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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024167299
(43)【公開日】2024-12-03
(54)【発明の名称】モータユニット
(51)【国際特許分類】
   H02K 7/116 20060101AFI20241126BHJP
   H02K 9/19 20060101ALI20241126BHJP
   H02K 11/33 20160101ALI20241126BHJP
【FI】
H02K7/116
H02K9/19
H02K11/33
【審査請求】有
【請求項の数】14
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2024144564
(22)【出願日】2024-08-26
(62)【分割の表示】P 2023033468の分割
【原出願日】2018-12-20
(31)【優先権主張番号】P 2017254529
(32)【優先日】2017-12-28
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(71)【出願人】
【識別番号】000232302
【氏名又は名称】ニデック株式会社
(72)【発明者】
【氏名】石川 勇樹
(72)【発明者】
【氏名】小山 崇宣
(72)【発明者】
【氏名】福永 慶介
(57)【要約】      (修正有)
【課題】全体の小型化を図ることができるモータユニットが提供される。
【解決手段】軸方向に沿って延びるモータ軸J2を中心として回転するモータシャフトを有するモータと、モータ軸の軸方向一方側においてモータシャフトに接続されるギヤ部3と、モータおよびギヤ部を収容するハウジング6と、を備え、ハウジングは、モータを収容するモータ収容部と、ギヤ部を収容するギヤ収容部と、を有し、ギヤ収容部は、軸方向から見てモータ収容部に対して径方向に張り出す張出部を有し、ハウジングには、油路が設けられ、油路には、ポンプが設けられ、軸方向と直交する方向を第1方向とし、ポンプは、ハウジングの外側面に固定され、軸方向から見て、少なくとも一部が前記張出部に重なる。
【選択図】図3
【特許請求の範囲】
【請求項1】
軸方向に沿って延びるモータ軸を中心として回転するモータシャフトを有するモータと、
前記モータ軸の軸方向一方側において前記モータシャフトに接続されるギヤ部と、
前記モータおよび前記ギヤ部を収容するハウジングと、を備え、
前記ハウジングは、
前記モータを収容するモータ収容部と、
前記ギヤ部を収容するギヤ収容部と、を有し、
前記ギヤ収容部は、軸方向から見て前記モータ収容部に対して径方向に張り出す張出部を有し、
前記ハウジングには、油路が設けられ、
前記油路には、ポンプが設けられ、
軸方向と直交する方向を第1方向とし、
前記ポンプは、
前記ハウジングの外側面に固定され、
軸方向から見て、少なくとも一部が前記張出部に重なる、モータユニット。
【請求項2】
前記ポンプは、前記モータ収容部と径方向に重なる、請求項1に記載のモータユニット。
【請求項3】
前記ポンプは、前記張出部の軸方向他方側の面に固定される、請求項1または2に記載のモータユニット。
【請求項4】
前記ポンプは前記張出部の第1方向一方側の端部よりも第1方向他方側に位置する、請求項1から3のいずれか一項に記載のモータユニット。
【請求項5】
前記ギヤ部は、複数のギヤを有し、
前記ポンプは、前記複数のギヤの少なくとも一つと軸方向に重なる、
請求項1から4のいずれか一項に記載のモータユニット。
【請求項6】
前記油路は、前記モータ収容部の内部と前記ギヤ収容部の内部を繋ぐ経路を含み、
前記張出部には、軸方向に沿って延び前記ギヤ収容部の内部の下部領域から前記ポンプに繋がる流路が設けられる、
請求項1から5のいずれか一項に記載のモータユニット。
【請求項7】
前記ポンプは、前記モータ収容部の第1方向一方側に位置する、請求項1から6のいずれか一項に記載のモータユニット。
【請求項8】
前記油路にはクーラーが設けられ、
軸方向における前記ポンプの位置と前記クーラーの位置とは同じである、
請求項1から7のいずれか一項に記載のモータユニット。
【請求項9】
前記油路にはクーラーが設けられ、
前記クーラーは、前記モータ収容部の第1方向一方側に位置する、
請求項1から8のいずれか一項に記載のモータユニット。
【請求項10】
前記油路にはクーラーが設けられ、
前記ポンプおよび前記クーラーは、軸方向および第1方向と直交する第2方向に並ぶ、
請求項1から9のいずれか一項に記載のモータユニット。
【請求項11】
