(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024016721
(43)【公開日】2024-02-07
(54)【発明の名称】景品把持ゲーム機及び把持力設定方法
(51)【国際特許分類】
A63F 9/30 20060101AFI20240131BHJP
【FI】
A63F9/30 502C
【審査請求】有
【請求項の数】4
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022119037
(22)【出願日】2022-07-26
(71)【出願人】
【識別番号】502439625
【氏名又は名称】株式会社サファリゲームズ
(74)【代理人】
【識別番号】100121603
【弁理士】
【氏名又は名称】永田 元昭
(74)【代理人】
【識別番号】100118256
【弁理士】
【氏名又は名称】小野寺 隆
(74)【代理人】
【識別番号】100166338
【弁理士】
【氏名又は名称】関口 正夫
(72)【発明者】
【氏名】岡 展宏
(57)【要約】
【課題】景品把持ゲーム機における把持力を自動的に設定する。
【解決手段】景品把持ゲーム機は、複数の把持アームを有するキャッチャーと、景品を掴んだ前記キャッチャーから前記景品が離れて落下したことを検知する景品検知センサーと、景品を掴んだ前記キャッチャーの把持力を初期値に設定し、初期値の把持力を徐々に低下させ、景品検知センサーによって前記景品の落下が検知されたときの把持力V
DROPに基づいて、ゲーム操作時に、キャッチャーが景品を掴むときの把持力V
UPを求める制御部と、を備え、把持力V
UPは把持力V
DROPよりも大きい。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数の把持アームを有するキャッチャーと、
景品を掴んだ前記キャッチャーから前記景品が離れて落下したことを検知する景品検知センサーと、
前記景品を掴んだ前記キャッチャーの把持力を初期値に設定し、前記初期値の把持力を徐々に低下させ、前記景品検知センサーによって前記景品の落下が検知されたときの把持力VDROPに基づいて、ゲーム操作時に、前記キャッチャーが景品を掴むときの把持力VUPを求める制御部と、を備え、
前記把持力VUPは前記把持力VDROPよりも大きい、景品把持ゲーム機。
【請求項2】
前記制御部は、前記把持力VDROPに基づいて、ゲーム操作時に、前記キャッチャーが景品を離すときの把持力VDOWMを求め、
前記把持力VDOWMは前記把持力VDROPよりも小さい、請求項1に記載の景品把持ゲーム機。
【請求項3】
前記制御部は、把持力制御部、把持力設定部、把持電圧信号生成部、及びダウンカウンタを備え、
前記把持力制御部は、把持力設定モードにおいて、前記キャッチャーの把持力の初期値に対応するカウント値に前記ダウンカウンタのカウント値を設定し、
前記把持電圧信号生成部は、前記把持力設定モードにおいて、前記ダウンカウンタの減少するカウント値に対応する把持力電圧信号を生成して、該把持力電圧信号に基づいて複数の把持アームを開閉する前記キャッチャーに出力し、
前記把持力設定部は、前記把持力設定モードにおいて、前記景品の落下が検知されたときの前記把持力VDROPに対応する、前記ダウンカウンタのカウント値に基づいて、前記把持力VUPに対応するデジタル値を設定し、
前記把持電圧信号生成部は、通常モードにおいて、前記複数の把持アームが景品を掴むときに、前記デジタル値に対応する把持力電圧信号を生成して、該把持力電圧信号に基づいて複数の把持アームを開閉する前記キャッチャーに出力する、請求項1又は請求項2に記載の景品把持ゲーム機。
【請求項4】
景品把持ゲーム機の制御部によって、景品を掴んだキャッチャーの把持力を初期値に設定し、
前記初期値の把持力を、前記制御部によって、徐々に低下させ、前記キャッチャーから前記景品が離れて落下したときの把持力VDROPに基づいて、前記景品把持ゲーム機のゲーム操作時に、前記キャッチャーが景品を掴むときの把持力VUPを求め、
前記把持力VUPは前記把持力VDROPよりも大きい、把持力設定方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、把持力を自動的に設定する景品把持ゲーム機及び把持力設定方法に関する。
