(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024016724
(43)【公開日】2024-02-07
(54)【発明の名称】電動弁および電動弁装置、ならびに、電動弁装置の組立方法
(51)【国際特許分類】
F16K 31/04 20060101AFI20240131BHJP
【FI】
F16K31/04 A
【審査請求】未請求
【請求項の数】9
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022119040
(22)【出願日】2022-07-26
(71)【出願人】
【識別番号】391002166
【氏名又は名称】株式会社不二工機
(74)【代理人】
【識別番号】110002608
【氏名又は名称】弁理士法人オーパス国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】吉田 竜也
【テーマコード(参考)】
3H062
【Fターム(参考)】
3H062AA02
3H062BB30
3H062BB31
3H062CC01
3H062FF38
3H062GG04
3H062HH04
3H062HH08
(57)【要約】
【課題】複数種類のシステムで共通して用いることができる電動弁および電動弁装置、ならびに、電動弁の取付方法を提供する。
【解決手段】電動弁3は、弁本体アセンブリ5と、ステーターユニット6と、ナット部材7と、を有する。ステーターユニット6が、弁本体アセンブリ5に取り付けられる。弁本体アセンブリ5の本体部材10の外周面には、雄ねじ11eが設けられる。雄ねじ11eが、ナット部材7の内周面に設けられた雌ねじ7eおよび流路ブロック2の取付穴201の内周面に設けられた雌ねじ201eと螺合される。雄ねじ11eの軸線L方向の長さが、雌ねじ7eの軸線L方向の長さより大きい。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
弁本体アセンブリと、ステーターユニットと、少なくとも1つのナット部材と、を有する電動弁であって、
前記弁本体アセンブリが、本体部材と、前記本体部材に取り付けられた円筒形状のケースと、前記ケースの内側に配置されるマグネットローターと、を有し、
前記ステーターユニットが、前記ケースの外側に配置されるステーターを有し、
前記ステーターユニットが、前記弁本体アセンブリに取り付けられ、
前記本体部材の外周面には、雄ねじが設けられ、
前記雄ねじが、前記ナット部材の内周面に設けられた雌ねじと螺合され、
前記雄ねじの軸線方向の長さが、前記雌ねじの軸線方向の長さより大きい、ことを特徴とする電動弁。
【請求項2】
前記雄ねじが、前記ナット部材の前記雌ねじおよび流路ブロックの取付穴の内周面に設けられた雌ねじと螺合され、
前記ナット部材が、前記本体部材が前記流路ブロックに固定されるように締め付けられる、請求項1に記載の電動弁。
【請求項3】
前記本体部材の外周面には、前記雄ねじの軸線方向に延びる保持溝が設けられ、
前記ステーターユニットが、前記雄ねじの軸線方向に延びる取付板を有し、
前記保持溝が、前記雄ねじの少なくとも一部を横切り、
前記取付板が、前記保持溝に配置され、
前記保持溝の底面および前記取付板における前記底面と向かい合う面の一方には、突起部が設けられ、他方には、前記突起部と係合する凹部または孔である突起受け部が設けられる、請求項1または請求項2に記載の電動弁。
【請求項4】
前記取付板が、前記ナット部材の内側に配置され、
前記保持溝の深さが、前記取付板の厚さと前記突起部の突出量との合計値より小さい、請求項3に記載の電動弁。
【請求項5】
前記電動弁には、前記マグネットローターの開弁位置に係る情報が記録されている、請求項1または請求項2に記載の電動弁。
【請求項6】
前記電動弁が、前記マグネットローターの回転を制御する制御装置を有し、
前記情報が、前記制御装置に格納されている、請求項5に記載の電動弁。
【請求項7】
前記電動弁が、前記弁本体アセンブリの外面または前記ステーターユニットの外面に貼付されるラベルを有し、
前記情報が、前記ラベルに記録されている、請求項5に記載の電動弁。
【請求項8】
請求項2に記載の電動弁と、前記流路ブロックと、を有する、電動弁装置。
【請求項9】
電動弁と流路ブロックとを有する電動弁装置の組立方法であって、
前記電動弁が、弁本体アセンブリと、ステーターユニットと、少なくとも1つのナット部材と、を有し、
前記弁本体アセンブリが、本体部材と、前記本体部材に取り付けられた円筒形状のケースと、前記ケースの内側に配置されるマグネットローターと、を有し、
前記ステーターユニットが、前記ケースの外側に配置されるステーターを有し、
(1)前記ステーターユニットを前記弁本体アセンブリに取り付け、
(2)前記本体部材の外周面に設けられた雄ねじを前記ナット部材の内周面に設けられた雌ねじに螺合し、
(3)前記雄ねじを前記流路ブロックの取付穴の内周面に設けられた雌ねじに螺合し、
