(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024167182
(43)【公開日】2024-12-03
(54)【発明の名称】炎症抑制用化合物
(51)【国際特許分類】
A61K 31/145 20060101AFI20241126BHJP
A61P 43/00 20060101ALI20241126BHJP
A61P 31/04 20060101ALI20241126BHJP
A61P 29/00 20060101ALI20241126BHJP
A61P 25/00 20060101ALI20241126BHJP
A61P 19/02 20060101ALI20241126BHJP
A61P 9/10 20060101ALI20241126BHJP
A61P 9/00 20060101ALI20241126BHJP
A61P 3/06 20060101ALI20241126BHJP
A61P 3/00 20060101ALI20241126BHJP
A61P 1/04 20060101ALI20241126BHJP
A61P 19/06 20060101ALI20241126BHJP
A61K 45/00 20060101ALI20241126BHJP
A61K 39/395 20060101ALI20241126BHJP
A61K 31/496 20060101ALI20241126BHJP
A61K 31/5377 20060101ALI20241126BHJP
A61K 31/444 20060101ALI20241126BHJP
A61K 31/4545 20060101ALI20241126BHJP
A61K 31/4025 20060101ALI20241126BHJP
【FI】
A61K31/145
A61P43/00 111
A61P31/04
A61P29/00
A61P25/00
A61P19/02
A61P9/10 101
A61P9/00
A61P3/06
A61P3/00
A61P1/04
A61P19/06
A61K45/00
A61K39/395 D
A61K39/395 U
A61K31/496
A61K31/5377
A61K31/444
A61K31/4545
A61K31/4025
【審査請求】有
【請求項の数】1
【出願形態】OL
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2024114813
(22)【出願日】2024-07-18
(62)【分割の表示】P 2020573421の分割
【原出願日】2019-06-27
(31)【優先権主張番号】62/690,788
(32)【優先日】2018-06-27
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
【公序良俗違反の表示】
(特許庁注:以下のものは登録商標)
1.TWEEN
(71)【出願人】
【識別番号】596115687
【氏名又は名称】ザ チルドレンズ メディカル センター コーポレーション
(74)【代理人】
【識別番号】110002572
【氏名又は名称】弁理士法人平木国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】ウー,ハオ
(72)【発明者】
【氏名】リーバーマン,ジュディ
(72)【発明者】
【氏名】フー,ジュン
(72)【発明者】
【氏名】リウ,シン
(57)【要約】 (修正有)
【課題】インフラマソーム活性化を阻害する化合物を提供する。
【解決手段】本出願は、例えば、細胞におけるガスデルミン細孔形成の阻害、細胞のインフラマソーム媒介性死(ピロトーシス)の阻害、細胞からのサイトカイン分泌の阻害、細胞における炎症性カスパーゼの阻害、および/または細胞におけるガスデルミンタンパク質のシステインとの共有結合的な反応に有用な、式(I)の化合物を提供する。これらの化合物はまた、インフラマソーム活性化が病因に関与する疾患または病態の治療もしくは予防において有用である。このような疾患または病態の一例は、敗血症である。
[R
1、R
2、R
3、およびR
4が、それぞれ独立して、H、アルキル、ハロアルキル、アルケニル等]
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
・細胞におけるガスデルミン細孔形成を阻害する、および/または
・細胞のインフラマソーム媒介性死(ピロトーシス)を阻害する、および/または
・細胞からのサイトカイン分泌を阻害する、および/または
・細胞内の炎症性カスパーゼを阻害する、および/または
・細胞内のガスデルミンタンパク質のシステインと共有結合的に反応する、および/または
・センサ、アダプタ、および転写因子、またはその調節因子から選択される炎症性シグナル伝達分子のシステインと共有結合的に反応する、方法であって、
前記方法が、前記細胞を有効量の式(I)の化合物、
【化1】
またはその薬学的に許容される塩と接触させることを含み、式中、
R
1、R
2、R
3、およびR
4が、それぞれ独立して、H、C
1~6アルキル、C
1~6ハロアルキル、C
2~6アルケニル、C
2~6アルキニル、Cy
1、C(O)R
b1、C(O)NR
c1R
d1、C(O)OR
a1、S(O)
2R
b1、およびS(O)
2NR
c1R
d1から選択され、前記C
1~6アルキル、C
2~6アルケニル、およびC
2~6アルキニルが、それぞれ、Cy
1、ハロ、CN、NO
2、OR
a1、SR
a1、C(O)R
b1、C(O)NR
c1R
d1、C(O)OR
a1、NR
c1R
d1、NR
c1C(O)R
b1、NR
c1C(O)OR
a1、NR
c1C(O)NR
c1R
d1、NR
c1S(O)
2R
b1、NR
c1S(O)
2NR
c1R
d1、S(O)
2R
b1およびS(O)
2NR
c1R
d1から独立して選択される1、2、または3個の置換基で任意に置換されており、
あるいは、R
1およびR
2が、それらが結合するN原子と共に、4~12員ヘテロシクロアルキルを形成し、これは、R
Cy2から独立して選択される1、2、3、4、または5個の置換基で任意に置換されており、
あるいは、R
3およびR
4が、それらが結合するN原子と共に、4~12員ヘテロシクロアルキルを形成し、これは、R
Cy3から独立して選択される1、2、3、4、または5個の置換基で任意に置換されており、
各Cy
1が、独立して、C
6~10アリール、C
3~10シクロアルキル、5~10員ヘテロアリール、および4~12員ヘテロシクロアルキルから選択され、これらのそれぞれが、R
Cy1から独立して選択される1、2、3、4、または5個の置換基で任意に置換されており、
各R
Cy1、R
Cy2、およびR
Cy3が、独立して、C
1~6アルキル、C
2~6アルケニル、C
2~6アルキニル、C
1~6ハロアルキル、ハロ、CN、NO
2、OR
a2、C(O)R
b2、C(O)NR
c2R
d2、C(O)OR
a2、NR
c2R
d2、NR
c2C(O)R
b2、NR
c2C(O)OR
a2、NR
c2C(O)NR
c2R
d2、S(O)
2R
b2およびS(O)
2NR
c2R
d2から選択され、
R
a1、R
a2、R
c1、R
c2、R
d1、およびR
d2が、それぞれ独立して、H、C
1~6アルキル、C
2~6アルケニル、C
2~6アルキニル、C
1~4ハロアルキル、Cy
1、C(O)R
b3、C(O)NR
c3R
d3、C(O)OR
a3、S(O)
2R
b3、およびS(O)
2NR
c3R
d3から選択され、前記C
1~6アルキル、C
2~6アルケニル、およびC
2~6アルキニルが、それぞれ、Cy
1、ハロ、CN、NO
2、OR
a3、SR
a3、C(O)R
b3、C(O)NR
c3R
d3、C(O)OR
a3、NR
c3R
d3、NR
c3C(O)R
b3、NR
c3C(O)OR
a3、NR
c3C(O)NR
c3R
d3、NR
c3S(O)
2R
b3、NR
c3S(O)
2NR
c3R
d3、S(O)
2R
b3およびS(O)
2NR
c3R
d3から独立して選択される1、2、3、4、または5個の置換基で任意に置換されており、
R
b1およびR
b2が、それぞれ独立して、C
1~6アルキル、C
2~6アルケニル、C
2~6アルキニル、C
1~4ハロアルキル、およびCy
1から選択され、前記C
1~6アルキル、C
2~6アルケニル、およびC
2~6アルキニルが、それぞれ、Cy
1、ハロ、CN、NO
2、OR
a3、SR
a3、C(O)R
b3、C(O)NR
c3R
d3、C(O)OR
a3、NR
c3R
d3、NR
c3C(O)R
b3、NR
c3C(O)OR
a3、NR
c3C(O)NR
c3R
d3、NR
c3S(O)
2R
b3、NR
c3S(O)
2NR
c3R
d3、S(O)
2R
b3およびS(O)
2NR
c3R
d3から独立して選択される1、2、3、4、または5個の置換基で任意に置換されており、
R
a3、R
c3、およびR
d3が、それぞれ独立して、H、C
1~6アルキル、C
1~4ハロアルキル、C
2~6アルケニル、C
2~6アルキニル、C
6~10アリール、C
3~10シクロアルキル、5~10員ヘテロアリール、4~12員ヘテロシクロアルキル、C
6~10アリール-C
1~4アルキレン、C
3~10シクロアルキル-C
1~4アルキレン、(5~10員ヘテロアリール)-C
1~4アルキレン、(4~12員ヘテロシクロアルキル)-C
1~4アルキレン、C(O)R
b4、C(O)NR
c4R
d4、C(O)OR
a4、NR
c4R
d4、S(O)
2R
b4、およびS(O)
2NR
c4R
d4から選択され、前記C
1~6アルキル、C
2~6アルケニル、C
2~6アルキニル、C
6~10アリール、C
3~10シクロアルキル、5~10員ヘテロアリール、4~12員ヘテロシクロアルキル、C
6~10アリール-C
1~4アルキレン、C
3~10シクロアルキル-C
1~4アルキレン、(5~10員ヘテロアリール)-C
1~4アルキレン、および(4~12員ヘテロシクロアルキル)-C
1~4アルキレンが、それぞれ、オキソ、C
1~6アルキル、C
1~4ハロアルキル、C
1~4ヒドロキシアルキル、C
1~6シアノアルキル、ハロ、CN、NO
2、OR
a4、SR
a4、C(O)R
b4、C(O)NR
c4R
d4、C(O)OR
a4、NR
c4R
d4、NR
c4C(O)R
b4、NR
c4C(O)OR
a4、NR
c4C(O)NR
c4R
d4、NR
c4S(O)
2R
b4、NR
c4S(O)
2NR
c4R
d4、S(O)
2R
b4、およびS(O)
2NR
c4R
d4から独立して選択される1、2、3、4または5個の置換基で任意に置換されており、
各R
b3が、独立して、C
1~6アルキル、C
2~6アルケニル、C
2~6アルキニル、C
1~4ハロアルキル、C
6~10アリール、C
3~10シクロアルキル、5~10員ヘテロアリール、4~12員ヘテロシクロアルキル、C
6~10アリール-C
1~4アルキレン、C
3~10シクロアルキル-C
1~4アルキレン、(5~10員ヘテロアリール)-C
1~4アルキレン、および(4~12員ヘテロシクロアルキル)-C
1~4アルキレンから選択され、前記C
1~6アルキル、C
2~6アルケニル、C
2~6アルキニル、C
6~10アリール、C
3~10シクロアルキル、5~10員ヘテロアリール、4~12員ヘテロシクロアルキル、C
6~10アリール-C
1~4アルキレン、C
3~10シクロアルキル-C
1~4アルキレン、(5~10員ヘテロアリール)-C
1~4アルキレン、および(4~12員ヘテロシクロアルキル)-C
1~4アルキレンが、それぞれ、C
1~6アルキル、C
1~4ハロアルキル、C
1~4ヒドロキシアルキル、C
1~6シアノアルキル、ハロ、CN、NO
2、OR
a4、SR
a4、C(O)R
b4、C(O)NR
c4R
d4、C(O)OR
a4、NR
c4R
d4、NR
c4C(O)R
b4、NR
c4C(O)OR
a4、NR
c4C(O)NR
c4R
d4、NR
c4S(O)
2R
b4、NR
c4S(O)
2NR
c4R
d4、S(O)
2R
b4、およびS(O)
2NR
c4R
d4から独立して選択される1、2、3、4または5個の置換基で任意に置換されており、
R
a4、R
c4、およびR
d4が、それぞれ独立して、H、C
1~6アルキル、C
1~4ハロアルキル、C
1~4ヒドロキシアルキル、C
1~4シアノアルキル、C
2~6アルケニル、C
2~6アルキニル、C
6~10アリール、C
3~10シクロアルキル、5~10員ヘテロアリール、4~12員ヘテロシクロアルキル、C
6~10アリール-C
1~4アルキレン、C
3~10シクロアルキル-C
1~4アルキレン、(5~10員ヘテロアリール)-C
1~4アルキレン、(4~12員ヘテロシクロアルキル)-C
1~4アルキレンおよびR
gから選択され、前記C
1~6アルキル、C
2~6アルケニル、C
2~6アルキニル、C
6~10アリール、C
3~10シクロアルキル、5~10員ヘテロアリール、4~12員ヘテロシクロアルキル、C
6~10アリール-C
1~4アルキレン、C
3~10シクロアルキル-C
1~4アルキレン、(5~10員ヘテロアリール)-C
1~4アルキレン、および(4~12員ヘテロシクロアルキル)-C
1~4アルキレンが、それぞれ、R
gから独立して選択される1、2、3、4、または5個の置換基で任意に置換されており、
各R
b4が、独立して、C
1~6アルキル、C
1~4ハロアルキル、C
1~4ヒドロキシアルキル、C
1~4シアノアルキル、C
2~6アルケニル、C
2~6アルキニル、C
6~10アリール、C
3~10シクロアルキル、5~10員ヘテロアリール、4~12員ヘテロシクロアルキル、C
6~10アリール-C
1~4アルキレン、C
3~10シクロアルキル-C
1~4アルキレン、(5~10員ヘテロアリール)-C
1~4アルキレン、(4~12員ヘテロシクロアルキル)-C
1~4アルキレンおよびR
gから選択され、前記C
1~6アルキル、C
2~6アルケニル、C
2~6アルキニル、C
6~10アリール、C
3~10シクロアルキル、5~10員ヘテロアリール、4~12員ヘテロシクロアルキル、C
6~10アリール-C
1~4アルキレン、C
3~10シクロアルキル-C
1~4アルキレン、(5~10員ヘテロアリール)-C
1~4アルキレン、および(4~12員ヘテロシクロアルキル)-C
1~4アルキレンが、R
gから独立して選択される1、2、3、4、または5個の置換基で任意に置換されており、
各R
gが、独立して、OH、NO
2、CN、ハロ、C
1~6アルキル、C
2~6アルケニル、C
2~6アルキニル、C
1~4ハロアルキル、C
1~6アルコキシ、C
1~6ハロアルコキシ、シアノ-C
1~3アルキレン、HO-C
1~3アルキレン、C
6~10アリール、C
6~10アリールオキシ、C
3~10シクロアルキル、5~10員ヘテロアリール、4~12員ヘテロシクロアルキル、C
6~10アリール-C
1~4アルキレン、C
3~10シクロアルキル-C
1~4アルキレン、(5~10員ヘテロアリール)-C
1~4アルキレン、(4~12員ヘテロシクロアルキル)-C
1~4アルキレン、アミノ、C
1~6アルキルアミノ、ジ(C
1~6アルキル)アミノ、チオ、C
1~6アルキルチオ、C
1~6アルキルスルフィニル、C
1~6アルキルスルホニル、カルバミル、C
1~6アルキルカルバミル、ジ(C
1~6アルキル)カルバミル、カルボキシ、C
1~6アルキルカルボニル、C
1~6アルコキシカルボニル、C
1~6アルキルカルボニルアミノ、C
1~6アルキルスルホニルアミノ、アミノスルホニル、C
1~6アルキルアミノスルホニル、ジ(C
1~6アルキル)アミノスルホニル、アミノスルホニルアミノ、C
1~6アルキルアミノスルホニルアミノ、ジ(C
1~6アルキル)アミノスルホニルアミノ、アミノカルボニルアミノ、C
1~6アルキルアミノカルボニルアミノ、およびジ(C
1~6アルキル)アミノカルボニルアミノから選択される、方法。
【請求項2】
R1、R2、R3、およびR4が、それぞれ独立して、H、C1~6アルキル、C1~6ハロアルキル、C2~6アルケニル、C2~6アルキニル、およびCy1から選択され、前記C1~6アルキル、C2~6アルケニル、およびC2~6アルキニルが、それぞれ、Cy1、ハロ、CN、NO2、ORa1、SRa1、C(O)Rb1、C(O)NRc1Rd1、C(O)ORa1、NRc1Rd1、NRc1C(O)Rb1、NRc1C(O)ORa1、NRc1C(O)NRc1Rd1、NRc1S(O)2Rb1、NRc1S(O)2NRc1Rd1、S(O)2Rb1およびS(O)2NRc1Rd1から独立して選択される1、2、または3個の置換基で任意に置換されている、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
R1、R2、R3、およびR4が、それぞれ独立して、Cy1およびCy1で任意に置換されたC1~6アルキルから選択される、請求項1に記載の方法。
【請求項4】
R1およびR2が、それらが結合するN原子と共に、4~12員ヘテロシクロアルキルを形成し、これは、RCy2から独立して選択される1、2、または3個の置換基で任意に置換されている、請求項1~3のいずれか一項に記載の方法。
【請求項5】
R3およびR4が、それらが結合するN原子と共に、4~12員ヘテロシクロアルキルを形成し、これは、RCy3から独立して選択される1、2、または3個の置換基で任意に置換されている、請求項1~4のいずれか一項に記載の方法。
【請求項6】
前記4~12員ヘテロシクロアルキルが、以下の基、
【化2】
のうちのいずれか1つから選択される、請求項4または請求項5に記載の方法。
【請求項7】
各Cy1が、独立して、C6~10アリールおよび5~10員ヘテロアリールから選択され、これらのそれぞれが、RCy1から独立して選択される1、2または3個の置換基で任意に置換されている、請求項1~6のいずれか一項に記載の方法。
【請求項8】
RCy1、RCy2、およびRCy3が、それぞれ独立して、C1~6アルキル、C1~6ハロアルキル、ハロ、CN、NO2、ORa2、C(O)Rb2、C(O)NRc2Rd2、C(O)ORa2、NRc2Rd2、NRc2C(O)Rb2、およびNRc2C(O)ORa2から選択される、請求項1~7のいずれか一項に記載の方法。
【請求項9】
Ra1、Ra2、Rc1、Rc2、Rd1、およびRd2が、それぞれ独立して、H、C1~6アルキル、Cy1、C(O)Rb3、C(O)NRc3Rd3、C(O)ORa3、S(O)2Rb3、S(O)2NRc3Rd3から選択され、前記C1~6アルキルが、Cy1、ハロ、CN、NO2、ORa3、NRc3Rd3、NRc3C(O)Rb3、NRc3C(O)ORa3、およびNRc3S(O)2Rb3から独立して選択される1、2、または3個の置換基で任意に置換されている、請求項1~8のいずれか一項に記載の方法。
【請求項10】
Rb1およびRb2が、それぞれ独立して、C1~6アルキルおよびCy1から選択され、前記C1~6アルキルが、ハロ、Cy1、CN、NO2、ORa3、NRc3Rd3、NRc3C(O)Rb3、NRc3C(O)ORa3、およびNRc3S(O)2Rb3から独立して選択される1、2、または3個の置換基で任意に置換されている、請求項1~9のいずれか一項に記載の方法。
【請求項11】
Ra3、Rc3、およびRd3が、それぞれ独立して、H、C1~6アルキル、C1~4ハロアルキル、C6~10アリール、C3~10シクロアルキル、5~10員ヘテロアリール、4~12員ヘテロシクロアルキルから選択され、これらのそれぞれが、C1~4ハロアルキル、C1~4ヒドロキシアルキル、C1~6シアノアルキル、ハロ、CN、NO2、ORa4、NRc4Rd4、NRc4C(O)Rb4、NRc4C(O)ORa4、およびNRc4S(O)2Rb4から独立して選択される1、2、または3個の置換基で任意に置換されている、請求項1~10のいずれか一項に記載の方法。
【請求項12】
各Rb3が、独立して、C1~6アルキル、C1~4ハロアルキル、C6~10アリール、C3~10シクロアルキル、5~10員ヘテロアリール、4~12員ヘテロシクロアルキルから選択され、これらのそれぞれが、C1~6アルキル、C1~4ハロアルキル、C1~4ヒドロキシアルキル、C1~6シアノアルキル、ハロ、CN、NO2、ORa4、NRc4Rd4、NRc4C(O)Rb4、NRc4C(O)ORa4、およびNRc4S(O)2Rb4から独立して選択される1、2、または3個の置換基で任意に置換されている、請求項1~11のいずれか一項に記載の方法。
【請求項13】
Ra4、Rc4、およびRd4が、それぞれ独立して、H、C1~6アルキル、C1~4ハロアルキル、C1~4ヒドロキシアルキル、C1~4シアノアルキル、C6~10アリール、C3~10シクロアルキル、5~10員ヘテロアリール、4~12員ヘテロシクロアルキルから選択され、これらのそれぞれが、Rgから独立して選択される1、2、または3個の置換基で任意に置換されている、請求項1~12のいずれか一項に記載の方法。
【請求項14】
各Rb4が、独立して、C1~6アルキル、C1~4ハロアルキル、C1~4ヒドロキシアルキル、C1~4シアノアルキル、C6~10アリール、C3~10シクロアルキル、5~10員ヘテロアリール、4~12員ヘテロシクロアルキルから選択され、これらのそれぞれが、Rgから独立して選択される1、2、または3個の置換基で任意に置換されている、請求項1~13のいずれか一項に記載の方法。
【請求項15】
各Rgが、独立して、OH、NO2、CN、ハロ、C1~6アルキル、C1~4ハロアルキル、C1~6アルコキシ、C1~6ハロアルコキシ、シアノ-C1~3アルキレン、およびHO-C1~3アルキレンから選択される、請求項1~14のいずれか一項に記載の方法。
【請求項16】
各R1、R2、R3、およびR4が、独立して、H、C1~6アルキル、C1~6ハロアルキル、C2~6アルケニル、C2~6アルキニル、およびCy1から選択され、前記C1~6アルキル、C2~6アルケニル、およびC2~6アルキニルが、それぞれ、Cy1、ハロ、CN、NO2、ORa1、SRa1、C(O)Rb1、C(O)NRc1Rd1、C(O)ORa1、NRc1Rd1、NRc1C(O)Rb1、NRc1C(O)ORa1、NRc1C(O)NRc1Rd1、NRc1S(O)2Rb1、NRc1S(O)2NRc1Rd1、S(O)2Rb1およびS(O)2NRc1Rd1から独立して選択される1、2、または3個の置換基で任意に置換されており、
あるいは、R1およびR2が、それらが結合するN原子と共に、4~12員ヘテロシクロアルキルを形成し、これは、RCy2から独立して選択される1、2、または3個の置換基で任意に置換されており、
あるいは、R3およびR4が、それらが結合するN原子と共に、4~12員ヘテロシクロアルキルを形成し、これは、RCy3から独立して選択される1、2、または3個の置換基で任意に置換されており、
各Cy1が、独立して、C6~10アリールおよび5~10員ヘテロアリールから選択され、これらのそれぞれが、RCy1から独立して選択される1、2または3個の置換基で任意に置換されており、
各RCy1、RCy2、およびRCy3が、独立して、C1~6アルキル、C1~6ハロアルキル、ハロ、CN、NO2、ORa2、C(O)Rb2、C(O)NRc2Rd2、C(O)ORa2、NRc2Rd2、NRc2C(O)Rb2、およびNRc2C(O)ORa2から選択され、
Ra1、Ra2、Rc1、Rc2、Rd1、およびRd2が、それぞれ独立して、H、C1~6アルキル、Cy1、C(O)Rb3、C(O)NRc3Rd3、C(O)ORa3、S(O)2Rb3、およびS(O)2NRc3Rd3から選択され、前記C1~6アルキルが、Cy1、ハロ、CN、NO2、ORa3、NRc3Rd3、NRc3C(O)Rb3、NRc3C(O)ORa3、およびNRc3S(O)2Rb3から独立して選択される1、2、または3個の置換基で任意に置換されており、
Rb1およびRb2が、それぞれ独立して、C1~6アルキルおよびCy1から選択され、前記C1~6アルキルが、ハロ、Cy1、CN、NO2、ORa3、NRc3Rd3、NRc3C(O)Rb3、NRc3C(O)ORa3、およびNRc3S(O)2Rb3から独立して選択される1、2、または3個の置換基で任意に置換されており、
Ra3、Rc3、およびRd3が、それぞれ独立して、H、C1~6アルキル、C1~4ハロアルキル、C6~10アリール、C3~10シクロアルキル、5~10員ヘテロアリール、および4~12員ヘテロシクロアルキルから選択され、これらのそれぞれが、C1~4ハロアルキル、C1~4ヒドロキシアルキル、C1~6シアノアルキル、ハロ、CN、NO2、ORa4、NRc4Rd4、NRc4C(O)Rb4、NRc4C(O)ORa4、およびNRc4S(O)2Rb4から独立して選択される1、2、または3個の置換基で任意に置換されており、
各Rb3が、独立して、C1~6アルキル、C1~4ハロアルキル、C6~10アリール、C3~10シクロアルキル、5~10員ヘテロアリール、および4~12員ヘテロシクロアルキルから選択され、これらのそれぞれが、C1~6アルキル、C1~4ハロアルキル、C1~4ヒドロキシアルキル、C1~6シアノアルキル、ハロ、CN、NO2、ORa4、NRc4Rd4、NRc4C(O)Rb4、NRc4C(O)ORa4、およびNRc4S(O)2Rb4から独立して選択される1、2、または3個の置換基で任意に置換されており、
Ra4、Rc4、およびRd4が、それぞれ独立して、H、C1~6アルキル、C1~4ハロアルキル、C1~4ヒドロキシアルキル、C1~4シアノアルキル、C6~10アリール、C3~10シクロアルキル、5~10員ヘテロアリール、および4~12員ヘテロシクロアルキルから選択され、これらのそれぞれが、Rgから独立して選択される1、2、または3個の置換基で任意に置換されており、
各Rb4が、独立して、C1~6アルキル、C1~4ハロアルキル、C1~4ヒドロキシアルキル、C1~4シアノアルキル、C6~10アリール、C3~10シクロアルキル、5~10員ヘテロアリール、および4~12員ヘテロシクロアルキルから選択され、これらのそれぞれが、Rgから独立して選択される1、2、または3個の置換基で任意に置換されており、
各Rgが、独立して、OH、NO2、CN、ハロ、C1~6アルキル、C1~4ハロアルキル、C1~6アルコキシ、C1~6ハロアルコキシ、シアノ-C1~3アルキレン、およびHO-C1~3アルキレンから選択される、請求項1に記載の方法。
【請求項17】
R1、R2、R3、およびR4が、それぞれ独立して、Cy1およびCy1で任意に置換されたC1~6アルキルから選択される、請求項16に記載の方法。
【請求項18】
前記式(I)の化合物は、表Aに列挙される化合物、
【表1】
のうちのいずれか1つ、またはその薬学的に許容される塩から選択される、請求項1に記載の方法。
【請求項19】
・細胞におけるガスデルミン細孔形成を阻害する、および/または
・細胞のインフラマソーム媒介性死(ピロトーシス)を阻害する、および/または
・細胞からのサイトカイン分泌を阻害する、および/または
・細胞内の炎症性カスパーゼを阻害する、および/または
・細胞内のガスデルミンタンパク質のシステインと共有結合的に反応する、および/または
・センサ、アダプタ、および転写因子、またはその調節因子から選択される炎症性シグナル伝達分子のシステインと共有結合的に反応する、方法であって、
前記方法が、前記細胞を、有効量の以下の化合物、
【表2】
のうちのいずれか1つ、またはその薬学的に許容される塩と接触させることを含む、方法。
【請求項20】
前記化合物が、
【表3】
またはその薬学的に許容される塩から選択される、請求項19に記載の方法。
【請求項21】
ガスデルミンタンパク質が、ガスデルミンD(GSDMD)である、請求項1~20のいずれか一項に記載の方法。
【請求項22】
前記炎症性カスパーゼが、カスパーゼ-1またはカスパーゼ-11である、請求項1~21のいずれか一項に記載の方法。
【請求項23】
前記化合物が、アポトーシスカスパーゼを阻害しない、請求項1~22のいずれか一項に記載の方法。
【請求項24】
前記炎症性サイトカインが、IL-1βである、請求項1~23のいずれか一項に記載の方法。
【請求項25】
前記ガスデルミンタンパク質のシステインが、Cys191である、請求項1~24のいずれか一項に記載の方法。
【請求項26】
インフラマソーム活性化および/またはガスデルミン炎症性細胞死が病因に関与する疾患または病態を治療もしくは予防する方法であって、前記方法が、それを必要とする対象に、治療有効量の、
・請求項1~18のいずれか一項に記載の式(I)の化合物、またはその薬学的に許容される塩、あるいは
・請求項19もしくは20に記載の化合物のうちのいずれか1つ、またはその薬学的に許容される塩を、投与することを含む、方法。
【請求項27】
前記疾患または病態が、炎症性疾患、心血管疾患、代謝性疾患、および神経変性疾患から選択される、請求項26に記載の方法。
【請求項28】
前記炎症性疾患が、敗血症、痛風、関節炎、アテローム性動脈硬化症、高コレステロール血症、および炎症性腸疾患から選択される、請求項27に記載の方法。
【請求項29】
前記化合物、またはその薬学的に許容される塩が、前記対象に、少なくとも1つの追加の治療薬、またはその薬学的に許容される塩と組み合わせて投与される、請求項26~28のいずれか一項に記載の方法。
