(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024167259
(43)【公開日】2024-12-03
(54)【発明の名称】クリーニングインジケータおよびその使用方法
(51)【国際特許分類】
B08B 3/02 20060101AFI20241126BHJP
A61B 90/70 20160101ALI20241126BHJP
A61B 1/12 20060101ALI20241126BHJP
A61B 1/00 20060101ALI20241126BHJP
【FI】
B08B3/02 D
A61B90/70
A61B1/12 510
A61B1/00 650
【審査請求】有
【請求項の数】20
【出願形態】OL
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2024138528
(22)【出願日】2024-08-20
(62)【分割の表示】P 2021559464の分割
【原出願日】2020-03-19
(31)【優先権主張番号】62/822,179
(32)【優先日】2019-03-22
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
【公序良俗違反の表示】
(特許庁注:以下のものは登録商標)
1.QRコード
2.パイレックス
(71)【出願人】
【識別番号】521437806
【氏名又は名称】アドバンスト・ステリライゼーション・プロダクツ・インコーポレイテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100101890
【弁理士】
【氏名又は名称】押野 宏
(74)【代理人】
【識別番号】100098268
【弁理士】
【氏名又は名称】永田 豊
(72)【発明者】
【氏名】モリソン・トッド
(57)【要約】 (修正有)
【課題】洗浄機でクリーニングされる物品が、実際に、洗浄機の動作後に必要な程度まで清浄であるかどうかを判定するための方法を提供する。
【解決手段】洗浄機システムにおいて物品を洗浄するためのプロセスを監視するのを支援するために問い合わせられ得る画像を上に有する基板を含むクリーニングインジケータ。画像は印刷された画像とすることができ、印刷された画像は、洗浄プロセスによって除去されるテストソイルによって少なくとも部分的に覆われる。あるいは、テストソイルを基板上の画像へと形成してもよい。クリーニングインジケータは、洗浄プロセスの開始前に画像化され、適切な画像が観察された場合にのみ洗浄プロセスを進行させることができる。クリーニングインジケータは、洗浄プロセスの動作中に画像化することができ、清浄度の基準が満たされると、洗浄プロセスは自動的に終了され得る。
【選択図】
図1A
【特許請求の範囲】
【請求項1】
1つの物品のクリーニングを監視する方法であって、
I.前記物品と、少なくとも1つのクエリ画像を有する画像面を含む基板、および前記少なくとも1つのクエリ画像の少なくとも一部を覆う少なくとも1つのテストソイルを含むクリーニングインジケータとを、洗浄機システム内に配置するステップと、
II.洗浄サイクルを開始して、前記洗浄機システムを用いて前記物品を洗浄し、前記少なくとも1つのテストソイルの少なくとも一部を除去して、前記少なくとも1つのクエリ画像の少なくとも露出部分を露出するステップと、
III.撮像装置を使用して前記クリーニングインジケータを走査し、前記少なくとも1つのクエリ画像の前記露出部分を検出するステップと、
IV.前記少なくとも1つのクエリ画像の前記露出部分が前記少なくとも1つのクエリ画像に一致することを、プロセッサを用いて、判定するステップと、
V.前記物品を洗浄するのを止めるステップと、
を含む、方法。
【請求項2】
前記画像面は、前記少なくとも1つのクエリ画像を印刷するのにも使用されるインクから印刷されたブランク画像をさらに含む、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記少なくとも1つのクエリ画像の覆われていない部分は、いずれのテストソイルによっても覆われない、請求項1に記載の方法。
【請求項4】
ステップIIの前に前記ブランク画像の開始反射率または蛍光を測定するステップをさらに含み、前記判定するステップは、前記少なくとも1つのクエリ画像の前記露出部分が、前記開始反射率の95%以内の反射率または蛍光を提供することを判定するステップを含む、請求項2に記載の方法。
【請求項5】
ステップIIの前に前記覆われていない部分の開始反射率または蛍光を測定するステップをさらに含み、前記判定するステップは、前記少なくとも1つのクエリ画像の前記露出部分が、前記開始反射率の少なくとも90%以内の反射率または蛍光を提供することを判定するステップを含む、請求項3に記載の方法。
【請求項6】
前記クエリ画像は、前記洗浄サイクル中に周期的または連続的に走査される、請求項4に記載の方法。
【請求項7】
前記クエリ画像は、前記洗浄サイクル中に周期的または連続的に走査される、請求項5に記載の方法。
【請求項8】
前記ブランク画像が記憶されたブランク画像に対応しないことを判定するステップをさらに含む、請求項2に記載の方法。
【請求項9】
前記開始するステップを防止するステップをさらに含む、請求項8に記載の方法。
【請求項10】
1つの物品のクリーニングを監視する方法であって、
I.前記物品と、少なくとも1つのテストソイルから形成された少なくとも1つのクエリ画像を画像面に有する基板を含み、撮像装置によって問い合わせられる、覆われていない基板のブランク領域を有する、クリーニングインジケータとを、洗浄機システム内に配置するステップと、
II.洗浄サイクルを開始して、前記洗浄機システムを用いて前記物品を洗浄し、前記少なくとも1つのテストソイルの少なくとも一部を除去するステップと、
III.撮像装置を使用して前記クリーニングインジケータを走査して、前記少なくとも1つのクエリ画像の領域を画像化し、前記基板からの反射率または前記基板を通した透過率によって前記ブランク領域を画像化するステップと、
IV.前記テストソイルで覆われた前記クリーニングインジケータの部分からの反射率またはその部分を通した透過率を、前記基板の前記ブランク領域からの反射率または前記ブランク領域を通した透過率の量と、プロセッサで比較するステップと、
V.最初に前記テストソイルで覆われた前記基板の領域からの反射率またはその領域を通した透過率が前記ブランク領域からの反射率または前記ブランク領域を通した透過率の清浄基準内にある場合は、前記物品の洗浄を止めるステップと、
を含む、方法。
【請求項11】
1つの物品の洗浄を監視する方法であって、
洗浄機システム内に、前記物品および洗浄インジケータを配置するステップであって、前記洗浄インジケータは、テストソイルで覆われた第1部分を有するクエリ画像を有する基板を含む、配置するステップと、
前記クエリ画像の第1部分から前記テストソイルの少なくとも一部を除去するため洗浄サイクルを開始するステップと、
前記クエリ画像の第1部分および前記クエリ画像の第1部分とは異なる第2部分を測定し、
前記クエリ画像の第1部分および第2部分の測定に基づいて、清浄基準が満たされたか否かを判定するステップと、
前記清浄基準が満たされた場合には前記洗浄サイクルを停止するステップと、
を含む、方法。
【請求項12】
前記クエリ画像の第2部分が前記テストソイルによって覆われていない、請求項11に記載の方法。
【請求項13】
前記測定するステップが、前記クエリ画像の第1部分および第2部分の反射率、透過率、または蛍光を測定することを含む、請求項11に記載の方法。
【請求項14】
前記判定するステップが、前記清浄基準を満たすために、第1部分の測定値が第2部分の測定値の少なくとも90%であることを含む、請求項13に記載の方法。
【請求項15】
前記測定するステップが、前記クエリ画像の第2の部分が空白画像または前記クエリ画像の空白部分であることを含む、請求項11に記載の方法。
【請求項16】
前記測定するステップが、前記クエリ画像の第1の部分および第2の部分を撮像装置でスキャンすることを含む、請求項11に記載の方法。
【請求項17】
前記測定するステップが、前記クエリ画像の第1の部分および第2の部分を連続的にスキャンすることを含む、請求項11に記載の方法。
【請求項18】
前記測定するステップが、オペレータによる目視検査を含む、請求項11に記載の方法。
【請求項19】
前記洗浄サイクルを開始する前に、前記クエリ画像の空白画像をスキャンするステップをさらに含む、請求項11に記載の方法。
【請求項20】
