(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024167279
(43)【公開日】2024-12-03
(54)【発明の名称】渋滞表示装置、渋滞表示方法および渋滞表示プログラム
(51)【国際特許分類】
G01C 21/26 20060101AFI20241126BHJP
G08G 1/0969 20060101ALI20241126BHJP
G09B 29/00 20060101ALI20241126BHJP
【FI】
G01C21/26 C
G08G1/0969
G09B29/00 F
【審査請求】有
【請求項の数】1
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2024141887
(22)【出願日】2024-08-23
(62)【分割の表示】P 2023124357の分割
【原出願日】2013-10-11
(71)【出願人】
【識別番号】000005016
【氏名又は名称】パイオニア株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110003889
【氏名又は名称】弁理士法人酒井総合特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】関谷 博之
(72)【発明者】
【氏名】鎌田 喬浩
(72)【発明者】
【氏名】谷川 裕史
(57)【要約】
【課題】所定場所の渋滞情報を車線別に表示する。
【解決手段】渋滞表示装置110は、通信部111を介して渋滞情報処理装置100から所定の場所の車線別の渋滞の度合いを含む渋滞情報を受信する。渋滞表示処理部112は、渋滞情報を表示する地図の縮尺に応じて、地図上における車線別の渋滞の表示を制御し、地図の縮尺の拡大表示時には、渋滞情報に含まれる車線別の渋滞の度合いと範囲を、該当する車線上に表示する。また、地図の縮尺の縮小表示時には、渋滞している道路の近傍に渋滞情報に含まれる車線別の渋滞の度合いと範囲を別枠で表示する。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
所定場所の渋滞情報の要求に応じて取得した車線別の渋滞情報を表示する渋滞表示装置であって、
前記渋滞情報を表示する地図の縮尺に応じて、前記地図上における前記車線別の渋滞の表示を制御する表示処理部を備えたことを特徴とする渋滞表示装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、渋滞情報を表示する渋滞表示装置、渋滞表示方法および渋滞表示プログラムに関する。ただし、この発明の利用は、渋滞表示装置、渋滞表示方法および渋滞表示プログラムに限らない。
【背景技術】
【0002】
従来、道路の渋滞を表示する技術として、VICS(Vehicle Information and Communication System:登録商標)やサーバ等から交差点の渋滞情報を入手し、車線別の渋滞情報を判断し、色別等に画面表示するカーナビゲーション装置が開示されている(例えば、下記特許文献1参照。)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、上記従来の技術では、交差点の渋滞状態しか判断できず、道路上の任意の箇所、例えば、交差点以外の直線道路での渋滞情報を提示することができないという問題があった。例えば、直線道路に隣接する施設に対する多数の車両の進入によって生じる渋滞等を表示することができなかった、という問題点が挙げられる。
【0005】
従来の技術では、地図とは別に車線の渋滞状態を表示しているため、地図におけるどの部分が渋滞しているのかを一見して把握することが困難であった。地図に重畳して車線別の渋滞状態を表示しようとすると、拡大された地図の場合は道路が大きく表示されるため、車線別の渋滞状態を表示できるが、縮小された地図の場合は、道路が小さく表示されるため、車線別の渋滞状態を表示できないという課題が一例として挙げられる。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上述した課題を解決し、目的を達成するため、請求項1の発明にかかる渋滞表示装置は、所定場所の渋滞情報の要求に応じて取得した車線別の渋滞情報を表示する渋滞表示装置であって、前記渋滞情報を表示する地図の縮尺に応じて、前記地図上における前記車線別の渋滞の表示を制御する表示処理部を備えたことを特徴とする。
