(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024167262
(43)【公開日】2024-12-03
(54)【発明の名称】送信装置、情報処理システム、送信方法
(51)【国際特許分類】
G06Q 30/02 20230101AFI20241126BHJP
G01S 1/68 20060101ALI20241126BHJP
【FI】
G06Q30/02
G01S1/68
【審査請求】未請求
【請求項の数】11
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2024139484
(22)【出願日】2024-08-21
(62)【分割の表示】P 2023132317の分割
【原出願日】2022-12-23
(71)【出願人】
【識別番号】516192925
【氏名又は名称】Tangerine株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100124811
【弁理士】
【氏名又は名称】馬場 資博
(74)【代理人】
【識別番号】100187724
【弁理士】
【氏名又は名称】唐鎌 睦
(72)【発明者】
【氏名】成田 雅弘
(57)【要約】 (修正有)
【課題】人物の動向を計測することが容易となる送信装置、情報処理システム及び送信方法を提供する。
【解決手段】施設Tにおいて、送信装置10は、受信端末20が第一の状態で受信可能な第一のビーコン情報を送信する第一のビーコン装置11と、受信端末20が第一の状態とは異なる第二の状態で受信可能な第二のビーコン情報を送信する第二のビーコン装置12と、を備え、第一のビーコン装置11及び第二のビーコン装置12がそれぞれ、同一の施設Tを特定する情報を含むビーコン情報を、同一の領域に送信する。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
受信端末が第一の状態で受信可能な第一のビーコン情報を送信する第一のビーコン装置と、
前記受信端末が前記第一の状態とは異なる第二の状態で受信可能な第二のビーコン情報を送信する第二のビーコン装置と、
を備え、
前記第一のビーコン装置及び前記第二のビーコン装置がそれぞれ、同一の場所を特定する情報を含むビーコン情報を、同一の領域に送信するよう構成されている、
送信装置。
【請求項2】
請求項1に記載の送信装置であって、
前記第一のビーコン装置及び前記第二のビーコン装置がそれぞれ、同一の時間範囲にビーコン情報を送信するよう構成されている、
送信装置。
【請求項3】
請求項1に記載の送信装置であって、
前記第一のビーコン装置及び前記第二のビーコン装置が、交互にビーコン情報を送信するよう構成されている、
送信装置。
【請求項4】
請求項1に記載の送信装置であって、
前記第一の状態は、前記受信端末が、位置情報の提供を許可している設定状態であり、
前記第二の状態は、前記受信端末が、位置情報の提供を許可していない設定状態であり、かつ、当該受信端末に組み込まれた前記第二のビーコン情報を受信するアプリケーションを起動している状態である、
送信装置。
【請求項5】
請求項1に記載の送信装置であって、
前記第一の状態は、前記受信端末が、当該受信端末に組み込まれた前記第二のビーコン情報を受信するアプリケーションが起動されていないときに位置情報の提供を許可している設定状態であり、
前記第二の状態は、前記受信端末が、前記アプリケーションが起動されていないときに位置情報の提供を許可していない設定状態であり、かつ、前記アプリケーションを起動している状態である、
送信装置。
【請求項6】
請求項1に記載の送信装置であって、
前記第二のビーコン装置は、他の機器の状態を表す機器情報を前記第二のビーコン情報に含めて送信するよう構成されている、
送信装置。
【請求項7】
請求項6に記載の送信装置であって、
前記第二のビーコン装置は、当該第二のビーコン装置が設置されている所定の領域に設けられた他の機器から検出された前記機器情報を、前記第二のビーコン情報に含めて送信するよう構成されている、
送信装置。
【請求項8】
受信端末が第一の状態で受信可能な第一のビーコン情報を送信する第一のビーコン装置と、前記受信端末が前記第一の状態とは異なる第二の状態で受信可能な第二のビーコン情報を送信する第二のビーコン装置と、を備え、前記第一のビーコン装置及び前記第二のビーコン装置がそれぞれ、同一の場所を特定する情報を含むビーコン情報を同一の領域に送信するよう構成された送信装置と、
