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特開2024-167180インターベンション投薬システム及び方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024167180
(43)【公開日】2024-12-03
(54)【発明の名称】インターベンション投薬システム及び方法
(51)【国際特許分類】
   A61M 5/142 20060101AFI20241126BHJP
   A61K 45/06 20060101ALI20241126BHJP
   A61P 43/00 20060101ALI20241126BHJP
   A61K 31/573 20060101ALI20241126BHJP
   A61K 39/395 20060101ALI20241126BHJP
   A61P 29/00 20060101ALI20241126BHJP
   A61K 9/08 20060101ALI20241126BHJP
   A61M 5/168 20060101ALI20241126BHJP
   C07J 5/00 20060101ALN20241126BHJP
【FI】
A61M5/142 522
A61K45/06
A61P43/00 121
A61K31/573
A61K39/395 N
A61P29/00
A61K9/08
A61M5/168 512
A61M5/168 504
C07J5/00
【審査請求】有
【請求項の数】14
【出願形態】OL
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2024114515
(22)【出願日】2024-07-18
(62)【分割の表示】P 2021502999の分割
【原出願日】2019-09-23
(31)【優先権主張番号】62/735,476
(32)【優先日】2018-09-24
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(71)【出願人】
【識別番号】500049716
【氏名又は名称】アムジエン・インコーポレーテツド
(74)【代理人】
【識別番号】110001173
【氏名又は名称】弁理士法人川口國際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】リー,ヒジン
(72)【発明者】
【氏名】ギブソン,スコット・アール
(72)【発明者】
【氏名】モジャラッド,メヘラン
(72)【発明者】
【氏名】シャヘル,ジェフリー
(57)【要約】      (修正有)
【課題】検知されたフィードバックに基づくインターベンション投薬のためのシステム及び方法を提供する。
【解決手段】システムは、それぞれ、1つ以上の薬物製品を充填した又は充填可能な1つ以上のリザーバ306、308と、投与部材310と、流体送達システム314と、1つ以上のセンサ316、318と、コントローラ320と、を含む。投与部材は、患者に挿入可能であり、1つ以上のリザーバと流体連通した状態で接続可能である。流体送達システムは、1つ以上のリザーバから患者に投与部材を介して1つ以上の薬物製品を送達するように動作可能である。1つ以上のセンサは、サイトカインレベル及び/又はサイトカイン放出症候群を示すバイオマーカーを含み、患者の1つ以上の生物学的状態を検知するように動作可能である。コントローラは、1つ以上のセンサからの出力に基づいて、流体送達システムの動作を制御するように構成される。
【選択図】図3
【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1の薬物製品を充填した又は充填可能なリザーバと、
患者に挿入可能であり、前記リザーバと流体連通した状態で接続された又は接続可能な投与部材と、
前記リザーバから前記患者に前記投与部材を介して前記第1の薬物製品を送達するように動作可能な流体送達システムと、
前記患者の生物学的状態を検知するように動作可能なセンサと、
を含む、システム。
【請求項2】
検知された前記生物学的状態に基づいて前記流体送達システムの動作を制御するように構成されたコントローラを含む、請求項1に記載のシステム。
【請求項3】
前記コントローラは、検知された前記生物学的状態に基づいて、前記患者への前記第1の薬物製品の送達を中断する、終了する、又は抑制するために前記流体送達システムを動作させるように構成されている、請求項2に記載のシステム。
【請求項4】
前記コントローラは、検知された前記生物学的状態に基づいて、前記患者及び/又は医療提供者に通知するために出力ユニットを動作させるように構成されている、請求項2又は3に記載のシステム。
【請求項5】
第2の薬物製品を充填した又は充填可能な第2のリザーバを含む、請求項1~4のいずれか一項に記載のシステム。
【請求項6】
前記コントローラは、検知された前記生物学的状態に基づいて、前記患者への前記第2の薬物製品の送達を開始するために前記流体送達システムを動作させるように構成されている、請求項5に記載のシステム。
【請求項7】
前記第2の薬物製品は、前記第1の薬物製品の投与によって誘発された状態又は症候群を治療又は管理するための薬剤を含む、請求項5又は6に記載のシステム。
【請求項8】
前記第1の薬物製品は免疫療法剤を含み、前記第2の薬物製品は抗サイトカイン剤を含む、請求項5~7のいずれか一項に記載のシステム。
【請求項9】
前記患者の第2の生物学的状態を検知するように動作可能な第2のセンサを含み、
前記コントローラは、(i)検知された前記生物学的状態が、所定の値範囲内若しくは外である、又は所定値を上回る若しくは下回る、及び/又は(ii)検知された前記第2の生物学的状態が、第2の所定の値範囲内若しくは外である、又は第2の所定値を上回る若しくは下回る、という決定に応じて、前記患者への前記第1の薬物製品の送達を中断する、終了する、又は抑制するために前記流体送達システムを動作させるように構成されている、
請求項2に記載のシステム。
【請求項10】
第2の薬物製品を充填した又は充填可能な第2のリザーバを含み、
前記コントローラは、(i)検知された前記生物学的状態が、所定の値範囲内若しくは外である、又は所定値を上回る若しくは下回る、及び/又は(ii)検知された前記第2の生物学的状態が、第2の所定の値範囲内若しくは外である、又は第2の所定値を上回る若しくは下回る、という決定に応じて、前記患者への前記第2の薬物製品の送達を開始するために前記流体送達システムを動作させるように構成されている、
請求項2又は9に記載のシステム。
【請求項11】
前記第2の薬物製品は、前記第1の薬物製品の投与によって誘発された状態又は症候群を治療又は管理するための薬剤を含む、請求項10に記載のシステム。
【請求項12】
前記第2のセンサは、前記患者の体温を検知するように動作可能である、請求項9~11のいずれか一項に記載のシステム。
【請求項13】
前記コントローラは、検知された前記生物学的状態が、所定の値範囲内若しくは外である、又は所定値を上回る若しくは下回るという決定に応じて、前記患者への前記第1の薬物製品の送達を開始するために前記流体送達システムを動作させるように構成されている、請求項2に記載のシステム。
【請求項14】
前記患者の第2の生物学的状態を検知するように動作可能な第2のセンサを含み、
前記コントローラは、(i)検知された前記生物学的状態が、所定の値範囲内若しくは外である、又は所定値を上回る若しくは下回る、及び/又は(ii)検知された前記第2の生物学的状態が、第2の所定の値範囲内若しくは外である、又は第2の所定値を上回る若しくは下回るという決定に応じて、前記患者への前記第1の薬物製品の送達を開始するために前記流体送達システムを動作させるように構成されている、
請求項2に記載のシステム。
【請求項15】
前記第2のセンサは、前記患者の体温を検知するように動作可能である、請求項14に記載のシステム。
【請求項16】
前記第1の薬物製品は抗サイトカイン剤を含む、請求項13~15のいずれか一項に記載のシステム。
【請求項17】
検知された前記生物学的状態は、生化学物質のレベル又は生化学物質のレベルの変化を含む、請求項1~16のいずれか一項に記載のシステム。
【請求項18】
前記生化学物質は、サイトカイン及び/又はサイトカイン放出症候群を示すバイオマーカーを含む、請求項17に記載のシステム。
【請求項19】
センサは、前記患者により生成された汗を分析することによって前記患者の前記生物学的状態を検知するように動作可能である、請求項1~18のいずれか一項に記載のシステム。
【請求項20】
前記第1の薬物製品は、二重特異性T細胞誘導抗体コンストラクト及び/又はキメラ抗原受容体(CAR)T細胞受容体を含む、請求項1~19のいずれか一項に記載のシステム。
【請求項21】
前記第1の薬物製品は、二重特異性T細胞誘導抗体コンストラクト及び/又はキメラ抗原受容体(CAR)T細胞受容体を含み、
前記第2の製品は、コルチコステロイド及び/又は抗インターロイキン-6(IL-6)受容体抗体を含む、
請求項5、6、又は10のいずれか一項に記載のシステム。
【請求項22】
前記流体送達システムは、前記投与部材及び/又は前記リザーバと流体連通した状態で接続された又は接続可能なポンプを含む、請求項1~21のいずれか一項に記載のシステム。
【請求項23】
内部空間を含み、前記患者により装着されるように構成されたハウジングを含み、前記リザーバは、前記ハウジングの前記内部空間内に配置されている又は配置されるように構成されている、請求項1~22のいずれか一項に記載のシステム。
【請求項24】
前記患者の皮膚に前記ハウジングを取り付けるために前記ハウジングの外部表面に取り付けられた接着剤層を含む、請求項23に記載のシステム。
【請求項25】
前記投与部材は、前記投与部材が前記ハウジングの前記内部空間の内部に引き込まれる後退状態と、前記投与部材の端部が前記ハウジングの前記外部表面を越えて突出する展開状態と、を有する、請求項24に記載のシステム。
【請求項26】
前記投与部材の展開中に前記投与部材の前記端部から延び、その後、薬物送達前に前記ハウジングに向かって後退するイントロデューサ部材を含む、請求項25に記載のシステム。
【請求項27】
前記リザーバは、前記リザーバから前記第1の薬物製品を排出するためにボア内を移動可能なプランジャを含む、請求項23~26のいずれか一項に記載のシステム。
【請求項28】
前記流体送達システムは、モータ、ばね、浸透現象、及び/又は起動時に前記ボア内で前記プランジャを駆動させるように動作可能な加圧ガス若しくは流体の供給源を含む、請求項27に記載のシステム。
【請求項29】
前記コントローラは、前記ハウジングの前記内部空間内に配置されている、請求項23~28のいずれか一項に記載のシステム。
【請求項30】
前記コントローラは、マイクロプロセッサを含む、請求項2~29のいずれか一項に記載のシステム。
【請求項31】
第2の薬物製品を充填した又は充填可能な第2のリザーバを含み、前記第2のリザーバは、前記ハウジングの前記内部空間内に配置されている又は配置可能である、請求項23~30のいずれか一項に記載のシステム。
【請求項32】
前記コントローラは、検知された前記生物学的状態が、所定の値範囲内若しくは外である、又は所定値を上回る若しくは下回るという決定に応じて、前記患者への前記第2の薬物製品の送達を開始するために前記流体送達システムを動作させるように構成されている、請求項31に記載のシステム。
【請求項33】
前記第2の薬物製品は、前記第1の薬物製品の投与によって誘発された状態又は症候群を治療又は管理するための薬剤を含む、請求項31又は32に記載のシステム。
【請求項34】
前記第1の薬物製品は免疫療法剤を含み、前記第2の薬物製品は抗サイトカイン剤を含む、請求項31~33のいずれか一項に記載のシステム。
【請求項35】
前記投与部材は、静脈内薬物送達のために患者の静脈に挿入可能である、請求項1~34のいずれか一項に記載のシステム。
【請求項36】
前記投与部材は、皮下薬物送達のために患者の皮下組織に挿入可能である、請求項1~34のいずれか一項に記載のシステム。
【請求項37】
前記流体送達システムは、再構成サブシステムを含み、前記第1の薬物製品は、凍結乾燥薬物を含み、前記再構成サブシステムは、前記凍結乾燥薬物を、前記投与部材を介して前記患者に送達する前に再構成するように構成されている、請求項1~36のいずれか一項に記載のシステム。
【請求項38】
前記凍結乾燥薬物を再構成するための希釈溶液を充填した又は充填可能な第3のリザーバを含む、請求項37に記載のシステム。
【請求項39】
第1の薬物製品をリザーバから患者に投与部材を介して送達するために流体送達システムを動作させることと、
前記第1の薬物製品が送達されている間、送達される前、及び/又は送達された後の前記患者の生物学的状態をセンサによって検知することと、
を含む、方法。
【請求項40】
検知された前記生物学的状態に基づいて、前記患者への前記第1の薬物製品の送達を中断する、終了する、又は抑制するために、前記流体送達システムを動作させることを含む、請求項39に記載の方法。
【請求項41】
検知された前記生物学的状態に基づいて、前記患者への前記第1の薬物製品の送達を中断する、終了する、又は抑制するために、前記流体送達システムをコントローラによって自動的に動作させることを含む、請求項39に記載の方法。
【請求項42】
検知された前記生物学的状態に基づいて、第2のリザーバから前記患者に第2の薬物製品の送達を開始するために、前記流体送達システムを動作させることを含む、請求項39~41のいずれか一項に記載の方法。
【請求項43】
検知された前記生物学的状態に基づいて、第2のリザーバから前記患者に第2の薬物製品の送達を開始するために、前記流体送達システムを前記コントローラによって自動的に動作させることを含む、請求項39~41のいずれか一項に記載の方法。
【請求項44】
前記第2の薬物製品は、前記第1の薬物製品の投与によって誘発された状態又は症候群を治療又は管理するための薬剤を含む、請求項42又は43に記載の方法。
【請求項45】
前記第1の薬物製品は免疫療法剤を含み、前記第2の薬物製品は抗サイトカイン剤を含む、請求項42~44のいずれか一項に記載の方法。
【請求項46】
第2のセンサによって前記患者の第2の生物学的状態を検知することと、
(i)検知された前記生物学的状態が、所定の値範囲内若しくは外である、又は所定値を上回る若しくは下回る、及び/又は(ii)検知された前記第2の生物学的状態が、第2の所定の値範囲内若しくは外である、又は第2の所定値を上回る若しくは下回る場合に、前記患者への前記第1の薬物製品の送達を中断する、終了する、又は抑制するために、前記流体送達システムを前記コントローラによって自動的に又は手動で動作させることと、
を含む、請求項39~45のいずれか一項に記載の方法。
【請求項47】
(i)検知された前記生物学的状態が、前記所定の値範囲内若しくは外である、又は前記所定値を上回る若しくは下回る、及び/又は(ii)検知された前記第2の生物学的状態が、前記第2の所定の値範囲内若しくは外である、又は前記第2の所定値を上回る若しくは下回る場合に、第2のリザーバから前記患者に第2の薬物製品の送達を開始するために、前記流体送達システムを前記コントローラによって自動的に又は手動で動作させることを含む、請求項46に記載の方法。
【請求項48】
前記第2の薬物製品は、前記第1の薬物製品の投与によって誘発された状態又は症候群を治療又は管理するための薬剤を含む、請求項47に記載の方法。
【請求項49】
前記第2のセンサは、前記患者の体温を検知するように動作可能である、請求項46~48のいずれか一項に記載の方法。
【請求項50】
第2のセンサによって前記患者の第2の生物学的状態を検知することと、
(i)検知された前記生物学的状態が、前記所定の値範囲内若しくは外である、又は前記所定値を上回る若しくは下回る、及び/又は(ii)検知された前記第2の生物学的状態が、第2の所定の値範囲内若しくは外である、又は第2の所定値を上回る若しくは下回る場合に、前記患者への前記第1の薬物製品の送達を開始するために、前記流体送達システムを前記コントローラによって自動的に又は手動で動作させることと、
を含む、請求項39~41のいずれか一項に記載の方法。
【請求項51】
前記第2のセンサは、前記患者の体温を検知するように動作可能である、請求項50に記載の方法。
【請求項52】
検知された前記生物学的状態が、前記所定の値範囲内若しくは外である、又は前記所定値を上回る若しくは下回ることを前記患者及び/又は医療提供者に通知するために、出力ユニットを前記コントローラによって自動的に動作させることを含む、請求項39~51のいずれか一項に記載の方法。
【請求項53】
検知された前記生物学的状態は、生化学物質のレベル又は生化学物質のレベルの変化を含む、請求項39~52のいずれか一項に記載の方法。
【請求項54】
前記生化学物質は、サイトカイン及び/又はサイトカイン放出症候群を示すバイオマーカーを含む、請求項53に記載の方法。
【請求項55】
前記センサは、前記患者により生成された汗を分析することによって前記患者の前記生物学的状態を検知するように動作可能である、請求項39~54のいずれか一項に記載の方法。
【請求項56】
前記第1の薬物製品は、二重特異性T細胞誘導抗体コンストラクト及び/又はキメラ抗原受容体(CAR)T細胞受容体を含む、請求項37~52~54のいずれか一項に記載の方法。
【請求項57】
前記第1の薬物製品は、二重特異性T細胞誘導抗体コンストラクト及び/又はキメラ抗原受容体(CAR)T細胞受容体を含み、
前記第2の薬物製品は、コルチコステロイド及び/又は抗インターロイキン-6(IL-6)受容体抗体を含む、
請求項42~45又は47~49のいずれか一項に記載の方法。
【請求項58】
ハウジングを前記患者の皮膚に接着させることを含み、前記ハウジングは、前記リザーバが配置される内部空間を画定する、請求項39~57のいずれか一項に記載の方法。
【請求項59】
検知された前記生物学的状態が、前記所定の値範囲内若しくは外である、又は前記所定値を上回る若しくは下回る場合、第2のリザーバから前記患者に第2の薬物製品の送達を開始するために、前記流体送達システムを前記コントローラによって自動的に又は手動で動作させることを含み、前記第2のリザーバは、前記ハウジングの前記内部空間内に配置されている、請求項58に記載の方法。
【請求項60】