【背景技術】
【0002】
景品把持ゲーム機における把持力調整装置としては、例えば、特許文献1及び特許文献2に記載された景品把持ゲーム機における把持力調整装置がある。
特許文献1には、把持力の設定を弱くすると意欲が殺がれて売り上げが減少し、強くすると景品の出率が高くなるというジレンマを解決するための、景品把持ゲーム機における把持力調整装置が記載されている。
具体的には、特許文献1には、景品を把持するアームと、アームを開閉させるアーム開閉手段とを有し、アームを開閉する動力源としてのモーターが制御装置から発せられるモーター駆動信号によって、把持力を0ないし最強の範囲で強弱設定可能に構成された景品把持ゲーム機において、モーター駆動信号を解析して設定されている把持力を見出す入力回路と、見出された設定把持力信号の前に、最強の把持力で景品を把持させる信号を入力し、その把持力を設定値まで低下させる制御を少なくとも1回行う信号変換回路と、信号変換回路からの信号をモーターへ出力する出力回路とから成る把持力調整装置が記載されている。
【0003】
特許文献2には、操作の面白味を増大させるために把持力を決定する物品把持ゲーム機が記載されている。
具体的には、特許文献2には、1又は複数の物品を収容できる物品収容部と、把持動作を行う物品把持部と、遊戯者により操作される操作部材と、操作部材への操作に従って物品収容部において物品把持部を移動させる移動手段とを備え、移動手段による物品把持部の移動後に物品把持部が把持動作を行う物品把持ゲーム機において、操作部材への操作の態様に応じて把持力を決定する把持力決定手段を設け、物品把持部が把持力決定手段により決定された把持力をもって把持動作を行うよう構成することが記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2007-007058号公報
【特許文献2】特開2010-233892号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
景品の種類によって把持力が異なるため、景品把持ゲーム機に挿入する景品によって把持力を設定する必要がある。
【0006】
本発明の目的は、把持力を自動的に設定できる景品把持ゲーム機及び把持力設定方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
(1) 本発明に係る景品把持ゲーム機は、複数の把持アームを有するキャッチャーと、
景品を掴んだ前記キャッチャーから前記景品が離れて落下したことを検知する景品検知センサーと、
前記景品を掴んだ前記キャッチャーの把持力を初期値に設定し、前記初期値の把持力を徐々に低下させ、前記景品検知センサーによって前記景品の落下が検知されたときの把持力VDROPに基づいて、ゲーム操作時に、前記キャッチャーが景品を掴むときの把持力VUPを求める制御部と、を備え、
前記把持力VUPは前記把持力VDROPよりも大きい、景品把持ゲーム機である。
【0008】
(2) 上記(1)の景品把持ゲーム機において、前記制御部は、前記把持力VDROPに基づいて、ゲーム操作時に、前記キャッチャーが景品を離すときの把持力VDOWMを求め、前記把持力VDOWMは前記把持力VDROPよりも小さくしてもよい。
【0009】
(3) 上記(1)又は(2)の景品把持ゲーム機において、前記制御部は、把持力制御部、把持力設定部、把持電圧信号生成部、及びダウンカウンタを備え、
前記把持力制御部は、把持力設定モードにおいて、前記キャッチャーの把持力の初期値に対応するカウント値に前記ダウンカウンタのカウント値を設定し、
前記把持電圧信号生成部は、前記把持力設定モードにおいて、前記ダウンカウンタの減少するカウント値に対応する把持力電圧信号を生成して、該把持力電圧信号に基づいて複数の把持アームを開閉する前記キャッチャーに出力し、
前記把持力設定部は、前記把持力設定モードにおいて、前記景品の落下が検知されたときの前記把持力VDROPに対応する、前記ダウンカウンタのカウント値に基づいて、前記把持力VUPに対応するデジタル値を設定し、
前記把持電圧信号生成部は、通常モードにおいて、前記複数の把持アームが景品を掴むときに、前記デジタル値に対応する把持力電圧信号を生成して、該把持力電圧信号に基づいて複数の把持アームを開閉する前記キャッチャーに出力してもよい。
