンサー204によって断面プロファイルが検出された場合、投光位置LPに塊状肉FBが存在すると判定する。
これによって、塊状肉FBの先端部が、投光位置LPよりも搬送方向下流側(送り方向下流側)の位置まで投入されているか否かが判定される。
そして、この判定の結果、投光位置LPに塊状肉FBが存在すると判定された場合に、次のステップへ移行する。
【0122】
(STEP101)
スキャンモードの開始時に、投光位置LPに塊状肉FBが存在する場合、塊状肉FBが搬送方向下流側へ過投入されているため、この塊状肉FBの先端部の断面プロファイルを測定することができない。
このため、コントローラー300から搬送用モータードライバ333へ後進出力(搬送方向上流側へ駆動する出力)がなされ、搬送用電動モーター31が逆転駆動し、塊状肉搬送装置9上の塊状肉FBが搬送方向上流側(請求項の「送り方向上流側」)へ搬送される。
(STEP102)
そして、レーザーセンサー204によって、この塊状肉FBの先端部が検出されたか否かが判定され、検出された場合に、次のステップへ移行する。
【0123】
(STEP103)
すなわち、コントローラー300から搬送用モータードライバ333への後進出力が停止され、塊状肉FBの搬送方向上流側への搬送が一旦停止する。
(STEP104)
続いて、コントローラー300から搬送用モータードライバ333への前進出力(搬送方向下流側へ駆動する出力)が開始され、搬送用電動モーター31が正転駆動し、塊状肉FBの搬送方向下流側(請求項の「送り方向下流側」)への搬送が開始される。
なお、上述のSTEP100において、レーザーセンサー204によって塊状肉FBが検出されなかった場合には、この塊状肉FBを搬送方向上流側へ一旦搬送することなく、搬送方向下流側への搬送が開始される。
【0124】
(STEP105)
この塊状肉FBの搬送方向下流側への搬送中に、レーザーセンサー204によってこの塊状肉FBの先端部が検出されたか否かが判定される。
そして、塊状肉FBの先端部が検出されたと判定された場合に、次のステップへ移行する。
塊状肉FBの先端部が検出されるまで、搬送方向下流側への搬送が継続される。
(STEP106)
そして、レーザーセンサー204によってこの塊状肉FBの先端部が検出された時点で、コントローラー300から搬送用モータードライバ333へ、設定距離Dに相当する距離を搬送するだけの出力がなされる。
この出力によって搬送用電動モーター31が正転駆動し、塊状肉搬送装置9の下部無端ベルト25の上面が、上述の設定距離D(切断位置CPと投光位置LPの間の距離)に等しい距離だけ搬送方向下流側へ移動する。
【0125】
設定距離Dの移動が完了した時点で、コントローラー300から搬送用モータードライバ333への出力が停止し、下部無端ベルト25の移動が停止する。
このとき、下部無端ベルト25上の塊状肉FBの先端部は、受板43の後面の当接位置APで当接して位置決めされる。
なお、この塊状肉FBの搬送方向下流側への搬送中に、レーザーセンサー204によって投光位置LPで多数の断面プロファイルが順次測定され、設定距離D分の断面プロファイル群α0が第1プロファイル情報(請求項の「第1プロファイル情報」)としてコントローラー300に格納される。
この設定距離D分の断面プロファイル群α0の格納によって、スキャンモードが終了する。
【0126】
(STEP6)
図24に示すように、スキャンモードが終了したと判定された場合に、次のステップへ移行する。
(STEP7)
すなわち、作業開始スイッチ313がON操作されたか否かが判定される。
(STEP8)
そして、作業開始スイッチ313がON操作されたと判定された場合に、切断部4の駆動と、供給部3の上下揺動と、塊状肉搬送装置9の前進駆動(搬送方向下流側への駆動)と、搬送部5の無端ベルト96の搬出駆動とが開始される。
これによって、塊状肉FBから肉片fbを切り出す切断作業が開始される。
(STEP9)
作業の開始によって、作業中測定モードへ移行する。
【0127】
(STEP200)
切断作業中、塊状肉FBの先端から肉片fbが切断されるごとに、この肉片fbの厚さ分だけ、塊状肉FBが搬送方向下流側へ送られる。
図26に示すように、この切断作業中に、レーザーセンサー204によって、塊状肉FBにおける上述の設定距離D相当位置よりも後側の部位の断面プロファイルが順次測定され、断面プロファイル群αnが順次取得される。
この断面プロファイル群αnが第2プロファイル情報(請求項の「第2プロファイル情報」)として格納されていく。
【0128】
(STEP201)
一方、盛付重量設定スイッチ303で設定された設定重量Gsと、基準比重選択スイッチ309で選択した塊状肉FBの比重Hsから、次式によって、設定重量Gsとするために必要な塊状肉FBの体積V0を算出する。
V0=Gs/Hs
(STEP202)
そして、この体積V0を満たすために必要な塊状肉FBの長さ(請求項の「第1寸法」)LFを、格納された断面プロファイル群α0およびαnに基づいて、次式で算出する。
LF=V0/β
(β:断面プロファイル群α0またはαn中の面積成分)
この長さLFを
図34、
図35に示す。
【0129】
また、1列/2列設定スイッチ317Gで2列作業を設定している場合、設定重量Gsとするために必要な体積として、一側の塊状肉FBにおいて必要な体積V01と、他側の塊状肉FBにおいて必要な体積V02を夫々算出する。
また、一側のくず肉判定基準値Kout1と他側のくず肉判定基準値Kout2を、次式で算出しておく。
Kout1=V01×1/2
Kout2=V02×1/2
【0130】
(STEP300)
そして、
図27に示すように、スライス枚数Mの取得を行う。
すなわち、スライス枚数MFは、次の式で演算される。
MF=LF/L0
このMFを、四捨五入によって整数化したMに置換する。
(STEP301)
そして、このスライス枚数Mが、上述の基準スライス上限枚数Mmaxと基準スライス下限枚数Mminの間の値であるか否か(MmaxとMminの間に形成される範囲内にあるか否か)が判定される。
【0131】
(STEP302)
スライス枚数Mが基準スライス上限枚数Mmaxと基準スライス下限枚数Mminの間の値である場合、スライス厚(請求項の「第2寸法」)L1を次式により算出する。
L1=LF/M
すなわち、このスライス厚L1は、体積V0を満たすために必要な塊状肉FBの長さ(請求項の「第1寸法」)LFを、スライス枚数Mで等分割したものである。
このスライス厚L1を、
図34、
図35に示す。
この
図34、
図35に示す例では、体積V0を満たすために必要な塊状肉FBの長さLFを、スライス厚L1の11枚の肉片fbに等分割している。
(STEP303)
そして、このスライス厚L1が基準厚範囲LW内にあるか否かが判定される。
(STEP304)
スライス厚L1が基準厚範囲LW内にあると判定された場合、このスライス厚L1を確定する。
【0132】
(STEP307)
なお、STEP303においてスライス厚L1が基準厚LW内に無いと判定された場合には、スライス枚数Mとして、基準スライス枚数M0か、または、範囲外スライス枚数Moutを設定する。
この場合のスライス厚は、基準スライス厚L0に確定する。
(STEP305)
スライス厚L1または基準スライス厚L0が確定した後、1列/2列設定スイッチ317Gによって1列処理に設定されているか否かの判定を行う。
(STEP306)
1列処理に設定されていると判定された場合に、肉厚調節が行われる。
すなわち、切断位置CPと当接位置APの間隔を、STEP304で確定したスライス厚L1に一致させるために必要な受板43の移動量が算出される。
【0133】
そして、この移動量に基づいて肉厚調節用モータードライバ344へ出力がなされ、肉厚調節用の電動モーター61が作動して受板43が自動的に移動し、切断位置CPと当接位置APの間隔がスライス厚L1に一致する。
この状態で、塊状肉FBをスライス厚L1に等しい距離だけ搬送する(送り出す)ごとに(塊状肉FBの先端部が切断位置CPから距離L1だけ突出して当接位置APに当接するごとに)、この塊状肉FBの先端部が切断位置CPで切断され、L1の厚さを有した肉片fbが順次切り出される。
すなわち、1枚の肉片fbを切り出すごとに行われる塊状肉FBの搬送距離(塊状肉FBの先端部の送り出し量)は、スライス厚L1に一致するように、このスライス厚L1の変化に応じて自動的に調整される。
なお、厚切りモードスイッチ317Cが有効状態に切り換えられた場合は、受板43の移動量が変更され、切断位置CPと当接位置APの間隔が、体積V0を満たすために必要な塊状肉の長さ(請求項の「第1寸法」)LFに一致するように制御される。
この状態で、塊状肉FBをLFに等しい距離だけ搬送する(送り出す)ごとに(塊状肉FBの先端部が切断位置CPから距離LFだけ突出して当接位置APに当接するごとに)、この塊状肉FBの先端部が切断位置CPで切断され、LFの厚さを有した肉片fbが順次切り出される。
(STEP400)
この後、
図29に示す、切り出された肉片fbの折り畳み制御が行われる。
【0134】
(STEP500)
まず、折り畳み制御有効/無効切換スイッチ317が有効側に切り換えられているか否かが判定される。
(STEP501)
この判定によって、有効側に切り換えられていると判定された場合、スライスされた肉片fbの折り畳み後の縦幅Xの算出が行われる。
(STEP502)
すなわち、レーザーセンサー204によって測定された塊状肉FBの第1プロファイル情報または第2プロファイル情報から、スライスされる肉片fbの縦幅算出値Aを算出する。
そして、この縦幅算出値Aと折り畳み変数Yから、肉片fbの縦幅Xを次式で算出する。
X=A×Y
なお、折り畳み変数Yの値は、肉片fbの折り畳み位置によって変化し、肉片fbの縦幅の中心で折り畳む場合は、Y=0.5となる。
なお、この肉片fbの縦幅とは、肉片fbまたは折り畳まれた肉片fbの搬送方向における長さを意味する。
【0135】
(STEP505)
一方、STEP500で折り畳み制御有効/無効切換スイッチ317が有効側に切り換えられていないと判定された場合、折り畳み位置の算出を行なう。
(STEP506)
すなわち、断面プロファイルから取得される肉片fbの縦幅算出値Aと、折り畳み変数R1と、折り畳み位置設定値Sから、次式によって折り畳み位置Zが算出される。
Z=A×S×R1
(STEP503)
上述のSTEP502で算出された肉片fbの縦幅Xと、STEP506で算出された肉片fbの折り畳み位置Zに基づいて、コントローラー300から左側引継用モータードライバ334と右側引継用モータードライバ335へ出力がなされる。
これによって、左右の引継用電動モーター76,76が駆動し、左右の引継回転体72,72が回転する。
この回転角度(回転パルス)を左右の引継回転体回転位相計測用エンコーダ320,321によって測定し、この回転角度が折り畳み位置Zに達したときに、STEP504へ移行する。
【0136】
(STEP504)
すなわち、コントローラー300から左右の揺動用モータードライバ336,337へ出力がなされ、左右の揺動用電動モーター80,80が駆動する。
これによって、左右の細杆82,82が下方揺動し、肉片fbの縦幅の中間部を細杆82の先端で突き上げるようにして、肉片fbの折り畳みが開始される。
(STEP401)
一方、
図28に戻り、並列ピッチが算出される。
まず、スライス肉縦幅自動設定入り切りスイッチ314が入りになっているか否かが判定される。
(STEP402)
次に、上述のSTEP502で算出された縦幅算出値Xと、並列長さ手動設定スイッチ315で設定した並列長さ手動設定値Eと、STEP300で取得したスライス枚数Mに基づいて、並列形態の自動設定が行われる。
【0137】
(STEP403)
すなわち、並列ピッチKを次式で算出する。
K=(E-X)/(M-1)
(STEP404)
そして、コントローラー300から搬送駆動用モータードライバ341へ出力がなされ、搬送駆動モーター112に電力が供給されて、搬送部5の無端ベルト96が並列ピッチKに等しい距離だけ前進駆動される。
(STEP405)
そして、引継回転体72上の肉片fbが、細杆82の下方揺動によって無端ベルト96の始端部上に載置される。
(STEP406)
無端ベルト96上に載置した肉片fbの枚数が、STEP300で取得したスライス枚数Mに一致するまで、この動作を繰り返す。
【0138】
(STEP407)
このとき、集合体間隔の自動演算が有効になっているか否かが判定される。
(STEP408)
そして、集合体間隔の自動演算が有効になっていると判定された場合には、コンベア有効長をLとし、集合体BGの数をRとすると、集合体間隔形成用のコンベア移動量(無端ベルト96の駆動量)Pが次式で算出される。
P=(L-E×R)/(R-1)
(STEP409)
そして、コントローラー300から搬送駆動用モータードライバ341へ出力がなされ、搬送駆動モーター112が駆動して、搬送部5の無端ベルト96がPに等しい距離だけ連続的に移動する。
以上によって、
図36、
図37に示すように、M枚の肉片fbが並列ピッチKずつずれた状態で重なりながら、集合体BGが形成される。
そして、隣接する集合体BG間に、Pに等しい長さの間隔が形成される。
この後、STEP300へリターンする。
【0139】
(STEP410)
一方、STEP401でスライス肉縦幅自動設定入り切りスイッチ314が入りになっていないと判定された場合、手動操作で設定したスライス肉の縦幅設定値Jと、並列長さ手動設定スイッチ315で設定した並列長さ手動設定値Eと、並列枚数手動設定スイッチ316で設定した並列枚数手動設定値Fとに基づいて、並列形態の手動設定が行われる。
(STEP411)
すなわち、並列ピッチKを次式で算出する。
K=(E-X)/(F-1)
(STEP412)
そして、コントローラー300から搬送駆動用モータードライバ341へ出力がなされ、搬送駆動モーター112に電力が供給されて、搬送部5の無端ベルト96が並列ピッチKに等しい距離だけ前進駆動される。
【0140】
(STEP413)
そして、引継回転体72上の肉片fbが、細杆82の下方揺動によって無端ベルト96の始端部上に載置される。
(STEP414)
無端ベルト96上に載置した肉片fbの枚数が、スライス枚数手動設定値Fに一致するまで、この動作を繰り返し、STEP407へ移行する。
(STEP415)
また、STEP407において、この自動演算が有効になっていないと判定された場合には、集合体間隔形成用のコンベア移動量Pを、集合体間隔形成用移動量基準値設定スイッチ310で設定した値とする処理が行われ、STEP409へ移行する。
(STEP305)
一方、上述のSTEP305で、1列/2列設定スイッチ317Gによって1列処理に設定されていない(2列処理に設定されている)と判定された場合は、
図30以降に示す2列処理へ移行する。
【0141】
(STEP600)
まず、1列/2列設定スイッチ317Gによって2列処理に設定されているか否かが判定される。2列処理に設定していないと判定された場合は、2列処理を終了する。
(STEP601)
一方、1列/2列設定スイッチ317Gによって2列処理に設定されていると判定された場合に、くず肉(トレーに盛り付けるに適さない小さい肉片など)の判定処理の有無が判定される。
(STEP602)
この結果、くず肉の判定処理を行なうと判定された場合、左側の搬送通路20でのくず肉判定処理が行われる。
【0142】
(STEP603)
この左側の搬送通路20でのくず肉判定処理では、まず、左側の搬送通路20に供給された塊状肉FBについて、レーザーセンサー204によって測定されたプロファイル情報と、基準比重(密度)選択スイッチ309で選択された密度情報とから、盛付重量設定スイッチ303で設定した重量となる(設定重量に対応する)体積V0Lを算出する。
(STEP604)
そして、この体積V0Lと、くず肉判定基準値Kout1とが比較される。
(STEP605)
この比較の結果、くず肉判定基準値Kout1よりも体積V0Lの方が大きいと判定された場合には、この左側の搬送通路20の塊状肉FBがOK判定(適正肉判定)される。
(STEP606)
一方、体積V0Lがくず肉判定基準値Kout1以下であると判定された場合には、この左側の搬送通路20の塊状肉FBがNG判定(くず肉判定)される。
【0143】
(S607)
一方、STEP602の左側の搬送通路20でのくず肉判定と共に、右側の搬送通路20でのくず肉判定処理が行われる。
(STEP608)
この右側の搬送通路20でのくず肉判定処理でも、まず、右側の搬送通路20に供給された塊状肉FBについて、レーザーセンサー204によって測定されたプロファイル情報と、基準比重(密度)選択スイッチ309で選択された密度情報とから、盛付重量設定スイッチ303で設定した重量となる(設定重量に対応する)体積V0Rを算出する。
(STEP609)
そして、この体積V0Rと、くず肉判定基準値Kout2とが比較される。
(STEP610)
この比較の結果、くず肉判定基準値Kout2よりも体積V0Rの方が大きいと判定された場合には、この右側の搬送通路20の塊状肉FBがOK判定(適正肉判定)される。
(STEP611)
一方、体積V0Lがくず肉判定基準値Kout2以下であると判定された場合には、この右側の搬送通路20の塊状肉FBがNG判定(くず肉判定)される。
【0144】
(STEP700)
上述のくず肉判定後、以下の処理が行われる。
まず、くず肉判定の結果、左右両側の搬送通路20,20の塊状肉FB,FBが共にOK判定されているか否かが判定される。
(STEP701)
左右共にOK判定されている場合、STEP300で取得したスライス枚数Mと、基準スライス厚設定スイッチ304で設定した基準スライス厚L0をもって、前述のSTEP306へ移行する。
(STEP702)
一方、STEP700で左右両側の搬送通路20,20の塊状肉FB,FBが共にOK判定されない場合、左右両側の搬送通路20の塊状肉FBがNG判定されているか否かが判定される。
【0145】
(STEP703)
この判定の結果、左右両側の搬送通路20の塊状肉FBがNG判定されている場合には、スライス枚数Mとして、基準スライス枚数M0か、または、範囲外スライス枚数Moutを設定し、基準スライス厚L0(スライス厚L1に対して増加または減少する厚みとなる)をもって、前述のSTEP306へ移行する。
(STEP704)
一方、STEP702で左右両側の搬送通路20の塊状肉FBがNG判定されていないと判定された場合に、左側の搬送通路20の塊状肉FBがOK判定され、かつ、右側の搬送通路20の塊状肉FBがNG判定されているか否かが判定される。
(STEP705)
この判定の結果、左側の搬送通路20の塊状肉FBがOK判定され、かつ、右側の搬送通路20の塊状肉FBがNG判定されていると判定された場合には、前述のSTEP200からの作業中測定モードへ移行する。
【0146】
(STEP706)
そして、レーザーセンサー204によって、塊状肉FBにおける設定距離D相当位置以後の部位(設定距離D相当の位置よりも上流側の部位)の断面プロファイル群αnを、この塊状肉FBの搬送に伴って順次取得して格納していく。
(STEP707)
そして、盛付重量設定スイッチ303で設定した設定重量Gsと、基準比重選択スイッチ309で選択した比重(密度)Hsから、左側の搬送通路20の塊状肉FBの必要体積(設定重量Gsとなる(設定重量に対応する)体積)V0Lを次式で算出する。
V0L=Gs/Hs×1/2
(STEP708)
そして、この体積V0Lを満たすために必要な塊状肉FBの長さLFLを、断面プロファイル群α0,αnに基づいて次式で算出する。
LFL=V0L/β
(β:断面プロファイル群α0またはαn中の面積成分)
【0147】
(STEP800)
そして、
図32に示すように、スライス枚数Mの取得へ移行する。
すなわち、左側の搬送通路20の塊状肉FBから切り出すスライス枚数MFLは、次の式で演算される。
MFL=LFL/L0
このMFLを、四捨五入によって整数化したMに置換する。
(STEP801)
そして、このスライス枚数Mが基準範囲内(基準スライス上限枚数設定スイッチ307による上限枚数と、基準スライス下限枚数設定スイッチ308による下限枚数との間の枚数範囲内)にあるか否かが判定される。
(STEP802)
スライス枚数Mが基準範囲内にあると判定された場合、スライス厚L1が次式で算出される。
L1=LF/M
【0148】
(STEP803)
そして、このスライス厚L1が、基準厚さ範囲設定スイッチ305で設定した基準厚範囲LW内になる否かが判定される。
(STEP804)
スライス厚L1が基準厚範囲LW内にあると判定された場合に、このスライス厚L1を確定する。
(STEP805)
一方、上述のSTEP803でスライス厚L1が基準厚範囲LW内に無いと判定された場合には、スライス枚数Mとして、基準スライス枚数M0または範囲外スライス枚数Moutを設定する。
この場合のスライス厚は、基準スライス厚L0に確定する。
【0149】
(STEP806)
そして、上述のSTEP804およびSTEP805から、STEP806へ移行する。
ここで、切断位置CPと当接位置APの間隔を、STEP804で確定したスライス厚L1に一致させるために必要な受板43の移動量が算出される。
そして、この移動量に基づいて肉厚調節用モータードライバ344へ出力がなされ、肉厚調節用の電動モーター61が作動して受板43が自動的に移動し、切断位置CPと当接位置APの間隔が、スライス厚L1に一致する。
この状態で、塊状肉FBをスライス厚L1に等しい距離だけ搬送するごとに(塊状肉FBの先端部が切断位置CPから距離L1だけ突出して当接位置APに当接するごとに)、この塊状肉FBの先端部が切断位置CPで切断され、L1の厚さを有した肉片fbが順次切り出される。
【0150】
一方、STEP805で確定した基準スライス厚L0が採用される場合には、切断位置CPと当接位置APの間隔を、STEP805で確定した基準スライス厚L0に一致させるために必要な受板43の移動量が算出される。
そして、この移動量に基づいて肉厚調節用モータードライバ344へ出力がなされ、肉厚調節用の電動モーター61が作動して受板43が自動的に移動し、切断位置CPと当接位置APの間隔が、基準スライス厚L0に一致する。
