(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024167227
(43)【公開日】2024-12-03
(54)【発明の名称】パウチ型二次電池および電池モジュール
(51)【国際特許分類】
H01M 50/105 20210101AFI20241126BHJP
H01M 50/121 20210101ALI20241126BHJP
H01M 50/133 20210101ALI20241126BHJP
H01M 50/129 20210101ALI20241126BHJP
H01M 50/119 20210101ALI20241126BHJP
H01M 50/211 20210101ALI20241126BHJP
H01M 50/204 20210101ALI20241126BHJP
H01M 10/613 20140101ALI20241126BHJP
H01M 10/6556 20140101ALI20241126BHJP
H01M 10/647 20140101ALI20241126BHJP
H01M 10/653 20140101ALI20241126BHJP
H01M 10/6567 20140101ALN20241126BHJP
【FI】
H01M50/105
H01M50/121
H01M50/133
H01M50/129
H01M50/119
H01M50/211
H01M50/204 401H
H01M10/613
H01M10/6556
H01M10/647
H01M10/653
H01M10/6567
【審査請求】有
【請求項の数】25
【出願形態】OL
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2024130100
(22)【出願日】2024-08-06
(62)【分割の表示】P 2023509581の分割
【原出願日】2021-08-19
(31)【優先権主張番号】10-2020-0104227
(32)【優先日】2020-08-19
(33)【優先権主張国・地域又は機関】KR
(31)【優先権主張番号】10-2021-0074471
(32)【優先日】2021-06-08
(33)【優先権主張国・地域又は機関】KR
(71)【出願人】
【識別番号】521065355
【氏名又は名称】エルジー エナジー ソリューション リミテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100188558
【弁理士】
【氏名又は名称】飯田 雅人
(74)【代理人】
【識別番号】100110364
【弁理士】
【氏名又は名称】実広 信哉
(72)【発明者】
【氏名】セ・ヨン・オ
(72)【発明者】
【氏名】ジョン・ミン・ハ
(72)【発明者】
【氏名】グン・ヒ・キム
(72)【発明者】
【氏名】ヒョン・ボム・キム
(57)【要約】
【課題】体積対比エネルギー密度が増加することができ、外観も美しく、商品性も向上することができるパウチ型二次電池および電池モジュールに関する。
【解決手段】上記の課題を解決するための本発明の実施形態に係るパウチ型二次電池は、電極およびセパレータが積層されて形成された電極組立体と、前記電極組立体を内部に収容するカップ部が形成されたパウチ型電池ケースと、を含み、前記パウチ型電池ケースは、前記カップ部が少なくとも一方に形成された第1ケースおよび第2ケースと、前記第1ケースと前記第2ケースを一体に連結するフォールディング部と、前記フォールディング部の両端の一部から外側に突出形成されたコウモリ耳と、を含み、前記コウモリ耳は、長さが1.5mm以下である。
【選択図】
図28
【特許請求の範囲】
【請求項1】
電極およびセパレータが積層されて形成された電極組立体と、
前記電極組立体を内部に収容するカップ部が形成されたパウチ型電池ケースと、を含み、
前記パウチ型電池ケースは、
前記カップ部が少なくとも一方に形成された第1ケースおよび第2ケースと、
前記第1ケースと前記第2ケースを一体に連結するフォールディング部と、
前記フォールディング部の両端の一部から外側に突出形成されたコウモリ耳と、を含み、
前記コウモリ耳は、
長さが1.5mm以下であり、
前記パウチ型電池ケースは、
パウチフィルムを成形して製造され、
前記パウチフィルムは、
第1ポリマーから製造され、最内層として形成されたシーラント層と、
第2ポリマーから製造され、最外層として形成された表面保護層と、
前記表面保護層と前記シーラント層との間に積層された水分バリア層と、を含み、
前記水分バリア層は、厚さが50~80μmであり、
前記シーラント層は、厚さが60~100μmである、パウチ型二次電池。
【請求項2】
前記コウモリ耳は、
前記フォールディング部側の前記カップ部の外壁から前記コウモリ耳の最外側端部まで測定した長さが1.5mm以下である、請求項1に記載のパウチ型二次電池。
【請求項3】
前記フォールディング部と前記コウモリ耳の内側エッジがなす角度は、151度よりも大きい、請求項1または2に記載のパウチ型二次電池。
【請求項4】
前記フォールディング部は、
内側に陥没した溝を含んで形成されている、請求項1から3のいずれか一項に記載のパウチ型二次電池。
【請求項5】
前記パウチ型電池ケースは、
前記溝を間に置いて外側に突出した1対の突出部を含み、
前記溝の最内側部と前記突出部の最外側部との間の間隔は0.8mm以下である、請求項4に記載のパウチ型二次電池。
【請求項6】
前記カップ部は、
周辺を取り囲む複数の外壁と底部とをそれぞれ連結する複数のパンチエッジを含み、
前記パンチエッジは、
少なくとも1つがラウンドして形成されている、請求項1から5のいずれか一項に記載のパウチ型二次電池。
【請求項7】
前記パンチエッジの曲率半径は、前記カップ部の深さの1/20~1/6である、請求項6に記載のパウチ型二次電池。
【請求項8】
前記カップ部は、
隣接した2つの前記外壁を互いに連結する厚さエッジをさらに含み、
前記厚さエッジは、
互いに隣接した2つの前記パンチエッジと連結されてコーナーを形成する、請求項6または7に記載のパウチ型二次電池。
【請求項9】
前記コーナーは、
少なくとも1つがラウンドして形成され、
曲率半径が前記パンチエッジおよび前記厚さエッジのうち少なくとも1つの曲率半径以上である、請求項8に記載のパウチ型二次電池。
【請求項10】
前記第1ケースと前記第2ケースは、
前記カップ部がそれぞれ形成され、
前記パウチ型電池ケースは、
2つの前記カップ部の間に形成されたブリッジを含み、
前記ブリッジは、
ラウンドして形成されている、請求項1から9のいずれか一項に記載のパウチ型二次電池。
【請求項11】
前記カップ部の深さは6.5mm以上である、請求項1から10のいずれか一項に記載のパウチ型二次電池。
【請求項12】
前記電極組立体の面積は15000mm2~100000mm2である、請求項1から11のいずれか一項に記載のパウチ型二次電池。
【請求項13】
前記水分バリア層は、
結晶粒度が10~13μmであるアルミニウム合金薄膜からなる、請求項1から12のいずれか一項に記載のパウチ型二次電池。
【請求項14】
前記アルミニウム合金薄膜は、
合金番号AA8021である、請求項13に記載のパウチ型二次電池。
【請求項15】
前記アルミニウム合金薄膜は、
鉄を1.3wt%~1.7wt%含み、シリコンを0.2wt%以下含む、請求項13に記載のパウチ型二次電池。
【請求項16】
前記水分バリア層は、
厚さが55~65μmであり、
前記シーラント層は、
厚さが75~85μmである、請求項1から15のいずれか一項に記載のパウチ型二次電池。
【請求項17】
前記パウチフィルムは、
第3ポリマーから製造され、前記表面保護層と前記水分バリア層との間に積層された延伸補助層をさらに含む、請求項1から16のいずれか一項に記載のパウチ型二次電池。
【請求項18】
前記延伸補助層は、
厚さが20~50μmである、請求項17に記載のパウチ型二次電池。
【請求項19】
電極およびセパレータが積層されて形成された電極組立体と、
前記電極組立体を内部に収容するカップ部が形成されたパウチ型電池ケースと、を含み、
前記パウチ型電池ケースは、
前記カップ部が少なくとも一方に形成された第1ケースおよび第2ケースと、
前記第1ケースと前記第2ケースを一体に連結するフォールディング部と、
前記フォールディング部の両端の一部から外側に突出形成されたコウモリ耳と、を含み、
前記フォールディング部と前記コウモリ耳の内側エッジがなす角度は、151度よりも大きく、
前記パウチ型電池ケースは、
パウチフィルムを成形して製造され、
前記パウチフィルムは、
第1ポリマーから製造され、最内層として形成されたシーラント層と、
第2ポリマーから製造され、最外層として形成された表面保護層と、
前記表面保護層と前記シーラント層との間に積層された水分バリア層と、を含み、
前記水分バリア層は、厚さが50~80μmであり、
前記シーラント層は、厚さが60~100μmである、パウチ型二次電池。
【請求項20】
電極およびセパレータが積層されて形成された電極組立体が、パウチ型電池ケースに形成されたカップ部の内部に収納されたパウチ型二次電池と、
前記パウチ型二次電池が内部に収納されたハウジングと、を含み、
前記パウチ型電池ケースは、
前記カップ部が少なくとも一方に形成された第1ケースおよび第2ケースと、
前記第1ケースと前記第2ケースを一体に連結するフォールディング部と、
前記フォールディング部の両端の一部から外側に突出形成されたコウモリ耳と、を含み、
前記コウモリ耳は、
長さが1.5mm以下であり、
前記パウチ型電池ケースは、
パウチフィルムを成形して製造され、
前記パウチフィルムは、
第1ポリマーから製造され、最内層として形成されたシーラント層と、
第2ポリマーから製造され、最外層として形成された表面保護層と、
前記表面保護層と前記シーラント層との間に積層された水分バリア層と、を含み、
前記水分バリア層は、厚さが50~80μmであり、
前記シーラント層は、厚さが60~100μmである、電池モジュール。
【請求項21】
前記フォールディング部と前記コウモリ耳の内側エッジがなす角度は、151度よりも大きい、請求項20に記載の電池モジュール。
【請求項22】
前記ハウジングは、
前記パウチ型二次電池を冷却させる冷却プレートを含む、請求項20または21に記載の電池モジュール。
【請求項23】
前記冷却プレートと前記パウチ型二次電池の前記フォールディング部との間に形成された熱伝達物質をさらに含む、請求項22に記載の電池モジュール。
【請求項24】
前記熱伝達物質は、
前記ハウジングの内部において厚さが1mm以下である、請求項23に記載の電池モジュール。
【請求項25】
電極およびセパレータが積層されて形成された電極組立体が、パウチ型電池ケースに形成されたカップ部の内部に収納されたパウチ型二次電池と、
前記パウチ型二次電池が内部に収納されたハウジングと、を含み、
前記パウチ型電池ケースは、
前記カップ部が少なくとも一方に形成された第1ケースおよび第2ケースと、
前記第1ケースと前記第2ケースを一体に連結するフォールディング部と、
前記フォールディング部の両端の一部から外側に突出形成されたコウモリ耳と、を含み、
前記フォールディング部と前記コウモリ耳の内側エッジがなす角度は、151度よりも大きく、
前記パウチ型電池ケースは、
パウチフィルムを成形して製造され、
前記パウチフィルムは、
第1ポリマーから製造され、最内層として形成されたシーラント層と、
第2ポリマーから製造され、最外層として形成された表面保護層と、
前記表面保護層と前記シーラント層との間に積層された水分バリア層と、を含み、
前記水分バリア層は、厚さが50~80μmであり、
前記シーラント層は、厚さが60~100μmである、電池モジュール。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本出願は、2020年08月19日付けの韓国特許出願第10-2020-0104227号および2021年06月08日付けの韓国特許出願第10-2021-0074471号に基づく優先権の利益を主張し、当該韓国特許出願の文献に開示された全ての内容は、本明細書の一部として組み込まれる。
【0002】
本発明は、パウチ型二次電池および電池モジュールに関し、より詳しくは、体積対比エネルギー密度が増加することができ、外観も美しく、商品性も向上することができるパウチ型二次電池および電池モジュールに関する。
【背景技術】
【0003】
一般的に、二次電池の種類としては、ニッケルカドミウム電池、ニッケル水素電池、リチウムイオン電池、およびリチウムイオンポリマー電池などが挙げられる。このような二次電池は、デジタルカメラ、P-DVD、MP3P、携帯電話、PDA、携帯ゲーム機(Portable Game Device)、パワーツール(Power ツール)、およびE-バイク(E-bike)などの小型製品だけでなく、電気自動車やハイブリッド自動車のような高出力が求められる大型製品と、余剰の発電電力や再生可能エネルギーを貯蔵する電力貯蔵装置と、バックアップ用電力貯蔵装置にも適用されて用いられている。
【0004】
このような二次電池を製造するために、先ず、電極活物質スラリーを正極集電体および負極集電体に塗布して正極および負極を製造し、それをセパレータ(Separator)の両側に積層することで、所定形状の電極組立体(Electrode Assembly)を形成する。そして、電池ケースに電極組立体を収納し、電解質の注入後にシールする。
【0005】
二次電池は、電極組立体を収容するケースの材質に応じて、パウチ型(Pouch Type)および缶型(Can Type)などに分類される。パウチ型(Pouch Type)は、柔軟なポリマー材質で製造されたパウチに電極組立体を収容する。そして、缶型(Can Type)は、金属またはプラスチックなどの材質で製造されたケースに電極組立体を収容する。
【0006】
パウチ型二次電池のケースであるパウチは、柔軟性を有するパウチフィルムにプレス加工を行い、カップ部を形成することで製造される。そして、カップ部が形成されると、前記カップ部の収容空間に電極組立体を収納しサイドをシールして二次電池を製造する。
【0007】
このようなプレス加工中のドロー(Drawing)成形は、プレス装置のような成形装置にパウチフィルムを挿入し、パンチでパウチフィルムに圧力を印加し、パウチフィルムを延伸させることで行われる。パウチフィルムは複数の層からなり、そのうち内部に位置した水分バリア層は金属から製造される。ところで、従来は、このような水分バリア層の金属がアルミニウム合金中で結晶粒度が大きく、水分バリア層の厚さが薄いため、成形性が低下するという問題があった。したがって、パウチフィルムにカップ部を成形する際にカップ部の深さを深く成形しながらも、カップ部のエッジの曲率半径およびクリアランスを改善するのに限界があった。そして、カップ部の体積と対比して電極組立体の体積比率も小さく、コウモリ耳の大きさを減少させるのにも限界があるため、二次電池の体積対比エネルギー密度も低下した。さらに、全体的にシャープな形状に製造するのに限界があり、そこで、二次電池の外観も美しくならず、商品性も低下するという問題があった。
先行技術文献として日本特許登録第6022956号がある。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
本発明が解決しようとする課題は、体積対比エネルギー密度が増加することができ、外観も美しく、商品性も向上することができるパウチ型二次電池および電池モジュールを提供することにある。
【0009】
本発明の課題は、以上で言及した課題に制限されず、言及していないまた他の課題は、下記の記載から当業者に明らかに理解できるものである。
【課題を解決するための手段】
【0010】
上記の課題を解決するための本発明の実施形態に係るパウチ型二次電池は、電極およびセパレータが積層されて形成された電極組立体と、前記電極組立体を内部に収容するカップ部が形成されたパウチ型電池ケースと、を含み、前記パウチ型電池ケースは、前記カップ部が少なくとも一方に形成された第1ケースおよび第2ケースと、前記第1ケースと前記第2ケースを一体に連結するフォールディング部と、前記フォールディング部の両端の一部から外側に突出形成されたコウモリ耳と、を含み、前記コウモリ耳は、長さが1.5mm以下である。
【0011】
また、前記コウモリ耳は、前記フォールディング部側の前記カップ部の外壁から前記コウモリ耳の最外側端部まで測定した長さが1.5mm以下であってもよい。
また、前記フォールディング部と前記コウモリ耳の内側エッジがなす角度は、151度よりも大きくてもよい。
また、前記フォールディング部は、内側に陥没した溝を含んで形成されることができる。
【0012】
また、前記パウチ型電池ケースは、前記溝を間に置いて外側に突出した1対の突出部を含み、前記溝の最内側部と前記突出部の最外側部との間の間隔は0.8mm以下であってもよい。
【0013】
また、前記カップ部は、周辺を取り囲む複数の外壁と底部とをそれぞれ連結する複数のパンチエッジを含み、前記パンチエッジは、少なくとも1つがラウンドして形成されることができる。
また、前記パンチエッジの曲率半径は、前記カップ部の深さの1/20~1/6であってもよい。
【0014】
また、前記カップ部は、隣接した2つの前記外壁を互いに連結する厚さエッジをさらに含み、前記厚さエッジは、互いに隣接した2つの前記パンチエッジと連結されてコーナーを形成することができる。
【0015】
また、前記コーナーは、少なくとも1つがラウンドして形成され、曲率半径が前記パンチエッジおよび前記厚さエッジのうち少なくとも1つの曲率半径以上であってもよい。
【0016】
また、前記第1ケースと前記第2ケースは、前記カップ部がそれぞれ形成され、前記パウチ型電池ケースは、2つの前記カップ部の間に形成されたブリッジを含み、前記ブリッジは、ラウンドして形成されることができる。
【0017】
また、前記カップ部の深さは6.5mm以上であってもよい。
また、前記電極組立体の面積は15000mm2~100000mm2であってもよい。
【0018】
また、前記パウチ型電池ケースは、パウチフィルムを成形して製造され、前記パウチフィルムは、第1ポリマーから製造され、最内層として形成されたシーラント層と、第2ポリマーから製造され、最外層として形成された表面保護層と、前記表面保護層と前記シーラント層との間に積層された水分バリア層と、を含み、前記水分バリア層は、厚さが50~80μmであり、結晶粒度が10~13μmであるアルミニウム合金薄膜からなり、前記シーラント層は、厚さが60~100μmであってもよい。
【0019】
また、前記アルミニウム合金薄膜は、合金番号AA8021であってもよい。
また、前記アルミニウム合金薄膜は、鉄を1.3wt%~1.7wt%含み、シリコンを0.2wt%以下含むことができる。
【0020】
また、前記水分バリア層は、厚さが55~65μmであり、前記シーラント層は、厚さが75~85μmであってもよい。
また、第3ポリマーから製造され、前記表面保護層と前記水分バリア層との間に積層された延伸補助層をさらに含むことができる。
また、前記延伸補助層は、厚さが20~50μmであってもよい。
【0021】
上記の課題を解決するための本発明の実施形態に係るパウチ型二次電池は、電極およびセパレータが積層されて形成された電極組立体と、前記電極組立体を内部に収容するカップ部が形成されたパウチ型電池ケースと、を含み、前記パウチ型電池ケースは、前記カップ部が少なくとも一方に形成された第1ケースおよび第2ケースと、前記第1ケースと前記第2ケースを一体に連結するフォールディング部と、前記フォールディング部の両端の一部から外側に突出形成されたコウモリ耳と、を含み、前記フォールディング部と前記コウモリ耳の内側エッジがなす角度は、151度よりも大きくてもよい。
【0022】
上記の課題を解決するための本発明の実施形態に係る電池モジュールは、電極およびセパレータが積層されて形成された電極組立体が、パウチ型電池ケースに形成されたカップ部の内部に収納されたパウチ型二次電池と、前記パウチ型二次電池が内部に収納されたハウジングと、を含み、前記パウチ型電池ケースは、前記カップ部が少なくとも一方に形成された第1ケースおよび第2ケースと、前記第1ケースと前記第2ケースを一体に連結するフォールディング部と、前記フォールディング部の両端の一部から外側に突出形成されたコウモリ耳と、を含み、前記コウモリ耳は、長さが1.5mm以下である。
【0023】
また、前記フォールディング部と前記コウモリ耳の内側エッジがなす角度は、151度よりも大きくてもよい。
また、前記ハウジングは、前記パウチ型二次電池を冷却させる冷却プレートを含むことができる。
【0024】
また、前記冷却プレートと前記パウチ型二次電池の前記フォールディング部との間に形成された熱伝達物質をさらに含むことができる。
また、前記熱伝達物質は、前記ハウジングの内部において厚さが1mm以下であってもよい。
【0025】
上記の課題を解決するための本発明の実施形態に係る電池モジュールは、電極およびセパレータが積層されて形成された電極組立体が、パウチ型電池ケースに形成されたカップ部の内部に収納されたパウチ型二次電池と、前記パウチ型二次電池が内部に収納されたハウジングと、を含み、前記パウチ型電池ケースは、前記カップ部が少なくとも一方に形成された第1ケースおよび第2ケースと、前記第1ケースと前記第2ケースを一体に連結するフォールディング部と、前記フォールディング部の両端の一部から外側に突出形成されたコウモリ耳と、を含み、前記フォールディング部と前記コウモリ耳の内側エッジがなす角度は、151度よりも大きくてもよい。
