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特開2024-167155車両用シートベルト装置の自動解除装置アダプタ、送信用車両用シートベルト装置アダプタ、及び車両用シートベルト装置の受信解除装置アダプタ
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024167155
(43)【公開日】2024-12-03
(54)【発明の名称】車両用シートベルト装置の自動解除装置アダプタ、送信用車両用シートベルト装置アダプタ、及び車両用シートベルト装置の受信解除装置アダプタ
(51)【国際特許分類】
   B60R 22/32 20060101AFI20241126BHJP
   B60R 22/22 20060101ALI20241126BHJP
   B60R 21/00 20060101ALN20241126BHJP
【FI】
B60R22/32 101
B60R22/22
B60R21/00 330
【審査請求】有
【請求項の数】2
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023083554
(22)【出願日】2023-05-21
(11)【特許番号】
(45)【特許公報発行日】2023-09-21
(71)【出願人】
【識別番号】516243515
【氏名又は名称】田中 久生
(74)【代理人】
【識別番号】100205523
【弁理士】
【氏名又は名称】木村 浩也
(72)【発明者】
【氏名】田中 久生
【テーマコード(参考)】
3D018
【Fターム(参考)】
3D018BA12
3D018FA05
(57)【要約】
【課題】従来のシートベルト解除装置は、車両そのものに装備する必要があり、車両の製造時に取り付けない限り、設置が難しかった。
【解決手段】
シートに着座している乗員を拘束するシートベルト装置の挿入孔に挿入するタング部と、前記シートベルト装置のウエブに設けられたタングを挿入する挿入孔部と、ロック解除ボタン部と、前記ロック解除ボタン部を動作させるためのアクチュエータと、 乗員の発生する拘束解除に関する音声指令を検出するマイクと、 前記マイクによって拘束解除の音声指令が検出されたときに、前記アクチュエータを作動させる制御手段とを備えることによって、装置を車両そのものに装備する必要がなくなり、あらゆる車両に取り付けが可能となる。
【選択図】図3
【特許請求の範囲】
【請求項1】
シートに着座している乗員を拘束するシートベルト装置の挿入孔に挿入するタング部と、
前記シートベルト装置のウエブに設けられたタングを挿入する挿入孔部と、
ロック解除ボタン部と、
前記ロック解除ボタン部を動作させるためのアクチュエータと、
乗員の発生する拘束解除に関する音声指令を検出するマイクと、
前記マイクによって拘束解除の音声指令が検出されたときに、前記アクチュエータを作動させる制御手段と、
を備えることを特徴とする車両用シートベルト装置自動解除装置用アダプタ。
【請求項2】
請求項1において、
前記アクチュエータが、前記タングと前記シートベルト装置の挿入孔との締結解除を行うものとされている、
ことを特徴とする車両用シートベルト装置自動解除装置用アダプタ。
【請求項3】
請求項1及び請求項2のいずれか1項において、
車速を検出する車速検出手段をさらに備え、
前記制御手段は、前記車速検出手段によって車速が0であることを条件として、前記アクチュエータを作動させる、
ことを特徴とする車両用シートベルト装置自動解除装置用アダプタ。
【請求項4】
請求項1乃至請求項3のいずれか1項において、 車両の衝突を検出する衝突検出手段をさらに備え、
前記制御手段は、前記衝突検出手段によって車両の衝突が検出されたことを条件として 、前記アクチュエータを作動させる、
ことを特徴とする車両用シートベルト装置自動解除装置用アダプタ。
【請求項5】
請求項1乃至請求項4のいずれか1項において、
前記音声指令の内容が、あらかじめ複数の単語を含むものとして設定されており、
前記制御手段は、前記マイクによって前記複数の単語が全て検出されたときに、前記アクチュエータを作動させる、
ことを特徴とする車両用シートベルト装置の自動解除装置用アダプタ。
【請求項6】
シートに着座している乗員を拘束するシートベルト装置の挿入孔に挿入するタング部と、
