(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024167267
(43)【公開日】2024-12-03
(54)【発明の名称】撮像装置
(51)【国際特許分類】
H01L 27/146 20060101AFI20241126BHJP
G01S 7/4863 20200101ALI20241126BHJP
B64U 20/87 20230101ALN20241126BHJP
B64U 101/30 20230101ALN20241126BHJP
【FI】
H01L27/146 A
G01S7/4863
B64U20/87
B64U101:30
【審査請求】有
【請求項の数】4
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2024140771
(22)【出願日】2024-08-22
(62)【分割の表示】P 2021542301の分割
【原出願日】2020-08-07
(31)【優先権主張番号】P 2019152710
(32)【優先日】2019-08-23
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(31)【優先権主張番号】P 2019162714
(32)【優先日】2019-09-06
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(71)【出願人】
【識別番号】000153878
【氏名又は名称】株式会社半導体エネルギー研究所
(72)【発明者】
【氏名】根来 雄介
(72)【発明者】
【氏名】米田 誠一
(57)【要約】
【課題】ノイズを除去することにより、正確な距離画像データを得ることを課題の一とする。また、積算回数を削減することで短時間での距離画像データ取得を実現することも課題の一とする。乗用車などの自動運転に利用するため、3次元の物体認識に用いることのできる固体撮像素子を含む距離画像処理システムを提供する。
【解決手段】深層学習(ディープラーニング)を利用して、TOF方式の固体撮像素子、いわゆるTOFカメラで得られる距離情報を含む画像処理を行う。深層学習により、ノイズが低減され、精度の高い距離画像を得ることができる。
【選択図】
図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数の画素を有し、
前記複数の画素はそれぞれ、画素回路を有し、
前記画素回路は、
フォトダイオードと、
第1乃至第10のトランジスタと、
第1乃至第3の容量と、を有し、
前記フォトダイオードのカソードは、前記第1のトランジスタのソース又はドレインの一方と、前記第2のトランジスタのソース又はドレインの一方と、前記第3のトランジスタのソース又はドレインの一方と、前記第4のトランジスタのソース又はドレインの一方と、電気的に接続され、
前記第1のトランジスタのソース又はドレインの他方は、前記第1の容量の一方の電極と、前記第5のトランジスタのソース又はドレインの一方と、前記第6のトランジスタのゲートと、電気的に接続され、
前記第2のトランジスタのソース又はドレインの他方は、前記第2の容量の一方の電極と、前記第7のトランジスタのソース又はドレインの一方と、前記第8のトランジスタのゲートと、電気的に接続され、
前記第3のトランジスタのソース又はドレインの他方は、前記第3の容量の一方の電極と、前記第9のトランジスタのソース又はドレインの一方と、前記第10のトランジスタのゲートと、電気的に接続される撮像装置。
【請求項2】
請求項1において、
前記フォトダイオードは、アバランシェフォトダイオードである撮像装置。
【請求項3】
請求項1又は請求項2において、
前記第1乃至第4のトランジスタ、前記第6のトランジスタ、前記第8のトランジスタ及び前記第10のトランジスタのそれぞれのチャネル形成領域は、シリコンを有し、
前記第5のトランジスタ、前記第7のトランジスタ及び前記第9のトランジスタのそれぞれのチャネル形成領域は、酸化物半導体を有する撮像装置。
【請求項4】
請求項3において、
前記酸化物半導体は、酸化インジウムを有する撮像装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
酸化物半導体を用いる半導体装置及びその作製方法に関する。または、本発明の一態様は撮像装置に関する。また、距離推定装置および距離推定方法に関する。
【0002】
なお、本発明の一態様は、上記の技術分野に限定されない。本明細書等で開示する発明の一態様は、物、方法、又は、製造方法に関する。本発明の一態様は、プロセス、マシン、マニュファクチャ、又は、組成物(コンポジション・オブ・マター)に関する。そのため、より具体的に本明細書等で開示する本発明の一態様の技術分野としては、半導体装置、表示装置、発光装置、蓄電装置、記憶装置、電子機器、照明装置、入力装置、入出力装置、それらの駆動方法、又は、それらの製造方法、を一例として挙げることができる。
【0003】
なお、本明細書中において半導体装置とは、半導体特性を利用することで機能しうる装置全般を指し、電気光学装置、半導体回路および電子機器は全て半導体装置である。
【背景技術】
【0004】
近年、3次元情報を利用する様々な研究が多くなされている。2台以上のカメラを平行に配置して多視点画像から3次元情報を構築する方法が一般に知られている。この方法は、低コストで実施することが可能であるが、自動車の自動運転のためには不十分であり、高精度の距離計測などが困難である。
【0005】
距離を測る手段として、赤外線などの光を照射し、その反射光を用いて3次元情報を取得する方法(TOF方式ともよぶ)が注目を集めている。TOF方式の距離計測は、光源と光検出器(センサまたはカメラ)で構成される。このTOF方式で用いるカメラはタイムオブフライトカメラと呼び、TOFカメラとも呼ぶ。TOFカメラは、光を放出する光源から物体までの距離情報を、物体に照射された光の反射光の飛行時間(タイムオブフライト)に基づいて得ることができる。
【0006】
また、TOFを直接時間領域で計測する直接TOF計測法と、TOFに依存した物理量の変化とそれを時間的変化に換算するための時間基準を用いて計測する間接TOF計測法がある。TOFに関して、非特許文献1に記載されている。
【0007】
しかし、TOFカメラは、遠くのものから反射してきた弱い光を、ごく短時間しか受光することができないため、信号がノイズに埋もれやすい。
【0008】
特許文献1には、固体撮像素子のリセットトランジスタ及び転送トランジスタの両方に酸化物半導体を用いたトランジスタを用いることが開示されている。
【0009】
また、機械学習を用いて暗い環境で撮られた画像を修正するためのデータセットと手法が非特許文献2に記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0010】
【非特許文献】
【0011】
【非特許文献1】VLSI2018, Panasonic, S Koyama et al., “A 220m-Range Direct Time- of- flight 688×384 CMOS Image Sensor with Sub-photon Signal Extraction Pixels Using Vertical Avalanche Photo-Diodes and 6kHz Light pulse Counter”
【0012】
【非特許文献2】CVPR 2018, Chen Chen et al., “Learning to See in the Dark”
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0013】
ノイズにより信号が埋もれてしまうと、反射率の低い測定対象物を画像認識することが困難になる。
【0014】
距離画像データは、光源からの光が対象物で反射し、その反射光を受光して受光素子で発生した電荷を用いて積算し、対象物までの距離を求める。分解能を向上させるために、測定を何度も繰り返し、積算し、平均値処理を行う場合もある。
【0015】
ノイズを除去することにより、正確な距離画像データを得ることを課題の一とする。また、積算回数を削減することで短時間での距離画像データ取得を実現することも課題の一とする。
【0016】
乗用車などの自動運転に利用するため、3次元の物体認識に用いることのできる固体撮像素子を含む距離画像処理システムを提供することも課題の一つである。
【0017】
TOFカメラの距離分解能を向上させるためには、時間分解能を上げる必要がある。時間分解能を上げようとすると、露光時間が短くなるので、信号強度が低くなる。この信号強度を高めるために複数回の測定を行って繰り返し電荷のため込みを行うことがあるが、単結晶シリコンを用いたトランジスタではリークの問題がある。また、単結晶シリコンを用いたトランジスタではオフ時のリーク電流のばらつきの問題もある。特にオフ電流は変化しやすい。従って、固体撮像素子など電荷保持型の半導体装置を構成する場合には、環境に左右されず十分な電位保持期間の確保が可能であり、よりオフ電流特性が低減されたデバイスの開発が望まれている。
【0018】
また、単結晶シリコンを用いたトランジスタのオフ時のリークによるノイズ問題がある。単結晶シリコンを用いたトランジスタのオフ時のリークを低減できないため、ノイズを除去できない課題がある。
【0019】
また、TOFカメラで用いられる半導体回路の集積化または小型化が望まれている。
【課題を解決するための手段】
【0020】
深層学習(ディープラーニング)を利用して、TOF方式の固体撮像素子、いわゆるTOFカメラで得られる距離情報を含む画像処理を行う。深層学習により、ノイズが低減され、精度の高い距離画像を得ることができる。
【0021】
距離情報は、複数の空間スライスからなり、空間スライスのそれぞれが認識したい空間全体にわたる複数の距離ごとの物体情報を重ね合わせた1枚の距離画像とすることができる。TOF方式の場合、光源からの光が物体に照射され、その反射光を用いる。例えば、固体撮像素子からの距離1m以上45m未満にある物体情報、45m以上90m未満にある物体情報、90m以上135m未満の物体情報というように距離ごとに物体の画像を取得し、重ね合わせることで1m以上135m未満における1枚の距離画像が得られる。
【0022】