【0007】
また、請求項9の発明にかかる渋滞表示方法は、所定場所の渋滞情報の要求に応じて取得した車線別の渋滞情報を表示する渋滞表示装置が実施する渋滞表示方法であって、前記渋滞情報を表示する地図の縮尺に応じて、前記地図上における前記車線別の渋滞の表示を制御する表示処理工程を含むことを特徴とする。
【0008】
また、請求項10の発明にかかる渋滞表示プログラムは、上記の渋滞表示方法をコンピュータに実行させることを特徴とする。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【
図1】
図1は、実施の形態にかかる渋滞表示システムの構成例を示すブロック図である。
【
図2】
図2は、実施の形態にかかる渋滞表示装置の渋滞表示の処理例を示すフローチャートである。
【
図3】
図3は、ナビゲーション装置のハードウェア構成の一例を示すブロック図である。
【
図4】
図4は、サーバのハードウェア構成の一例を示すブロック図である。
【
図5】
図5は、渋滞情報を用いた渋滞情報の表示処理内容を示すフローチャートである。
【
図7】
図7は、渋滞情報の他の表示例を示す図である。
【
図8】
図8は、ルート案内時の渋滞表示例を示す図である。
【
図9】
図9は、渋滞情報として画像および渋滞の道路情報の表示例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
(実施の形態)
以下に添付図面を参照して、この発明にかかる渋滞表示装置、渋滞表示方法および渋滞表示プログラムの好適な実施の形態を詳細に説明する。
【0011】
図1は、実施の形態にかかる渋滞表示システムの構成例を示すブロック図である。実施の形態にかかる渋滞表示システムは、互いに通信接続された渋滞情報処理装置100と、渋滞表示装置110とによって構成することができる。
【0012】
渋滞情報処理装置100は、取得部101と、画像処理部102と、情報結合部103と、格納部104と、渋滞情報処理部105と、通信部106とを含む。渋滞表示装置110は、通信部111と、渋滞表示処理部112と、表示部113とを含む。
【0013】
渋滞情報処理装置100の取得部101は、移動体に搭載されたナビゲーション装置120等から道路を撮影した画像を取得する。撮影画像は、ナビゲーション装置120に限らず、携帯電話やスマートフォン、可搬型のパーソナル・コンピュータ等を用い、カメラが撮影した画像を取得して渋滞情報処理装置100に送信する構成としてもよい。この際、取得部101は、撮影画像とともに、GPS等の測位部(不図示)が測位した撮影時の位置情報と、撮影時の時刻を取得する。
【0014】
また、取得部101は、ネットワーク等を介してVICS121や渋滞情報を管理するサーバ等から渋滞情報を取得してもよい。
【0015】
渋滞情報処理装置100の画像処理部102は、取得した撮影画像を画像処理し、撮影画像が示す道路と車両を抽出(検出)する。そして、ナビゲーション装置120が走行している走行車線(自車線)と、車線数、車線別の車両数をそれぞれ検出する。このほか、撮影画像に含まれる各車両の車種を検出することもできる。
【0016】
情報結合部103は、ナビゲーション装置120から送信されてくる撮影画像と、撮影時刻、および撮影位置の各情報を関連付けて格納部104に格納する。そして、情報結合部103は、画像処理部102により画像処理された結果である、自車線情報を同一の撮影画像(ID)により関連付け(結合)し、交通情報として格納部104に格納する。情報結合部103は、交通情報として、車線別の車両情報(道路、位置、時間帯別の車両数)についても格納部104に格納する。
【0017】
渋滞情報処理部105は、格納部104に格納された道路の位置、時間帯毎に分類された交通情報毎に時刻別の渋滞状態を求め、渋滞情報として格納部104に格納する。この際、所定のしきい値を用いて、しきい値を超えた範囲を渋滞区間として判断する。しきい値を複数段階設けることにより、渋滞度を複数段階の度合い別の渋滞区間を判断すること
ができる。
【0018】
格納部104には、同一の道路上の複数の撮影画像の変化に基づく渋滞情報が格納される。この際、撮影画像に基づいて車線別の渋滞情報を得ているため、車線別の車両数(車間距離、車両の密度に相当)に基づいて渋滞の度合いを判断し、車線別の渋滞情報を得ることができる。
【0019】