前記シートベルト装置のウエブに設けられたタングを挿入する挿入孔部と、
ロック解除ボタン部と、
乗員の発生する拘束解除に関する指令を検出する解除信号受信部と、
前記解除信号受信部によって拘束解除の指令が検出されたときに、解除信号を送信する送信部と、
を備えることを特徴とする送信用車両用シートベルト装置アダプタ。
【請求項7】
シートに着座している乗員を拘束するシートベルト装置の挿入孔に挿入するタング部と、
前記シートベルト装置のウエブに設けられたタングを挿入する挿入孔部と、
ロック解除ボタン部と、
請求項6の送信用車両用シートベルト装置自動解除装置用アダプタが送信する拘束解除に関する指令を検出する解除信号受信部と、
前記ロック解除ボタン部を動作させるためのアクチュエータと、
前記解除信号受信部によって拘束解除の指令が検出されたときに、前記アクチュエータを作動させる制御手段と、
を備えることを特徴とする車両用シートベルト受信自動解除装置用アダプタ。


【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、車両用シートベルト装置の自動解除装置、送信用車両用シートベルト装置、及び車両用シートベルト装置の受信解除装置のアダプタに関するものである。
【背景技術】
【0002】
自動車等の車両においては、シートに着座した乗員を拘束するためのシートベルト装置が設けられることが一般的となっている。シートベルトによる乗員の拘束は、ウエブに設けたタングをバックルに締結(係合)させることにより行い、締結解放は、バックルに設けたロック解除ボタンを操作することにより行われることが多い。特許文献1には、シートベルトの締結と締結解除とを、自動的に行うものが開示されている。特許文献2には、音声指令により車載機器を操作するものが開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特表2013-521193号公報
【特許文献2】特開2005-162121号公報(特許第4316997号公報)
【特許文献3】特許第6276887号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、例えば車両の衝突により乗員が怪我している等によって、乗員自身が腕や手指を動かしてバックルとタングとの締結を解除することが不可能になる、という事態を生じることが考えられる。この場合、外部からの支援者によって締結が解除されない限り、乗員はシートベルトにより拘束された状態が長く続いてしまうことから、なんらかの対策が望まれるものである。
【0005】
特許文献3は以上のような事情を勘案してなされたもので、その目的は、乗員がタングとバックルとの締結を解除するための動きをとれない状況でも、乗員自身でもってシートベルト装置による拘束を解除できるようにした車両用シートベルト装置の自動解除装置を提供することにあったが、装置を車両そのものに装備する必要があり、車両の製造時に取り付けない限り、設置が難しかった。
【課題を解決するための手段】
【0006】
前記課題を解決するために、請求項1の発明は、シートに着座している乗員を拘束するシートベルト装置の挿入孔に挿入するタング部と、前記シートベルト装置のウエブに設けられたタングを挿入する挿入孔部と、ロック解除ボタン部と、前記ロック解除ボタン部を動作させるためのアクチュエータと、 乗員の発生する拘束解除に関する音声指令を検出するマイクと、 前記マイクによって拘束解除の音声指令が検出されたときに、前記アクチュエータを作動させる制御手段と、 を備えることを特徴としている。
【発明の効果】
【0007】
本発明によれば、乗員が締結解除するための動きをとれない状況でも、乗員が音声指令を行うことによって締結解除装置が、装置を車両そのものに装備する必要がなくなり、あらゆる車両に取り付けが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1】本発明の一実施形態を示す斜視図である。
図2図1の実施形態における側面図である。
図3】バックルとタングとの接続部位を示す要部斜視図である。
図4】本発明の制御系統例を示す図である。
図5】本発明の制御例を示すフローチャートである。
図6】本発明の一実施形態を示す斜視図である。
図7】バックルとタングとの接続部位を示す要部斜視図である。