【0010】
(4) 本発明に係る把持力設定方法は、景品把持ゲーム機の制御部によって、景品を掴んだキャッチャーの把持力を初期値に設定し、
前記初期値の把持力を、前記制御部によって、徐々に低下させ、前記キャッチャーから前記景品が離れて落下したときの把持力VDROPに基づいて、前記景品把持ゲーム機のゲーム操作時に、前記キャッチャーが景品を掴むときの把持力VUPを求め、
前記把持力VUPは前記把持力VDROPよりも大きい、把持力設定方法である。
【発明の効果】
【0011】
本発明によれば、景品把持ゲーム機における把持力を自動的に設定することができる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【
図1】本発明の一実施形態の景品把持ゲーム機の構成を示すブロック図である。
【
図2】把持力設定を行う制御部の機能ブロック図である。
【
図3】制御部による把持力設定動作を示す説明図である。
【
図4】景品把持ゲーム機における、把持力設定のための操作を示す図である。
【
図5】景品把持ゲーム機における、把持力設定のための操作を示す図である。
【
図6】景品把持ゲーム機における、把持力設定のための操作を示す図である。
【
図7】景品把持ゲーム機における、把持力設定のための操作を示す図である。
【
図8】景品把持ゲーム機における、把持力設定のための操作を示す図である。
【
図9】景品把持ゲーム機の把持力設定動作のフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下、本発明の実施形態について図面を用いて詳細に説明する。
図1は本発明の一実施形態の景品把持ゲーム機の構成を示すブロック図である。
図1に示すように、本発明の一実施形態に係る景品把持ゲーム機10は、景品カウンター110、コインカウンター120、7セグメントLED(図中の7セグLED)130、ディスプレイ140、出力部150、スピーカー160及びパワーサプライ170を備えている。
また、景品把持ゲーム機10は、操作レバー180、入力部190、制御部200、キャッチャー駆動部210、操作ボタン220、コインセンサー230、払い出しセンサー240、記憶装置250、キャッチャーXYZ移動装置260、設定部270、キャッチャー280及び景品検知センサー290を含んでいる。
【0014】
景品カウンター110は、後述する景品検知センサー290によって検知された景品(遊戯者が獲得した景品)の数をカウントする。カウント値は制御部200で記憶される。
コインカウンター120は、後述するコインセンサー230によって検知された投入コインの種類(例えば、100円硬貨と500円硬貨)ごとの数をカウントする。カウント値は制御部200で記憶される。
7セグメントLED130は、出力部150からの表示データに基づいて、実行可能な残りゲーム回数を表示する。
【0015】
ディスプレイ140は、例えば液晶表示パネルによって構成される。ディスプレイ140は、出力部150から出力される表示データに基づいて、投入したコインに関する情報、例えば、500円硬貨が挿入された場合に「500」と表示する。ディスプレイ140は、7セグメントLED130と同じ情報、すなわち実行可能な残りゲーム回数を表示する。
出力部150は、制御部200からの制御信号に基づいて、7セグメントLED130、ディスプレイ140に表示データを送り、スピーカー160に音声データを送る。出力部150は、ディスプレイ140及びスピーカー160等を駆動させて、景品の取得を祝う演出を実行させる。
スピーカー160は、出力部150からの音声データに基づいて、音を出す。
パワーサプライ170は、景品把持ゲーム機10を動作させるための電圧を制御部200に供給する。
操作レバー180は、遊戯者の操作によって後述するキャッチャー280の移動方向を指示するものであり、操作レバー180を倒した方向にキャッチャー280が移動し、操作レバー180を手放した時にキャッチャー280が停止する。
入力部190は、操作レバー180及び後述する操作ボタン220からの操作信号、並びにコインセンサー230及び払い出しセンサー240からの検知信号を受け、制御部200に出力する。
