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特開2024-167171アクチュエータのためのステッピングモータ制御システムおよび方法
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024167171
(43)【公開日】2024-12-03
(54)【発明の名称】アクチュエータのためのステッピングモータ制御システムおよび方法
(51)【国際特許分類】
   H02P 8/24 20060101AFI20241126BHJP
   B25J 15/08 20060101ALI20241126BHJP
【FI】
H02P8/24
B25J15/08 C
【審査請求】未請求
【請求項の数】20
【出願形態】OL
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2024080240
(22)【出願日】2024-05-16
(31)【優先権主張番号】18/199,718
(32)【優先日】2023-05-19
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
【公序良俗違反の表示】
(特許庁注:以下のものは登録商標)
1.SWIFT
2.PASCAL
3.ERLANG
(71)【出願人】
【識別番号】524186383
【氏名又は名称】スタビラス モーション コントロールズ ゲゼルシャフト ミット ベシュレンクテル ハフツング
【氏名又は名称原語表記】Stabilus Motion Controls GmbH
【住所又は居所原語表記】Albert-Einstein-Strasse 15,40764 Langenfeld,Germany
(74)【代理人】
【識別番号】100095614
【弁理士】
【氏名又は名称】越川 隆夫
(72)【発明者】
【氏名】ベンジャミン ジェイ.ジェニングス
(72)【発明者】
【氏名】アンジャン アーチャーリャ ギャンガリ
(72)【発明者】
【氏名】ブライアン エー.ノブロック
(72)【発明者】
【氏名】ジェームズ ダブリュ.ゲアリー
(72)【発明者】
【氏名】クリストファー ディー.ディースペイン
(72)【発明者】
【氏名】ジョシュア エム.エヴァンズ
(57)【要約】      (修正有)
【課題】物体を把持する/掴むために使用されるグリッパのステッピングモータを制御するためのシステムおよび方法に関する。
【解決手段】ステッピングモータ制御システムであって、物体に係合するためにアクチュエータを作動させるように構成されたステッピングモータと、コンプライアンス機構の圧縮が起きる前の第1期間中、第1の所定トルクおよび第1の所定速度に基づき、電気パルスをステッピングモータの複数のステータコイルに所定の順番で印加し、アクチュエータが物体に接触すると、コンプライアンス機構の圧縮が起こり、コンプライアンス機構の圧縮が起きた後の第2期間中、第2の所定トルクおよび第2の所定速度に基づき、所定のエキストラパルス数をステッピングモータの複数のステータコイルに所定の順番で印加するように構成された電力制御モジュールと、を含むステッピングモータ制御システム。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ステッピングモータ制御システムであって、
物体に係合するためにアクチュエータを作動させるように構成されたステッピングモータと、
電力制御モジュールであって、
コンプライアンス機構の圧縮が起きる前の第1期間中、第1の所定トルクおよび第1の所定速度に基づき、電気パルスを前記ステッピングモータの複数のステータコイルに所定の順番で印加し、
前記アクチュエータが前記物体に接触すると、前記コンプライアンス機構の圧縮が起こり、
前記コンプライアンス機構の前記圧縮が起きた後の第2期間中、第2の所定トルクおよび第2の所定速度に基づき、所定のエキストラパルス数を前記ステッピングモータの前記複数のステータコイルに前記所定の順番で印加する、
ように構成された、電力制御モジュールと、
を備えたステッピングモータ制御システム。
【請求項2】
前記ステッピングモータは、リニアステッピングモータおよびロータリステッピングモータのどちらかである、請求項1に記載のステッピングモータ制御システム。
【請求項3】
前記アクチュエータはグリッパである、請求項1に記載のステッピングモータ制御システム。
【請求項4】
前記電力制御モジュールは、前記第2の所定トルクおよび前記第2の所定速度に基づき、前記所定のエキストラパルス数を前記ステッピングモータの前記複数のステータコイルに前記所定の順番で印加するように構成される、請求項1に記載のステッピングモータ制御システム。
【請求項5】
前記電力制御モジュールは、前記第2の所定トルクより小さい、または大きい、第3の所定トルクに基づき、前記所定のエキストラパルス数を前記ステッピングモータの前記複数のステータコイルに前記所定の順番で印加するように構成される、請求項1に記載のステッピングモータ制御システム。
【請求項6】
前記電力制御モジュールは、前記第2の所定速度より遅い、または速い、第3の所定速度に基づき、前記所定のエキストラパルス数を前記ステッピングモータの前記複数のステータコイルに前記所定の順番で印加するように構成される、請求項1に記載のステッピングモータ制御システム。
【請求項7】
前記第2の所定トルクは、前記第1の所定トルクより大きい、請求項1に記載のステッピングモータ制御システム。
【請求項8】
前記第1の所定速度は、前記第2の所定速度より速い、請求項1に記載のステッピングモータ制御システム。
【請求項9】
前記ステッピングモータの前記複数のステータコイルの1つ以上のステータコイルの逆起電力(逆EMF)電圧に基づき、前記コンプライアンス機構の圧縮が起きているかどうかを通知するように構成された接触モジュールを更に備える、請求項1に記載のステッピングモータ制御システム。
【請求項10】
前記接触モジュールは、前記逆EMF電圧が所定どおりに変化したとき、前記コンプライアンス機構の圧縮が起きていることを通知するように構成される、請求項9に記載のステッピングモータ制御システム。
【請求項11】
前記接触モジュールは、前記逆EMF電圧が所定の逆EMF値より大きいとき、前記コンプライアンス機構の圧縮が起きていることを通知するように構成される、請求項9に記載のステッピングモータ制御システム。
【請求項12】
前記接触モジュールは、前記逆EMF電圧が前記所定の逆EMF値より小さいとき、前記コンプライアンス機構の圧縮が起きていないことを通知するように構成される、請求項11に記載のステッピングモータ制御システム。
【請求項13】
前記接触モジュールは、前記逆EMF電圧の変化レートが所定の変化レートより遅い、または速い、とき、前記コンプライアンス機構の圧縮が起きていないことを通知するように構成される、請求項11に記載のステッピングモータ制御システム。
【請求項14】
前記電力制御モジュールは、前記所定のエキストラパルス数が印加されるまで、前記第2の所定トルクおよび前記第2の所定速度に基づき、電気パルスを前記ステッピングモータの前記複数のステータコイルに前記所定の順番で印加するように構成される、請求項1に記載のステッピングモータ制御システム。
【請求項15】
前記第1の所定トルクは、電気パルスの第1の所定電流に対応し、
前記第2の所定トルクは、電気パルスの第2の所定電流に対応し、
前記第2の所定電流は、前記第1の所定電流より大きい、
請求項1に記載のステッピングモータ制御システム。
【請求項16】
前記第1の所定速度は、電気パルスを前記ステッピングモータに印加する第1の所定レートに対応し、
前記第2の所定速度は、電気パルスを前記ステッピングモータに印加する第2の所定レートに対応し、
前記第1の所定レートは、前記第2の所定レートより速い、
請求項1に記載のステッピングモータ制御システム。
【請求項17】
前記電力制御モジュールは、前記所定のエキストラパルス数が前記ステッピングモータの前記複数のステータコイルに印加されたときに、前記ステッピングモータを電源から切り離すように構成される、請求項1に記載のステッピングモータ制御システム。
【請求項18】
前記アクチュエータの作動中に前記複数のステータコイルに印加される前記所定のエキストラパルス数を決定し、前記所定のエキストラパルス数を前記メモリに記憶するように、構成されたトレーニングモジュールを更に備える、請求項1に記載のステッピングモータ制御システム。
【請求項19】
前記トレーニングモジュールは、(a)前記第1期間中に前記ステッピングモータ印加された第1のパルス数と、(b)(i)前記第2期間の開始時と、(ii)1つ以上のハードストップへの前記アクチュエータの接触時と、の間に前記ステッピングモータに印加された第2のパルス数と、の間の差に基づき、印加する前記所定のエキストラパルス数を決定するように構成される、請求項18に記載のステッピングモータ制御システム。