図8】本発明の制御系統例を示す図である。
図9】本発明の制御系統例を示す図である。
図10】本発明の制御例を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、添付図面を参照しながら本発明の実施の形態について説明する。以下の実施の形態は、本発明を説明するための例示であり、本発明をその実施の形態のみに限定する趣旨ではない。また、本発明は、その要旨を逸脱しない限り、様々な変形が可能である。さらに、各図面において同一の構成要素に対しては可能な限り同一の符号を付し、重複する説明は省略する。
【0010】
まず図1図2において通常の車両装備に装備されているシートベルトの動作を説明する。Sは、車両としての自動車における運転席用シートである。シートSは、シートクッション1とシートバック2とヘッドレスト3、とを有する。
【0011】
シートSに対して、シートベルト装置Bが設けられている。シートベルト装置Bは、3点式とされて、リトラクタ11、下部アンカ12、ウエブ13、バックル14、タング15、上部アンカ17を有している。リトラクタ11は、例えばシートSの側方に位置するセンタピラー4内の低い位置に固定設置されている。下部アンカ12は、シートSの左右位置のうちリトラクタ11が存在する側の低い位置において、車体に固定されている。
【0012】
ウエブ13は、リトラクタ11と下部アンカ12とを連結している。すなわち、ウエブ13は、リトラクタ11から引き出されて、一旦上方へ延びた後、高い位置でもって車室内に延びて、上部アンカ17を経由するように配設される。
【0013】
バックル14は、シートSの左右位置のうち下部アンカ12とは反対側の低い位置において車体に固定されている。そして、タング15は、ウエブ13の中間位置にスライド可能に設けられて、バックル14に対して着脱自在に締結(係合)される。
【0014】
シートSに乗員としての運転者又はパイロット等M1が着座している状態で、バックル14に設けた挿入孔14a内にタング15を挿入することにより、締結状態とされて、シートベルト装置Bによって乗員を拘束した状態とされる(図1図2の状態)運転者又はパイロット等を拘束している状態でのウエブ13は、タング15を境にして、運転者又はパイロット等の上半身を拘束する上ウエブ13aと、運転者又はパイロット等M1の腰付近を拘束する下ウエブ13bとに分けられることになる。なお、図2中5は、ステアリングハンドルである。
【0015】
バックル14に対してタング15が締結されている状態で、バックル14に設けたロック解除ボタン14bを例えば押圧操作することによりロック解除つまり締結解除されて、タング15がバックル14から引き出される(バックル14に内蔵されたスプリング作用により、タング15がポップアップ式にバックル14から飛び出る)。
【0016】
なお、ロック解除ボタン14bは、タング15の挿入方向と交差する方向に押圧操作される形式でも良いし、挿入孔14aの開口面側において外部に露出されて、タング15の挿入方向に押圧操作されるもの等、適宜の形式のものを適用できる。勿論、バックル14は、その内部構造を含めて、適宜の形式のものを用いることができる。
【0017】
<実施形態1>
次に図1図3において、本発明にかかる車両用シートベルト装置の自動解除装置アダプタ16(以下、「アダプタ16」という)の動作を説明する。基本動作、符号は同一である。
【0018】
アダプタ16は、図示のように車両装置のバックル14と車両装置のタング15の間に挟んで使用する。アダプタ16には挿入孔部16a、ロック解除ボタン部16b及びタング部16cから成る。
【0019】
アダプタ16は、車両装置のバックル14にタング部16cを挿入して、バックル14にアダプタ16をあらかじめ締結(係合)しておく。
【0020】
シートSに乗員としての運転者又はパイロット等M1が着座している状態で、アダプタ16の挿入孔部16a内に車両用のタング15を挿入することにより、締結状態とされて、シートベルト装置Bによって乗員を拘束した状態とされる(図1の状態)。
【0021】
アダプタ16に対して車両装置のタング15が締結されている状態で、アダプタ16に設けたロック解除ボタン部16bを例えば押圧操作することによりロック解除つまり締結解除されて、車両装置のタング15がアダプタ16から引き出される(アダプタ16に内蔵されたスプリング作用により、車両装置のタング15がポップアップ式にアダプタ16から飛び出る)。