前記第2の薬物製品は、前記第1の薬物製品の投与によって誘発された状態又は症候群を治療又は管理するための薬剤を含む、請求項59に記載の方法。
【請求項61】
前記第1の薬物製品は免疫療法剤を含み、前記第2の薬物製品は抗サイトカイン剤を含む、請求項59又は60に記載の方法。
【請求項62】
前記リザーバから前記患者に前記投与部材を介して前記第1の薬物製品を送達するために前記流体送達システムを動作させることは、前記第1の薬物製品を静脈内に送達することを含む、請求項39~61のいずれか一項に記載の方法。
【請求項63】
前記リザーバから前記患者に前記投与部材を介して前記第1の薬物製品を送達するために前記流体送達システムを動作させることは、前記第1の薬物製品を前記患者の皮下組織に送達することを含む、請求項39~61のいずれか一項に記載の方法。
【請求項64】
前記リザーバから前記患者に前記投与部材を介して前記第1の薬物製品を送達するために前記流体送達システムを動作させることは、前記第1の薬物製品を静脈内に又は前記患者の皮下組織に送達することを含み、前記リザーバから前記患者に前記第2の薬物製品を送達するために前記流体送達システムを動作させることは、前記第2の薬物製品を静脈内に又は前記患者の皮下組織に送達することを含む、請求項42~45、47~49、56、又は59~61のいずれか一項に記載の方法。
【請求項65】
薬物送達針の軸に沿って血液を吸い上げることによって前記患者から血液サンプルを採取することを含む、請求項39~64のいずれか一項に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願の相互参照
本願は、2018年9月24日に出願され、その全内容が参照により本明細書に、組み込まれる米国仮特許出願第62/735,476号明細書に対する優先権を主張するものである。
【0002】
本開示は、概して、薬物送達システム及び方法に関する。より具体的には、本開示は、監視されている患者の状態の変化に応答するインターベンション投薬手法に関する。
【背景技術】
【0003】
薬物は、様々な状態及び疾患を治療するために投与される。特定の薬物の使用は、患者の健康に有害なものを含む意図しない副作用をもたらす可能性がある。投与される薬物に対して患者が有害反応を有するかどうかを必ずしも予測できるとは限らない。結果として、潜在的な副作用の重篤度に応じて、薬物投与中及び/又は薬物投与後に患者の状態を監視することが必要な場合がある。患者が期せずして有害な副作用を発現した場合、薬物の投与が中断される場合がある又は用量が調整される場合がある及び/又は副作用を相殺するために別の薬物が投与される場合がある。このようなインターベンション投薬処置の効果は、副作用の早期検出及び中和薬(counteractive drug)の適時投与にかかっている。
【0004】
以下に更に詳細に記載するように、本開示は、既存のシステム及び方法に対する有利な代替案を具現化した患者モニタリング及びインターベンション投薬手法のためのシステム及び方法を説明するものであり、これらは、本明細書で言及される課題又はニーズの1つ以上に対処することができることはもとより、他の利益及び利点も提供することができる。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0005】
本開示の一態様は、それぞれ、1つ以上の薬物製品を充填した又は充填可能な1つ以上のリザーバと、投与部材と、流体送達システムと、1つ以上のセンサと、任意選択的に、コントローラと、を含むシステムを提供する。1つ以上のリザーバは、第1の薬物製品を充填した又は充填可能な第1のリザーバを含んでもよい。投与部材は、患者に挿入可能であり、第1のリザーバと流体連通した状態で接続されてもよい又は接続可能であってもよい。流体送達システムは、第1のリザーバから患者に投与部材を介して第1の薬物製品を送達するように動作可能であってもよい。1つ以上のセンサは、患者の1つ以上の生物学的状態を検知するように動作可能であってもよい。コントローラは、1つ以上のセンサからの出力に基づいて、流体送達システムの動作を制御するように構成されてもよい。いくつかの実施形態では、コントローラは、1つ以上のセンサによって検知された第1の生物学的状態及び/又は1つ以上のセンサによって検知された第2の生物学的状態に基づいて、患者への第1の薬物製品の送達を中断する、終了する、又は抑制するために流体送達システムを動作させるように構成されてもよい。更に、いくつかの実施形態では、1つ以上のリザーバは、第1の薬物製品と別々に保持される第2の薬物製品を充填した又は充填可能な第2のリザーバを含んでもよく、コントローラは、1つ以上のセンサによって検知された第1の生物学的状態及び/又は1つ以上のセンサによって検知された第2の生物学的状態に基づいて、患者への第2の薬物製品の送達を開始するために流体送達システムを動作させるように構成されてもよい。更に、いくつかの実施形態では、第2の薬物製品は、第1の薬物製品の投与によって誘発された状態又は症候群を治療するための治療薬を含んでもよい。
【0006】
本開示の別の態様は、(a)第1の薬物製品をリザーバから患者に投与部材を介して送達するために流体送達システムを動作させることと、(b)第1の薬物製品が送達されている間、送達される前、及び/又は送達された後の患者の1つ以上の生物学的状態を1つ以上のセンサによって検知することと、任意選択的に、(c)1つ以上の検知された生物学的状態に基づいて、患者への第1の薬物製品の送達を中断する、終了する、又は抑制するために、流体送達システムをコントローラによって自動的に又は手動で動作させることと、を含む方法を提供する。当該方法は、更に、(d)1つ以上の検知された生物学的状態に基づいて、第2のリザーバから患者に第2の薬物製品の送達を開始するために、流体送達システムをコントローラによって自動的に又は手動で動作させることを含んでもよい。いくつかの実施形態では、第2の薬物製品は、第1の薬物製品の投与によって誘発された状態又は症候群を治療又は管理するための治療薬を含んでもよい。
【0007】
本開示は、以下の説明を付属の図面と併せて解釈することで、より完全に理解されるものと考えられる。図面のいくつかは、他の要素をより明確に示すために、選択した要素を省略することにより簡略化されている場合がある。一部の図面におけるこうした要素の省略は、対応する書面による明細書の中で明確に記述されている場合を除き、例示的実施形態のいずれかにおける特定要素の有無を必ずしも示すものではない。また、いずれの図面も一律の縮尺に必ずしも従っていない。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1】本開示の一実施形態による薬物送達システムの概略図である。
図2】本開示の一実施形態による、図1に示される薬物送達システムなどの薬物送達システムを動作させる方法のブロック図である。
図3】オンボディ型インジェクタを含む薬物送達システムの一実施形態の断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
本開示は、概して、薬物療法を受けている患者の状態を監視するための、及び患者が薬物療法に対する有害な副作用を発現した場合にはインターベンション投薬を提供するための閉ループ薬物送達及びバイオセンシングシステム並びに方法に関する。本明細書に開示されるシステム及び方法は、薬物療法の結果としてサイトカイン放出症候群(CRS:Cytokines Release Syndrome)を発症するリスクがある患者に特に適しているが、この特定用途以外にも利用できる。
【0010】
CRSは、患者が免疫療法剤を受けた後に副作用として生じる全身性炎症反応の一形態である。CRSは、例えば、ブリナツモマブ(例えば、BLINCYTO(登録商標))などの二重特異性T細胞誘導(例えば、BiTE(登録商標))抗体コンストラクト及びキメラ抗原受容体(CAR)T細胞受容体を含むT細胞誘導療法後に起こり得る。CRSは生命を脅かすおそれがあり、特定の場合では致死の可能性がある。したがって、医療関係者がCRSの症状について患者を注意深く監視することができるように、免疫療法治療後には入院が推奨されている。患者が入院しない場合でも、CRSの兆候があった場合には緊急医療を提供することができるように、患者は、時として4週間以上の期間にわたり、免疫療法治療を受けた場所の近くに留まるように指示されることがある。更に、患者は、免疫療法治療後に認定医療機関で1週間、CRSの徴候に関して少なくとも1日1回監視されることが必要な場合がある。このようなモニタリングは、患者と医療提供者の双方にとって負担となる可能性がある。
【0011】
CRSの管理を補助するために解熱薬及び/又は静脈内輸液が投与され得る。追加的に又は代替として、コルチコステロイド(例えば、デキサメサゾン)及び/又は抗インターロイキン-6(IL-6)受容体抗体(例えば、トシリズマブ)などの抗サイトカイン剤が投与されてもよい。このような抗サイトカイン治療の効果は、CRSの初期段階での投与に依存し得る。したがって、CRSの最初の警告サインを特定し、迅速な医療行為を行うことが重要となり得る。
【0012】
CRSを治療するための抗サイトカイン剤及び他の薬物製品は、通常、注射可能流体の形態をとる。自己注射を不快に感じるか、自己注射を行うために必要な訓練を受けていない患者は、病院又は他の医療機関に戻って注射を受けなければならない場合がある。患者が癌又は他の疾患により弱った状態にある可能性があることを考えると、患者に病院又は他の医療機関に戻ることを求めることは多大な負担となる可能性がある。
【0013】
本開示は、現在の又は以前の薬物製品の投与によって誘発されたCRS又は別の症候群若しくは状態の発症の特定、並びに誘発された症候群又は状態を治療するための薬物製品の自己投与を含むがこれに限定されない様々なインターベンション投薬処置の容易化を支援するための様々な自動化若しくは半自動化特徴又は工程を有するシステム及び方法について記載する。本開示のシステム及び方法は、有利には、有害なCRSなどの副作用の早期検出を容易にし、適時の且つ適切な医療介入を提供する。したがって、有害な副作用を検出するために定期的な血液検査及び/又は他の患者モニタリングを実施する医療提供者の負担が軽減される。更に、患者は、病院などの集中管理センターに行く必要なく有害な副作用を監視及び/又は軽減することができる。その代わりに、そのようなタスクは、例えば、管理されたケアサイト、ウェルネスクリニック、又は患者の自宅を含む自己投与場所で実施することができる。
【0014】
図1は、本開示の一実施形態による薬物送達システム100を示す。薬物送達システム100は、治療計画の一部として、薬物送達システム100を使用し、1つ以上の薬物製品を注入又は輸注する可能性のある患者102と関連付けられ得る。薬物送達システム100は、1つ以上の中間コンピューティングデバイス及び/又は1つ以上のネットワークを介して外部コンピューティングデバイス104(例えば、スマートフォン、スマートウォッチ、デスクトップコンピュータ、サーバ等)と情報を通信してもよい。更に、外部コンピューティングデバイス104は、患者102及び/又は1つ以上の他のコンピューティングデバイス及び患者の関係者(例えば、医師又は介護者などの医療提供者)と直接的に、又は1つ以上の中間コンピューティングデバイス及び/若しくは1つ以上のネットワークを介して間接的に通信してもよい。
【0015】
いくつかの実施形態では、薬物送達システム100は、使用時に互いに組み立てられる複数の離散的な構成要素によって画定され得る。1つのそのような実施形態では、薬物送達システム100は、使用時に1つ以上の薬物リザーバに接続されるベッドサイド輸液ポンプ又は他の定置型若しくは非携帯型輸液ポンプを含んでもよく、1つ以上の薬物リザーバは、更に、使用時に、1つ以上のチューブセット及び1つ以上の針を介して患者に接続される。代替的な実施形態では、薬物送達システム100の構成要素のいくつか又は全てが、事前に組み立てられていてもよい、及び/又は単一のハウジング若しくはユニット内に収容されていてもよい。このような代替的な実施形態では、薬物送達システム100は、(i)図3と関連して以下に記載する皮膚に取り付け可能なオンボディ型インジェクタなどのウェアラブルインジェクタ、若しくはポンプハウジングの外部の可撓性チューブ及び輸液セットを介して薬物製品を送達するように設計された衣服に取り付け可能な携帯型輸液ポンプ、又は(ii)オートインジェクタなどのハンドヘルド型インジェクタとして形成されてもよい。更に別の代替的な実施形態では、薬物送達システム100は、定置型輸液ポンプ(例えば、ベッドサイド輸液ポンプ)、ウェアラブルインジェクタ、オートインジェクタ、及び/又は従来の手動操作式シリンジのうちのいずれかの組み合わせによって形成されてもよい。
【0016】
いくつかの実施形態では、薬物送達システム100は、薬物送達前、薬物送達後、及び/又は薬物送達中に患者が携帯又は装着することができるように可搬式であってもよい。その一方で、他の実施形態では、薬物送達システム100は、薬物送達の期間にわたって定置されたままであってもよい。
【0017】
薬物送達システム100は、考慮すべき事項の中でもとりわけ、投与される薬物の量、期間、及び/又は種類に応じた1つ以上の投与経路を利用してもよい。このような投与経路としては、静脈内、動脈内、皮下、経皮、皮内、筋肉内、髄腔内、脳内、硬膜外、眼球内、経鼻、吸入、経口、及び/又は局所が挙げられるが、これらに限定されない。流体システム100が患者に2つ以上の薬物製品を送達する又は送達するのを支援するように構成されている実施形態では、薬物製品のいくつか又は全てに対して、本明細書に言及した投与経路又は他の投与経路の任意の組み合わせを含む異なる投与経路を用いてもよい。
【0018】
薬物送達システム100は、それぞれ、本明細書では薬剤又は薬と呼ばれることもある1つ以上の薬物製品を充填した(例えば、事前充填した)又は充填可能な(例えば、薬物送達システム100の使用時に充填される)1つ以上のリザーバを含んでもよい。複数のリザーバが含まれる実施形態では、各リザーバは、薬物製品を使用前に混合することができないように、各薬物製品を別々に保持してもよい。薬物製品は、ペプチド、ペプチボディ、又は抗体などの様々な生物学的製剤であってもよいが、これらに限定されない。薬物製品は、流体又は液体形態であってもよいが、本開示は特定の状態に限定されない。いくつかの実施形態によれば、リザーバは、それぞれ、シリンジ、バイアル、又はカートリッジなどの、内部ボアを有する、剛性の壁で囲まれたシリンダによって画定され得る。他の実施形態では、リザーバは、それぞれ、IVバッグなどの非剛性の折り畳み可能なパウチによって画定され得る。
【0019】
いくつかの実施形態では、薬物送達システム100は、凍結乾燥薬物を液体形態に希釈するために搭載された内蔵型の再構成サブシステムを有してもよい。特定のそのような実施形態では、希釈溶液を保持するための希釈剤リザーバが含まれていてもよく、凍結乾燥化合物を希釈溶液と別々に保持する凍結乾燥物リザーバが含まれていてもよい。更に、希釈剤リザーバ内の希釈溶液を凍結乾燥物リザーバ内の凍結乾燥化合物と混合するための流体駆動機構が含まれていてもよい。いくつかの実施形態では、流体駆動機構は、希釈溶液を希釈剤リザーバから凍結乾燥物リザーバに移動させてもよい、並びに/又は完全な再構成を得るのに必要な任意の循環及び/若しくは撹拌を提供してもよい。いくつかの実施形態では、追加的な再構成済みの最終薬物用のリザーバが含まれてもよく、再構成済みの薬物が患者に放出される送達リザーバとしての役割を果たしてもよい。その一方で、他の実施形態では、凍結乾燥物リザーバは送達リザーバとしての役割を果たしてもよい。特定の実施形態では、再構成サブシステムは薬物送達システム100に物理的に内蔵され得るが、他の実施形態では、再構成サブシステムは、薬物送達システム100と流体連通する別個のユニットを構成してもよい。別個のユニットを有することで、特定の場合における医療提供者の再構成プロセスを簡略化することができる。
【0020】
図1に示される実施形態では、薬物送達システム100は、第1の薬物製品を充填した又は充填可能な第1のリザーバ106と、第2の薬物製品を充填した又は充填可能な第2のリザーバ108と、を含む。いくつかの実施形態では、第1のリザーバ106と第2のリザーバ108は機械的に相互接続され(例えば、単一のリザーバアセンブリの一部として)、場合によっては、薬物送達中に互いに対して動かすことができなくてもよい。その一方で、他の実施形態では、第1のリザーバ106と第2のリザーバ108は互いに別個のものであり、したがって、互いに独立して自由に動くことができてもよい。第1の薬物製品が凍結乾燥薬物である実施形態では、上述のように、希釈溶液を保持するための第3のリザーバが含まれていてもよい。
【0021】
いくつかの実施形態では、第2のリザーバ108内の第2の薬物製品は、第1のリザーバ106からの第1の薬物製品の投与によって誘発された状態又は症候群を治療又は管理するための治療薬であってもよい。特定のそのような実施形態では、第1のリザーバ106内の第1の薬物製品は、二重特異性T細胞誘導(例えば、BiTE(登録商標))抗体コンストラクト(例えば、ブリナツモマブ)及び/又はキメラ抗原受容体(CAR)T細胞受容体(例えば、抗CD19CAR-T細胞)を含むがこれらに限定されない免疫療法剤を含んでもよく、第2のリザーバ108内の第2の薬物製品は、免疫療法剤の投与によって誘発される任意の潜在的なCRSを治療又は管理するための治療薬を含んでもよく、このような治療薬には、解熱薬、抗サイトカイン剤(例えば、デキサメサゾン、メチルプレドニゾロン、又は他のコルチコステロイド)、抗インターロイキン-6(IL-6)受容体抗体(例えば、トシリズマブ)、及び/又は抗IL-6キメラモノクローナル抗体(例えば、シルツキシマブ)を含むが、これらに限定されない。
【0022】