この状態で、塊状肉FBを基準スライス厚L0に等しい距離だけ搬送するごとに(塊状肉FBの先端部が切断位置CPから距離L10だけ突出して当接位置APに当接するごとに)、この塊状肉FBの先端部が切断位置CPで切断され、L0の厚さを有した肉片fbが順次切り出される。
STEP806の終了後、前述のSTEP400以降と同様の処理が行われる。
【0151】
(STEP709)
一方、STEP704で、左側の搬送通路20の塊状肉FBがOK判定され、かつ、右側の搬送通路20の塊状肉FBがNG判定されていないと判定された場合には、左側の搬送通路20の塊状肉FBがNG判定され、かつ、右側の搬送通路20の塊状肉FBがOK判定されていると判定する。
(STEP710)
そして、前述のSTEP200からの作業中測定モードへ移行する。
(STEP711)
そして、レーザーセンサー204によって、塊状肉FBにおける設定距離D相当位置以後の部位(設定距離D相当の位置よりも上流側の部位)の断面プロファイル群αnを、この塊状肉FBの搬送に伴って順次取得して格納していく。
【0152】
(STEP712)
そして、盛付重量設定スイッチ303で設定した設定重量Gsと、基準比重選択スイッチ309で選択した比重(密度)Hsから、右側の搬送通路20の塊状肉FBの必要体積(設定重量Gsとなる(設定重量に対応する)体積)V0Rを次式で算出する。
V0R=Gs/Hs×1/2
(STEP713)
そして、この体積V0Rを満たすために必要な塊状肉FBの長さLFRを、断面プロファイル群α0,αnに基づいて次式で算出する。
LFR=V0R/β
(β:断面プロファイル群α0またはαn中の面積成分)
【0153】
(STEP900)
そして、
図33に示すように、スライス枚数Mの取得へ移行する。
すなわち、右側の搬送通路20の塊状肉FBから切り出すスライス枚数MFRは、次の式で演算される。
MFR=LFR/L0
このMFRを、四捨五入によって整数化したMに置換する。
(STEP901)
そして、このスライス枚数Mが基準範囲内(基準スライス上限枚数設定スイッチ307による上限枚数と、基準スライス下限枚数設定スイッチ308による下限枚数との間の枚数範囲内)にあるか否かが判定される。
(STEP902)
スライス枚数Mが基準範囲内にあると判定された場合、スライス厚L1が次式で算出される。
L1=LF/M
【0154】
(STEP903)
そして、このスライス厚L1が、基準厚さ範囲設定スイッチ305で設定した基準厚範囲LW内になる否かが判定される。
(STEP904)
スライス厚L1が基準厚範囲LW内にあると判定された場合に、このスライス厚L1を確定する。
(STEP905)
一方、上述のSTEP903でスライス厚L1が基準厚範囲LW内に無いと判定された場合には、スライス枚数Mとして、基準スライス枚数M0または範囲外スライス枚数Moutを設定する。
この場合のスライス厚は、基準スライス厚L0に確定する。
【0155】
(STEP906)
そして、上述のSTEP904およびSTEP905から、STEP906へ移行する。
ここで、切断位置CPと当接位置APの間隔を、STEP904で確定したスライス厚L1に一致させるために必要な受板43の移動量が算出される。
そして、この移動量に基づいて肉厚調節用モータードライバ344へ出力がなされ、肉厚調節用の電動モーター61が作動して受板43が自動的に移動し、切断位置CPと当接位置APの間隔が、スライス厚L1に一致する。
この状態で、塊状肉FBをスライス厚L1に等しい距離だけ搬送するごとに(塊状肉FBの先端部が切断位置CPから距離L1だけ突出して当接位置APに当接するごとに)、この塊状肉FBの先端部が切断位置CPで切断され、L1の厚さを有した肉片fbが順次切り出される。
【0156】
一方、STEP905で確定した基準スライス厚L0が採用される場合には、切断位置CPと当接位置APの間隔を、STEP905で確定した基準スライス厚L0に一致させるために必要な受板43の移動量が算出される。
そして、この移動量に基づいて肉厚調節用モータードライバ344へ出力がなされ、肉厚調節用の電動モーター61が作動して受板43が自動的に移動し、切断位置CPと当接位置APの間隔が、基準スライス厚L0に一致する。
この状態で、塊状肉FBを基準スライス厚L0に等しい距離だけ搬送するごとに(塊状肉FBの先端部が切断位置CPから距離L10だけ突出して当接位置APに当接するごとに)、この塊状肉FBの先端部が切断位置CPで切断され、L0の厚さを有した肉片fbが順次切り出される。
【0157】
STEP906の終了後、前述のSTEP400以降と同様の処理が行われる。
なお、この集合体BGが無端ベルト96の搬送終端部(コンベアの後端部)に至った状態で、コントローラー300から伸縮用モータードライバ343への出力によって、伸縮用電動モーター135が作動し、無端ベルト96の搬送終端部(コンベアの後端部)が後方へ伸長する。
【0158】
(並列状態の説明)
図36に、以上の処理によって無端ベルト96に形成された肉片fbの集合体BGを例示する。
この例では、5枚の肉片(食品片)fbを、少なくともその一部が重なるように並列させて形成した集合体BG1と、6枚の肉片fbを同様に並列させて形成した集合体BG2と、7枚の肉片fbを同様に並列させて形成した集合体BG3を同時に並べて示している。
ただし、これは説明の便宜上使用するものであり、本発明において、このように肉片枚数の異なる集合体BGが、同一の無端ベルト96上に存在することを限定するものではない。
しかして、集合体BG1は、長さ(高さ)Aの肉片fb1をピッチKで5枚並列して、全長Eの集合体を形成している。
また、集合体BG2は、肉片fb1よりも短い肉片fb2を、Kよりも短いピッチで6枚並列して、全長Eの集合体を形成している。
【0159】
そして、集合体BG3は、肉片fb2よりも短い肉片fb3を、集合体BG2よりも短いピッチで7枚並列して、全長Eの集合体を形成している。
このように、肉片fbの高さに応じて、並列させる枚数とピッチを変更することで、肉片fbの集合体BGの全長を揃えることができ、食品トレーへの移載の利便性が向上する。
【0160】
(本実施形態に開示される発明)
本実施形態には、以下の食料切断装置の発明および技術が開示される。
1.塊状の食料FBを送る送り装置9と、この食料FBを切断する切断刃49とを備え、前記送り装置9から食料FBの先端部を所定の送り出し量だけ送り出すごとに、この送り装置9と切断刃49との相対的な移動によって食料FBの先端部を所定の切断位置CPで切断し、前記送り出し量に略等しい厚さの食料片fbを切り出すように構成した食料切断装置であって、前記送り装置9よって送られる食料FBの断面プロファイルを順次測定するセンサー204を、前記送り装置9の送り経路20の中間部上方に配置し、このセンサー204によって測定された複数の断面プロファイルをプロファイル情報として格納し、このプロファイル情報と食料FBの密度情報から、設定重量に対応した体積とするために必要な食料FBの送り方向での第1寸法LFと、この第1寸法LFを複数に略等分割した第2寸法L1とを算出し、前記送り出し量をこの第2寸法L1に略一致するように自動的に調整する制御装置300を備えた食料切断装置の発明。
【0161】
2.前記送り出し量を、前記第2寸法L1に略一致するように自動的に調整する状態と、前記第1寸法LFに略一致するように自動的に調整する状態とに切換自在に構成する技術。
3.前記送り装置9から送り出された食料FBの先端部を当接させて位置決めする位置決め部材43を設け、前記切断位置CPを、前記位置決め部材43と食料FBの先端部との当接位置APから送り方向上流側へ間隔をおいた位置に設定し、この切断位置CPと当接位置APとの間隔が前記第2寸法L1に略一致するように、前記位置決め部材43の位置を自動的に調整する構成とする技術。
【0162】
4.食料FBを前記送り装置9の送り経路の任意の位置へ供給し、所定の第1操作要素312を操作したときに、この食料FBの先端部が前記当接位置APに到達するまで、前記送り装置9が自動的に送り作動してから停止し、この後、第2操作要素313の操作によって、または自動的に、前記送り装置9と切断刃49との相対的な移動が開始され、食料片fbが切り出されるように構成する。
5.食料FBを前記送り装置9の送り経路の任意の位置へ供給した状態で、前記第1操作要素312を操作したときに、前記センサー204によって食料FBが検出された場合には、この食料FBが検出されなくなるまで前記送り装置9が送り方向上流側へ自動的に作動し、この後、前記送り装置9が前記センサー204による測定位置LPと前記当接位置APとの間隔に略等しい距離だけ送り方向下流側へ自動的に作動する構成とする技術。
【0163】
6.前記第1操作要素312の操作によって前記送り装置9が自動的に送り作動している間に、前記センサー204によって測定された複数の断面プロファイルを第1プロファイル情報として格納し、前記送り装置9の停止後、前記第2操作要素313の操作によって、または自動的に、前記第1プロファイル情報に基づく食料片fbの切り出しが開始され、この食料片fbの切り出し中に、送られている食料FBの断面プロファイルを前記センサー204によって順次測定し、この測定された断面プロファイルを、前記第1プロファイル情報に後続する第2プロファイル情報として順次格納していき、前記第1プロファイル情報に基づく食料片fbの切り出しが完了した時点で、前記第2プロファイル情報に基づく食料片fbの切り出しへ移行するように構成する技術。
【0164】
7.前記第2寸法L1ごとに切断された複数の食料片fbを、少なくともその一部が互いに重なるように送り方向にずらしながら並べて、前記設定重量を有した食料片fbの集合体BGを形成する構成とし、前記センサー204によって測定された食料FBの断面プロファイルに基づいて、食料片fbを並べるピッチKを自動的に変更し、前記集合体BGの長さを設定された長さEに形成する構成とする技術。
8.前記切断刃49の位置を固定する一方、前記送り装置9を所定の揺動範囲で上下方向に往復揺動する構成とし、前記送り装置9から第2寸法L1分だけ送り出され、前記位置決め部材43に当接して位置決めされた食料の先端部を、この送り装置9の揺動範囲の上端側への揺動時に切断刃49に当てて切断し、この送り装置9の揺動範囲の下端側への揺動時または揺動後に前記送り装置9を送り作動させて食料FBの先端部を再び第2寸法L1分だけ送り出す構成とし、前記送り装置9が揺動範囲の下端部付近に至ったときに、前記センサー204によって食料FBの断面プロファイルを測定する構成とする技術。
【0165】
9.前記送り装置9が第2寸法L1分だけ送り作動して停止したときにこの送り装置9上の食料FBの断面プロファイルを測定する状態と、前記送り装置9が第2寸法L1分だけ送り作動している間にこの送り装置9上の食料FBの断面プロファイルを測定する状態とに、切換自在に構成する技術。
10.前記算出された第2寸法L1で切り出される食料片fbの数が設定範囲から外れると判定された場合には、この食料片fbの数が前記設定範囲内に収まるように、前記送り出し量を前記算出された第2寸法L1に対して増減させた量に自動的に変更するように構成する技術。
11.前記センサー204によって測定された食料FBの断面プロファイルに基づいて、切断される食料片fbの適不適を判定し、不適と判定される食料片fbが切り出される食料FBの先端部位を、前記第2寸法に拘わらずに予め設定された寸法L0ごとに送り出して切断する構成とする技術。
【0166】
12.前記送り装置9に食料FB,FBを左右複数列で供給し、前記センサー204によってこの複数列の食料FB,FBの夫々の断面プロファイルを測定する構成とし、この測定結果に基づいて、切断される食料片fbの適不適を判定し、適すると判定される食料片fbが切り出される側の食料FBの先端部位を、前記第2寸法L1ごとに送り出して切断する一方、不適と判定される食料片fbが切り出される食料FBの先端部位を、前記第2寸法L1に拘わらずに予め設定された寸法L0ごとに送り出して切断する構成とする技術。
13.前記送り装置9の周辺を覆う第1カバー201と、前記センサー204を支持するとともにこのセンサー204を覆う第2カバー203とを備え、この第2カバー203を、前記第1カバー201に形成した開口部201Sに対して位置規制部201PKを介して着脱自在に取り付ける構成とする技術。
14.前記密度情報を、食料FBの種類や状態に応じて予め設定した複数の密度情報から選択可能とする技術。
15.前記センサー204を、レーザー光を用いる光切断方式のセンサーとする技術。
【0167】
また、本実施形態には、以上の食料切断装置によって行われる以下の食料切断方法の発明が開示される。
1.食料の先端部を所定の送り出し量だけ送り出すごとに、この食料の先端部を切断手段との相対的な移動によって所定の切断位置で切断し、送り出し量に略等しい厚さの食料片を切り出す食料切断方法であって、送られる食料の断面プロファイルを、送り経路の中間部上方の位置から順次測定し、測定された複数の断面プロファイルをプロファイル情報として格納し、このプロファイル情報と食料の密度情報から、設定重量に対応した体積とするために必要な食料の送り方向での第1寸法と、この第1寸法を複数に略等分割した第2寸法とを算出し、前記送り出し量をこの第2寸法に略一致するように自動的に調整する食料切断方法の発明。
【0168】
2.前記送り出し量を、第2寸法に略一致するように自動的に調整する状態と、第1寸法に略一致するように自動的に調整する状態とに切換自在とする方法。
3.送り出された食料の先端部を当接位置で当接させて位置決めし、この当接位置から送り方向上流側へ間隔をおいた位置に切断位置を設定し、この切断位置と当接位置との間隔が前記第2寸法に略一致するように、前記当接位置を自動的に調整する方法。
4.食料を送り経路の任意の位置へ供給し、所定の第1操作をしたときに、この食料の先端部が前記当接位置に到達するまでこの食料を自動的に送ってから停止させ、この後、第2操作によって、または自動的に、食料の先端部と切断手段との相対的な移動を開始して食料片を切り出す方法。
【0169】
5.食料を送り経路の任意の位置へ供給した状態で前記第1操作をしたときに、食料が検出された場合には、この検出がなくなるまで食料を送り方向上流側へ自動的に送り、この後、食料を、断面プロファイルの測定位置と当接位置との間隔に略等しい距離だけ送り方向下流側へ自動的に送る方法。
6.前記第1操作によって食料が自動的に送られている間に、測定された複数の断面プロファイルを第1プロファイル情報として格納し、食料の停止後、前記第2操作によって、または自動的に、前記第1プロファイル情報に基づく食料片の切り出しを開始し、この食料片の切り出し中に、送られている食料の断面プロファイルを順次測定し、この測定された断面プロファイルを前記第1プロファイル情報に後続する第2プロファイル情報として順次格納していき、前記第1プロファイル情報に基づく食料片の切り出しが完了した時点で、前記第2プロファイル情報に基づく食料片の切り出しへ移行させる方法。
【0170】
7.前記第2寸法ごとに切断された複数の食料片を、少なくともその一部が互いに重なるように送り方向にずらしながら並べて、前記設定重量を有した食料片の集合体を形成し、測定された食料の断面プロファイルに基づいて、食料片を並べるピッチを自動的に変更し、前記集合体の長さを設定された長さに形成する方法。
8.前記第2寸法だけ送り出され当接位置で位置決めされた食料の先端部を、この食料の上下方向の揺動範囲の上端側への揺動時に切断手段に当てて切断し、この食料の揺動範囲の下端側への揺動時または揺動後に食料の先端部を再び第2寸法分だけ送り出し、食料が揺動範囲の下端部付近に至ったときに、この食料の断面プロファイルを測定する方法。
9.食料の先端部が第2寸法分だけ送り出されて停止したときにこの食料の断面プロファイルを測定する状態と、食料の先端部が第2寸法分だけ送り出されている間にこの食料の断面プロファイルを測定する状態とに、切換自在とする方法。
【0171】
10.前記算出された第2寸法で切り出される食料片の数が設定範囲から外れると判定された場合に、この食料片の数が前記設定範囲内に収まるように、食料の送り出し量を前記算出された第2寸法に対して増減させた量に自動的に変更する方法。
11.測定された食料の断面プロファイルに基づいて、切断される食料片の適不適を判定し、不適と判定される食料片が切り出される食料の先端部位を、前記第2寸法に拘わらずに予め設定された寸法ごとに送り出して切断する方法。
【0172】
12.左右複数列で供給された食料の夫々の断面プロファイルを測定し、この測定結果に基づいて、切断される食料片の適不適を判定し、適すると判定される食料片が切り出される側の食料の先端部位を、前記第2寸法ごとに送り出して切断する一方、不適と判定される食料片が切り出される食料の先端部位を、前記第2寸法に拘わらずに予め設定された寸法ごとに送り出して切断する方法。
13.前記密度情報を、食料の種類や状態に応じて予め設定した複数の密度情報から選択可能とする方法。
14.レーザー光を用いる光切断方式のセンサーで食料の断面プロファイルを測定する方法。
【0173】
(適用範囲)
なお、この実施例は、生肉切断用のスライサーに関するものとしたが、本発明は、これに限定されるものではなく、加工肉、チーズ、野菜類などの他の食品の切断装置に適用できる。
【符号の説明】
【0174】
1 スライサー(食料切断装置)
9 塊状肉搬送装置(送り装置)
20 搬送通路(送り経路)
43 受板(位置決め部材)
49 無端状帯刃(切断刃)
201 第1カバー
201S 開口部
201PK 位置規制部
203 第2カバー
204 レーザーセンサー(センサー)
300 コントローラー(制御装置)
312 スキャンモードON/OFFスイッチ(第1操作要素)
313 作業開始スイッチ(第2操作要素)
FB 塊状肉(食料)
fb 肉片(食料片)
BG 集合体
CP 切断位置
AP 当接位置
LP 投光位置(測定位置)
L0 基準スライス厚(予め設定された寸法)
LF 体積V0を満たすために必要な塊状肉の長さ(第1寸法)
L1 スライス厚(第2寸法)
【手続補正書】
【提出日】2023-06-08
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
食料の先端部を所定の送り出し量だけ送り出すごとに、この食料の先端部を切断手段との相対的な移動によって所定の切断位置で切断し、送り出し量に略等しい厚さの食料片を切り出す食料切断方法であって、送られる食料の断面プロファイルを、送り経路の中間部上方の位置から順次測定し、測定された複数の断面プロファイルをプロファイル情報として格納し、このプロファイル情報と食料の密度情報から、設定重量に対応した体積とするために必要な食料の送り方向での第1寸法と、この第1寸法を複数に略等分割した第2寸法とを算出し、前記送り出し量をこの第2寸法に略一致するように自動的に調整することを特徴とする食料切断方法。
【請求項2】
前記送り出し量を、第2寸法に略一致するように自動的に調整する状態と、第1寸法に略一致するように自動的に調整する状態とに切換自在とする請求項1に記載の食料切断方法。
【請求項3】
送り出された食料の先端部を当接位置で当接させて位置決めし、この当接位置から送り方向上流側へ間隔をおいた位置に切断位置を設定し、この切断位置と当接位置との間隔が前記第2寸法に略一致するように、前記当接位置を自動的に調整する請求項1に記載の食料切断方法。
【請求項4】
食料を送り経路の任意の位置へ供給し、所定の第1操作をしたときに、この食料の先端部を、断面プロファイルの測定位置と切断位置との間隔に略等しい距離だけ送り方向下流側へ自動的に送り、この後、第2操作によって、または自動的に、食料の先端部と切断手段との相対的な移動を開始して食料片を切り出す請求項3に記載の食料切断方法。
【請求項5】
食料を送り経路の任意の位置へ供給した状態で前記第1操作をしたときに、食料が検出された場合には、この検出がなくなるまで食料を送り方向上流側へ自動的に送り、この後、食料を、断面プロファイルの測定位置と切断位置との間隔に略等しい距離だけ送り方向下流側へ自動的に送る請求項4に記載の食料切断方法。
【請求項6】
前記第1操作によって食料が自動的に送られている間に、測定された複数の断面プロファイルを第1プロファイル情報として格納し、食料の停止後、前記第2操作によって、または自動的に、前記第1プロファイル情報に基づく食料片の切り出しを開始し、この食料片の切り出し中に、送られている食料の断面プロファイルを順次測定し、この測定された断面プロファイルを前記第1プロファイル情報に後続する第2プロファイル情報として順次格納していき、前記第1プロファイル情報に基づく食料片の切り出しが完了した時点で、前記第2プロファイル情報に基づく食料片の切り出しへ移行させる請求項4に記載の食料切断方法。
【請求項7】
前記第2寸法ごとに切断された複数の食料片を、少なくともその一部が互いに重なるように送り方向にずらしながら並べて、前記設定重量を有した食料片の集合体を形成し、測定された食料の断面プロファイルに基づいて、食料片を並べるピッチを自動的に変更し、前記集合体の長さを設定された長さに形成する請求項1に記載の食料切断方法。
【請求項8】
前記第2寸法だけ送り出され当接位置で位置決めされた食料の先端部を、この食料の上下方向の揺動範囲の上端側への揺動時に切断手段に当てて切断し、この食料の揺動範囲の下端側への揺動時または揺動後に食料の先端部を再び第2寸法分だけ送り出し、食料が揺動範囲の下端部付近に至ったときに、この食料の断面プロファイルを測定する請求項3に記載の食料切断方法。
【請求項9】
食料の先端部が第2寸法分だけ送り出されて停止したときにこの食料の断面プロファイルを測定する状態と、食料の先端部が第2寸法分だけ送り出されている間にこの食料の断面プロファイルを測定する状態とに、切換自在とする請求項1に記載の食料切断方法。
【請求項10】
前記算出された第2寸法で切り出される食料片の数が設定範囲から外れると判定された場合に、この食料片の数が前記設定範囲内に収まるように、食料の送り出し量を前記算出された第2寸法に対して増減させた量に自動的に変更する請求項1に記載の食料切断方法。
【請求項11】
測定された食料の断面プロファイルに基づいて、切断される食料片の適不適を判定し、不適と判定される食料片が切り出される食料の先端部位を、前記第2寸法に拘わらずに予め設定された寸法ごとに送り出して切断する請求項7に記載の食料切断方法。
【請求項12】