本明細書で開示する発明の構成は、測定空間の対象物に照射する光源と、対象物の反射光を受光する固体撮像素子の受光領域と、受光領域から発生するキャリアに基づいて第1の3次元画像データを生成する画像生成部と、第1の3次元画像データを入力する入力部と、教師データによって学習した学習モデルを用いて、第1の3次元画像データに対してプロセッサで画像処理を行う推定部と、第1の3次元画像データよりも精度の高い第2の3次元画像データを生成する出力部と、を有する距離推定装置である。
【0023】
上記構成において、学習モデルに用いる教師データは、第1の3次元画像データよりも積算回数が多いものを多数用いる。積算回数を多くおこなった3次元画像データを学習させ、出力部において精度が最も高くなるような学習モデルを用いる。
【0024】
予め、TOFカメラと対象物の3次元座標との位置関係を学習させ、学習モデルを構成してもよい。
【0025】
また、上記構成において、第2の3次元画像データは測定空間のデプスマップである。
【0026】
また、上記構成において、画像処理は、深層畳み込みニューラルネットワークによって行われる。具体的には、U字型ネットワーク、いわゆるU-Net法を用いる。U-Net法は2D画像に用いられる識別抽出方法の一つである。また、FCN(Fully Convolutional Network)法を用いることもできる。なお、U-Net法はFCN法の改良版である。また、U-net法の3次元拡張版である3D-Net法やV-Net法を用いることができる。
【0027】
なお、ニューラルネットワークとは、生体の脳における特性を計算機上のシミュレーションによって表現することを目指した数学モデルを指している。また、畳み込みニューラルネットワークとは、複数のユニットを持つ層が入力段から出力段へ向けて一方向に連結されており、出力側のユニットが隣接する入力側の特定のユニットに結合された畳み込み層を有する順伝搬型ネットワークを指している。
【0028】
また、上記構成において、対象物との距離は、光源からの距離に対応する時間範囲を複数の測定区間に分割し、光源から発した発光が対象物の存在する測定区間から反射して受光領域に到達するまでの時間に基づいて推定する。
【0029】
画像生成部は、固体撮像素子の受光光量に対応した電気出力の積算値または平均値を求め、この値を用いて距離を推定する。また、画像生成部は、複数の検出期間の電流を受光期間別に積算した電荷量を用いて距離を求め、その距離を距離画像の画素値とする。
【0030】
固体撮像素子の使用が、防犯のために用いられる固定したカメラ設置となる場合、積算回数を多くして得られた画像を学習データに用いることで、積算回数の少ない撮像データを用いて、積算回数を多くして得られた画像と同等の精度の距離画像を得ることができる。さらに積算回数を多くして得られた画像を画像処理してノイズを減らしたものを学習データに用いることで、積算回数の少ない撮像データを用いて、積算回数を多くして得られた画像以上の精度の距離画像を得ることができる。
【0031】
推定部には例えばマイコンが利用できる。なお、マイコンとは、演算などのアルゴリズムを実行できるプログラムをマイクロコンピュータもしくはマイクロプロセッサに移植したものを指している。マイクロコンピュータとは、マイクロプロセッサ、メモリ、周辺チップなどで構成した小さなコンピュータのことである。
【0032】
また、推定部は、1つのチップ上に集積して製造されたLSI(Large Scale Integration)から構成されているとしてもよい。また、集積回路化の手法はLSIに限らず、専用回路または汎用プロセッサで実現してもよい。プロセッサは8ビット、16ビット、32ビット、64ビット、128ビットなどのものを用いることができる。また、プロセッサにはマイクロプロセッサ、コプロセッサ、浮動小数点プロセッサなどがある。また、LSI製造後にプログラムすることが可能なFPGA(Field Programmable Gate Array)、或いはLSI内部の回路セルの接続や設定を再構成可能なリコンフィギュラブルプロセッサを用いてもよい。
【0033】
重みづけパラメータや、画素値は、例えば推定部のメモリ、具体的にはROM(Read Only Memory)やRAM(Random Access Memory)に記憶させる。推定部は、より正確に距離画像を算出することができる。
【0034】
また、ニューラルネットワーク処理を含む複数の処理を順序立てて行い、複数のステップを構成する距離画像処理方法を実現することができる。また、距離画像処理方法に含まれる各ステップをコンピュータに実行させるコンピュータプログラムとして実現することもできる。また、そのようなコンピュータプログラムを記録媒体、或いはインターネットの通信ネットワークを介したクラウドに保存し、実行することもできる。
【0035】
また、本明細書で開示する発明の構成は、受光領域と、受光領域の周辺に複数の電荷蓄積領域と、電荷蓄積領域上に少なくとも一部重なる酸化物半導体を用いたトランジスタと、複数の電荷蓄積領域及びトランジスタと重なる遮光板と、を有する撮像装置である。
【0036】
また、他の発明の構成は、受光領域と、電荷蓄積領域と、第1のトランジスタが少なくとも埋め込まれた半導体ウェハーと、電荷蓄積領域の上方に少なくとも一部重なる第2のトランジスタと、を有し、前記第2のトランジスタは、酸化物半導体をチャネル形成領域に有する撮像装置である。
【0037】
上記構成において、さらに遮光板を有し、遮光板は、電荷蓄積領域、第1のトランジスタ、及び第2のトランジスタと重なる。
【0038】
1つの受光領域を一つの画素としてn行m列(n×m)の画素のセンサを構成する。なお、nまたはmは2以上の自然数、例えば、nは32、mは32としてもよい。nやmの数が多くなると回路規模が膨大になりやすい。回路規模が膨大になると画素間の計測の同時性を維持することが困難となるため、高い時間分解能を実現することが困難となる。
【0039】
電荷蓄積領域上に酸化物半導体層を用いたトランジスタを積層し、一部を重ねることで、回路規模を変えることなく回路面積を縮小することができ、チップの小型化が図れる。また、積層することで、高い時間分解能を実現することができる。
【0040】
上記各構成において、受光領域は、埋め込みフォトダイオードの受光面積、或いはアバランシェフォトダイオードの受光面積に相当する。
【0041】
単一フォトンの検出を行うアバランシェフォトダイオードはSPAD(Single Photon avaranche diode)とも呼ばれ、カソードに大きな負電圧を加えておくと、1フォトンの入射で発生した電子がアバランシェ増倍を生じ大電流がながれる。1フォトンの到来時刻を開始点とする電子パルスが生成される。アバランシェ増倍の速度は非常に速いので、電子パルスの発生タイミングによりフォトンの到来時刻を知ることができ、光の飛行時間の測定に利用することができる。
【0042】
また、酸化物半導体層を用いたトランジスタを用いることでリークを低減し、ノイズの影響を低減することができる。
【0043】
酸化物半導体層は、例えば、インジウムを含むことが好ましく、In-M-Zn酸化物(MはAl、Ti、Ga、Y、Zr、La、Ce、Nd、SnまたはHf)を含むことがさらに好ましい。
【0044】
電界制御電極は、高速な電荷転送に用いられ、一対の電界制御電極に電圧を加えることによってフリンジング電界を生じさせ、受光領域で発生した光電子を電荷蓄積領域に移動させる。複数の電界制御電極の電位を制御することによって電位勾配を与え、受光領域で発生した光電子を所望の電荷蓄積領域に移動させる。電荷蓄積領域上には、絶縁層の積層を有し、絶縁層の積層は、受光領域と一部重なる開口を有する。絶縁層の積層は、酸化物半導体層を用いたトランジスタを形成する際に成膜され、受光領域上に重なる位置に積層されたままであると、入射される赤外線が屈折して受光領域に到達する光量が低減されるため、絶縁層の積層を除去する構成としてもよい。受光領域上に重なる絶縁層の積層に開口を形成することで受光領域に効率よく赤外線が入射されるようにすることができる。
【0045】
また、電荷蓄積領域のいずれかにはリセット用のトランジスタも接続され、電荷蓄積領域の電荷をリセットする。
【0046】
また、出力光パルスに対して受信した光パルスの遅延時間(光飛行時間)は、複数のフォトダイオードを用いて受光し、公知の方法により測定することができる。また、公知の方法により、遅延時間(光飛行時間)に対応する距離を測定することもできる。
【0047】
図1にTOFカメラの概略図を示す。
図1において照射ユニット11は、LEDなどの光源であり、対象物Aと対象物Bは光源からの距離が異なっており、照射ユニット11の発光が照射される対象物である。また、対象物Aと対象物Bからの反射光はそれぞれ固体撮像素子を有するセンサユニット12でセンシングされる。センサユニット12は、固体撮像素子を1画素として2次元平面上に複数を配列したセンサである。
【0048】
間接TOF測定法は、光源により信号光として高周波、例えば10MHzで変調した光(高周波変調光)を対象物Aまたは対象物Bに照射して高周波変調光由来の反射光を信号としてとらえ、照射ユニット11からの高周波変調光と、反射光との位相のずれから対象物Aまたは対象物Bとセンサユニット12及び照射ユニット11との距離を計測するものである。
【0049】
位相のずれを判定し、計測する際には、相関及び評価ユニット14を用いてセンサユニット12で得られたデータと信号発生ユニット13のデータを用いて行う。なお、照射ユニット11は信号発生ユニット13からの指示により発光させる。
【0050】
位相のずれ、即ち位相遅延は、周期長及び光速を使用して、測定される距離に変換される。1画素ごとに行われることにより、対象物Aと対象物Bの距離の違いが算出できる。
【0051】
本明細書では、TOFカメラは、センサユニット12だけでなく、照射ユニット11、相関及び評価ユニット14、信号発生ユニット13などを含めたデバイスを指し、撮像装置と呼ぶこととする。
【発明の効果】
【0052】
深層学習を用いて、ノイズの多い距離画像から高精度の距離画像を得ることができる。従って、距離画像データを利用する無人走行車や、産業用ロボットなどの製造機械に用いる場合にも有用である。
【0053】
例えば、TOFカメラを車載する場合、ニューラルネットワークによる学習で得られたモデルとパラメータを車載のマイクロコンピュータもしくはマイクロプロセッサ(以下、マイコンとも呼ぶ)などに移植することで、車からの距離画像を推定し、その距離画像が出力可能になる。
【0054】