(4)前記本体部材が前記流路ブロックに固定されるように前記ナット部材を締め付ける、ことを特徴とする電動弁装置の組立方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電動弁および電動弁装置、ならびに、電動弁装置の組立方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来の電動弁の一例が特許文献1に開示されている。電動弁は、流路ブロックを有するシステムに組み込まれる。電動弁は、流路ブロックとともに電動弁装置を構成する。電動弁は、弁本体アセンブリと、ステーターユニットと、を有している。弁本体アセンブリは、本体部材と、弁体と、ケースと、マグネットローターと、を有している。本体部材は、弁室を有している。弁体は、弁室に配置される。ケースは、円筒形状を有しており、ケースの一端が本体部材に接合されている。マグネットローターは、ケースの内側に配置されている。弁本体アセンブリは、流路ブロックに取り付けられる。ステーターユニットは、ステーターと、ハウジングと、を有している。ステーターは、ケースの外側に配置されている。マグネットローターとステーターとは、ステッピングモーターを構成する。マグネットローターの回転によって弁体が移動する。ステーターは、ハウジングに収容されている。ハウジングは、電線を接続するためのコネクタを有している。または、ステーターユニットの所定の部分から電線が引き出されている。コネクタおよびステーターユニットにおける電線が引き出される部分を、「電線接続部」という。
【0003】
本体部材の外周面には、雄ねじが設けられている。流路ブロックの上面には、取付穴が設けられており、取付穴の内周面には、雌ねじが設けられている。本体部材の雄ねじは、流路ブロックの雌ねじに螺合される。本体部材(弁本体アセンブリ)は、ねじ構造によって流路ブロックに取り付けられる。流路ブロックは、ねじの軸線方向に延びる保持溝を有している。ハウジングは、ねじの軸線方向に延びる取付板を有している。取付板が保持溝に配置されると、取付板が流路ブロックと係合して、ステーターユニットが流路ブロックに取り付けられる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
電動弁が組み込まれるシステムにおいて、例えば、電線を効率的に敷設するために電線接続部の向き(ステーターユニットにおけるねじの軸線周りの位置)の変更が求められることがある。そして、電動弁において電線接続部の向きを変更するには、ハウジングにおける取付板の位置を変更する必要がある。そのため、複数種類のシステムのそれぞれに合わせた電動弁を用意する必要があり、複数種類のシステムにおいて電動弁を共通して用いることが困難である。
【0006】
そこで、本発明は、複数種類のシステムで共通して用いることができる電動弁および電動弁装置、ならびに、電動弁装置の組立方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記目的を達成するために、本発明の一態様に係る電動弁は、弁本体アセンブリと、ステーターユニットと、少なくとも1つのナット部材と、を有する電動弁であって、前記弁本体アセンブリが、本体部材と、前記本体部材に取り付けられた円筒形状のケースと、前記ケースの内側に配置されるマグネットローターと、を有し、前記ステーターユニットが、前記ケースの外側に配置されるステーターを有し、前記ステーターユニットが、前記弁本体アセンブリに取り付けられ、前記本体部材の外周面には、雄ねじが設けられ、前記雄ねじが、前記ナット部材の内周面に設けられた雌ねじと螺合され、前記雄ねじの軸線方向の長さが、前記雌ねじの軸線方向の長さより大きい、ことを特徴とする。
【0008】
本発明において、前記雄ねじが、前記ナット部材の前記雌ねじおよび流路ブロックの取付穴の内周面に設けられた雌ねじと螺合され、前記ナット部材が、前記本体部材が前記流路ブロックに固定されるように締め付けられる、ことが好ましい。
【0009】
本発明において、前記本体部材の外周面には、前記雄ねじの軸線方向に延びる保持溝が設けられ、前記ステーターユニットが、前記雄ねじの軸線方向に延びる取付板を有し、前記保持溝が、前記雄ねじの少なくとも一部を横切り、前記取付板が、前記保持溝に配置され、前記保持溝の底面および前記取付板における前記底面と向かい合う面の一方には、突起部が設けられ、他方には、前記突起部と係合する凹部または孔である突起受け部が設けられる、ことが好ましい。
【0010】
本発明において、前記取付板が、前記ナット部材の内側に配置され、前記保持溝の深さが、前記取付板の厚さと前記突起部の突出量との合計値より小さい、ことが好ましい。
【0011】
本発明において、前記電動弁には、前記マグネットローターの開弁位置に係る情報が記録されている、ことが好ましい。
【0012】
本発明において、前記電動弁が、前記マグネットローターの回転を制御する制御装置を有し、前記情報が、前記制御装置に格納されている、ことが好ましい。
【0013】
本発明において、前記電動弁が、前記弁本体アセンブリの外面または前記ステーターユニットの外面に貼付されるラベルを有し、前記情報が、前記ラベルに記録されている、ことが好ましい。
【0014】
上記目的を達成するために、本発明の他の一態様に係る電動弁装置は、前記電動弁と、前記流路ブロックと、を有する。
【0015】
上記目的を達成するために、本発明の他の一態様に係る電動弁装置の組立方法は、電動弁と流路ブロックとを有する電動弁装置の組立方法であって、前記電動弁が、弁本体アセンブリと、ステーターユニットと、少なくとも1つのナット部材と、を有し、前記弁本体アセンブリが、本体部材と、前記本体部材に取り付けられた円筒形状のケースと、前記ケースの内側に配置されるマグネットローターと、を有し、前記ステーターユニットが、前記ケースの外側に配置されるステーターを有し、(1)前記ステーターユニットを前記弁本体アセンブリに取り付け、(2)前記本体部材の外周面に設けられた雄ねじを前記ナット部材の内周面に設けられた雌ねじに螺合し、(3)前記雄ねじを前記流路ブロックの取付穴の内周面に設けられた雌ねじに螺合し、(4)前記本体部材が前記流路ブロックに固定されるように前記ナット部材を締め付ける、ことを特徴とする。