渋滞情報としては、渋滞表示装置110が要求した位置付近での渋滞状態を渋滞の度合いに応じた複数の段階で各段階の範囲を有する。この渋滞情報は、渋滞表示装置110の要求に応じて、目的地までの走行ルート上における渋滞表示、目的地付近での渋滞表示等に用いられる。この渋滞情報の算出処理は、あらかじめ道路(場所)毎に算出しておいてもよいし、渋滞表示装置110からの要求時に、該当する道路(場所)について算出を行うようにしてもよい。
【0020】
渋滞情報処理部105は、渋滞表示装置110からの渋滞表示の要求に対応した位置やエリアの渋滞情報を格納部104から読み出し、通信部106を介して渋滞表示装置110に送信する。この際、渋滞情報処理部105は、渋滞が生じている位置情報(区間)を渋滞の度合いを付与した渋滞情報を送信する。また、道路の車線毎の渋滞の度合いを判断することができるため、渋滞情報に車線毎の渋滞区間を含めて送信する。
【0021】
上記の渋滞情報処理装置100は、画像に基づき道路の渋滞状態を判断する構成としたが、画像だけに限らない。例えば、取得部101が外部からVICS121等の渋滞情報を取得し、これらの渋滞情報を含めて渋滞状態を判断する構成とすることができる。
【0022】
渋滞表示装置110は、通信部111を介して例えば、移動体の移動時の走行ルートや目的地近傍の所定エリア内における渋滞情報を渋滞情報処理装置100に要求する。このほか、移動体による経路探索時においても同様に走行ルートや目的地近傍の所定エリア内における渋滞情報を要求する。
【0023】
渋滞表示装置110は、移動体に移動体に搭載されたナビゲーション装置(
図1のナビゲーション装置120と同一機器でもよい)や、携帯電話やスマートフォン、可搬型のパーソナル・コンピュータ等を用いて構成できる。また、自宅や施設(店舗)等に固定設置されたパーソナル・コンピュータ等を用いることもできる。
【0024】
渋滞表示装置110の通信部111は、渋滞情報処理装置100から送信されてくる渋滞情報を受信する。渋滞表示装置110の渋滞表示処理部112は、不図示の地図表示機能を有し、この地図上に要求した位置の渋滞情報を表示する。また、渋滞表示装置110がナビゲーション装置等により構成され、移動体の現在位置や経路案内機能を有するものである場合、渋滞表示装置110(移動体)の走行ルートや目的地近傍の所定エリア内における渋滞情報を表示する。
【0025】
渋滞表示処理部112は、通信部111が受信した渋滞情報を表示処理し、表示部113に表示出力する。この際、渋滞表示処理部112は、地図上やカメラにより撮影した道路の画像上に渋滞情報を重ねたり、ポップアップ表示したりする。そして、地図や画像の縮尺に応じて異なる表示形態で渋滞情報を表示する。この際、表示されている地図の縮尺がいずれであっても、渋滞を容易に判断できる表示を行う。カメラによる撮影した道路の画像は、渋滞情報処理装置100から受信したものを用いる他、渋滞表示装置110が撮影した画像を用いてもよい。
【0026】
そして、渋滞表示装置110は、渋滞情報処理装置100から渋滞が生じている車線毎
の位置情報(区間)と渋滞の度合いを含む渋滞情報を受信する。これにより、渋滞表示処理部112は、渋滞情報が示す渋滞区間、および渋滞車線について、地図や画像上に、渋滞を示す色を車線単位で重ねて表示する。また、渋滞の度合いが高いほど目立つ色、例えば青色→黄色→赤色に変化させるなどして段階的に渋滞状態を表示する。
【0027】
この際、渋滞表示処理部112は、渋滞区間に基づき、道路内の所定区間における渋滞を表示することができる。すなわち、道路(リンク)単位での渋滞情報の表示ではなく、道路(リンク)内のさらに細かい範囲で生じた渋滞を表示できる。例えば、直線道路(ある1リンク)内で直線道路に隣接する施設に対する進入の車両が多いことに基づき発生した施設の近傍だけの部分的な渋滞について表示できるようになる。この場合、施設に隣接する1リンク全ての道路の区間について渋滞の表示は行わないため、より実際に生じた渋滞を表示できるようになる。
【0028】
図2は、実施の形態にかかる渋滞表示装置の渋滞表示の処理例を示すフローチャートである。渋滞表示装置110が行う渋滞表示の処理内容を示す。渋滞表示装置110は、渋滞表示装置110は、所定位置(場所)や、移動体の移動時の走行ルート、あるいは目的地近傍の所定エリアを指定した渋滞情報を渋滞情報処理装置100に要求する。
【0029】