【請求項30】
前記追加の治療薬が、抗炎症剤である、請求項29に記載の方法。
【請求項31】
前記抗炎症剤が、抗IL1抗体、抗TNF抗体、NSAID、およびステロイド抗炎症剤から選択される、請求項30に記載の方法。
【請求項32】
前記追加の治療薬が、抗生物質である、請求項29に記載の方法。
【請求項33】
化合物を同定する方法であって、前記化合物が、
・細胞におけるガスデルミン細孔形成を阻害する、および/または
・細胞のインフラマソーム媒介性死(ピロトーシス)を阻害する、および/または
・細胞からのサイトカイン分泌を阻害する、および/または
・細胞内の炎症性カスパーゼを阻害する、および/または
・細胞内のガスデルミンタンパク質のシステインと共有結合的に反応する、および/または
・センサ、アダプタ、および転写因子、またはその調節因子から選択される炎症性シグナル伝達分子のシステインと共有結合的に反応し、
前記方法が、
g)キレート配位子と錯体を形成することができる金属カチオンを含むリポソーム、前記キレート配位子、試験化合物、およびガスデルミンタンパク質、またはその断片を含む試料を提供することと、
h)前記試料中の前記ガスデルミンタンパク質を、プロテアーゼ酵素と接触させることと、
i)前記試験化合物が前記リポソームからの前記金属カチオンの漏出を阻害するかどうかを判定することであって、前記リポソームからの前記金属カチオンの前記漏出の前記阻害が、前記試験化合物が、
・細胞におけるガスデルミン細孔形成を阻害する、および/または
・細胞のインフラマソーム媒介性死(ピロトーシス)を阻害する、および/または
・細胞からのサイトカイン分泌を阻害する、および/または
・細胞内の炎症性カスパーゼを阻害する、および/または
・細胞内のガスデルミンタンパク質のシステインと共有結合的に反応する、および/または
・センサ、アダプタ、および転写因子、またはその調節因子から選択される炎症性シグナル伝達分子のシステインと共有結合的に反応することの指標である、判定することと、を含む、方法。
【請求項34】
前記金属カチオンが、Tb3+である、請求項33に記載の方法。
【請求項35】
前記キレート配位子が、ジピコリン酸(DPA)である、請求項33または請求項34に記載の方法。
【請求項36】
前記金属カチオンと前記キレート配位子との前記錯体の蛍光が、前記カチオンおよび前記配位子が互いに結合していないときの前記金属カチオン、または前記キレート配位子のいずれかの蛍光よりも大きい、請求項33~35のいずれか一項に記載の方法。
【請求項37】
ガスデルミンタンパク質が、ガスデルミンD(GSDMD)である、請求項33~36のいずれか一項に記載の方法。
【請求項38】
前記プロテアーゼが、炎症性カスパーゼである、請求項33~37のいずれか一項に記載の方法。
【請求項39】
前記炎症性カスパーゼが、カスパーゼ-1またはカスパーゼ-11である、請求項38に記載の方法。
【請求項40】
前記ガスデルミンタンパク質が、ライノウイルス3Cプロテアーゼ切断部位(GSDM-3C)を含む、請求項33~39のいずれか一項に記載の方法。
【請求項41】
前記プロテアーゼが、ライノウイルス3Cプロテアーゼである、請求項40に記載の方法。
【請求項42】
前記炎症性サイトカインが、IL-1βである、請求項33~41のいずれか一項に記載の方法。
【請求項43】
前記試験化合物が、前記リポソームからの前記金属カチオンの漏出を阻害するかどうかを判定することが、前記試料の前記蛍光が、前記試験化合物を含有しない対照試料の蛍光よりも低いと判断することを含む、請求項33~42のいずれか一項に記載の方法。
【請求項44】
・請求項1~18のいずれか一項に記載の式(I)の化合物、またはその薬学的に許容される塩、あるいは
・請求項19もしくは20に記載の化合物のいずれか1つ、またはその薬学的に許容される塩と、
薬学的に許容される担体と、を含む、薬学的組成物。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
優先権の主張
本出願は、2018年6月27日に出願された米国仮特許出願第62/690,788号に対する優先権を主張し、その内容全体が参照により本明細書に組み込まれる。
【0002】
本発明は、化学化合物に関し、特に、炎症を阻害し、炎症に関連する病態の治療において有用である化合物に関する。
【背景技術】
【0003】
インフラマソームは、炎症性カスパーゼ(1/4/5/11)を活性化するために侵襲性病原体および滅菌危険シグナルに応答して組み立てられ、炎症性死(ピロトーシス)ならびに炎症誘発性サイトカインの処置および放出を誘発する多タンパク質シグナル伝達骨格である。インフラマソーム活性化は、炎症性腸疾患、痛風、II型糖尿病、心血管疾患、アルツハイマー病、および敗血症(しばしば全身感染に対する致命的な応答)を含む多くのヒト疾患に寄与する。
【発明の概要】
【0004】
第1の一般的な態様では、本開示は、
・細胞におけるガスデルミン(gasdermin)細孔形成を阻害する、および/または
・細胞のインフラマソーム媒介性死(ピロトーシス)を阻害する、および/または
・細胞からのサイトカイン分泌を阻害する、および/または
・細胞内の炎症性カスパーゼを阻害する、および/または
・細胞内のガスデルミンタンパク質のシステインと共有結合的に反応する、および/または
・センサ、アダプタ、および転写因子、またはその調節因子から選択される炎症性シグナル伝達分子のシステインと共有結合的に反応する、方法を提供し、
本方法は、細胞を有効量の本明細書に記載される化合物のうちのいずれか1つ、またはその薬学的に許容される塩と接触させることを含む。
【0005】
第2の一般的な態様では、本開示は、インフラマソーム活性化および/またはガスデルミン炎症性細胞死が病因に関与する疾患または病態を治療もしくは予防する方法を提供し、本方法は、それを必要とする対象に、治療有効量の本明細書に記載される化合物のうちのいずれか1つ、またはその薬学的に許容される塩を投与することを含む。
【0006】
第3の一般的な態様では、本開示は、
・細胞におけるガスデルミン細孔形成を阻害する、および/または
・細胞のインフラマソーム媒介性死(ピロトーシス)を阻害する、および/または
・細胞からのサイトカイン分泌を阻害する、および/または
・細胞内の炎症性カスパーゼを阻害する、および/または
・細胞内のガスデルミンタンパク質のシステインと共有結合的に反応する、および/または
・センサ、アダプタ、および転写因子、またはその調節因子から選択される炎症性シグナル伝達分子のシステインと共有結合的に反応する、化合物を同定する方法を提供し、
本方法は、
a)キレート配位子と錯体を形成することができる金属カチオンを含むリポソーム、キレート配位子、試験化合物、およびガスデルミンタンパク質、またはその断片を含む試料を提供することと、
b)試料中のガスデルミンタンパク質を、プロテアーゼ酵素と接触させることと、
c)試験化合物がリポソームからの金属カチオンの漏出を阻害するかどうかを判定することであって、リポソームからの金属カチオンの漏出の阻害が、試験化合物が、
・細胞におけるガスデルミン細孔形成を阻害する、および/または
・細胞のインフラマソーム媒介性死(ピロトーシス)を阻害する、および/または
・細胞からのサイトカイン分泌を阻害する、および/または
・細胞内の炎症性カスパーゼを阻害する、および/または
・細胞内のガスデルミンタンパク質のシステインと共有結合的に反応する、および/または
・センサ、アダプタ、および転写因子、またはその調節因子から選択される炎症性シグナル伝達分子のシステインと共有結合的に反応することの指標である、判定することと、を含む。
【0007】
第4の一般的な態様では、本開示は、本明細書に記載される化合物のうちのいずれか1つ、またはその薬学的に許容される塩、および薬学的に許容される担体を含む薬学的組成物を提供する。
【0008】
第1、第2、第3、および第4の一般的な態様の特定の実施が本明細書に記載される。
【0009】
いくつかの実施形態では、本開示は、本明細書に記載の疾患または病態のうちのいずれか1つを治療もしくは予防するための、本明細書に記載の化合物のうちのいずれか1つ、またはその薬学的に許容される塩を含む組成物を提供する。
【0010】
いくつかの実施形態では、本開示は、本明細書に記載の疾患または病態のうちのいずれか1つを治療もしくは予防するための薬剤として使用するための、本明細書に記載の化合物のうちのいずれか1つ、またはその薬学的に許容される塩を提供する。
【0011】
いくつかの実施形態では、本開示は、本明細書に記載の化合物のうちのいずれか1つ、またはその薬学的に許容される塩の、本明細書に記載の疾患または病態のうちのいずれか1つの治療もしくは予防のための薬剤の製造における使用を提供する。
【0012】
別段の定義がない限り、本明細書で使用される全ての技術用語および科学用語は、本出願が属する当業者に一般的に理解される意味と同じ意味を有する。本出願で使用される方法および材料が本明細書に記載されており、当該技術分野で既知の他の好適な方法および材料も使用され得る。材料、方法、および実施例は、例示的であり、限定することを意図するものではない。本明細書で言及される全ての刊行物、特許出願、特許、配列、データベースエントリ、および他の参考文献は、それらの全体が参照により組み込まれる。矛盾する場合、定義を含む本明細書が優先される。
【0013】
本出願の他の特徴および利点は、以下の詳細な説明および図面ならびに特許請求の範囲から明らかになるであろう。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【
図1】テルビウム(Tb
3+)/ジピコリン酸(DPA)蛍光リポソーム漏出アッセイの図形表示を含む。
【
図2】リポソーム漏出アッセイにおけるジスルフィラムの用量反応曲線を示す折れ線グラフを含む。
【
図3】Alexa 488標識His-MBP-GSDMD(80nM)とC-22、C-23またはC-24との結合のMST測定を示す折れ線グラフを含む。
【
図4】ニゲリシンまたは培地の存在下で化合物C-22、C-23、およびC-24で処置した後の細胞生存率を示す棒グラフを含む。
【
図5】各試験化合物による前処置後(PBSまたはLPSによる電気穿孔前)の細胞生存率を示す棒グラフを含む。
【
図6】カノニカルインフラマソーム活性化の化合物C-23による阻害のIC
50を示す折れ線グラフを含む。
【
図7】非カノニカルインフラマソーム活性化の化合物C-23による阻害のIC
50を示す折れ線グラフを含む。
【
図8】ELISA(LPS、またはLPSおよびニゲリシンで処置した細胞)によって評価されるように、化合物C-23によって処置した培養上清中のIL-1βのレベルを示す棒グラフを含む。
【
図9】ELISA(PBS、またはLPSトランスフェクションで処置した細胞)によって評価されるように、化合物C-23によって処置した培養上清中のIL-1βのレベルを示す棒グラフを含む。
【
図10】PBSまたはポリ(dA:dT)でトランスフェクションする前にC-23で前処置した後の細胞生存率を示す棒グラフを含む。
【
図11】化合物C-5、C-7、C-8、C-22、C-23、C-24、およびC-25の化学構造を含む。
【
図12】Cu(II)の存在下または非存在下でのジスルフィラム(C-23)またはその代謝産物DTCによるリポソーム漏出の阻害の用量反応曲線を含む。
【
図13】LPS初期活性化(primed)THP-1を、Cu(II)の存在下または非存在下でC-23またはDTCで1時間前処置した後、ニゲリシンまたは培地を2時間添加したことを示す折れ線グラフを含む。
【
図14】15mg/kgのLPSでチャレンジし、C-23で処置した後のマウス生存率%を示す折れ線グラフを含む。
【
図15】C-23で前処置し、15mg/kgのLPSでチャレンジしたマウスにおいてELISAによって測定した血清IL-1βを示す棒グラフを含む。
【
図16】25mg/kgのLPSでチャレンジし、C-23で処置した後のマウス生存率%を示す折れ線グラフを含む。
【
図17】50mg/kgのLPSでチャレンジし、C-23で処置した後のマウス生存率%を示す折れ線グラフを含む。
【
図18】腹腔内LPSチャレンジ(25mg/kg)の0および12時間後に、マウスを腹腔内注射によってC-23(50mg/kg)、C-23(50mg/kg)+グルコン酸銅(0.15mg/kg)またはビヒクル(対照)で処置した後のマウス生存率%を示す折れ線グラフを含む。
【
図19】DTCとCu
2+との間の化学反応を示す化学スキームを含む。
【
図20】Cys191含有ヒトGSDMDペプチドのMS/MSスペクトルを含む。
【
図21】C-23のジエチルジチオカルバメート部分によるCys191上の共有結合修飾を有するC-23とインキュベートした後のGSDMDペプチドのMS/MSスペクトルを含有する。
【
図22】GSDMA3の対応する構造に基づく、その自己阻害型における完全長ヒトGSDMDのモデル、およびGSDMDN末端断片(GSDMD-NT)の細孔形態のモデルを示す画像を含む。
【
図23】野生型、C38AまたはC191A GSDMD(0.3μM)+カスパーゼ-11(0.15μM)によって誘導されたリポソーム漏出のC-23の阻害の用量反応曲線を含む。
【
図24】N-アセチルシステイン(NAC、500μM)または培地で1時間プレインキュベーションした後のLPS+ニゲリシン処置THP-1細胞のピロトーシスのC-23阻害を示す棒グラフを含む。
【
図25】ヒトGSDMD-3C(0.3μM)+3Cプロテアーゼ(0.15μM)によって誘導されたリポソーム漏出における化合物C-23の用量反応曲線を含む。
【
図26】ヒトGSDMD-3C(0.3μM)+3Cプロテアーゼ(0.15μM)によって誘導されたリポソーム漏出における化合物C-23の用量反応曲線を含む。
【
図27】カルバミドメチルによってシステイン191上で修飾されたペプチドFSLPGATCLQGEGQGHLSQKのMS/MSスペクトルを含む。
【
図28】C-23によってシステイン191上で修飾されたペプチドFSLPGATCLQGEGQGHLSQKのMS/MSスペクトルを含む。
【
図29】Cys残基を示す、GSDMA3、hGSDMA、mGSDMD、およびhGSDMDの配列アライメントを含む。
【
図30】リポソーム(50μM)中のカスパーゼ-11(0.15μM)を添加する前に、指示された濃度のC-23(0~50μM)と共に異なる期間(2~90分)プレインキュベートしたGSDMD(0.3μM)のTb
3+/DPA蛍光を示す折れ線グラフを含む。
【
図31】指示された濃度の化合物C-23の存在下でのカスパーゼ-1活性の時間経過を示す折れ線グラフを含む。
【
図32】指示された濃度の化合物C-23の存在下でのカスパーゼ-11活性の時間経過を示す折れ線グラフを含む。
【
図33】カスパーゼ-1活性アッセイにおける化合物C-23の用量反応曲線を含む。
【
図34】カスパーゼ-11活性アッセイにおける化合物C-23の用量反応曲線を含む。
【
図35】指示された濃度の化合物C-23+Cu(II)の存在下でのカスパーゼ-1活性の時間経過を示す折れ線グラフを含む。
【
図36】指示された濃度の化合物C-23+Cu(II)の存在下でのカスパーゼ-11活性の時間経過を示す折れ線グラフを含む。
【
図37】カスパーゼ-1活性アッセイにおける化合物C-23+Cu(II)の用量反応曲線を含む。
【
図38】カスパーゼ-11活性アッセイにおける化合物C-23+Cu(II)の用量反応曲線を含む。
【
図39】表2に提示される試験化合物の化学構造を含む。
【
図40】表2および
図39に提示される化合物についての細胞生存率アッセイの結果を示す棒グラフを含む。
【
図41】ニゲリシンの有り無しでの表2および
図39の化合物についての細胞生存率アッセイの結果を示す棒グラフを含む。
【
図42】ニゲリシンを添加した後の化合物C-23A1、C-23A2、C-23A9、およびC-23A10の細胞生存率アッセイの結果を示す棒グラフを含む。
【
図43】化合物C-23、Bay11-7082、およびC-23+Bay11-7082についての細胞生存率アッセイの結果を示す棒グラフを含む。
【
図44】LPSトランスフェクション後の化合物C-23およびBay11-7082についての細胞生存率アッセイの結果を示す棒グラフを含む。
【
図45】C-23およびBay11-7082を用いて前処置したTHP-1細胞の免疫ブロットの画像を含む。
【
図46】C-23、Bay11-7082、またはz-VADfmkで前処置した、LPS初期活性化THP-1細胞の画像を含む。
【
図47】C-23、Bay11-7082、またはz-VADfmkで処置した後のAPS凝集体を有する細胞の%を示す棒グラフを含む。
【
図48】C-23単独で、またはCu(II)と共に前処置した、LPS初期活性化THP-1細胞の画像を含む。
【
図49】C-23単独で、またはCu(II)と共に処置した後のAPS凝集体を有する細胞の%を示す棒グラフを含む。
【
図50】C-23、Bay11-7082、またはz-VADfmkで前処置し、指示された抗体で可視化した細胞の溶解物を示す免疫ブロットの画像を含む。
【
図51】C-23単独で、またはCu(II)と共に前処置し、指示された抗体で可視化した細胞の溶解物を示す免疫ブロットの画像を含む。
【
図52】C-23、Bay11-7082、およびz-VADfmkのカスパーゼ-1の活性を示す棒グラフを含む。
【
図53】C-23、Bay11-7082、またはz-VAD-fmkで前処置し、マウス抗GSDMDモノクローナル抗体で染色したLPS初期活性化THP-1細胞の画像を含む。
【
図54】GSDMD膜染色およびピロトーシス気泡を有する細胞の割合の定量化を示す棒グラフを含む。
【
図55】野生型、C38AまたはC191AヒトGSDMDによるリポソーム漏出のBay11-7082阻害の反応曲線を含む。
【
図56】Alexa 488標識His-MBP-GSDMDとBay11-7082との直接結合の熱泳動測定を示す折れ線グラフを含む。
【
図57】カスパーゼ-1活性に対するBay11-7082の効果の用量反応曲線を含む。
【
図58】カスパーゼ-11活性に対するBay11-7082の効果の用量反応曲線を含む。
【
図59】カルバミドメチルによってCys191上で修飾されたGSDMDペプチドのMSスペクトルを含む。
【
図60】Cys191で修飾された、Bay11-7082とのGSDMDインキュベーション後のGSDMDペプチドのMSスペクトルを含む。
【
図61】ヒトGSDMD-3Cによって誘導されたリポソーム漏出に対するBay11-7082の効果の用量反応曲線を含む。
【
図62】マウスGSDMD-3Cによって誘導されたリポソーム漏出に対するBay11-7082の効果の用量反応曲線を含む。
【
図63】ピロトーシスの阻害に対するN-アセチルシステイン(NAC)とのBay11-7082のプレインキュベーションの効果を示す棒グラフを含む。
【
図64】指示されたプラスミドでトランスフェクトし、ゲルを指示された抗体でプローブしたHEK293T細胞の免疫ブロットの画像を含む。
【
図65】指示されたプラスミドでトランスフェクトし、ゲルを指示された抗体でプローブしたHCT116、293T、およびTHP-1細胞の免疫ブロットの画像を含む。
【
図66】抗GSDMDモノクローナル抗体で免疫染色し、DAPIで共染色した293TおよびTHP-1細胞の画像を含む。
【
図67】ガスデルミンD細孔の形成およびその後の炎症媒介物の放出につながる生化学的プロセスを示すスキームを含む。
【
図68】GSDMD-3C+3Cプロテアーゼとのインキュベーションの有り無しでのPS含有ナノディスクのネガティブ染色EM画像を含む。左から3番目の画像では、GSDMD-3C+3Cプロテアーゼ混合物にC-23を添加した後、C-23をナノディスクに添加し、4番目の画像では、細孔が形成されたときに混合物をナノディスクと共にインキュベートした後にC-23を添加した。スケールバー、100nm。矢印は空のナノディスクおよび細孔を指している。
【
図69】20ng/mlのTNFα(T)、100nMのSMAC模倣薬(S)、および20μMのz-VAD-fmk(Z)を添加する前に、ジスルフィラム(C-23)または2μMのネクロスルホンアミド(NSA)または10μMのネクロスタチン-1(Nec)で1時間前処置し(10μMおよび50μM)または前処置せず、24時間後にCellTiter-Gloアッセイにより細胞生存率を分析した、HT-29細胞についての実験結果を示す棒グラフを含む。グラフは、平均値±s.dを示し、データは、3つの独立した実験を代表するものである。
**P<0.01である。
【
図70】阻害剤無しまたは30μMのC-23もしくはz-VAD-fmkの存在下でSYTOX Green取り込みによって測定されたピロトーシスの結果を示す折れ線グラフを含む。
【
図71】HEK293T細胞において、完全長(FL)ヒトGSDMDおよびGSDMD C191Sがカスパーゼ-11と共発現したときの実験の結果を示す棒グラフを含む。細胞死を、トランスフェクションの20時間後にCytoTox96細胞傷害性アッセイによって判定した。
【
図72】FLヒトWTまたはC191S GSDMDがHEK293T細胞中のカスパーゼ-11と共発現したときの実験の結果を示す棒グラフを含む。トランスフェクションの8時間後、指示された量のジスルフィラムを添加し、12時間後のLDH放出によって細胞死を判定した。棒グラフは、実施した3つの独立した実験のうちの1つの代表的な実験の平均値±s.d.を示す。
*P<0.05、
**P<0.01であり、n.s.は、有意ではないことを示す。
【
図73】予め切断されたヒトGSDMD(0.3μM)によって誘導されたリポソーム漏出におけるジスルフィラムの用量反応曲線を示す折れ線グラフを含む。
【
図74】予め切断されたマウスGSDMA3-3C(0.3μM)によって誘導されたリポソーム漏出におけるジスルフィラムの用量反応曲線を示す折れ線グラフを含む。
【
図75】30μMのジスルフィラムまたはz-VAD-fmkで1時間前処置したか、または前処置せず、ニゲリシンまたは培地で刺激したLPS初期活性化THP-1細胞を示す画像を含む。
【
図76】ASCスペックについてのLPS初期活性化THP-1細胞の分析結果を示す棒グラフを含む。
【
図77】NLRP3についてのLPS初期活性化THP-1細胞の分析結果を示す画像を含む。
【
図78】カスパーゼ-1、GSDMD、およびプロ-IL-1β切断、ならびに全細胞溶解物(WCL)または培養上清の免疫ブロットによるIL-1放出についてのLPS初期活性化THP-1細胞の分析結果を示す画像を含む。
【
図79】GSDMDの形質膜への再分配を示す画像および棒グラフを含む。細胞をニゲリシンを添加した後30分固定し、社内で(in house)生成された以前に報告されていないモノクローナル抗体を使用してGSDMDを染色した。代表的な共焦点顕微鏡画像ならびにGSDMD膜染色およびピロトーシス気泡を有する細胞の割合の定量化が示されている。矢印は、ピロトーシス気泡のGSDMD染色を指している。グラフは、平均値±s.dを示し、データは、3つの独立した実験を代表するものである。
*P<0.05、
**P<0.01である。
【
図80】GSDMDに主な効果を有する、インフラマソーム経路工程のモデルおよびジスルフィラムによるそれらの阻害を示す画像を含む。
【
図81】マウスを、15mg/kgのLPSでの腹腔内チャレンジの24時間前および4時間前に腹腔内注射によってジスルフィラム(50mg/kg)またはビヒクル(対照)で前処置し、生存を追跡した実験の結果を示すプロットを含む。TNFaを、LPSチャレンジの12時間後にELISA(n=5/群)によって測定した。平均値±s.d.が示されている。
【
図82】マウスを、15mg/kgのLPSでの腹腔内チャレンジの24時間前および4時間前に腹腔内注射によってジスルフィラム(50mg/kg)またはビヒクル(対照)で前処置し、生存を追跡した実験の結果を示すプロットを含む。血清IL-6を、LPSチャレンジの12時間後にELISA(n=5/群)によって測定した。平均値±s.d.が示されている。
【
図83】マウスを、腹腔内LPSチャレンジ(25mg/kg)の4時間前および腹腔内LPSチャレンジ(25mg/kg)の後に毎日、腹腔内注射によってジスルフィラム(50mg/kg)またはビヒクル(対照)で前処置し、生存を追跡した実験の結果を示す折れ線グラフを含む。
【
図84】4つの指示されたマウス群由来の腹膜マクロファージを免疫ブロットによってNLRP3、GSDMDおよびHMGB1について分析した実験の結果を示す画像を含む。
【
図85】リポソーム漏出アッセイの結果を示す折れ線グラフを含む。GSDMD(2.5μM)およびカスパーゼ-11(2.5μM)を20mMのHEPES緩衝液(150mMのNaCl)中の様々な濃度で、リポソーム溶液中で1時間インキュベートした。スクリーンのリポソーム脂質の濃度を50μMに設定した。
【
図86】リポソーム漏出アッセイの結果を示す折れ線グラフを含む。異なる濃度のGSDMDおよびカスパーゼ-11(1:1比)を、リポソーム(50μM)溶液中で1時間インキュベートした。スクリーンで使用したGSDMDの濃度を0.3μMに設定した。
【
図87】リポソーム漏出アッセイの結果を示す折れ線グラフを含む。異なる濃度のカスパーゼ-11およびGSDMD(0.3μM)を、リポソーム(50μM)溶液中で1時間インキュベートした。スクリーンで使用したカスパーゼ-11の濃度を0.15μMに設定した。545nmにおける蛍光強度を、276nmでの励起後に測定した。
【
図88】マウスiBMDMを、PBSまたはpoly(dA:dT)でトランスフェクションする前に、5~40μMの範囲のジスルフィラム(C-23)で1時間前処置し、または前処置せず、4時間後にCellTiter-Gloアッセイで細胞生存率を分析した実験の結果を示す棒グラフを含む。
**P<0.01である。
【
図89】Cys残基を示す、GSDMA3、hGSDMA、mGSDMD、およびhGSDMDの配列アライメントを示す画像を含む。
【
図90】FLマウスGSDMDまたはWT、C192SまたはC39A GSDMD-NTがHEK293T細胞において一過性に発現された実験の結果を示す棒グラフを含む。細胞死を、トランスフェクションの20時間後にCytoTox96細胞傷害性アッセイによって判定した。cは、実施した3つの独立した実験のうちの1つの代表的な実験の平均値±s.d.を示している。
**P<0.05である。
【
図91】化合物ネクロスルホンアミドについて0.3μMのGSDMD+0.15μMのカスパーゼ-11によって誘導されたGSDMD媒介性リポソーム漏出アッセイの結果を示す折れ線グラフ(用量反応曲線)を含む。
【
図92】化合物フマル酸ジメチルについて0.3μMのGSDMD+0.15μMのカスパーゼ-11によって誘導されたGSDMD媒介性リポソーム漏出アッセイの結果を示す折れ線グラフ(用量反応曲線)を含む。
【
図93】化合物アファチニブについて0.3μMのGSDMD+0.15μMのカスパーゼ-11によって誘導されたGSDMD媒介性リポソーム漏出アッセイの結果を示す折れ線グラフ(用量反応曲線)を含む。
【
図94】化合物イブルチニブについて0.3μMのGSDMD+0.15μMのカスパーゼ-11によって誘導されたGSDMD媒介性リポソーム漏出アッセイの結果を示す折れ線グラフ(用量反応曲線)を含む。
【
図95】化合物LDC7559について0.3μMのGSDMD+0.15μMのカスパーゼ-11によって誘導されたGSDMD媒介性リポソーム漏出アッセイの結果を示す折れ線グラフ(用量反応曲線)を含む。
【
図96】30μMのジスルフィラムまたはz-VAD-fmkで1時間前処置し、または前処置せず、ニゲリシンまたは培地で刺激したLPS初期活性化THP-1細胞を、0.5時間後に細胞透過性蛍光カスパーゼ活性プローブFAM-YVAD-FMKによってカスパーゼ-1活性について分析した実験の結果を示す棒グラフを含む。
【
図97】培地除去後に、LPS初期活性化THP-1細胞を、蛍光読み取りの前に、さらに0.5時間、FLICAアッセイ緩衝液中のプローブFAM-YVAD-FMKと共にインキュベートした実験の結果を示す棒グラフを含む。iBMDMを、ジスルフィラム、Bay11-7082、ネクロスルホンアミド(NSA)、またはz-VAD-fmkで1時間前処置した後、ニゲリシンで0.5時間処置したか、または処置しなかった。指示された抗体で全細胞溶解物および培養上清を免疫ブロットした。
【
図98】培地除去後に、LPS初期活性化THP-1細胞を、蛍光読み取りの前に、さらに0.5時間、FLICAアッセイ緩衝液中のプローブFAM-YVAD-FMKと共にインキュベートした実験の結果を示す棒グラフを含む。iBMDMを、ジスルフィラム、Bay11-7082、ネクロスルホンアミド(NSA)、またはz-VAD-fmkで1時間前処置した後、ニゲリシンで1時間処置したか、または処置しなかった。指示された抗体で全細胞溶解物および培養上清を免疫ブロットした。