【発明の効果】
【0016】
電動弁が、弁本体アセンブリと、ステーターユニットと、少なくとも1つのナット部材と、を有する。ステーターユニットが、弁本体アセンブリに取り付けられる。弁本体アセンブリの本体部材の外周面に設けられた雄ねじが、ナット部材の内周面に設けられた雌ねじと螺合される。雄ねじの軸線方向の長さが、雌ねじの軸線方向の長さより大きい。このようにしたことから、ナット部材の雌ねじが螺合された本体部材の雄ねじの一部を、流路ブロックに設けられた雌ねじに螺合することができる。これにより、電動弁を雄ねじの軸線周りの任意の位置に位置付けてナット部材を締め付けることで、電動弁を流路ブロックに固定することができる。そのため、複数種類のシステムにおいて電動弁を共通して用いることができる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
【
図1】本発明の一実施例に係る電動弁装置の断面図である。
【
図2】
図1の電動弁装置が有する電動弁の平面図である。
【
図3】
図2の電動弁が有する弁本体アセンブリの断面図である。
【
図4】
図2の電動弁が有するステーターユニットの断面図である。
【
図5】
図4のステーターユニットが有するブラケットを示す図である。
【
図8】
図1の電動弁装置の組立方法を説明する図である(ステーターユニットを弁本体アセンブリに取り付ける工程)。
【
図9】
図1の電動弁装置の組立方法を説明する図である(本体部材の雄ねじをナット部材の雌ねじに螺合する工程)。
【
図10】
図1の電動弁装置の組立方法を説明する図である(本体部材の雄ねじを流路ブロックの雌ねじに螺合する工程)。
【
図11】
図1の電動弁装置の組立方法を説明する図である(ナット部材を締め付ける工程)。
【
図12】
図1の電動弁装置の変形例の構成を示す断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0018】
以下、本発明の一実施例に係る電動弁装置について、
図1~
図12を参照して説明する。電動弁装置は、例えば、車両に搭載されたエアコンシステム、または、屋内に設置されたエアコンシステムに組み込まれる。
【0019】
図1は、本発明の一実施例に係る電動弁装置の断面図である。
図2は、
図1の電動弁装置が有する電動弁の平面図である。
図3は、
図2の電動弁が有する弁本体アセンブリの断面図である。
図4は、
図2の電動弁が有するステーターユニットの断面図である。
図5は、
図4のステーターユニットが有するブラケットを示す図である。
図5Aは、ブラケットの斜視図である。
図5Bは、ブラケットの他の斜視図である。
図6は、
図1のVI-VI線に沿う断面図である。
図7は、
図6の一部(弁本体アセンブリの保持溝およびその近傍)を拡大した断面図である。
図8~
図11は、
図1の電動弁装置の組立方法を説明する図である。
図8は、ステーターユニットを弁本体アセンブリに取り付ける工程を示す。
図9は、弁本体アセンブリの本体部材の雄ねじをナット部材の雌ねじに螺合する工程を示す。
図10は、本体部材の雄ねじを流路ブロックの雌ねじに螺合する工程を示す。
図11は、ナット部材を締め付ける工程を示す。
図12は、
図1の電動弁装置の変形例の構成を示す断面図である。
図1、
図3、
図8~
図12では、弁体を正面から見た状態で示している。
【0020】
図1に示すように、電動弁装置1は、流路ブロック2と、電動弁3と、を有している。
【0021】
流路ブロック2は、例えば、アルミニウム合金製であり、直方体形状を有している。流路ブロック2は、円形の取付穴201を有している。取付穴201は、流路ブロック2の上面2dに配置されている。上面2dは、流路ブロック2の外面である。取付穴201は、上方から下方に向かうにしたがって内径が段階的に小さくなる。取付穴201の内周面には、雌ねじ201eが設けられている。流路ブロック2は、
図1において、取付穴201からに左方に延びる第1流路205と、取付穴201から下方に延びる第2流路206と、を有している。
【0022】
図1、
図2に示すように、電動弁3は、弁本体アセンブリ5と、ステーターユニット6と、ナット部材7と、を有している。
【0023】
図3に示すように、弁本体アセンブリ5は、本体部材10と、キャン20と、駆動機構30と、弁体40と、を有している。
【0024】
本体部材10は、例えば、アルミニウム合金製である。本体部材10は、第1部分11と、第2部分12と、を有している。
【0025】
第1部分11は、円筒形状を有している。第1部分11は、上部11aと、中部11bと、下部11cと、を一体的に有している。上部11aの外径は、中部11bの外径より大きい。中部11bの外径は、下部11cの外径より大きい。
【0026】
第1部分11は、雄ねじ11eを有している。雄ねじ11eは、上部11aの外周面に配置されている。雄ねじ11eは流路ブロック2の雌ねじ201eに螺合される。第1部分11は流路ブロック2の取付穴201に配置される。上部11aは、流路ブロック2の上面2dから突出している。