薬物送達システム100は、1つ以上のリザーバと患者102との間に流体連通又は別の種類の連通を確立するための1つ以上の投与部材を含んでもよい。いくつかの実施形態では、各投与部材は、各リザーバと流体連通した状態で接続された又は接続可能な第1端部と、患者102に挿入される第2端部と、を有してもよい。いくつかの実施形態では、第2端部は、少なくとも患者の皮膚を貫通して皮下組織、静脈、動脈、他の解剖学的構造に入るのに十分な鋭さを有してもよい。いくつかの実施形態では、各投与部材は、カニューレを含んでもよい。カニューレは、限定することなく、例として、剛性若しくは半剛性ニードル又はブラントカニューレを含んでもよい、又は可撓性形態であってもよい。カニューレは、薬物送達システム100の他の要素と統合されていてもよい、又はカニューレは、使用直前まで薬物送達システム100の他の要素から分離されていてもよい。特定の実施形態によれば、薬物送達システム100は、カニューレの第2端部を患者に導入するための挿入具又はイントロデューサ部材を更に含んでもよいが、これは、本開示の各実施形態によれば必要ない。特定の実施形態においては、イントロデューサ部材は、抜去されて薬物送達システム100のハウジングに戻されてもよく、それにより患者102内にカニューレが残る。このような実施形態では、カニューレは、プラスチックなどの比較的可撓性又は軟質の材料で作製されていてもよく、その一方で、中実若しくは中空針又はトロカールであり得るイントロデューサ部材は、金属などの比較的剛性又は硬質の材料で作製されていてもよい。他の実施形態では、カニューレは、静脈内投与を容易にするための輸液セットの一部であってもよく、可撓性チューブを介して1つ以上のリザーバと流体連通した状態で接続されてもよい。特定のそのような実施形態では、イントロデューサ要素は、外部適用具又はトロカールデバイスであってもよく、薬物送達システム100は、ウェアラブル型、携帯型、又は独立型輸液システムであってもよい。
【0023】
図1は、第1の投与部材110と第2の投与部材112とを含む薬物送達システム100の一実施形態を示す。第1の投与部材110は、第1のリザーバ106と流体連通した状態で接続された又は接続可能な第1端部と、患者102に挿入される第2端部と、を有する。同様に、第2の投与部材112は、第2のリザーバ108と流体連通した状態で接続された又は接続可能な第1端部と、患者102に挿入される第2端部と、を有する。いくつかの実施形態では、第2の投与部材112は省略されてもよく、第1の投与部材110の第1端部は、例えば制御可能なバルブ部材を介して、第1のリザーバ106及び第2のリザーバ108と、一度に1つずつ、流体連通した状態で選択的に接続されてもよい。
【0024】
引き続き図1を参照すると、薬物送達システム100は、第1のリザーバ106から患者に第1の投与部材110を介して第1の薬物製品を送達する及び/又は第2のリザーバ108から患者に第2の投与部材112を介して第2の薬物製品を送達するように動作可能な流体送達システム114を含んでもよい。流体送達システム114は、作動エネルギーを保存してもよい、並びに/又はそれらの各リザーバ106及び/若しくはリザーバ108から第1の薬物製品及び/若しくは第2の薬物製品を排出するために必要な原動力を提供してもよい。いくつかの実施形態では、流体送達システム114は、バッテリー及び/又は他の電源などの外部エネルギー源によって電力供給される。他の実施形態では、流体送達システム114自体が作動エネルギーを保存してもよい。流体送達システム114は、ポンプ(例えば、蠕動ポンプ)、電気モータ駆動式プランジャ、ばね駆動式プランジャ(例えば、圧縮コイルばね、引張コイルばね、ねじりコイルばね、螺旋ねじりばね等を用いる)、プランジャに対する浸透圧駆動力若しくは圧力、加圧及び放出可能ガス若しくは液体源、及び膨潤性ゲル、リザーバが薬物で充填されているときには位置エネルギーを保存し、バルブ若しくは流路が開かれると薬物を放出するために内向きに潰れる弾性壁を有する拡張式若しくはバルーン型リザーバ、又はこれらの任意の組み合わせを含んでもよい。更に、流体送達システム114は、第1のリザーバ106を第2のリザーバ108と独立して駆動するように制御可能であってもよく、その逆であってもよい。代替的な実施形態では、各リザーバがそれ自体の流体送達システムによって作動され得るように、複数の流体送達システムが含まれていてもよい。
【0025】
流体送達システム114は、第1の薬物製品及び/又は第2の薬物製品を、投薬計画及び/又はインターベンション投薬計画に従い、指定された時間にわたって指定された流量で(例えば、24時間の期間にわたって10mL/h、48時間の期間にわたって5mL/h、又は7日間の期間にわたって0.6mL/h)患者に継続的に送達するように動作してもよい。送達の流量は、患者の体重、患者の体表、患者の深部体温及び特定の薬物に対する反応の重篤度などの生理学的因子、並びに/又は医療提供者の医療的指示を含むがこれらに限定されない様々な因子に依存し得る。他の実施形態では、流体送達システム114は、第1の薬物製品及び/又は第2の薬物製品の全量を1回のボーラスとして比較的短時間(例えば、数秒、数十秒、数分、数十分、1時間、又は数時間)で患者に送達するように動作してもよい。
【0026】
図1を引き続き参照すると、薬物送達システム100は、患者の1つ以上の生物学的状態を検知するように動作可能な1つ以上のセンサを含んでもよい。1つ以上のセンサは、薬物送達の期間にわたって継続的に動作し、患者の生物学的状態のリアルタイム測定を提供してもよい。検知される生物学的状態には、例えば、生化学物質若しくは分析物のレベル又は生化学物質若しくは分析物のレベルの変化を含み得る。CRSの可能性が監視される実施形態では、生化学物質としては、サイトカイン、ケモカイン、及び/又はCRSを示す他のバイオマーカーが挙げられ得る。このようなバイオマーカーとしては、インターロイキン-1(IL-1)α、IL-1β、IL-1受容体拮抗薬(IL-1RA)、IL-2、IL-3、IL-4、IL-5、IL-6、可溶性IL-6受容体(sIL-6R)、IL-7、IL-8、IL-8(HA)、IL-10、IL-13、IL-12p70、IL-12/IL-23p40、IL-15、IL-16、IL-17A、IL-18、IL-22、顆粒球コロニー刺激因子(G-CSF)、顆粒球マクロファージコロニー刺激因子(GM-CSF)、インターフェロンγ(IFN-γ)、腫瘍壊死因子α(TNF-α)、腫瘍壊死因子-β、血管内皮細胞増殖因子A(VEGF-A)、脳由来神経栄養因子(BDNF)、IP-10、エオタキシン、エオタキシン-3、単球走化性タンパク質-1(MCP-1)、MCP-4、マクロファージ由来ケモカイン(MDC)、マクロファージ炎症性タンパク質-1α(MIP-1α)、MIP-1β、可溶性gp130(sgp130)、フェリチン、及びC反応性タンパク(CRP)が挙げられるが、これらに限定されない。いくつかの実施形態では、1つ以上のセンサは、目的の生化学物質を有する生物流体を収集又は採取してもよい。このような生物流体としては、例えば、血液、血漿、血清、細胞内液、血管内液、間質液、汗(例えば、エクリン汗)、唾液、涙、尿、及び鼻粘膜、又はこれらの任意の組み合わせが挙げられる。生化学物質の検知に加えて、又はその代わりとして、1つ以上のセンサは、例えば、体温(例えば、皮膚温、深部体温等)、呼吸数、心拍数、血圧、血中酸素濃度、及び血中酸素飽和度、又はこれらの任意の組み合わせを含む、患者の1つ以上の他の生物学的状態を検出又は検知するように動作可能であってもよい。
【0027】
目的の生物学的状態を検知するために、1つ以上のセンサは、例えば、電気的(例えば、伝導度等)、化学的、電気化学的、機械的(例えば、力)、電気機械的、電流滴定、電位差滴定、圧電的、光学的(例えば、ラマン分光法、赤外分光法、近赤外光(NIR)分光法、中赤外(MIR)分光法等)、電気化学発光(例えば、蛍光体又は発色団の使用)、電界効果トランジスタベースのバイオセンシング(BioFET)(例えば、イムノFET、DNA-FET、マルチカラーFRET(mFRET)、酵素電界効果トランジスタ、細胞電位FET、ビートル(beetle)/チップFET等)、フェルスター共鳴エネルギー移動(FRET)、マルチカラーFRET(mFRET)、音響的(例えば、超音波センサ等)、振動的、温度滴定(例えば、熱電対等)、流体圧力、加速度計、及びバイオメトリクス(例えば、指紋、音声等)、若しくはこれらの任意の組み合わせであるもの又はこれらを伴うものを含む、任意の適切な検知経路を用いてもよい。
【0028】
いくつかの実施形態では、1つ以上のセンサは、例えば、マイクロニードル、マイクロニードルのアレイ、従来の針(例えば、シリンジ針)、軟質カニューレ、汗収集器(例えば、受動汗収集、逆電気泳動(reverse iontophoresis)による能動汗収集、コリン作動性汗腺分泌刺激化合物(cholinergic sweat gland secretory stimulating compounds)による能動汗収集等を伴う)、及び光学機器(例えば、カメラ、干渉計、光度計、偏光計、反射率計、屈折計、分光計、モノクロメータ、オートコリメータ、表面プラズモン共鳴ベースの機器等)、又はこれらの任意の組み合わせを含むプローブを含んでもよい。1つ以上のセンサが光学機器を含む実施形態では、目的の生化学物質を照明する又は調べるための人工光源も含まれてよい。いくつかの実施形態では、プローブは、患者の組織に一時的に挿入されてもよい又は植え込まれてもよい。その一方で、他の実施形態では、プローブは、皮膚表面に又は皮膚表面のわずかに上方に配置されてもよい。好適な実施形態では、1つ以上のセンサは非侵襲又は低侵襲のプローブを含むが、本開示では侵襲型センサは除外されない。更に、いくつかの実施形態では、1つ以上のセンサは、投与部材110及び/又は投与部材112に組み込まれてもよい。特定のそのような実施形態では、投与部材110及び/又は投与部材112は送達針を含んでもよく、ワイパが送達針の軸に沿って配置されてもよい。ワイパは、血液又は他の生物流体を、検定が行われ得る収集器へと、送達針の軸に沿って受動的に又は能動的に吸い上げるように構成されてもよい。
【0029】
1つ以上のセンサは、薬物送達システム100の他の構成要素と物理的に統合されてもよいが、これらは物理的に統合される必要はない。いくつかの実施形態では、物理的な統合の代わりに、1つ以上のセンサは、薬物送達システム100の残りの部分とのデジタル統合のみを有してもよい。このような実施形態では、センサの1つ以上は、患者により装着され又は患者内に植え込まれ、流体送達システム100のコントローラ並びに/又は患者のスマートフォン及び/若しくはリモートサーバなどの外部コンピューティングデバイスとデジタル情報を無線通信する独立型デバイスであってもよい。
【0030】
図1に示される実施形態では、薬物送達システム100は、第1のセンサ116及び第2のセンサ118を含み、そのそれぞれは、患者の生物学的状態を検知するように動作可能である。第1のセンサ116は、生化学物質のレベル又は生化学物質のレベルの変化を検知するように動作可能であってもよく、第2のセンサ118は、患者の深部体温及び/又は皮膚温を検知するように動作可能であってもよいが、第1のセンサ116及び第2のセンサ118はこのような検知機能に限定されず、本明細書に言及される生物学的状態及びその他のいずれかを検知するように動作可能であってもよい。本実施形態では、第1のセンサ116によって検知される生化学物質は、サイトカイン及び/又はCRSを示すバイオマーカーを含んでもよい。代替的な実施形態では、第1のセンサ116又は第2のセンサ118のいずれかは省略されてもよい。
【0031】
薬物送達システム100は、流体送達システム114と出力ユニット122とを含む、薬物送達システム100の様々な構成要素の動作を制御するように構成されたコントローラ120を更に含んでもよい。更に、コントローラ120は、第1のセンサ116、第2のセンサ118、及び/又は流体送達システム100の他の構成要素、又は外部コンピューティングデバイス104などの外部構成要素からの情報、データ、信号(アナログ及び/又はデジタル)、若しくは他の出力を受信する及び/又は処理するように構成されてもよい。更に、コントローラ120は、このような構成要素から受信した出力に応答してもよく、流体送達システム114及び/又は出力ユニット122などの特定の構成要素の動作をコントローラ120のプログラミング又は他の構成に従って自動的に制御するように構成されてもよい。
【0032】
コントローラ120は、電気デバイス(例えば、ハードワイヤード回路、マイクロプロセッサ等)、電気デバイスの組み合わせ、機械的デバイス、機械的デバイスの組み合わせ、化学デバイス、化学デバイスの組み合わせ、又はこれらの任意の組み合わせ(例えば、電気機械的デバイス、電気化学デバイス等)を含んでもよい及び/又はこれらを介してその動作を実施してもよい。コントローラ120がマイクロプロセッサ等を含む実施形態によれば、コントローラ120の構成は、コントローラ120のソフトウェア又は他のプログラミングに対応してもよい。いくつかの実施形態では、コントローラ120は、患者又は他のエンドユーザが後に構成変更することができないように、製造業者及び/又は医療提供者によって事前構成されてもよい。その一方で、他の実施形態では、コントローラ120は、任意の個人又は実体によって常識の範囲内で構成可能であってもよい。
【0033】
いくつかの実施形態では、コントローラ120は、互いに通信する又は統合された、1つ以上のプロセッサと1つ以上のメモリとを含むコンピューティングデバイスとして提供されてもよい。1つ以上のプロセッサは、例えば、マイクロプロセッサ、マイクロコントローラ、プログラマブルロジックコントローラ、デジタルシグナルプロセッサ、マイクロコンピュータ、中央処理ユニット、フィールドプログラマブルゲートアレイ、論理回路、アナログ回路、デジタル回路、ソフトウェアベース処理モジュール、並びに回路及び/若しくは動作命令のハードコーディングに基づいて信号(アナログ及び/又はデジタル)を操作する任意のデバイス、又はこれらの任意の組み合わせのうちの1つ以上を含んでもよい。1つ以上のメモリは、例えば、1つ以上のサービス、プログラム、及び/又はモジュールを構成する非一時的コンピュータ可読命令を含むデータ、並びにそのようなサービス、プログラム、及び/若しくはモジュール上で操作される若しくはそのようなサービス、プログラム、及び/若しくはモジュールによって生成される任意のデータを記憶するように構成された非一時的コンピュータ可読記憶媒体を含んでもよい。メモリは、揮発性メモリ(例えば、ランダムアクセスメモリ(RAM)等)及び/又は不揮発性メモリ(例えば、ハードディスク)上にデータを記憶してもよく、リムーバブルメモリであっても非リムーバブルメモリであってもよい。1つ以上のプロセッサは、例えば、投薬計画及び/又はインターベンション投薬計画に従い患者に第1の薬物製品及び/又は第2の薬物製品を送達するために流体送達システム114を動作させることを含む、薬物送達システム100の様々な機能を行う又は実施するために、1つ以上のメモリに記憶された命令を取得し、実行するように構成されてもよい。
【0034】
いくつかの実施形態では、コントローラ120が、外部コンピューティングデバイス104、流体送達システム114、第1のセンサ116、第2のセンサ118、及び出力ユニット122のうちの1つ以上に通信を送ることができる、並びに/又は外部コンピューティングデバイス104、流体送達システム114、第1のセンサ116、第2のセンサ118、及び出力ユニット122のうちの1つ以上から通信を受け取ることができるように、コントローラ120は、外部コンピューティングデバイス104、流体送達システム114、第1のセンサ116、第2のセンサ118、及び出力ユニット122のうちの1つ以上と(例えば、有線接続又は無線接続を介して)通信的に結合されてもよい。このような通信は、性質的に電気的及び/若しくは機械的であってもよい、並びに/又は情報、データ、及び/若しくは信号(アナログ及び/若しくはデジタル)を含んでもよい。
【0035】
いくつかの実施形態によれば、コントローラ120は、投薬計画(コントローラ120はこれに合わせて構成されている)に従い、第1のリザーバ106に保持された第1の薬物製品を患者に送達するために、流体送達システム114を動作させてもよい。この投薬計画にわたって、コントローラ120は、(i)第1のセンサ116によって検知された生物学的状態が、第1の所定の値範囲内若しくは外である、又は第1の所定値を上回る若しくは下回る、及び/又は(ii)第2のセンサ118によって検知された生物学的状態が、第2の所定の値範囲内若しくは外である、又は第2の所定値を上回る若しくは下回るという決定に応じて、患者への第1の薬物製品の送達を中断する、終了する、又は抑制する(例えば、低減する又は阻止する)ために流体送達システム114を動作させるように構成されてもよい。追加的に又は代替的に、インターベンション投薬計画の一部として、コントローラ120は、(i)及び/又は(ii)が満たされているという決定に応じて、第2のリザーバ108に保持された第2の薬物製品の患者への送達を開始するために流体送達システム114を動作させるように構成されてもよい。また更に、コントローラは、(i)及び/又は(ii)が満たされているという決定に応じて、患者及び/又は医療提供者に通知するために出力ユニット122を動作するように構成されてもよい。本明細書で使用する場合、「所定の値範囲」は、固定の値範囲、及び第1の薬物製品の輸注前に、例えば、基礎疾患負荷(baseline disease burden)などの患者の疾患の状態により決定され得る1つ以上の変数若しくは入力に従った式又はアルゴリズムによって生成された値を含む。
【0036】
コントローラ120は、第1のセンサ110及び/又は第2のセンサ112から受信された出力(例えば、信号、データ、情報等)を解析し、この解析に基づいて、(i)及び/又は(ii)が満たされているかどうかに関する決定を行うように構成されてもよいが、コントローラ120がこの解析及び決定を担う必要はないことに留意されたい。例えば、外部コンピューティングデバイスが第1のセンサ110及び/又は第2のセンサ112からの出力の解析を担ってもよく、次いで、(i)及び/又は(ii)に関するその決定をコントローラ120に通信してもよい。
【0037】
出力ユニット122は、ディスプレイ(例えば、液晶ディスプレイ)、タッチスクリーン、光(例えば、発光ダイオード)、バイブレータ(例えば、電子機械的振動要素)、機械的若しくは色変化フラグ部材、スピーカ、アラーム、及び/又は任意の他の適切なデバイスを含む、患者又は使用者に情報を伝えるのに適した任意のデバイスであってもよい。
【0038】
