(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024167222
(43)【公開日】2024-12-03
(54)【発明の名称】加齢黄斑変性の治療における融合タンパク質の使用
(51)【国際特許分類】
A61K 45/00 20060101AFI20241126BHJP
A61P 27/02 20060101ALI20241126BHJP
A61K 38/16 20060101ALI20241126BHJP
C07K 19/00 20060101ALN20241126BHJP
【FI】
A61K45/00
A61P27/02
A61K38/16
C07K19/00
【審査請求】有
【請求項の数】1
【出願形態】OL
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2024127939
(22)【出願日】2024-08-02
(62)【分割の表示】P 2022538928の分割
【原出願日】2020-12-23
(31)【優先権主張番号】201911346311.2
(32)【優先日】2019-12-24
(33)【優先権主張国・地域又は機関】CN
(31)【優先権主張番号】202011441025.7
(32)【優先日】2020-12-11
(33)【優先権主張国・地域又は機関】CN
(71)【出願人】
【識別番号】519274183
【氏名又は名称】イノベント バイオロジクス(スーチョウ)カンパニー,リミティド
(74)【代理人】
【識別番号】100099759
【弁理士】
【氏名又は名称】青木 篤
(74)【代理人】
【識別番号】100123582
【弁理士】
【氏名又は名称】三橋 真二
(74)【代理人】
【識別番号】100108903
【弁理士】
【氏名又は名称】中村 和広
(74)【代理人】
【識別番号】100123593
【弁理士】
【氏名又は名称】関根 宣夫
(74)【代理人】
【識別番号】100208225
【弁理士】
【氏名又は名称】青木 修二郎
(74)【代理人】
【識別番号】100217179
【弁理士】
【氏名又は名称】村上 智史
(72)【発明者】
【氏名】ルー シューチエ
(72)【発明者】
【氏名】チエン レイ
(57)【要約】
【課題】加齢黄斑変性の治療における融合タンパク質の使用の提供。
【解決手段】本発明は、加齢黄斑変性の治療における融合タンパク質の使用に関する。具体的には、本発明は、加齢黄斑変性の治療における補体経路及び血管内皮増殖因子(VEGF)経路の活性化を阻害する二重特異性融合タンパク質の使用に関する。本発明はさらに、前記融合タンパク質を含む医薬組成物、及び前記融合タンパク質を使用して加齢黄斑変性を治療する方法に関する。
【選択図】なし
【特許請求の範囲】
【請求項1】
VEGF経路及び補体経路を阻害する融合タンパク質を個体に投与することを含む、個体において加齢黄斑変性(AMD)を予防又は治療する方法。
【請求項2】
前記融合タンパク質は配列番号1の配列を含む、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記融合タンパク質の配列は配列番号1に示される配列である、請求項1に記載の方法。
【請求項4】
前記AMDはウェット型AMDである、請求項1~3のいずれか1項に記載の方法。
【請求項5】
前記ウェット型AMDは、視力低下、変形視、中心暗点、失読症、黄斑浮腫、眼底出血、血管新生、瘢痕線維症、地図状萎縮、又はそれらの任意の組み合わせの1つ又は複数の症状及び徴候を有する、請求項4に記載の方法。
【請求項6】
前記ウェット型AMDは脈絡膜血管新生(CNV)を有する、請求項4に記載の方法。
【請求項7】
前記ウェット型AMDは、以下の特徴を有するAMDである、請求項4に記載の方法:
(1) 対象眼におけるウェット型AMDに続発する活動性の中心窩下CNVであり、及び/又は、
(2) 光干渉断層撮影(OCT)の走査による中心窩網膜厚が250μm以上である。
【請求項8】
前記個体は、ヒト個体であり、上記の請求項のいずれか1項に記載の疾患、症状及び/又は特徴を有する、上記の請求項のいずれか1項に記載の方法。
【請求項9】
前記個体は、ヒト個体であり、地図状萎縮を伴うウェット型AMD患者である、上記の請求項のいずれか1項に記載の方法。
【請求項10】
前記個体は、以下の特徴を有するウェット型AMDに罹患している、上記の請求項のいずれか1項に記載の方法:
(1) 対象眼におけるウェット型AMDに続発する活動性の中心窩下CNVであり、及び/又は、
(2) 光干渉断層撮影(OCT)の走査による中心窩網膜厚が250μm以上である。
【請求項11】
前記治療は、前記個体において、以下の1つ又は複数の効果を実現する、上記の請求項のいずれか1項に記載の方法:
1) 中心窩網膜厚がベースラインに比べて減少すること、
2) 脈絡膜血管新生(CNV)の面積が減少すること、
3) 最高矯正視力(BCVA)がベースラインに比べて改善されること、
4) ウェット型AMD患者における地図状萎縮の発生時間が遅延すること、及び/又は、
5) ウェット型AMD患者における地図状萎縮の発生時間が遅くなること。
【請求項12】
前記治療は、前記個体において、以下の1つ又は複数の効果を実現する、上記の請求項のいずれか1項に記載の方法:
1) 最高矯正視力(BCVA)を改善すること、及び/又は、
2) 中心窩網膜厚を減少させること、及び/又は、
3) 脈絡膜血管新生(CNV)の面積を減少させること。
【請求項13】
前記治療は、前記個体において、以下の1つ又は複数の効果を実現する、上記の請求項のいずれか1項に記載の方法:
1) 最高矯正視力(BCVA)が、ベースラインレベルに比べてETDRS視力表において少なくとも1文字改善され、好ましくはETDRS視力表において少なくとも5文字改善され、より好ましくはETDRS視力表において5文字~35文字改善され、例えば、ETDRS視力表において5文字~25文字改善され、例えば、5文字~10文字、5文字~15文字、5文字~20文字、10文字~15文字、10文字~20文字、10文字~25文字、15文字~20文字若しくは15文字~25文字改善され、例えば、5文字、6文字、7文字、8文字、9文字、10文字、11文字、12文字、13文字、14文字、15文字、16文字、17文字、18文字、19文字、20文字、21文字、22文字、23文字、24文字、25文字、26文字、27文字、28文字、29文字、30文字、31文字、32文字、33文字、34文字若しくは35文字改善されること、及び/又は、
2) 最高矯正視力(BCVA)がベースラインレベルに比べて5%以上改善され、好ましくは10%以上改善され、例えば、10%~200%、好ましくは10%~150%、より好ましくは10%~100%、さらに好ましくは20%~100%、さらに好ましくは50%~100%、60%~100%、20%~80%若しくは30%~70%、さらに好ましくは50%~70%、さらに好ましくは60%~70%、例えば、5%、10%、15%、20%、25%、30%、35%、40%、45%、50%、55%、60%、65%、70%、75%、80%、85%、90%、95%、100%、110%、120%、130%、140%、150%、160%、170%、180%、190%若しくは200%改善されること、及び/又は、
3) 中心窩網膜厚(CST)がベースラインレベルに比べて25μm以上減少し、例えば、25μm~350μm、好ましくは50μm~300μm、より好ましくは50μm~200μm減少し、例えば、25μm、50μm、75μm、100μm、125μm、150μm、175μm、200μm、225μm、250μm、275μm、300μm、325μm、350μm減少し、又はベースラインレベルに比べて5%以上減少し、例えば、10%~70%、好ましくは10%~60%、より好ましくは30%~50%、さらに好ましくは40%~50%、例えば、5%、10%、15%、20%、25%、30%、35%、40%、45%、50%、55%、60%、65%若しくは70%減少すること、及び/又は、
4) 脈絡膜血管新生(CNV)の面積がベースラインレベルに比べて0.1mm2以上減少し、例えば、0.1mm2~20mm2、好ましくは0.2mm2~5mm2、より好ましくは0.3mm2~2mm2減少し、例えば、0.1mm2、0.2mm2、0.3mm2、0.4mm2、0.5mm2、0.6mm2、0.7mm2、0.8mm2、0.9mm2、1mm2、1.1mm2、1.2mm2、1.3mm2、1.4mm2、1.5mm2、1.6mm2、1.7mm2、1.8mm2、1.9mm2、2mm2、2.1mm2、2.2mm2、2.3mm2、2.4mm2、2.5mm2、2.6mm2、2.7mm2、2.8mm2、2.9mm2、3mm2、3.1mm2、3.2mm2、3.3mm2、3.4mm2、3.5mm2、3.6mm2、3.7mm2、3.8mm2、3.9mm2、4mm2、4.1mm2、4.2mm2、4.3mm2、4.4mm2、4.5mm2、4.6mm2、4.7mm2、4.8mm2、4.9mm2、5mm2、5.5mm2、6mm2、6.5mm2、7mm2、7.5mm2、8mm2、8.5mm2、9mm2、9.5mm2、10mm2、10.5mm2、11mm2、11.5mm2、12mm2、12.5mm2、13mm2、13.5mm2、14mm2、14.5mm2、15mm2、15.5mm2、16mm2、16.5mm2、17mm2、17.5mm2、18mm2、18.5mm2、19mm2、19.5mm2若しくは20mm2減少し、又はベースラインレベルに比べて5%以上減少し、例えば、10%~70%、好ましくは10%~60%、より好ましくは30%~50%、さらに好ましくは40%~50%、例えば、5%、10%、15%、20%、25%、30%、35%、40%、45%、50%、55%、60%、65%若しくは70%減少すること。
【請求項14】
前記融合タンパク質を、約0.01mg/眼~10mg/眼、好ましくは0.05mg/眼~8mg/眼、より好ましくは0.05mg/眼~6mg/眼、さらに好ましくは0.5mg/眼~5mg/眼、さらに好ましくは1mg/眼~5mg/眼、さらに好ましくは2mg/眼~5mg/眼の単回用量で、1日に1回、2日に1回、週に2回、週に1回、2週間毎に1回、4週間毎に1回、5週間毎に1回又は6週間毎に1回で、前記個体に対して、硝子体内又は静脈内投与することを含み、個体の中心窩網膜厚レベルの投与前レベルに比べて、投与後6週間又は8週間で、当該個体の中心窩網膜厚レベルは25μm以上減少し、例えば、25μm~350μm、好ましくは50μm~300μm、より好ましくは50μm~200μm減少し、例えば、25μm、50μm、75μm、100μm、125μm、150μm、175μm、200μm、225μm、250μm、275μm、300μm、325μm、350μm減少し、又は投与前レベルに比べて5%以上減少し、例えば、10%~70%、好ましくは10%~60%、より好ましくは30%~50%、さらに好ましくは40%~50%、例えば、5%、10%、15%、20%、25%、30%、35%、40%、45%、50%、55%、60%、65%若しくは70%減少する、上記の請求項のいずれか1項に記載の方法。
【請求項15】
前記融合タンパク質を、約0.01mg/眼~10mg/眼、好ましくは0.05mg/眼~8mg/眼、より好ましくは0.05mg/眼~6mg/眼、さらに好ましくは0.5mg/眼~5mg/眼、さらに好ましくは1mg/眼~5mg/眼、さらに好ましくは2mg/眼~5mg/眼の単回用量で、1日に1回、2日に1回、週に2回、週に1回、2週間毎に1回、4週間毎に1回、5週間毎に1回又は6週間毎に1回で、前記個体に対して、硝子体内又は静脈内投与することを含み、個体の脈絡膜血管新生(CNV)の面積の投与前レベルに比べて、投与後6週間又は8週間で、当該個体の脈絡膜血管新生(CNV)の面積は0.1mm2以上減少し、例えば、0.1mm2~20mm2、好ましくは0.2mm2~5mm2、より好ましくは0.3mm2~2mm2減少し、例えば、0.1mm2、0.2mm2、0.3mm2、0.4mm2、0.5mm2、0.6mm2、0.7mm2、0.8mm2、0.9mm2、1mm2、1.1mm2、1.2mm2、1.3mm2、1.4mm2、1.5mm2、1.6mm2、1.7mm2、1.8mm2、1.9mm2、2mm2、2.1mm2、2.2mm2、2.3mm2、2.4mm2、2.5mm2、2.6mm2、2.7mm2、2.8mm2、2.9mm2、3mm2、3.1mm2、3.2mm2、3.3mm2、3.4mm2、3.5mm2、3.6mm2、3.7mm2、3.8mm2、3.9mm2、4mm2、4.1mm2、4.2mm2、4.3mm2、4.4mm2、4.5mm2、4.6mm2、4.7mm2、4.8mm2、4.9mm2、5mm2、5.5mm2、6mm2、6.5mm2、7mm2、7.5mm2、8mm2、8.5mm2、9mm2、9.5mm2、10mm2、10.5mm2、11mm2、11.5mm2、12mm2、12.5mm2、13mm2、13.5mm2、14mm2、14.5mm2、15mm2、15.5mm2、16mm2、16.5mm2、17mm2、17.5mm2、18mm2、18.5mm2、19mm2、19.5mm2若しくは20mm2減少し、又は投与前レベルに比べて5%以上減少し、例えば、10%~70%、好ましくは10%~60%、より好ましくは30%~50%、さらに好ましくは40%~50%、例えば、5%、10%、15%、20%、25%、30%、35%、40%、45%、50%、55%、60%、65%若しくは70%減少する、上記の請求項のいずれか1項に記載の方法。
【請求項16】
前記融合タンパク質を、約0.01mg/眼~10mg/眼、好ましくは0.05mg/眼~8mg/眼、より好ましくは0.05mg/眼~6mg/眼、さらに好ましくは0.5mg/眼~5mg/眼、さらに好ましくは1mg/眼~5mg/眼、さらに好ましくは2mg/眼~5mg/眼の単回用量で、1日に1回、2日に1回、週に2回、週に1回、2週間毎に1回、4週間毎に1回、5週間毎に1回又は6週間毎に1回で、前記個体に対して、硝子体内又は静脈内投与することを含み、個体の最高矯正視力(BCVA)の投与前レベルに比べて、投与後6週間又は8週間で、当該個体の最高矯正視力(BCVA)は、ETDRS視力表において少なくとも1文字改善され、好ましくはETDRS視力表において少なくとも5文字改善され、より好ましくはETDRS視力表において5文字~35文字改善され、例えば、ETDRS視力表において5文字~25文字改善され、例えば、5文字~10文字、5文字~15文字、5文字~20文字、10文字~15文字、10文字~20文字、10文字~25文字、15文字~20文字若しくは15文字~25文字改善され、例えば、5文字、6文字、7文字、8文字、9文字、10文字、11文字、12文字、13文字、14文字、15文字、16文字、17文字、18文字、19文字、20文字、21文字、22文字、23文字、24文字、25文字、26文字、27文字、28文字、29文字、30文字、31文字、32文字、33文字、34文字若しくは35文字改善され、又は投与前レベルに比べて5%以上改善され、好ましくは10%以上改善され、例えば、10%~200%、好ましくは10%~150%、より好ましくは10%~100%、さらに好ましくは20%~100%、さらに好ましくは50%~100%、60%~100%、20%~80%若しくは30%~70%、さらに好ましくは50%~70%、さらに好ましくは60%~70%、例えば、5%、10%、15%、20%、25%、30%、35%、40%、45%、50%、55%、60%、65%、70%、75%、80%、85%、90%、95%、100%、110%、120%、130%、140%、150%、160%、170%、180%、190%若しくは200%改善される、上記の請求項のいずれか1項に記載の方法。
【請求項17】
個体において加齢黄斑変性(AMD)を予防又は治療するための薬物の製造における、VEGF経路及び補体経路を阻害する融合タンパク質の使用であって、
前記融合タンパク質が配列番号1の配列を含む、
使用。
【請求項18】
前記融合タンパク質の配列は配列番号1に示される配列である、請求項17に記載の使用。
【請求項19】
前記AMDは請求項4~7のいずれか1項に記載のとおりである、請求項17又は18に記載の使用。
【請求項20】
前記個体は請求項8~10のいずれか1項に記載のとおりである、請求項17~19のいずれか1項に記載の使用。
【請求項21】
VEGF経路及び補体経路を阻害する融合タンパク質を含み、
前記融合タンパク質が配列番号1の配列を含む、
単回薬物用量ユニット。
【請求項22】
前記融合タンパク質の配列は配列番号1に示される配列である、請求項21に記載の単回薬物用量ユニット。
【請求項23】
0.01mg~10mg、好ましくは0.05mg~8mg、より好ましくは0.05mg~6mg、さらに好ましくは0.5mg~5mg、さらに好ましくは1mg~5mg、さらに好ましくは2mg~5mg、例えば、0.5mg~2mg、1mg~3mg、2mg~4mg、2mg~3mg若しくは3mg~5mg、例えば、0.05mg、0.1mg、0.15mg、0.2mg、0.25mg、0.3mg、0.35mg、0.4mg、0.45mg、0.5mg、0.55mg、0.6mg、0.65mg、0.7mg、0.75mg、0.8mg、0.85mg、0.9mg、0.95mg、1mg、1.1mg、1.2mg、1.3mg、1.4mg、1.5mg、1.6mg、1.7mg、1.8mg、1.9mg、2mg、2.1mg、2.2mg、2.3mg、2.4mg、2.5mg、2.6mg、2.7mg、2.8mg、2.9mg、3mg、3.1mg、3.2mg、3.3mg、3.4mg、3.5mg、3.6mg、3.7mg、3.8mg、3.9mg、4mg、4.1mg、4.2mg、4.3mg、4.4mg、4.5mg、4.6mg、4.7mg、4.8mg、4.9mg、5mg、5.1mg、5.2mg、5.3mg、5.4mg、5.5mg、5.6mg、5.7mg、5.8mg、5.9mg、6mg、6.1mg、6.2mg、6.3mg、6.4mg、6.5mg、6.6mg、6.7mg、6.8mg、6.9mg、7mg、7.1mg、7.2mg、7.3mg、7.4mg、7.5mg、7.6mg、7.7mg、7.8mg、7.9mg、8mg、8.5mg、9mg、9.5mg、10mg、好ましくは2mg若しくは4mgの用量の前記融合タンパク質を含む、請求項21又は22に記載の単回薬物用量ユニット。
【請求項24】
請求項21~23のいずれか1項に記載の融合タンパク質を含む、薬物キット。
【請求項25】
加齢黄斑変性(AMD)を予防又は治療する薬物の製造における、請求項21~23のいずれか1項に記載の単回薬物用量ユニット又は請求項24に記載の薬物キットの使用。
【請求項26】
加齢黄斑変性(AMD)を予防又は治療するための、請求項21~23のいずれか1項に記載の単回薬物用量ユニット又は請求項24に記載の薬物キット。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、加齢黄斑変性の治療における補体経路及び血管内皮増殖因子(VEGF)経路の活性化を阻害する二重特異性融合タンパク質の使用に関する。本発明はさらに、前記融合タンパク質を含む医薬組成物、及び前記融合タンパク質を使用して加齢黄斑変性を治療する方法に関する。
【背景技術】
【0002】
加齢黄斑変性(AMD、老人性黄斑変性とも呼ばれる)は、網膜中心窩の慢性進行性疾患である。老人性黄斑変性は主に45歳以上の人に発生し、罹患率が年齢とともに高くなり、今や高齢者の失明を引き起こす重大な疾患である。世界で加齢黄斑変性患者が約3000万おり、そのために失明となるのは毎年約50万人である。我が国では経済発展と人口の高齢化の進行に伴い、AMDの発生率が年々増加しており、今や我が国で失明の3番目の要因となっている。
【0003】
AMDは主に網膜色素上皮細胞(RPE)の視細胞外節のディスク膜を貪食及び消化する能力の低下として現れ、その結果、不完全に消化されたディスク膜の残余小体が基底細胞の原形質に残り、細胞外にこぼれ出て、ブルッフ膜(Bruch膜)に沈着することにより、ドルーゼンが形成される。ドルーゼンの色素上皮、ブルッフ膜(Bruch膜)及び視細胞は、程度の差こそあれ、変性、過形成又は萎縮が発生している。米国国立眼病研究所「加齢関連眼疾患研究」グループは、AMDを早期AMD、中期AMD、後期AMDに分類し、早期AMDはドルーゼンを主な特徴とし、発生率が高いが、失明率が低く、後期に進行すると、患者の視力に深刻な影響を与え、その病理学的特徴により、萎縮型と滲出型に分類することができる。滲出型AMDはウェット型AMD、新生血管型AMDとも呼ばれ、主な病理学的特徴は血管内皮細胞増殖因子(VEGF)の放出の増加、網膜中心窩の色素上皮細胞又は光受容体との間の未成熟な血管新生、即ち脈絡膜血管新生(CNV)、網膜下破裂出血、網膜色素上皮及びブルッフ膜(Bruch膜)の破壊であり、発生率が低いが、失明率が高い。
【0004】
MDの病理学的機序は完全には解明されていないが、今はVEGFの発現増加によって誘発される血管新生がウェット型AMDの発生の主な原因であると一般的に認められている。また、補体遺伝子変異と異常な補体活性化によって媒介される炎症反応もAMDの発生の重要な原因であると考えられている。補体系の活性化はRPE損傷に直接的な影響を及ぼし、一方では、RPEの萎縮を引き起こして、網膜中心窩の細胞の萎縮を誘発して、GA(萎縮型AMD)を発生させる。他方では、血液-網膜関門を破壊して、炎症の発生、VEGF高発現、血管新生を引き起こして、新生血管型AMD(滲出型AMD)を発生させる。
【0005】