【0027】
第1部分11は、保持溝14を有している。保持溝14は、上下方向(軸線L方向)に延在している。保持溝14は、上部11aの外周面に配置されており、雄ねじ11eを上下方向に横切っている。保持溝14の上端は上方に開いており、保持溝14の下端は下方に開いている。または、保持溝14が、雄ねじ11eの一部を横切るものであってもよい。この場合、保持溝14の上端が上方に開いている。第1部分11は、凹部14cを有している。凹部14cは、保持溝14の底面14aに配置されている。凹部14cは、突起受け部である。
【0028】
第1部分11は、弁室15と、弁口16と、弁座17と、接続流路18と、を有している。弁室15は、中部11bおよび下部11cの内側に配置されている。弁口16は、弁室15に開口している。弁座17は、内向きの環状テーパー面である。弁座17は、弁室15において弁口16を囲んでいる。接続流路18は、弁室15と取付穴201とを接続する。弁室15は、接続流路18および取付穴201を介して第1流路205と接続されている。弁室15は、弁口16を介して第2流路206と接続されている。なお、第1部分11に代えて、流路ブロック2が弁室を有していてもよい。
【0029】
第2部分12は、円筒形状を有している。第2部分12の下部は、第1部分11の上部11aの内側に配置されている。第2部分12の上部は、第1部分11の上面11dから突出している。第2部分12は、ねじ構造により第1部分11に取り付けられている。第2部分12の上端には、円環板形状の接続部材13の内周縁が接合されている。本実施例において、第1部分11と第2部分12とは別個の部品であるが、本体部材10が第1部分11と第2部分12とが一体的に形成された1つの部品であってもよい。
【0030】
キャン20は、例えば、ステンレス鋼製である。キャン20は、下端が開口しかつ上端が塞がれた円筒形状を有している。キャン20の下端は、接続部材13の外周縁に接合されている。キャン20は、接続部材13を介して本体部材10に取り付けられている。キャン20は、本体部材10に直接的に取り付けられていてもよい。キャン20は、ケースである。
【0031】
駆動機構30は、弁体40を上下方向に移動させる。駆動機構30は、マグネットローター31と、弁軸ホルダー32と、ガイドブッシュ33と、を有している。
【0032】
マグネットローター31は、円筒形状を有している。マグネットローター31は、キャン20の内側に配置されている。マグネットローター31の外径は、キャン20の内径より若干小さい。マグネットローター31の外周面には、複数のN極および複数のS極が設けられている。複数のN極および複数のS極は、上下方向に延在している。複数のN極および複数のS極は、周方向に等間隔でかつ交互に配置されている。本実施例において、マグネットローター31は、N極を12個、S極を12個有している。
【0033】
弁軸ホルダー32は、上端が塞がれた円筒形状を有している。弁軸ホルダー32の上端には支持リング35が固定されている。支持リング35を介して、マグネットローター31と弁軸ホルダー32とが結合されている。弁軸ホルダー32の内周面には、雌ねじ32cが設けられている。弁軸ホルダー32には、可動ストッパ37が取り付けられている。
【0034】
ガイドブッシュ33は、基部33aと、支持部33bと、を一体的に有している。基部33aおよび支持部33bは、円筒形状を有している。支持部33bの外径は、基部33aの外径より小さい。支持部33bは、基部33aの上端に同軸に接続されている。支持部33bの外周面には、雄ねじ33cが設けられている。雄ねじ33cは、弁軸ホルダー32の雌ねじ32cと螺合される。基部33aは、本体部材10の第2部分12の上部に圧入されている。ガイドブッシュ33は、本体部材10と結合されている。基部33aには、固定ストッパ38が取り付けられている。
【0035】
弁体40は、第1軸部41と、第2軸部42と、弁部43と、を一体的に有している。第1軸部41および第2軸部42は、円柱形状を有している。第2軸部42の外径は、第1軸部41の外径より小さい。第2軸部42は、第1軸部41の上端に同軸に接続されている。第2軸部42は、弁軸ホルダー32の上壁部32aを貫通している。第2軸部42には、抜け止め用のプッシュナット45が取り付けられている。第1軸部41は、ガイドブッシュ33の内側および第2部分12の内側に配置されている。第1軸部41は、ガイドブッシュ33に上下方向に移動可能に支持されている。第1軸部41の下端は、弁室15に配置されている。弁部43は、上方から下方に向かうにしたがって外径が小さくなる複数のテーパー部が同軸に接続された形状を有している。弁部43は、第1軸部41の下端に同軸に接続されている。弁部43は、弁室15に配置されている。弁部43は、弁口16(弁座17)と上下方向に向かい合っている。第1軸部41と第2軸部42との間に、段部44が設けられている。段部44は、上方を向く円環状の平面である。弁軸ホルダー32の上壁部32aと段部44との間には、閉弁ばね36が配置されている。閉弁ばね36は、圧縮コイルばねである。閉弁ばね36は、弁体40を下方に向けて押している。弁体40は、駆動機構30によって上下方向に移動される。弁体40の移動によって弁口16が開閉される。
【0036】