本発明のその他の具体的な事項は、詳細な説明および図面に含まれている。
【発明の効果】
【0026】
本発明の実施形態によると、少なくとも次のような効果を有する。
コウモリ耳の大きさを減少させることができるため、二次電池の体積対比エネルギー密度が増加することができる。
【0027】
また、カップ部の外壁と電極組立体との間の空間が減少することになり、二次電池の体積対比エネルギー密度が増加することができる。
また、電極組立体が熱グリースから離隔した距離も減少するため、冷却効率もさらに増加することができる。
【0028】
また、パウチ型電池ケースおよびパウチ型二次電池を全体的にシャープな形状に製造することができるため、二次電池の外観も美しく、商品性も向上することができる。
【0029】
本発明に係る効果は以上で例示された内容により制限されず、さらに多様な効果が本明細書内に含まれている。
【図面の簡単な説明】
【0030】
【
図1】本発明の一実施形態に係る二次電池1の組立図である。
【
図2】本発明の一実施形態に係るパウチフィルム135の断面図である。
【
図3】合金番号AA8079のアルミニウム合金および合金番号AA8021のアルミニウム合金の鉄およびシリコンの含量を示したグラフである。
【
図4】合金番号AA8079のアルミニウム合金および合金番号AA8021のアルミニウム合金の鉄の含量に応じた引張強度、伸び率、および結晶粒度の変化を示すグラフである。
【
図5】合金番号AA8079のアルミニウム合金および合金番号AA8021のアルミニウム合金の結晶粒を拡大したSEM写真である。
【
図6】本発明の一実施形態に係る成形装置2の概略図である。
【
図7】従来のカップ部333およびブリッジ336を拡大した概略図である。
【
図8】本発明の一実施形態に係るカップ部133およびブリッジ136を拡大した概略図である。
【
図9】本発明の一実施形態に係るカップ部133および脱気部137を拡大した概略図である。
【
図10】本発明の一実施形態に係るカップ部133に電極組立体10が収納された様子を示した上面概略図である。
【
図11】従来のコーナー364を示した概略図である。
【
図12】本発明の一実施形態に係るコーナー164を示した概略図である。
【
図13】本発明の一実施形態に係る電池ケース13をフォールディングする様子を示した概略図である。
【
図14】本発明の一実施形態に係る電池ケース13がフォールディングされた様子を示した概略図である。
【
図15】本発明の一実施形態に係る電池ケース13に形成された溝1391の拡大図である。
【
図16】本発明の他の実施形態に係るカップ部133およびダイエッジ1621を拡大した概略図である。
【
図17】本発明の他の実施形態に係る電池ケース13aをフォールディングする様子を示した概略図である。
【
図18】本発明の他の実施形態に係る電池ケース13aをフォールディングした様子を示した概略図である。
【
図19】本発明の他の実施形態に係る電池ケース13に形成された溝1391aの拡大図である。
【
図20】従来の電池ケース33の脱気部337を切断する前の様子を上方から示した概略図である。
【
図21】本発明の一実施形態に係る電池ケース13の脱気部137を切断する前の様子を上方から示した概略図である。
【
図22】本発明の一実施形態に係る検査装置4のブロック図である。
【
図23】本発明の一実施形態に係る電池ケース13の脱気部137を切断して二次電池1の製造を完了した様子を示した概略図である。
【
図24】従来のサイド334をフォールディングした様子を側面から示した概略図である。
【
図25】従来のサイド334をフォールディングした様子を上面から示した概略図である。
【
図26】本発明の一実施形態に係るサイド134をフォールディングした様子を側面から示した概略図である。
【
図27】本発明の一実施形態に係る電池モジュール5の概略図である。
【
図28】従来の二次電池3が電池モジュール5のハウジング51に収納された様子を示した正面拡大図である。
【
図29】従来の二次電池3が電池モジュール5のハウジング51に収納された様子を示した側面拡大図である。
【
図30】本発明の一実施形態に係る二次電池1が電池モジュール5のハウジング51に収納された様子を示した正面拡大図である。
【
図31】本発明の一実施形態に係る二次電池1が電池モジュール5のハウジング51に収納された様子を示した側面拡大図である。
【発明を実施するための形態】
【0031】
本発明の利点および特徴、そしてそれらを達成する方法は、添付図面とともに詳細に後述している実施形態を参照すれば明らかになるであろう。ただし、本発明は、以下に開示される実施形態に限定されるものではなく、互いに異なる多様な形態で実現できるものであり、本実施形態は、単に本発明の開示が完全になるようにし、本発明が属する技術分野における通常の知識を有する者に発明の範囲を完全に知らせるために提供されるものであり、本発明は、請求項の範囲により定義されるだけである。明細書の全体にわたって、同一の参照符号は、同一の構成要素を指す。
【0032】
他の定義がなければ、本明細書で用いられる全ての用語(技術的および科学的用語を含む)は、本発明が属する技術分野における通常の知識を有する者に共通に理解できる意味として用いられてもよい。また、一般的に用いられる辞書に定義されている用語は、明らかに特に定義していない限り、理想的にまたは過度に解釈されない。
【0033】
本明細書で用いられた用語は、実施形態を説明するためのものであって、本発明を制限しようとするものではない。本明細書において、単数形は、語句で特に言及しない限り、複数形も含む。明細書で用いられる「含む(comprises)」および/または「含む(comprising)」は、言及された構成要素の他に、1つ以上の他の構成要素の存在または追加を排除するものではない。
【0034】
以下、添付図面を参照して、本発明の好ましい実施形態について詳しく説明することにする。
図1は、本発明の一実施形態に係る二次電池1の組立図である。
【0035】
本発明の一実施形態によると、パウチフィルム135の引張強度および伸び率が改善されることで靱性(Toughness)が増加し、パウチフィルム135を成形してパウチ型電池ケース13を製造する際に成形性が向上することができる。
【0036】
このために、本発明の一実施形態に係るパウチフィルム135は、第1ポリマーから製造され、最内層に形成されるシーラント層1351(
図2に図示)と、第2ポリマーから製造され、最外層に形成される表面保護層1353(
図2に図示)と、前記表面保護層1353と前記シーラント層1351との間に積層される水分(またはガス)バリア層1352(
図2に図示)と、を含み、前記水分バリア層1352は、厚さが50~80μmであり、結晶粒度が10~13μmであるアルミニウム合金薄膜からなり、前記シーラント層1351は、厚さが60~100μmであってもよい。特に、前記水分バリア層1352は、厚さが55~65μmであり、前記シーラント層1351は、厚さが75~85μmであることが好ましい。
【0037】
電極組立体10は、電極101(
図8に図示)およびセパレータ102(
図8に図示)を交互に積層して形成する。先ず、電極活物質とバインダーおよび可塑剤を混合したスラリーを正極集電体および負極集電体に塗布し、正極および負極などの電極101を製造する。そして、セパレータ(Separator)102を電極101の間に積層して電極組立体10を形成し、電極組立体10を電池ケース13に挿入し、電解質の注入後にシールする。
【0038】
電極組立体(Electrode Assembly)10は、全長に全幅を掛けた面積が15000mm2~100000mm2であってもよい。特に、電極組立体10の全幅は60mm以上であってもよい。また、電極組立体10は、積層方向に対して6mm~20mmの厚さを有してもよい。したがって、本発明の一実施形態に係る電極組立体10は、一般的な小型電池と比べて大きい電池容量を提供することができる。
【0039】
具体的に、電極組立体10は、正極および負極の2種類の電極101と、前記電極101を互いに絶縁させるために電極101の間に介在するセパレータ102と、を含む。このような電極組立体10は、スタック型、ゼリーロール型、スタック&フォールディング型などが挙げられる。2種類の電極101、すなわち、正極と負極は、それぞれアルミニウムと銅を含む金属箔または金属網状の電極集電体に活物質スラリーが塗布された構造である。活物質スラリーは、通常、粒状の活物質、導電材などを溶媒が添加された状態で撹拌して形成することができる。溶媒は、後続工程で除去される。
【0040】
電極組立体10は、
図1に示されたように、電極タブ(Electrode Tab)11を含む。電極タブ11は、電極組立体10の正極および負極にそれぞれ連結され、電極組立体10から外部に突出し、電極組立体10の内部と外部との間で電子が移動できる経路となる。電極組立体10の電極集電体は、電極活物質が塗布された部分と、電極活物質が塗布されていない末端部分、すなわち、無地部とから構成される。そして、電極タブ11は、無地部を裁断して形成されるか、または無地部に別の導電部材を超音波溶接などにより連結して形成されてもよい。このような電極タブ11は、
図1に示されたように、電極組立体10のそれぞれ異なる方向に突出してもよいが、これに制限されず、一側から同じ方向に並んで突出するなど、多様な方向に向かって突出形成されてもよい。
【0041】
電極組立体10の電極タブ11には、二次電池1の外部に電気を供給する電極リード(Electrode Lead)12がスポット(Spot)溶接などにより連結される。そして、電極リード12の一部は、絶縁部14により周りが取り囲まれる。絶縁部14は、電池ケース13の第1ケース131と第2ケース132が熱融着されるサイド134に限定されて位置し、電極リード12を電池ケース13に接着させる。そして、電極組立体10から生成される電気が電極リード12を通して電池ケース13に流れるのを防止し、電池ケース13のシールを維持する。したがって、このような絶縁部14は、電気がよく通じない非導電性を有する不導体で製造される。一般的に、絶縁部14としては、電極リード12に付着しやすく、厚さが比較的に薄い絶縁テープを多く用いるが、これに制限されず、電極リード12を絶縁できるものであれば、多様な部材を用いてもよい。
【0042】
電極リード12は、一端が前記電極タブ11と連結され、他端が前記電池ケース13の外部にそれぞれ突出する。すなわち、電極リード12は、正極タブ111に一端が連結され、正極タブ111が突出した方向に延びる正極リード121と、負極タブ112に一端が連結され、負極タブ112が突出した方向に延びる負極リード122と、を含む。一方、正極リード121および負極リード122は、
図1に示されたように、いずれも他端が電池ケース13の外部に突出する。それにより、電極組立体10の内部で生成された電気を外部に供給することができる。また、正極タブ111および負極タブ112がそれぞれ多様な方向に向かって突出形成されるため、正極リード121および負極リード122もそれぞれ多様な方向に向かって延びることができる。
【0043】
正極リード121および負極リード122は、その材質が互いに異なってもよい。すなわち、正極リード121は、正極集電体と同一のアルミニウム(Al)材質であり、負極リード122は、負極集電体と同一の銅(Cu)材質、またはニッケル(Ni)がコーティングされた銅材質であってもよい。そして、電池ケース13の外部に突出した電極リード12の一部分は、端子部となり、外部端子と電気的に連結される。
【0044】
電池ケース13は、電極組立体10を内部に収納する、柔軟性の材質を有するパウチフィルム135を成形して製造されたパウチである。以下、電池ケース13は、パウチであるものと説明する。パンチ22(
図6に図示)などを用いて、柔軟性を有するパウチフィルム135をドロー(Drawing)成形すると、一部が延伸され、袋状の収容空間1331を含むカップ部133が形成されることで、電池ケース13が製造される。
【0045】
電池ケース13は、電極リード12の一部が露出するように電極組立体10を収容しシールされる。このような電池ケース13は、
図1に示されたように、第1ケース131および第2ケース132を含む。第1ケース131にはカップ部133が形成され、電極組立体10を収容できる収容空間1331が備えられ、第2ケース132は、前記電極組立体10が電池ケース13の外部に離脱しないように、前記収容空間1331を上方からカバーする。第1ケース131と第2ケース132は、
図1に示されたように、一側が互いに連結されて製造されてもよいが、これに制限されず、互いに分離して別に製造されるなど、多様に製造されてもよい。
【0046】
パウチフィルム135にカップ部133を成形する際に、1つのパウチフィルム135に1つのカップ部133だけが形成されてもよいが、これに制限されず、1つのパウチフィルム135に2つのカップ部133を互いに隣り合うようにドロー成形してもよい。すると、
図1に示されたように、第1ケース131と第2ケース132には、それぞれカップ部133が形成される。この際、第1ケース131と第2ケース132に形成されたそれぞれのカップ部133は、深さDが互いに同一であってもよいが、これに制限されず、深さDが互いに異なってもよい。
【0047】
本発明の一実施形態の場合、カップ部133の深さDは3mm以上、特に6.5mm以上であってもよい。したがって、本発明の一実施形態に係るカップ部133は、一般的な小型電池と比べて大きい電極容量を有する電極組立体10を収納することができる。
【0048】
第1ケース131のカップ部133に備えられた収容空間1331に電極組立体10を収納した後、2つのカップ部133が互いに対向するように、電池ケース13における2つのカップ部133の間に形成されたブリッジ136を中心に電池ケース13をフォールディングすることができる。すると、第2ケース132のカップ部133が電極組立体10を上方からも収容する。したがって、2つのカップ部133が1つの電極組立体10を収容するため、カップ部133が1つであるときよりも、厚さがさらに厚い電極組立体10も収容することができる。また、電池ケース13をフォールディングすることにより、第1ケース131と第2ケース132が互いに一体に連結されるため、後ほどシール工程を行う際に、シールするサイド134の個数が減少することができる。したがって、工程速度を向上させることができ、シール工程数も減少させることができる。
【0049】
一方、電池ケース13は、電極組立体10を収容する収容空間1331が備えられたカップ部133と、カップ部133の側部に形成され、脱気孔Hを通して前記カップ部133の内部に生成されるガスを排出する脱気部137と、を含むことができる。電池ケース13のカップ部133に電極組立体10を収納し電解液を注入した後、活性化工程を行うと、電池ケース13の内部でガスが発生し、このようなガスを外部に排出するために脱気工程を行う。脱気部137に関する詳しい説明は後述する。
【0050】
電極組立体10の電極タブ11に電極リード12が連結され、電極リード12の一部分に絶縁部14が形成されると、第1ケース131のカップ部133に備えられた収容空間1331に電極組立体10が収容され、第2ケース132が前記空間を上部からカバーする。そして、内部に電解質を注入し、第1ケース131および第2ケース132のカップ部133の外側に延長形成されたサイド134をシールする。電解質は、二次電池1の充放電時、電極101の電気化学的反応により生成されるリチウムイオンを移動させるためのものであり、リチウム塩と高純度有機溶媒類の混合物である非水系有機電解液または高分子電解質を用いたポリマーを含むことができる。さらに、電解質は、硫化物系、酸化物系、またはポリマー系の固体電解質を含んでもよく、このような固体電解質は、外力により容易に変形する柔軟性を有してもよい。このような方法によりパウチ型二次電池1を製造することができる。
【0051】
図2は、本発明の一実施形態に係るパウチフィルム135の断面図である。
本発明の一実施形態に係るパウチ型二次電池1の電池ケース13であるパウチは、パウチフィルム135をドロー(Drawing)成形して製造される。すなわち、パウチフィルム135をパンチ22などで延伸させてカップ部133を形成することで製造される。本発明の一実施形態によると、このようなパウチフィルム135は、
図2に示されたように、シーラント層(Sealant Layer)1351、水分バリア層(Moisture Barrier Layer)1352、表面保護層(Surface Protection Layer)1353を含み、必要に応じて、延伸補助層(Drawing Assistance Layer)1354をさらに含むことができる。
【0052】
シーラント層1351は、第1ポリマーから製造され、最内層に形成され、電極組立体10と直接接触することができる。ここで、最内層とは、前記水分バリア層1352を基準として電極組立体10が位置する方向に向かう際に最も最後に位置した層をいう。電池ケース13は、上記のような積層構造のパウチフィルム135を、パンチ22などを用いてドロー(Drawing)成形すると、一部が延伸され、袋状の収容空間1331を含むカップ部133が形成されることで製造される。そして、このような収容空間1331に電極組立体10が内部に収容されると、電解質を注入する。その後、第1ケース131と第2ケース132を互いに対向するように接触させ、サイド134に熱圧着をすると、シーラント層1351同士が接着されることで、パウチがシールされる。この際、シーラント層1351は、電極組立体10と直接的に接触するため、絶縁性を有しなければならず、電解質とも接触するため、耐食性を有しなければならない。また、内部を完全に密閉して内部および外部間の物質移動を遮断しなければならないため、高いシール性を有しなければならない。すなわち、シーラント層1351同士が接着されたサイド134は、優れた熱接着強度を有しなければならない。一般的に、このようなシーラント層1351を製造する第1ポリマーは、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリカーボネート、ポリエチレンテレフタレート、ポリ塩化ビニル、アクリル系高分子、ポリアクリロニトリル、ポリイミド、ポリアミド、セルロース、アラミド、ナイロン、ポリエステル、ポリパラフェニレンベンゾビスオキサゾール、ポリアリレート、テフロン(登録商標)、およびガラス繊維からなる群から選択された1つ以上の物質からなることができる。特に、主にポリプロピレン(PP)またはポリエチレン(PE)などのポリオレフィン系樹脂が用いられる。ポリプロピレン(PP)は、引張強度、剛性、表面硬度、耐摩耗性、耐熱性などの機械的物性と、耐食性などの化学的物性に優れるため、シーラント層1351を製造するのに主に用いられる。さらに、無延伸ポリプロピレン(Cated Polypropylene)または酸修飾ポリプロピレン(Acid Modified Polypropylene)、またはポリプロピレン-ブチレン-エチレン三元共重合体で構成されてもよい。ここで、酸修飾ポリプロピレンは、MAH PP(Maleic Anhydride Polypropylene)であってもよい。また、シーラント層1351は、いずれか1つの物質からなる単一膜構造を有するか、または2つ以上の物質がそれぞれ層をなして形成された複合膜構造を有してもよい。
【0053】
本発明の一実施形態によると、シーラント層1351の厚さは60~100μmであってもよく、特に75~85μmであってもよい。仮にシーラント層1351の厚さが60μmよりも薄いと、シール時に内部が破壊されるなど、シール耐久性が低下するという問題があり得る。そして、仮にシーラント層1351の厚さが100μmよりも厚いと、パウチ全体の厚さが過度に厚くなるため、かえって成形性が低下するか、または二次電池1の体積対比エネルギー密度が低下し得る。シルラント層1351の厚さが小さい場合、パウチフィルム135の絶縁破壊電圧が低くなって絶縁性が低下し得、絶縁性が劣るパウチフィルム135を用いて電池を製造する場合に不良率が高くなり得る。
【0054】
水分バリア層1352は、表面保護層1353とシーラント層1351との間に積層され、パウチの機械的強度を確保し、二次電池1外部のガスまたは水分などの出入りを遮断し、電解質漏れを防止する。水分バリア層1352は、アルミニウム合金薄膜から製造されることができる。アルミニウム合金薄膜は、所定レベル以上の機械的強度を確保できながらも、重さが軽く、電極組立体10と電解質による電気化学的性質に対する補完および放熱性などを確保することができる。
【0055】
より具体的には、本発明の一実施形態に係るアルミニウム合金薄膜は、結晶粒度が10~13μm、好ましくは10.5~12.5μm、より好ましくは11~12μmであってもよい。アルミニウム合金薄膜の結晶粒度が前記範囲を満たす際に、カップの成形時にピンホール(Pinhole)や亀裂が発生することなく成形深さを増加させることができる。