抗補体薬は主に地図状萎縮を伴うドライ型AMDに用いられ、失明の可能性がより高いウェット型AMDの場合は有効性が不明瞭で、抗VEGF薬と併用しないと利点が示されないという可能性がある。しかし従来の併用療法としては抗補体薬と抗VEGF薬をそれぞれ硝子体内注射で投与して治療することであり、抗補体と抗VEGFの二重阻害薬はまだない。硝子体内注射が危険性を伴い、長期の反復投与では、患者のコンプライアンスが比較的悪いため、このような併用療法は注射操作の危険性を高め、心理的にも経済的にも患者に巨大な負担をもたらしているため、VEGF及び補体を同時に阻害することができる薬物を開発することは潜在的な臨床的価値を有する。また、補体の活性化は地図状萎縮の形成に重要な役割を果たし、地図状萎縮を伴うウェット型AMD患者にとって、抗補体と抗VEGFの両方の融合タンパク質が重要な臨床的価値を有する可能性がある。
【0006】
WO2013082563A1はVEGF経路及び補体経路を阻害する新規な融合タンパク質を開示している。しかし、WO2013082563A1では、動物における当該融合タンパク質の活性を検証しただけで、ヒトAMD疾患に有效なのかどうかの研究はまだ進行中であり、ヒトの眼のAMD障害の複雑さ、眼投与の操作上及び薬物容量上の制限と特殊性などを考慮すると、このような融合タンパク質の使用方法及び具体計画などについてのヒトAMD疾患に関する高度な研究と改善が依然として必要である。
【発明の概要】
【0007】
一、治療方法
本発明の第1態様は、VEGF経路及び補体経路を阻害する融合タンパク質を個体に投与することを含む、個体において加齢黄斑変性(AMD)を予防又は治療する方法に関する。
【0008】
一実施形態において、前記融合タンパク質は配列番号1の配列を含む。
【0009】
DTGRPFVEMYSEIPEIIHMTEGRELVIPCRVTSPNITVTLKKFPLDTLIPDGKKIIWDSRKGFIISNATYKEIGLLTCEATVNGHLYKTNYLTHRQTNTIIDVVLSPSHGIELSVGEKLVLNCTARTELNVGIDFNWEYPSSKHQHKKLVNRDLKTQSGSEMKKFLSTLTIDGVTRSDQGLYTCAASSGLMTKKNSTFVRVHEKDKTHTCPPCPAPELLGGPSVFLFPPKPKDTLMISRTPEVTCVVVDVSHEDPEVKFNWYVDGVEVHNAKTKPREEQYNSTYRVVSVLTVLHQDWLNGKEYKCKVSNKALPAPIEKTISKAKGQPREPQVYTLPPSRDELTKNQVSLTCLVKGFYPSDIAVEWESNGQPENNYKTTPPVLDSDGSFFLYSKLTVDKSRWQQGNVFSCSVMHEALHNHYTQKSLSLSPGKGGGGGGQCNAPEWLPFARPTNLTDEFEFPIGTYLKYECRPGYYGRPFSIICLKNSVWTGAKDRCRRKSCRNPPDPVNGMVHVIKDIQFGSQIKYSCTKGYRLIGSSSATCIISGNTVIWDNETPICDRIPCGLPPTITNGDFISTNRENFHYGSVVTYRCNPGSGGRKVFELVGEPSIYCTSNDDQVGIWSGPAPQCI(配列番号1)。
【0010】
好ましい実施形態において、前記融合タンパク質の配列は配列番号1であり、記述の便宜上、本願では当該融合タンパク質をIBI302と呼び、その製造方法はWO2013082563A1を参照する。
【0011】
一実施形態において、前記AMDはウェット型AMDである。
【0012】
一実施形態において、前記ウェット型AMDは、視力低下、変形視、中心暗点、失読症、黄斑浮腫、眼底出血、血管新生、瘢痕線維症、地図状萎縮など、又はそれらの任意の組み合わせの1つ又は複数の症状及び徴候を有する。
【0013】
一実施形態において、前記ウェット型AMDは脈絡膜血管新生(choroid neovascularization、CNV)を有する。
【0014】
一実施形態において、前記ウェット型AMDは、以下の特徴を有するAMDである:
1) 対象眼におけるウェット型AMDに続発する活動性の中心窩下CNVであり、及び/又は、
2) 光干渉断層撮影(OCT)の走査による中心窩網膜厚が250μm以上である。
【0015】
一実施形態において、前記個体はヒト個体である。
【0016】
好ましい実施形態において、前記個体は、ヒト個体であり、上記の実施形態のいずれか1項に記載の疾患、症状及び/又は特徴を有する。
【0017】
好ましい実施形態において、前記個体は、ヒト個体であり、地図状萎縮を伴うウェット型AMD患者である。
【0018】
好ましい実施形態において、前記個体は、以下の特徴を有するウェット型AMDに罹患している:
1) 対象眼におけるウェット型AMDに続発する活動性の中心窩下CNVであり、及び/又は、
2) 光干渉断層撮影(OCT)の走査による中心窩網膜厚が250μm以上である。
好ましい実施形態において、前記治療は、個体において、
1) 中心窩網膜厚がベースラインに比べて減少すること、
2) 脈絡膜血管新生(CNV)の面積が減少すること、
3) 最高矯正視力(BCVA)がベースラインに比べて改善されること、
4) ウェット型AMD患者における地図状萎縮の発生時間が遅延すること、及び/又は、
5) ウェット型AMD患者における地図状萎縮の発生時間が遅くなること、その1つ又は複数の効果を実現できる。
【0019】
好ましい実施形態において、前記治療は、個体において、
1) 最高矯正視力(BCVA)を改善すること、及び/又は、
2) 中心窩網膜厚を減少させること、及び/又は、
3) 脈絡膜血管新生(CNV)の面積を減少させること、その1つ又は複数の効果を実現できる。
【0020】
好ましい実施形態において、前記治療は、個体において、
1) 最高矯正視力(BCVA)がベースラインレベルに比べてETDRS視力表において少なくとも1文字改善され、好ましくはETDRS視力表において少なくとも5文字改善され、より好ましくはETDRS視力表において5文字~35文字改善され、例えば、ETDRS視力表において5文字~25文字改善され、例えば、5文字~10文字、5文字~15文字、5文字~20文字、10文字~15文字、10文字~20文字、10文字~25文字、15文字~20文字若しくは15文字~25文字改善され、例えば、5文字、6文字、7文字、8文字、9文字、10文字、11文字、12文字、13文字、14文字、15文字、16文字、17文字、18文字、19文字、20文字、21文字、22文字、23文字、24文字、25文字、26文字、27文字、28文字、29文字、30文字、31文字、32文字、33文字、34文字若しくは35文字改善されること、及び/又は、
2) 最高矯正視力(BCVA)がベースラインレベルに比べて5%以上改善され、好ましくは10%以上改善され、例えば、10%~200%、好ましくは10%~150%、より好ましくは10%~100%、さらに好ましくは20%~100%、さらに好ましくは50%~100%、60%~100%、20%~80%若しくは30%~70%、さらに好ましくは50%~70%、さらに好ましくは60%~70%、例えば、5%、10%、15%、20%、25%、30%、35%、40%、45%、50%、55%、60%、65%、70%、75%、80%、85%、90%、95%、100%、110%、120%、130%、140%、150%、160%、170%、180%、190%若しくは200%改善されること、及び/又は、
3) 中心窩網膜厚(CST)がベースラインレベルに比べて25μm以上減少し、例えば、25μm~350μm、好ましくは50μm~300μm、より好ましくは50μm~200μm減少し、例えば、25μm、50μm、75μm、100μm、125μm、150μm、175μm、200μm、225μm、250μm、275μm、300μm、325μm、350μm減少し、又はベースラインレベルに比べて5%以上減少し、例えば、10%~70%、好ましくは10%~60%、より好ましくは30%~50%、さらに好ましくは40%~50%、例えば、5%、10%、15%、20%、25%、30%、35%、40%、45%、50%、55%、60%、65%若しくは70%減少すること、及び/又は、
4) 脈絡膜血管新生(CNV)の面積がベースラインレベルに比べて0.1mm2以上減少し、例えば、0.1mm2~20mm2、好ましくは0.2mm2~5mm2、より好ましくは0.3mm2~2mm2減少し、例えば、0.1mm2、0.2mm2、0.3mm2、0.4mm2、0.5mm2、0.6mm2、0.7mm2、0.8mm2、0.9mm2、1mm2、1.1mm2、1.2mm2、1.3mm2、1.4mm2、1.5mm2、1.6mm2、1.7mm2、1.8mm2、1.9mm2、2mm2、2.1mm2、2.2mm2、2.3mm2、2.4mm2、2.5mm2、2.6mm2、2.7mm2、2.8mm2、2.9mm2、3mm2、3.1mm2、3.2mm2、3.3mm2、3.4mm2、3.5mm2、3.6mm2、3.7mm2、3.8mm2、3.9mm2、4mm2、4.1mm2、4.2mm2、4.3mm2、4.4mm2、4.5mm2、4.6mm2、4.7mm2、4.8mm2、4.9mm2、5mm2、5.5mm2、6mm2、6.5mm2、7mm2、7.5mm2、8mm2、8.5mm2、9mm2、9.5mm2、10mm2、10.5mm2、11mm2、11.5mm2、12mm2、12.5mm2、13mm2、13.5mm2、14mm2、14.5mm2、15mm2、15.5mm2、16mm2、16.5mm2、17mm2、17.5mm2、18mm2、18.5mm2、19mm2、19.5mm2若しくは20mm2減少し、又はベースラインレベルに比べて5%以上減少し、例えば、10%~70%、好ましくは10%~60%、より好ましくは30%~50%、さらに好ましくは40%~50%、例えば、5%、10%、15%、20%、25%、30%、35%、40%、45%、50%、55%、60%、65%若しくは70%減少すること、その1つ又は複数の効果を実現できる。
【0021】
いくつかの実施形態において、本発明の融合タンパク質を配合して液体医薬組成物として投与する。使用可能な担体及び溶媒は、水、リンゲル液、リン酸緩衝生理食塩水、等張塩化ナトリウム溶液などを含む。また、場合により滅菌の不揮発性油を溶媒又は懸濁媒体として用いることができる。そのために、合成されるモノグリセリド又はジグリセリドを含む、任意に混合される不揮発性鉱油又は非鉱油を用いることができる。また、オレイン酸などの脂肪酸は注射剤を製造するために用いることができる。
【0022】
いくつかの実施形態において、本発明の融合タンパク質を含む医薬組成物は注射用の溶液剤又は乾燥粉末製剤である。例えば、前記組成物は凍結乾燥粉末であり、薬学的に許容可能な液体担体において再配合することによって注射液とすることができる。薬学的に許容可能な液体担体は、例えば、滅菌水、リンゲル液、リン酸緩衝生理食塩水、等張塩化ナトリウム溶液などであってもよい。
【0023】
いくつかの実施形態において、本発明の融合タンパク質を局所的に投与する。
【0024】
いくつかの実施形態において、本発明の融合タンパク質を静脈内注射により投与する。
【0025】
いくつかの実施形態において、本発明の融合タンパク質を病巣内で投与する。
【0026】
いくつかの実施形態において、本発明の融合タンパク質を含む医薬組成物を眼又は眼組織に直接投与する。いくつかの実施形態において、医薬組成物を眼に局所的に投与する。
【0027】
いくつかの実施形態において、眼(眼内注射)又は眼に関連する組織に注射することにより医薬組成物を投与する。例えば、眼内注射、眼周囲注射、網膜下注射、硝子体内注射、経中隔注射、強膜下注射、脈絡膜内注射、前房内注射、結膜下注射、テノン嚢下注射、球後注射、球周囲注射又は後強膜近傍送達により組成物を投与する。また、例えば、個体の硝子体、視神経、房水、強膜、結膜、強膜と結膜の間の領域、網膜脈絡膜組織、黄斑又は眼の中もしくは眼の近くの他の領域に組成物を投与する。好ましくは、硝子体内注射により投与する。
【0028】
いくつか実施形態において、本発明の融合タンパク質の投与頻度は1日に3回、1日に2回、1日に1回、2日に1回、週に2回、週に1回、2週間毎に1回、4週間毎に1回、5週間毎に1回、6週間毎に1回、7週間毎に1回、8週間毎に1回、又は1か月に1回、2か月に1回又はより長い間隔である。本発明の融合タンパク質の投与期間は1週間、2週間、3週間、1か月、2か月、3か月又はより長い期間であってもよく、しかも各投与期間の間の間隔は同じでも異なってもよい。好ましい実施形態において、各投与期間において1回又は2回、好ましくは1回投与し、投与方式は各期間の初日に投与することである。
【0029】
上記の各実施形態において、本発明の融合タンパク質の単回投与用量は0.01mg/眼~10mg/眼、好ましくは0.05mg/眼~8mg/眼、より好ましくは0.05mg/眼~6mg/眼、さらに好ましくは0.5mg/眼~5mg/眼、さらに好ましくは1mg/眼~5mg/眼、さらに好ましくは2mg/眼~5mg/眼から選ばれてもよく、例えば、0.5mg/眼~2mg/眼、1mg/眼~3mg/眼、2mg/眼~4mg/眼、2mg/眼~3mg/眼若しくは3mg/眼~5mg/眼であり、例えば、0.05mg/眼、0.1mg/眼、0.15mg/眼、0.2mg/眼、0.25mg/眼、0.3mg/眼、0.35mg/眼、0.4mg/眼、0.45mg/眼、0.5mg/眼、0.55mg/眼、0.6mg/眼、0.65mg/眼、0.7mg/眼、0.75mg/眼、0.8mg/眼、0.85mg/眼、0.9mg/眼、0.95mg/眼、1mg/眼、1.1mg/眼、1.2mg/眼、1.3mg/眼、1.4mg/眼、1.5mg/眼、1.6mg/眼、1.7mg/眼、1.8mg/眼、1.9mg/眼、2mg/眼、2.1mg/眼、2.2mg/眼、2.3mg/眼、2.4mg/眼、2.5mg/眼、2.6mg/眼、2.7mg/眼、2.8mg/眼、2.9mg/眼、3mg/眼、3.1mg/眼、3.2mg/眼、3.3mg/眼、3.4mg/眼、3.5mg/眼、3.6mg/眼、3.7mg/眼、3.8mg/眼、3.9mg/眼、4mg/眼、4.1mg/眼、4.2mg/眼、4.3mg/眼、4.4mg/眼、4.5mg/眼、4.6mg/眼、4.7mg/眼、4.8mg/眼、4.9mg/眼、5mg/眼、5.1mg/眼、5.2mg/眼、5.3mg/眼、5.4mg/眼、5.5mg/眼、5.6mg/眼、5.7mg/眼、5.8mg/眼、5.9mg/眼、6mg/眼、6.1mg/眼、6.2mg/眼、6.3mg/眼、6.4mg/眼、6.5mg/眼、6.6mg/眼、6.7mg/眼、6.8mg/眼、6.9mg/眼、7mg/眼、7.1mg/眼、7.2mg/眼、7.3mg/眼、7.4mg/眼、7.5mg/眼、7.6mg/眼、7.7mg/眼、7.8mg/眼、7.9mg/眼、8mg/眼、8.5mg/眼、9mg/眼、9.5mg/眼、10mg/眼であり、好ましくは2mg/眼若しくは4mg/眼である。前記用量の投与方式は、本発明の融合タンパク質を含む医薬組成物を眼又は眼組織に直接投与することが好ましく、例えば、医薬組成物を眼に局所的に投与することであり、又は、眼(眼内注射)又は眼に関連する組織に注射することにより医薬組成物を投与することであり、例えば、眼内注射、眼周囲注射、網膜下注射、硝子体内注射、経中隔注射、強膜下注射、脈絡膜内注射、前房内注射、結膜下注射、テノン嚢下注射、球後注射、球周囲注射又は後強膜近傍送達により液体組成物を投与する。また、例えば、個体の硝子体、視神経、房水、強膜、結膜、強膜と結膜の間の領域、網膜脈絡膜組織、黄斑又は眼の中もしくは眼の近くの他の領域に組成物を投与する。好ましくは、硝子体内注射により投与する。
【0030】
いくつかの実施形態において、本発明の融合タンパク質又はその医薬組成物を単独で投与してもよく、他の薬物と組み合わせて同時に投与してもよい。
【0031】
上記の方法のいくつかの実施形態において、個体の中心窩網膜厚の投与前レベルに比べて、投与後2週間、3週間又は4週間、投与後5週間、投与後6週間、投与後7週間、投与後8週間、投与後9週間、投与後10週間、投与後3か月、投与後4か月又は投与後5か月で、当該個体の中心窩網膜厚レベルは25μm以上減少し、例えば、25μm~350μm、好ましくは50μm~300μm、より好ましくは50μm~200μm減少し、例えば、25μm、50μm、75μm、100μm、125μm、150μm、175μm、200μm、225μm、250μm、275μm、300μm、325μm、350μm減少し、又は投与前レベルに比べて5%以上減少し、例えば、10%~70%、好ましくは10%~60%、より好ましくは30%~50%、さらに好ましくは40%~50%、例えば、5%、10%、15%、20%、25%、30%、35%、40%、45%、50%、55%、60%、65%若しくは70%減少する。
【0032】
上記の方法のいくつかの実施形態において、個体の脈絡膜血管新生(CNV)の面積の投与前レベルに比べて、投与後2週間、3週間又は4週間、投与後5週間、投与後6週間、投与後7週間、投与後8週間、投与後9週間、投与後10週間、投与後3か月、投与後4か月又は投与後5か月で、当該個体の脈絡膜血管新生(CNV)の面積は0.1mm2以上減少し、例えば、0.1mm2~20mm2、好ましくは0.2mm2~5mm2、より好ましくは0.3mm2~2mm2減少し、例えば、0.1mm2、0.2mm2、0.3mm2、0.4mm2、0.5mm2、0.6mm2、0.7mm2、0.8mm2、0.9mm2、1mm2、1.1mm2、1.2mm2、1.3mm2、1.4mm2、1.5mm2、1.6mm2、1.7mm2、1.8mm2、1.9mm2、2mm2、2.1mm2、2.2mm2、2.3mm2、2.4mm2、2.5mm2、2.6mm2、2.7mm2、2.8mm2、2.9mm2、3mm2、3.1mm2、3.2mm2、3.3mm2、3.4mm2、3.5mm2、3.6mm2、3.7mm2、3.8mm2、3.9mm2、4mm2、4.1mm2、4.2mm2、4.3mm2、4.4mm2、4.5mm2、4.6mm2、4.7mm2、4.8mm2、4.9mm2、5mm2、5.5mm2、6mm2、6.5mm2、7mm2、7.5mm2、8mm2、8.5mm2、9mm2、9.5mm2、10mm2、10.5mm2、11mm2、11.5mm2、12mm2、12.5mm2、13mm2、13.5mm2、14mm2、14.5mm2、15mm2、15.5mm2、16mm2、16.5mm2、17mm2、17.5mm2、18mm2、18.5mm2、19mm2、19.5mm2若しくは20mm2減少し、又は投与前レベルに比べて5%以上減少し、例えば、10%~70%、好ましくは10%~60%、より好ましくは30%~50%、さらに好ましくは40%~50%、例えば、5%、10%、15%、20%、25%、30%、35%、40%、45%、50%、55%、60%、65%若しくは70%減少する。
【0033】
上記の方法のいくつかの実施形態において、個体の最高矯正視力(BCVA)の投与前レベルに比べて、投与後2週間、3週間又は4週間、投与後5週間、投与後6週間、投与後7週間、投与後8週間、投与後9週間、投与後10週間、投与後3か月、投与後4か月又は投与後5か月で、当該被験者の最高矯正視力(BCVA)は、ETDRS視力表において少なくとも1文字改善され、好ましくはETDRS視力表において少なくとも5文字改善され、より好ましくはETDRS視力表において5文字~35文字改善され、例えば、ETDRS視力表において5文字~25文字改善され、例えば、5文字~10文字、5文字~15文字、5文字~20文字、10文字~15文字、10文字~20文字、10文字~25文字、15文字~20文字若しくは15文字~25文字改善され、例えば、5文字、6文字、7文字、8文字、9文字、10文字、11文字、12文字、13文字、14文字、15文字、16文字、17文字、18文字、19文字、20文字、21文字、22文字、23文字、24文字、25文字、26文字、27文字、28文字、29文字、30文字、31文字、32文字、33文字、34文字若しくは35文字改善され、又は投与前レベルに比べて5%以上改善され、好ましくは10%以上改善され、例えば、10%~200%、好ましくは10%~150%、より好ましくは10%~100%、さらに好ましくは20%~100%、さらに好ましくは50%~100%、60%~100%、20%~80%若しくは30%~70%、さらに好ましくは50%~70%、さらに好ましくは60%~70%、例えば、5%、10%、15%、20%、25%、30%、35%、40%、45%、50%、55%、60%、65%、70%、75%、80%、85%、90%、95%、100%、110%、120%、130%、140%、150%、160%、170%、180%、190%若しくは200%改善される。
【0034】
上記の方法のいくつかの実施形態において、投与後では、前記個体に重篤な有害事象が発生しない。
【0035】
上記の方法のいくつかの実施形態において、投与後では、前記個体の有害事象発生率はプラセボを受ける個体と同等である。
【0036】
上記の方法のいくつかの実施形態において、前記個体はヒトである。
【0037】
