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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024016720
(43)【公開日】2024-02-07
(54)【発明の名称】界面活性剤を含有する組成物
(51)【国際特許分類】
   A61K 47/14 20170101AFI20240131BHJP
   A61Q 19/00 20060101ALI20240131BHJP
   A61K 8/44 20060101ALI20240131BHJP
   A61P 17/16 20060101ALI20240131BHJP
   A61K 9/12 20060101ALI20240131BHJP
   A61K 47/18 20170101ALI20240131BHJP
   A61K 47/10 20170101ALI20240131BHJP
   A61K 47/22 20060101ALI20240131BHJP
   A61K 8/49 20060101ALI20240131BHJP
   A61K 8/39 20060101ALI20240131BHJP
   A61K 31/727 20060101ALI20240131BHJP
   A61K 8/34 20060101ALN20240131BHJP
   A61K 8/73 20060101ALN20240131BHJP
   A61K 8/02 20060101ALN20240131BHJP
【FI】
A61K47/14
A61Q19/00
A61K8/44
A61P17/16
A61K9/12
A61K47/18
A61K47/10
A61K47/22
A61K8/49
A61K8/39
A61K31/727
A61K8/34
A61K8/73
A61K8/02
【審査請求】未請求
【請求項の数】24
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022119034
(22)【出願日】2022-07-26
(71)【出願人】
【識別番号】399101201
【氏名又は名称】健栄製薬株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100077012
【弁理士】
【氏名又は名称】岩谷 龍
(72)【発明者】
【氏名】堀内 崇寛
(72)【発明者】
【氏名】筒井 優
【テーマコード(参考)】
4C076
4C083
4C086
【Fターム(参考)】
4C076AA12
4C076AA27
4C076BB31
4C076CC18
4C076DD07
4C076DD07V
4C076DD09
4C076DD09V
4C076DD16
4C076DD16V
4C076DD17
4C076DD17V
4C076DD26
4C076DD26Z
4C076DD30
4C076DD30Z
4C076DD38
4C076DD43
4C076DD43Z
4C076DD45
4C076DD45R
4C076DD52
4C076DD52V
4C076DD60
4C076DD60V
4C076EE12
4C076EE23
4C076EE23V
4C076FF11
4C083AB032
4C083AB282
4C083AC121
4C083AC122
4C083AC302
4C083AC401
4C083AC402
4C083AC482
4C083AC611
4C083AC612
4C083AC661
4C083AC662
4C083AD132
4C083AD311
4C083AD312
4C083BB04
4C083BB06
4C083CC02
4C083CC03
4C083DD08
4C083DD23
4C083DD27
4C083DD38
4C083DD47
4C083EE06
4C083EE07
4C086AA01
4C086AA02
4C086EA22
4C086MA03
4C086MA05
4C086MA13
4C086MA63
4C086NA10
4C086ZA89
(57)【要約】
【課題】新規な組成物(界面活性剤を含有する組成物)を提供する。
【解決手段】組成物を、非イオン界面活性剤及びカチオン性界面活性剤を含有する組成物とする。
【選択図】なし
【特許請求の範囲】
【請求項1】
非イオン界面活性剤及びカチオン性界面活性剤を含有する組成物。
【請求項2】
非イオン界面活性剤が、HLBが10~20の非イオン界面活性剤を含む、請求項1記載の組成物。
【請求項3】
非イオン界面活性剤が、HLBが13~17の非イオン界面活性剤を含む、請求項1又は2記載の組成物。
【請求項4】
非イオン界面活性剤が、エステル型の非イオン性界面活性剤を含む、請求項1又は2に記載の組成物。
【請求項5】
非イオン界面活性剤が、ポリオキシアルキレン脂肪酸エステルを含む、請求項1又は2に記載の組成物。
【請求項6】
非イオン界面活性剤が、ポリオキシエチレンモノ脂肪酸エステルを含む、請求項1又は2に記載の組成物。
【請求項7】
非イオン界面活性剤が1種である、請求項1又は2に記載の組成物。
【請求項8】
非イオン界面活性剤の割合が2.3質量%以下である、請求項1又は2に記載の組成物。
【請求項9】
カチオン性界面活性剤が、アミノ酸系カチオン性界面活性剤を含む、請求項1又は2に記載の組成物。
【請求項10】
カチオン性界面活性剤が、モノN-長鎖アシル-アミノ酸アルキルエステル塩を含む、請求項1又は2に記載の組成物。
【請求項11】
カチオン性界面活性剤が、N-ヤシ油脂肪酸アシル-L-アルギニンエチル・DL-ピロリドンカルボン酸塩を含む、請求項1又は2に記載の組成物。
【請求項12】
カチオン性界面活性剤として、アミノ酸系カチオン性界面活性剤のみを含む、請求項1又は2に記載の組成物。
【請求項13】
カチオン性界面活性剤の割合が0.5質量%以下である、請求項1又は2に記載の組成物。
【請求項14】
非イオン界面活性剤の割合が、カチオン性界面活性剤1質量部に対して2~50質量部である、請求項1又は2に記載の組成物。
【請求項15】
両性界面活性剤を含まない、請求項1又は2に記載の組成物。
【請求項16】
アニオン性界面活性剤を含まない、請求項1又は2に記載の組成物。
【請求項17】
さらに、グリセリンを含有する、請求項1又は2に記載の組成物。
【請求項18】
さらに、有効成分を含有する、請求項1又は2に記載の組成物。
【請求項19】
さらに、ヘパリン類似物質を含有する、請求項1又は2に記載の組成物。
【請求項20】
組成物を構成する成分が、溶解状態にある又は分離していない、請求項1又は2に記載の組成物。
【請求項21】
リーブオン用である、請求項1又は2に記載の組成物。
【請求項22】
起泡性である、請求項1又は2に記載の組成物。
【請求項23】
低級アルコールを含まない、請求項1又は2に記載の組成物。
【請求項24】
非イオン界面活性剤が、ポリオキシアルキレン脂肪酸エステルを含み、カチオン性界面活性剤が、モノN-長鎖アシル-アミノ酸アルキルエステル塩を含む、請求項1又は2に記載の組成物。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、新規な組成物(界面活性剤を含有する組成物)等に関する。