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下でさらに詳細に論じられるように、細孔形成タンパク質ガスデルミン(ガスデルミンDなど)は、インフラマソーム活性化の下流の最終的なピロトーシス実行型である。本出願の化合物は、ガスデルミン細孔形成およびその後のIL-1βなどの炎症性媒介物の分泌を強力に阻害する。したがって、本出願の化合物は、例えば、敗血症などの炎症によって媒介される疾患および病態の治療に有用である。本開示の化合物を含有する薬学的組成物、ならびにこれらの化合物を使用および作製する様々な方法を以下に記載する。
【0016】
治療用化合物
1つの一般的な態様では、本開示は、式(I)の化合物、
【化1】
またはその薬学的に許容される塩を提供し、式中、
R
1、R
2、R
3、およびR
4は、それぞれ独立して、H、C
1~6アルキル、C
1~6ハロアルキル、C
2~6アルケニル、C
2~6アルキニル、Cy
1、C(O)R
b1、C(O)NR
c1R
d1、C(O)OR
a1、S(O)
2R
b1、およびS(O)
2NR
c1R
d1から選択され、該C
1~6アルキル、C
2~6アルケニル、およびC
2~6アルキニルが、それぞれ、Cy
1、ハロ、CN、NO
2、OR
a1、SR
a1、C(O)R
b1、C(O)NR
c1R
d1、C(O)OR
a1、NR
c1R
d1、NR
c1C(O)R
b1、NR
c1C(O)OR
a1、NR
c1C(O)NR
c1R
d1、NR
c1S(O)
2R
b1、NR
c1S(O)
2NR
c1R
d1、S(O)
2R
b1およびS(O)
2NR
c1R
d1から独立して選択される1、2、または3個の置換基で任意に置換されており、
あるいは、R
1およびR
2は、それらが結合するN原子と共に、4~12員ヘテロシクロアルキルを形成し、これは、R
Cy2から独立して選択される1、2、3、4、または5個の置換基で任意に置換されており、
あるいは、R
3およびR
4は、それらが結合するN原子と共に、4~12員ヘテロシクロアルキルを形成し、これは、R
Cy3から独立して選択される1、2、3、4、または5個の置換基で任意に置換されており、
各Cy
1は、独立して、C
6~10アリール、C
3~10シクロアルキル、5~10員ヘテロアリール、および4~12員ヘテロシクロアルキルから選択され、これらのそれぞれが、R
Cy1から独立して選択される1、2、3、4、または5個の置換基で任意に置換されており、
各R
Cy1、R
Cy2、およびR
Cy3は、独立して、C
1~6アルキル、C
2~6アルケニル、C
2~6アルキニル、C
1~6ハロアルキル、ハロ、CN、NO
2、OR
a2、C(O)R
b2、C(O)NR
c2R
d2、C(O)OR
a2、NR
c2R
d2、NR
c2C(O)R
b2、NR
c2C(O)OR
a2、NR
c2C(O)NR
c2R
d2、S(O)
2R
b2およびS(O)
2NR
c2R
d2から選択され、
R
a1、R
a2、R
c1、R
c2、R
d1、およびR
d2は、それぞれ独立して、H、C
1~6アルキル、C
2~6アルケニル、C
2~6アルキニル、C
1~4ハロアルキル、Cy
1、C(O)R
b3、C(O)NR
c3R
d3、C(O)OR
a3、S(O)
2R
b3、およびS(O)
2NR
c3R
d3から選択され、該C
1~6アルキル、C
2~6アルケニル、およびC
2~6アルキニルが、それぞれ、Cy
1、ハロ、CN、NO
2、OR
a3、SR
a3、C(O)R
b3、C(O)NR
c3R
d3、C(O)OR
a3、NR
c3R
d3、NR
c3C(O)R
b3、NR
c3C(O)OR
a3、NR
c3C(O)NR
c3R
d3、NR
c3S(O)
2R
b3、NR
c3S(O)
2NR
c3R
d3、S(O)
2R
b3およびS(O)
2NR
c3R
d3から独立して選択される1、2、3、4、または5個の置換基で任意に置換されており、
R
b1およびR
b2は、それぞれ独立して、C
1~6アルキル、C
2~6アルケニル、C
2~6アルキニル、C
1~4ハロアルキル、およびCy
1から選択され、該C
1~6アルキル、C
2~6アルケニル、およびC
2~6アルキニルが、それぞれ、Cy
1、ハロ、CN、NO
2、OR
a3、SR
a3、C(O)R
b3、C(O)NR
c3R
d3、C(O)OR
a3、NR
c3R
d3、NR
c3C(O)R
b3、NR
c3C(O)OR
a3、NR
c3C(O)NR
c3R
d3、NR
c3S(O)
2R
b3、NR
c3S(O)
2NR
c3R
d3、S(O)
2R
b3およびS(O)
2NR
c3R
d3から独立して選択される1、2、3、4、または5個の置換基で任意に置換されており、
R
a3、R
c3、およびR
d3は、それぞれ独立して、H、C
1~6アルキル、C
1~4ハロアルキル、C
2~6アルケニル、C
2~6アルキニル、C
6~10アリール、C
3~10シクロアルキル、5~10員ヘテロアリール、4~12員ヘテロシクロアルキル、C
6~10アリール-C
1~4アルキレン、C
3~10シクロアルキル-C
1~4アルキレン、(5~10員ヘテロアリール)-C
1~4アルキレン、(4~12員ヘテロシクロアルキル)-C
1~4アルキレン、C(O)R
b4、C(O)NR
c4R
d4、C(O)OR
a4、NR
c4R
d4、S(O)
2R
b4、およびS(O)
2NR
c4R
d4から選択され、該C
1~6アルキル、C
2~6アルケニル、C
2~6アルキニル、C
6~10アリール、C
3~10シクロアルキル、5~10員ヘテロアリール、4~12員ヘテロシクロアルキル、C
6~10アリール-C
1~4アルキレン、C
3~10シクロアルキル-C
1~4アルキレン、(5~10員ヘテロアリール)-C
1~4アルキレン、および(4~12員ヘテロシクロアルキル)-C
1~4アルキレンが、それぞれオキソ、C
1~6アルキル、C
1~4ハロアルキル、C
1~4ヒドロキシアルキル、C
1~6シアノアルキル、ハロ、CN、NO
2、OR
a4、SR
a4、C(O)R
b4、C(O)NR
c4R
d4、C(O)OR
a4、NR
c4R
d4、NR
c4C(O)R
b4、NR
c4C(O)OR
a4、NR
c4C(O)NR
c4R
d4、NR
c4S(O)
2R
b4、NR
c4S(O)
2NR
c4R
d4、S(O)
2R
b4、およびS(O)
2NR
c4R
d4から独立して選択される1、2、3、4または5個の置換基で任意に置換されており、
各R
b3は、独立して、C
1~6アルキル、C
2~6アルケニル、C
2~6アルキニル、C
1~4ハロアルキル、C
6~10アリール、C
3~10シクロアルキル、5~10員ヘテロアリール、4~12員ヘテロシクロアルキル、C
6~10アリール-C
1~4アルキレン、C
3~10シクロアルキル-C
1~4アルキレン、(5~10員ヘテロアリール)-C
1~4アルキレン、および(4~12員ヘテロシクロアルキル)-C
1~4アルキレンから選択され、該C
1~6アルキル、C
2~6アルケニル、C
2~6アルキニル、C
6~10アリール、C
3~10シクロアルキル、5~10員ヘテロアリール、4~12員ヘテロシクロアルキル、C
6~10アリール-C
1~4アルキレン、C
3~10シクロアルキル-C
1~4アルキレン、(5~10員ヘテロアリール)-C
1~4アルキレン、および(4~12員ヘテロシクロアルキル)-C
1~4アルキレンが、それぞれ、C
1~6アルキル、C
1~4ハロアルキル、C
1~4ヒドロキシアルキル、C
1~6シアノアルキル、ハロ、CN、NO
2、OR
a4、SR
a4、C(O)R
b4、C(O)NR
c4R
d4、C(O)OR
a4、NR
c4R
d4、NR
c4C(O)R
b4、NR
c4C(O)OR
a4、NR
c4C(O)NR
c4R
d4、NR
c4S(O)
2R
b4、NR
c4S(O)
2NR
c4R
d4、S(O)
2R
b4、およびS(O)
2NR
c4R
d4から独立して選択される1、2、3、4または5個の置換基で任意に置換されており、
R
a4、R
c4、およびR
d4は、それぞれ独立して、H、C
1~6アルキル、C
1~4ハロアルキル、C
1~4ヒドロキシアルキル、C
1~4シアノアルキル、C
2~6アルケニル、C
2~6アルキニル、C
6~10アリール、C
3~10シクロアルキル、5~10員ヘテロアリール、4~12員ヘテロシクロアルキル、C
6~10アリール-C
1~4アルキレン、C
3~10シクロアルキル-C
1~4アルキレン、(5~10員ヘテロアリール)-C
1~4アルキレン、(4~12員ヘテロシクロアルキル)-C
1~4アルキレンおよびR
gから選択され、該C
1~6アルキル、C
2~6アルケニル、C
2~6アルキニル、C
6~10アリール、C
3~10シクロアルキル、5~10員ヘテロアリール、4~12員ヘテロシクロアルキル、C
6~10アリール-C
1~4アルキレン、C
3~10シクロアルキル-C
1~4アルキレン、(5~10員ヘテロアリール)-C
1~4アルキレン、および(4~12員ヘテロシクロアルキル)-C
1~4アルキレンが、それぞれ、R
gから独立して選択される1、2、3、4、または5個の置換基で任意に置換されており、
各R
b4は、独立して、C
1~6アルキル、C
1~4ハロアルキル、C
1~4ヒドロキシアルキル、C
1~4シアノアルキル、C
2~6アルケニル、C
2~6アルキニル、C
6~10アリール、C
3~10シクロアルキル、5~10員ヘテロアリール、4~12員ヘテロシクロアルキル、C
6~10アリール-C
1~4アルキレン、C
3~10シクロアルキル-C
1~4アルキレン、(5~10員ヘテロアリール)-C
1~4アルキレン、(4~12員ヘテロシクロアルキル)-C
1~4アルキレンおよびR
gから選択され、該C
1~6アルキル、C
2~6アルケニル、C
2~6アルキニル、C
6~10アリール、C
3~10シクロアルキル、5~10員ヘテロアリール、4~12員ヘテロシクロアルキル、C
6~10アリール-C
1~4アルキレン、C
3~10シクロアルキル-C
1~4アルキレン、(5~10員ヘテロアリール)-C
1~4アルキレン、および(4~12員ヘテロシクロアルキル)-C
1~4アルキレンが、R
gから独立して選択される1、2、3、4、または5個の置換基で任意に置換されており、
各R
gは、独立して、OH、NO
2、CN、ハロ、C
1~6アルキル、C
2~6アルケニル、C
2~6アルキニル、C
1~4ハロアルキル、C
1~6アルコキシ、C
1~6ハロアルコキシ、シアノ-C
1~3アルキレン、HO-C
1~3アルキレン、C
6~10アリール、C
6~10アリールオキシ、C
3~10シクロアルキル、5~10員ヘテロアリール、4~12員ヘテロシクロアルキル、C
6~10アリール-C
1~4アルキレン、C
3~10シクロアルキル-C
1~4アルキレン、(5~10員ヘテロアリール)-C
1~4アルキレン、(4~12員ヘテロシクロアルキル)-C
1~4アルキレン、アミノ、C
1~6アルキルアミノ、ジ(C
1~6アルキル)アミノ、チオ、C
1~6アルキルチオ、C
1~6アルキルスルフィニル、C
1~6アルキルスルホニル、カルバミル、C
1~6アルキルカルバミル、ジ(C
1~6アルキル)カルバミル、カルボキシ、C
1~6アルキルカルボニル、C
1~6アルコキシカルボニル、C
1~6アルキルカルボニルアミノ、C
1~6アルキルスルホニルアミノ、アミノスルホニル、C
1~6アルキルアミノスルホニル、ジ(C
1~6アルキル)アミノスルホニル、アミノスルホニルアミノ、C
1~6アルキルアミノスルホニルアミノ、ジ(C
1~6アルキル)アミノスルホニルアミノ、アミノカルボニルアミノ、C
1~6アルキルアミノカルボニルアミノ、およびジ(C
1~6アルキル)アミノカルボニルアミノから選択される。
【0017】
いくつかの実施形態では、R1は、H、C1~6アルキル、C1~6ハロアルキル、C2~6アルケニル、C2~6アルキニル、およびCy1から選択され、該C1~6アルキル、C2~6アルケニル、およびC2~6アルキニルが、それぞれ、Cy1、ハロ、CN、NO2、ORa1、SRa1、C(O)Rb1、C(O)NRc1Rd1、C(O)ORa1、NRc1Rd1、NRc1C(O)Rb1、NRc1C(O)ORa1、NRc1C(O)NRc1Rd1、NRc1S(O)2Rb1、NRc1S(O)2NRc1Rd1、S(O)2Rb1およびS(O)2NRc1Rd1から独立して選択される1、2、または3個の置換基で任意に置換されている。
【0018】
いくつかの実施形態では、R1は、H、C1~6アルキル、C1~6ハロアルキル、およびCy1から選択され、該C1~6アルキルが、Cy1、ハロ、CN、NO2、ORa1、C(O)NRc1Rd1、C(O)ORa1、NRc1Rd1、NRc1C(O)Rb1、NRc1C(O)ORa1、およびNRc1S(O)2Rb1から独立して選択される1、2、または3個の置換基で任意に置換されている。
【0019】
いくつかの実施形態では、R1は、Cy1で任意に置換されたC1~6アルキルである。これらの実施形態のいくつかの態様では、R1は、メチル、エチル、プロピル、イソプロピル、n-ブチル、およびt-ブチルから選択され、これらの各々は、Cy1で任意に置換されている。これらの実施形態の他の態様において、R1は、Cy1で置換されたメチルである。いくつかの実施形態では、R1はCy1である。いくつかの実施形態では、R1は、Cy1およびCy1で任意に置換されたC1~6アルキルから選択される。
【0020】
いくつかの実施形態では、R2は、H、C1~6アルキル、C1~6ハロアルキル、C2~6アルケニル、C2~6アルキニル、およびCy1から選択され、該C1~6アルキル、C2~6アルケニル、およびC2~6アルキニルが、それぞれ、Cy1、ハロ、CN、NO2、ORa1、SRa1、C(O)Rb1、C(O)NRc1Rd1、C(O)ORa1、NRc1Rd1、NRc1C(O)Rb1、NRc1C(O)ORa1、NRc1C(O)NRc1Rd1、NRc1S(O)2Rb1、NRc1S(O)2NRc1Rd1、S(O)2Rb1およびS(O)2NRc1Rd1から独立して選択される1、2、または3個の置換基で任意に置換されている。
【0021】
いくつかの実施形態では、R2は、H、C1~6アルキル、C1~6ハロアルキル、およびCy1から選択され、該C1~6アルキルが、Cy1、ハロ、CN、NO2、ORa1、C(O)NRc1Rd1、C(O)ORa1、NRc1Rd1、NRc1C(O)Rb1、NRc1C(O)ORa1、およびNRc1S(O)2Rb1から独立して選択される1、2、または3個の置換基で任意に置換されている。
【0022】
いくつかの実施形態では、R2は、Cy1で任意に置換されたC1~6アルキルである。これらの実施形態のいくつかの態様では、R2は、メチル、エチル、プロピル、イソプロピル、n-ブチル、およびt-ブチルから選択され、これらの各々は、Cy1で任意に置換されている。これらの実施形態の他の態様では、R2は、Cy1で置換されたメチルである。いくつかの実施形態では、R2はCy1である。いくつかの実施形態では、R2は、Cy1およびCy1で任意に置換されたC1~6アルキルから選択される。
【0023】
いくつかの実施形態では、R3は、H、C1~6アルキル、C1~6ハロアルキル、C2~6アルケニル、C2~6アルキニル、およびCy1から選択され、該C1~6アルキル、C2~6アルケニル、およびC2~6アルキニルが、それぞれ、Cy1、ハロ、CN、NO2、ORa1、SRa1、C(O)Rb1、C(O)NRc1Rd1、C(O)ORa1、NRc1Rd1、NRc1C(O)Rb1、NRc1C(O)ORa1、NRc1C(O)NRc1Rd1、NRc1S(O)2Rb1、NRc1S(O)2NRc1Rd1、S(O)2Rb1およびS(O)2NRc1Rd1から独立して選択される1、2、または3個の置換基で任意に置換されている。
【0024】
いくつかの実施形態では、R3は、H、C1~6アルキル、C1~6ハロアルキル、およびCy1から選択され、該C1~6アルキルが、Cy1、ハロ、CN、NO2、ORa1、C(O)NRc1Rd1、C(O)ORa1、NRc1Rd1、NRc1C(O)Rb1、NRc1C(O)ORa1、およびNRc1S(O)2Rb1から独立して選択される1、2、または3個の置換基で任意に置換されている。
【0025】
いくつかの実施形態では、R3は、Cy1で任意に置換されたC1~6アルキルである。これらの実施形態のいくつかの態様では、R3は、メチル、エチル、プロピル、イソプロピル、n-ブチル、およびt-ブチルから選択され、これらの各々は、Cy1で任意に置換されている。これらの実施形態の他の態様では、R3は、Cy1で置換されたメチルである。いくつかの実施形態では、R3はCy1である。いくつかの実施形態では、R3は、Cy1およびCy1で任意に置換されたC1~6アルキルから選択される。
【0026】
いくつかの実施形態では、R4は、H、C1~6アルキル、C1~6ハロアルキル、C2~6アルケニル、C2~6アルキニル、およびCy1から選択され、該C1~6アルキル、C2~6アルケニル、およびC2~6アルキニルが、それぞれ、Cy1、ハロ、CN、NO2、ORa1、SRa1、C(O)Rb1、C(O)NRc1Rd1、C(O)ORa1、NRc1Rd1、NRc1C(O)Rb1、NRc1C(O)ORa1、NRc1C(O)NRc1Rd1、NRc1S(O)2Rb1、NRc1S(O)2NRc1Rd1、S(O)2Rb1およびS(O)2NRc1Rd1から独立して選択される1、2、または3個の置換基で任意に置換されている。
【0027】
いくつかの実施形態では、R4は、H、C1~6アルキル、C1~6ハロアルキル、およびCy1から選択され、該C1~6アルキルが、Cy1、ハロ、CN、NO2、ORa1、C(O)NRc1Rd1、C(O)ORa1、NRc1Rd1、NRc1C(O)Rb1、NRc1C(O)ORa1、およびNRc1S(O)2Rb1から独立して選択される1、2、または3個の置換基で任意に置換されている。
【0028】
いくつかの実施形態では、R4は、Cy1で任意に置換されたC1~6アルキルである。これらの実施形態のいくつかの態様では、R4は、メチル、エチル、プロピル、イソプロピル、n-ブチル、およびt-ブチルから選択され、これらの各々は、Cy1で任意に置換されている。これらの実施形態の他の態様では、R4は、Cy1で置換されたメチルである。いくつかの実施形態では、R4はCy1である。いくつかの実施形態では、R4は、Cy1およびCy1で任意に置換されたC1~6アルキルから選択される。
【0029】
いくつかの実施形態では、R1およびR2は、それぞれ、Cy1で任意に置換されたC1~6アルキルである。いくつかの実施形態では、R1およびR2は、それぞれ、Cy1である。いくつかの実施形態では、R1は、Cy1で任意に置換されたC1~6アルキルであり、R2は、Cy1である。いくつかの実施形態では、R1は、Cy1であり、R2は、Cy1で任意に置換されたC1~6アルキルである。
【0030】
いくつかの実施形態では、R3およびR4は、それぞれ、Cy1で任意に置換されたC1~6アルキルである。いくつかの実施形態では、R3およびR4は、それぞれ、Cy1である。いくつかの実施形態では、R3は、Cy1で任意に置換されたC1~6アルキルであり、R4は、Cy1である。いくつかの実施形態では、R3は、Cy1であり、R4は、Cy1で任意に置換されたC1~6アルキルである。
【0031】
いくつかの実施形態では、R
1およびR
2は、それらが結合するN原子と共に、4~12員ヘテロシクロアルキルを形成し、これは、R
Cy2から独立して選択される1、2、または3個の置換基で任意に置換されている。前述の実施形態のいくつかの態様では、4~12員ヘテロシクロアルキルは、以下の基のうちのいずれか1つから選択される。
【化2】
【0032】
いくつかの実施形態では、R
3およびR
4は、それらが結合するN原子と共に、4~12員ヘテロシクロアルキルを形成し、これは、R
Cy3から独立して選択される1、2、または3個の置換基で任意に置換されている。前述の実施形態のいくつかの態様では、4~12員ヘテロシクロアルキルは、以下の基のうちのいずれか1つから選択される。
【化3】
【0033】
いくつかの実施形態では、Cy1は、C6~10アリールであり、RCy1から独立して選択される1、2、または3個の置換基で任意に置換されている。これらの実施形態のいくつかの態様では、C6~10アリールは、フェニルまたはナフチルである。
【0034】
いくつかの実施形態では、各Cy1は、独立して、C6~10アリールおよび5~10員ヘテロアリールから選択され、これらのそれぞれが、RCy1から独立して選択される1、2または3個の置換基で任意に置換されている。
【0035】
いくつかの実施形態では、Cy1は、C3~10シクロアルキルであり、RCy1から独立して選択される1、2、または3個の置換基で任意に置換されている。これらの実施形態のいくつかの態様では、C3~10シクロアルキルは、シクロプロピル、シクロブチル、シクロペンチル、およびシクロヘキシルから選択される。
【0036】
いくつかの実施形態では、Cy1は、5~10員ヘテロアリールであり、RCy1から独立して選択される1、2、または3個の置換基で任意に置換されている。これらの実施形態のいくつかの態様では、5~10員ヘテロアリールは、チエニル、フリル、ピロリル、イミダゾリル、チアゾリル、オキサゾリル、ピラゾリル、イソチアゾリル、イソオキサゾリル、1,2,3-トリアゾリル、テトラゾリル、1,2,3-チアジアゾリル、1,2,3-オキサジアゾリル、1,2,4-トリアゾリル、1,2,4-チアジアゾリル、1,2,4-オキサジアゾリル、1,3,4-トリアゾリル、1,3,4-チアジアゾリル、1,3,4-オキサジアゾリル、ピリジル、ピラジニル、ピリミジニル、トリアジニルおよびピリダジニルから選択される。これらの実施形態の他の態様では、5~10員ヘテロアリールは、ピリジン-2-イル、ピリジン-3-イル、およびピリジン-4-イルから選択される。
【0037】
いくつかの実施形態では、Cy1は、4~12員ヘテロシクロアルキルであり、RCy1から独立して選択される1、2、または3個の置換基で任意に置換されている。これらの実施形態のいくつかの態様では、4~12員ヘテロシクロアルキルは、テトラヒドロプラニル、オキセタニル、アゼチジニル、モルホリニル、チオモルホリニル、ピペラジニル、テトラヒドロフラニル、テトラヒドロチエニル、ピペリジニル、ピロリジニル、イソオキサゾリジニル、イソチアゾリジニル、ピラゾリジニル、オキサゾリジニル、チアゾリジニル、イミダゾリジニル、アゼパニル、およびベンズアザペニルから選択される。
【0038】
いくつかの実施形態では、各RCy1は、独立して、C1~6アルキル、C1~6ハロアルキル、ハロ、CN、NO2、ORa2、C(O)Rb2、C(O)NRc2Rd2、C(O)ORa2、NRc2Rd2、NRc2C(O)Rb2、およびNRc2C(O)ORa2から選択される。いくつかの実施形態では、各RCy1はC1~6アルキルである。
【0039】
いくつかの実施形態では、各RCy2は、独立して、C1~6アルキル、C1~6ハロアルキル、ハロ、CN、NO2、ORa2、C(O)Rb2、C(O)NRc2Rd2、C(O)ORa2、NRc2Rd2、NRc2C(O)Rb2、およびNRc2C(O)ORa2から選択される。いくつかの実施形態では、各RCy2はC1~6アルキルである。
【0040】
いくつかの実施形態では、各RCy3は、独立して、C1~6アルキル、C1~6ハロアルキル、ハロ、CN、NO2、ORa2、C(O)Rb2、C(O)NRc2Rd2、C(O)ORa2、NRc2Rd2、NRc2C(O)Rb2、およびNRc2C(O)ORa2から選択される。いくつかの実施形態では、各RCy3はC1~6アルキルである。
【0041】
いくつかの実施形態では、Ra1、Ra2、Rc1、Rc2、Rd1、およびRd2は、それぞれ独立して、H、C1~6アルキル、Cy1、C(O)Rb3、C(O)NRc3Rd3、C(O)ORa3、S(O)2Rb3、S(O)2NRc3Rd3から選択され、該C1~6アルキルが、Cy1、ハロ、CN、NO2、ORa3、NRc3Rd3、NRc3C(O)Rb3、NRc3C(O)ORa3、およびNRc3S(O)2Rb3から独立して選択される1、2、または3個の置換基で任意に置換されている。
【0042】
いくつかの実施形態、Rb1およびRb2は、それぞれ独立して、C1~6アルキルおよびCy1から選択され、該C1~6アルキルが、ハロ、Cy1、CN、NO2、ORa3、NRc3Rd3、NRc3C(O)Rb3、NRc3C(O)ORa3、およびNRc3S(O)2Rb3から独立して選択される1、2、または3個の置換基で任意に置換されている。
【0043】
いくつかの実施形態では、Ra3、Rc3、およびRd3は、それぞれ独立して、H、C1~6アルキル、C1~4ハロアルキル、C6~10アリール、C3~10シクロアルキル、5~10員ヘテロアリール、および4~12員ヘテロシクロアルキルから選択され、これらのそれぞれが、C1~4ハロアルキル、C1~4ヒドロキシアルキル、C1~6シアノアルキル、ハロ、CN、NO2、ORa4、NRc4Rd4、NRc4C(O)Rb4、NRc4C(O)ORa4、およびNRc4S(O)2Rb4から独立して選択される1、2、または3個の置換基で任意に置換されている。
【0044】
いくつかの実施形態では、各Rb3は、独立して、C1~6アルキル、C1~4ハロアルキル、C6~10アリール、C3~10シクロアルキル、5~10員ヘテロアリール、4~12員ヘテロシクロアルキルから選択され、これらのそれぞれが、C1~6アルキル、C1~4ハロアルキル、C1~4ヒドロキシアルキル、C1~6シアノアルキル、ハロ、CN、NO2、ORa4、NRc4Rd4、NRc4C(O)Rb4、NRc4C(O)ORa4、およびNRc4S(O)2Rb4から独立して選択される1、2、または3個の置換基で任意に置換されている。
【0045】
いくつかの実施形態では、Ra4、Rc4、およびRd4は、それぞれ独立して、H、C1~6アルキル、C1~4ハロアルキル、C1~4ヒドロキシアルキル、C1~4シアノアルキル、C6~10アリール、C3~10シクロアルキル、5~10員ヘテロアリール、4~12員ヘテロシクロアルキルから選択され、これらのそれぞれが、Rgから独立して選択される1、2、または3個の置換基で任意に置換されている。
【0046】
いくつかの実施形態では、各Rb4は、独立して、C1~6アルキル、C1~4ハロアルキル、C1~4ヒドロキシアルキル、C1~4シアノアルキル、C6~10アリール、C3~10シクロアルキル、5~10員ヘテロアリール、および4~12員ヘテロシクロアルキルから選択され、これらのそれぞれが、Rgから独立して選択される1、2、または3個の置換基で任意に置換されている。
【0047】
いくつかの実施形態では、各Rgは、独立して、OH、NO2、CN、ハロ、C1~6アルキル、C1~4ハロアルキル、C1~6アルコキシ、C1~6ハロアルコキシ、シアノ-C1~3アルキレン、およびHO-C1~3アルキレンから選択される。
【0048】
いくつかの実施形態では、
各R1、R2、R3、およびR4は、独立して、H、C1~6アルキル、C1~6ハロアルキル、C2~6アルケニル、C2~6アルキニル、およびCy1から選択され、該C1~6アルキル、C2~6アルケニル、およびC2~6アルキニルが、それぞれ、Cy1、ハロ、CN、NO2、ORa1、SRa1、C(O)Rb1、C(O)NRc1Rd1、C(O)ORa1、NRc1Rd1、NRc1C(O)Rb1、NRc1C(O)ORa1、NRc1C(O)NRc1Rd1、NRc1S(O)2Rb1、NRc1S(O)2NRc1Rd1、S(O)2Rb1およびS(O)2NRc1Rd1から独立して選択される1、2、または3個の置換基で任意に置換されており、
あるいは、R1およびR2は、それらが結合するN原子と共に、4~12員ヘテロシクロアルキルを形成し、これは、RCy2から独立して選択される1、2、または3個の置換基で任意に置換されており、
あるいは、R3およびR4は、それらが結合するN原子と共に、4~12員ヘテロシクロアルキルを形成し、これは、RCy3から独立して選択される1、2、または3個の置換基で任意に置換されており、
各Cy1は、独立して、C6~10アリールおよび5~10員ヘテロアリールから選択され、これらのそれぞれが、RCy1から独立して選択される1、2または3個の置換基で任意に置換されており、
各RCy1、RCy2、およびRCy3は、独立して、C1~6アルキル、C1~6ハロアルキル、ハロ、CN、NO2、ORa2、C(O)Rb2、C(O)NRc2Rd2、C(O)ORa2、NRc2Rd2、NRc2C(O)Rb2、およびNRc2C(O)ORa2から選択され、
Ra1、Ra2、Rc1、Rc2、Rd1、およびRd2は、それぞれ独立して、H、C1~6アルキル、Cy1、C(O)Rb3、C(O)NRc3Rd3、C(O)ORa3、S(O)2Rb3、S(O)2NRc3Rd3から選択され、該C1~6アルキルが、Cy1、ハロ、CN、NO2、ORa3、NRc3Rd3、NRc3C(O)Rb3、NRc3C(O)ORa3、およびNRc3S(O)2Rb3から独立して選択される1、2、または3個の置換基で任意に置換されており、
Rb1およびRb2は、それぞれ独立して、C1~6アルキルおよびCy1から選択され、該C1~6アルキルが、ハロ、Cy1、CN、NO2、ORa3、NRc3Rd3、NRc3C(O)Rb3、NRc3C(O)ORa3、およびNRc3S(O)2Rb3から独立して選択される1、2、または3個の置換基で任意に置換されており、