弁本体アセンブリ5において、マグネットローター31が閉弁方向に回転すると、弁軸ホルダー32の雌ねじ32cとガイドブッシュ33の雄ねじ33cとのねじ送り作用によってマグネットローター31および弁軸ホルダー32が下方に移動する。弁軸ホルダー32が、閉弁ばね36を介して弁体40を下方に押す。弁体40が下方に移動して弁体40が弁座17に接する。このときのマグネットローター31の位置は、閉弁位置Rcである。この状態からマグネットローター31が閉弁方向にさらに回転すると、閉弁ばね36が圧縮されてマグネットローター31および弁軸ホルダー32がさらに下方に移動する。弁体40は下方に移動しない。そして、可動ストッパ37が固定ストッパ38に接すると、マグネットローター31の閉弁方向への回転が規制される。このときのマグネットローター31の位置は、基準位置Rxである。
【0037】
弁本体アセンブリ5において、マグネットローター31が開弁方向に回転すると、弁軸ホルダー32の雌ねじ32cとガイドブッシュ33の雄ねじ33cとのねじ送り作用によってマグネットローター31および弁軸ホルダー32が上方に移動する。弁軸ホルダー32が、プッシュナット45を上方に押す。弁体40が上方に移動して弁体40が弁座17から離れる。弁体40が弁座17から離れ、弁口16を流れる冷媒の流量があらかじめ定められた設定値となるマグネットローター31の位置を開弁位置Roとする。なお、開弁位置Roは、閉弁位置Rcと同じであってもよい。マグネットローター31が開弁方向にさらに回転すると、マグネットローター31が全開位置Rzに到達する。マグネットローター31が全開位置Rzにあるとき、弁体40が弁口16から最も離れ、弁口16が最大開度になる。
【0038】
図4に示すように、ステーターユニット6は、ステーター60と、ハウジング70と、ブラケット80と、制御装置85と、を有している。
【0039】
ステーター60は、円筒形状を有している。ステーター60は、A相ステーター61と、B相ステーター62と、合成樹脂製のモールド63と、を有している。
【0040】
A相ステーター61は、内周に複数のクローポール型の極歯61a、61bを有している。極歯61aの先端は下方に向いており、極歯61bの先端は上方に向いている。極歯61aと極歯61bとは、周方向に等角度間隔で交互に配置されている。本実施例において、A相ステーター61は、極歯61aを12個有し、極歯61bを12個有している。互いに隣り合う極歯61aと極歯61bとの間の角度は、15度である。A相ステーター61のコイル61cが通電されると、極歯61aと極歯61bとは互いに異なる極性となる。
【0041】
B相ステーター62は、内周に複数のクローポール型の極歯62a、62bを有している。極歯62aの先端は下方に向いており、極歯62bの先端は上方に向いている。極歯62aと極歯62bとは、周方向に等角度間隔で交互に配置されている。本実施例において、B相ステーター62は、極歯62aを12個有し、極歯62bを12個有している。互いに隣り合う極歯62aと極歯62bとの間の角度は、15度である。B相ステーター62のコイル62cが通電されると、極歯62aと極歯62bとは互いに異なる極性となる。
【0042】
A相ステーター61とB相ステーター62とは、同軸に配置されている。A相ステーター61とB相ステーター62とは、互いに接している。軸線L方向から見たときに互いに隣り合うA相ステーター61の極歯61aとB相ステーター62の極歯62aとの間の角度は、7.5度である。
【0043】
モールド63は、A相ステーター61およびB相ステーター62の内側に充填されている。また、モールド63は、極歯61a、61bおよび極歯62a、62bとともにステーター内周面60aを構成している。ステーター内周面60aの径は、キャン20の外周面の径と同じ(実質的に同じを含む)である。モールド63は、端子支持部64を有している。
【0044】
端子支持部64は、A相ステーター61およびB相ステーター62から横方向(軸線Lと直交する方向)に延びている。端子支持部64は、複数の端子65を支持している。複数の端子65は、端子支持部64の先端から横方向に突出している。複数の端子65は、A相ステーター61のコイル61cおよびB相ステーター62のコイル62cと接続されている。
【0045】
ステーター60は、キャン20の外側に配置される。ステーター60は、キャン20の内側に配置されたマグネットローター31とともにステッピングモーター66を構成する。
【0046】
ハウジング70は、合成樹脂製である。ハウジング70は、ステーター60と制御装置85とを収容している。ハウジング70は、周壁部71と、上壁部72と、コネクタ73と、を一体的に有している。
【0047】
周壁部71は、円筒形状を有している。周壁部71には、ステーター60が埋め込まれている。周壁部71の内周面71aの径は、ステーター内周面60aの径と同じである。内周面71aは、ステーター内周面60aに段差なく連なっている。上壁部72は、ドーム形状を有している。上壁部72は、周壁部71の上端に接続されている。コネクタ73は、ハウジング70の上部に配置されている。コネクタ73は、横方向を向いている。周壁部71の内周面71a、上壁部72の内面72aおよびステーター内周面60aは、ステーターユニット6の内側空間74を形成している。内側空間74にはキャン20が配置される。
【0048】