【背景技術】
【0002】
界面活性剤は、起泡剤等として使用される成分である。
例えば、特許文献1には、特定の非イオン界面活性剤等を含む、皮膚に塗布するための起泡性組成物が記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2016-180012号公報(特許請求の範囲等)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明の目的は、新規な組成物(界面活性剤を含有する組成物)等を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0005】
界面活性剤は、前記のように、皮膚に塗布するための起泡性組成物等において使用されている。
本発明者らは、特許文献1等に記載の組成物は、起泡させて皮膚に塗布した場合、べたつきが残る等の点で使用感が十分ではない場合があることを見出した。
【0006】
本発明者らは、べたつきを低減させるべく、界面活性剤の量を減らすこと等を試みたが、べたつきを低減できれば十分な起泡性が得られなくなり、べたつきの低減と起泡性との両立は困難であった。
【0007】
このような中、本発明者らは、非イオン界面活性剤とカチオン性界面活性剤を組み合わせることにより、べたつきの低減と起泡性とを両立しうること等を見出し、さらに鋭意研究を重ね、本発明を完成させるに至った。
【0008】
すなわち、本発明は、以下の発明等に関する。
[1]
非イオン界面活性剤及びカチオン性界面活性剤を含有する組成物。
[2]
非イオン界面活性剤が、HLBが10~20の非イオン界面活性剤を含む、[1]記載の組成物。
[3]
非イオン界面活性剤が、HLBが13~17の非イオン界面活性剤を含む、[1]又は[2]記載の組成物。
[4]
非イオン界面活性剤が、エステル型の非イオン性界面活性剤(例えば、非イオン界面活性剤として、エステル型の非イオン性界面活性剤のみ)を含む、[1]~[3]のいずれかに記載の組成物。
[5]
非イオン界面活性剤が、ポリオキシアルキレン脂肪酸エステル(例えば、非イオン界面活性剤として、ポリオキシアルキレン脂肪酸エステルのみ)を含む、[1]~[4]のいずれかに記載の組成物。
[6]
非イオン界面活性剤が、ポリオキシエチレンモノ脂肪酸エステル(例えば、非イオン界面活性剤として、ポリオキシエチレンモノ脂肪酸エステルのみ)を含む、[1]~[5]のいずれかに記載の組成物。
[7]
(組成物に含まれる)非イオン界面活性剤が1種である、[1]~[6]のいずれかに記載の組成物。
[8]
非イオン界面活性剤の割合が2.3質量%以下である、[1]~[7]のいずれかに記載の組成物。
[9]
カチオン性界面活性剤が、アミノ酸系カチオン性界面活性剤を含む、[1]~[8]のいずれかに記載の組成物。
[10]
カチオン性界面活性剤が、モノN-長鎖アシル-アミノ酸アルキルエステル塩を含む、[1]~[9]のいずれかに記載の組成物。
[11]
カチオン性界面活性剤が、N-ヤシ油脂肪酸アシル-L-アルギニンエチル・DL-ピロリドンカルボン酸塩を含む、[1]~[10]のいずれかに記載の組成物。
[12]
カチオン性界面活性剤として、アミノ酸系カチオン性界面活性剤のみを含む、[1]~[11]のいずれかに記載の組成物。
[13]
カチオン性界面活性剤の割合が0.5質量%以下である、[1]~[12]のいずれかに記載の組成物。
[14]
非イオン界面活性剤の割合が、カチオン性界面活性剤1質量部に対して2~50質量部である、[1]~[13]のいずれかに記載の組成物。
[15]
両性界面活性剤を含まない(実質的に含まない)、[1]~[14]のいずれかに記載の組成物。
[16]
アニオン性界面活性剤を含まない(実質的に含まない)、[1]~[15]のいずれかに記載の組成物。
[17]
さらに、グリセリンを含有する、[1]~[16]のいずれかに記載の組成物。
[18]
さらに、有効成分を含有する、[1]~[17]のいずれかに記載の組成物。
[19]
さらに、ヘパリン類似物質を含有する、[1]~[18]のいずれかに記載の組成物。
[20]
組成物を構成する成分が、溶解状態にある又は分離していない、[1]~[19]のいずれかに記載の組成物。
[21]
リーブオン用である、[1]~[20]のいずれかに記載の組成物。
[22]
起泡性である(フォーム製剤である)、[1]~[21]のいずれかに記載の組成物。
[23]
低級アルコールを含まない(実質的に含まない)、[1]~[22]のいずれかに記載の組成物。
【発明の効果】
【0009】
本発明によれば、新規な組成物(界面活性剤を含有する組成物)を提供できる。
【0010】
本発明の組成物の一態様によれば、起泡させて皮膚に塗布した際のべたつきを低減しうる。
【0011】
本発明の組成物の一態様によれば、効率よく起泡しうる。そのため、フォーム製剤用途等として使用した(例えば、ポンプによる吐出やガスを伴う噴霧を行った)際に、良好な起泡性を奏しうる(すなわち、良好な泡を形成しうる)。
【0012】
本発明の組成物の一態様によれば、組成物中の非イオン界面活性剤(さらにはカチオン性界面活性剤、界面活性剤の総量)の割合が比較的少なくても、良好な起泡性を奏しうる。
【0013】
本発明の組成物の一態様によれば、起泡させて皮膚に塗布する際に、べたつきの低減と起泡性とを両立しうる。
【0014】
本発明の組成物の一態様によれば、起泡性、べたつきの少なさ、泡弾力、しっとり感等においてバランスよい組成物を提供しうる。このような組成物は、総じて、良好な使用感を感じさせる場合が多く、好適である。
【0015】
本発明の組成物の一態様は、溶解状態又は分離していない状態となりうる。
このような組成物は、特に、ポンプ式フォーム製剤用組成物(又はポンプ式フォーム製剤)として好適に使用しうる。
【発明を実施するための形態】
【0016】
[組成物]
本発明の組成物(製剤)は、非イオン界面活性剤(非イオン性界面活性剤、ノニオン性界面活性剤)と、カチオン性界面活性剤(カチオン界面活性剤、陽イオン界面活性剤)とを含有する。
組成物は、後述するように、例えば、フォーム製剤[又はフォーム製剤用、例えば、ポンプ式フォーム製剤(用)、エアゾール式フォーム製剤(用)等]等に使用することができる。
【0017】
非イオン界面活性剤
非イオン界面活性剤(組成物に含まれる非イオン界面活性剤)のHLB値は、特に限定されないが、例えば、5~30、好ましくは10~20(例えば、13~17)等であってもよい。
【0018】
非イオン界面活性剤のHLB値は、組み合わせる他の成分の種類やその割合、組成物の用途等に応じて、適宜選択してもよい。
例えば、組成物がポンプフォーム式製剤(ポンプ式フォーム製剤用)である場合、非イオン界面活性剤のHLB値は、水溶液中への分散性等の観点から、例えば、10~20(例えば、13~18、14~17)等のものを好適に使用してもよい。
【0019】