前記空白画像が、保存された空白画像に対応すると判定された場合に、前記洗浄サイクルを開始するステップが実行される、請求項19に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【開示の内容】
【0001】
〔分野〕
本明細書に開示される主題は、内視鏡再処理システムなどの洗浄機でクリーニングされる物品が、実際に、洗浄機の動作後に必要な程度まで清浄であるかどうかを判定するために使用されるクリーニングインジケータに関する。
【0002】
〔背景〕
クリーニングプロセスの有効性を判定することが必要な場合がある。例えば、外科処置で使用される器具は、滅菌に供される前に、使用後にそれらの上に残る血液、便または他の体液のようなソイル(soils)を除去するためにクリーニングされなければならない。新しい器具であっても、製造中にそれらの表面に残った物質を除去するためにクリーニングが必要になることがある。本明細書で使用される「クリーニングプロセス」または「洗浄プロセス」は、手動または自動で動作され得る洗浄機内での物品の洗浄に関する。
【0003】
クリーニングプロセスの有効性は、クリーニングインジケータの使用によって検証することができ、このインジケータは、特定の化学作用または温度などの物理的条件に敏感な色変化化学物質などの活性剤と、活性剤を支持するためのキャリア基板(すなわち、支持システム)と、を含むものとすることができる。クリーニングプロセスの有効性は、活性剤の色の変化によって示され、この色の変化は、その後、クリーニングプロセスが完了した後でオペレータにより、例えば目視検査によって、評価される。代替的に、インジケータは、クリーニングプロセスによって基板から洗い流されやすいインクで印刷された画像を有する基板を含むことができ、クリーニングプロセスの有効性は、その除去の完全性を判定するために画像の目視観察によって評価される。
【0004】
〔開示の概要〕
本開示の一態様は、少なくとも1つのクエリ画像を有する画像側面を含む少なくとも1つの基板と、少なくとも1つのクエリ画像の少なくとも一部を覆う少なくとも1つのテストソイルと、を含むクリーニングインジケータに関する。代替的な実施形態では、クリーニングインジケータは、テストソイルから形成される少なくとも1つのクエリ画像を有する画像側面を含む少なくとも1つの基板を含むことができる。
【0005】
本開示のこの態様は、そのようなクリーニングインジケータを含み、クリーニングインジケータを包囲し、かつ画像側面に近接して配置されたさまざまな形状およびサイズの通路を含む、ホルダをさらに含む、物品を含む。
【0006】
本開示の別の態様は、物品のクリーニングを監視する方法に関し、この方法は:
i.物品と、少なくとも1つのクエリ画像を有する画像側面を含む少なくとも1つの基板、および少なくとも1つのクエリ画像の少なくとも一部を覆う少なくとも1つのテストソイルを含むクリーニングインジケータとを、洗浄機システム内に配置するステップと;
ii.洗浄サイクルを開始して、洗浄機システムを用いて物品を洗浄し、少なくとも1つのテストソイルの少なくとも一部を除去して、少なくとも1つのクエリ画像の少なくとも露出部分を露出するステップと;
iii.撮像装置を使用してクリーニングインジケータを走査し、少なくとも1つのクエリ画像の露出部分を検出するステップと;
iv.少なくとも1つのクエリ画像の露出部分が少なくとも1つのクエリ画像に一致することを、プロセッサを用いて、判定するステップと;
v.物品を洗浄するのを止めるステップと、を含む。
【0007】
本開示のこの態様のいくつかの実施形態は、ステップiiの前にブランク画像の開始反射率または蛍光を測定するステップをさらに含み得、判定するステップは、少なくとも1つのクエリ画像の露出部分が開始反射率の95%以内の反射率または蛍光を提供することを判定するステップを含む。
【0008】
本開示の別の態様は、洗浄機システムにおいて具体化され、洗浄機システムは、
洗浄される物品を保持するのに適したラックを収容するエンクロージャと;
物品を洗浄し、すすぐための洗浄サイクルを行うための流体処理システムと;
画像データを収集するための撮像装置と;
撮像装置に近接してエンクロージャ内に配置されたホルダであって、クリーニングインジケータの少なくとも一部が撮像装置から見えるようにクリーニングインジケータを収容するように構成されている、ホルダと;
基準形状データを含む非一時的記憶媒体と;
洗浄サイクルを起動するように構成された電子制御装置と;
画像データを基準形状データと比較し、洗浄サイクルを起動するために電子制御装置に信号を送るように構成されたプロセッサと、を含む。
【0009】
本開示のさらなる態様は、物品のクリーニングを監視する方法にあり、この方法は:
i.物品と、少なくとも1つのテストソイルから形成された少なくとも1つのクエリ画像を画像側面に有する基板を含み、撮像装置によって問い合わせられる、覆われていない基板のブランク領域を有する、クリーニングインジケータとを、洗浄機システム内に配置するステップと;
ii.洗浄サイクルを開始して、洗浄機システムを用いて物品を洗浄し、少なくとも1つのテストソイルの少なくとも一部を除去して、基板の少なくとも露出部分を露出するステップと;
iii.撮像装置を使用してクリーニングインジケータを走査して、少なくとも1つのクエリ画像の領域を画像化し、基板からの反射率または基板を通した透過率によってブランク領域を画像化するステップと;
iv.テストソイルで覆われたクリーニングインジケータの部分からの反射率またはその部分を通した透過率を、基板のブランク領域からの反射率またはブランク領域を通した透過率の量と、プロセッサで比較するステップと;
v.最初にテストソイルで覆われた基板の領域からの反射率またはその領域を通した透過率がブランク領域からの反射率またはブランク領域を通した透過率の清浄基準内にある場合は、物品を洗浄するのを止めるステップと、を含む。
【0010】
本明細書は、本明細書に記載された主題を特に指摘し、明確に主張し、よって本明細書に開示された発明を定義する、特許請求の範囲で締めくくられる。添付の図面は、単に例示的なものであり、全ての実施形態を説明するもの、または別様に特許請求の範囲により包含される発明を限定するものとみなされるべきではないが、開示される発明を理解するのを助けるために提供される。図面において、同様の参照番号は同じ要素を示す。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【
図1A】本開示によるクリーニングインジケータのさまざまな形態を示す。
【
図1B】本開示によるクリーニングインジケータのさまざまな形態を示す。
【
図1C】本開示によるクリーニングインジケータのさまざまな形態を示す。
【
図1D】本開示によるクリーニングインジケータのさまざまな形態を示す。
【
図1E】本開示によるクリーニングインジケータのさまざまな形態を示す。
【
図1F】本開示によるクリーニングインジケータのさまざまな形態を示す。
【
図2】正しいクリーニングインジケータが使用されていることを確認するための、記憶された画像として使用され得る図を示す。
【
図3】ブランク画像としての
図2の図およびクエリ画像としての第2の画像を含むクリーニングインジケータを示す。
【
図4】本明細書に開示されるようなプロセスを実行することができる洗浄機システムの実施形態を示す。
【
図5】本明細書に開示されるように実施される方法の実施形態の流れ図を示す。
【
図6】洗浄機システムで使用されるようにクリーニングインジケータを所定の位置に保持するために使用され得るホルダの実施形態を示す。
【
図7】クリーニングインジケータを保持し、内視鏡内腔を通る流れをシミュレートするための機能性を提供するために使用され得るホルダの別の実施形態を示す。
【
図8】
図7のホルダを保持するために使用され得る二次ホルダの実施形態を示す。
【0012】
〔発明を実施する態様〕
以下の詳細な説明は、異なる図面における同様の要素に同じ番号が付されている図面を参照して読むべきである。図面は必ずしも縮尺通りではなく、選択された実施形態を示しており、発明の範囲を限定することを意図していない。詳細な説明は、本発明の原理を、限定としてではなく、例として示す。この説明は、当業者が本発明を製造および使用することを明らかに可能にし、本発明を実施する最良の態様であると現在考えられているものを含む、本発明のいくつかの実施形態、改作、変形、代替および使用を説明する。
【0013】
本明細書で使用される場合、任意の数値または範囲に対する「約」または「およそ」という用語は、コンポーネントの一部または集合が、本明細書に記載されるような、その意図された目的のために機能することを可能にする、適切な寸法公差を示す。より具体的には、「約」または「およそ」は、列挙された値の±10%の値の範囲を指すことができ、例えば、「約90%」は、81%~99%の値の範囲を指すことができる。