上記の方法のいくつかの具体的な実施形態において、前記方法は、前記融合タンパク質を、約0.01mg/眼~10mg/眼、好ましくは0.05mg/眼~8mg/眼、より好ましくは0.05mg/眼~6mg/眼、さらに好ましくは0.5mg/眼~5mg/眼、さらに好ましくは1mg/眼~5mg/眼、さらに好ましくは2mg/眼~5mg/眼、例えば、0.5mg/眼~2mg/眼、1mg/眼~3mg/眼、2mg/眼~4mg/眼、2mg/眼~3mg/眼若しくは3mg/眼~5mg/眼、例えば、0.05mg/眼、0.1mg/眼、0.15mg/眼、0.2mg/眼、0.25mg/眼、0.3mg/眼、0.35mg/眼、0.4mg/眼、0.45mg/眼、0.5mg/眼、0.55mg/眼、0.6mg/眼、0.65mg/眼、0.7mg/眼、0.75mg/眼、0.8mg/眼、0.85mg/眼、0.9mg/眼、0.95mg/眼、1mg/眼、1.1mg/眼、1.2mg/眼、1.3mg/眼、1.4mg/眼、1.5mg/眼、1.6mg/眼、1.7mg/眼、1.8mg/眼、1.9mg/眼、2mg/眼、2.1mg/眼、2.2mg/眼、2.3mg/眼、2.4mg/眼、2.5mg/眼、2.6mg/眼、2.7mg/眼、2.8mg/眼、2.9mg/眼、3mg/眼、3.1mg/眼、3.2mg/眼、3.3mg/眼、3.4mg/眼、3.5mg/眼、3.6mg/眼、3.7mg/眼、3.8mg/眼、3.9mg/眼、4mg/眼、4.1mg/眼、4.2mg/眼、4.3mg/眼、4.4mg/眼、4.5mg/眼、4.6mg/眼、4.7mg/眼、4.8mg/眼、4.9mg/眼、5mg/眼、5.1mg/眼、5.2mg/眼、5.3mg/眼、5.4mg/眼、5.5mg/眼、5.6mg/眼、5.7mg/眼、5.8mg/眼、5.9mg/眼、6mg/眼、6.1mg/眼、6.2mg/眼、6.3mg/眼、6.4mg/眼、6.5mg/眼、6.6mg/眼、6.7mg/眼、6.8mg/眼、6.9mg/眼、7mg/眼、7.1mg/眼、7.2mg/眼、7.3mg/眼、7.4mg/眼、7.5mg/眼、7.6mg/眼、7.7mg/眼、7.8mg/眼、7.9mg/眼、8mg/眼、8.5mg/眼、9mg/眼、9.5mg/眼、10mg/眼、好ましくは2mg/眼若しくは4mg/眼の単回用量で、1日に1回、2日に1回、週に2回、週に1回、2週間毎に1回、4週間毎に1回、5週間毎に1回又は6週間毎に1回で、前記個体に対して、硝子体内又は静脈内投与することを含み、個体の中心窩網膜厚レベルの投与前レベルに比べて、投与後6週間又は8週間で、当該個体の中心窩網膜厚レベルは25μm以上減少し、例えば、25μm~350μm、好ましくは50μm~300μm、より好ましくは50μm~200μm減少し、例えば、25μm、50μm、75μm、100μm、125μm、150μm、175μm、200μm、225μm、250μm、275μm、300μm、325μm、350μm減少し、又は投与前レベルに比べて5%以上減少し、例えば、10%~70%、好ましくは10%~60%、より好ましくは30%~50%、さらに好ましくは40%~50%、例えば、5%、10%、15%、20%、25%、30%、35%、40%、45%、50%、55%、60%、65%若しくは70%減少する。
【0038】
上記の方法のいくつかの具体的な実施形態において、前記方法は、前記融合タンパク質を、約0.01mg/眼~10mg/眼、好ましくは0.05mg/眼~8mg/眼、より好ましくは0.05mg/眼~6mg/眼、さらに好ましくは0.5mg/眼~5mg/眼、さらに好ましくは1mg/眼~5mg/眼、さらに好ましくは2mg/眼~5mg/眼、例えば、0.5mg/眼~2mg/眼、1mg/眼~3mg/眼、2mg/眼~4mg/眼、2mg/眼~3mg/眼若しくは3mg/眼~5mg/眼、例えば、0.05mg/眼、0.1mg/眼、0.15mg/眼、0.2mg/眼、0.25mg/眼、0.3mg/眼、0.35mg/眼、0.4mg/眼、0.45mg/眼、0.5mg/眼、0.55mg/眼、0.6mg/眼、0.65mg/眼、0.7mg/眼、0.75mg/眼、0.8mg/眼、0.85mg/眼、0.9mg/眼、0.95mg/眼、1mg/眼、1.1mg/眼、1.2mg/眼、1.3mg/眼、1.4mg/眼、1.5mg/眼、1.6mg/眼、1.7mg/眼、1.8mg/眼、1.9mg/眼、2mg/眼、2.1mg/眼、2.2mg/眼、2.3mg/眼、2.4mg/眼、2.5mg/眼、2.6mg/眼、2.7mg/眼、2.8mg/眼、2.9mg/眼、3mg/眼、3.1mg/眼、3.2mg/眼、3.3mg/眼、3.4mg/眼、3.5mg/眼、3.6mg/眼、3.7mg/眼、3.8mg/眼、3.9mg/眼、4mg/眼、4.1mg/眼、4.2mg/眼、4.3mg/眼、4.4mg/眼、4.5mg/眼、4.6mg/眼、4.7mg/眼、4.8mg/眼、4.9mg/眼、5mg/眼、5.1mg/眼、5.2mg/眼、5.3mg/眼、5.4mg/眼、5.5mg/眼、5.6mg/眼、5.7mg/眼、5.8mg/眼、5.9mg/眼、6mg/眼、6.1mg/眼、6.2mg/眼、6.3mg/眼、6.4mg/眼、6.5mg/眼、6.6mg/眼、6.7mg/眼、6.8mg/眼、6.9mg/眼、7mg/眼、7.1mg/眼、7.2mg/眼、7.3mg/眼、7.4mg/眼、7.5mg/眼、7.6mg/眼、7.7mg/眼、7.8mg/眼、7.9mg/眼、8mg/眼、8.5mg/眼、9mg/眼、9.5mg/眼、10mg/眼、好ましくは2mg/眼若しくは4mg/眼の単回用量で、1日に1回、2日に1回、週に2回、週に1回、2週間毎に1回、4週間毎に1回、5週間毎に1回又は6週間毎に1回で、前記個体に対して、硝子体内又は静脈内投与することを含み、個体の脈絡膜血管新生(CNV)の面積の投与前レベルに比べて、投与後6週間又は8週間で、当該個体の脈絡膜血管新生(CNV)の面積は0.1mm2以上減少し、例えば、0.1mm2~20mm2、好ましくは0.2mm2~5mm2、より好ましくは0.3mm2~2mm2減少し、例えば、0.1mm2、0.2mm2、0.3mm2、0.4mm2、0.5mm2、0.6mm2、0.7mm2、0.8mm2、0.9mm2、1mm2、1.1mm2、1.2mm2、1.3mm2、1.4mm2、1.5mm2、1.6mm2、1.7mm2、1.8mm2、1.9mm2、2mm2、2.1mm2、2.2mm2、2.3mm2、2.4mm2、2.5mm2、2.6mm2、2.7mm2、2.8mm2、2.9mm2、3mm2、3.1mm2、3.2mm2、3.3mm2、3.4mm2、3.5mm2、3.6mm2、3.7mm2、3.8mm2、3.9mm2、4mm2、4.1mm2、4.2mm2、4.3mm2、4.4mm2、4.5mm2、4.6mm2、4.7mm2、4.8mm2、4.9mm2、5mm2、5.5mm2、6mm2、6.5mm2、7mm2、7.5mm2、8mm2、8.5mm2、9mm2、9.5mm2、10mm2、10.5mm2、11mm2、11.5mm2、12mm2、12.5mm2、13mm2、13.5mm2、14mm2、14.5mm2、15mm2、15.5mm2、16mm2、16.5mm2、17mm2、17.5mm2、18mm2、18.5mm2、19mm2、19.5mm2若しくは20mm2減少し、又は投与前レベルに比べて5%以上減少し、例えば、10%~70%、好ましくは10%~60%、より好ましくは30%~50%、さらに好ましくは40%~50%、例えば、5%、10%、15%、20%、25%、30%、35%、40%、45%、50%、55%、60%、65%若しくは70%減少する。
【0039】
上記の方法のいくつかの具体的な実施形態において、前記方法は、前記融合タンパク質を、約0.01mg/眼~10mg/眼、好ましくは0.05mg/眼~8mg/眼、より好ましくは0.05mg/眼~6mg/眼、さらに好ましくは0.5mg/眼~5mg/眼、さらに好ましくは1mg/眼~5mg/眼、さらに好ましくは2mg/眼~5mg/眼、例えば、0.5mg/眼~2mg/眼、1mg/眼~3mg/眼、2mg/眼~4mg/眼、2mg/眼~3mg/眼若しくは3mg/眼~5mg/眼、例えば、0.05mg/眼、0.1mg/眼、0.15mg/眼、0.2mg/眼、0.25mg/眼、0.3mg/眼、0.35mg/眼、0.4mg/眼、0.45mg/眼、0.5mg/眼、0.55mg/眼、0.6mg/眼、0.65mg/眼、0.7mg/眼、0.75mg/眼、0.8mg/眼、0.85mg/眼、0.9mg/眼、0.95mg/眼、1mg/眼、1.1mg/眼、1.2mg/眼、1.3mg/眼、1.4mg/眼、1.5mg/眼、1.6mg/眼、1.7mg/眼、1.8mg/眼、1.9mg/眼、2mg/眼、2.1mg/眼、2.2mg/眼、2.3mg/眼、2.4mg/眼、2.5mg/眼、2.6mg/眼、2.7mg/眼、2.8mg/眼、2.9mg/眼、3mg/眼、3.1mg/眼、3.2mg/眼、3.3mg/眼、3.4mg/眼、3.5mg/眼、3.6mg/眼、3.7mg/眼、3.8mg/眼、3.9mg/眼、4mg/眼、4.1mg/眼、4.2mg/眼、4.3mg/眼、4.4mg/眼、4.5mg/眼、4.6mg/眼、4.7mg/眼、4.8mg/眼、4.9mg/眼、5mg/眼、5.1mg/眼、5.2mg/眼、5.3mg/眼、5.4mg/眼、5.5mg/眼、5.6mg/眼、5.7mg/眼、5.8mg/眼、5.9mg/眼、6mg/眼、6.1mg/眼、6.2mg/眼、6.3mg/眼、6.4mg/眼、6.5mg/眼、6.6mg/眼、6.7mg/眼、6.8mg/眼、6.9mg/眼、7mg/眼、7.1mg/眼、7.2mg/眼、7.3mg/眼、7.4mg/眼、7.5mg/眼、7.6mg/眼、7.7mg/眼、7.8mg/眼、7.9mg/眼、8mg/眼、8.5mg/眼、9mg/眼、9.5mg/眼、10mg/眼、好ましくは2mg/眼若しくは4mg/眼の単回用量で、1日に1回、2日に1回、週に2回、週に1回、2週間毎に1回、4週間毎に1回、5週間毎に1回又は6週間毎に1回で、前記個体に対して、硝子体内又は静脈内投与することを含み、個体の最高矯正視力(BCVA)の投与前レベルに比べて、投与後6週間又は8週間で、当該個体の最高矯正視力(BCVA)は、ETDRS視力表において少なくとも1文字改善され、好ましくはETDRS視力表において少なくとも5文字改善され、より好ましくはETDRS視力表において5文字~35文字改善され、例えば、ETDRS視力表において5文字~25文字改善され、例えば、5文字~10文字、5文字~15文字、5文字~20文字、10文字~15文字、10文字~20文字、10文字~25文字、15文字~20文字若しくは15文字~25文字改善され、例えば、5文字、6文字、7文字、8文字、9文字、10文字、11文字、12文字、13文字、14文字、15文字、16文字、17文字、18文字、19文字、20文字、21文字、22文字、23文字、24文字、25文字、26文字、27文字、28文字、29文字、30文字、31文字、32文字、33文字、34文字若しくは35文字改善され、又は投与前レベルに比べて5%以上改善され、好ましくは10%以上改善され、例えば、10%~200%、好ましくは10%~150%、より好ましくは10%~100%、さらに好ましくは20%~100%、さらに好ましくは50%~100%、60%~100%、20%~80%若しくは30%~70%、さらに好ましくは50%~70%、さらに好ましくは60%~70%、例えば、5%、10%、15%、20%、25%、30%、35%、40%、45%、50%、55%、60%、65%、70%、75%、80%、85%、90%、95%、100%、110%、120%、130%、140%、150%、160%、170%、180%、190%若しくは200%改善される。
【0040】
二、使用
本発明の第2態様は、個体において加齢黄斑変性(AMD)を予防又は治療するための薬物の製造における、VEGF経路及び補体経路を阻害する融合タンパク質の使用に関する。
【0041】
本発明の第3態様は、個体において加齢黄斑変性(AMD)を予防又は治療するためのVEGF経路及び補体経路を阻害する融合タンパク質に関する。
【0042】
第2と第3態様については、さらに次のとおりに限定する。
【0043】
一実施形態において、前記融合タンパク質は配列番号1の配列を含む。
【0044】
DTGRPFVEMYSEIPEIIHMTEGRELVIPCRVTSPNITVTLKKFPLDTLIPDGKKIIWDSRKGFIISNATYKEIGLLTCEATVNGHLYKTNYLTHRQTNTIIDVVLSPSHGIELSVGEKLVLNCTARTELNVGIDFNWEYPSSKHQHKKLVNRDLKTQSGSEMKKFLSTLTIDGVTRSDQGLYTCAASSGLMTKKNSTFVRVHEKDKTHTCPPCPAPELLGGPSVFLFPPKPKDTLMISRTPEVTCVVVDVSHEDPEVKFNWYVDGVEVHNAKTKPREEQYNSTYRVVSVLTVLHQDWLNGKEYKCKVSNKALPAPIEKTISKAKGQPREPQVYTLPPSRDELTKNQVSLTCLVKGFYPSDIAVEWESNGQPENNYKTTPPVLDSDGSFFLYSKLTVDKSRWQQGNVFSCSVMHEALHNHYTQKSLSLSPGKGGGGGGQCNAPEWLPFARPTNLTDEFEFPIGTYLKYECRPGYYGRPFSIICLKNSVWTGAKDRCRRKSCRNPPDPVNGMVHVIKDIQFGSQIKYSCTKGYRLIGSSSATCIISGNTVIWDNETPICDRIPCGLPPTITNGDFISTNRENFHYGSVVTYRCNPGSGGRKVFELVGEPSIYCTSNDDQVGIWSGPAPQCI(配列番号1)。
【0045】
好ましい実施形態において、前記融合タンパク質の配列は配列番号1であり、記述の便宜上、本願では当該融合タンパク質をIBI302と呼び、その製造方法はWO2013082563A1を参照する。
【0046】
一実施形態において、前記AMDはウェット型AMDである。
【0047】
一実施形態において、前記ウェット型AMDは、視力低下、変形視、中心暗点、失読症、黄斑浮腫、眼底出血、血管新生、瘢痕線維症、地図状萎縮、又はそれらの任意の組み合わせの1つ又は複数の症状及び徴候を有する。
【0048】
一実施形態において、前記ウェット型AMDは脈絡膜血管新生(CNV)を有する。
【0049】
一実施形態において、前記ウェット型AMDは、以下の特徴を有するAMDである:
1) 対象眼におけるウェット型AMDに続発する活動性の中心窩下CNVであり、及び/又は、
2) 光干渉断層撮影(OCT)の走査による中心窩網膜厚が250μm以上。
【0050】
一実施形態において、前記個体はヒト個体である。
【0051】
好ましい実施形態において、前記個体は、ヒト個体であり、上記の実施形態のいずれか1項に記載の疾患、症状及び/又は特徴を有する。
【0052】
好ましい実施形態において、前記個体は、ヒト個体であり、地図状萎縮を伴うウェット型AMD患者である。
【0053】
好ましい実施形態において、前記個体は、以下の特徴を有するウェット型AMDに罹患している:
1) 対象眼におけるウェット型AMDに続発する活動性の中心窩下CNVであり、及び/又は、
2) 光干渉断層撮影(OCT)の走査による中心窩網膜厚が250μm以上である。
【0054】
好ましい実施形態において、前記治療は、個体において、
1) 中心窩網膜厚がベースラインに比べて減少すること、
2) 脈絡膜血管新生(CNV)の面積が減少すること、
3) 最高矯正視力(BCVA)がベースラインに比べて改善されること、
4) ウェット型AMD患者における地図状萎縮の発生時間が遅延すること、及び/又は、
5) ウェット型AMD患者における地図状萎縮の発生時間が遅くなること、その1つ又は複数の効果を実現できる。
【0055】
好ましい実施形態において、前記治療は、個体において、
1) 最高矯正視力(BCVA)を改善すること、
2) 中心窩網膜厚を減少させること、及び/又は、
3) 脈絡膜血管新生(CNV)の面積を減少させること、その1つ又は複数の効果を実現できる。
【0056】
好ましい実施形態において、前記治療は、個体において、
1) 最高矯正視力(BCVA)がベースラインレベルに比べてETDRS視力表において少なくとも1文字改善され、好ましくはETDRS視力表において少なくとも5文字改善され、より好ましくはETDRS視力表において5文字~35文字改善され、例えば、ETDRS視力表において5文字~25文字改善され、例えば、5文字~10文字、5文字~15文字、5文字~20文字、10文字~15文字、10文字~20文字、10文字~25文字、15文字~20文字若しくは15文字~25文字改善され、例えば、5文字、6文字、7文字、8文字、9文字、10文字、11文字、12文字、13文字、14文字、15文字、16文字、17文字、18文字、19文字、20文字、21文字、22文字、23文字、24文字、25文字、26文字、27文字、28文字、29文字、30文字、31文字、32文字、33文字、34文字若しくは35文字改善されること、及び/又は、
2) 最高矯正視力(BCVA)がベースラインレベルに比べて5%以上改善され、好ましくは10%以上改善され、例えば、10%~200%、好ましくは10%~150%、より好ましくは10%~100%、さらに好ましくは20%~100%、さらに好ましくは50%~100%、60%~100%、20%~80%若しくは30%~70%、さらに好ましくは50%~70%、さらに好ましくは60%~70%、例えば、5%、10%、15%、20%、25%、30%、35%、40%、45%、50%、55%、60%、65%、70%、75%、80%、85%、90%、95%、100%、110%、120%、130%、140%、150%、160%、170%、180%、190%若しくは200%改善されること、及び/又は、
3) 中心窩網膜厚(CST)がベースラインレベルに比べて25μm以上減少し、例えば、25μm~350μm、好ましくは50μm~300μm、より好ましくは50μm~200μm減少し、例えば、25μm、50μm、75μm、100μm、125μm、150μm、175μm、200μm、225μm、250μm、275μm、300μm、325μm、350μm減少し、又はベースラインレベルに比べて5%以上減少し、例えば、10%~70%、好ましくは10%~60%、より好ましくは30%~50%、さらに好ましくは40%~50%、例えば、5%、10%、15%、20%、25%、30%、35%、40%、45%、50%、55%、60%、65%若しくは70%減少すること、及び/又は、
4) 脈絡膜血管新生(CNV)の面積がベースラインレベルに比べて0.1mm2以上減少し、例えば、0.1mm2~20mm2、好ましくは0.2mm2~5mm2、より好ましくは0.3mm2~2mm2減少し、例えば、0.1mm2、0.2mm2、0.3mm2、0.4mm2、0.5mm2、0.6mm2、0.7mm2、0.8mm2、0.9mm2、1mm2、1.1mm2、1.2mm2、1.3mm2、1.4mm2、1.5mm2、1.6mm2、1.7mm2、1.8mm2、1.9mm2、2mm2、2.1mm2、2.2mm2、2.3mm2、2.4mm2、2.5mm2、2.6mm2、2.7mm2、2.8mm2、2.9mm2、3mm2、3.1mm2、3.2mm2、3.3mm2、3.4mm2、3.5mm2、3.6mm2、3.7mm2、3.8mm2、3.9mm2、4mm2、4.1mm2、4.2mm2、4.3mm2、4.4mm2、4.5mm2、4.6mm2、4.7mm2、4.8mm2、4.9mm2、5mm2、5.5mm2、6mm2、6.5mm2、7mm2、7.5mm2、8mm2、8.5mm2、9mm2、9.5mm2、10mm2、10.5mm2、11mm2、11.5mm2、12mm2、12.5mm2、13mm2、13.5mm2、14mm2、14.5mm2、15mm2、15.5mm2、16mm2、16.5mm2、17mm2、17.5mm2、18mm2、18.5mm2、19mm2、19.5mm2若しくは20mm2減少し、又はベースラインレベルに比べて5%以上減少し、例えば、10%~70%、好ましくは10%~60%、より好ましくは30%~50%、さらに好ましくは40%~50%、例えば、5%、10%、15%、20%、25%、30%、35%、40%、45%、50%、55%、60%、65%若しくは70%減少すること、その1つ又は複数の効果を実現できる。
【0057】
いくつか実施形態において、本発明の融合タンパク質の投与頻度は1日に3回、1日に2回、1日に1回、2日に1回、週に2回、週に1回、2週間毎に1回、4週間毎に1回、5週間毎に1回、6週間毎に1回、7週間毎に1回、8週間毎に1回、又は1か月に1回、2か月に1回又はより長い間隔である。本発明の融合タンパク質の投与期間は1週間、2週間、3週間、1か月、2か月、3か月又はより長い期間であってもよく、しかも各投与期間の間隔は同じでも異なってもよい。好ましい実施形態において、各投与期間において1回又は2回、好ましくは1回投与し、投与方式は各期間の初日に投与することである。
【0058】
上記の各実施形態において、本発明の融合タンパク質の単回投与用量は0.01mg/眼~10mg/眼、好ましくは0.05mg/眼~8mg/眼、より好ましくは0.05mg/眼~6mg/眼、さらに好ましくは0.5mg/眼~5mg/眼、さらに好ましくは1mg/眼~5mg/眼、さらに好ましくは2mg/眼~5mg/眼から選ばれ、例えば、0.5mg/眼~2mg/眼、1mg/眼~3mg/眼、2mg/眼~4mg/眼、2mg/眼~3mg/眼若しくは3mg/眼~5mg/眼であり、例えば、0.05mg/眼、0.1mg/眼、0.15mg/眼、0.2mg/眼、0.25mg/眼、0.3mg/眼、0.35mg/眼、0.4mg/眼、0.45mg/眼、0.5mg/眼、0.55mg/眼、0.6mg/眼、0.65mg/眼、0.7mg/眼、0.75mg/眼、0.8mg/眼、0.85mg/眼、0.9mg/眼、0.95mg/眼、1mg/眼、1.1mg/眼、1.2mg/眼、1.3mg/眼、1.4mg/眼、1.5mg/眼、1.6mg/眼、1.7mg/眼、1.8mg/眼、1.9mg/眼、2mg/眼、2.1mg/眼、2.2mg/眼、2.3mg/眼、2.4mg/眼、2.5mg/眼、2.6mg/眼、2.7mg/眼、2.8mg/眼、2.9mg/眼、3mg/眼、3.1mg/眼、3.2mg/眼、3.3mg/眼、3.4mg/眼、3.5mg/眼、3.6mg/眼、3.7mg/眼、3.8mg/眼、3.9mg/眼、4mg/眼、4.1mg/眼、4.2mg/眼、4.3mg/眼、4.4mg/眼、4.5mg/眼、4.6mg/眼、4.7mg/眼、4.8mg/眼、4.9mg/眼、5mg/眼、5.1mg/眼、5.2mg/眼、5.3mg/眼、5.4mg/眼、5.5mg/眼、5.6mg/眼、5.7mg/眼、5.8mg/眼、5.9mg/眼、6mg/眼、6.1mg/眼、6.2mg/眼、6.3mg/眼、6.4mg/眼、6.5mg/眼、6.6mg/眼、6.7mg/眼、6.8mg/眼、6.9mg/眼、7mg/眼、7.1mg/眼、7.2mg/眼、7.3mg/眼、7.4mg/眼、7.5mg/眼、7.6mg/眼、7.7mg/眼、7.8mg/眼、7.9mg/眼、8mg/眼、8.5mg/眼、9mg/眼、9.5mg/眼、10mg/眼であり、好ましくは2mg/眼若しくは4mg/眼である。