非イオン界面活性剤が2種以上である場合、(1)非イオン性界面活性剤全体のHLB値が、上記のHLB値を充足してもよく、(2)非イオン性界面活性剤の少なくとも1種(例えば、1種のみ、2種のみ、すべての非イオン界面活性剤等)が上記HLB値を充足してもよい。
【0020】
なお、非イオン性界面活性剤全体のHLB値は、それぞれの非イオン性界面活性剤の質量分率とHLB値との積の和として求められる(以下、界面活性剤について同じ)。
【0021】
例えば、非イオン界面活性剤が、非イオン界面活性剤(A1)(HLB値A1)、非イオン界面活性剤(A2)(HLB値A2)、非イオン界面活性剤(A3)(HLB値A3)の3種を、それぞれ、X質量%、Y質量%、Z質量%の割合(X+Y+Z=100)で含む場合、(A1×X+A2×Y+A3×Z)÷100が上記HLB値を充足してもよく(A1)~(A3)の少なくとも1種のHLB値(例えば、HLB値A1、HLB値A2、HLB値A3のいずれか1つ、2つ又は3つのすべて)が上記HLB値を充足してもよい。
【0022】
なお、HLB値は、例えば、実測値であってもよく、グリフィン法、デイビス法、アトラス法、川上法等の公知の方法に基づいて決定(算出)してもよい(以下同じ)。
【0023】
非イオン界面活性剤としては、例えば、エーテル型、エステル型、アミド型(例えば、ヤシ油脂肪酸ジエタノールアミド等)、ポリオキシアルキレンブロック共重合型等が挙げられる。
【0024】
なお、エステル型には、エステルエーテル型(エーテルエステル型)の非イオン性界面活性剤等も含まれる。
【0025】
代表的な非イオン界面活性剤としては、例えば、ポリオキシアルキレン脂肪酸エステル{例えば、ポリオキシエチレン(以下、POE等ということがある)脂肪酸エステル[ポリエチレングリコール(以下、PEG等ということがある)脂肪酸エステル]等のPOE骨格を有する脂肪酸エステル}、ポリグリセリン脂肪酸エステル、ポリオキシアルキレン水添ヒマシ油[例えば、POE水添ヒマシ油(POE硬化ヒマシ油)等のPOE骨格を有する水添ヒマシ油]、ポリオキシアルキレンヒマシ油[例えば、POEヒマシ油等のPOE骨格を有するヒマシ油]、ソルビタン脂肪酸エステル、ポリオキシアルキレンソルビタン脂肪酸エステル(例えば、POEソルビタン脂肪酸エステル)、POE-POP縮合物(POE-POPグリコール、POE-POPブロック共重合体)、ポリオキシアルキレンエーテル等が挙げられる。
【0026】
ポリオキシアルキレン脂肪酸エステル(例えば、POE脂肪酸エステル)において、脂肪酸は、飽和脂肪酸であってもよく、不飽和脂肪酸であってもよい。脂肪酸としては、例えば、C8―30アルキル又はアルケニル(好ましくは、C8―24アルキル又はアルケニル、C10―20アルキル又はアルケニル)カルボン酸等が挙げられる。
【0027】
ポリオキシアルキレン脂肪酸エステル(例えば、POE脂肪酸エステル)は、モノエステル(ポリオキシエチレンモノ脂肪酸エステル等)であってもよいし、ジエステル(ポリオキシエチレンジ脂肪酸エステル等)であってもよい。
【0028】
ポリオキシアルキレン脂肪酸エステルにおいて、ポリオキシアルキレン(アルキレンオキシド、アルキレングリコール)の付加モル数は、アルキレンオキサイドの種類、組み合わせ、所望のHLB等によって選択できる(以下、ポリオキシアルキレン骨格を有する界面活性剤について同じ)。
【0029】
特に、ポリオキシアルキレン脂肪酸エステルは、通常、POEを少なくとも有していてもよい。このようなポリオキシエチレン(エチレンオキサイド、エチレングリコール)の平均付加モル数は、所望のHLB値等に応じて適宜選択でき、例えば、2~150等であってもよい(以下、ポリオキシアルキレン骨格を有する界面活性剤について同じ)。
【0030】
代表的なポリオキシアルキレン脂肪酸エステルとしては、例えば、ラウリン酸ポリエチレングリコール(例えば、モノ乃至ジラウリン酸ポリエチレングリコール等)、ステアリン酸ポリエチレングリコール(例えば、モノ乃至ジステアリン酸ポリエチレングリコール等)、オレイン酸ポリエチレングリコール(例えば、モノ乃至ジオレイン酸ポリエチレングリコール等)等が挙げられる。
【0031】
ポリグリセリン脂肪酸エステルにおいて、脂肪酸としては、上記例示のもの等が挙げられる。ポリグリセリン脂肪酸エステルは、全エステルであってもよく、部分エステル[例えば、モノエステル(ポリグリセリンモノ脂肪酸エステル)、ジエステル(ポリグリセリンジ脂肪酸エステル)、トリエステル(ポリグリセリントリ脂肪酸エステル)等]であってもよい。
【0032】
ポリグリセリン脂肪酸エステルにおいて、ポリグリセリン(グリセリン)の付加モル数(縮合数)は、2以上であればよく、所望のHLB等によって選択できる。
【0033】
代表的なポリグリセリン脂肪酸エステルとしては、例えば、オレイン酸ポリグリセリル(例えば、モノ乃至トリオレイン酸ポリグリセリル等)、ラウリン酸ポリグリセリル(例えば、モノ乃至トリラウリン酸ポリグリセリル等)、ミリスチン酸ポリグリセリル(例えば、モノ乃至トリミリスチン酸ポリグリセリル等)、ステアリン酸ポリグリセリル(例えば、モノ乃至トリステアリン酸ポリグリセリル等)等が挙げられる。
【0034】
ソルビタン脂肪酸エステルにおいて、脂肪酸としては、上記例示のもの等が挙げられる。ソルビタン脂肪酸エステルは、全エステルであってもよく、部分エステル[例えば、モノエステル(ソルビタンモノ脂肪酸エステル)であってもよいし、ジエステル(ソルビタンジ脂肪酸エステル)、トリエステル(ソルビタントリ脂肪酸エステル)等]であってもよい。
【0035】
代表的なソルビタン脂肪酸エステルとしては、例えば、ラウリン酸ソルビタン(例えば、モノ乃至トリラウリン酸ソルビタン等)、パルミチン酸ソルビタン(例えば、モノ乃至トリパルミチン酸ソルビタン等)、ステアリン酸ソルビタン(例えば、モノ乃至トリステアリン酸ソルビタン等)、オレイン酸ソルビタン(例えば、モノ乃至トリオレイン酸ソルビタン等)等が挙げられる。
【0036】
ポリオキシアルキレンソルビタン脂肪酸エステル[例えば、POEソルビタン脂肪酸エステル(ポリソルベート)]としては、上記例示のソルビタン脂肪酸エステルにおいてアルキレンオキシド(エチレンオキシド等)が付加されたもの等であってよい。ポリオキシアルキレンソルビタン脂肪酸エステル[例えば、POEソルビタン脂肪酸エステル(ポリソルベート)]において、ポリオキシエチレン(エチレンオキサイド、エチレングリコール)の平均付加モル数は、例えば、所望のHLB値等に応じて適宜選択でき、例えば、2~150等であってもよく、代表的には20~85等であってもよい。
【0037】
代表的なポリオキシアルキレンソルビタン脂肪酸エステル[例えば、POEソルビタン脂肪酸エステル(ポリソルベート)]としては、ポリソルベート20、ポリソルベート40、ポリソルベート60、ポリソルベート65、ポリソルベート80、ポリソルベート85等が挙げられる。
【0038】
POEPOPグリコールとしては、例えば、ポロキサマー407、ポロキサマー403、ポロキサマー235、ポロキサマー188等が挙げられる。
【0039】