【0056】
このようなアルミニウム合金薄膜には、アルミニウム以外の金属元素、例えば、鉄(Fe)、銅(Cu)、クロム(Cr)、マンガン(Mn)、ニッケル(Ni)、マグネシウム(Mg)、および亜鉛(Zn)からなる群から選択される1種または2種以上が含まれることができる。
【0057】
従来は、水分バリア層が約30~50μm、特に40μmの厚さを有しており、それにより成形性が低下した。したがって、パウチフィルムをドロー成形しても、カップ部333(
図7に図示)の深さD’が深くなるにつれ、カップ部333の外壁338(
図7に図示)を垂直に近く成形するのに限界があり、カップ部333のエッジ36(
図7に図示)の曲率半径を減少させるのにも限界があった。また、穿孔強度が弱いため、電池ケースが外部から衝撃を受けると、内部の電極組立体が破損しやすいという問題もあった。
【0058】
これを解決するために水分バリア層1352の厚さを約80μmよりも厚く増加させると、製造費用が増加するだけでなく、パウチ全体の厚さが過度に厚くなり、二次電池1の体積対比エネルギー密度が低下するという問題がある。仮にパウチ全体の厚さを減少させるためにシーラント層1351の厚さを60μmよりも薄く減少させると、上述したようにシール耐久性が低下するという問題がある。
【0059】
本発明の一実施形態によると、これを改善し、このような水分バリア層1352は、厚さが50μm~80μmであってもよく、特に55μm~65μmであってもよい。したがって、水分バリア層1352の成形性が向上することで、パウチフィルム135をドロー成形する際に、カップ部133の深さDを深く形成することができ、カップ部133の外壁138を垂直に近くすることができ、カップ部133のエッジ16(
図8に図示)の曲率半径R2も減少することができる。すると、収容空間1331の体積が増加するため、内部に収納される電極組立体10の体積も増加することができ、二次電池1の体積対比エネルギー効率も増加することができる。そして、製造費用が大幅に増加せず、かつ、シーラント層1351の厚さを減少させなくても、パウチ全体の厚さも大幅に増加せず、シール耐久性も低下しない。
【0060】
また、パウチフィルム135の穿孔強度が向上するため、外部から大きい圧力を受けるかまたは鋭い物体で刺されて破損しても、内部の電極組立体10をさらに効果的に保護することができる。ここで、穿孔強度に優れるとは、パウチフィルム135に孔を穿孔する際の強度が高いことを意味する。
【0061】
しかしながら、単にアルミニウム合金薄膜の厚さだけを増加させる場合、成形深さは増加させることができるが、成形後にアルミニウム合金薄膜にピンホールやクラックが発生し、密封耐久性に問題が発生する。
【0062】
そこで、本発明者らは、研究を重ねた結果、ガスバリア層の材質として特定の結晶粒度を有するアルミニウム合金薄膜を適用し、ガスバリア層およびシルラント層の厚さを特定の範囲に制御する場合、カップ部を深く成形可能であり、優れた密封耐久性も維持可能であることを見出し、本発明を完成した。
【0063】
具体的には、本発明に係るガスバリア層1352は、結晶粒度が10μm~13μm、好ましくは10.5~12.5μm、より好ましくは11~12μmであるアルミニウム合金薄膜を含む。アルミニウム合金薄膜の結晶粒度が前記範囲を満たす際に、カップの成形時にピンホール(Pinhole)や亀裂が発生することなく成形深さを増加させることができる。アルミニウム合金薄膜の結晶粒度が13μm超過である場合には、アルミニウム合金薄膜の強度が低下し、延伸時に内部応力の分散が難しいため、クラックやピンホールの発生が増加し、結晶粒度が10μm未満である場合には、アルミニウム合金薄膜の柔軟性が低下し、成形性の向上に限界がある。
【0064】
一方、前記結晶粒度は、アルミニウム合金薄膜の組成およびアルミニウム合金薄膜の加工方法に応じて異なり、アルミニウム合金薄膜の厚さ方向の断面を走査型電子顕微鏡(Scanning Electron Microscope、SEM)で観測して測定することができる。具体的には、本発明においては、走査型電子顕微鏡を用いてアルミニウム合金薄膜の厚さ方向の断面のSEMイメージを取得し、前記SEMイメージから観察される結晶粒のうち既に設定された個数の結晶粒の最大直径を測定した後、これらの平均値を結晶粒度として評価した。
【0065】
表面保護層1353は、第2ポリマーから製造され、最外層に形成され、外部との摩擦および衝突から二次電池1を保護しながらも、電極組立体10を外部から電気的に絶縁させる。ここで、最外層とは、前記水分バリア層1352を基準として電極組立体10が位置する方向の反対方向に向かう際に最も最後に位置した層をいう。このような表面保護層1353を製造する第2ポリマーは、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリカーボネート、ポリエチレンテレフタレート、ポリ塩化ビニル、アクリル系高分子、ポリアクリロニトリル、ポリイミド、ポリアミド、セルロース、アラミド、ナイロン、ポリエステル、ポリパラフェニレンベンゾビスオキサゾール、ポリアリレート、テフロン(登録商標)、およびガラス繊維からなる群から選択された1つ以上の物質であってもよい。特に、主に耐摩耗性および耐熱性を有するポリエチレンテレフタレート(PET)などのポリマーを用いることが好ましい。そして、表面保護層1353は、いずれか1つの物質からなる単一膜構造を有するか、または2つ以上の物質がそれぞれ層をなして形成された複合膜構造を有してもよい。
【0066】
本発明の一実施形態によると、このような表面保護層1353の厚さは5μm~25μmであってもよく、特に7μm~12μmであってもよい。仮に表面保護層1353の厚さが5μmよりも薄いと、外部絶縁性が低下するという問題があり得る。その逆に、仮に表面保護層1353の厚さが25μmよりも厚いと、パウチ全体の厚さが厚くなるため、かえって二次電池1の体積対比エネルギー密度が低下し得る。
【0067】
一方、PETは、安価、かつ、耐久性に優れ、電気絶縁性に優れるが、前記水分バリア層1352として多く用いられるアルミニウムとの接着性も弱く、応力を印加して延伸される際の挙動も互いに異なり得る。したがって、表面保護層1353と水分バリア層1352を直接接着すると、ドロー成形途中に表面保護層1353と水分バリア層1352が剥離し得る。それにより、水分バリア層1352が均一に延伸されないため、成形性が低下するという問題が発生し得る。
【0068】
本発明の一実施形態によると、電池ケース13は、第3ポリマーから製造され、表面保護層1353と水分バリア層1352との間に積層される延伸補助層1354をさらに含むことができる。延伸補助層1354は、表面保護層1353と水分バリア層1352との間に積層され、表面保護層1353と水分バリア層1352が延伸される際に剥離するのを防止することができる。このような延伸補助層1354を製造する第3ポリマーは、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリカーボネート、ポリエチレンテレフタレート、ポリ塩化ビニル、アクリル系高分子、ポリアクリロニトリル、ポリイミド、ポリアミド、セルロース、アラミド、ナイロン、ポリエステル、ポリパラフェニレンベンゾビスオキサゾール、ポリアリレート、テフロン(登録商標)、およびガラス繊維からなる群から選択された1つ以上の物質であってもよい。特に、ナイロン(Nylon)樹脂は、表面保護層1353のポリエチレンテレフタレート(PET)とは接着が容易であり、水分バリア層1352のアルミニウム合金とは延伸される際の挙動が類似するため、第3ポリマーとしては、主にナイロン(Nylon)樹脂を用いることができる。そして、延伸補助層1354は、いずれか1つの物質からなる単一膜構造を有するか、または2つ以上の物質がそれぞれ層をなして形成された複合膜構造を有してもよい。
【0069】
従来、水分バリア層は、約40μmの厚さを有し、それにより、延伸補助層は、約15μmの相当に薄い厚さを有するものであった。すなわち、延伸補助層と水分バリア層の厚さ比率が1:2.67であって、水分バリア層の厚さ比率が相当に高かった。ところで、上述したように、本発明の一実施形態によると、水分バリア層1352が約50~80μm、特に55μm~65μmの厚さを有するため、水分バリア層1352の成形性が向上する。この際、延伸補助層1354の成形性も向上させるために、延伸補助層1354は20μm~50μmの厚さを有してもよく、特に25μm~38μmの厚さを有することが好ましい。仮に20μmよりも薄いと、延伸補助層1354が水分バリア層1352の向上した成形性を追うことができず、延伸途中に破損し得る。その逆に、仮に50μmよりも厚いと、パウチ全体の厚さが厚くなるため、二次電池1の体積が増加し、エネルギー密度が低下し得る。特に、本発明の一実施形態によると、延伸補助層1354と水分バリア層1352の厚さ比率が1:2.5よりも小さくてもよい。すなわち、従来よりも延伸補助層1354の厚さ比率がさらに増加することができる。ただし、延伸補助層1354の厚さが過度に厚くなると、パウチ全体の厚さが厚くなるため、過度な厚さにならないために、前記厚さ比率は1:1.5よりも大きくてもよい。すなわち、前記厚さ比率は1:1.5~1:2.5であってもよい。
【0070】
図3は、合金番号AA8079のアルミニウム合金および合金番号AA8021のアルミニウム合金の鉄およびシリコンの含量を示したグラフである。
上述したように、水分バリア層1352をなすアルミニウム合金薄膜は、結晶粒度が10~13μm、好ましくは10.5~12.5μm、より好ましくは11~12μmであってもよい。
【0071】
また、前記アルミニウム合金薄膜の鉄(Fe)含有量は1.2wt%~1.7wt%、好ましくは1.3wt%~1.7wt%、より好ましくは1.3wt%~1.45wt%であってもよい。アルミニウム合金薄膜中の鉄(Fe)含有量が1.2wt%未満である場合には、アルミニウム合金薄膜の強度が低下し、成形時にクラックおよびピンホールが発生し得、1.7wt%超過である場合には、アルミニウム合金薄膜の柔軟性が低下し、成形性の向上に限界がある。
【0072】
また、前記アルミニウム合金薄膜のシリコン(Si)含有量は0.2wt%以下、好ましくは0.05~0.2wt%、より好ましくは0.1~0.2wt%であってもよい。シリコン含有量が0.2wt%超過である場合には、成形性が低下し得る。
【0073】
具体的には、本発明に係るアルミニウム合金薄膜は、合金番号AA8021のアルミニウム合金であってもよい。
これに対し、従来の電池用パウチには、主に合金番号AA8079のアルミニウム合金薄膜が用いられた。アルミニウム合金に鉄が多く含まれる場合には機械的強度が向上し、鉄が少なく含まれる場合には柔軟性が向上する。
【0074】
合金番号AA8079は、
図3に示されたように、鉄を0.6wt%~1.2wt%含み、シリコンを0.3wt%以下含む。合金番号AA8079のアルミニウム合金の場合、鉄が相対的に少なく含まれており、それを用いて水分バリア層1352を製造する場合、柔軟性が向上することはできるが、強度が低下して成形性に限界があり得る。
【0075】
これに対し、合金番号AA8021は、
図3に示されたように、鉄を1.2wt%~1.7wt%、特に1.3wt%~1.7wt%含むことができ、シリコンを0.2wt%以下含むことができる。このような合金番号AA8021のアルミニウム合金を用いて水分バリア層1352を製造する場合、鉄が相対的に多く含まれるため、引張強度(Tensile Strength)、伸び率(Elongation Rate)、および穿孔強度(puncture Strength)が改善されることができる。
【0076】
一方、ある材料に引張力を印加した際、引張強度と伸び率との間の関係をグラフで示すことができる。この際、グラフの縦軸を引張強度、横軸を伸び率とすると、グラフの下面積が当該材料の靱性(Toughness)である。靱性とは、材料の破壊に対する強さ程度を示し、靱性が高いほど、材料が破壊されないまでさらに多く延伸されることができる。
【0077】
したがって、合金番号AA8021のアルミニウム合金を用いて水分バリア層1352を製造する場合、引張強度および伸び率が改善されるため、靱性(Toughness)が増加し、成形性が向上することができる。
【0078】
図4は、合金番号AA8079のアルミニウム合金および合金番号AA8021のアルミニウム合金の鉄の含量に応じた引張強度(Rm)、伸び率、および結晶粒度の変化を示すグラフであり、
図5は、合金番号AA8079のアルミニウム合金および合金番号AA8021のアルミニウム合金の結晶粒を拡大したSEM写真である。
【0079】
図4に示されたように、アルミニウム合金の鉄の含量に応じて、引張強度、伸び率、および結晶粒度が変化する。具体的に、引張強度および伸び率は鉄の含量に比例するため、鉄の含量が増加するほど、引張強度および伸び率も増加する。これに対し、結晶粒度は鉄の含量に反比例するため、鉄の含量が増加するほど、結晶粒度は減少する。
【0080】
合金番号AA8079は、結晶粒度が13μm~21μmと相対的に大きい。したがって、延伸時に内部応力がさらに少なく分散し、ピンホール(Pinhole)が多くなるため、電池ケース13の成形性が低下するという問題がある。
【0081】
合金番号AA8021は、結晶粒度が10μm~13μmと相対的に小さい。したがって、延伸時に内部応力がさらに多く分散することができるため、ピンホール(Pinhole)が減少し、電池ケース13の成形性が向上することができる。
【0082】
このような水分バリア層1352を有するパウチフィルム135を成形して製造されたパウチ型電池ケース13は、成形性が向上することで、カップ部133の深さDをさらに深く形成することができ、カップ部133の外壁138も垂直に近くなり、カップ部133のエッジ16の曲率半径も減少することができるため、さらに大きく厚い電極組立体10も収容することができる。したがって、このような電池ケース13を用いて製造された二次電池1は、体積対比エネルギー効率が増加することができる。
【0083】
一方、本発明に係るパウチフィルム135は、総厚さが160μm~200μm、好ましくは180μm~200μmであってもよい。パウチフィルム135の厚さが前記範囲を満たす際に、パウチの厚さ増加による電池収容空間の減少、密封耐久性の低下などを最小化しながらも成形深さを増加させることができる。
【0084】
本発明に係るパウチフィルム135は、特定の厚さおよび結晶粒度を有するアルミニウム合金薄膜を含んでおり、引張強度および伸び率に優れる。具体的には、本発明に係るパウチフィルム135は15mm×80mmの大きさに裁断した後、50mm/minの引張速度で引っ張りつつ測定した引張強度が200N/15mm~300N/15mm、好ましくは210N/15mm~270N/15mm、より好ましくは220N/15mm~250N/15mmであり、伸び率が120%~150%、好ましくは120%~140%、より好ましくは120%~130%であってもよい。このように、本発明に係るパウチフィルム積層体は、引張強度および伸び率が高く、それにより、靱性(Toughness)が増加し、カップの成形時に成形深さが大きい場合にもクラックの発生が少ない。
【0085】
また、本発明に係るパウチフィルム積層体は、特定の厚さおよび結晶粒度を有するアルミニウム合金薄膜を含んでおり、穿孔強度に優れる。具体的には、本発明に係るパウチフィルム積層体は、穿孔強度が30N以上であってもよい。
【0086】
図6は、本発明の一実施形態に係る成形装置2の概略図である。
本発明の一実施形態に係るパウチフィルム135を成形する成形装置2は、上面にパウチフィルム135が載置されるダイ21と、ダイ21の上方に配置され、下降してパウチフィルム135を成形するパンチ22と、を含む。そして、ダイ21は、上面から内側に陥没形成された成形部211を含み、パンチ22は、パウチフィルム135を前記成形部211に挿入してドロー成形することでカップ部133を形成する。
【0087】
本発明の一実施形態によると、このような成形装置2を用いてパウチフィルム135を成形する際に、
図6に示されたように、ダイ21には成形部211が互いに隣り合うように2つ形成され、2つの成形部211の間には隔壁212が形成されることができる。パンチ22が2つの成形部211に全て挿入してパウチフィルム135をドロー成形すると、2つの成形部211に対応して、第1ケース131と第2ケース132には、それぞれ1つずつ、総2つのカップ部133が形成され、このような2つのカップ部133の間には、隔壁212に対応してブリッジ136も共に形成されることができる。
【0088】
ブリッジ136は、後ほど電池ケース13をフォールディングする際に基準となる部分であってもよい。二次電池1の製造が完了すると、ブリッジ136は、二次電池1の一側においてフォールディング部139(
図14に図示)を形成することができる。このようなフォールディング部139は、第1ケース131と第2ケース132を互いに一体に連結するため、後ほどシール工程を行う際に、シールするサイド134の個数が減少することができる。したがって、工程速度を向上させ、シール工程数も減少させることもできる。この際、フォールディング部139の幅が小さいほど、カップ部133の外壁138(
図8に図示)と電極組立体10との間の空間17(
図8に図示)も減少するため、二次電池1の全体体積が減少し、体積対比エネルギー密度が増加することができる。
【0089】
このようなフォールディング部139の幅はブリッジ136の厚さt(
図8に図示)に比例し、ブリッジ136は隔壁212に対応して形成されるため、ブリッジ136の厚さtは隔壁212の厚さに比例する。したがって、パウチフィルム135を成形する際には、ブリッジ136の厚さtを最小化することが好ましく、このために、隔壁212の厚さも最小化することが好ましい。ところで、隔壁212が、厚さが薄い状態で、高さが過度に高く形成されると、ドロー成形する過程で隔壁212が破損し得る。特に、従来は、ダイに底が存在したが、この場合、パンチ22がパウチフィルム135を成形する際に、パウチフィルム135と成形部211との間の空間に存在する気体が排出できないという問題があった。したがって、近年、このようなダイに底を除去することで、パウチフィルム135と成形部211との間の空間に存在する気体が容易に排出されることはできるが、隔壁212の高さが過度に高く形成されるという問題があった。したがって、本発明の一実施形態によると、
図6に示されたように、隔壁212の下部に隔壁212の厚さよりもさらに厚い補強部2121が形成されることができる。補強部2121は、電池ケース13に形成されるカップ部133の深さDよりは下方に形成され、隔壁212が破損しない程度の位置に形成されることができる。補強部2121の正確な位置は、隔壁212の厚さ、隔壁212の材料、パンチ22の圧力、形成されるカップ部133の深さDに応じて実験的に決定することができる。
【0090】
図7は、従来のカップ部333およびブリッジ336を拡大した概略図である。
上述したように、従来は、水分バリア層を製造する際に、合金番号がAA30XX系のアルミニウム合金が多く用いられた。そして、水分バリア層は、約30~50μm、特に40μmの厚さを有し、延伸補助層は、約15μmの相当に薄い厚さを有するものであった。したがって、パウチフィルムの成形性に優れないため、電池ケースおよび二次電池を製造しても、カップ部333の深さD’が深くなく、全体的にシャープな形状に製造するのに限界があった。
【0091】
具体的に、従来は、カップ部333のエッジ36の曲率半径を減少するのにも限界があった。
カップ部333のエッジ36は、パンチ22のエッジ221(
図6に図示)に対応して形成されるパンチエッジ361と、ダイ21のエッジ213(
図6に図示)に対応して形成されるダイエッジ362(
図11に図示)と、を含む。
【0092】
パンチエッジ361は、カップ部333の周辺を取り囲む複数の外壁338と底部3332をそれぞれ連結する。ところで、パンチ22のエッジ221にラウンド処理が行われていないと、パンチ22のエッジ221が尖鋭になるため、パウチフィルム135を成形する際に、カップ部333のパンチエッジ361に応力が集中し、クラックが発生しやすいという問題があった。また、ダイエッジ362は、前記複数の外壁338とサイド134または脱気部137をそれぞれ連結する。ところで、ダイ21のエッジ213にもラウンド処理が行われていないと、ダイ21のエッジが尖鋭になるため、パウチフィルム135を成形する際に、カップ部333のダイエッジ362にも応力が集中し、クラックが発生しやすいという問題があった。ここで、ラウンドするとは、曲率を有するように曲面を形成することを意味し、このような曲面は、一定の曲率だけを有してもよいが、これに制限されず、一定でない曲率を有してもよい。本明細書において、パンチエッジ161、ダイエッジ162、ブリッジ136などが特定の曲率をもってラウンドして形成されるとは、全体的に前記特定の曲率だけを有するものだけでなく、少なくとも一部にだけ前記特定の曲率を有するものも含むことを意味する。
【0093】