【0059】
いくつかの実施形態において、本発明の融合タンパク質又はその医薬組成物を単独で投与してもよく、他の薬物と組み合わせて同時に投与してもよい。
【0060】
いくつかの実施形態において、個体の中心窩網膜厚の投与前レベルに比べて、投与後2週間、3週間又は4週間、投与後5週間、投与後6週間、投与後7週間、投与後8週間、投与後9週間、投与後10週間、投与後3か月、投与後4か月又は投与後5か月で、当該個体の中心窩網膜厚レベルは25μm以上減少し、例えば、25μm~350μm、好ましくは50μm~300μm、より好ましくは50μm~200μm減少し、例えば、25μm、50μm、75μm、100μm、125μm、150μm、175μm、200μm、225μm、250μm、275μm、300μm、325μm、350μm減少し、又は投与前レベルに比べて5%以上減少し、例えば、10%~70%、好ましくは10%~60%、より好ましくは30%~50%、さらに好ましくは40%~50%、例えば、5%、10%、15%、20%、25%、30%、35%、40%、45%、50%、55%、60%、65%若しくは70%減少する。
【0061】
いくつかの実施形態において、個体の脈絡膜血管新生(CNV)の面積の投与前レベルに比べて、投与後2週間、3週間又は4週間、投与後5週間、投与後6週間、投与後7週間、投与後8週間、投与後9週間、投与後10週間、投与後3か月、投与後4か月又は投与後5か月で、当該個体の脈絡膜血管新生(CNV)の面積は0.1mm2以上減少し、例えば、0.1mm2~20mm2、好ましくは0.2mm2~5mm2、より好ましくは0.3mm2~2mm2減少し、例えば、0.1mm2、0.2mm2、0.3mm2、0.4mm2、0.5mm2、0.6mm2、0.7mm2、0.8mm2、0.9mm2、1mm2、1.1mm2、1.2mm2、1.3mm2、1.4mm2、1.5mm2、1.6mm2、1.7mm2、1.8mm2、1.9mm2、2mm2、2.1mm2、2.2mm2、2.3mm2、2.4mm2、2.5mm2、2.6mm2、2.7mm2、2.8mm2、2.9mm2、3mm2、3.1mm2、3.2mm2、3.3mm2、3.4mm2、3.5mm2、3.6mm2、3.7mm2、3.8mm2、3.9mm2、4mm2、4.1mm2、4.2mm2、4.3mm2、4.4mm2、4.5mm2、4.6mm2、4.7mm2、4.8mm2、4.9mm2、5mm2、5.5mm2、6mm2、6.5mm2、7mm2、7.5mm2、8mm2、8.5mm2、9mm2、9.5mm2、10mm2、10.5mm2、11mm2、11.5mm2、12mm2、12.5mm2、13mm2、13.5mm2、14mm2、14.5mm2、15mm2、15.5mm2、16mm2、16.5mm2、17mm2、17.5mm2、18mm2、18.5mm2、19mm2、19.5mm2若しくは20mm2減少し、又は投与前レベルに比べて5%以上減少し、例えば、10%~70%、好ましくは10%~60%、より好ましくは30%~50%、さらに好ましくは40%~50%、例えば、5%、10%、15%、20%、25%、30%、35%、40%、45%、50%、55%、60%、65%若しくは70%減少する。
【0062】
いくつかの実施形態において、個体の最高矯正視力(BCVA)の投与前レベルに比べて、投与後2週間、3週間又は4週間、投与後5週間、投与後6週間、投与後7週間、投与後8週間、投与後9週間、投与後10週間、投与後3か月、投与後4か月又は投与後5か月で、当該被験者の最高矯正視力(BCVA)は、ETDRS視力表において少なくとも1文字改善され、好ましくはETDRS視力表において少なくとも5文字改善され、より好ましくはETDRS視力表において5文字~35文字改善され、例えば、ETDRS視力表において5文字~25文字改善され、例えば、5文字~10文字、5文字~15文字、5文字~20文字、10文字~15文字、10文字~20文字、10文字~25文字、15文字~20文字若しくは15文字~25文字改善され、例えば、5文字、6文字、7文字、8文字、9文字、10文字、11文字、12文字、13文字、14文字、15文字、16文字、17文字、18文字、19文字、20文字、21文字、22文字、23文字、24文字、25文字、26文字、27文字、28文字、29文字、30文字、31文字、32文字、33文字、34文字若しくは35文字改善され、又は投与前レベルに比べて5%以上改善され、好ましくは10%以上改善され、例えば、10%~200%、好ましくは10%~150%、より好ましくは10%~100%、さらに好ましくは20%~100%、さらに好ましくは50%~100%、60%~100%、20%~80%若しくは30%~70%、さらに好ましくは50%~70%、さらに好ましくは60%~70%、例えば、5%、10%、15%、20%、25%、30%、35%、40%、45%、50%、55%、60%、65%、70%、75%、80%、85%、90%、95%、100%、110%、120%、130%、140%、150%、160%、170%、180%、190%若しくは200%改善される。
【0063】
いくつかの実施形態において、投与後では、前記個体に重篤な有害事象が発生しない。
【0064】
いくつかの実施形態において、投与後では、前記個体の有害事象発生率はプラセボを受ける個体と同等である。
【0065】
いくつかの実施形態において、前記個体はヒトである。
【0066】
いくつかの具体的な実施形態において、前記融合タンパク質は、約0.01mg/眼~10mg/眼、好ましくは0.05mg/眼~8mg/眼、より好ましくは0.05mg/眼~6mg/眼、さらに好ましくは0.5mg/眼~5mg/眼、さらに好ましくは1mg/眼~5mg/眼、さらに好ましくは2mg/眼~5mg/眼、例えば、0.5mg/眼~2mg/眼、1mg/眼~3mg/眼、2mg/眼~4mg/眼、2mg/眼~3mg/眼若しくは3mg/眼~5mg/眼の単回用量で、1日に1回、2日に1回、週に2回、週に1回、2週間毎に1回、4週間毎に1回、5週間毎に1回又は6週間毎に1回で硝子体内又は静脈内投与する方式で前記個体に投与され、個体の中心窩網膜厚レベルの投与前レベルに比べて、投与後6週間又は8週間で、当該個体の中心窩網膜厚レベルは25μm以上減少し、例えば、25μm~350μm、好ましくは50μm~300μm、より好ましくは50μm~200μm減少し、例えば、25μm、50μm、75μm、100μm、125μm、150μm、175μm、200μm、225μm、250μm、275μm、300μm、325μm、350μm減少し、又は投与前レベルに比べて5%以上減少し、例えば、10%~70%、好ましくは10%~60%、より好ましくは30%~50%、さらに好ましくは40%~50%、例えば、5%、10%、15%、20%、25%、30%、35%、40%、45%、50%、55%、60%、65%若しくは70%減少する。
【0067】
いくつかの具体的な実施形態において、前記融合タンパク質は、約0.01mg/眼~10mg/眼、好ましくは0.05mg/眼~8mg/眼、より好ましくは0.05mg/眼~6mg/眼、さらに好ましくは0.5mg/眼~5mg/眼、さらに好ましくは1mg/眼~5mg/眼、さらに好ましくは2mg/眼~5mg/眼、例えば、0.5mg/眼~2mg/眼、1mg/眼~3mg/眼、2mg/眼~4mg/眼、2mg/眼~3mg/眼若しくは3mg/眼~5mg/眼の単回用量で、1日に1回、2日に1回、週に2回、週に1回、2週間毎に1回、4週間毎に1回、5週間毎に1回又は6週間毎に1回で硝子体内又は静脈内投与する方式で前記個体に投与され、個体の脈絡膜血管新生(CNV)の面積の投与前レベルに比べて、投与後6週間又は8週間で、当該個体の脈絡膜血管新生(CNV)の面積は0.1mm2以上減少し、例えば、0.1mm2~20mm2、好ましくは0.2mm2~5mm2、より好ましくは0.3mm2~2mm2減少し、例えば、0.1mm2、0.2mm2、0.3mm2、0.4mm2、0.5mm2、0.6mm2、0.7mm2、0.8mm2、0.9mm2、1mm2、1.1mm2、1.2mm2、1.3mm2、1.4mm2、1.5mm2、1.6mm2、1.7mm2、1.8mm2、1.9mm2、2mm2、2.1mm2、2.2mm2、2.3mm2、2.4mm2、2.5mm2、2.6mm2、2.7mm2、2.8mm2、2.9mm2、3mm2、3.1mm2、3.2mm2、3.3mm2、3.4mm2、3.5mm2、3.6mm2、3.7mm2、3.8mm2、3.9mm2、4mm2、4.1mm2、4.2mm2、4.3mm2、4.4mm2、4.5mm2、4.6mm2、4.7mm2、4.8mm2、4.9mm2、5mm2、5.5mm2、6mm2、6.5mm2、7mm2、7.5mm2、8mm2、8.5mm2、9mm2、9.5mm2、10mm2、10.5mm2、11mm2、11.5mm2、12mm2、12.5mm2、13mm2、13.5mm2、14mm2、14.5mm2、15mm2、15.5mm2、16mm2、16.5mm2、17mm2、17.5mm2、18mm2、18.5mm2、19mm2、19.5mm2若しくは20mm2減少し、又は投与前レベルに比べて5%以上減少し、例えば、10%~70%、好ましくは10%~60%、より好ましくは30%~50%、さらに好ましくは40%~50%、例えば、5%、10%、15%、20%、25%、30%、35%、40%、45%、50%、55%、60%、65%若しくは70%減少する。
【0068】
いくつかの具体的な実施形態において、前記融合タンパク質は、約0.01mg/眼~10mg/眼、好ましくは0.05mg/眼~8mg/眼、より好ましくは0.05mg/眼~6mg/眼、さらに好ましくは0.5mg/眼~5mg/眼、さらに好ましくは1mg/眼~5mg/眼、さらに好ましくは2mg/眼~5mg/眼、例えば、0.5mg/眼~2mg/眼、1mg/眼~3mg/眼、2mg/眼~4mg/眼、2mg/眼~3mg/眼若しくは3mg/眼~5mg/眼の単回用量で、1日に1回、2日に1回、週に2回、週に1回、2週間毎に1回、4週間毎に1回、5週間毎に1回又は6週間毎に1回で硝子体内又は静脈内投与する方式で前記個体に投与され、個体の最高矯正視力(BCVA)の投与前レベルに比べて、投与後6週間又は8週間で、当該個体の最高矯正視力(BCVA)は、ETDRS視力表において少なくとも1文字改善され、好ましくはETDRS視力表において少なくとも5文字改善され、より好ましくはETDRS視力表において5文字~35文字改善され、例えば、ETDRS視力表において5文字~25文字改善され、例えば、5文字~10文字、5文字~15文字、5文字~20文字、10文字~15文字、10文字~20文字、10文字~25文字、15文字~20文字若しくは15文字~25文字改善され、例えば、5文字、6文字、7文字、8文字、9文字、10文字、11文字、12文字、13文字、14文字、15文字、16文字、17文字、18文字、19文字、20文字、21文字、22文字、23文字、24文字、25文字、26文字、27文字、28文字、29文字、30文字、31文字、32文字、33文字、34文字若しくは35文字改善され、又は投与前レベルに比べて5%以上改善され、好ましくは10%以上改善され、例えば、10%~200%、好ましくは10%~150%、より好ましくは10%~100%、さらに好ましくは20%~100%、さらに好ましくは50%~100%、60%~100%、20%~80%若しくは30%~70%、さらに好ましくは50%~70%、さらに好ましくは60%~70%、例えば、5%、10%、15%、20%、25%、30%、35%、40%、45%、50%、55%、60%、65%、70%、75%、80%、85%、90%、95%、100%、110%、120%、130%、140%、150%、160%、170%、180%、190%若しくは200%改善される。
【0069】
なお、上記の第2と第3態様に記載の任意の技術的特徴と第1態様に記載の技術的解決手段の任意の技術的特徴の任意の組み合わせから得た技術的解決手段も本願に含まれることを理解されたい。
【0070】
三、単回薬物用量ユニット又は薬物キット
本発明の第4態様は、VEGF経路及び補体経路を阻害する融合タンパク質を含む単回薬物用量ユニットに関する。
【0071】
一実施形態において、前記融合タンパク質は配列番号1の配列を含む。
【0072】
DTGRPFVEMYSEIPEIIHMTEGRELVIPCRVTSPNITVTLKKFPLDTLIPDGKKIIWDSRKGFIISNATYKEIGLLTCEATVNGHLYKTNYLTHRQTNTIIDVVLSPSHGIELSVGEKLVLNCTARTELNVGIDFNWEYPSSKHQHKKLVNRDLKTQSGSEMKKFLSTLTIDGVTRSDQGLYTCAASSGLMTKKNSTFVRVHEKDKTHTCPPCPAPELLGGPSVFLFPPKPKDTLMISRTPEVTCVVVDVSHEDPEVKFNWYVDGVEVHNAKTKPREEQYNSTYRVVSVLTVLHQDWLNGKEYKCKVSNKALPAPIEKTISKAKGQPREPQVYTLPPSRDELTKNQVSLTCLVKGFYPSDIAVEWESNGQPENNYKTTPPVLDSDGSFFLYSKLTVDKSRWQQGNVFSCSVMHEALHNHYTQKSLSLSPGKGGGGGGQCNAPEWLPFARPTNLTDEFEFPIGTYLKYECRPGYYGRPFSIICLKNSVWTGAKDRCRRKSCRNPPDPVNGMVHVIKDIQFGSQIKYSCTKGYRLIGSSSATCIISGNTVIWDNETPICDRIPCGLPPTITNGDFISTNRENFHYGSVVTYRCNPGSGGRKVFELVGEPSIYCTSNDDQVGIWSGPAPQCI(配列番号1)。
【0073】
好ましい実施形態において、前記融合タンパク質の配列は配列番号1であり、記述の便宜上、本願では当該融合タンパク質をIBI302と呼び、その製造方法はWO2013082563A1を参照する。
【0074】
いくつかの実施形態において、前記単回薬物用量ユニットは、0.01mg~10mg、好ましくは0.05mg~8mg、より好ましくは0.05mg~6mg、さらに好ましくは0.5mg~5mg、さらに好ましくは1mg~5mg、さらに好ましくは2mg~5mg、例えば、0.5mg~2mg、1mg~3mg、2mg~4mg、2mg~3mg若しくは3mg~5mg、例えば、0.05mg、0.1mg、0.15mg、0.2mg、0.25mg、0.3mg、0.35mg、0.4mg、0.45mg、0.5mg、0.55mg、0.6mg、0.65mg、0.7mg、0.75mg、0.8mg、0.85mg、0.9mg、0.95mg、1mg、1.1mg、1.2mg、1.3mg、1.4mg、1.5mg、1.6mg、1.7mg、1.8mg、1.9mg、2mg、2.1mg、2.2mg、2.3mg、2.4mg、2.5mg、2.6mg、2.7mg、2.8mg、2.9mg、3mg、3.1mg、3.2mg、3.3mg、3.4mg、3.5mg、3.6mg、3.7mg、3.8mg、3.9mg、4mg、4.1mg、4.2mg、4.3mg、4.4mg、4.5mg、4.6mg、4.7mg、4.8mg、4.9mg、5mg、5.1mg、5.2mg、5.3mg、5.4mg、5.5mg、5.6mg、5.7mg、5.8mg、5.9mg、6mg、6.1mg、6.2mg、6.3mg、6.4mg、6.5mg、6.6mg、6.7mg、6.8mg、6.9mg、7mg、7.1mg、7.2mg、7.3mg、7.4mg、7.5mg、7.6mg、7.7mg、7.8mg、7.9mg、8mg、8.5mg、9mg、9.5mg、10mg、好ましくは2mg若しくは4mgの用量の前記融合タンパク質を含む。
【0075】
本発明の第5態様は、上記の単回薬物用量ユニットの実施形態のいずれか1項に記載の融合タンパク質を含む薬物キットに関する。
【0076】
本発明の第6態様は、加齢黄斑変性(AMD)を予防又は治療する薬物の製造における、上記の単回薬物用量ユニット又は上記の薬物キットの使用に関する。
【0077】
本発明の第7態様は、加齢黄斑変性(AMD)を予防又は治療するための上記の単回薬物用量ユニット又は上記の薬物キットに関する。
【0078】
なお、上記の第4~第7態様に記載の任意の技術的特徴と第1から第3態様に記載の技術的解決手段の任意の技術的特徴の任意の組み合わせから得た技術的解決手段も本願に含まれることを理解されたい。
【0079】
「定義」
本明細書で使用される用語は次に掲げる定義を有する。本明細書で定義されない場合に、特許出願WO2013082563A1における定義が適用される。両方にも定義されない場合に、本発明で使用される用語は、当分野で一般的に理解される意味を有する。
【0080】
本明細書を解釈するために次の定義が使用され、適切であるならば、単数形で使用される用語には複数の場合が含まれてもよく、その逆も同様である。なお、本明細書で使用される用語は、具体的な実施形態を説明するためのものに過ぎず、限定することを意図するものではないことを理解されたい。
【0081】
本明細書で使用される場合、用語「及び/又は」とは、選択可能オプションのうちのいずれか1項又は選択可能オプションの2項又は複数項を指す。
【0082】
本明細書で使用される場合、用語「含有する」又は「含む」とは、記載された要素、整数又はステップを含むが、任意の他の要素、整数又はステップを除外しないことを意味する。本明細書において、用語「含有する」又は「含む」が使用される場合、特に明記しない限り、記載された要素、整数又はステップからなる場合もカバーする。例えば、ある具体的な配列の抗体可変領域を「含む」ことが言及される場合、当該配列からなる抗体可変領域をカバーすることも意図する。
【0083】
「個体」は哺乳動物を含む。哺乳動物は、家畜(例えば、ウシ、ヤギ、ネコ、イヌ、ウマ)、霊長類動物(例えば、ヒト、サルなどの非ヒト霊長類動物)、ウサギ、及びげっ歯類動物(例えば、マウス、ラット)を含むが、これらに限定されない。いくつかの実施形態において、個体はヒトであり、小児、青少年、成人を含む。
【0084】
用語「組み合わせて投与する」とは、本開示に記載の疾患を治療するために2種又はそれ以上の治療剤を投与することを指す。このような投与は、例えば、固定比率の有効成分を有する単一の組成物の形で、実質的に同時にこれらの治療剤を同時投与することを含む。又は、このような投与は、複数種の又は別個の容器(例えば、錠剤、カプセル、粉末、液体)内での各有効成分の同時投与を含む。粉末及び/又は液体は、投与前に所望の用量に再構成又は希釈することができる。さらに、このような投与は、各タイプの治療剤を実質的に同じ時間又は異なる時間で連続して使用することを含む。いずれの場合においても、治療計画は、本明細書に記載の障害又は病状の治療における医薬の組み合わせの有益な効果を提供する。
【0085】
本明細書で使用される場合、「治療」とは、出現している症状、障害、病状又は疾患の進行又は重症度に対する軽減、中断、遅延、寛解、停止、低減、又は逆転を指す。
【0086】
本明細書で使用される場合、「予防」は、疾患、障害、又は特定の疾患もしくは障害に係る症状の発生又は進行に対する阻害を含む。いくつかの実施形態において、家族歴を有する個体は、予防計画対象の候補である。一般に、用語「予防」とは、病症又は症状が発生する前に、特に、リスクを有する個体に発生する前に薬物を投与することを指す。
【0087】
用語「有効量」とは、1回分又は複数回分の量を患者に投与した後、治療される患者に所望の効果が生じる、本発明の製剤又は融合タンパク質の量又は用量を指す。有効量は、当業者である主治医が、例えば、哺乳動物の生物種、投与対象の体積、年齢、健康状態と、関係する特定の疾患、疾患の程度又は重症度、個々の患者の応答、投与される特定の抗体、投与形態、投与製剤の生物学的利用能の特徴、選択される投与計画、併用療法の適用などの様々な要因を考慮して容易に決定することができる。
【0088】
「治療有効量」とは、所定の期間にわたって所定の用量で所望の治療結果を効果的に実現するための量を指す。本発明の製剤、抗体又は抗体断片又はその複合体又は組成物の治療有効量は、例えば、疾患の状態、個体の年齢、性別、重量、抗体又は抗体部分の個体に所望の反応を引き起こす能力などの様々な要因によって変わることができる。治療有効量は、製剤、抗体又は抗体断片又はその複合体又は組成物の任意の毒性又は有害作用が治療の有益な効果に及ばないような量でもある。
【0089】
「予防有効量」とは、所定の期間にわたって所定の用量で所望の予防結果を効果的に実現するための量を指す。一般に、予防目的の用量が対象における疾患の初期段階より前に又は疾患の初期段階に適用されるため、予防有効量は治療有効量を下回る。