図2は、患者102の様々な生物学的状態を検知し、インターベンション投薬計画を医療提供者からの最小限の入力で又は入力なしで実施することができるように、これらの検知された生物学的状態に従って薬物送達システム100を自動的に制御するための、図1の薬物送達システム100などの薬物送達システムを動作させる方法200を示す。図2のフローチャートを簡単に確認すると、図2による方法200は、患者102の様々な生物学的状態及びこれらの状態に応じて又は関連して行われるアクションの決定を示すことは理解されよう。方法200は特定の決定及びアクションを含むが、本開示による薬物送達システムを動作させる方法の他の実施形態は、図2と関連して記載されている決定及びアクションのいくつかのみを含んでもよい、並びに/又は追加の決定及びアクションを含んでもよいことも理解すべきである。更に、方法200は、支持的ケア及び/又は抗サイトカイン剤の輸注を伴うCRSインターベンションに関するものであるが、この方法に関連する一般原則は、様々な状況における広範なインターベンション投薬手法に適用可能であると理解すべきである。
【0039】
方法200は、ブロック202において、免疫療法剤を含む第1の薬物製品の輸注により開始してもよい。いくつかの実施形態では、免疫療法剤は、二重特異性T細胞誘導(例えば、BiTE(登録商標))抗体コンストラクト(例えば、ブリナツモマブ)又はCAR-T細胞受容体(例えば、抗CD19CAR-T細胞)を含んでもよい。第1の薬物製品は、第1の投与部材110を介して第1のリザーバ106から患者102に第1の薬物製品を排出するための流体送達システム114をコントローラ120により自動的に動作させることによって患者102に送達されてもよい。薬物送達前に、第1の投与部材110は、例えば、静脈又は体腔、皮下組織等と流体連通するように、患者102に挿入されてもよい。いくつかの実施形態では、流体送達システム100は、患者又は医療提供者によって開始されると、注入部位にて第1の投与部材110を自動的に挿入するための挿入機構を含んでもよい。特定のそのような実施形態では、予備的な工程として、挿入機構のハウジング又は薬物送達システム全体を患者の皮膚に接着させてもよい。他の実施形態では、第1の投与部材110は、注入部位にて手動で挿入されてもよい。
【0040】
コントローラ120は、所定の投薬計画に従い、指定された流量で及び/又は指定された時間にわたって継続的に患者102に第1の薬物製品を輸注するように流体送達システム114を制御するように、患者102、医療提供者、又はデバイス製造業者によって構成(例えば、事前構成)されてもよい。いくつかの実施形態では、これには、約(例えば、±10%)24時間の期間にわたって約(例えば、±10%)10mL/hで、又は約(例えば、±10%)48時間の期間にわたって約(例えば、±10%)5mL/hで、又は7日間の期間にわたって約(例えば、±10%)0.6mL/hで、又は任意の他の適切な流量及び/若しくは期間で第1の薬物製品を輸注することを伴ってもよい。いくつかの実施形態によれば、特定の送達流量は指定されなくてもよく、コントローラ120は、例えば、数分、数十分、1時間、数時間(例えば、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、18、24、36、若しくは48時間、又は22.5時間などそれらの端数)の期間を含む、薬物送達が行われる特定の期間に設定されるだけでよい。更に別の実施形態では、特定の流量も特定の期間もコントローラ120に構成されなくてもよく、その代わりに、コントローラ120は、第1のリザーバ106から第1の薬物製品を、背圧、温度、薬物の粘度等などの環境因子に応じて異なり得る一般的な時間枠にわたって自然に排出するエネルギー源(例えば、ばね又は加圧ガス若しくは流体の供給源)を単に起動又は解放してもよい。流体送達システム100が可搬式ではない及び/又は薬物送達の期間が非常に長い実施形態では、患者が食事、睡眠等のような必須なことのために休憩を取ることができるように、患者は、コントローラ120又はその他を介して、第1の薬物製品の送達を中断する能力を有してもよい。
【0041】
第1の薬物製品の輸注の開始と同時に又はその直前若しくは直後に、1つ以上のセンサが患者102の1つ以上の生物学的状態を検知するように構成されてもよい。生物学的状態は、方法200の期間全体にわたって継続的に又は断続的に検知されてもよい。センサによっては、センサは、患者の皮膚の表面に接触した状態で配置され、患者の皮膚の表面に取り外し可能に取り付けられ(例えば、接着され)てもよく、患者に挿入されてもよく(例えば、患者の皮下組織に挿入される、消化管に挿入される等)、患者内に植え込まれてもよく、又は患者から短い距離内に配置されてもよい。本実施形態では、第1のセンサ116は、患者102内のサイトカインのレベル又はサイトカインのレベルの変化を検知するために患者の組織に挿入されてもよく(図2のブロック204を参照)、第2のセンサ118は、患者の体温を検知するために患者の皮膚の表面と接触した状態で配置されてもよい(図2のブロック206を参照)。第1のセンサ116が第1の投与部材110に組み込まれた実施形態では、患者への第1のセンサ116の挿入は、患者への第1の投与部材110の挿入によって達成されてもよい。代替的な実施形態では、第1のセンサ116は患者内に挿入されなくてもよく、汗(例えば、エクリン汗)を収集し、収集した汗中のサイトカインのレベル又はサイトカインのレベルの変化を検知するために、むしろ、患者の皮膚の表面に配置されてもよい。更に、特定の実施形態では、第1のセンサ116又は第2のセンサ118は省略されてもよい。また更に、いくつかの実施形態では、第1のセンサ116と第2のセンサ118は単一ユニットに互いに物理的に統合されてもよい。
【0042】
その後、方法200はブロック208に進み、そこで、患者102がCRSの症状又は徴候を示しているかどうかの決定が行われる。決定は、(i)第1のセンサ116によって検知された生物学的状態が、第1の所定の値範囲内若しくは外である、又は第1の所定値を上回る若しくは下回る、及び/又は(ii)第2のセンサ118によって検知された生物学的状態が、第2の所定の値範囲内若しくは外である、又は第2の所定値を上回る若しくは下回るかどうかに基づいてもよい。前述の文及び本開示の全体にわたる他の場所における、「及び/又は」での「及び」の使用は、患者がCRSの徴候を示していると決定されるためには(i)及び(ii)の両方が満たされている必要があることを示唆する。その一方で、「及び/又は」での「又は」は、患者がCRSの徴候を示していると決定されるためには(i)又は(ii)のうちの1つのみが満たされている必要があることを示唆する。患者がCRSの徴候を示しているかどうかを決定するために、追加的及び/又は代替的な条件若しくは因子が評価されてもよい。更に、いくつかの実施形態では、ブロック208における決定は、コントローラ120のメモリ又は別の場所に記憶され得るデータベース、参照テーブル、及び/又はアルゴリズムの参照によって達成されてもよい。
【0043】
いくつかの実施形態では、ブロック208における決定は、第1のセンサ116及び/又は第2のセンサ118からの出力(例えば、情報、データ、信号等)をコントローラ120で受信し、その後、その出力をコントローラ120で解析し、(i)及び/又は(ii)が満たされているかどうかを決定することによって達成されてもよい。しかしながら、代替的な実施形態では、コントローラ120はこの決定に関与しなくてもよい。その代わりに、例えば、外部コンピューティングユニット(例えば、外部コンピューティングユニット104)が第1のセンサ116及び/又は第2のセンサ118からの出力を受信し(例えば、有線通信又は無線通信を介してセンサから直接的又は間接的に受信される)、その後、この出力を解析し、(i)及び/又は(ii)が満たされているかどうかを決定してもよい。外部コンピューティングユニットは、その後、その決定を(例えば、有線通信又は無線通信を介して)コントローラ120に通知してもよく、コントローラ120は、決定に基づいて適切なアクションを取ってもよい。
【0044】
ブロック208においてCRSインターベンションが必要ないと決定された場合、方法200は、第1の薬物製品の輸注を継続し、患者102の1つ以上の生物学的状態の監視を続けてもよい(ブロック210を参照)。その一方で、ブロック208においてCRSインターベンションが必要である又は推奨されると決定された場合、方法200は、ブロック212に進んでもよい。ブロック212において、コントローラ120は、そのプログラミング又は他の構成に従って、患者への第1の薬物製品の送達を中断する又は抑制するために流体送達システム114を動作させてもよい。いくつかの実施形態では、コントローラ120はまた、この段階で、CRSの症状が検出されたこと、及び/又は、結果的に、第1の薬物製品の投与が中断又は抑制されていることを患者及び/又は医療提供者に(例えば、視覚出力及び/又は音声出力によって)通知するように出力ユニット122を制御してもよい。追加的に又は代替的に、コントローラ120は、患者102がCRSの症状を発現していることを、遠隔にいる医療提供者、家族、友人、及び/又は他の個人若しくは実体に外部コンピューティングデバイス104を介して通知され得るように、出力ユニットとして機能し得る外部コンピューティングデバイス104に信号を送信してもよい。
【0045】
ブロック212においてコントローラ120に第1の薬物製品の送達を自動的に中断又は抑制させる代わりとして、第1の薬物製品の送達は、出力ユニット122、外部コンピューティングデバイス104、及び/又は別のデバイスを介してCRSの発症に関する通知を受信した後、患者102及び/又は医療提供者が手動で中止することができる。
【0046】
ブロック212におけるアクションの後、又はこれと同時に、CRSの症状を治療するために抗サイトカイン剤の投与が必要かどうかに関する決定が行われてもよい(図2のブロック214を参照)。この決定は、コントローラ120又は外部コンピューティングユニット104などの別のデバイスによって行われてもよい。更に、この決定は、(i)第1のセンサ116によって検知された生物学的状態が、第1の所定の値範囲内若しくは外である、又は第1の所定値を上回る若しくは下回る、及び/又は(ii)第2のセンサ118によって検知された生物学的状態が、第2の所定の値範囲内若しくは外である、又は第2の所定値を上回る若しくは下回る度合い又は程度に基づくものであってもよい。ブロック214において、追加的及び/又は代替的な条件若しくは因子も評価されてよい。
【0047】
ブロック214において抗サイトカイン剤の投与が不必要であると決定された場合、方法200は、ブロック218に進んでもよい。ここで、医療提供者及び/又は患者は、CRSの影響を緩和するために、抗サイトカイン剤の投与を伴わない支持的ケアを提供するように指示されてもよい。コントローラ120により生成され得るこの指示は、出力ユニット122及び/又は外部コンピューティングデバイス104を介して医療提供者及び/又は患者に通信されてもよい。この指示は、視覚、音声、及び/又は任意の他の形態の通信であってもよい。いくつかの実施形態では、支持的ケアは、解熱薬製品及び/又はIV流体を患者102に静脈内又はその他で投与することを含んでもよい。この投与工程は、いくつかの実施形態では手動で実施されてもよい、及び/又は薬物送達システム100が関与しなくてもよい。しかしながら、他の実施形態では、流体送達システム100は、解熱薬製品及び/又はIV流体を収容した1つ以上のリザーバを含んでもよく、コントローラ120は、流体送達システム114を自動的に動作させて、投与部材(第1の投与部材110、第2の投与部材112、又は別の投与部材を含むがこれらに限定されない)を介して解熱薬製品及び/又はIV流体を患者に送達してもよい。
【0048】
ブロック218において支持的ケアが提供されている間、1つ以上のセンサは、患者の1つ以上の生物学的状態を監視し続けてもよい。その後、所定の期間後に、例えば、CRSの症状が沈静化したという事実に鑑みて、第1の薬物製品の輸注を再開することができるかどうかについての決定が行われてもよい(ブロック220を参照)。この決定は、コントローラ120又は外部コンピューティングユニット104などの別のデバイスによって行われてもよい。更に、この決定は、逆であるという点を除いて、ブロック208で実施された決定に類似し得る。ブロック218において、追加的及び/又は代替的な条件若しくは因子が評価されてもよい。
【0049】
ブロック220において第1の薬物製品の送達の再開が適切であると決定された場合、コントローラ120は、第1のリザーバ106から患者102への第1の薬物製品の送達を再開するように流体送達システム114を自動的に制御してもよい。その後、方法200は再び最初から開始されてもよい。これとは対照的に、ブロック220における決定が、第1の薬物製品の送達の再開が適切ではないというものであった場合、コントローラ120は、患者102への第1の薬物製品の任意の追加的な送達を終了又は阻止してもよく、方法200は終了されてもよい。
【0050】
ブロック214を再び参照すると、ブロック214において抗サイトカイン剤の投与が必要であると決定された場合、方法200は、ブロック216に進んでもよい。ここで、コントローラ120は、患者102への第1の薬物製品の任意の追加的な送達を終了してもよい。代替的な実施形態では、ブロック216において、コントローラ120は、患者への第1の薬物製品の送達を単に中断又は抑制してもよい。
【0051】
次いで、方法200は、第2のリザーバ108から患者102への第2の薬物製品の送達が開始され得るブロック226に進んでもよい。第2の薬物製品は、CRS、又は第1の薬物製品の投与によって誘発された別の状態若しくは症候群を治療することができる。いくつかの実施形態では、第2の薬物製品は、抗サイトカイン剤を含んでもよい。抗サイトカイン剤は、例えば、コルチコステロイド(例えば、デキサメサゾン)、抗インターロイキン-6(IL-6)受容体抗体(例えば、トシリズマブ)、及び/又は抗IL-6キメラモノクローナル抗体(例えば、シルツキシマブ)を含んでもよい。第2の薬物製品は、第2の投与部材112を介して第2のリザーバ108から患者102に第2の薬物製品を排出するための流体送達システム114をコントローラ120により自動的に動作させることによって患者102に送達されてもよい。方法200の開始前に、又はブロック226の直前に、第2の投与部材112は、例えば、静脈又は体腔、皮下組織等と流体連通するように、患者102に挿入されてもよい。いくつかの実施形態では、流体送達システム100は、患者又は医療提供者によって開始されると、注入部位にて第2の投与部材112を自動的に挿入するための挿入機構を含んでもよい。特定のそのような実施形態では、予備的な工程として、挿入機構のハウジング又は薬物送達システム全体を患者の皮膚に接着させてもよい。他の実施形態では、第2の投与部材112は、静脈内に又は注入部位にて手動で挿入されてもよい。
【0052】
更に別の代替的な実施形態では、第2の薬物製品は、第1の投与部材110を介して患者102に送達されてもよい。このような代替的な実施形態では、コントローラ120は、第2の薬物製品の送達に先立って、第1の投与部材110が第1のリザーバ106ではなく第2のリザーバ108と流体連通するようにバルブ部材を制御してもよい。
【0053】
コントローラ120は、所定の投薬計画に従い、指定された流量で及び/又は指定された時間にわたって継続的に患者102に第2の薬物製品を輸注するように流体送達システム114を制御するように、患者102、医療提供者、又はデバイス製造業者によって構成(例えば、事前構成)されてもよい。いくつかの実施形態では、これには、約(例えば、±10%)2時間の期間にわたって約(例えば、±10%)10mL/hで、又は約(例えば、±10%)4時間の期間にわたって約(例えば、±10%)5mL/hで、又は任意の他の適切な流量及び/若しくは期間で第2の薬物製品を輸注することを伴ってもよい。いくつかの実施形態によれば、特定の送達流量は指定されなくてもよく、コントローラ120は、例えば、数分、数十分、1時間、数時間(例えば、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、18、24、36、若しくは48時間、又は22.5時間などそれらの端数)の期間を含む、第2の薬物製品の送達が行われる特定の期間に設定されるだけでよい。更に別の実施形態では、特定の流量も期間もコントローラ120に構成されなくてもよく、その代わりに、コントローラ120は、第2のリザーバ108から第2の薬物製品を、背圧、温度、薬物の粘度等などの環境因子に応じて異なり得る一般的な時間枠にわたって自然に排出するエネルギー源(例えば、ばね又は加圧ガス若しくは流体の供給源)を単に起動又は解放してもよい。流体送達システム100が可搬式ではない及び/又は第2の薬物製品の送達の期間が非常に長い実施形態では、患者が食事、睡眠等のような必須なことのために休憩を取ることができるように、患者は、コントローラ120又はその他を介して、第2の薬物製品の送達を中断する能力を有してもよい。
【0054】
前述の方法は、有利には、CRS又は薬物製品の投与によって誘発された他の症候群若しくは状態の自動検出及び治療を提供する。これにより、CRS又は他の症候群若しくは状態の早期の特定につながる可能性があることで、この治療に成功することができる可能性が高まる。更に、薬物治療後にCRSなどの副作用について患者を監視する医療提供者の負担が軽減される。
【0055】
本開示の他の実施形態によれば、図2に関連して記載した方法200の様々な態様は、任意である又は省略されるものと考えてよいと理解すべきである。例えば、ブロック214において、抗サイトカイン剤が投与されるべきかどうかに関する決定を行う必要がない場合がある。ブロック214におけるこの決定が省略される場合、当該方法は、ブロック208においてCRSインターベンションが必要であると決定された場合、ブロック208からブロック216に直接進む。
【0056】
ここで図3を参照すると、前述の薬物送達システム100のオンボディ型インジェクタ実装形態が記載されている。図3に示されるオンボディ型インジェクタの様々な要素は、図1に示される薬物送達システム100の要素の機能に類似している。図3において、これらの要素には、図3では200が足されていることを除いて、図1と同じ参照番号が割り当てられている。これらの要素のいくつかの説明は、簡潔にするために、簡略化される又は排除される。更に、図3に示されるオンボディ型インジェクタは、図2と関連して記載した方法200に従い使用されてもよい。