単結晶シリコンを用いたトランジスタのオフ時のリークによるノイズを低減し、高い時間分解能を実現することができる。
【0055】
TOFカメラで用いられる半導体回路の集積化または小型化を実現できる。
【図面の簡単な説明】
【0056】
【
図2】
図2Aは本発明の一態様を示す回路図の一例であり、
図2Bはタイミングチャートを示す図である。
【
図3】
図3は本発明の一態様を示すポテンシャル図の一例である。
【
図4】
図4は本発明の一態様を示す回路図の一例である。
【
図5】
図5は本発明の一態様を示すタイミングチャートを示す図の一例である。
【
図6】
図6Aは、本発明の一態様を示す固体撮像素子の上面図であり、
図6Bは断面図である。
【
図7】
図7は本発明の一態様を示す固体撮像素子の断面図である。
【
図8】
図8Aは、本発明の一態様を示す固体撮像素子に用いるトランジスタを説明する上面図であり
図8Bは断面図である。
【
図9】
図9Aは本発明の一態様を示す固体撮像素子に用いるトランジスタの断面図であり、
図9Bはトランジスタの酸化物半導体層130の上面図を示しており、
図9C及び
図9Dは断面図である。
【
図12】
図12はU-Netネットワークアーキテクチャの模式図である。
【発明を実施するための形態】
【0057】
以下では、本発明の実施の形態について図面を用いて詳細に説明する。ただし、本発明は以下の説明に限定されず、その形態および詳細を様々に変更し得ることは、当業者であれば容易に理解される。また、本発明は以下に示す実施の形態の記載内容に限定して解釈されるものではない。
【0058】
(実施の形態1)
図2Aに一つの画素構成を示す回路図を示す。
図2Aに示す画素回路は、フォトダイオードと複数のトランジスタと容量を少なくとも有する。フォトダイオードのカソードがトランジスタ22のソースまたはドレインの一方と電気的に接続する。トランジスタ22は、ゲートが配線TX1と電気的に接続し、ソースまたはドレインの他方が容量41の一方の電極、トランジスタ25のソースまたはドレインの一方、及びトランジスタ31のゲートと電気的に接続する。トランジスタ25のソースまたはドレインの一方は、配線VRSと電気的に接続される。
【0059】
一つの画素として、一つのフォトダイオード(PD)とリセット用の1つのトランジスタ(21)と電荷転送用の3つのトランジスタ(22、23、24)は、シリコンウェハーに作りこみ、その上の層に酸化物半導体を用いたトランジスタ(25、26、27)を積層する。容量41、42、43は、シリコンウェハーに作りこんでもよいし、その上の層に作製してもよい。
【0060】
電荷転送用の3つのトランジスタ(22、23、24)は、それぞれ保持ノードFDが接続される。保持ノードにため込むタイミングを変えることで時間を測定する。保持ノードに電荷をため込みたいタイミング以外ではリセット用のトランジスタ21でフォトダイオードPDをリセットする。また、
図2Bに配線TX1、TX2、TX3、TX4に印加する信号のタイミングチャートの一例を示す。
【0061】
従来では、フォトダイオードと読み出し回路をシリコンウェハーに作りこむため、フォトダイオードの占有面積と読み出し回路の占有面積とを合計したチップの総面積となっている。なお、トランジスタ31、32、33は、読み出し回路の一部である。本実施の形態では、トランジスタ31、32、33及び容量41、42、43は、受光領域と重ならない箇所のシリコンウェハーに作り、電気的に接続する。
【0062】
また、読み出し回路またはその一部を酸化物半導体を用いたトランジスタで構成することで、積層することによる占有面積の縮小が図れる。従って、埋め込みフォトダイオードの受光領域である占有面積の拡大や、チップ全体の縮小化を実現することもできる。
【0063】
また、Siの埋め込みフォトダイオードを使用する場合、ポテンシャル図を
図3に示す。ポテンシャル図において、図の下方向(深さ方向)が電位(ポテンシャル)の正方向として表現している。FDに電荷をためている場合のリークパスはフォトダイオードPDからトランジスタ22を介して保持ノードFDまでの経路(
図3中の点線矢印45)と、保持ノードFDからトランジスタ25を介して配線VRSまでの経路(
図3中の点線矢印46)の2か所である。トランジスタ25のゲートRSによって配線VRSから保持ノードFDへの電荷の供給が制御される。フォトダイオードPDからの第1のリークパスは配線TX4にて、リセットしていればほとんど問題ないはずであるが、第2のリークパスである保持ノードFDから配線VRSへのリークは問題である。その解決のために本実施の形態では、酸化物半導体を用いたトランジスタを用いている。酸化物半導体を用いたトランジスタ25はリークが少ないので、リークによるノイズが低減し、高精度な測定が可能である。
【0064】
また、フォトダイオードPDに代えて、埋め込みフォトダイオードよりも強度が低いエネルギーでも検出できるアバランシェフォトダイオードを用いることもできる。
【0065】
また、本実施の形態では、電荷転送用のトランジスタ(22、23、24)を3つとした例を示したが特に限定されず、2つ、または4つ以上のトランジスタとしてもよい。
【0066】
また、シリコンウェハーを用いる例を示しているが、特にシリコンに限定されない。例えば、化合物半導体基板を用いることもできる。
【0067】
(実施の形態2)
本実施の形態では、フォトダイオードとして、PINフォトダイオードよりも小さい光エネルギーでも検出できるアバランシェフォトダイオードを用いる例を以下に示す。
【0068】
図4にアバランシェフォトダイオードAPDを用いる画素回路の一例を示す。また、
図5に配線TX1、TX2、TX3、TX4に印加する信号のタイミングチャートの一例を示す。アバランシェフォトダイオードAPDは、カソードに負電圧を加えることによって、素子内部に発生したキャリアの増倍機能を有し、印加バイアスに応じた増倍率を得ることができる。
【0069】
アバランシェフォトダイオードAPDを使用する場合でも、入射フォトン数が少ない場合には、複数回測定して積算することで、ノイズを減らすことができる。積算する場合、保持ノードFD側の容量がアバランシェフォトダイオードAPD側の容量に比べて十分に大きいなら繰り返しの蓄積が可能である。
【0070】
本実施の形態では、アバランシェフォトダイオードAPD側の容量が大きい場合であるので、容量を減らすためにアバランシェフォトダイオードAPD側にトランジスタ44を追加している。トランジスタ22、23、24の配線(TX1、TX2、TX3のいずれか一)をHighにして電荷を転送する際にこのトランジスタ44のゲートTRを制御してオフ状態にすることで、容量を低くできる。その場合、アバランシェフォトダイオードAPDに電荷が残ってしまうので、転送のたびにアバランシェフォトダイオードAPDのリセットが必要である。
【0071】
本実施の形態では、トランジスタ44は、電荷転送用の3つのトランジスタ(22、23、24)と同様に、シリコンウェハーに作りこむ。また、酸化物半導体を用いたトランジスタ(25、26、27)は、そのシリコンウェハーの上方に作製する。読み出し回路などの駆動回路の一部に酸化物半導体を用いたトランジスタで構成することにより、1つの画素サイズを小さくできる。また、読み出し回路などの駆動回路の一部を酸化物半導体を用いたトランジスタで構成することにより、同じ画素サイズで比較した場合、受光領域の面積を広くすることができる。
【0072】
このデバイスを用いることで、直接TOF計測法を用いた距離画像センサを作製することができる。
【0073】
また、本実施の形態では、電荷転送用のトランジスタ(22、23、24)を3つとした例を示したが特に限定されず、2つ、または4つ以上のトランジスタとしてもよい。
【0074】
(実施の形態3)
実施の形態1に示したシリコンウェハーに作りこまれたフォトダイオードを含む固体撮像素子の一例を示す。
【0075】
図6Aは、p型のシリコンシリコンウェハーに不純物元素などを添加し、形成されたn型領域である複数の電荷蓄積領域64、電荷排出領域65、フォトダイオードの受光領域90、複数の転送ゲート対を配置したレイアウトの一例である。
図6Aには示していないが、点線で囲んだ受光領域の上方には受光領域90と重なる領域が開口となる遮光板が配置され、固定されている。なお、
図6Aでは、簡略化のため、遮光板の下方であり、且つ、シリコンウェハー上に形成された酸化物半導体を用いたトランジスタのレイアウトは図示していない。遮光板の下方であれば、シリコンウェハー上に絶縁層を介して酸化物半導体を用いたトランジスタを設置することができ、集積化することができる。
【0076】
また、
図6A及び
図6Bにおいて、複数の転送ゲート対や、配線TX1、TX2、TX3、TX4を島状に図示しているが、フローティング状態の電極ではなく、上方においてそれぞれ配線が接続されており、それぞれ所望の電圧を印加できるように配線がレイアウトされている。
【0077】
また、受光領域90の上方、且つ、遮光板91の開口と重なる位置にマイクロレンズを設けてもよい。マイクロレンズは、光源から離れた対象物からの反射光を集光して受光領域90に照射させることができる。なお、
図6Aでは受光領域と重なる開口を有する遮光板は図示せず、省略している。
【0078】
また、
図6Bは、
図6A中の一点鎖線で切断した断面模式図を示している。
【0079】
図6Bにおいて、受光領域90は、受光しやすいように受光領域90と重なる位置のいくつかの絶縁層(絶縁層の積層)を選択的に除去し、絶縁層の積層に開口を有している。絶縁層の積層に開口を形成するプロセスは、酸化物半導体を用いたトランジスタの作製プロセスと同一工程で形成できるため、工程数の増加はほとんどない。受光領域90上方に本実施の形態では、受光領域90と重なる位置の絶縁層の積層に起因する屈折率の影響を低減するため開口を設けたが、対象物からの反射した赤外線が十分に受光できるのであれば、開口は設けなくてもよい。
図6Bにおいて、受光領域90は、第1の絶縁層70、第2の絶縁層75の積層のみで覆われている。第1の絶縁層70、第2の絶縁層75は、透光性の高い絶縁無機材料、例えば酸化シリコンで作製される。また、第1の絶縁層70は、フィールド酸化膜を用いることもできる。第1の絶縁層70、第2の絶縁層75の上面は、必要に応じてCMP(Chemical Mechanical Polishing)法等で平坦化処理を行うことが好ましい。
【0080】