【0090】
用語「融合タンパク質」とは、互いに共有結合した2つ又は複数の部分を有するポリペプチドを指し、前記部分のそれぞれが異なるタンパク質に由来する。当該2つ又は複数の部分は直接単一のペプチド結合によって、又は1つ又は複数のアミノ酸残基を含むペプチドリンカーによって接続されてもよい。一般に、当該2つの部分と当該リンカーは共にオープンリーディングフレームに位置し、組換え技術によって生成される。
【0091】
用語「VEGF経路及び補体経路を阻害する融合タンパク質」は、補体阻害ドメイン(CID)、VEGF阻害ドメイン(VID)及び半減期延長ドメインを含み、本発明の好ましい実施形態において、前記VEGF融合タンパク質はWO2013082563A1に記載の配列番号40から選ばれ、前記「CID」、「VID」及び「半減期延長ドメイン」についてはWO2013082563A1を参照する。
【0092】
用語「網膜中心窩」とは、網膜の中心に位置する、視力が最も敏感な領域であり、明所視と色覚に関与する錐体細胞が当該領域に分布するため、当該領域に及ぶ病変であれば中心視力の明らかな低下を引き起こし、色覚異常、変形視、中心暗点などが併発することもあり、当該部位の病変は出血、浮腫、厚さの増加、萎縮などとして現れることがある。また、黄斑は網膜中心窩領域の真ん中に位置する。
【0093】
用語「脈絡膜新生血管」とは、ブルッフ膜(Bruch膜)の裂け目を通して拡張し、ブルッフ膜(Bruch膜)と網膜色素上皮の間、もしくは神経網膜と網膜色素上皮の間、又は網膜色素上皮と脈絡膜の間において増殖して形成される脈絡膜毛細血管に由来する増殖血管を指し、RPE-ブルッフ膜(Bruch膜)-脈絡膜毛細血管複合体に及ぶ多くの疾患は、いずれも脈絡膜血管新生を引き起こす可能性がある。
【0094】
用語「最高矯正視力」とは、眼の屈折異常を完全に矯正した後に測定される視力である。眼の実際の視覚能力を反映する。
【0095】
本明細書で使用される場合、用語「製剤」又は「医薬組成物」とは、動物、好ましくは哺乳動物(ヒトを含む)への投与に適する、少なくとも1つの有効成分と少なくとも1つの非有効成分とを含む組成物を指す。「液体製剤」又は「液体組成物」とは、液体形態の製剤を指す。本発明の液体組成物は、(i)本発明に記載の融合タンパク質と、(ii)緩衝剤と、(iii)溶媒とを含む。本発明の製剤の組成は、液体医薬組成物に関する上記の実施形態に示されるとおりであってもよい。本発明の液体製剤は、注射剤であることが好ましい。
【0096】
「薬学的に許容可能な担体」とは、医薬製剤の有効成分以外の、対象に毒性がない成分を指す。薬学的に許容可能な担体は、緩衝剤、賦形剤、安定剤、防腐剤を含むが、これらに限定されない。
【0097】
本明細書で使用される場合、「緩衝剤」とは、pH緩衝剤を指す。例えば、緩衝剤は、ヒスチジン、グルタミン酸塩、リン酸塩、酢酸塩、クエン酸塩、トリス(ヒドロキシメチル)アミノメタンから選ばれる。
【0098】
本明細書で使用される場合、用語「溶媒」とは、液体製剤を形成するように有効成分及び非有効成分を溶解又は懸濁させるための液体を指す。本発明で使用可能な溶媒は、注射用水、注射用有機溶剤(注射用油、エタノール、プロピレングリコールなどを含むがこれらに限定されない)、またはこれらの組み合わせを含むが、これらに限定されない。
【0099】
本明細書で使用される場合、用語「単回薬物用量ユニット」とは、投与時に患者に投与する、本発明の融合タンパク質を含む単回医薬剤形を指し、例えば、薬物の溶液又は凍結乾燥粉末を含む注射用バイアル、アンプル、プレフィルドニードルもしくはプレフィルドシリンジである。
【0100】
用語「約」は、数字又は数値と共に使用される場合に、下限が指定された数字又は数値より10%小さく、上限が指定された数字又は数値より10%大きい範囲内の数字又は数値をカバーすることを意味する。
【図面の簡単な説明】
【0101】
【
図1】VEGF-Aによって誘発されるHUVEC増殖に対するIBI302の阻害効果を示す。
【
図2】古典的補体経路によって媒介される溶血に対するIBI302の阻害効果を示す。
【
図3】代替補体経路によって媒介される溶血に対するIBI302の阻害効果を示す。
【
図4】CNVに対する各用量のIBI302の阻害効果を示す。ここで、*とはPBS群に比べてP<0.05であり、#とはIBI302 1μg、3μg又は5μg群に比べてP<0.05である。
【
図5】IBI302によるCNVの形成と漏出の阻害を示す。ここで、*とはPBS群に比べてP<0.05であり、#とはIBI302 10μg群に比べてP<0.05である。
【
図6】炎症細胞の凝集に対するIBI302の阻害効果を示す。ここで、*とはPBS群に比べてP<0.05であり、#とはIBI302 10μg群に比べてP<0.05である。
【
図7】アカゲザルCNVモデルにおける眼底の蛍光色素漏出に対するIBI302の影響を示す(蛍光造影)。
【
図8】脈絡膜のCD31免疫組織化学的染色の代表的な画像を示す。
【
図9】脈絡膜のC5b-9免疫組織化学的染色の代表的な画像を示す。
【
図10】アカゲザルにおけるIBI302の静脈内注射及び硝子体内注射後の血清中薬物濃度-時間曲線を示す。
【
図11】アカゲザルにおけるIBI302の硝子体内注射後の房水及び硝子体液中薬物濃度-時間曲線を示す。
【
図12】アカゲザルにおけるIBI302の硝子体内注射後の水晶体、角膜、虹彩、網膜、脈絡膜、視神経、強膜中薬物濃度-時間曲線を示す。
【
図13】アカゲザルにおける異なる用量のIBI302の最初の静脈内注射及び硝子体内注射後の平均血中薬物濃度-時間曲線を示す。
【
図14】アカゲザルにおける異なる用量のIBI302の最後の静脈内注射及び硝子体内注射後の平均血中薬物濃度-時間曲線を示す。
【
図15】実施例5に記載の第I相臨床試験における用量漸増の概略図を示す。
【
図16】実施例5に記載の第I相臨床試験の研究フローの概略図を示す。
【
図17】実施例5に記載の第I相臨床試験の初期の試験結果に示される、正しく識別された文字数の変化傾向及びベースラインとの比較を示す。
【
図18】実施例5に記載の第I相臨床試験の初期の試験結果に示される、中心窩網膜厚(CST)の変化傾向及びベースラインとの比較(△CST)を示す。
【
図19】実施例5に記載の第I相臨床試験の全体的な研究結果における各用量群のBCVA(ETDRS視力表文字数)の検査結果の経時的変化を示し、ここで、治験薬の最初の投与前(スクリーニング期間のデータを含む)の最後の非欠損値をベースラインとする。
【
図20】実施例5に記載の第I相臨床試験の全体的な研究結果における各用量群のBCVA(ETDRS視力表文字数)のベースラインに対する変化値の経時的変化を示し、ここで、治験薬の最初の投与前(スクリーニング期間のデータを含む)の最後の非欠損値をベースラインとする。変化値は各訪問における測定値とベースラインの差の平均値と定義される。
【
図21】実施例5に記載の第I相臨床試験の全体的な研究結果における各用量群の眼科OCT検査による黄斑の中心窩厚の経時的変化を示し、ここで、治験薬の最初の投与前(スクリーニング期間のデータを含む)の最後の非欠損値をベースラインとする。
【
図22】実施例5に記載の第I相臨床試験の全体的な研究結果における各用量群の眼科OCT検査による黄斑の中心窩厚のベースラインに対する変化値の経時的変化を示し、ここで、治験薬の最初の投与前(スクリーニング期間のデータを含む)の最後の非欠損値をベースラインとする。変化値は各訪問における測定値とベースラインの差の平均値と定義される。
【発明を実施するための形態】
【0102】
以下、実施例を挙げて本発明をさらに説明し、以下の実施例は本発明を限定するものと解釈されるべきではない。
【0103】
略語
AMD 加齢黄斑変性
BCVA 最高矯正視力
OCT 光干渉断層撮影
CNV 脈絡膜血管新生
AE 有害事象
DLT 用量制限毒性
EC50 半数効果濃度
SAE 重篤な有害事象
TEAE 治験薬投与後に発現した有害事象
CR1 ヒト補体受容体1
【0104】
実施例1:インビトロ薬力学的研究
IBI302のVEGFファミリー及び補体ファミリーサイトカインとの親和性
Biacore T200を用いて、IBI302の関連のリガンドとの親和性、IBI302のVEGFファミリー及びC3b、C4bとの親和性を検討し、表1を参照する。
【0105】
IBI302のVEGFファミリーサイトカインとの親和性はアフリベルセプト注射液と同等であり、ベバシズマブ注射液より有意に強かった。IBI302のC4bとの親和性はCR1と同等であり、IBI302のC3bとの親和性はCR1よりわずかに弱く、IBI302のCID末端がCR1のドメインの一部であるためと考えられるが、それでもnMレベルには達していた。
【0106】
【0107】
VEGF-Aによって誘発されるHUVEC増殖に対するIBI302の阻害効果
一連の濃度勾配のIBI302を固定濃度のVEGF-A165と作用させた後、HUVEC細胞は遊離VEGF-A165の量によって異なる増殖能力を示し、CCK-8発色キットを用いてHUVEC生細胞の数を測定することにより、HUVEC細胞の増殖に対するIBI302の阻害効率を測定した。また、アフリベルセプト及びベバシズマブ注射液を対照薬とした。
【0108】
結果に示すように、IBI302の半数効果濃度(EC
50)は54.36ng/mL、57.53ng/mLであり、347pmol/L、368pmol/Lに相当し、アフリベルセプト注射液のEC
50は41.02ng/mLであり、357pmol/Lに相当し、ベバシズマブ注射液のEC
50は87.07ng/mLであり、584pmol/Lに相当した。IBI302はVEGFによって刺激されるHUVEC増殖を有意に阻害することができ、アフリベルセプトと活性が似ており、ベバシズマブ注射液よりわずかに強かった。表2及び
図1を参照する。
【0109】
【0110】
古典的補体経路に対するIBI302の阻害効果
ヒト血清補体刺激感作ヒツジ赤血球モデルを使用し、IBI302は0.02nM~1080.26nMの濃度範囲においてヒト血清補体によって誘発される感作ヒツジ赤血球の溶血反応を濃度依存的に阻害することができ、半数効果濃度(EC
50)値は2.514nMであった。CR1のEC
50値は2.254nMであった。IBI302は、CR1と同様に、古典的補体経路を有意に阻害できることが示唆された。結果の詳細は
図2を参照する。
【0111】
代替補体経路に対するIBI302の阻害効果
ヒト血清補体刺激ウサギ赤血球モデルを使用し、IBI302は1.50nM~383.39nMの濃度範囲においてヒト血清補体によって誘発されるウサギ赤血球の溶血反応を濃度依存的に阻害することができ、EC
50値は14.59nMであった。CR1のEC
50値は15.30nMであった。IBI302は、CR1と同様に、代替補体経路を有意に阻害できることが示唆された。結果の詳細は
図3を参照する。
【0112】
補体活性化により酸化損傷したhRPE細胞のバリア機能に対するIBI302の作用及びその機序
実験ではhRPE細胞を使用し、正常群(nor)、モデル群(ctr)、アフリベルセプト群(VEGF-Trap)、CR1群、IBI302群に分けた。正常群以外の各群にはいずれもt-BHP、10%の正常ヒト血清を加え、正常群は等体積のPBSを加えた。薬物治療群にはさらに対応の薬物をそれぞれ加え、各薬物の最終濃度を1μg/mLとし、正常群、モデル群には等体積のPBSを加えた。4時間培養後にhRPE単層細胞のバリア機能を測定した。4時間培養後に、hRPE細胞によって分泌されたVEGF、ケモカインリガンド2(Chemokine (C-C motif) ligand 2、CCL2)、C3a、C5a及びMACをELISA法で測定した。
【0113】
モデル群(ctr)、アフリベルセプト群、CR1群及びIBI302群の補体活性化により酸化損傷したhRPEの経上皮電気抵抗値(TER)はそれぞれ正常群(nor)hRPEの54.01%、64.64%、63.48%及び75.90%であった。アフリベルセプト群、CR1群及びIBI302群はモデル群に比べていずれもTERが有意に上昇し、IBI302群はアフリベルセプト群、CR1群に比べて有意差があり、表3を参照する。
【0114】
【0115】
モデル群に比べて、アフリベルセプト群、CR1群及びIBI302群はhRPEによって分泌されたVEGFの濃度が明らかに低減した。IBI302群はアフリベルセプト群、CR1群に比べて、VEGF濃度が明らかに低減した。CR1群、IBI302群はhRPEによって分泌されたCCL2がモデル群より明らかに低減し、アフリベルセプト群はhRPEによって分泌されたCLL2がモデル群に比べて統計学的に有意差がなかった。IBI302群はアフリベルセプト群、CR1群に比べて、CCL2濃度が明らかに低減し、表4及び表5を参照する。
【0116】
【0117】
【0118】
hRPE補体活性化に対する影響の実験結果が示すように、モデル群(ctr)に比べて、CR1群及びIBI302群はいずれも補体有効成分C3a、C5a、MACの発現を明らかに低減した。CR1群に比べて、IBI302群のC3a、C5a及びMACの発現に対する阻害は、統計学的に有意差がなかった。アフリベルセプト群はモデル群に比べて、補体有効成分C3a、C5a、MACの生成に対する影響は統計学的に有意差がなく、表6、表7、表8を参照する。
【0119】
【0120】
【0121】
【0122】
これらの実験結果は、IBI302が補体活性化により酸化損傷したhRPE細胞のバリア機能に保護効果があることを示し、その機序としてはVEGF及び補体活性化後の補体有効成分C3a、C5a及びMACの発現を同時に阻害することにより、hRPEによって分泌されたCCL2及びVEGFを一層減少させることが考えられる。
【0123】
実施例2:動物におけるインビボ薬力学的研究
レーザーによって誘発されるマウスの脈絡膜新生血管に対するIBI302の作用及び機序研究
実験ではC57BL/6Jマウスを使用し、レーザー光凝固術を4か所で行い、研究対象として組み入れられたマウスを1群あたり2匹(4眼)でランダムに、レーザーモデリング群、リン酸緩衝生理食塩水(PBS)治療群と、IBI302 1μg/μL、3μg/μL、5μg/μL、10μg/μL用量群の6群に分けた。レーザー光凝固後に直ちに各群の脈絡膜血管新生(CNV)マウスの両眼の硝子体腔内にそれぞれ1μLの各用量のIBI302又はPBSを注射した。レーザー光凝固後7日目にフルオレセインイソチオシアネート-デキストラン(FITC-Dextran)眼窩静脈洞灌流と脈絡膜の超薄切片作製を行い、レーザーによって誘発されるマウスのCNVの面積に対する各用量のIBI302の影響を観察した。
【0124】
更なる実験では、IBI302群、アフリベルセプト(VEGF-Trap)群、CR1群、PBS群と群分けをした。IBI302及び対照薬物はいずれも10μg/μLであり、レーザー光凝固後に直ちに各群のCNVマウスの両眼の硝子体腔内にそれぞれ1μLの各群のサンプルを注射した。レーザー光凝固後7日目にマウスの眼底造影検査を行い、CNVの状況を観察した。マウスを抱水クロラールで麻酔した後、トロピカミド・フェニレフリン塩酸塩で散瞳した。最初に赤外光眼底写真を撮影し、次に、FITC-Dextran、インドシアニングリーン血管造影(ICGA)及びフルオレセイン蛍光眼底血管造影(FFA)眼底造影検査をそれぞれ行った。最後にELISA法でRPE-脈絡膜におけるVEGF、CCL2、TNF-α及びC3a、C5aタンパク質の濃度を測定した。
【0125】
実験結果:
CNVに対する異なる用量のIBI302の阻害効果:レーザー光凝固後7日目にマウス眼窩静脈洞FITC-Dextran灌流を行って脈絡膜超薄切片を作製し、新生血管が花弁状の構造であることが確認された。レーザーモデリング群(laser群)はPBS群のCNV面積と統計学的に有意差がなかった。PBS群に比べて、IBI302 1μg群、3μg群、5μg群、10μg群はCNV面積がPBS群よりそれぞれ14.27%、48.79%、62.46%、68.83%減少した。IBI302 10μg群を1μg群、3μg群、5μg群と2つずつCNV面積を比較したところ、いずれも統計学的に有意差があり、表9及び
図4を参照する。
【0126】
【0127】
PBS対照群に比べて、10μg/眼のIBI302、アフリベルセプト及びCR1はいずれもCNVの面積と漏出を阻害した。アフリベルセプト及びCR1群に比べて、10μg/眼のIBI302はCNVの面積と漏出を明らかに阻害することができ、表10、表11及び
図5を参照する。
【0128】
【0129】
【0130】
レーザーによって誘発されるCNVマウスにおけるVEGF生成に対するIBI302の阻害効果:レーザー光凝固後3日目に、PBS群に比べて、10μg/眼のIBI302、アフリベルセプト及びCR1はいずれもレーザーによって誘発されるCNVマウスにおけるVEGF生成を阻害することができる。アフリベルセプト群及びCR1群に比べて、IBI302のVEGF生成に対する阻害効果は統計学的に有意差があり、表12を参照する。
【0131】
【0132】
レーザーによって誘発されるCNVマウスにおける補体の活性化に対するIBI302の阻害:レーザー光凝固後3日目に、脈絡膜免疫蛍光超薄切片を作製し、PBS群、アフリベルセプト群、CR1群に比べて、10μg/眼のIBI302は脈絡膜におけるMACの沈着を明らかに阻害できることを発見した。レーザー光凝固後の12時間で、RPE-脈絡膜複合体におけるC3a及びC5aの発現レベルをELISA法で測定して、モデル群に比べて、CR1群及びIBI302群におけるC3a及びC5aの発現が明らかに低減していることを発見した。IBI302群とCR1群ではC3a及びC5aの濃度に統計学的に有意差がなく、IBI302群はアフリベルセプト群に比べて、C3a及びC5aの濃度が明らかに低減しており、表13及び表14を参照する。
【0133】
【0134】
【0135】
レーザーによって誘発されるCNVマウスの炎症性サイトカインCCL2及びTNF-αに対するIBI302の阻害効果:レーザー光凝固後12時間及び3日目に、それぞれRPE-脈絡膜複合体における炎症性サイトカインCCL2及びTNF-αの発現レベルをELISA法で測定した。PBS群に比べて、10μg/眼のCR1群及びIBI302群は炎症性サイトカインCCL2及びTNF-αの発現が明らかに低減した。IBI302群はCCL2及びTNF-αの濃度がアフリベルセプト群より有意に低減しており、表15及び表16を参照する。
【0136】
【0137】
【0138】
レーザーによって誘発されるCNVマウスの炎症細胞の凝集に対するIBI302の阻害効果:レーザー光凝固後の初日及び3日目に、それぞれ脈絡膜超薄切片を作製して免疫蛍光法で脈絡膜における好中球及びマクロファージの凝集を測定した。IBI302は脈絡膜における好中球及びマクロファージの沈着を明らかに阻害することができ、PBS群及びアフリベルセプト群に比べていずれも統計学的に有意差があり、表17、表18及び
図6を参照する。
【0139】
【0140】
【0141】
結果は、IBI302はレーザーによって誘発されるマウスのCNVの形成及び漏出を阻害できることを示し、その機序としてはVEGF及び補体活性化後の有効成分C3a、C5a、MAC及びCCL2、TNF-αの発現を同時に阻害し、マクロファージ及び好中球の浸潤を阻害することにより、VEGFの分泌及び血管新生を阻害することが考えられる。
【0142】
レーザーによって誘発されるアカゲザルの脈絡膜新生血管に対するIBI302の阻害試験
実験ではレーザーを用いてアカゲザルの眼底黄斑の中心窩周辺に光凝固術を行って、眼底の脈絡膜血管新生を誘発することにより、ヒト脈絡膜新生血管に類似する動物モデルを作成した。両眼のモデリングに成功したサル25匹(オスとメス両方)を選択して5群に分け、それぞれモデル対照群、ベバシズマブ注射液1.25mg/眼群、IBI302 0.25mg/眼群、IBI302 0.5mg/眼群、IBI302 1.25mg/眼群であり、1群あたりサル5匹で、オスもメス両もあった。詳細については表19を参照する。光凝固後21日目に、各群のサルに50μL/眼で硝子体より対応の薬物を単回注射した。
【0143】
投与後14、28日に眼底カラー写真撮影、フルオレセイン眼底血管造影を行い、11、25日に光干渉断層撮影(OCT)検査を行って治験薬サンプルの脈絡膜新生血管に対する阻害状況を観察した。29日にサルの両眼から房水を抽出してVEGFを測定し、左眼は組織病理学的検査を行い、右眼はCD31、C5b-9免疫組織化学的染色検査を行った。
【0144】
【0145】
結果は次のとおりであった。
蛍光造影及びOCT検査:モデル対照群のサルは投与後14、28日でいずれもフルオレセイン漏出の程度に明らかな変化が見られず、蛍光スポットの面積の方も明らかな縮小が見られず、一部のサルでは眼におけるフルオレセインの漏出が経時的に増加する傾向も見られた。グレード4蛍光スポットの数は投与前に比べて明らかな変化が見られなかった。投与後11、25日のOCT検査では網膜厚の明らかな減少が見られず、局所のブルッフ膜(Bruch’s膜)構造の修復が見られず、脈絡膜新生血管が依然として明らかであり、高反射光スポットが見られた。
【0146】
ベバシズマブ注射液群は投与後14、28日で漏出面積が投与前より明らかに縮小し、モデル対照群に比べて有意差があり(P<0.05)、グレード4蛍光スポットの数は投与前に比べて明らかに減少した。投与後11、25日のOCT検査では全ての眼病変の最も高い部分での網膜厚がいずれも明らかに減少し、モデリング前のレベルに近く又はそれに達しており、対照群に比べていずれも統計学的に有意差があった(P<0.05)。
【0147】