前記受信端末が受信した前記第一のビーコン情報及び前記第二のビーコン情報を、当該受信端末から受信する情報処理装置と、
を備えた情報処理システム。
【請求項9】
請求項8に記載の情報処理システムであって、
前記第二のビーコン装置は、他の機器の状態を表す機器情報を前記第二のビーコン情報に含めて送信し、
前記情報処理装置は、前記受信端末が受信した前記機器情報を含む前記第二のビーコン情報を受信する、
情報処理システム。
【請求項10】
第一のビーコン情報を送信する第一のビーコン装置と、第二のビーコン情報を送信する第二のビーコン装置と、を備え、前記第一のビーコン装置及び前記第二のビーコン装置がそれぞれ、同一の場所を特定する情報を含むビーコン情報を同一の領域に送信するよう構成された送信装置と、
前記第一のビーコン情報を受信可能な第一の状態に設定され、あるいは、前記第二のビーコン情報を受信可能な前記第一の状態とは異なる第二の状態に設定されることで、前記第一のビーコン情報又は前記第二のビーコン情報を受信する受信端末と、
前記受信端末が受信した前記第一のビーコン情報及び前記第二のビーコン情報を、当該受信端末から受信する情報処理装置と、
を備えた情報処理システム。
【請求項11】
受信端末が第一の状態で受信可能な第一のビーコン情報を送信する第一のビーコン装置と、
前記受信端末が前記第一の状態とは異なる第二の状態で受信可能な第二のビーコン情報を送信する第二のビーコン装置と、を備えた送信装置が、
前記第一のビーコン装置及び前記第二のビーコン装置からそれぞれ、同一の場所を特定する情報を含むビーコン情報を、同一の領域に送信する、
送信方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、送信装置、情報処理システム、送信方法に関する。
【背景技術】
【0002】
小売店などの店舗において、顧客の来店状況を計測することが行われている。例えば、特許文献1では、ビーコンと呼ばれる無線通信端末と、顧客が所持する携帯型端末と、サーバと、を用いて、店舗における顧客の来店状況を計測している。具体的に、特許文献1では、店舗に設置したビーコンから店舗識別情報を含むビーコン情報を送信し、携帯型端末がビーコン情報を受信してサーバに通知することで、携帯型端末を所持する顧客が店舗に来店したことを検知している。
【0003】
そして、上述したビーコンとしては、規格化された「iBeacon(登録商標)」が使用される。「iBeacon」の規格では、携帯型端末がビーコン情報を受信するためには、携帯型端末においてBluetooth(登録商標)による受信設定がオンであり、位置情報サービスの利用がオンに設定されている必要がある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、上述した携帯型端末のユーザは、プライバシーの観点から、位置情報サービスの利用をオンに設定していない場合がある。このため、位置情報サービスの利用をオン設定していないようなユーザの店舗への来店を計測することが困難である、という問題が生じる。また、店舗に限らず、人物の動向を計測することが困難となる。
【0006】
このため、本開示の目的は、上述した課題である、人物の動向を計測することが困難である、ことを解決することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本開示の一形態である送信装置は、
受信端末が第一の状態で受信可能な第一のビーコン情報を送信する第一のビーコン装置と、
前記受信端末が前記第一の状態とは異なる第二の状態で受信可能な第二のビーコン情報を送信する第二のビーコン装置と、
を備え、
前記第一のビーコン装置及び前記第二のビーコン装置がそれぞれ、同一の場所を特定する情報を含むビーコン情報を、同一の領域に送信するよう構成されている、
という構成をとる。
【0008】
また、本開示の一形態である情報処理システムは、
受信端末が第一の状態で受信可能な第一のビーコン情報を送信する第一のビーコン装置と、前記受信端末が前記第一の状態とは異なる第二の状態で受信可能な第二のビーコン情報を送信する第二のビーコン装置と、を備え、前記第一のビーコン装置及び前記第二のビーコン装置がそれぞれ、同一の場所を特定する情報を含むビーコン情報を同一の領域に送信するよう構成された送信装置と、
前記受信端末が受信した前記第一のビーコン情報及び前記第二のビーコン情報を、当該受信端末から受信する情報処理装置と、
を備えた、
という構成をとる。