そして、渋滞表示装置110は、要求に対応した所定位置(場所)や、移動体の移動時の走行ルート、あるいは目的地近傍の所定エリア内における渋滞情報を渋滞情報処理装置100に送信し、渋滞表示装置110は、通信部111によりこの渋滞情報を受信する(ステップS201)。
【0030】
次に、渋滞表示処理部112は、受信した渋滞情報が示す区間、車線の渋滞を表示処理する(ステップS202)。この際、渋滞表示処理部112は、例えば、地図や画像上に、渋滞を示す色を車線単位で重ねて表示する。
【0031】
また、渋滞表示処理部112は、表示の縮尺に応じて渋滞の表示形態を変更する(ステップS203)。例えば、表示する地図は拡大時には、道路(リンク)が面として視認できる表示である。普通時には、道路(リンク)が線として表示されている。ただし、車線別の渋滞表示は困難な縮尺である。縮小時には、道路(リンク)が主要な道路のみ表示され、道路毎の車線別渋滞の表示は困難な縮尺である。
【0032】
渋滞表示処理部112は、このような表示の縮尺に応じて渋滞の表示形態を変更する。拡大時には、車線別の渋滞情報を表示する。普通時には、道路(リンク)上には渋滞情報を重ねずに、渋滞発生の場所近傍に別枠のアイコン(ポップアップ等)で表示する。アイコンの表示内容としては、渋滞している車線を拡大表示したり、渋滞の画像を表示したりすることができる。縮小時には、車線別ではなく道路(リンク)全体を用いて渋滞情報を表示する。この際、同一の道路であっても渋滞している車線以外の車線を用いれば渋滞せずに走行可能な場合には、道路上に渋滞情報を表示しないようにしてもよい。
【0033】
上記実施の形態によれば、所定場所の道路の渋滞情報を提示できるようになる。特に、交差点の渋滞に限らず、道路沿いの人気施設への入り口渋滞を提示できる。この際、該当する道路(リンク)全体の渋滞ではなく、特定の場所の渋滞情報を提示できるため、渋滞情報をより詳細に提示できるようになる。
【0034】
また、車線別の渋滞を提示できるため、同じ道路を走行する場合でも渋滞車線を回避した走行ができるようになる。さらに、地図の縮尺別に渋滞情報の表示形態を変更することにより、どのような縮尺時であっても、必要な渋滞情報を適切に提示することができるようになる。
【実施例0035】
以下に、本発明の実施例について説明する。本実施例では、移動体(車両)にナビゲーション装置300が搭載される。各ユーザのナビゲーション装置300は、上述した撮影画像を渋滞情報処理装置100に送信する(
図1のナビゲーション装置120の機能)と、渋滞情報処理装置100に対して所定場所(位置)の渋滞情報を取得要求する(
図1の渋滞表示装置110の機能)を有する構成について説明する。
【0036】
(ナビゲーション装置300のハードウェア構成)
図3は、ナビゲーション装置のハードウェア構成の一例を示すブロック図である。
図3において、ナビゲーション装置300は、CPU301、ROM302、RAM303、磁気ディスクドライブ304、磁気ディスク305、光ディスクドライブ306、光ディスク307、音声I/F(インターフェース)308、マイク309、スピーカ310、入力デバイス311、映像I/F312、ディスプレイ313、通信I/F314、GPSユニット315、各種センサ316、カメラ317、を備えている。各構成部301~317は、バス320によってそれぞれ接続されている。
【0037】
CPU301は、ナビゲーション装置300の全体の制御を司る。ROM302は、ブートプログラム、渋滞表示プログラム等を記録している。RAM303は、CPU301のワークエリアとして使用される。すなわち、CPU301は、RAM303をワークエリアとして使用しながら、ROM302に記録された各種プログラムを実行することによって、ナビゲーション装置300の全体の制御を司る。
【0038】
磁気ディスクドライブ304は、CPU301の制御にしたがって磁気ディスク305に対するデータの読み取り/書き込みを制御する。磁気ディスク305は、磁気ディスクドライブ304の制御で書き込まれたデータを記録する。磁気ディスク305としては、例えば、HD(ハードディスク)やFD(フレキシブルディスク)を用いることができる。
【0039】
また、光ディスクドライブ306は、CPU301の制御にしたがって光ディスク307に対するデータの読み取り/書き込みを制御する。光ディスク307は、光ディスクドライブ306の制御にしたがってデータが読み出される着脱自在な記録媒体である。光ディスク307は、書き込み可能な記録媒体を利用することもできる。着脱可能な記録媒体として、光ディスク307のほか、MO、メモリカードなどを用いることができる。