【0014】
目下開示されているのは、洗浄機で行われるクリーニングプロセスの有効性を評価するために使用され得るクリーニングインジケータである。このようなクリーニングプロセスは、物品、例えば、外科的処置または他の医療処置に使用される器具または医療装置、から種々のソイルを除去することを意図したものであるが、別段の記載がない限り、洗浄される物品はそのように限定されない。いくつかの実施形態では、洗浄機は自動的に作動し;本開示に関連して、特定の自動動作は、洗浄処置(または「洗浄サイクル」)の終了および機械のロック解除に関するものであり得る。自動動作は、洗浄機のオペレータが「スタート」ボタンを手動で押した後に洗浄処置を開始し、さらに制御するものでもあり得る。
【0015】
典型的には、クリーニングインジケータは、手動で、すなわち、洗浄プロセスを実施する者によるインジケータの目視評価によって、検査されなければならず、クリーニングプロセスが有効であったことを確認するためのクリーニングプロセスの中断、および実施されたクリーニングプロセスの有効性の評価の主観性の問題が付随する。目下開示されているクリーニングインジケータは、このように使用され得るが、クリーニングインジケータを人が検査することなく、洗浄プロセスの有効性を自動的に検出することができるようにすることにより、既存のテクノロジーを向上させることもできる。よって、無効なクリーニングプロセスは無効であるとしてオペレータに示され得、プロセスは、それを有効にするために反復もしくは修正され得るか、またはクリーニングインジケータによって示されるように有効になった時点まで中断することなく継続され得る。クリーニングプロセスを継続することは、クリーニングプロセスの条件を修正することを含むことができる。
【0016】
既存のテクノロジーに対する別の改良点は、クリーニングインジケータを走査するための器具類を含むシステムにクリーニングインジケータを組み込むことに関し、クリーニングインジケータが本物であると器具類によって認識されるものでない場合、または使用されているクリーニングインジケータが間違ったタイプのものである(例えば、洗浄されている物品をクリーニングするために洗浄機にプログラムされたものとは異なるクリーニング条件を必要とする基板を有する)場合、オペレータはそのように通知を受けることができ、洗浄機の自動動作を停止もしくは防止することができ、または洗浄機をロックすることができる。
【0017】
一般に、クリーニングインジケータは、画像側面に少なくとも1つのクエリ画像を有する(または示す)基板と、基板の画像側面に堆積され、クエリ画像の少なくとも一部を覆う少なくとも1つのテストソイルと、を含むものとすることができる。
【0018】
このようなクリーニングインジケータは、クエリ画像が第1の画像部分および第2の画像部分を含むものとすることができ、第1の画像部分は第1のテストソイルによって覆われ、第2の画像部分は第1のテストソイルとは異なる第2のテストソイルによって覆われる。
【0019】
このようなクリーニングインジケータは、複数の基板をさらに含むものであってよく、各基板は、画像側面における少なくとも1つのクエリ画像と、基板の画像側面に堆積され、クエリ画像の少なくとも一部を覆う少なくとも1つのテストソイルと、を有する。
【0020】
「クエリ画像」は、クリーニングプロセスがクリーニングプロセスによってクリーニングされている物品からソイルを除去するのに有効であったかどうかを判定するために、洗浄プロセスを実施する者によって目視で、または洗浄機システムに含まれる装置によって、検査されるものである。クエリ画像は、バーコードもしくはQRコード、単純な幾何学的形状(円もしくは正多角形、例えば三角形もしくは正方形など)、またはランダムだが予め決められていて一貫して描かれた形状の形態にすることができる。クエリ画像は、「塗りつぶされ」得、すなわち、クエリ画像の輪郭内の領域が、好ましくは輪郭を印刷するために使用されるのと同じインクで、印刷されるか、または輪郭としてのみ提示され、どのインクによっても覆われない輪郭領域内の基板を有することができる。クエリ画像は、複数の凹部および凸部を含む形状を含むことができる。クエリ画像は、互いに接続されていない複数の形状を含むことができる。
【0021】
クエリ画像を基板上にエンボス加工して、基板にくぼみを残すことができる。
【0022】
いくつかの実施形態では、クエリ画像は、洗浄プロセスによって除去されることが意図されたソイル(「テストソイル」)によって完全に覆われ、有効な洗浄プロセスは、完全なクエリ画像がオペレータによる目視検査時に見られるか、または、完全なクエリ画像がクリーニングインジケータを使用する洗浄システムの一部である走査装置によって検出されるように、クエリ画像からすべてのソイルを除去するものである。
【0023】
テストソイルは、実際の体液、例えば血液もしくは尿、組織、排泄物など、または当技術分野で既知であるような「プロキシ」ソイル、例えばChemdye(登録商標)、または脂肪もしくは炭水化物物質のいずれかであり得る。テストソイルのいくつかの例がISO 15883に記載されており、それには以下が含まれる:ニグロシン、小麦粉、鶏卵、フェシウム菌、血液、ウシヘモグロビン、緑膿菌バイオフィルム、ウシ血清アルブミン、ブタムチン、ウシフィブリノーゲン、グリセロール、脱水ブタムチン、ウマ血清、未漂白の、ベーキングパウダーを含まない小麦粉、およびサフラニン水溶液。
【0024】
テストソイルは、2つ以上の組成物または物質の混合物を含むことができる。いくつかの実施形態では、テストソイルは、クエリ画像の所望の部分を覆うように基板に塗布され、それをクリーニングインジケータに結合させるように乾燥される。
【0025】
いくつかの実施形態では、エンボス加工されたクエリ画像のくぼみは、テストソイルで満たされる。
【0026】
いくつかの実施形態では、クエリ画像の一部は、いずれのテストソイルによっても覆われないままであり、そのような覆われていない部分は、クエリ画像を生成するために使用されるインクを有する清浄な表面の反射率または蛍光測定の基準として役立つ、画像の「ブランク」部分として問い合わせられ得る。いくつかの実施形態において、基板は、同じインクを使用して、少なくとも1つのクエリ画像および別個のブランク画像の両方を印刷される。そのような実施形態では、クエリ画像は、1つ以上のテストソイルで覆われ、ブランク画像は、いずれのソイルによっても覆われないままである。
【0027】
クリーニングインジケータが使用される洗浄プロセスにおいて耐久性のある任意の材料を基板として使用することができる。好ましくは、基板は、基板上に画像を印刷するのに使用されるインクの剥離を伴わずに、好ましくはクエリ画像上に塗布されるテストソイルの剥離を伴わずに、取り扱いに適した、剛性の表面、または少なくともほんのわずかに可撓性の表面を提供するものである。適切な基板としては、ラミネート紙、プラスチック、例えばポリカーボネートもしくはポリスチレンもしくはポリメチルメタクリレート、ガラス、金属、または適切な剛性ゴムが挙げられる。基板は、ラミネート紙、プラスチック、ゴム、金属、セラミック、ガラス、またはこれらのうちの任意の2つ以上の複合材であり得る。いくつかの実施形態では、基板は、クリーニングインジケータが使用される洗浄プロセスにおいてクリーニングされている物品の一部または全体を製造するために使用される材料と同様の材料である。例えば、基板は、内視鏡の管部分を製造するために使用される同じゴムから作られ得る。ホウケイ酸ガラスまたはパイレックスガラスは、実験室のガラス器具を洗浄するために使用されるプロセスのクリーニングインジケータのための基板として使用され得る。
【0028】
開示されるクリーニングインジケータはまた、インジケータに関する情報を保持することができ、クリーニングインジケータもしくはその関連物品の取り扱いを病院もしくは実験室のサプライチェーンマネジメントシステムに統合することができる、磁気ストリップまたはRFIDチップを含むことができる。代替的に、そのような情報は、ブランク画像またはクエリ画像の一部としてバーコードまたはQRコードで符号化することができる。
【0029】