IBI302 0.25mg/眼群、0.5mg/眼群及び1.25mg/眼群のサルは投与後14、28日で漏出面積が投与前より明らかに縮小し、モデル対照群に比べて有意差があり(P<0.05)、しかも投与後28日の漏出面積の改善も陽性対照群より有意に上回った(P<0.05)。グレード4蛍光スポットの数は投与前に比べて明らかに減少した。投与後11、25日のOCT検査では網膜厚がいずれも明らかに減少し、モデリング前のレベルに近く又はそれに達しており、モデル対照群に比べていずれも統計学的に有意差があり(P<0.05)、陽性対照群に比べて、各指標はいずれも統計学的差がなかった(P>0.05)。
【0148】
投与前後の各群のサルの眼底レーザースポットのフルオレセイン漏出、蛍光スポットの数及び網膜厚はそれぞれ表20、表21、表22及び
図7を参照する。
【0149】
【0150】
【0151】
【0152】
VEGF測定:投与後14、28日で、ベバシズマブ注射液1.25mg/眼群、モデル対照群はそれぞれ1匹のサルの血清VEGF濃度が定量下限付近と測定された以外、他の時点はいずれも定量下限を下回った。投与後29日で、ベバシズマブ注射液1.25mg/眼群のサルは房水VEGF濃度が対照群に比べて減少し、統計学的に有意差があり(P<0.05)、各IBI302群のサルは房水VEGF濃度がいずれも定量下限を下回った。結果の詳細は表23を参照する。
【0153】
【0154】
組織病理学及び免疫組織化学:HE染色結果は、モデル対照群では軽微~中等度の限局性網膜/脈絡膜線維組織過形成及び軽微~軽度の限局性神経上皮剥離が出現していることを示した。各IBI302群及びベバシズマブ注射液1.25mg/眼群は上記の病変の重症度がいずれもモデル対照群より軽かった。
【0155】
マッソン(Masson)トリクローム染色結果は、モデル対照群では軽微の網膜内限局性コラーゲン線維過形成陽性が出現していることを示した。モデル対照群に比べて、ベバシズマブ注射液1.25mg/眼群及び各IBI302群は過形成線維組織陽性の強度に明らかな差がなく、陽性の分布については、陽性対照群及び各IBI302群がモデル対照群に比べて減少し、IBI302 1.25mg/眼群では1眼に陽性染色が見られなかった。
【0156】
免疫組織化学結果は次のとおりである。免疫組織化学的染色結果はIBI302各用量群がいずれも脈絡膜におけるCD31及びC5b-9の発現を減少させることができ、しかも一定の用量依存関係があり、ベバシズマブ注射液はCD31の発現に明らかな阻害効果があるが、C5b-9の発現に影響がないことを示した。結果の詳細は表24、表25、
図8及び
図9を参照する。
【0157】
【0158】
【0159】
上記の研究結果は、レーザーによって誘発されるアカゲザルの脈絡膜血管新生モデルにおいて、IBI302が光凝固の箇所のフルオレセイン漏出、蛍光スポットの面積及び蛍光スポットの数を明らかに減らし、蛍光スポット病変での網膜厚を減少させることにより、色素上皮の完全性と連続性を回復させることができ、房水におけるVEGFレベルを低減し、線維組織の過形成を軽減し、脈絡膜におけるCD31及びC5b-9の発現を阻害することができ、IBI302は臨床用量のベバシズマブよりも有効性が優れていることを示した。
【0160】
安全性薬理学試験
50匹のアカゲザルはランダムに、対照群、IBI302静脈内注射8mg/サル群、IBI302硝子体内注射0.5mg/眼群、IBI302硝子体内注射2mg/眼群、IBI302硝子体内注射4mg/眼群の5群に分けられた。1群当たり10匹の動物で、オスとメスが半々であった。投与期間及び休薬回復期間において各群のサルの一般運動状態、精神状態、呼吸状態などを毎日観察し、体温を週に1回で測定し、1回目の投与後約6、24、48、120時間、最後の投与後約6時間、回復期間の4週目及び回復期間終了後でサルの呼吸状態を観察して第II誘導心電図及び血圧を測定した。
【0161】
実験結果は、投与期間及び休薬回復期間において、各群のアカゲザルは一般状態が良好で、自発運動が正常で、治験薬関連の行動異常が見られず、研究中、各群のアカゲザルは体温の異常が見られないことを示す。最初の投与後6、24、48、120時間、最後の投与後約6時間、回復期間の4週目及び回復期間終了後で、各IBI302群のサルは心拍数、QT及び修正QT間隔、PR間隔、RR間隔、P波持続時間、QRS波持続時間などの心電図指標、収縮期血圧、拡張期血圧、平均血圧及び肉眼で観察する呼吸状態にいずれも薬物関連の異常な変化が見られなかった。アカゲザルへのIBI302 0.5mg/眼、2mg/眼又は4mg/眼硝子体内注射又はIBI302 8mg/サルの静脈内注射は中枢神経系、呼吸器系及び心血管系のいずれに明らかな影響がないことを示唆した。
【0162】
結論
薬力学的研究の結論
IBI302は、一方でVID末端によってVEGFファミリーに特異的に結合して、VEGF-Aによって誘発されるHUVEC増殖を阻害することができ、他方でCID末端によってC3b及びC4bに特異的に結合して、代替補体経路及び古典的経路によって媒介される溶血を阻害することができ、IBI302は二重標的の特異的モノクローナル抗体であり、標的が明瞭で、作用機序が明瞭であるということを示した。
【0163】
IBI302はVEGF-A及び補体によって媒介されるシグナル伝達経路を二重に遮断することにより、t-BHPによって刺激されるhRPE細胞からのVEGF-A、CCL2、C3a、C5a及びMACの放出を阻害することでhRPE細胞に保護効果を発揮した。レーザーによって誘発される脈絡膜血管新生マウスにおけるVEGF、CCL2、TNF-α、C3a、C5a及びMACの発現を阻害し、脈絡膜血管新生を軽減した。レーザーによって誘発される脈絡膜血管新生アカゲザルにおけるVEGF、CD31及びC5-b9の発現を阻害し、脈絡膜血管新生及び新生血管漏出を低減し、網膜厚を減少させ、色素上皮を保護することから、IBI302の有効性が確実であることが示された。
【0164】
薬力学的特徴及び意味
(1)二重標的:IBI302は、一方でVID末端によってVEGF-A165、VEGF-A121及びPIGFに特異的に結合し、他方でCID末端によってC3b及びC4bに特異的に結合し、二重標的薬に属し、標的が明瞭である。
【0165】
(2)明瞭な作用機序:IBI302のCIDはC3b及びC4bに特異的に結合することにより、古典的補体経路及び代替補体経路の活性化を阻害し、補体の活性化によって媒介される炎症反応を軽減することができ、VID末端はVEGFファミリーに結合してVEGFによって媒介されるシグナル伝達経路を遮断して、血管内皮細胞の生存、増殖を阻害することにより、血管新生を阻害し、血管の透過性を軽減し、血管漏出を減少させることができる。
【0166】
(3)明確な有効性:t-BHP誘発hRPE酸化ストレスモデルではIBI302はhRPEに有意な保護効果があることが示され、レーザーによって誘発されるマウス及びアカゲザルの脈絡膜血管新生モデルにおいて、IBI302は明らかな抗血管新生と漏出の効果を生じることができることから、IBI302は優れた臨床有効性を有することが示唆された。
【0167】
(4)市販の抗VEGF薬よりも良好な有効性:t-BHP誘発hRPE酸化ストレスモデル、レーザーによって誘発されるマウス及びアカゲザルの脈絡膜血管新生モデルのいずれにおいても、IBI302はアフリベルセプト又はベバシズマブより有効性が優れたことから、IBI302は市販の単独の抗VEGF薬よりも有効性が優れたという可能性があることが示唆された。
【0168】
(5)臨床適応症:これまでのIBI302の前臨床薬理活性と類似する薬物の臨床的使用をまとめて、IBI302はウェット型加齢黄斑変性(AMD)の臨床的治療に用いる。
【0169】
実施例3:薬物動態学的研究
吸収
アカゲザルにおけるIBI302のインビボ薬物動態学的研究
アカゲザルへのIBI302単回静脈内又は硝子体内注射による薬物動態学的研究では、27匹のアカゲザルはランダムに静脈内注射群及び硝子体内注射群に分けられ、硝子体内注射群は21匹の動物(メス11匹、オス10匹)で、静脈内注射群は6匹の動物(メス3匹、オス3匹)であった。静脈内注射群及び硝子体内注射群の6匹の動物はそれぞれ投与前及び投与後0.5時間、1時間、2時間、4時間、10時間、24時間、48時間、72時間、96時間、144時間、192時間、240時間、336時間、504時間で採血し、血清を分離した。硝子体内注射群はそれぞれ投与後4時間、24時間、72時間、168時間、336時間、504時間で房水、硝子体液、水晶体、角膜、虹彩、網膜、脈絡膜、強膜、視神経及び血清を採取した。実験設計の詳細は表26を参照する。
【0170】
【0171】
結果は、IBI302硝子体内注射後の薬物半減期T1/2が、静脈内注射より有意に長かったことを示した。眼中薬物濃度は血清薬物濃度より有意に高く、全身毒性のリスクが比較的小さかった。薬物の眼組織分布から見ると、薬物は主に眼組織の硝子体、網膜及び脈絡膜に分布し、終末消失半減期T1/2と平均滞留時間MRTのいずれから見ると、薬物が網膜及び脈絡膜に比較的長く滞留して、役割を果たした。
【0172】
血清における薬物動態学的結果は表27及び
図10を参照し、眼組織における薬物動態学的結果は表28、
図11及び
図12を参照する。
【0173】
【0174】
【0175】
IBI302反復投与によるトキシコキネティクス研究
アカゲザルにIBI302を硝子体内注射する4週間の反復投与毒性試験では、50匹のアカゲザルはランダムに、対照群、IBI302 8mg/匹静脈内注射群、IBI302 0.5mg/眼硝子体内注射群、IBI302 2mg/眼硝子体内注射群、IBI302 4mg/眼硝子体内注射群の5群に分けられ、2週間毎に1回投与し、連続で3回投与し、1群当たり10匹の動物で、オスとメスが半々であった。対照群はそれぞれ最初及び最後の投与前、投与後24時間で採血し、血清を調製した。IBI302 8mg/匹静脈内注射群はそれぞれ最初及び最後の投与前、投与後5分間、1時間、4時間、8時間、24時間、48時間、72時間、120時間、168時間、336時間で採血し、血清を調製した。IBI302硝子体内注射投与群はそれぞれ最初及び最後の投与前、投与後1時間、4時間、8時間、24時間、48時間、72時間、120時間、168時間で採血し、血清を調製した。確立されたELISA法で血清中のIBI302濃度を測定した。実験設計の詳細は表29を参照する。
【0176】
【0177】
結果は、アカゲザルへのIBI302連続静脈内注射後、蓄積率は0.7であることを示した。アカゲザルへのIBI302 0.5mg/眼、2mg/眼、4mg/眼の硝子体内注射を繰り返すと、最初の投与後に、C
maxとAUC
(0~t)の比率はそれぞれ1:4.4:5.5及び1:6.3:13.4であり、一定の用量依存関係があり、最後の投与後に、C
maxとAUC
(0~t)の比率はそれぞれ1:2.3:7.9及び1:15.7:54.6であった。IBI302各用量の蓄積率はそれぞれNA(最終回でごく少数の動物は薬物が検出されなかったため、計算できない)、0.3、0.4であった。結果の詳細は表30と表31及び
図13と
図14を参照する。
【0178】
【0179】
【0180】
上記の結果は、アカゲザルへのIBI302硝子体内注射を繰り返すと、薬物曝露量及び最大濃度は用量が増えるのに伴って増加し、一定の用量相関性があることを示した。最後の注射投与後の血清中の薬物曝露量は、程度の差こそあれ、最初の投与後の曝露量に比べて低減し、免疫原性結果と合わせれば一部の動物に抗体が産生されていることが示され、反復投与後に蓄積しないことも示された。
【0181】
分布
実施例1のアカゲザルにおけるIBI302のインビボ薬物動態学的研究を参照する。
代謝
「ICH S6 Preclinical Safety Evaluation of Biotechnology-Derived Pharmaceuticals」及び『治療用生物製品非臨床的安全性技術評価の一般原則』によると、IBI302が抗体薬物であり、代謝試験が不要であるため、IBI302の代謝に関連する研究は実施しなかった。
【0182】
このような薬物の代謝法則により、IBI302の代謝生成物はペプチド断片又はアミノ酸であると予想される。
【0183】
排泄
関連の研究は実施しなかった。
【0184】
結論
薬物動態学的研究結論
アカゲザルへのIBI302硝子体内注射後、局所(眼)範囲におけるIBI302の代謝速度は全身より有意に低く、眼中の局所薬物濃度が血清中の薬物濃度より有意に高く、薬物の殆どが眼に制限されているため、全身毒性のリスクが小さい。薬物の眼曝露量により、薬物は硝子体液、網膜及び脈絡膜に分布するのが最も多く、効果を発揮することが示された。アカゲザルへのIBI302硝子体内注射を繰り返すと、薬物曝露量及び最大濃度は用量が増えるのに伴って増加し、一定の用量相関性があり、最後の注射投与後の血清中の薬物曝露量は、程度の差こそあれ、最初の投与後の曝露量に比べて低減し、免疫原性結果と合わせれば一部の動物に抗体が産生されていることが示され、反復投与後に蓄積しないことも示された。
【0185】
薬物動態学的特徴及び意味
(1)組織分布:IBI302硝子体内注射後、薬物の殆どが眼に制限されており、眼中の局所薬物濃度が血清中の薬物濃度より有意に高いことから、IBI302は主に眼で薬理活性を発揮し、全身毒性のリスクが小さいことが示唆された。また、硝子体液、網膜及び脈絡膜に薬物分布が最も多く、薬物が主に網膜及び脈絡膜に作用するという設計の目的に合致している。
【0186】
(2)長続きする有効性:IBI302硝子体内注射後、終末消失半減期T1/2と平均滞留時間MRTのいずれから見ると、薬物が網膜及び脈絡膜に長く滞留し、役割を果たすのに役立った。
【0187】
(3)蓄積性:アカゲザルへのIBI302静脈内又は硝子体内注射を繰り返すと、最後の投与後の薬物曝露量がいずれも最初の投与より低いため、蓄積性はなかった。
【0188】
(4)免疫原性:アカゲザルへのIBI302の静脈内又は硝子体内注射を繰り返すと、最後の注射投与後の血清中の薬物曝露量が、程度の差こそあれ、最初の投与後の曝露量より低減していることから、一部の動物にはIBI302に対する抗体が産生されていることが示唆された。
【0189】
実施例4:毒物学的研究
単回投与毒性
IBI302を2mg/眼又は4mg/眼の用量でアカゲザルに硝子体内注射により単回投与し、14日間観察したところ、全てのサルには明らかな毒性反応が見られないことから、IBI302を2mg/眼又は4mg/眼の用量でアカゲザルに硝子体内注射により単回投与するのは耐性が良好であることが示された。
【0190】
反復投与毒性
50匹のアカゲザルはランダムに、対照群、IBI302静脈内注射8mg/サル群、IBI302硝子体内注射0.5mg/眼群、IBI302硝子体内注射2mg/眼群、IBI302硝子体内注射4mg/眼群の5群に分けられた。1群当たり10匹の動物で、オスとメスが半々であった。対照群及びIBI302 4mg/眼群はそれぞれ100μL/眼の体積で両眼に、0.9%の塩化ナトリウム注射液、40mg/mLのIBI302を硝子体内注射により投与し、IBI302 0.5mg/眼群、2mg/眼群はそれぞれ50μL/眼の体積で両眼に、10mg/mL及び40mg/mLのIBI302を硝子体内注射により投与した。2週間毎に1回投与し、連続で3回投与し、休薬回復期間は74日であった。実験設計の詳細は表32を参照する。
【0191】
【0192】
結果は次のとおりであった。
静脈群及び各硝子体内注射群のアカゲザルは体重、体温、食事摂取量、血液学、血液生化学、尿検査指標、骨髓関連指標、心電図と血圧、臓器重量及び臓器係数ならびに眼球、視神経以外の各臓器の組織病理学的検査などにいずれも異常な変化が見られなかった。
【0193】
各用量のIBI302硝子体内注射は、程度の差こそあれ、いずれもアカゲザルに眼内炎症を引き起こし、所見は主に次のとおりであった。
【0194】
0.5mg/眼群:投与期間中、1/10のアカゲザル(右眼は最初の投与後3日から、左眼は2回目の投与後7日から)は、間接検眼鏡検査で重度の硝子体混濁/屈折媒体混濁、眼底が見えないこと又は網膜細静脈の白線化、出血性病巣、硝子体混濁が発見され、細隙灯検査では前房滲出、眼圧低減、硝子体混濁、虹彩細部不明瞭化、房水フレア、細胞、角膜浮腫混濁又は前房滲出、AR、硝子体混濁が発見され、眼圧が明らかに低減し、白血球数(WBC)、単球(MONO)、好中球及びパーセンテージ(NEU、NEU%)は明らかな上昇が見られ、病理検査で炎症細胞浸潤、硝子体変性が発見された。
【0195】
回復期間の4週目で1/4から網膜分枝血管周囲の白線化が発見され、回復期間の6週目になるとほぼ回復しており、病理検査ではごく少数の眼だけから軽微の炎症細胞浸潤が発見された。
【0196】
2mg/眼群:投与期間中、1/10のサル(左眼は2回目の投与後3日から、右眼は3回目の投与後3日から)は、間接検眼鏡検査で前房滲出、重度の硝子体混濁、眼底が見えないこと又は血管周囲出血を伴う網膜静脈血管周囲の白線化が発見され、細隙灯検査で前房滲出、散瞳困難、球結膜浮腫、結膜・毛様充血、角膜混濁、房水フレア、虹彩細部不明瞭化、浮腫又は虹彩細部不明瞭化、浮腫が発見され、眼圧が明らかに低減し、WBC、MONO、NEU、NEU%は明らかな上昇が見られ、肉眼的解剖では両眼の前房瞳孔領域に灰白色化が見られた。もう1匹のサルは3回目投与後1日で、硝子体内に血塊が出現し(注射に関連する可能性がある)、3回目投与後6日目で硝子体混濁が見られ、眼底が見えなかった。眼の電気生理学的(ERG)検査では、投与終了後、メスサルは明順応3.0(Cone-R)下のb波の振幅が低減していることが発見され、病理検査で眼への単球浸潤、好中球浸潤、硝子体変性、網膜/虹彩浮腫及び軽微の視神経単球浸潤が発見された。
【0197】
回復期間の4週目に2/4のサルから網膜分枝血管周囲の白線化が発見され、回復期間の6週目になるとほぼ回復しており、回復期間の4、7週でメスサルは明順応3.0(Cone-R)下のb波の振幅が低減していること発見され、病理検査ではごく少数の眼だけに軽微の視神経、毛様体又は網膜単球浸潤が出現した。
【0198】
4mg/眼群:投与期間中、1/10のサル(両眼、3回目投与後6日)は間接検眼鏡で両眼の硝子体混濁が発見され、細隙灯検査で前房滲出、硝子体混濁が発見された。もう1匹のサルは1回目投与後1日で左眼に前房滲出が出現した。投与終了後、メスサルは明順応3.0(Cone-R)下のb波、暗順応3.0(Max-R)下のa波の振幅が低減していた。病理検査で眼への単球浸潤、硝子体変性、網膜浮腫及び軽微の視神経単球浸潤が発見された。
【0199】
回復期間の4週目に、間接検眼鏡で3/4のサルから網膜分枝血管周囲の白線化が発見され、回復期間の10週目になるとほぼ回復しており、細隙灯検査で1匹のサル(比率1/4)から5週目に両眼の硝子体混濁が発見され、回復期間の6週目になると正常に回復した。回復期間の4、7週目に、メスサルは明順応3.0(Cone-R)下のb波の振幅が低減し、回復期間の10週目に所見はなかった。回復期間の4週目に2/4匹のサルのは両眼OCT走査で眼底血管周囲網膜の明らかな浮腫、増厚が見られ、網膜血管での反射が増強し、下方の対応の組織走査で黒い影が見られた。回復期間の7週目に、所見はなかった。病理検査では、ごく少数の眼だけに軽微の視神経、毛様体又は網膜単球浸潤が出現していることが発見された。
【0200】
要約すると、アカゲザルにIBI302を2週間毎に1回、連続3回で0.5mg/眼、2mg/眼又は4mg/眼の用量で硝子体内注射により投与し、又は8mg/匹の用量で静脈内注射し、回復期間は74日であった。各用量は全身毒性が見られず、ごく少数の動物に眼内炎症が発見されただけで、回復期間終了後、各群は眼科検査したところ、眼内炎症がほぼ回復しており、眼の組織病理学的変化が明らかに回復していることが見られた。
【0201】
遺伝毒性
「ICH S6 Preclinical Safety Evaluation of Biotechnology-Derived Pharmaceuticals」及び『治療用生物製品非臨床的安全性技術評価の一般原則』によると、IBI302が抗体薬物であり、代謝生成物はペプチド断片又はアミノ酸であり、いずれもDNAと他の遺伝物質に影響を与えなく、遺伝毒性研究が不要であるため、IBI302の遺伝毒性に関連する研究は実施しなかった。
【0202】
発がん性
本品は硝子体内注射により投与し、全身曝露量が少なく、50歳以上の適応症集団を対象とするため、発がん性研究は実施しなかった。
【0203】
生殖毒性
本品は硝子体内注射により投与し、全身曝露量が少なく、50歳以上の適応症集団を対象とし、生殖毒性のリスクが小さいため、生殖毒性研究は実施しなかった。
【0204】
局所耐性
日本白色種ウサギにIBI302を週に1回、4週間連続で、0.5mg/眼又は2mg/眼(濃度がそれぞれ10mg/mL又は40mg/mL)の用量で点眼投与し、ウサギ眼に刺激がなかった。
【0205】
他の毒物学的試験
免疫原性
50匹のアカゲザルはランダムに、対照群、IBI302静脈内注射8mg/サル群、IBI302硝子体内注射0.5mg/眼群、IBI302硝子体内注射2mg/眼群、IBI302硝子体内注射4mg/眼群の5群に分けられた。1群当たり10匹の動物で、オスとメスが半々であった。2週間毎に1回投与し、連続で3回投与し、休薬回復期間は74日であった。
【0206】
免疫原性研究の結果は、最後の投与後、2mg/眼、4mg/眼硝子体内注射群は、メスとオスサルの循環性免疫複合体(CIC)が上昇し、回復期間の4週目に、4mg/眼硝子体内注射群もメスとオスサルにCICが上昇する傾向が見られた。各用量群はいずれも一部の動物に抗薬物抗体が産生され、生物活性測定法で分析した結果、一部の抗薬物抗体が中和抗体である可能性はあることが示され、IBI302に一定の免疫原性があることが示された。