【0040】
磁気ディスク305および光ディスク307に記録される情報の一例としては、地図データ、車両情報、道路情報、走行履歴などが挙げられる。地図データは、カーナビゲーションシステムにおいて経路探索するときに用いられ、建物、河川、地表面、エネルギー補給施設などの地物(フィーチャ)をあらわす背景データ、道路の形状をリンクやノードなどであらわす道路形状データなどを含むベクタデータである。
【0041】
音声I/F308は、音声入力用のマイク309および音声出力用のスピーカ310に接続される。マイク309に受音された音声は、音声I/F308内でA/D変換される。マイク309は、例えば、車両のダッシュボード部などに設置され、その数は単数でも複数でもよい。スピーカ310からは、所定の音声信号を音声I/F308内でD/A変換した音声が出力される。
【0042】
入力デバイス311は、文字、数値、各種指示などの入力のための複数のキーを備えたリモコン、キーボード、タッチパネルなどが挙げられる。入力デバイス311は、リモコン、キーボード、タッチパネルのうちいずれか一つの形態によって実現されてもよいが、
複数の形態によって実現することも可能である。
【0043】
映像I/F312は、ディスプレイ313に接続される。映像I/F312は、具体的には、例えば、ディスプレイ313全体を制御するグラフィックコントローラと、即時表示可能な画像情報を一時的に記録するVRAM(Video RAM)などのバッファメモリと、グラフィックコントローラから出力される画像データに基づいてディスプレイ313を制御する制御ICなどによって構成される。
【0044】
ディスプレイ313には、アイコン、カーソル、メニュー、ウインドウ、あるいは文字や画像などの各種データが表示される。ディスプレイ313としては、例えば、TFT液晶ディスプレイ、有機ELディスプレイなどを用いることができる。
【0045】
カメラ317は、車両外部の道路の映像を撮影する。映像は静止画あるいは動画のどちらでもよい。カメラ317によって車両外部の道路を撮影することにより、道路とともに走行中の他の車両が撮影される。この撮影画像は、CPU301によって画像処理された後、GPSユニット315の位置情報とともに、渋滞情報処理装置100(後述するサーバ400)に送信処理される。
【0046】
通信I/F314は、無線を介してネットワークに接続され、ナビゲーション装置300およびCPU301のインターフェースとして機能する。ネットワークとして機能する通信網には、CANやLIN(Local Interconnect Network)などの車内通信網や、公衆回線網や携帯電話網、DSRC(Dedicated Short Range Communication)、LAN、WANなどがある。通信I/F314は、例えば、公衆回線用接続モジュールやETC(ノンストップ自動料金支払いシステム)ユニット、FMチューナー、VICS/ビーコンレシーバなどである。
【0047】
GPSユニット315は、GPS衛星からの電波を受信し、車両の現在位置を示す情報を出力する。GPSユニット315の出力情報は、後述する各種センサ316の出力値とともに、CPU301による車両の現在位置の算出に際して利用される。現在位置を示す情報は、例えば、緯度・経度、高度などの、地図データ上の1点を特定する情報である。
【0048】
各種センサ316は、車速センサ、加速度センサ、角速度センサ、傾斜センサなどの、車両の位置や挙動を判断するための情報を出力する。各種センサ316の出力値は、CPU301による車両の現在位置の算出や、速度や方位の変化量の算出に用いられる。
【0049】
図3に示したCPU301は、ROM302等に格納されたプログラム実行により、
図1に示した渋滞表示装置110の渋滞表示処理部112の機能を実現する。
【0050】
(サーバの構成例)
図4は、サーバのハードウェア構成の一例を示すブロック図である。渋滞情報処理装置100を構成するサーバ400についても、
図3に示したナビゲーション装置300と同様の構成を有する。なお、サーバ400においては、
図3に記載のGPSユニット315、各種センサ316、カメラ317等は不要である。
【0051】