いくつかの実施形態では、クリーニングインジケータは、複数の基板を含み、各基板は、テストソイルで覆われたクエリ画像または1つのクエリ画像の一部の下にある。例えば、ガラスのセクション、ゴムのセクション、およびプラスチックのセクションを含む基板は、単一のクエリ画像を重ねられ得、次いで、クエリ画像は、テストソイルによって覆われ得る。(透明または半透明の基板はクエリ画像が下に置かれ得、テストソイルを有する画像側面では、画像が基板を通して見える。)これらの実施形態のいくつかにおいて、各基板材料は、全体的にまたは部分的に、異なるクエリ画像によって覆われ得る。いくつかの実施形態では、クエリ画像は、各基板の蛍光または反射率の測定のための基準表面として機能することができる、ソイルまたはインクのいずれによっても覆われていない各基板の問い合わせを可能にするブランク部分を含むことができる。
【0030】
前述したような実施形態は、それぞれの異なる基板を、ラミネート紙、プラスチック、ゴム、金属、セラミック、ガラス、またはこれらのうちの任意の2つ以上の複合材などの適切な材料の下にあるシートに接着することによって行うことができる。
【0031】
加えてまたは代替的に、任意のクエリ画像は、異なる組成の複数のテストソイルによって覆われ得る。
【0032】
いくつかの実施形態では、テストソイルは、クリーニングサイクルの開始前に検出され得る、形状で、または形状および色で、クリーニングインジケータに塗布することができ、その形状(および/または色)が、クリーニングインジケータを利用する洗浄機によって記憶された画像と一致しない場合、洗浄機は始動しない。いくつかの実施形態では、テストソイルは、クエリ画像として使用される形状に形成され得る。そのような実施形態では、クエリ画像に形成されたテストソイルによって覆われていない基板の領域は、ブランク画像として、またはテストソイルが基板から完全に除去されたことを判定するための測定基準として、使用され得る。このような実施形態では、洗浄サイクルが首尾よく完了したとみなす基準は、テストソイルにより覆われた領域からの光ビームの反射率、または(基板が透明もしくは半透明である場合に)テストソイルの領域を通した光ビームの透過率が、基板のブランク領域からの基準光ビームの反射率または透過率と同じであることである。
【0033】
クエリ画像を印刷するために使用されるインクは、選択された基板に結合し、洗浄プロセスの条件下で基板に結合したままであるように、当技術分野で既知の任意のインクであり得る。例えば、プラチナカーボンブラックインクは、高耐水性顔料系インクであり;Diamineのレジストラーズブルーブラックインク(Registrar's Blue-black ink)は、防水性没食子インクである。いくつかの実施形態では、クエリ画像を印刷するために使用されるインクは、フルオロフォア、好ましくは、洗浄プロセスの条件下でクリーニングインジケータに結合したままであるフルオロフォアを含むことができる(例えば、ペリレンは水不溶性のフルオロフォア(flurophore)である)。そのようないくつかの実施形態では、クリーニングインジケータは、クエリ画像を印刷するのに使用されるのと同じインクを使用して基板上に印刷されるブランク画像も含む。
【0034】
いくつかの実施形態では、クリーニングインジケータの基板は、光学波長または紫外線波長を通すことができ、クエリ画像は、透過画像における影として検出され得る。そのようないくつかの実施形態では、基板の印刷されていない部分は、ブランク画像またはクエリ画像のブランク部分として機能することができる。
【0035】
図1Aを参照すると、クリーニングインジケータ1が示されており、これは、印刷プロセスなどの適切なプロセスを介して生成され得る、クエリ画像5およびブランク画像9を有する基板3を有する。クエリ画像5は、テストソイル7の層によって覆われる。さらに、テストソイル7は、基板3の一部を覆うことができる。
【0036】
図1Bは、変形例のクリーニングインジケータ1を示し、これは、クエリ画像5が印刷された基板3を有し、クエリ画像5の一部はテストソイル7で覆われ、いかなるテストソイルによっても覆われないブランク部分9が残されている。さらに、テストソイル7は、基板3の一部を覆うことができる。
【0037】
図1Cは、2つの異なる基板3aおよび3bが上に固定されたベース層2を有する別の変形例のクリーニングインジケータ1を示す。各基板には、クエリ画像5aおよび5b、ならびにブランク画像9aおよび9bがそれぞれ印刷されている。各クエリ画像は、それぞれテストソイル7aおよび7bで覆われている。テストソイル7aおよび7bは、同じであっても異なっていてもよい。さらに、テストソイル7aおよび7bは、それぞれ、基板3aおよび3bの一部を覆うことができる。
【0038】
図1Dは、4つの異なる基板3a、3b、3c、3dが上に固定されたベース層2を有する別の変形例のクリーニングインジケータ1を示す。各基板には、ブランク画像9a、9b、9c、9dがそれぞれ印刷されており、これらはすべて同じインクを用いて印刷されることが好ましい。この図では、ブランク画像はすべて同じであるが、そのようにする必要はない。基板はそれぞれ、各基板の境界を横切る、同じクエリ画像5の一部が印刷される。クエリ画像はテストソイル7によって覆われ、テストソイル7は、基板3a、3b、3c、および3dのいずれかまたはすべての一部をさらに覆うことができる。
【0039】
図1Eは、クリーニングインジケータ1の別の変形例を示しており、これは、2つのクエリ画像5と、ブランク画像9とが印刷された、基板3を有する。各クエリ画像は、異なるテストソイル7aまたは7bで覆われる。さらに、テストソイルは、基板3の一部を覆うことができる。クエリ画像およびブランク画像はそれぞれ同じ図形として示されているが、そのようにする必要はない。この図におけるクリーニングインジケータは、バーコード11も含み、このバーコードは、クリーニングされている物品の性質に関する情報をクリーニングインジケータと一緒に符号化するか、または別様に、企業のサプライチェーンマネジメントシステムとインターフェースするためにデータもしくは命令を符号化するのに使用され得る。
【0040】
図1Fは、クリーニングインジケータ1の別の変形例を示しており、これは、バーコードの形態のクエリ画像5が印刷された、基板3を有し、このクエリ画像5はテストソイル7で覆われている。基板の中抜きの印刷されていない部分9はブランクとして保存される。いくつかの代替案では、ブランクは、いかなるテストソイルによっても覆われていないバーコードを含むことができる。
【0041】
図2は、洗浄プロセスにおいて使用されるクリーニングインジケータが正しいクリーニングインジケータであることを確認するために使用される、記憶された画像として使用され得る画像を示す。
【0042】
図3は、基板1が、
図2に示すようなブランク画像9と、メッセージを囲む単純な幾何学的形状を有するクエリ画像5と、を印刷されている、変形例のクリーニングインジケータを示す。クエリ画像5は、テストソイル7で覆われている。
【0043】
本明細書に開示されるようなクリーニングインジケータは、特定の位置、例えば、クエリ画像を画像化する装置、またはいくつかの実施形態ではクエリ画像とブランク画像の両方を画像化する装置、によってクリーニングインジケータが走査され得る位置など、にクリーニングインジケータを保持するのに役立つ物品と共に使用され得る。このような物品は、クリーニングインジケータを包囲し、かつ、さまざまな形状およびサイズの通路などの少なくとも1つの開口部を含むホルダとすることができ、この開口部を通して、クリーニングインジケータのテストソイル表面が、クリーニングシステムまたは洗浄機システム内のクリーニング環境に対して露出され得、洗浄サイクル中に、クリーニングインジケータ、特にテストソイルがクリーニング流体に対して露出され得る。クリーニングインジケータのためのホルダは、クリーニングインジケータのエッジの2つ以上を保持する単純なフレームであってもよく、またはクリーニングインジケータのエッジを取り巻く「爪」として構成されてもよい。
【0044】
保持物品は、光がクリーニングインジケータ上の画像から走査装置または撮像装置(例えば、デジタルカメラ、または、バーコードもしくはQRコードリーダー)へと通過することができる、前段落に記載された開口部のような少なくとも1つの開口部、または少なくとも1つの代替的な開口部を有する。いくつかの実施形態では、保持物品は、走査装置または撮像装置からの光が通過してクリーニングインジケータ上の画像を照らすことができる、少なくとも1つの開口部を有することもできる。
【0045】
このようなホルダの一実施形態を
図6に示す。示される特定の構成は、例えば、
図1Aに示すようなクリーニングインジケータと共に使用されることを意図している。