【0009】
また、本開示の一形態である情報処理システムは、
第一のビーコン情報を送信する第一のビーコン装置と、第二のビーコン情報を送信する第二のビーコン装置と、を備え、前記第一のビーコン装置及び前記第二のビーコン装置がそれぞれ、同一の場所を特定する情報を含むビーコン情報を同一の領域に送信するよう構成された送信装置と、
前記第一のビーコン情報を受信可能な第一の状態に設定され、あるいは、前記第二のビーコン情報を受信可能な前記第一の状態とは異なる第二の状態に設定されることで、前記第一のビーコン情報又は前記第二のビーコン情報を受信する受信端末と、
前記受信端末が受信した前記第一のビーコン情報及び前記第二のビーコン情報を、当該受信端末から受信する情報処理装置と、
を備えた、
という構成をとる。
【0010】
また、本開示の一形態である送信方法は、
受信端末が第一の状態で受信可能な第一のビーコン情報を送信する第一のビーコン装置と、
前記受信端末が前記第一の状態とは異なる第二の状態で受信可能な第二のビーコン情報を送信する第二のビーコン装置と、を備えた送信装置が、
前記第一のビーコン装置及び前記第二のビーコン装置からそれぞれ、同一の場所を特定する情報を含むビーコン情報を、同一の領域に送信する、
という構成をとる。
【発明の効果】
【0011】
本開示は、以上のように構成されることにより、人物の動向を計測することが容易となる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【
図1】本開示の実施形態1における情報処理システムの全体構成を示すブロック図である。
【
図2】
図1に開示した情報処理システムの動作を示す図である。
【
図3】
図1に開示した送信装置の動作を示す図である。
【
図4】本開示の実施形態2における情報処理システムの全体構成を示すブロック図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
<実施形態1>
本開示の第1の実施形態を、
図1乃至
図3を参照して説明する。
図1は、情報処理システムの構成を説明するための図であり、
図2乃至
図3は、情報処理システムの処理動作を説明するための図である。
【0014】
本実施形態における情報処理システムは、施設Tにおいて、施設Tに訪れた顧客Uの動向を計測するために利用するものである。
図1に示すように、情報処理システムは、施設Tに設置される送信装置10と、顧客Uが所持する顧客端末20と、ネットワークNに接続された管理サーバ30と、を備えて構成されている。
【0015】
なお、本実施形態では、施設Tは、例えば、商品を販売したりサービスを提供する店舗である。但し、施設Tは、店舗に限らず、所定の広さの領域を有するいかなる施設であってもよい。一例として、施設Tは、複数店舗からなるショッピングモールなどの商業施設であったり、ビル全体によって形成される施設やテーマパークなどの施設であってもよい。以下、各構成について詳述する。
【0016】
送信装置10は、施設T内に設置されており、Bluetooth(登録商標)といった近距離無線通信にて一定の時間間隔や任意のタイミングでビーコン情報を送信するよう構成されている。例えば、送信装置10は、施設Tの壁や天井、柱などの固定部材に設置されたり、施設Tの従業員などの人物により所持されてる。これにより、送信装置10は、施設T内の領域にビーコン情報を送信する。
【0017】
具体的に、送信装置10は、
図1に示すように、第一ビーコン装置11と、第二ビーコン装置12と、を備えている。そして、第一ビーコン装置11は、iBeacon(登録商標)により規格化された通信プロトコルにてビーコン情報を送信するものである。このため、第一ビーコン装置11が送信するビーコン情報(以下、「第一ビーコン情報」と称する)は、iBeacon規格によるビーコン情報である旨の情報を含んでおり、受信端末が受信するためには、当該受信端末が、Bluetooth(登録商標)による受信設定がオンであり、位置情報サービスの利用がオンに設定されている必要がある。これにより、受信端末は、後述するように、受信端末に装備された送受信装置及びOS(Operating System)により受信可能となる。
【0018】