ポリオキシアルキレンエーテルとしては、例えば、ポリオキシエチレン脂肪族エーテル(例えば、POEアルキルエーテル、POE-POPアルキルエーテル)、ポリオキシエチレン芳香族エーテル(例えば、POEアルキルフェニルエーテル等)のPOE骨格を有するエーテル(少なくともPOEを有するポリオキシアルキレン骨格を有するエーテル)等が挙げられる。
POEアルキルエーテルとしては、例えば、POEC8―24アルキルエーテル(例えば、POEラウリルエーテル等)等が挙げられる。
【0040】
POE-POPアルキルエーテルとしては、例えば、POE-POPC8―24アルキルエーテル(例えば、POE-POPセチルエーテル等)等が挙げられる。
【0041】
POEアルキルフェニルエーテルとしては、例えば、POEC8―24アルキルフェニルエーテル(例えば、POEノニルフェニルエーテル等)等が挙げられる。
【0042】
上記非イオン界面活性剤のうち、エーテル型、エステル型等を好適に使用してもよく、特にエステル型(エステル型の非イオン性界面活性剤)を好適に使用してもよい。
【0043】
そのため、非イオン界面活性剤は、エーテル型の非イオン界面活性剤及びエステル型の非イオン界面活性剤から選択された少なくとも1種(特に、少なくともエステル型の非イオン性界面活性剤)を含んでいてもよい。
【0044】
特に、上記非イオン界面活性剤(エステル型の非イオン界面活性剤)の中でも、ポリオキシアルキレン脂肪酸エステル[例えば、ポリオキシエチレン脂肪酸エステル(例えば、ラウリン酸ポリエチレングリコール、ステアリン酸ポリエチレングリコール、オレイン酸ポリエチレングリコール等)]を好適に使用してもよく、さらには、ポリオキシエチレンモノ脂肪酸エステル(例えば、モノラウリン酸ポリエチレングリコール、モノステアリン酸ポリエチレングリコール、モノオレイン酸ポリエチレングリコール等)を好適に使用してもよい。
【0045】
非イオン界面活性剤は、1種又は2種以上組み合わせて使用してもよい。2種以上組み合わせる場合、非イオン界面活性剤は、上記例示の非イオン界面活性剤(例えば、エステル型、ポリオキシアルキレン脂肪酸エステル等の好ましい態様の非イオン界面活性剤)を少なくとも含んでいればよく、全部又は一部が上記例示の非イオン界面活性剤であってもよい。
【0046】
本発明では、非イオン界面活性剤(組成物に含まれる非イオン界面活性剤)を1種のみとすることもできる。カチオン性界面活性剤と組み合わせることで、1種の非イオン界面活性剤であっても、効率よくべたつきを抑えたり、十分な起泡性を得ること(べたつきを抑えつつ、起泡性も損なわない組成物を得ること)も可能である。
【0047】
非イオン界面活性剤の割合は、組成物全体に対して、例えば、20質量%以下(例えば、15質量%以下)、好ましくは10質量%以下(例えば、5質量%以下)、さらに好ましくは3質量%以下(例えば、2.5質量%以下)であってもよく、2.3質量%以下(例えば、2.2質量%以下、2.1質量%以下、2質量%以下、1.9質量%以下、1.8質量%以下、1.7質量%以下、1.6質量%以下、1.5質量%以下、1.4質量%以下、1.3質量%以下、1.2質量%以下、1.1質量%以下、1.05質量%以下、1質量%以下等)とすることもできる。
【0048】
なお、非イオン界面活性剤の割合の下限値は、特に限定されないが、組成物全体に対して、例えば、0.001質量%以上、0.005質量%以上、0.01質量%以上、0.05質量%以上、0.1質量%以上、0.2質量%以上、0.3質量%以上、0.5質量%以上、0.6質量%以上、0.7質量%以上、0.8質量%以上、0.9質量%以上、0.95質量%以上、1質量%以上等であってもよい。
【0049】
本発明では、上記のように比較的少ない割合(例えば、3質量%以下、2.3質量%以下、2質量%以下等)で非イオン界面活性剤を使用しても、効率よくべたつきを抑えたり、十分な起泡性を得ること(べたつきを抑えつつ、起泡性も損なわない組成物を得ること)も可能である。
【0050】
カチオン性界面活性剤
カチオン性界面活性剤(組成物に含まれるカチオン性界面活性剤)のHLB値は、特に限定されないが、例えば、10以上、好ましくは20以上等であってもよい。
【0051】
カチオン性界面活性剤のHLB値は、組み合わせる他の成分の種類やその割合、組成物の用途等に応じて、適宜選択してもよい。
【0052】
例えば、組成物がポンプ式フォーム製剤(ポンプ式フォーム製剤用)である場合、カチオン性界面活性剤のHLB値は、水溶液中への分散性等の観点から、例えば、20以上等のものを好適に使用してもよい。
【0053】
カチオン性イオン界面活性剤が2種以上である場合、(1)カチオン性界面活性剤全体のHLB値が、上記のHLB値を充足してもよく、(2)カチオン性界面活性剤の少なくとも1種(例えば、1種のみ、2種のみ、すべてのカチオン性界面活性剤等)が上記HLB値を充足してもよい。
【0054】
カチオン性界面活性剤としては、例えば、アミノ酸系(アミノ酸型)カチオン性界面活性剤(アミノ酸骨格を有するカチオン性界面活性剤)、非アミノ酸系カチオン性界面活性剤等が挙げられる。
【0055】
アミノ酸系カチオン性界面活性剤は、アミノ酸骨格を有していればよく、アルキル基が導入されていてよい。アミノ酸系カチオン性界面活性剤において、アルキル基の導入箇所は、特に限定されない。
アルキル基は、鎖状(直鎖状、分岐鎖状)、環状等のいずれであってもよく、飽和、不飽和のいずれであってもよい。
アルキル基が不飽和結合(炭素-炭素二重結合等)を有する場合、不飽和結合の数は、特に限定されず、例えば、1以上(例えば、1~10、1~5、1~3等)であってよい。
アルキル基は、例えば、C2~30アルキル、C5~25アルキル等であってもよく、長鎖アルキル基(例えば、C6~30アルキル)であってもよい。
また、アルキル基(例えば、長鎖アルキル基)は、アシル基(例えば、長鎖アシル基)の形で導入されていてもよい。
【0056】
アミノ酸系カチオン性界面活性剤としては、例えば、モノN-長鎖アシル-アミノ酸アルキルエステル塩等が挙げられる。
モノN-長鎖アシル-アミノ酸アルキルエステル塩は、「モノN-長鎖アシル-アミノ酸」のアルキルエステル塩(すなわち、アミノ基中の1個のHが長鎖アシル基で置換されたアミノ酸の、低級アルキルエステル塩)を示す。
【0057】
上記長鎖アシル基[RCOO基(なお、Rは脂肪族炭化水素基)]において、脂肪族炭化水素基は、鎖状(直鎖状、分岐鎖状)であってよく、飽和、不飽和のいずれであってもよい。
脂肪族炭化水素基が不飽和結合(炭素-炭素二重結合等)を有する場合、不飽和結合の数は、特に限定されず、例えば、1以上(例えば、1~10、1~5、1~3等)であってよい。
脂肪族炭化水素基の炭素数は、例えば、7~25、8~23等であってもよい。
【0058】
代表的な長鎖アシル基としては、例えば、炭素数8~22(例えば、炭素数10~20)の飽和又は不飽和の天然又は合成脂肪酸残基等が挙げられ、例えば、ラウロイル基、ミリストイル基、ステアロイル基等の単一脂肪酸残基、ヤシ油脂肪酸残基、牛脂脂肪酸残基等の天然系の混合脂肪酸残基等であってもよい。
【0059】
上記アミノ酸としては、例えば、塩基性アミノ酸等が挙げられる。