【0016】
制御部200は、CPU、及びCPUの演算処理に必要なデータを記憶するRAM等の記憶部を備えている。制御部200は、後述する記憶装置250に記憶された、景品取得ゲーム機10の制御に必要な各種のプログラムに基づいて、景品カウンター110、コインカウンター120、出力部150、入力部190、キャッチャー駆動部210、キャッチャーXYZ移動装置260、設定部270及び景品検知センサー290等の制御を行う。
キャッチャー駆動部210は、キャッチャー280の3本の把持アームの開閉を制御するためのソレノイド電圧を生成してキャッチャー280に出力する。3本の把持アームの把持力は3本の把持アームが開くことで減少する。
【0017】
操作ボタン220は、キャッチャー280の下方への移動を指示するものであり、操作ボタン220を押すとキャッチャー280が下方に移動し、3本の把持アームが開き景品を掴む。
コインセンサー230は、投入されたコインの種類(例えば、100円硬貨と500円硬貨)を検出する。
払い出しセンサー240は、100円硬貨及び500円硬貨以外の硬貨を検出する。
【0018】
記憶装置250は、上述したように、景品取得ゲーム機10の制御に必要な各種のプログラムを記憶するハードディスク、SSD、ROM等である。
キャッチャーXYZ移動装置260は、景品把持ゲーム機10内部の上部に設けられ、キャッチャー280を前後、左右、上下方向に移動させる。
設定部270は、景品把持ゲーム機10の調整者の操作によって景品把持ゲーム機10の設定等を行う。具体的には、設定部270は、調整者の操作により、基本設定、システムパラメーター設定、キャッチメカ設定、アカウント確認等の動作を行う。
【0019】
キャッチャー280は、3本の把持アームと、ソレノイド等の把持力調整部282を含むアーム開閉機構281とを備えている。ソレノイドは、3本の把持アームの把持力をソレノド電圧によって調整する。把持アームの数は特に3本に限定されず、2本、4本以上であってもよい。
【0020】
景品検知センサー290は、景品落下口付近に設けられ、景品が落下口を通過したことを検知する。景品検知センサー290としては、例えば、発光素子と受光素子とからなる光学センサーを用いることができる。
【0021】
上述した、ディスプレイ140、操作レバー180、操作ボタン220は、景品把持ゲーム機10の突出部の上面に配置されている。
【0022】
次に、景品把持ゲーム機10のゲーム動作について説明する。景品把持ゲーム機のゲーム動作は、例えば、特開2017-029568号に記載され、既に知られているため、ゲーム動作の概略について説明する。
遊戯者が、コイン投入口にコインを投入すると、コインに対応するゲーム回数が制御部200の記憶部に記憶されることでゲーム回数が設定される。ディスプレイ140にはコインに関する情報、例えば、500円硬貨が挿入された場合に「500」と表示され、実行可能な残りゲーム回数(例えば、「5」)が表示される。7セグメントLED130にも、実行可能な残りゲーム回数が表示される。
【0023】
そして、景品把持ゲーム機10は、遊戯者が操作レバー180及び操作ボタン220の操作に基づいてキャッチャー280を制御するゲーム実行処理を行う。
【0024】
具体的には、遊戯者が、操作レバー180を操作し、待機場所から所望の景品の上方にキャッチャー280を位置付ける。その後、遊戯者が、操作ボタン220を押すと、キャッチャー280は、自動的に3本の把持アームを開いてから下方に移動し、景品付近で3本の把持アームを閉じる。そして、キャッチャー280は、3本の把持アームを閉じたまま自動的に上方に移動し、更に景品落下口の上方に移動して3本の把持アームを開く。この際、3本の把持アームが景品を掴み、景品が景品落下口に落下した場合に、景品検知センサー290が景品を検知し、制御部200はスピーカー160、ディスプレイ140等を駆動させて、景品の取得を祝う演出を実行する。
【0025】
キャッチャー280が景品落下口の上方から待機場所に戻ると、制御部200の記憶部に記憶されているゲーム回数が1減算され、7セグメントLED130及びディスプレイ140に表示されている数字が、「5」から「4」に更新される。そして、7セグメントLED130及びディスプレイ140に表示されている数字が「0」になるまでゲームを繰り返し行うことが可能である。