図6では、ホルダ61は、クリーニングインジケータ(不図示)を包囲し、一方の側に開口部65を有する、フレーム63を含み、また、ホルダ内に挿入されたクリーニングインジケータのエッジを保持するように構成されたエッジ67およびリテーナ69を含む。フレームは、インジケータカードがフレームによって保持されるように挿入され得る開口部69を含む。例えば、フレームのエッジはU字形の断面を有することができ、クリーニングインジケータは、フレームの内側に滑り込むことができ、クリーニングインジケータのエッジは、フレームのエッジのU字形の断面およびリテーナによって保持される。また、フレームは、その前側に複数の穴71があけられており、これらの穴はすべて同じであるか、または、形状およびサイズが異なっていてもよく、これらの穴を通してクリーニングインジケータカード、特にクリーニングインジケータのテストソイル部分が、洗浄機システムの洗浄環境に対して露出される。フレームはまた、クリーニングインジケータのクエリ画像部分の照明および画像化を可能にするのに十分なサイズおよび形状の、開口部73があけられている。フレームは、クリーニングインジケータのブランク画像部分の照明および画像化を可能にするのに十分なサイズおよび形状の、開口部75がさらにあけられている。
【0046】
上記のような1つ以上のクリーニングインジケータ(およびホルダ)は、洗浄機システムにおいて実施される洗浄プロセスで使用され得る。そのようなシステムは、洗浄される物品を保持するのに適した装置を内部に保持するエンクロージャ、洗浄される物品を洗浄し、すすぐための流体処理システム、場合によってはエアロゾルなどを排出し、洗浄後に物品を乾燥させるためのシステム、洗浄プロセスにおいて1回以上クリーニングインジケータの画像を得るために撮像装置によって画像化される本明細書に開示されるようなクリーニングインジケータを位置付けるホルダ、を含むものであり得る。ホルダはまた、テストソイル表面およびクリーニングインジケータの任意のブランク画像を洗浄機のクリーニングプロセスに対して露出し、好ましくはそれらを洗浄機の洗浄環境に対して露出するようにして、クリーニングインジケータを位置付けるべきである。ホルダは、洗浄機に物品を入れるために使用されるものとは異なる開口部を通して洗浄機の外側からアクセス可能であってもよい。
【0047】
撮像装置は、デジタルカメラを含むことができ、これは、蛍光発光または反射もしくは透過した光ビームを画像化するように構成されたものとすることができる。クエリおよび/またはブランク画像がバーコードまたはQRコードを含む場合、撮像装置はバーコードまたはQRコードスキャナであり得る。撮像装置は、画像化される対象を照明し、画像化される対象の照明を制御し、画像化されている対象から来る光に対する撮像センサの露出を制御するハードウェアおよびソフトウェアを含むことができる。照明および露出の制御は、場合によっては、撮像装置の外部の計算資源によって行うことができ、またはこれらの制御は、撮像装置と外部の計算資源との間で分割することができる。(例えば、外部プロセッサが照明を制御し、データを撮像装置に提供して適切な露出を設定することができる。)光ファイバ要素は、レンズなどの光取得要素から撮像センサに光を伝達することができる。このような構成は、ある種の集光要素を洗浄機のエンクロージャの中に配置し、他の撮像要素を洗浄機のエンクロージャの外に配置するために使用することができる。また、複数のクリーニングインジケータを洗浄機のエンクロージャ内の異なる場所に配置し、このような光ファイバ要素を介して画像を単一の撮像装置に搬送することができる。
【0048】
撮像装置は、適切な画像取得および解析ソフトウェアを実行し、撮像装置によって収集された画像データを解析して、画像内の形状が撮像装置のメモリモジュールに記憶された形状に対応するかどうかを判定し、かつ、対応する画像が検出されたかどうか、または代わりに、別の画像が検出されたことを洗浄機の電子制御装置に信号で伝達するように構成された、メモリ、非一時的記憶媒体(例えば、ソリッドステートまたはディスクハードドライブ)、およびプロセッサ(例えばマイクロプロセッサ)を含むがこれらに限定されない、ハードウェアおよびソフトウェア要素をさらに含むことができる。代替的に、そのような画像解析ハードウェア/ソフトウェアは、全体的にまたは部分的に、撮像装置の外部の、さらには洗浄機の外部の、計算資源によって提供されてもよい。
【0049】
画像は、形状の輪郭が、互いに重なり合ったときに同じかまたは実質的に同じである場合、別の画像に「対応する」かまたは「一致する」(例えば、クエリ画像は、記憶された画像に対応し得る)。対応の基準はまた、第1の画像の輪郭の所定の割合の長さが第2の画像内に見出されることを含むことができる。この定義は、線画の画像または塗りつぶされた形状画像で使用され得る。塗りつぶされた形状画像の場合、塗りつぶされた画像の領域の所定の部分を使用して、2つの画像の対応を定義することもできる。好ましくは、検出された輪郭または塗りつぶされた形状の割合は、完全な輪郭または塗りつぶされた形状の少なくとも90%、より好ましくは95%、または99%一致する。
【0050】
対応または一致の基準は、追加的にまたは代替的に、ブランク画像またはクエリ画像のブランク部分からの初期反射率、透過率または蛍光信号のパーセンテージに関する閾値を含むことができる。好ましくは、このパーセンテージは、画像全体にわたって積分された初期反射率、透過率または蛍光の少なくとも90%、より好ましくは95%または99%に設定される。
【0051】
洗浄機システムは、企業内の材料サプライチェーンマネジメントシステムとインターフェースする計算資源をさらに含むことができる。そのような計算資源は、機械サイクル内で洗浄された物品の識別を、洗浄されたクリーニングインジケータと、サイクル後の「清浄」表示との対応(または非対応)に関するデータと、照合することができ、おそらくは、洗浄機内に存在するものとして物品の現在の場所を、そして、おそらくは他のデータも提供することができる。
【0052】
洗浄機システムはまた、そのドアロックまたはスタートスイッチの電子制御装置を含み得、これは、記憶された画像に対応するクエリ画像が受信されていないことを電子制御装置が撮像装置によって信号伝達された場合、もしくは、記憶された画像とは形状が異なるクエリ画像が検出されたことを制御装置が信号伝達された場合に、ドアロックを「ロック」位置に、および/もしくはスタートスイッチを「オフ」位置に維持するように構成され、または、制御装置は、「清浄」表示が検出されたという信号が受信されるまで、ドアロックをロック位置に維持するように構成され得る。
【0053】
図4は、そのような洗浄機システムの一実施形態を示す。洗浄機システム301は、典型的には、少なくとも耐食性材料の、ステンレス鋼から作られたエンクロージャ303を含み、これは、洗浄環境を包囲する。エンクロージャ内には1つ以上のラック305があり、その上に、洗浄される物品が配置される。ラックもまた、典型的にはステンレス鋼から作られるが、プラスチック材料から作られてもよい。また、エンクロージャ内には、水、および洗剤、すすぎ補助剤などといった他のクリーニング物質をエンクロージャに送達し、クリーニング物質および水を分配し、物品をそれらに対して露出するように構成された、流体処理システムの端部部品(例えば、回転アームに装着されたスプレーヘッド)307がある。流体処理システムは、クリーニング物質のためのリザーバ、弁、ポンプ、配管および管などを含み、水およびクリーニング物質を当技術分野で既知の方法で端部部品に送達する。
【0054】
本明細書に別様に記載されているようにクリーニングインジケータを保持し、クリーニングインジケータ、少なくとも、テストソイルで覆われたクエリ画像を含む部分、および、場合によってはブランク画像またはクエリ画像のブランク部分を、流体処理システムの端部部品によって送達されるクリーニング物質を含む洗浄環境に対して、露出するように構成された、1つ以上のホルダ309。ホルダ309はまた、やはり、テストソイルで覆われたクエリ画像、および、場合によっては、撮像システム311によって画像化される、適用可能となるような、ブランク画像またはクエリ画像のブランク部分を含む、クリーニングインジケータを位置付けるように構成される。図示された実施形態では、撮像システムは、レンズ311bを通してクリーニングインジケータを画像化するデジタルカメラ311aと、いくつかの実施形態では、光ファイバ要素311cと、を含む。図示された撮像システムはまた、照明源311dを含み、これは、例えば光ファイバ要素311eを介して、クリーニングインジケータを照明するために光を伝達する。
【0055】
図7は、内視鏡内腔を通る流れをシミュレートするための機能性を提供する、クリーニングインジケータのためのホルダまたは一次ホルダ461の実施形態を反映している。ホルダ461は、両端部、すなわち入口および出口に、例えばクイックコネクタ、ルアーフィッティングなどを含む流体コネクタ472、を有する本体470(円筒状で示される)を含む。流体コネクタ472は、流量制限器、例えば、内視鏡内腔を通る流量をシミュレートするために流体コネクタを通過する任意の流体の体積流量を減少させる小オリフィス装置をさらに含むことができる。したがって、