また、各トランジスタを分離するため、pウェル領域66によって素子分離を行う。また、pウェル領域66はガードリングを形成することもできる。
【0081】
受光領域90は、シリコンウェハーに埋め込まれている構造となっている。
図6Bに示すようにウェハー自体のp型領域60、その上にp-領域61、n型表面埋込領域62、p+領域63、第1の絶縁層70、第2の絶縁層75が積層されている。n型表面埋込領域62で多数キャリアが発生するフォトダイオード構造となっている。n型表面埋込領域62の空乏化電位を順次変化させることにより、多数キャリアの移動先を3箇所の電荷蓄積領域64のいずれか一に設定するよう制御して距離画像が撮像される。制御は、配線TX1、TX2、TX3、TX4及び第1の転送ゲート対71、第2の転送ゲート対72、第3の転送ゲート対73、第4の転送ゲート対74にそれぞれ印加する電圧などを適宜調節して行う。
【0082】
なお、配線TX1、TX2、TX3、TX4で多数キャリアの移動を制御できるのであれば、特に第1の転送ゲート対71、第2の転送ゲート対72、第3の転送ゲート対73、第4の転送ゲート対74は、設けなくともよい。
【0083】
図6Bにおいては酸化物半導体を用いたトランジスタが配置されていないため、酸化物半導体を用いたトランジスタ25が配置されて
図6Bと一部対応する断面構造の一例を
図7に示す。
図7は、
図6Bと用いている絶縁層と同一であり、同じ箇所には同じ符号を用いて説明する。
【0084】
図6A、
図6Bにおいて、第1の転送ゲート対71、第2の転送ゲート対72、第3の転送ゲート対73、第4の転送ゲート対74は、ポリシリコン配線または金属配線を用いる。
【0085】
第1の転送ゲート対71、第2の転送ゲート対72、第3の転送ゲート対73、第4の転送ゲート対74にそれぞれ電圧を加えることによって、受光領域90で発生した光電子を電荷蓄積領域64に高速に転送する補助を行う。
【0086】
リセット用のトランジスタは、受光領域90の電位を初期化するリセットトランジスタとして機能させることができる。リセット用のトランジスタのゲートである配線TX4に電圧を加えることによって、電荷を高速に電荷排出領域65に移動させ、電荷排出することでリセットが行われる。なお、配線TX4をゲートとするトランジスタは、公知のCMOS作製工程により作製される。また、配線TX1、TX2、TX3をゲートとするトランジスタも公知のCMOS作製工程により作製される。本実施の形態では1つの画素に3つの電荷蓄積領域64と1つの電荷排出領域65を示す構成を示したが特に限定されず、電荷排出領域を複数設けてもよい。また、電荷蓄積領域64と電荷排出領域65は同じ工程で作製されるn+領域であり、電荷排出領域にリセット用トランジスタを接続しており、区別するために呼び名を変えているに過ぎない。
【0087】
図7では、シリコンウェハーに埋め込まれて形成されるトランジスタのうち、配線TX1をゲートとするトランジスタが図示されており、電荷蓄積領域64がソース領域またはドレイン領域として機能している。また、配線TX1をゲートとするトランジスタは、酸化物半導体を用いたトランジスタ25のソース電極またはドレイン電極の一方と電気的に接続し、その一方は、保持ノードFDとして機能し、他方は接続電極76を介して配線VRSと電気的に接続する。また、酸化物半導体を用いたトランジスタ25は、電荷蓄積領域64と一部重なっている。電荷蓄積領域上に酸化物半導体層を用いたトランジスタを積層し、一部を重ねることで、回路面積を縮小することができ、チップの小型化が図れる。
【0088】
本実施の形態で示した固体撮像素子は、電荷転送用のトランジスタが3つある構造であり、電荷蓄積の保持ノードを3つもち、実施の形態1に示した
図2に示す回路と対応する素子である。
【0089】
なお、
図7において、トランジスタ25はバックゲートを有する形態を例示しているが、バックゲートを有さない形態であってもよい。当該バックゲートは、対向して設けられるトランジスタのフロントゲートと電気的に接続する場合がある。または、当該バックゲートにフロントゲートとは異なる固定電位が供給される場合がある。
【0090】
トランジスタ25には、活性層を酸化物半導体で形成したトランジスタ(以下、OSトランジスタ)を用いることができる。
【0091】
OSトランジスタは極めて低いオフ電流特性を有するため、撮像のダイナミックレンジを拡大することができる。
【0092】
また、トランジスタ25の低いオフ電流特性によって電荷蓄積領域64で電荷を保持できる期間を極めて長くすることができる。また、リークを低減することができる。
【0093】
また、OSトランジスタは、チャネル形成領域にシリコンを用いたトランジスタ(以下、Siトランジスタ)よりも電気特性変動の温度依存性が小さいため、極めて広い温度範囲で使用することができる。したがって、OSトランジスタを有する固体撮像素子および半導体装置は、自動車、航空機、宇宙機などへの搭載にも適している。
【0094】
(実施の形態4)
本実施の形態では、本発明の一態様に用いることのできる酸化物半導体を有するトランジスタについて図面を用いて説明する。なお、本実施の形態における図面では、明瞭化のために一部の要素を拡大、縮小、または省略して図示している。
【0095】
図8A、
図8Bは、本発明の一態様の固体撮像素子に用いるトランジスタの上面図および断面図である。
図8Aは上面図であり、
図8Aに示す一点鎖線B1-B2方向の断面が
図8Bに相当する。また、
図8Aに示す一点鎖線B3-B4方向の断面が
図9Aに相当する。また、一点鎖線B1-B2方向をチャネル長方向、一点鎖線B3-B4方向をチャネル幅方向と呼称する場合がある。また、
図9Bはトランジスタの酸化物半導体層130上面図を示しており、
図9Cは、
図9B中の一点鎖線A1-A2方向の断面に相当し、
図9Dは、
図9B中の一点鎖線A3-A4方向の断面に相当する図である。
【0096】
トランジスタ101は、基板115と接する絶縁層120と、絶縁層120と接する酸化物半導体層130と、酸化物半導体層130と電気的に接続する導電層140および導電層150と、酸化物半導体層130、導電層140および導電層150と接する絶縁層160と、絶縁層160と接する導電層170と、導電層140、導電層150、絶縁層160および導電層170と接する絶縁層175と、絶縁層175と接する絶縁層180と、を有する。また、必要に応じて絶縁層180に平坦化膜としての機能を付加してもよい。
【0097】
ここで、導電層140はソース電極層、導電層150はドレイン電極層、絶縁層160はゲート絶縁膜、導電層170はゲート電極層としてそれぞれ機能することができる。
【0098】
基板115には、半導体基板を用い、例えば単結晶シリコンをチャネル形成領域に有するトランジスタが形成されたシリコン基板、および当該シリコン基板上に絶縁層、配線、コンタクトプラグとしての機能を有する導電体等が形成されたものを用いることができる。
【0099】
絶縁層120は、基板115に含まれる要素からの不純物の拡散を防止する役割を有するほか、酸化物半導体層130に酸素を供給する役割を担うことができる。したがって、絶縁層120は酸素を含む絶縁膜であることが好ましく、化学量論組成よりも多い酸素を含む絶縁膜であることがより好ましい。例えば、昇温脱離ガス分析法(TDS(Thermal Desorption Spectroscopy))にて、酸素原子に換算しての酸素の放出量が1.0×1019atoms/cm3以上である膜とする。なお、上記TDS分析時における膜の表面温度としては100℃以上700℃以下、または100℃以上500℃以下の範囲が好ましい。また、上述のように基板115が他のデバイスが形成された基板である場合、絶縁層120は、層間絶縁膜としての機能も有する。その場合は、表面が平坦になるようにCMP(Chemical Mechanical Polishing)法等で平坦化処理を行うことが好ましい。
【0100】
例えば、絶縁層120には、酸化アルミニウム、酸化マグネシウム、酸化シリコン、酸化窒化シリコン、酸化ガリウム、酸化ゲルマニウム、酸化イットリウム、酸化ジルコニウム、酸化ランタン、酸化ネオジム、酸化ハフニウムおよび酸化タンタルなどの酸化物絶縁膜、窒化シリコン、窒化酸化シリコン、窒化アルミニウム、窒化酸化アルミニウムなどの窒化物絶縁膜、またはこれらの混合材料を用いることができる。また、上記材料の積層であってもよい。
【0101】
なお、本実施の形態では、トランジスタが有する酸化物半導体層130が酸化物半導体層130a、酸化物半導体層130bおよび酸化物半導体層130cを絶縁層120側から順に積んだ三層構造である場合を主として詳細を説明する。
【0102】
なお、酸化物半導体層130が単層の場合は、本実施の形態に示す、酸化物半導体層130bに相当する層を用いればよい。
【0103】
また、酸化物半導体層130が二層の場合は、本実施の形態に示す、酸化物半導体層130aに相当する層および酸化物半導体層130bに相当する層を絶縁層120側から順に積んだ積層を用いればよい。この構成の場合、酸化物半導体層130aと酸化物半導体層130bとを入れ替えることもできる。
【0104】
また、酸化物半導体層130が四層以上である場合は、例えば、本実施の形態で説明する三層構造の酸化物半導体層130に対して他の酸化物半導体層を付加する構成とすることができる。
【0105】
一例としては、酸化物半導体層130bには、酸化物半導体層130aおよび酸化物半導体層130cよりも電子親和力(真空準位から伝導帯下端までのエネルギー)が大きい酸化物半導体を用いる。電子親和力は、真空準位と価電子帯上端とのエネルギー差(イオン化ポテンシャル)から、伝導帯下端と価電子帯上端とのエネルギー差(エネルギーギャップ)を差し引いた値として求めることができる。
【0106】
酸化物半導体層130aおよび酸化物半導体層130cは、酸化物半導体層130bを構成する金属元素を一種以上含み、例えば、伝導帯下端のエネルギーが酸化物半導体層130bよりも、0.05eV、0.07eV、0.1eV、0.15eVのいずれか以上であって、2eV、1eV、0.5eV、0.4eVのいずれか以下の範囲で真空準位に近い酸化物半導体で形成することが好ましい。
【0107】
このような構造において、導電層170に電界を印加すると、酸化物半導体層130のうち、伝導帯下端のエネルギーが最も小さい酸化物半導体層130bにチャネルが形成される。
【0108】