【0022】
なお、ロック解除ボタン部16bは、実施形態では車両用のタング15の挿入方向と交差する方向に押圧操作される形式でも良いし、挿入孔部16aの開口面側において外部に露出されて、車両用のタング15の挿入方向に押圧操作されるもの等、適宜の形式のものを適用できる。
【0023】
図3に示すように、アダプタ16内には、電磁式のアクチュエータ35が設けられている。このアクチュエータ35は、前記ロック解除ボタン部16bを、締結解除方向に変位させるためのものである。アクチュエータ35が作動されることにより、ロック解除ボタン部16bが締結解除位置に設けて変位されて、アダプタ16と車両用のタング15との締結が解除されることになる。
【0024】
図4は、アダプタ16の締結解除(アダプタ16と車両用のタング15との締結解除)を行うための制御系統例を示す。図中、Uは、マイクロコンピュータを利用して構成されたコントローラ(制御ユニット)である。このコントローラUは、例えば図示を略すがアダプタ16に収納されている。
【0025】
コントローラUには、車速センサ31で検出された車速、アダプタ16内に設けたマイク32で検出された音声、およびアダプタ16内に設けられたGPS33からの現在位置信号が入力される。
【0026】
車速センサ31は、車両から電波等で車速を受信しても良いし、アダプタ内に設けられたGPS33で車速を計算しても良い。
【0027】
コントローラUは、前記アクチュエータ35の他、通報装置36を制御する。通報装置36は、実施形態では、図示を略す緊急警報装置における通信手段を利用したもので、外部のサービスセンタとの通信を行うものである。すなわち、アクチュエータ35が作動される状況となったときに、サービスセンタに対して、GPS33で検出された現在位置や、あらかじめ登録されている車両情報(例えば車両の種類や使用者に関する情報)を通報するものとなっている。
【0028】
コントローラUは、締結解除のための乗員による音声指令の用語をあらかじめ記憶している(コントローラU内の記憶媒体に記憶)。この音声指令の用語としては、例えば「助けて、助けて、助けて」、「ベルト、ベルト、ベルト」等の単語を含むものとされている。そして、コントローラUは、前記の単語が全て、所定時間(例えば10秒)内にマイク32によって検出されたときに、アクチュエータ35を作動させる(アダプタ16と車両用のタング15との締結解除実行)。なお、上記音声指令の内容はあくまで一例であり、例えば音声指令の内容を1つの単語のみとする等、適宜設定できる。
【0029】
上記音声指令の単語の数や内容は、乗員の好みによって登録しておくこともできる。
【0030】
<実施形態1動作>
次に、コントローラUによる制御例について説明する。なお、以下の説明でQはステップを示す。まず、Q1において、各センサ31~33からの信号が入力される。
【0031】
Q1の後、Q2において、車速が0であるか否か(停車中であるか否か)が判別される。このQ2の判別でNOのときは、Q1に戻る(走行中に、不必要に締結解除されてしまう事態を防止)。
【0032】
上記Q2の判別でYESのときは、Q3において、マイク32が、ロック解除のための音声指令を検出したか否かが判別される。このQ3の判別でNOのときは、Q1に戻る。一方、Q3の判別でYESのときは、Q4において、アクチュエータ35が作動されて、アダプタ16と車両用のタング15との締結が解除される。これにより、乗員は、シートベルト装置Bからの拘束から解放されることになる。Q4の後、Q5において、自車両の現在位置情報と共に、緊急事態が発生したことが、外部のサービスセンタに通報される。
【0033】
以上、実施形態1について説明したが、車両の衝突を検出したことを条件として、アクチュエータ35を作動させるようにしてもよい。衝突検知は、例えば、エアバッグ装置を作動させるための衝突検知センサからの信号を利用してもよい(無線検出)。また、衝突の検出と車速が0であることの両方を、アクチュエータ35を作動させる条件として設定することもできる。
【0034】
アクチュエータ35による駆動対象となる機器としては、ロック解除ボタン部16bに限らず、例えば、ロック解除ボタン部16bとは別途独立してアダプタ16内に設けた締結解除機構を駆動するもの等、適宜のものとすることができる。