左右複数列で供給された食料の夫々の断面プロファイルを測定し、この測定結果に基づいて、切断される食料片の適不適を判定し、適すると判定される食料片が切り出される側の食料の先端部位を、前記第2寸法ごとに送り出して切断する一方、不適と判定される食料片が切り出される食料の先端部位を、前記第2寸法に拘わらずに予め設定された寸法ごとに送り出して切断する請求項7に記載の食料切断方法。
【請求項13】
前記密度情報を、食料の種類や状態に応じて予め設定した複数の密度情報から選択可能とする請求項1から請求項12のいずれか一項に記載の食料切断方法。
【請求項14】
レーザー光を用いる光切断方式のセンサーで食料の断面プロファイルを測定する請求項1から請求項12のいずれか一項に記載の食料切断方法。
【請求項15】
塊状の食料(FB)を送る送り装置(9)と、この食料(FB)を切断する切断刃(49)とを備え、前記送り装置(9)から食料(FB)の先端部を所定の送り出し量だけ送り出すごとに、この送り装置(9)と切断刃(49)との相対的な移動によって食料(FB)の先端部を所定の切断位置(CP)で切断し、前記送り出し量に略等しい厚さの食料片(fb)を切り出すように構成した食料切断装置であって、前記送り装置(9)よって送られる食料(FB)の断面プロファイルを順次測定するセンサー(204)を、前記送り装置(9)の送り経路(20)の中間部上方に配置し、このセンサー(204)によって測定された複数の断面プロファイルをプロファイル情報として格納し、このプロファイル情報と食料(FB)の密度情報から、設定重量に対応した体積とするために必要な食料(FB)の送り方向での第1寸法(LF)と、この第1寸法(LF)を複数に略等分割した第2寸法(L1)とを算出し、前記送り出し量をこの第2寸法(L1)に略一致するように自動的に調整する制御装置(300)を備えたことを特徴とする食料切断装置。
【請求項16】
前記送り出し量を、前記第2寸法(L1)に略一致するように自動的に調整する状態と、前記第1寸法(LF)に略一致するように自動的に調整する状態とに切換自在に構成した請求項15に記載の食料切断装置。
【請求項17】
前記送り装置(9)から送り出された食料(FB)の先端部を当接させて位置決めする位置決め部材(43)を設け、前記切断位置(CP)を、前記位置決め部材(43)と食料(FB)の先端部との当接位置(AP)から送り方向上流側へ間隔をおいた位置に設定し、この切断位置(CP)と当接位置(AP)との間隔が前記第2寸法(L1)に略一致するように、前記位置決め部材(43)の位置を自動的に調整する構成とした請求項15に記載の食料切断装置。
【請求項18】
食料(FB)を前記送り装置(9)の送り経路の任意の位置へ供給し、所定の第1操作要素(312)を操作したときに、前記送り装置(9)が、前記センサー(204)による測定位置(LP)と切断位置(CP)との間隔に略等しい距離だけ送り方向下流側へ自動的に送り作動してから停止し、この後、第2操作要素(313)の操作によって、または自動的に、前記送り装置(9)と切断刃(49)との相対的な移動が開始され、食料片(fb)が切り出されるように構成した請求項17に記載の食料切断装置。
【請求項19】
食料(FB)を前記送り装置(9)の送り経路の任意の位置へ供給した状態で、前記第1操作要素(312)を操作したときに、前記センサー(204)によって食料(FB)が検出された場合には、この食料(FB)が検出されなくなるまで前記送り装置(9)が送り方向上流側へ自動的に作動し、この後、前記送り装置(9)が前記センサー(204)による測定位置(LP)と前記切断位置(CP)との間隔に略等しい距離だけ送り方向下流側へ自動的に作動する構成とした請求項18に記載の食料切断装置。
【請求項20】
前記第1操作要素(312)の操作によって前記送り装置(9)が自動的に送り作動している間に、前記センサー(204)によって測定された複数の断面プロファイルを第1プロファイル情報として格納し、前記送り装置(9)の停止後、前記第2操作要素(313)の操作によって、または自動的に、前記第1プロファイル情報に基づく食料片(fb)の切り出しが開始され、この食料片(fb)の切り出し中に、送られている食料(FB)の断面プロファイルを前記センサー(204)によって順次測定し、この測定された断面プロファイルを、前記第1プロファイル情報に後続する第2プロファイル情報として順次格納していき、前記第1プロファイル情報に基づく食料片(fb)の切り出しが完了した時点で、前記第2プロファイル情報に基づく食料片(fb)の切り出しへ移行するように構成した請求項18に記載の食料切断装置。
【請求項21】
前記第2寸法(L1)ごとに切断された複数の食料片(fb)を、少なくともその一部が互いに重なるように送り方向にずらしながら並べて、前記設定重量を有した食料片(fb)の集合体(BG)を形成する構成とし、前記センサー(204)によって測定された食料(FB)の断面プロファイルに基づいて、食料片(fb)を並べるピッチ(K)を自動的に変更し、前記集合体(BG)の長さを設定された長さ(E)に形成する構成とした請求項15に記載の食料切断装置。
【請求項22】
前記切断刃(49)の位置を固定する一方、前記送り装置(9)を所定の揺動範囲で上下方向に往復揺動する構成とし、前記送り装置(9)から第2寸法(L1)分だけ送り出され、前記位置決め部材(43)に当接して位置決めされた食料の先端部を、この送り装置(9)の揺動範囲の上端側への揺動時に切断刃(49)に当てて切断し、この送り装置(9)の揺動範囲の下端側への揺動時または揺動後に前記送り装置(9)を送り作動させて食料(FB)の先端部を再び第2寸法(L1)分だけ送り出す構成とし、前記送り装置(9)が揺動範囲の下端部付近に至ったときに、前記センサー(204)によって食料(FB)の断面プロファイルを測定する構成とした請求項17に記載の食料切断装置。
【請求項23】
前記送り装置(9)が第2寸法(L1)分だけ送り作動して停止したときにこの送り装置(9)上の食料(FB)の断面プロファイルを測定する状態と、前記送り装置(9)が第2寸法(L1)分だけ送り作動している間にこの送り装置(9)上の食料(FB)の断面プロファイルを測定する状態とに、切換自在に構成した請求項15に記載の食料切断装置。
【請求項24】
前記算出された第2寸法(L1)で切り出される食料片(fb)の数が設定範囲から外れると判定された場合には、この食料片(fb)の数が前記設定範囲内に収まるように、前記送り出し量を前記算出された第2寸法(L1)に対して増減させた量に自動的に変更するように構成した請求項15に記載の食料切断装置。
【請求項25】
前記センサー(204)によって測定された食料(FB)の断面プロファイルに基づいて、切断される食料片(fb)の適不適を判定し、不適と判定される食料片(fb)が切り出される食料(FB)の先端部位を、前記第2寸法に拘わらずに予め設定された寸法(L0)ごとに送り出して切断する構成とした請求項21に記載の食料切断装置。
【請求項26】
前記送り装置(9)に食料(FB,FB)を左右複数列で供給し、前記センサー(204)によってこの複数列の食料(FB,FB)の夫々の断面プロファイルを測定する構成とし、この測定結果に基づいて、切断される食料片(fb)の適不適を判定し、適すると判定される食料片(fb)が切り出される側の食料(FB)の先端部位を、前記第2寸法(L1)ごとに送り出して切断する一方、不適と判定される食料片(fb)が切り出される食料(FB)の先端部位を、前記第2寸法(L1)に拘わらずに予め設定された寸法(L0)ごとに送り出して切断する構成とした請求項21に記載の食料切断装置。
【請求項27】
前記送り装置(9)の周辺を覆う第1カバー(201)と、前記センサー(204)を支持するとともにこのセンサー(204)を覆う第2カバー(203)とを備え、この第2カバー(203)を、前記第1カバー(201)に形成した開口部(201S)に対して位置規制部(201PK)を介して着脱自在に取り付ける構成とした請求項15に記載の食料切断装置。
【請求項28】
前記密度情報を、食料(FB)の種類や状態に応じて予め設定した複数の密度情報から選択可能とした請求項15から請求項27のいずれか一項に記載の食料切断装置。
【請求項29】
前記センサー(204)を、レーザー光を用いる光切断方式のセンサーとした請求項15から請求項27のいずれか一項に記載の食料切断装置。
【手続補正2】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、塊状の食料を切断する方法および装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来の塊状の食料を切断する方法および装置として、例えば、生の部分肉等の塊状の食品を順次薄く切断して食料片とし、これら複数の食料片を、その一部が互いに重なるように並べて食料片の集合体を形成するものがある。
このように複数の食料片を一つの集合体とすることで、トレーに容易に収容でき、加工工場での作業能率が向上する。また、容器から食料片を一枚ずつ分離しながら取り出すことが容易となり、調理における利便性も向上する。
【0003】
しかして、集合体を収容したトレーはラップによって包装され、食料の種類や重量等を表示したラベルが貼付されて、商品として加工工場から出荷される。
この商品が入荷したスーパー等の店先では、食料の種類や重量帯等に応じてトレーの陳列位置が区分けされている。
このため、加工工場において集合体ごとに重量を揃えておく必要があり、このために種々の切断方法および切断装置が試みられている。
【0004】
例えば特許文献1には、以下のような技術が開示されている。
すなわち、塊状の食料を切断位置へ向けて送り、送り出された食料の先端部を所定の切断位置で切断して食料片とし、この切断された食料片の数が設定数に達した時点で、この設定数の食料片の合計重量を計測する。
そして、この計測結果から、規定数の食料片としたときの合計重量を予測し、この予測した合計重量と、規定数の食料片を収容したトレーに表示する重量との差に基づいて、食料の送り出し量を増減させ、切断される食料片の厚さを自動的に調節するというものである。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
例えば生の部分肉等の塊状の食料は、先端部から後端部まで均一な断面形状ではなく、この断面形状は不規則に変化する。
このため、これを均一な厚さに切断しても、切断された食料片の重量は均一にならない。
したがって、同一数の食料片で集合体を形成した場合、各集合体の重量がばらつき、加工工場における手作業での調整を要し、作業能率が低下するような問題が生じる。
また、特許文献1に開示された技術を利用し、切断される食料片の厚さを調整した場合、同じトレーに収容された食料片の厚さがばらつき、例えば食感が均一でないなどの理由により、商品価値が低下する問題が生じうる。
【0007】
また、特許文献1に開示された技術では、食料片の切断厚さが、食料の送り出し量に依存する。
すなわち、送り出された食料の先端部を当接させて位置決めし、この位置決めされた食料の先端部を切断するものではない。
このため、切断される食料片の厚さを揃えることが困難である。
本発明は、上述のような従来技術の課題を解決し、切断された食料片の集合体の重量のばらつきを少なくすると共に、各集合体における食料片の厚さを揃えることのできる食料切断方法および食料切断装置を実現することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明は、上述の課題を解決するために、以下の技術的手段を講じる。
すなわち、請求項1に記載の発明は、食料の先端部を所定の送り出し量だけ送り出すごとに、この食料の先端部を切断手段との相対的な移動によって所定の切断位置で切断し、送り出し量に略等しい厚さの食料片を切り出す食料切断方法であって、送られる食料の断面プロファイルを、送り経路の中間部上方の位置から順次測定し、測定された複数の断面プロファイルをプロファイル情報として格納し、このプロファイル情報と食料の密度情報から、設定重量に対応した体積とするために必要な食料の送り方向での第1寸法と、この第1寸法を複数に略等分割した第2寸法とを算出し、前記送り出し量をこの第2寸法に略一致するように自動的に調整することを特徴とする食料切断方法とする。
【0009】
請求項2に記載の発明は、前記送り出し量を、第2寸法に略一致するように自動的に調整する状態と、第1寸法に略一致するように自動的に調整する状態とに切換自在とする請求項1に記載の食料切断方法とする。
【0010】
請求項3に記載の発明は、送り出された食料の先端部を当接位置で当接させて位置決めし、この当接位置から送り方向上流側へ間隔をおいた位置に切断位置を設定し、この切断位置と当接位置との間隔が前記第2寸法に略一致するように、前記当接位置を自動的に調整する請求項1に記載の食料切断方法とする。
【0011】
請求項4に記載の発明は、食料を送り経路の任意の位置へ供給し、所定の第1操作をしたときに、この食料の先端部を、断面プロファイルの測定位置と切断位置との間隔に略等しい距離だけ送り方向下流側へ自動的に送り、この後、第2操作によって、または自動的に、食料の先端部と切断手段との相対的な移動を開始して食料片を切り出す請求項3に記載の食料切断方法とする。
【0012】
請求項5に記載の発明は、食料を送り経路の任意の位置へ供給した状態で前記第1操作をしたときに、食料が検出された場合には、この検出がなくなるまで食料を送り方向上流側へ自動的に送り、この後、食料を、断面プロファイルの測定位置と切断位置との間隔に略等しい距離だけ送り方向下流側へ自動的に送る請求項4に記載の食料切断方法とする。
【0013】
請求項6に記載の発明は、前記第1操作によって食料が自動的に送られている間に、測定された複数の断面プロファイルを第1プロファイル情報として格納し、食料の停止後、前記第2操作によって、または自動的に、前記第1プロファイル情報に基づく食料片の切り出しを開始し、この食料片の切り出し中に、送られている食料の断面プロファイルを順次測定し、この測定された断面プロファイルを前記第1プロファイル情報に後続する第2プロファイル情報として順次格納していき、前記第1プロファイル情報に基づく食料片の切り出しが完了した時点で、前記第2プロファイル情報に基づく食料片の切り出しへ移行させる請求項4に記載の食料切断方法とする。
【0014】
請求項7に記載の発明は、前記第2寸法ごとに切断された複数の食料片を、少なくともその一部が互いに重なるように送り方向にずらしながら並べて、前記設定重量を有した食料片の集合体を形成し、測定された食料の断面プロファイルに基づいて、食料片を並べるピッチを自動的に変更し、前記集合体の長さを設定された長さに形成する請求項1に記載の食料切断方法とする。
【0015】
請求項8に記載の発明は、前記第2寸法だけ送り出され当接位置で位置決めされた食料の先端部を、この食料の上下方向の揺動範囲の上端側への揺動時に切断手段に当てて切断し、この食料の揺動範囲の下端側への揺動時または揺動後に食料の先端部を再び第2寸法分だけ送り出し、食料が揺動範囲の下端部付近に至ったときに、この食料の断面プロファイルを測定する請求項3に記載の食料切断方法とする。
【0016】
請求項9に記載の発明は、食料の先端部が第2寸法分だけ送り出されて停止したときにこの食料の断面プロファイルを測定する状態と、食料の先端部が第2寸法分だけ送り出されている間にこの食料の断面プロファイルを測定する状態とに、切換自在とする請求項1に記載の食料切断方法とする。
【0017】
請求項10に記載の発明は、前記算出された第2寸法で切り出される食料片の数が設定範囲から外れると判定された場合に、この食料片の数が前記設定範囲内に収まるように、食料の送り出し量を前記算出された第2寸法に対して増減させた量に自動的に変更する請求項1に記載の食料切断方法とする。
【0018】
請求項11に記載の発明は、測定された食料の断面プロファイルに基づいて、切断される食料片の適不適を判定し、不適と判定される食料片が切り出される食料の先端部位を、前記第2寸法に拘わらずに予め設定された寸法ごとに送り出して切断する請求項7に記載の食料切断方法とする。
【0019】
請求項12に記載の発明は、左右複数列で供給された食料の夫々の断面プロファイルを測定し、この測定結果に基づいて、切断される食料片の適不適を判定し、適すると判定される食料片が切り出される側の食料の先端部位を、前記第2寸法ごとに送り出して切断する一方、不適と判定される食料片が切り出される食料の先端部位を、前記第2寸法に拘わらずに予め設定された寸法ごとに送り出して切断する請求項7に記載の食料切断方法とする。
【0020】
請求項13に記載の発明は、前記密度情報を、食料の種類や状態に応じて予め設定した複数の密度情報から選択可能とする請求項1から請求項12のいずれか一項に記載の食料切断方法とする。
【0021】
請求項14に記載の発明は、レーザー光を用いる光切断方式のセンサーで食料の断面プロファイルを測定する請求項1から請求項12のいずれか一項に記載の食料切断方法とする。
【0022】
請求項15に記載の発明は、塊状の食料(FB)を送る送り装置(9)と、この食料(FB)を切断する切断刃(49)とを備え、前記送り装置(9)から食料(FB)の先端部を所定の送り出し量だけ送り出すごとに、この送り装置(9)と切断刃(49)との相対的な移動によって食料(FB)の先端部を所定の切断位置(CP)で切断し、前記送り出し量に略等しい厚さの食料片(fb)を切り出すように構成した食料切断装置であって、前記送り装置(9)よって送られる食料(FB)の断面プロファイルを順次測定するセンサー(204)を、前記送り装置(9)の送り経路(20)の中間部上方に配置し、このセンサー(204)によって測定された複数の断面プロファイルをプロファイル情報として格納し、このプロファイル情報と食料(FB)の密度情報から、設定重量に対応した体積とするために必要な食料(FB)の送り方向での第1寸法(LF)と、この第1寸法(LF)を複数に略等分割した第2寸法(L1)とを算出し、前記送り出し量をこの第2寸法(L1)に略一致するように自動的に調整する制御装置(300)を備えたことを特徴とする食料切断装置とする。
【0023】
請求項16に記載の発明は、前記送り出し量を、前記第2寸法(L1)に略一致するように自動的に調整する状態と、前記第1寸法(LF)に略一致するように自動的に調整する状態とに切換自在に構成した請求項15に記載の食料切断装置とする。
【0024】
請求項17に記載の発明は、前記送り装置(9)から送り出された食料(FB)の先端部を当接させて位置決めする位置決め部材(43)を設け、前記切断位置(CP)を、前記位置決め部材(43)と食料(FB)の先端部との当接位置(AP)から送り方向上流側へ間隔をおいた位置に設定し、この切断位置(CP)と当接位置(AP)との間隔が前記第2寸法(L1)に略一致するように、前記位置決め部材(43)の位置を自動的に調整する構成とした請求項15に記載の食料切断装置とする。
【0025】
請求項18に記載の発明は、食料(FB)を前記送り装置(9)の送り経路の任意の位置へ供給し、所定の第1操作要素(312)を操作したときに、前記送り装置(9)が、前記センサー(204)による測定位置(LP)と切断位置(CP)との間隔に略等しい距離だけ送り方向下流側へ自動的に送り作動してから停止し、この後、第2操作要素(313)の操作によって、または自動的に、前記送り装置(9)と切断刃(49)との相対的な移動が開始され、食料片(fb)が切り出されるように構成した請求項17に記載の食料切断装置とする。
【0026】
請求項19に記載の発明は、食料(FB)を前記送り装置(9)の送り経路の任意の位置へ供給した状態で、前記第1操作要素(312)を操作したときに、前記センサー(204)によって食料(FB)が検出された場合には、この食料(FB)が検出されなくなるまで前記送り装置(9)が送り方向上流側へ自動的に作動し、この後、前記送り装置(9)が前記センサー(204)による測定位置(LP)と前記切断位置(CP)との間隔に略等しい距離だけ送り方向下流側へ自動的に作動する構成とした請求項18に記載の食料切断装置とする。
【0027】
請求項20に記載の発明は、前記第1操作要素(312)の操作によって前記送り装置(9)が自動的に送り作動している間に、前記センサー(204)によって測定された複数の断面プロファイルを第1プロファイル情報として格納し、前記送り装置(9)の停止後、前記第2操作要素(313)の操作によって、または自動的に、前記第1プロファイル情報に基づく食料片(fb)の切り出しが開始され、この食料片(fb)の切り出し中に、送られている食料(FB)の断面プロファイルを前記センサー(204)によって順次測定し、この測定された断面プロファイルを、前記第1プロファイル情報に後続する第2プロファイル情報として順次格納していき、前記第1プロファイル情報に基づく食料片(fb)の切り出しが完了した時点で、前記第2プロファイル情報に基づく食料片(fb)の切り出しへ移行するように構成した請求項18に記載の食料切断装置とした。
【0028】
請求項21に記載の発明は、前記第2寸法(L1)ごとに切断された複数の食料片(fb)を、少なくともその一部が互いに重なるように送り方向にずらしながら並べて、前記設定重量を有した食料片(fb)の集合体(BG)を形成する構成とし、前記センサー(204)によって測定された食料(FB)の断面プロファイルに基づいて、食料片(fb)を並べるピッチ(K)を自動的に変更し、前記集合体(BG)の長さを設定された長さ(E)に形成する構成とした請求項15に記載の食料切断装置とする。
【0029】
請求項22に記載の発明は、前記切断刃(49)の位置を固定する一方、前記送り装置(9)を所定の揺動範囲で上下方向に往復揺動する構成とし、前記送り装置(9)から第2寸法(L1)分だけ送り出され、前記位置決め部材(43)に当接して位置決めされた食料の先端部を、この送り装置(9)の揺動範囲の上端側への揺動時に切断刃(49)に当てて切断し、この送り装置(9)の揺動範囲の下端側への揺動時または揺動後に前記送り装置(9)を送り作動させて食料(FB)の先端部を再び第2寸法(L1)分だけ送り出す構成とし、前記送り装置(9)が揺動範囲の下端部付近に至ったときに、前記センサー(204)によって食料(FB)の断面プロファイルを測定する構成とした請求項17に記載の食料切断装置とする。
【0030】