Ra3、Rc3、およびRd3は、それぞれ独立して、H、C1~6アルキル、C1~4ハロアルキル、C6~10アリール、C3~10シクロアルキル、5~10員ヘテロアリール、および4~12員ヘテロシクロアルキルから選択され、これらのそれぞれが、C1~4ハロアルキル、C1~4ヒドロキシアルキル、C1~6シアノアルキル、ハロ、CN、NO2、ORa4、NRc4Rd4、NRc4C(O)Rb4、NRc4C(O)ORa4、およびNRc4S(O)2Rb4から独立して選択される1、2、または3個の置換基で任意に置換されており、
各Rb3は、独立して、C1~6アルキル、C1~4ハロアルキル、C6~10アリール、C3~10シクロアルキル、5~10員ヘテロアリール、4~12員ヘテロシクロアルキルから選択され、これらのそれぞれが、C1~6アルキル、C1~4ハロアルキル、C1~4ヒドロキシアルキル、C1~6シアノアルキル、ハロ、CN、NO2、ORa4、NRc4Rd4、NRc4C(O)Rb4、NRc4C(O)ORa4、およびNRc4S(O)2Rb4から独立して選択される1、2、または3個の置換基で任意に置換されており、
Ra4、Rc4、およびRd4は、それぞれ独立して、H、C1~6アルキル、C1~4ハロアルキル、C1~4ヒドロキシアルキル、C1~4シアノアルキル、C6~10アリール、C3~10シクロアルキル、5~10員ヘテロアリール、4~12員ヘテロシクロアルキルから選択され、これらのそれぞれが、Rgから独立して選択される1、2、または3個の置換基で任意に置換されており、
各Rb4は、独立して、C1~6アルキル、C1~4ハロアルキル、C1~4ヒドロキシアルキル、C1~4シアノアルキル、C6~10アリール、C3~10シクロアルキル、5~10員ヘテロアリール、および4~12員ヘテロシクロアルキルから選択され、これらのそれぞれが、Rgから独立して選択される1、2、または3個の置換基で任意に置換されており、
各Rgは、独立して、OH、NO2、CN、ハロ、C1~6アルキル、C1~4ハロアルキル、C1~6アルコキシ、C1~6ハロアルコキシ、シアノ-C1~3アルキレン、およびHO-C1~3アルキレンから選択される。
【0049】
前述の実施形態のいくつかの態様では、
R1、R2、R3、およびR4は、それぞれ独立して、Cy1およびCy1で任意に置換されたC1~6アルキルから選択される。
【0050】
いくつかの実施形態では、式(I)の化合物は、以下の表Aに列挙される化合物、
【表1】
のうちのいずれか1つ、またはその薬学的に許容される塩から選択される。
【0051】
いくつかの実施形態では、式(I)の化合物は、表Aに列挙される化合物のうちのいずれか1つではない。
【0052】
いくつかの実施形態では、本出願は、以下の化合物、
【表2】
のうちのいずれか1つ、またはその薬学的に許容される塩を提供する。
【0053】
いくつかの実施形態では、本出願の化合物は、C-5、C-7、C-8、C-22、C-24、C-25、Bay11-7082、ASN-08966899、LDC7559、イブルチニブ、アファチニブ、フマル酸ジメチル、またはネクロスルホンアミドではない。
【0054】
いくつかの実施形態では、本出願は、以下の化合物、
【表3】
のうちのいずれか1つ、またはその薬学的に許容される塩を提供する。
【0055】
いくつかの実施形態では、本出願の化合物は、C-5、C-7、C-8、C-22、C-24、C-25、Bay11-7082、またはASN-08966899ではない。
【0056】
薬学的に許容される塩
いくつかの実施形態では、本明細書に開示される化合物の塩は、アミノ官能基などの化合物の酸と塩基性基との間に形成されるか、またはカルボキシル官能基などの化合物の塩基と酸性基との間に形成される。別の実施形態によれば、本化合物は、薬学的に許容される酸付加塩である。
【0057】
いくつかの実施形態では、本開示の化合物の薬学的に許容される塩を形成するために一般に用いられる酸としては、無機酸、例えば、二硫化水素酸、塩酸、臭化水素酸、ヨウ化水素酸、硫酸、およびリン酸、ならびに有機酸、例えば、パラ-トルエンスルホン酸、サリチル酸、酒石酸、ビタルタル酸、アスコルビン酸、マレイン酸、ベシル酸、フマル酸、グルコン酸、グルクロン酸、ギ酸、グルタミン酸、メタンスルホン酸、エタンスルホン酸、ベンゼンスルホン酸、乳酸、シュウ酸、パラブロモフェニルスルホン酸、炭酸、コハク酸、クチン酸、クエン酸、安息香酸、および酢酸、ならびに関連する無機および有機酸が挙げられる。したがって、このような薬学的に許容される塩としては、グルコン酸塩、硫酸塩、ピロ硫酸塩、硫酸水素塩、亜硫酸水素塩、リン酸塩、一水素リン酸塩、二水素リン酸塩、メタリン酸塩、ピロリン酸塩、塩化物、臭化物、ヨウ化物、酢酸塩、プロピオン酸塩、デカン酸塩、カプリル酸塩、アクリレート、ギ酸塩、イソ酪酸塩、カプリル酸塩、ヘプタン酸塩、プロピオン酸塩、シュウ酸塩、マロン酸塩酸塩、コハク酸塩、スベレート、セバカン酸塩、フマル酸塩、マレ酸塩、ブチン-1,4-ジオン酸、ヘキシン-L,6-ジオン酸、安息香酸塩、クロロ安息香酸塩、メチル安息香酸塩、ジニトロ安息香酸塩、ヒドロキシ安息香酸塩、メトキシ安息香酸塩、フタル酸塩、テレフタル酸塩、スルホン酸塩、キシレンスルホン酸塩、フェニル酢酸塩、フェニルプロピオン酸塩、フェニル酪酸塩、クエン酸塩、乳酸塩、β-ヒドロキシ酪酸塩、グリコール酸塩、マレイン酸塩、酒石酸塩、メタンスルホン酸塩、プロパンスルホン酸塩、ナフタレン-1-スルホン酸塩、ナフタレン-2-スルホン酸塩、マンデル酸塩および他の塩が挙げられる。一実施形態では、薬学的に許容される酸付加塩としては、塩酸および臭化水素酸などの鉱酸で形成されるもの、特にマレイン酸などの有機酸で形成されるものが挙げられる。
【0058】
いくつかの実施形態では、本開示の化合物の薬学的に許容される塩を形成するために一般的に使用される塩基には、ナトリウム、カリウム、およびリチウムを含むアルカリ金属の水酸化物;カルシウムやマグネシウムなどのアルカリ土類金属の水酸化物;アルミニウムや亜鉛などの他の金属の水酸化物;アンモニア、非置換またはヒドロキシル置換モノ-、ジ-、またはトリ-アルキルアミンなどの有機アミン、ジシクロヘキシルアミン;トリブチルアミン;ピリジン;N-メチル、N-エチルアミン;ジエチルアミン;トリエチルアミン;N,N-ジメチル-N-(2-ヒドロキシエチル)アミンまたはトリ-(2-ヒドロキシエチル)アミンなどのモノ-、ビス-、またはトリス-(2-OH-(C1-C6)-アルキルアミン);N-メチル-D-グルカミン;モルホリン;チオモルホリン;ピペリジン;ピロリジン;およびアルギニン、リジンなどのアミノ酸が挙げられる。
【0059】
いくつかの実施形態では、本明細書に開示される化合物、またはその薬学的に許容される塩は、実質的に単離されている。
【0060】
作製方法
本明細書に開示される化合物(その塩を含む)は、既知の有機合成技術を使用して調製することができ、多くの可能な合成経路のいずれかに従って合成することができる。当業者は、適切な合成プロトコルを選択および実装する方法を知っており、本明細書に提供される化合物の合成に潜在的に使用されるために広範な合成有機反応のレパートリーが利用可能であることを理解する。
【0061】
出発物質、中間体、および生成物の好適な合成方法は、以下のような引用元を含む文献を参照することによって特定され得る。Advances in Heterocyclic Chemistry,Vols.1-107(Elsevier,1963-2012);Journal of Heterocyclic Chemistry Vols.1-49(Journal of Heterocyclic Chemistry,1964-2012);Carreira,et al.(Ed.)Science of Synthesis,Vols.1-48(2001-2010)and Knowledge Updates KU2010/1-4;2011/1-4;2012/1-2 (Thieme,2001-2012);Katritzky,et al.(Ed.)Comprehensive Organic Functional Group Transformations,(Pergamon Press,1996);Katritzky et al.(Ed.);Comprehensive Organic Functional Group Transformations II (Elsevier,2nd Edition,2004);Katritzky et al.(Ed.),Comprehensive Heterocyclic Chemistry(Pergamon Press,1984);Katritzky et al.,Comprehensive Heterocyclic Chemistry II,(Pergamon Press,1996);Smith et al.,March’s Advanced Organic Chemistry:Reactions,Mechanisms,and Structure,6th Ed.(Wiley,2007);Trost et al.(Ed.),Comprehensive Organic Synthesis(Pergamon Press,1991)。
【0062】
本明細書に提供される化合物を調製するための反応は、有機合成の当業者によって容易に選択され得る好適な溶媒中で実行することができる。好適な溶媒は、反応が行われる温度、例えば、溶媒の凍結温度から溶媒の沸騰温度までの範囲であり得る温度で、出発物質(反応物)、中間体、または生成物と実質的に非反応性であり得る。所与の反応を、1つの溶媒または2つ以上の溶媒の混合物中で実行することができる。特定の反応工程に応じて、特定の反応工程に好適な溶媒は、当業者によって選択され得る。
【0063】
本明細書で提供される化合物の調製は、種々の化学基の保護および脱保護を伴い得る。保護および脱保護の必要性、ならびに適切な保護基の選択は、当業者によって容易に決定することができる。保護基の化学は、例えば、P.G.M.Wuts and T.W.Greene,Protective Groups in Organic Synthesis,4th Ed.,Wiley&Sons,Inc.,New York(2006)に見出すことができる。
【0064】
使用方法
図67を参照すると、炎症性カスケードは、病原体関連分子パターン(PAMP)または損傷関連分子パターン(DAMP)、別名アラーミンが、Toll様受容体(TLR)およびC型レクチン受容体(CLR)、ならびに細胞質センサなどの細胞表面およびエンドソームパターン認識受容体(PRR)によって感知されるときに開始する。PAMPおよびDAMPの例としては、LPS、細菌毒素、細菌タンパク質および核酸、粒子(尿酸およびコレステロール結晶ならびにアミロイドβ原線維など)、ヒアルロナン、ならびに細胞外ATPが挙げられる。応答して、細胞機構は、プロカスパーゼカノニカルまたは非カノニカルインフラマソームを活性化し、活性炎症性カスパーゼの放出をもたらす。炎症性カスパーゼの例としては、カスパーゼ-1、カスパーゼ-11、ならびにカスパーゼ-4およびカスパーゼ-5が挙げられる。インフラマソーム中のカスパーゼの活性化は、細胞質タンパク質ガスデルミンのカスパーゼ切断をもたらし、ガスデルミンN末端断片(ガスデルミン-NT)を産生する。場合によっては、カスパーゼ切断可能なガスデルミンタンパク質は、ガスデルミンファミリーの以下のメンバーから選択される:GSDMA、GSMDB、GSDMC、GSDMD、DFNA5、およびDFNB59。次いで、ガスデルミン-NTは、細胞質側から細胞膜に結合して、細胞膜を透過処置させる細孔を形成し、サイトカイン分泌およびピロトーシスを引き起こす。DFNA5は、古典的なアポトーシス中にカスパーゼ-3によって活性化される。他のガスデルミンを活性化するプロテアーゼは、現在知られていないが、カスパーゼではなく、インフラマソームとは独立して活性化され得る。典型的には、ガスデルミンは、ホスファチジルイノシトールリン酸塩(PIP)、ホスファチジルセリン(PS)およびホスファチジン酸(PA)、ならびに細菌およびミトコンドリア脂質カルジオリピンなどの哺乳動物膜の内部リーフレットに制限される酸性脂質に結合する。典型的には、ガスデルミン遺伝子は、様々な組織の上皮および免疫細胞内で発現され、炎症性カスパーゼによって切断されると、全てが細孔を形成することができる。一例では、カノニカルインフラマソーム活性化は、プロIL-1β、プロIL-18およびガスデルミンDを切断するカスパーゼ-1を活性化し、これが、処置された炎症性サイトカインIL-1βを放出するのに必要な細孔を形成する。
【0065】
本開示の化合物は、ガスデルミン細孔形成を効率的にブロックし、したがって、個々の下流媒介物のいずれかをブロックする。したがって、これらの化合物は、臨床的に試験されたもの(IL-1受容体アンタゴニスト、TNFα抗体)などの個々の上流または下流の炎症経路を阻害する抗炎症剤よりも炎症の阻害において効率的である。化合物はまた、播種性血管内凝固(活性化タンパク質C注入で阻害される)など、患者を死亡させる複数の制御困難な調節異常事象を媒介することにおいてもより効率的である。本出願の化合物によるガスデルミン(例えば、ガスデルミンD)の阻害は、サイトカインストームを予防する。これは、サイトカインストームの合併症を低減させようとする従来の抗炎症治療よりも効果的である。同様に、本出願の化合物はまた、LPSまたはその細胞外受容体(TLR4、CD14)を中和する薬剤よりも効率的である。グラム細菌は多くのPAMP(毒素、べん毛、桿菌タンパク質)を産生するが、全てが知られているわけではないため、LPS阻害が不完全な場合、LPSを中和しても、特にLPS過敏症のヒトではグラム敗血症を予防できない可能性がある。TLR4は、免疫抗原提示細胞だけでなく、粘膜上皮において、ヒトで構成的に発現される非カノニカルインフラマソームよりもLPSの重要性が低いセンサであり得る。LPSは、非常に重要な誘因(trigger)であり、それを阻害すること、またはその第1の検出が成功しない場合、次いで、他のPAMPまたはDAMPセンサのうちの1つを阻害することは、例えば、誘発(triggering)PAMPが治療が必要な時点で一般に知られていないヒトにおける多面発現的に誘発された(triggered)敗血症においても有効であろう。さらに、本出願の化合物は、炎症性カスパーゼの個々の阻害剤よりも効率的である。これは、アポトーシスカスパーゼおよび他のシステインプロテアーゼに対するこれらの阻害剤の潜在的な交差反応性が、望ましくない毒性(例えば、肝線維症)をもたらす可能性があるためである。カスパーゼ-8の不必要な阻害も、ネクロトーシスを引き起こす可能性がある。いくつかの実施形態では、ガスデルミン細孔形成の阻害は、本出願の化合物がガスデルミンタンパク質中のシステインと反応する結果として生じる。いくつかの実施形態では、システインはCys191である。いくつかの実施形態では、本化合物はまた、センサ、アダプタ、および転写因子、またはその調節因子から選択される炎症性シグナル伝達分子のシステインと反応する。いくつかの実施形態では、本化合物のタンパク質システイン残基との多様な反応性は、いかなる望ましくない毒性ももたらさず、化合物の有効性に悪影響を及ぼさない。
【0066】
場合によっては、本出願の化合物は、炎症性障害の治療または予防、もしくはこれらの障害に関連する症状の改善において有用である。このような障害は、典型的には、自分自身の細胞または組織を攻撃する免疫系をもたらし、敗血症(例えば、急性敗血症)、脱毛症、難聴症候群、痛風、関節炎、リウマチ性関節炎、硬化症、炎症性腸疾患、強直性脊椎炎(AS)、抗リン脂質抗体症候群(APS)、筋炎、強皮症、シェーグレン症候群、全身性エリテマトーデス、血管炎、家族性地中海熱、新生児期発症多臓器炎症性疾患、ベーチェット病、皮膚症、1型糖尿病、自己免疫疾患、乾癬、乾癬性関節炎、多発性硬化症、アジソン病、グレーブス病、橋本甲状腺炎、重症筋無力症、悪性貧血、セリアック病、慢性炎症、リウマチ、脳脊髄炎、感染症後小脳炎、視神経脊髄炎(例えば、デビック病)、脳炎、代謝性脳炎、喘息、歯周炎、潰瘍性大腸炎、クローン病、副鼻腔炎、アテローム性動脈硬化症、高コレステロール血症、および消化性潰瘍が挙げられる。場合によっては、炎症性疾患には、緑内障、ドライアイ、および網膜虚血再灌流などの眼疾患が挙げられる。場合によっては、炎症性疾患には、慢性肺疾患および傷害、ならびにNASHおよび他の炎症性肝疾患が挙げられる。場合によっては、炎症性疾患は、遺伝的自己炎症性病態である。
【0067】
炎症性障害に関連する症状としては、典型的には、慢性疼痛、赤み、関節および他の組織の腫脹、硬直、発熱、臓器内の血液タンパク質の蓄積、脱毛、疲労、および正常な組織への損傷が挙げられる。本出願の化合物は、これらの症状の改善において有用である。
【0068】
場合によっては、本出願の化合物は、敗血症の治療、またはこの病態に関連する症状の改善において有用である。敗血症に関連する症状の例としては、血管漏出、循環器崩壊、凝固活性化、および多臓器不全が挙げられる。適切な治療を行わなければ、敗血症は症例の約3分の1で致命的である。これは、世界の新生児および小さな子供の主要な死因であり、米国では成人の入院患者の2人または3人に1人の死亡に寄与している。敗血症の現在の治療は、抗生物質および支持療法に限定され、感染に対する免疫応答を静止させるように設計された100以上の臨床試験は、単一の新しい有効な療法を生み出すことに失敗している。有利なことに、本出願の化合物は、播種性および制御不良の感染に対する先天性免疫応答を低減し、敗血症の治療に成功する。
【0069】
場合によっては、本出願の化合物は、例えば、敗血症を発症するリスクが高い患者において敗血症を予防するために使用されてもよい。このような患者の好適な例としては、骨髄移植を受けている好中球減少症患者が挙げられる。
【0070】
場合によっては、本開示の化合物は、心血管疾患の治療または予防において有用である。このような疾患の例としては、脳卒中、心不全、高血圧性心臓病、リウマチ性心臓病、心筋症、心不整脈、先天性心疾患、心臓弁膜症、心臓炎、大動脈瘤、末梢動脈疾患、血栓塞栓性疾患、冠動脈疾患、心筋梗塞、および静脈性血栓症が挙げられる。
【0071】
場合によっては、本開示の化合物は、代謝障害の治療または予防において有用である。このような障害の例としては、メタボリックシンドローム、II型糖尿病、シスチン症、シスチン尿症、ファブリー病、ガラクトース血症、ゴーシェ病(I型)、ハートナップ病、ホモシスチン尿症、ハンター症候群、ハーラー症候群、レッシュ・ナイハン症候群、メープルシロップ尿症、マロトー・ラミー症候群、モルキオ症候群、ニーマン・ピック病(A型)、フェニルケトン尿症、ポンペ病、ポルフィリン症、シャイエ症候群、テイ・サックス病、チロシン血症(肝腎)、およびフォン・ギエルケ病が挙げられる。
【0072】
場合によっては、本出願の化合物は、神経変性疾患の治療または予防において有用である。このような疾患の例としては、アルツハイマー病、パーキンソン病、多発性硬化症、認知症、前頭側頭型認知症、ハンチントン病、筋萎縮性側索硬化症(ALS)、運動ニューロン疾患、および統合失調症が挙げられる。
【0073】
特に、感染または細胞死が疾患に関与する場合、任意の疾患に炎症性成分が存在する可能性がある。したがって、本出願の化合物は、このような疾患の治療または予防において有用である。このような疾患の好適な例としては、グラム陽性細菌によって引き起こされる感染症、多菌感染症、寄生虫によって引き起こされる感染症(例えば、マラリア、トキソプラズマ症、トリパノソーマ症、リーシュマニア)、移植拒絶症、眼の炎症(例えば、網膜炎、ブドウ膜炎)、および癌が挙げられる。
【0074】
併用療法
場合によっては、本明細書に記載の化合物またはその薬学的に許容される塩の使用方法は、少なくとも1つの追加の治療薬と組み合わせて、対象に化合物を投与することを含む。この方法では、化合物および追加の治療薬は、対象に同時に(例えば、同じ剤形もしくは別個の剤形で)、または連続して(例えば、追加の治療薬は、本開示の化合物またはその薬学的に許容される塩の前もしくは後に)投与してもよい。
【0075】
場合によっては、追加の治療薬は、抗炎症剤を含む。好適な例としては、セレコキシブ、ロフェコキシブ、イブプロフェン、ナプロキセン、アスピリン、ジクロフェナク、スリンダク、オキサプロジン、ピロキシカム、インドメタシン、メロキシカム、フェノプロフェン、ジフルニサル、BAY11~7082、またはその薬学的に許容される塩などの非ステロイド性抗炎症薬が挙げられる。ステロイド(例えば、コルチコステロイド)抗炎症剤の好適な例としては、コルチゾール、コルチコステロン、ヒドロコルチゾン、アルドステロン、デオキシコルチコステロン、トリアムシノロン、バルドキソロン、バルドキソロンメチル、トリアムシノロン、コルチゾン、プレドニゾン、およびメチルプレドニゾロン、またはその薬学的に許容される塩が挙げられる。抗炎症剤の他の好適な例としては、抗炎症抗体(例えば、抗IL-1、抗TNF)、およびインテグリンなどのタンパク質が挙げられる。
【0076】
場合によっては、追加の治療薬は、抗生物質である。このような抗生物質は、キノロン、β-ラクタム、セファロスポリン、ペニシリン、カルバペネム、リポペチド、アミノグリコシド、グリコペプチド、マクロライド、アンサマイシン、スルホンアミド、モノバクタム、オキサゾリジノン、リポペプチド、マクロライド、およびカチオン性抗菌ペプチド(CAMP)から選択され得る。
【0077】
カチオン性抗菌ペプチドの好適な例としては、ディフェンシンペプチド(例えば、βディフェンシン1もしくはα-ディフェンシン1などのディフェンシン1)、またはセクロピン、アンドロピン、モリシン、セラトトトキシン、メリチン、マガイニン、デルマセプチン、ボンビニン、ブレビニン(例えば、ブレビニン-1)、エスクレンチン、ブフォリンII(例えば、両生類由来)、CAP18(例えば、ウサギ由来)、LL37(例えば、ヒト由来)、アバエシン、アピダエシン(例えば、ミツバチ由来)、プロフェニン(例えば、ブタ由来)、インドリシン(例えば、ウシ由来)、ブレビニン、プロテグリン(例えば、ブタ由来)、タキプレシン(例えば、カブトガニ由来)、およびドロソマイシン(例えば、ミバエ由来)が挙げられる。
【0078】
キノリン抗生物質の好適な例としては、レボフロキサシン、ノルフロキサシン、オフロキサシン、シプロフロキサシン、ペルフロキサシン、ロメフロキサシン、フレロキサシン、スパルフロキサシン、グレパフロキサシン、トロバフロキサシン、クリナフロキサシン、ゲミフロキサシン、エノキサシン、シタフロキサシン、ナジフロキサシン、トスルフロキサシン、シンノキサシン、ロソキサシン、ミロキサシン、モキシフロキサシン、ガチフロキサシン、シンノキサシン、エノキサシン、フレロキサシン、ロマフロキサシン、ロメフロキサシン、ミロキサシン、ナリジクス酸、ナジフロキサシン、オキソリン酸、ペフロキサシン、ピリミジン酸、ピペミド酸、ロソキサシン、ルフロキサシン、テマフロキサシン、トスフロキサシン、トロバフロキサシン、およびベシフロキサシンが挙げられる。
【0079】
セファロスポリン抗生物質の好適な例としては、セファゾリン、セフロキシム、セフタジジム、セファレキシン、セファロリジン、セファマンドール、セフスロジン、セホニシド、セフォペラジン、セフォプロジル、およびセフトリアキソンが挙げられる。
【0080】
ペニシリン抗生物質の好適な例としては、ペニシリンG、ペニシリンV、プロカインペニシリン、ならびにベンザシンペニシリン、アンピシリン、およびアモキシシリン、ベンジルペニシリン、フェノキシメチルペニシリン、オキサシリン、メチシリン、ジクロキサシリン、フルクロキサシリン、テモシリン、アズロシリン、カルベニシリン、リカシリン、メズロシリン、ピペラシリン、アパルシリン、ヘタシリン、バカンピシリン、スルベニシリン、メシシラム(mecicilam)、ペブメシリナム、シクラシリン、タラピシリン、アスポキシシリン、クロキサシリン、ナフシリン、ならびにピバンピシリンが挙げられる。
【0081】
カルバペネム抗生物質の好適な例としては、チエナマイシン、トモペネム、レナペネム、テビペネム、ラズペネム、イミペネム、メロペネム、エルタペネム、ドリペネム、パニペネム(ベタミプロン)、およびビアペネムが挙げられる。
【0082】
リポペプチド抗生物質の好適な例としては、ポリミキシンB、コリスチン(ポリミキシンE)、およびダプトマイシンが挙げられる。
【0083】
アミノグリコシド抗生物質の好適な例としては、ゲンタマイシン、アミカシン、トブラマイシン、デベカシン、カナマイシン、ネオマイシン、ネチルマイシン、パロモマイシン、シソマイシン、スペクチノマイシン、およびストレプトマイシンが挙げられる。
【0084】
グリコペプチド抗生物質の好適な例としては、バンコマイシン、テイコプラニン、テラバンシン、ラモプラニン、ダプトマイシン、デカプラニン、およびブレオマイシンが挙げられる。
【0085】
マクロライド抗生物質の好適な例としては、アジスロマイシン、クラリスロマイシン、エリスロマイシン、フィダキソマイシン、テリスロマイシン、カルボマイシンA、ジョサマイシン、キタサマイシン、ミデカマイシン/ミドカマイシン酢酸塩、オレアンドマイシン、ソリスロマイシン、スピラマイシン、トロレアンドマイシン、タイロシン/タイロシン、ロキシスロマイシン、ジリスロマイシン、トロレアンドマイシン、スペクチノマイシン、メチマイシン、ネオメチマイシン、エリスロノリド、メガロマイシン、ピクロマイシン、ナルボマイシン、オレアンドマイシン、トリアセチル-オレアンドマイシン、ラウカマイシン、クジマイシンA、アルボサイクリンおよびシネロマイシンBが挙げられる。
【0086】
アンサマイシン抗生物質の好適な例としては、ストレプトバリシン、ゲルダナマイシン、ハービマイシン、リファマイシン、リファンピン、リファブチン、リファペンチン、およびリファミキシンが挙げられる。
【0087】
スルホンアミド抗生物質の好適な例としては、スルファニルアミド、スルファセタルニド、スルファピリジン、スルファチアゾール、スルファジアジン、スルファメラジン、スルファジミジン、スルファソミジン、スルファサラジン、マフェニド、スルファメトキサゾール、スルファメトキシピリダジン、スルファジメトキシン、スルファシマジン、スルファドキシン、スルファメトピラジン、スルファグアニジン、スクシニルスルファチアゾールおよびフタリルスルファチアゾールが挙げられる。
【0088】
薬学的組成物
本出願はまた、有効量の本明細書に開示される化合物、またはその薬学的に許容される塩と、薬学的に許容される担体とを含む薬学的組成物を提供する。薬学的組成物はまた、本明細書に記載される追加の治療薬のうちのいずれか1つを含み得る。ある特定の実施形態では、本出願はまた、本明細書に記載される追加の治療薬のいずれか1つを含む薬学的組成物および剤形を提供する。担体(複数可)は、製剤の他の成分と適合性であるという意味で「許容される」ものであり、薬学的に許容される担体の場合、薬剤で使用される量でそのレシピエントに有害ではない。
【0089】
本出願の薬学的組成物で使用され得る薬学的に許容される担体、アジュバント、およびビヒクルにとしては、イオン交換体、アルミナ、ステアリン酸アルミニウム、レシチン、ヒト血清アルブミンなどの血清タンパク質、リン酸塩などの緩衝物質、グリシン、ソルビン酸、ソルビン酸、ソルビン酸カリウム、飽和植物脂肪酸の部分グリセリド混合物、水、塩、または電解質、例えば、硫酸プロタミン、リン酸一水素二ナトリウム、リン酸水素カリウム、塩化ナトリウム、亜鉛塩、コロイドシリカ、三ケイ酸マグネシウム、ポリビニルピロリドン、セルロース系物質、ポリエチレングリコール、カルボキシメチルセルロースナトリウム、ポリアクリレート、ワックス、ポリエチレン-ポリオキシプロピレンブロックポリマー、ポリエチレングリコール、およびウール脂肪が挙げられるが、これらに限定されない。
【0090】
組成物または剤形は、好適な薬学的に許容される賦形剤から構成される残部を伴い、本明細書に記載の化合物および治療薬のうちのいずれか1つを0.005%~100%の範囲で含有し得る。企図される組成物は、0.001%~100%の本明細書に提供される化合物および治療薬のうちのいずれか1つを含有してもよく、一実施形態では0.1~95%、別の実施形態では75~85%、さらなる実施形態では20~80%の本明細書に提供される化合物および治療薬のうちのいずれか1つを含有してもよく、残部は、本明細書に記載される薬学的に許容される任意の賦形剤、またはこれらの賦形剤の任意の組み合わせから構成され得る。
【0091】
投与経路および剤形
本出願の薬学的組成物は、任意の許容される投与経路に好適なものを含む。許容される投与経路としては、口腔内、皮膚内、子宮頸内、副鼻腔内、気管内、経腸、硬膜外、間質内、腹部内、動脈内、気管支内、口内、脳内、大槽内、冠動脈内、皮内、乳管内、十二指腸内、硬膜内、上皮内、食道内、胃内、歯肉内、回腸内、リンパ内、脊髄内、髄膜内、筋肉内、鼻孔内、卵巣内、腹腔内、前立腺内、肺内、鼻腔内、髄腔内、滑液嚢内、精巣内、くも膜下腔内、尿細管内、腫瘍内、子宮内、血管内、静脈内、鼻内、経鼻胃、経口、非経口、経皮、硬膜外、直腸、呼吸器(吸入)、皮下、舌下、粘膜下、局所、経皮、経粘膜、経気管、尿管、尿道、および膣内が挙げられるが、これらに限定されない。
【0092】