【0035】
<実施形態2>
次に図6図7において、本発明にかかる車両用シートベルト装置の解除送信装置アダプタ21(以下、「送信アダプタ21」という)、及び解除受信装置アダプタ22(以下、「受信アダプタ22」という)の動作を説明する。基本動作、符号は同一である。図6はバスの乗車状況を示しているが、乗用車や飛行機でも良く、使用する座席は特に定めない。
【0036】
送信アダプタ21は、図示のように車両装置のバックル14と車両装置のタング15の間に挟んで使用する。送信アダプタ21には挿入孔部21a、ロック解除ボタン部21b及びタング部21cから成る。送信アダプタ21は運転席やパイロット席など、車体や機体をコントロールする座席で使用することが好ましいが、使用する座席は特に指定しない。
【0037】
受信アダプタ22は、図示のように送信アダプタ21と同じく、車両装置のバックル14と車両装置のタング15の間に挟んで使用する。受信アダプタ22には挿入孔部22a、ロック解除ボタン部22b及びタング部22cから成る。受信アダプタ22は、乗員であって、車体や機体をコントロールしない座席で使用することが好ましいが、使用する座席は特に指定しない。
【0038】
送信アダプタ21は、車両装置のバックル14にタング部21cを挿入して、バックル14に送信アダプタ21をあらかじめ締結(係合)しておく。同じく受信アダプタ22も、車両装置のバックル14にタング部22cを挿入して、バックル14に受信アダプタ22をあらかじめ締結(係合)しておく。図示のように受信アダプタ22は多数設けてもよい。
【0039】
シートSに乗員としての運転者又はパイロット等M1が着座している状態で、送信アダプタ21の挿入孔部21a内に車両用のタング15を挿入することにより、締結状態とされて、シートベルト装置Bによって運転席又はパイロット等M1を拘束した状態とされる。また、シートSに乗員M2等が着座している状態で、受信アダプタ22の挿入孔部22a内に車両用のタング15を挿入することにより、締結状態とされて、シートベルト装置Bによって乗員M2等を拘束した状態とされる。(図6の状態)。
【0040】
送信アダプタ21及び受信アダプタ22に対して車両装置のタング15が締結されている状態で、送信アダプタ21及び受信アダプタ22に設けたロック解除ボタン部21b及びロック解除ボタン部22bを例えば押圧操作することにより、ロック解除つまり締結解除されて、車両装置のタング15が送信アダプタ21及び受信アダプタ22から引き出される(送信アダプタ21及び受信アダプタ22に内蔵されたスプリング作用により、車両装置のタング15がポップアップ式に送信アダプタ21及び受信アダプタ22から飛び出る)。
【0041】
なお、ロック解除ボタン部21b及びロック解除ボタン部22bは、実施形態では車両用のタング15の挿入方向と交差する方向に押圧操作される形式でも良いし、挿入孔部21a及び挿入孔部22aの開口面側において外部に露出されて、車両用のタング15の挿入方向に押圧操作されるもの等、適宜の形式のものを適用できる。
【0042】
図7に示すように、送信アダプタ21内には、電磁式のアクチュエータ35が設けられていても設けられていなくても良い。このアクチュエータ35が設けられている場合は、実施例1と同様の構成となる。
【0043】
同じく図7のかっこ書きに示すように、受信アダプタ22内には、電磁式のアクチュエータ35が設けられている。このアクチュエータ35は、前記ロック解除ボタン部22bを、締結解除方向に変位させるためのものである。アクチュエータ35が作動されることにより、ロック解除ボタン部22bが締結解除位置に設けて変位されて、受信アダプタ22と車両用のタング15との締結が解除されることになる。
【0044】
図8は、送信アダプタ21の締結解除指令信号を送信するための制御系統例を示す。図中、Uは、マイクロコンピュータを利用して構成されたコントローラ(制御ユニット)である。このコントローラUは、例えば図示を略すが送信アダプタ21に収納されている。
【0045】
コントローラUは、解除を指令する解除信号51を検知すると、送信機52を制御する。ここで解除信号51とは、ロック解除ボタン部21bを押圧操作すること送信される信号でも良いし、実施形態1のアダプタ16と同じ構造で、マイク32の音声認識信号、又は衝突センサ42信号でも良く、解除を知らせる信号であればよい。