【請求項20】
ステッピングモータ制御方法であって、
コンプライアンス機構の圧縮が起きる前の第1期間中、第1の所定トルクおよび第1の所定速度に基づき、電気パルスをステッピングモータの複数のステータコイルに所定の順番で印加するステップであって、
前記ステッピングモータは、物体に係合するためにアクチュエータを作動させるように構成されており、
前記アクチュエータが前記物体に接触すると、前記コンプライアンス機構の圧縮が起きる、ステップと、
前記コンプライアンス機構の前記圧縮が起きた後の第2期間中、第2の所定トルクおよび第2の所定速度に基づき、所定のエキストラパルス数を前記ステッピングモータの前記複数のステータコイルに前記所定の順番で印加するステップと、
を含む、ステッピングモータ制御方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、物体係合システムおよび方法に関し、より具体的には、物体を把持する/掴むために使用されるグリッパのステッピングモータを制御するためのシステムおよび方法に関する。
【背景技術】
【0002】
本開示において提供する背景説明は、本開示のコンテキストを全般的に提示することを目的としている。本開示に名前が挙がっている発明者らの仕事は、この背景セクションに、ならびに出願時に従来技術と見做され得ない本明細書の諸態様に、記載されている限り、本開示に対する従来技術として明示的にも黙示的にも認められるものではない。
【0003】
グリッパにおいて、グリッパの一般的な動作は、空圧式であれ電気式であれ、フィンガが部品に到達して把持力を加えられるようになるまで、クリアランスゾーン(ストローク)を通してフィンガを閉じることを含む。フィンガは、グリッパのストロークによって、ホーム位置、または把持準備が整った位置、から極めて小さな力で高速移動する。通常、グリッパの構成要素を加速させて摩擦に打ち勝つために必要な力のみが加えられる。フィンガが部品に接触すると、グリッパは動きを停止し、保持力を増大させる。既存の多くの設計においては、部品に対する把持力を維持するために、アクチュエータは絶えず通電され得る。この力を失うことは、部品の落下を意味する。したがって、低価格と部品の効果的な把持との故に、空圧シリンダを有する空圧式グリッパが利用されている。ただし、流体が最適でない環境では、電気式把持装置が利用されている。ただし、これら電気式把持装置は、グリッパを作動させるために複雑な制御装置を必要とすることが多い。これは、コストならびに複雑さをグリッパに追加する。
【0004】
したがって、空圧式グリッパとのコスト競争力がありながら、簡素な制御装置をもたらす電気式グリッパを有することが望ましいであろう。したがって、本開示は、そのような装置である。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0005】
本開示は、コンプライアンスを用いるステッピングモータ駆動システムを提供する。本システムにおいては、コンプライアンス装置と、一般的なステッピングモータを駆動してその行程内の既知または未知の如何なる位置においても力を発生させることができる制御装置(制御モジュール)と、が組み合わされている。ステッピングモータは、通常、既知のロードおよび既知の位置に基づく用途でのみ使用されている。本開示は、無数の機械装置において予測可能且つ再現可能な力を発生させるために、ストールを検出する制御装置とコンプライアンス装置とを備えたステッピングモータを提供する。ステッピングモータは、その低価格、制御し易さ、相対的に高い出力密度、低速における高トルク、開ループ位置決め能力の故に、有利である。本開示は、モータの逆起電力(逆EMF)電圧を監視することによって、エンコーダまたはセンサを使用せずに、ステッピングモータがそのストールトルクに近付いているときを検出し得る制御装置(制御モジュール)を提供する。
【0006】
本開示の第1の態様によると、把持装置は、本体と、この本体の内部に位置付けられたステッピングモータとを備える。このステッピングモータによってリードスクリューが駆動される。部品を把持および解放するために、グリッパがリードスクリューに結合されている。本体に対するモータの移動を可能にするために、本体とモータとの間にコンプライアンスが取り付けられている。制御装置がモータに電気的に結合されている。制御装置は、モータの転流をカウントすることによって、「開位置」および「部品把持位置」など、さまざまな位置を学習して保存できる。グリッパは、リードスクリューと一対のジョーに結合されたくさびを含み、この一対のジョーおよびフィンガを開位置と把持位置との間で動かす。制御装置は、ストップ(被工作物またはジョーの行程終端など)に遭遇したことを感知すると、速度およびトルクの適切な変化、および/または信号出力、によって対応できる。ステッピングモータは、開位置から把持位置への移動時、低トルクを有し、高速で移動する。部品上でストップが検出されると、ステッピングモータは高トルクおよび低速で移動するように構成されている。その後、制御装置は、ステッピングモータを更に所定のステップ数だけ動かしてコンプライアンス部材を撓ませることによって、ストールに達することなく、部品に対して所望の力を加える。コンプライアンス部材のこの撓みは、その弾性係数に応じて、部品に対する力を発生させる。制御装置は、グリッパの位置が以前教示された複数の位置のうちの1つにある場合は、その位置を報告する。制御装置は、ステッピングモータの電源を切ることによってエネルギーを節約し、グリッパは機械的に把持力を維持する。制御装置は、複数のモータコイルを短絡することによって、ひいては逆EMFブレーキを生じさせることによって、更なる制動をもたらすことができる。
【0007】
本開示の第2の態様によると、ステッピングモータ駆動システムは、機械的グランドに結合されるステッピングモータと、このステッピングモータによって駆動されるシャフトと、を備える。ロードがこのロードを移動させるためのシャフトに結合されている。コンプライアンス装置により、ステッピングモータはロードに力を加えることができる。モータに電気的に結合された制御装置は、モータの転流をカウントすることによって、さまざまな位置を学習して保存できる。制御装置は、ストップに遭遇したときを感知し、ステッピングモータへの電流を変化させる。ステッピングモータは、複数の位置への移動時、低トルクを有し、高速で移動する。ストップが検出されると、ステッピングモータは、高トルクおよび低速に変化する。その後、制御装置は、ステッピングモータを更に所定のステップ数だけ動かしてコンプライアンス部材を撓ませることによって、部品に対して所望の力を加える。コンプライアンス部材のこの撓みは、その弾性係数に応じて、部品に対する力を発生させる。制御装置は、グリッパの位置が以前に教示された複数の位置のうちの1つにある場合は、その位置を報告できる。制御装置は、ステッピングモータの電源を切ることによってエネルギーを節約し、アクチュエータは機械的に力を維持する。制御装置は、複数のモータコイルを短絡することによって、ひいては逆EMFブレーキを生じさせることによって、更なる制動をもたらすことができる。
【0008】
一特徴において、ステッピングモータ制御システムは、物体に係合するためにアクチュエータを作動させるように構成されたステッピングモータと、電力制御モジュールであって、コンプライアンス機構の圧縮が起きる前の第1期間中、第1の所定トルクおよび第1の所定速度に基づき、電気パルスをステッピングモータの複数のステータコイルに所定の順番で印加し、アクチュエータが物体に接触すると、コンプライアンス機構の圧縮が起こり、コンプライアンス機構の圧縮が起きた後の第2期間中、第2の所定トルクおよび第2の所定速度に基づき、所定のエキストラパルス数をステッピングモータの複数のステータコイルに所定の順番で印加する、ように構成された電力制御モジュールと、を含む。
【0009】
更なる複数の特徴において、ステッピングモータは、リニアステッピングモータおよびロータリステッピングモータのどちらかである。
【0010】
更なる複数の特徴において、アクチュエータはグリッパである。
【0011】
更なる複数の特徴において、電力制御モジュールは、第2の所定トルクおよび第2の所定速度に基づき、所定のエキストラパルス数をステッピングモータの複数のステータコイルに所定の順番で印加するように構成される。
【0012】
更なる複数の特徴において、電力制御モジュールは、第2の所定トルクより小さい、または大きい、第3の所定トルクに基づき、所定のエキストラパルス数をステッピングモータの複数のステータコイルに所定の順番で印加するように構成される。
【0013】
更なる複数の特徴において、電力制御モジュールは、第2の所定速度より遅い、または速い、第3の所定速度に基づき、所定のエキストラパルス数をステッピングモータの複数のステータコイルに所定の順番で印加するように構成される。
【0014】