また、酸化物半導体層130aは、酸化物半導体層130bを構成する金属元素を一種以上含んで構成されるため、酸化物半導体層130bと絶縁層120が接した場合の界面と比較して、酸化物半導体層130bと酸化物半導体層130aとの界面には界面準位が形成されにくくなる。該界面準位はチャネルを形成することがあるため、トランジスタのしきい値電圧が変動することがある。したがって、酸化物半導体層130aを設けることにより、トランジスタのしきい値電圧などの電気特性のばらつきを低減することができる。また、当該トランジスタの信頼性を向上させることができる。
【0109】
また、酸化物半導体層130cは、酸化物半導体層130bを構成する金属元素を一種以上含んで構成されるため、酸化物半導体層130bとゲート絶縁膜(絶縁層160)が接した場合の界面と比較して、酸化物半導体層130bと酸化物半導体層130cとの界面ではキャリアの散乱が起こりにくくなる。したがって、酸化物半導体層130cを設けることにより、トランジスタの電界効果移動度を高くすることができる。
【0110】
酸化物半導体層130aおよび酸化物半導体層130cには、例えば、Al、Ti、Ga、Ge、Y、Zr、Sn、La、CeまたはHfを酸化物半導体層130bよりも高い原子数比で含む材料を用いることができる。具体的には、当該原子数比を1.5倍以上、好ましくは2倍以上、さらに好ましくは3倍以上とする。前述の元素は酸素と強く結合するため、酸素欠損が酸化物半導体層に生じることを抑制する機能を有する。すなわち、酸化物半導体層130aおよび酸化物半導体層130cは、酸化物半導体層130bよりも酸素欠損が生じにくいということができる。
【0111】
また、酸化物半導体層130a、酸化物半導体層130b、および酸化物半導体層130cとして用いることのできる酸化物半導体は、少なくともインジウム(In)もしくは亜鉛(Zn)を含むことが好ましい。または、InとZnの双方を含むことが好ましい。また、該酸化物半導体を用いたトランジスタの電気特性のばらつきを減らすため、それらと共に、スタビライザーを含むことが好ましい。
【0112】
スタビライザーとしては、ガリウム(Ga)、スズ(Sn)、ハフニウム(Hf)、アルミニウム(Al)、またはジルコニウム(Zr)等がある。また、他のスタビライザーとしては、ランタノイドである、ランタン(La)、セリウム(Ce)、プラセオジム(Pr)、ネオジム(Nd)、サマリウム(Sm)、ユウロピウム(Eu)、ガドリニウム(Gd)、テルビウム(Tb)、ジスプロシウム(Dy)、ホルミウム(Ho)、エルビウム(Er)、ツリウム(Tm)、イッテルビウム(Yb)、ルテチウム(Lu)等がある。
【0113】
例えば、酸化物半導体として、酸化インジウム、酸化スズ、酸化ガリウム、酸化亜鉛、In-Zn酸化物、Sn-Zn酸化物、Al-Zn酸化物、Zn-Mg酸化物、Sn-Mg酸化物、In-Mg酸化物、In-Ga酸化物、In-Ga-Zn酸化物、In-Al-Zn酸化物、In-Sn-Zn酸化物、Sn-Ga-Zn酸化物、Al-Ga-Zn酸化物、Sn-Al-Zn酸化物、In-Hf-Zn酸化物、In-La-Zn酸化物、In-Ce-Zn酸化物、In-Pr-Zn酸化物、In-Nd-Zn酸化物、In-Sm-Zn酸化物、In-Eu-Zn酸化物、In-Gd-Zn酸化物、In-Tb-Zn酸化物、In-Dy-Zn酸化物、In-Ho-Zn酸化物、In-Er-Zn酸化物、In-Tm-Zn酸化物、In-Yb-Zn酸化物、In-Lu-Zn酸化物、In-Sn-Ga-Zn酸化物、In-Hf-Ga-Zn酸化物、In-Al-Ga-Zn酸化物、In-Sn-Al-Zn酸化物、In-Sn-Hf-Zn酸化物、In-Hf-Al-Zn酸化物を用いることができる。
【0114】
なお、ここで、例えば、In-Ga-Zn酸化物とは、InとGaとZnを主成分として有する酸化物という意味である。また、InとGaとZn以外の金属元素が入っていてもよい。また、本明細書においては、In-Ga-Zn酸化物で構成した膜をIGZO膜とも呼ぶ。
【0115】
また、InMO3(ZnO)m(m>0、且つ、mは整数でない)で表記される材料を用いてもよい。なお、Mは、Ga、Y、Zr、La、Ce、またはNdから選ばれた一つの金属元素または複数の金属元素を示す。また、In2SnO5(ZnO)n(n>0、且つ、nは整数)で表記される材料を用いてもよい。
【0116】
なお、酸化物半導体層130a、酸化物半導体層130b、酸化物半導体層130cが、少なくともインジウム、亜鉛およびM(Al、Ti、Ga、Ge、Y、Zr、Sn、La、CeまたはHf等の金属)を含むIn-M-Zn酸化物であるとき、酸化物半導体層130aをIn:M:Zn=x1:y1:z1[原子数比]、酸化物半導体層130bをIn:M:Zn=x2:y2:z2[原子数比]、酸化物半導体層130cをIn:M:Zn=x3:y3:z3[原子数比]とすると、y1/x1およびy3/x3がy2/x2よりも大きくなることが好ましい。y1/x1およびy3/x3はy2/x2よりも1.5倍以上、好ましくは2倍以上、さらに好ましくは3倍以上とする。このとき、酸化物半導体層130bにおいて、y2がx2以上であるとトランジスタの電気特性を安定させることができる。ただし、y2がx2の3倍以上になると、トランジスタの電界効果移動度が低下してしまうため、y2はx2の3倍未満であることが好ましい。
【0117】
酸化物半導体層130aおよび酸化物半導体層130cにおけるZnおよびOを除いた場合において、InおよびMの原子数比率は、好ましくはInが50atomic%未満、Mが50atomic%以上、さらに好ましくはInが25atomic%未満、Mが75atomic%以上とする。また、酸化物半導体層130bのZnおよびOを除いてのInおよびMの原子数比率は、好ましくはInが25atomic%以上、Mが75atomic%未満、さらに好ましくはInが34atomic%以上、Mが66atomic%未満とする。
【0118】
また、酸化物半導体層130bは、酸化物半導体層130aおよび酸化物半導体層130cよりもインジウムの含有量を多くするとよい。酸化物半導体では主として重金属のs軌道がキャリア伝導に寄与しており、Inの含有率を多くすることにより、より多くのs軌道が重なるため、InがMよりも多い組成となる酸化物はInがMと同等または少ない組成となる酸化物と比較して移動度が高くなる。そのため、酸化物半導体層130bにインジウムの含有量が多い酸化物を用いることで、高い電界効果移動度のトランジスタを実現することができる。
【0119】
酸化物半導体層130aの厚さは、3nm以上100nm以下、好ましくは5nm以上50nm以下、さらに好ましくは5nm以上25nm以下とする。また、酸化物半導体層130bの厚さは、3nm以上200nm以下、好ましくは10nm以上150nm以下、さらに好ましくは15nm以上100nm以下とする。また、酸化物半導体層130cの厚さは、1nm以上50nm以下、好ましくは2nm以上30nm以下、さらに好ましくは3nm以上15nm以下とする。また、酸化物半導体層130bは、酸化物半導体層130aおよび酸化物半導体層130cより厚い方が好ましい。
【0120】
なお、酸化物半導体層をチャネルとするトランジスタに安定した電気特性を付与するためには、酸化物半導体層中の不純物濃度を低減し、酸化物半導体層を真性または実質的に真性にすることが有効である。ここで、実質的に真性とは、酸化物半導体層のキャリア密度が、1×1017/cm3未満であること、好ましくは1×1015/cm3未満であること、さらに好ましくは1×1013/cm3未満であることを指す。
【0121】
また、酸化物半導体層において、水素、窒素、炭素、シリコン、および主成分以外の金属元素は不純物となる。例えば、水素および窒素はドナー準位の形成に寄与し、キャリア密度を増大させてしまう。また、シリコンは酸化物半導体層中で不純物準位の形成に寄与する。当該不純物準位はトラップとなり、トランジスタの電気特性を劣化させることがある。したがって、酸化物半導体層130a、酸化物半導体層130bおよび酸化物半導体層130cの層中や、それぞれの界面において不純物濃度を低減させることが好ましい。
【0122】
酸化物半導体層を真性または実質的に真性とするためには、SIMS(Secondary Ion Mass Spectrometry)分析において、例えば、酸化物半導体層のある深さにおいて、または、酸化物半導体層のある領域において、シリコン濃度を1×1019atoms/cm3未満、好ましくは5×1018atoms/cm3未満であって、1×1018atoms/cm3以上とする。また、水素濃度は、例えば、酸化物半導体層のある深さにおいて、または、酸化物半導体層のある領域において、2×1020atoms/cm3以下、好ましくは5×1019atoms/cm3以下、より好ましくは1×1019atoms/cm3以下、さらに好ましくは5×1018atoms/cm3以下であって、1×1017atoms/cm3以上とする。また、窒素濃度は、例えば、酸化物半導体層のある深さにおいて、または、酸化物半導体層のある領域において、5×1019atoms/cm3未満、好ましくは5×1018atoms/cm3以下、より好ましくは1×1018atoms/cm3以下、さらに好ましくは5×1017atoms/cm3以下であって、5×1016atoms/cm3以上とする。
【0123】
また、酸化物半導体層が結晶を含む場合、シリコンや炭素が高濃度で含まれると、酸化物半導体層の結晶性を低下させることがある。酸化物半導体層の結晶性を低下させないためには、例えば、酸化物半導体層のある深さにおいて、または、酸化物半導体層のある領域において、シリコン濃度を1×1019atoms/cm3未満、好ましくは5×1018atoms/cm3未満であって、1×1018atoms/cm3以上とする部分を有していればよい。また、例えば、酸化物半導体層のある深さにおいて、または、酸化物半導体層のある領域において、炭素濃度を1×1019atoms/cm3未満、好ましくは5×1018atoms/cm3未満、さらに好ましくは1×1018atoms/cm3未満であって、6×1017atoms/cm3以上とする部分を有していればよい。
【0124】
また、上述のように高純度化された酸化物半導体層をチャネル形成領域に用いたトランジスタのオフ電流は極めて小さい。例えば、ソースとドレインとの間の電圧を0.1V、5V、または、10V程度とした場合に、トランジスタのチャネル幅で規格化したオフ電流を数yA/μm乃至数zA/μmにまで低減することが可能となる。