請求項23に記載の発明は、前記送り装置(9)が第2寸法(L1)分だけ送り作動して停止したときにこの送り装置(9)上の食料(FB)の断面プロファイルを測定する状態と、前記送り装置(9)が第2寸法(L1)分だけ送り作動している間にこの送り装置(9)上の食料(FB)の断面プロファイルを測定する状態とに、切換自在に構成した請求項15に記載の食料切断装置とする。
【0031】
請求項24に記載の発明は、前記算出された第2寸法(L1)で切り出される食料片(fb)の数が設定範囲から外れると判定された場合には、この食料片(fb)の数が前記設定範囲内に収まるように、前記送り出し量を前記算出された第2寸法(L1)に対して増減させた量に自動的に変更するように構成した請求項15に記載の食料切断装置とする。
【0032】
請求項25に記載の発明は、前記センサー(204)によって測定された食料(FB)の断面プロファイルに基づいて、切断される食料片(fb)の適不適を判定し、不適と判定される食料片(fb)が切り出される食料(FB)の先端部位を、前記第2寸法に拘わらずに予め設定された寸法(L0)ごとに送り出して切断する構成とした請求項21に記載の食料切断装置とする。
【0033】
請求項26に記載の発明は、前記送り装置(9)に食料(FB,FB)を左右複数列で供給し、前記センサー(204)によってこの複数列の食料(FB,FB)の夫々の断面プロファイルを測定する構成とし、この測定結果に基づいて、切断される食料片(fb)の適不適を判定し、適すると判定される食料片(fb)が切り出される側の食料(FB)の先端部位を、前記第2寸法(L1)ごとに送り出して切断する一方、不適と判定される食料片(fb)が切り出される食料(FB)の先端部位を、前記第2寸法(L1)に拘わらずに予め設定された寸法(L0)ごとに送り出して切断する構成とした請求項21に記載の食料切断装置とする。
【0034】
請求項27に記載の発明は、前記送り装置(9)の周辺を覆う第1カバー(201)と、前記センサー(204)を支持するとともにこのセンサー(204)を覆う第2カバー(203)とを備え、この第2カバー(203)を、前記第1カバー(201)に形成した開口部(201S)に対して位置規制部(201PK)を介して着脱自在に取り付ける構成とした請求項15に記載の食料切断装置とする。
【0035】
請求項28に記載の発明は、前記密度情報を、食料(FB)の種類や状態に応じて予め設定した複数の密度情報から選択可能とした請求項15から請求項27のいずれか一項に記載の食料切断装置とする。
【0036】
請求項29に記載の発明は、前記センサー(204)を、レーザー光を用いる光切断方式のセンサーとした請求項15から請求項27のいずれか一項に記載の食料切断装置とする。
【発明の効果】
【0037】
本発明によれば、切断された食料片の集合体の重量のばらつきを少なくすると共に、各集合体における食料片の厚さを揃えることのできる食料切断方法および食料切断装置を実現することができる。
【図面の簡単な説明】
【0038】
【
図1】本発明の実施形態におけるスライサー(食料切断装置)の左側面図である。
【
図2】本発明の実施形態におけるスライサーの平面図である。
【
図3】本発明の実施形態におけるスライサーの伝動構成説明用の左側面図である。
【
図4】本発明の実施形態におけるスライサーの伝動構成説明用の平面図である。
【
図5】本発明の実施形態における供給部の左側面図である。
【
図6】本発明の実施形態における供給部の平面図である。
【
図7】本発明の実施形態における枠部材の正面図である。
【
図8】本発明の実施形態における切断部の要部の説明用右側面図である。
【
図9】本発明の実施形態における切断部周辺の説明用左側面図である。
【
図10】本発明の実施形態における切断部周辺の説明用平面図である。
【
図11】本発明の実施形態における肉片(食料片)の集合体の説明用左側面図である。
【
図12】本発明の実施形態における塊状肉搬送装置(送り装置)の周辺を覆うカバー(第1カバー)の斜視図である。
【
図13】本発明の実施形態における塊状肉搬送装置の周辺を覆うカバーの平面図である。
【
図14】本発明の実施形態におけるセンサーを覆うカバー(第2カバー)であって、(a)は平面図、(b)は左側面図である。
【
図15】本発明の実施形態における塊状肉搬送装置の周辺を覆うカバーに、センサーを覆うカバーを装着した状態を示す平面図である。
【
図16】本発明の実施形態における塊状肉搬送装置の周辺を覆うカバーに、センサーを覆うカバーを装着した状態を一部断面して示す説明用左側面図である。
【
図17】本発明の実施形態における塊状肉搬送装置の周辺を覆うカバーに、センサーを覆うカバーを装着した状態を左斜め前方から視て示す斜視図である。
【
図18】本発明の実施形態における制御用のブロック回路図である。
【
図19】本発明の実施形態におけるレーザーセンサーによる断面プロファイルの測定状態を示す説明用左側面図である。
【
図20】本発明の実施形態における1列切断作業状態での断面プロファイルの測定状態を左前方から視た説明用斜視図である。
【
図21】本発明の実施形態における1列切断作業状態での断面プロファイルの測定状態を示す説明用正面図である。
【
図22】本発明の実施形態における2列切断作業状態での断面プロファイルの測定状態を左前方から視た説明用斜視図である。
【
図23】本発明の実施形態における2列切断作業状態での断面プロファイルの測定状態を示す説明用正面図である。
【
図24】本発明の実施形態における第1メインフローチャートである。
【
図25】本発明の実施形態におけるスキャンモードのフローチャートである。
【
図26】本発明の実施形態における作業中測定モードのフローチャートである。
【
図27】本発明の実施形態における第2メインフローチャートである。
【
図28】本発明の実施形態における第3メインフローチャートである。
【
図29】本発明の実施形態における折り畳み処理のフローチャートである。
【
図30】本発明の実施形態における2列処理のフローチャートである。
【
図31】本発明の実施形態におけるくず肉判定後の2列処理を示すフローチャートである。
【
図32】本発明の実施形態における2列処理での左側の搬送通路の塊状肉のスライス枚数とスライス厚さの決定処理を示すフローチャートである。
【
図33】本発明の実施形態における2列処理での右側の搬送通路の塊状肉のスライス枚数とスライス厚さの決定処理を示すフローチャートである。
【
図34】本発明の実施形態における1列切断作業状態での塊状肉(食料)の先端部の切断位置を示す説明用平面図である。
【
図35】本発明の実施形態における2列切断作業状態での塊状肉(食料)の先端部の切断位置を示す説明用平面図である。
【
図36】集合体の形成状態を示す説明用平面図である。
【
図37】集合体の形成状態を示す説明用左側面図である。
【発明を実施するための形態】
【0039】
本発明を実施するための形態について、塊状肉(請求項における「食料」)FBを連続的に切断し、複数枚の肉片(請求項の「食料片」)fbを複数枚ごとの集合体BGとして搬送するスライサー(本発明の「食料切断方法」を実現する「食料切断装置」。)1を実施例として詳述する。
この塊状肉FBとして、例えば、左右幅が大きく高さの低い豚バラ肉や、左右幅が小さく高さの高い豚ロース肉などが挙げられる。
なお、このスライサー1によって切断される塊状肉FBおよび肉片fbの集合体BGの搬送方向を基準として、上手側を「後側」、下手側を「前側」と定義し、下手側に向いた状態での左手側を「左側」、右手側を「右側」と定義して説明する。
【0040】
(スライサーの全体構成)
図1、
図2に示すように、スライサー1は、基体となる機台2に対して供給部3と、切断部4と、搬送部5と、制御部7を設けて構成する。
機台2は、所定の高さを有した平面視で長方形状の枠体である。
供給部3は、作業者によって供給された1列ないし2列の塊状肉を前方へ搬送するものであり、切断部4は、供給部3の前端部から前方へ突出した塊状肉FBの前端部を所定の厚さに切断するものである。
搬送部5は、切断部4で切断された肉片fbを前方へ搬送するものである。
制御部7は、各部を駆動する電動モーターやエアシリンダー等を作動制御するものである。
なお、衛生上の観点から、各部は主にステンレス鋼を用いて構成し、ステンレス製のカバーで覆う。
図3以降は、このカバーを取り外して示す。
【0041】
(供給部)
図3~
図6に示すように、供給部3は、平面視で矩形に枠組みされた枠体8と、この枠体8に対して取り付けられ、手作業で供給された塊状肉FBを前方へ搬送する塊状肉搬送装置(請求項の「送り装置」)9を備える。
この塊状肉搬送装置9には、枠体8の左右両側部に左右の側壁10,10を立設し、この左右の側壁10,10の後端部から、左右の支点軸11,11の夫々を外側方へ突出する姿勢で固定する。
この左右の支点軸11,11は、同一軸心上に配置し、その両端部を、左右のベアリング12,12を介して機台2側に支持する。
【0042】
また、左右の側壁10,10の間の左右方向中心位置に、仕切壁19を、ノブボルト19Nを介して着脱自在に取り付ける。
この仕切壁19を取り外した状態では、左右広幅の1列の搬送通路(請求項の「送り経路」)20が形成され、この1列の搬送通路20に、豚バラ肉のような左右幅が広く高さの低い塊状肉FBの供給が可能となる。
一方、仕切壁19を装着した状態では、左右の側壁10,10間に仕切壁19で仕切られた狭幅の2列の搬送通路20,20が形成され、この2列の搬送通路20,20に、豚ロース肉のような左右幅が狭く高さの高い塊状肉FBの2列供給が可能となる。
また、搬送通路20の数は、1列、2列に限らず、3列以上に設定することも可能である。
なお、この塊状肉搬送装置9とは、下部無端ベルト25だけでなく、その前端部に有した枠部材36を含めた総称である。
この下部無端ベルト25および枠部材36の構成については後述する。
【0043】
(供給部の揺動機構)
図4に示すように、機台2における枠体8の下方の部位に揺動用電動モーター13を取り付け、この揺動用電動モーター13の出力軸14にクランクアーム15の一端部を取り付ける。
そして、このクランクアーム15の他端部に軸支したベアリング16と、枠体8における支点軸11,11よりも前側下方の部位に支持したベアリング17を、連動ロッド18の両端に備えた円筒部(図示省略)に篏合して固定する。
これによって、供給部3は、搬送終端側となる前端部ほど低くなるように、前下がりに傾斜した姿勢で支持される。
揺動用電動モーター13を駆動すると、供給部3が支点軸11を中心として斜め上下方向に揺動し、供給部3の前端部は、支点軸11を中心とする円弧軌跡上を、この軌跡の下端部と上端部の間で往復揺動する。
また、
図5、
図6に示すように、左右両端部に有した側壁10,10を、その前部と後部において、搬送通路20の上方を跨いで配置された門型またはアーチ形状の補強フレーム21で連結し、枠体8の剛性を確保する。
【0044】
(供給部のコンベア)
図4、
図6に示すように、塊状肉搬送装置9には、搬送通路20,20の下部に、塊状肉搬送用の広幅の下部コンベア22を設ける。
この下部コンベア22は、搬送通路20の底部を形成し、塊状肉FBを載せて搬送する。
また、下部コンベア22は、前端ローラー23および後端ローラー24と、これら前端ローラー23と後端ローラー24に巻き掛けられる粗雑面を有した下部無端ベルト25と、この下部無端ベルト25に張力を付与する前後方向中間部のテンションローラー26から構成する。
前端ローラー23は、左右のフレーム(図示省略)の前端部に固定された左右方向の軸に対して、回転自在に支持する。
この左右のフレームは一体的に構成され、枠体8の下部に着脱自在な構成とする。
後端ローラー24は、左右のフレームの後端部に軸受された左右方向の下部駆動軸27に固定する。
【0045】
テンションローラー26は、枠体8の前後方向中間部に配置し、下部無端ベルト25の下側巻回域の上面に当接させ、下方へ弾発付勢する。これによって、下部無端ベルト25に、搬送に適した張力が付与される。
また、テンションローラー26を弾発付勢する構成に代えて、テンションローラー26の高さを調節して固定する構成としてもよい。
なお、前端ローラー23、後端ローラー24、テンションローラー26、下部無端ベルト25は、左右の側壁10,10の内側面間隔よりも幅広に形成し、その左右両端部の夫々を、左右の側壁10,10の下側に入り込ませる。
また、枠体8における前端ローラー23とテンションローラー26の間、および、テンションローラー26と後端ローラー24の間には、下部無端ベルト25の上側巻回域の下面を摺接支持する摺接板体(図示省略)を取り付ける。この摺接板体は、左右の側壁10,10の内側面間にわたる幅広に形成する。
【0046】
(供給部の押圧板)
図4~
図6に示すように、左右の支点軸11,11における側壁10,10とベアリング12,12の間の部位には、左右の押圧アーム28,28の基部を軸受支持する。
これによって、左右の押圧アーム28,28は左右の側壁10,10の外側に上下揺動自在に配置される。
この左右の押圧アーム28,28の前端には、搬送通路20の前端部上側に臨む押圧板29,29をそれぞれ取り付ける。
この押圧板29,29は、左右の押圧アーム28,28の前端部に取り付けた取付ステー30,30に対してノブボルト30N,30Nで締結固定する。
なお、この取付ステー30,30は、押圧アーム28,28の前端部(自由端部)から上方へ延出した後、搬送通路20,20の上方へ向けて屈折する。
【0047】
押圧板29,29は、取付ステー30,30に締結固定される上面部と、この上面部の前端から前下がり傾斜する斜面部と、この斜面部の前端から前方へ延出する押圧面部を有する板体である。
なお、
図6に示すように、左右の側壁10,10の間に仕切壁を装着し、2列の搬送通路20,20を形成した場合には、各搬送通路20の前端部上側に、各一つの押圧板29が臨む。
また、
図3、
図5に示すように、枠体8における左右の側壁10,10からステー30T,30Tを立ち上げ、このステー30T,30Tに左右のエアシリンダー30S,30Sのシリンダー部を左右方向の軸30Y,30Yで回動自在に軸支する。これによって、エアシリンダー30S,30Sは上下方向の姿勢として取り付けられる。
そして、このエアシリンダー30S,30Sのピストンの先端を、左右の押圧アーム28,28の前部に左右方向の軸心回りに回動自在に軸支する。
【0048】
このエアシリンダー30S,30Sが伸長作動すると、押圧アーム28,28が下方回動し、押圧板29,29が下方の下部無端ベルト25の上面に向けて押圧され、この押圧板29,29の押圧面部によって搬送通路20,20の前部まで搬送された塊状肉FB,FBの前端部を押圧する。
すなわち、このエアシリンダー30S,30Sの伸長および短縮のタイミングを、支点軸11を中心とする供給部3の揺動に同調するように制御する。
これにより、供給部3の上昇揺動によって塊状肉の前端部が切断部4で切断される直前に、エアシリンダー30S,30Sが伸長して、この塊状肉FB,FBの前端部を押圧し、切断時の位置ずれを防止する。
切断後、このエアシリンダー30S,30Sが短縮して塊状肉の押圧が解除され、下部無端ベルト25の駆動によって、塊状肉FB,FBの前端が後述する受板に当接するまで送り出される。
【0049】
(供給部の伝動)
図4に示すように、供給部3における枠体8の下面側に、搬送用電動モーター31を左右方向に向けて取り付け、この搬送用電動モーター31の左右方向の出力軸に出力ギヤ32を固定する。
そして、この出力ギヤ32を、枠体8の後部に軸受された中間ギヤ33に噛み合わせ、この中間ギヤ33を、下部駆動軸27の左側端部に固定した入力ギヤ34に噛み合わせる。
【0050】
(枠部材)
図6~
図8に示すように、供給部3における枠体8の前端部に、開口部35を有する枠部材36をボルト37で締結固定する。
図7に示すように、この枠部材36は、左右両端部にボルト孔を有した取付部38,38を備え、この左右の取付部38,38の間に、幅広の矩形の開口部35を貫通させて形成する。
この枠部材36における開口部35の前面には、この開口部35の左右側縁と底部側縁の3縁を連続的に囲う摺接縁部40を前方へ隆起させて形成する。
図8に示すように、この摺接縁部40の前面は、側面視で供給部3の支点軸11を中心とした円弧状に形成する。
【0051】
なお、塊状肉搬送装置9の下部無端ベルト25によって搬送された2列の塊状肉FB,FBの前端部は、側面視において、枠部材36の前面に形成された摺接縁部40から前方へ突出する。(請求項における「送り出し量」とは、この枠部材36の摺接縁部40の前面を基準位置とし、この基準位置から塊状肉FBの先端部が突出した距離を指す。)
この摺接縁部40の前面に、後述する無端状帯刃が摺接することとなり、この摺接縁部40の前面における無端状帯刃の摺接位置が、塊状肉搬送装置9の搬送方向(請求項の「送り方向」)における切断位置CPとなる。
また、
図8に示すように、この摺接縁部40の上部前面は後上がりした傾斜面41とし、供給部3の上昇揺動時に、後述する無端状帯刃を摺接縁部40上に摺接案内する。
なお、開口部35の底部側縁の上縁は刃物状に形成する。
【0052】
(切断部の受板)
図3、
図8、
図9、
図25、
図28、
図31に示すように、上述の枠部材36の揺動軌跡の前側に対向する位置に、開口部35から送り出される塊状肉FB,FBの先端部を、当接位置APで当接させて位置決めする受板(請求項の「位置決め部材」)43を配置する。
この受板43の後面の全面またはその一部の面を、側面視で供給部3の支点軸11を中心とした円弧に沿う曲率に形成する。
すなわち、上述の枠部材36の摺接縁部40の前面と、受板43の後面は、側面視において同一または近似した曲率の円弧形状とする。
なお、後述するように、この受板43は、電動モーター61の作動によって、枠部材36の摺接縁部40の前面に対して接近および離間する方向へ位置調節される。
【0053】
(切断刃)
図4に示すように、切断部4には、切断用電動モーター44と、この切断用電動モーター44の出力軸45に取り付けた駆動プーリー46と、従動軸47に取り付けた従動プーリー48と、駆動プーリー46と従動プーリー48にわたって巻き掛けられる鋼製の無端状帯刃(請求項の「切断刃」)49を備える。
切断用電動モーター44は、枠部材36の開口部35から左側方へ離れた部位に固定する。
一方、従動軸47は、開口部35から右側方へ離れた位置にベアリング50を介して回転自在に支持し、エアシリンダー(図示省略)の作動によって左右方向へ位置調節できるように機台2側に支持する。
なお、出力軸45と従動軸47は、同一の前上がり傾斜姿勢として平行に保持する。
【0054】
これにより、エアシリンダーを作動させて駆動プーリー46と従動プーリー48の間隔を縮小すれば、この2つのプーリー46,48に無端状帯刃49の巻き掛け作業および取り外し作業を容易に行うことができる。
無端状帯刃49を駆動プーリー46と従動プーリー48に巻き掛けた状態で切断用電動モーター44を起動すると、出力軸45における軸心の前上方延長線方向から見て、駆動プーリー46が反時計回りに駆動回転する。
また、無端状帯刃49を介して従動プーリー48も反時計方向に従動回転する。
これによって、無端状帯刃49の下側巻回域では、無端状帯刃49が従動プーリー48側から駆動プーリー46側へ(右から左へ)周回移動する。
したがって、この下側巻回域では、無端状帯刃49は緊張状態で周回移動することとなり、この無端状帯刃49の下側巻回域を塊状肉の切断作用域として使用する。
【0055】
なお、この無端状帯刃49の下側巻回域(切断作用域)は、機台2に対して固定された位置に配置される。
また、このように周回移動する無端状帯刃49に塊状肉FB,FBの切断抵抗等によって過負荷が掛かった場合には、従動軸47に出力軸45側へ向かう方向の力が掛かる。
しかしながら、この従動軸47を移動調節するエアシリンダー内の空気が圧縮されることによって、過負荷による破損を防止することができる。
なお、無端状帯刃49の一側縁が鋭利な刃縁に形成されている。
図8、
図25に示すように、無端状帯刃49を案内する案内部材51を、駆動プーリー46と従動プーリー48の間における受板43の上方に配置する。
【0056】
この案内部材51は、左右方向に長尺の板体の下縁部に、下向きに開口した左右方向の溝を形成しており、この溝に、無端状帯刃49の刃縁のない側縁部分を左右方向へ摺動自在に嵌入させる。
そして、この案内部材51の位置および姿勢を固定することで、無端状帯刃49の巻き掛け面が後下がり傾斜した設定姿勢に保持され、この無端状帯刃49の刃縁と受板43の上端との間に間隔部Tが形成される。
なお、案内部材51によって無端状帯刃49の内面と外面が摺接支持されるため、周回移動時の位置および傾斜姿勢が安定する。
【0057】
(切断部の支持、第1支持部材、第3支持部材)
図1、
図3に示すように、機台2の上部左右両側に、2つの平板状のレール52,52を、前後方向に向け、左右方向に間隔をおいて固設する。
平面視で矩形に枠組み形成した第3支持部材53の下部には、その前部の左右両側に、各2個のローラー54を天秤揺動式に支持する。
また、この第3支持部材53の下部における後部の左右両側には、各1個のローラー54を軸支する。
第3支持部材53を機台2上に搭載した状態で、全6個のローラー54が左右のレール52,52の上面に載置され、第3支持部材53が機台2に対して前後方向へ移動自在に支持される。
【0058】
この第3支持部材53の上側に、平面視で矩形に枠組み形成した第1支持部材55を配置し、この第1支持部材55の前後左右の4箇所に、4つの上部リンクアーム56の上端部を左右方向の上部軸57回りに回動自在に軸着する。
この4つの上部リンクアーム56の下端部は、第3支持部材53における前後方向中央部と後部に軸受支持した左右方向の下部軸58,58の左右両端部にそれぞれ固定し、左右の上部リンクアーム56,56が下部軸58,58回りに一体的に回動するように構成する。
また、これら4つの上部リンクアーム56の下端部には、下部リンクアーム59の上端部を連結固定する。これにより、下部リンクアーム59と上部リンクアーム56は、左側面視で逆く字形状を呈する。
また、前後の下部リンクアーム59,59の下端部に設けた左右方向の軸59P,59Pと第3支持部材53前部と後部に設けた軸53P,53Pの間を、前後の引張スプリング60,60で夫々連結する。
【0059】