【0046】
図9は、受信アダプタ22の締結解除信号を受信するための制御系統例を示す。図中、Uは、マイクロコンピュータを利用して構成されたコントローラ(制御ユニット)である。このコントローラUは、例えば図示を略すが受信アダプタ22に収納されている。
【0047】
コントローラUは、受信機53で送信アダプタ21の送信機52から発せられた解除信号51を検知すると、アクチュエータ35を制御する。
【0048】
<実施形態2動作>
次に、コントローラUによる制御例について説明する。なお、以下の説明でQはステップを示す。まず、Q21において、送信アダプタ21で解除信号51の信号が入力される。
【0049】
Q21の後、Q22において、受信アダプタ22の受信機53で送信アダプタ21の送信機52から発せられた解除信号51の検知を判定する
【0050】
上記Q22の判別でYESのときは、Q23の判別でYESのときは、Q24において、アクチュエータ35が作動されて、受信アダプタ22と車両用のタング15との締結が解除される。これにより、乗員M2は、シートベルト装置Bからの拘束から解放されることになる。
【0051】
以上、実施形態2について説明したが、送信アダプタ21は、ロック解除ボタン部21bを押圧操作してシートベルト解除をしても良いし、実施形態1のアダプタ16の機能を設け、音声制御や衝突の検知で解除をしても良い。実施形態2は、送信アダプタ21と受信アダプタ22をセットで用いて、送信アダプタ21のシートベルト解除をトリガーに、受信アダプタ22が解除動作を行う。
【符号の説明】
【0052】
M1 運転者又はパイロット等
M2 乗員
U コントローラ
S シート
B シートベルト装置
13 ウエブ
14 バックル
14a 挿入孔
14b ロック解除ボタン
15 車両用タング
16 自動解除装置アダプタ
16a 挿入孔部
16b ロック解除ボタン部
16c タング部
21 送信用アダプタ
21a 挿入孔部
21b ロック解除ボタン部
21c タング部
22 受信用解除装置アダプタ
22a 挿入孔部
22b ロック解除ボタン部
22c タング部
31 車速センサ
32 マイク
35 アクチュエータ
51 解除信号
52 送信部
53 受信部
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
【手続補正書】
【提出日】2023-07-03
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
シートに着座している乗員を拘束するシートベルト装置の挿入孔に挿入するタング部と、
前記シートベルト装置のウエブに設けられたタングを挿入する挿入孔部と、
ロック解除ボタン部と、
前記ロック解除ボタン部を動作させるためのアクチュエータと、
乗員の発生する拘束解除に関する音声指令を検出するマイクと、
前記マイクによって拘束解除の音声指令が検出されたときに、前記アクチュエータを作動させる制御手段と、
車両の衝突を検出する衝突検出手段と、
を備え、
前記制御手段は、前記衝突検出手段によって車両の衝突が検出されたこと、かつ、前記マイクによって拘束解除の音声指令が検出されたときを条件として 、前記アクチュエータを作動させる、
ことを特徴とする車両用シートベルト装置自動解除装置用アダプタ。
【請求項2】
シートに着座している乗員を拘束するシートベルト装置の挿入孔に挿入するタング部と、
前記シートベルト装置のウエブに設けられたタングを挿入する挿入孔部と、
ロック解除ボタン部と、
前記ロック解除ボタン部を動作させるためのアクチュエータと、
乗員の発生する拘束解除に関する音声指令を検出するマイクと、
前記マイクによって拘束解除の音声指令が検出されたときに、前記アクチュエータを作動させる制御手段と、
車両の衝突を検出する衝突検出手段と、
を備え、
前記音声指令の内容が、あらかじめ複数の単語を含むものとして設定されており、
前記制御手段は、前記マイクによって前記複数の単語が全て検出されたときに、前記アクチュエータを作動させる、
ことを特徴とする車両用シートベルト装置の自動解除装置用アダプタ。
【請求項3】
シートに着座している乗員を拘束するシートベルト装置の挿入孔に挿入するタング部と、
前記シートベルト装置のウエブに設けられたタングを挿入する挿入孔部と、
ロック解除ボタン部と、