ハウジング70は、基板空間75を有している。基板空間75は、内側空間74と隣り合っている。内側空間74と基板空間75との間に隔壁76が配置されている。隔壁76は、内側空間74と基板空間75とを区画している。ハウジング70は、基板空間75に通じる開口70aを有しており、開口70aは蓋部材77によって塞がれている。
【0049】
ブラケット80は、金属製である。
図5に示すように、ブラケット80は、ブラケット本体81と、取付板82と、を一体的に有している。ブラケット本体81は、円環板形状を有している。ブラケット本体81は、周壁部71の下端に固定されている。取付板82は、矩形板形状を有している。取付板82は、ブラケット本体81の内周縁に連設され、下方に延びている。取付板82は、本体部材10に向かって延びている。ブラケット80は、プレス加工によって、ブラケット本体81および取付板82の形状に金属板を打ち抜き、ブラケット本体81の中心軸(軸線L)に沿うように取付板82を折り曲げて形成される。ブラケット80は、ステーター60に溶接されていてもよい。
【0050】
取付板82は、保持溝14に配置される。取付板82の幅は、本体部材10の保持溝14の幅と同じ(実質的に同じを含む)である。取付板82の幅は保持溝14の幅より小さくてもよい。取付板82の幅と保持溝14の幅との差によって生じる本体部材10とハウジング70との軸線L周りのずれ角が、ステッピングモーター66のステップ角より小さいことが好ましい。取付板82は、上下方向に延びている。取付板82は、保持溝14の上端側の開口を通り、保持溝14に挿入される。
【0051】
取付板82は、凸部82cを有している。凸部82cは、取付板82の内側面82a(
図4において左方を向く面)に配置されている。内側面82aは、取付板82が保持溝14に配置されたときに底面14aと向かい合う面である。内側面82aは、底面14aに接する。凸部82cは、突起部である。
【0052】
図6、
図7に示すように、凸部82cは、保持溝14内の凹部14cに嵌まっている。凸部82cが凹部14cに嵌まることで、凹部14cと凸部82cとが互いに引っかかり(すなわち、係合し)、取付板82が保持溝14内で上下方向に移動することが規制される。これにより、ハウジング70(ステーターユニット6)が本体部材10に固定される。
【0053】
制御装置85は、ハウジング70の基板空間75に配置されている。制御装置85は、メイン基板90と、サブ基板100と、磁気センサー110と、マイクロコンピューター120と、を有している。
【0054】
メイン基板90は、電子部品が実装されるプリント基板である。メイン基板90は、基板空間75に収容されている。メイン基板90は、上下方向に平行に配置されている。メイン基板90には、マイクロコンピューター120が実装されている。メイン基板90には、ステーター60の複数の端子65が接続されている。
【0055】
サブ基板100は、電子部品が実装されるプリント基板である。サブ基板100は、基板空間75に収容されている。サブ基板100は、メイン基板90に対して直角に配置されている。サブ基板100の第1端部100aは、メイン基板90の近傍に配置されている。サブ基板100の第2端部100bは、隔壁76の近傍に配置されている。サブ基板100は、基板間コネクタを介してメイン基板90に接続されている。
【0056】
磁気センサー110は、例えば、ホールICである。磁気センサー110は、サブ基板100の第2端部100bに配置されている。磁気センサー110は、キャン20および隔壁76を介してマグネットローター31と横方向に並ぶ。磁気センサー110は、マグネットローター31が生じる磁界の向きに応じた信号を出力する。
【0057】
マイクロコンピューター120は、例えば、中央演算装置、不揮発性メモリ、作業用メモリ、通信モジュール、モータードライバなどを1つのパッケージに集積した組み込み機器用のマイクロコンピューターである。マイクロコンピューター120は、電動弁3の制御を司る。なお、不揮発性メモリ、作業用メモリ、通信モジュールおよびモータードライバは、マイクロコンピューター120に外部接続される個別の電子部品であってもよい。
【0058】
制御装置85は、電動弁装置1が組み込まれるエアコンシステム(図示なし)の制御ユニットと通信可能に接続される。制御装置85は、制御ユニットから送信される命令に応じてステッピングモーター66(すなわちマグネットローター31の回転)を制御する。制御装置85(例えば、マイクロコンピューター120の不揮発性メモリ)には、開弁点情報Jが格納されている。開弁点情報Jは、マグネットローター31を基準位置Rxから開弁位置Roまで回転させるためにステッピングモーター66に入力されるパルスの数(開弁点)を示す情報である。開弁点は、電動弁3における動作特性に係るパラメータであり、部品精度や組立精度によって変動することがある。開弁点は電動弁3の工場出荷時に測定され、開弁点情報Jとして不揮発性メモリに格納される。開弁点情報Jは、マグネットローター31の開弁位置Roに係る情報である。制御装置85は、例えば、電動弁3の初期化動作において、開弁点情報Jを用いてマグネットローター31を開弁位置Roに位置付ける。なお、電動弁3において、閉弁位置Rcを開弁位置Roとしてもよい。
【0059】