上記の問題を解決するために、
図7に示されたように、パンチ22のエッジ221とダイ21のエッジ213にラウンド処理をし、カップ部333のパンチエッジ361およびダイエッジ362がラウンドして形成された。それにより、カップ部333のパンチエッジ361およびダイエッジ362に集中する応力を或る程度分散させることができた。
【0094】
しかしながら、カップ部333のパンチエッジ361およびダイエッジ362がラウンドして形成されても、カップ部333の深さD’は、各エッジ361、362の曲率半径の比率の2倍~5倍、特に2倍~3.25倍内で作製できるという限界があった。
【0095】
したがって、カップ部333の深さD’を或る程度深く成形するためには、パンチエッジ361の曲率半径R2’およびダイエッジ362の曲率半径を十分に大きく形成しなければならず、パンチエッジ361およびダイエッジ362の曲率半径と比べてカップ部333の深さD’が過度に深いと、パンチエッジ361およびダイエッジ362にクラックが発生した。
【0096】
したがって、従来は、カップ部333の深さD’を十分に深く(例えば、6.5mm以上)成形しながらも、カップ部333のパンチエッジ361の曲率半径R2’およびダイエッジ362の曲率半径を一定数値(例えば、2mm)以下に形成できないという問題があった。
【0097】
また、2つのカップ部133が形成される場合、前記ブリッジ136が形成されるためには、ダイ21に隔壁212が存在しなければならない。ところで、従来は、パウチフィルムの成形性に優れないため、このようなブリッジ336の厚さを薄く形成するのに限界があった。すなわち、ブリッジ336を一定厚さ以下に形成するために前記隔壁212も一定厚さ以下に形成すると、隔壁212が尖鋭に形成されるため、ブリッジ336にクラックが発生するという問題があった。
【0098】
このような問題を解決するために、
図7に示されたように、隔壁212にラウンド処理をし、ブリッジ336がラウンドして形成された。それにより、ブリッジ336に集中する応力を或る程度分散させることができた。特に、ブリッジ336の曲率半径R1’が一定である場合、前記曲率半径R1’は、ブリッジ336の厚さt’の半分に対応する。例えば、ブリッジ336の曲率半径R1’を約1mmに近く形成する場合、ブリッジ336の厚さt’は、約2mmに近く形成された。
【0099】
しかしながら、ブリッジ336がラウンドして形成されても、ブリッジ336の曲率半径R1’を小さく形成すると、カップ部333の深さD’を或る程度深く成形する際に、ブリッジ336にクラックが発生するという問題があった。したがって、従来は、カップ部333を一定深さD’(例えば、6.5mm)以上に成形しながらも、ブリッジ336の厚さt’を一定数値(例えば、2mm)以下に形成できないという問題があった。
【0100】
さらに、クリアランスCL’の大きさも相当に大きいため、カップ部333の外壁338を垂直に近く成形するのにも限界があった。クリアランスCLとは、ダイ21の成形部211の内壁とパンチ22の外壁との間の垂直距離を指す。実際にダイ21の成形部211とパンチ22は、クリアランスCLだけの微細な大きさの差がある。仮に、このようなクリアランスCLが過度に小さいと、成形部211の内壁とパンチ22の外壁との間の距離が過度に小さくなる。すると、パウチフィルム135が成形部211に挿入できないか、または摩擦が大きく発生してパウチフィルム135が損傷し得る。その逆に、クリアランスCLが過度に大きいと、カップ部333の外壁338の傾斜角が大きくなり、カップ部333の外壁338と電極組立体10との間の空間37が増加するという問題がある。したがって、パウチフィルム135を成形する際には、適当な大きさのクリアランスCLを設定しなければならない。
【0101】
ブリッジ336は、ダイ21の隔壁212に対応して形成され、パンチエッジ361は、パンチ22のエッジ221に対応して形成される。したがって、ダイ21の成形部211の内壁とパンチ22の外壁との間の垂直距離であるクリアランスCL’は、電池ケース33において、ブリッジ336とパンチエッジ361との間の垂直距離で示すことができる。
【0102】
具体的に、
図7に示されたように、ブリッジ垂直線V1’およびエッジ垂直線V2’を仮想で示す。ブリッジ垂直線V1’は、ブリッジ336とブリッジ336側の外壁338の境界点P1’を通過し、底部3332と垂直な仮想の垂直線である。そして、エッジ垂直線V2’は、ブリッジ336側のパンチエッジ361とブリッジ336側の外壁338の境界点P2’を通過し、底部3332と垂直な仮想の垂直線である。このようなブリッジ垂直線V1’は、ダイ21の成形部211の内壁、特に隔壁212の内壁に対応し、エッジ垂直線V2’は、パンチ22の外壁に対応する。したがって、ブリッジ垂直線V1’とエッジ垂直線V2’の垂直距離が、電池ケース33で現れるクリアランスCL’である。
【0103】
ところで、従来は、このようなクリアランスCLを0.5mm以下に減少させると、カップ部333の深さD’を或る程度深く成形する際に、パウチフィルム135にクラックが発生しやすいという問題が発生し得た。
【0104】
上述したように、従来は、クリアランスCL’をさらに小さく、カップ部333の深さD’をさらに深く成形するのに限界があるため、カップ部333を一定深さD’(例えば、6.5mm)以上に成形すると、カップ部333の外壁338は、底部3332から傾斜角が95°よりも大きく形成された。すなわち、カップ部333の外壁338を傾斜角95°以下に、垂直に近く成形するのにも限界があった。
【0105】
一方、カップ部333のエッジの曲率半径R2’を改善するのに限界があるため、カップ部333に収納される電極組立体10の体積が小さくなるという問題もあった。具体的に、
図7に示されたように、従来は、カップ部333のパンチエッジ361の曲率半径R2’が大きいため、電極組立体10がカップ部333の外壁338に過度に近く位置すると、電極組立体10の電極101がカップ部333のパンチエッジ361により破損するという問題があった。すなわち、金属を含む電極101の一端がカップ部333のパンチエッジ361上に位置することになり、電極101の一端がカップ部333のパンチエッジ361と対応して変形して破損するという問題があった。
【0106】
このような問題を解決するために、従来は、電極組立体10をカップ部333に収納する際に、電極組立体10をカップ部333の外壁338から或る程度離隔させて収納した。先ず、前記エッジ垂直線V2’から垂直距離g’が0.75mm、特に0.5mmであり、底部3332と垂直な基準垂直線V3’を仮想で示した後、
図7に示されたように、電極101の一端が前記基準垂直線V3’の外側に位置するように電極組立体10を収納した。それにより、電極101がカップ部333の外壁338から或る程度離隔するため、電極101が破損するのを防止することができた。しかし、この場合、カップ部333の外壁338と電極組立体10との間の空間37が増加し、カップ部333の体積と対比して電極組立体10の体積比率が小さくなるため、二次電池3の体積対比エネルギー密度が低下するという問題があった。また、カップ部333の内部に不要な空間の体積が大きくなり、サイドをシールする前に電極組立体10がカップ部333の内部で動くという問題もあった。
【0107】
そして、電極組立体10において、電極101は、外力により容易に変形しない剛性が大きいのに対し、セパレータ102は、外力により容易に変形する柔軟性が大きい。ところで、隣り合う電極101が直接接触すると、短絡(short、ショート)が発生するため、これを防止するために、セパレータ102が電極101よりも大きく形成される。したがって、電極組立体10が形成されると、セパレータ102が電極101よりも外側に突出した周辺部1021が共に形成される。ところで、従来は、電極組立体10をカップ部333の外壁338から或る程度離隔させて収納したため、このようなセパレータ102の周辺部1021が全て無秩序に皺むかフォールディングされ、電極101が外部に露出することで、短絡が発生する可能性も高かった。
【0108】
このように、従来は、パウチフィルムの成形性に優れないため、ブリッジ336の厚さt’、カップ部333の深さD’、カップ部333のエッジ361の曲率半径R2’、およびクリアランスCL’を改善するのに限界があった。そして、カップ部333の体積と対比して電極組立体10の体積比率も小さく、二次電池3における不要な体積も大きいため、体積対比エネルギー密度も低下した。さらに、カップ部333の外壁338が垂直に近く成形されず、カップ部133のエッジ361の曲率半径R2も大きいため、全体的にシャープな形状に製造するのに限界があり、そこで、二次電池3の外観も美しくならず、商品性も低下するという問題があった。
【0109】
図8は、本発明の一実施形態に係るカップ部133およびブリッジ136を拡大した概略図であり、
図9は、本発明の一実施形態に係るカップ部133および脱気部137を拡大した概略図である。
【0110】
本発明の一実施形態によると、パウチフィルム135の成形性が改善されることで、ブリッジ136の厚さtをさらに薄く、カップ部133のエッジ16の曲率半径R2およびクリアランスCLをさらに小さく形成することができ、電極組立体10の体積を増加させることができる。したがって、二次電池1における不要な体積も減少させるため、体積対比エネルギー密度が増加することができる。また、パウチ型電池ケース13およびパウチ型二次電池1を全体的にシャープな形状に製造することができるため、二次電池1の外観にも優れ、商品性も向上することができる。
【0111】
このために、本発明の一実施形態に係るパウチ型電池ケース13は、電極101およびセパレータ102が積層されて形成される電極組立体10を内部に収容するカップ部133が形成され、前記カップ部133は、周辺を取り囲む複数の外壁138と底部1332をそれぞれ連結する複数のパンチエッジ161を含み、パンチエッジ161は、少なくとも1つが、カップ部133の深さDの1/20~1/6の曲率半径でラウンドして形成されることができる。パンチエッジ161の曲率半径R2がカップ部133の深さDの1/20よりも小さいと、パンチエッジ161に応力が過度に集中してクラックが発生し得、パンチエッジ161の曲率半径R2がカップ部133の深さDの1/6よりも大きいと、カップ部133がシャープに形成されないため、エネルギー密度が低下し得る。
具体的に、前記パンチエッジ161は、少なくとも1つが1mm以下、特に0.7mm以下の曲率半径でラウンドして形成されることができる。
【0112】
また、前記カップ部133がそれぞれ形成された第1ケース131および第2ケース132と、2つの前記カップ部133の間に形成されるブリッジ136と、を含み、前記ブリッジ136は、電極組立体10の幅の1/200~1/30の厚さを有することができる。ブリッジ136の厚さtが電極組立体10の幅の1/200よりも小さいと、ブリッジ136に応力が過度に集中してクラックが発生し得、電極組立体10の幅の1/30よりも大きいと、ブリッジ136がシャープに形成されないため、エネルギー密度が低下し得る。
具体的に、ブリッジ136は、厚さが2mm以下、特に1.4mm以下であってもよい。
【0113】
また、複数の前記パンチエッジ161のうち、前記ブリッジ136側に向かうブリッジ136側の外壁1381と前記底部1332を互いに連結するブリッジ136側のパンチエッジ1611が、カップ部133の深さDの1/20~1/6の曲率半径でラウンドして形成されることができる。具体的に、パンチエッジ1611は、1mm以下、特に0.7mm以下の曲率半径でラウンドして形成されることができる。
【0114】
また、前記ブリッジ136と前記ブリッジ136側の外壁1381の境界点P1を通過し、前記底部1332と垂直なブリッジ垂直線V1と、前記ブリッジ136側のパンチエッジ1611と前記ブリッジ136側の外壁1381の境界点P2を通過し、前記底部1332と垂直なエッジ垂直線V2との間の垂直距離が0.5mm以下、特に0.35mm以下であってもよい。
【0115】
カップ部133は、パンチ22などを用いて、柔軟性を有するパウチフィルム135を成形することで形成される。このようなカップ部133は、複数の外壁138と底部1332により周辺が取り囲まれ、このような外壁138と底部1332により形成される空間が収容空間1331として電極組立体10を収容する。
【0116】
カップ部133の外壁138は、カップ部133の周辺を取り囲んでカップ部133の形状を具体化する。外壁138は、カップ部133の周辺に複数形成され、ブリッジ136側にも形成され、後述する脱気部137側にも形成され、電極リード12側にも形成される。このような外壁138は、上端がカップ部133の開放部に向かい、下端が底部1332に向かう。
【0117】
一方、上述したように、カップ部133のエッジ16は、パンチ22のエッジ221に対応して形成されるパンチエッジ161と、ダイ21のエッジ213(
図6に図示)に対応して形成されるダイエッジ162と、を含む。前記外壁138の上端から外側にサイド134および脱気部137が形成され、ダイエッジ162は、外壁138の上端とサイド134または脱気部137をそれぞれ連結する。そして、パンチエッジ161は、外壁138の下端と底部1332をそれぞれ連結する。
【0118】
カップ部133の外壁138が複数形成されるため、カップ部133のエッジ16も外壁138の個数だけ複数形成される。すなわち、カップ部133が四角形に形成されると、カップ部133の外壁138も4個形成されるため、パンチエッジ161も4個、ダイエッジ162も4個形成される。そして、本発明の一実施形態によると、パウチフィルム135の成形性が改善されることで、前記カップ部133のパンチエッジ161は、少なくとも1つが、カップ部133の深さDの1/20~1/6の曲率半径でラウンドして形成されることができる。具体的に、パンチエッジ161のうち少なくとも1つは、1mm以下、特に0.7mm以下の曲率半径でラウンドして形成されることができる。
【0119】
特に、本発明の一実施形態によると、1つのパウチフィルム135に2つのカップ部133を形成し、2つのカップ部133の間にブリッジ136も共に形成される。すると、
図8に示されたように、複数の前記パンチエッジ161のうち、前記ブリッジ136側に向かうブリッジ136側の外壁1381と前記底部1332を互いに連結するブリッジ136側のパンチエッジ1611が、カップ部133の深さDの1/20~1/6の曲率半径でラウンドして形成されることができる。具体的に、前記ブリッジ136側のパンチエッジ1611は、1mm以下、特に0.7mm以下の曲率半径でラウンドして形成されることができる。
【0120】
また、
図9に示されたように、複数の前記パンチエッジ161のうち、前記脱気部137または電極リード12に形成されたダイエッジ162側に向かうダイエッジ162側の外壁1382と前記底部1332を互いに連結するダイエッジ162側のパンチエッジ1612も、カップ部133の深さDの1/20~1/6の曲率半径でラウンドして形成されることができる。ダイエッジ162の曲率半径がカップ部133の深さDの1/20よりも小さいと、ダイエッジ162に応力が過度に集中してクラックが発生し得、ダイエッジ162の曲率半径がカップ部133の深さDの1/6よりも大きいと、カップ部133の上端がシャープに形成されないため、エネルギー密度が低下し得る。
【0121】
具体的に、前記ダイエッジ162側のパンチエッジ1612も、1mm以下、特に0.7mm以下の曲率半径でラウンドして形成されてもよい。この際、パンチエッジ161と外壁138の境界点P2、P4において、傾きが連続的であることが好ましい。
【0122】
このために、パンチ22のエッジ221にも、所定の曲率半径でラウンド処理が行われることができる。ここで、パンチ22のエッジ221の曲率半径は、パンチエッジ161の曲率半径R2からパウチフィルム135自体の厚さを引いた数値であってもよい。例えば、パウチフィルム135の厚さが0.2mmであれば、パンチ22のエッジ221の曲率半径が0.5mm以下であるとき、パンチエッジ161の曲率半径R2は0.7mm以下である。
【0123】
本発明の一実施形態によると、パウチフィルム135の成形性が改善されることで、カップ部133の深さDを或る程度深く成形しても、このようなパンチ22がパウチフィルム135をドロー成形すると、カップ部133のパンチエッジ161にクラックが発生するのを防止することができる。例えば、カップ部133を1つ成形する場合を基準として7mm以上、カップ部133を2つ成形する場合を基準として6.5mm以上、ひいては10mm以上に成形しても、カップ部133のパンチエッジ161にクラックが発生しない。
【0124】
ここで、上述したクラックが発生し得るカップ部133の深さDは、水分バリア層1352のアルミニウム合金の残存率を基準とし、前記残存率が60%以上である場合には良品、残存率が60%未満である場合には不良と判断する。前記残存率とは、パウチフィルム135の特定の地点で、水分バリア層1352のアルミニウム合金の成形前の残存量に対する成形後の残存量の比率を意味する。実際に前記残存率が60%未満である場合には、パウチフィルム135にカップ部133をドロー成形すると、特定の地点でクラックが発生する頻度が高いが、残存率が60%以上である場合には、クラックが発生しない。
【0125】
従来は、カップ部333の深さD’をパンチエッジ361の曲率半径R2’またはダイエッジ362の曲率半径の5倍、特に3.25倍よりも大きく形成すると、残存率が相対的に低く、クラックが発生する頻度が高かった。以下、クラックが発生しやすいとは、残存率が相対的に低く、クラックが発生する頻度が高いことを意味する。
【0126】
一方、外壁138は、上端がカップ部133の開放部に向かい、カップ部133の外側にサイド134および脱気部137が延びる。この際、
図9に示されたように、カップ部133は、外壁138の上端とサイド134または脱気部137をそれぞれ連結する複数のダイエッジ162をさらに含むことができる。そして、少なくとも1つのダイエッジ162も、カップ部133の深さDの1/20~1/6の曲率半径でラウンドして形成されることができる。具体的に、少なくとも1つのダイエッジ162は、1mm以下、特に0.7mm以下の曲率半径でラウンドして形成されることができる。このために、ダイ21のエッジ213も、所定の曲率半径でラウンド処理が行われることができる。ここで、ダイ21のエッジ213の曲率半径は、ダイエッジ162の曲率半径からパウチフィルム135自体の厚さを引いた数値であってもよい。例えば、パウチフィルム135の厚さが0.2mmであれば、ダイ21のエッジ213の曲率半径が0.5mm以下であるとき、ダイエッジ162の曲率半径は0.7mm以下である。
【0127】
特に、上述したように、1つのパウチフィルム135に2つのカップ部133を形成してもよく、2つのカップ部133の間にブリッジ136も共に形成される。すなわち、本発明の一実施形態に係るパウチ型電池ケース13は、電極101およびセパレータ102が積層されて形成される電極組立体10を内部に収容するカップ部133がそれぞれ形成された第1ケース131および第2ケース132と、2つの前記カップ部133の間に形成されるブリッジ136と、を含む。ブリッジ136もダイ21の隔壁212に対応して形成されるため、ブリッジ136は、複数のダイエッジ162のうち1つの種類であってもよい。
【0128】
したがって、本発明の一実施形態によると、パウチフィルム135の成形性が改善されることで、ブリッジ136の厚さtは、電極組立体10の幅EW(
図10参照)の1/200~1/30であってもよい。具体的に、ブリッジ136の厚さtを2mm以下、特に1.4mm以下に形成することができる。
【0129】
ここで、ブリッジ136の厚さtは、
図8に示されたように、ブリッジ136とブリッジ136側の外壁1381の2つの境界点P1間の距離であることが好ましい。具体的に、ブリッジ136とブリッジ136側の外壁1381の境界点P1をそれぞれ通過し、底部1332と垂直な2つのブリッジ垂直線V1間の距離であることが好ましい。したがって、ブリッジ136が一定の曲率半径を有する場合、ブリッジ136の曲率半径は、厚さtの半分に対応することができる。すなわち、ブリッジ136の曲率半径は1mm以下、特に0.7mm以下であってもよい。
【0130】
このために、成形部211の隔壁212の上面にも、所定の曲率半径でラウンド処理が行われることができる。この際、ブリッジ136と前記ブリッジ136側の外壁1381の境界点P1において、傾きが連続的であることが好ましい。ここで、成形部211の隔壁212の上面の曲率半径は、ブリッジ136の曲率半径からパウチフィルム135自体の厚さを引いた数値であってもよい。例えば、パウチフィルム135の厚さが0.2mmであれば、隔壁212の上面の曲率半径が0.5mm以下であるとき、ブリッジ136の曲率半径は0.7mm以下である。
【0131】