【0026】
以下、景品把持ゲーム機10の把持力設定を行う制御部及び把持力設定方法について
図2~
図8を用いて説明する。
図2は、把持力設定を行う制御部の機能ブロック図である。
図3は把持力設定動作を示す説明図である。
図4~
図8は、景品把持ゲーム機における、把持力設定のための操作を示す図である。
図4~
図8に示すように、把持力設定は、キャッチャーと、キャッチャーの把持アームの把持力を設定するための、設定部、操作レバー及び操作ボタンとの操作によって行われる。
【0027】
把持力設定装置として機能する制御部の構成及び動作の説明に先立って、
図3~
図8を用いて、景品把持ゲーム機10の把持力設定操作について説明する。
景品把持ゲーム機10の調整者は、まず
図4に示すように、サービスボタンを押し、設定部270の設定画面を表示させる。操作レバー180及び操作ボタン220を用いて、設定画面の「キャッチメカ設定」を選択する。制御部200は、「キャッチメカ設定」が選択されると画面に「かんたん自動設定モード」を表示する。これを調整者が操作ボタン220で選択すると、制御部200は、キャッチャー280を景品落下口の上方に移動し、3本の把持アームをキャッチャー駆動部210によって開く。
調整者が、開いた3本の把持アーム間に景品を配置し、操作ボタン220を押す。
すると、制御部200は、キャッチャー駆動部210によって3本の把持アームを徐々に閉じていく。
図5に示すように、把持力は増加していき把持力値“99”で止まる。把持力値“99”は初期設定値であり、把持力の最大値に設定される。把持力値“99”は
図3の把持力F
INITIAL となる。
【0028】
次に、制御部200は、把持力値“99”をを低下させていき、3本の把持アームは徐々に開いていく。
図6は、把持力が把持力値“75”になった状態を示している。なお、把持力の低下は、ソレノイド電圧を100ステップに分け、ソレノイド電圧を1ステップずつ低下させてることにより行われる。
そして、
図7に示すように、把持力が低下していき景品が3本の把持アームから離れると、
図8に示すように、景品は景品落下口に落下する。景品の落下を景品検知センサー290が検出すると、制御部200は、ソレノイド電圧の低下を止め、把持力の低下を止める。景品の落下を検知したときの把持力を把持力値“55”とすると、把持力値“55”は
図3の把持力F
DROP に対応する。
【0029】
把持力の低下が停止すると、設定部270の画面に「保存して戻る」の表示がされる。景品把持ゲーム機10の調整者は、
図8に示すように、操作レバー180及び操作ボタン220を用いて、設定部270の画面の「保存して戻る」を選択すると、把持力の把持力値“55”が保存される。
【0030】
図3に示すように、制御部200は、求められた把持力F
DROPに基づいて、把持力の上限値F
UPと下限値F
Downを求める。
把持力の上限値F
UPは、景品把持ゲーム機10の遊戯者が操作レバー180及び操作ボタン220を操作して、キャッチャー280によって景品を掴むときの把持力となる。把持力の下限値F
Downは、景品を掴んだキャッチャー280が景品落下口の上方で景品を離すときの把持力となる。
把持力の上限値F
UPは把持力の下限値F
Downは把持力F
DROPと同じとしてもよいが、再現性を高めるために把持力F
DROPよりも低くすることが望ましい。
把持力の上限値F
UPは、把持力F
DROPよりも大きく、下限値F
Downは、把持力F
DROPよりも小さく設定する。例えば、把持力の上限値F
UPは、把持力F
DROPの8%を把持力F
DROPに加算した値とし、下限値F
Downは、把持力F
DROPの-4%を把持力F
DROPに加算した値とする。
【0031】
以下、制御部200の構成及び動作について、
図2を用いて更に説明する。
制御部200は、
図2に示すブロック図で示される機能を有し、把持力設定装置を構成する。
図2に示すように、制御部200は、把持力制御部201、把持力設定部202、把持力電圧信号生成部203、及びダウンカウンタ204を備えている。
【0032】