【0057】
図3は、挿入機構305と、第1のリザーバ306と、第2のリザーバ308と、流体経路接続アセンブリ307と、流体送達システム314と、コントローラ320とを含み、そのそれぞれは、主要ハウジング329の内部空間内に配置されてもよいオンボディ型インジェクタ300を示す。アクチュエータ328(例えば、使用者が押すことができるボタン、タッチスクリーン、マイクロフォン等)は、ハウジング329の外部表面から突出してもよく、そうでなければハウジング329の外部表面に配置されてもよく、機械的手段及び/又は電気的手段(図3に破線で示す)により、挿入機構305、流体経路接続アセンブリ307、流体送達システム314、コントローラ320、並びに/又は他の機構及び/若しくは電子機器を起動することによってオンボディ型インジェクタ300の動作を開始するように構成されてもよい。アクチュエータ328が使用者又は患者によって押される又は別の手法で物理的に動作されるボタンである実施形態において、アクチュエータ328は、挿入機構305、流体経路接続アセンブリ307、流体送達システム314、コントローラ320、及び/又は他の要素を起動するのに必要な原動力を作用させるように構成されてもよい。このような実施形態では、アクチュエータ328を手で押すこと又はアクチュエータ328と別の手法で相互作用することで、挿入機構305、流体経路接続アセンブリ307、流体送達システム314、及び/又は他の要素を起動するのに必要な原動力を供給するように、アクチュエータ328は、直接的に又は機械的リンク機構を介して間接的に、挿入機構305、流体送達システム314、流体経路接続アセンブリ307、及び/又は他の機構に物理的に接続されてもよい。例えば、いくつかの実施形態では、アクチュエータ328を手で押すことにより、流体経路接続アセンブリ307を定置されたリザーバ306及びリザーバ308に向かって移動させ、又はその代わりに、可動リザーバ306及びリザーバ308を定置された流体経路接続アセンブリ307に向かって移動させ、それにより、容器アクセス針を各シール部材に貫通させてリザーバ306及びリザーバ308の各薬物収容チャンバに入れてもよい。追加的に又は代替的に、アクチュエータ328は、電気的及び/又は機械的信号をコントローラ320に送信する入力デバイスとして動作してもよく、コントローラ320は更に、挿入機構305、流体送達システム314、流体経路接続アセンブリ305、及び/又は他の要素の動作を制御するためのプログラム可能命令を実行してもよい。このような実施形態では、コントローラ320は、プロセッサ(例えば、マイクロプロセッサ)と、プロセッサによって実行されるプログラム可能命令を記憶するための非一時的メモリとを含んでもよい。更に、このような実施形態では、流体送達システム314は、アクチュエータ328とは別個のものであり、コントローラ320から受信された電気制御信号に応答して、挿入機構305、流体経路接続アセンブリ307、流体送達システム314、及び/又は他の要素を起動するのに必要な原動力を作用させる内部アクチュエータ(例えば、電気モータ、空気圧式若しくは油圧式ポンプ及び/又は加圧ガス若しくは液体源)を含んでもよい。
【0058】
図3を引き続き参照すると、ハウジング329は、患者の皮膚311に取り外し可能に取り付けられる(例えば、接着剤によって接着される)ように構成された底壁325と、出力ユニット322(例えば、ライト、グラフィカルディスプレイ、スピーカ等などの視覚及び/又は音声インジケータ)及び/又はリザーバ306及びリザーバ308を見るための窓335を含む頂壁327と、を含んでもよい。開口部331が底壁325に形成されてもよく、任意選択的に、貫通可能なセプタムなどの貫通可能な滅菌バリア333が開口部331にわたって延び、使用前にハウジング329の内部を密封していてもよい。いくつかの実施形態では、貫通可能な滅菌バリア333は省略されてもよく、その代わりに、使用前に、取り外し可能なシーリング部材(図示せず)が開口部331を覆い、密閉してもよい。
【0059】
ハウジング329の底壁325が患者の皮膚311に取り付けられた後、挿入機構305を起動して、この場合はカニューレ323を含む投与部材310を、ハウジング329内の後退位置からハウジング329の外に延びる展開位置に移動させてもよい。本実施形態では、これには、図3に示されるように、挿入機構305が、トロカール又はイントロデューサ部材321とイントロデューサ部材321を取り囲むカニューレ323とを、貫通可能な滅菌バリア333を通して患者の組織に挿入することを含んでもよい。その直後又はその後間もなく、挿入機構305は、イントロデューサ部材321を自動的に後退させ、カニューレ323の先端側開端部を、それぞれリザーバ306及びリザーバ308からの第1の薬物製品及び第2の薬物製品の皮下送達のために患者の内部に残してもよい。イントロデューサ部材321は中実であり、患者の皮膚311に穿孔するために鋭利な端部を有してもよい。更に、イントロデューサ部材321は、カニューレ323よりも剛性の高い材料で作製されてもよい。いくつかの実施形態では、イントロデューサ部材321は金属製であってもよく、カニューレ323はプラスチック又は別のポリマー製であってもよい。カニューレ323の相対的な可撓性により、患者に痛み又は顕著な不快感を生じさせることなく、ある期間にわたってカニューレ323を患者の組織内に皮下配置することを可能にしてもよい。他の実施形態(図示せず)では、イントロデューサ部材321及びカニューレ323は省略されてもよく、その代わりに、挿入機構305は、薬物製品の皮下送達のために、剛性中空針のみを患者に挿入してもよい。
【0060】
いくつかの実施形態では、挿入機構305は、初めは付勢された状態に保持され、アクチュエータ328を押すと、イントロデューサ部材321及びカニューレ323又は剛性中空針を患者に挿入するために解放される1つ以上のばね(例えば、圧縮コイルばね、引張コイルばね、ねじりコイルばね、螺旋ねじりばね等)を含んでもよい。更に、イントロデューサ部材321の後退は、イントロデューサ部材321及びカニューレ323が患者に挿入された後、別のばねの自動解放によって達成されてもよい。例えば、電気モータ、油圧式若しくは空気圧式ポンプ又は加圧ガス若しくは加圧液体を放出して作動エネルギーを提供するキャニスタを含む、挿入及び/又は後退のための他の動力源も考えられる。
【0061】
引き続き図3を参照すると、一部の文脈では一次容器と呼ばれることのある第1のリザーバ306は、第1の薬物製品が充填される又は充填可能な内部空間を画定する内部表面と外部表面とを有する壁338aを含んでもよい。いくつかの実施形態では、オンボディ型インジェクタ300に第1のリザーバ306を取り付ける前に、薬物製造業者により第1のリザーバ306に第1の薬物製品が事前充填されてもよい。いくつかの実施形態では、第1のリザーバ306をハウジングに対して動かすことができないように、第1のリザーバ306はハウジング329に強固に接続されてもよく、その一方で、他の実施形態では、オンボディ型インジェクタ300の動作中に第1のリザーバ306をハウジング329に対して動かすことができるように、第1のリザーバ306は、ハウジング329に摺動可能に接続されてもよい。第1のリザーバ306は、長手方向軸線A1に沿って延びる細長いバレル状の又は円筒状の形状を有してもよい。いくつかの実施形態では、第1のリザーバ306の長手方向軸線A1は、挿入機構305が投与部材310を患者に挿入する方向に垂直、又は実質的に垂直、又はそうでなければ非平行であってもよい。この構成は、オンボディ型インジェクタが、患者の動きを妨げることなく患者が装着することができる略平坦な薄型形状を有することを可能にし得る。最初に、ストッパ334a又は他のプランジャ部材が、第1のリザーバ306の基端部336aにおいて第1のリザーバ306内に配置されてもよい。ストッパ334aは、第1のリザーバ306の壁338aの内部表面に密閉的に且つ摺動可能に係合してもよく、第1のリザーバ306の壁338aに対して移動可能であってもよい。
【0062】
第2のリザーバ308は、第1のリザーバ306と同様に構成されてもよい。同様の構成要素は、第2のリザーバ308に対する図3の接尾辞「a」の代わりに、接尾辞「b」を伴って示される。
【0063】
図示される実施形態においては第1のリザーバ306と第2のリザーバ308は互いに垂直に積み重ねられているが、代替的な実施形態では、第1のリザーバ306及び第2のリザーバ308は、オンボディ型インジェクタの高さを制限するために、共通水平面上に配置されてもよい。
【0064】
第1のリザーバ306内に収容される第1の薬物製品の量、又は第2のリザーバ308内に収容される第2の薬物製品の量は、約(例えば、±10%)0.5~100mLの範囲内の任意の量、又は約(例えば、±10%)0.5~50mLの範囲内の任意の量、又は約(例えば、±10%)0.5~25mLの範囲内の任意の量、約(例えば、±10%)0.5~10mLの範囲内の任意の量、又は約(例えば、±10%)1~10mLの範囲内の任意の量、又は約(例えば、±10%)1~8mLの範囲内の任意の量、又は約(例えば、±10%)1~5mLの範囲内の任意の量、又は約(例えば、±10%)1~3mLの範囲内の任意の量、又は約(例えば、±10%)3mL以上の任意の量、又は約(例えば、±10%)10mL以上の任意の量、又は約(例えば、±10%)25mL以上の任意の量、又は約(例えば、±10%)50mL以上の任意の量、又は約(例えば、±10%)60mL以上の任意の量、又は約(例えば、±10%)75mL以上の任意の量であってもよい。
【0065】
オンボディ型インジェクタ300の動作中、第1の薬物製品及び第2の薬物製品をそれら各々のリザーバから一度に1つずつ排出するために、流体送達システム314は、ストッパ334a及びストッパ334bをそれら各々の長手方向軸線A1及び長手方向軸線A2に沿って、基端部336a又は基端部336bからそれら各々のリザーバの先端部337a又は先端部337bまで選択的に押してもよい。代替的な実施形態では、流体送達システム314は、第1の薬物製品と第2の薬物製品を同時に排出するために、ストッパ334a及びストッパ334bを同時に押すように構成されてもよい。いくつかの実施形態では、流体送達システム314は、初めは付勢された状態に保持され、アクチュエータ328及び/又は別のアクチュエータを押すと解放される1つ以上のばね(例えば、圧縮コイルばね、引張コイルばね、ねじりコイルばね、螺旋ねじりばね等)を含んでもよい。ばねは、その解放後、伸張又は収縮し、ストッパ334a及びストッパ334bをそれら各々のリザーバ内で移動させ、それら各々のリザーバ内に収容された薬物製品を排出することができる。他の実施形態では、流体送達システム314は、例えば1つ以上のスプロケットギアを含むギア機構を回転させて、ストッパ334a及びストッパ336bの、それら各々のリザーバ内における軸方向運動を生じさせる電気モータを含んでもよい。更に別の実施形態では、流体送達システム314は、電気モータ及びばねの両方を含んでもよく、電気モータは、ばねの伸張を、テザー又はプーリシステムを介して調整する。更に別の実施形態では、流体送達システム314は、加圧ガス又は加圧液体を放出して作動エネルギーを提供するキャニスタを含んでもよい。
【0066】
各リザーバの先端部337a又は先端部337bにおいて、壁338a又は壁338bの先端部表面に開口部が形成されてもよい。先端部表面は、外部表面又は壁338a若しくは壁338bの一部分を画定してもよい。オンボディ型インジェクタ300の動作前、開口部は、各々のリザーバの先端部337a又は先端部337bに接続された、貫通可能なセプタムなどのシール部材340a又はシール部材340bによって覆われ、密閉されていてもよい。概して、シール部材340a及びシール部材340bは、それぞれ、リザーバ306及びリザーバ308へのアクセスを選択的に可能にするように構成されてもよい。動作中、シール部材340a及びシール部材340bは、リザーバ306及びリザーバ308内の第1の薬物製品及び第2の薬物製品との流体連通を可能にするために、物理的に変更されてもよい(例えば、穴が開けられる)。いくつかの実施形態では、シール部材340a及びシール部材340bは、それぞれ、流体経路接続アセンブリ307の容器アクセス針360a又は容器アクセス針360bの鋭利な端部、即ち先端363a又は363bによって貫通させる又は穴を開けることができる、例えばゴムなどの可撓性の又は弾性的に変形可能な材料で作製されてもよい。
【0067】
引き続き図3を参照すると、流体経路接続アセンブリ307は、オンボディ型インジェクタ300の使用中に、リザーバ306又はリザーバ308のそれぞれと挿入機構305との間に滅菌流体流路を介して流体連通を選択的に確立するように構成されてもよい。オンボディ型インジェクタ300の使用前、流体経路接続アセンブリ307は、リザーバ306及びリザーバ308のいずれとも流体連通していなくてもよい。オンボディ型インジェクタ300のセットアップ中又はオンボディ型インジェクタ300の動作中ではあるが薬物送達前に、必要な接続を使用者が手動で又はオンボディ型インジェクタ300が自動的に有効にし、接続し、又は開放し、一方において流体経路接続アセンブリ307と第1のリザーバ306及び/又は第2のリザーバ308との間に流体連通を確立してもよい。その後、流体送達システム314は、第1の薬物製品及び第2の薬物製品を、患者への皮下送達のために、流体経路接続アセンブリ307の滅菌流体流路を通してカニューレ333又は針又は他の投与部材に選択的に押し込むために、ストッパ334a及びストッパ334bを先端側方向に選択的に移動させてもよい。
【0068】
流体経路接続アセンブリ307は、第1のリザーバ306及び第2のリザーバ308に流体連通した状態で選択的に接続される第1端部344と、挿入機構305と流体連通した状態で接続された第2端部348と、第1端部344と第2端部348との間に流体連通を提供する流体通路350と、を含んでもよい。流体通路350は、滅菌してもよく、部分的に又は完全に可撓性チューブ352で作製してもよい。流体経路接続アセンブリ307がハウジング329に対して移動することを可能にするために、及び/又は流体経路接続アセンブリ307が取り付けられている挿入機構305の構成要素がハウジング329に対して移動することを可能にするために、最初に、可撓性チューブ352にたるみがあってもよい。
【0069】
引き続き図3を参照すると、流体経路接続アセンブリ307の第1端部344は、第1の容器アクセス針360a及び第2の容器アクセス針360bを含んでもよい。流体経路接続アセンブリ307の起動前、容器アクセス針360a及び容器アクセス針360bは、容器アクセス針360a及び容器アクセス針360bの基端部がそれぞれ外部に配置されていることで、それぞれ、第1のリザーバ306及び第2のリザーバ308と流体連通していない格納位置に保持されていてもよい(図3に見られるように)。流体経路接続アセンブリ307の動作中、第1の容器アクセス針360aは、第1のリザーバ306に向かって、第1の容器アクセス針360aの基端部が第1のリザーバ306と流体連通する動作位置へと移動してもよい。このアクションと同時に、又はオンボディ型インジェクタ300の使用中の後の時間に、流体経路接続アセンブリ307は第2の容器アクセス針360bを第2のリザーバ308に向かって、第2の容器アクセス針360bの基端部が第2のリザーバ308と流体連通する動作位置へと移動させてもよい。その後、流体送達システム314は、リザーバに保持された第1の薬物製品及び/又は第2の薬物製品を、患者への皮下送達のために、各容器アクセス針360a及び容器アクセス針360bを通して、その後、流体経路接続アセンブリ307の滅菌流体流路を通して、その後、カニューレ323又は針又は挿入機構305の他の投与部材に排出するために、ストッパ334a及び/又はストッパ334bを先端側方向に移動させてもよい。
【0070】
いくつかの実施形態では、流体経路接続アセンブリ307は、第1の容器アクセス針360aと流体通路350との間の流体連通、又はその代わりに、第2の容器アクセス針360bと流体通路350の間の流体連通を選択的に可能にするように、コントローラ320によって作動可能なバルブ部材380を含んでもよい。
【0071】
オンボディ型インジェクタ300はまた、患者の1つ以上の生物学的状態を検知するように動作可能な1つ以上のセンサを含んでもよい。1つ以上のセンサは、薬物送達システム100と関連して上述したもののいずれか、又は他の種類のセンサであり得る。図3に示される実施形態では、第1のセンサ316及び第2のセンサ318は、ハウジング329の底壁325に配置されている。第1のセンサ316は、患者の皮膚311に挿入可能なマイクロニードルのアレイを含み、第2のセンサ318は、熱電対、又は患者の皮膚311の表面に接触するがこれを貫通しないように配置される生化学物質センサ(例えば、皮膚又は汗センサ)を含む。第1のセンサ316及び第2のセンサ318の他の構成も可能である。第1のセンサ316は、生化学物質のレベル又は生化学物質のレベルの変化を検知するように動作可能であってもよく、第2のセンサ318は、患者の深部体温、皮膚温、及び/又は生化学物質のレベル若しくは生化学物質のレベルの変化を検知するように動作可能であってもよいが、第1のセンサ316及び第2のセンサ318はこのような検知機能に限定されず、本明細書に言及される生物学的状態及びその他のいずれかを検知するように動作可能であってもよい。本実施形態では、第1のセンサ316によって検知される生化学物質は、サイトカイン、ケモカイン、及び/又はCRSを示す他のバイオマーカーを含んでもよい。代替的な実施形態では、第1のセンサ116又は第2のセンサ118のいずれかは省略されてもよい。更に、センサはまた、監視すべき生物学的状態に応じて含まれてもよい。
【0072】
別段の構造又は構成の違いを要する場合を除いて、図3に示されるオンボディ型インジェクタ300は、上述の薬物送達システム100と同様に動作してもよい、及び/又は図2の方法200若しくはその特定の部分と関連して記載されたインターベンション投薬計画を実施するために使用されてもよい。
【0073】
理解されるように、本開示によるシステム、デバイス、及び方法は、従来技術と比較して1つ以上の利点を有し得る。そのうちのいずれか1つ以上は、特定の実施形態に、その実施形態に含まれる本開示の特徴に従い存在し得る。本明細書に特に記載されていない他の利点も同様に認識され得る。