図1に示した渋滞情報処理装置100は、サーバ400に設けられたROM402等に記録されたプログラムやデータを用いて、CPU401が所定のプログラムを実行することによって渋滞表示の機能を実現する。サーバ400の磁気ディスク405等には、上記の渋滞情報や、渋滞表示情報が格納される。また、通信I/F414を介してナビゲーション装置300と通信を行い、ナビゲーション装置300からの要求に対応した渋滞表示情報をナビゲーション装置300に出力する。
【0052】
また、サーバ400は、各ナビゲーション装置300から送信された画像の送信時刻やナビゲーション装置300が搭載された移動体の速度を算出する機能を有してもよい。サーバ400は、ナビゲーション装置300の緯度経度の移動量と移動所要時間に基づく計算により移動体の速度を計算することができる。
【0053】
図4に示したCPU401は、ROM402等に格納されたプログラム実行により、
図1に示した渋滞情報処理装置100の画像処理部102、情報結合部103、渋滞情報処理部105の機能を実現する。
図4の磁気ディスク405や光ディスク407等は、
図1に示した格納部104の機能を実現する。
【0054】
(サーバによる渋滞情報の生成処理)
サーバ400は、ナビゲーション装置300から送信された画像、および位置情報(撮影位置)と、画像受信時のナビゲーション装置300の速度と時刻を取得する。サーバ400は、これら移動体の速度と時刻はナビゲーション装置300が送信したものを取得してもよいし、サーバ400内部で生成したものを用いてもよい。サーバ400側で生成する場合、時刻は、画像受信時のサーバ400内部の時刻を用いる。移動体の移動は、ナビゲーション装置300の緯度経度の移動量と移動所要時間に基づく計算により移動体の速度を計算したものを用いる。
【0055】
そして、サーバ400は、画像処理部102の画像処理により、取得した画像から車両、走行車線、車線数を検出する。この際、例えば、撮影画像をオルソ画像に変換して、車両の位置、距離を特定でき、車線別車両数を検出できる。また、オルソ画像において、自車線の幅を導き出し、走行道路の車線数を判断する。
【0056】
次に、サーバ400は、情報結合部103により、取得した画像毎に、位置情報、速度、時刻、車線別車両数、自車線、の各情報を関連付け、交通情報として格納部104に格納する。また、しきい値を用いて渋滞の度合いに応じた渋滞情報を格納部104に格納する。
【0057】
また、サーバ400は、画像処理に基づく交通情報だけではなく、外部入力されたVICS121や渋滞情報を管理するサーバ等から取得した情報に基づき渋滞情報を生成してもよい。VICS121は、現状車線別ではなく道路(リンク)単位の渋滞情報であるが、このVICS121がリンク単位をさらに細分化し、また、車線別の渋滞情報である場合には、このVICS121等の渋滞情報を利用することができる。
【0058】
(渋滞情報を用いた渋滞表示処理)
図5は、渋滞情報を用いた渋滞情報の表示処理内容を示すフローチャートである。ナビゲーション装置300がサーバ400に対し所定場所(位置)の渋滞情報の取得を要求し、取得した渋滞情報を表示する処理内容について説明する。
【0059】
はじめに、ナビゲーション装置300は、サーバ400から車線別の渋滞情報を取得する(ステップS501)。次に、ナビゲーション装置300は、現在の地図表示においての道路毎の縮尺度を確認する(ステップS502)。そして、縮尺が縮小表示であれば(ステップS503:Yes)、縮小時の表示形態で渋滞情報を表示し(ステップS504)、縮尺が縮小表示でなければ(ステップS503:No)、道路毎に拡大または普通時の表示形態で渋滞情報を表示する(ステップS505)。
【0060】
ステップS504またはステップS505の処理後、ナビゲーション装置300は、縮尺の変更があったかを判断し(ステップS506)、縮尺の変更がなければ(ステップS
506:No)、渋滞情報に変更があるかを判断し(ステップS507)、縮尺の変更があれば(ステップS506:Yes)、ステップS502に戻る。
【0061】
ステップS507において渋滞情報に変更があれば(ステップS507:Yes)、ステップS501に戻り、渋滞情報に変更がなければ(ステップS507:No)、ステップS506に戻る。
【0062】
(渋滞情報の表示処理例)
図6は、渋滞情報の表示例を示す図である。ナビゲーション装置300は、サーバ400から取得した渋滞情報を該当する地図上の道路に重ねて表示する。
図6に示す道路600は3車線L1~L3を有している片側車線である。そして、渋滞情報は、道路600のうち車線L3の範囲D1~範囲D2が渋滞している情報を含む。また、範囲D1は渋滞度が高く、範囲D2は範囲D1より渋滞度が低いが渋滞している状態であるとする。