【0207】
免疫毒性
50匹のアカゲザルはランダムに、対照群、IBI302静脈内注射8mg/サル群、IBI302硝子体内注射0.5mg/眼群、IBI302硝子体内注射2mg/眼群、IBI302硝子体内注射4mg/眼群の5群に分けられた。1群当たり10匹の動物で、オスとメスが半々であった。2週間毎に1回投与し、連続で3回投与し、休薬回復期間は74日であった。
【0208】
免疫毒性研究中、実験結果では、各IBI302群のメスとオスサルの他の免疫指標として免疫グロブリンIgG、IgA、IgM及びTリンパ球サブセットCD3+、CD4+、CD8+はいずれも異常な変化が見られなかった。投与終了後及び回復期間終了後、各IBI302群はサルの脾臓及び胸腺の絶対重量と臓器係数がいずれも異常な変化が見られず、病理学的検査の方も異常な変化が見られなかった。IBI302に免疫毒性がないことが示された。
【0209】
他の試験
組織交差反応性
通常の免疫組織化学法(ワンステップ法)でIBI302の健康なヒト及びカニクイザル組織との免疫学的交差反応性を検討した。実験結果によると、(1)2μg/mL及び20μg/mLの濃度下で、ビオチン化IBI302(Biotin-IBI302)及びビオチン化アフリベルセプト(Biotin-ZALTRAP)は組換えヒトVEGF-A165タンパク質塗抹標本において特異的な着色が見られた。Biotin-IBI302はヒト補体C4bタンパク質塗抹標本において特異的な着色が見られ、Biotin-ZALTRAPはヒト補体C4bタンパク質塗抹標本において特異的な着色が見られなかった。陰性対照群では、Biotin-IBI302又はBiotin-ZALTRAPの特異的な着色が見られず、しかも全ての試薬対照群(IBI302 placebo)における全てのタンパク質塗抹標本において着色が観察されないことから、実験システムが確立されていることが示された。(2)2μg/mL及び20μg/mLの濃度下で、IBI302及びアフリベルセプトの健康なヒト及びカニクイザル組織における免疫組織化学的染色において特異的な着色が見られなかった。
【0210】
結論
毒物学的研究の結論
IBI302を2mg/眼又は4mg/眼の用量でアカゲザルに硝子体内注射により単回投与したところ、明らかな毒性反応が見られず、耐性が良好であった。アカゲザルにIBI302を2週間毎に1回、連続3回で0.5mg/眼、2mg/眼又は4mg/眼の用量で硝子体内注射により投与し、又は8mg/匹の用量で静脈内注射し、回復期間は74日であった。結果では、明らかな全身毒性が見られず、各用量のIBI302の硝子体内注射は、程度の差こそあれ、いずれもサルに眼内炎症を引き起こすことができ、眼及び視神経の炎症性病理学的変化が見られることが示された。回復期間終了後、各群は眼科検査したところ眼内炎症がほぼ回復しており、眼の組織病理学的変化が明らかに回復していることが見られた。静脈内注射及び硝子体内注射の各用量群はいずれも抗薬物抗体が産生され、一部の抗薬物抗体が中和抗体であり、10週間の回復で完全に解消されなかった。眼内炎症は抗薬物抗体の産生と免疫複合体の形成に関係する可能性があり、臨床研究で出現する可能性が低く、リスクが小さかった。また、日本白色種ウサギにIBI302を週に1回、4週間連続で、0.5mg/眼又は2mg/眼の用量で点眼投与し、ウサギ眼に刺激がなかった。IBI302は健康なヒト組織及びカニクイザル組織のいずれとの明らかな組織交差反応性がなかった。
【0211】
毒物学的研究の特徴及び意味
(1)単回投与:IBI302を2mg/眼又は4mg/眼の用量でアカゲザルに硝子体内注射により単回投与したところ、明らかな毒性反応が見られず、中枢神経系、呼吸器系及び心血管系に対する明らかな影響もなかった。IBI302の硝子体内単回注射投与は安全性が高いことが示唆された。
【0212】
(2)複数回投与:アカゲザルにIBI302を2週間毎に1回、連続3回で0.5mg/眼、2mg/眼又は4mg/眼の用量で硝子体内注射により投与し、又は8mg/匹の用量で静脈内注射し、回復期間は74日であった。明らかな全身毒性が見られなかった。主な症状としては、硝子体内注射群は程度の差こそあれ、眼内炎症が見られ、眼及び視神経の炎症性病理学的変化も見られ、回復期間終了後、各群は眼科検査したところ眼内炎症がほぼ回復しており、眼の組織病理学的変化が明らかに回復していることが見られた。IBI302の毒性反応は眼の局所だけに発生し、回復が可能であり、安全性が高いことが示唆された。
【0213】
(3)免疫毒性及び免疫原性:アカゲザルへのIBI302硝子体内注射を繰り返すと、免疫毒性が一切見られなかった。IBI302の各用量群はいずれも抗薬物抗体が産生され、発生率が高かった。IBI302はアカゲザルに一定の免疫原性があり、それでも臨床研究では注意を払うことが推奨されることが示唆された。
【0214】
(4)眼内炎:IBI302の硝子体内注射で出現する眼内炎症は、抗薬物抗体の産生と免疫複合体の形成に関係しており、IBI302が完全ヒトモノクローナル抗体であり、臨床では抗薬物抗体及び免疫複合体が出現する可能性が低いことを考慮すると、眼内炎のリスクが小さく、それでも臨床研究では注意を払うべきである。
【0215】
(5)局所刺激実験:日本白色種ウサギにIBI302を週に1回、4週間連続で、0.5mg/眼又は2mg/眼の用量で点眼投与し、ウサギ眼に刺激がなかった。IBI302は眼に刺激がないことが示唆された。
【0216】
(6)組織特異性:IBI302は健康なヒト組織及びカニクイザル組織のいずれとの明らかな交差反応がないことから、IBI302は健康なヒト組織との明らかな相互作用がなく、標的関連毒性が非常に低いことが示唆された。
【0217】
実施例5:ウェット型加齢黄斑変性(AMD)患者における単回投与の耐性及び安全性に関する用量漸増第I相臨床研究
研究目的
ウェット型AMD患者におけるIBI302単回硝子体内注射の安全性、耐性、生物活性及び有効性を評価する。
【0218】
薬物
IBI302であり、仕様は0.2mL:2mg、0.2mL:8mgである。
0.5mg/眼、2mg/眼及び4mg/眼の用量は従来の仕様の治験薬から直接抽出することができる。
【0219】
他の用量は次のステップで調製した。
注射器でバイアルから固定体積の治験薬を抽出する。
対応の体積の溶媒ボトルに注入する。
注射器を抜いて、溶媒と治験薬を均一に混合する。
新しい注射器で均一に混合した溶媒ボトルから50μL抽出して眼内注射を行う。
各用量群の抽出すべき薬物の体積と対応の溶媒体積は次のとおりである。
【0220】
【0221】
研究設計
本研究は多施設、非盲検、用量漸増試験として設計され、ウェット型AMDに続発する活動性の中心窩下脈絡膜血管新生(CNV)患者を本臨床研究に組み入れることができる。各被験者は両眼とも対象眼とすることができない。適格な被験者は研究の初日(D1)に治験薬の硝子体内注射を受けた。投与後、被験者は研究機関でD2まで安全監視を受け、臨床的意味のある異常な状況が一切ないことを確認したら、研究機関から離れることが許される。被験者は、D3~D6、D8、D15、D29、D43に、病院に戻ってフォローアップを受ける必要がある。
図15の用量漸増の概略図を参照する。
【0222】
本研究では、0.05mg/眼、0.15mg/眼、0.5mg/眼、1mg/眼、2mg/眼、4mg/眼の6つの用量群を設けた。3+3用量漸増設計を使用した。投与後14日以内に(即ち、D1の投与後からD15の検査完了まで)用量漸増の証拠として用量制限毒性(DLT)が観察された。0.15mg/眼~4mg/眼の用量群でPK、PD及び免疫原性研究を実施し、0.5mg/眼~4mg/眼の用量群は、用量漸増研究が完了した後、最大耐量(MTD)前に指定された用量群を6名の被験者に増やす必要がある。
図16の研究フローの概略図を参照する。
【0223】
用量制限毒性は、DLT観察期間内に発生するIBI302に関連する次のいずれかの有害事象(AE)と定義される。
軽度以上の眼内炎症(付録2参照)、
投与後眼圧の10mmHg以上の60分間を超える持続的な上昇、
軽度以上の眼内炎症と関係のない急性視力低下(付録2参照)、
中等度以上の硝子体内出血(付録2参照)、
頭蓋内出血又は他の臨床的意味のある眼外の他の部位の出血、
研究者が治験薬に関連すると考えた重篤な有害事象(SAE)。
【0224】
【0225】
【0226】
Hoganら(Hogan MJ,Kimura SJ,Thygeson P.)Am J.Ophthalmol 1959;47:155-70における、前部ブドウ膜炎及びブドウ膜炎の徴候と症状の等級付け基準を参照する。当該文献のすべての内容は参照として本明細書に組み込まれる。
【0227】
【0228】
研究対象
50歳以上の男性又は女性である。
【0229】
対象眼におけるウェット型AMDに続発する活動性の中心窩下CNVであり、病変サイズが視神経乳頭直径12個分以下である。
【0230】
糖尿病網膜症早期治療試験グループは(ETDRS)視力表で測定された対象眼の最高矯正視力(BCVA)が、10文字~73文字の範囲である。
【0231】
光干渉断層撮影(OCT)の走査による中心窩網膜厚が250μm以上である。
【0232】
目の中央と水晶体が濁らず、明瞭な立体眼底写真が得られる。
【0233】
生殖年齢にある女性被験者又は生殖年齢にある女性を配偶者とする男性被験者であり、スクリーニング期間開始から治療終了後3か月まで効果的な避妊措置をとることに同意する。
【0234】
書面によるインフォームドコンセントに自発的に署名し、計画において規定した訪問及び関連の手順を遵守することができる。
【0235】
投与計画
被験者は組み入れる順に、それぞれ0.05mg/眼、0.15mg/眼、0.5mg/眼、1mg/眼、2mg/眼又は4mg/眼の用量のIBI302単回眼内注射を受ける。
【0236】
評価指標
安全性評価指標:
BCVA低下の状況、
投与後眼圧のベースラインに対する変化、
眼内炎症の発生率及び重症度、
治療後のバイタルサイン、身体検査結果及び実験室検査結果のベースラインに対する変化、
全ての有害事象(AE)、治験薬投与後に発現した有害事象(TEAE)及び重篤な有害事象(SAE)の発生率、治験薬との相関性及び重症度など。
【0237】
有効性評価指標:
D8、D15、D29及びD43の眼科OCT検査による中心窩網膜厚のベースラインに対する変化、
D43のフルオレセイン血管造影(FA)検査によるCNVの特徴及びCNVの面積のベースラインに対する変化、
D2、D4、D6、D8、D15、D29及びD43のBCVAのベースラインに対する変化。
【0238】
免疫原性評価指標:
抗薬物抗体(ADA)及び中和抗体(NAb)陽性率。
【0239】
PK評価指標:
PKパラメータは、0からt時間までの薬物-時間曲線下面積(AUC0~t)、0から無限大時間までの薬物-時間曲線下面積(AUC0~∞)、最高濃度(Cmax)、最高濃度到達時間(Tmax)、クリアランス(CL)、見かけの分布容積(V)、半減期(t1/2)、平均滞留時間(MRT)などを含むが、これらに限定されない。
【0240】
PD評価指標:
遊離VEGF濃度、総VEGF濃度、補体関連指標(C3、C4、C5及びその破砕断片)及び炎症関連指標(IL-1b、IL-6)。
【0241】
統計学的方法
サンプル量:
【0242】
本研究では6つの用量群を設け、3+3用量漸増設計を使用して当該6つの用量レベルを評価し、0.5mg/眼、1mg/眼、2mg/眼及び4mg/眼用量群で、用量漸増研究が完了した後、MTD前に指定された用量群を6名の被験者に増やす必要があり、合計で約30名~36名のウェット型AMD患者を組み入れる必要がある。
【0243】
統計分析方法:
記述統計を主とし、原則として群間の比較はしない。用量群別にウェット型AMD患者へのIBI302硝子体内単回注射の安全性指標、PK/PDパラメータ、免疫原性及び有効性指標をまとめた。
【0244】
連続変数は例数、平均、標準偏差、中央値、最小値、最大値で説明し、カテゴリ変数は頻度、パーセンテージで説明する。また、有効性指標については、異なる用量群の指標平均の95%の信頼区間を提供する。
【0245】
実験結果
IBI302によるnAMD治療の予備的な有効性データは多施設、非盲検、用量漸増試験として設計された第I相単剤用量漸増研究CIBI302A101に由来し、0.05mg/眼、0.15mg/眼、0.5mg/眼、1mg/眼、2mg/眼、4mg/眼の6つの用量群を設け、適格な被験者が研究の初日(D1)に治験薬の硝子体内注射を受けた。3+3用量漸増設計を使用して、0.5mg/眼~4mg/眼用量群は、用量漸増研究が完了した後、最大耐量前に指定された用量群を6名の被験者に増やす必要がある。合計で31名のnAMD被験者が組み入れられ、治験薬の投与を受けた。
【0246】
1.安全性及び耐性
血液ルーチン、血液生化学、肝機能、尿ルーチンの実験室検査に異常がなかった。
【0247】
バイタルサイン又は身体検査に異常が見られず、1名の被験者(1/15)だけが、投与後に5文字を超えるBCVAの低下が出現し、しかも投与後6日目にベースラインレベルに回復しており、眼内炎、動脈塞栓事件、網膜剥離、網膜色素上皮裂傷などのSAEが発生せず、最もよく見られるAEは球結膜下出血であり(6/15、40%、自己制限性、視力に影響しない)、2例の被験者は投与後眼圧IOPが21mmHg(正常値上限)を超えることが出現したが、自己制限のため、24時間以内に正常に回復した。
【0248】
2.最高矯正視力(BCVA)
ETDRS視力表を使用して4メートルの距離で被験者の座位姿勢下の視力を測定した。正しく識別された文字数を観察し、結果は、正しく識別された文字数が増加する傾向にあることを示し、初期の試験結果は
図17を参照する。図中、BCVAの数値は正しく識別された文字数であり、ΔBCVA%はAVERVGE(今回のフォローアップで正しく識別された文字数-最初のフォローアップで正しく識別された文字数)×100%である。図中、各用量群の平均値が示される。
【0249】
研究期間中、2、4、6、8、15、29、43日目に、即ち投与後1、3、5、7、14、28、42日目に、全被験者の対象眼の最高矯正視力(BCVA)の平均はベースラインに対してそれぞれ2.1±3.87文字、2.8±4.49文字、3.8±4.69文字、5.5±6.19文字、5.9±6.86文字、6.0±8.15文字、6.1±7.47文字改善されていた。
【0250】
対象眼のBCVAについてはD2、4、6、8、15、29、43日に、それぞれ83.9%、74.2%、87.1%、83.9%、87.1%、77.4%、71.0%の被験者がベースラインに対して改善されており、それぞれ19.4%、29.0%、32.3%、48.4%、54.8%、48.4%、48.4%の被験者が5文字以上改善されており、それぞれ6.5%、3.2%、16.1%、22.6%、25.8%、25.8%、22.6%の被験者が10文字以上改善されており、15文字以上改善されている割合はそれぞれ0、3.2%、3.2%、9.7%、12.9%、19.4%、12.9%であった。各用量群の被験者は各訪問における対象眼のBCVA検査結果がいずれもベースラインに対して改善されている。検査結果の経時的変化傾向、ベースラインに対する検査結果の変化値の経時的変化傾向はそれぞれ
図19、
図20を参照する。図中、各用量群の平均値が示される。
【0251】
3.光干渉断層撮影(OCT)
退院後D8、D15、D29及びD43のフォローアップで、OCT検査を行った。投与後、程度の差こそあれ、全被験者に網膜内液(IRF)、網膜下液(SRF)の吸収があり、しかも吸収の程度と速さは一定の用量依存関係を示す。
【0252】
4.中心窩網膜厚(CST)
退院後D8、D15、D29及びD43のフォローアップで、中心窩網膜厚を測定した。投与後、全被験者に中心窩網膜厚の減少があり、しかも厚さの減少傾向は一定の用量依存関係を示す。中心窩網膜厚(CST)の変化傾向及びベースラインとの比較の初期の試験結果は
図18を参照する。図中、各用量群の平均値が示される。
【0253】
研究期間中、D8、15、29、43日に、即ち投与後7、14、28、42日目に、全被験者の対象眼のOCT検査でCSTはそれぞれ平均で100±80.62μm、122.8±100.48μm、141.2±153.66μm、66.1±205.05μm減少した。
【0254】
投与後、各用量群の対象眼のOCT検査でいずれもCSTが減少し、厚さの減少の程度は投与後28日目に最大となった。0.5mg以上の用量群は、厚さの減少幅が0.05mg及び0.15mg用量群より有意に高かった。4mg用量群はD29で、減少幅が最大となり、328.5μmに達している。各用量群の対象眼のCST検査結果の経時的変化傾向は
図21を参照し、各用量群の対象眼のCST検査結果のベースラインに対する変化の経時的変化傾向は
図22を参照する。図中、各用量群の平均値が示される。
【0255】
具体的には、黄斑領域の網膜厚の改善については、OCTで測定した1mmの中心窩の平均網膜厚(CST)を観察指標とした。全用量群は投与後7日目に、CSTが減少していた。投与後7日目に(即ちD8)に、各用量群(0.05mg、0.15mg、0.5mg、1mg、2mg及び4mg)はベースラインに対してそれぞれ21.3±29.69μm、8.3±90.47μm、136.8±89.87μm、142±100.97μm、90.6±41.94μm及び117.5±44.70μm減少しており、ベースラインに対する減少のパーセンテージがそれぞれ5%、2%、22%、29%、17%、23%であった。この中で、0.5mg以上の用量群は、CST改善の程度が、0.05mg及び0.15mg用量群より有意に高かった。投与後28日目(即ちD29)に、各用量群(0.05mg、0.15mg、0.5mg、1mg、2mg及び4mg)はベースラインに対してそれぞれ8.0±67.64μm、23.7±79.53μm、171.8±131.88μm、203.7±159.66μm、115.3±154.06μm及び328.5±191.63μm減少しており、ベースラインに対する減少のパーセンテージがそれぞれ1.7%、4.4%、27.4%、41.1%、22.0%、63.3%であった。この中で、0.5mg以上の用量群は、CST改善の程度が、0.05mg及び0.15mg用量群より有意に高かった。CST改善効果は研究の終了まで続いている。
【0256】
5.FAによる脈絡膜血管新生(CNV)の面積の測定
研究期間中、投与後42日目に、全被験者の対象眼におけるFAで測定されたCNV面積が平均で0.524±3.7806mm2減少した。2mg用量群を除いて、各用量群はいずれも投与後42日でのCNV面積が減少した。対側眼のCNV面積は平均で0.352±1.7891mm2減少した。この中で、投与後42日目に、0.05mg用量群はベースラインに対して0.980±0.4857mm2減少し、0.15mg用量群はベースラインに対して4.963±9.9122mm2減少し、0.5mg用量群はベースラインに対して0.365±1.7140mm2減少し、1mg用量群はベースラインに対して0.820±1.7530mm2減少し、4mg用量群はベースラインに対して0.327±0.4206mm2減少した。上記のデータは治験薬の最初の投与前(スクリーニング期間のデータを含む)の最後の非欠損値をベースラインとする。変化値=測定値-ベースライン値である。
【配列表】
【手続補正書】
【提出日】2024-08-30
【手続補正1】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0009
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0009】
DTGRPFVEMYSEIPEIIHMTEGRELVIPCRVTSPNITVTLKKFPLDTLIPDGKRIIWDSRKGFIISNATYKEIGLLTCEATVNGHLYKTNYLTHRQTNTIIDVVLSPSHGIELSVGEKLVLNCTARTELNVGIDFNWEYPSSKHQHKKLVNRDLKTQSGSEMKKFLSTLTIDGVTRSDQGLYTCAASSGLMTKKNSTFVRVHEKDKTHTCPPCPAPELLGGPSVFLFPPKPKDTLMISRTPEVTCVVVDVSHEDPEVKFNWYVDGVEVHNAKTKPREEQYNSTYRVVSVLTVLHQDWLNGKEYKCKVSNKALPAPIEKTISKAKGQPREPQVYTLPPSRDELTKNQVSLTCLVKGFYPSDIAVEWESNGQPENNYKTTPPVLDSDGSFFLYSKLTVDKSRWQQGNVFSCSVMHEALHNHYTQKSLSLSPGKGGGGGGQCNAPEWLPFARPTNLTDEFEFPIGTYLKYECRPGYYGRPFSIICLKNSVWTGAKDRCRRKSCRNPPDPVNGMVHVIKDIQFGSQIKYSCTKGYRLIGSSSATCIISGNTVIWDNETPICDRIPCGLPPTITNGDFISTNRENFHYGSVVTYRCNPGSGGRKVFELVGEPSIYCTSNDDQVGIWSGPAPQCI(配列番号1)。
【手続補正2】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0044
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0044】