本発明の一実施形態によると、パウチフィルム135の成形性が改善されることで、カップ部133の深さDを或る程度深く成形し、このようなダイ21のエッジ213の曲率半径が減少し、隔壁212の厚さが薄く形成されても、ダイエッジ162およびブリッジ136にクラックが発生するのを防止することができる。このようなブリッジ136は、断面が扇形状を有することができ、カップ部133の外壁138が垂直に近く形成されるほど、断面が半円に近い形状を有することができる。
【0132】
ここで、カップ部133の深さDを、カップ部133を2つ成形する場合を基準として3mm以上、特に6.5mm以上、ひいては10mm以上に成形しても、ブリッジ136にクラックが発生するのを防止することができる。
【0133】
さらに、パウチフィルム135の成形性が改善されることで、クリアランスCLを0.5mm以下に減少させ、複数の外壁138が全て垂直に近く形成されることができる。例えば、
図8に示されたように、複数の外壁138のうちブリッジ136側の外壁1381が垂直に近く形成されることができる。すなわち、前記ブリッジ136と前記ブリッジ136側の外壁1381の境界点P1を通過し、前記底部1332と垂直なブリッジ垂直線V1と、前記ブリッジ136側のパンチエッジ1611と前記ブリッジ136側の外壁1381の境界点P2を通過し、前記底部1332と垂直なエッジ垂直線V2との間の垂直距離であるクリアランスCLが0.5mm以下、特に0.35mm以下であってもよい。
【0134】
また、
図9に示されたように、複数の外壁138のうちダイエッジ162側の外壁1382も垂直に近く形成されることができる。すなわち、ダイエッジ162とダイエッジ162側の外壁1382の境界点P3を通過し、前記底部1332と垂直なダイエッジ垂直線V4と、前記ダイエッジ162側のパンチエッジ1612と前記ダイエッジ162側の外壁1382の境界点P4を通過し、前記底部1332と垂直なエッジ垂直線V2との間の垂直距離であるクリアランスCLが0.5mm以下、特に0.35mm以下であってもよい。
【0135】
それにより、カップ部133の深さDを、カップ部133を2つ成形する場合を基準として3mm以上、特に6.5mm以上、ひいては10mm以上に成形しても、カップ部133の外壁138が底部1332から傾斜角が90°~95°間の傾斜を有することができ、さらに、90°~93°間の傾斜を有するように垂直に近く形成することができ、電池ケース13にクラックが発生するのを防止することができる。また、カップ部133の外壁138と電極組立体10との間の空間17も減少するため、二次電池1の体積対比エネルギー密度も増加することができる。
【0136】
一方、カップ部133のパンチエッジ161の曲率半径R2をさらに減少させることができるため、電極組立体10がカップ部133の外壁138に非常に近く位置しても、電極組立体10の電極101が破損するのを防止することができる。
【0137】
このために、本発明の一実施形態に係るパウチ型二次電池1の製造方法は、電極101およびセパレータ102を積層して電極組立体10を形成するステップと、パウチフィルム135を成形してカップ部133を形成することでパウチ型電池ケース13を製造するステップと、前記カップ部133の収容空間1331に前記電極組立体10を収納するステップと、前記カップ部133の外側に延長形成されたサイド134をシールしてパウチ型二次電池1を製造するステップと、を含むことができる。
【0138】
特に、前記電極組立体10を収納するステップにおいて、前記カップ部133の幅CWと前記電極組立体10の幅EWとの差は2.5mm以下、特に1.7mm以下であってもよい。ここで、電極組立体10の幅EWは、電極101の幅を意味し得る。すなわち、セパレータ102における電極101よりも突出した周辺部1021は、前記幅EWの算出から除外することができる。
【0139】
また、前記電極101の少なくとも1つの一端が、前記パンチエッジ161と前記外壁138の境界点P2を通過し、前記底部1332と垂直なエッジ垂直線V2から、垂直距離gが0.75mm、特に0.5mm以下に位置するように前記電極組立体10を収納することができる。
【0140】
具体的に、
図8および
図9に示されたように、パンチエッジ161と外壁138の境界点P2を通過し、底部1332から垂直なエッジ垂直線V2を仮想で示す。そして、電極101の少なくとも1つの一端が、前記エッジ垂直線V2から、垂直距離gが0.75mm以下、特に0.5mm以下に位置するように電極組立体10を収納する。より具体的に、エッジ垂直線V2から垂直距離gが0.75mm、特に0.5mmであり、底部1332と垂直な基準垂直線V3を仮想で示す。この際、パンチエッジ161の曲率半径R2が特に0.7mm以下であり得るため、基準垂直線V3は、パンチエッジ161の曲率中心Cを通過してもよい。そして、電極101の一端がエッジ垂直線V2と基準垂直線V3との間に位置するように電極組立体10を収納する。これは、二次電池1自体を分解して確認してもよいが、これに制限されず、CT(Computerized Tomography)、MRI(Magnetic Resonance Imaging)、X-Rayなど、二次電池1を分解することなく多様な方法で確認してもよい。それにより、電極101が破損するのを防止しながらも、カップ部133の体積と対比して電極組立体10の体積比率がさらに増加することができるため、体積対比エネルギー効率も増加することができる。また、カップ部133の内部に不要な体積が減少するため、電極組立体10がカップ部133の内部で動くのを防止することができる。
【0141】
さらに、電極組立体10をカップ部133の外壁138に非常に近く位置するように収納することができるため、セパレータ102が無秩序に皺むかフォールディングされない。
図8に示されたように、セパレータ102が電極101よりも外側に突出した周辺部1021が、電極101の一端を基準とし、底部1332の反対方向に向かってフォールディングされることができる。
【0142】
電極組立体10は、電極101およびセパレータ102が積層されて形成され、このような電極101およびセパレータ102がそれぞれ複数形成されることができる。電池ケース13が第1ケース131および第2ケース132を含み、電池ケース13のブリッジ136がフォールディングされ、電極組立体10の上部もカップ部133に収納されると、前記第1ケース131の前記カップ部133に収納された前記セパレータ102は、前記周辺部1021が、前記第2ケース132に向かってフォールディングされ、前記第2ケース132の前記カップ部133に収納された前記セパレータ102は、前記周辺部1021が、前記第1ケース131に向かってフォールディングされることができる。それにより、セパレータ102の周辺部1021が整列してフォールディングされることで秩序を有することができる。そして、電極101が外部に露出しないようにセパレータ102がカバーするため、短絡が発生するのを防止することもできる。
【0143】
より詳細には、電極組立体10がカップ部133に収納される前の状態で、セパレータ102の幅は、カップ部133の幅CWよりも広くてもよい。したがって、電極組立体10がカップ部133に収納される過程で、セパレータ102の周辺部1021は、カップ部133の内周縁に接して一定方向にフォールディングされることができる。
【0144】
カップ部133の幅CWと前記電極組立体10の幅EWとの差は2.5mm以下、特に1.7mm以下と非常に小さくてもよい。したがって、電極組立体10がカップ部133に収納される過程で、セパレータ102の周辺部1021が容易にフォールディングされるための工程が求められ得る。
【0145】
したがって、前記カップ部133の収容空間1331に前記電極組立体10を収納するステップは、電極組立体10をカップ部133の内部に加圧する過程を含むことができる。それにより、電極組立体10をカップ部に載せる従来の方式と比べて、カップ部133の幅CWと前記電極組立体10の幅EWとの差を小さく維持しながらも、セパレータ102を一定方向にフォールディングさせ、電極組立体10をカップ部133の収容空間1331に容易かつ信頼性あるように収納させることができる。
【0146】
また、前記カップ部133の収容空間1331に前記電極組立体10を収納するステップは、電極組立体10をカップ部133の内部に加圧する前に、電極組立体10において、複数セパレータ102の各コーナー(頂点)を熱および圧力でフォールディングさせる過程をさらに含むことができる。前記過程は、別のシールツールを用いて、複数セパレータ102の各コーナー(頂点)が、電極組立体10の積層方向に対する中央部に集まるようにフォールディングさせることができる。
【0147】
すなわち、セパレータ102の4つのコーナーが既に整列した状態で、電極組立体10がカップ部133の内部に挿入されることができる。それにより、電極組立体10をカップ部133の収容空間1331に円滑に挿入することができる。このように、本発明の一実施形態によると、パウチフィルム135の成形性が改善されることで、ブリッジ136の厚さtをさらに薄く、カップ部133のエッジ16の曲率半径R2およびクリアランスCLをさらに小さく形成することができ、電極組立体10の体積を増加させることができる。したがって、二次電池1における不要な体積も減少させるため、体積対比エネルギー密度が増加することができる。また、パウチ型電池ケース13およびパウチ型二次電池1を全体的にシャープな形状に製造することができるため、二次電池1の外観も美しく、商品性も向上することができる。
【0148】
図10は、本発明の一実施形態に係るカップ部133に電極組立体10が収納された様子を示した上面概略図である。
本発明の一実施形態によると、上述したように、カップ部133のパンチエッジ161の曲率半径R2をさらに減少させることができるため、電極101の一端がエッジ垂直線V2と基準垂直線V3との間に位置するように電極組立体10を収納する。それにより、電極組立体10がカップ部133の外壁138に非常に近く位置しても、電極組立体10の電極101が破損するのを防止することができる。
【0149】
エッジ垂直線V2と基準垂直線V3は、ブリッジ136側のパンチエッジ1611にも示すことができ、ダイエッジ162側のパンチエッジ1612にも示すことができる。このようなエッジ垂直線V2と基準垂直線V3との間の垂直距離gは0.75mm、特に0.5mmであってもよい。
【0150】
また、電池ケース13にカップ部133が2つ形成されと、ブリッジ136が存在するため、カップ部133の一側にはブリッジ垂直線V1を、他側にはダイエッジ垂直線V4を示すことができる。このようなブリッジ垂直線V1とエッジ垂直線V2との間の垂直距離CLは0.5mm以下、特に0.35mm以下であってもよく、ダイエッジ垂直線V4とエッジ垂直線V2との間の垂直距離CLも0.5mm以下、特に0.35mm以下であってもよい。
【0151】
ところで、電池ケース13にカップ部133が1つだけ形成されると、ブリッジが存在しない。ただし、カップ部133の両側に全てダイエッジ162が形成されるため、カップ部133の両側にそれぞれダイエッジ垂直線V4を示すことができる。
【0152】
電池ケース13にカップ部133が2つ形成されると、カップ部133の幅CWをブリッジ垂直線V1からダイエッジ垂直線V4までの垂直距離と見ることができる。ところで、カップ部133が1つだけ形成されると、カップ部133の幅CWを2つのダイエッジ垂直線V4の間の垂直距離と見ることもできる。
【0153】
ブリッジ垂直線V1およびダイエッジ垂直線V4は、いずれもカップ部133の外壁138の上端を通過する。したがって、本発明の一実施形態によると、カップ部133の幅CWは、カップ部133の両側外壁138の上端間の垂直距離であってもよい。カップ部133の幅CWと電極組立体10の幅EWとの差は2.5mm以下、特に1.7mm以下であってもよい。そして、上述したように、電極組立体10の幅EWは60mm以上であってもよい。
【0154】
カップ部133の幅CWは、電池ケース13においては、前記カップ部133の両側外壁138の上端間の垂直距離を測定することで導出することができる。そして、二次電池1においては、レーザ変位センサなどを用いて、カップ部133の外部から両側外壁138の上端間の位置を把握し、2つの位置間の距離を演算することで導出することができる。この際、カップ部133の外部から、レーザ変位センサなどがレーザを照射しつつサイド134からダイエッジ162および前記外壁138に向かって移動し、急激に変位が変化する地点を感知すると、当該地点を外壁138の上端と認識することができる。以上はカップ部の幅CWを測定する方法の一例を記載したものであり、必ずしも前記測定方法に限定される場合だけが本発明の範囲に属するものではない。カップ部の幅CWは、請求項の記載および本発明の趣旨に該当するものであれば、いずれも本発明で意味するカップ部の幅CWになることができる。
【0155】
図11は、従来のコーナー364を示した概略図であり、
図12は、本発明の一実施形態に係るコーナー164を示した概略図である。
カップ部133のエッジ16は、パンチエッジ161およびダイエッジ162だけでなく、
図12に示されたように、カップ部133の隣接した2つの外壁138を互いに連結する厚さエッジ163をさらに含む。厚さエッジ163は、カップ部133の厚さ方向に形成され、パウチフィルム135が延伸される際に、ダイ21の成形部211のコーナーとパンチ22のコーナーとの間で延伸されて形成される。そして、厚さエッジ163も、少なくとも1つがラウンドして形成されることができる。
【0156】
このような厚さエッジ163は、曲率半径が、互いに隣接した2つのパンチエッジ161、すなわち、第1パンチエッジ1613および第2パンチエッジ1614の曲率半径R2と同一であってもよいが、異なるように形成されてもよい。例えば、上述したように、パンチエッジ161は、少なくとも1つが1mm以下、特に0.7mm以下の曲率半径でラウンドして形成され、厚さエッジ163は、少なくとも1つが0.5mm~5mm、特に0.5mm~2mmの曲率半径でラウンドして形成されることができる。従来は、厚さエッジ363が5mm以下、特に2mm以下の曲率半径でラウンドして形成される場合、カップ部333の厚さエッジ363にも応力が集中し、クラックが発生しやすいという問題があった。しかし、本発明の一実施形態によると、カップ部133の深さDを或る程度深く成形しても、カップ部133の厚さエッジ163にクラックが発生するのを防止することができる。この際、前記第1パンチエッジ1613および第2パンチエッジ1614は、2つのうち1つはブリッジ136側のパンチエッジ1611であり、残りの1つは電極リード12側のパンチエッジ(図示せず)であってもよい。または、2つのうち1つはダイエッジ162側のパンチエッジ1612であり、残りの1つは電極リード12側のパンチエッジ(図示せず)であってもよい。
【0157】
厚さエッジ163は、
図12に示されたように、互いに隣接した2つのパンチエッジ161、すなわち、第1パンチエッジ1613および第2パンチエッジ1614と連結されてコーナー164を形成する。従来は、
図11に示されたように、パンチ22の複数のエッジ221に全て同一の曲率半径でラウンド処理をし、それにより、パンチ22のコーナー(図示せず)にも自然に同一の曲率半径でラウンド処理が行われた。したがって、このようなパンチ22でパウチフィルム135を成形してパウチフィルム135が延伸されると、コーナー364も自然にパンチエッジ361と同一の曲率半径でラウンドして形成された。
【0158】
ところで、パウチフィルム135が延伸される際に、コーナー364に応力が集中するという問題があった。特に、コーナー364は、3つのエッジ36が交わって形成されるため、パンチエッジ361または厚さエッジ363よりもさらに多く延伸され、パンチエッジ361または厚さエッジ363よりもさらに応力が多く集中した。したがって、パウチフィルム135の延伸が過度になり、クラックの発生直前に特定の部分が白色に変化する白化現象が発生し、その結果、クラックが発生しやすいという問題があった。
【0159】
したがって、本発明の一実施形態によると、
図12に示されたように、前記コーナー164も少なくとも1つがラウンドして形成され、このようなコーナー164は、曲率半径が前記パンチエッジ161および前記厚さエッジ163のうち少なくとも1つの曲率半径以上であってもよい。
【0160】
具体的に、本発明の一実施形態によると、コーナー164は、内部で曲率半径が変化することができる。すなわち、コーナー164の中心部1641の曲率半径とコーナー164の周辺部1642の曲率半径が互いに異なってもよい。特に、コーナー164の中心部1641の曲率半径が、コーナー164の周辺部1642の曲率半径よりもさらに大きくてもよい。例えば、コーナー164の周辺部1642の曲率半径は、第1パンチエッジ1613、第2パンチエッジ1614、および厚さエッジ163に相対的に隣接するため、パンチエッジ161および厚さエッジ163のうち少なくとも1つの曲率半径と同一であってもよい。これに対し、コーナー164の中心部1641の曲率半径は、第1パンチエッジ1613、第2パンチエッジ1614、および厚さエッジ163から相対的に離隔するため、パンチエッジ161および厚さエッジ163のうち少なくとも1つの曲率半径よりも大きくてもよい。すなわち、コーナー164は、曲率半径が前記パンチエッジ161および前記厚さエッジ163のうち少なくとも1つの曲率半径以上であってもよい。
【0161】
したがって、コーナー164の曲率半径は、コーナー164の周辺部1642からコーナー164の中心部1641に行くほど次第に大きくなることができる。そして、上述したように、コーナー164は、内部で曲率半径が一定ではなく変化するため、コーナー164の中心部1641は、正確な球面ではなく非球面形状を有することができる。
【0162】
コーナー164は、パンチエッジ161とは異なり、曲率半径だけでなく、カップ部133において形成される範囲も明確に設定されなければならない。仮にコーナー164がカップ部133において形成される範囲が過度に狭いと、依然としてパウチフィルム135の延伸が過度になり、白化現象またはクラックが発生するという問題がある。これに対し、コーナー164がカップ部133において形成される範囲が過度に広いと、かえってカップ部133の外壁138と電極組立体10との間の空間17が減少するため、二次電池1の体積対比エネルギー密度が増加することができる。したがって、本発明の一実施形態によると、
図12に示されたように、コーナー164は、厚さエッジ163からカップ部133の長さ方向lcに2mm~3.5mm、厚さエッジ163からカップ部133の幅方向wcに2mm~3.5mm、パンチエッジ161からカップ部133の厚さ方向dcに2mm~3.5mm内に形成されることができる。そして、このようなコーナー164が形成される範囲は、カップ部133の深さDが深いほど次第に広くなることができる。
【0163】
カップ部133のコーナー164が上記のように形成されることで、コーナー164にさらに集中する応力が分散することができるため、白化現象およびクラックが発生する問題を防止することができる。
【0164】
図13は、本発明の一実施形態に係る電池ケース13をフォールディングする様子を示した概略図であり、
図14は、本発明の一実施形態に係る電池ケース13がフォールディングされた様子を示した概略図である。
【0165】
パウチフィルム135に2つのカップ部133を形成すると、電池ケース13の第1ケース131および第2ケース132には、それぞれカップ部133が形成される。その後、第1ケース131のカップ部133に備えられた収容空間1331に電極組立体10を収納した後、
図13に示されたように、2つのカップ部133が互いに対向するように、電池ケース13における2つのカップ部133の間に形成されたブリッジ136をフォールディングする。このようなブリッジ136がフォールディングされることで、二次電池1の一側においてフォールディング部139が形成される。そして、内部に電解質を注入し、第1ケース131と第2ケース132のカップ部133の外側に延長形成されたサイド134をシールすることで、
図14に示されたように、パウチ型二次電池1を製造することができる。
【0166】
このように製造された本発明の一実施形態に係るパウチ型二次電池1は、電極101およびセパレータ102が積層されて形成される電極組立体10と、前記電極組立体10を内部に収容するカップ部133が形成されたパウチ型電池ケース13と、を含み、前記カップ部133は、周辺を取り囲む複数の外壁138と底部1332をそれぞれ連結する複数のパンチエッジ161を含むことができる。前記パンチエッジ161は、少なくとも1つが、カップ部133の深さDの1/20~1/6の曲率半径でラウンドして形成されることができる。具体的に、前記パンチエッジ161は、少なくとも1つが1mm以下、特に0.7mm以下の曲率半径でラウンドして形成されることができる。
【0167】
前記カップ部133の幅CWと前記電極組立体10の幅EWとの差は2.5mm以下、特に1.7mm以下であってもよい。そして、前記電極組立体10は、前記電極101の少なくとも1つの一端が、前記パンチエッジ161と前記外壁138の境界点P2を通過し、前記底部1332と垂直なエッジ垂直線V2から垂直距離gが0.75mm、特に0.5mm以下に位置することができる。そして、前記電池ケース13は、カップ部133が少なくとも一方に形成された第1ケース131および第2ケース132と、前記第1ケース131と前記第2ケース132を一体に連結するフォールディング部139と、を含むことができる。