【0063】
ナビゲーション装置300の渋滞表示処理部112は、この渋滞情報が示す渋滞範囲を地図上で視認できるように、例えば表示色を変更させて表示する。この際、道路600の車線別に表示できる縮尺(縮尺拡大等)の場合には、車線L3の範囲D1については赤色で表示し、車線L3の範囲D2については黄色で表示する。
【0064】
なお、サーバ400が渋滞情報として、渋滞の度合い(範囲D1,D2の段階)を送信しない場合には、ナビゲーション装置300の渋滞表示処理部112は、範囲D1,D2の段階を持たずに範囲D1,D2の全範囲を同一色で表示処理する。
【0065】
上記の渋滞表示によれば、横軸方向について、道路600の車線毎の渋滞状態を示すことができる。これにより、車線変更により渋滞を回避することを提示できるようになる。また、縦軸方向について、道路600のリンク内での渋滞範囲D1,D2を示すことができる。これにより、渋滞の始まりと終わりである渋滞範囲の末端P1と先端P2でそれぞれ渋滞していない車線に変更して走行することにより、車線L3の渋滞を回避できることを提示できるようになる。
【0066】
図7は、渋滞情報の他の表示例を示す図である。
図7には、道路600と交差する道路700を示してある。そして、道路600(リンク)の途中位置の左方の店舗701近傍で車線L1に(店舗701への進入待ちのための)渋滞が生じたとする。このように、道路600内の途中位置(交差点C以外)での渋滞発生についても渋滞表示できるようになる。
【0067】
この際、ナビゲーション装置300は、受信した渋滞情報の渋滞発生箇所近傍の施設(店舗701)の情報(施設名等)を表示させる。また、ナビゲーション装置300は、受信した渋滞情報に渋滞発生箇所の施設(店舗701)の情報が含まれていれば、この情報を表示させる。
【0068】
また、図示のように、渋滞の場所(位置)からポップアップ表示により、渋滞場所の画像710や、拡大した渋滞情報711を表示させることもでき、これら渋滞場所の画像710や拡大した渋滞情報711それぞれの表示の有無はあらかじめ設定できる。また、画像710上に渋滞している車線710aを所定色で表示してもよい。
【0069】
拡大時であっても、道路600上の範囲だけを用いて渋滞状態を表示すると見づらさが生じることがあるため、上記のようにポップアップ表示させることにより、渋滞場所の詳細を見やすく表示できるようになる。画像710は、サーバ400の交通情報に含まれる画像の受信により表示でき、渋滞の発生原因を画像により確認可能となる。
【0070】
図7に示す状態の地図は縮尺が拡大時であるため、道路600を車線別に渋滞表示できる状態であるが、地図の縮尺が普通時や縮小時には拡大した渋滞情報711を表示させる。この際、道路600は車線別の渋滞表示ではなく、道路全体(横軸の全車線)を用いて範囲D1,D2部分をそれぞれ所定色で表示させる。
【0071】
また、
図7の例で示す渋滞区間D1,D2の車線L1は、道路600の縦軸(進行方向)全体に示したものではなく、渋滞区間D1,D2についてのみ部分的に車線L1を示している。
【0072】
地図表示について、縮小時には広域な地図上で主要道路のみ表示され、縮尺が普通時および拡大時には、幹線道路などの主要道路が所定幅を有して表示される。これに対応して渋滞表示処理部112は、表示した地図の縮尺に応じて渋滞情報を車線別やポップアップ表示させることにより、任意に道路の渋滞状態を簡単に提示できるようになる。
【0073】
(ルート案内時の渋滞表示例)
図8は、ルート案内時の渋滞表示例を示す図である。ナビゲーション装置300は、目的地の入力により現在位置から目的地までのルート探索を行い、所要時間や所要距離別のルートを複数案内する機能を有する。このようなルート案内時に、ナビゲーション装置300は、取得した渋滞情報に基づいて案内されたルート上の渋滞状態を案内することができる。
【0074】
ナビゲーション装置300は、案内された目的地までのルートをサーバ400に送信する。サーバ400は、このルート上の渋滞情報をナビゲーション装置300に送信する。
【0075】
また、サーバ400がナビゲーション装置300から出発地と目的地の情報を受け取って、サーバ400側でルートを探索し、ルート上の渋滞情報をナビゲーション装置300に送信する構成とすることもできる。
【0076】
そして、ナビゲーション装置300の渋滞表示処理部112は、ルート上の渋滞情報を