また、第二ビーコン装置12は、上述した第一ビーコン装置11とは異なり、iBeacon(登録商標)により規格化されておらず、独自に規格化されている。このため、第二ビーコン装置12が送信するビーコン情報(以下、「第二ビーコン情報」と称する)は、予め設定された独自規格のビーコン情報である旨の情報を含んでおり、受信端末が受信するためには、当該受信端末が、Bluetooth(登録商標)による受信設定がオンである必要があるが、位置情報サービスの利用がオンに設定されている必要はない。但し、受信端末は、独自規格の第二ビーコン情報を受信するためのアプリケーションが起動している必要があり、かかるアプリケーションが起動している状態において、必後述するように、受信端末に装備された送受信装置及びOS(Operating System)により受信可能となる。
【0019】
また、第一ビーコン装置11と第二ビーコン装置12とは、施設Tを識別する施設識別情報(施設ID)を含むビーコン情報を送信するよう構成されている。つまり、第一ビーコン情報11が送信する第一ビーコン情報と、第二ビーコン装置12が送信する第二ビーコン情報とは、同一の施設Tである同一の場所を表す施設IDといった識別情報を含んでいる。但し、施設IDとして、施設Tに対応付けられた第一ビーコン装置11及び第二ビーコン装置12を識別するビーコン識別情報(ビーコンID)が代わりに利用されてもよい。また、施設IDとして、施設Tに対応付けられた、当該施設T内の従業員などの人物を識別する人物識別情報(人物ID)が代わりに利用されてもよい。さらに、第一ビーコン装置11と第二ビーコン装置12とは、Bluetooth(登録商標)といった近距離無線通信による送信距離がほぼ同一に設定されていることとし、これにより、同一の施設T内にそれぞれ第一ビーコン情報と第二ビーコン情報とを送信することが可能となっている。
【0020】
また、第一ビーコン装置11と第二ビーコン装置12とによるビーコン情報の送信タイミングは、送信装置10により制御される。具体的に、送信装置10は、第一ビーコン装置11と第二ビーコン装置12とからそれぞれ100ms間隔でビーコン情報を送信するよう制御するが、このとき、第一ビーコン装置11と第二ビーコン装置12とで送信タイミングをずらして送信するよう制御する。例えば、送信装置10は、
図2に示すように、第一ビーコン装置11から第一ビーコン情報を100ms間隔で送信するよう制御し、第二ビーコン装置12からは第一ビーコン情報を送信した50ms後に第二ビーコン情報を送信するよう制御する。これにより、第一ビーコン情報と第二ビーコン情報とは、交互に、かつ、少なくとも50ms以上の同一の時間範囲に、施設T内に送信される。なお、第一ビーコン情報と第二ビーコン情報との送信間隔は、上述した時間間隔であることに限定されず、いかなる時間間隔であってもよい。また、第一ビーコン情報と第二ビーコン情報とは、必ずしも交互に送信されることに限定されない。例えば、第一ビーコン情報が複数回送信され、その後、第二ビーコン情報が複数回送信されることを繰り返してもよく、第一ビーコン情報と第二ビーコン情報とが同時のタイミングで送信されてもよい。
【0021】
なお、上述した送信装置10による第一ビーコン装置11と第二ビーコン装置12とからのビーコン情報の送信制御機能は、送信装置10が装備する演算装置にプログラムが組み込まれることで実現される。
【0022】
顧客端末20(受信端末)は、演算装置、記憶装置、送受信装置等を備えた一般的な情報処理装置にて構成される。特に、本実施形態では、顧客端末20は、顧客Uが所持するスマートフォンなどの携帯型情報処理端末である。ここで、顧客Uは、施設Tに対して事前に顧客登録を行っていることとする。このため、顧客Uには、顧客Uを識別する顧客ID(顧客識別情報)が付与されており、かかる顧客IDを含む顧客情報が管理サーバ30や、当該管理サーバ30に接続されたデータベースなどに登録されていることとする。なお、顧客情報は、顧客Uの氏名、住所、電話番号、メールアドレスなどの個人情報や、顧客Uの性別、年齢、嗜好などの属性情報などを含む。さらに、顧客情報は、施設Tに対する顧客Uの利用状況を表す利用情報を含む。
【0023】
そして、顧客端末20には、OS(Operating System)と、施設Tが提供する顧客用アプリケーションと、が組み込まれている。OS及び顧客用アプリケーションは、顧客端末20に装備された演算装置がプログラムを実行することで顧客端末20に組み込まれる。そして、顧客端末20は、顧客Uが操作することにより、OS上において、Bluetoothによる情報の受信を許可する(オン)か否か(オフ)を表す受信設定が行われる。
【0024】