景品把持ゲーム機10の調整者が設定部270を用いて「かんたん自動設定モード」を選択すると、設定部270は、制御部200に把持力の設定指示を送る。把持力制御部201は、把持力の設定指示を受けると、初期値の把持力V
INITIALとなるような初期値にダウンカウンタ204をリセットし、把持力電圧信号生成部203に通常モードから把持力設定モードへ切り替えるためのモード切替指示を出力する。
把持力電圧信号生成部203は、把持力設定モードでは、ダウンカウンタ204から、初期値の把持力V
INITIALに相当するカウント値を取得して、そのカウント値に対応する把持力電圧信号を生成して、キャッチャー駆動部210に出力する。キャッチャー駆動部210は、把持力電圧信号に基づいてソレノイド電圧を生成して、キャッチャー280のアーム開閉機構281の把持力調整部282のソレノイドに印加する。この動作で、3本の把持アームの把持力は
図5に示した把持力値“99”(
図3の把持力F
INITIALに対応する)となる。
【0033】
さらに、把持力制御部201は、パルスをダウンカウンタ204に順次送る。ダウンカウンタ204のカウント値は、初期値から、入力するパルス数によって減少していく。把持力電圧信号生成部203は、ダウンカウンタ204から、1つずつ低下するカウント値を取得して、低下するカウント値に対応する把持力電圧信号を生成して、キャッチャー駆動部210に出力する。キャッチャー駆動部210は、把持力電圧信号に基づいてソレノイド電圧を生成して、キャッチャー280のアーム開閉機構281の把持力調整部282のソレノイドに印加する。把持力電圧信号は、ソレノイド電圧を1ステップずつ低下させていくように送られる。この動作で、3本の把持アームの把持力は、
図3に示すように把持力F
INITIALから低下していく。
そして、3本の把持アームの把持力が低下していき、
図8に示すように、景品は景品落下口に落下し、景品の落下を景品検知センサー290が検出すると、制御部200の把持力制御部201は、景品検知センサー290から景品落下信号を受ける。
【0034】
把持力制御部201は、景品落下信号を受けると、ダウンカウンタ204に送るパルスを停止し、ダウンカウンタ204のカウント値を読み出し、把持力設定部202に出力する。この時のカウント値は、
図8の把持力値“55”(
図3の把持力F
DROPに対応)に対応する。また、把持力制御部201は、把持力設定モードから通常モードに切り替えるモード切替指示を把持力電圧信号生成部203に出力する。
把持力設定部202は、把持力設定部202から出力されたカウント値(
図3の把持力F
DROPに対応)に基づいて、上限デジタル値(
図3の把持力F
UPに対応)と下限デジタル値(
図3の把持力F
DOWNに対応)とを設定して、把持力電圧信号生成部203に出力する。
【0035】
把持力電圧信号生成部203は、通常モードでは、把持力設定部202から上限デジタル値と下限デジタル値とを取得して、上限デジタル値及び下限デジタル値に対応する把持力電圧信号を生成して、キャッチャー駆動部210に出力する。
キャッチャー駆動部210は、景品を掴むときには、上限デジタル値から把持力FUPとするためのソレノイド電圧を生成してキャッチャー280に出力する。キャッチャー駆動部210は、景品を離すときには、下限デジタル値から把持力FDOWNとするためのソレノイド電圧を生成してキャッチャー280に出力する。
【0036】
景品把持ゲーム機10の把持力設定動作について
図9のフローチャートを用いて説明する。
図9は、景品把持ゲーム機10の把持力設定動作のフローチャートである。
図9のステップS1において、景品把持ゲーム機10の制御部200は、景品把持ゲーム機10の調整者によって、設定部270のサービスボタンが押されたか(テストモードボタンが押されたか)を判断する。テストモードボタンが押された場合は、ステップS2に移り、テストモードボタンが押されない場合は、一定時間経過後、再度ステップS1の判断を行う。
ステップS2において、制御部200は、調整者の操作レバー180の操作によるモード選択(「かんたん自動設定モード」の選択)を検出する。
ステップS3において、制御部200は、「かんたん自動設定モード」で操作ボタン220(決定ボタン)が押されたかを判断し、押された場合はステップS4に移り、押されていなければ、一定時間経過後、再度ステップS3の判断を行う。