本明細書に記載の組成物および製剤は、好都合に、単位剤形、例えば、錠剤、徐放性カプセル、およびリポソームで提供され得、薬剤学分野で周知の任意の方法によって調製され得る。例えば、Remington:The Science and Practice of Pharmacy,Lippincott Williams&Wilkins,Baltimore,MD (20th ed.2000)を参照されたい。このような調製方法は、投与される分子を1つ以上の副成分を構成する担体などの成分と会合させる工程を含む。一般に、組成物は、活性成分を液体担体、リポソームまたは微粉固体担体、またはその両方と均一かつ密接に会合させ、その後、必要に応じて生成物を形成することによって調製される。
【0093】
いくつかの実施形態では、本明細書に開示される化合物および治療薬のうちのいずれか1つは、経口投与される。経口投与に適した本出願の組成物は、それぞれ所定量(例えば、有効量)の活性成分をそれぞれ含有するカプセル、サシェ剤、顆粒または錠剤、粉末または顆粒、水性液体または非水性液体中の溶液または懸濁液、水中油液エマルジョン、油中水液体エマルジョン、リポソーム中に充填される、またはボーラスとしてなどの別個の単位として提供され得る。軟質ゼラチンカプセルは、化合物の吸収速度を有利に増加させ得る、このような懸濁液を含有するのに有用であり得る。経口使用のための錠剤の場合、一般的に使用される担体としては、ラクトース、スクロース、グルコース、マンニトール、ならびにケイ酸およびデンプンが挙げられる。他の許容される賦形剤には、a)デンプン、ラクトース、スクロース、グルコース、マンニトール、およびケイ酸などの充填剤または増量剤、b)例えば、カルボキシメチルセルロース、アルギン酸塩、ゼラチン、ポリビニルピロリジノン、スクロース、およびアカシアなどの結合剤、c)グリセロールなどの保湿剤、d)寒天、炭酸カルシウム、ジャガイモまたはタピオカデンプン、アルギン酸、ある特定のケイ酸塩、および炭酸ナトリウムなどの崩壊剤、e)パラフィンなどの溶液遅延剤、f)第四級アンモニウム化合物などの吸収促進剤、g)例えば、セチルアルコールおよびグリセロールモノステアレートなどの湿潤剤、h)カオリンやベントナイト粘土などの吸収剤、ならびにi)タルク、ステアリン酸カルシウム、ステアリン酸マグネシウム、固体ポリエチレングリコール、ラウリル硫酸ナトリウム、およびこれらの混合物などの潤滑剤が挙げられる。カプセル形態での経口投与の場合、有用な希釈剤としては、ラクトースおよび乾燥トウモロコシデンプンが挙げられる。水性懸濁液が経口投与される場合、活性成分は乳化剤および懸濁剤と組み合わされる。所望される場合、特定の甘味剤および/または風味剤および/または着色剤が添加されてもよい。経口投与に好適な組成物としては、風味ベースの、通常はスクロースおよびアカシアまたはトラガカントで成分を含むローゼンジ剤、ならびにゼラチンおよびグリセリン、またはスクロースおよびアカシアなどの不活性ベースで活性成分を含むパスティール剤が挙げられる。
【0094】
非経口投与に好適な組成物としては、製剤を対象とするレシピエントの血液と等張にする、抗酸化剤、緩衝液、静菌剤、および溶質を含有し得る水性および非水性滅菌注射溶液または注入溶液、ならびに懸濁剤および増粘剤を含み得る水性および非水性滅菌懸濁液が挙げられる。製剤は、単位用量または多用量容器、例えば、密封されたアンプルおよびバイアルに提供され得、使用直前に、滅菌液体担体、例えば、注射用水、生理食塩水(例えば、0.9%の生理食塩水)または5%のデキストロース溶液の添加のみを必要とする凍結乾燥(凍結乾燥された(lyophilized))状態で保管され得る。即時注射用の溶液および懸濁液は、滅菌粉末、顆粒および錠剤から調製してもよい。注射液は、例えば、滅菌注射用水性懸濁液または油性懸濁液の形態であってもよい。この懸濁液は、好適な分散剤または湿潤剤および懸濁剤を使用して、当該技術分野において既知の技法に従って製剤化され得る。滅菌注射用調製物はまた、例えば、1,3-ブタンジオール中の溶液として、非毒性の非経口的に許容される希釈剤または溶媒中の滅菌注射用溶液または懸濁液であってもよい。使用され得る許容されるビヒクルおよび溶媒の中には、マンニトール、水、リンガー溶液、および等張塩化ナトリウム溶液がある。さらに、無菌の固定油は、従来、溶媒または懸濁媒体として用いられる。この目的のために、合成モノまたはジグリセリドを含む任意の無刺激固定油が用いられてもよい。オレイン酸およびそのグリセリド誘導体などの脂肪酸は、オリーブ油またはヒマシ油などの天然の薬学的に許容される油、特にそれらのポリオキシエチル化バージョンのように、注射剤の調製に有用である。これらの油溶液または懸濁液は、長鎖アルコール希釈剤または分散剤を含有してもよい。
【0095】
本出願の薬学的組成物は、直腸投与のための座薬の形態で投与され得る。これらの組成物は、本出願の化合物を、室温では固体であるが直腸温度では液体であるため、直腸内で溶解して活性成分を放出する好適な非刺激性賦形剤と混合することによって調製することができる。そのような材料には、ココアバター、蜜蝋、およびポリエチレングリコールが挙げられるが、これらに限定されない。
【0096】
本出願の薬学的組成物は、鼻エアロゾルまたは吸入によって投与され得る。このような組成物は、医薬製剤の技術分野において周知の技術に従って調製され、ベンジルアルコールまたは他の好適な防腐剤、バイオアベイラビリティを増強するための吸収促進剤、フルオロカーボン、および/または当該技術分野において既知の他の可溶化剤もしくは分散剤を使用して、生理食塩水中の溶液として調製され得る。例えば、米国特許第6,803,031号を参照されたい。鼻腔内投与のための追加の製剤および方法は、Ilium,L.,J Pharm Pharmacol,56:3-17,2004 and Ilium,L.,Eur J Pharm Sci 11:1-18,2000に見出される。
【0097】
本開示の局所組成物は、エアロゾルスプレー、クリーム、エマルジョン、固体、液体、分散液、泡、油、ゲル、ヒドロゲル、ローション、ムース、軟膏、粉末、パッチ、ポマード、溶液、ポンプスプレー、スティック、タオル、石鹸の形態で、または局所投与および/または化粧品ならびにスキンケア製剤の技術分野で一般的に使用される他の形態で調製および使用することができる。局所組成物は、エマルジョン形態であり得る。本出願の薬学的組成物の局所投与は、所望の治療が局所適用によって容易にアクセス可能な領域または器官を伴う場合に特に有用である。いくつかの実施形態では、局所組成物は、本明細書に開示される化合物および治療薬のうちのいずれか1つと、吸収剤、抗刺激剤、抗ニキギ剤、防腐剤、酸化防止剤、着色剤/顔料、エモリエント(保湿剤)、乳化剤、フィルム形成/保持剤、香料、葉状の剥離剤、処方薬、防腐剤、スクラブ剤、シリコーン、皮膚同質/修復剤、スリップ剤、日焼け止め活性物質、界面活性剤/洗剤入り清浄剤、浸透促進剤、および増粘剤が挙げられるが、これらに限定されない1つ以上の追加の成分、担体、賦形剤、または希釈剤の組み合わせと、含む。
【0098】
本出願の化合物および治療薬は、プロテーゼ、人工弁、血管移植片、ステント、またはカテーテルなどの移植可能な医療用デバイスをコーティングするための組成物に組み込んでもよい。好適なコーティングおよびコーティングされた移植可能なデバイスの一般的な調製は当該技術分野において既知であり、米国特許第6,099,562号、同第5,886,026号、および同第5,304,121号に例示されている。コーティングは、典型的には、ヒドロゲルポリマー、ポリメチルジシロキサン、ポリカプロラクトン、ポリエチレングリコール、ポリ乳酸、エチレン酢酸ビニル、およびこれらの混合物などの生体適合性ポリマー材料である。コーティングは、任意に、フルオロシリコーン、多糖類、ポリエチレングリコール、リン脂質、またはこれらの組み合わせの好適なトップコートによってさらに覆われて、組成物中に制御放出特性を付与してもよい。侵襲性デバイス用のコーティングは、それらの用語が本明細書で使用されるため、薬学的に許容される担体、アジュバント、またはビヒクルの定義に含まれるべきである。
【0099】
別の実施形態によれば、本出願は、前記化合物または治療薬が前記デバイスから放出され、治療的に活性であるように、化合物もしくは治療薬、または本出願の化合物もしくは治療薬を含む組成物を含有または含有する移植可能な薬物放出デバイスを提供する。
【0100】
薬用量およびレジメン
本出願の薬学的組成物において、本明細書に記載の化合物は、有効量(例えば、治療有効量)で存在する。
【0101】
有効量は、治療される疾患、疾患の重症度、投与経路、対象の性別、年齢、および全般的な健康病態、賦形剤の使用、他の薬剤の使用などの他の治療処置との併用の可能性、ならびに治療する医師の判断に応じて変化し得る。
【0102】
いくつかの実施形態では、本出願の化合物は、ヒト血液および組織において容易かつ安全に達成される濃度で使用される。
【0103】
いくつかの実施形態では、本明細書に記載の化合物の有効量は、例えば、約0.001mg/kg~約500mg/kg(例えば、約0.001mg/kg~約200mg/kg、約0.01mg/kg~約200mg/kg、約0.01mg/kg~約150mg/kg、約0.01mg/kg~約100mg/kg、約0.01mg/kg~約50mg/kg、約0.01mg/kg~約10mg/kg、約0.01mg/kg~約5mg/kg、約0.01mg/kg~約1mg/kg、約0.01mg/kg~約0.5mg/kg、約0.01mg/kg~約0.1mg/kg、約0.1mg/kg~約200mg/kg、約0.1mg/kg~約150mg/kg、約0.1mg/kg~約100mg/kg、約0.1mg/kg~約50mg/kg、約0.1mg/kg~約10mg/kg、約0.1mg/kg~約5mg/kg、約0.1mg/kg~約2mg/kg、約0.1mg/kg~約1mg/kg、または約0.1mg/kg~約0.5mg/kg)の範囲であり得る。
【0104】
いくつかの実施形態では、本明細書に記載の化合物の有効量は、約0.1mg/kg、約0.5mg/kg、約1mg/kg、約2mg/kg、約5mg/kg、約10mg/kg、約15mg/kg、約20mg/kg、約25mg/kg、約30mg/kg、約35mg/kg、約40mg/kg、約45mg/kg、約50mg/kg、約60mg/kg、約70mg/kg、約80mg/kg、約90mg/kg、約100mg/kg、or約150mg/kgである。
【0105】
前述の薬用量は、1日単位で(例えば、単回用量として、または2回以上の分割用量として、例えば、1日1回、1日2回、1日3回)または非1日単位で(例えば、隔日、2日毎、3日毎、1週間に1回、1週間に2回、2週間毎、1ヶ月に1回)投与することができる。
【0106】
キット
本開示はまた、例えば、治療有効量の本開示の化合物を含む薬学的組成物を含有する1つ以上の容器を含む、本明細書で言及される障害、疾患、および病態の治療に有用な薬学的キットも提供する。このようなキットは、必要に応じて、様々な従来の薬学的キット構成要素、例えば、1つ以上の薬学的に許容される担体を有する容器、追加の容器などのうちの1つ以上をさらに含むことができる。添付文書またはラベルのいずれかとして、投与される成分の量、投与のための指針、および/または成分を混合するための指針を示す説明書も、キットに含めることができる。このキットは、本明細書に記載の量および剤形のうちのいずれか1つにおいて、本明細書に記載の追加の治療薬のうちのいずれか1つ、またはその薬学的に許容される塩を任意に含んでもよい。
【0107】
スクリーニングアッセイ
場合によっては、本出願は、例えば、ガスデルミン細孔形成、インフラマソーム媒介性細胞死(ピロトーシス)、細胞サイトカイン分泌、および/または炎症性カスパーゼの阻害剤を同定するためのスクリーニングアッセイを提供する。
図1を参照すると、そのようなアッセイにおいて、試料は、金属カチオンがリポソームの内部に閉じ込められるように形成されるリポソームを含んでもよい。試料はまた、プロテアーゼ切断部位、試験化合物、およびリポソーム内に閉じ込められた金属カチオンと錯体を形成することができる配位子を含有する完全長ガスデルミンタンパク質を含み得る。化合物が細孔形成を阻害すると判定するために、プロテアーゼ酵素を試料に添加する。プロテアーゼ酵素は、完全長ガスデルミンタンパク質からN末端ガスデルミン断片を切断する。試験化合物の非存在下、または試験化合物がアッセイにおいて不活性である場合、これらのNT断片はその後、リポソームの脂質に結合し、リポソーム内に細孔を形成し、それを通して金属カチオンがリポソームから外部緩衝液中に漏出する。外部緩衝液において、金属カチオンはキレート配位子と結合して錯体を形成する。この錯体は、カチオンと配位子が互いに結合していない場合、金属カチオンまたはキレート配位子よりも高い蛍光を有する。試料の増加した蛍光は、適切な器具を使用して検出することができ、これによりリポソームからの金属カチオンの漏出を示す。例えば、ガスデルミンと化学的に反応する活性試験化合物の存在下で、試験化合物によって化学修飾されるNTガスデルミン断片は、リポソーム中に細孔を形成しない。したがって、金属カチオンは、リポソーム中に封入されたままであり、外部緩衝液中のキレート配位子と結合しない。そのため、試料中にはリポソーム漏出はなく、蛍光増加は検出されない。活性化合物は、試験化合物を含有する試料の蛍光と、いかなる試験化合物も含有しない対照試料の蛍光とを比較することによって、アッセイにおいて同定することができる。化合物がアッセイにおいて活性であると見なされる場合、試料の蛍光は、対照の蛍光よりも低い。いくつかの実施形態では、化合物が活性であると見なされる場合、試料の蛍光は、対照の蛍光よりも少なくとも約10%、約20%、約30%、約40%、約50%、または約60%低い。
【0108】
場合によっては、金属カチオンは、Ce3+、Fe2+、Fe3+、Zn2+、Cu2+、Mg2+、およびTb3+から選択される。いくつかの実施形態では、金属カチオンはTb3+である。場合によっては、キレート配位子は、エチレンジアミン四酢酸(EDTA)、ジピコリン酸(DPA)、エチレンジアミン、ポルフィリン、およびジメルカプトールから選択される。いくつかの実施形態では、キレート配位子はジピコリン酸(DPA)である。
【0109】
場合によっては、試料中のガスデルミンタンパク質は、GSDMA、GSMDB、GSDMC、GSDMD、DFNA5、およびDFNB59から選択される。場合によっては、ガスデルミンタンパク質は、ライノウイルス3Cプロテアーゼ切断部位(GSDM-3C)を含有する。例えば、試料中のガスデルミンタンパク質は、3Cプロテアーゼ切断部位(GSDMD-3C)を有するガスデルミンDタンパク質である。
【0110】
場合によっては、プロテアーゼ酵素は、炎症性カスパーゼおよびライノウイルス3Cプロテアーゼから選択される。炎症性カスパーゼは、カスパーゼ1またはカスパーゼ11であり得る。いくつかの実施形態では、ガスデルミンタンパク質はGSDM-3Cであり、プロテアーゼ酵素は3Cプロテアーゼである。他の実施形態では、ガスデルミンタンパク質はGSDMD-3Cであり、プロテアーゼ酵素は3Cプロテアーゼである。
【0111】
さらに別の一般的な態様において、本出願は、
・細胞におけるガスデルミン細孔形成を阻害する、および/または
・細胞のインフラマソーム媒介性死(ピロトーシス)を阻害する、および/または
・細胞からのサイトカイン分泌を阻害する、および/または
・細胞内の炎症性カスパーゼを阻害する、および/または
・細胞内のガスデルミンタンパク質のシステインと共有結合的に反応する、および/または
・センサ、アダプタ、および転写因子、またはその調節因子から選択される炎症性シグナル伝達分子のシステインと共有結合的に反応する、化合物を同定する方法を提供し、
本方法は、
d)キレート配位子と錯体を形成することができる金属カチオンを含むリポソーム、キレート配位子、および試験化合物を含む試料を提供することと、
e)試験化合物をN末端ガスデルミンタンパク質断片と接触させることと、
f)試験化合物がリポソームからの金属カチオンの漏出を阻害するかどうかを判定することであって、リポソームからの金属カチオンの漏出の阻害が、試験化合物が、
・細胞におけるガスデルミン細孔形成を阻害する、および/または
・細胞のインフラマソーム媒介性死(ピロトーシス)を阻害する、および/または
・細胞からのサイトカイン分泌を阻害する、および/または
・細胞内の炎症性カスパーゼを阻害する、および/または
・細胞内のガスデルミンタンパク質のシステインと共有結合的に反応する、および/または
・センサ、アダプタ、および転写因子、またはその調節因子から選択される炎症性シグナル伝達分子のシステインと共有結合的に反応することの指標である、判定することと、を含む。
【0112】
定義
本明細書で使用される場合、「約」という用語は、「およそ」(例えば、示された値の約10%をプラスまたはマイナスすること)を意味する。
【0113】
本明細書の種々の箇所において、本発明の化合物の置換基は、基または範囲で開示される。本発明は、このような基および範囲のメンバーのそれぞれおよび全ての個々の部分的組み合わせを含むことが具体的に意図される。例えば、「C1~6アルキル」という用語は、メチル、エチル、C3アルキル、C4アルキル、C5アルキル、およびC6アルキルを個別に開示することを特に意図する。
【0114】
本明細書の様々な箇所において、様々なアリール、ヘテロアリール、シクロアルキル、およびヘテロシクロアルキル環が記載される。特に明記しない限り、これらの環は、価によって許容されるように、任意の環員において分子の残りに結合することができる。例えば、「ピリジン環」または「ピリジニル」という用語は、ピリジン-2-イル、ピリジン-3-イル、またはピリジン-4-イル環を指すことができる。
【0115】
明確にするために、別個の実施形態との関連で記載される本発明の特定の特徴もまた、単一の実施形態では組み合わせて提供され得ることがさらに理解される。逆に、簡潔にするために、単一の実施形態と関連して記載される本発明の様々な特徴もまた、別個に、または任意の好適な部分的組み合わせで提供することができる。
【0116】
用語「芳香族」は、芳香族性質を有する(すなわち、nが整数である(4n+2)非局在化π(パイ)電子を有する)1つ以上の多価不飽和環を有する炭素環または複素環を指す。
【0117】
nが整数である「n員」という用語は、典型的には、環形成原子の数がnである部分における環形成原子の数を説明する。例えば、ピペリジニルは6員ヘテロシクロアルキル環の一例であり、ピラゾリルは5員ヘテロアリール環の一例であり、ピリジルは6員ヘテロアリール環の一例であり、1,2,3,4-テトラヒドロ-ナフタレンは10員シクロアルキル基の一例である。
【0118】
本明細書で使用される場合、語句「任意に置換された」は、非置換または置換されていることを意味する。置換基は、独立して選択され、置換は、任意の化学的にアクセス可能な位置にあり得る。本明細書で使用される場合、「置換された」という用語は、水素原子が除去され、置換基によって置き換えられていることを意味する。単一の二価置換基、例えば、オキソは、2つの水素原子を置き換えることができる。所与の原子における置換は、価によって制限されることを理解されたい。
【0119】
定義全体を通して、「Cn~m」という用語は、端点を含む範囲を示し、nおよびmは整数であり、炭素の数を示す。例としては、C1~4、C1~6などが挙げられる。
【0120】
本明細書で使用される場合、単独でまたは他の用語と組み合わせて使用される「Cn~mアルキル」という用語は、n~m個の炭素を有する直鎖または分枝鎖であり得る飽和炭化水素基を指す。アルキル部分の例としては、メチル、エチル、n-プロピル、イソプロピル、n-ブチル、tert-ブチル、イソブチル、sec-ブチルなどの化学基、2-メチル-1-ブチル、n-ペンチル、3-ペンチル、n-ヘキシル、1,2,2-トリメチルプロピルなどのより高級な同族体が挙げられるが、これらに限定されない。いくつかの実施形態では、アルキル基は、1~6個の炭素原子、1~4個の炭素原子、1~3個の炭素原子、または1~2個の炭素原子を含有する。
【0121】
本明細書で使用される場合、単独でまたは他の用語と組み合わせて使用される「Cn~mハロアルキル」という用語は、同一であっても異なってもよい1個のハロゲン原子から2s+1個のハロゲン原子を有するアルキル基を指し、「s」はアルキル基中の炭素原子の数であり、アルキル基はn~m個の炭素原子を有する。いくつかの実施形態では、ハロアルキル基はフッ素化のみである。いくつかの実施形態では、アルキル基は、1~6個、1~4個、または1~3個の炭素原子を有する。
【0122】
本明細書で使用される場合、「Cn~mアルケニル」は、1つ以上の炭素-炭素二重結合を有し、n~m個の炭素を有するアルキル基を指す。例示的なアルケニル基としては、エテニル、n-プロペニル、イソプロペニル、n-ブテニル、sec-ブテニルなどが挙げられるが、これらに限定されない。いくつかの実施形態では、アルケニル部分は、2~6個、2~4個、または2~3個の炭素原子を有する。
【0123】
本明細書で使用される場合、「Cn~mアルキニル」は、1つ以上の炭素-炭素三重結合を有し、n~m個の炭素を有するアルキル基を指す。例示的なアルキニル基としては、エチニル、プロピン-1-イル、プロピン-2-イルなどが挙げられるが、これらに限定されない。いくつかの実施形態では、アルキニル部分は、2~6個、2~4個、または2~3個の炭素原子を有する。
【0124】
本明細書で使用される場合、単独でまたは他の用語と組み合わせて使用される「Cn~mアルキレン」という用語は、n~m個の炭素を有する二価アルキル結合器を指す。アルキレン基の例としては、エタン-1,1-ジイル、エタン-1,2-ジイル、プロパン-1,1-ジイル、プロパン-1,3-ジイル、プロパン-1,2-ジイル、ブタン-1,4-ジイル、ブタン-1,3-ジイル、ブタン-1,2-ジイル、2-メチル-プロパン-1,3-ジイルなどが挙げられるが、これらに限定されない。いくつかの実施形態では、アルキレン部分は、2~6個、2~4個、2~3個、1~6個、1~4個、または1~2個の炭素原子を有する。
【0125】
本明細書で使用される場合、単独でまたは他の用語と組み合わせて使用される「Cn~mアルコキシ」という用語は、式-O-アルキル(式中、アルキル基は、n~m個の炭素を有する)の基を指す。例示的なアルコキシ基としては、メトキシ、エトキシ、プロポキシ(例えば、n-プロポキシおよびイソプロポキシ)、ブトキシ(例えば、n-ブトキシおよびtert-ブトキシ)などが挙げられるが、これらに限定されない。いくつかの実施形態では、このアルキル基は、1~6個、1~4個、または1~3個の炭素原子を有する。
【0126】
本明細書で使用される場合、「Cn~mハロアルコキシ」は、n~m個の炭素原子を有する式-O-ハロアルキルの基を指す。例示的なハロアルコキシ基はOCF3である。いくつかの実施形態では、ハロアルコキシ基はフッ素化のみである。いくつかの実施形態では、アルキル基は、1~6個、1~4個、または1~3個の炭素原子を有する。
【0127】
本明細書で使用される場合、「アミノ」という用語は、式-NH2の基を指す。
【0128】
本明細書で使用される場合、単独でまたは他の用語と組み合わせて使用される「Cn~mアルキルアミノ」という用語は、式-NH(アルキル)(式中、アルキル基は、n~m個の炭素を有する)の基を指す。いくつかの実施形態では、このアルキル基は、1~6個、1~4個、または1~3個の炭素原子を有する。アルキルアミノ基の例としては、N-メチルアミノ、N-エチルアミノ、N-プロピルアミノ(例えば、N-(n-プロピル)アミノおよびN-イソプロピルアミノ)、N-ブチルアミノ(例えば、N-(n-ブチル)アミノおよびN-(tert-ブチル)アミノ)などが挙げられるが、これらに限定されない。
【0129】
本明細書で使用される場合、「ジ(Cn~m-アルキル)アミノ」という用語は、式-N(アルキル)2(式中、2個のアルキル基は、それぞれ独立して、n~m個の炭素を有する)の基を指す。いくつかの実施形態では、各アルキル基は、独立して、1~6個、1~4個、または1~3個の炭素原子を有する。
【0130】
本明細書で使用される場合、「Cn~mアルコキシカルボニル」という用語は、式-C(O)O-アルキル(式中、アルキル基は、n~m個の炭素を有する)の基を指す。いくつかの実施形態では、このアルキル基は、1~6個、1~4個、または1~3個の炭素原子を有する。アルコキシカルボニル基の例としては、メトキシカルボニル、エトキシカルボニル、プロポキシカルボニル(例えば、n-プロポキシカルボニルおよびイソプロポキシカルボニル)、ブトキシカルボニル(例えば、n-ブトキシカルボニルおよびtert-ブトキシカルボニル)などが挙げられるが、これらに限定されない。
【0131】
本明細書で使用される場合、「Cn~mアルキルカルボニル」という用語は、式-C(O)-アルキル(式中、アルキル基は、n~m個の炭素を有する)の基を指す。いくつかの実施形態では、このアルキル基は、1~6個、1~4個、または1~3個の炭素原子を有する。アルキルカルボニル基の例としては、メチルカルボニル、エチルカルボニル、プロピルカルボニル(例えば、n-プロピルカルボニルおよびイソプロピルカルボニル)、ブチルカルボニル(例えば、n-ブチルカルボニルおよびtert-ブチルカルボニル)などが挙げられるが、これらに限定されない。
【0132】
本明細書で使用される場合、「Cn~mアルキルカルボニルアミノ」という用語は、式-NHC(O)-アルキル(式中、アルキル基は、n~m個の炭素を有する)の基を指す。いくつかの実施形態では、このアルキル基は、1~6個、1~4個、または1~3個の炭素原子を有する。
【0133】
本明細書で使用される場合、「Cn~mアルキルスルホニルアミノ」という用語は、式-NHS(O)2-アルキル(式中、アルキル基は、n~m個の炭素を有する)の基を指す。いくつかの実施形態では、このアルキル基は、1~6個、1~4個、または1~3個の炭素原子を有する。
【0134】
本明細書で使用される場合、「アミノスルホニル」という用語は、式-S(O)2NH2の基を指す。
【0135】
本明細書で使用される場合、「Cn~mアルキルアミノスルホニル」という用語は、式-S(O)2NH(アルキル)(式中、アルキル基は、n~m個の炭素を有する)の基を指す。いくつかの実施形態では、このアルキル基は、1~6個、1~4個、または1~3個の炭素原子を有する。
【0136】
本明細書で使用される場合、「ジ(Cn~mアルキル)アミノスルホニル」という用語は、式-S(O)2N(アルキル)2(式中、各アルキル基は、独立して、n~m個の炭素を有する)の基を指す。いくつかの実施形態では、各アルキル基は、独立して、1~6個、1~4個、または1~3個の炭素原子を有する。
【0137】
本明細書で使用される場合、「アミノスルホニルアミノ」という用語は、式-NHS(O)2NH2の基を指す。
【0138】
本明細書で使用される場合、「Cn~mアルキルアミノスルホニルアミノ」という用語は、式-NHS(O)2NH(アルキル)(式中、アルキル基は、n~m個の炭素を有する)の基を指す。いくつかの実施形態では、このアルキル基は、1~6個、1~4個、または1~3個の炭素原子を有する。
【0139】
本明細書で使用される場合、「ジ(Cn~mアルキル)アミノスルホニルアミノ」という用語は、式-NHS(O)2N(アルキル)2(式中、各アルキル基は、独立して、n~m個の炭素を有する)の基を指す。いくつかの実施形態では、各アルキル基は、独立して、1~6個、1~4個、または1~3個の炭素原子を有する。
【0140】
本明細書で使用される場合、単独でまたは他の用語と組み合わせて使用される「アミノカルボニルアミノ」という用語は、式-NHC(O)NH2の基を指す。
【0141】
本明細書で使用される場合、「Cn~mアルキルアミノカルボニルアミノ」という用語は、式-NHC(O)NH(アルキル)(式中、アルキル基は、n~m個の炭素を有する)の基を指す。いくつかの実施形態では、このアルキル基は、1~6個、1~4個、または1~3個の炭素原子を有する。
【0142】
本明細書で使用される場合、「ジ(Cn~mアルキル)アミノカルボニルアミノ」という用語は、式-NHC(O)N(アルキル)2(式中、各アルキル基は、独立して、n~m個の炭素を有する)の基を指す。いくつかの実施形態では、各アルキル基は、独立して、1~6個、1~4個、または1~3個の炭素原子を有する。
【0143】
本明細書で使用される場合、「カルバミル」という用語は、式-C(O)NH2の基を指す。
【0144】
本明細書で使用される場合、「Cn~mアルキルカルバミル」という用語は、式-C(O)-NH(アルキル)(式中、アルキル基は、n~m個の炭素を有する)の基を指す。いくつかの実施形態では、このアルキル基は、1~6個、1~4個、または1~3個の炭素原子を有する。
【0145】
本明細書で使用される場合、「ジ(Cn~m-アルキル)カルバミル」という用語は、式-C(O)N(アルキル)2(式中、2個のアルキル基は、それぞれ独立して、n~m個の炭素を有する)の基を指す。いくつかの実施形態では、各アルキル基は、独立して、1~6個、1~4個、または1~3個の炭素原子を有する。
【0146】
本明細書で使用される場合、「チオ」という用語は、式-SHの基を指す。
【0147】