顧客端末20に組み込まれた顧客用アプリケーションには、顧客Uがログイン操作などを行うことで、かかる顧客Uの顧客IDが設定される。また、顧客用アプリケーションでは、顧客端末20に組み込まれた際に、顧客端末20において位置情報の提供を許可する(オン)か否か(オフ)を表す位置情報の利用設定が行われる。このとき、顧客用アプリケーションは、位置情報サービスを利用するオン設定の場合には、起動されずにバックグラウンドにおいて、OSが受信したiBeacon規格による第一ビーコン情報を当該OSから取得し、さらに管理サーバ30に通知するよう作動する。また、顧客用アプリケーションは、位置情報サービスを利用しないオフ設定の場合には、起動していない状態では第一ビーコン情報及び第二ビーコン情報を受信することができないが、起動している状態のときのみ顧客用アプリケーションに対応する第二ビーコン情報を受信するようOSに対して指示することで、独自規格の第二ビーコン情報をOSを介して受信し、さらに管理サーバ30に通知するよう作動する。
【0025】
なお、顧客用アプリケーションにおいて、「常に位置情報の提供を許可する」という設定の場合には、顧客端末20上における位置情報サービスの利用が「オン設定」であるとし、「起動中のみ位置情報の提供を許可する」という設定の場合には、起動されていない状態では顧客端末20上において位置情報サービスの利用が「オフ設定」であるとしてもよい。また、上述した顧客端末20における位置情報サービスの利用のオンオフ設定は、OS上において行われてもよい。
【0026】
ここで、顧客端末20は、施設Tに訪れた際に、顧客Uの操作によって、
図3に示すような以下の2通りの状態に設定されていることとする。
・第一の状態(
図3の符号C1)
Bluetoothによる受信設定:オン
位置情報サービスの利用:オン
顧客用アプリケーション:未起動
・第二の状態(
図3の符号C2)
Bluetoothによる受信設定:オン
位置情報サービスの利用:オフ
顧客用アプリケーション:起動
【0027】
顧客端末20は、上記のいずれかの状態に設定されていることで、施設T内に位置している場合に、以下のようにして送信装置10から送信されたビーコン情報を受信する。
【0028】
まず、
図3の符号C1に示すように、顧客端末20が第一の状態である場合には、顧客端末20は、OSに予め装備された機能により、iBeacon規格による第一ビーコン情報を送受信装置を介して受信可能である。つまり、顧客端末20のOSは、第一の状態で外部から送信されたビーコン情報を検知した際には、ビーコン情報にiBeacon規格である旨の情報が含まれている場合にかかるビーコン情報をそのまま受信する。そして、顧客端末20のOSは、受信した第一ビーコン情報に含まれる施設IDから施設Tを特定し、かかる施設Tに対応する顧客用アプリケーションに対して第一ビーコン情報を通知する。このとき、顧客用アプリケーションは起動されておらず、バックグラウンドにおいて第一ビーコン情報をOSから取得し、さらに管理サーバ30に対して第一ビーコン情報に含まれる施設IDと顧客端末20に設定されている顧客IDとを関連付けて送信する。なお、顧客端末20は、第一の状態では、後述するように第二の状態で受信可能な予め設定された独自規格のビーコン情報を受信することができないこととなる。
【0029】
また、
図3の符号C2に示すように、顧客端末20が第二の状態である場合には、顧客端末20は、顧客用アプリケーションが起動している状態であり、顧客用アプリケーションがOSに対して施設Tに対応する第二ビーコン情報を受信するよう指示している。このため、顧客端末20は、OSにより第二ビーコン情報が受信され、起動状態の顧客用アプリケーションが第二ビーコン情報をOSから取得し、さらに管理サーバ30に対して第一ビーコン情報に含まれる施設IDと顧客端末20に設定されている顧客IDとを関連付けて送信する。つまり、顧客端末20のOSは、上述した第二の状態で外部から送信されたビーコン情報を検知した際に、ビーコン情報に予め設定された独自規格である旨の情報が含まれている場合にかかるビーコン情報をそのまま受信することとなる。このように、顧客端末20が第二の状態である場合には、位置情報の利用がオフであっても、顧客用アプリケーションが起動していることで、施設IDを含む第二ビーコン情報を受信することができ、顧客IDと併せて管理サーバ30に通知することができる。なお、顧客端末20は、第二の状態では、上述した第一の状態で受信可能なiBeacon規格のビーコン情報を受信することができないこととなる。
【0030】