図7ではクリーニングインジケータ401として示された、上述のクリーニングインジケータのいずれも、ホルダ461の円筒状本体470内に配置することができる。クリーニング流体の供給源に接続された1つ以上のチューブが、流体コネクタ472の少なくとも1つに接続されて、クリーニング流体をホルダ461に導入することができる。円筒状本体470は、好ましくは、クリーニングインジケータ401が本明細書に記載されるように可視化および監視され得るように、透明材料から作られる。
【0056】
ホルダまたは一次ホルダ461は、
図8に示される二次ホルダ462と共に使用され得る。二次ホルダ462は、一次ホルダ461を内部に維持するためのポート480を含む。二次ホルダ462は、スロット482をさらに含むことができ、その中にクリーニングインジケータ、例えば本明細書に記載するクリーニングインジケータのいずれかを配置することができる。二次ホルダ462は光学ポート484をさらに含み得、これを通して、クリーニングインジケータ401が一次ホルダ461内で可視化され得る。加えて、内視鏡の流れをシミュレートするために流量のさらなる制御を提供するために、二次ホルダ462は、流量制限器486を含むことができる。
【0057】
流体コネクタ472に直接組み込まれた流量制限器、ならびに流量制限器486は、さまざまなメカニズムに従って流れを制限するように機能し得る。例えば、これらの流量制限器は、流路の直径を縮小することによって流体の速度を変化させることができ、または、例えば、流体が次の容積に、そして最終的にはクリーニングインジケータに流れ得る前に、各容積を満たさなければならないように、流路に沿って複数の空の容積を提供することによって、流体のコンダクタンスを変化させることができる。好ましくは、単独でまたは組み合わせて使用されるこれらの流量制限器は、一次ホルダ461を通るクリーニング液の流量特性(例えば、体積流量、質量流量、出口圧力)を、システム301のような洗浄機システム内でクリーニングされている内視鏡内腔の遠位端部における流量特性と類似させる。
【0058】
前記流量制限器は、前記流体のコンダクタンスを変化させるように構成されている、請求項25に記載の物品。
【0059】
前記流量制限器は、流路内に複数の空の容積を含む、請求項25に記載の物品。
【0060】
撮像システムは、データを計算資源313に伝え、計算資源は、洗浄機システムに対して設定された「清浄」基準が満たされているかどうかを判定するために画像解析を実行する。画像解析の結果は、実施される洗浄処置に適したクリーニングインジケータが上述のようなホルダ内に存在するか否かを判定するためにも使用され得る。図示の実施形態では、計算資源は、「清浄」基準が満たされない場合にはロック機構がロックされたままであり、「清浄」基準が満たされる場合にはロック機構がロック解除されるように、ドアロック機構315に画像解析の結果を信号で送る。図示された実施形態では、計算資源はまた、クリーニングインジケータのブランク画像がメモリに記憶された画像に対応しない場合には「オフ」のままであるように、ブランク画像の解析の結果を電源スイッチ317に信号で伝達する。しかし、ブランク画像がメモリに記憶された画像に対応する場合、電源スイッチが起動されて洗浄機システム301をオンにすることができる。
【0061】
計算資源313は、洗浄機システムおよびそのさまざまなコンポーネントの動作を制御するために、デジタルコンピュータ、例えばラップトップもしくはモバイルデバイス、またはネットワークコンピュータを含む。計算資源は、1つ以上のプロセッサ(例えばマイクロプロセッサ)を使用できる。計算資源はまた、クリーニングされている物品の積荷目録(manifest)、対照画像(control images)、初期および時系列の蛍光または透過率データなどのデータ、撮像システムによって取得されたデータから構築された画像、洗剤の性質および量の値、水温の値および時間の値を含む洗浄プロトコルを記憶することができる、ランダムアクセスメモリ(RAM)、ハードディスクドライブ、またはフラッシュメモリなどの、非一時的記憶媒体を使用することもできる。計算資源は、蛍光ベースの撮像システムを含み得るデジタル撮像システムを制御するためのソフトウェアおよび/またはロジックをさらに含むことができる。このようなソフトウェア/ロジックは、照明を制御するための命令、画像を取得して生成するためのカメラを制御するための命令、およびカメラからの1つ以上の取得画像を受信するための命令を含むことができる。計算資源は、マイクロプロセッサが画像データを数値的に解析することができる、ソフトウェアおよび/またはロジックをさらに含むことができる。計算資源は、マイクロプロセッサが捕捉されたクエリ画像を記憶された対照画像と比較することができる、ソフトウェアおよび/またはロジックをさらに含むことができる。カメラ制御および画像取得ソフトウェア/ロジックの要素は、カメラとデジタルコンピュータ装置との間で分配することができる。計算資源は、ディスプレイへの出力をさらに含んで、例えば、いくつかの所望のフォーマットで、実行される洗浄プロトコル、ならびに/またはクエリおよび対照画像および/もしくは蛍光もしくは透過率データの比較の結果を示すことができる。計算資源はまた、洗浄プロトコルの結果(すなわち、「クリーニングに成功した」、または「クリーニングが成功しなかった」など)を、おそらく洗浄されている物品に関する関連在庫情報と共に、洗浄設備によって実装される在庫管理システムなどに報告するためのソフトウェア/ロジックを含むことができる。また、計算資源は、洗浄機システムのさまざまな部分を制御するためのソフトウェア/ロジックを含むことができ、例えば、洗浄サイクルが洗浄されている物品を十分にクリーニングしたと判定したときにロックを開くか、または、例えば、対照画像の解析に応答するようにして洗浄サイクルを開始するスイッチを制御する、ロックシステムが挙げられる。
【0062】
物品のクリーニングを監視する方法が本明細書にさらに開示される。このような方法は、自動洗浄機で行うことが好ましい。
【0063】
図5は、開示されるようなクリーニングプロセスの一実施形態の流れ図を示す。ステップ21では、クリーニングされる物品が洗浄機内に配置され、本明細書に記載するようなクリーニングインジケータも洗浄機内に配置される。クリーニングインジケータは、典型的には上述のようなホルダ内に配置されて、洗浄環境に対して露出されるようにクリーニングインジケータを適切に位置付け、クリーニングインジケータを撮像するための装置によって照明および観察されるようにクリーニングインジケータを位置付ける。ステップ23では、洗浄サイクルが開始され、実行される。ステップ25では、クリーニングインジケータが画像を捕捉するために撮像装置によって走査され、ステップ27で、捕捉された画像が解析されて、物品が適切にクリーニングされたことを立証する基準が満たされたかどうかを判定する。そのような基準は、例えば、十分な反射率、透過率もしくは蛍光レベルが観察されるか、またはある割合のクエリ画像の形状が検出されることであり得る。「清浄」基準が満たされない場合、洗浄サイクルはステップ31で継続され、ステップ25、27および29のサイクルは、「清浄」基準が満たされるまで繰り返される。次いで、ステップ33で、洗浄サイクルが停止され、物品が洗浄機から除去されるのに使用可能とされる。
【0064】
開示される方法は:
物品と、画像側面に少なくとも1つのクエリ画像を有する基板、および基板の画像側面に堆積され、クエリ画像の少なくとも一部を覆う少なくとも1つのテストソイルを含むクリーニングインジケータとを、洗浄機システム内に配置するステップと;
洗浄サイクルで洗浄機システムを運転するステップと;
クリーニングインジケータを走査してクエリ画像の形状を検出するステップと;
クエリ画像の少なくとも実質的に全体の形状が検出された後にのみ洗浄サイクルを停止するステップと、
を含む方法であり得る。
【0065】
本明細書に開示されているようなクリーニングインジケータは、手動の方法で使用することができ、この方法では、クリーニングインジケータは、ハンドヘルドのリーダによって走査され、それによってインジケータの客観的な検査を可能にする。
【0066】
本明細書に開示されるような物品のクリーニングを監視する方法は、クリーニングインジケータが、クエリ画像を印刷するために使用される同じインク組成物を使用して画像側面に印刷されたブランク画像をさらに含むものであり得る。代替的に、そのような方法は、クリーニングインジケータがテストソイルによって覆われていないクエリ画像のブランク部分を含むものであり得る。