【0074】
薬物情報
上記の記載では、薬物送達デバイスと共に使用するための様々なアセンブリ、デバイス、及び方法について説明している。アセンブリ、薬物送達システム若しくはデバイス、又は方法は、後述の薬剤の使用を更に含むことができる点を明確にすべきであるが、以下のリストは網羅的でも限定的でもないと考えるべきではないことに留意されたい。薬剤はリザーバ内に入れられる。いくつかの場合では、リザーバは、治療のために薬剤が充填される又は事前充填された一次容器である。一次容器は、カートリッジ又はプレフィルドシリンジ、又はIVバッグなどの非剛性折り畳み式パウチであり得る。
【0075】
例えば、薬物送達デバイス、又はより具体的には、デバイスのリザーバには、顆粒球コロニー刺激因子(G-CSF)などのコロニー刺激因子が充填されてもよい。このようなG-CSF剤には、Neupogen(登録商標)(フィラグラスチム)及びNeulasta(登録商標)(ペグフィグラスチム)が含まれるが、これらに限定されない。他の各種実施形態において、薬物送達デバイスは、赤血球造血刺激因子製剤(ESA)などの様々な医薬品と共に使用してもよく、これらは液体又は凍結乾燥形態であってもよい。ESAは、Epogen(登録商標)(エポエチンアルファ)、Aranesp(登録商標)(ダルベポエチンアルファ)、Dynepo(登録商標)(エポエチンデルタ)、Mircera(登録商標)(メチオキシ(methyoxy)ポリエチレングリコールエポエチンベータ)、Hematide(登録商標)、MRK-2578、INS-22、Retacrit(登録商標)(エポエチンゼータ)、Neorecormon(登録商標)(エポエチンベータ)、Silapo(登録商標)(エポエチンゼータ)、Binocrit(登録商標)(エポエチンアルファ)、エポエチンアルファHexal、Abseamed(登録商標)(エポエチンアルファ)、Ratioepo(登録商標)(エポエチンシータ)、Eporatio(登録商標)(エポエチンシータ)、Biopoin(登録商標)(エポエチンシータ)、エポエチンアルファ、エポエチンベータ、エポエチンゼータ、エポエチンシータ、及びエポエチンデルタなどの赤血球生成を刺激する任意の分子、並びにその各々の全体を参照により本明細書に組み込む以下の特許又は特許出願、米国特許第4,703,008号明細書、米国特許第5,441,868号明細書、米国特許第5,547,933号明細書、米国特許第5,618,698号明細書、米国特許第5,621,080号明細書、米国特許第5,756,349号明細書、米国特許第5,767,078号明細書、米国特許第5,773,569号明細書、米国特許第5,955,422号明細書、米国特許第5,986,047号明細書、米国特許第6,583,272号明細書、米国特許第7,084,245号明細書、及び米国特許第7,271,689号明細書、及びPCT国際公開第91/05867号パンフレット、国際公開第95/05465号パンフレット、国際公開第96/40772号パンフレット、国際公開第00/24893号パンフレット、国際公開第01/81405号パンフレット、及び国際公開第2007/136752号パンフレットに開示される分子又はその変異体若しくは類似体である。
【0076】
ESAは、赤血球産生刺激タンパク質であり得る。本発明で使用する場合、「赤血球産生刺激タンパク質」とは、例えば、受容体に結合し、受容体の二量化を引き起こすことによってエリスロポエチン受容体の活性化を直接的又は間接的に引き起こす任意のタンパク質を意味する。赤血球産生刺激タンパク質としては、エリスロポエチン受容体に結合し、これを活性化させるエリスロポエチン及びその変異体、類似体、又は誘導体;エリスロポエチン受容体に結合し、この受容体を活性化させる抗体;又はエリスロポエチン受容体に結合し、活性化させるペプチドが挙げられる。赤血球産生刺激タンパク質としては、エポエチンアルファ、エポエチンベータ、エポエチンデルタ、エポエチンオメガ、エポエチンイオタ、エポエチンゼータ、及びそれらの類似体、PEG化エリスロポエチン、カルバミル化エリスロポエチン、模倣ペプチド(EMP1/Hematideを含む)、及び模倣抗体が挙げられるが、これらに限定されない。例示的な赤血球産生刺激タンパク質としては、エリスロポエチン受容体に結合し、これを活性化させるエリスロポエチン、ダルベポエチン、エリスロポエチン作動薬変異体、及びペプチド又は抗体(並びに各開示の内容全体を参照により本明細書に組み込む米国特許出願公開第2003/0215444号明細書及び米国特許出願公開第2006/0040858号明細書に報告されている化合物が挙げられる)、並びに各開示の内容全体を参照により本明細書に組み込む以下の特許又は特許出願、米国特許第4,703,008号明細書、米国特許第5,441,868号明細書、米国特許第5,547,933号明細書、米国特許第5,618,698号明細書、米国特許第5,621,080号明細書、米国特許第5,756,349号明細書、米国特許第5,767,078号明細書、米国特許第5,773,569号明細書、米国特許第5,955,422号明細書、米国特許第5,830,851号明細書、米国特許第5,856,298号明細書、米国特許第5,986,047号明細書、米国特許第6,030,086号明細書、米国特許第6,310,078号明細書、米国特許第6,391,633号明細書、米国特許第6,583,272号明細書、米国特許第6,586,398号明細書、米国特許第6,900,292号明細書、米国特許第6,750,369号明細書、米国特許第7,030,226号明細書、米国特許第7,084,245号明細書、及び米国特許第7,217,689号明細書、米国特許出願公開第2002/0155998号明細書、米国特許出願公開第2003/0077753号明細書、米国特許出願公開第2003/0082749号明細書、米国特許出願公開第2003/0143202号明細書、米国特許出願公開第2004/0009902号明細書、米国特許出願公開第2004/0071694号明細書、米国特許出願公開第2004/0091961号明細書、米国特許出願公開第2004/0143857号明細書、米国特許出願公開第2004/0157293号明細書、米国特許出願公開第2004/0175379号明細書、米国特許出願公開第2004/0175824号明細書、米国特許出願公開第2004/0229318号明細書、米国特許出願公開第2004/0248815号明細書、米国特許出願公開第2004/0266690号明細書、米国特許出願公開第2005/0019914号明細書、米国特許出願公開第2005/0026834号明細書、米国特許出願公開第2005/0096461号明細書、米国特許出願公開第2005/0107297号明細書、米国特許出願公開第2005/0107591号明細書、米国特許出願公開第2005/0124045号明細書、米国特許出願公開第2005/0124564号明細書、米国特許出願公開第2005/0137329号明細書、米国特許出願公開第2005/0142642号明細書、米国特許出願公開第2005/0143292号明細書、米国特許出願公開第2005/0153879号明細書、米国特許出願公開第2005/0158822号明細書、米国特許出願公開第2005/0158832号明細書、米国特許出願公開第2005/0170457号明細書、米国特許出願公開第2005/0181359号明細書、米国特許出願公開第2005/0181482号明細書、米国特許出願公開第2005/0192211号明細書、米国特許出願公開第2005/0202538号明細書、米国特許出願公開第2005/0227289号明細書、米国特許出願公開第2005/0244409号明細書、米国特許出願公開第2006/0088906号明細書、及び米国特許出願公開第2006/0111279号明細書、並びにPCT国際公開第91/05867号パンフレット、国際公開第95/05465号パンフレット、国際公開第99/66054号パンフレット、国際公開第00/24893号パンフレット、国際公開第01/81405号パンフレット、国際公開第00/61637号パンフレット、国際公開第01/36489号パンフレット、国際公開第02/014356号パンフレット、国際公開第02/19963号パンフレット、国際公開第02/20034号パンフレット、国際公開第02/49673号パンフレット、国際公開第02/085940号パンフレット、国際公開第03/029291号パンフレット、国際公開第2003/055526号パンフレット、国際公開第2003/084477号パンフレット、国際公開第2003/094858号パンフレット、国際公開第2004/002417号パンフレット、国際公開第2004/002424号パンフレット、国際公開第2004/009627号パンフレット、国際公開第2004/024761号パンフレット、国際公開第2004/033651号パンフレット、国際公開第2004/035603号パンフレット、国際公開第2004/043382号パンフレット、国際公開第2004/101600号パンフレット、国際公開第2004/101606号パンフレット、国際公開第2004/101611号パンフレット、国際公開第2004/106373号パンフレット、国際公開第2004/018667号パンフレット、国際公開第2005/001025号パンフレット、国際公開第2005/001136号パンフレット、国際公開第2005/021579号パンフレット、国際公開第2005/025606号パンフレット、国際公開第2005/032460号パンフレット、国際公開第2005/051327号パンフレット、国際公開第2005/063808号パンフレット、国際公開第2005/063809号パンフレット、国際公開第2005/070451号パンフレット、国際公開第2005/081687号パンフレット、国際公開第2005/084711号パンフレット、国際公開第2005/103076号パンフレット、国際公開第2005/100403号パンフレット、国際公開第2005/092369号パンフレット、国際公開第2006/50959号パンフレット、国際公開第2006/02646号パンフレット、及び国際公開第2006/29094号パンフレットに開示されるエリスロポエチン分子又はその変異体若しくは類似体が挙げられる。
【0077】
本デバイスと共に使用するための他の医薬品の例としては、Vectibix(登録商標)(パニツムマブ)、Xgeva(商標)(デノスマブ)及びProlia(商標)(デノサマブ)などの抗体;Enbrel(登録商標)(エタネルセプト、TNF受容体/Fc融合タンパク質、TNF遮断薬)、Neulasta(登録商標)(ペグフィルグラスチム、PEG化フィルガストリム(filgastrim)、PEG化G-CSF、PEG化hu-Met-G-CSF)、Neupogen(登録商標)(フィルグラスチム、G-CSF、hu-MetG-CSF)、及びNplate(登録商標)(ロミプロスチム)などの他の生物学的製剤;Sensipar(登録商標)(シナカルセト)などの小分子薬物が挙げられ得るが、これらに限定されない。本デバイスは、治療用抗体、ポリペプチド、タンパク質、又は鉄、例えば、フェルモキシトール、鉄デキストラン、グルコン酸第二鉄、及び含糖酸化鉄などの他の化学物質と共に使用してもよい。医薬品は、液体形態であってもよい、又は凍結乾燥形態から再構成されてもよい。
【0078】
特定の例示的なタンパク質の中には、その融合物、断片、類似体、変異体、又は誘導体を含む、以下で説明する特定のタンパク質がある。
【0079】
PCT国際公開第03/002713号パンフレットに開示されるように各々の全体が参照により完全に本明細書に個々に且つ具体的に組み込まれる、上記公報の図2に記載されている配列番号2の軽鎖及び/又は上記公報の図4に記載されている配列番号4の重鎖のいずれかを有するOPGL特異抗体を含み、OPGL特異抗体及び抗体関連タンパク質に関して、特に、上記公報中に記載される配列を有するもので、具体的に、上記中に示されるもの(9H7、18B2、2D8、2E11、16E1、及び22B3)であるが、それらに限定されず、本明細書にその全体が組み込まれる上記公報に記載される抗体を含むが、それに限定されず、完全ヒト化及びヒトOPGL特異抗体、特に、完全ヒト化モノクローナル抗体を含む、(RANKL特異抗体、ペプチボディ等とも称される)OPGL特異抗体、ペプチボディ、及び関連タンパク質等、
【0080】
米国特許出願公開第2004/0181033号明細書及びPCT国際公開第2004/058988号パンフレットに開示されるように各々の全体が参照により完全に本明細書に個々に且つ具体的に組み込まれる、TN8-19-1~TN8-19-40、TN8-19 con1、及びTN8-19 con2を含む、配列番号305~351のものを含む、mTN8-19ファミリーのペプチボディ;配列番号357~383のmL2ファミリー、配列番号384~409のmL15ファミリー、配列番号410~438のmL17ファミリー、配列番号439~446のmL20ファミリー、配列番号447~452のmL21ファミリー、配列番号453~454のmL24ファミリー、及び配列番号615~631ペプチボディを含むがそれに限定されない、特に、ミオスタチン特異的ペプチボディに特に部分的に関連して参照により全体が本明細書に組み込まれる上記公報に記載されている、ミオスタチン特異的ペプチボディを含む、ミオスタチン結合タンパク質、ペプチボディ、及び関連タンパク質等、
【0081】
PCT国際公開第2005/047331号パンフレット又は国際出願PCT/US2004/37242号明細書及び米国特許出願公開第2005/112694号明細書に開示されるように各々の全体が参照により完全に本明細書に個々に且つ具体的に組み込まれる、L1H1、L1H2、L1H3、L1H4、L1H5、L1H6、L1H7、L1H8、L1H9、L1H10、L1H11、L2H1、L2H2、L2H3、L2H4、L2H5、L2H6、L2H7、L2H8、L2H9、L2H10、L2H11、L2H12、L2H13、L2H14、L3H1、L4H1、L5H1、L6H1であるが、これらに限定されず、IL-4受容体特異抗体、特に上記公報に記載されるような抗体等、特に、上記公報に示されるものに特に部分的に関連して、参照によりその全体が本明細書に組み込まれる上記公報に記載されているものを含む、特にIL-4及び/又はIL-13の受容体への結合によって媒介される活動を抑制するもので、IL-4受容体特異抗体、ペプチボディ、及び関連タンパク質等、
【0082】
米国特許出願公開第2004/097712号明細書に開示されるように各々の全体が参照により完全に本明細書に個々に且つ具体的に組み込まれる、上記公報に示されているもの、即ち、15CA、26F5、27F2、24E12、及び10H7であるが、これに限定されない、部分的にIL1-R1特異結合タンパク質、特にとりわけモノクローナル抗体に関連して参照によりその全体が本明細書に組み込まれる上記公報に記載されているものを含むが、これに限定されない、インターロイキン1-受容体1(「IL1-R1」)特異抗体、ペプチボディ、及び関連タンパク質等、
【0083】
以下の公報に開示されるように各々の全体が参照により完全に本明細書に個々に且つ具体的に組み込まれる、特に以下の公報に記載される配列のもので、L1(N)、L1(N)WT、L1(N)1K WT、2xL1(N)、2xL1(N)WT、Con4(N)、Con4(N)1K WT、2xCon4(N)1K、L1C、L1C 1K、2xL1C、Con4C、Con4C 1K、2xCon4C 1K、Con4-L1(N)、Con4-L1C、TN-12-9(N)、C17(N)、TN8-8(N)、TN8-14(N)、Con1(N)を含むがこれらに限定されない、Ang2特異抗体及びペプチボディ等に特に部分的に関連して参照によりその各々の全体が本明細書に組み込まれるPCT国際公開第03/057134号パンフレット及び米国特許出願公開第2003/0229023号明細書に記載されているものを含むがこれに限定されず、また、抗Ang2抗体及び製剤に関して、特に、以下の公報に記載される様々な順列のAb526、Ab528、Ab531、Ab533、Ab535、Ab536、Ab537、Ab540、Ab543、Ab544、Ab545、Ab546、A551、Ab553、Ab555、Ab558、Ab559、Ab565、AbF1AbFD、AbFE、AbFJ、AbFK、AbG1D4、AbGC1E8、AbH1C12、AblA1、AblF、AblK、AblP、及びAblPに関連して参照によりその全体が本明細書に組み込まれるPCT国際公開第2003/030833号パンフレットに記載されているもの等の抗Ang2抗体及び製剤を含む、Ang2特異抗体、ペプチボディ、及び関連タンパク質等、
【0084】
米国特許出願公開第2005/0074821号明細書及び米国特許第6,919,426号明細書に開示されるように各々の全体が参照により完全に本明細書に個々に且つ具体的に組み込まれる、具体的に、上記公報に示されるNGF-特異抗体である4D4、4G6、6H9、7H2、14D10及び14D11を含むがそれに限定されない、NGF-特異抗体及びこれに関連するタンパク質に関して参照によりその全体が本明細書に組み込まれる上記公報に記載されているものを特に含むが、それに限定されない、NGF特異抗体、ペプチボディ、及び関連タンパク質等、
【0085】
例えば、エプラツズマブ(CAS登録番号501423-23-0)のヒトCD22特異完全ヒト化抗体を含むがそれに限定されない、例えば、ヒト-マウスモノクローナルhLL2κ鎖に結合したヒト-マウスモノクローナルhLL2γ鎖二硫化物の二量体等の、特にヒトCD22特異IgG抗体を含むがそれに限定されない、ヒト化及び完全ヒトモノクローナル抗体を含むがそれに限定されない、ヒト化及び完全ヒト抗体等であるが、それに限定されず、具体的には、ヒトCD22特異抗体である、CD22特異抗体及び関連タンパク質に関して参照によりその全体が本明細書に組み込まれる米国特許第5,789,554号明細書に記載されているものなどの、CD22特異抗体、ペプチボディ、及び関連タンパク質等、
【0086】