【0168】
電池ケース13をフォールディングして二次電池1を製造すると、ブリッジ136がフォールディング部139になるため、二次電池1においては、フォールディング部139が第1ケース131と第2ケース132を一体に連結する。そして、ブリッジ136側のパンチエッジ1611はフォールディング部139側のパンチエッジ1611、ブリッジ136側の外壁1381はフォールディング部139側の外壁1381になる。
【0169】
すると、複数のパンチエッジ161のうち、前記フォールディング部139側に向かうフォールディング部139側の外壁1381と前記底部1332を互いに連結するフォールディング部139側のパンチエッジ1611が、カップ部133の深さDの1/20~1/6の曲率半径でラウンドして形成されることができる。具体的に、前記フォールディング部139側のパンチエッジ1611は、1mm以下、特に0.7mm以下の曲率半径でラウンドして形成されることができる。そして、前記電極組立体10は、前記電極101の少なくとも1つの一端が、パンチエッジ161と外壁138の境界点P2を通過し、前記底部1332と垂直なエッジ垂直線V2と、前記エッジ垂直線V2から垂直距離gが0.75mm、特に0.5mmであり、前記底部1332と垂直な基準垂直線V3との間に位置することができる。上述したように、このような基準垂直線V3は、パンチエッジ161の曲率中心Cを通過することができる。
【0170】
図15は、本発明の一実施形態に係る電池ケース13に形成された溝1391の拡大図である。
本発明の一実施形態によると、上述したように、二次電池1を製造するために電池ケース13をフォールディングすると、ブリッジ136は、フォールディング部139の形態になることができる。具体的に、電池ケース13をフォールディングすると、ブリッジ136のラウンドした形状も或る程度展開することになるが、ブリッジ136の跡が二次電池1に残ることになり、このような跡がフォールディング部139になることができる。したがって、電池ケース13のブリッジ136とフォールディング部139は互いに対応することができる。
【0171】
例えば、ブリッジ136のラウンドした形状が平面に完全に展開しないと、フォールディング部139は、
図15に示されたように、二次電池1の内側に陥没した溝1391を含んで形成される。この場合、フォールディング部139は、ブリッジ136よりも曲率がさらに小さいため、さらに大きい曲率半径を有することができる。
【0172】
ブリッジ136は曲面、ブリッジ136側の外壁1381は平面形状を有するため、変形量が互いに異なる。したがって、電池ケース13をフォールディングすると、ブリッジ136側の外壁1381は相対的に多く変形するが、ブリッジ136は、ラウンドした形状が或る程度展開する程度にだけ、相対的に少なく変形する。すると、電池ケース13をフォールディングした際に、
図15に示されたように、前記境界点P1を中心に傾きの変化量の増減が切り替わる。すなわち、前記境界点P1がそれぞれ変曲点になる。したがって、フォールディング部139は、前記2つの境界点P1、すなわち、2つの変曲点間の曲面に形成されることができる。
【0173】
また、ブリッジ136のラウンドした形状が平面に完全に展開しないと、前記2つの境界点P1、すなわち、2つの変曲点に対応する部分は、外側に突出して突出部を形成することができる。すなわち、前記突出部は、フォールディング部139、より詳細には、溝1391を間に置いて外側に突出した1対が形成されることができる。
【0174】
または、ブリッジ136のラウンドした形状が平面に完全に展開しても、ブリッジ136とブリッジ136側の外壁1381の境界点P1がそれぞれ二次電池1に2つのライン(図示せず)を形成し、フォールディング部139は、このような2つのライン間の平面に形成される。
【0175】
フォールディング部139は、二次電池1の外観から肉眼で確認することもできる。そして、上述したように、ブリッジ136の厚さtは、ブリッジ136とブリッジ136側の外壁1381の2つの境界点P1間の距離であることが好ましいため、フォールディング部139の幅FWは、前記2つの境界点P1間の距離である。仮にブリッジ136のラウンドした形状が平面に完全に展開しないと、フォールディング部139の幅FWは、2つの境界点P1、すなわち、前記2つの変曲点間の距離である。または、ブリッジ136のラウンドした形状が平面に完全に展開すると、フォールディング部139は、2つの境界点P1、すなわち、2つのライン間の距離である。
【0176】
フォールディング部139の幅FWは、ブリッジ136の長さを超過せず、1mm~3.2mm、特に1mm~1.6mmであってもよい。上述したように、このようなフォールディング部139の幅FWは、物差しを用いて直接測定してもよいが、ルーペ(Lupe)を用いて測定してもよく、3Dカメラまたはレーザ2Dラインセンサを用いて測定してもよいなど、制限なく多様な方法で測定することができる。
【0177】
従来は、ブリッジ336の厚さt’が厚く形成され、フォールディング部339の幅も大きく形成され、それにより、カップ部333の外壁338と電極組立体10との間の空間37も大きく形成された。しかし、本発明の一実施形態によると、フォールディング部139の幅FWを減少させることができるため、カップ部133の外壁138と電極組立体10との間の空間17も減少することができる。それにより、二次電池1の体積対比エネルギー密度が増加することができる。
【0178】
また、従来は、パウチフィルムの成形性が低いため、前記突出部が外側に大きく突出した。しかし、本発明の一実施形態によると、前記突出部が相対的に小さく突出することができ、フォールディング部139またはフォールディング部139側の外壁1381の平坦度が向上することができる。
【0179】
具体的に、溝1391の最内側部と前記突出部の最外側部との間の間隔pは、平坦度に定義することができる。従来の電池ケースの場合、前記平坦度は、1mm以上であり、1.5mmまでも形成された。これに対し、本発明の実施形態によると、前記平坦度pは、0.8mm以下、好ましくは0.3mm以下に形成されることができる。それにより、二次電池1の体積対比エネルギー密度がさらに増加することができる。
【0180】
図16は、本発明の他の実施形態に係るカップ部133およびダイエッジ1621を拡大した概略図である。
本発明の一実施形態によると、ダイ21に成形部211が互いに隣り合うように2つ形成され、2つの成形部211の間には、隔壁212が形成されることができる。したがって、パウチフィルム135を成形すると、1つのパウチフィルム135に2つのカップ部133が形成され、2つのカップ部133の間にブリッジ136も共に形成される。すなわち、第1ケース131および第2ケース132には、それぞれカップ部133が1つずつ形成される。
【0181】
ところで、本発明の他の実施形態によると、ダイ21に成形部211が1つだけ形成され、隔壁が存在しない。したがって、パウチフィルム135を成形すると、1つのパウチフィルム135に1つのカップ部133が形成され、ブリッジも存在しない。すなわち、第1ケース131にだけカップ部133が形成される。
【0182】
本発明の他の実施形態によると、前記カップ部133のパンチエッジ161aは、少なくとも1つが、カップ部133の深さDの1/20~1/6の曲率半径でラウンドして形成されることができる。具体的に、前記カップ部133のパンチエッジ161aは、少なくとも1つが1mm以下、特に0.7mm以下の曲率半径でラウンドして形成されることができる。それにより、パウチフィルム135の成形性が改善されることで、カップ部133の深さDを或る程度深く、カップ部133を1つ成形する場合を基準として3mm以上、特に7mm以上、ひいては10mm以上に成形しても、カップ部133のパンチエッジ161aにクラックが発生するのを防止することができる。
【0183】
特に、本発明の他の実施形態によると、
図16に示されたように、複数の前記パンチエッジ161aのうち、第2ケース132a側に向かう第2ケース132a側の外壁1381aと前記底部1332を互いに連結する第2ケース132a側のパンチエッジ1611aが、カップ部133の深さDの1/20~1/6の曲率半径でラウンドして形成されることができる。具体的に、第2ケース132a側のパンチエッジ1611aは、1mm以下、特に0.7mm以下の曲率半径でラウンドして形成されることができる。
【0184】
また、ダイエッジ162側のパンチエッジ1612も、カップ部133の深さDの1/20~1/6の曲率半径でラウンドして形成されることができる。具体的に、ダイエッジ162側のパンチエッジ1612は、1mm以下、特に0.7mm以下の曲率半径でラウンドして形成されてもよい。この際、パンチエッジ161aと外壁138の境界点P2において、傾きが連続的であることが好ましい。
【0185】
以下、本発明の他の実施形態に対し、本発明の一実施形態と重複する内容は説明を省略する。ただし、これは、説明の便宜のためのものであって、権利範囲を制限するためのものではない。
【0186】
図17は、本発明の他の実施形態に係る電池ケース13aをフォールディングする様子を示した概略図であり、
図18は、本発明の他の実施形態に係る電池ケース13aをフォールディングした様子を示した概略図である。
【0187】
外壁138は、上端がカップ部133の開放部に向かい、カップ部133の外側に第2ケース132a、サイド134、および脱気部137が延びる。この際、外壁138の上端と第2ケース132a、サイド134、または脱気部137を連結するダイエッジ162も、カップ部133の深さDの1/20~1/6の曲率半径でラウンドして形成されることができる。具体的に、ダイエッジ162は、1mm以下、特に0.7mm以下の曲率半径でラウンドして形成されることができる。
【0188】
すなわち、本発明の他の実施形態によると、
図17に示されたように、電池ケース13aにブリッジが存在せず、ダイエッジ1621が第1ケース131のカップ部133と第2ケース132aを互いに連結する。このために、ダイ21のエッジ213は、ダイエッジ162からパウチフィルム135の厚さを引いた曲率半径でラウンド処理が行われることができる。例えば、パウチフィルム135の厚さが0.2mmであれば、ダイ21のエッジ213は、0.8mm以下、特に0.5mm以下の曲率半径でラウンド処理が行われることができる。
【0189】
さらに、クリアランスCLを0.5mm以下に減少させ、カップ部133の外壁138aが垂直に近く形成されてもよい。例えば、
図16に示されたように、ダイエッジ1621と第2ケース132a側の外壁1381aの境界点P1を通過し、前記底部1332と垂直なダイエッジ垂直線V4と、前記第2ケース132a側のパンチエッジ1611aと前記第2ケース132a側の外壁1381aの境界点P2を通過し、前記底部1332と垂直なエッジ垂直線V2との間の垂直距離であるクリアランスCLが0.5mm以下、特に0.35mm以下であってもよい。
【0190】
また、電極101の一端が、前記エッジ垂直線V2と、前記エッジ垂直線V2から垂直距離が0.75mm、特に0.5mmであり、前記底部1332と垂直な基準垂直線V3との間に位置するように電極組立体10を収納することができる。
【0191】
それにより、本発明の他の実施形態によると、パウチフィルム135の成形性が改善されることで、カップ部133の深さDを或る程度深く、カップ部133を1つ成形する場合を基準とし、カップ部133の深さDを約3mm以上、特に7mm以上、ひいては10mm以上に成形しても、カップ部133のパンチエッジ161aおよびダイエッジ162にクラックが発生するのを防止することができる。また、カップ部133の外壁138が底部1332から傾斜角が90°~95°、特に90°~93°間の傾斜を有するように垂直に近く形成することができ、電極101が破損するのを防止しながらも、カップ部133の体積と対比して電極組立体10の体積比率がさらに増加することができるため、体積対比エネルギー効率も増加することができる。
【0192】
図19は、本発明の他の実施形態に係る電池ケース13aに形成された溝1391aの拡大図である。
本発明の他の実施形態によると、二次電池1aを製造するために電池ケース13aをフォールディングすると、第2ケース132a側のダイエッジ1621は、フォールディング部139aになる。具体的に、電池ケース13をフォールディングすると、ダイエッジ1621のラウンドした形状も展開することになるが、ダイエッジ1621の跡が二次電池1aに残ることになり、このような跡がフォールディング部139aになる。したがって、電池ケース13aの第2ケース132a側のダイエッジ1621とフォールディング部139aは互いに対応する。
【0193】
例えば、ダイエッジ1621のラウンドした形状が平面に完全に展開しないと、フォールディング部139aは、
図19に示されたように、二次電池1aの内側に陥没した溝1391aを含んで形成される。この場合、フォールディング部139aは、ダイエッジ1621よりも曲率がさらに小さいため、さらに大きい曲率半径を有することができる。
【0194】
ダイエッジ1621は曲面、ダイエッジ1621側の外壁1381aは平面形状を有するため、変形量が互いに異なる。したがって、電池ケース13をフォールディングすると、ダイエッジ1621側の外壁1381aは相対的に多く変形するが、ダイエッジ1621は、ラウンドした形状が或る程度展開する程度にだけ、相対的に少なく変形する。すると、電池ケース13をフォールディングした際に、
図19に示されたように、前記境界点P1を中心に傾きの変化量の増減が切り替わる。すなわち、前記境界点P1がそれぞれ変曲点になる。したがって、フォールディング部139aは、前記2つの境界点P1、すなわち、2つの変曲点間の曲面に形成される。
【0195】
または、ダイエッジ1621のラウンドした形状が平面に完全に展開しても、ダイエッジ1621と第2ケース132a側の外壁1381の境界点P1と、ダイエッジ1621と第2ケース132aの境界点が二次電池1aにそれぞれ2つのライン(図示せず)を形成し、フォールディング部139aは、このような2つのライン間の平面に形成される。
このようなフォールディング部139の幅FWは、ダイエッジ1621の長さを超過せず、1mm~3.2mm、特に1mm~1.6mmであってもよい。
【0196】
図20は、従来の電池ケース33の脱気部337を切断する前の様子を上方から示した概略図である。
電池ケース13のブリッジ136がフォールディングされることで、二次電池1の一側においてフォールディング部139を形成し、このようなフォールディング部139は、第1ケース131と第2ケース132を一体に連結する。ところで、電池ケース13は、パウチフィルム135をドロー成形して形成され、この際、カップ部133だけが限定されて延伸されるのではなく、カップ部133の周辺サイド134も全体的に微細に延伸される。したがって、ブリッジ136をフォールディングすると、サイド134の微細に延伸された部分が累積し、フォールディング部139の両端の一部から外側に突出して可視的に現れる。これをコウモリ耳(Bat ear)35または15という。
【0197】
コウモリ耳35の大きさは、ブリッジ336の厚さt’、クリアランスCL’、カップ部333のパンチエッジ361の曲率半径R2’、カップ部333の深さD’に応じて異なる。すなわち、ブリッジ336の厚さt’が厚いほど、クリアランスCL’が大きいほど、カップ部333のパンチエッジ361の曲率半径R2’が大きいほど、コウモリ耳35の大きさも増加する。ところで、従来は、ブリッジ336の厚さt’、カップ部333のパンチエッジ361の曲率半径R2’、およびクリアランスCL’を改善するのに限界があった。したがって、
図20に示されたように、コウモリ耳35の大きさが相当に大きく形成され、それを減少させるのにも限界があった。
【0198】
このようなコウモリ耳35の大きさが大きく形成されると、二次電池3の不要な体積がさらに増加するため、二次電池3の形状および大きさの設計値と実際値に誤差が発生した。したがって、二次電池3を電池モジュール5(
図27に図示)に組み立てる際に、組み立てが容易ではなく、このようなコウモリ耳35を考慮して初めから二次電池3の大きさを小さく設計しなければならないという問題があった。また、二次電池3の体積を増加させるため、体積対比エネルギー密度が減少するという問題もあった。
【0199】
一方、上述したように、本発明の一実施形態に係るパウチ型電池ケース13は、電極組立体10を収容する収容空間1331が備えられたカップ部133と、カップ部133の一側に形成され、脱気孔Hを通して前記カップ部133の内部に生成されるガスを排出する脱気部137と、を含む。
【0200】
そして、サイド134をシールする過程で、活性化(Formation)工程および脱気(Degassing)工程を行うことができる。具体的に、電極組立体10をカップ部133に収納した後、電池ケース13において、前記脱気部137に含まれるエッジ1371を開放し、残りのサイド134をシールすることができる。電池ケース13のエッジ1371が開放されることで開口部が形成されると、開口部を通して電池ケース13の内部に電解液を注入する。
【0201】
電池ケース13の内部に電解液を注入した後、脱気部137を一次シールして臨時シール部1340を形成する。後ほど脱気部137を二次シールしてシール部1341を形成するため、臨時シール部1340は、脱気部137におけるエッジ1371に近接した位置に形成されることが好ましい。
【0202】
その後、活性化(Formation)工程を行うことができる。活性化工程(化成工程)とは、二次電池1が電力を供給できるように最終的に充電を完了する工程である。活性化工程は、臨時シール部1340を形成し、電池ケース13を完全に密閉した後に行うため、充電率が高く、迅速にガスを排出し、定められた工程時間内に二次電池1の製造を完了することができる。
【0203】
活性化工程を完了すると、電池ケース13の内部でガスが発生する。したがって、電池ケース13の脱気部137に脱気孔Hを打ち抜く。このような脱気孔Hを通して、ガスが電池ケース13の内部から外部に排出される。この際、ガスが排出されやすくなるにつれ、脱気孔Hを通して前記注入された電解液が漏れ得る。これを防止するために、脱気孔Hは、臨時シール部1340に近接した位置に打ち抜かれることが好ましい。脱気孔Hが打ち抜かれると、前記ガスを電池ケース13の外部に排出する脱気(Degassing)工程を行う。
【0204】
脱気孔Hが打ち抜かれると、電池ケース13の内部が再び開放され、内部の電解液が外部に漏れ得る。したがって、カップ部133と脱気部137との間の境界を二次シールしてシール部1341を形成する。この際、シール部1341は、カップ部133と脱気孔Hとの間に形成され、特に、カップ部133に近接した位置に形成されることが好ましい。
【0205】
このように活性化工程および脱気工程を行いつつ、脱気孔Hを打ち抜き、一次シールおよび二次シールを行わなければならない。さらに、二次電池1を大量生産する際に、二次電池1の規格および品質を一括に管理する必要がある。このために、ビジョンセンサ41が含まれた検査装置4(
図22に図示)を用いて、電池ケース13または二次電池1を検査することができる。
【0206】
従来は、電池ケース33および二次電池3を全体的にシャープな形状に製造するのに限界があった。したがって、ビジョンセンサを介して電池ケース33を撮影すると、それぞれの構成の大きさおよび位置の誤差が大きく発生した。
【0207】
具体的に、後ほど二次電池1の製造が完了すると、複数の二次電池1の電極リード12を互いに連結して電池モジュール5(
図27に図示)を製造することができる。このために、複数の二次電池1に形成された電極リード12の位置が全て一定でなければならない。ところで、従来は、電極101がカップ部333の外壁338から或る程度離隔して配置されるため、サイド134をシールする前に電極組立体10がカップ部333の内部で動くことができた。したがって、二次電池3を大量生産すると、カップ部333の体積および電極組立体10の体積が全て一定であるとしても、電極組立体10の位置が少しずつ異なり、電極リード12の位置も少しずつ異なっていた。したがって、前記検査装置4を用いて、このような電極リード12の位置を正確に測定しなければならない。
【0208】
それのみならず、脱気孔Hを正確な位置および大きさに打ち抜き、一次シールおよび二次シールを正確な位置および大きさで行うためには、脱気部137の位置を正確に測定しなければならない。その他にも、複数の二次電池1の全体的な品質を効率的に管理するために、サイド134、フォールディング部139、電池ケース13から突出した絶縁部14など、電池ケース13または二次電池1の多様な構成の位置、さらにはカップ部133間の幅までも正確に測定しなければならない。
【0209】