前記モータと電気的に接続されるインバータユニットをさらに有し、
前記油路にはクーラーが設けられ、
軸方向および第1方向に直交する第2方向から見て、前記クーラーは、前記インバータユニットと第1方向に並ぶ、
請求項1から10のいずれか一項に記載のモータユニット。
【請求項12】
前記モータと電気的に接続されるインバータユニットをさらに有し、
前記インバータユニットの第1方向一方側の端部は、前記モータ収容部の第1方向一方側の端部よりも第1方向他方側に位置する、
請求項1から11のいずれか一項に記載のモータユニット。
【請求項13】
前記モータと電気的に接続されるインバータユニットをさらに有し、
前記インバータユニットの第1方向他方側の端部は、前記モータ収容部の第1方向他方側の端部よりも第1方向一方側に位置する、
請求項1から12のいずれか一項に記載のモータユニット。
【請求項14】
前記モータと電気的に接続されるインバータユニットをさらに有し、
軸方向および第1方向に直交する第2方向から見て、前記ポンプは、前記インバータユニットと第1方向に並ぶ、
請求項1から13のいずれか一項に記載のモータユニット。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、モータユニットに関する。
【背景技術】
【0002】
日本国公開公報:特開2016-73163号公報には、モータ(回転電機)の外部に設けられた冷却装置(クーラー)により冷媒を冷却し、モータの外部に設けられたポンプによって冷媒をモータに供給する構造が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】日本国公開公報:特開2016-73163号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
近年、モータに変速装置などを取り付けた車両用のモータユニットの開発が進んでいる。このようなモータユニットは、複雑な外形形状を有するために、大型化しやすいという問題があった。
【0005】
本発明の一つの態様は、上記問題点に鑑みて、全体の小型化を図ることができるモータユニットの提供を目的の一つとする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
軸方向に沿って延びるモータ軸を中心として回転するモータシャフトを有するモータと、前記モータ軸の軸方向一方側において前記モータシャフトに接続されるギヤ部と、前記モータおよび前記ギヤ部を収容するハウジングと、を備え、前記ハウジングは、前記モータを収容するモータ収容部と、前記ギヤ部を収容するギヤ収容部と、を有し、前記ギヤ収容部は、軸方向から見て前記モータ収容部に対して径方向に張り出す張出部を有し、前記ハウジングには、油路が設けられ、前記油路には、ポンプが設けられ、軸方向と直交する方向を第1方向とし、前記ポンプは、前記ハウジングの外側面に固定され、軸方向から見て、少なくとも一部が前記張出部に重なる。
【発明の効果】
【0007】
本発明の一つの態様によれば、全体の小型化を図ることができるモータユニットが提供される。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1図1は、一実施形態のモータユニットの概念図である。
図2図2は、一実施形態のモータユニットの斜視図である。
図3図3は、一実施形態のモータユニットの側面模式図である。
図4図4は、一実施形態のハウジングの分解図である。
図5図5は、一実施形態のモータユニットの側面図である。
図6図6は、一実施形態のモータユニットを下側から見た下面図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、図面を参照しながら、本発明の実施形態に係るモータユニットについて説明する。なお、本発明の範囲は、以下の実施の形態に限定されず、本発明の技術的思想の範囲内で任意に変更可能である。
【0010】
以下の説明では、モータユニット1が水平な路面上に位置する車両に搭載された場合の位置関係を基に、重力方向を規定して説明する。また、図面においては、適宜3次元直交座標系としてXYZ座標系を示す。XYZ座標系において、Z軸方向は、鉛直方向(すなわち上下方向)を示し、+Z方向が上側(重力方向の反対側)であり、-Z方向が下側(重力方向)である。また、X軸方向は、Z軸方向と直交する方向であってモータユニット1が搭載される車両の前後方向を示し、+X方向が車両前方であり、-X方向が車両後方である。ただし、+X方向が車両後方であり、-X方向が車両前方となることもありうる。Y軸方向は、X軸方向とZ軸方向との両方と直交する方向であって、車両の幅方向(左右方向)を示し、+Y方向が車両左方であり、-Y方向が車両右方である。但し、+X方向が車両後方となる場合には、+Y方向が車両右方であり、-Y方向が車両左方となることもありうる。すなわち、X軸の方向に関わらず、単に+Y方向が車両左右方向の一方側となり、-Y方向が車両左右方向の他方側となる。