PCT国際公開第06/069202号パンフレットに開示される各々の全体が参照により完全に本明細書に個々に且つ具体的に組み込まれる、上記公報に示されるIGF-1特異抗体であるL1H1、L2H2、L3H3、L4H4、L5H5、L6H6、L7H7、L8H8、L9H9、L10H10、L11H11、L12H12、L13H13、L14H14、L15H15、L16H16、L17H17、L18H18、L19H19、L20H20、L21H21、L22H22、L23H23、L24H24、L25H25、L26H26、L27H27、L28H28、L29H29、L30H30、L31H31、L32H32、L33H33、L34H34、L35H35、L36H36、L37H37、L38H38、L39H39、L40H40、L41H41、L42H42、L43H43、L44H44、L45H45、L46H46、L47H47、L48H48、L49H49、L50H50、L51H51、L52H52、及びIGF-1R-結合フラグメント及びその誘導体を含むがそれに限定されず、IGF-1受容体特異抗体及び関連タンパク質に関して参照によりその全体が本明細書に組み込まれる上記公報に記載されているものなどの、IGF-1受容体特異抗体、ペプチボディ、及び関連タンパク質等、
【0087】
また、本発明の方法及び組成物で使用するための抗IGF-1R抗体の非限定的例の中には、以下に記載されているものの各々がある。
(i)米国特許出願公開第2006/0040358号明細書(2006年2月23日公開)、米国特許出願公開第2005/0008642号明細書(2005年1月13日公開)、米国特許出願公開第2004/0228859号明細書(2004年11月18日公開)に記載されている、例えば、抗体1A(DSMZ受託番号DSM ACC 2586)、抗体8(DSMZ受託番号DSM ACC 2589)、抗体23(DSMZ受託番号DSM ACC 2588)、及び抗体18を含むがこれらに限定されない、
(ii)PCT国際公開第06/138729号パンフレット(2006年12月28日公開)及びPCT国際公開第05/016970号パンフレット(2005年2月24日公開)、及びLu et al.(2004),J.Biol.Chem.279:2856-2865に記載されている抗体2F8、A12、及びIMC-A12を含むがこれらに限定されない、
(iii)PCT国際公開第07/012614号パンフレット(2007年2月1日公開)、PCT国際公開第07/000328号パンフレット(2007年1月4日公開)、PCT国際公開第06/013472号パンフレット(2006年2月9日公開)、PCT国際公開第05/058967号パンフレット(2005年6月30日公開)、及びPCT国際公開第03/059951号パンフレット(2003年7月24日公開)、
(iv)米国特許出願公開第2005/0084906号明細書(2005年4月21日公開)に記載される抗体7C10、キメラ抗体C7C10、抗体h7C10、抗体7H2M、キメラ抗体*7C10、抗体GM607、ヒト化抗体7C10バージョン1、ヒト化抗体7C10バージョン2、ヒト化抗体7C10バージョン3、及び抗体7H2HMを含むがこれらに限定されない、
(v)米国特許出願公開第2005/0249728号明細書(2005年11月10日公開)、米国特許出願公開第2005/0186203号明細書(2005年8月25日公開)、米国特許出願公開第2004/0265307号明細書(2004年12月30日公開)、及び米国特許出願公開第2003/0235582号明細書(2003年12月25日公開)、並びにMaloney et al.(2003)Cancer Res.63:5073-5083に記載されている抗体EM164、再表面形成(resurfaced)EM164、ヒト化EM164、huEM164 v1.0、huEM164 v1.1、huEM164 v1.2、及びhuEM164 v1.3を含むがこれらに限定されない、
(vi)米国特許第7,037,498号明細書(2006年5月2日発行)、米国特許出願公開第2005/0244408号明細書(2005年11月30日公開)及び米国特許出願公開第2004/0086503号(2004年5月6日公開)、並びにCohen,et al.(2005),Clinical Cancer Res.11:2063-2073に記載されている、ATCC受託番号PTA-2792、PTA-2788、PTA-2790、PTA-2791、PTA-2789、PTA-2793、及び抗体2.12.1、2.13.2、2.14.3、3.1.1、4.9.2、及び4.17.3を有するハイブリドーマによって産生された抗体の各々を含むがこれらに限定されない、例えば、抗体CP-751,871、
(vii)米国特許出願公開第2005/0136063号明細書(2005年6月23日公開)及び米国特許出願公開第2004/0018191号明細書(2004年1月29日公開)に記載されている抗体19D12と、ATCCに受託番号PTA-5214で受託されているプラスミド15H12/19D12 HCA(γ4)のポリヌクレオチドによってコードされる重鎖、及びATCCに受託番号PTA-5220で受託されているプラスミド15H12/19D12 LCF(κ)のポリヌクレオチドによってコードされる軽鎖を含む抗体と、を含むがこれらに限定されない、並びに
(viii)特にIGF-1受容体を標的とする前述の抗体、ペプチボディ、及び関連タンパク質等に関して参照により各々の全体が本明細書に組み込まれる米国特許出願公開第2004/0202655号明細書(2004年10月14日公開)に記載されている抗体PINT-6A1、PINT-7A2、PINT-7A4、PINT-7A5、PINT-7A6、PINT-8A1、PINT-9A2、PINT-11A1、PINT-11A2、PINT-11A3、PINT-11A4、PINT-11A5、PINT-11A7、PINT-11A12、PINT-12A1、PINT-12A2、PINT-12A3、PINT-12A4、及びPINT-12A5を含むがこれらに限定されない、
【0088】
B-7関連タンパク質1特異抗体、ペプチボディ、関連タンパク質等(文献中でB7H2、ICOSL、B7h、及びCD275とも称される「B7RP-1」)、特にB7RP特異完全ヒトモノクローナルIgG2抗体、特にB7RP-1の最初の免疫グロブリン様ドメインのエピトープと結合する完全ヒトIgG2モノクローナル抗体、特にB7RP-1と特に活性化T細胞上のB7RP-1の自然受容体であるICOSとの相互作用を抑制するもの、特に、以下の公開に開示されているように各々の全体が参照により完全に本明細書に個々に且つ具体的に組み込まれる、16H(その中に軽鎖可変領域配列及び重鎖可変領域配列、それぞれ配列番号1及び配列番号7を有する)、5D(その中に軽鎖可変領域配列及び重鎖可変領域配列、それぞれ配列番号2及び配列番号9を有する)、2H(その中に軽鎖可変領域配列及び重鎖可変領域配列、それぞれ配列番号3及び配列番号10を有する)、43H(その中に軽鎖可変領域配列及び重鎖可変領域配列、それぞれ配列番号6及び配列番号14を有する)、41H(その中に軽鎖可変領域配列及び重鎖可変領域配列、それぞれ配列番号5及び配列番号13を有する)、並びに15H(その中に軽鎖可変領域配列及び重鎖可変領域配列、それぞれ配列番号4及び配列番号12を有する)以下の公報に示される抗体を含むがそれらに限定されない、このような抗体及び関連タンパク質に関して参照によりその全体が本明細書に組み込まれる米国特許公開第2008/0166352号明細書及びPCT国際公開第07/011941号パンフレットに開示されているもの、
【0089】
例えば、146B7などの、とりわけ、例えば、HuMax IL-15抗体及び関連タンパク質を含むがそれらに限定されないペプチボディを含む、IL-15特異抗体及び関連タンパク質に関して参照により各々の全体が本明細書に組み込まれる、米国特許出願公開第2003/0138421号明細書、米国特許出願公開第2003/023586号明細書、及び米国特許出願公開第2004/0071702号明細書、並びに米国特許第7,153,507号明細書に開示されるもの等の、特に抗体、具体的にはヒト化モノクローナル抗体などの、IL-15特異抗体、ペプチボディ、及び関連タンパク質等、
【0090】
IFNγ特異抗体、ペプチボディ、及び関連タンパク質等、特にヒトIFNγ特異抗体、特に、例えば、IFNγ特異抗体、特に、例えば、次の特許公開において1118、1118*、1119、1121、及び1121*と示されている抗体に関して参照によりその全体が本明細書に組み込まれる米国特許出願公開第2005/0004353号明細書に記載されているもの等の完全ヒト抗IFNγ抗体。これら抗体の各々の重鎖及び軽鎖の配列全体と、これらの重鎖及び軽鎖可変領域並びに相補性決定領域の配列とは、それぞれ前述の公開及びThakur et al.(1999),Mol.Immunol.36:1107-1115に開示されるようにその全体が参照により完全に本明細書に個々に且つ具体的に組み込まれる。それに加えて、上記の公開文献において提供されるこれらの抗体の特性の説明もまた、その全体が参照によって本願に援用される。特異抗体には、前述の公開で開示されているように、配列番号17の重鎖及び配列番号18の軽鎖を有するもの、配列番号6の重鎖可変領域及び配列番号8の軽鎖可変領域を有するもの、配列番号19の重鎖及び配列番号20の軽鎖を有するもの、配列番号10の重鎖可変領域及び配列番号12の軽鎖可変領域を有するもの、配列番号32の重鎖及び配列番号20の軽鎖を有するもの、配列番号30の重鎖可変領域及び配列番号12の軽鎖可変領域を有するもの、配列番号21の重鎖配列及び配列番号22の軽鎖配列を有するもの、配列番号14の重鎖可変領域及び配列番号16の軽鎖可変領域を有するもの、配列番号21の重鎖及び配列番号33の軽鎖を有するもの、並びに配列番号14の重鎖可変領域及び配列番号31の軽鎖可変領域を有するものが含まれる。企図される特異抗体は、前述の米国特許出願公開に開示されている配列番号17の完全重鎖を有し、前述の米国特許出願公開に開示されている配列番号18の完全軽鎖を有する、前述の米国特許出願公開に開示されている抗体1119、
【0091】
以下の公開に開示されているように各々の全体が参照により完全に本明細書に個々に且つ具体的に組み込まれ、TALL-1結合タンパク質、特に表4及び表5Bの分子に関して参照により各々の全体が本明細書に組み込まれる米国特許出願公開第2003/0195156号明細書及び米国特許出願公開第2006/0135431号明細書に記載されているもの等の、TALL-1特異抗体、ペプチボディ、及び関連タンパク質等、並びに他のTALL特異結合タンパク質、
【0092】
PTHと結合するタンパク質に特に部分的に関連して参照によりその全体が本明細書に組み込まれる米国特許第6,756,480号明細書に記載されているもの等の、副甲状腺ホルモン(「PTH」)特異抗体、ペプチボディ、及び関連タンパク質等、
【0093】
TPO-Rと結合するタンパク質に特に部分的に関連して参照によりその全体が本明細書に組み込まれる米国特許第6,835,809号明細書に記載されているもの等の、トロンボポチエン受容体(「TPO-R」)特異抗体、ペプチボディ、及び関連タンパク質等、
【0094】
HGFと結合するタンパク質に特に部分的に関連して参照により各々の全体が本明細書に組み込まれる、米国特許出願公開第2005/0118643号明細書及びPCT国際公開第2005/017107号パンフレットに記載されている肝細胞増殖因子/分散(HGF/SF)と、米国特許第7,220,410号明細書に記載されているhuL2G7と、米国特許第5,686,292号明細書及び米国特許第6,468,529号明細書並びにPCT国際公開第96/38557号パンフレットに記載されているOA-5d5と、を中和する完全ヒトモノクローナル抗体等のHGF/SF:Met軸(HGF/SF:c-Met)を標的にするものを含む、肝細胞増殖因子(「HGF」)特異抗体、ペプチボディ、及び関連タンパク質等、
【0095】
TRAIL-R2と結合するタンパク質に特に部分的に関連して参照によりその全体が本明細書に組み込まれる米国特許第7,521,048号明細書に記載されているもの等の、TRAIL-R2特異抗体、ペプチボディ、関連タンパク質等、
【0096】
アクチビンAと結合するタンパク質に特に部分的に関連して参照によりその全体が本明細書に組み込まれる米国特許出願公開第2009/0234106号明細書に記載されているものを含むが、それらに限定されない、アクチビンA特異抗体、ペプチボディ、関連タンパク質等、
【0097】
TGF-βと結合するタンパク質に特に部分的に関連して参照により各々の全体が本明細書に組み込まれる米国特許第6,803,453号明細書及び米国特許出願公開第2007/0110747号明細書に記載されているものを含むが、それらに限定されない、TGF-β特異抗体、ペプチボディ、関連タンパク質等、
【0098】
アミロイドβタンパク質と結合するタンパク質に特に部分的に関連して参照によりその全体が本明細書に組み込まれるPCT国際公開第2006/081171号パンフレットに記載されているものを含むが、それらに限定されない、アミロイドβタンパク質特異抗体、ペプチボディ、関連タンパク質等。考えられる1つの抗体は、上記の公開文献において開示されている配列番号8を含む重鎖可変領域と配列番号6を有する軽鎖可変領域を有する抗体である。
【0099】
c-Kit及び/又は他の幹細胞因子受容体と結合するタンパク質に特に部分的に関連して参照によりその全体が本明細書に組み込まれる米国特許出願公開第2007/0253951号明細書に記載されているものを含むが、それらに限定されない、c-Kit特異抗体、ペプチボディ、関連タンパク質等、
【0100】
OX40L及び/又はOX40受容体の他のリガンドと結合するタンパク質に特に部分的に関連して参照によりその全体が本明細書に組み込まれる米国特許出願公開第2006/0002929号明細書に記載されているものを含むが、それらに限定されない、OX40L特異抗体、ペプチボディ、関連タンパク質等、並びに
【0101】
Activase(登録商標)(アルテプラーゼ、tPA)、Aranesp(登録商標)(ダルベポエチンアルファ)、Epogen(登録商標)(エポエチンアルファ、又はエリスロポエチン)、GLP-1、Avonex(登録商標)(インターフェロンβ-1a)、Bexxar(登録商標)(トシツモマブ、抗CD22モノクローナル抗体)、Betaseron(登録商標)(インターフェロン-β)、Campath(登録商標)(アレムツズマブ、抗CD52モノクローナル抗体)、Dynepo(登録商標)(エポエチンデルタ)、Velcade(登録商標)(ボルテゾミブ)、MLN0002(抗α4β7 mAb)、MLN1202(抗CCR2ケモカイン受容体mAb)、Enbrel(登録商標)(エタネルセプト、TNF受容体/Fc融合タンパク質、TNF遮断薬)、Eprex(登録商標)(エポエチンアルファ)、Erbitux(登録商標)(セツキシマブ、抗EGFR/HER1/c-ErbB-1)、Genotropin(登録商標)(ソマトロピン、ヒト成長ホルモン)、Herceptin(登録商標)(トラスツズマブ、抗HER2/neu(erbB2)受容体mAb)、Humatrope(登録商標)(ソマトロピン、ヒト成長ホルモン)、Humira(登録商標)(アダリムマブ)、溶液中のインスリン、Infergen(登録商標)(インターフェロンalfacon-1)、Natrecor(登録商標)(ネシリチド、遺伝子組換え型ヒトB型ナトリウム利尿ペプチド(hBNP)、Kineret(登録商標)(アナキンラ)、Leukine(登録商標)(サルガモスチム、rhuGM-CSF)、LymphoCide(登録商標)(エピラツズマブ、抗CD22 mAb)、Benlysta(商標)(リンフォスタットB、ベリムマブ、抗BlyS mAb)、Metalyse(登録商標)(テネクテプラーゼ、t-PA類似体)、Mircera(登録商標)(メトキシポリエチレングリコール-エポエチンベータ)、Mylotarg(登録商標)(ゲムツズマブオゾガマイシン)、Raptiva(登録商標)(エファリズマブ)、Cimzia(登録商標)(セルトリズマブペゴル、CDP870)、Soliris(商標)(エクリズマブ)、パキセリズマブ(抗補体C5)、Numax(登録商標)(MEDI-524)、Lucentis(登録商標)(ラニビズマブ)、Panorex(登録商標)(17-1A、エドレコロマブ)、Trabio(登録商標)(レルデリムマブ)、TheraCim hR3(ニモツズマブ)、Omnitarg(ペルツズマブ、2C4)、Osidem(登録商標)(IDM-1)、OvaRex(登録商標)(B43.13)、Nuvion(登録商標)(ビジリズマブ)、カンツズマブメルタンシン(huC242-DM1)、NeoRecormon(登録商標)(エポエチンベータ)、Neumega(登録商標)(オプレルベキン、ヒトインターロイキン-11)、Neulasta(登録商標)(PEG化フィルガストリム、PEG化G-CSF、PEG化hu-Met-G-CSF)、Neupogen(登録商標)(フィルグラスチム、G-CSF、hu-MetG-CSF)、Orthoclone OKT3(登録商標)(ムロモナブ-CD3、抗CD3モノクローナル抗体)、Procrit(登録商標)(エポエチンアルファ)、Remicade(登録商標)(インフリキシマブ、抗TNFαモノクローナル抗体)、Reopro(登録商標)(アブシキシマブ、抗GP lIb/Ilia受容体モノクローナル抗体)、Actemra(登録商標)(抗IL6受容体mAb)、Avastin(登録商標)(ベバシズマブ)、HuMax-CD4(ザノリムマブ)、Rituxan(登録商標)(リツキシマブ、抗CD20 mAb)、Tarceva(登録商標)(エルロチニブ)、Roferon-A(登録商標)(インターフェロンalfa-2a)、Simulect(登録商標)(バシリキシマブ)、Prexige(登録商標)(ルミラコキシブ)、Synagis(登録商標)(パリビズマブ)、146B7-CHO(抗IL15抗体、米国特許第7,153,507号明細書を参照)、Tysabri(登録商標)(ナタリズマブ、抗α4インテグリンmAb)、Valortim(登録商標)(MDX-1303、抗炭疽菌防御抗原mAb)、ABthrax(商標)、Vectibix(登録商標)(パニツムマブ)、Xolair(登録商標)(オマリズマブ)、ETI211(抗MRSA mAb)、IL-1 trap(ヒトIgG1のFc部分及び両IL-1受容体成分(I型受容体及び受容体補助タンパク質)の細胞外ドメイン)、VEGF trap(IgG1 Fcと融合したVEGFR1のIgドメイン)、Zenapax(登録商標)(ダクリズマブ)、Zenapax(登録商標)(ダクリズマブ、抗IL-2Rα mAb)、Zevalin(登録商標)(イブリツモマブチウキセタン)、Zetia(登録商標)(エゼチマイブ)、Orencia(登録商標)(アタシセプト、TACI-Ig)、抗CD80モノクローナル抗体(ガリキシマブ)、抗CD23 mAb(ルミリキシマブ)、BR2-Fc(huBR3/huFc融合タンパク質、可溶性BAFF拮抗薬)、CNTO148(ゴリムマブ、抗TNFα mAb)、HGS-ETR1(マパツズマブ、ヒト抗TRAIL受容体-1 mAb)、HuMax-CD20(オクレリズマブ、抗CD20ヒトmAb)、HuMax-EGFR(ザルツムマブ)、M200(ボロシキシマブ、抗α5β1インテグリンmAb)、MDX-010(イピリムマブ、抗CTLA-4 mAb、及びVEGFR-1(IMC-18F1)、抗BR3mAb、抗C.