更なる複数の特徴において、第2の所定トルクは、第1の所定トルクより大きい。
【0015】
更なる複数の特徴において、第1の所定速度は、第2の所定速度より速い。
【0016】
更なる複数の特徴において、接触モジュールは、ステッピングモータの1つ以上のステータコイルの逆起電力(逆EMF)電圧に基づき、コンプライアンス機構の圧縮が起きているかどうかを通知するように構成される。
【0017】
更なる複数の特徴において、接触モジュールは、逆EMF電圧が所定どおりに変化したとき、コンプライアンス機構の圧縮が起きていることを通知するように構成される。
【0018】
更なる複数の特徴において、接触モジュールは、逆EMF電圧が所定の逆EMF値より大きいとき、コンプライアンス機構の圧縮が起きていることを通知するように構成される。
【0019】
更なる複数の特徴において、接触モジュールは、逆EMF電圧が所定の逆EMF値より小さいとき、コンプライアンス機構の圧縮が起きていないことを通知するように構成される。
【0020】
更なる複数の特徴において、接触モジュールは、逆EMF電圧の変化レートが所定の変化レートより遅い、または速い、ときに、コンプライアンス機構の圧縮が起きていないことを通知するように構成される。
【0021】
更なる複数の特徴において、電力制御モジュールは、所定のエキストラパルス数が印加されるまで、第2の所定トルクおよび第2の所定速度に基づき、電気パルスをステッピングモータの複数のステータコイルに所定の順番で印加するように構成される。
【0022】
更なる複数の特徴において、第1の所定トルクは、電気パルスの第1の所定電流に対応し、第2の所定トルクは、電気パルスの第2の所定電流に対応し、第2の所定電流は第1の所定電流より大きい。
【0023】
更なる複数の特徴において、第1の所定速度は、電気パルスをステッピングモータに印加する第1の所定レートに対応し、第2の所定速度は、電気パルスをステッピングモータに印加する第2の所定レートに対応し、第1の所定レートは第2の所定レートより速い。
【0024】
更なる複数の特徴において、電力制御モジュールは、所定のエキストラパルス数がステッピングモータの複数のステータコイルに印加されたときに、ステッピングモータを電源から切り離すように構成される。
【0025】
更なる複数の特徴において、トレーニングモジュールは、アクチュエータの作動中に複数のステータコイルに印加される所定のエキストラパルス数を決定し、この所定のエキストラパルス数をメモリに記憶するように構成される。
【0026】
更なる複数の特徴において、トレーニングモジュールは、(a)第1期間中にステッピングモータに印加された第1のパルス数と、(b)(i)第2期間の開始時と、(ii)1つ以上のハードストップへのアクチュエータの接触時と、の間にステッピングモータに印加された第2のパルス数と、の間の差に基づき、印加する所定のエキストラパルス数を決定するように構成される。
【0027】
一特徴において、ステッピングモータ制御方法は、コンプライアンス機構の圧縮が起きる前の第1期間中、第1の所定トルクおよび第1の所定速度に基づき、電気パルスをステッピングモータの複数のステータコイルに所定の順番で印加するステップであって、ステッピングモータは、物体に係合するためにアクチュエータを作動させるように構成されており、アクチュエータが物体に接触すると、コンプライアンス機構の圧縮が起きる、ステップと、コンプライアンス機構の圧縮が起きた後の第2期間中、第2の所定トルクおよび第2の所定速度に基づき、所定のエキストラパルス数をステッピングモータの複数のステータコイルに所定の順番で印加するステップと、を含む。
【0028】
詳細な説明、特許請求の範囲、および図面から、本開示の更なる適用分野が明らかになるであろう。詳細な説明および具体例は、説明のみを意図しており、本開示の範囲を限定することを意図していない。
【0029】
本開示は、詳細な説明および添付の図面からより完全に理解されるであろう。
【0030】
図面においては、同様のおよび/または同一の要素を識別するために、参照符号が再使用され得る。
【図面の簡単な説明】
【0031】
図1】開位置にあるグリッパの概略図である。
図2】フィンガが部品に向かって動いている図1の概略図である。
図3】部品が保持位置にあるグリッパの概略図である。
図4】ロータリステッピングモータ駆動システムの概略図である。
図5】代替コンプライアンスを有する図4に似た概略図である。
図6】代替コンプライアンスを有する図4に似た概略図である。
図7】代替コンプライアンスを有する図4に似た概略図である。
図8】回転スクリューを有するリニアステッピングモータ駆動システムの概略図である。
図9】代替コンプライアンスを有する図8に似た概略図である。
図10】代替コンプライアンスを有する図8に似た概略図である。
図11】代替コンプライアンスを有する図8に似た概略図である。
図12】拘束スクリューおよびナットを有するリニアステッピングモータ駆動システムの概略図である。
図13】代替コンプライアンスを有する図12に似た概略図である。
図14】代替コンプライアンスを有する図12に似た概略図である。
図15】代替コンプライアンスを有する図12に似た概略図である。
図16】回転する内部ナットを有するリニアステッピングモータ駆動システムの概略図である。
図17】代替コンプライアンスを有する図16に似た概略図である。
図18】代替コンプライアンスを有する図16に似た概略図である。
図19】代替コンプライアンスを有する図16に似た概略図である。
図20】直接リニアステッピングモータ駆動システムの概略図である。
図21】代替コンプライアンスを有する図20に似た概略図である。
図22】代替コンプライアンスを有する図20に似た概略図である。
図23】代替コンプライアンスを有する図20に似た概略図である。
図24】ステッピングモータ制御システムの一例の機能ブロック図である。
図25】ステッピングモータ用の制御モジュールの一具現例の機能ブロック図である。
図26】ステッピングモータの制御およびアクチュエータの作動の一方法例を示すフローチャートである。
図27】継時的なトルクおよび速度のグラフである。
図28】第2モードでの動作中にステッピングモータ1004に印加される所定のエキストラパルス数の決定および設定方法の一例を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0032】
各図を参照すると、グリッパが図示され、参照符号10で示されている。グリッパは、ステッピングモータ14を収容するハウジング本体12を含む。コンプライアンス装置16が本体12とステッピングモータ14との間に位置付けられている。部品22を解放および把持するために第1の位置および第2の位置の間で動くように、グリッパ20がステッピングモータ14に結合されている。
【0033】
本体12は、ステッピングモータ14を収容する空洞24を含む。この空洞を画成する壁からフランジまたは棚26が延在し、穴28をもたらす。コンプライアンス装置16が本体12とステッピングモータ14との間に位置付けられているので、モータ14は軸線方向に移動してコンプライアンス装置に力を溜めることができる。コンプライアンス装置16は、第1パッド30および第2パッド32をそれぞれ複数含む。パッド30、32は、棚26の相対する側に位置付けられている。また、締結具がパッド30、32を本体の棚26およびステッピングモータ14に対して所定位置に固定する。ステッピングモータ14が移動すると、弾性パッド30、32が圧縮され、再現可能なスプリング定数をもたらし、更なる圧縮に伴い増大する荷重を加える。コンプライアンス装置16は、弾性パッド、スプリング、またはこれらに類するものでもよい。
【0034】
弾力的なコンプライアンス装置16は衝撃荷重を和らげて、出力を発生、調整、および安定化する。コンプライアンス装置16は、荷重を増大するために、力を徐々に増大させることができる。ステッピングモータ14への載荷および除荷のために、棚の所望の側で荷重が増大および低減する。
【0035】
グリッパ20は、ステッピングモータ14に回転可能に結合されたリードスクリューまたはシャフト40を含む。リードスクリュー40は、ステッピングモータ14への電力が遮断された、または打ち切られた、ときに、グリッパ20の係止位置を強める微細なねじ山を有し得る。
【0036】
くさび42がリードスクリュー40に結合されている。以下に説明するように、ステッピングモータ14とグリッパ20とを制御するために、ステッピングモータ14が第1の方向および逆の第2の方向に回転するに伴い、くさび42は、本体の棚状部44に向けて、および本体の棚状部44から離れる方向に、駆動される。くさび42は、リードスクリュー40に固定される、ねじ孔付きの固定部46を有する。矢印状の部分48は、グリッパ20の動きを強める。
【0037】