【0011】
以下の説明において特に断りのない限り、モータ2のモータ軸J2に平行な方向(Y軸方向)を単に「軸方向」と呼び、モータ軸J2を中心とする径方向を単に「径方向」と呼び、モータ軸J2を中心とする周方向、すなわち、モータ軸J2の軸周りを単に「周方向」と呼ぶ。ただし、上記の「平行な方向」は、略平行な方向も含む。
【0012】
以下、図面を基に本発明の例示的な一実施形態に係るモータユニット(電動駆動装置)1について説明する。
図1は、一実施形態のモータユニット1の概念図である。図2は、モータユニット1の斜視図である。なお、図1は、あくまで概念図であり、各部の配置および寸法が実際と同じであるとは限らない。
【0013】
モータユニット1は、ハイブリッド自動車(HEV)、プラグインハイブリッド自動車(PHV)、電気自動車(EV)等、モータを動力源とする車両に搭載され、その動力源として使用される。
【0014】
図1に示すように、モータユニット1は、モータ(メインモータ)2と、ギヤ部3と、ハウジング6と、ハウジング6内に収容されるオイルOと、インバータユニット8と、パーキング機構7と、を備える。
【0015】
図1に示すように、モータ2は、水平方向に延びるモータ軸J2を中心として回転するロータ20と、ロータ20の径方向外側に位置するステータ30と、を備える。ハウジング6の内部は、モータ2およびギヤ部3を収容する収容空間80が設けられる。収容空間80は、モータ2を収容するモータ室81と、ギヤ部3を収容するギヤ室82と、に区画される。
【0016】
<モータ>
モータ2は、ハウジング6のモータ室81に収容される。モータ2は、ロータ20と、ロータ20の径方向外側に位置するステータ30と、を備える。モータ2は、ステータ30と、ステータ30の内側に回転自在に配置されるロータ20と、を備えるインナーロータ型モータである。
【0017】
ロータ20は、図示略のバッテリからステータ30に電力が供給されることで回転する。ロータ20は、シャフト(モータシャフト)21と、ロータコア24と、ロータマグネット(図示略)と、を有する。ロータ20(すなわち、シャフト21、ロータコア24およびロータマグネット)は、水平方向に延びるモータ軸J2を中心として回転する。ロータ20のトルクは、ギヤ部3に伝達される。
【0018】
シャフト21は、水平方向かつ車両の幅方向に延びるモータ軸J2を中心として延びる。シャフト21は、モータ軸J2を中心として回転する。シャフト21は、内部にモータ軸J2に沿って延びる内周面を有する中空部22が設けられた中空シャフトである。
【0019】
シャフト21は、ハウジング6のモータ室81とギヤ室82とを跨いで延びる。シャフト21の一方の端部は、ギヤ室82側に突出する。ギヤ室82に突出するシャフト21の端部には、第1のギヤ41が固定されている。
【0020】
ロータコア24は、珪素鋼板を積層して構成される。ロータコア24は、軸方向に沿って延びる円柱体である。ロータコア24には、図示略の複数のロータマグネットが固定される。複数のロータマグネットは、磁極を交互にして周方向に沿って並ぶ。
【0021】
ステータ30は、ロータ20を径方向外側から囲む。ステータ30は、ステータコア32と、コイル31と、ステータコア32とコイル31との間に介在するインシュレータ(図示略)とを有する。ステータ30は、ハウジング6に保持される。ステータコア32は、円環状のヨークの内周面から径方向内方に複数の磁極歯(図示略)を有する。磁極歯の間には、コイル線が掛けまわされる。磁極歯に掛けまわされたコイル線は、コイル31を構成する。コイル線は、図示略のバスバーを介してインバータユニット8に接続される。コイル31は、ステータコア32の軸方向端面から突出するコイルエンド31aを有する。コイルエンド31aは、ロータ20のロータコア24の端部よりも軸方向に突出する。コイルエンド31aは、ロータコア24に対し軸方向両側に突出する。
【0022】
<ギヤ部>
ギヤ部3は、ハウジング6のギヤ室82に収容される。ギヤ部3は、モータ軸J2の軸方向一方側においてシャフト21に接続される。ギヤ部3は、減速装置4と差動装置5とを有する。モータ2から出力されるトルクは、減速装置4を介して差動装置5に伝達される。
【0023】
<減速装置>
減速装置4は、モータ2のロータ20に接続される。減速装置4は、モータ2の回転速度を減じて、モータ2から出力されるトルクを減速比に応じて増大させる機能を有する。減速装置4は、モータ2から出力されるトルクを差動装置5へ伝達する。