管理サーバ30は、演算装置、記憶装置、送受信装置等を備えた1台又は複数台の一般的な情報処理装置にて構成される。管理サーバ30は、ネットワークNを介して顧客端末20に接続されている。なお、管理サーバ30の機能は、演算装置が記憶装置に格納された各機能を実現するためのプログラムを実行することにより実現することができる。
【0031】
管理サーバ30は、上述したように施設Tにて第一ビーコン情報あるいは第二ビーコン情報を受信した顧客端末20から、受信したビーコン情報に含まれる施設IDと、顧客端末20を所持する顧客Uの顧客IDと、が関連付けられたビーコンログを送受信装置を介して取得する。そして、管理サーバ30は、取得した関連付けられた施設ID及び顧客IDからなるビーコンログを記憶装置に記憶する。
【0032】
以上のような構成により、施設T内に位置する顧客端末20は、上述した第一の状態である場合には第一ビーコン情報を受信することができ、上述した第二の状態である場合には第二ビーコン情報を受信することができる。つまり、顧客端末20は、位置情報サービスの利用をオンにしている状態であれば第一ビーコン情報を受信することでき、位置情報サービスの利用をオフにしている状態であっても、顧客用アプリケーションを起動している場合には第二ビーコン情報を受信することができる。このため、顧客端末20がいずれかの状態であれば、顧客端末20を所持する顧客Uが施設Tを訪れたことを検知でき、顧客端末20の動向を容易に計測することができる。
【0033】
また、本実施形態では、第一ビーコン情報と第二ビーコン情報とを、同一の領域となる施設T内に、同一の時間範囲内で交互に送信している。これにより、顧客端末20が第一ビーコン情報及び第二ビーコン情報のいずれかを受信する機会の増加を図ることができ、より容易に顧客端末20の動向を計測することができる。
【0034】
なお、上述した顧客端末20の第一の状態あるいは第二の状態は、それぞれが異なる設定状態であればよく、
図3の符号C1,C2を参照して説明した状態であることに限定されず、顧客端末20の他の設定状態であってもよい。また、第一ビーコン装置11は、必ずしもiBeacon規格によるビーコン情報を送信することに限定されず、他の規格のビーコン情報を送信してもよく、顧客端末20が第二の状態では受信できないが、第一の状態で受信可能なビーコン情報を送信するよう構成されていればよい。また、第二ビーコン装置12は、いかなる規格のビーコン情報を送信してもよく、顧客端末20が第一の状態では受信できないが、第二の状態では受信可能なビーコン情報を送信するよう構成されていればよい。
【0035】
また、送信装置10は、第一ビーコン装置11及び第二ビーコン装置12に加え、さらに別の規格のビーコン情報を送信する1つあるいは複数の他のビーコン装置を備えていてもよい。そして、他のビーコン装置は、顧客端末20が第一の状態及び第二の状態とは異なるさらに他の状態に設定されている場合に受信可能なビーコン情報を送信するよう構成されていてもよい。
【0036】
<実施形態2>
次に、本開示の第2の実施形態を、
図4を参照して説明する。
図4は、情報処理システムの構成を説明するための図である。
【0037】
本実施形態における情報処理システムは、上述した実施形態1とほぼ同様の構成であるが、これに加えて第二ビーコン装置12の構成が異なる。以下、主に実施形態1と異なる構成について説明する。
【0038】
本実施形態における送信装置10は、施設Tにおいて、施設Tを訪れた顧客Uの動向を計測すると共に、施設に設置された送信装置10とは異なる他の機器の情報を収集するために利用される。
図4に示すように、情報処理システムは、実施形態1と同様に、施設Tに設置される送信装置10と、顧客Uが所持する顧客端末20と、ネットワークNに接続された管理サーバ30と、を備えており、さらに、施設Tに設置された機器である自動ドアDの状態を検知するセンサSを備えている。なお、自動ドアDは、送信装置10と同一の施設T内(所定の領域)に設置されていることとする。
【0039】
センサSは、自動ドアDから計測できる計測値を取得し、かかる計測値を機器情報として第二ビーコン装置12に通知する。例えば、センサSは、自動ドアDに装備された人感センサの電流値や開閉駆動モータの負荷値など自動ドアDの稼働状態を表す計測値を機器情報として取得したり、かかる計測値から自動ドアDの正常状態あるいは異常状態を判定した判定値を機器情報として取得して、第二ビーコン装置12に通知する。また、センサSは、一定の時間間隔や予め設定されたタイミング、あるいは、任意のタイミングで、自動ドアDから機器情報を取得して第二ビーコン装置12に通知する。但し、本実施形態における機器情報を取得する対象となる機器は、自動ドアDであることに限定されず、エアコン、エスカレータ、エレベータ、トイレなど、施設Tに設置されている送信装置10とは異なる他のいかなる機器であってもよい。