また、この引張スプリング60,60の収縮方向への弾発力で第1支持部材55を上昇方向へ付勢する。
そして、第3支持部材53に、電動モーター61の基部を左右方向の軸心回りに軸支し、この電動モーター61によって回転駆動される螺子軸63に雌螺子部材64を螺合する。
また、この雌螺子部材64と共に移動する中間部材64aの先端部を、第1支持部材55の前後方向中間部に備えた左右方向のフレーム55a側のステー55bに、左右方向の軸65で回動自在に軸着する。
この電動モーター61の駆動によって螺子軸63が回転すると、これに螺合する雌螺子部材64が螺子軸63の軸心方向に移動する。
そして、中間部材64aを介して第1支持部材55のフレーム55aを押し引きし、第1支持部材55が第3支持部材53に対して移動する。
【0060】
この第1支持部材55の移動軌跡は、前後の上部リンクアーム56の上端部の揺動軌跡の設定によって決定される。
すなわち、4つの上部リンクアーム56の長さは全て同じ長さに形成し、第3支持部材53に対する前側の下部軸58の軸受位置を、第3支持部材53に対する後側の下部軸58の軸受位置よりも高く設定する。
そして、前側の左右の上部リンクアーム56,56の後下がり傾斜を、後側の左右の上部リンクアーム56,56の後下がり傾斜よりも緩く設定する。
これによって、第1支持部材55が第3支持部材53に対して接近するほど(下降するほど)、この第1支持部材55の前部側が後部側よりも大きく下降し、第1支持部材55が前下がりに傾斜していく。
【0061】
しかして、第1支持部材55の後部には、左右の側板66,66を有した後部支持台67の下端部を締結固定する。
また、この左右の側板66,66の下部間は、左右方向の丸棒状のフレーム68,68で連結し、左右の側板66,66の上方延出部の間は、左右方向のフレームで連結する。
また、左右の側板66,66の上部後側の部位に、前上がり傾斜した斜辺部を形成し、この斜辺部に、上述の受板43の前面における左右両端部から前方へ突設したステー70,70を、ナット71を介して締結固定する。
これによって、受板43が第1支持部材55上の定位置に固定される。
なお、第3支持部材53を機台2に対して前方へ移動させると、受板43が枠部材36から離間し、この受板43と枠部材36の間にメンテナンス用の空間が形成され、この空間を利用して切断部4および後述する搬送部5等のメンテナンスを行なうことができる。
【0062】
(切断される肉片の厚さ調節)
電動モーター61を駆動すると、第1支持部材55およびこれに一体的に支持された受板43が、上部リンクアーム56,56の揺動軌跡に拘束される方向に移動する。
すなわち、切断される肉片の厚さを厚くする場合に、電動モーター61を正転駆動して第1支持部材55を前方へ移動させると、第1支持部材55が前下がりに傾斜しながら前側下方へ移動する。
このとき、第1支持部材55に支持された受板43の後面は、前方へ傾倒するように姿勢変化する。
この結果、摺接縁部40の前面と受板43の後面との間隔が拡大するが、側面視において、受板43の後面が、摺接縁部40の揺動中心である支点軸11を中心とする円弧(仮想上の円弧)上に位置する状態は維持される。
すなわち、支点軸11から受板43の後面の上端までの距離と、支点軸から受板43の後面の下端までの距離が等しい状態を維持しながら、摺接縁部40の前面と受板43の後面との間隔が拡大する。
【0063】
電動モーター61を逆転駆動すると、上述と逆の作動によって、摺接縁部40の前面と受板43の後面との間隔が縮小する。
これによって、側面視において切断位置CPと当接位置APとの間隔によって定まる塊状肉FB,FBの切断厚さ、すなわち、切り出される肉片fbの厚さが、切断面の全面にわたって略均一な状態で調節される。
なお、側面視における摺接縁部40の前面の曲率と、受板43の後面の曲率を略等しくしている。
【0064】
このため、厳密には、上述の厚さ調節を行なうと、支点軸11から受板43の後面の上端および下端までの各距離と、支点軸11から受板43の後面の上下方向中間部までの距離とが僅かに相違したものとなる。
しかしながら、この僅かな相違は、切断された肉片fbの商品価値に影響するほどのものとはならない。
また、このように受板43を前方へ傾倒させながら前側下方へ移動させる構成は、この実施例におけるスライサーのように、支点軸11を中心とする摺接縁部40の円弧軌跡の下側領域で塊状肉を切断する構成の場合に適用される。
【0065】
(切断部の引継回転体)
図3、
図4、
図9、
図10に示すように、左右の側板66,66の上部間には、同一軸心上で独立して回転する左右の引継回転体72,72を設ける。
この左右の引継回転体72,72は、胴体73の外周部に、多数の鋭利な突起を形成した環状板74を、互いに間隔をおいて多数配列したものであり、この胴体73,73を、左右の側板66,66にわたって架設した支持軸75上に回転自在に軸受支持する。
なお、この環状板74の周縁部に形成される突起は、切断後の肉片に突き刺さるほどに尖った尖端を有する。
また、
図4に示すように、左右の側板66,66の上部外側面に引継用電動モーター76,76を取り付け、この引継用電動モーター76,76によって駆動される出力軸77,77を、左右の側板66,66に穿設した孔を通して各側板66,66の内側方へ突出させる。
【0066】
この出力軸77,77の突出端部に出力ギヤ78,78を固定し、左右の胴体73,73の外側端部に入力ギヤ79,79を固定し、この出力ギヤ78,78と入力ギヤ79,79を噛み合わせる。
なお、環状板74の周縁部の一部を、受板43の上部に形成した上下方向のスリットに侵入させ、この周縁部に形成した突起を切断中および切断後に間隔部Tから出てくる肉片fb,fbに突き刺すようにして引継回転体72,72上に引き継ぐ。
この際の開口部35の上動速度と引継回転体72,72の環状板74,74の外周速度を同方向および同速度に設定することで、切断された肉片fb,fbを円滑に引継搬送することができる。
【0067】
(折り畳み装置)
図4、
図9、
図10に示すように、上述の支持軸75の前側下方に、左右の揺動用電動モーター80,80によって往復回転する左右の棒状体81,81を配置する。
この左右の棒状体81,81には、長手方向に所定の間隔をおいて多数の細杆82,82を植設する。
この多数の細杆82,82は、支持軸75の回動開始前において、上述の隣接する環状板74,74の間に侵入し、この環状板74,74の上側周面に係止されて搬送される肉片fb,fbに干渉しない待機位置に格納される。
また、左右の揺動用電動モーター80,80と左右の棒状体81,81をユニット化する。
そして、
図11、
図12に示すように、この左右のユニット83,83を、左右の側板66,66の外側部に前上がりに傾斜させて平行に取り付けた2本の丸棒状の案内レール83L,83Lに対して、その長手方向に摺動自在に支持する。
【0068】
更に、左右の側板66,66の外側部に取り付けた左右の出退用電動モーター84,84から動力が供給されるギヤケース84G,84Gの出力軸に、クランクアーム85,85の一端部を取り付け、このクランクアーム85,85の他端部とユニット83,83にターンバックル式のロッド86,86の両端部を軸着する。
これにより、左右の棒状体81,81に植設された多数の細杆82,82は、左右の揺動用電動モーター80,80の作動によって傾斜姿勢が前後方向へ反転するように往復揺動する。
また、これら多数の細杆82,82は、左右の出退用電動モーター84,84の作動によって、ユニットごと案内レール83L,83Lに案内されながら、前上がり傾斜方向へ往復摺動する。
【0069】
(押圧装置)
図4、
図9に示すように、左右の側板66,66の上部間を連結する左右方向のフレーム69の中央部に、電動シリンダー87のシリンダー部を斜め上下方向に向けて取り付ける。
そして、この電動シリンダー87のピストン先端部に、左右方向に延在する押圧部材88の左右方向中央部を取り付ける。
この押圧部材88には、弾性を有した線材を山型に湾曲させて形成した4つの線状押圧部材89を、その一端を押圧部材88に固定し、他端を押圧部材88に穿設した孔に摺動自在に挿入して取り付ける。
【0070】
この状態において、各2つの線状押圧部材89どうしが交錯し、4つの線状押圧部材89の湾曲部が下端に位置する姿勢となる。
電動シリンダー87の伸長作動によって押圧部材88が下方へ移動すると、この押圧部材88の下縁によって、折り畳まれた肉片fbの上面が押圧される。
この後、電動シリンダー87の短縮作動によって押圧部材88が上方へ移動するとき、4つの線状押圧部材89の湾曲部によって、折り畳まれた2列の肉片fb,fbの夫々を、2点で同時に押圧する構成である。
【0071】
(肉片の折り畳みと集合体の形成)
上述の揺動用電動モーター80,80が作動して多数の細杆82が待機位置から前方へ揺動すると、引継回転体72の環状板74の上側周面に載って搬送されてくる肉片fbが、この多数の細杆82の先端部で環状板74の周面から剥ぎ取られる。
このとき、左右方向に並ぶ多数の細杆82の先端部が肉片fbの下面の前後方向中央部に当接し、この肉片fbの前後方向中央部を押し上げ、更に前方へ揺動する。
これによって、肉片fbの前後両端部が自重で垂れ下ることにより、この肉片fbは多数の細杆82の先端部が当接した位置で折り曲がり、二つ折りとなって、後述する搬送方向上手側(後側)の搬送作用部上に置かれる。
このとき、電動シリンダー87が伸長作動し、押圧部材88が下方へ移動し、この押圧部材88の下縁によって、二つ折りになった肉片fbが押圧される。
【0072】
この押圧状態で、出退用電動モーター84,84が作動し、左右の棒状体81,81が、左右の揺動用電動モーター80,80ごと後側下方へ摺動し、二つ折りの肉片fbに挟まれていた多数の細杆82が瞬時に抜き出される。
この後、線状押圧部材89の湾曲部で二つ折りの肉片fbの上面を下方へ押し離しながら、押圧部材88が上方へ退避する。
このような肉片fbの折り畳みを繰り返すことによって、
図11に示すように、折り畳まれた複数の肉片fb(この実施例では6枚の肉片fb)が、その一部どうしが上下に重なるように、搬送作動中の無端ベルト96の搬送始端部上に順次置かれ、肉片fbの集合体BGが形成される。
また、無端ベルト96の搬送速度を断続的に増減速する制御、または、引継回転体72の回転速度と細杆82の揺動タイミングが同期した状態を保ちながら、この細杆82が揺動する時間間隔を断続的に変更する制御等によって、一つの集合体BGと次の集合体BGとの間に所定の間隔が形成される。
【0073】
(搬送部)
図3、
図4、
図9、
図10に示すように、搬送部5は、後端部従動ローラー90と、後部従動ローラー群91と、駆動ローラー92及びこの前後に近接して配置した2つの従動ローラー93,93と、駆動ローラー92の上方に配置した上部従動ローラー92Uと、前部の従動ローラー群とにわたって無端ベルト96を巻き掛けて構成する。
なお、無端ベルト96の上側巻回域における各ローラー間には、この無端ベルト96の内周面を摺接支持する摺接支持板体(図示省略)を設ける。
これによって、搬送始端部から搬送終端部にわたる一連の搬送作用域が形成される。
この一連の搬送作用域は、搬送方向上流側(後側)の搬送作用部5Fと、搬送方向下流側(前側)の搬送作用部5Rから形成される。
【0074】
(搬送方向上手側の搬送作用部)
図3に示すように、第1支持部材55の前後方向中間部上に左右の非対称形状の板体97,97からなる中間部支持台98を搭載する。
すなわち、この左右の板体97,97の下端部に前後方向の軸受穴を有したボス部材を固定し、第1支持部材55の左右両側面部に丸棒状の摺動案内杆の前後両端部を固定し、ボス部材を摺動案内杆に対して前後方向に摺動可能に篏合させる。(ボス部材、摺動案内杆は、いずれも図示省略)
また、摺動案内杆に対するボス部材の摺動位置を固定および固定解除するロック装置(図示省略)を設ける。
中間部支持台98を摺動範囲の後端まで摺動させてロック装置をロックすると、無端ベルト96の巻き掛け周長が拡大し、この無端ベルト96が張られて搬送可能な状態となる。
【0075】
一方、ロック装置をロック解除し、中間部支持台98を前方へ摺動させると、無端ベルト96の巻き掛け周長が縮小して無端ベルト96が弛み、この無端ベルト96を脱着可能な状態となる。
しかして、中間部支持台98における左右の板体97,97の前部に、左右の支持ステー101,101の基部を固定し、この左右の支持ステー101,101の後方延出端部に、左右方向長尺の支持軸102の左右両端部を上下回動自在に軸受支持する。
図4、
図9に示すように、この支持軸102には、左右方向に広幅に形成した上述の後端部従動ローラー90を回転自在に支持する。
これによって、後端部従動ローラー90は、上述の切断部4における間隔部Tの前側下方に位置する。
【0076】
また、この支持軸102の左右両端部には、上辺部と下辺部に分岐形成した揺動アーム103,103の頂部を、それぞれ上下回動自在に軸受支持する。
この揺動アーム103,103における左右の上辺部の間には、2つの後部上側従動ローラー91UF,91URを回転自在に軸支し、揺動アーム103,103における左右の下辺部の間に、2つの後部下側従動ローラー91DF,91DRを回転自在に軸支する。
これによって、上述の後部従動ローラー群91が形成され、この後部従動ローラー群91が、後端部従動ローラー90の前側に配置される。
また、右側の揺動アーム103の頂部から作動アーム104を一体的に垂下させて設ける。
一方、中間部支持台98における右側の板体97の右側面に、上下動用電動モーター105から伝動されるギヤケース106を固定し、このギヤケース106の出力軸107にクランクアーム108の一端部を取り付ける。
【0077】
そして、作動アーム104の先端部(下端部)とクランクアーム108の他端部を、ターンバックル式の連動ロッド109で軸着連結する。
この構成により、上下動用電動モーター105が正転駆動すると、クランクアーム108と作動アーム104が連動して回動し、左右の揺動アーム103,103が支持軸102の軸心を中心として上方回動する。
これによって、2つの後部上側従動ローラー91UF,91URが上昇して無端ベルト96の上側巻回域の内面を押し上げ、一連の搬送作用域における搬送方向上手側の搬送作用部5Fの搬送始端部(後端部)に、前上がりに傾斜する急傾斜面が形成される。
この後、上下動用電動モーター105が逆転駆動すると、左右の揺動アーム103,103が支持軸102の軸心を中心として下方回動し、2つの後部上側従動ローラー91UF,91URが下降して元の位置に復帰する。
【0078】
これによって、無端ベルト96の前部が元の位置まで下がり、搬送作用部5Fの搬送始端部は緩傾斜面に復帰する。
このとき、下降する2つの後部下側従動ローラー91DF,91DRによって無端ベルト96の下側巻回域の内面を押し下げることによって、無端ベルト96の弛みが防止される。
駆動ローラー92は、中間部支持台98における左右の板体97,97の間に配置し、その回転軸110の左右両端部を、ベアリング111,111を介して左右の板体97,97に軸受支持する。
右側の板体97の右側面に、搬送駆動モーター112から動力が供給されるギヤケース113を固定し、このギヤケース113の出力軸に駆動ローラー92の回転軸を連結する。
駆動ローラー92の前後に近接して配置した2つの従動ローラー93,93は、駆動ローラー92よりも高い位置に配置し、左右のベアリング114,114で左右の板体97,97間に軸受支持する。
【0079】
そして、無端ベルト96を、この2つの従動ローラー93,93の上側周面に巻き掛け、更にこの2つの間に配置した駆動ローラー92の下側周面に巻き掛けることによって、駆動ローラー92の下側周面に巻き掛けられる無端ベルト96の巻き掛け周長を長くする。
これによって、駆動ローラー92に対する無端ベルト96の滑りが少なくなる。
また、上述の上部従動ローラー92Uは、中間部支持台98における左右の板体97の上部間に取り付けた左右方向の軸(図示省略)に回転自在に軸受支持し、駆動ローラー92の上方に配置する。
しかして、上述の後端部従動ローラー90から上部従動ローラー92Uにわたる部位を主体として、搬送方向上手側の搬送作用部5Fが形成される。
【0080】
(第2支持部材)
図3に示すように、上述の第3支持部材53の後端部に、左右の板体115,115からなる前部支持台116を固設する。
すなわち、左右の板体115,115の下端部を第3支持部材53の後端部にボルト117,117で締結固定し、この左右の板体115,115の上端部を上述の中間部支持台98における左右の板体97,97の上端部と同等の高さまで延設する。
なお、この前部支持台116は、上述の第1支持部材55との間に前後方向の空間を隔てて配置されており、この第1支持部材55および中間部支持台98との直接的な連結関係はない。
【0081】
(搬送方向下手側の搬送作用部)
しかして、
図3、
図4に示すように、前部支持台116(左右の板体115,115)の上部から、後方へ上下方向が狭幅の左右の延設板体118,118を、後方へ向けて一体的に延設する。
また、この左右の延設板体118,118の各内側面には、この内側面と間隔をおいて、前後方向の丸棒状のガイドレール119,119を配置し、この左右のガイドレール119,119の各前端部と後端部を、延設板体118,118の内側面にステー120,120を介して取り付ける。
そして、前後方向の左右の移動板体121,121と、この左右の移動板体121,121の前後両端部間を連結する前側連結棒122および後側連結棒(図示省略)から、枠組みされた移動枠124を形成する。
【0082】
この移動枠124における左右の移動板体121,121の前部上縁には前下がりに傾斜する傾斜縁部を形成する。
そして、この傾斜縁部に沿って傾斜する前後方向の左右の斜設板体125,125の後端部を、左右の移動板体121,121間に架設した後部支持軸126の左右両端部に上下回動自在に軸支する。
この後部支持軸126には、左右方向に広幅の屈折部従動ローラー127を回転自在に篏合する。
また、左右の移動板体121,121の前端部に、上下方向の円弧状の長孔(図示省略)を形成し、この長孔にボルトを外側から挿通し、このボルトの先端部を左右の斜設板体125,125に設けたウエルドナット129に差し込んで、移動板体121と斜設板体125を共締めして固定する。
【0083】
このボルトを緩めることで、左右の斜設板体125,125の前下がり傾斜角度を調節することができる。
さらに、左右の斜設板体125,125の前端部外側に、左右の支持アーム(図示省略)を取り付け、この左右の支持アームの前端部間を連結軸(図示省略)で連結する。
そして、この連結軸に左右方向に広幅の前端部従動ローラー133を回転自在に軸受支持する。
また、左右の移動板体121,121の後部下側の部位を前下方へ延設し、この左右の延設端部間に架設した軸(図示省略)に、左右方向に広幅の移動ローラー150を回転自在に軸支する。
この移動ローラー150は、移動枠124と共に移動し、前端部従動ローラー133の前後移動によって生じる無端ベルト96の巻き掛け周長の変化を吸収する。
【0084】
しかして、左右の移動板体121,121の外側面における前後2箇所にボス部材134,134を取り付け、このボス部材134,134を上述の左右のガイドレール119,119に前後方向摺動自在に篏合する。
そして、前部支持台116における右側の板体115の右側面に伸縮用電動モーター135から動力が供給されるギヤケース136を固定する。
このギヤケース136の出力軸137における右側の板体115の内側への突出端部に、上下方向姿勢の揺動アーム138の下端部を固定する。
この揺動アーム138の上端部と、前側連結棒122における移動板体121から外側への突出端部に、ターンバックル式の連動ロッド139,139の前後両端部を軸着連結する。
【0085】
以上により、伸縮用電動モーター135が駆動すると、移動枠124側に支持された屈折部従動ローラー127と前端部従動ローラー133が一体で前後方向に移動し、無端ベルト96の搬送終端部(前端部)が前後方向に位置変更する。
この無端ベルト96における屈折部従動ローラー127から前端部従動ローラー133にわたる部位を、往復移動コンベアと称する。
また、上述の第1支持部材55の前端部左右両側の部位に、支持ステー145,145をボルト146,146で締結固定し、この左右の支持ステー145,145間に架設された軸147に、左右方向に広幅の下部従動ローラー148を軸受支持する。
【0086】
前述のように、切断される肉片の厚さが増すように調節するとき、第1支持部材55が第3支持部材53に対して接近するほど(下降するほど)、この第1支持部材55の前部側が後部側よりも大きく下降し、第1支持部材55が前下がりに傾斜していく。
このとき、無端ベルト96の巻き掛け周長が短縮され、無端ベルト96が弛むことになるが、この第1支持部材55の前端部に設けられた下部従動ローラー148が前下方へ移動することで、無端ベルト96の周長変化が吸収される。
しかして、上述の往復移動コンベアを主体として、搬送部5における搬送方向下手側の搬送作用部5Rが形成される。
なお、上述の搬送方向上手側の搬送作用部5Fから、この搬送方向下手側の搬送作用部5Rにわたって、無端ベルト96による一連の搬送作用域が形成される。
なお、上述の各ローラー間には、無端ベルト96における上側巻回域の下面を下から支える摺接板体(図示省略)を設けている。
【0087】
(基本的な切断作動)
しかして、上述のように構成したスライサー1によって、塊状肉FBを切断する基本的な切断作動について説明する。
まず、バラ肉を切断する場合など、搬送通路20を1列として使用する場合は、仕切壁19を取り外しておく。
一方、ロース肉を切断する場合など、搬送通路を2列として使用する場合は、この仕切壁19を装着しておく。
ここでは、搬送通路20を2列として使用する場合を例示して説明するが、1列として使用する場合でも、各部の作動は同様である。
そして、切断する塊状肉FB,FBの種類(バラ肉、ロース肉等)や状態(温度等)等に応じて作動条件を設定し、各部の設定条件等を変更し、後述する起動スイッチ301を操作する。
これによって、切断部4の無端状帯刃49の周回移動と、搬送部5の搬送駆動が開始される。
【0088】
この初期状態において、供給部3は揺動範囲の下限に位置しており、この状態で供給部3に塊状肉FBを投入し、フィードスイッチをON操作すると、塊状肉搬送装置9が駆動を開始する。