【0125】
例えば、酸化物半導体層130aおよび酸化物半導体層130cにはIn:Ga:Zn=1:3:2、1:3:3、1:3:4、1:3:6、1:4:5、1:6:4または1:9:6(原子数比)などのIn-Ga-Zn酸化物などを用いることができる。また、酸化物半導体層130bにはIn:Ga:Zn=1:1:1、2:1:3、5:5:6、または3:1:2(原子数比)などのIn-Ga-Zn酸化物などを用いることができる。なお、酸化物半導体層130a、酸化物半導体層130b、および酸化物半導体層130cの原子数比はそれぞれ、誤差として上記の原子数比のプラスマイナス20%の変動を含む。
【0126】
また、
図8Bに示す領域231はソース領域、領域232はドレイン領域、領域233はチャネル形成領域として機能することができる。領域231および領域232は導電層140および導電層150とそれぞれ接しており、例えば導電層140および導電層150として酸素と結合しやすい導電材料を用いれば領域231および領域232を低抵抗化することができる。
【0127】
具体的には、酸化物半導体層130と導電層140および導電層150とが接することで酸化物半導体層130内に酸素欠損が生じ、当該酸素欠損と酸化物半導体層130内に残留または外部から拡散する水素との相互作用により、領域231および領域232は低抵抗のn型となる。
【0128】
ソース電極層として作用する導電層140およびドレイン電極層として作用する導電層150には、例えば、Al、Cr、Cu、Ta、Ti、Mo、W、Ni、Mn、Nd、Sc、および当該金属材料の合金から選ばれた材料の単層、または積層を用いることができる。代表的には、特に酸素と結合しやすいTiや、後のプロセス温度が比較的高くできることなどから、融点の高いWを用いることがより好ましい。また、低抵抗のCuやCu-Mnなどの合金と上記材料との積層を用いてもよい。
【0129】
上記材料は酸化物半導体層から酸素を引き抜く性質を有する。そのため、上記材料と接した酸化物半導体層の一部の領域では酸化物半導体層中の酸素が脱離し、酸素欠損が形成される。膜中に僅かに含まれる水素と当該酸素欠損が結合することにより当該領域は顕著にn型化する。したがって、n型化した当該領域はトランジスタのソースまたはドレインとして作用させることができる。
【0130】
また、導電層140および導電層150にWを用いる場合には、窒素をドーピングしてもよい。窒素をドーピングすることで酸素を引き抜く性質を適度に弱めることができ、n型化した領域がチャネル形成領域まで拡大することを防ぐことができる。
【0131】
また、導電層140および導電層150をn型の半導体層との積層とし、n型の半導体層と酸化物半導体層を接触させることによってもn型化した領域がチャネル形成領域まで拡大することを防ぐことができる。n型の半導体層としては、窒素が添加されたIn-Ga-Zn酸化物、酸化亜鉛、酸化インジウム、酸化スズ、酸化インジウムスズなどを用いることができる。
【0132】
なお、トランジスタの「ソース」や「ドレイン」の機能は、異なる極性のトランジスタを採用する場合や、回路動作において電流の方向が変化する場合などには入れ替わることがある。このため、本明細書においては、「ソース」や「ドレイン」という用語は、入れ替えて用いることができるものとする。また、「電極層」は、「配線」と言い換えることもできる。
【0133】
また、導電層170は、導電層171および導電層172の二層で形成される例を図示しているが、一層または三層以上の積層であってもよい。
【0134】
また、導電層140および導電層150は単層で形成される例を図示しているが、二層以上の積層であってもよい。
【0135】
ゲート絶縁膜として作用する絶縁層160には、酸化アルミニウム、酸化マグネシウム、酸化シリコン、酸化窒化シリコン、窒化酸化シリコン、窒化シリコン、酸化ガリウム、酸化ゲルマニウム、酸化イットリウム、酸化ジルコニウム、酸化ランタン、酸化ネオジム、酸化ハフニウムおよび酸化タンタルを一種以上含む絶縁膜を用いることができる。また、絶縁層160は上記材料の積層であってもよい。なお、絶縁層160に、ランタン(La)、窒素、ジルコニウム(Zr)などを、不純物として含んでいてもよい。
【0136】
また、絶縁層160の積層構造の一例について説明する。絶縁層160は、例えば、酸素、窒素、シリコン、ハフニウムなどを有する。具体的には、酸化ハフニウム、および酸化シリコンまたは酸化窒化シリコンを含むと好ましい。
【0137】
酸化ハフニウムおよび酸化アルミニウムは、酸化シリコンや酸化窒化シリコンと比べて比誘電率が高い。したがって、酸化シリコンを用いた場合と比べて、絶縁層160の膜厚を大きくできるため、トンネル電流によるリーク電流を小さくすることができる。即ち、オフ電流の小さいトランジスタを実現することができる。さらに、結晶構造を有する酸化ハフニウムは、非晶質構造を有する酸化ハフニウムと比べて高い比誘電率を備える。したがって、オフ電流の小さいトランジスタとするためには、結晶構造を有する酸化ハフニウムを用いることが好ましい。結晶構造の例としては、単斜晶系や立方晶系などが挙げられる。ただし、本発明の一態様は、これらに限定されない。
【0138】
また、酸化物半導体層130と接する絶縁層120および絶縁層160は、窒素酸化物の放出量の少ない膜を用いることが好ましい。窒素酸化物の放出量の多い絶縁層と酸化物半導体が接した場合、窒素酸化物に起因する準位密度が高くなることがある。当該窒素酸化物に起因する準位密度は酸化物半導体のエネルギーギャップ内に形成されうる場合がある。絶縁層120および絶縁層160には、例えば、窒素酸化物の放出量の少ない酸化窒化シリコン膜または酸化窒化アルミニウム膜等の酸化物絶縁層を用いることができる。
【0139】
なお、窒素酸化物の放出量の少ない酸化窒化シリコン膜は、TDS法において、窒素酸化物の放出量よりアンモニアの放出量が多い膜であり、代表的にはアンモニアの放出量が1×1018/cm3以上5×1019/cm3以下である。なお、アンモニアの放出量は、膜の表面温度が50℃以上650℃以下、好ましくは50℃以上550℃以下の加熱処理による放出量とする。
【0140】
絶縁層120および絶縁層160として、上記酸化物絶縁層を用いることで、トランジスタのしきい値電圧のシフトを低減することが可能であり、トランジスタの電気特性の変動を低減することができる。
【0141】
ゲート電極層として作用する導電層170には、例えば、Al、Ti、Cr、Co、Ni、Cu、Y、Zr、Mo、Ru、Ag、Mn、Nd、Sc、TaおよびWなどの導電膜を用いることができる。また、上記材料の合金や上記材料の導電性窒化物を用いてもよい。また、上記材料、上記材料の合金、および上記材料の導電性窒化物から選ばれた複数の材料の積層であってもよい。代表的には、タングステン、タングステンと窒化チタンの積層、タングステンと窒化タンタルの積層などを用いることができる。また、低抵抗のCuまたはCu-Mnなどの合金や上記材料とCuまたはCu-Mnなどの合金との積層を用いてもよい。本実施の形態では、導電層171に窒化タンタル、導電層172にタングステンを用いて導電層170を形成する。
【0142】
絶縁層175には、水素を含む窒化シリコン膜または窒化アルミニウム膜などを用いることができる。また、窒化絶縁膜は水分などのブロッキング膜としての作用も有し、トランジスタの信頼性を向上させることができる。
【0143】
また、絶縁層175としては酸化アルミニウム膜を用いることもできる。酸化アルミニウム膜は、水素、水分などの不純物、および酸素の両方に対して膜を透過させない遮断効果が高い。したがって、酸化アルミニウム膜は、トランジスタの作製工程中および作製後において、水素、水分などの不純物の酸化物半導体層130への混入防止、酸素の酸化物半導体層からの放出防止、絶縁層120からの酸素の不必要な放出防止の効果を有する保護膜として用いることに適している。また、酸化アルミニウム膜に含まれる酸素を酸化物半導体層中に拡散させることもできる。
【0144】
また、絶縁層175上には絶縁層180が形成されていることが好ましい。当該絶縁層には、酸化マグネシウム、酸化シリコン、酸化窒化シリコン、窒化酸化シリコン、窒化シリコン、酸化ガリウム、酸化ゲルマニウム、酸化イットリウム、酸化ジルコニウム、酸化ランタン、酸化ネオジム、酸化ハフニウムおよび酸化タンタルを一種以上含む絶縁膜を用いることができる。また、当該絶縁層は上記材料の積層であってもよい。
【0145】
ここで、絶縁層180は絶縁層120と同様に化学量論組成よりも多くの酸素を有することが好ましい。絶縁層180から放出される酸素は絶縁層160を経由して酸化物半導体層130のチャネル形成領域に拡散させることができることから、チャネル形成領域に形成された酸素欠損に酸素を補填することができる。したがって、安定したトランジスタの電気特性を得ることができる。
【0146】
半導体装置を高集積化するにはトランジスタの微細化が必須である。一方、トランジスタの微細化によりトランジスタの電気特性が悪化することが知られており、特にチャネル幅が微細になるとオン電流は著しく低下する。
【0147】
また、本発明の一態様のトランジスタでは、前述したように酸化物半導体層130のチャネル幅方向を電気的に取り囲むようにゲート電極層(導電層170)が形成されているため、酸化物半導体層130に対しては垂直方向からのゲート電界に加えて、側面方向からのゲート電界が印加される。すなわち、チャネル形成層に対して全体的にゲート電界が印加されることになり実効チャネル幅が拡大するため、さらにオン電流を高められる。
【0148】
また、本発明の一態様における酸化物半導体層130が二層または三層のトランジスタでは、チャネルが形成される酸化物半導体層130bを酸化物半導体層130a上に形成することで界面準位を形成しにくくする効果を有する。また、本発明の一態様における酸化物半導体層130が三層のトランジスタでは、酸化物半導体層130bを三層構造の中間に位置する層とすることで上下からの不純物混入の影響を排除できる効果などを併せて有する。そのため、上述したトランジスタのオン電流の向上に加えて、しきい値電圧の安定化や、S値(サブスレッショルド値)を小さくすることができる。したがって、消費電力を低減させることができる。また、トランジスタのしきい値電圧が安定化することから、半導体装置の長期信頼性を向上させることができる。また、本発明の一態様のトランジスタは、微細化にともなう電気特性の劣化が抑えられることから、集積度の高い半導体装置の形成に適しているといえる。