塩基性アミノ酸は、天然の塩基性アミノ酸(例えば、オルニチン、リジン、アルギニン等)であってもよく、合成の塩基性アミノ酸(例えば、α、γ-ジアミノ酪酸等)であってもよい。
なお、これらは光学活性体又はラセミ体のいずれであってもよい。
【0060】
上記アルキルエステルとしては、例えば、C1―10アルキルエステル(例えば、メチルエステル、エチルエステル、プロピルエステル、ブチルエステル、ペンチルエステル、ヘキシルエステル、ヘプチルエステル、オクチルエステル等のC1―8アルキルエステル)が挙げられる。
【0061】
上記塩としては、例えば、無機酸塩(例えば、塩酸塩、硫酸塩等)、有機酸塩(例えば、酢酸塩、酒石酸塩、クエン酸塩、p-トルエンスルホン酸塩、脂肪酸塩、酸性アミノ酸塩、ピログルタミン酸塩、ピロリドンカルボン酸塩等)等が挙げられ、これらの中でも、酸性アミノ酸塩、塩酸塩、L又はDL-ピロリドンカルボン酸塩等が好ましい。
【0062】
代表的なアミノ酸系カチオン性界面活性剤としては、例えば、N-ヤシ油脂肪酸アシル-L-アルギニンエチル・DL-ピロリドンカルボン酸塩等が挙げられる。
【0063】
なお、アミノ酸系カチオン性界面活性剤としては、市販品を利用することもできる。
【0064】
このような市販品としては、例えば、味の素ヘルシーサプライ(株)社製のものとして、CAE(N-ヤシ油脂肪酸アシル-L-アルギニンエチル・DL-ピロリドンカルボン酸塩)等が挙げられる。
【0065】
非アミノ酸系(非アミノ酸型)カチオン性界面活性剤としては、例えば、脂肪族アミン型[例えば、オレイルアミン、ステアリルアミン、テトラデシルアミン、1-ヘキセニルアミン、1-ドデセニルアミン、9,12-オクタデカジエニルアミン(リノールアミン)、9,12,15-オクタデカトリエニルアミン、リノレイルアミン等の鎖状(直鎖状、分岐鎖状)又は環状の、飽和又は不飽和の脂肪族炭化水素基(例えば、C5―20の脂肪族炭化水素基)を有するアミン]、第四級アンモニウム塩型{例えば、テトラアルキルアンモニウム塩(例えば、塩化テトラメチルアンモニウム、水酸化テトラメチルアンモニウム、塩化テトラブチルアンモニウム等のテトラC1―5アルキルアンモニウム)、アルキルトリメチルアンモニウム塩(例えば、塩化オクチルトリメチルアンモニウム、塩化デシルトリメチルアンモニウム、塩化ドデシルトリメチルアンモニウム、塩化セチルトリメチルアンモニウム、塩化ステアリルトリメチルアンモニウム、臭化ヘキサデシルトリメチルアンモニウム等のC2―20アルキルトリメチルアンモニウム)、ベンジルトリアルキルアンモニウム塩(例えば、塩化ベンジルトリメチルアンモニウム、塩化ベンジルトリエチルアンモニウム等のベンジルトリC1―5アルキルアンモニウム)、ベンザルコニウム塩[例えば、塩化ベンザルコニウム(塩化ドデシルジメチルベンジルアンモニウム)、臭化ベンザルコニウム]、塩化ベンゼトニウム、塩化ジデシルジメチルアンモニウム、塩化ジステアリルジメチルアンモニウム等の塩化物塩、水酸化物塩、臭化物塩等}、アミン塩型{例えば、脂肪族アミン塩[例えば、モノメチルアミン塩酸塩、ジメチルアミン塩酸塩、トリメチルアミン塩酸塩等の上記例示脂肪族アミンの塩(例えば、塩酸塩、酢酸塩等の酸塩)等]}、ピリジニウム塩型{例えば、アルキルピリジニウム塩[例えば、塩化ブチルピリジニウム、塩化ドデシルピリジニウム、塩化セチルピリジニウム等のC1―20アルキルピリジニウム塩(例えば、塩化物塩)]}等が挙げられる。
【0066】
なお、非アミノ酸系カチオン性界面活性剤としては、市販品を利用することもできる。
【0067】
上記カチオン性界面活性剤のうち、アミノ酸系カチオン性界面活性剤を好適に使用してもよい。
【0068】
そのため、カチオン性界面活性剤は、アミノ酸系カチオン性界面活性剤を少なくとも含んでいてもよい。
【0069】
カチオン性界面活性剤は、1種又は2種以上組み合わせて使用してもよい。2種以上組み合わせる場合、カチオン性界面活性剤は、上記例示のカチオン性界面活性剤を少なくとも含んでいればよく、全部又は一部が上記例示のカチオン性界面活性剤であってもよい。
【0070】
本発明では、カチオン性界面活性剤(組成物に含まれるカチオン性界面活性剤)を1種のみとすることもできる。非イオン性界面活性剤と組み合わせることで、1種のカチオン性界面活性剤であっても、効率よくべたつきを抑えたり、十分な起泡性を得ること(べたつきを抑えつつ、起泡性も損なわない組成物を得ること)も可能である。
【0071】
カチオン性界面活性剤の割合は、組成物全体に対して、例えば、10質量%以下(例えば、8質量%以下)、好ましくは5質量%以下(例えば、3質量%以下)、さらに好ましくは2質量%以下(例えば、1.5質量%以下)であってもよく、1質量%以下(例えば、0.9質量%以下、0.8質量%以下、0.7質量%以下、0.6質量%以下、0.5質量%以下、0.4質量%以下、0.3質量%以下、0.2質量%以下、0.15質量%以下等)とすることもできる。
【0072】
なお、カチオン性界面活性剤の割合の下限値は、特に限定されないが、組成物全体に対して、例えば、0.0001質量%以上、0.0005質量%以上、0.001質量%以上、0.005質量%以上、0.01質量%以上、0.02質量%以上、0.03質量%以上、0.05質量%以上、0.06質量%以上、0.07質量%以上、0.08質量%以上、0.09質量%以上、0.095質量%以上、1質量%以上等であってもよい。
【0073】
本発明では、上記のように比較的少ない割合(例えば、2質量%以下、1質量%以下、0.5質量%以下等)でカチオン性界面活性剤を使用しても、効率よくべたつきを抑えたり、十分な起泡性を得ること(べたつきを抑えつつ、起泡性も損なわない組成物を得ること)も可能である。
このようなカチオン性界面活性剤の使用量を少なくできることは、リーブオン用途等における皮膚刺激の抑制等の点においても有効である。そのため、このような割合での使用は、皮膚刺激が少ないにもかかわらず、十分な起泡性やべたつきの抑制を実現しうるという点でも極めて有用である。
【0074】
他の界面活性剤及び界面活性剤間の割合
組成物は、他の界面活性剤(非イオン界面活性剤及びカチオン性界面活性剤のいずれにも該当しない界面活性剤)を含有してもよい。
【0075】
他の界面活性剤としては、例えば、アニオン性界面活性剤、両性界面活性剤等が挙げられる。