複数のジョー50が本体12内のチャネル52の内部に固定されている。これらのジョー50は、溝54を含む。溝54は、くさびの矢印部分48の先端56を収容し、溝44に沿って先端56を摺動させる。くさび42が溝54に沿って摺動するに伴い、これらのジョー50は互いに向かって、および互いから離れる方向に、動かされる。これは、グリッパを開位置と把持位置との間で動かす。
【0038】
ジョー50は、フィンガ60に固定されている。図示のように、フィンガ60は、全体としてL字形状を有する。ただし、フィンガは、被加工物を保持するために必要な如何なる形状でもよい。フィンガの一方の部分62はジョー50に固定され、もう一方の部分64は、部品22を把持するために、ジョーから離れる方向に延びている。したがって、ステッピングモータ14が第1の方向および逆の第2の方向に回転されるに伴い、フィンガ60は部品22を挟持および解放する。
【0039】
制御装置70(以下に詳述する制御モジュール)がステッピングモータ14に電気的に結合されている。
【0040】
コンプライアンス装置16は、ステッピングモータ14とグリッパ20との間の非同期動作を可能にする。ステッピングモータ14の動作中、制御装置70は、モータがコンプライアンス装置の抵抗力によって引き起こされたそのストールトルクに近付くと、これを検出する。制御装置は、ストールトルクに近付いていることを検出すると、コンプライアンスゾーンへのフィンガの更なる移動を継続させるために、モータのパラメータを変更する。本出願における制御装置には、ホーム位置とユーザによって教示された1つ以上のプリセット位置とが教示されている。フィンガ60が部品22に接触すると、ステッピングモータは低トルクモードになり、コンプライアンス装置の抵抗力に打ち勝つことができないので、制御装置70は、ステッピングモータ14のストールが近付いていることを検出する。制御装置70は、動作パラメータを直ちに再構成して、高トルク、低速モードに移行する。ステッピングモータ14は、高トルクを低速で供給する。ステッピングモータ14は、モータからコンプライアンス装置16への力を増大させ続ける。コンプライアンス装置16は撓み、その撓みに比例する力を、ばねのように、発生させる。
【0041】
この撓み力はグリッパ20に伝達され、部品22に対する把持力を発生させる。制御装置70は、コンプライアンス装置を撓ませて一貫性のある再現可能な把持力を生じさせるためのステップ数を初期教示から知っている。これにより、設定点を特定の教示点として識別できる。ステッピングモータ14は、把持力を生じさせるために、所定のステップ数によってコンプライアンス装置16を撓ませる。この高電流、低速モードにおいて、モータがストールし得る前の所定のステップ数後、制御装置70は停止する。その後、ステッピングモータ14の電源を遮断でき、リードスクリューの微細ピッチの故に、グリッパ20は把持力を維持する。これにより、電力を必要とせずに、十分な把持力で部品22を任意の時間にわたって保持できる。これは、把持時に給電が不要であることによって、省エネにおいて、停電状況において、ならびにグリッパ温度の低下において、利点である。ステッピングモータ制御装置70は、電力が除去されているときにステッピングモータ14の複数のコイルを短絡することによって、逆EMF制動を起こすことができる。これは、リードスクリューのフェールセーフを向上させる追加の制動効果を生じさせ、電源が遮断されているときのフェールセーフな把持状態を更に保証する。
【0042】
グリッパを開くとき、リードスクリューを同様の高電流、高トルク、低速モードで動かして緩める。モータは、グリッパへの載荷時に使用したステップ数と同じステップ数移動するまで、ただし逆方向に、移動する。この時点で、コンプライアンス装置の除荷に伴い、把持力が低下する。その後、グリッパは、そのホーム位置に達するまで、低トルクおよび高速で開き続ける。
【0043】
図4図23を参照すると、更なる複数の実施形態が示されている。上記のように、制御システムは、ステッピングモータを制御するように考案されている。力を加えるために、ステッピングモータの機械的出力を未知の停止位置に到達させることができる。通常、事前に規定されていない位置に力を加えるとき、ステッピングモータはストールする。制御システムは、動作のために、機械的システム内の機械的コンプライアンスに依存する。コンプライアンスは、モータの取り付け、モータ出力、ロード自体、またはこれらの何れかの組み合わせ、において可能である。コンプライアンスを双方向にできる。ただし、一部の用途は一方向コンプライアンスのみを必要とする。
【0044】
以下は、さまざまなステッピングモータおよびコンプライアンス装置の概略図の説明である。
【0045】
図4図7は、回転シャフトを有するロータリステッピングモータを示す。回転モータ110は、シャフト112を含む。モータ110は、ブラケット114を介して、グランドに取り付けられている。ボルト124を取り囲む複数の径方向コンプライアンス116がモータ110をブラケット114に固定する。ボルト124を取り囲む、軸受またはこれに類するものなど、径方向コンプライアンス116は、モータを径方向に適合させる。また、スプリングなどのシャフト112は、径方向コンプライアンス結合部118を含む。径方向コンプライアンス結合部118は、回転ディスク120などのロードを結合部118のもう一方の側に有する。径方向コンプライアンス結合部118は、ロード120に取り付けられて、その回転を可能にする。したがって、この設計のロータリステッピングモータ110は、二重のコンプライアンスを含む。
【0046】
図5は、図4と同様の実施形態である。同じ参照符号は、同様に識別される。図5は、モータ110とブラケット114とを含む。ブラケット114は、複数のボルト124を取り囲む径方向コンプライアンス116を介して、モータに固定されている。回転シャフト112は、剛体結合部122を含む。また、ロード120は、剛体結合部122の一端に結合されている。したがって、モータハウジングは、ブラケット114と、モータの径方向への適合を可能にする径方向コンプライアンス部材116と、を介して、グランドに取り付けられている。径方向剛体結合部122は、回転シャフト112をロード120に取り付けている。したがって、コンプライアンスは、グランドとモータ110との間に存在する。
【0047】
図6を参照すると、同様の設計が示されている。ここで、モータ110は、締結具148を介して、ブラケット114に固定されている。シャフト112は、ロード120との径方向コンプライアンス結合部118を含む。したがって、径方向コンプライアンス結合部118は、ロード120に結合されている。したがって、コンプライアンスは、モータ110とロード120との間に存在する。
【0048】
図7を参照すると、径方向コンプライアンス126がロード120上に示されている。ロード120は、径方向コンプライアンス126付きのアーム128を含む。ロードをグランドにブラケット114を介して接続するために、部材115がブラケット114から突出している。加えて、想像線で示されているように、径方向コンプライアンス126を部材115に載せ、アーム128をそれに接触させることもできる。
【0049】
図8図11を参照すると、ブラケット114に固定された回転リードスクリュー型ステッピングモータ130が示されている。ステッピングモータ130は、ナット134に結合された、軸線方向に動く拘束回転リードスクリュー132を含む。ナット134は、非回転ロードに拘束された非回転ナットである。ステッピングモータ130は、軸方向コンプライアンス装置136ならびにロード138を更に含む。モータ130は、ブラケット114を介してグランドに固定され、軸方向コンプライアンス装置140によって保持されている。軸方向コンプライアンス装置140は、スプリング、または弾性ブッシュ、またはこれらに類するもの、を含み得る。軸方向コンプライアンス装置136は、フランジ136の両側に位置付けられたスプリング、または弾性ブッシュ、またはこれらに類するもの、を含むことができ、締結具を介してロード138に固定され得る。また、ロード138は、軸方向コンプライアンス装置142を含む。軸方向コンプライアンス装置142は、ブラケットの突出部材144を介して、ロード138をグランドに接続する。あるいは、想像線で示されているように、突出部材144に軸方向コンプライアンス装置142を設け、ロードをそれに接触させることもできる。したがって、この設計は、三重のコンプライアンスを有する回転スクリューを備えたリニアステッピングモータを示している。
【0050】
図9を参照すると、軸方向コンプライアンス装置140とブラケット114とを介してグランドに結合されたモータ130が示されている。ここで、ナット134は、軸方向コンプライアンス装置なしに、ロード138に固着されている。したがって、回転スクリュー132を有するリニアステッピングモータ130は、モータとグランドとの間にコンプライアンスを有する。また、リードナット134は、ロードに取り付けられ、ロードを軸線方向に移動させる。上記のように、ロード138は軸方向コンプライアンス装置142を含み、ブラケットは突出部材144を含む。ロードは、回転防止をもたらす。