【0024】
減速装置4は、第1のギヤ(中間ドライブギヤ)41と、第2のギヤ(中間ギヤ)42と、第3のギヤ(ファイルナルドライブギヤ)43と、中間シャフト45と、を有する。モータ2から出力されるトルクは、モータ2のシャフト21、第1のギヤ41、第2のギヤ42、中間シャフト45および第3のギヤ43を介して差動装置5のリングギヤ(ギヤ)51へ伝達される。各ギヤのギヤ比およびギヤの個数等は、必要とされる減速比に応じて種々変更可能である。減速装置4は、各ギヤの軸芯が平行に配置される平行軸歯車タイプの減速機である。
【0025】
第1のギヤ41は、モータ2のシャフト21の外周面に設けられる。第1のギヤ41は、シャフト21とともに、モータ軸J2を中心に回転する。中間シャフト45は、モータ軸J2と平行な中間軸J4に沿って延びる。中間シャフト45は、中間軸J4を中心として回転する。第2のギヤ42および第3のギヤ43は、中間シャフト45の外周面に設けられる。第2のギヤ42と第3のギヤ43は、中間シャフト45を介して接続される。第2のギヤ42および第3のギヤ43は、中間軸J4を中心として回転する。第2のギヤ42は、第1のギヤ41に噛み合う。第3のギヤ43は、差動装置5のリングギヤ51と噛み合う。第3のギヤ43は、第2のギヤ42に対して隔壁61c側に位置する。
【0026】
<差動装置>
差動装置5は、減速装置4を介しモータ2に接続される。差動装置5は、モータ2から出力されるトルクを車両の車輪に伝達するための装置である。差動装置5は、車両の旋回時に、左右の車輪の速度差を吸収しつつ左右両輪の車軸55に同トルクを伝える機能を有する。差動装置5は、リングギヤ51と、ギヤハウジング(不図示)と、一対のピニオンギヤ(不図示)と、ピニオンシャフト(不図示)と、一対のサイドギヤ(不図示)と、を有する。
【0027】
リングギヤ51は、モータ軸J2と平行な差動軸J5を中心として回転する。リングギヤ51には、モータ2から出力されるトルクが減速装置4を介して伝えられる。すなわち、リングギヤ51は、他のギヤを介してモータ2に接続される。
【0028】
(各軸の配置)
図3は、モータユニット1の側面模式図である。
モータ軸J2、中間軸J4および差動軸J5は、水平方向に沿って互いに平行に延びる。モータ軸J2に対し中間軸J4および差動軸J5は、下側に位置する。したがって、減速装置4および差動装置5は、モータ2より下側に位置する。
【0029】
モータ軸J2の軸方向から見て、モータ軸J2と中間軸J4とを仮想的に結ぶ線分を第1の線分L1とし、中間軸J4と差動軸J5とを仮想的に結ぶ線分を第2の線分L2とし、モータ軸J2と差動軸J5とを仮想的に結ぶ線分を第3の線分L3とする。
【0030】
第2の線分L2は略水平方向に沿って延びる。すなわち、中間軸J4と差動軸J5は、略水平方向に並んでいる。なお、本実施形態において、第2の線分L2が略水平方向とは、水平方向に対して±10°以内の方向である。
第2の線分L2と第3の線分L3とのなす角αは、30°±5°である。
第1の線分L1は、略鉛直方向に沿って延びる。すなわち、モータ軸J2と中間軸J4は、略鉛直方向に沿って並んでいる。なお、本実施形態において、第1の線分L1が略鉛直方向とは、鉛直方向に対して±10°以内の方向である。
【0031】
第1の線分の長さL1と、第2の線分の長さL2と、第3の線分の長さL3は、以下の関係を満たす。
L1:L2:L3=1:1.4~1.7:1.8~2.0
また、モータ2から差動装置5に至る減速機構における減速比が8以上11以下である。本実施形態によれば、上述したようなモータ軸J2、中間軸J4および差動軸J5の位置関係を維持しながら、所望のギヤ比(8以上11以下)を実現できる。
【0032】
<ハウジング>
図1に示すように、ハウジング6の内部に設けられた収容空間80には、モータ2およびギヤ部3が収容される。ハウジング6は、収容空間80においてモータ2およびギヤ部3を保持する。ハウジング6は、隔壁61cを有する。ハウジング6の収容空間80は、隔壁61cによってモータ室81とギヤ室82とに区画される。モータ室81には、モータ2が収容される。ギヤ室82には、ギヤ部3(すなわち、減速装置4および差動装置5)が収容される。
【0033】
収容空間80内の下部領域には、オイルOが溜るオイル溜りPが設けられる。本実施形態では、モータ室81の底部81aは、ギヤ室82の底部82aより上側に位置する。また、モータ室81とギヤ室82とを区画する隔壁61cには、隔壁開口68が設けられる。隔壁開口68は、モータ室81とギヤ室82とを連通させる。隔壁開口68は、モータ室81内の下部領域に溜ったオイルOをギヤ室82に移動させる。