前記構成の位置を測定するためには、特定の基準ラインを設定し、前記基準ラインから測定対象となる構成までの垂直距離を測定しなければならない。例えば、電極組立体10がカップ部333の内部で動く際には、一般的に、
図20に示されたものを基準として左右側方向、すなわち、フォールディング部339および脱気部337に向かう方向に動く場合が多い。したがって、電極リード12の位置を測定するためには、電極リード12の左側または右側エッジの位置を測定しなければならず、前記左側または右側エッジまでの垂直距離を測定するために、前記左側または右側エッジと平行な基準を設定しなければならない。
【0210】
しかしながら、従来は、カップ部333の外壁338が垂直に近く成形されず、カップ部333のパンチエッジ361の曲率半径R2’も大きいため、ビジョンセンサ41を介して電池ケース33を撮影すると、画像では、
図20に示されたように、カップ部333のパンチエッジ361が鮮明に現れなかった。したがって、カップ部333のパンチエッジ361を基準にしては前記構成の位置を測定することができず、パンチエッジ361に近いコウモリ耳35を基準に設定するか、またはユーザが直接手動でカップ部333のパンチエッジ361を基準に設定した。
【0211】
ところで、コウモリ耳35は、カップ部133の周辺サイド134も全体的に微細に延伸された状態でブリッジ136をフォールディングして形成されるため、複数の二次電池1ごとにコウモリ耳35の大きさが少しずつ異なっていた。すると、ビジョンセンサを介して前記構成の位置を測定しても、基準となるコウモリ耳35の大きさが異なるため、二次電池3の間に構成の位置の偏差が大きくなって品質管理が難しいという問題もあった。
【0212】
特に、ビジョンセンサを介して電池ケース33を撮影して電極リード12の位置を測定しても、電極リード12の位置が少しずつ異なり、電池モジュール5を製造するために電極リード12を連結する際に連結が容易でないという問題があった。また、電池モジュール5を製造するために、複数の二次電池1を順次積層するか一列に整列させる際に、カップ部333の位置が正確ではないため、複数の二次電池1の整列度が低下するという問題もあった。
【0213】
そして、二次電池3を別のハウジング51(
図27に図示)に収納して電池モジュール5を製造する場合、測定値の偏差が大きいため、ハウジング51を設計する際に設計公差を不要に大きく設定し、電池モジュール5の体積対比エネルギー密度も低下するという問題もあった。
【0214】
図21は、本発明の一実施形態に係る電池ケース13の脱気部137を切断する前の様子を上方から示した概略図であり、
図22は、本発明の一実施形態に係る検査装置4のブロック図である。
【0215】
本発明の一実施形態によると、
図21に示されたように、パウチフィルム135の成形性が改善されることで、ブリッジ136の厚さtをさらに薄く、カップ部133のパンチエッジ1611の曲率半径R2およびクリアランスCLをさらに小さく形成することができ、それにより、コウモリ耳15の大きさもさらに減少することができる。したがって、二次電池1を電池モジュール5に容易に組み立てることができ、二次電池1の不要な体積を減少させるため、体積対比エネルギー密度を増加させることもできる。
【0216】
また、本発明の一実施形態によると、
図21に示されたように、電池ケース13を撮影した画像において、カップ部133のパンチエッジ1611が鮮明に現れるため、検査装置4がカップ部133のパンチエッジ161を自動で基準ラインSTに設定することができ、カップ部133のパンチエッジ161を基準として電池ケース13または二次電池1の多様な構成までの距離を正確に測定することができ、さらにはカップ部133間の幅CWまでも正確に測定することができる。それにより、電池ケース13または二次電池1の構成の位置を正確に測定して、測定値の誤差が減少し、二次電池1間の偏差も減少することができる。
【0217】
このために、本発明の一実施形態に係る電池ケース13または二次電池1の検査装置4は、電池ケース13を撮影して前記電池ケース13または二次電池1の画像を取得するビジョンセンサ41と、前記画像から前記電池ケース13または二次電池1の構成のアウトラインを抽出するアウトライン抽出部421と、前記画像を分析し、前記電池ケース13において電極組立体10を収容する収容空間1331が備えられた、カップ部133のパンチエッジ161に該当する前記アウトラインを検出する画像分析部422と、前記パンチエッジ161に該当する前記アウトラインを基準ラインSTに設定する基準ライン設定部423と、前記基準ラインSTから前記構成までの距離を演算する距離演算部424と、を含む。
【0218】
そして、このような検査装置4を用いた本発明の一実施形態に係る電池ケース13または二次電池1の検査方法は、ビジョンセンサ41が、電池ケース13を撮影し、前記電池ケース13または二次電池1の画像を取得するステップと、アウトライン抽出部421が、前記画像から前記電池ケース13または前記二次電池1の構成のアウトラインを抽出するステップと、画像分析部422が、前記画像を分析し、前記電池ケース13において電極組立体10を収容する収容空間1331が備えられた、カップ部133のパンチエッジ161に該当する前記アウトラインを検出するステップと、基準ライン設定部423が、前記パンチエッジ161に該当する前記アウトラインを基準ラインSTに設定するステップと、距離演算部424が、前記基準ラインSTから前記構成までの距離を演算するステップと、を含む。
【0219】
具体的に、検査装置4は、
図22に示されたように、ビジョンセンサ41および制御部42を含む。そして、これらの構成要素は、バス(図示せず)を介して相互間に連結されて通信することができる。制御部42に含まれた全ての構成要素は、少なくとも1つのインターフェースまたはアダプタを介してバスに接続されるか、または直接バスに連結されることができる。また、バスは、上述した構成要素の他に、他のサブシステムと連結されてもよい。このようなバスは、メモリバス、メモリコントローラ、周辺バス(Peripheral Bus)、ローカルバスを含む。
【0220】
ビジョンセンサ41は、特定の領域を撮影し、特定の領域に対するイメージ信号を受信することで画像を取得する。このために、一般的に、ビジョンセンサ41には、CCD(Charge Coupled Device)やCMOS(Complementary Metal-Oxide Semiconductor)イメージセンサなどの撮像素子が含まれる。特に、本発明の一実施形態に係るビジョンセンサ41は、電池ケース13のブリッジ136がフォールディングされた後、電池ケース13を撮影し、電池ケース13または二次電池1の各構成に対する画像を取得することができる。ここで、構成とは、上述したカップ部133、脱気部137、電極リード12、コウモリ耳15、サイド134、フォールディング部139、および絶縁部14などを含む。そして、後ほど脱気部137を切断することで、二次電池1の製造が完了する。したがって、ビジョンセンサ41が脱気部137を切断する前に電池ケース13を撮影すると、電池ケース13および電極リード12などの画像を取得することができ、脱気部137を切断した後に電池ケース13を撮影すると、二次電池1の画像を取得することができる。
【0221】
制御部42は、ビジョンセンサ41が取得した画像信号を受信し、前記画像信号から電池ケース13または二次電池1の各構成の位置を把握する。このような制御部42は、アウトライン抽出部421、画像分析部422、基準ライン設定部423、および距離演算部424を含む。制御部42としては、CPU(Central Processing Unit)、MCU(Micro Controller Unit)、またはDSP(Digital Signal Processor)などを用いることが好ましいが、これに制限されず、多様な論理演算プロセッサを用いることができる。
【0222】
アウトライン抽出部421は、ビジョンセンサ41から受信された画像から、電池ケース13または二次電池1の各構成のアウトラインを抽出する。この際、アウトライン抽出部421は、前記画像に現れる全ての構成のアウトラインを抽出してもよいが、これに制限されず、画像において、一部分にROI(Region Of Interest)が設定され、前記ROI内に現れる構成のアウトラインだけを抽出してもよい。アウトラインを抽出するためには、先ず、前記イメージのピクセルに対する情報を抽出し、このために、一般的に用いられる勾配公式を用いることができる。前記抽出したピクセル情報を介して、電池ケース13および電極リード12のアウトラインが現れる。
【0223】
本発明の一実施形態によると、カップ部133のパンチエッジ161の曲率半径R2およびクリアランスCLをさらに小さく形成することができ、カップ部133の外壁138が垂直に近く形成されることができるため、画像において、カップ部133のパンチエッジ161に対応するピクセル情報の勾配が大きい。したがって、アウトラインと背景の境界が明確であるため、カップ部133のパンチエッジ161に該当するアウトラインを明確に抽出することができる。
【0224】
画像分析部422は、前記画像を分析し、電池ケース13において、カップ部133のパンチエッジ161に該当するアウトラインを検出する。このために、画像分析部422は、予め格納されたカップ部133のパンチエッジ161の基準アウトライン情報と、前記抽出されたアウトライン情報をマッチングし、カップ部133のパンチエッジ161に該当するアウトラインを検出することができる。この際、画像分析部422は、テンプレートマッチング(Template Matching)技法を用いて、前記2つの情報をマッチングすることができる。
【0225】
基準ライン設定部423は、前記パンチエッジ161に該当する前記アウトラインを基準ラインSTに設定することができる。カップ部133は複数のパンチエッジ161を含むため、パンチエッジ161に該当するアウトラインも複数抽出される。この際、基準ライン設定部423は、電池ケース13または二次電池1の各構成の位置を正確に測定するために、複数のパンチエッジ161のうち、測定対象となる構成と最も近いパンチエッジ161に該当するアウトラインを基準ラインSTに設定することが好ましい。また、上述したように、構成の位置は、基準ラインSTからの垂直距離を測定しなければならないため、基準ライン設定部423は、複数のパンチエッジ161のうち、測定対象となる構成のエッジと平行なパンチエッジ161に該当するアウトラインを基準ラインSTに設定することができる。
【0226】
例えば、脱気孔Hを打ち抜き、一次シールおよび二次シールを行うために、検査装置4は、脱気部137の位置を測定しなければならない。この場合、基準ライン設定部423は、複数のパンチエッジ161のうち、脱気部137に近く、かつ、脱気部137に含まれたエッジ1371と平行な、ダイエッジ162側のパンチエッジ1612に該当するアウトラインを基準ラインSTに設定することができる。
【0227】
そして、例えば、電極リード12の位置が全て一定であるか否かを検査するために、検査装置4が電極リード12の位置を測定しなければならない。この場合、基準ライン設定部423は、複数のパンチエッジ161のうち、電極リード12に近く、かつ、電極リード12の左側または右側エッジと平行な、フォールディング部139側のパンチエッジ1611に該当する電極リード12側のアウトラインを基準ラインSTに設定してもよい。
【0228】
さらに、カップ部133間の幅を測定するためには、基準ライン設定部423は、複数のパンチエッジ161のうち、カップ部133の幅の境界に該当する2つのパンチエッジ161のアウトラインのうちいずれか1つのアウトラインを基準ラインSTに設定してもよい。
【0229】
すなわち、基準ライン設定部423は、電池ケース13または二次電池1の各構成の位置を正確に測定できるのであれば、制限なく多様なアウトラインを基準ラインSTに設定することができる。
【0230】
距離演算部424は、前記画像において、前記基準ラインSTから前記電池ケース13または二次電池1の各構成までの距離を演算する。例えば、ダイエッジ162側のパンチエッジ1612に該当するアウトラインが基準ラインSTに設定されると、距離演算部424は、前記基準ラインSTから脱気部137に含まれたエッジまでの距離を演算することができる。または、フォールディング部139側のパンチエッジ1611に該当するアウトラインが基準ラインSTに設定されると、距離演算部424は、前記基準ラインSTから電極リード12の一側エッジまでの距離を演算してもよく、前記ダイエッジ162側のパンチエッジ1612に該当するアウトラインまでの距離を演算してもよい。
【0231】
距離演算部424は、予め格納された画像のピクセル数と実際距離の関係に対する情報を用いることができる。すなわち、距離演算部424は、前記画像において、前記基準ラインSTから前記各構成までの距離をピクセル数でカウントした後、予め格納された画像のピクセル数と実際距離の関係に対する情報を用いて、前記カウントしたピクセル数に対応する実際距離を演算することができる。
【0232】
検査装置4は、格納部44をさらに含むことができる。格納部44は、検査装置4の動作を処理および制御するためのプログラム、および各プログラムの実行中に発生する各種データまたは受信された信号などを格納する。特に、画像分析部422がカップ部133のパンチエッジ1611に該当するアウトラインを検出できるように、電池ケース13に対する基準情報を格納することができる。ここで、電池ケース13に対する基準情報は、カップ部133のパンチエッジ1611に対する基準アウトライン情報、および電池ケース13または二次電池1の構成までの距離に対する基準情報などを含むことができる。これは、ユーザが格納部44に直接格納してもよいが、検査装置4が繰り返し学習により前記基準情報を生成して格納してもよい。また、格納部44は、距離演算部424が基準ラインSTから各構成までの実際距離を演算できるように、画像のピクセル数と実際距離の関係に対する情報を格納してもよい。さらに、検査対象となる電池ケース13の検査結果情報を格納してもよい。このような格納部44は、検査装置4に内蔵されてもよいが、別のストレージサーバとして備えられもよい。格納部44は、不揮発性メモリ装置および揮発性メモリ装置を含む。不揮発性メモリ装置は、体積が小さく、軽く、外部の衝撃に強いNANDフラッシュメモリであり、揮発性メモリ装置は、DDR SDRAMであってもよい。
【0233】
制御部42は、検査対象となる電池ケース13の不良有無を判断する不良判断部425をさらに含むことができる。このような不良判断部425は、格納部44に格納された、電池ケース13に対する基準情報と、検査対象となる電池ケース13の検査結果情報とを比較することができる。そして、検査結果情報が前記基準情報の誤差範囲内で含まれると、電池ケース13を正常と判断する。一方、検査結果情報が前記基準情報の誤差範囲から外れると、電池ケース13を不良と判断する。
【0234】
一方、検査装置4は、画像の信号を受信してディスプレイするディスプレイ部43をさらに含むことができる。ディスプレイ部43は、前記画像の信号を受信してユーザにディスプレイする。さらに、前記アウトライン抽出部421が電池ケース13のアウトラインを抽出すると、アウトラインが画像上で表示され、ユーザがディスプレイ部43を介して確認することもできる。ディスプレイ部43は、LCD(Liquid Crystal Display)、OLED(Organic Liquid Crystal Display)、CRT(Cathode Ray Tube)、PDP(Plasma Display Panel)などの多様な方式が用いられることができる。そして、ディスプレイ部43は、ビデオインターフェースを介してバスに連結され、ディスプレイ部43とバスとの間のデータ伝送は、グラフィックコントローラにより制御されることができる。
【0235】
検査装置4は、不良判断部425が電池ケース13を不良と判断すると、アラームを発生させるアラーム部45をさらに含むこともできる。アラームを発生させる際には、ランプの点灯または警告音など、聴覚的または視覚的にアラームを発生させてユーザが直観的に知ることができるようにすることが好ましい。
【0236】
これまで記述したビジョンセンサ41、制御部42、格納部44、およびディスプレイ部43の各構成要素は、メモリ上の所定領域で実行されるタスク、クラス、サブルーチン、プロセス、オブジェクト、実行スレッド、プログラムのようなソフトウェア(software)や、FPGA(field-programmable gate array)またはASIC(application-specific integrated circuit)のようなハードウェア(hardware)で実現されてもよく、また、前記ソフトウェアおよびハードウェアの組み合わせからなってもよい。前記構成要素は、コンピュータで読み取り可能なストレージ媒体に含まれていてもよく、複数のコンピュータにその一部が分散して分布していてもよい。
【0237】
また、各ブロックは、特定の論理的機能を実行するための1つ以上の実行可能なインストラクションを含むモジュール、セグメント、またはコードの一部を示すことができる。また、いくつかの代替実行例においては、ブロックにて言及された機能が順序から外れて発生することもできる。例えば、相次いで示されている2つのブロックは、事実上、実質的に同時に行われることもでき、そのブロックが時々該当する機能に応じて逆順に行われることもできる。
【0238】
本発明の一実施形態に係る検査装置4を用いると、カップ部133のパンチエッジ1611が鮮明に現れるため、検査装置4がカップ部133のパンチエッジ161を自動で基準ラインSTに設定することができ、カップ部133のパンチエッジ1611を基準として電池ケース13の各構成までの距離を正確に測定することができる。例えば、脱気部137の大きさおよび位置を測定することができ、二次電池1の製造が完了した後にも、カップ部133、電極リード12、コウモリ耳15、サイド134、フォールディング部139、および絶縁部14などの大きさおよび位置を正確に把握することができる。それにより、二次電池1の不良有無を容易に判断することもでき、二次電池1を大量生産しても、これらの規格および品質を効率的かつ一括に管理することもできる。
【0239】
特に、電極リード12の位置を正確に測定することができるため、電池モジュール5を製造するために電極リード12を連結する際に容易に連結することができる。また、カップ部333の位置を正確に測定することができるため、電池モジュール5を製造するために複数の二次電池1を順次積層するか一列に整列させる際に、複数の二次電池1の整列度を改善することもできる。
【0240】
図23は、本発明の一実施形態に係る電池ケース13の脱気部137を切断して二次電池1の製造を完了した様子を示した概略図である。
電池ケース13を二次シールしてシール部1341を形成した後、前記シール部1341の外側にカットラインCTを設定して脱気部137を切断する。それにより、
図23に示されたように、脱気部137の長さが短くなり、二次電池1の体積が減少することができる。上記のような過程により、パウチ型二次電池1の製造が完了する。
【0241】
一方、脱気部137を切断して残ったサイド134は、複数のサイド134の中で、電極リード12が突出形成されない。ところで、サイド134をシールした後にそのまま放置すると、二次電池1の全体体積が増加する。したがって、体積対比エネルギー密度を減少させるために、サイド134をフォールディングすることが好ましい。
【0242】
一方、サイド134は、
図23に示されたように、シール部1341および未シール部1342を含むことができる。シール部1341は、相対的に外側に位置し、シールされた領域であり、未シール部1342は、相対的に内側に位置し、シールされていない領域である。
【0243】
具体的に、前記電池ケース13を二次シールしてシール部1341を形成する際に、シール部1341がカップ部133から直ちに連結されず、或る程度離隔して形成されることができる。サイド134をシールする際には、別のシールツール(図示せず)を用いて、サイド134に熱および圧力を印加しなければならない。ところで、仮に、このようなシールツールをカップ部133に密着した状態でサイド134をシールすると、サイド134の内側に位置したシーラント層1351が一部溶融して電極組立体10に向かって漏れ、電極組立体10を汚染させ得る。また、シールツールの熱が電極組立体10まで伝達され、電極組立体10が損傷し得る。したがって、シールツールをカップ部133から或る程度離隔した状態でサイド134をシールすることが好ましい。すると、シールツールによりシールされた部分がシール部1341になり、シールツールがカップ部133から離隔してシールされていない部分が未シール部1342になる。
【0244】
図24は、従来のサイド334をフォールディングした様子を側面から示した概略図であり、
図25は、従来のサイド334をフォールディングした様子を上面から示した概略図である。
【0245】