本明細書で使用される場合、「Cn~mアルキルチオ」という用語は、式-S-アルキル(式中、アルキル基は、n~m個の炭素を有する)の基を指す。いくつかの実施形態では、このアルキル基は、1~6個、1~4個、または1~3個の炭素原子を有する。
【0148】
本明細書で使用される場合、「Cn~mアルキルスルフィニル」という用語は、式-S(O)-アルキル(式中、アルキル基は、n~m個の炭素を有する)の基を指す。いくつかの実施形態では、このアルキル基は、1~6個、1~4個、または1~3個の炭素原子を有する。
【0149】
本明細書で使用される場合、「Cn~mアルキルスルホニル」という用語は、式-S(O)2-アルキル(式中、アルキル基は、n~m個の炭素を有する)の基を指す。いくつかの実施形態では、このアルキル基は、1~6個、1~4個、または1~3個の炭素原子を有する。
【0150】
本明細書で使用される場合、単独でまたは他の用語と組み合わせて使用される「カルボニル」という用語は、C(O)としても記述され得る-C(=O)-基を指す。
【0151】
本明細書で使用される場合、「カルボキシ」という用語は、-C(O)OH基を指す。
【0152】
本明細書で使用される場合、「シアノ-C1~3アルキル」という用語は、式-(C1~3アルキレン)-CNの基を指す。
【0153】
本明細書で使用される場合、「HO-C1~3アルキル」という用語は、式-(C1~3アルキレン)-OHの基を指す。
【0154】
本明細書で使用される場合、「ハロ」は、F、Cl、Br、またはIを指す。いくつかの実施形態では、ハロは、F、Cl、またはBrである。
【0155】
本明細書で使用される場合、単独でまたは他の用語と組み合わせて使用される「アリール」という用語は、単環式または多環式(例えば、2、3、または4個の縮合環を有する)であり得る芳香族炭化水素基を指す。用語「Cn~mアリール」は、n~m個の環炭素原子を有するアリール基を指す。アリール基としては、例えば、フェニル、ナフチル、アントラセニル、フェナントレニル、インダニル、インデニルなどが挙げられる。いくつかの実施形態では、アリール基は6~10個の炭素原子を有する。いくつかの実施形態では、アリール基は、フェニルまたはナフチルである。
【0156】
本明細書で使用される場合、「シクロアルキル」は、環化アルキルおよび/またはアルケニル基を含む非芳香族環式炭化水素を指す。シクロアルキル基は、単環式または多環式(例えば、2、3、または4個の縮合環を有する)基およびスピロ環を含むことができる。シクロアルキル基の環形成炭素原子は、1または2個の独立して選択されるオキソまたはスルフィド基(例えば、C(O)またはC(S))によって任意に置換され得る。シクロアルキルの定義には、例えば、シクロペンタン、シクロヘキサンなどのベンゾまたはチエニル誘導体と縮合した(すなわち、これらと共通の結合を有する)1つ以上の芳香環を有する部分も含まれる。縮合芳香環を含有するシクロアルキル基は、縮合芳香環の環形成原子を含む任意の環形成原子を通して結合することができる。シクロアルキル基は、3、4、5、6、7、8、9、または10個の環形成炭素(C3~10)を有し得る。いくつかの実施形態では、シクロアルキルはC3~10単環式または二環式シクロアルキルである。いくつかの実施形態では、シクロアルキルはC3~7単環式シクロアルキルである。例示的なシクロアルキル基としては、シクロプロピル、シクロブチル、シクロペンチル、シクロヘキシル、シクロヘプチル、シクロペンテニル、シクロヘキセニル、シクロヘキサジエニル、シクロヘプタトリエニル、ノルボルニル、ノルピニル、ノルカルニル、アダマンチルなどが挙げられる。いくつかの実施形態では、シクロアルキルは、シクロプロピル、シクロブチル、シクロペンチル、またはシクロヘキシルである。
【0157】
本明細書で使用される場合、「ヘテロアリール」は、硫黄、酸素、および窒素から選択される少なくとも1つのヘテロ原子環員を有する単環式または多環式芳香族複素環を指す。いくつかの実施形態では、ヘテロアリール環は、窒素、硫黄、および酸素から独立して選択される1、2、3、または4個のヘテロ原子環員を有する。いくつかの実施形態では、ヘテロアリール部分中の任意の環形成Nは、N-オキシドであり得る。いくつかの実施形態では、ヘテロアリールは、窒素、硫黄、および酸素から独立して選択される1、2、3、または4個のヘテロ原子環員を有する5~10員単環式または二環式ヘテロアリールである。いくつかの実施形態では、ヘテロアリールは、窒素、硫黄、および酸素から独立して選択される1または2個のヘテロ原子環員を有する5~6員単環式ヘテロアリールである。いくつかの実施形態では、ヘテロアリールは、5員または6員ヘテロアリール環である。5員ヘテロアリール環は、5つの環原子を有する環を備えたヘテロアリールであり、1つ以上の(例えば、1、2、または3個の)環原子は、N、O、およびSから独立して選択される。例示的な5員環ヘテロアリールは、チエニル、フリル、ピロリル、イミダゾリル、チアゾリル、オキサゾリル、ピラゾリル、イソチアゾリル、イソオキサゾリル、1,2,3-トリアゾリル、テトラゾリル、1,2,3-チアジアゾリル、1,2,3-オキサジアゾリル、1,2,4-トリアゾリル、1,2,4-チアジアゾリル、1,2,4-オキサジアゾリル、1,3,4-トリアゾリル、1,3,4-チアジアゾリル、および1,3,4-オキサジアゾリルである。6員ヘテロアリール環は、6個の環原子を有する環を備えたヘテロアリールであり、1つ以上の(例えば、1、2、または3個の)環原子は、N、O、およびSから独立して選択される。例示的な6員環ヘテロアリールは、ピリジル、ピラジニル、ピリミジニル、トリアジニル、およびピリダジニルである。
【0158】
本明細書で使用される場合、「ヘテロシクロアルキル」は、O、N、またはSから選択される1つ以上の環形成ヘテロ原子を有する非芳香族単環式または多環式複素環を指す。ヘテロシクロアルキルに含まれるのは、単環式4員、5員、6員、7員、8員、9員または10員ヘテロシクロアルキル基である。ヘテロシクロアルキル基はまた、スピロ環も含むことができる。例示的なヘテロシクロアルキル基としては、ピロリジン-2-オン、1,3-イソオキサゾリジン-2-オン、ピラニル、テトラヒドロピラン、オキセタニル、アゼチジニル、モルホリノ、チオモルホリノ、ピペラジニル、テトラヒドロフラニル、テトラヒドロチエニル、ピペリジニル、ピロリジニル、イソオキサゾリジニル、イソチアゾリジニル、ピラゾリジニル、オキサゾリジニル、チアゾリジニル、イミダゾリジニル、アゼパニル、ベンズアゼペンなどが挙げられる。ヘテロシクロアルキル基の環形成炭素原子およびヘテロ原子は、1または2個の独立して選択されるオキソまたはスルフィド基(例えば、C(O)、S(O)、C(S)、またはS(O)2など)によって任意に置換され得る。ヘテロシクロアルキル基は、環形成炭素原子または環形成ヘテロ原子を通して結合することができる。いくつかの実施形態では、ヘテロシクロアルキル基は、0~3個の二重結合を含有する。いくつかの実施形態では、ヘテロシクロアルキル基は、0~2個の二重結合を含有する。ヘテロシクロアルキルの定義には、シクロアルキル環と縮合した(すなわち、シクロアルキル環と共通の結合を有する)1つ以上の芳香族環、例えば、ピペリジン、モルホリン、アゼピンなどのベンゾまたはチエニル誘導体を有する部分も含まれる。縮合芳香環を含有するヘテロシクロアルキル基は、縮合芳香環の環形成原子を含む任意の環形成原子を通して結合することができる。いくつかの実施形態では、ヘテロシクロアルキルは、窒素、酸素、または硫黄から独立して選択される1または2個のヘテロ原子を有し、1つ以上の酸化環員を有する単環式4~6員ヘテロシクロアルキルである。いくつかの実施形態では、ヘテロシクロアルキルは、窒素、酸素、または硫黄から独立して選択される1、2、3、または4個のヘテロ原子を有し、1つ以上の酸化環員を有する単環式または二環式4~10員ヘテロシクロアルキルである。
【0159】
ある特定の箇所において、定義または実施形態は、特定の環(例えば、アゼチジン環、ピリジン環など)を指す。別段の指示がない限り、これらの環は、原子の価を超えない限り、任意の環員に結合することができる。例えば、アゼチジン環は、環の任意の位置に結合されてもよく、一方、ピリジン-3-イル環は、3位に結合される。
【0160】
本明細書で使用される場合、「オキソ」という用語は、二価の置換基としての酸素原子を指し、炭素に結合したとき(例えば、C=O)、またはスルホキシドもしくはスルホン基を形成するヘテロ原子に結合したときにカルボニル基を形成する。
【0161】
「化合物」という用語は、本明細書で使用されるとき、描かれる構造の全ての立体異性体、幾何異性体、互変異性体、および同位体を含むことを意味する。本明細書において、1つの特定の互変異性形態としての名称または構造によって同定される化合物は、別途指定されない限り、他の互変異性形態を含むことが意図される。
【0162】
本明細書に記載の化合物は、非対称であり得る(例えば、1つ以上の立体中心を有する)。別段の指示がない限り、鏡像異性体およびジアステレオマーなどの全ての立体異性体が意図される。非対称に置換された炭素原子を含有する本発明の化合物は、光学活性形態またはラセミ形態で単離することができる。ラセミ混合物の分解能または立体選択的合成などにより、光学的に不活性な出発物質から光学的に活性な形態を調製する方法が当該技術分野において既知である。オレフィン、C=N二重結合、N=N二重結合などの多くの幾何異性体も、本明細書に記載の化合物中に存在することができ、全てのこのような安定異性体が本発明において企図される。本発明の化合物のシスおよびトランス幾何異性体が記載され、異性体の混合物として、または分離異性体形態として単離され得る。いくつかの実施形態では、この化合物は(R)-配置を有する。いくつかの実施形態では、この化合物は(S)-配置を有する。
【0163】
本明細書で提供される化合物は、互変異性形態も含む。互変異性形態は、単結合と隣接する二重結合とを、プロトンの同時移動と一緒に交換することから生じる。互変異性形態には、同じ実験式および総電荷を有する異性体プロトン化状態であるプロトン転移(prototropic)互変異性体が含まれる。プロトン転移互変異性体の例としては、ケトン-エノール対、アミド-イミド酸対、ラクタム-ラクチム対、エナミン-イミン対、ならびに環状形態が挙げられ、プロトンは複素環系の2つ以上の位置、例えば、1H-および3H-イミダゾール、1H-、2Hおよび4H-1,2,4-トリアゾール、1H-および2H-イソインドール、ならびに1H-および2H-ピラゾールを占めることができる。互変異性形態は、平衡にあるか、または適切な置換によって1つの形態に立体的にロックされ得る。
【0164】
本明細書で使用される場合、「細胞」という用語は、インビトロ、エクスビボ、またはインビボである細胞を指すことが意図される。いくつかの実施形態では、エクスビボ細胞は哺乳動物などの生物から切除される組織試料の一部であり得る。いくつかの実施形態では、インビトロ細胞は細胞培養物中の細胞であり得る。いくつかの実施形態では、インビボ細胞は哺乳動物などの生物内に生存する細胞である。
【0165】
本明細書で使用される場合、「接触させること」という用語は、インビトロ系またはインビボ系における示される部分を一緒にすることを指す。例えば、本発明の化合物とガスデルミンを「接触させる」ことは、ガスデルミンを有するヒトなどの個体または患者に本発明の化合物を投与すること、ならびに例えば、本発明の化合物を、ガスデルミンを含有する細胞調製物または精製調製物を含有する試料中に導入することを含む。
【0166】
本明細書で使用される場合、「個体」、「患者」、または「対象」という用語は、哺乳動物、好ましくはマウス、ラット、他のげっ歯類、ウサギ、イヌ、ネコ、ブタ、ウシ、ヒツジ、ウマ、または霊長類、および最も好ましくはヒトを含む任意の動物を指す。
【0167】
本明細書で使用される場合、「有効量」または「治療有効量」という語句は、研究者、獣医、医師または他の臨床医によって求められている組織、系、動物、個体またはヒトにおける生物学的または医学的応答を誘発する活性化合物または医薬品の量を指す。
【0168】
本明細書で使用される場合、「治療すること」または「治療」という用語は、1)疾患を阻害すること、例えば、疾患、病態または障害の病理学もしくは症状を経験または表示している個体における疾患、病態または障害を阻害すること(すなわち、病理学および/または症状のさらなる発達を阻止すること)、または2)疾患を改善すること、例えば、疾患、病態または障害の病理学もしくは症状を経験または表示している個体における疾患、病態または障害を改善すること(すなわち、病理学および/または症状を逆転させること)を指す。
【0169】
本明細書で使用される場合、疾患、病態または障害の「予防すること」または「予防」という用語は、対象または対象の群(例えば、疾患、病態または障害に罹患しやすいか、または受けやすい対象もしくは対象の群)における疾患、病態または障害の発生のリスクを減少させることを指す。いくつかの実施形態では、疾患、病態または障害を予防することは、疾患、病態または障害および/またはその関連する症状を獲得する可能性を減少させることを指す。いくつかの実施形態では、疾患、病態または障害を予防することは、疾患、病態または障害の発生を完全にまたはほぼ完全に停止させることを指す。
【実施例0170】
骨髄系およびバリア上皮細胞による病原体および危険性の細胞質センシングは、炎症性カスパーゼを活性化してサイトカイン成熟および炎症性細胞死(ピロトーシス)を誘発するインフラマソームと呼ばれる大きな複合体を組み立てる。炎症は、免疫細胞を動員して、保護免疫応答を編成するが、病理を引き起こし得る。炎症性カスパーゼ基質であるガスデルミンD(GSDMD)による細孔形成は、最近、ピロトーシスおよび炎症性媒介物の放出に関与する機構として特定された。GSDMDを阻害することは、炎症を抑制するための魅力的な戦略である。以下に記載される実験結果は、慢性アルコール依存症を治療するために使用される薬物であるジスルフィラムが、GSDMDによる細孔形成の阻害剤であるが、GSDMファミリーの他のメンバーではないことを説明している。ジスルフィラムは、マウスにおいて、細胞におけるインフラマソーム媒介性ピロトーシスおよびサイトカイン放出をブロックし、LPS誘導性敗血症死を阻害する。ナノモル濃度では、ジスルフィラムは、GSDMD中のヒトCys191(マウスCys192)を共有結合的に修飾して、細孔形成およびピロトーシスをブロックする。
【0171】
一般的な方法
マウス。8週齢の雌C57BL/6野生型マウスをジャクソン研究所から購入し、ハーバード・メディカル・スクールのSPF施設で管理した。全てのマウス実験は、ボストン小児病院およびハーバード大学医学大学院の動物実験委員会(Animal Care and Use Committees of Boston Children’s Hospital and Harvard Medical School)によって承認されたプロトコルを使用して行った。
【0172】
マウスにおける薬物投与およびLPS誘導性敗血症。指示された時間に腹腔内注射により、ゴマ油またはビヒクル(対照)中に製剤化されたジスルフィラム(C-23、DSF、50mg/kg)でマウスを処置した。
図5hに示されるマウス群において、DSFの最初の注射の6時間前に、グルコン酸銅(0.15mg/kg)を腹腔内投与した。敗血症を、指示された濃度でのLPS(E.coli O111:B4)の腹腔内注射によって、C57BL/6マウス(8~10週齢)において誘導させた。いくつかの実験では、マウスを、LPSチャレンジの5時間前に腹腔内注射によってグルコン酸銅(0.15mg/kg)またはビヒクルで処置し、その後、LPSチャレンジの4時間前および直前にゴマ油またはビヒクルに腹腔内溶解させたDSF(50mg/kg)を投与した(15mg/kg腹腔内)。LPSチャレンジの6時間後、3%のFBSを含有する氷冷PBSで腹腔をすすぐことによって、腹膜細胞を採取した。サイトカインを測定するために、LPSチャレンジの12時間後に尾静脈出血によって血液試料を採取し、室温で凝固させた。2,000×gで10分間遠心分離した後に得られた血清を、ELISAによって炎症性サイトカインについて分析した。
【0173】
試薬。β-メルカプトエタノール(2ME)、ジチオスレイトール(DTT)、塩化テルビウム(III)(TbCl3)、ジピコリン酸(DPA)、およびグルコン酸銅は、Sigma-Aldrichから得た。化合物C-23およびその類似体:テトラエチルチウラムジスルフィド(C-23)、テトラメチルチウラムジスルフィド(C-23A1)、テトラブチルチウラムジスルフィド(C-23A3)、4-メチルピペラジン-1-カルボチオイン酸ジチオペルオキシ無水物(C-23A4)、テトラフェニルチウラムジスルフィド(C-23A5)、N,N’-ジメチル-N,N’-(4,4’-ジメチルジフェニル)チウラムジスルフィド(C-23A6)、ジ(4-モルホリニル)ジチオペルオキシ無水物(C-23A7)、N,N’-ジメチル-N,N’-ジ(4-ピリジニル)チウラムジスルフィド(C-23A8)、ピロリジン-1-カルボチオイン酸ジチオペルロキシ無水物(C-23A10)、およびジメチルジフェニルチウラムジスルフィド(C-23A11)を、Sigma-Aldrichから得た。テトライソプロピルチウラムジスルフィド(C-23A2)およびジシクロペンタメチレンチウラムジスルフィド(C-23A9)は、Oakwood Chemicalsから得た。テトラベンジルチウラムジスルフィド(C-23A12)は、AK Scientificから得た。ホルボール12-ミリスステート13-アセテート(PMA)およびDMSOは、Sigma-Aldrichから得た。ウルトラLPSおよびニゲリシンは、InvivoGenから得た。汎カスパーゼ阻害剤のz-VAD-fmkは、BD Bioscienceから得た。完全なプロテアーゼ阻害剤カクテルおよびPhosSTOPホスファターゼ阻害剤カクテルは、Rocheから得た。ネクロスルホンアミド、ネクロスタチン-1、フマル酸ジメチル、イブルチニブ、およびアファチニブは、Sigma-Aldrichから得た。LDC7559は、Intonation Research Labsによって合成した。
【0174】
生体分子:GSDMDに対するモノクローナル抗体を、6週齢のBALB/cマウスに組換えヒトGSDMDを免疫し、標準プロトコルに従って組換えヒトGSDMD-NTで追加免疫することによって、社内で生成した。血清試料を採取して反応性抗体の力価を評価し、脾臓細胞をSP2/0骨髄腫細胞と融合させた。ハイブリドーマを選択し、得られたクローン由来の上清を、酵素結合免疫吸着アッセイ(ELISA)、免疫ブロット法、および免疫蛍光顕微鏡法によってスクリーニングした。チューブリン抗体は、Sigma-Aldrichから得た。ホスホ-IκBα抗体、IκBα抗体、ホスホ-NF-κBp65抗体、切断ヒトカスパーゼ-1(Asp297)抗体、およびNLRP3抗体は、Cell Signaling Technologyから得た。ASC抗体(AL177)およびマウスカスパーゼ-1p20抗体は、AdipoGenから得た。ヒトおよびマウスIL-1β抗体は、R&D Systemsから得た。HMGB1およびマウスGSDMD抗体は、Abcamから得た。
【0175】
リポソーム漏出アッセイ:蛍光発生リポソーム漏出アッセイは、GSDMDおよびカスパーゼ-11と共にインキュベートしたTb
3+搭載リポソームからのTb
3+の漏出を検出する(参照文献7および9を参照されたい)。
図1を参照されたい。Tb
3+が緩衝液C中のジピコリン酸(DPA)に結合したとき、リポソーム漏出を蛍光の増加によって検出した。ヒトGSDMD(0.3μM)をPC/PE/CLリポソーム(50μMのリポソーム脂質)を含有するウェル(Corning 3820)に分配し、各ウェルにカスパーゼ-11(0.15μM)を添加する前に試験化合物と共に1時間インキュベートした。ウェルの蛍光強度を、Perkin Elmer EnVisionプレートリーダーを使用してカスパーゼ-11を添加した1時間後276nmの励起で545nmで測定した。最終阻害パーセントを[(蛍光
試験化合物-蛍光
陰性対照)/(蛍光
陽性対照-蛍光
陰性対照)]×100として計算し、ここでは、試験化合物を含まないGSDMDを有するウェルを陽性対照として使用し、カスパーゼ-11を含まないウェルを陰性対照として使用した。試験化合物のIC
50を、0.008~50μMの用量範囲の濃度反応実験において決定した。
【0176】
タンパク質発現および精製:NdeIおよびXhoI制限部位を使用して、タバコエッチングウイルス(TEV)切断可能なN末端His6-MBPタグを用いて、完全長ヒトGSDMD配列をpDB.His.MBPベクターにクローニングした。ヒトGSDMD-3CおよびマウスGSDMA3-3C変異体を、QuikChange Mutagenesis(Agilent Technologies)によって構築した。完全長GSDMD、GSDMD-3C、GSDMA3、およびGSDMA3-3Cの発現のために、示されるプラスミドを保有するE.coli BL21(DE3)細胞を、OD600が0.8に達したときに0.5mMのイソプロピル-β-D-チオガラクトピラノシド(IPTG)で誘導した後、50μg ml-1のカナマイシンを補充したLB培地中で18℃で一晩増殖させた。細胞を、pH8.0で25mMのトリス-HCl、150mMのNaCl、20mMのイミダゾール、および5mMの2MEを含有する溶解緩衝液中で超音波処置した。溶解物を4℃にて40,000×gで1時間の遠心分離によって明らかになった。標的タンパク質を含有する上清をNi-NTA樹脂(Qiagen)と共に4℃で30分間インキュベートした。インキュベーション後、樹脂-上清混合物をカラムに注ぎ、樹脂を溶解緩衝液で洗浄した。100mMのイミダゾールを補充した溶解緩衝液を使用してタンパク質を溶出した。His6-MBPタグを、TEVプロテアーゼ消化によって16℃で一晩除去した。切断されたタンパク質を、HiTrap Qイオン交換およびSuperdex 200ゲル濾過カラム(GE Healthcare Life Sciences)を使用して精製した。
【0177】
カスパーゼ-11配列を、EcoRIおよびXhoI制限部位を使用して、TEV切断可能なN末端His6-タグを有するpFastBac-HTaベクターにクローニングした。バキュロウイルスをBac-to-Bacシステム(Invitrogen)を使用して調製し、タンパク質を製造業者の指示に従ってSf9細胞中で発現させた。His-カスパーゼ-11バキュロウイルス(10ml)を使用して、1LのSf9細胞に感染させた。細胞を感染の48時間後に採取し、His6-MBP-GSDMDと同じプロトコルに従ってHis6-カスパーゼ-11を精製した。Ni-NTA樹脂由来の溶出液を、後続のアッセイのために採取した。
【0178】
リポソーム調製:PC(1-パルミトイル-2-オレオイル-sn-グリセロ-3-ホスホコリン、クロロホルム中25mg/mL;80μL)、PE(1-パルミトイル-2-オレオイル-sn-グリセロ-3-ホスホエタノールアミン、クロロホルム中25mg/mL;128μL)およびCL(1’,3’-ビス[1,2-ジオレオイル-sn-グリセロ-3-ホスホ]-sn-グリセロール(ナトリウム塩)、クロロホルム中25mg/mL;64μL)を混合し、溶媒をN2ガスの流れ下で蒸発させた。脂質混合物を、1mLの緩衝液A(20mMのHEPES、150mMのNaCl、50mMのクエン酸ナトリウム、および15mMのTbCl3)中に3分間懸濁させた。懸濁液を100nmのWhatman(登録商標)Nuclepore(商標)トラックエッチドメンブレンを通して30回プッシュし、均質なリポソームを得た。濾過した懸濁液を、緩衝液B(20mMのHEPES、150mMのNaCl)中のサイズ排除カラム(Superose6、10/300GL)によって精製し、TbCl3を外側リポソームから除去した。ボイド画分をプールして、PC/PE/CLリポソーム(1.6mM)のストックを作製した。リポソームを、高スループットスクリーニングで使用するために、緩衝液C(20mMのHEPES、150mMのNaCl、および50μMのDPA)で50μMに希釈する。
【0179】
蛍光タンパク質標識およびマイクロスケール熱泳動結合アッセイ:His6-MBP-GSDMDを、Molecular Probesタンパク質標識キットを使用して、AlexaFluor-488で標識した。GSDMDへの阻害剤の結合を、マイクロスケール熱泳動(MST)を使用して評価した。リガンド(49nM~150μM)を、アッセイ緩衝液(20mMのHEPES、150mMのNaCl、0.05%のTween 20)中で、精製したAlexaFluor-488標識タンパク質(80nM)と共に30分間インキュベートした。試料をNanoTemper Monolith NT.115ガラス毛細管に充填し、MSTを20%のLED出力および40%のMST出力を使用して実施した。質量作用方程式およびNanoTemperソフトウェアを使用して、Kd値を計算した。
【0180】
カスパーゼ-1およびカスパーゼ-11阻害アッセイ:カスパーゼ-1およびカスパーゼ-11活性に関する蛍光発生アッセイは、カスパーゼ基質Ac-YVAD-AMCからの7-アミノ-4-メチルクマリン(AMC)の放出に基づく。化合物(8nM~50μM)を、Ac-YVAD-AMC(40μM)を添加する前に、384ウェルプレート(Corning 3820)中のアッセイ緩衝液(20mMのHEPES、150mMのNaCl)中で30分間、0.5Uのカスパーゼ-1およびカスパーゼ-11と共にインキュベートして反応を開始させた。350/460nmの励起/発光波長を有するSpectraMax M5プレートリーダー(Molecular Devices,Sunnyvale,California USA)中で反応を監視した。各反応の蛍光強度を2分間毎に2時間記録した。
【0181】
細胞生存率アッセイ。96ウェルプレート(Corning 3610)中でウェル当たり4000個の細胞の密度で播種したTHP-1細胞を、100ng/mLのLPSでプライミングする前に、50nMのPMAに36時間曝露することによって分化させた。初期活性化THP-1細胞を各試験化合物で1時間前処置した後、対照として20μMのニゲリシンまたは培地を添加した。生存細胞の数を、1.5時間後にCellTiter-Gloアッセイによって決定した。最終細胞生存率パーセントを、式[(発光試験化合物-発光陰性対照)/(発光陽性対照-発光陰性対照)]×100を使用して計算し、ここでは、LPSのみを有するウェルを陽性対照として使用し、LPSおよびニゲリシンで処置したウェルを陰性対照として使用した。細胞生存率アッセイにおける各試験化合物のIC50を、0.39~50μMの用量範囲の濃度反応実験によって決定した。
【0182】
質量分析および試料調製。ゲルバンドを1mmサイズの切片に切断し、別々の1.5mLポリプロピレンチューブに配置した。50mMの重炭酸アンモニウム緩衝液中の50%アセトニトリル100μLを各チューブに添加し、次いで試料を室温で20分間インキュベートした。必要に応じて、この工程を繰り返してゲルを脱染した。次いで、ゲルスライスを、室温で暗所にて45分間、55mMのヨードアセトアミド(50mMの重炭酸アンモニウム中)と共にインキュベートした後、ゲルを50mMの重炭酸アンモニウム、水、およびアセトニトリルで順次洗浄した。次いで、試料をSpeedvac中で20分間乾燥させた。トリプシン(Promega Corp.)(25mMの重炭酸アンモニウム中10ng/μL、pH8.0)を各試料チューブに添加してゲルを覆い、次いで試料を37℃で6時間または一晩インキュベートした。
【0183】
消化後、試料を0.1%のギ酸(FA)で酸性化し、3μlのトリプシンペプチド溶液を注入した。ナノ-LC/MS/MSを、40ウェル標準トレイを有するDionex Ultimat 3000ナノHPLCおよび自動サンプラーと結合したThermo Scientific Orbitrap Fusionシステム上で実行した。試料をトラップカラム(300μMの1.d.×5mm、C18 PepMap 100)に注入し、次いでC18逆相ナノLCカラム(Acclaim PepMap 100 75μm×25cm)に注入し、50℃に加熱した。移動相A(99.9%の水、0.1%のFA)およびB(99.9%アセトニトリル、0.1%のFA)を使用して、60分のLC勾配で流速を400nL/分に設定した。溶出したペプチドを、荷電したエミッタ先端部(PicoTip Emitter,New Objective、10+/-1μm)を通して質量分析計にスプレーした。パラメータは、先端部電圧、+2.2kV、前駆体イオンのMS取得のためのフーリエ変換質量分析(FTMS)モード(分解能120,000)、高エネルギー衝突解離(HCD)を介した後続のMS/MSのためのイオントラップ質量分析(ITMS)モード(3秒)であった。
【0184】
タンパク質同定および修飾分析にProteome Discoverer 1.4を使用した。UniPortヒトデータベースを用いて生データを解析した。他のパラメータとしては、以下が挙げられる:トリプシンとして酵素を選択すること、切断最大ミス数=2、動的修飾は、システイン上のカルバミドメチル(対照)、ジエチルジチオカルバメート(C-23由来)およびBay11-7082であること、酸化メチオニン、脱アミノアスパラギンおよびグルタミン;10ppmに設定された前駆体耐性、0.6Daに設定されたMS/MS断片耐性、ならびに+2~+4荷電ペプチドが考慮されること。有意な一致について、ペプチド偽発見率(FDR)を1%未満に設定した。