【0067】
開示された方法は、洗浄機システムの洗浄サイクルが開始される前に、ブランク画像の、またはクエリ画像のブランク部分の開始反射率、透過率または蛍光(光度)を測定するステップを含むものであり得る。このような開始反射率、透過率または開始蛍光の測定は、画像を覆う、クリーニングプロセスからのソイルまたは残留物がない清浄画像の基準測定値を提供する。よって、このような測定値は、洗浄プロセスを終了すべきかどうかを、自動的に、すなわち洗浄機のオペレータの介入なしに、判定するためにクリーニングプロセスの進行を評価することができる、「清浄」の基準を提供する。そして、洗浄プロセスは、参照基準が満たされるまで自動的に継続することができ、参照基準が満たされたら、洗浄プロセスを停止することができる。あるいは、「清浄基準」がある特定の時間の経過後に満たされない場合、オペレータが介入して洗浄条件を変更するか(おそらく、変更された条件に適した別のクリーニングインジケータを追加することを含む)、または洗浄される物品のバッチに、クリーニングが不十分であるというフラグを立てて、それに応じて廃棄することができる。
【0068】
このような自動的に制御される洗浄プロセスは、クエリ画像の全体の形状または実質的に全体の形状が検出された後にのみ洗浄サイクルを停止することを含むものであり得る。実質的には、クエリ画像の全体の形状は、クエリ形状の完全な輪郭またはクエリ形状の完全な塗りつぶし領域(適用可能な場合)の少なくとも90%、好ましくは少なくとも95%、または少なくとも99%を含むように定義することができる。それが適用可能な実施形態では、クエリ形状が、ブランク画像全体にわたって積分された開始反射率または蛍光の少なくとも90%、好ましくは少なくとも95%または少なくとも99%の反射率または蛍光で検出されたときに、自動的に制御される洗浄プロセスを停止することができる。
【0069】
このような方法では、クエリ画像を洗浄サイクルの最後に走査することができる。そのような実施形態では、洗浄サイクルは、例えば、ブランク画像(もしくはクエリ画像のブランク部分)から測定された開始蛍光または反射率よりも、いくらかの所定量だけ低い、クエリ画像のレベルもしくは蛍光もしくは反射率を検出することによって、またはクエリ画像の完全な形状を検出できなかったことによって、欠陥のあるクリーニングが検出された場合に、再開または継続することができる。
【0070】
自動的に制御される洗浄プロセスは、洗浄サイクル中にクエリ画像が周期的または連続的に走査されるプロセスであってもよい。このような実施形態では、次いで、洗浄サイクルは、クエリ画像の反射率もしくは蛍光値が基準値に達したとき、またはクエリ画像の完全な形状が検出されるか、もしくはこれらの変数の組み合わせの所定の基準に達したときに、停止され得る。
【0071】
いくつかの実施形態では、ブランク画像またはクエリ画像のブランク部分は、対応するクエリ画像(すなわち、ブランクと同じインクで、同じ基板上に印刷されたもの)の走査と同時にまたは交互に走査される。そのような実施形態は、例えば、走査ビームもしくは励起ビームの強度の変動によるか、または洗浄機内で発生する落下水滴もしくは水流もしくは霧による走査ビームもしくは励起ビームもしくは信号ビームの散乱に起因する、反射率もしくは蛍光測定値の変動について、自動修正式であるという利点を示す。このような実施形態では、当技術分野で既知の様式で反射率または蛍光測定値の時間平均を使用して、洗浄機を制御するための基準を確立する。
【0072】
目下開示される方法の実施形態は、ブランク画像の走査と、走査によって検出されたブランク画像が記憶されたブランク画像に対応しない場合に洗浄サイクルの開始を防止するステップと、を含むことができる。この実施形態は、クエリ画像上に堆積されたテストソイルの形状および色を使用することによっても実施可能である。ブランク画像(またはテストソイル画像)は、2つの画像の形状、およびおそらくはさらに色が所定の基準内で同じである場合、またはブランク画像がバーコードもしくはQRコードである場合に、走査されたコードと記憶されたコードが一致する場合、記憶されたブランク画像に「対応する」。開示された方法のそのような実施形態は、洗浄機システムでの使用に適していない「第三者」クリーニングインジケータの使用を排除するか、または評価するのに適していない可能性がある洗浄プロセスとクリーニングインジケータとの不一致をオペレータに警告するという利点を有する。(例えば、ガラス器具から血液を除去する洗浄サイクルにおいて、ゴム基板およびテストソイルとしての便を有するクリーニングインジケータが不注意に使用される場合である。)
【0073】
さらにまたは代替的に、そのような方法は、洗浄サイクル中または洗浄サイクル後に走査することによって検出されたクエリ画像が記憶されたブランク画像または記憶されたクエリ画像に対応しない場合に、洗浄機システムをロック状態に維持することを含む方法であり得る。
【0074】
物品のクリーニングを監視する方法は:
i.物品と、少なくとも1つのテストソイルから形成された少なくとも1つのクエリ画像を画像側面に有する基板を含み、かつ、撮像装置によって問い合わせられる、覆われていない基板のブランク領域を有するクリーニングインジケータとを、洗浄機システム内に配置するステップと;
ii.洗浄サイクルを開始して、洗浄機システムを用いて物品を洗浄し、少なくとも1つのテストソイルの少なくとも一部を除去して、基板の少なくとも露出部分を露出するステップと;
iii.撮像装置を使用してクリーニングインジケータを走査して、少なくとも1つのクエリ画像の領域を画像化し、基板からの反射率または基板を通した透過率によってブランク領域を画像化するステップと;
iv.テストソイルで覆われたクリーニングインジケータの部分からの反射率またはその部分を通した透過率を、基板のブランク領域からの反射率またはブランク領域を通した透過率の量と、プロセッサで比較するステップと;
v.最初にテストソイルで覆われた基板の領域からの反射率またはその領域を通した透過率がブランク領域からの反射率またはブランク領域を通した透過率の清浄基準内にある場合は、物品を洗浄するのを止めるステップと、
を含む方法であり得る。
【0075】
一実施形態では、記憶されたブランクまたはクエリ画像は、
図2に示す画像であり得る。例えば、クリーニングインジケータの製造業者に関連した記号またはロゴをクエリ画像として提供することができる。
【0076】
画像を走査し、その形状および色を判定する(すなわち、「画像化する」)ための装置および方法は、バーコードまたはQRコードを読み取って評価するための装置(例えば、米国特許第9,783,839号および米国特許第10,002,276号;米国特許第9,739,764号)と同様に、当技術分野で既知であると考えられる(例えば、米国特許出願公開2011/0291830号)。同様に、表面の反射率を測定するための装置および方法(例えば、米国特許第8,229,204号)、または表面の蛍光を定性的および定量的に測定するための装置および方法も、当技術分野で既知であると考えられる。画像における位置の関数として蛍光を定性的および定量的に測定するための方法も、当技術分野で既知であると考えられる(例えば、米国特許第6,555,826号)。走査または励起ビーム強度および環境散乱における変動に対する反射率および蛍光信号のリアルタイム補正を含む定量的方法もまた、当技術分野において既知であると考えられる(例えば、米国特許第8,760,656号および米国特許第7,940,377号)。
【0077】
本明細書に記載される実施例または実施形態のいずれも、上述のものに加えて、またはその代わりに、さまざまな他の特徴を含んでもよい。本明細書に記載される教示、表現、実施形態、実施例などは、互いに対して分離して見るべきではない。本明細書の教示を組み合わせることができる種々の適切な方法は、本明細書の教示を考慮すると、当業者には明らかなはずである。
【0078】
本明細書に含まれる主題の例示的な実施形態を示し、説明したが、本明細書に記載される方法およびシステムのさらなる改作が、特許請求の範囲の範囲から逸脱することなく、適切な修正によって達成され得る。さらに、上記の方法およびステップが、特定の順序で起こる特定のイベントを示す場合、特定のステップは、記載された順序で実行される必要はなく、それらのステップにより実施形態がそれらの意図された目的で機能することを可能にする限り、任意の順序で実行されることが意図される。したがって、開示の趣旨の範囲内にあるか、または特許請求の範囲に記載された発明と同等である、発明の変形が存在する範囲で、本特許はそれらの変形もカバーすることを意図している。そのような修正のいくつかは、当業者には明らかであるはずである。例えば、上述した実施例、実施形態、幾何学的形状、材料、寸法、比、ステップなどは、例示的である。したがって、特許請求の範囲は、明細書および図面に記載された構造および動作の具体的な詳細に限定されるべきではない。