アニオン性界面活性剤としては、例えば、リン酸系のアニオン性界面活性剤〔例えば、リン酸エステル{例えば、脂肪族リン酸エステル[例えば、ラウリルリン酸、オレイルリン酸等のC8―30アルキル又はアルケニル(好ましくは、C8―24アルキル又はアルケニル、C10―20アルキル又はアルケニル)リン酸(リン酸エステル)]}、リン酸エステル塩(例えば、ラウリルリン酸ナトリウム、ラウリルリン酸カリウム等のアルカリ金属塩)、ポリオキシアルキレン骨格を有するリン酸系アニオン性界面活性剤〕、非リン酸系(非リン酸型)アニオン性界面活性剤〔例えば、アミノ酸系(アミノ酸型)アニオン性界面活性剤(アミノ酸骨格を有するアニオン性界面活性剤、例えば、N-アシルサルコシン、N-アシルグルタミン酸、N-アシルメチルアラニン、これらの塩等のN-アシルアミノ酸又はその塩)、タウリン系(タウリン型)のアニオン性界面活性剤(タウリン骨格を有するアニオン性界面活性剤、例えば、N-ココイルメチルタウリン、その塩等のN-アシルメチルタウリン又はその塩)、非アミノ酸・タウリン型(非アミノ酸・タウリン系)のアニオン性界面活性剤{非アミノ酸・タウリン型の非リン酸系アニオン性界面活性剤、例えば、カルボン酸系(カルボン酸型)のアニオン性界面活性剤[例えば、カルボン酸又はその塩(例えば、脂肪酸又はその塩)、エーテルカルボン酸又はその塩(例えば、アルキルエーテルカルボン酸又はその塩)、アシルカルボン酸又はその塩(例えば、アシル乳酸又はその塩)等]、スルホン酸系(スルホン酸型)又は硫酸エステル系(硫酸エステル型)のアニオン性界面活性剤(例えば、アルカンスルホン酸又はその塩、α-オレフィンスルホン酸又はその塩、α-スルホ脂肪酸メチルエステル又はその塩、アルキルスルホコハク酸又はその塩、アシルイセチオン酸又はその塩、アルキル硫酸エステル又はその塩、アルキルエーテル硫酸エステル又はその塩、ポリオキシエチレンアルキルエーテル硫酸又はその塩、脂肪酸アルカノールアミド硫酸エステル又はその塩、モノアシルグリセリン硫酸エステル又はその塩)等}〕等が挙げられる。
【0076】
両性界面活性剤としては、例えば、ベタイン型両性界面活性剤(ベタイン系界面活性剤)[例えば、カルボキシベタイン型(例えば、アルキルジメチルアミノ酢酸ベタイン、脂肪酸アミドプロピルベタイン(アルキルアミドプロピルジメチル酢酸ベタイン等)等)、スルホベタイン型(例えば、アルキルスルホベタイン、アルキルヒドロキシスルホベタイン等)、イミダゾリン系ベタイン型(例えば、2-アルキル-N-カルボキシメチル-N-ヒドロキシエチルイミダゾリニウムベタイン等)等]、リン脂質[例えば、レシチン(水素添加レシチンであってもよいレシチン)、ホスファチジルコリン、ホスファチジルエタノールアミン、ホスファチジルセリン、ホスファチジルイノシトール、スフィンゴリン脂質、スフィンゴ脂質(例えば、スフィンゴミエリン)、ホスファチジン酸、リゾホスファチジルコリン等]等が挙げられる。
【0077】
他の界面活性剤は、単独で又は2種以上組み合わせて使用してもよい。
【0078】
これらのうち、良好な起泡性やべたつき抑制等の点で、リン脂質(レシチン等)等の両性界面活性剤を好適に使用してもよい。
【0079】
組成物が他の界面活性剤を含む場合、他の界面活性剤の割合は、組成物全体に対して、例えば、5質量%以下(例えば、3質量%以下)、好ましくは2質量%以下(例えば、1.5質量%以下)、さらに好ましくは1質量%以下(例えば、0.5質量%以下、0.3質量%以下、0.2質量%以下等)であってもよい。なお、他の界面活性剤の割合の下限値は、特に限定されないが、組成物全体に対して、例えば、0.01質量%以上、0.05質量%以上等であってもよい。
【0080】
一方、本発明の組成物は、このような他の界面活性剤(例えば、両性界面活性剤、アニオン性界面活性剤等)を含んでいなくてもよい[又は実質的に含んでいなくてもよい(例えば、他の界面活性剤を含まない又は他の界面活性剤を含む場合でも、組成物全体に対して、0.005質量%以下、0.001質量%以下、0.0005質量%以下、0.0001質量%以下、0.0005質量%以下、0.00001質量%以下等の微量であってもよい)]。
【0081】
本発明の組成物では、他の界面活性剤を使用(実質的に使用)しなくても、効率よくべたつきを抑えたり、十分な起泡性を得ること(べたつきを抑えつつ、起泡性も損なわない組成物を得ること)が可能である。
【0082】
本発明の組成物において、非イオン界面活性剤の割合(カチオン性界面活性剤に対する比率)は、カチオン性界面活性剤1質量部に対して、例えば、0.1質量部以上(例えば、0.3質量部以上、0.5質量部以上、0.7質量部以上、0.8質量部以上、0.9質量部以上)、好ましくは1質量部以上(例えば、1.5質量部以上、2質量部以上)、好ましくは3質量部以上(例えば、4質量部以上)程度であってもよく、5質量部以上(例えば、6質量部以上、7質量部以上、8質量部以上、9質量部以上、9.5質量部以上、10質量部以上)であってもよい。
【0083】
なお、非イオン界面活性剤の割合は、カチオン性界面活性剤1質量部に対して、特に限定されないが、例えば、60質量部以下、50質量部以下、40質量部以下、30質量部以下、20質量部以下等であってもよい。
【0084】
本発明では、上記のように非イオン界面活性剤に対するカチオン性界面活性剤の使用割合を比較的少ない割合としても、効率よくべたつきを抑えたり、十分な起泡性を得ること(べたつきを抑えつつ、起泡性も損なわない組成物を得ること)も可能である。
このようなカチオン性界面活性剤の使用割合を少なくできることは、リーブオン用途等における皮膚刺激の抑制等の点においても有効である。そのため、このような割合での使用は、皮膚刺激が少ないにもかかわらず、十分な起泡性やべたつきの抑制を実現しうるという点でも極めて有用である。
【0085】
組成物において、非イオン界面活性剤及びカチオン性界面活性剤の総量の割合は、組成物全体に対して、例えば、30質量%以下(例えば、25質量%以下)、好ましくは20質量%以下(例えば、15質量%以下)、さらに好ましくは10質量%以下(例えば、5質量%以下、4質量%以下、3.5質量%以下)、特に3質量%以下(例えば、2.5質量%以下)であってもよく、2.3質量%以下(例えば、2.2質量%以下、2.1質量%以下、2質量%以下、1.9質量%以下、1.8質量%以下、1.7質量%以下、1.6質量%以下、1.5質量%以下、1.4質量%以下、1.3質量%以下、1.2質量%以下、1.15質量%以下、1.1質量%以下等)とすることもできる。
【0086】
なお、非イオン界面活性剤及びカチオン性界面活性剤の総量の割合の下限値は、組成物全体に対して、例えば、0.001質量%以上、0.005質量%以上、0.01質量%以上、0.05質量%以上、0.1質量%以上、0.2質量%以上、0.3質量%以上、0.5質量%以上、0.6質量%以上、0.7質量%以上、0.8質量%以上、0.9質量%以上、0.95質量%以上、1質量%以上等であってもよい。
【0087】
また、組成物において、界面活性剤の総量(非イオン界面活性剤、カチオン性界面活性剤、必要に応じて併用される他の界面活性剤の総量)は、例えば、30質量%以下(例えば、25質量%以下)、好ましくは20質量%以下(例えば、15質量%以下)、さらに好ましくは10質量%以下(例えば、5質量%以下、4質量%以下、3.5質量%以下)、特に3質量%以下(例えば、2.5質量%以下)であってもよく、2.3質量%以下(例えば、2.2質量%以下、2.1質量%以下、2質量%以下、1.9質量%以下、1.8質量%以下、1.7質量%以下、1.6質量%以下、1.5質量%以下、1.4質量%以下、1.3質量%以下、1.2質量%以下、1.15質量%以下、1.1質量%以下等)とすることもできる。
【0088】
なお、界面活性剤の総量の割合の下限値は、組成物全体に対して、例えば、0.001質量%以上、0.005質量%以上、0.01質量%以上、0.05質量%以上、0.1質量%以上、0.2質量%以上、0.3質量%以上、0.5質量%以上、0.6質量%以上、0.7質量%以上、0.8質量%以上、0.9質量%以上、0.95質量%以上、1質量%以上等であってもよい。