【0051】
図10は、締結具148によってブラケット114に固定されたモータ130を示す。また、ナット134は、ロード138に固定された軸方向コンプライアンス136を含む。したがって、回転スクリュー132を有するリニアステッピングモータ130は、モータとロード138との間にロードコンプライアンスを有する。また、ロード138は、上記のように、突出部材144に当接するために、軸方向コンプライアンス装置142を含む。したがって、ナットとロードとの間に、またはロードとグランドとの間に、軸方向コンプライアンスが存在し、ロードは回転防止をもたらす。
【0052】
図11は、締結具148によってブラケット114に固定されたモータ130と、ロード138に固着されたナット134に固定されたスクリュー132とを示す。また、ロード138は、上記のように、突出部材144に当接するために、軸方向コンプライアンス装置142を含む。
【0053】
図12図15は、拘束スクリューおよびナットを有するステッピングモータを示す。リードスクリューは、モータのロータに取り付けられており、ロータと共に回転する。リードナットは拘束されているので、動かない。リードスクリューの端部は、中空のスプラインシャフト152の内部に取り付けられている。スプラインシャフト152は、モータの内側にスクリューを保持し、その回転を防止する。ここで、モータ150は、軸方向コンプライアンス140を介してブラケット114に取り付けられている。スプラインシャフト152は、リードスクリューナット154から延在している。軸方向コンプライアンス装置136がロード138に結合されている。ロードアダプタは、スプラインシャフト152を受け止める。また、ロード138は、軸方向コンプライアンス装置142を含む。軸方向コンプライアンス装置142は、ロード138をグランドに、ブラケットの突出部材144を介して、接続する。あるいは、想像線で示されているように軸方向コンプライアンス装置142を突出部材144に配置し、ロードをそれに接触させることもできる。したがって、拘束スクリューおよびナットを有するリニアステッピングモータは、三重のコンプライアンスを含む。すなわち、モータとグランドとの間、モータとロードとの間、更にはロードとグランドとの間、にコンプライアンスが存在する。
【0054】
図13は、軸方向コンプライアンス部材140によってブラケット114を介してグランドに固定されたモータ150を示す。スプラインシャフト152は、ロード138に接続されている。したがって、グランドとモータとの間に、またはロードとグランドとの間に、コンプライアンスが存在する。また、ロード138は、上記のように、突出部材144に当接するために、軸方向コンプライアンス装置142を含む。
【0055】
図14は、締結具148とブラケット114とを介してグランドに固定されたモータ150を示す。内部リードスクリューは、ナットと軸方向コンプライアンス136とを介してロード138に固定されているスプラインシャフト152を軸線方向に移動させる。また、ロード138は、上記のように、突出部材144に当接するために、軸方向コンプライアンス装置142を含む。したがって、拘束スクリューおよびナットを有するリニアステッピングモータは、モータとロードとの間に、およびロードとグランドとの間に、コンプライアンスを有する。
【0056】
図15は、締結具148によってブラケット114に固定されたモータ150と、ロード138に固着されたナット134に固定されたシャフト152とを示す。また、ロード138は、上記のように、突出部材144に当接するために、軸方向コンプライアンス装置142を含む。
【0057】
図16図19を参照すると、回転する内部ナットを有するリニアステッピングモータが示されている。モータ160は、軸方向コンプライアンス装置140を介して、ブラケット114に固定されている。同様に、リードスクリュー162は、ロードアダプタ164に固定されており、ロードアダプタ164と軸方向コンプライアンス部材136とを介して、ロード138に固定されている。また、ロード138は、上記のように、突出部材144に当接するために、軸方向コンプライアンス装置142を含む。したがって、回転する内部ナットを有するリニアステッピングモータ160は、三重のコンプライアンス機能を含む。すなわち、グランドとモータとの間、モータとロードとの間、ならびにロードとグランドとの間、にコンプライアンスが存在する。加えて、ロードは、回転防止をもたらす。図17は、ブラケット114と軸方向コンプライアンス部材140とを介して、グランドに結合されたモータ160を示す。リードスクリュー162は、ロード138に直接固定されている。また、ロード138は、上記のように、突出部材144に当接するために、軸方向コンプライアンス装置142を含む。加えて、ロードは、回転防止をもたらす。
【0058】
図18は、リードスクリュー162がロードアダプタ164に結合されたモータ160を示す。リードスクリュー162は、更に軸方向コンプライアンス部材136を介して、ロード138に固定されている。また、ロード138は、上記のように、突出部材144に当接するために、軸方向コンプライアンス装置142を含む。したがって、軸方向に動く非拘束リードスクリュー112を有するステッピングモータ160は、モータとロードとの間およびロードとグランドとの間に軸方向コンプライアンスを含む。加えて、ロードは、回転防止をもたらす。
【0059】
図19は、締結具148によってブラケット114に固定されたモータ160を示す。スクリュー162は、ロード138に固定されている。また、ロード138は、上記のように、突出部材144に当接するために、軸方向コンプライアンス装置142を含む。加えて、ロードは、回転防止をもたらす。
【0060】
図20図23を参照すると、リニアステッピングモータが示されている。図20のリニアステッピングモータは、三重のコンプライアンスを含む。リニアステッピングモータ170は、軸方向コンプライアンス部材140を介して、ブラケット114に固定されている。軸方向に動くシャフト172は、ロードアダプタ174に固定されている。ロードアダプタ174は、軸方向コンプライアンス部材136を介して、ロード138に固定されている。したがって、グランドとモータとの間、ならびにモータとロードとの間、に三重のコンプライアンスが設けられている。また、ロード138は、上記のように、突出部材144に当接するために、軸方向コンプライアンス装置142を含む。
【0061】
図21を参照すると、モータ170は、軸方向コンプライアンス部材140とブラケット114とを介して、グランドに固定されている。軸方向シャフト172は、ロード138に直接固定されている。また、ロード138は、上記のように、突出部材144に当接するために、軸方向コンプライアンス装置142を含む。
【0062】
図22において、モータ170は、締結具148を介して、ブラケット114に固定されている。シャフト172は、軸方向コンプライアンス部材136を介して、ロードアダプタ174に固定されている。また、ロード138は、上記のように、突出部材144に当接するために、軸方向コンプライアンス装置142を含む。したがって、リニアステッピングモータ170は、シャフトの軸方向移動を有する。このモータは、モータとロードとの間、およびロードとグランドとの間、の軸方向コンプライアンスを介して、グランドに取り付けられている。
【0063】
図23は、締結具148によってブラケット114に固定されたモータ170を示す。シャフト172は、ロード138に固定されている。また、ロード138は、上記のように、突出部材144に当接するために、軸方向コンプライアンス装置142を含む。
【0064】
本願明細書に説明されているように、モータは、制御を介して作動される。加えて、コンプライアンス部材は、作動されると、上で説明したように動く。
【0065】
一般に、ロードは、打ち勝つには力を要とする動きに対する何れかの抵抗である。ただし、一部の用途において、ロードは、通常、物体を固定する動きの最後にのみ加えられる。
【0066】
上記のステッピングモータ駆動システムによって駆動可能な一部の製品例は、多くの種類が存在するグリッパ、多くの種類が存在するパワークランプ、軸受によって支持されているキャリッジにペイロードが取り付けられているスライド機構、およびフィードエスケープメント、等々である。別の例は、鉛直昇降用途における重力によるロードの移動である。ここで、図は、90°回転される。
【0067】
回転作動ステッピングシステムは、動作のためにトルク入力を必要とする何れの装置に対しても効果的に使用できる。コンプライアンスを有する上記ステッピングモータは、ロードを保持位置に移動させる大半の回転電気モータ用途をカバーする。回転モータによって駆動可能な製品の一部の例は、ホイスト、ゲート、クランプ、弁、およびねじ回し、等々である。