【0185】
細胞株および処置:THP-1細胞およびHEK293T細胞(ATCCから得られた)を、100U/mlのペニシリンG、100μg/mlの硫酸ストレプトマイシン、6mMのHEPES、1.6mMのL-グルタミン、および50μMの2MEを補充した10%の熱不活性化ウシ胎児血清を有するRPMI中で増殖させた。C57BL/6マウスのiBMDM細胞を、J.Kagan(ボストン小児病院)から親切に提供され、同じ補充成分を用いてDMEM中で培養した。細胞は、マイコプラズマ汚染がないことを確認した。HEK293T細胞の一過性トランスフェクションを、製造業者の指示に従ってリポフェクタミン2000(Invitrogen)を使用して行った。iBMDM細胞をAmaxa Nucleofectorキット(VPA-1009)を使用してヌクレオフェクションによってトランスフェクトした。一般に、THP-1細胞を、まず50nMのPMAと36時間インキュベートすることによって分化させ、次にLPS(1μg/ml)で4時間初期活性化後、ニゲリシン(20μM)で処置した。IκBαリン酸化および分解ならびにIL-1β誘導を調べるために、PMA分化THP-1細胞をそれぞれLPS(1μg/mL)で0.5時間、1時間、および4時間刺激した。非カノニカルインフラマソーム活性化のために、100万個のiBMDM細胞を1μgのウルトラLPSで電気穿孔した。
【0186】
細胞傷害性および細胞生存率アッセイ:細胞死および細胞生存率を、製造業者の指示に従って、それぞれ、CytoTox96非放射性細胞傷害性アッセイキット(Promega)を使用して乳酸デヒドロゲナーゼ放出アッセイによって、およびCellTiter-Glo発光細胞生存率アッセイ(Promega)を使用してATPレベルを測定することによって判定した。発光および吸光度をBioTek Synergy2プレートリーダー上で測定した。
【0187】
ナノディスクおよびネガティブ染色電子顕微鏡における細孔再構成:膜骨格タンパク質NW50のコード配列をpET-28aベクターにクローニングし、タンパク質をE.coli BL21(DE3)中で発現させ、再折り畳み手順により精製し、前述のプロトコルに従ってソルターゼで共有結合的に環化した。ホスファチジルセリン(PS)およびホスファチジルコリン(PC)(モル比3:7)を含有する脂質混合物を60mMのコール酸ナトリウムに可溶化し、氷上で環化NW50と共に1時間インキュベートしてナノディスクを組み立てた。次いで、バイオビーズSM-2(Bio-Rad)と共に4℃で一晩インキュベートすることによってコール酸ナトリウムを除去した。次いで、0.22μmのフィルターを使用してバイオビーズを除去し、組み立てられたナノディスクを、緩衝液D(pH8.0で50mMのトリス-HCl、150mMのNaCl)で平衡化したSuperose6 10/300ゲル濾過カラム(GE Healthcare Life Sciences)を使用してさらに精製して、過剰な脂質を除去した。ナノディスク上にGSDMD細孔を形成するために、精製したヒトGSDMD-3Cを、ナノディスクの存在下で3Cプロテアーゼと共に氷上で6時間インキュベートした。緩衝液Dで平衡化したSuperose6カラム上で細孔をさらに精製した。C-23の効果を評価するために、ヒトGSDMD-3C+3Cプロテアーゼを氷上で30分間C-23と共に(モル比1:1)インキュベートした後、ナノディスクに添加する(前処置)か、または氷上で30分間C-23を既に組み立てられた細孔に添加する(後処置)かのいずれかを行った。ネガティブ染色電子顕微鏡の場合、5μlの試料をグロー放電炭素被覆銅グリッド(Electron Microscopy Sciences)上に配置し、緩衝液Aで2回洗浄し、1%のギ酸ウラニルで1分間染色し、空気乾燥させた。グリッドをTecnai G2 Spirit BioTWIN電子顕微鏡上で撮像し、AMT 2k CCDカメラ(ハーバード大学医学大学院の電子顕微鏡施設)で記録した。
【0188】
免疫ブロット分析:完全プロテアーゼ阻害剤カクテル(Roche)およびPhosSTOPホスファターゼ阻害剤カクテル(Roche)を補充したRIPA緩衝液(50mMのトリス-HCl、pH7.4、150mMのNaCl、1mMのEDTA、1%のTritonX-100、0.1%のSDS、0.5%のデオキシコール酸塩)を使用して細胞抽出物を調製した。試料をSDS-PAGEに供し、次いで分解したタンパク質をPVDF膜(Millipore)に移した。免疫ブロットを指示された抗体でプローブし、SuperSignal West Pico化学発光ECLキット(Pierce)を使用して可視化した。
【0189】
細胞におけるカスパーゼ-1活性アッセイ:カスパーゼ-1活性化を測定するために、THP-1細胞を96ウェルプレートに播種し、PMAで分化させた。指示された処置の後、細胞を蛍光活性カスパーゼ-1基質FAM-YVAD-FMK(Immunochemistry Technologies)と共にインキュベートした。試料をBioTek Synergy2プレートリーダー上で読み取った。
【0190】
サイトカインの測定:培養上清またはマウス血清中のIL-1βの濃度を、製造業者の指示に従ってELISAキット(R&D Systems)によって測定した。
【0191】
免疫染色および共焦点顕微鏡法:カバースリップ上で増殖させた細胞を、PBS中の4%のパラホルムアルデヒドで15分間固定し、PBS中の0.1%のTritonX-100中で5分間透過させ、5%のBSAを使用して1時間ブロックした。次いで、細胞を、指示された一次抗体で染色した後、蛍光コンジュゲート二次抗体(Jackson ImmunoResearch)でインキュベーションした。核をDAPI(4,6-ジアミジノ-2-フェニルインドール)(Sigma-Aldrich)で対比染色した。Aqua-Poly/Mount(Dako)を使用してスライドを取り付けた。63倍の水浸対物レンズを備えたレーザー走査共焦点顕微鏡(Olympus Fluoview FV1000 Confocal System)およびOlympus Fluoviewソフトウェア(Olympus)を用いて画像を取り込んだ。全ての共焦点画像は、3つの独立した実験を代表するものである。
【0192】
統計:スチューデントのt検定を用いて、2つの独立した治療の統計分析を行った。マンテル・コックスログランク検定を使用して、マウスの生存曲線および統計を分析した。
【0193】
実施例1-試験化合物によるGSDMD細孔形成の阻害
C-23は、アルコール依存症の治療に使用される薬物であるジスルフィラムとして知られている対称性分子である(参考文献12を参照されたい)。
【化4】
【0194】
試験化合物のIC
50値およびGSDMD結合結果(マイクロスケール熱泳動(MST)によって評価)を表1に示す。試験化合物の化学構造を
図11に示す。
【表4】
【0195】
試験化合物を、マイクロスケール熱泳動(MST)によってGSDMD結合について評価した。
図3は、Alexa 488標識His-MBP-GSDMD (80nM)とC-22、C-23またはC-24との結合のMST測定を示す。
【0196】
試験化合物がピロトーシスを阻害するかどうかを評価するために、試験化合物を、LPS電気穿孔によってニゲリシンまたは非カノニカルインフラマソームでカノニカルインフラマソームを活性化する前に、PMA分化およびLPS初期活性化ヒトTHP-1細胞またはマウス不死化骨髄由来マクロファージ(iBMDM)に添加した。次の段落で論議するように、C-23は、カノニカルおよび非カノニカルインフラマソーム依存性ピロトーシスについて、それぞれ7.67±0.29μMおよび10.33±0.50μMのIC
50値でピロトーシスをブロックし、ポリ(dA:dT)でトランスフェクトしたマウスiBMDMにおけるAIM2インフラマソームによって誘発される細胞死を減じた(
図10を参照)。ジスルフィラムはまた、汎カスパーゼ阻害剤z-VAD-fmkに匹敵する効力で、ニゲリシンまたはLPSトランスフェクション誘導性IL-1β分泌を阻害した。
【0197】
実験結果:リポソーム漏出アッセイにおける化合物ジスルフィラム(C-23)の反応曲線を
図2に示す。
図4、6、および8において、PMA分化LPS初期活性化ヒトTHP-1を、指示された濃度の各化合物で1時間前処置してから、ニゲリシンまたは培地を添加した。生存細胞の数をCellTiter-Gloアッセイ(
図4および6)によって決定し、培養上清中のIL-1βを2時間後にELISAによって評価した(
図8)。
図5、7、および9において、マウスiBMDMを各試験化合物で1時間前処置した後、PBSまたはLPSで電気穿孔した。生存細胞の数をCellTiter-Gloアッセイ(
図5および7)によって決定し、培養上清中のIL-1βを2.5時間後にELISAによって評価した(
図9)。
図8および9において、40μM濃度の試験化合物を添加した。
図10において、マウスiBMDMを、PBSまたはpoly(dA:dT)でトランスフェクションする前に、30μMのC-23で1時間前処置し、または前処置せず、4時間後にCellTiter-Gloアッセイで細胞生存率を分析した。グラフは、平均値±s.d.を示し、データは、3つの独立した実験を代表するものである。
**P<0.01である。
【0198】
C-23が細孔形成を阻害することを確認するために、酸性脂質であるホスファチジルセリン(PS)、およびホスファチジルコリンで構築された共有結合的に環化脂質ナノディスク上でヒトGSDMD-NT細孔を再構成した。完全長GSDMDを操作して、前述のようにカスパーゼ切断部位をライノウイルス3Cプロテアーゼ切断部位(GSDMD-3C)に置き換えた。操作されたGSDMD-3Cの3Cプロテアーゼ切断は、活性NT断片を遊離する。ネガティブ染色電子顕微鏡(EM)によって可視であった組み立てられたナノディスクが再構成した細孔にGSDMD-3C+3Cプロテアーゼの添加。ナノディスクに添加する前にC-23で前処置した場合、GSDMD-3C+3Cプロテアーゼによる細孔形成は、完全にブロックされた。しかしながら、細孔形成後のC-23添加は、既に組み立てられた細孔を破壊しなかった。したがって、ジスルフィラムは、細孔形成を阻害するが、既に形成された細孔は分解しない。
【0199】
C-22、-23、および-24がピロトーシスを阻害するかどうかを評価するために、これらの化合物を、ニゲリシンでカノニカルNLRP3インフラマソームを活性化する前に、PMA分化およびLPS初期活性化ヒトTHP-1細胞に、またはLPS電気穿孔によって非カノニカルインフラマソームを活性化する前に、マウス不死化骨髄由来マクロファージ(iBMDM)に添加した(図を参照されたい)。C-23のみが、カノニカルヒトおよび非カノニカルマウスの炎症依存性ピロトーシスについて、それぞれ7.7±0.3μMおよび10.3±0.5μMの同様のIC50値で、ピロトーシスをブロックした。また、ポリ(dA:dT)でトランスフェクトしたマウスiBMDMにおけるAIM2インフラマソームによって誘発される用量依存的様式で細胞死を減じ、インフラマソーム経路の共通の下流部分のその阻害を支援した。阻害は、CellTiter-Glo ATP発光によって評価される細胞生存率、および膜不透過性染料SYTOX Greenの取り込みによって評価される膜透過性によって示された。さらに、ジスルフィラムは、汎カスパーゼ阻害剤z-VAD-fmkに匹敵する効力で、THP-1におけるニゲリシン誘導性IL-1β分泌およびiBMDM細胞におけるLPSトランスフェクション誘導性IL-1β分泌を阻害した。対照的に、ジスルフィラムは、ネクロスルホンアミド(NSA)またはネクロスタチン-1(Nec)のいずれかによってブロックされたTNFα、SMAC模倣物、およびz-VAD-fmkによる処置によって、HT-29細胞において誘導されるネクロトーシスには影響を及ぼさなかった。これらのデータは、ジスルフィラムがカノニカルおよび非カノニカルインフラマソームによって誘発されるピロトーシスをヒトおよびマウス細胞の両方において阻害することを示すが、ネクロトーシスを阻害しないことを示している。
【0200】
実施例2-ジスルフィラムは、LPS誘導性敗血症から保護する
疫学的研究は、アルコール依存症のためにジスルフィラムを服用する個人が癌で死亡する可能性が低いことを示したため、ジスルフィラムは抗癌剤として検討されている(参考文献24を参照されたい)。細胞において、ジスルフィラムはジエチルジチオカルバメート(DTC)に急速に代謝される(参考文献25および26を参照されたい)。
【化5】
DTCのインビボでの抗癌活性は、おそらく、DTCチオールの増強された求電子性のために、銅との錯化によって大幅に増強される(例えば、参考文献24を参照されたい)。リポソーム漏出アッセイでは、グルコン酸銅(Cu
2+)がジスルフィラムまたはDTCの阻害をわずかに増加させるにすぎないことが見出された。これは、関与するGSDMDのCys残基の高い反応性に起因する可能性が高い(以下の実施例を参照されたい)。しかしながら、Cu
2+は、ジスルフィラムまたはDTCのいずれかが、LPS初期活性化THP-1細胞をピロトーシスから保護する能力を強く促進した(
図13)。Cu
2+を伴うと、ピロトーシスを阻害するためのC-23のIC
50は24倍減少して、0.41±0.02μMとなり、これはリポソーム漏出を防止するためのその効力と同様であった。DTCは、Cu
2+の存在下で細胞内でC-23とほぼ同等の活性となった。
【0201】
C-23が細胞内でのピロトーシスおよびIL-1β放出を阻害したため、LPS誘導性敗血症からC57BL/6マウスを保護するその能力も試験した。LPSでチャレンジする前に、マウスをビヒクルまたはジスルフィラムで腹腔内処置した。低濃度のLPS(15mg/kg)が96時間後に8匹の対照マウスのうち3匹を死滅させたのに対し、ジスルフィラム処置マウスは全て生存した(P<0.05)(
図14)。全てのマウスが生存していた場合、LPSチャレンジの12時間後に血清IL-1β濃度を強く低下させた(ジスルフィラム-前処置マウスにおいて281±149ng/mL、対照マウスにおいて910±140ng/mL(P<0.0001))(
図15)。中間濃度(25mg/kg)でのLPSチャレンジ後、全ての対照マウスは72時間以内に死亡したが、ジスルフィラム処置マウスの8匹のうちの5匹は生存した(P<0.01)(
図16)。最も高いLPSチャレンジ(50mg/kg)において、全ての対照マウスは1日以内に死亡したが、ジスルフィラム処置によって死亡が著しく遅れ、8匹のマウスのうち1匹が生存した(P<0.0001)(
図17)。処置をLPSチャレンジ後まで遅らせることができるかどうか、および銅を添加することで保護を向上させることができるかどうかを判定するために、マウスを25mg/kgのLPSで腹腔内チャレンジし、直ちにおよび24時間後にグルコン酸銅を含んで、または含まずにC-23を投与した。LPS後処置は依然として生存率を改善した(銅なしではP=0.041、銅ありではP=0.024)。全ての対照マウスおよび銅なしで処置したマウスは死亡したが、銅錯化ジスルフィラムを与えられた8匹のマウスのうち2匹は生存した(
図18)。したがって、LPSの前または後に与えられるジスルフィラムは、敗血症性死からマウスを部分的に保護し、IL-1β分泌を減少させた。
【0202】
実験結果:
図12は、Cu(II)の存在下または非存在下でのC-23またはその代謝産物DTCによるリポソーム漏出の阻害の用量反応曲線を示す。
図13において、LPS初期活性化THP-1を、Cu(II)の存在下または非存在下でC-23またはDTCで1時間前処置した後、ニゲリシンまたは培地を2時間添加した。細胞死を、CytoTox96アッセイによって判定した。
図14~17において、マウスを、腹腔内LPSチャレンジの24時間および4時間前に腹腔内注射によりC-23(50mg/kg)またはビヒクル(対照)で前処置し(
図14および15:15mg/kg、
図16:25mg/kg、
図17:50mg/kg)、生存を追跡した。ログランク試験を用いて統計分析を行った(
図14、16、17では、では、マウス/群)。
図15において、血清IL-1βを、上記のようにC-23で前処置し、15mg/kgのLPSでチャレンジしたマウス(n=5/群)においてELISAによって測定した。LPSチャレンジの12時間後に血清を得た。平均値±s.d.が示されている。
図18において、腹腔内LPSチャレンジ(25mg/kg)の0および12時間後に、マウスを腹腔内注射によってC-23(50mg/kg)、C-23(50mg/kg)+グルコン酸銅(0.15mg/kg)またはビヒクル(対照)で処置した。ログランク試験を用いて統計分析を行った(8匹のマウス/群)。
【0203】
細胞において、Cu(II)は、おそらくCu(II)が主要な細胞代謝産物DTCの活性を促進したため、ジスルフィラムまたはDTCのいずれかがLPS初期活性化THP-1細胞をピロトーシスから保護する能力を強く促進した。Cu(II)を伴うと、ピロトーシスを阻害するためのジスルフィラムのIC50は24倍減少して、0.41±0.02μMとなり、これはリポソーム漏出を防止するためのその効力と同様であった。DTCは、Cu(II)の存在下で細胞内でジスルフィラムとほぼ同等の活性となった。リポソーム中のGSDMD細孔形成および細胞内のピロトーシスを阻害する際のジスルフィラム(その主要な細胞代謝産物が安定化されるとき)の類似の効力は、ジスルフィラムの作用機序の主要標的としてGSDMDを支援する。
【0204】
実施例3-ジスルフィラムは、GSDMD Cys191を共有結合的に修飾する
ジスルフィラムは、共有結合修飾によって反応性Cys残基を不活性化することが示されている(参考文献27を参照されたい)。ジスルフィラムによるGSDMD阻害の機構を精査するために、ナノ液体クロマトグラフィー-タンデム質量分析(ナノ-LC-MS/MS)を使用して、ジスルフィラム処置されたヒトGSDMDを分析した。トリプシン断片は、対称性ジスルフィラム分子の半分がチオールに結合しているCys191のジチオジエチルカルバモイル付加物を示した(
図20、21、27、および28)。実際、Cys191は、マウスGSDMDにおける対応するCys192のAla変異によってオリゴマー化がブロックされたため、細胞におけるGSDMD細孔形成に必要である(参考文献8を参照されたい)。このCys残基は、GSDMDで保存されているが、他のGSDMファミリーメンバーでは保存されておらず、マウスGSDMA3構造に基づいて生成された完全長自己阻害構造モデルおよびN末端細孔形成モデルの両方でアクセス可能である(参考文献7および14)(
図22および29)。GSDMA3のLeu183に対応して、Cys191は、細孔を形成するβバレルの重要な要素であるβ7-β8ヘアピン内のβ8鎖の開始部において膜スパン領域の遠位先端に位置する(参考文献14)。PROPKAを使用したCys反応性の分析(参照28)は、Cys191がGSDMD中の全てのCys残基の中で最も反応性であることを示唆している。その高い反応性と一致して、時間経過分析は、ジスルフィラムがインキュベーションの2分以内にリポソーム漏出を阻害したことを示した(
図30)。ジスルフィラムがCys191に作用することを確認するために、対照としてCys191およびCys38のAla変異を発生させた。リポソーム漏出アッセイにおいて、WTおよびC38AについてのジスルフィラムIC
50値は共に約0.3μMであったが、C191AについてのIC
50は約8倍であった(
図23)。ジスルフィラムはまた、N-アセチルシステイン(NAC)とともにインキュベートし、NACは、Cys反応性薬物を不活性化することができる反応性Cysを含有し、ジスルフィラムがニゲリシン媒介性ピロトーシスからTHP-1細胞を保護するかどうかを評価した。予想通り、NACはジスルフィラムの活性を排除した(
図24)。これらのデータをまとめると、ジスルフィラムがCys191を選択的かつ共有結合的に修飾することによって、GSDMD細孔形成を阻害することが示唆される。
【0205】
実験結果:
図20および21は、カルバミドメチルによってCys191上で修飾されたCys191含有ヒトGSDMDペプチドFSLPGATCLQGEGQGHLSQK(aa184~103;2057.00Da)のMS/MSスペクトル(57.0214Daの増加)[LC保持時間、22.85分;トリプレット荷電前駆体イオンm/z705.6827(質量:2114.0481Da;デルタM 2.27ppm)が観察された](a)、またはC-23のジエチルジチオカルバメート部分によってCys191上で修飾されたC-23(ジスルフィラム)とのGSDMDインキュベーション後の対応するGSDMDペプチドのMS/MSスペクトル(147.0255Daの増加)を示す。[LC保持時間.28.93分;トリプレット荷電前駆体イオンm/z735.6802(質量:2204.0406Da;デルタM0.53ppm)が観察された。](b)を示す。
図22は、化合物C-23によって主食されたCys191の位置を示している、GSDMA3の対応する構造に基づく、その自己阻害型における完全長ヒトGSDMDのモデル、およびGSDMDN末端断片(GSDMD-NT)の細孔形態のモデル(参考文献7および14)を示す。GSDMD-NTは試案で、GSDMD-CTは灰色で示す。
図23は、野生型、C38AまたはC191A GSDMD(0.3μM)+カスパーゼ-11(0.15μM)によって誘導されたリポソーム漏出のC-23の阻害の用量反応曲線を示す。
図24は、N-アセチルシステイン(NAC、500μM)または培地で1時間C-23プレインキュベーションした後のLPS+ニゲリシン処置THP-1細胞のピロトーシスのC-23阻害を示す。5~40μMの範囲のC-23の2倍希釈物を使用した。グラフは、平均値±s.d.を示し、データは、3つの独立した実験を代表するものである。
**P<0.01である。
図25および26は、ヒトGSDMD-3C(0.3μM)+3Cプロテアーゼ(0.15μM)(
図25)またはマウスGSDMA3-3C(0.3μM)+3Cプロテアーゼ(0.15μM)(
図26)によって誘導されたリポソーム漏出における化合物C-23の用量反応曲線を示す。
【0206】
図27および28は、ヒトGSDMD中のCys191を含有するペプチドについてのMS/MSスペクトルを示す。
図27は、カルバミドメチルによってシステイン上で修飾されたペプチドFSLPGATCLQGEGQGHLSQKのMS/MSスペクトルを示す。タンパク質カバレッジは、73%である。
図28は、C-23によってシステイン上で修飾されたペプチドFSLPGATCLQGEGQGHLSQKのMS/MSスペクトルを示す。タンパク質カバレッジは、72%である。
【0207】
図29および30は、ジスルフィラムがGSDMDのCys191を共有結合的に修飾することを示す。
図29において、マウスGSDMA3、ヒトGSDMA(hGSDMA)、マウスGSDMD(mGSDMD)およびヒトGSDMD(hGSDMD)の配列アライメントは、Cys残基を示す。
図30において、GSDMD(0.3μM)を、リポソーム(50μM)中のカスパーゼ-11(0.15μM)を添加する前に、指示された濃度のC-23(0~50μM)と共に異なる時間(2~90分)プレインキュベートした。
【0208】
ジスルフィラムがCys191に作用することを確認するために、ジスルフィラムIC50値を、WT、C38A対照、またはC191AヒトGSDMD+カスパーゼ-11で処置したリポソームにおける細孔形成について比較した。C191A GSDMDに作用するジスルフィラムのIC50は、WT GSDMDの約8倍であったが、C38A上の活性はWT GSDMDと同様であり、ジスルフィラム活性に対するCys191の重要性を確認した。Cys191変異体の残留阻害は、変異体GSDMD内の他のCys残基のジスルフィラム修飾に起因し得る。細孔形成におけるCys191の重要性を確認するために、カスパーゼ-11の有無にかかわらず、完全長ヒトWTまたはC191S変異体GSDMDを異所的に発現するHEK293T細胞中のLDH放出によって細胞死を測定した。WTまたはC191S GSDMD単独では細胞生存を損なうことはなかったが、WT GSDMDおよびカスパーゼ-11は共に実質的な細胞死を引き起こし、C191S GSDMDおよびカスパーゼ-11を減少させた。同様に、マウスGSDMD-NT(mGSDMD-NT)の異所性発現によって引き起こされる細胞死は、類似のC192S変異体を発現するHEK293T細胞において有意に減少したが、C39A mGSDMD-NTを発現する細胞においては適度に減少したに過ぎなかった。これらの結果は、以前の結果と一致する、ヒトおよびマウスにおけるGSDMD-NT細孔形成におけるCys191およびCys192の役割をそれぞれ確認している。
【0209】
ジスルフィラムがCys191に作用することをさらに確認するために、カスパーゼ-11およびWTまたはC191S GSDMDを発現するHEK293T細胞におけるLDH放出のジスルフィラム阻害を評価した。予想通り、WT GSDMD誘導細胞死は、試験した最低濃度(10μM)から始まる用量依存的様態でジスルフィラムによって強く阻害されたが、カスパーゼ-11およびC191S GSDMDの発現によって引き起こされる減少した細胞死は、ジスルフィラムを4倍多く添加したときにのみ阻害された。これらのデータをまとめると、ジスルフィラムがCys191を共有結合的に修飾することによって、GSDMD細孔形成を阻害することが示される。加えて、データは、ジスルフィラムがカスパーゼ-11を強く阻害した場合、カスパーゼ-11およびC191S GSDMDを発現する細胞の死からより良い保護を提供したであろうため、ジスルフィラムがGSDMD-NT細孔形成に対するその効果を通じて、主に細胞死を阻害することを示唆している。
【0210】
実施例4-ジスルフィラム(C-23)はカスパーゼ-1およびカスパーゼ-11を阻害する
ジスルフィラムは、タンパク質分解を担う触媒Cysに結合することによってカスパーゼを阻害することが報告されている(参照文献29を参照されたい)。したがって、ジスルフィラムはカスパーゼおよびGSDMDの両方を阻害する可能性が高い。基質Ac-YVAD-AMCからの7-アミノ-4-メチルクマリン(AMC)の放出を測定する蛍光発光カスパーゼ活性アッセイを使用して、ジスルフィラムが、それぞれ0.15±0.04μMおよび0.73±0.07μMのIC
50でカスパーゼ-1およびカスパーゼ-11を実際に阻害したことが見出された(
図31~38)。Cu(II)を添加しても、インビトロでジスルフィラムカスパーゼ阻害は強く変化しなかった。細孔形成におけるジスルフィラムによるカスパーゼ-11阻害対GSDMD阻害の相対的寄与を判定するために、GSDMD中のカスパーゼ切断部位をライノウイルス3Cプロテアーゼ部位(GSDMD-3C)に置き換え、リポソーム漏出アッセイにおいてカスパーゼ-11の代わりに3Cプロテアーゼを使用した。得られたIC
50は0.52±0.03μMであり、カスパーゼ-11誘発リポソーム漏出については0.30±0.01μM(
図2および25)と同等であった。対照的に、マウスGSDMA3が保存Cys191を欠くため、ジスルフィラムは、12.14±2.10μMのはるかに弱いIC
50を有する3Cプロテアーゼ部位(GSDMA3-3C)を含有する3C切断GSDMA3によって誘発されるリポソーム漏出を阻害した(
図26)。したがって、リポソーム漏出アッセイにおけるジスルフィラムの抑制効果は、GSDMDの直接抑制によって媒介される。
【0211】
実験結果:
図31および32は、指示された濃度の化合物C-23の存在下でのカスパーゼ-1およびカスパーゼ-11活性の時間経過を示す。カスパーゼ(0.5U)を化合物C-23と共にインキュベートした(Ac-YVAD-AMC(40μM)を添加する前に、指示された濃度で1時間)。
図33および34は、カスパーゼ-1およびカスパーゼ-11活性アッセイにおける化合物C-23の用量反応曲線を示す。
図35および36は、指示された濃度の化合物C-23+Cu(II)の存在下でのカスパーゼ-1およびカスパーゼ-11活性の時間経過を示す。カスパーゼ(0.5U)を化合物C-23+Cu(II)と共にインキュベートした(Ac-YVAD-AMC(40μM)を添加する前に、指示された濃度で1時間)。
図37および38は、カスパーゼ-1およびカスパーゼ-11活性アッセイにおける化合物C-23+Cu(II)の用量反応曲線を示す。460nmにおける蛍光強度を、350nmでの励起後に測定した。
【0212】
実施例5-試験化合物は、GSDMD細孔形成を阻害する
リポソーム漏出アッセイにおける
図39に示す試験化合物のIC
50値を、
図40~42に示す。データは、試験した化合物がTHP-1におけるニゲリシン誘導性ピロトーシスに対して保護したことを示す。漏出アッセイの結果を表2に示す。表2に列挙される化合物の化学構造を
図39に示す。
【表5】
【0213】
実験結果:
図40において、PMA分化LPS初期活性化THP-1細胞を、指示された化合物(40μM)で3時間処置し、CellTiter-Gloアッセイによって生存率を試験した。