乗員の発生する拘束解除に関する指令を検出する解除信号受信部と、
前記解除信号受信部によって拘束解除の指令が検出されたときに、解除信号を送信する送信部と、
を備えることを特徴とする送信用車両用シートベルト装置アダプタ。
【請求項4】
シートに着座している乗員を拘束するシートベルト装置の挿入孔に挿入するタング部と、
前記シートベルト装置のウエブに設けられたタングを挿入する挿入孔部と、
ロック解除ボタン部と、
請求項3の送信用車両用シートベルト装置自動解除装置用アダプタが送信する拘束解除に関する指令を検出する解除信号受信部と、
前記ロック解除ボタン部を動作させるためのアクチュエータと、
前記解除信号受信部によって拘束解除の指令が検出されたときに、前記アクチュエータを作動させる制御手段と、
を備えることを特徴とする車両用シートベルト受信自動解除装置用アダプタ。
【手続補正2】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0006
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0006】
上記課題を解決するために、請求項1の発明は、シートに着座している乗員を拘束するシートベルト装置の挿入孔に挿入するタング部と、前記シートベルト装置のウエブに設けられたタングを挿入する挿入孔部と、ロック解除ボタン部と、前記ロック解除ボタン部を動作させるためのアクチュエータと、 乗員の発生する拘束解除に関する音声指令を検出するマイクと、 前記マイクによって拘束解除の音声指令が検出されたときに、前記アクチュエータを作動させる制御手段と、車両の衝突を検出する衝突検出手段と、を備え、 前記制御手段は、前記衝突検出手段によって車両の衝突が検出されたこと、かつ前記マイクによって拘束解除の音声指令が検出されたときを条件として 、前記アクチュエータを作動させることを特徴としている。
【手続補正書】
【提出日】2023-09-02
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
シートに着座している乗員を拘束するシートベルト装置の挿入孔に挿入するタング部と、
前記シートベルト装置のウエブに設けられたタングを挿入する挿入孔部と、
ロック解除ボタン部と、
乗員の発生する拘束解除に関する指令を検出する解除信号受信部と、
前記解除信号受信部によって拘束解除の指令が検出されたときに、解除信号を送信する送信部と、
を備えることを特徴とする送信用車両用シートベルト装置アダプタ。
【請求項2】
シートに着座している乗員を拘束するシートベルト装置の挿入孔に挿入するタング部と、
前記シートベルト装置のウエブに設けられたタングを挿入する挿入孔部と、
ロック解除ボタン部と、
請求項1の送信用車両用シートベルト装置自動解除装置用アダプタが送信する拘束解除に関する指令を検出する解除信号受信部と、
前記ロック解除ボタン部を動作させるためのアクチュエータと、
前記解除信号受信部によって拘束解除の指令が検出されたときに、前記アクチュエータを作動させる制御手段と、
を備えることを特徴とする車両用シートベルト受信自動解除装置用アダプタ。
【手続補正2】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0006
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0006】
上記課題を解決するために、請求項1の発明は、シートに着座している乗員を拘束するシートベルト装置の挿入孔に挿入するタング部と、前記シートベルト装置のウエブに設けられたタングを挿入する挿入孔部と、ロック解除ボタン部と、乗員の発生する拘束解除に関する指令を検出する解除信号受信部と、 前記解除信号受信部によって拘束解除の指令が検出されたときに、解除信号を送信する送信部と、 を備えることを特徴としている。

【手続補正3】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0007
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0007】
本発明によれば、乗員が締結解除するための動きをとれない状況でも、別の乗員が解除信号を送信を行うことによって、締結解除装置を動作させることが可能となる。