クロストリジウム・ディフィシル毒素A並びに毒素B C mAbs MDX-066(CDA-1)及びMDX-1388)、抗CD22 dsFv-PE38抱合体(CAT-3888及びCAT-8015)、抗CD25 mAb(HuMax-TAC)、抗CD3 mAb(NI-0401)、アデカツムマブ、抗CD30 mAb(MDX-060)、MDX-1333(抗IFNAR)、抗CD38 mAb(HuMax CD38)、抗CD40L mAb、抗Cripto mAb、抗CTGF特発性肺線維症第1期フィブロゲン(FG-3019)、抗CTLA4 mAb、抗エオタキシン1 mAb(CAT-213)、抗FGF8 mAb、抗ガングリオシドGD2 mAb、抗ガングリオシドGM2 mAb、抗GDF-8ヒトmAb(MYO-029)、抗GM-CSF受容体mAb(CAM-3001)、抗HepC mAb(HuMax HepC)、抗IFNα mAb(MEDI-545、MDX-1103)、抗IGF1R mAb、抗IGF-1R mAb(HuMax-Inflam)、抗IL12 mAb(ABT-874)、抗IL12/IL23 mAb(CNTO1275)、抗IL13 mAb(CAT-354)、抗IL2Ra mAb(HuMax-TAC)、抗IL5受容体mAb、抗インテグリン受容体mAb(MDX-018、CNTO95)、抗IP10潰瘍性大腸炎mAb(MDX-1100)、抗LLY抗体、BMS-66513、抗マンノース受容体/hCGβ mAb(MDX-1307)、抗メソテリンdsFv-PE38抱合体(CAT-5001)、抗PD1mAb(MDX-1106(ONO-4538))、抗PDGFRα抗体(IMC-3G3)、抗TGFβ mAb(GC-1008)、抗TRAIL受容体-2ヒトmAb(HGS-ETR2)、抗TWEAK mAb、抗VEGFR/Flt-1 mAb、抗ZP3 mAb(HuMax-ZP3)、NVS抗体第1番、及びNVS抗体第2番を含む、他の例示的なタンパク質。
【0102】
ロモソズマブ、ブロソズマブ、又はBPS804(Novartis)などであるがこれらに限定されないスクレロスチン抗体もまた、含まれ得る。リロツムマブ、ビキサロマー、トレバナニブ、ガニツマブ、コナツムマブ、モテサニブ二リン酸塩、ブロダルマブ、ヴィデュピプラント、パニツムマブ、デノスマブ、NPLATE、PROLIA、VECTIBIX又はXGEVAなどの治療薬が更に含まれ得る。更に、ヒトプロタンパク転換酵素サブチリシン/ケキシン9型(PCSK9)に結合するモノクローナル抗体(IgG)をデバイスに含めることができる。このようなPCSK9特異抗体としては、あらゆる目的において各々の全体が参照により本明細書に組み込まれる以下の特許又は特許出願、米国特許第8,030,547号明細書、米国特許出願公開第2013/0064825号明細書、国際公開第2008/057457号パンフレット、国際公開第2008/057458号パンフレット、国際公開第2008/057459号パンフレット、国際公開第2008/063382号パンフレット、国際公開第2008/133647号パンフレット、国際公開第2009/100297号パンフレット、国際公開第2009/100318号パンフレット、国際公開第2011/037791号パンフレット、国際公開第2011/053759号パンフレット、国際公開第2011/053783号パンフレット、国際公開第2008/125623号パンフレット、国際公開第2011/072263号パンフレット、国際公開第2009/055783号パンフレット、国際公開第2012/0544438号パンフレット、国際公開第2010/029513号パンフレット、国際公開第2011/111007号パンフレット、国際公開第2010/077854号パンフレット、国際公開第2012/088313号パンフレット、国際公開第2012/101251号パンフレット、国際公開第2012/101252号パンフレット、国際公開第2012/101253号パンフレット、国際公開第2012/109530号パンフレット及び国際公開第2001/031007号パンフレットに開示されているようなRepatha(登録商標)(エボロクマブ)及びPraluent(登録商標)(アリロクマブ)並びにその分子、変異体、類似体、又は誘導体が挙げられるが、これらに限定されない。
【0103】
黒色腫又は他の癌の治療用のタリモジーンラハーパレプベック又は別の腫瘍溶解性HSVもまた含めることができる。腫瘍溶解性HSVの例としては、タリモジーンラハーパレプベック(米国特許第7,223,593号明細書及び米国特許第7,537,924号明細書)、OncoVEXGALV/CD(米国特許第7,981,669号明細書)、OrienX010(Lei et al.(2013),World J. Gastroenterol.,19:5138-5143)、G207、1716、NV1020、NV12023、NV1034、及びNV1042(Vargehes et al.2002),CancerGene Ther.,9(12):967-978)が挙げられるが、これらに限定されない。
【0104】
TIMPもまた含まれる。TIMPは、メタロプロテイナーゼの内在性組織阻害剤(TIMP)であり、多くの自然過程において重要である。TIMP-3は、様々な細胞により発現される、又は及び細胞外基質内に存在し、主要なあらゆる軟骨分解メタロプロテアーゼを抑制し、リウマチ様関節炎及び変形性関節症を含む結合組織の多くの分解疾患における役割、並びに癌及び心臓血管状態において役割を果たし得る。TIMP-3のアミノ酸配列及びTIMP-3をコード化するDNAの拡散配列は、2003年5月13日に発行された米国特許第6,562,596号明細書において開示されており、その開示を参照によって本願に援用する。TIMP変異の説明は、米国特許出願公開第2014/0274874号明細書及びPCT出願公開番号国際公開第2014/152012号パンフレットに見ることができる。
【0105】
ヒトカルシトニン遺伝子関連ペプチド(CGRP)受容体の拮抗的抗体並びにCGRP受容体及び他の頭痛標的を標的とする二重特異性抗体分子もまた含まれる。これらの分子に関するより詳しい情報は、PCT出願番号国際公開第2010/075238号パンフレットに見ることができる。
【0106】
更に、二重特異性T細胞誘導(BiTe(登録商標))抗体コンストラクト、例えば、BLINCYTO(登録商標)(ブリナツモマブ)を、デバイスにおいて使用することができる。或いは、APJ巨大分子作動薬、例えば、アペリン又はその類似体をデバイスに含めることができる。このような分子に関する情報は、国際出願公開第2014/099984号に見ることができる。
【0107】
本明細書で使用する時、用語「二重特異性」は、少なくとも第1の結合ドメイン及び第2の結合ドメインを含む抗体コンストラクトを指し、ここで、第1の結合ドメインは、1つの抗原又は標的に結合し、第2の結合ドメインは、別の抗原又はT細胞上の標的に結合する。本発明による好ましい二重特異性抗体コンストラクトは、標的細胞の表面上のヒト抗原に結合する第1の結合ドメインと、T細胞の表面上のヒトCD3に結合する第2の結合ドメインとを含む抗体コンストラクトとも定義され得る。融合され作動可能に連結された二重特異性抗原コンストラクトを調製し、それらを哺乳動物細胞又は細菌において発現させる方法は、当技術分野でよく知られている(例えば、国際公開第99/54440号パンフレット)。
【0108】
本発明は、二重特異性抗体コンストラクトが、(scFv)2、scFv-単一ドメインmAb、これらのフォーマットのうちのいずれかのダイアボディ及びオリゴマーからなる群から選択されるフォーマットである好ましい実施形態を提供する。特に好ましい実施形態によれば、本発明の抗体コンストラクトは、二重特異性一本鎖抗体コンストラクト、より好ましくは二重特異性一本鎖Fv(scFv)である。
【0109】
ある実施形態において、薬剤は、治療的有効量の抗胸腺間質性リンパ球新生因子(TSLP)又はTSLP受容体抗体を含む。このような実施形態に使用してもよい抗TSLP抗体の例としては、米国特許第7,982,016号明細書及び米国特許第8,232,372号明細書、並びに米国特許出願公開第2009/0186022号明細書に記載されているものが挙げられるが、これらに限定されない。抗TSLP受容体抗体の例としては、米国特許第8,101,182号明細書に記載されているものが挙げられるが、これに限定されない。特に好ましい実施形態において、薬剤は、治療的有効量の、米国特許第7,982,016号明細書においてA5と指定されている抗TSLP抗体を含む。
【0110】
薬物送達デバイス、方法、及びそれらの構成要素を、例示的実施形態の観点から説明してきたが、薬物送達デバイス、方法、及びそれらの構成要素はこれらに限定されるものではない。詳細な説明は、例としてのみ解釈されものとし、考え得る全ての実施形態のひとつひとつを説明することは、不可能ではないとしても非現実的であることから、本発明の考え得る全ての実施形態を説明しているわけではない。現在の技術又は本特許の申請日以降に開発された技術のいずれかを使用して、多くの代替的な実施形態を実施することができるが、このような実施形態はなお、本発明を定義する請求項の範囲内に含まれる。例えば、オンボディ型インジェクタ薬物送達デバイスなどの特定の種類の薬物送達デバイス又は他の種類の薬物送達デバイスを参照して本明細書に記載される構成要素は、オートインジェクタ薬物送達デバイスなどの他の種類の薬物送達デバイスにも利用することができる。
【0111】
当業者であれば、本発明の範囲から逸脱することなく上記の実施形態に対して多種多様な修正、変更、及び組み合わせを施すことができ、そうした修正、変更、及び組み合わせは本発明の概念の範囲であると解釈されることを理解するであろう。
図1
図2
図3
【手続補正書】
【提出日】2024-08-16
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
患者の皮膚に取り外し可能に取り付け可能なハウジングと、
ハウジング内に少なくとも部分的に配置され、又は配置されるように構成され、免疫療法剤を含む第1の薬物製品を充填した第1のリザーバと、
ハウジング内に少なくとも部分的に配置され、又は配置されるように構成され、解熱薬、抗サイトカイン剤、および抗インターロイキン抗体の少なくとも1つを含む第2の薬物製品を充填した第2のリザーバと、
患者に挿入可能であり、第1のリザーバおよび第2のリザーバの少なくとも1つと流体連通した状態で接続された又は接続可能な投与部材であって、投与部材の少なくとも一部がハウジング内に配置される、初期状態と、投与部材の少なくとも一部がハウジング外に配置される、展開状態とを有する投与部材と、
前記患者に前記投与部材を介して第1のリザーバからの前記第1の薬物製品および第2のリザーバからの前記第2の薬物製品の少なくとも1つを送達するように動作可能な流体送達システムと、
前記患者の生物学的状態を検知するように動作可能なセンサと
を含む、システム。
【請求項2】
検知された生物学的状態が所定の値範囲内若しくは外である、又は所定値を上回る若しくは下回るという決定に応じて、前記患者への第2の薬物製品の送達を開始するために前記流体送達システムを動作させるように構成されたコントローラを含む、請求項1に記載のシステム。
【請求項3】
前記コントローラは、検知された生物学的状態に基づいて、前記患者への前記第1の薬物製品の送達を中断する、終了する、又は抑制するために前記流体送達システムを動作させるように構成されている、請求項2に記載のシステム。
【請求項4】
前記コントローラは、検知された生物学的状態に基づいて、前記患者及び/又は医療提供者に通知するために出力ユニットを動作させるように構成されている、請求項2に記載のシステム。
【請求項5】
前記患者の第2の生物学的状態を検知するように動作可能な第2のセンサを含み、
前記コントローラは、
(a)(i)検知された生物学的状態が、所定の値範囲内若しくは外である、又は所定値を上回る若しくは下回る、及び/又は(ii)前記第2の検知された生物学的状態が、第2の所定の値範囲内若しくは外である、又は第2の所定値を上回る若しくは下回る、という決定に応じて、前記患者への前記第1の薬物製品の送達を中断する、終了する、又は抑制するために前記流体送達システムを動作させるか、
(b)(i)検知された生物学的状態が、所定の値範囲内若しくは外である、又は所定値を上回る若しくは下回る、及び/又は(ii)前記第2の検知された生物学的状態が、第2の所定の値範囲内若しくは外である、又は第2の所定値を上回る若しくは下回る、という決定に応じて、前記患者への前記第1の薬物製品の送達を開始するために前記流体送達システムを動作させるかの、いずれかを行うように構成されている、
請求項2に記載のシステム。
【請求項6】
前記患者の第2の生物学的状態を検知するように動作可能な第2のセンサと、
(i)検知された生物学的状態が、所定の値範囲内若しくは外である、又は所定値を上回る若しくは下回る、及び(ii)前記第2の検知された生物学的状態が、第2の所定の値範囲内若しくは外である、又は第2の所定値を上回る若しくは下回る、という決定に応じて、前記患者への前記第2の薬物製品の送達を開始するために前記流体送達システムを動作させるように構成されるコントローラと
を備える、請求項1に記載のシステム。
【請求項7】
前記流体送達システムは、再構成サブシステムを含み、前記第1の薬物製品は、凍結乾燥薬物を含み、前記再構成サブシステムは、前記凍結乾燥薬物を、前記投与部材を介して前記患者に送達する前に再構成するように構成されている、請求項1~6のいずれか一項に記載のシステム。
【請求項8】
前記凍結乾燥薬物を再構成するための希釈溶液を充填した又は充填可能な第3のリザーバを含む、請求項7に記載のシステム。
【請求項9】
方法であって、
患者の皮膚に取り外し可能に取り付け可能なハウジングと、
ハウジング内に少なくとも部分的に配置され、又は配置されるように構成され、免疫療法剤を含む第1の薬物製品を充填した第1のリザーバと、
ハウジング内に少なくとも部分的に配置され、又は配置されるように構成され、解熱薬、抗サイトカイン剤、および抗インターロイキン抗体の少なくとも1つを含む第2の薬物製品を充填した第2のリザーバと、
患者に挿入可能であり、第1のリザーバおよび第2のリザーバの少なくとも1つと流体連通した状態で接続された又は接続可能な投与部材であって、投与部材の少なくとも一部がハウジング内に配置される、初期状態と、投与部材の少なくとも一部がハウジング外に配置される、展開状態とを有する投与部材と、
前記患者に前記投与部材を介して第1のリザーバからの前記第1の薬物製品および第2のリザーバからの前記第2の薬物製品の少なくとも1つを送達するように動作可能な流体送達システムと、
前記患者の生物学的状態を検知するように動作可能なセンサと
を備えるシステムを提供することと、
前記第1の薬物製品を前記リザーバから前記患者に前記投与部材を介して送達するために前記流体送達システムを動作させることと、
前記第1の薬物製品が送達されている間、送達される前、及び/又は送達された後の前記患者の生物学的状態を前記センサによって検知することと、
を含む、方法。
【請求項10】
検知された生物学的状態に基づいて、前記患者への前記第1の薬物製品の送達を中断する、終了する、又は抑制するために、前記流体送達システムを動作させることを含む、請求項9に記載の方法。
【請求項11】
検知された生物学的状態に基づいて、第2のリザーバから前記患者に第2の薬物製品の送達を開始するために、前記流体送達システムを動作させることを含む、請求項9または10に記載の方法。
【請求項12】
第2のセンサによって前記患者の第2の生物学的状態を検知することと、
(a)(i)検知された生物学的状態が、所定の値範囲内若しくは外である、又は所定値を上回る若しくは下回る、及び/又は(ii)前記第2の検知された生物学的状態が、第2の所定の値範囲内若しくは外である、又は第2の所定値を上回る若しくは下回る場合に、前記患者への前記第1の薬物製品の送達を中断する、終了する、又は抑制するために、前記流体送達システムを前記コントローラによって自動的に又は手動で動作させること、または、
(b)(i)検知された生物学的状態が、所定の値範囲内若しくは外である、又は所定値を上回る若しくは下回る、及び/又は(ii)前記第2の検知された生物学的状態が、第2の所定の値範囲内若しくは外である、又は第2の所定値を上回る若しくは下回る場合に、前記患者への前記第1の薬物製品の送達を開始するために、前記流体送達システムを前記コントローラによって自動的に又は手動で動作させること、のうちの少なくとも1つを行うことと、
を含む、請求項9に記載の方法。
【請求項13】
(i)検知された生物学的状態が、前記所定の値範囲内若しくは外である、又は前記所定値を上回る若しくは下回る、及び/又は(ii)前記第2の検知された生物学的状態が、前記第2の所定の値範囲内若しくは外である、又は前記第2の所定値を上回る若しくは下回る場合に、第2のリザーバから前記患者に前記第2の薬物製品の送達を開始するために、前記流体送達システムを前記コントローラによって自動的に又は手動で動作させることを含む、請求項12に記載の方法。
【請求項14】
検知された生物学的状態が、前記所定の値範囲内若しくは外である、又は前記所定値を上回る若しくは下回ることを前記患者及び/又は医療提供者に通知するために、出力ユニットを前記コントローラによって自動的に動作させることを含む、請求項12または13に記載の方法。
【外国語明細書】