ステップS4において、制御部200は、把持力F
INITIALを徐々に低下させるために、把持力を生成するソレノイド電圧のカウントダウンをスタートする。
ステップS5において、制御部200は、景品検知センサー(景品センサー)が景品の通過を検出したかを、景品落下信号の受信の有無により判断する。制御部200は、景品が景品検知センサーを通過している場合は、ステップS6に移り、景品が景品検知センサーをしていない場合は、一定時間経過後、再度ステップS5の判断を行う。
ステップS6において、制御部200は、ソレノイド電圧のカウントダウンをストップする。
ステップS7において、制御部200は、設定部270の画面の「保存して戻る」が操作ボタン220(選択ボタン)により選択されたかどうかを判断する。「保存して戻る」が選択されていれば設定処理を終了し、「保存して戻る」が選択されていなければ、一定時間経過後、再度ステップS7の判断を行う。
【0037】
以上説明した本実施形態によれば、景品把持ゲーム機における把持力を自動的に設定することができる。
【0038】
上述した実施形態は、本発明の好適な実施形態ではあるが、上記実施形態のみに本発明の範囲を限定するものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲において種々の変更を施した形態での実施が可能である。
例えば、上述した実施形態では、把持力の上限値F
UPと下限値F
Downとを求めているが、把持力の上限値F
UPのみを求め、下限値F
Downは、把持力F
DROPと同じ値としてもよい。
図2に示した制御部200では、把持力F
DROPに対応するダウンカウンタ204のカウント値に基づいて、上限デジタル値と下限デジタル値を求めて、上限デジタル値と下限デジタル値に対応する把持力電圧信号を生成して、キャッチャー駆動部210に出力することで、把持力F
UPと把持力F
DOWNとを生成している。しかし、制御部200はこの構成に限定されず、景品落下信号に基づいて、把持力F
UPと把持力F
DOWNを生成するための信号が生成できる構成であればよい。
【符号の説明】
【0039】
10 景品把持ゲーム機
110 景品カウンター
120 コインカウンター
130 7セグメントLED
140 ディスプレイ
150 出力部
160 スピーカー
170 パワーサプライ
180 操作レバー
190 入力部
200 制御部
201 把持力制御部
202 把持力設定部
203 把持力電圧信号生成部
204 ダウンカウンタ
210 キャッチャー駆動部
220操作ボタン
230 コインセンサー
240 払い出しセンサー
250 記憶装置
260 キャッチャーXYZ移動装置
270 設定部
280 キャッチャー
281 アーム開閉機構
282 把持力調整部
290 景品検知センサー
【手続補正書】
【提出日】2024-01-24
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数の把持アームを有するキャッチャーと、
景品を掴んだ前記キャッチャーから前記景品が離れて落下して景品落下口を通過したことを把持力設定モード時に検知する景品検知センサーと、
前記景品を掴んだ前記キャッチャーの把持力を初期値に設定し、前記初期値の把持力を徐々に低下させ、前記景品検知センサーによって前記景品の落下が検知されたときの把持力VDROPに基づいて、ゲーム操作時に、前記キャッチャーが景品を掴むときの把持力VUPを求める制御部と、を備え、
前記把持力VUPは前記把持力VDROPよりも大きい、
景品把持ゲーム機。
【請求項2】
前記制御部は、前記把持力VDROPに基づいて、ゲーム操作時に、前記キャッチャーが景品を離すときの把持力VDOWMを求め、
前記把持力VDOWMは前記把持力VDROPよりも小さい、
請求項1に記載の景品把持ゲーム機。
【請求項3】
前記制御部は、把持力制御部、把持力設定部、把持力電圧信号生成部、及びダウンカウンタを備え、
前記把持力制御部は、前記把持力設定モードにおいて、前記キャッチャーの把持力の初期値に対応するカウント値に前記ダウンカウンタのカウント値を設定し、