従来は、サイド334をフォールディングすると、サイド334が固定されず、所定の角度で再びアンフォールディングされるという問題があった。具体的に、上述したように、パウチフィルム135は、シールラント層1351、水分バリア層1352、延伸補助層1354、および表面保護層1353が積層されて形成される。中でも、シーラント層1351は、第1ポリマー、特にポリプロピレン(PP)を含むため、柔軟性および弾性力が大きい。したがって、サイド134がフォールディングされると、本来の状態に戻ろうとする復原力が大きい。これに対し、水分バリア層1352は、金属、特にアルミニウム合金から製造されるため、サイド334がフォールディングされてからは、弾性変形の限界を超過し、フォールディングされた状態を維持しようとする保存力が大きい。
【0246】
ところで、従来のパウチフィルムは、水分バリア層が約30~50μmの厚さを有し、シーラント層が約60~100μmの厚さを有するものであった。すなわち、水分バリア層の厚さがシーラント層の厚さに比べて相当に薄く形成された。したがって、保存力よりも復原力がさらに大きいため、サイド334が固定されず、所定の角度で再びアンフォールディングされた。すると、サイド334により二次電池3の不要な体積が増加するという問題があった。
【0247】
これを解決するために、
図24および
図25に示されたように、サイド334に別にテープ38を付着した。特に、テープ38は、カップ部333の底部3332の外側面とサイド334に共に付着され、それにより、サイド334がカップ部333に固定され、再びアンフォールディングされるのを防止することができた。しかし、この場合、
図24に示されたように、テープ38自体の厚さにより二次電池3の全体厚さが増加するという問題があった。また、サイド334をフォールディングする工程以後に、テープ38を付着する追加の工程が必要であり、このような工程に多くの時間がかかり、工程数を増加させ、二次電池3の製造収率を低下させるという問題もあった。
【0248】
一方、脱気工程を行うと、ガスが電池ケース13の内部から外部に排出されるにつれ、カップ部133の内部圧力が減少する。従来は、電極組立体10がカップ部333の外壁338から或る程度離隔して配置された。したがって、カップ部333の内部圧力が減少するにつれ、カップ部333の外壁338と電極組立体10との間の空間37の体積も減少するため、カップ部333の外壁338または底部3332が変形し得た。特に、
図24に示されたように、二次電池3のフォールディング部側の外壁338が内側に陥没するにつれ、カップ部333のフォールディング部339側のパンチエッジ361が外部に突出して高さが高くなる、エッジハイ(Edge High)現象が発生し得た。このようなエッジハイ現象により二次電池3の不要な厚さが増加し、体積対比エネルギー密度が低下するという問題があった。また、カップ部333のフォールディング部339側の外壁338が変形するため、二次電池3の外観が美しくならず、商品性も低下するという問題もあった。さらに、エッジハイ現象により、コウモリ耳15は、さらに大きさが増加し、形状が目立つという問題もあった。
【0249】
図26は、本発明の一実施形態に係るサイド134をフォールディングした様子を側面から示した概略図である。
本発明の一実施形態によると、パウチフィルム135は、水分バリア層1352が50~70μmの厚さを有し、前記シーラント層1351が70~100μmの厚さを有するため、従来よりも水分バリア層1352の厚さがさらに厚くなる。したがって、サイド134をフォールディングした際に、保存力がさらに増加するため、別のテープ38が付着される必要なく、サイド134が再びアンフォールディングされるのを防止することができる。
【0250】
このために、本発明の一実施形態に係る二次電池1は、電極101およびセパレータ102が積層されて形成される電極組立体10と、前記電極組立体10を内部に収容するカップ部133が形成されたパウチ型電池ケース13と、を含み、前記パウチ型電池ケース13は、前記カップ部133の外側に延長形成されたサイド134を含み、前記サイド134は、相対的に外側に位置してシールされたシール部1344と、相対的に内側に位置してシールされていない未シール部1345と、を含み、前記カップ部133に接着されておらず、前記未シール部1345においてフォールディングされる。
【0251】
すなわち、
図26に示されたように、二次電池1において、サイド134がカップ部133に向かってフォールディングされた後、サイド134がカップ部133に接着されておらず、かつ、フォールディングされた状態を維持し、アンフォールディングされない。この際、サイド134は、85°~95°の角度、特に88°~92°の角度でフォールディングされることができる。また、サイド134がカップ部133に隣接した位置でフォールディングされ、サイド134がカップ部133の外壁138に接触することができる。特に、上述したように、サイド134は、相対的に外側に配置されてシールされたシール部1341と、相対的に内側に配置されてシールされていない未シール部1342と、を含むことができる。そして、サイド134がフォールディングされる際には、カップ部133に相対的にさらに近い未シール部1342がフォールディングされることが好ましい。それにより、二次電池1の不要な体積をさらに減少させることができる。しかし、この場合にもサイド134とカップ部133は互いに接着されるのではなく、サイド134の保存力が増加してフォールディング状態を維持する。
【0252】
パウチフィルム135に2つのカップ部133を形成すると、1つのカップ部133を形成するときよりはカップ部133の深さDが薄くなり得る。上述したように、カップ部133だけが集中的に延伸されるのではなく、カップ部133の周辺サイド134も全体的に微細に延伸されるためである。ところで、サイド134の幅がこのようなカップ部133の深さDよりも長いと、サイド134を1回だけフォールディングした際に、サイド134の外側端部1343がカップ部133の底部1332よりもさらに外側に突出し得る。
【0253】
したがって、パウチフィルム135に2つのカップ部133が形成されると、
図26に示されたように、サイド134を2回フォールディングするダブルサイドフォールディング(Double Side Folding、DSF)方法を用いることができる。具体的に、サイド134は、第1フォールディング部1344および第2フォールディング部1345を含むことができる。第1フォールディング部1344は、相対的に外側端部1343にさらに近い位置でフォールディングされた部分であり、第2フォールディング部1345は、相対的にカップ部133にさらに近い位置でフォールディングされた部分である。したがって、第1フォールディング部1344を基準としてサイド134を一次フォールディングした後、第2フォールディング部1345を基準としてサイド134を二次フォールディングすることができる。この際、第1フォールディング部1344は、サイド134におけるシール部1341に位置することができ、第2フォールディング部1345は、サイド134における未シール部1342に位置することができる。そして、サイド134は、第1フォールディング部1344において170°~180°の角度、特に180°の角度でフォールディングされることができる。そして、第2フォールディング部1345において85°~95°、特に88°~92°の角度でフォールディングされることができる。それにより、サイド134の外側端部1343がカップ部133の底部1332よりもさらに外側に突出するのを防止することができる。
【0254】
一方、本発明の一実施形態によると、電極組立体10がカップ部133の外壁138に非常に近く位置することができるため、カップ部133の不要な体積が減少する。したがって、脱気工程を行ってカップ部133の内部圧力が減少しても、カップ部133の外壁138または底部1332が変形するのを防止することができる。すなわち、
図26に示されたように、エッジハイ現象が発生するのを防止することができるため、体積対比エネルギー密度が低下しない。
【0255】
図27は、本発明の一実施形態に係る電池モジュール5の概略図である。
自動車などのような中大型電子機器は、出力が大きくなければならないため、多くの二次電池1が必要である。このような二次電池1を容易に移動し設置するために、電池モジュール5を製造することができる。このような電池モジュール5に複数の二次電池1を設置すると、外部に電気を安定的に供給することができる。
【0256】
一方、二次電池1の電極組立体10から電気が生産されるために、電極101と電解液との間の化学反応が発生し、この過程で熱が発生する。ところで、熱により周辺温度が過度に上昇すると、二次電池1が設置された電気機器の回路に誤作動が発生するか、または電気機器の寿命が短縮するという問題がある。したがって、電池モジュール5には、二次電池1を冷却するための冷却システムが含まれる。冷却システムには、大きく、冷却水で冷却する水冷式、および空気で冷却する空冷式などの方式がある。中でも、水冷式冷却システムが空冷式冷却システムよりも冷却効率がさらに高いため、さらに多く活用される。
【0257】
冷却システムは、二次電池1を直接冷却させる冷却プレートを含み、このような冷却プレートの内部には別の流路が形成され、冷却水が流動することができる。そして、流路は、太さが細く長さが長いほど、表面積が広くなり、冷却効率が増加することができる。
【0258】
電池モジュール5を製造するためには、先ず、二次電池1を複数製造した後、このような二次電池1を互いに連結し、ハウジング51に収納する。この際、二次電池1を一列に整列させて積層することができる。
図27に示されたように、二次電池1がハウジング51に収納される際に、二次電池1の長さの長い側面が下方に向かい、ハウジング51の下面には、冷却プレート(図示せず)を形成することができる。したがって、冷却プレートが二次電池1の長さの長い側面から冷却させることで、冷却効率を増大させることができる。
【0259】
一方、二次電池1の一側には、ブリッジ136がフォールディングされて形成されたフォールディング部139が形成され、他側には、脱気部137が切断されて残った領域であるサイド134が形成される。ところで、冷却プレートが二次電池1の複数の面のうち、サイド134が形成された側面から冷却させると、サイド134により冷却プレートと電極組立体10との間の距離が遠くなるため、冷却効率が低下し得る。したがって、冷却プレートは、二次電池1の長さの長い側面のうち、フォールディング部139が形成された側面から冷却させることが好ましい。このために、二次電池1をハウジング51に収納する際には、フォールディング部139が冷却プレートに向かう方向、すなわち、下方に向かうように収納されることができる。
【0260】
図28は、従来の二次電池3が電池モジュール5のハウジング51に収納された様子を示した正面拡大図であり、
図29は、従来の二次電池3が電池モジュール5のハウジング51に収納された様子を示した側面拡大図である。
【0261】
上述したように、従来は、コウモリ耳35の大きさを減少させるのに限界があった。特に、カップ部333の深さD’を十分に深く(例えば、6.5mm以上)成形しながらも、コウモリ耳35の大きさを一定数値(例えば、1.5mm)以下に減少させるのに限界があった。
【0262】
また、従来は、フォールディング部339とコウモリ耳35の内側エッジ35aがなす角度θ’が151度以下に形成された。
ここで、前記角度θ’は、フォールディング部339に対応する仮想の第1ラインL1と、コウモリ耳35の内側エッジ35aに対応する仮想の第2ラインL2がなす角度を意味し得る。特に、前記第1ラインL1および第2ラインL2は、画像分析により決定されることができる。一例として、前記第1ラインL1および第2ラインL2は、ビジョン装置において、ROI(Region of interest)内で確認される複数のエッジポイントを連結することで抽出されることができる。したがって、フォールディング部339やコウモリ耳35の内側エッジ35aが一部撓むか曲がって形成された場合にも、第1ラインL1および第2ラインL2が明確に定義されることができる。このような画像分析は周知の技術であるため、詳しい説明は省略する。
【0263】
したがって、
図28に示されたように、二次電池3をハウジング51に収納すると、コウモリ耳35がハウジング51とフォールディング部339との間を大きい間隔d’(例えば、1.5mm超過)で離隔させた。したがって、このような間隔d’が冷却プレートの冷却を妨害して冷却効率が低下し得た。これを解決するために、前記冷却プレートと二次電池1のフォールディング部339との間の空間に熱伝達物質52を注入し、冷却プレートが熱伝達物質52によりフォールディング部139を冷却させるようにした。例えば、前記熱伝達物質52は、熱グリース(Thermal Grease)であってもよい。
【0264】
ところで、コウモリ耳15の大きさが大きいと、このような熱伝達物質52を多く注入しなければならないため、費用が増加し、冷却プレートとフォールディング部139との間の間隔d’が大きいため、依然として冷却効率が低いという問題があった。
【0265】
また、脱気孔Hを通して脱気工程を行うと、電池ケース33の内部圧力が減少するにつれ、
図29に示されたように、電池ケース33のフォールディング部339が電極組立体10に密着した。ところで、従来は、クリアランスCL’を減少させるのに限界があり、フォールディング部339の幅も大きく形成された。したがって、カップ部333の外壁338と電極組立体10との間の空間37が大きく形成され、二次電池3の体積対比エネルギー密度が減少するという問題があった。さらに、電極組立体10が熱グリース52から離隔した距離も増加するため、冷却効率がさらに低くなるという問題もあった。
【0266】
図30は、本発明の一実施形態に係る二次電池1が電池モジュール5のハウジング51に収納された様子を示した正面拡大図であり、
図31は、本発明の一実施形態に係る二次電池1が電池モジュール5のハウジング51に収納された様子を示した側面拡大図である。
【0267】
本発明の一実施形態に係るパウチ型二次電池1は、電極101およびセパレータ102が積層されて形成される電極組立体10と、前記電極組立体10を内部に収容するカップ部133が形成されたパウチ型電池ケース13と、を含み、前記電池ケース13は、前記カップ部133が少なくとも一方に形成された第1ケース131および第2ケース132と、前記第1ケース131と前記第2ケース132を一体に連結するフォールディング部139と、前記フォールディング部139の両端の一部から外側に向かって突出形成されるコウモリ耳15と、を含み、前記コウモリ耳15は、長さdが1.5mm以下である。
【0268】
また、フォールディング部139とコウモリ耳15の内側エッジ15aがなす角度θは、151度よりも大きく形成されることができる。また、前記角度θは、180度以下であってもよい。そして、前記角度θが180度であれば、コウモリ耳15が存在しない状態を意味し得る。
【0269】
ここで、前記角度θは、フォールディング部139に対応する仮想の第1ラインL1と、コウモリ耳15の内側エッジ15aに対応する仮想の第2ラインL2がなす角度を意味し得る。第1ラインL1および第2ラインL2に対しては、前述した内容を援用する。そして、本発明の一実施形態に係る電池モジュール5は、電極101およびセパレータ102が積層されて形成される電極組立体10が、パウチ型電池ケース13に形成されたカップ部133の内部に収納されたパウチ型二次電池1と、前記二次電池1が内部に収納されたハウジング51と、を含み、前記電池ケース13は、前記カップ部133がそれぞれ形成された第1ケース131および第2ケース132と、前記第1ケース131と前記第2ケース132を一体に連結するフォールディング部139と、前記フォールディング部139の両端の一部から外側に向かって突出形成されるコウモリ耳15と、を含み、前記コウモリ耳15は、長さdが1.5mm以下である。
【0270】
上述したように、コウモリ耳15は、ブリッジ136をフォールディングしてフォールディング部139の両端の一部から外側に突出形成される。本発明の一実施形態によると、このようなコウモリ耳15の長さは1.5mm以下、特に1mm以下であってもよい。このようなコウモリ耳15の長さは、前記フォールディング部139側の外壁1381から前記コウモリ耳15の最外側端部まで測定した長さであってもよい。この際、上述したように、フォールディング部139側の外壁1381は、クリアランスCLにより底部1332から傾斜角が90°~95°間の傾斜を有することができる。これを考慮すると、コウモリ耳の測定の一例として、コウモリ耳15の長さは、フォールディング部139側の外壁1381中の最も外側に突出した部分から、前記コウモリ耳15の最外側端部まで測定した長さであってもよい。
【0271】
コウモリ耳15の長さは、物差しまたはバーニアキャリパーなどを用いて二次電池1に直接接触して測定してもよく、レーザ変位センサまたはビジョンセンサなどを用いて非接触方式で測定してもよい。
【0272】
以上、これはコウモリ耳の長さを測定する方法を一例として記載したものであり、必ずしも前記測定方法に限定される場合だけが本発明の範囲に属するものではない。コウモリ耳の長さは、請求項の記載および本発明の趣旨に該当するものであれば、いずれも本発明で意味するコウモリ耳の長さになることができる。
【0273】
本発明の一実施形態によると、パウチフィルム135の成形性が改善されることで、ブリッジ136の厚さtをさらに薄く、カップ部133のパンチエッジ1611の曲率半径R2およびクリアランスCLをさらに小さく形成することができる。
【0274】
それにより、カップ部133の深さDを3mm以上、特に6.5mm以上に成形しながらも、コウモリ耳15の長さdも1.5mm以下、特に1mm以下にさらに減少することができる。したがって、
図30に示されたように、ハウジング51とフォールディング部139との間の間隔dが1.5mm以下に狭くなることができる。それにより、ハウジング51の内部において熱伝達物質52の厚さが1.5mm以下になることができ、熱グリース52の注入量をさらに減少させることができるため、費用を節減することができ、冷却効率も増加することができる。
【0275】
また、
図31に示されたように、クリアランスCLをさらに小さく形成することができ、フォールディング部139の幅FWも小さく形成することができる。したがって、カップ部133の外壁138と電極組立体10との間の空間17が減少することになり、二次電池1の体積対比エネルギー密度が増加することができる。そして、電極組立体10が熱グリース52から離隔した距離も減少するため、冷却効率もさらに増加することができる。
【0276】
本発明が属する技術分野における通常の知識を有する者であれば、本発明がその技術的思想や必須の特徴を変更せず、他の具体的な形態で実施可能であることを理解することができるであろう。したがって、以上で記述された実施形態は、全ての面で例示的なものであって、限定的なものではないことを理解しなければならない。本発明の範囲は上記の詳細な説明よりは後述の特許請求の範囲により示され、特許請求の範囲の意味および範囲、そしてその均等概念から導き出される多様な実施形態が本発明の範囲に含まれるものと解釈しなければならない。
【符号の説明】
【0277】
1:二次電池
2:成形装置
3:従来の二次電池
4:検査装置
5:電池モジュール
10:電極組立体
11:電極タブ
12:電極リード
13:電池ケース
14:絶縁部
15:コウモリ耳
16:エッジ
17:空間
21:ダイ
22:パンチ
33:従来の電池ケース
35:従来のコウモリ耳
36:従来のエッジ
37:従来の空間
38:従来のテープ
41:ビジョンセンサ
42:制御部
43:ディスプレイ部
44:格納部
45:アラーム部
51:ハウジング
52:熱グリース
101:電極
102:セパレータ
111:正極タブ
112:負極タブ
121:正極リード
122:負極リード
131:第1ケース
132:第2ケース
133:カップ部
134:サイド
135:パウチフィルム
136:ブリッジ
137:脱気部
138:外壁
139:フォールディング部
161:パンチエッジ
162:ダイエッジ
163:厚さエッジ
164:コーナー
211:成形部
212:隔壁
213:ダイのエッジ
221:パンチのエッジ
333:従来のカップ部
334:従来のサイド
336:従来のブリッジ
337:従来の脱気部
338:従来の外壁
339:従来のフォールディング部
361:従来のパンチエッジ
362:従来のダイエッジ
421:アウトライン抽出部
422:画像分析部
423:基準ライン設定部
424:距離演算部
425:不良判断部
1021:周辺部
1331:収容空間
1332:底部
1333:外壁
1340:臨時シール部
1341:シール部
1342:未シール部
1343:外側端部
1344:第1フォールディング部
1345:第2フォールディング部
1351:シーラント層
1352:水分バリア層
1353:表面保護層
1354:延伸補助層
1371:エッジ
1381:ブリッジ側の外壁
1382:脱気部側の外壁
1391:溝
1611:ブリッジ側のパンチエッジ
1612:脱気部側のパンチエッジ
1613:第1パンチエッジ
1614:第2パンチエッジ
【外国語明細書】