【0068】
図24は、ステッピングモータ制御システムの一例の機能ブロック図である。前述のように、ステッピングモータ1004は、アクチュエータ1008を作動させるために使用される。アクチュエータ1008は、上記のようなグリッパでも、ステッピングモータ1004によって作動される別の種類のアクチュエータでもよい。ステッピングモータ1004は、リニアステッピングモータでも、前述のようなロータリステッピングモータでもよい。物体を把持する例が提供されているが、本出願は、ステッピングモータ1004を使用するアクチュエータ1008によって実施可能な他の機能にも適用可能である。
【0069】
ステッピングモータ1004は、ステッピングモータ1004の出力シャフトに結合されたロータの回転を駆動する2つのステータコイルを含み得る。ステッピングモータ1004の出力シャフトの回転は、アクチュエータ1008を移動/作動させる。ステッピングモータ1004のコイルの各転流(パルス)は、出力シャフトの回転を所定の回転角度だけ駆動する。この角度は、ステップとも称され得る。例えば、多くの一般的なステッピングモータにおいて、200回の転流(200ステップの移動)は、ステッピングモータの出力シャフトを完全に1回転させる。転流間の補間によって、位置分解能を更に高めることも可能である。これは、マイクロステップとも称され得る。
【0070】
制御モジュール1012は、アクチュエータ1008を作動させるために、ステッピングモータ1004への電力をパルス単位で切り換える。制御モジュール1012は、パルスをコイル間に交互に印加して、パルスの極性を変化させ得る(例えば、コイルA+、コイルB+、コイルA-、コイルB-、その後A+に戻る、等々)。2つのコイルの例が提供されているが、ステッピングモータ1014は、これより多くのステータコイルを含み得る。制御モジュール1012は、これらのコイルに所定の順番で繰り返しパルスを印加し得る。例えば、ステッピングモータ1004が3つのコイルを含んでいる場合、制御モジュール1012は、1つのパルスを第1のコイルに印加し、次に1つのパルスを第2のコイルに印加し、次に1つのパルスを第3のコイルに印加し、次に1つのパルスを第1のコイルに印加し、次に1つのパルスを第2のコイルに印加する、等々であり得る。このようにして、複数のステータコイルが発生させる磁界は回転し、第1の方向への出力シャフトの回転を引き起こす。制御モジュール1012は、第1の方向とは逆の第2の方向への出力シャフトの回転を駆動するために、複数のパルスを所定の順番の逆に印加し得る。
【0071】
制御モジュール1012は、電源1016からの電力(複数のパルス)をステッピングモータ1004に印加する。これらのパルスは、所定の電圧(例えば、12ボルト)の直流(DC)パルスでもよい。電源1016は、DC電源(例えば、電池)または交流(AC)電源でもよい。さまざまな具現例において、制御モジュール1012は、DCパルスをステッピングモータ1004に印加するために、AC電力をDC電力に変換する電圧変換器を含み得る、あるいは、ACパルスをステッピングモータ1004に印加するために、DC電力をAC電力に変換する電圧変換器を含み得る。電圧変換器は、更に、パルスを生成するために、受電した電圧の昇圧(増加)および/または降圧(低減)も行い得る。
【0072】
制御モジュール1012は、センサ1020からの信号に基づき、ステッピングモータ1004へのパルスの印加(およびアクチュエータ1008の作動)を制御する。センサ1020は、ステータコイル当たり1つのセンサなど、逆起電力(逆EMF)センサ(例えば、電流シャント)を含む。制御モジュール1012は、モータコイルの逆起電力(逆EMF)電圧の監視によって、ステータの磁界とロータの位置との間の遅角を検出し得る。この逆EMFは、電流シャントまたは別の適した種類の逆EMFセンサを介して、感知され得る。遅角が増大すると、モータに対する負荷が増加したと推測され得るので、ひいてはモータのストールが近付いていることを検出できる。
【0073】
図25は、制御モジュール1012の一具現例の機能ブロック図である。モードモジュール1104は、アクチュエータ1008の作動のための動作モードを設定する。電力制御モジュール1108は、この動作モードに基づき、複数のパルスをステッピングモータ1004に印加する。
【0074】
さまざまな具現例において、アクチュエータ1008がホーム位置(向き)にあるとき、モードモジュール1104は、モードを第1モード(例えば、低トルクおよび高速)に設定し得る。モードが第1モードであるとき、電力制御モジュール1108は、第1の所定速度および第1の所定トルクで物体に向かっているアクチュエータの移動に基づき、パルスをステッピングモータ1004に印加する。第1の所定速度は、アクチュエータが物体に接触した後の第2モードでの動作中に使用される第2の所定速度より速い。第1の所定トルクは、第2モードで使用される第2の所定トルクより小さい。アクチュエータを第1の所定速度および第1の所定トルクで動かすために、電力制御モジュール1108は、第1の所定電流のパルスを第1の所定レート(例えばXミリ秒毎に1つのパルス、Xは0より大きい値)で複数のコイルに印加し得る。第1の所定電流は、第2モードで使用される第2の所定電流より小さい。第1の所定レートは、第2モードで使用される第2の所定レート(例えばYミリ秒毎に1つのパルス、Yは0より大きい値)より速い。上記のXおよびYの例を使用すると、XはYより小さい。
【0075】
アクチュエータ1008が操作(例えば、把持)対象の物体に接触すると、モードモジュール1104はモードを第1モードから第2モードに移行させる。接触モジュール1112は、アクチュエータ1008が物体に接触しているかどうかを判定して通知するために、パルスが現在印加されていないコイルの逆EMFなどを測定し得る。例えば、現在受電していないコイル(不活性コイル)の逆EMFが所定の閾値より大きいか小さいとき、あるいは所定の変化速度(「閾値」)より大きいか小さいとき、接触モジュール1112はアクチュエータ1008が物体に接触していると判定して通知し得る。所定の逆EMF閾値は、較正値である。接触モジュール1112は、逆EMFをセンサ1020から受信し得る、あるいは、モータのコイルを、電流シャントを介して、接続することによって、逆EMFを測定し得る。
【0076】
モードが第2モードであるとき、電力制御モジュール1108は、物体の係合に基づき、第2の所定速度および第2の所定トルクを使用して、所定のエキストラパルス数をステッピングモータ1004に印加する。上記のように、第1の所定速度は第2の所定速度より大きく、第1の所定トルクは第2の所定トルクより小さい。アクチュエータを第2の所定速度および第2の所定トルクで動かすために、電力制御モジュール1108は、第2の所定電流のパルスを第2の所定レートで複数のコイルに印加し得る。上記のように、第1の所定電流は第2の所定電流より小さく、第1の所定レートは第2の所定レートより速い。
【0077】
電力制御モジュール1108は、電力制御モジュール1108の出力に基づき、パルスを検出する。電力制御モジュール1108の出力(例えば、電圧、電流)が所定量だけ増加すると、電力制御モジュール1108は、パルスが印加されたと判定し得る。電力制御モジュール1108の出力は、1つのセンサ(例えば、センサ1020のうちの1つ)によって測定され得る。
【0078】
電力制御モジュール1108は、物体の堅固な係合(例えば、把持/保持)に基づき、所定のエキストラパルス数(オーバートラベルとも称され得る#エキストラパルス)をステッピングモータ1004に印加する。電力制御モジュール1108は、所定のエキストラパルス数をメモリ1120から取り出し得る。所定のエキストラパルス数は、較正または訓練された値であり、1より大きい。トレーニングモジュール1124は、以下で更に述べるように(例えば、図28を参照)、所定のエキストラパルス数を決定して記憶し得る。
【0079】
所定のエキストラパルス数がステッピングモータ1004に印加された後、電力制御モジュール1108は、ステッピングモータ1004を電源から切り離し得る。ステッピングモータ1004に電力が印加されていないにも拘わらず、ステッピングモータ1004および/または他の1つ以上の機械的フェールセーフ装置は、物体からのアクチュエータ1008の係合解除(例えば、その把持を失うこと)を防止する。これにより、電力消費が減る。他の種類の電気モータは、物体からのアクチュエータ1008の係合解除を防止するために、電力の印加を必要とし得る。
【0080】
さまざまな具現例において、物体は異なる位置に移動され得る、および/または1つ以上の方法で処理され得る。この移動および/または処理後、電力制御モジュール1108は、出力シャフトを逆方向に回転させるために、およびアクチュエータ1008をホーム位置に戻すために、複数のパルスをステッピングモータ1004に印加し得る。