図41において、PMA分化LPS初期活性化THP-1細胞を、処置前に40μMのジスルフィラムまたは指示された試験化合物またはz-VAD-fmkで1時間前処置するか、あるいはニゲリシンで処置せず、細胞を、ニゲリシンの添加後2時間、CellTiter-Gloアッセイによって細胞生存率について評価した。
図42において、PMA分化LPS初期活性化THP-1細胞を、40μMのジスルフィラムもしくはz-VAD-fmkで、または指示された試験化合物の2倍連続希釈物(濃度範囲、0.39~50μM)で1時間前処置した後、ニゲリシンを添加し、細胞を、ニゲリシンの添加後2時間、CellTiter-Gloアッセイによって細胞生存率について評価した。グラフは、平均値±s.d.を示し、データは、3つの独立した実験を代表するものである。
**P<0.01である。試験した化合物のいずれも、THP-1細胞に大して毒性はなかった(図を参照されたい)。試験した化合物は、THP-1細胞におけるニゲリシン誘導性ピロトーシスに対しても有意に保護した。
【0214】
実施例6a-ジスルフィラムおよびBay11-7082は、インフラマソーム活性化カスケードにおける複数の工程を阻害する
汎カスパーゼ阻害剤z-VAD-fmk(CAS登録番号187389-52-2):
【化6】
はTHP-1細胞におけるカノニカルインフラマソーム経路を阻害することが見出された。
【0215】
また、Bay11-7082(CAS登録番号19542-67-7)、
【化7】
NF-κB活性化(参考文献13)およびNLRP3経路(参考文献30)の以前から既知の阻害剤(
図43)が、THP-1細胞におけるカノニカルインフラマソーム経路も阻害することが見出された。以下で考察するように、Bay11-7082は、例えば、GSDMD、カスパーゼ-1、およびカスパーゼ-11を阻害する。
【0216】
MSTによれば、Bay11-7082はGSDMDに結合した(
図55および56ならびに
図2を参照)。Bay11-7082は、カスパーゼ-1を阻害し、カスパーゼ-11を比較的程度は低いが阻害した(
図55~58を参照されたい)。驚くべきことに、ジスルフィラムと同様に、Bay11-7082は、反応性Cys残基を不活性化することによって機能し(参照文献31および32を参照されたい)、GSDMD中のCys191は、Bay11-7082によって共有結合的に修飾された(
図59および60を参照されたい)。リポソーム漏出アッセイにおいて、C191A GSDMDをWT GSDMDに置き換えることによって、Bay11-7082のリポソーム漏出の阻害を2倍減少させた(
図55)。Bay11-7082によるリポソーム漏出の阻害の多くは、カスパーゼ-11阻害に起因し得、なぜなら、Bay11-7082は、GSDMD-3C+3Cプロテアーゼによる漏出を、GSDMD+カスパーゼ-11によるものよりも阻害することができず、同等の反応性システインを欠くマウスGSDMA3-3Cに対するその活性に加えて3Cプロテアーゼは、GSDMD-3Cに対するその活性に類似していたからである(
図61および62を参照されたい)。
【0217】
Bay11-7082は、THP-1細胞におけるカノニカルおよび非カノニカルインフラマソームの両方によって誘発されるピロトーシスを阻害したが、LPSでトランスフェクトされた細胞よりもニゲリシン処置においてより活性であった(
図43および44)。Bay11-7082は、銅の非存在下でジスルフィラムよりもカノニカルインフラマソーム依存性ピロトーシスを阻害する上でより効果的であり、2つの薬物は一緒に付加的保護効果を有したが、試験された最高濃度では細胞毒性であった(
図43)。Bay11-7082は、非カノニカルインフラマソーム活性化によって誘導されるピロトーシスの阻害において、ジスルフィラムよりも活性が低かった(
図44)。
【0218】
ジスルフィラムおよびBay11-7082の両方が反応性Cysを非特異的に修飾するため、次に、ピロトーシスおよび炎症性カスパーゼ活性化につながる工程に対するそれらの効果を分析した。カノニカルインフラマソーム経路に関与する遺伝子のいくつかは、非刺激細胞において発現されず、それらの発現は、初期活性化(プライミング)と呼ばれるプロセスにおいて、病原体の細胞表面センサおよびToll様受容体(TLR)などの危険関連分子パターンに結合することによって誘導される必要がある。Bay11-7082は、プライミングにおける重要な転写因子であるNF-κB活性化を阻害することが知られている。ジスルフィラムおよびBay11-7082がプライミングに与える影響を最初に検討した(
図45)。NF-κB活性化は、IκBαリン酸化および分解ならびにRelA(p65)リン酸化を検討することによって評価した。プロIL-1βの誘導を、プロIL-1βタンパク質についての免疫ブロットによって評価した。ジスルフィラムまたはBay11-7082の非存在下では、LPSを添加した30分後にp65のリン酸化を最初に検出し、4時間持続し、LPSを添加した1時間後にリン酸化および低減されたIκBαを検出し、LPSを添加した4時間後に増加したプロIL-1βを検出した。30μMの濃度で添加した両方の試験化合物は、NF-κBの活性化を阻害したが、Bay11-7082はより強い効果を有し、両方ともプロ-IL-1βの誘導をブロックした。したがって、ジスルフィラムおよびBay11-7082は、両方ともプライミングを阻害する。
【0219】
ニゲリシンは、カスパーゼ動員ドメイン(ASC)を含有するアポトーシス関連スペック様タンパク質と呼ばれるアダプタを使用して、NLRP3カノニカルインフラマソームの組み立てを活性化し、これを免疫蛍光顕微鏡でスペックとして可視化することができる。LPS初期活性化THP-1細胞を阻害剤の非存在下でニゲリシンで処置したとき、ASCスペックを30%の細胞で検出した(
図36)。予想通り、カスパーゼ活性化はインフラマソームアセンブリの下流で生じるため、スペック形成はz-VAD-fmkによって阻害されなかった。しかしながら、プライミング後であるがニゲリシンの1時間前に添加された両方の試験化合物は、ASCスペック形成を阻害したが完全ではなく、同じ濃度で使用した場合、Bay11-7082はジスルフィラムよりも強力であった。1μMのジスルフィラムは、ニゲリシンまたはトランスフェクトされたLPSによって誘発されるピロトーシスをブロックする際に完全に不活性であったが(
図6および7)、グルコン酸銅と組み合わせた同じ濃度のジスルフィラムは、ピロトーシスを完全にブロックし、ASCパンクタも減少させた(
図48および49)。
【0220】
NLRP3媒介性炎症におけるどの工程がASCスペック形成後に阻害されたかを評価するために、LPS初期活性化THP-1細胞をビヒクルまたは30μMのz-VAD-fmk、ジスルフィラム、またはBay11-7082で1時間処置した後ニゲリシンを添加し、カスパーゼ-1、GSDMD、およびプロIL-1βの切断および活性化を30分後に全細胞溶解物の免疫ブロットによって分析した(
図50)。処置されたIL-1βの分泌も、培養上清の免疫ブロットによって評価した。カスパーゼ-1、GSDMD、およびプロIL-1βのそれらの活性形態への切断は、阻害剤の非存在下で明確に検出されたが、3つの阻害剤のいずれかによって処置された細胞において劇的に減少し、さらに、処理されたIL-1βは、任意の阻害剤の非存在下で培養上清中でのみ検出された。PBSまたはグルコン酸銅中の1μMのジスルフィラムのみで細胞を処置することによって同じ実験を繰り返した場合、銅と錯化されたジスルフィラムは、カスパーゼ-1、GSDMD、およびプロIL-1β処理ならびにIL-1β分泌を完全にブロックしたが、銅を含まないジスルフィラムは影響を及ぼさなかった(
図51)。免疫ブロットは定量的ではないため、ニゲリシンを添加した30分後のカスパーゼ-1活性も、無傷細胞内の蛍光基質を使用して評価した。カスパーゼ-1活性はz-VAD-fmkによって完全に阻害されたが、ジスルフィラムおよびBay11-7082のいずれかにより部分的にのみ減少し、Bay11-7082により再び強力に減少した(
図52)。次に、LPS+ニゲリシン誘導GSDMD細孔形成に対するz-VAD-fmk、ジスルフィラム、およびBay11-7082の効果を、未切断GSDMDおよびその細孔形態の両方を認識するモノクローナル抗体を使用して免疫蛍光顕微鏡によって評価した(
図53、54、および64~66)。任意の阻害剤の非存在下で、GSDMD抗体は、LPS+ニゲリシン処置細胞のサイトゾルおよび形質膜の両方を染色し、これが特徴的なピロトーシス気泡を形成した(参考文献10を参照されたい)。3つ全ての阻害剤は、GSDMD膜の染色およびピロトーシス気泡の出現を完全にブロックした。したがって、ジスルフィラムおよびBay11-7082は、プライミング、インフラマソーム組み立て、炎症性カスパーゼ活性化、炎症促進性サイトカイン処理、およびGSDMD細孔形成を含む、カノニカルインフラマソーム誘導性ピロトーシスおよび炎症性サイトカイン放出をもたらす複数の工程を阻害する。
【0221】
実験結果:
図43において、PMA分化LPS初期活性化THP-1細胞を、ニゲリシンで処置する前に、2倍連続希釈物(0.3125~40μMの範囲)のC-23および/またはBay11-7082で1時間前処置した。細胞死を、CytoTox96アッセイによって判定した。
図44において、マウスiBMDMを、PBSまたはLPSで電気穿孔する前に、C-23またはBay11-7082(0.3125~40μMの範囲)の連続2倍希釈物で1時間前処置した。細胞死を、CytoTox96アッセイによって判定した。
図45において、THP-1細胞を30μMのC-23またはBay11-7082で1時間前処置した後、LPSを添加した。0.5時間後に採取した全細胞溶解物の免疫ブロットが示されている。
図46、47、50、および52において、LPS初期活性化THP-1を、30μMのC-23、Bay11-7082、またはz-VAD-fmkで1時間前処置した後、ニゲリシンまたは培地を添加した。ASCスペックの代表的な画像(矢印)およびASCスペックを有する細胞の平均値±s.d.パーセントを、20分後に分析した(
図47)。ニゲリシンを添加した30分後に、全細胞溶解物(WCL)および培養上清(Sup)を採取し、指示された抗体で免疫ブロットした(
図50)。細胞透過性蛍光色素FAM-YVAD-FMKを使用して、ニゲリシンを添加した30分後にカスパーゼ-1活性をアッセイした(
図52)。
図48、49および51において、LPS初期活性化THP-1を、Cu(II)の非存在下で1μMのC-23で1時間前処置した後、ニゲリシンまたは培地を添加した。ASCスペックの代表的な画像(矢印)およびASCスペックを有する細胞の平均値±s.d.パーセントを、20分後に分析した(
図48および49)。ニゲリシンを添加した30分後に、全細胞溶解物(WCL)および培養上清(Sup)を採取し、免疫ブロットにより分析した(
図51)。
図53および54において、LPS初期活性化THP-1を、30μMのC-23、Bay11-7082、またはz-VAD-fmkで1時間前処置した後、ニゲリシンまたは培地を添加し、30分後にマウス抗GSDMDモノクローナル抗体で染色した(
図55~63を参照されたい)。図は、GSDMD膜染色およびピロトーシス気泡を有する細胞の割合の代表的な共焦点顕微鏡画像および定量化を示す。矢印は、ピロトーシス気泡のGSDMD染色を指している。
図55は、野生型、C38AまたはC191A GSDMD(0.3μM)+カスパーゼ-11(0.15μM)によるリポソーム漏出の阻害のBay11-7082用量反応曲線を示す。
図56は、NanoTemperによるAlexa 488標識His-MBP-GSDMD(80nM)とBay11-7082との直接結合のMST測定を示す。
図57および58は、蛍光ペプチド基質に対するカスパーゼ-1(
図57)およびカスパーゼ-11(
図58)活性に対するBay11-7082の効果の用量反応曲線である。
図59および60は、カルバミドメチルによってCys191上で修飾されたCys191含有GSDMDペプチドFSLPGATCLQGEGQGHLSQK(aa184~103;2057.00Da)のMS/MSスペクトル(57.0214Daの増加)[LC保持時間、22.85分;トリプレット荷電前駆体イオンm/z705.6827(質量:2114.0481Da;デルタM 2.27ppm)が観察された](
図59)(a)、またはCys191上で修飾されたBay11-7082とのGSDMDインキュベーション後の対応するGSDMDペプチドのMS/MSスペクトル(207.0354Daの増加)[LC保持時間.17.20分;トリプレット荷電前駆体イオンm/z756.0229(質量:2264.0688Da;デルタM11.7ppm)が観察された。](
図60)。
図61および62は、0.3μMのヒトGSDMD-3C(
図61)またはマウスGSDMA3-3C(
図62)+0.15μMの3Cプロテアーゼによって誘導されたリポソーム漏出に対する、Bay11-7082の効果の用量反応曲線を示す。
図63は、LPS+ニゲリシンで処置したTHP-1細胞のピロトーシスの阻害に対する、N-アセチルシステイン(NAC、500μM)とのBay11-7082の1時間のプレインキュベーションの効果を示す。5~40μMのBay11-7082の2倍希釈物を使用した。グラフは、平均値±s.dを示し、データは、3つの独立した実験を代表するものである。
*P<0.05、
**P<0.01である。
【0222】
ジスルフィラムと比較して、Bay11-7082は、より低い親和性でGSDMDに結合し、リポソーム漏出を阻害する際の活性が23倍低かった(IC50 6.81±0.10μM対0.30±0.01μM)。Bay11-7082もカスパーゼ-1を阻害したが、ジスルフィラムよりもカスパーゼ-11に対する活性が約3倍低かった。ジスルフィラムと同様に、Bay11-7082は反応性Cys残基29、30を不活性化することによって機能する。ナノ-LC-MS/MSによって、Bay11-7082は、GSDMD中のCys191を共有結合的に修飾することが見出された。しかしながら、アッセイにおいて、C191A GSDMDをWT GSDMDに置き換えることによって、Bay11-7082のリポソーム漏出の阻害をわずか2倍減少させた。したがって、Bay11-7082によるリポソーム漏出の阻害の多くは、カスパーゼ-11阻害に起因し得、なぜなら、Bay11-7082は、GSDMD-3C+3Cプロテアーゼによる漏出を、GSDMD+カスパーゼ-11によるものよりも実質的に阻害することができず、同等の反応性システインを欠くマウスGSDMA3-3Cに対するその活性に加えて3Cプロテアーゼは、GSDMD-3Cに対するその活性に類似していたからである。したがって、ジスルフィラムとは異なり、Bay11-7082は、リポソーム漏出アッセイにおいては、GSDMD阻害剤というよりもカスパーゼ阻害剤である。
【0223】
実施例6b-インフラマソーム活性化カスケードの阻害剤
最近、Cys反応性壊死因子阻害剤NSAは、GSDMD媒介性ピロトーシスも阻害することが示された。GSDMDおよびカスパーゼ-11媒介性リポソーム漏出を阻害するジスルフィラムの効力を、NSAおよび他のCys反応性化合物(フマル酸ジメチル(DMF、乾癬および多発性硬化症のための薬物)、アファチニブ(上皮成長因子受容体チロシンキナーゼを阻害する薬物)、イブルチニブ(ブルトンのチロシンキナーゼを阻害する薬物)、およびLDC7559を含む)の抗力と比較した。NSAは、リポソーム漏出を適度に阻害したが、ジスルフィラムよりも約30倍効力が弱かった(9.50±0.43μMのIC50)。
【0224】
実施例7-マウスモノクローナル抗体は、免疫ブロット上および免疫蛍光顕微鏡によって、完全長ヒトGSDMDおよびGSDMD-NT細孔形態を認識する。
GSDMDに対するモノクローナル抗体を、マウスに組換えヒトGSDMDを免疫し、方法に従って組換えヒトGSDMD-NTで追加免疫することによって生成した。
図64において、HEK293T細胞を指示されたプラスミドでトランスフェクトし、細胞溶解物を、指示された抗体でプローブされた還元ゲルの免疫ブロットによって分析した。
図65において、ニゲリシンで処置したか、またはニゲリシンで処置しなかったHCT116、293TおよびTHP-1細胞の細胞溶解物を、指示された抗体で免疫ブロットした。293T細胞は、内因性GSDMDを発現しない。
図66において、293TおよびTHP-1細胞を、抗GSDMDモノクローナル抗体で免疫染色し、DAPIで共染色した(青色)。GSDMDを発現しない293T細胞は、背景染色を示さない。
【0225】
実施例8-機械的研究
ジスルフィラムによるピロトーシス阻害の細胞機構を解明するために、インフラマソーム活性化経路全体に対するその効果を分析した。カノニカルインフラマソーム経路に関与する遺伝子のいくつかは、非刺激細胞において発現されず、それらの発現は、プライミング(初期活性化)と呼ばれるプロセスにおいて、病原体の細胞表面センサおよびToll様受容体(TLR)などの危険関連分子パターンに結合することによって誘導される必要がある。以前の実験では、ジスルフィラムをLPSプライミングの4時間後、およびニゲリシンで刺激する1時間前に添加したため、インフラマソームプライミングにおけるジスルフィラムの効果は検討されなかった。プライミングを明示的に調べるために、THP-1細胞をジスルフィラムで1時間前処置した後、最大4時間LPSを添加した。プライミングにおける重要な転写因子であるNF-κB活性化は、IκBαリン酸化および分解ならびにRelA(p65)リン酸化を検討することによって評価した。NLRP3およびプロIL-1β発現の誘導を、免疫ブロットによって評価した。Bay11-7082を、NF-κB活性化に対するその既知の阻害効果のために、陽性対照として使用した。ジスルフィラムまたはBay11-7082の非存在下では、LPSを添加した30分後にp65のリン酸化を最初に検出し、4時間持続し、LPSを添加した1時間後にリン酸化および低減されたIκBαを検出し、LPSを添加した4時間後に増加したNLRP3およびプロIL-1βタンパク質を検出した。両方の薬物は、NF-κBの活性化を阻害したが、Bay11-7082はより強い効果を有し、両方ともNLRP3およびプロ-IL-1βの誘導をブロックした。
【0226】
ニゲリシンは、カスパーゼ動員ドメイン(ASC)を含有するアポトーシス関連スペック様タンパク質と呼ばれるアダプタを使用して、NLRP3カノニカルインフラマソームの組み立てを活性化し、これを免疫蛍光顕微鏡でスペックとして可視化することができる。LPS初期活性化THP-1細胞を阻害剤の非存在下でニゲリシンで処置したとき、ASCスペックを約30%の細胞で検出した。予想通り、カスパーゼ活性化はインフラマソームアセンブリの下流で生じるため、スペック形成はz-VAD-fmkによって阻害されなかった。プライミング後であるが、ニゲリシンの1時間前に添加されたジスルフィラムは、ASCスペック形成を適度に阻害し、約20%の細胞に至った。スペック形成の適度な減少は、LPSプライミングの4時間後に添加されたにもかかわらず、ジスルフィラムによるプライミングの微妙な阻害に起因する。実際、免疫ブロットは、培地中でインキュベートされた細胞と比較して、プライミング後に添加されたジスルフィラムによってNLRP3レベルが低下したことを示した。
【0227】
カノニカルインフラマソームの組み立ては、プロIL-1βおよびGSDMDを切断するカスパーゼ-1を活性化し、後者は、処理されたIL-1βを放出し、ピロトーシスを誘発するために必要とされる。NLRP3媒介性炎症におけるどの工程がASCスペック形成後に阻害されたかを評価するために、LPS初期活性化THP-1細胞をビヒクル、30μMのz-VAD-fmk、またはジスルフィラムで1時間処置してからニゲリシンを添加し、カスパーゼ-1、GSDMD、およびプロIL-1βの切断および活性化を30分後および1時間後に全細胞溶解物の免疫ブロットによって分析した。処置されたIL-1βの分泌も、培養上清の免疫ブロットによって評価した。カスパーゼ-1、GSDMD、およびプロIL-1βのそれらの活性形態への切断は、阻害剤の非存在下で明確に検出され、それらの処理は、ニゲリシンの30分後にジスルフィラムまたはz-VAD-fmkによって処置された細胞において低減された。しかしながら、ジスルフィラムがカスパーゼに及ぼすより弱い効果と一致して、60分までに、ジスルフィラム処置された試料中のカスパーゼ-1、GSDMD、およびプロIL-1βの処理は、阻害剤の非存在下で検出されたものに追いついたが、z-VAD-fmkで処置された試料は、依然としてこれらのタンパク質の切断をほとんど示さなかった。1時間の時点は、細胞死およびIL-1β放出測定値がそれぞれ、ニゲリシンで1時間および2時間刺激した細胞を使用したときに関連する。これらのデータは、ジスルフィラムがカスパーゼ-1活性化を遅らせたが、阻害しなかったことを示唆している。しかしながら、処理されたIL-1βは、いずれかの阻害剤の非存在下で培養上清中でのみ検出され、ジスルフィラムが、限定されたカスパーゼ-1阻害にもかかわらず、GSDMD細孔形成をブロックすることによってサイトカイン放出を完全に阻害したことを示唆している。マウスiBMDMにおいて、IL-1β放出に対するジスルフィラムの同様の優先的効果(ただし、処理ではない)が見出された一方で、NSA、Bay11-7082およびz-VAD-fmkは、1時間時点で依然としてカスパーゼ-1、GSDMDおよびIL-1βの処理を阻害した。
【0228】
次に、z-VAD-fmkおよびジスルフィラムがLPSに加えてニゲリシン誘導性GSDMD細孔形成に与える影響を、切断されていないGSDMDおよびその細孔形態の両方を認識する前の実施例で生成されたモノクローナル抗体を使用した免疫蛍光顕微鏡法によって評価した。任意の阻害剤の非存在下で、GSDMD抗体は、LPS+ニゲリシン処置細胞のサイトゾルおよび形質膜の両方を染色し、これが特徴的なピロトーシス気泡を形成した。両方の阻害剤は、GSDMD膜の染色およびピロトーシス気泡の出現を完全にブロックした。したがって、ジスルフィラムはプライミングを阻害し、カスパーゼ-1の活性化を遅らせるが、その効果は、THP-1およびiBMDM細胞の両方におけるピロトーシスおよび炎症性サイトカイン放出の両方を抑制するGSDMD細孔形成のボトルネック段階で最高潮に達する。対照的に、対照阻害剤z-VAD-fmkは、カスパーゼ-1活性を排他的にブロックする。
【0229】
ジスルフィラムのインビボ効果を検討するために、LPS誘導性敗血症をC57BL/6マウスにおいて検査した。体表面積を考慮した相対成長スケーリング後、アルコール依存症を治療するために臨床的に承認された125~500mg/日の用量範囲内であるヒトにおける284mg/日に等しい薬物用量(50mg/kg)を使用してLPSでチャレンジする前に、ビヒクルまたはジスルフィラムでマウスを腹腔内処置した32。低濃度のLPS(15mg/kg)が96時間後に8匹の対照マウスのうち3匹を死滅させたのに対し、ジスルフィラム処置マウスは全て生存した(P=0.045)。血清IL-1β、TNFαおよびIL-6濃度は、全てのマウスが生存しているとき、LPSチャレンジの12時間後に強く低下した(p≦0.0003)。中間濃度(25mg/kg)でのLPSチャレンジ後、全ての対照マウスは72時間以内に死亡したが、ジスルフィラム処置マウスの8匹のうちの5匹は生存した(P<0.008)。最も高いLPSチャレンジ(50mg/kg)において、全ての対照マウスは1日以内に死亡したが、ジスルフィラム処置によって死亡が著しく遅れ、8匹のマウスのうち1匹が生存した(P=0.007)。マウスにおけるLPS誘導性敗血症は、非カノニカルインフラマソームにおけるカスパーゼ-11によるGSDMD切断に依存する。以前の研究と一致して、Casp11-/-マウスおよびGsdmd-/-マウスは、LPS誘導性敗血症による死亡に耐性を示したが、Casp1-/-は示さなかった。予想通り、ジスルフィラムは、致死的LPSチャレンジからCasp1-/-マウスを保護したが、各非薬物対照群における1匹を除く全てのマウスが生存したため、Casp11-/-マウスおよびGsdmd-/-マウスの生存に有意に影響しなかった。
【0230】
Cu(II)との錯化がインビボで敗血症からの保護を向上させることができるかを判定するために、Cu(II)を伴って、またはCu(II)を伴わずに投与されるジスルフィラムの有効性を、25mg/kgのLPSで腹腔内でチャレンジされたマウスの生存率と比較した。通常、敗血症は炎症性カスケードが開始された後にのみ診断される臨床状況をよりよく模倣するために、ジスルフィラム投与をLPS注射の直後および12時間後まで延期した。LPS後のジスルフィラム処置は、死亡を著しく遅らせた(Cu(II)なしのp=0.041;銅ありのp=0.024)。全ての対照マウスおよびジスルフィラム単独で処置したマウスは死亡したが、Cu(II)錯化ジスルフィラムを与えられた8匹のマウスのうち2匹は生存した。しかしながら、Cu(II)を伴うか、または伴わないジスルフィラム処置の間の生存率の差は有意性に達しなかった(p=0.064)。したがって、LPS部分的に保護された後にジスルフィラムを与えられたマウスで、Cu(II)の投与を伴うマウスは、その活性を改善することができた。
【0231】
LPSは、プライミングを必要としない非カノニカルインフラマソーム活性化を細胞内で引き起こすだけでなく、敗血症ショックを増幅するNLRP3インフラマソーム活性化もプライミングする。NLRP3、ASC、カスパーゼ-1、またはIL-1受容体の遺伝的欠損は、以前の研究でLPSでチャレンジしたマウスにおいて実質的な生存利点を提供しなかったが、カスパーゼ-11またはGSDMD欠損は、敗血症死からマウスを保護した。したがって、LPS誘導性敗血症からの保護は、GSDMD切断または細孔形成の阻害に依存する可能性が高いが、NLRP3インフラマソームプライミングに依存しないと推論される。この推論は、ジスルフィラムがCasp1-/-およびWTマウスを同様に保護したという独自の発見によって裏付けられている。
【0232】
ジスルフィラムが主にカスパーゼ-11によるGSDMD処理を阻害するか、または細孔形成を阻害するかどうかを判定するために、4つの群のマウスを、LPSまたはビヒクルによる腹腔内チャレンジの4時間前および直前にジスルフィラムまたはビヒクルで前処置した。腹膜マクロファージを6時間後に採取し、免疫ブロットによってNLRP3、GSDMD、およびHMGB1について分析した。GSDMDは、ジスルフィラム処置を行ったか、または行わなかったLPSチャレンジ群において同様に処理され、GSDMD切断の阻害ではなく、GSDMD細孔形成の阻害による死亡の抑制が示された。驚くべきことに、NLRP3レベルはまた、ジスルフィラム処置を行ったか、または行わなかったLPSチャレンジ群において同様であり、ジスルフィラムが細胞内のNLRP3プライミングを損なったとしても、マウス内のNLRP3プライミングを阻害しなかったことを示唆している。これらの結果は、GSDMD細孔形成を阻害してLPS誘導性ピロトーシスおよび炎症性媒介物の放出を阻害することが、我々のモデルにおけるジスルフィラムの主な標的であることを強く示唆している。
【0233】
マウスおよびヒト細胞におけるGSDMD細孔形成のジスルフィラム阻害は、インフラマソームプライミングおよびカスパーゼ活性のブロックにおけるその活性を補完し、カノニカル経路および非カノニカル経路の両方によって誘発されるピロトーシスおよび炎症性サイトカイン放出を抑制する。インフラマソーム経路における3つの工程の同時標的化は、ジスルフィラムが、特にその中間体を安定化させるためにCu(II)と共に投与される場合、特に炎症の強力な阻害剤であることを意味している。本明細書に提示する結果は、ピロトーシスおよび炎症性媒介物放出の両方における一般的な必須最終工程である細孔形成の阻害が、ジスルフィラムの抗炎症活性を支配することを示している。プライミングおよびカスパーゼの阻害におけるその比較的弱い活性は、ジスルフィラムがヒトに対して無毒であることを可能にした一方で、Bay11-7082およびカスパーゼ阻害剤などのより強力なNF-κB阻害剤は共に毒性と関連付けられている。さらに、非カノニカルインフラマソームはプライミングを必要とせず、疾患状況において、関連する免疫および上皮細胞のプライミングは、炎症の徴候および症状が臨床的に認識されるまでに既に発生している可能性があり、GSDMDを阻害して、ピロトーシスおよび炎症性媒介物放出における最も下流の工程を停止することが特に有用であることを示唆している。最後に、ジスルフィラムの相対的な選択性は、高反応性DMFを含むいくつかの他の共有結合性のCys反応性化合物のGSDMDに対する活性の欠如によって支援される。
【0234】
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【0235】
他の実施形態
本出願は、その詳細な説明と併せて説明されているが、前述の説明は、添付の特許請求の範囲によって定義される本出願の範囲を例示することを意図しており、限定するものではないことを理解されたい。他の態様、利点、および修正は、以下の特許請求の範囲の範囲内である。