ナット部材7は、外形が六角形状の環状部材である。ナット部材7の内周面には、雌ねじ7eが設けられている。雌ねじ7eには、本体部材10の雄ねじ11eが螺合される。ナット部材7と本体部材10の保持溝14とは、空間25を形成する。空間25には、取付板82が配置されている。雌ねじ7eと雄ねじ11eとが螺合されたとき、ナット部材7は取付板82と横方向に並ぶ。換言すると、取付板82は、ナット部材7の内側に配置されている。なお、ナット部材7の外形は、六角形状に限定されない。ナット部材7の外形は、四角形状または八角形状等の多角形状でもよい。または、ナット部材7は、工具に係合する形状(例えば、溝や突起)を有していてもよい。ナット部材7は、工具によって回転させることが可能な形状を有していればよい。
【0060】
本実施例において、保持溝14の深さをDとし、取付板82の厚さをT1とし、凸部82cの突出量をT2としたとき、深さDが、厚さT1と突出量T2との合計値Tより小さい(D<T、T=T1+T2)。深さDは、第1部分11の外周面(雄ねじ11eの谷底)と保持溝14の底面14aとの間の距離である。突出量T2は、内側面82aと凸部82cにおける内側面82aから最も離れた箇所との間の距離である。このようにすることで、取付板82に保持溝14から上方に引き抜く力が加わったとき、取付板82がナット部材7に接して取付板82の弾性変形が規制され、凸部82cと凹部14cとの係合解除が抑制される。
【0061】
本体部材10の雄ねじ11eの軸線方向(軸線L方向)の長さK1は、ナット部材7の雌ねじ7eの軸線方向(軸線L方向)の長さK2より大きい(
図9)。具体的には、長さK1は、雄ねじ11eを流路ブロック2の雌ねじ201eに螺合してナット部材7を締め付けたときに本体部材10が流路ブロック2に固定されるために必要なねじ山の数(例えば、5~10)分以上長さK2より大きい。本実施例において、長さK1は、好ましくは長さK2の1.5~5倍であり、より好ましくは、2~3倍である。長さK1が大きいと、雄ねじ11eと流路ブロック2の雌ねじ201eとの螺合量を確保でき、長さK1が小さいと、流路ブロック2および電動弁3を小型化できる。なお、複数のナット部材7を有する構成では、長さK2は、各ナット部材7の雌ねじ7eの軸線方向の長さの合計値である。
【0062】
本実施例において、電動弁3は1つのナット部材7を有しているが、
図12に示すように、電動弁3は複数のナット部材7を有していてもよい。
【0063】
電動弁装置1において、取付穴201(雌ねじ201e)、本体部材10(第1部分11、雄ねじ11e、第2部分12、弁口16、弁座17)、キャン20、マグネットローター31、弁軸ホルダー32、ガイドブッシュ33、弁体40、ステーター60(A相ステーター61、B相ステーター62)、ナット部材7(雌ねじ7e)は、それぞれの中心軸が軸線Lに一致する。
【0064】
次に、電動弁装置1の組立方法の一例について、
図8~
図11を参照して説明する。
【0065】
弁本体アセンブリ5およびステーターユニット6を作製する。そして、ステーターユニット6を弁本体アセンブリ5に取り付ける。具体的には、ステーターユニット6の内側空間74に弁本体アセンブリ5のキャン20を挿入し、ハウジング70の取付板82を本体部材10の保持溝14に挿入する。取付板82の保持溝14への挿入を進めると、取付板82の凸部82cが保持溝14の底面14aに乗り上げて取付板82が湾曲するように弾性変形する(
図8)。そして、挿入をさらに進めると取付板82が復元して、凸部82cが保持溝14内の凹部14cに嵌まる。これにより、凹部14cと凸部82cとが互いに引っかかり、保持溝14内で取付板82が上下方向に移動することが規制される。また、保持溝14の幅と取付板82の幅とが同じであるので、取付板82が本体部材10に対して軸線L周りに回転することが規制される。これにより、ステーターユニット6が弁本体アセンブリ5に固定される。
【0066】
次に、本体部材10の雄ねじ11eをナット部材7の雌ねじ7eに螺合する(
図9、
図10)。そして、本体部材10を流路ブロック2の取付穴201に挿入するとともに、本体部材10の雄ねじ11eを流路ブロック2の雌ねじ201eに螺合する(
図10、
図11)。電動弁3における軸線L周りの位置を調整して、ステーターユニット6のコネクタ73を所望の向きに向ける。ナット部材7が流路ブロック2の上面2dに接するまで当該ナット部材7を回転させる。ナット部材7が上面2dに接した後、ナット部材7に回転方向に力を加えてナット部材7を締め付ける。これにより、本体部材10(電動弁3)が流路ブロック2に固定され、電動弁装置1が完成する。
【0067】
本実施例の電動弁装置1は、流路ブロック2と、電動弁3とを有する。電動弁3が、弁本体アセンブリ5と、ステーターユニット6と、ナット部材7と、を有する。弁本体アセンブリ5が、本体部材10と、本体部材10に取り付けられたキャン20と、キャン20の内側に配置されるマグネットローター31と、を有する。ステーターユニット6が、キャン20の外側に配置されるステーター60を有する。ステーターユニット6が、弁本体アセンブリ5に取り付けられる。本体部材10の外周面には、雄ねじ11eが設けられる。雄ねじ11eが、ナット部材7の雌ねじ7eおよび流路ブロック2の雌ねじ201eと螺合される。雄ねじ11eの軸線L方向の長さK1が、雌ねじ7eの軸線L方向の長さK2より大きい。ナット部材7が、本体部材10が流路ブロック2に固定されるように締め付けられる。
【0068】