これによって、投入された塊状肉FB,FBは塊状肉搬送装置9の搬送作用を受けて前方へ搬送され、この塊状肉FB,FBの先端部が受板43の後面に当接位置APで当接し、この塊状肉FB,FBの先端部の位置が規制される。
そして、この状態から供給部3が上昇揺動するにつれて、塊状肉FB,FBにおける枠部材36の開口部35から突出した部位に、右側から左側へ周回移動する無端状帯刃49の刃縁が上側から切り込んでいく。
この無端状帯刃49による切断位置CPは、枠部材36に備えた摺接縁部40の前面における無端状帯刃49の摺接位置となる。
【0089】
このとき、塊状肉FB,FBの先端部が受板43によって位置規制されているので、無端状帯刃49によって塊状肉FB,FBの先端部が均一な厚みに切断される。
供給部3が揺動範囲の上限近くの位置まで上昇揺動すると、塊状肉FB,FBの先端部が無端状帯刃49によって切り離される。
そして、この所定の厚さに切断された肉片fb,fbが、受板43の上端と無端状帯刃49の下端との間に形成された間隔部Tを通過して、受板43の前側に配置された左右の引継回転体72,72の環状板74,74の上側周面に引き継がれる。
【0090】
この後、供給部3は再び上昇揺動し、上述の塊状肉の切断が繰り返される。
このようにして間隔部Tを通過して引継回転体72,72の環状板74,74の上側周面に引き継がれた肉片fb,fbは、揺動する多数の細杆82,82の先端部で、環状板74,74の周面から剥ぎ取られ、二つ折りとなる。
このようにして、肉片fb,fbの一部どうしが上下に重なるように搬送作動中の無端ベルト96の搬送始端部上に順次置かれ、2列の肉片fb,fbの集合体BG,BGが形成される。
この2列の集合体BG,BGにおいて、各列における集合体BGと次の集合体BGとの間には、所定の間隔(集合体間隔)Pが形成される。
このような切断作業において、切断される肉片fbの厚さを調節する場合、肉厚調節用の電動モーター61を作動させて受板43を枠部材36の摺接縁部40の前面に対して位置調節する。
【0091】
これによって、受板43は、搬送方向上手側の搬送作用部5Fを支持する第1支持部材55と一体で前後方向に移動する。
しかし、搬送方向下手側の搬送作用部5Rを支持する前部支持台116は、機台2側の第3支持部材53に一体的に取り付けられているため、受板43の位置調節の影響を受けて前後方向に移動することはない。
このため、切断する肉片fbの厚さを調節しても、搬送部5における搬送方向下手側の搬送作用部5Rの位置は変化しない。
また、受板43と搬送部5における搬送方向上手側の搬送作用部5Fとの位置関係が変化しないので、切断されて折り畳まれた肉片mは、搬送作用部5Fに円滑に引き継がれて搬送される。
【0092】
(レーザーセンサーの装着)
図1、
図2、
図12~
図17に示すように、上述のように構成したスライサー1において、供給部3の塊状肉搬送装置9の周辺を覆う第1カバー201を装着する。
図12、
図13に示すように、この第1カバー201は、左右の側壁10,10の設置間隔よりも広い左右幅を有し、枠部材36の上側から下部コンベア22の後端部(搬送始端部)の上側付近に至る前後長を有し、下面を開放したフード状に形成する。
そして、この第1カバー201の前側下部に設けた左右の係合部201K,201Kを、切断部4において駆動プーリー46と従動プーリー48の下側に設けた左右の斜設板体側のピン(図示省略)にそれぞれ係合させる。
また、この第1カバー201の後側下部を、左右の斜設板体間を連結するフレーム(図示省略)に締結固定して取り付ける。
【0093】
なお、この第1カバー201の上部左右両側には、左右外側へ向けて傾斜した左右の傾斜面201L,201Rを形成し、この左右の傾斜面201L,201Rの夫々に、取手201H,201Hを取り付ける。
また、この第1カバー201の上面201Uには、前後方向を長辺とする矩形の開口部201Sを形成する。
そして、この上面201Uにおける開口部201Sの長辺側の部位を下方へ折り曲げて左右の垂下部201V,201Vを形成し、この左右の垂下部201V,201Vの前部に、左右方向の支持ピン201Pを固定した左右のステー201T,201Tを取り付ける。
また、左右の垂下部201V,201Vの後部には、左右方向中間部を小径に形成した段付きピン201D,201Dを取り付ける。
【0094】
なお、上面201Uにおける開口部201Sの右側の部位に、この開口部201Sと平行に矩形の開口部202Sを形成し、この開口部202Sを着脱可能な蓋板202Pで覆う。
この蓋板202Pを取り外すことによって、第1カバー201を取り付けたまま、この第1カバー201の内部の視認やメンテナンスを行うことができる。
一方、
図14に示すように、上述の開口部201Sに着脱自在に装着する第2カバー203を設ける。
この第2カバー203は、下面を開放した箱状に形成し、開口部201Sに嵌合する大きさに形成する。
この第2カバー203の左右の側壁203L,203Rには、その前部に上述の左右の支持ピン201P,201Pが嵌入する上下方向の溝203M,203Mを形成する。
また、その後部に、上述の段付きピン201D,201Dの小径部が嵌入する溝203N,203Nを形成する。
【0095】
そして、この第2カバー203の上壁203Uと後壁203Bに、取手203Hを取り付ける。
この第2カバー203の上壁203Uの下面に、レーザー光を用いて物体の断面プロファイルを測定する光切断方式のレーザーセンサー(請求項の「センサー」)204を、螺子205によって締結して取り付ける。
このレーザーセンサー204のハーネス204Hは、左側壁203Lの後端部に取り付けたゴム製のガイド部材204Gから外部へ引き出す。
しかして、
図15~
図17に、この第2カバー203を第1カバー201の開口部201Sに装着した状態を示す。
すなわち、取手203Hを持って、第2カバー203側の後部の溝203N,203Nを、第1カバー201側の段付きピン201D,201Dの小径部に嵌合させる。
【0096】
また、第2カバー203側の前部の溝203M,203Mを、第1カバー201側の支持ピン201P,201Pに嵌合させて載置する。
なお、この後部の溝203Nと段付きピン201Dとの嵌合部、および、前部の溝203Mとピン201Pとの嵌合部を、位置規制部(請求項の「位置規制部」)201PKと称する。
この状態で、左右の支持ピン201P,201Pの先端部に形成した雄螺子部に、ノブ205N,205Nの雌螺子部を螺合させ、左右の側壁203L,203Rを挟むように締結固定する。
これによって、第2カバー203を第1カバー201上に搭載するような状態で装着することができる。
この状態において、レーザーセンサー204が塊状肉搬送装置9における下部無端ベルト25の上面から上方へ離間させて配置される。
【0097】
そして、塊状肉搬送装置9によって送られる下部無端ベルト25上の塊状肉FBの断面プロファイル(または外形状)を、塊状肉搬送装置9の送り経路における中間部上方の固定位置から測定することができる。
また、第1カバー201と第2カバー203によって、レーザーセンサー204と塊状肉搬送装置9の周辺が覆われるので、レーザーセンサー204による断面プロファイルの測定に、外乱光の影響を受けにくくなる。
なお、作業終了後など、スライサー1の洗浄を行う際には、ノブ205N,205Nを緩めて第2カバー203ごとレーザーセンサー204を取り外すことができるので、洗浄時の水分の影響を防止することができる。
【0098】
(スライサーの制御回路)
図1、
図2に示すように、制御部7に備えたコントローラー300には、タッチパネル式のモニター7Aを接続する。
このモニター7Aには、各種の数値情報や文字情報が表示されると共に、タッチ操作可能な図形化されたスイッチ(請求項における「要素」)が表示される。
【0099】
しかして、
図18に示すように、コントローラー300に対して、その入力側に、モニター7Aと、起動スイッチ301と、トレーサイズ選択スイッチ302と、1つのトレーの盛付重量を設定する盛付重量設定スイッチ303と、基準スライス厚設定スイッチ304と、基準厚さ範囲設定スイッチ305と、範囲外スライス枚数設定スイッチ306と、基準スライス上限枚数設定スイッチ307と、基準スライス下限枚数設定スイッチ308と、基準比重(密度)選択スイッチ309と、集合体間隔形成用移動量基準値設定スイッチ310と、等厚定量制御有効/無効切換スイッチ311と、スキャンモードON/OFFスイッチ(請求項の「第1操作要素」)312と、作業開始スイッチ(請求項の「第2操作要素」)313と、スライス肉縦幅自動設定入り切りスイッチ314と、並列長さ手動設定スイッチ315と、並列枚数手動設定スイッチ316と、折り畳み制御有効/無効切換スイッチ317と、1列/2列設定スイッチ317Gと、厚切りモードスイッチ317Cと、測定タイミング切換スイッチ317Dと、供給部揺動角度計測用エンコーダ318と、下部無端ベルト移動距離計測用エンコーダ319と、左側引継回転体回転位相計測用エンコーダ320と、右側引継回転体回転位相計測用エンコーダ321と、左側棒状体回動角度検出用エンコーダ322と、右側棒状体回動角度検出用エンコーダ323と、押圧部材作動用の電動シリンダー伸縮位置計測用ポテンショメータ324と、揺動アーム揺動角度検出用エンコーダ325と、コンベア移動距離計測用エンコーダ326と、コンベア終端部進退位置計測用センサー327と、レーザーセンサー204とを接続する。
【0100】
一方、コントローラー300の出力側には、切断用モータードライバ331と、揺動用モータードライバ332と、搬送用モータードライバ333と、左側引継用モータードライバ334と、右側引継用モータードライバ335と、左側揺動用モータードライバ336と、右側揺動用モータードライバ337と、左側出退用モータードライバ338と、右側出退用モータードライバ339と、電動シリンダー伸縮用ソレノイド340と、搬送駆動用モータードライバ341と、上下動用モータードライバ342と、伸縮用モータードライバ343と、肉厚調節用モータードライバ344とを接続する。
【0101】
(入力側に接続されたスイッチ/センサー類の説明)
上述のコントローラー300の入力側に接続された起動スイッチ301は、スライサー1全体を起動するためのものであり、コントローラー300の出力側からモータードライバ等へ指令信号を出力可能な状態に切り替えるためのものである。
この起動スイッチ301の入り操作によって、コントローラー300の出力側から、まず、切断用モータードライバ331と、揺動用モータードライバ332と、搬送用モータードライバ333と、左側引継用モータードライバ334と、右側引継用モータードライバ335へ指令信号が出力され、切断部4と供給部3と搬送部5の駆動が開始される。
トレーサイズ選択スイッチ302は、予め登録された大きさの異なる複数のトレーから、使用するトレーを選択するためのものである。
【0102】
盛付重量設定スイッチ303は、例えば200gなど、一つのトレーに盛り付ける集合体BGの重量(目標重量)を設定するためのものである。
基準スライス厚設定スイッチ304は、一つの集合体BGを形成する肉片fbの基準となる厚さを設定するためのものである。
基準厚さ範囲設定スイッチ305は、一つの集合体BGを形成する肉片fbの厚さの基準範囲を設定するためのものである。
基準スライス上限枚数設定スイッチ307は、一つの集合体BGを形成する肉片fbの枚数の上限値を設定するためのものである。
基準スライス下限枚数設定スイッチ308は、一つの集合体BGを形成する肉片fbの枚数の下限値を設定するためのものである。
【0103】
範囲外スライス枚数設定スイッチ306は、一つの集合体BGを形成するうえで不適切な枚数(多すぎる枚数または少な過ぎる枚数)であるか否かを判定するための基準となる枚数の範囲を設定するためのものである。(断面が小さい屑肉の場合は、この範囲を超えた枚数となる。)
基準比重設定スイッチ309は、豚バラ、豚ロース、牛ロースなど、塊状肉FBの種類に応じて複数の比重の基準値をコントローラー300に登録しておき、作業者がこの比重の基準値の中から選択して設定するためのものである。なお、作業者が、塊状肉FBの脂身の割合等を目視で判断し、この基準値を変更することも可能である。
集合体間隔形成用移動量基準値設定スイッチ310は、搬送部5の無端ベルト96の間欠移動によって、この無端ベルト96上に形成される複数の集合体BGの相互間隔を設定するために、この無端ベルト96の連続移動量を設定するためのものである。
【0104】
等厚定量制御有効/無効切換スイッチ311は、等しい厚さの肉片fbから、目的とする重量の集合体BGを得るという、本願発明の制御機能を有効または無効に切り換えるためのものである。
スキャンモードON/OFFスイッチ312は、レーザーセンサー204によって測定対象の塊状肉FBの先端部を自動的に探し、この先端部の発見後に、塊状肉FBの所定長さの部位の断面プロファイルを測定する動作を行わせるためのものである。
作業開始スイッチ313は、スライサー1の供給部3、切断部4、搬送部5等を起動して切断作業を開始させるためのものである。
スライス肉縦幅自動設定入り切りスイッチ314は、切り出される肉片fbを折り畳む位置を変更し、肉片fbの縦幅(搬送方向における長さ)を自動的に調整するための制御を有効または無効に切り換えるためのものである。
【0105】
並列長さ手動設定スイッチ315は、一つの集合体BGの全長の基準値を設定するためのものである。
並列枚数手動設定スイッチ316は、一つの集合体BGを形成する肉片fbの基準枚数を設定するためのものである。
折り畳み制御有効/無効切換スイッチ317は、肉片fbを中間部で折り畳む制御を有効または無効に切り換えるためのものである。
1列/2列設定スイッチ317Gは、仕切壁19を取り外して1列の搬送通路20を形成して切断作業を行う1列処理と、仕切壁19を装着して左右2列の搬送通路20,20を形成して切断作業を行う2列処理とを択一選択するものである。
厚切りモードスイッチ317Cは、集合体GBを形成するために複数の薄い肉片fbを切り出す状態から、厚い肉片fbを1枚ずつ間隔をおいて切り出す状態に切り換えるものである。
測定タイミング切換スイッチ317Dは、レーザーセンサー204による断面プロファイルの測定タイミングを切り換えるものである。
【0106】
供給部揺動角度計測用エンコーダ318は、供給部3の上下揺動角度を計測するものである。
下部無端ベルト移動距離計測用エンコーダ319は、搬送用電動モーター31の回転数等から、供給部3における下部無端ベルト25の移動距離(塊状肉の搬送距離)を計測するものである。
左側引継回転体回転位相計測用エンコーダ320は、左側の引継回転体72の回転角度を計測するものである。
右側引継回転体回転位相計測用エンコーダ321は、右側の引継回転体72の回転角度を計測するものである。
左側棒状体回動角度検出用エンコーダ322は、多数の細杆82を備えた左側の棒状体81の回転角度を計測するものである。
右側棒状体回動角度検出用エンコーダ323は、多数の細杆82を備えた右側の棒状体81の回転角度を計測するものである。
【0107】
電動シリンダー伸縮位置計測用ポテンショメータ324は、線状押圧部材89を備えた押圧部材88を上下動させる電動シリンダー87の伸縮位置を計測するものである。
揺動アーム揺動角度検出用エンコーダ325は、搬送部5の始端部に設けられた揺動アーム103の上下揺動角度を計測するものである。
コンベア移動距離計測用エンコーダ326は、搬送駆動モーター112の回転数等から、搬送部5における無端ベルト96の移動距離量(搬送距離)を計測するものである。
コンベア終端部進退位置計測用センサー327は、伸縮用電動モーター135の回転数等から、搬送部5の搬送方向下手側の搬送作用部(第2搬送作用部)5Rの搬送終端部の移動位置を計測するものである。
レーザーセンサー204の構造および機能については後述する。
【0108】
(出力側に接続されたドライバ等の説明)
一方、上述のコントローラー300の入力側に接続された切断用モータードライバ331は、切断用電動モーター44に電力を供給して、無端状帯刃49を駆動制御するものである。
揺動用モータードライバ332は、揺動用電動モーター13に電力を供給して、供給部3を斜め上下方向に揺動駆動制御するものである。
搬送用モータードライバ333は、搬送駆動モーター112に電力を供給して、搬送部5を駆動制御するものである。
左側引継用モータードライバ334は、左側の引継用電動モーター76に電力を供給して、左側の引継回転体72を駆動制御するものである。
右側引継用モータードライバ335は、右側の引継用電動モーター76に電力を供給して、右側の引継回転体72を駆動制御するものである。
【0109】
左側揺動用モータードライバ336は、左側の揺動用電動モーター80に電力を供給して、多数の細杆82を備えた左側の棒状体81を駆動制御するものである。
右側揺動用モータードライバ337は、右側の揺動用電動モーター80に電力を供給して、多数の細杆82を備えた右側の棒状体81を駆動制御するものである。
左側出退用モータードライバ338は、左側の出退用電動モーター84に電力を供給して、左側の棒状体81ごと細杆82を出退駆動制御するものである。
右側出退用モータードライバ339は、右側の出退用電動モーター84に電力を供給して、右側の棒状体81ごと細杆82を出退駆動制御するものである。
電動シリンダー伸縮用ソレノイド340は、電動シリンダー87を作動させて、線状押圧部材89を備えた押圧部材88を上下動させるものである。
【0110】
搬送駆動用モータードライバ341は、搬送駆動モーター112に電力を供給して、搬送部5の無端ベルト96を駆動制御するものである。
上下動用モータードライバ342は、上下動用電動モーター105に電力を供給して、揺動アーム103を上下揺動制御するものである。
伸縮用モータードライバ343は、伸縮用電動モーター135に電力を供給して、搬送部5の搬送方向下手側の搬送作用部5Rの搬送終端部を前後方向に移動制御するものである。
肉厚調節用モータードライバ344は、電動モーター61に電力を供給して、受板43を移動制御するものである。
【0111】
(レーザーセンサーによる断面プロファイルの測定)
図19に示すように、レーザーセンサー204は、光切断法を利用したプロファイル測定器である。
このレーザーセンサー204には、その筐体204Aの内部に、帯状のレーザー光LA1を投光する投光器204Bと、反射光LA2を受光する受光レンズ204Cと、この受光レンズ204Cを通過した反射光LA2を受光する撮像素子204Dと、コントローラー204Eを内蔵する。
そして、このレーザーセンサー204は、投光器204Bから投光されるレーザー光LA1が、下部無端ベルト25の上面に対して側面視で略直角に投光される姿勢に設置する。
また、
図20、
図22、
図34、
図35に示すように、このレーザー光LA1の投光位置は、枠部材36の摺接縁部40の前面(切断位置CP)に対して、設定距離Dだけ搬送方向(請求項の「送り方向」)上流側へ偏倚した投光位置(請求項の「測定位置」)LPに設定する。
【0112】
これにより、投光されたレーザー光LA1は、
図20~
図23に示すように、正面視で拡がり角をもって投光され、食料FBおよび下部無端ベルト25の上面に、平面視で左右方向の直線を描くように当たる。
そして、塊状肉FBの上面の反射点RA1で反射した反射光LA2と、下部無端ベルト25の上面の反射点RA2で反射した反射光LA3とでは、各反射点RA1,RA2の高さの差によって、受光レンズ204Cへの入射角度が異なったものとなる。
これによって、受光レンズ204Cを通過した反射光LA2およびLA3は、撮像素子204D上において座標がずれた位置で受光される。
また、投光器204Bと受光レンズ204Dの間の基礎線分長Lは予め固定設定されている。
【0113】
このため、撮像素子204Dで検出された座標のずれから、反射光LA2,LA3の受光角度θ2を求め、この受光角度θ2と、基礎線分長Lと、基礎線分に対するレーザー光LA1の投光角度θ1から、三角法によって各反射点までの距離を算出することができる。
この算出は、レーザーセンサー204に備えたコントローラー204Eによって行われ、この算出結果がスライサー1のコントローラー300へ送信される。
これを用いて、塊状肉FBに向けてレーザー光LA1を投光し、この塊状肉FBの外周上の多数の反射点までの距離を算出することで、この塊状肉FBの断面プロファイル(断面の形状や大きさ。高さ寸法や左右幅寸法を含む。)を測定することができる。
(なお、投光されたレーザー光LA1が反射点で拡散するように反射しても、反射点と受光レンズ204Cの中心点とをつなぐ直線上に反射光LA2,LA3が存在すれば、上述の距離の算出は可能である。)
【0114】
図20、
図21に、豚バラ肉等の幅が大きく高さの低い塊状肉FBを切断するために、供給部3において仕切壁19を取り外し、1列の搬送通路20を形成した状態を示す。
塊状肉FBは、周回移動する無端状帯刃49との摺接および切断抵抗により、左側の側壁10の内側面に接触した状態で搬送される。
この状態で、搬送通路20の左右の側壁10,10の両内側面にまでレーザー光LA1が当たるように、レーザー光LA1の拡がり角と、レーザーセンサー204の設置高さを設定する。
また、
図22、
図23に、豚ロース等の幅が狭く高さの高い塊状肉FBを切断するために、仕切壁19を装着し、2列の搬送通路20,20を形成した状態を示す。
周回移動する無端状帯刃49との摺接および切断抵抗により、右側の塊状肉FBは、仕切り壁19の右側面に接触し、左側の塊状肉FBは、左側の側壁10の内側面に接触した状態で搬送される。
【0115】
この状態でも、レーザーセンサー204を仕切壁19の直上方に配置することで、仕切壁19による死角の発生を抑えることができる。
これによって、1列および2列であっても、この搬送通路20内を搬送される塊状肉FBの断面プロファイルを測定することができる。
なお、レーザー光LA1は塊状肉FBの下面までは当たらないが、この塊状肉FBの下面は、下部無端ベルト25との接触によって平面状となっているため、断面プロファイルの測定上の誤差は僅少である。
なお、2列の場合、レーザーセンサー204によって仕切壁19を検出できるため、この仕切壁19の両側に存在する2列の塊状肉FB,FBの断面プロファイルをそれぞれ独立して測定することができる。