前記把持力電圧信号生成部は、前記把持力設定モードにおいて、前記ダウンカウンタの減少するカウント値に対応する把持力電圧信号を生成して、該把持力電圧信号に基づいて複数の把持アームを開閉する前記キャッチャーに出力し、
前記把持力設定部は、前記把持力設定モードにおいて、前記景品の落下が検知されたときの前記把持力VDROPに対応する、前記ダウンカウンタのカウント値に基づいて、前記把持力VUPに対応するデジタル値を設定し、
前記把持力電圧信号生成部は、通常モードにおいて、前記複数の把持アームが景品を掴むときに、前記デジタル値に対応する把持力電圧信号を生成して、該把持力電圧信号に基づいて複数の把持アームを開閉する前記キャッチャーに出力する、
請求項1又は請求項2に記載の景品把持ゲーム機。
【請求項4】
把持力設定モードにおいて、景品把持ゲーム機の制御部によって、景品を掴んだキャッチャーの把持力を初期値に設定し、
前記初期値の把持力を、前記制御部によって、徐々に低下させ、前記キャッチャーから前記景品が離れて落下して景品落下口を通過したときの把持力VDROPに基づいて、前記景品把持ゲーム機のゲーム操作時に、前記キャッチャーが景品を掴むときの把持力VUPを求め、
前記把持力VUPは前記把持力VDROPよりも大きい、
把持力設定方法。
【手続補正2】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0007
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0007】
(1) 本発明に係る景品把持ゲーム機は、複数の把持アームを有するキャッチャーと、
景品を掴んだ前記キャッチャーから前記景品が離れて落下して景品落下口を通過したことを把持力設定モード時に検知する景品検知センサーと、
前記景品を掴んだ前記キャッチャーの把持力を初期値に設定し、前記初期値の把持力を徐々に低下させ、前記景品検知センサーによって前記景品の落下が検知されたときの把持力VDROPに基づいて、ゲーム操作時に、前記キャッチャーが景品を掴むときの把持力VUPを求める制御部と、を備え、
前記把持力VUPは前記把持力VDROPよりも大きい、景品把持ゲーム機である。
【手続補正3】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0009
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0009】
(3) 上記(1)又は(2)の景品把持ゲーム機において、前記制御部は、把持力制御部、把持力設定部、把持力電圧信号生成部、及びダウンカウンタを備え、
前記把持力制御部は、前記把持力設定モードにおいて、前記キャッチャーの把持力の初期値に対応するカウント値に前記ダウンカウンタのカウント値を設定し、
前記把持力電圧信号生成部は、前記把持力設定モードにおいて、前記ダウンカウンタの減少するカウント値に対応する把持力電圧信号を生成して、該把持力電圧信号に基づいて複数の把持アームを開閉する前記キャッチャーに出力し、
前記把持力設定部は、前記把持力設定モードにおいて、前記景品の落下が検知されたときの前記把持力VDROPに対応する、前記ダウンカウンタのカウント値に基づいて、前記把持力VUPに対応するデジタル値を設定し、
前記把持力電圧信号生成部は、通常モードにおいて、前記複数の把持アームが景品を掴むときに、前記デジタル値に対応する把持力電圧信号を生成して、該把持力電圧信号に基づいて複数の把持アームを開閉する前記キャッチャーに出力してもよい。
【手続補正4】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0010
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0010】
(4) 本発明に係る把持力設定方法は、把持力設定モードにおいて、景品把持ゲーム機の制御部によって、景品を掴んだキャッチャーの把持力を初期値に設定し、
前記初期値の把持力を、前記制御部によって、徐々に低下させ、前記キャッチャーから前記景品が離れて落下して景品落下口を通過したときの把持力VDROPに基づいて、前記景品把持ゲーム機のゲーム操作時に、前記キャッチャーが景品を掴むときの把持力VUPを求め、
前記把持力VUPは前記把持力VDROPよりも大きい、把持力設定方法である。