このようにしたことから、ナット部材7の雌ねじ7eが螺合された本体部材10の雄ねじ11eの一部を、流路ブロック2に設けられた雌ねじ201eに螺合することができる。これにより、電動弁3を軸線L周りの任意の位置に位置付けてナット部材7を締め付けることで、電動弁3を流路ブロック2に固定することができる。そのため、複数種類のシステムにおいて電動弁3を共通して用いることができる。
【0069】
また、ステーターユニット6が弁本体アセンブリ5に取り付けられるので、工場出荷時に弁本体アセンブリ5とステーターユニット6との組み合わせが確定する。そのため、電動弁3における部品精度や組立精度によって変動する動作特性(開弁点)を工場出荷時に測定して、当該動作特性に係る情報(開弁点情報J)を記録した電動弁3を出荷することができる。
【0070】
また、本体部材10の外周面には、軸線L方向に延びる保持溝14が設けられる。ステーターユニット6が、軸線L方向に延びる取付板82を有する。保持溝14が、雄ねじ11eを横切る。取付板82が、保持溝14に配置される。取付板82の内側面82aには、凸部82cが設けられる。保持溝14の底面14aには、凸部82cと係合する凹部14cが設けられる。このようにすることで、ステーターユニット6を比較的簡易な構造で弁本体アセンブリ5に取り付けることができる。なお、保持溝14の底面14aに凸部が設けられ、取付板82に、当該凸部と係合する凹部または孔が設けられていてもよい。
【0071】
また、取付板82が、ナット部材7の内側に配置される。保持溝14の深さDが、取付板82の厚さT1と凸部82cの突出量T2との合計値Tより小さい。このようにすることで、取付板82が保持溝14とナット部材7とで形成される空間25に配置され、取付板82の弾性変形が規制されて、凸部82cと凹部14cとの係合解除を抑制できる。そのため、ステーターユニット6が弁本体アセンブリ5から外れてしまうことを抑制できる。
【0072】
電動弁3が、マグネットローター31の回転を制御する制御装置85を有する。開弁点情報Jが、制御装置85に格納されている。このようにすることで、電動弁3において冷媒の流量を高精度で制御できる。
【0073】
なお、電動弁3は、制御装置85を省略して、エアコンシステムの制御ユニットによって直接的に制御されてもよい。この場合。電動弁3が、弁本体アセンブリ5の外面またはステーターユニット6の外面に貼付されるラベルを有し、開弁点情報Jがラベルに記録されることが好ましい。開弁点情報Jは、例えば、バーコードや二次元コードなどの読取装置によって読み出し可能な形式で記録される。読取装置で読み取った開弁点情報Jを制御ユニットで用いることにより、電動弁3において冷媒の流量を高精度で制御できる。
【0074】
上述した実施例は、電動弁3が流路ブロック2に取り付けられる構成を有しているが、この構成に限定されるものではない。例えば、電動弁3は、流路ブロック2以外の構造物(例えば、エアコンシステムのフレーム)に取り付けられていてもよい。この場合、電動弁3の本体部材10の雄ねじ11eは、構造物の取付穴の内周面に設けられた雌ねじに螺合され、本体部材10が構造物に固定されるようにナット部材7が締め付けられる。
【0075】
本明細書において、「円筒」や「直方体」等の形状を示す各用語は、実質的にその用語の形状を有する部材や部材の部分にも用いられている。例えば、「円筒形状の部材」は、円筒形状の部材と実質的に円筒形状の部材とを含む。
【0076】
上記に本発明の実施例を説明したが、本発明は実施例の構成に限定されるものではない。前述の実施例に対して、当業者が適宜、構成要素の追加、削除、設計変更を行ったものや、実施例の特徴を適宜組み合わせたものも、本発明の趣旨に反しない限り、本発明の範囲に含まれる。
【符号の説明】
【0077】
1…電動弁装置、2…流路ブロック、2d…上面、201…取付穴、201e…雌ねじ、205…第1流路、206…第2流路、3…電動弁、5…弁本体アセンブリ、10…本体部材、11…第1部分、11a…上部、11b…中部、11c…下部、11d…上面、11e…雄ねじ、12…第2部分、13…接続部材、14…保持溝、14a…底面、14c…凹部、15…弁室、16…弁口、17…弁座、18…接続流路、20…キャン、25…空間、30…駆動機構、31…マグネットローター、32…弁軸ホルダー、32a…上壁部、32c…雌ねじ、33…ガイドブッシュ、33a…基部、33b…支持部、33c…雄ねじ、35…支持リング、36…閉弁ばね、37…可動ストッパ、38…固定ストッパ、40…弁体、41…第1軸部、42…第2軸部、43…弁部、44…段部、45…プッシュナット、6…ステーターユニット、60…ステーター、60a…ステーター内周面、61…A相ステーター、61a…極歯、61b…極歯、61c…コイル、62…B相ステーター、62a…極歯、62b…極歯、62c…コイル、63…モールド、64…端子支持部、65…端子、66…ステッピングモーター、70…ハウジング、70a…開口、71…周壁部、71a…内周面、72…上壁部、72a…内面、73…コネクタ、74…内側空間、75…基板空間、76…隔壁、77…蓋部材、80…ブラケット、81…ブラケット本体、82…取付板、82a…内側面、82c…凸部、85…制御装置、90…メイン基板、100…サブ基板、100a…第1端部、100b…第2端部、110…磁気センサー、120…マイクロコンピューター、7…ナット部材、7e…雌ねじ、J…開弁点情報、K1…長さ、K2…長さ、L…軸線、Rc…閉弁位置、Ro…開弁位置、Rx…基準位置、Rz…全開位置、T…合計値、T1…厚さ、T2…突出量