【0089】
本発明では、上記のように組成物に占める界面活性剤の使用割合自体を比較的少ない割合としても、効率よくべたつきを抑えたり、十分な起泡性を得ること(べたつきを抑えつつ、起泡性も損なわない組成物を得ること)も可能である。
そのため、リーブオン用途等における皮膚刺激の抑制等の点においても有効である。そのため、このような割合での使用は、皮膚刺激が少ないにもかかわらず、十分な起泡性やべたつきの抑制を実現しうるという点でも極めて有用である。
【0090】
他の成分
本発明の組成物は、他の成分(界面活性剤でない成分)を含んでいてもよい。
【0091】
他の成分としては、組成物の使用目的や態様に応じて選択でき、例えば、有効成分、粘稠剤(粘度調整剤、高分子増粘剤等の増粘剤)、起泡剤、殺菌(抗菌)剤、防腐剤、消臭剤、香料、安定(化)剤、改良剤、可塑剤、可溶(化)剤、還元剤、緩衝剤、基剤、揮発補助剤、矯味剤、共力剤、懸濁(化)剤、抗酸化剤、効力増強剤、持続化剤、湿潤調整剤、充填剤、消泡剤、清涼化剤、増強剤、着香剤、着色剤、等張化剤、軟化剤、乳化剤、発泡剤、皮膚保護剤、浮遊剤、分散剤、噴射剤、芳香剤、防錆剤、保存剤、溶解剤、溶解補助剤等が挙げられる。
【0092】
なお、他の成分は、複数の機能を兼ね備えていてもよい。
【0093】
このような他の成分の一例としては、例えば、有効成分(例えば、ヘパリン類似物質、パンテノール、ジフェンヒドラミン、クロタミトン、ニコチン酸アミド、トラネキサム酸、プラセンタエキス、その他ビタミン類等)、多価アルコール{例えば、アルカンジオール(例えば、エチレングリコール、プロピレングリコール、1,3-ブチレングリコール、1,4-ブタンジオール、3-メチル-1,3-ブタンジオール、ペンタンジオール)、アルカンジオールの多量体(例えば、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、ジプロピレングリコール)、ポリエチレングリコール(マクロゴール)、ポリオキシエチレンポリオキシプロピレングリコール(ポロキサマー)、3以上のヒドロキシ基を有する多価アルコール[例えば、グリセリン、ジグリセリン、糖又は糖アルコール(例えば、トレハロース等)等]等}、多糖類又はその誘導体(例えば、ヒドロキシエチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、疎水化ヒドロキシプロピルメチルセルロース、カルボキシメチルセルロース(カルボキシメチルセルロースナトリウム)、グアーガム、カラギーナン、ローカストビーンガム、キサンタンガム等)、抗菌剤又は防腐剤[例えば、フェノキシエタノール、グルコン酸クロルヘキシジン、安息香酸又はその塩(安息香酸ナトリウム等)、デヒドロ酢酸又はその塩(デヒドロ酢酸ナトリウム等)、グリチルリチン酸又はその塩(グリチルリチン酸ジカリウム等)等]、溶解補助剤(例えば、ミリスチン酸イソプロピル等)、可溶(化)剤(例えば、グリセリン脂肪酸エステル等)、安定(化)剤(例えば、トコフェロール酢酸エステル等)、pH調整剤[例えば、無機酸(塩酸、硫酸等)、有機酸(乳酸、乳酸ナトリウム、クエン酸、クエン酸ナトリウム、コハク酸、コハク酸ナトリウム及びそれらの水和物等)、無機塩基(水酸化カリウム、水酸化ナトリウム等)、有機塩基(トリエタノールアミン、ジイソプロパノールアミン、トリイソプロパノールアミン等)等]、安定化剤(例えば、安息香酸メチル、安息香酸プロピル等の安息香酸エステル等)、湿潤剤ないし軟化剤(例えば、アラントイン、尿素、2-メタクリロイルオキシエチルホスホリルコリン・メタクリル酸ブチル共重合体液(リピジュア(登録商標))、セラミド、アミノ酸、ヒアルロン酸及びその塩、コンドロイチン硫酸エステル及びその塩、スクワラン、白色ワセリン等が挙げられる。
【0094】
他の成分は、単独で又は2種以上組み合わせて使用してもよい。
【0095】
一方、本発明の組成物は、上記のような他の成分やそのうちの特定の成分(例えば、高分子増粘剤等)を含んでいなくてもよい。
【0096】
組成物が他の成分を含有する場合、組成物において、他の成分の割合は、その種類や使用目的等に応じて適宜選択できる。
【0097】
組成物における他の成分(の総量)の割合は、組成物全体に対して、例えば、60質量%以下、好ましくは50質量%以下、より好ましくは40質量%以下(例えば、30質量%以下、20質量%以下、15質量%以下、10質量%以下等)等であってもよく、0.001質量%以上、好ましくは0.01質量%以上、より好ましくは0.1質量%以上(例えば、0.15質量%以上、0.2質量%以上等)等であってもよい。
【0098】
特に、組成物がヘパリン類似物質を含む場合、組成物におけるヘパリン類似物質の割合は、組成物全体に対して、例えば、20質量%以下(例えば、15質量%以下)、好ましくは10質量%以下(例えば、5質量%以下)、より好ましくは3質量%以下(例えば、2質量%以下、1質量%以下、0.5質量%以下)であってもよく、例えば、0.001質量%以上、0.01質量%以上、0.1質量%以上、0.2質量%以上、0.25質量%以上、0.3質量%以上等であってもよい。
【0099】
溶媒
本発明の組成物は、溶媒(基剤又は担体、溶媒成分)を含んでいてもよい。
【0100】
溶媒としては、例えば、水、非水溶媒[例えば、低級アルコール(例えば、エタノール、イソプロパノール等)、多価アルコール(例えば、グリセリン、1,3-ブチレングリコール、プロピレングリコール、ポリエチレングリコール(マクロゴール)、イソプレングリコール、ジプロピレングリコール等の前述の多価アルコール等)等]等が挙げられる。
【0101】
溶媒は、単独で又は2種以上組み合わせてもよい。
【0102】
非水溶媒は、代表的には、水溶性溶媒(又は水と混和する溶媒)であってもよい。
【0103】
溶媒は、通常、少なくとも水で構成するのが好ましい。すなわち、本発明の組成物は、通常、少なくとも水を含有してもよく、水と非水溶媒(グリセリン等)を含んでいてもよい。
【0104】
一方、本発明の組成物は、皮膚刺激等の観点から、アルコール[例えば、エタノール、イソプロパノール等の低級アルコール(モノアルコール)]を含まない(実質的に含まない)組成物(アルコールフリーの組成物)であってもよい。
【0105】
組成物における溶媒(の総量)の割合は、例えば、30質量%以上、40質量%以上、50質量%以上、60質量%以上、70質量%以上等であってもよく、90質量%以下、85質量%以下、80質量%以下等であってもよい。
【0106】
組成物が多価アルコールを含有する場合、組成物における多価アルコール(の総量)の割合は、例えば、1質量%以上、3質量%以上、5質量%以上、8質量%以上、10質量%以上等であってもよく、70質量%以下、60質量%以下、50質量%以下、40質量%以下、30質量%以下、25質量%以下、20質量%以下、18質量%以下、15質量%以下、12質量%以下等であってもよい。
【0107】