【0149】
なお、本実施の形態で説明した金属膜、半導体膜、無機絶縁膜など様々な膜は、代表的にはスパッタ法やプラズマCVD法により形成することができるが、他の方法、例えば、熱CVD法により形成してもよい。熱CVD法の例としては、MOCVD(Metal Organic Chemical Vapor Deposition)法やALD(Atomic Layer Deposition)法などがある。
【0150】
熱CVD法は、プラズマを使わない成膜方法のため、プラズマダメージにより欠陥が生成されることが無いという利点を有する。
【0151】
また、熱CVD法では、原料ガスと酸化剤を同時にチャンバー内に送り、チャンバー内を大気圧または減圧下とし、基板近傍または基板上で反応させて基板上に堆積させることで成膜を行ってもよい。
【0152】
ALD法は、チャンバー内を大気圧または減圧下とし、反応のための原料ガスが順次にチャンバーに導入され、そのガス導入の順序を繰り返すことで成膜を行ってもよい。例えば、それぞれのスイッチングバルブ(高速バルブとも呼ぶ)を切り替えて2種類以上の原料ガスを順番にチャンバーに供給し、複数種の原料ガスが混ざらないように第1の原料ガスと同時またはその後に不活性ガス(アルゴン、或いは窒素など)などを導入し、第2の原料ガスを導入する。なお、同時に不活性ガスを導入する場合には、不活性ガスはキャリアガスとなり、また、第2の原料ガスの導入時にも同時に不活性ガスを導入してもよい。また、不活性ガスを導入する代わりに真空排気によって第1の原料ガスを排出した後、第2の原料ガスを導入してもよい。第1の原料ガスが基板の表面に吸着して第1の層を成膜し、後から導入される第2の原料ガスと反応して、第2の層が第1の層上に積層されて薄膜が形成される。このガス導入順序を制御しつつ所望の厚さになるまで複数回繰り返すことで、段差被覆性に優れた薄膜を形成することができる。薄膜の厚さは、ガス導入順序を繰り返す回数によって調節することができるため、精密な膜厚調節が可能であり、微細なFETを作製する場合に適している。
【0153】
MOCVD法やALD法などの熱CVD法は、これまでに記載した実施形態に開示された金属膜、半導体膜、無機絶縁膜など様々な膜を形成することができ、例えば、In-Ga-Zn-O膜を成膜する場合には、トリメチルインジウム、トリメチルガリウム、およびジメチル亜鉛を用いることができる。なお、トリメチルインジウムの化学式は、In(CH3)3である。また、トリメチルガリウムの化学式は、Ga(CH3)3である。また、ジメチル亜鉛の化学式は、Zn(CH3)2である。また、これらの組み合わせに限定されず、トリメチルガリウムに代えてトリエチルガリウム(化学式Ga(C2H5)3)を用いることもでき、ジメチル亜鉛に代えてジエチル亜鉛(化学式Zn(C2H5)2)を用いることもできる。
【0154】
例えば、ALDを利用する成膜装置により酸化ハフニウム膜を形成する場合には、溶媒とハフニウム前駆体化合物を含む液体(ハフニウムアルコキシド溶液や、テトラキスジメチルアミドハフニウム(TDMAH)などのハフニウムアミド)を気化させた原料ガスと、酸化剤としてオゾン(O3)の2種類のガスを用いる。なお、テトラキスジメチルアミドハフニウムの化学式はHf[N(CH3)2]4である。また、他の材料液としては、テトラキス(エチルメチルアミド)ハフニウムなどがある。
【0155】
例えば、ALDを利用する成膜装置により酸化アルミニウム膜を形成する場合には、溶媒とアルミニウム前駆体化合物を含む液体(トリメチルアルミニウムTMAなど)を気化させた原料ガスと、酸化剤としてH2Oの2種類のガスを用いる。なお、トリメチルアルミニウムの化学式はAl(CH3)3である。また、他の材料液としては、トリス(ジメチルアミド)アルミニウム、トリイソブチルアルミニウム、アルミニウムトリス(2,2,6,6-テトラメチル-3,5-ヘプタンジオナート)などがある。
【0156】
例えば、ALDを利用する成膜装置により酸化シリコン膜を形成する場合には、ヘキサクロロジシランを被成膜面に吸着させ、吸着物に含まれる塩素を除去し、酸化性ガス(O2、一酸化二窒素)のラジカルを供給して吸着物と反応させる。
【0157】
例えば、ALDを利用する成膜装置によりタングステン膜を成膜する場合には、WF6ガスとB2H6ガスを順次繰り返し導入して初期タングステン膜を形成し、その後、WF6ガスとH2ガスを順次繰り返し導入してタングステン膜を形成する。なお、B2H6ガスに代えてSiH4ガスを用いてもよい。
【0158】
例えば、ALDを利用する成膜装置により酸化物半導体膜、例えばIn-Ga-Zn-O膜を成膜する場合には、In(CH3)3ガスとO3ガスを順次繰り返し導入してIn-O層を形成し、その後、Ga(CH3)3ガスとO3ガスを順次繰り返し導入してGaO層を形成し、更にその後Zn(CH3)2ガスとO3ガスを順次繰り返し導入してZnO層を形成する。なお、これらの層の順番はこの例に限らない。また、これらのガスを混ぜてIn-Ga-O層やIn-Zn-O層、Ga-Zn-O層などの混合化合物層を形成しても良い。なお、O3ガスに替えてAr等の不活性ガスで水をバブリングして得られたたH2Oガスを用いても良いが、Hを含まないO3ガスを用いる方が好ましい。また、In(CH3)3ガスにかえて、In(C2H5)3ガスを用いても良い。また、Ga(CH3)3ガスにかえて、Ga(C2H5)3ガスを用いても良い。また、Zn(CH3)2ガスを用いても良い。
【0159】
本実施の形態に示す構成は、他の実施の形態に示す構成と適宜組み合わせて用いることができる。
【0160】
(実施の形態5)
本実施の形態では、AI(Artificial Intelligence)システムと、
図1に示したTOFカメラとを組み合わせる一例を
図10、
図11、及び
図12を用いて説明する。
【0161】
図10Aは、距離推定装置、具体的には推定部に学習モデルを構築するフローの一例を示している。
【0162】
まず、教師データを得るために、TOFカメラを用いて距離画像データを取得する。(ステップ1:S1)
【0163】
そして、積算回数の多い距離画像データと、少ない距離画像データを収集する。(ステップ2:S2)
【0164】
そして、積算回数の多い距離画像データを教師データとして学習させて学習モデルを推定部に構築する。(ステップ3:S3)
【0165】
予め、
図10Aに示すフローで学習させた学習モデルを推定部に構築しておいた状態で、
図10Bに示すフローに従って所望の距離画像データを得る。
【0166】
まず、TOFカメラを用いて積算回数の少ない距離画像データを取得する。(ステップ4:S4)
【0167】
そして予め構築されている学習モデルを用いて推定値を得る。(ステップ5:S5)具体的には、入力された画像データの各画素の各ピクセルについての距離レベル(測定区間ともよべる)ごとの確率を生成する。例えば1m以上45m未満の確率20%、45m以上90m未満の確率70%、90m以上135m未満の確率10%というように複数の距離レベルのそれぞれについての確率マップを作成することができる。
【0168】
最後に学習結果に基づき、積算回数の少ない距離画像データを加工する。(ステップ6:S6)出力結果として、確率の高いものが選択され、最終的には積算回数の多い距離画像データと同等またはそれ以上の距離画像データを得ることができる。
【0169】
また、ステップ6におけるデータの加工手順を示すブロック図が
図11である。
【0170】
従来のTOFカメラは、分解能を向上させるために、測定を何度も繰り返し、積算し、平均値処理を行う場合もある。即ち、積算回数を多くして平均化することでノイズを低減しようとしている。本実施の形態では、TOFカメラの固体撮像素子の受光領域から発生するキャリアに基づいて受光期間別に積算した電荷量のデータを用いる。このデータを積算回数の少ない距離画像データ(入力データ)と呼ぶ。この積算回数の少ない距離画像データは、画像生成部で得られる。
【0171】
また、積算回数の少ない距離画像データに推定部で推定を行いやすくするために前処理を行ってもよい。
【0172】
図11に示すように、この入力データを入力部100で記憶し、推定部102で画像加工を行い、出力部103において精度が最も高くなるような学習モデルを用いる。さらに、ノイズが少なくなるような学習モデルを用いることが好ましい。
【0173】
本実施の形態では、学習モデルとして、U-netを用いて、学習させた内容を基に判別を行う。この場合、推定部102は、U-netに類似するU字型のショートカット構造(入れ子状構造)を有する。推定部102は、畳み込み層、プーリング層、及び活性化層によって、要素数を減少させながら特徴マップを作成する。そして、入力データ110を複数回ダウンサンプリングした後、複数回アップサンプリングしてデプスマップを得ている。
【0174】
図12は、U-Netネットワークアーキテクチャの模式図である。
図12では、5段階の学習処理を一例に示したが、特に限定されず、必要に応じて2段階、3段階、4段階、6段階以上の学習処理を実行してもよい。
【0175】
入力データ110の特徴量(または注目領域)を抽出、いわゆる畳み込みを行い、複数のデプスマップ111を得ることができる。
【0176】
入力データ110またはデプスマップ111の特徴量(または注目領域)から、測定空間の物体の推定を行うこともできる。学習モデルを用いて抽出された特徴量から測定空間の対象物の形を推定し、対象物が何であるのかの確率が高ければ、対象物の形を推定し、距離の相対値の予測ができる。それによって距離画像の精度を上げることもできる。
【0177】
また、学習用のTOFカメラの性能よりも解像度の低いTOFカメラを用いることもできる。解像度の低いTOFカメラであっても学習モデルに用いている学習データが、高精度のTOFカメラによって得られていれば、出力結果は高精度のTOFカメラを用いた場合の結果に近似させることができる。また、学習データのノイズを除去する画像処理を学習データに行うことで、よりよい出力結果を得ることができる。
【0178】
具体的には、高精度のTOFカメラとは、画素数が多いだけでなく、1画素あたりの受光面積が大きい場合も指している。従って、1画素あたりの受光面積が小さいTOFカメラであっても本実施の形態を用いれば、1画素あたりの受光面積が大きいTOFカメラと同等またはそれ以上の出力結果である精度の高いデプスマップ112を得ることができる。
【0179】