なお、供給部3が揺動範囲の下端位置まで下降揺動する途中、または、下端位置まで下降揺動した時点で、塊状肉搬送装置9が作動し、切断位置CPと当接位置APの間隔に略等しい量だけ、塊状肉FB,FBの先端部を送り出す。
また、供給部3が揺動範囲の下端部付近に至ったときに、レーザーセンサー204によって塊状肉FBの断面プロファイルが測定される。
また、測定タイミング切換スイッチ317Dによって、塊状肉FBの先端部が、後述するスライス厚L1(請求項の「第2寸法」)だけ送り出されて停止したときにこの塊状肉FBの断面プロファイルを測定する状態と、塊状肉FBの先端部が、スライス厚L1にわたって送り出されている間にこの塊状肉FBの断面プロファイルを測定する状態とに、切換自在としている。
【0116】
(集合体の形成制御)
しかして、
図24~
図33に示すフローチャート、および
図34~
図38に示す説明図に基づいて、塊状肉FBの切断から肉片fbの集合体BGの形成までの処理について説明する。
なお、供給部3の搬送通路を1列にした場合と2列にした場合とで、共通する制御を中心に説明し、2列とした場合の特有な制御については補足説明する。
また、供給部3の左右の搬送通路20,20にわたって設けた下部無端ベルト25と、搬送部5に設けた無端ベルト96を、左右に分割形成し、夫々独立して駆動するものとすれば、左右両方の搬送通路20,20に塊状肉FBを供給して集合体GBの形成制御を行うことも可能である。
【0117】
(STEP1)
図24に示すように、まず作業前に、モニター7Aのタッチパネルの操作によって、各種の手動設定を行う。
この手動設定を以下に列記する。
まず、肉片fbの集合体BGの盛り付けに使用するトレーのサイズを、予め登録された大きさの異なる複数のトレーから、作業者がトレーサイズ選択スイッチ302で選択して設定する。
また、一つのトレーに盛り付ける集合体BGの設定重量(目標重量)Gsを、作業者が盛付重量設定スイッチ303を操作して設定する。
また、集合体BGを形成する肉片fbの基準スライス厚L0を、作業者が基準スライス厚設定スイッチ304を操作して設定する。
【0118】
また、集合体BGを形成する肉片fbの基準厚範囲LWを、作業者が基準厚さ範囲設定スイッチ305を操作して設定する。
また、集合体BGを形成する肉片fbの枚数の上限とする基準スライス上限枚数Mmaxは、作業者が基準スライス上限枚数設定スイッチ307を操作して設定する。
また、集合体BGを形成する肉片fbの枚数の下限とする基準スライス下限枚数Mminを、作業者が基準スライス下限枚数設定スイッチ308を操作して設定する。
なお、集合体BGを形成する肉片fbの基準スライス枚数M0は、基準スライス上限枚数Mmaxと、基準スライス下限枚数Mminの中心値として設定される。
【0119】
また、集合体BGを形成するうえで不適切な枚数(多すぎる枚数または少な過ぎる枚数)であるか否かを判定するための基準となる枚数の範囲を設定するために、範囲外スライス枚数Moutを、作業者が範囲外スライス枚数設定スイッチ306を操作して設定する。
また、塊状肉FBの種類に応じて、作業者が基準比重選択スイッチ309を操作し、基準比重Hsを選択する。
また、無端ベルト96上に形成される複数の集合体BGの相互間隔となる集合体間隔形成用移動量基準値P0を、作業者が集合体間隔形成用移動量基準値設定スイッチ310を操作して設定する。
【0120】
(STEP2)
そして、作業者が、塊状肉FBを塊状肉搬送装置9における任意の位置へ投入する。
なお、この塊状肉FBの投入は、塊状肉FBの先端部が受板43の後面に当接するまで押し込むのが好ましい。
(STEP3)
ここで、等厚定量制御有効/無効切換スイッチ311が有効状態に切り換えられているか否かの判定がなされ、有効状態に切り換えられている場合に、次のステップへ移行する。
(STEP4)
そして、スキャンモードON/OFFスイッチ312がONに切り換えられたか否かの判定がなされ、ONに切り換えられた場合に次のステップへ移行する。
(STEP5)
このステップでは、
図25に示すスキャンモードが開始される。
【0121】
(STEP100)
このスキャンモードが開始されると、レーザーセンサー204によって塊状肉FBを検出したか否かが判定される。
すなわち、レーザーセンサー204によって断面プロファイルが検出された場合、投光位置LPに塊状肉FBが存在すると判定する。
これによって、塊状肉FBの先端部が、投光位置LPよりも搬送方向下流側(送り方向下流側)の位置まで投入されているか否かが判定される。
そして、この判定の結果、投光位置LPに塊状肉FBが存在すると判定された場合に、次のステップへ移行する。
【0122】
(STEP101)
スキャンモードの開始時に、投光位置LPに塊状肉FBが存在する場合、塊状肉FBが搬送方向下流側へ過投入されているため、この塊状肉FBの先端部の断面プロファイルを測定することができない。
このため、コントローラー300から搬送用モータードライバ333へ後進出力(搬送方向上流側へ駆動する出力)がなされ、搬送用電動モーター31が逆転駆動し、塊状肉搬送装置9上の塊状肉FBが搬送方向上流側(請求項の「送り方向上流側」)へ搬送される。
(STEP102)
そして、レーザーセンサー204によって、この塊状肉FBの先端部が検出されたか否かが判定され、検出された場合に、次のステップへ移行する。
【0123】
(STEP103)
すなわち、コントローラー300から搬送用モータードライバ333への後進出力が停止され、塊状肉FBの搬送方向上流側への搬送が一旦停止する。
(STEP104)
続いて、コントローラー300から搬送用モータードライバ333への前進出力(搬送方向下流側へ駆動する出力)が開始され、搬送用電動モーター31が正転駆動し、塊状肉FBの搬送方向下流側(請求項の「送り方向下流側」)への搬送が開始される。
なお、上述のSTEP100において、レーザーセンサー204によって塊状肉FBが検出されなかった場合には、この塊状肉FBを搬送方向上流側へ一旦搬送することなく、搬送方向下流側への搬送が開始される。
【0124】
(STEP105)
この塊状肉FBの搬送方向下流側への搬送中に、レーザーセンサー204によってこの塊状肉FBの先端部が検出されたか否かが判定される。
そして、塊状肉FBの先端部が検出されたと判定された場合に、次のステップへ移行する。
塊状肉FBの先端部が検出されるまで、搬送方向下流側への搬送が継続される。
(STEP106)
そして、レーザーセンサー204によってこの塊状肉FBの先端部が検出された時点で、コントローラー300から搬送用モータードライバ333へ、設定距離Dに相当する距離を搬送するだけの出力がなされる。
この出力によって搬送用電動モーター31が正転駆動し、塊状肉搬送装置9の下部無端ベルト25の上面が、上述の設定距離D(切断位置CPと投光位置LPの間の距離)に等しい距離だけ搬送方向下流側へ移動する。
【0125】
設定距離Dの移動が完了した時点で、コントローラー300から搬送用モータードライバ333への出力が停止し、下部無端ベルト25の移動が停止する。
このとき、下部無端ベルト25上の塊状肉FBの先端部は、上述の設定距離Dに等しい距離だけ搬送方向下流側へ搬送されている。
なお、この塊状肉FBの搬送方向下流側への搬送中に、レーザーセンサー204によって投光位置LPで多数の断面プロファイルが順次測定され、設定距離D分の断面プロファイル群α0が第1プロファイル情報(請求項の「第1プロファイル情報」)としてコントローラー300に格納される。
この設定距離D分の断面プロファイル群α0の格納によって、スキャンモードが終了する。
【0126】
(STEP6)
図24に示すように、スキャンモードが終了したと判定された場合に、次のステップへ移行する。
(STEP7)
すなわち、作業開始スイッチ313がON操作されたか否かが判定される。
(STEP8)
そして、作業開始スイッチ313がON操作されたと判定された場合に、切断部4の駆動と、供給部3の上下揺動と、塊状肉搬送装置9の前進駆動(搬送方向下流側への駆動)と、搬送部5の無端ベルト96の搬出駆動とが開始される。
これによって、塊状肉FBから肉片fbを切り出す切断作業が開始される。
(STEP9)
作業の開始によって、作業中測定モードへ移行する。
【0127】
(STEP200)
切断作業中、塊状肉FBの先端から肉片fbが切断されるごとに、この肉片fbの厚さ分だけ、塊状肉FBが搬送方向下流側へ送られる。
図26に示すように、この切断作業中に、レーザーセンサー204によって、塊状肉FBにおける上述の設定距離D相当位置よりも後側の部位の断面プロファイルが順次測定され、断面プロファイル群αnが順次取得される。
この断面プロファイル群αnが第2プロファイル情報(請求項の「第2プロファイル情報」)として格納されていく。
【0128】
(STEP201)
一方、盛付重量設定スイッチ303で設定された設定重量Gsと、基準比重選択スイッチ309で選択した塊状肉FBの比重Hsから、次式によって、設定重量Gsとするために必要な塊状肉FBの体積V0を算出する。
V0=Gs/Hs
(STEP202)
そして、この体積V0を満たすために必要な塊状肉FBの長さ(請求項の「第1寸法」)LFを、格納された断面プロファイル群α0およびαnに基づいて、次式で算出する。
LF=V0/β
(β:断面プロファイル群α0またはαn中の面積成分)
この長さLFを
図34、
図35に示す。
【0129】
また、1列/2列設定スイッチ317Gで2列作業を設定している場合、設定重量Gsとするために必要な体積として、一側の塊状肉FBにおいて必要な体積V01と、他側の塊状肉FBにおいて必要な体積V02を夫々算出する。
また、一側のくず肉判定基準値Kout1と他側のくず肉判定基準値Kout2を、次式で算出しておく。
Kout1=V01×1/2
Kout2=V02×1/2
【0130】
(STEP300)
そして、
図27に示すように、スライス枚数Mの取得を行う。
すなわち、スライス枚数MFは、次の式で演算される。
MF=LF/L0
このMFを、四捨五入によって整数化したMに置換する。
(STEP301)
そして、このスライス枚数Mが、上述の基準スライス上限枚数Mmaxと基準スライス下限枚数Mminの間の値であるか否か(MmaxとMminの間に形成される範囲内にあるか否か)が判定される。
【0131】
(STEP302)
スライス枚数Mが基準スライス上限枚数Mmaxと基準スライス下限枚数Mminの間の値である場合、スライス厚(請求項の「第2寸法」)L1を次式により算出する。
L1=LF/M
すなわち、このスライス厚L1は、体積V0を満たすために必要な塊状肉FBの長さ(請求項の「第1寸法」)LFを、スライス枚数Mで等分割したものである。
このスライス厚L1を、
図34、
図35に示す。
この
図34、
図35に示す例では、体積V0を満たすために必要な塊状肉FBの長さLFを、スライス厚L1の11枚の肉片fbに等分割している。
(STEP303)
そして、このスライス厚L1が基準厚範囲LW内にあるか否かが判定される。
(STEP304)
スライス厚L1が基準厚範囲LW内にあると判定された場合、このスライス厚L1を確定する。
【0132】
(STEP307)
なお、STEP303においてスライス厚L1が基準厚LW内に無いと判定された場合には、スライス枚数Mとして、基準スライス枚数M0か、または、範囲外スライス枚数Moutを設定する。
この場合のスライス厚は、基準スライス厚L0に確定する。
(STEP305)
スライス厚L1または基準スライス厚L0が確定した後、1列/2列設定スイッチ317Gによって1列処理に設定されているか否かの判定を行う。
(STEP306)
1列処理に設定されていると判定された場合に、肉厚調節が行われる。
すなわち、切断位置CPと当接位置APの間隔を、STEP304で確定したスライス厚L1に一致させるために必要な受板43の移動量が算出される。
【0133】
そして、この移動量に基づいて肉厚調節用モータードライバ344へ出力がなされ、肉厚調節用の電動モーター61が作動して受板43が自動的に移動し、切断位置CPと当接位置APの間隔がスライス厚L1に一致する。
この状態で、塊状肉FBをスライス厚L1に等しい距離だけ搬送する(送り出す)ごとに(塊状肉FBの先端部が切断位置CPから距離L1だけ突出して当接位置APに当接するごとに)、この塊状肉FBの先端部が切断位置CPで切断され、L1の厚さを有した肉片fbが順次切り出される。
すなわち、1枚の肉片fbを切り出すごとに行われる塊状肉FBの搬送距離(塊状肉FBの先端部の送り出し量)は、スライス厚L1に一致するように、このスライス厚L1の変化に応じて自動的に調整される。
なお、厚切りモードスイッチ317Cが有効状態に切り換えられた場合は、受板43の移動量が変更され、切断位置CPと当接位置APの間隔が、体積V0を満たすために必要な塊状肉の長さ(請求項の「第1寸法」)LFに一致するように制御される。
この状態で、塊状肉FBをLFに等しい距離だけ搬送する(送り出す)ごとに(塊状肉FBの先端部が切断位置CPから距離LFだけ突出して当接位置APに当接するごとに)、この塊状肉FBの先端部が切断位置CPで切断され、LFの厚さを有した肉片fbが順次切り出される。
(STEP400)
この後、
図29に示す、切り出された肉片fbの折り畳み制御が行われる。
【0134】
(STEP500)
まず、折り畳み制御有効/無効切換スイッチ317が有効側に切り換えられているか否かが判定される。
(STEP501)
この判定によって、有効側に切り換えられていると判定された場合、スライスされた肉片fbの折り畳み後の縦幅Xの算出が行われる。
(STEP502)
すなわち、レーザーセンサー204によって測定された塊状肉FBの第1プロファイル情報または第2プロファイル情報から、スライスされる肉片fbの縦幅算出値Aを算出する。
そして、この縦幅算出値Aと折り畳み変数Yから、肉片fbの縦幅Xを次式で算出する。
X=A×Y
なお、折り畳み変数Yの値は、肉片fbの折り畳み位置によって変化し、肉片fbの縦幅の中心で折り畳む場合は、Y=0.5となる。
なお、この肉片fbの縦幅とは、肉片fbまたは折り畳まれた肉片fbの搬送方向における長さを意味する。
【0135】
(STEP505)
一方、STEP500で折り畳み制御有効/無効切換スイッチ317が有効側に切り換えられていないと判定された場合、折り畳み位置の算出を行なう。
(STEP506)
すなわち、断面プロファイルから取得される肉片fbの縦幅算出値Aと、折り畳み変数R1と、折り畳み位置設定値Sから、次式によって折り畳み位置Zが算出される。
Z=A×S×R1
(STEP503)
上述のSTEP502で算出された肉片fbの縦幅Xと、STEP506で算出された肉片fbの折り畳み位置Zに基づいて、コントローラー300から左側引継用モータードライバ334と右側引継用モータードライバ335へ出力がなされる。
これによって、左右の引継用電動モーター76,76が駆動し、左右の引継回転体72,72が回転する。
この回転角度(回転パルス)を左右の引継回転体回転位相計測用エンコーダ320,321によって測定し、この回転角度が折り畳み位置Zに達したときに、STEP504へ移行する。
【0136】
(STEP504)
すなわち、コントローラー300から左右の揺動用モータードライバ336,337へ出力がなされ、左右の揺動用電動モーター80,80が駆動する。
これによって、左右の細杆82,82が下方揺動し、肉片fbの縦幅の中間部を細杆82の先端で突き上げるようにして、肉片fbの折り畳みが開始される。
(STEP401)
一方、
図28に戻り、並列ピッチが算出される。
まず、スライス肉縦幅自動設定入り切りスイッチ314が入りになっているか否かが判定される。
(STEP402)
次に、上述のSTEP502で算出された縦幅算出値Xと、並列長さ手動設定スイッチ315で設定した並列長さ手動設定値Eと、STEP300で取得したスライス枚数Mに基づいて、並列形態の自動設定が行われる。
【0137】
(STEP403)
すなわち、並列ピッチKを次式で算出する。
K=(E-X)/(M-1)
(STEP404)
そして、コントローラー300から搬送駆動用モータードライバ341へ出力がなされ、搬送駆動モーター112に電力が供給されて、搬送部5の無端ベルト96が並列ピッチKに等しい距離だけ前進駆動される。
(STEP405)
そして、引継回転体72上の肉片fbが、細杆82の下方揺動によって無端ベルト96の始端部上に載置される。
(STEP406)
無端ベルト96上に載置した肉片fbの枚数が、STEP300で取得したスライス枚数Mに一致するまで、この動作を繰り返す。
【0138】
(STEP407)
このとき、集合体間隔の自動演算が有効になっているか否かが判定される。
(STEP408)
そして、集合体間隔の自動演算が有効になっていると判定された場合には、コンベア有効長をLとし、集合体BGの数をRとすると、集合体間隔形成用のコンベア移動量(無端ベルト96の駆動量)Pが次式で算出される。
P=(L-E×R)/(R-1)
(STEP409)
そして、コントローラー300から搬送駆動用モータードライバ341へ出力がなされ、搬送駆動モーター112が駆動して、搬送部5の無端ベルト96がPに等しい距離だけ連続的に移動する。
以上によって、
図36、
図37に示すように、M枚の肉片fbが並列ピッチKずつずれた状態で重なりながら、集合体BGが形成される。
そして、隣接する集合体BG間に、Pに等しい長さの間隔が形成される。
この後、STEP300へリターンする。
【0139】
(STEP410)
一方、STEP401でスライス肉縦幅自動設定入り切りスイッチ314が入りになっていないと判定された場合、手動操作で設定したスライス肉の縦幅設定値Jと、並列長さ手動設定スイッチ315で設定した並列長さ手動設定値Eと、並列枚数手動設定スイッチ316で設定した並列枚数手動設定値Fとに基づいて、並列形態の手動設定が行われる。(STEP411)
すなわち、並列ピッチKを次式で算出する。
K=(E-X)/(F-1)
(STEP412)
そして、コントローラー300から搬送駆動用モータードライバ341へ出力がなされ、搬送駆動モーター112に電力が供給されて、搬送部5の無端ベルト96が並列ピッチKに等しい距離だけ前進駆動される。
【0140】
(STEP413)
そして、引継回転体72上の肉片fbが、細杆82の下方揺動によって無端ベルト96の始端部上に載置される。
(STEP414)
無端ベルト96上に載置した肉片fbの枚数が、スライス枚数手動設定値Fに一致するまで、この動作を繰り返し、STEP407へ移行する。
(STEP415)
また、STEP407において、この自動演算が有効になっていないと判定された場合には、集合体間隔形成用のコンベア移動量Pを、集合体間隔形成用移動量基準値設定スイッチ310で設定した値とする処理が行われ、STEP409へ移行する。
(STEP305)
一方、上述のSTEP305で、1列/2列設定スイッチ317Gによって1列処理に設定されていない(2列処理に設定されている)と判定された場合は、
図30以降に示す2列処理へ移行する。
【0141】
(STEP600)
まず、1列/2列設定スイッチ317Gによって2列処理に設定されているか否かが判定される。2列処理に設定していないと判定された場合は、2列処理を終了する。
(STEP601)
一方、1列/2列設定スイッチ317Gによって2列処理に設定されていると判定された場合に、くず肉(トレーに盛り付けるに適さない小さい肉片など)の判定処理の有無が判定される。
(STEP602)
この結果、くず肉の判定処理を行なうと判定された場合、左側の搬送通路20でのくず肉判定処理が行われる。
【0142】
(STEP603)
この左側の搬送通路20でのくず肉判定処理では、まず、左側の搬送通路20に供給された塊状肉FBについて、レーザーセンサー204によって測定されたプロファイル情報と、基準比重(密度)選択スイッチ309で選択された密度情報とから、盛付重量設定スイッチ303で設定した重量となる(設定重量に対応する)体積V0Lを算出する。
(STEP604)
そして、この体積V0Lと、くず肉判定基準値Kout1とが比較される。
(STEP605)
この比較の結果、くず肉判定基準値Kout1よりも体積V0Lの方が大きいと判定された場合には、この左側の搬送通路20の塊状肉FBがOK判定(適正肉判定)される。(STEP606)
一方、体積V0Lがくず肉判定基準値Kout1以下であると判定された場合には、この左側の搬送通路20の塊状肉FBがNG判定(くず肉判定)される。
【0143】
(S607)
一方、STEP602の左側の搬送通路20でのくず肉判定と共に、右側の搬送通路20でのくず肉判定処理が行われる。
(STEP608)
この右側の搬送通路20でのくず肉判定処理でも、まず、右側の搬送通路20に供給された塊状肉FBについて、レーザーセンサー204によって測定されたプロファイル情報と、基準比重(密度)選択スイッチ309で選択された密度情報とから、盛付重量設定スイッチ303で設定した重量となる(設定重量に対応する)体積V0Rを算出する。
(STEP609)
そして、この体積V0Rと、くず肉判定基準値Kout2とが比較される。
(STEP610)
この比較の結果、くず肉判定基準値Kout2よりも体積V0Rの方が大きいと判定された場合には、この右側の搬送通路20の塊状肉FBがOK判定(適正肉判定)される。(STEP611)
一方、体積V0Lがくず肉判定基準値Kout2以下であると判定された場合には、この右側の搬送通路20の塊状肉FBがNG判定(くず肉判定)される。
【0144】
(STEP700)
上述のくず肉判定後、以下の処理が行われる。
まず、くず肉判定の結果、左右両側の搬送通路20,20の塊状肉FB,FBが共にOK判定されているか否かが判定される。
(STEP701)
左右共にOK判定されている場合、STEP300で取得したスライス枚数Mと、基準スライス厚設定スイッチ304で設定した基準スライス厚L0をもって、前述のSTEP306へ移行する。
(STEP702)
一方、STEP700で左右両側の搬送通路20,20の塊状肉FB,FBが共にOK判定されない場合、左右両側の搬送通路20の塊状肉FBがNG判定されているか否かが判定される。
【0145】
(STEP703)