【0081】
図26は、ステッピングモータ1004とアクチュエータ1008の作動とを制御する一方法例のフローチャートである。アクチュエータ1008およびステッピングモータ1004が、全開または全閉など、ホーム/初期位置にあるときに、制御が開始される。1204において、制御モジュール1012は、物体に係合すべき(例えば、掴むべき)かどうかを判定する。例えば、制御モジュール1012は、物体に係合するためのユーザ入力の受信に応じて、物体に係合し得る。1204が真であれば、制御は1208に進む。1204が偽であれば、制御は1204に留まる。
【0082】
1208において、モードモジュール1104は、モードを第1モードに設定する。1212において、電力制御モジュール1108は、第1モードに従って、複数のパルスをステッピングモータ1004の複数のコイルに所定の順番で印加する。これは、第1の所定トルク(低トルク)および第1の所定速度(高速)に基づく、ステッピングモータ1004へのパルスの印加を含む。
【0083】
1216において、接触モジュール1112は、アクチュエータ1008が物体に接触しているかどうか、および上記のように、コンプライアンス機構の圧縮が開始されたかどうか、を判定する。例えば、電力が現在印加されていないコイルの逆EMFが増加する、および/または所定の逆EMF閾値より大きい、とき、あるいは逆EMFが低下する、および/または所定の逆EMF閾値より小さい、とき、接触モジュール1112は、コンプライアンス機構の圧縮が開始されたと判定し得る。1216が偽であれば、制御は1208に戻る。1216が真であれば、制御は1220に進む。
【0084】
1220において、電力制御モジュール1108は、ステッピングモータ1004へのパルスの印加を所定時間にわたって停止し得る。1224において、モードモジュール1104は、モードを第2モードに設定する。
【0085】
1228において、電力制御モジュール1108は、ステッピングモータに印加する所定のエキストラパルス数を、メモリ1120からの取り出しなどによって、決定する。1232において、電力制御モジュール1108は、エキストラパルスカウンタをゼロに設定する。1236において、電力制御モジュール1108は、第2モードによる所定の特徴で、ステッピングモータ1004のコイルに所定の順番でパルスを印加する。エキストラパルスは、第2の所定トルクおよび第2の所定速度に基づいてもよい。
【0086】
1240において、電力制御モジュール1108は、所定のエキストラパルス数がステッピングモータ1004に印加されたかどうかを判定する。例えば、電力制御モジュール1108は、エキストラパルスカウンタが所定のエキストラパルス数に等しいかどうか判定し得る。1240が真であれば、制御は1244に進む。1240が偽であれば、制御は1236に戻り得る。1244において、アクチュエータ1008は物体に係合(例えば、把持)している。電力制御モジュール1108は、ステッピングモータ1004へのパルスの印加を停止し、ステッピングモータ1004を電源から電気的に切り離す。その後、機械的係止機能が物体の係合を保持し、追加の電力消費を防止する。
【0087】
図27は、経時的なトルクおよび速度のグラフである。図示のように、時刻T0と時刻T1との間、モードが第1モードに設定されているとき、第1の所定速度および第1の所定トルクに基づき、パルスがステッピングモータ1004に印加される。時刻T1と時刻T2との間、モードが第2モードに設定されているとき、第2の所定速度および第2の所定トルクに基づき、エキストラパルスがステッピングモータ1004に印加される。第2の所定トルクおよび第2の所定速度は、エキストラパルスのために使用され得る。
【0088】
図28は、第2モードでの動作中にステッピングモータ1004に印加される所定のエキストラパルス数を決定および設定する一方法例を示すフローチャートである。制御が1304で開始され、トレーニングモジュール1124は、ステッピングモータ1004に印加する所定のエキストラパルス数を訓練/学習/教示すべきかどうかを決定する。1304が真であれば、制御は1308に進む。1304が偽であれば、制御は1304に留まる。
【0089】
1308において、モードモジュール1104は、モードを第1モードに設定する。1312において、電力制御モジュール1108は、第1モードに基づき、パルスをステッピングモータ1004に印加する。1316において、接触モジュール1112は、アクチュエータ1008が物体に接触しているかどうか、および、上記のように、コンプライアンス機構の圧縮が開始されたかどうか、を判定する。例えば、電力が現在印加されていないコイルの逆EMFが増加する、および/または所定の逆EMF閾値より大きい、とき、あるいは逆EMFが低下する、および/または所定の逆EMF閾値より小さい、とき、接触モジュール1112は、コンプライアンス機構の圧縮が開始されたと判定し得る。1316が偽であれば、制御は1308に戻る。1316が真であれば、制御は1320に進む。
【0090】
1320において、トレーニングモジュール1124は、1308での開始以降にステッピングモータ1004に印加されたパルス数を第1の値(D1)として記憶する。1324において、モードモジュール1104は、モードを第3モードに設定する。モードが第3モードであるとき、電力制御モジュール1108は、アクチュエータの動きに基づき、第3の所定速度および第3の所定トルクで、パルスをステッピングモータ1004に印加する。第3の所定速度は、第2の所定速度以下でもよく、第1の所定速度より遅い。第3の所定トルクは、第1の所定トルクより大きく、且つ第2の所定トルクより小さくてもよい。アクチュエータを第3の所定速度および第3の所定トルクで動かすために、電力制御モジュール1108は、第3の所定電流のパルスを第3の所定レート(例えばZミリ秒毎に1パルス、Zは0より大きい値)で複数のコイルに印加し得る。第3の所定電流は、第2モードで使用される第2の所定電流より小さい。第3の所定レートは、第2モードで使用される第2の所定レート(例えばZミリ秒毎に1つのパルス、Zは0より大きい値)以上でもよい。
【0091】
1328において、電力制御モジュール1108は、第3モードでの動作に基づき、第1の所定パルス数をステッピングモータ1004に所定の順番で印加する。第1の所定パルス数は所定の較正値であり、ステッピングモータ1004が現在動くことができるパルス(ステップ)の数より大きい数にし得る。
【0092】
1332において、トレーニングモジュール1124は、ステッピングモータ1104が第3の所定トルクを達成したかどうかなどに基づき、モータがストールしたかどうかを判定し得る。1332が真であれば、制御は1336に進み得る。1332が偽であれば、制御は1324に戻り得る。1332において、機械的係止は前進を確保し、モータのストールに伴う逆駆動を防止する。この時点で、最大オーバートラベル点に達している。次に、特徴的なトルクがシステム全体(例えば、コンプライアンス装置、フィンガ、および被加工物、等々を含む)をどれだけ撓ませたかが測定される。
【0093】
1340において、モードモジュール1104は、モードを第2モードに設定する。1344において、電力制御モジュール1108は、アクチュエータを物体から離れる方向に動かすために、第2モードでの動作に基づき、第2の所定パルス数をステッピングモータ1004に印加する。第2の所定パルス数は所定の較正値であり、コンプライアンス装置の(例えば、通常の)コンプライアンス範囲にほぼ等しい数にし得る。
【0094】
1348において、モードモジュール1104は、モードを第1モードに設定する。1348において、電力制御モジュール1108は、アクチュエータを物体から離してホーム/初期位置の1つ以上のハードストップに向けて動かすために、第1モードでの動作に基づき、複数のパルスをステッピングモータ1004に印加する。1356において、トレーニングモジュール1124は、ハードストップとの接触が起きたかどうかを判定し得る。1356が真であれば、制御は1360に進む。1356が偽であれば、制御は1348に戻る。
【0095】
1360において、電力制御モジュール1108は、ステッピングモータ1104へのパルスの印加を停止し、ホーム/初期位置へのアクチュエータの作動が完了する。1348において、トレーニングモジュール1124は、1336以降にステッピングモータ1104に印加されたパルス数を第2の値(D2)として記憶する。1352において、トレーニングモジュール1124は、接触位置X1をホーム/初期位置からの第1のパルス数D1としてメモリ1120に記憶し得る。1356において、トレーニングモジュール1124は、D2-D1に基づく、またはD2-D1に等しい、など、第1の数および第2の数の間の差に基づき、前述のようにステッピングモータ1104に印加するエキストラパルスの数を決定し得る。トレーニングモジュール1124は、物体への界接に以降使用するときに呼び戻すエキストラパルス数をメモリ1120に記憶する。