DTGRPFVEMYSEIPEIIHMTEGRELVIPCRVTSPNITVTLKKFPLDTLIPDGKRIIWDSRKGFIISNATYKEIGLLTCEATVNGHLYKTNYLTHRQTNTIIDVVLSPSHGIELSVGEKLVLNCTARTELNVGIDFNWEYPSSKHQHKKLVNRDLKTQSGSEMKKFLSTLTIDGVTRSDQGLYTCAASSGLMTKKNSTFVRVHEKDKTHTCPPCPAPELLGGPSVFLFPPKPKDTLMISRTPEVTCVVVDVSHEDPEVKFNWYVDGVEVHNAKTKPREEQYNSTYRVVSVLTVLHQDWLNGKEYKCKVSNKALPAPIEKTISKAKGQPREPQVYTLPPSRDELTKNQVSLTCLVKGFYPSDIAVEWESNGQPENNYKTTPPVLDSDGSFFLYSKLTVDKSRWQQGNVFSCSVMHEALHNHYTQKSLSLSPGKGGGGGGQCNAPEWLPFARPTNLTDEFEFPIGTYLKYECRPGYYGRPFSIICLKNSVWTGAKDRCRRKSCRNPPDPVNGMVHVIKDIQFGSQIKYSCTKGYRLIGSSSATCIISGNTVIWDNETPICDRIPCGLPPTITNGDFISTNRENFHYGSVVTYRCNPGSGGRKVFELVGEPSIYCTSNDDQVGIWSGPAPQCI(配列番号1)。
【手続補正3】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0072
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0072】
DTGRPFVEMYSEIPEIIHMTEGRELVIPCRVTSPNITVTLKKFPLDTLIPDGKRIIWDSRKGFIISNATYKEIGLLTCEATVNGHLYKTNYLTHRQTNTIIDVVLSPSHGIELSVGEKLVLNCTARTELNVGIDFNWEYPSSKHQHKKLVNRDLKTQSGSEMKKFLSTLTIDGVTRSDQGLYTCAASSGLMTKKNSTFVRVHEKDKTHTCPPCPAPELLGGPSVFLFPPKPKDTLMISRTPEVTCVVVDVSHEDPEVKFNWYVDGVEVHNAKTKPREEQYNSTYRVVSVLTVLHQDWLNGKEYKCKVSNKALPAPIEKTISKAKGQPREPQVYTLPPSRDELTKNQVSLTCLVKGFYPSDIAVEWESNGQPENNYKTTPPVLDSDGSFFLYSKLTVDKSRWQQGNVFSCSVMHEALHNHYTQKSLSLSPGKGGGGGGQCNAPEWLPFARPTNLTDEFEFPIGTYLKYECRPGYYGRPFSIICLKNSVWTGAKDRCRRKSCRNPPDPVNGMVHVIKDIQFGSQIKYSCTKGYRLIGSSSATCIISGNTVIWDNETPICDRIPCGLPPTITNGDFISTNRENFHYGSVVTYRCNPGSGGRKVFELVGEPSIYCTSNDDQVGIWSGPAPQCI(配列番号1)。
【手続補正4】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0256
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0256】
5.FAによる脈絡膜血管新生(CNV)の面積の測定
研究期間中、投与後42日目に、全被験者の対象眼におけるFAで測定されたCNV面積が平均で0.524±3.7806mm2減少した。2mg用量群を除いて、各用量群はいずれも投与後42日でのCNV面積が減少した。対側眼のCNV面積は平均で0.352±1.7891mm2減少した。この中で、投与後42日目に、0.05mg用量群はベースラインに対して0.980±0.4857mm2減少し、0.15mg用量群はベースラインに対して4.963±9.9122mm2減少し、0.5mg用量群はベースラインに対して0.365±1.7140mm2減少し、1mg用量群はベースラインに対して0.820±1.7530mm2減少し、4mg用量群はベースラインに対して0.327±0.4206mm2減少した。上記のデータは治験薬の最初の投与前(スクリーニング期間のデータを含む)の最後の非欠損値をベースラインとする。変化値=測定値-ベースライン値である。
本発明は、下記の態様を含む:
〈態様1〉
VEGF経路及び補体経路を阻害する融合タンパク質を個体に投与することを含む、個体において加齢黄斑変性(AMD)を予防又は治療する方法。
〈態様2〉
前記融合タンパク質は配列番号1の配列を含む、態様1に記載の方法。
〈態様3〉
前記融合タンパク質の配列は配列番号1に示される配列である、態様1に記載の方法。
〈態様4〉
前記AMDはウェット型AMDである、態様1~3のいずれか1項に記載の方法。
〈態様5〉
前記ウェット型AMDは、視力低下、変形視、中心暗点、失読症、黄斑浮腫、眼底出血、血管新生、瘢痕線維症、地図状萎縮、又はそれらの任意の組み合わせの1つ又は複数の症状及び徴候を有する、態様4に記載の方法。
〈態様6〉
前記ウェット型AMDは脈絡膜血管新生(CNV)を有する、態様4に記載の方法。
〈態様7〉
前記ウェット型AMDは、以下の特徴を有するAMDである、態様4に記載の方法:
(1) 対象眼におけるウェット型AMDに続発する活動性の中心窩下CNVであり、及び/又は、
(2) 光干渉断層撮影(OCT)の走査による中心窩網膜厚が250μm以上である。
〈態様8〉
前記個体は、ヒト個体であり、上記の態様のいずれか1項に記載の疾患、症状及び/又は特徴を有する、上記の態様のいずれか1項に記載の方法。
〈態様9〉
前記個体は、ヒト個体であり、地図状萎縮を伴うウェット型AMD患者である、上記の態様のいずれか1項に記載の方法。
〈態様10〉
前記個体は、以下の特徴を有するウェット型AMDに罹患している、上記の態様のいずれか1項に記載の方法:
(1) 対象眼におけるウェット型AMDに続発する活動性の中心窩下CNVであり、及び/又は、
(2) 光干渉断層撮影(OCT)の走査による中心窩網膜厚が250μm以上である。
〈態様11〉
前記治療は、前記個体において、以下の1つ又は複数の効果を実現する、上記の態様のいずれか1項に記載の方法:
1) 中心窩網膜厚がベースラインに比べて減少すること、
2) 脈絡膜血管新生(CNV)の面積が減少すること、
3) 最高矯正視力(BCVA)がベースラインに比べて改善されること、
4) ウェット型AMD患者における地図状萎縮の発生時間が遅延すること、及び/又は、
5) ウェット型AMD患者における地図状萎縮の発生時間が遅くなること。
〈態様12〉
前記治療は、前記個体において、以下の1つ又は複数の効果を実現する、上記の態様のいずれか1項に記載の方法:
1) 最高矯正視力(BCVA)を改善すること、及び/又は、
2) 中心窩網膜厚を減少させること、及び/又は、
3) 脈絡膜血管新生(CNV)の面積を減少させること。
〈態様13〉
前記治療は、前記個体において、以下の1つ又は複数の効果を実現する、上記の態様のいずれか1項に記載の方法:
1) 最高矯正視力(BCVA)が、ベースラインレベルに比べてETDRS視力表において少なくとも1文字改善され、好ましくはETDRS視力表において少なくとも5文字改善され、より好ましくはETDRS視力表において5文字~35文字改善され、例えば、ETDRS視力表において5文字~25文字改善され、例えば、5文字~10文字、5文字~15文字、5文字~20文字、10文字~15文字、10文字~20文字、10文字~25文字、15文字~20文字若しくは15文字~25文字改善され、例えば、5文字、6文字、7文字、8文字、9文字、10文字、11文字、12文字、13文字、14文字、15文字、16文字、17文字、18文字、19文字、20文字、21文字、22文字、23文字、24文字、25文字、26文字、27文字、28文字、29文字、30文字、31文字、32文字、33文字、34文字若しくは35文字改善されること、及び/又は、
2) 最高矯正視力(BCVA)がベースラインレベルに比べて5%以上改善され、好ましくは10%以上改善され、例えば、10%~200%、好ましくは10%~150%、より好ましくは10%~100%、さらに好ましくは20%~100%、さらに好ましくは50%~100%、60%~100%、20%~80%若しくは30%~70%、さらに好ましくは50%~70%、さらに好ましくは60%~70%、例えば、5%、10%、15%、20%、25%、30%、35%、40%、45%、50%、55%、60%、65%、70%、75%、80%、85%、90%、95%、100%、110%、120%、130%、140%、150%、160%、170%、180%、190%若しくは200%改善されること、及び/又は、
3) 中心窩網膜厚(CST)がベースラインレベルに比べて25μm以上減少し、例えば、25μm~350μm、好ましくは50μm~300μm、より好ましくは50μm~200μm減少し、例えば、25μm、50μm、75μm、100μm、125μm、150μm、175μm、200μm、225μm、250μm、275μm、300μm、325μm、350μm減少し、又はベースラインレベルに比べて5%以上減少し、例えば、10%~70%、好ましくは10%~60%、より好ましくは30%~50%、さらに好ましくは40%~50%、例えば、5%、10%、15%、20%、25%、30%、35%、40%、45%、50%、55%、60%、65%若しくは70%減少すること、及び/又は、
4) 脈絡膜血管新生(CNV)の面積がベースラインレベルに比べて0.1mm
2
以上減少し、例えば、0.1mm
2
~20mm
2
、好ましくは0.2mm
2
~5mm
2
、より好ましくは0.3mm
2
~2mm
2
減少し、例えば、0.1mm
2
、0.2mm
2
、0.3mm
2
、0.4mm
2
、0.5mm
2
、0.6mm
2
、0.7mm
2
、0.8mm
2
、0.9mm
2
、1mm
2
、1.1mm
2
、1.2mm
2
、1.3mm
2
、1.4mm
2
、1.5mm
2
、1.6mm
2
、1.7mm
2
、1.8mm
2
、1.9mm
2
、2mm
2
、2.1mm
2
、2.2mm
2
、2.3mm
2
、2.4mm
2
、2.5mm
2
、2.6mm
2
、2.7mm
2
、2.8mm
2
、2.9mm
2
、3mm
2
、3.1mm
2
、3.2mm
2
、3.3mm
2
、3.4mm
2
、3.5mm
2
、3.6mm
2
、3.7mm
2
、3.8mm
2
、3.9mm
2
、4mm
2
、4.1mm
2
、4.2mm
2
、4.3mm
2
、4.4mm
2
、4.5mm
2
、4.6mm
2
、4.7mm
2
、4.8mm
2
、4.9mm
2
、5mm
2
、5.5mm
2
、6mm
2
、6.5mm
2
、7mm
2
、7.5mm
2
、8mm
2
、8.5mm
2
、9mm
2
、9.5mm
2
、10mm
2
、10.5mm
2
、11mm
2
、11.5mm
2
、12mm
2
、12.5mm
2
、13mm
2
、13.5mm
2
、14mm
2
、14.5mm
2
、15mm
2
、15.5mm
2
、16mm
2
、16.5mm
2
、17mm
2
、17.5mm
2
、18mm
2
、18.5mm
2
、19mm
2
、19.5mm
2
若しくは20mm
2
減少し、又はベースラインレベルに比べて5%以上減少し、例えば、10%~70%、好ましくは10%~60%、より好ましくは30%~50%、さらに好ましくは40%~50%、例えば、5%、10%、15%、20%、25%、30%、35%、40%、45%、50%、55%、60%、65%若しくは70%減少すること。
〈態様14〉
前記融合タンパク質を、約0.01mg/眼~10mg/眼、好ましくは0.05mg/眼~8mg/眼、より好ましくは0.05mg/眼~6mg/眼、さらに好ましくは0.5mg/眼~5mg/眼、さらに好ましくは1mg/眼~5mg/眼、さらに好ましくは2mg/眼~5mg/眼の単回用量で、1日に1回、2日に1回、週に2回、週に1回、2週間毎に1回、4週間毎に1回、5週間毎に1回又は6週間毎に1回で、前記個体に対して、硝子体内又は静脈内投与することを含み、個体の中心窩網膜厚レベルの投与前レベルに比べて、投与後6週間又は8週間で、当該個体の中心窩網膜厚レベルは25μm以上減少し、例えば、25μm~350μm、好ましくは50μm~300μm、より好ましくは50μm~200μm減少し、例えば、25μm、50μm、75μm、100μm、125μm、150μm、175μm、200μm、225μm、250μm、275μm、300μm、325μm、350μm減少し、又は投与前レベルに比べて5%以上減少し、例えば、10%~70%、好ましくは10%~60%、より好ましくは30%~50%、さらに好ましくは40%~50%、例えば、5%、10%、15%、20%、25%、30%、35%、40%、45%、50%、55%、60%、65%若しくは70%減少する、上記の態様のいずれか1項に記載の方法。
〈態様15〉
前記融合タンパク質を、約0.01mg/眼~10mg/眼、好ましくは0.05mg/眼~8mg/眼、より好ましくは0.05mg/眼~6mg/眼、さらに好ましくは0.5mg/眼~5mg/眼、さらに好ましくは1mg/眼~5mg/眼、さらに好ましくは2mg/眼~5mg/眼の単回用量で、1日に1回、2日に1回、週に2回、週に1回、2週間毎に1回、4週間毎に1回、5週間毎に1回又は6週間毎に1回で、前記個体に対して、硝子体内又は静脈内投与することを含み、個体の脈絡膜血管新生(CNV)の面積の投与前レベルに比べて、投与後6週間又は8週間で、当該個体の脈絡膜血管新生(CNV)の面積は0.1mm
2
以上減少し、例えば、0.1mm
2
~20mm
2
、好ましくは0.2mm
2
~5mm
2
、より好ましくは0.3mm
2
~2mm
2
減少し、例えば、0.1mm
2
、0.2mm
2
、0.3mm
2
、0.4mm
2
、0.5mm
2
、0.6mm
2
、0.7mm
2
、0.8mm
2
、0.9mm
2
、1mm
2
、1.1mm
2
、1.2mm
2
、1.3mm
2
、1.4mm
2
、1.5mm
2
、1.6mm
2
、1.7mm
2
、1.8mm
2
、1.9mm
2
、2mm
2
、2.1mm
2
、2.2mm
2
、2.3mm
2
、2.4mm
2
、2.5mm
2
、2.6mm
2
、2.7mm
2
、2.8mm
2
、2.9mm
2
、3mm
2
、3.1mm
2
、3.2mm
2
、3.3mm
2
、3.4mm
2
、3.5mm
2
、3.6mm
2
、3.7mm
2
、3.8mm
2
、3.9mm
2
、4mm
2
、4.1mm
2
、4.2mm
2
、4.3mm
2
、4.4mm
2
、4.5mm
2
、4.6mm
2
、4.7mm
2
、4.8mm
2
、4.9mm
2
、5mm
2
、5.5mm
2
、6mm
2
、6.5mm
2
、7mm
2
、7.5mm
2
、8mm
2
、8.5mm
2
、9mm
2
、9.5mm
2
、10mm
2
、10.5mm
2
、11mm
2
、11.5mm
2
、12mm
2
、12.5mm
2
、13mm
2
、13.5mm
2
、14mm
2
、14.5mm
2
、15mm
2
、15.5mm
2
、16mm
2
、16.5mm
2
、17mm
2
、17.5mm
2
、18mm
2
、18.5mm
2
、19mm
2
、19.5mm
2
若しくは20mm
2
減少し、又は投与前レベルに比べて5%以上減少し、例えば、10%~70%、好ましくは10%~60%、より好ましくは30%~50%、さらに好ましくは40%~50%、例えば、5%、10%、15%、20%、25%、30%、35%、40%、45%、50%、55%、60%、65%若しくは70%減少する、上記の態様のいずれか1項に記載の方法。
〈態様16〉
前記融合タンパク質を、約0.01mg/眼~10mg/眼、好ましくは0.05mg/眼~8mg/眼、より好ましくは0.05mg/眼~6mg/眼、さらに好ましくは0.5mg/眼~5mg/眼、さらに好ましくは1mg/眼~5mg/眼、さらに好ましくは2mg/眼~5mg/眼の単回用量で、1日に1回、2日に1回、週に2回、週に1回、2週間毎に1回、4週間毎に1回、5週間毎に1回又は6週間毎に1回で、前記個体に対して、硝子体内又は静脈内投与することを含み、個体の最高矯正視力(BCVA)の投与前レベルに比べて、投与後6週間又は8週間で、当該個体の最高矯正視力(BCVA)は、ETDRS視力表において少なくとも1文字改善され、好ましくはETDRS視力表において少なくとも5文字改善され、より好ましくはETDRS視力表において5文字~35文字改善され、例えば、ETDRS視力表において5文字~25文字改善され、例えば、5文字~10文字、5文字~15文字、5文字~20文字、10文字~15文字、10文字~20文字、10文字~25文字、15文字~20文字若しくは15文字~25文字改善され、例えば、5文字、6文字、7文字、8文字、9文字、10文字、11文字、12文字、13文字、14文字、15文字、16文字、17文字、18文字、19文字、20文字、21文字、22文字、23文字、24文字、25文字、26文字、27文字、28文字、29文字、30文字、31文字、32文字、33文字、34文字若しくは35文字改善され、又は投与前レベルに比べて5%以上改善され、好ましくは10%以上改善され、例えば、10%~200%、好ましくは10%~150%、より好ましくは10%~100%、さらに好ましくは20%~100%、さらに好ましくは50%~100%、60%~100%、20%~80%若しくは30%~70%、さらに好ましくは50%~70%、さらに好ましくは60%~70%、例えば、5%、10%、15%、20%、25%、30%、35%、40%、45%、50%、55%、60%、65%、70%、75%、80%、85%、90%、95%、100%、110%、120%、130%、140%、150%、160%、170%、180%、190%若しくは200%改善される、上記の態様のいずれか1項に記載の方法。
〈態様17〉
個体において加齢黄斑変性(AMD)を予防又は治療するための薬物の製造における、VEGF経路及び補体経路を阻害する融合タンパク質の使用であって、
前記融合タンパク質が配列番号1の配列を含む、
使用
〈態様18〉
前記融合タンパク質の配列は配列番号1に示される配列である、態様17に記載の使用。
〈態様19〉
前記AMDは態様4~7のいずれか1項に記載のとおりである、態様17又は18に記載の使用。
〈態様20〉
前記個体は態様8~10のいずれか1項に記載のとおりである、態様17~19のいずれか1項に記載の使用。
〈態様21〉
VEGF経路及び補体経路を阻害する融合タンパク質を含み、
前記融合タンパク質が配列番号1の配列を含む、
単回薬物用量ユニット。
〈態様22〉
前記融合タンパク質の配列は配列番号1に示される配列である、態様21に記載の単回薬物用量ユニット。
〈態様23〉
0.01mg~10mg、好ましくは0.05mg~8mg、より好ましくは0.05mg~6mg、さらに好ましくは0.5mg~5mg、さらに好ましくは1mg~5mg、さらに好ましくは2mg~5mg、例えば、0.5mg~2mg、1mg~3mg、2mg~4mg、2mg~3mg若しくは3mg~5mg、例えば、0.05mg、0.1mg、0.15mg、0.2mg、0.25mg、0.3mg、0.35mg、0.4mg、0.45mg、0.5mg、0.55mg、0.6mg、0.65mg、0.7mg、0.75mg、0.8mg、0.85mg、0.9mg、0.95mg、1mg、1.1mg、1.2mg、1.3mg、1.4mg、1.5mg、1.6mg、1.7mg、1.8mg、1.9mg、2mg、2.1mg、2.2mg、2.3mg、2.4mg、2.5mg、2.6mg、2.7mg、2.8mg、2.9mg、3mg、3.1mg、3.2mg、3.3mg、3.4mg、3.5mg、3.6mg、3.7mg、3.8mg、3.9mg、4mg、4.1mg、4.2mg、4.3mg、4.4mg、4.5mg、4.6mg、4.7mg、4.8mg、4.9mg、5mg、5.1mg、5.2mg、5.3mg、5.4mg、5.5mg、5.6mg、5.7mg、5.8mg、5.9mg、6mg、6.1mg、6.2mg、6.3mg、6.4mg、6.5mg、6.6mg、6.7mg、6.8mg、6.9mg、7mg、7.1mg、7.2mg、7.3mg、7.4mg、7.5mg、7.6mg、7.7mg、7.8mg、7.9mg、8mg、8.5mg、9mg、9.5mg、10mg、好ましくは2mg若しくは4mgの用量の前記融合タンパク質を含む、態様21又は22に記載の単回薬物用量ユニット。
〈態様24〉
態様21~23のいずれか1項に記載の融合タンパク質を含む、薬物キット。
〈態様25〉
加齢黄斑変性(AMD)を予防又は治療する薬物の製造における、態様21~23のいずれか1項に記載の単回薬物用量ユニット又は態様24に記載の薬物キットの使用。
〈態様26〉
加齢黄斑変性(AMD)を予防又は治療するための、態様21~23のいずれか1項に記載の単回薬物用量ユニット又は態様24に記載の薬物キット。
【手続補正5】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】配列表
【補正方法】変更
【補正の内容】
【配列表】
【手続補正6】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
個体において加齢黄斑変性(AMD)を予防又は治療する方法における使用のための、医薬組成物であって、
前記個体が、ヒト個体であり、
前記医薬組成物が、VEGF経路及び補体経路を阻害する融合タンパク質を含み、
前記融合タンパク質が、配列番号1の配列を含み、かつ
前記予防又は治療する方法が、前記融合タンパク質を0.01mg/眼~10mg/眼の単回用量で前記固体に投与することを含む、
医薬組成物。
【外国語明細書】