また、本実施の形態は、静止画だけでなく、動画においても有用である。積算回数が少ないデータを入力データに用いることができるため、高いフレーム周波数でのデータ取得ができ、動画に適している。
【0180】
(実施の形態6)
本発明の一態様に係る距離推定装置または本発明の一態様に係る撮像装置を備えた電子機器の例について
図13を用いて説明を行う。
【0181】
本発明の一態様に係る距離推定装置または本発明の一態様に係る撮像装置を用いた電子機器として、テレビ、モニタ等の表示装置、照明装置、デスクトップ型或いはノート型のパーソナルコンピュータ、ワードプロセッサ、DVD(Digital Versatile Disc)などの記録媒体に記憶された静止画又は動画を再生する画像再生装置、ポータブルCDプレーヤ、ラジオ、テープレコーダ、ヘッドホンステレオ、ステレオ、置き時計、壁掛け時計、コードレス電話子機、トランシーバ、携帯電話、自動車電話、携帯型ゲーム機、タブレット型端末、パチンコ機などの大型ゲーム機、電卓、携帯可能な情報端末(「携帯情報端末」ともいう。)、電子手帳、電子書籍端末、電子翻訳機、音声入力機器、ビデオカメラ、デジタルスチルカメラ、電気シェーバ、電子レンジ等の高周波加熱装置、電気炊飯器、電気洗濯機、電気掃除機、温水器、扇風機、毛髪乾燥機、エアコンディショナー、加湿器、除湿器などの空調設備、食器洗い器、食器乾燥器、衣類乾燥器、布団乾燥器、電気冷蔵庫、電気冷凍庫、電気冷凍冷蔵庫、DNA保存用冷凍庫、懐中電灯、チェーンソーなどの工具、煙感知器、透析装置などの医療機器などが挙げられる。さらに、誘導灯、信号機、ベルトコンベア、エレベータ、エスカレータ、産業用ロボット、電力貯蔵システム、電力の平準化やスマートグリッドのための蓄電装置などの産業機器が挙げられる。
【0182】
また、蓄電装置からの電力を用いて電動機により推進する移動体なども、電子機器の範疇に含まれるものとする。上記移動体として、例えば、電気自動車(EV)、内燃機関と電動機を併せ持ったハイブリッド車(HV)、プラグインハイブリッド車(PHV)、これらのタイヤ車輪を無限軌道に変えた装軌車両、電動アシスト自転車を含む原動機付自転車、自動二輪車、電動車椅子、ゴルフ用カート、小型又は大型船舶、潜水艦、ヘリコプター、航空機、ロケット、人工衛星、宇宙探査機や惑星探査機、宇宙船などが挙げられる。
【0183】
電子機器は、センサ(力、変位、位置、速度、加速度、角速度、回転数、距離、光、液、磁気、温度、化学物質、音声、時間、硬度、電場、電流、電圧、電力、放射線、流量、湿度、傾度、振動、においまたは赤外線を測定する機能を含むもの)などを有していてもよい。
【0184】
【0185】
図13Aに、腕時計型の携帯情報端末の一例を示す。携帯情報端末6100は、筐体6101、表示部6102、バンド6103、操作ボタン6105などを備える。また、携帯情報端末6100は、その内部に二次電池と、本発明の一態様に係る撮像装置または電子部品を備える。例えば、腕時計型の携帯情報端末の一部に本発明の一態様に係る距離推定装置または本発明の一態様に係る撮像装置を設置してTOFカメラを内蔵することができる。
【0186】
図13Bは、携帯電話機の一例を示している。携帯情報端末6200は、筐体6201に組み込まれた表示部6202の他、操作ボタン6203、スピーカ6204、マイクロフォン6205などを備えている。
【0187】
また、携帯情報端末6200は、表示部6202と重なる領域に指紋センサ6209を備える。指紋センサ6209は有機光センサであってもよい。指紋は個人によって異なるため、指紋センサ6209で指紋パターンを取得して、個人認証を行うことができる。指紋センサ6209で指紋パターンを取得するための光源として、表示部6202から発せられた光を用いることができる。
【0188】
また、携帯情報端末6200は、その内部に二次電池と、本発明の一態様に係る撮像装置または電子部品を備える。例えば、携帯情報端末6200の一部に本発明の一態様に係る撮像装置を設置してTOFカメラを内蔵することができる。TOFカメラを用いて使用者の姿(顔などの凹凸を含む)に対応する情報を取得して、個人認証を行うことができる。
【0189】
図13Cは、掃除ロボットの一例を示している。掃除ロボット6300は、筐体6301上面に配置された表示部6302、側面に配置された複数のカメラ6303、ブラシ6304、操作ボタン6305、各種センサなどを有する。図示されていないが、掃除ロボット6300には、タイヤ、吸い込み口等が備えられている。掃除ロボット6300は自走し、ゴミ6310を検知し、下面に設けられた吸い込み口からゴミを吸引することができる。
【0190】
例えば、掃除ロボット6300は、カメラ6303が撮影した画像を解析し、壁、家具または段差などの障害物の有無を判断することができる。また、画像解析により、配線などブラシ6304に絡まりそうな物体を検知した場合は、ブラシ6304の回転を止めることができる。カメラ6303は複数種類の方式の撮像装置を用いてもよく、本発明の一態様に係る距離推定装置または本発明の一態様に係る撮像装置をカメラ6303の一つに用いることで、撮像された情報から距離情報を取得し、掃除ロボット6300の誤動作を低減できる。
【0191】
図13Dは、ロボットの一例を示している。
図13Dに示すロボット6400は、演算装置6409、照度センサ6401、マイクロフォン6402、上部カメラ6403、スピーカ6404、表示部6405、下部カメラ6406、障害物センサ6407、および移動機構6408を備える。
【0192】
マイクロフォン6402は、使用者の話し声及び環境音等を検知する機能を有する。また、スピーカ6404は、音声を発する機能を有する。ロボット6400は、マイクロフォン6402およびスピーカ6404を用いて、使用者とコミュニケーションをとることが可能である。
【0193】
表示部6405は、種々の情報の表示を行う機能を有する。ロボット6400は、使用者の望みの情報を表示部6405に表示することが可能である。表示部6405は、タッチパネルを搭載していてもよい。また、表示部6405は取り外しのできる情報端末であっても良く、ロボット6400の定位置に設置することで、充電およびデータの受け渡しを可能とする。
【0194】
上部カメラ6403および下部カメラ6406は、ロボット6400の周囲を撮像する機能を有する。上部カメラ6403および下部カメラ6406としては複数種類の方式の撮像装置を用いてもよく、本発明の一態様に係る距離推定装置または本発明の一態様に係る撮像装置を上部カメラ6403および下部カメラ6406の一つに用いることで、撮像された情報から距離情報を取得し、ロボット6400の移動の際の誤動作を低減できる。また、障害物センサ6407は、移動機構6408を用いてロボット6400が前進する際の進行方向における障害物の有無を察知することができる。ロボット6400は、上部カメラ6403、下部カメラ6406および障害物センサ6407を用いて、周囲の環境を認識し、安全に移動することが可能である。
【0195】
図13Eは、飛行体の一例を示している。
図13Eに示す飛行体6500は、プロペラ6501、カメラ6502、およびバッテリ6503などを有し、自律して飛行する機能を有する。
【0196】
例えば、カメラ6502で撮影した画像データは、電子部品6504に記憶される。電子部品6504は、画像データを解析し、移動する際の障害物の有無などを察知することができる。カメラ6502としては複数種類の方式の撮像装置を用いてもよく、本発明の一態様に係る撮像装置をカメラ6502の一つに用いることで、撮像された情報から距離情報を取得し、飛行体6500の移動の際の誤動作を低減できる。
【0197】
図13Fは、自動車の一例を示している。自動車7160は、エンジン、タイヤ、ブレーキ、操舵装置、複数のカメラなどを有する。自動車7160に設置する複数のカメラのうち、一つまたは複数を本発明の一態様に係る撮像装置を用いることで、撮像された情報から自動車と外界の対象物との距離情報を取得し、自動車7160の進行方向または自動車7160の周囲にある物体との位置関係を認識することができる。本発明の一態様に係る距離推定装置または本発明の一態様に係る撮像装置を自動車7160に用いることで、自動車7160の自動操縦機能を補助することができる。
【0198】
本実施の形態に示す構成、構造、方法などは、他の実施の形態に示す構成、構造、方法などと適宜組み合わせて用いることができる。
【符号の説明】
【0199】
11:照射ユニット、12:センサユニット、13:信号発生ユニット、14:相関及び評価ユニット、21:トランジスタ、22:トランジスタ、23:トランジスタ、24:トランジスタ、25:トランジスタ、31:トランジスタ、32:トランジスタ、33:トランジスタ、41:容量、42:容量、43:容量、44:トランジスタ、45:点線矢印、46:点線矢印、60:p型領域、61:p-領域、62:n型表面埋込領域、63:p+領域、64:電荷蓄積領域、65:電荷排出領域、66:pウェル領域、70:絶縁層、71:転送ゲート対、72:転送ゲート対、73:転送ゲート対、74:転送ゲート対、75:絶縁層、76:接続電極、90:受光領域、91:遮光板、100:入力部、101:トランジスタ、102:推定部、103:出力部、110:入力データ、111:デプスマップ、112:精度の高いデプスマップ、115:基板、120:絶縁層、130:酸化物半導体層、130a:酸化物半導体層、130b:酸化物半導体層、130c:酸化物半導体層、140:導電層、150:導電層、160:絶縁層、170:導電層、171:導電層、172:導電層、175:絶縁層、180:絶縁層、231:領域、232:領域、233:領域、6100:携帯情報端末、6101:筐体、6102:表示部、6103:バンド、6105:操作ボタン、6200:携帯情報端末、6201:筐体、6202:表示部、6203:操作ボタン、6204:スピーカ、6205:マイクロフォン、6209:指紋センサ、6300:掃除ロボット、6301:筐体、6302:表示部、6303:カメラ、6304:ブラシ、6305:操作ボタン、6310:ゴミ、6400:ロボット、6401:照度センサ、6402:マイクロフォン、6403:上部カメラ、6404:スピーカ、6405:表示部、6406:下部カメラ、6407:障害物センサ、6408:移動機構、6409:演算装置、6500:飛行体、6501:プロペラ、6502:カメラ、6503:バッテリ、6504:電子部品、7160:自動車