【0040】
送信装置10は、実施形態1と同様に、施設T内に設置されており、Bluetooth(登録商標)といった近距離無線通信にて一定の時間間隔でビーコン情報を送信するよう構成されている。例えば、送信装置10は、自動ドアDの上部などの近辺に設置されている。
【0041】
具体的に、送信装置10は、実施形態1と同様に、第一ビーコン装置11と、第二ビーコン装置12と、を備えている。ここで、第二ビーコン装置12は、自動ドアDの状態を表す機器情報をセンサSから取得し、かかる機器情報を第二ビーコン情報に含めて施設T内に送信する。このとき、第二ビーコン装置12は、機器情報が計測された時間や、機器情報が第二ビーコン装置12にて取得された時間を機器情報に関連付けて、第二ビーコン情報に含めてもよい。また、第二ビーコン装置12は、センサSから取得した機器情報うち、最新の機器情報のみを第二ビーコン情報に含めてもよく、あるいは、直近からいくつかさかのぼって取得した複数の機器情報を第二ビーコン情報に含めてもよい。
【0042】
顧客端末20(受信端末)は、実施形態1と同様に構成されており、施設T内において、第一ビーコン装置11から送信された第一ビーコン情報、あるいは、第二ビーコン装置12から送信された第二ビーコン情報を受信して、顧客Uを識別する顧客IDと共に管理サーバ30に送信する。このとき、第二ビーコン情報には、施設T内の自動ドアDといった機器の機器情報が含まれているため、管理サーバ30は施設T内の自動ドアDの機器情報を取得して蓄積することができる。これにより、管理サーバ30に蓄積された自動ドアDの機器情報は、自動ドアDの保守情報として利用することが可能となる。
【0043】
なお、送信装置10は、第一ビーコン装置11を備えておらず、第二ビーコン装置12のみを備えていてもよい。つまり、第二ビーコン装置12は、単体で施設Tに設置されていてもよい。そして、第二ビーコン装置12は、施設Tに設置された機器の機器情報を取得して、かかる機器情報を第二ビーコン情報に含めて施設T内に送信するよう構成されていてもよい。これに応じて、顧客端末20は、第二ビーコン装置12から送信された第二ビーコン情報を受信可能なよう構成されており、顧客Uを識別する顧客IDと共に管理サーバ30に送信するよう構成される。
【0044】
以上、上記実施形態等を参照して本開示を説明したが、本開示は、上述した実施形態に限定されるものではない。本開示の構成や詳細には、本開示の範囲内で当業者が理解しうる様々な変更をすることができる。また、上述した管理サーバ30が備える機能のうちの少なくとも一以上の機能は、ネットワーク上のいかなる場所に設置され接続された情報処理装置で実行されてもよく、つまり、いわゆるクラウドコンピューティングで実行されてもよい。
【0045】
なお、上述したプログラムは、様々なタイプの非一時的なコンピュータ可読媒体(non-transitory computer readable medium)を用いて格納され、コンピュータに供給することができる。非一時的なコンピュータ可読媒体は、様々なタイプの実体のある記録媒体(tangible storage medium)を含む。非一時的なコンピュータ可読媒体の例は、磁気記録媒体(例えばフレキシブルディスク、磁気テープ、ハードディスクドライブ)、光磁気記録媒体(例えば光磁気ディスク)、CD-ROM(Read Only Memory)、CD-R、CD-R/W、半導体メモリ(例えば、マスクROM、PROM(Programmable ROM)、EPROM(Erasable PROM)、フラッシュROM、RAM(Random Access Memory))を含む。また、プログラムは、様々なタイプの一時的なコンピュータ可読媒体(transitory computer readable medium)によってコンピュータに供給されてもよい。一時的なコンピュータ可読媒体の例は、電気信号、光信号、及び電磁波を含む。一時的なコンピュータ可読媒体は、電線及び光ファイバ等の有線通信路、又は無線通信路を介して、プログラムをコンピュータに供給できる。
【0046】
<付記>
上記実施形態の一部又は全部は、以下の付記のようにも記載されうる。以下、本開示における送信装置、情報処理システム、送信方法の構成の概略を説明する。但し、本開示は、以下の構成に限定されない。