組成物が、水と非水溶媒(例えば、多価アルコール等)とを含む場合、水及び非水溶媒の総量に対する非水溶媒の割合は、例えば、1質量%以上(例えば、2質量%以上)、好ましくは3質量%以上(例えば、4質量%以上、5質量%以上、6質量%以上、7質量%以上、8質量%以上)等であってもよく、90質量%以下(例えば、80質量%以下、70質量%以下、60質量%以下、50質量%以下、40質量%以下、30質量%以下、25質量%以下、20質量%以下、15質量%以下、12質量%以下)であってもよい。
組成物のべたつき等の観点からは、組成物や溶媒に占める多価アルコールの割合は、大きすぎないよう、調整してもよい。
【0108】
[形態・製造方法]
本発明の組成物の形態(性状)は、特に限定されないが、通常、液状であってよい。液状の組成物は、組成物の成分等により、溶液、懸濁液、乳化物等であってもよい。
液状の組成物は、組成物を構成する成分が、溶解状態にある又は分離していないものであってもよい。特に、組成物がポンプ式フォーム製剤用である場合、組成物を構成する成分は、溶解状態にある又は分離していないことが好ましい。
【0109】
組成物(使用時の組成物)は、霧状、フォーム(泡)状等であってもよい。すなわち、組成物は、起泡性であってよく、容器からの吐出又は噴霧により霧状又は泡状となるものであってよい。
【0110】
組成物は、各成分を混合することより得ることができる。混合は、各成分を全て一度に混合してもよいし、予め調製した2種以上の成分を混合した後に、残りの成分を混合してもよい。混合方法(製造方法)は、特に限定されず、慣用の方法を利用できる。
【0111】
[用途]
本発明の組成物の用途は、特に限定されない。
特に、本発明の組成物は、フォーム製剤[又はフォーム製剤用、例えば、ポンプ式フォーム製剤(用)、エアゾール式フォーム製剤(用)等]等に好適に使用することができる。
このような組成物は、例えば、外用組成物(外用剤)、特に皮膚用組成物(皮膚外用組成物)として使用してもよい。
【0112】
このような組成物(外用組成物)は、化粧品(化粧料)、医薬品(外用医薬品)、医薬部外品のいずれであってもよい。
【0113】
このような組成物は、洗い流さずに使用する、リーブオン用に好適に使用することができる。
【0114】
[使用方法]
本発明の組成物の使用形態(適用方法)は、組成物の使用目的等によって適宜選択でき、例えば、対象(適用)部位に適用することで使用できる。
【0115】
具体的な適用方法としては、対象部位への塗布(付着)が挙げられる。
例えば、組成物を容器から吐出又は噴霧させ、泡状又霧状として塗布してもよい。
なお、組成物は、適当な容器に収容されていてもよい。容器は、適用方法に合わせて選択することができる。
【0116】
例えば、組成物を、泡を形成可能な容器(例えば、泡ボトル等)に収容し、当該容器から吐出させることにより、泡状として適用してもよい。
組成物を噴射剤(例えば、LPG等の圧縮ガス)と共にスプレー容器(スプレーボトル)に収容し、当該容器から噴霧(噴射)させることにより、霧状として適用してもよい。
【0117】
組成物の適用量(使用量)は、使用対象の皮膚の状態、年齢、性別などによって異なるが、例えば、以下の方法で使用してよい。
例えば、有効成分(例えば、ヘパリン類似物質等)を含有する組成物は、1日数回(例えば、約1~5回)、適量(例えば、約0.05~5g)を皮膚に塗布してもよく、有効成分(例えば、ヘパリン類似物質等)の1日使用量が、例えば、約0.01~100mgとなるように組成物を塗布してもよい、塗布期間は、特に、限定されない。
【0118】
組成物の適用対象は、健常人であってもよいし、種々の疾患(又は症状)を有する人であってもよい。
【実施例0119】
以下に、実施例により本発明を更に詳細に説明するが、本発明はこれに限定されるものではない。
【0120】
実施例1
表1に記載の水性溶媒に2-メタクリロイルオキシエチルホスホリルコリン・メタクリル酸ブチル共重合体液を加えて混合した。当該混合して得られた溶液に、表1に記載の残りの成分を全て加え、室温で混合した。その後、70℃まで温度を昇温させながら撹拌した後、30℃まで冷却させながら撹拌した後、室温に戻し、組成物を得た。得られた組成物は、成分が溶解状態にあった。
なお、表1において、%は、質量%を示す。また、2―メタクリロイルオキシエチルホスホリルコリン・メタクリル酸ブチル共重合体液としてはLipidure―PMB(日油株式会社製)を、モノステアリン酸ポリエチレングリコールとしてはNIKKOL MYS-25V(日光ケミカルズ株式会社製、HLB値15)を、N-ヤシ油脂肪酸アシル-L-アルギニンエチル・DL-ピロリドンカルボン酸塩としてはCAE(味の素ヘルシーサプライ(株)、HLB値20以上)を使用した。
【0121】
【表1】
【0122】
評価試験
上記で得られた組成物を泡ボトルに入れた。被験者5名のヒトの両腕の前腕(肘から手首の範囲)に、泡ボトルから約1gずつを塗布し、官能評価を行った。評価方法を下記に示す。
下記評価1~4については、5名の平均値を算出した。
評価1:泡弾力(1:弱い⇔5:強い)
評価2:泡の持続性(1:短い⇔5:長い)
評価3:塗布直後のべたつき(1:弱い⇔5:強い)
評価4:塗布5分後のしっとり感(1:弱い⇔5:強い)
評価5:使用感及び保湿性を含め、フォーム製剤として継続使用をしたいと思う場合は〇、思わない場合は×
【0123】
泡強度及び保湿性
上記評価1~4を基に、以下の評価方法で泡強度及び保湿性を評価した。
泡強度=(評価1の平均値+評価2の平均値)/2
保湿性=(評価3の平均値+評価4の平均値)/2
【0124】
泡立ち、泡消え、白浮き
泡立ち
泡ボトル(ポンプ式フォーマー)で吐出した際の泡立ちを目視で確認し、評価した。
◎:非常に良好であった
〇:良好であった
△:泡立ちをやや有した
×:泡立ちを有さなかった
泡消え
泡ボトル(ポンプ式フォーマー)で吐出した泡の消える様子を目視で確認し、評価した。
〇:泡もちが良かった
△:泡が直ちに消えなかった
×:泡が直ちに消えた
白浮き
泡ボトル(ポンプ式フォーマー)で吐出した泡を塗り広げた際の白浮きを目視で確認し、評価した。
〇:一度塗り広げることで、直ちに泡残り(白浮き)は消失した
△:数回塗り広げることで、泡残り(白浮き)は消失した
×:何度塗り広げても白浮きは消失しなかった
【0125】
参考例1
N-ヤシ油脂肪酸アシル-L-アルギニンエチル・DL-ピロリドンカルボン酸塩を使用しなかった以外は実施例1と同様にし、組成物を得た。
得られた組成物について、実施例1と同様の評価を行った。
【0126】
比較例1
実施例1の組成物の代わりに、市販品(日東メディック あわわヘパリノイドフォーム)を使用し、実施例1と同様の評価を行った。
【0127】
実施例1、参考例1及び比較例1の評価結果を、下記表2に示す。
【0128】
【表2】
【0129】
表2が示すように、実施例1では、塗布直後のべたつきを抑えながら、起泡性が得られた。また、実施例1では、塗布直後のべたつきを抑えながら、保湿性等を得ることもできた。
【産業上の利用可能性】
【0130】
本発明によれば、フォーム製剤等として有用な組成物等を提供できる。