【0096】
上記説明は、本質的に説明のために過ぎず、決して本開示、その用途、または使用を限定しようとするものではない。本開示の広範な教示は、さまざまな形態で具現化可能である。したがって、本開示は特定の例を複数含んでいるが、図面、明細書、および添付の特許請求の範囲を検討されると、他の変更が明らかになるので、本開示の真の範囲は特定の複数の例に限定されないものとする。一方法内の1つ以上のステップは、本開示の原則を変えずに、異なる順番で(または同時に)実行され得ることを理解されたい。更に、各実施形態は、特定の諸特徴を有するものとして上に記載されているが、本開示の何れかの実施形態に関して記載されている諸特徴のうちの何れか1つ以上は、その他の実施形態の何れかの諸特徴において具現化可能である、および/またはそれらとの組み合わせが、たとえその組み合わせが明記されていなくても、可能である。換言すると、記載の各実施形態は、相互に排他的ではなく、1つ以上の実施形態の相互置換も本開示の範囲内に留まる。
【0097】
要素間(例えば、モジュール、回路要素、半導体層、等々の間)の空間的および機能的な関係が、「接続され」、「係合され」、「結合され」、「隣接する」、「の隣に」、「の上に」、「の上方に」、「の下方に」、および「配設され」を含む、さまざまな用語を使用して記述されている。上記の開示に第1要素および第2要素間の関係が記述されているとき、「直接」と明記されていない場合、その関係は、第1要素および第2要素の間に他の介在要素が存在しない直接的な関係であり得るが、第1要素および第2要素の間に1つ以上の介在要素が(空間的または機能的に)存在する間接的な関係でもあり得る。本開示で使用されている、A、B、およびCのうちの少なくとも1つという表現は、非排他的論理ORを使用した論理和(A OR B OR C)を意味すると解釈されるものとし、「少なくとも1つのA、少なくとも1つのB、および少なくとも1つのC」を意味するとは解釈されないものとする。
【0098】
各図において、矢じりによって示されているような、矢印の方向は、説明の対象となる情報(データまたは命令など)の流れを通常示している。例えば、要素Aと要素Bとがさまざまな情報をやり取りするが、要素Aから要素Bに伝達される情報が説明に関連しているとき、その矢印は、要素Aから要素Bへの方向を指し得る。この一方向矢印は、他の情報が要素Bから要素Aに伝達されないことを示唆するものではない。更に、要素Aから要素Bに送られる情報について、要素Bは、その情報の要求、またはその情報の受信確認、を要素Aに送り得る。
【0099】
以下の定義を含む本出願において、用語「モジュール」および用語「制御装置」は、用語「回路」に置換され得る。用語「モジュール」は、システムオンチップ上などの、特定用途向け集積回路(ASIC)、デジタル、アナログ、またはアナログ/デジタル混合ディスクリート回路、デジタル、アナログ、またはアナログ/デジタル混合集積回路、組み合わせ論理回路、フィールドプログラマブルゲートアレイ(FPGA)、コードを実行するプロセッサ回路(共用、専用、またはグループ)、プロセッサ回路によって実行されるコードを記憶するメモリ回路(共用、専用、またはグループ)、記載の機能を提供する他の適したハードウェアコンポーネント、または、上記の一部または全ての組み合わせ、を指し得る、またはこれらの一部であり得る、またはこれらを含み得る。
【0100】
モジュールは、1つ以上のインタフェース回路を含み得る。いくつかの例において、インタフェース回路は、ローカルエリアネットワーク(LAN)、インターネット、広域ネットワーク(WAN)、またはこれらの組み合わせ、に接続された有線または無線インタフェースを含み得る。本開示の何れか所与のモジュールの機能は、インタフェース回路を介して接続されている複数のモジュールの間で分散され得る。例えば、複数のモジュールは、ロードバランシングを可能にし得る。更なる一例において、サーバモジュール(リモート、またはクラウドとしても公知)がクライアントモジュールの代わりに一部の機能を果たし得る。
【0101】
上で使用されているコードという用語は、ソフトウェア、ファームウェア、および/またはマイクロコードを含み得る、更には、プログラム、ルーチン、機能、クラス、データ構造、および/またはオブジェクトを指し得る。共用プロセッサ回路という用語は、複数のモジュールからのいくつかの、または全ての、コードを実行する単一のプロセッサ回路を包含する。グループプロセッサ回路という用語は、複数の追加プロセッサ回路と組み合わされて、1つ以上のモジュールからのいくつかの、または全ての、コードを実行する1つのプロセッサ回路を包含する。複数のプロセッサ回路への言及は、複数の個別ダイ上の複数のプロセッサ回路、単一ダイ上の複数のプロセッサ回路、単一プロセッサ回路の複数のコア、単一プロセッサ回路の複数のスレッド、またはこれらの組み合わせ、を包含する。共用メモリ回路という用語は、複数のモジュールからのいくつかの、または全ての、コードを記憶する単一のメモリ回路を包含する。グループメモリ回路という用語は、複数の追加メモリと組み合わされて、1つ以上のモジュールからのいくつかの、または全ての、コードを記憶する1つのメモリ回路を包含する。
【0102】
メモリ回路という用語は、コンピュータ可読媒体という用語のサブセットである。本開示で使用されているコンピュータ可読媒体という用語は、媒体(搬送波上など)を伝播する一時的な電気または電磁信号を包含しない。したがって、コンピュータ可読媒体という用語は、有形で非一時的であると見做され得る。非一時的な有形コンピュータ可読媒体の非限定例は、不揮発性メモリ回路(フラッシュメモリ回路、消去可能プログラマブル読み出し専用メモリ回路、またはマスク読み出し専用メモリ回路など)、揮発性メモリ回路(スタティックランダムアクセスメモリ回路またはダイナミックランダムアクセスメモリ回路など)、磁気記憶媒体(アナログまたはデジタル磁気テープ、あるいはハードディスクドライブなど)、および光記憶媒体(CD、DVD、またはブルーレイディスクなど)である。
【0103】
本願明細書に記載の装置および方法は、コンピュータプログラムにおいて具体化された1つ以上の特定の機能を実行するように汎用コンピュータを構成することによって製作された専用コンピュータによって部分的に、または完全に、具現化され得る。上記の機能ブロック、フローチャートコンポーネント、および他の要素は、熟練技術者またはプログラマのルーチンワークによってコンピュータプログラムに変換可能なソフトウェア仕様として役立つ。
【0104】
コンピュータプログラムは、少なくとも1つの非一時的な有形コンピュータ可読媒体に記憶されたプロセッサ実行可能命令を含む。コンピュータプログラムは、記憶されたデータを更に含み得る、または記憶されたデータに依存し得る。コンピュータプログラムは、専用コンピュータのハードウェアと相互作用する基本入出力システム(BIOS)、専用コンピュータの特定のデバイスと相互作用するデバイスドライバ、1つ以上のオペレーティングシステム、ユーザアプリケーション、バックグラウンドサービス、バックグラウンドアプリケーション、等々を包含し得る。
【0105】
コンピュータプログラムは、(i)HTML(ハイパーテキストマークアップ言語)、XML(拡張可能マークアップ言語)、またはJSON(JavaScript(登録商標)におけるオブジェクトの表記法)など、構文解析される記述テキスト、(ii)アセンブリコード、(iii)コンパイラによってソースコードから生成されたオブジェクトコード、(iv)インタープリタによって実行されるソースコード、(v)ジャストインタイムコンパイラによってコンパイルおよび実行されるソースコード、等々を含み得る。単なる複数の例として、ソースコードは、C、C++、C#、Objective-C、Swift、Haskell、Go、SQL、R、Lisp、Java(登録商標)、Fortran、Perl、Pascal、Curl、OCaml、Javascript、HTML5(ハイパーテキストマークアップ言語第5版)、Ada、ASP(アクティブサーバページ)、PHP(ハイパーテキストプリプロセッサ)、Scala、Eiffel、Smalltalk、Erlang、Ruby、Flash(登録商標)、VisualBasic(登録商標)、Lua、MATLAB(登録商標)、SIMULINK(登録商標)、およびPython(登録商標)を含む言語の構文を使用して記述され得る。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
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図10
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図28
【外国語明細書】