この判定の結果、左右両側の搬送通路20の塊状肉FBがNG判定されている場合には、スライス枚数Mとして、基準スライス枚数M0か、または、範囲外スライス枚数Moutを設定し、基準スライス厚L0(スライス厚L1に対して増加または減少する厚みとなる)をもって、前述のSTEP306へ移行する。
(STEP704)
一方、STEP702で左右両側の搬送通路20の塊状肉FBがNG判定されていないと判定された場合に、左側の搬送通路20の塊状肉FBがOK判定され、かつ、右側の搬送通路20の塊状肉FBがNG判定されているか否かが判定される。
(STEP705)
この判定の結果、左側の搬送通路20の塊状肉FBがOK判定され、かつ、右側の搬送通路20の塊状肉FBがNG判定されていると判定された場合には、前述のSTEP200からの作業中測定モードへ移行する。
【0146】
(STEP706)
そして、レーザーセンサー204によって、塊状肉FBにおける設定距離D相当位置以後の部位(設定距離D相当の位置よりも上流側の部位)の断面プロファイル群αnを、この塊状肉FBの搬送に伴って順次取得して格納していく。
(STEP707)
そして、盛付重量設定スイッチ303で設定した設定重量Gsと、基準比重選択スイッチ309で選択した比重(密度)Hsから、左側の搬送通路20の塊状肉FBの必要体積(設定重量Gsとなる(設定重量に対応する)体積)V0Lを次式で算出する。
V0L=Gs/Hs×1/2
(STEP708)
そして、この体積V0Lを満たすために必要な塊状肉FBの長さLFLを、断面プロファイル群α0,αnに基づいて次式で算出する。
LFL=V0L/β
(β:断面プロファイル群α0またはαn中の面積成分)
【0147】
(STEP800)
そして、
図32に示すように、スライス枚数Mの取得へ移行する。
すなわち、左側の搬送通路20の塊状肉FBから切り出すスライス枚数MFLは、次の式で演算される。
MFL=LFL/L0
このMFLを、四捨五入によって整数化したMに置換する。
(STEP801)
そして、このスライス枚数Mが基準範囲内(基準スライス上限枚数設定スイッチ307による上限枚数と、基準スライス下限枚数設定スイッチ308による下限枚数との間の枚数範囲内)にあるか否かが判定される。
(STEP802)
スライス枚数Mが基準範囲内にあると判定された場合、スライス厚L1が次式で算出される。
L1=LF/M
【0148】
(STEP803)
そして、このスライス厚L1が、基準厚さ範囲設定スイッチ305で設定した基準厚範囲LW内になる否かが判定される。
(STEP804)
スライス厚L1が基準厚範囲LW内にあると判定された場合に、このスライス厚L1を確定する。
(STEP805)
一方、上述のSTEP803でスライス厚L1が基準厚範囲LW内に無いと判定された場合には、スライス枚数Mとして、基準スライス枚数M0または範囲外スライス枚数Moutを設定する。
この場合のスライス厚は、基準スライス厚L0に確定する。
【0149】
(STEP806)
そして、上述のSTEP804およびSTEP805から、STEP806へ移行する。
ここで、切断位置CPと当接位置APの間隔を、STEP804で確定したスライス厚L1に一致させるために必要な受板43の移動量が算出される。
そして、この移動量に基づいて肉厚調節用モータードライバ344へ出力がなされ、肉厚調節用の電動モーター61が作動して受板43が自動的に移動し、切断位置CPと当接位置APの間隔が、スライス厚L1に一致する。
この状態で、塊状肉FBをスライス厚L1に等しい距離だけ搬送するごとに(塊状肉FBの先端部が切断位置CPから距離L1だけ突出して当接位置APに当接するごとに)、この塊状肉FBの先端部が切断位置CPで切断され、L1の厚さを有した肉片fbが順次切り出される。
【0150】
一方、STEP805で確定した基準スライス厚L0が採用される場合には、切断位置CPと当接位置APの間隔を、STEP805で確定した基準スライス厚L0に一致させるために必要な受板43の移動量が算出される。
そして、この移動量に基づいて肉厚調節用モータードライバ344へ出力がなされ、肉厚調節用の電動モーター61が作動して受板43が自動的に移動し、切断位置CPと当接位置APの間隔が、基準スライス厚L0に一致する。
この状態で、塊状肉FBを基準スライス厚L0に等しい距離だけ搬送するごとに(塊状肉FBの先端部が切断位置CPから距離L10だけ突出して当接位置APに当接するごとに)、この塊状肉FBの先端部が切断位置CPで切断され、L0の厚さを有した肉片fbが順次切り出される。
STEP806の終了後、前述のSTEP400以降と同様の処理が行われる。
【0151】
(STEP709)
一方、STEP704で、左側の搬送通路20の塊状肉FBがOK判定され、かつ、右側の搬送通路20の塊状肉FBがNG判定されていないと判定された場合には、左側の搬送通路20の塊状肉FBがNG判定され、かつ、右側の搬送通路20の塊状肉FBがOK判定されていると判定する。
(STEP710)
そして、前述のSTEP200からの作業中測定モードへ移行する。
(STEP711)
そして、レーザーセンサー204によって、塊状肉FBにおける設定距離D相当位置以後の部位(設定距離D相当の位置よりも上流側の部位)の断面プロファイル群αnを、この塊状肉FBの搬送に伴って順次取得して格納していく。
【0152】
(STEP712)
そして、盛付重量設定スイッチ303で設定した設定重量Gsと、基準比重選択スイッチ309で選択した比重(密度)Hsから、右側の搬送通路20の塊状肉FBの必要体積(設定重量Gsとなる(設定重量に対応する)体積)V0Rを次式で算出する。
V0R=Gs/Hs×1/2
(STEP713)
そして、この体積V0Rを満たすために必要な塊状肉FBの長さLFRを、断面プロファイル群α0,αnに基づいて次式で算出する。
LFR=V0R/β
(β:断面プロファイル群α0またはαn中の面積成分)
【0153】
(STEP900)
そして、
図33に示すように、スライス枚数Mの取得へ移行する。
すなわち、右側の搬送通路20の塊状肉FBから切り出すスライス枚数MFRは、次の式で演算される。
MFR=LFR/L0
このMFRを、四捨五入によって整数化したMに置換する。
(STEP901)
そして、このスライス枚数Mが基準範囲内(基準スライス上限枚数設定スイッチ307による上限枚数と、基準スライス下限枚数設定スイッチ308による下限枚数との間の枚数範囲内)にあるか否かが判定される。
(STEP902)
スライス枚数Mが基準範囲内にあると判定された場合、スライス厚L1が次式で算出される。
L1=LF/M
【0154】
(STEP903)
そして、このスライス厚L1が、基準厚さ範囲設定スイッチ305で設定した基準厚範囲LW内になる否かが判定される。
(STEP904)
スライス厚L1が基準厚範囲LW内にあると判定された場合に、このスライス厚L1を確定する。
(STEP905)
一方、上述のSTEP903でスライス厚L1が基準厚範囲LW内に無いと判定された場合には、スライス枚数Mとして、基準スライス枚数M0または範囲外スライス枚数Moutを設定する。
この場合のスライス厚は、基準スライス厚L0に確定する。
【0155】
(STEP906)
そして、上述のSTEP904およびSTEP905から、STEP906へ移行する。
ここで、切断位置CPと当接位置APの間隔を、STEP904で確定したスライス厚L1に一致させるために必要な受板43の移動量が算出される。
そして、この移動量に基づいて肉厚調節用モータードライバ344へ出力がなされ、肉厚調節用の電動モーター61が作動して受板43が自動的に移動し、切断位置CPと当接位置APの間隔が、スライス厚L1に一致する。
この状態で、塊状肉FBをスライス厚L1に等しい距離だけ搬送するごとに(塊状肉FBの先端部が切断位置CPから距離L1だけ突出して当接位置APに当接するごとに)、この塊状肉FBの先端部が切断位置CPで切断され、L1の厚さを有した肉片fbが順次切り出される。
【0156】
一方、STEP905で確定した基準スライス厚L0が採用される場合には、切断位置CPと当接位置APの間隔を、STEP905で確定した基準スライス厚L0に一致させるために必要な受板43の移動量が算出される。
そして、この移動量に基づいて肉厚調節用モータードライバ344へ出力がなされ、肉厚調節用の電動モーター61が作動して受板43が自動的に移動し、切断位置CPと当接位置APの間隔が、基準スライス厚L0に一致する。
この状態で、塊状肉FBを基準スライス厚L0に等しい距離だけ搬送するごとに(塊状肉FBの先端部が切断位置CPから距離L10だけ突出して当接位置APに当接するごとに)、この塊状肉FBの先端部が切断位置CPで切断され、L0の厚さを有した肉片fbが順次切り出される。
【0157】
STEP906の終了後、前述のSTEP400以降と同様の処理が行われる。
なお、この集合体BGが無端ベルト96の搬送終端部(コンベアの後端部)に至った状態で、コントローラー300から伸縮用モータードライバ343への出力によって、伸縮用電動モーター135が作動し、無端ベルト96の搬送終端部(コンベアの後端部)が後方へ伸長する。
【0158】
(並列状態の説明)
図36に、以上の処理によって無端ベルト96に形成された肉片fbの集合体BGを例示する。
この例では、5枚の肉片(食品片)fbを、少なくともその一部が重なるように並列させて形成した集合体BG1と、6枚の肉片fbを同様に並列させて形成した集合体BG2と、7枚の肉片fbを同様に並列させて形成した集合体BG3を同時に並べて示している。
ただし、これは説明の便宜上使用するものであり、本発明において、このように肉片枚数の異なる集合体BGが、同一の無端ベルト96上に存在することを限定するものではない。
しかして、集合体BG1は、長さ(高さ)Aの肉片fb1をピッチKで5枚並列して、全長Eの集合体を形成している。
また、集合体BG2は、肉片fb1よりも短い肉片fb2を、Kよりも短いピッチで6枚並列して、全長Eの集合体を形成している。
【0159】
そして、集合体BG3は、肉片fb2よりも短い肉片fb3を、集合体BG2よりも短いピッチで7枚並列して、全長Eの集合体を形成している。
このように、肉片fbの高さに応じて、並列させる枚数とピッチを変更することで、肉片fbの集合体BGの全長を揃えることができ、食品トレーへの移載の利便性が向上する。
【0160】
(本実施形態に開示される発明)
本実施形態には、以下の食料切断装置の発明および技術が開示される。
1.塊状の食料FBを送る送り装置9と、この食料FBを切断する切断刃49とを備え、前記送り装置9から食料FBの先端部を所定の送り出し量だけ送り出すごとに、この送り装置9と切断刃49との相対的な移動によって食料FBの先端部を所定の切断位置CPで切断し、前記送り出し量に略等しい厚さの食料片fbを切り出すように構成した食料切断装置であって、前記送り装置9よって送られる食料FBの断面プロファイルを順次測定するセンサー204を、前記送り装置9の送り経路20の中間部上方に配置し、このセンサー204によって測定された複数の断面プロファイルをプロファイル情報として格納し、このプロファイル情報と食料FBの密度情報から、設定重量に対応した体積とするために必要な食料FBの送り方向での第1寸法LFと、この第1寸法LFを複数に略等分割した第2寸法L1とを算出し、前記送り出し量をこの第2寸法L1に略一致するように自動的に調整する制御装置300を備えた食料切断装置の発明。
【0161】
2.前記送り出し量を、前記第2寸法L1に略一致するように自動的に調整する状態と、前記第1寸法LFに略一致するように自動的に調整する状態とに切換自在に構成する技術。
3.前記送り装置9から送り出された食料FBの先端部を当接させて位置決めする位置決め部材43を設け、前記切断位置CPを、前記位置決め部材43と食料FBの先端部との当接位置APから送り方向上流側へ間隔をおいた位置に設定し、この切断位置CPと当接位置APとの間隔が前記第2寸法L1に略一致するように、前記位置決め部材43の位置を自動的に調整する構成とする技術。
【0162】
4.食料FBを前記送り装置9の送り経路の任意の位置へ供給し、所定の第1操作要素312を操作したときに、前記送り装置(9)が、前記センサー(204)による測定位置(LP)と切断位置(CP)との間隔に略等しい距離だけ送り方向下流側へ自動的に送り作動してから停止し、この後、第2操作要素313の操作によって、または自動的に、前記送り装置9と切断刃49との相対的な移動が開始され、食料片fbが切り出されるように構成する。
5.食料FBを前記送り装置9の送り経路の任意の位置へ供給した状態で、前記第1操作要素312を操作したときに、前記センサー204によって食料FBが検出された場合には、この食料FBが検出されなくなるまで前記送り装置9が送り方向上流側へ自動的に作動し、この後、前記送り装置9が前記センサー204による測定位置LPと前記切断位置CPとの間隔に略等しい距離だけ送り方向下流側へ自動的に作動する構成とする技術。
【0163】
6.前記第1操作要素312の操作によって前記送り装置9が自動的に送り作動している間に、前記センサー204によって測定された複数の断面プロファイルを第1プロファイル情報として格納し、前記送り装置9の停止後、前記第2操作要素313の操作によって、または自動的に、前記第1プロファイル情報に基づく食料片fbの切り出しが開始され、この食料片fbの切り出し中に、送られている食料FBの断面プロファイルを前記センサー204によって順次測定し、この測定された断面プロファイルを、前記第1プロファイル情報に後続する第2プロファイル情報として順次格納していき、前記第1プロファイル情報に基づく食料片fbの切り出しが完了した時点で、前記第2プロファイル情報に基づく食料片fbの切り出しへ移行するように構成する技術。
【0164】
7.前記第2寸法L1ごとに切断された複数の食料片fbを、少なくともその一部が互いに重なるように送り方向にずらしながら並べて、前記設定重量を有した食料片fbの集合体BGを形成する構成とし、前記センサー204によって測定された食料FBの断面プロファイルに基づいて、食料片fbを並べるピッチKを自動的に変更し、前記集合体BGの長さを設定された長さEに形成する構成とする技術。
8.前記切断刃49の位置を固定する一方、前記送り装置9を所定の揺動範囲で上下方向に往復揺動する構成とし、前記送り装置9から第2寸法L1分だけ送り出され、前記位置決め部材43に当接して位置決めされた食料の先端部を、この送り装置9の揺動範囲の上端側への揺動時に切断刃49に当てて切断し、この送り装置9の揺動範囲の下端側への揺動時または揺動後に前記送り装置9を送り作動させて食料FBの先端部を再び第2寸法L1分だけ送り出す構成とし、前記送り装置9が揺動範囲の下端部付近に至ったときに、前記センサー204によって食料FBの断面プロファイルを測定する構成とする技術。
【0165】
9.前記送り装置9が第2寸法L1分だけ送り作動して停止したときにこの送り装置9上の食料FBの断面プロファイルを測定する状態と、前記送り装置9が第2寸法L1分だけ送り作動している間にこの送り装置9上の食料FBの断面プロファイルを測定する状態とに、切換自在に構成する技術。
10.前記算出された第2寸法L1で切り出される食料片fbの数が設定範囲から外れると判定された場合には、この食料片fbの数が前記設定範囲内に収まるように、前記送り出し量を前記算出された第2寸法L1に対して増減させた量に自動的に変更するように構成する技術。
11.前記センサー204によって測定された食料FBの断面プロファイルに基づいて、切断される食料片fbの適不適を判定し、不適と判定される食料片fbが切り出される食料FBの先端部位を、前記第2寸法に拘わらずに予め設定された寸法L0ごとに送り出して切断する構成とする技術。
【0166】
12.前記送り装置9に食料FB,FBを左右複数列で供給し、前記センサー204によってこの複数列の食料FB,FBの夫々の断面プロファイルを測定する構成とし、この測定結果に基づいて、切断される食料片fbの適不適を判定し、適すると判定される食料片fbが切り出される側の食料FBの先端部位を、前記第2寸法L1ごとに送り出して切断する一方、不適と判定される食料片fbが切り出される食料FBの先端部位を、前記第2寸法L1に拘わらずに予め設定された寸法L0ごとに送り出して切断する構成とする技術。
13.前記送り装置9の周辺を覆う第1カバー201と、前記センサー204を支持するとともにこのセンサー204を覆う第2カバー203とを備え、この第2カバー203を、前記第1カバー201に形成した開口部201Sに対して位置規制部201PKを介して着脱自在に取り付ける構成とする技術。
14.前記密度情報を、食料FBの種類や状態に応じて予め設定した複数の密度情報から選択可能とする技術。
15.前記センサー204を、レーザー光を用いる光切断方式のセンサーとする技術。
【0167】
また、本実施形態には、以上の食料切断装置によって行われる以下の食料切断方法の発明が開示される。
1.食料の先端部を所定の送り出し量だけ送り出すごとに、この食料の先端部を切断手段との相対的な移動によって所定の切断位置で切断し、送り出し量に略等しい厚さの食料片を切り出す食料切断方法であって、送られる食料の断面プロファイルを、送り経路の中間部上方の位置から順次測定し、測定された複数の断面プロファイルをプロファイル情報として格納し、このプロファイル情報と食料の密度情報から、設定重量に対応した体積とするために必要な食料の送り方向での第1寸法と、この第1寸法を複数に略等分割した第2寸法とを算出し、前記送り出し量をこの第2寸法に略一致するように自動的に調整する食料切断方法の発明。
【0168】
2.前記送り出し量を、第2寸法に略一致するように自動的に調整する状態と、第1寸法に略一致するように自動的に調整する状態とに切換自在とする方法。
3.送り出された食料の先端部を当接位置で当接させて位置決めし、この当接位置から送り方向上流側へ間隔をおいた位置に切断位置を設定し、この切断位置と当接位置との間隔が前記第2寸法に略一致するように、前記当接位置を自動的に調整する方法。
4.食料を送り経路の任意の位置へ供給し、所定の第1操作をしたときに、この食料の先端部を、断面プロファイルの測定位置と切断位置との間隔に略等しい距離だけ送り方向下流側へ自動的に送り、この後、第2操作によって、または自動的に、食料の先端部と切断手段との相対的な移動を開始して食料片を切り出す方法。
【0169】
5.食料を送り経路の任意の位置へ供給した状態で前記第1操作をしたときに、食料が検出された場合には、この検出がなくなるまで食料を送り方向上流側へ自動的に送り、この後、食料を、断面プロファイルの測定位置と切断位置との間隔に略等しい距離だけ送り方向下流側へ自動的に送る方法。
6.前記第1操作によって食料が自動的に送られている間に、測定された複数の断面プロファイルを第1プロファイル情報として格納し、食料の停止後、前記第2操作によって、または自動的に、前記第1プロファイル情報に基づく食料片の切り出しを開始し、この食料片の切り出し中に、送られている食料の断面プロファイルを順次測定し、この測定された断面プロファイルを前記第1プロファイル情報に後続する第2プロファイル情報として順次格納していき、前記第1プロファイル情報に基づく食料片の切り出しが完了した時点で、前記第2プロファイル情報に基づく食料片の切り出しへ移行させる方法。
【0170】
7.前記第2寸法ごとに切断された複数の食料片を、少なくともその一部が互いに重なるように送り方向にずらしながら並べて、前記設定重量を有した食料片の集合体を形成し、測定された食料の断面プロファイルに基づいて、食料片を並べるピッチを自動的に変更し、前記集合体の長さを設定された長さに形成する方法。
8.前記第2寸法だけ送り出され当接位置で位置決めされた食料の先端部を、この食料の上下方向の揺動範囲の上端側への揺動時に切断手段に当てて切断し、この食料の揺動範囲の下端側への揺動時または揺動後に食料の先端部を再び第2寸法分だけ送り出し、食料が揺動範囲の下端部付近に至ったときに、この食料の断面プロファイルを測定する方法。
9.食料の先端部が第2寸法分だけ送り出されて停止したときにこの食料の断面プロファイルを測定する状態と、食料の先端部が第2寸法分だけ送り出されている間にこの食料の断面プロファイルを測定する状態とに、切換自在とする方法。
【0171】
10.前記算出された第2寸法で切り出される食料片の数が設定範囲から外れると判定された場合に、この食料片の数が前記設定範囲内に収まるように、食料の送り出し量を前記算出された第2寸法に対して増減させた量に自動的に変更する方法。
11.測定された食料の断面プロファイルに基づいて、切断される食料片の適不適を判定し、不適と判定される食料片が切り出される食料の先端部位を、前記第2寸法に拘わらずに予め設定された寸法ごとに送り出して切断する方法。
【0172】
12.左右複数列で供給された食料の夫々の断面プロファイルを測定し、この測定結果に基づいて、切断される食料片の適不適を判定し、適すると判定される食料片が切り出される側の食料の先端部位を、前記第2寸法ごとに送り出して切断する一方、不適と判定される食料片が切り出される食料の先端部位を、前記第2寸法に拘わらずに予め設定された寸法ごとに送り出して切断する方法。
13.前記密度情報を、食料の種類や状態に応じて予め設定した複数の密度情報から選択可能とする方法。
14.レーザー光を用いる光切断方式のセンサーで食料の断面プロファイルを測定する方法。
【0173】
(適用範囲)
なお、この実施例は、生肉切断用のスライサーに関するものとしたが、本発明は、これに限定されるものではなく、加工肉、チーズ、野菜類などの他の食品の切断装置に適用できる。
【符号の説明】
【0174】
1 スライサー(食料切断装置)
9 塊状肉搬送装置(送り装置)
20 搬送通路(送り経路)
43 受板(位置決め部材)
49 無端状帯刃(切断刃)
201 第1カバー
201S 開口部
201PK 位置規制部
203 第2カバー
204 レーザーセンサー(センサー)
300 コントローラー(制御装置)
312 スキャンモードON/OFFスイッチ(第1操作要素)
313 作業開始スイッチ(第2操作要素)
FB 塊状肉(食料)
fb 肉片(食料片)
BG 集合体
CP 切断位置
AP 当接位置
LP 投光位置(測定位置)
L0 基準スライス厚(予め設定された寸法)
LF 体積V0を満たすために必要な塊状肉の長さ(第1寸法)
L1 スライス厚(第2寸法)