(付記1)
受信端末が第一の状態で受信可能な第一のビーコン情報を送信する第一のビーコン装置と、
前記受信端末が前記第一の状態とは異なる第二の状態で受信可能な第二のビーコン情報を送信する第二のビーコン装置と、
を備え、
前記第一のビーコン装置及び前記第二のビーコン装置がそれぞれ、同一の場所を特定する情報を含むビーコン情報を、同一の領域に送信するよう構成されている、
送信装置。
(付記2)
付記1に記載の送信装置であって、
前記第一のビーコン装置及び前記第二のビーコン装置がそれぞれ、同一の時間範囲にビーコン情報を送信するよう構成されている、
送信装置。
(付記3)
付記1又は2に記載の送信装置であって、
前記第一のビーコン装置及び前記第二のビーコン装置が、交互にビーコン情報を送信するよう構成されている、
送信装置。
(付記4)
付記1乃至3のいずれかに記載の送信装置であって、
前記第一の状態は、前記受信端末が、位置情報の提供を許可している設定状態であり、
前記第二の状態は、前記受信端末が、位置情報の提供を許可していない設定状態であり、かつ、当該受信端末に組み込まれた前記第二のビーコン情報を受信するアプリケーションを起動している状態である、
送信装置。
(付記5)
付記1乃至4のいずれかに記載の送信装置であって、
前記第一の状態は、前記受信端末が、当該受信端末に組み込まれた前記第二のビーコン情報を受信するアプリケーションが起動されていないときに位置情報の提供を許可している設定状態であり、
前記第二の状態は、前記受信端末が、前記アプリケーションが起動されていないときに位置情報の提供を許可していない設定状態であり、かつ、前記アプリケーションを起動している状態である、
送信装置。
(付記6)
付記1乃至5のいずれかに記載の送信装置であって、
前記第二のビーコン装置は、他の機器の状態を表す機器情報を前記第二のビーコン情報に含めて送信するよう構成されている、
送信装置。
(付記7)
付記6に記載の送信装置であって、
前記第二のビーコン装置は、当該第二のビーコン装置が設置されている所定の領域に設けられた他の機器から検出された前記機器情報を、前記第二のビーコン情報に含めて送信するよう構成されている、
送信装置。
(付記8)
受信端末が第一の状態で受信可能な第一のビーコン情報を送信する第一のビーコン装置と、前記受信端末が前記第一の状態とは異なる第二の状態で受信可能な第二のビーコン情報を送信する第二のビーコン装置と、を備え、前記第一のビーコン装置及び前記第二のビーコン装置がそれぞれ、同一の場所を特定する情報を含むビーコン情報を同一の領域に送信するよう構成された送信装置と、
前記受信端末が受信した前記第一のビーコン情報及び前記第二のビーコン情報を、当該受信端末から受信する情報処理装置と、
を備えた情報処理システム。
(付記9)
付記8に記載の情報処理システムであって、
前記第二のビーコン装置は、他の機器の状態を表す機器情報を前記第二のビーコン情報に含めて送信し、
前記情報処理装置は、前記受信端末が受信した前記機器情報を含む前記第二のビーコン情報を受信する、
情報処理システム。
(付記10)
第一のビーコン情報を送信する第一のビーコン装置と、第二のビーコン情報を送信する第二のビーコン装置と、を備え、前記第一のビーコン装置及び前記第二のビーコン装置がそれぞれ、同一の場所を特定する情報を含むビーコン情報を同一の領域に送信するよう構成された送信装置と、
前記第一のビーコン情報を受信可能な第一の状態に設定され、あるいは、前記第二のビーコン情報を受信可能な前記第一の状態とは異なる第二の状態に設定されることで、前記第一のビーコン情報又は前記第二のビーコン情報を受信する受信端末と、
前記受信端末が受信した前記第一のビーコン情報及び前記第二のビーコン情報を、当該受信端末から受信する情報処理装置と、
を備えた情報処理システム。
(付記11)
受信端末が第一の状態で受信可能な第一のビーコン情報を送信する第一のビーコン装置と、
前記受信端末が前記第一の状態とは異なる第二の状態で受信可能な第二のビーコン情報を送信する第二のビーコン装置と、を備えた送信装置が、
前記第一のビーコン装置及び前記第二のビーコン装置からそれぞれ、同一の場所を特定する情報を含むビーコン情報を、同一の領域に送信する、
送信方法。
【符号の説明】
【0047】
10 送信装置
11 第一ビーコン装置
12 第二ビーコン装置
20 顧客端末
30 管理サーバ
U 顧客
T 施設
N ネットワーク