図8のように表示出力する。この際、状態表示処理部112は、渋滞を避けて通過するべき車線を表示する。
図8に示す例では、案内されたルート800上には、渋滞区間D1,D2についてのみ車線L1を示している。このルート案内において、渋滞表示処理部112は、左車線L1に渋滞が生じているが、中央および右車線L2,L3は渋滞していないことを表示できる。
【0077】
また、渋滞表示処理部112は、ルート800上の一部の車線(L1)に渋滞が生じていても、他の車線L2,L3には渋滞が生じていない場合、ルート800については車線L2,L3を走行すれば渋滞に巻き込まれないため、
図8の渋滞表示を行わない設定としてもよい。
【0078】
さらには、
図8は、縮尺が拡大時の表示状態であり、縮尺が縮小時には、車線別の渋滞を表示できず、上記車線L2,L3を走行すれば渋滞に巻き込まれない状態であるときには、拡大した渋滞情報711を表示させたり、渋滞表示を行わせない設定としてもよい。また、縮尺が普通時には、車線別の渋滞表示ではなく、道路全体(道路の幅、横軸の全車線)を用いて範囲D1,D2部分をそれぞれ所定色で表示させる。
【0079】
なお、状態表示処理部112は、渋滞情報が走行する車線(ルート)に影響を与えるものである場合には、影響を与える車線別の渋滞情報を表示する。
【0080】
(渋滞表示の他の例)
図9は、渋滞情報として画像および渋滞の道路情報の表示例を示す図である。ナビゲーション装置300は、サーバ400から取得した渋滞情報に渋滞の道路情報が含まれている場合には、この渋滞の道路情報を併せて表示する。
【0081】
図9に示す例では、渋滞場所の画像901上に、サーバ400から取得した道路情報として車線(L1~L4)別の渋滞度(あるいは平均速度)902を色別に表示する。903は、自車の車線位置を示す。また、渋滞度902の下部にはサーバ400から取得した渋滞情報に含まれる各車線の平均速度904を表示する。平均速度に代えて車線毎の車両数や車両密度を表示させてもよい。
【0082】
渋滞場所の画像901だけでは、渋滞場所の瞬間的な情報しか得ることができず、スピード感等がわかりにくい。しかし、
図9に示すように、車線別の渋滞の道路情報を付加して表示することにより、渋滞場所の詳細な道路情報を明確、かつ直感的に提示できるようになる。
【0083】
以上説明した構成によれば、道路(リンク)内における所定場所の道路の渋滞情報を提示できるため、リンク全体の渋滞ではなく、特定の場所の渋滞情報をどのような縮尺であっても適切に提示できるようになる。
【0084】
また、地図の縮尺が縮小時には、渋滞している道路の近傍に渋滞の情報をポップアップ表示することにより、地図全体を表示できるとともに、詳細な渋滞情報も容易に視認可能に表示できるようになる。また、渋滞画像の表示により、渋滞の発生原因を画像により確認可能となる。
【0085】
そして、車線別の渋滞を提示でき、渋滞区間を渋滞の程度別に表示できるため、同じ道路を走行する場合でも渋滞の始まりと終わりの範囲を示すことができ、車線の一部が渋滞していた場合には、他の道路を迂回することなく車線変更により同じ道路を走行できる案内を提示できるようになる。
【0086】
また、ルート案内時においても、車線別の渋滞情報に基づいて、車線変更により走行可能な道路を案内することができるようになる。これにより、渋滞発生により他のルートへの不要な変更を行わずに変更前のルートについても提示できるようになる。
【0087】
さらに、ナビゲーション装置300がサーバ400の機能を有し、画像に基づき渋滞情報を生成する構成とすることもできる。この場合、ナビゲーション装置300は他のナビゲーション装置300から画像を収集し、収集した撮影場所における渋滞情報を生成できる。生成した渋滞情報は、自装置に表示出力するに限らず、他のナビゲーション装置300に対して配信することもできる。
【0088】
なお、本実施の形態で説明した渋滞表示に関する方法は、あらかじめ用意されたプログラムをパーソナル・コンピュータやワークステーションなどのコンピュータで実行することにより実現することができる。このプログラムは、ハードディスク、フレキシブルディスク、CD-ROM、MO、DVDなどのコンピュータで読み取り可能な記録媒体に記録され、コンピュータによって記録媒体から読み出されることによって実行される。またこのプログラムは、インターネットなどのネットワークを介して配布することが可能な伝送媒体であってもよい。