【0079】
〔実施の態様〕
(1) クリーニングインジケータであって、
少なくとも1つのクエリ画像を有する画像側面を含む少なくとも1つの基板と、
前記少なくとも1つのクエリ画像の少なくとも一部を覆う少なくとも1つのテストソイルと、
を含む、クリーニングインジケータ。
(2) 前記少なくとも1つの基板は、複数の基板を含み、前記複数の基板はそれぞれ、少なくとも1つのそれぞれのクエリ画像を有するそれぞれの画像側面と、前記少なくとも1つのそれぞれのクエリ画像を覆うそれぞれのテストソイルと、を含む、実施態様1に記載のクリーニングインジケータ。
(3) 前記少なくとも1つのクエリ画像は、第1のテストソイルによって覆われた第1の画像部分と、前記第1のテストソイルとは異なる第2のテストソイルによって覆われた第2の画像部分と、を含む、実施態様1に記載のクリーニングインジケータ。
(4) 前記少なくとも1つの基板は、複数の基板を含み、前記複数の基板はそれぞれ、1つのそれぞれのクエリ画像の少なくとも一部を有するそれぞれの画像側面を含む、実施態様1に記載のクリーニングインジケータ。
(5) 前記少なくとも1つの基板は、ラミネート紙、プラスチック、ゴム、金属、セラミック、ガラス、またはこれらのうちの任意の2つ以上の複合材を含む、実施態様1に記載のクリーニングインジケータ。
【0080】
(6) 前記少なくとも1つのクエリ画像は、フルオロフォアを含むインクを含む、実施態様1に記載のクリーニングインジケータ。
(7) 前記画像側面は、前記少なくとも1つのクエリ画像を印刷するのにも使用されるインクから印刷されたブランク画像をさらに含む、実施態様1に記載のクリーニングインジケータ。
(8) 前記少なくとも1つのクエリ画像の別の部分は、いずれのテストソイルによっても覆われていない、実施態様1に記載のクリーニングインジケータ。
(9) 物品であって、
実施態様1に記載のクリーニングインジケータを含み、
前記クリーニングインジケータを包囲し、前記画像側面に近接して配置されたさまざまな形状およびサイズの通路を含む、ホルダをさらに含む、物品。
(10) 物品のクリーニングを監視する方法であって、
i.前記物品と、少なくとも1つのクエリ画像を有する画像側面を含む少なくとも1つの基板を有する基板、および前記少なくとも1つのクエリ画像の少なくとも一部を覆う少なくとも1つのテストソイルを含むクリーニングインジケータとを、洗浄機システム内に配置するステップと、
ii.洗浄サイクルを開始して、前記洗浄機システムを用いて前記物品を洗浄し、前記少なくとも1つのテストソイルの少なくとも一部を除去して、前記少なくとも1つのクエリ画像の少なくとも露出部分を露出するステップと、
iii.撮像装置を使用して前記クリーニングインジケータを走査し、前記少なくとも1つのクエリ画像の前記露出部分を検出するステップと、
iv.前記少なくとも1つのクエリ画像の前記露出部分が前記少なくとも1つのクエリ画像に一致することを、プロセッサを用いて、判定するステップと、
v.前記物品を洗浄するのを止めるステップと、
を含む、方法。
【0081】
(11) 前記画像側面は、前記少なくとも1つのクエリ画像を印刷するのにも使用されるインクから印刷されたブランク画像をさらに含む、実施態様10に記載の方法。
(12) 前記少なくとも1つのクエリ画像の別の部分は、いずれのテストソイルによっても覆われない、実施態様10に記載の方法。
(13) ステップiiの前に前記ブランク画像の開始反射率または蛍光を測定するステップをさらに含み、前記判定するステップは、前記少なくとも1つのクエリ画像の前記露出部分が、前記開始反射率の95%以内の反射率または蛍光を提供することを判定するステップを含む、実施態様11に記載の方法。
(14) ステップiiの前に前記別の部分の開始反射率または蛍光を測定するステップをさらに含み、前記判定するステップは、前記少なくとも1つのクエリ画像の前記露出部分が、前記開始反射率の95%以内の反射率または蛍光を提供することを判定するステップを含む、実施態様12に記載の方法。
(15) 前記クエリ画像は、前記洗浄サイクル中に周期的または連続的に走査される、実施態様13に記載の方法。
【0082】
(16) 前記クエリ画像は、前記洗浄サイクル中に周期的または連続的に走査される、実施態様14に記載の方法。
(17) 前記ブランク画像が記憶されたブランク画像に対応しないことを判定するステップをさらに含む、実施態様11に記載の方法。
(18) 前記開始するステップを防止するステップをさらに含む、実施態様17に記載の方法。
(19) 前記洗浄機システムをロックするステップをさらに含む、実施態様17に記載の方法。
(20) 前記走査によって検出された前記ブランク画像が記憶されたブランク画像に対応しない場合に、前記洗浄サイクルの開始を防止するステップをさらに含む、実施態様14に記載の方法。
【0083】
(21) 洗浄機システムであって、
洗浄される物品を保持するのに適したラックを収容するエンクロージャと、
前記物品を洗浄し、すすぐための洗浄サイクルを行うための流体処理システムと、
画像データを収集するための撮像装置と、
前記撮像装置に近接して前記エンクロージャ内に配置されたホルダであって、クリーニングインジケータの少なくとも一部が前記撮像装置から見えるように前記クリーニングインジケータを収容するように構成されている、ホルダと、
基準形状データを含む非一時的記憶媒体と、
前記洗浄サイクルを起動するように構成された電子制御装置と、
前記画像データを前記基準形状データと比較し、前記洗浄サイクルを起動するために前記電子制御装置に信号を送るように構成されたプロセッサと、
を含む、洗浄機システム。
(22) クリーニングインジケータであって、
テストソイルから形成された少なくとも1つのクエリ画像を有する画像側面を含む少なくとも1つの基板を含む、クリーニングインジケータ。
(23) 物品のクリーニングを監視する方法であって、
i.前記物品と、少なくとも1つのテストソイルから形成された少なくとも1つのクエリ画像を画像側面に有する基板を含み、撮像装置によって問い合わせられる、覆われていない基板のブランク領域を有する、クリーニングインジケータとを、洗浄機システム内に配置するステップと、
ii.洗浄サイクルを開始して、前記洗浄機システムを用いて前記物品を洗浄し、前記少なくとも1つのテストソイルの少なくとも一部を除去して、前記基板の少なくとも露出部分を露出するステップと、
iii.撮像装置を使用して前記クリーニングインジケータを走査して、前記少なくとも1つのクエリ画像の領域を画像化し、前記基板からの反射率または前記基板を通した透過率によって前記ブランク領域を画像化するステップと、
iv.前記テストソイルで覆われた前記クリーニングインジケータの部分からの反射率またはその部分を通した透過率を、前記基板の前記ブランク領域からの反射率または前記ブランク領域を通した透過率の量と、プロセッサで比較するステップと、
v.最初に前記テストソイルで覆われた前記基板の領域からの反射率またはその領域を通した透過率が前記ブランク領域からの反射率または前記ブランク領域を通した透過率の清浄基準内にある場合は、前記物品を洗浄するのを止めるステップと、
を含む、方法。
(24) クリーニングインジケータであって、
少なくとも1つのクエリ画像を有する画像側面を含む少なくとも1つの基板と、
前記少なくとも1つのクエリ画像の少なくとも一部を覆う少なくとも1つのテストソイルと、
を含む、クリーニングインジケータ。
(25) 物品であって、
クリーニングインジケータであって、
少なくとも1つのクエリ画像を有する画像側面を含む少なくとも1つの基板と、
前記少なくとも1つのクエリ画像の少なくとも一部を覆う少なくとも1つのテストソイルと、
を含む、クリーニングインジケータと、
前記クリーニングインジケータを包囲するホルダであって、前記ホルダの入口に位置付けられて前記ホルダ内への流体の流れを制限する流量制限器を含む、ホルダと、
を含む、物品。
【0084】
(26) 前記流量制限器は、前記流体の速度を変化させるように構成されている、実施態様25に記載の物品。
(27) 前記流量制限器は、前記流体のコンダクタンスを変化させるように構成されている、実施態様25に記載の物品。
(28) 前記流量制限器は、流路内に複数の空の容積を含む、実施態様25に記載の物品。
【外国語明細書】