【0034】
オイル溜りPには、差動装置5の一部が浸かる。オイル溜りPに溜るオイルOは、差動装置5の動作によってかき上げられて、一部が第1の油路91に供給され、一部がギヤ室82内に拡散される。ギヤ室82に拡散されたオイルOは、ギヤ室82内の減速装置4および差動装置5の各ギヤに供給されてギヤの歯面にオイルOを行き渡らせる。減速装置4および差動装置5に使用されたオイルOは、滴下してギヤ室82の下側に位置するオイル溜りPに回収される。収容空間80のオイル溜りPの容量は、モータユニット1の停止時に、差動装置5の軸受の一部がオイルOに浸かる程度である。
【0035】
図2に示すように、ハウジング6は、第1のハウジング部材61と、第2のハウジング部材62と、閉塞部63と、を有する。第2のハウジング部材62は、第1のハウジング部材61の軸方向一方側に位置する。閉塞部63は、第1のハウジング部材61の軸方向他方側に位置する。ハウジングは3以上の部材で構成されてもよい。
【0036】
図4は、ハウジング6の分解図である。
第1のハウジング部材61は、モータ2を径方向外側から囲む筒状の周壁部61aと、周壁部61aの軸方向一方側に位置する側板部61bと、を有する。周壁部61aの内側の空間は、モータ室81を構成する。側板部61bは、隔壁61cと突出板部61dとを有する。隔壁61cは、周壁部61aの軸方向一方側の開口を覆う。隔壁61cには、上述の隔壁開口68に加えて、モータ2のシャフト21を挿通させる挿通孔61fが設けられる。側板部61bは、隔壁61cと、周壁部61aに対して径方向外側に突出する突出板部61dと、を有する。突出板部61dには、車輪を支持するドライブシャフト(図示略)が通過する第1の車軸通過孔61eが設けられる。
【0037】
閉塞部63は、第1のハウジング部材61の周壁部61aに固定される。閉塞部63は、筒状の第1のハウジング部材61の開口を塞ぐ。閉塞部63は、閉塞部本体63aと、蓋部材63bと、を有する。閉塞部本体63aには、軸方向に貫通する窓部63cが設けられる。蓋部材63bは、収容空間80の外側から窓部63cを塞ぐ。
【0038】
第2のハウジング部材62は、第1のハウジング部材61の側板部61bに固定される。第2のハウジング部材62の形状は、側板部61b側に開口する凹形状である。第2のハウジング部材62の開口は、側板部61bに覆われる。第2のハウジング部材62と側板部61bの間との空間は、ギヤ部3を収容するギヤ室82を構成する。第2のハウジング部材62には、第2の車軸通過孔62eが設けられる。第2の車軸通過孔62eは、軸方向から見て第1の車軸通過孔61eと重なる。
【0039】
第1のハウジング部材61の周壁部61aと閉塞部63とは、モータ室81を構成し、モータ2を囲み、モータ2を収容する。すなわち、周壁部61aと閉塞部63とは、図1に示すモータ収容部6aを構成する。
同様に、第1のハウジング部材61の側板部61bと第2のハウジング部材62とは、ギヤ室82を構成し、ギヤ部3を囲み、ギヤ部3を収容する。すなわち、側板部61bと第2のハウジング部材62とは、図1に示すギヤ収容部6bを構成する。
このように、ハウジング6は、モータ2を収容するモータ室81を内部に設けるモータ収容部6aと、ギヤ部3を収容するギヤ室82を内部に設けるギヤ収容部6bと、を有する。
【0040】
図5は、モータユニット1の側面図である。また、図6は、モータユニット1を下側から見た下面図である。なお、図5および図6において、インバータユニット8の図示を省略する。
【0041】
図5および図6に示すようにギヤ収容部6bは、軸方向から見てモータ収容部6aに対し径方向に張り出す張出部6dを有する。本実施形態において張出部6dは、モータ収容部6aに対し車両後方側および下側に張り出す。張出部6dは、ギヤ部3の一部を収容する。より具体的には、張出部6dの内側には、第2のギヤ42の一部と、リングギヤ51の一部が収容される。
【0042】
<オイル>
図1に示すように、オイルOはハウジング6に設けられた油路90内を循環する。油路90は、オイル溜りPからオイルOをモータ2に供給するオイルOの経路である。油路90は、オイルOを循環させモータ2を冷却する。
オイルOは、減速装置4および差動装置5の潤滑用として使用される。また、オイルOは、モータ2の冷却用として使用される。オイルOは、ギヤ室82内の下部領域(すなわちオイル溜りP)に溜る。オイルOは、潤滑油および冷却油の機能を奏するため、粘度の低いオートマチックトランスミッション用潤滑油(ATF:Automatic Transmission Fluid)と同等のものを用いることが好ましい。
【0043】
<油路>
図1に示すように、油路90は、ハウジング6に設けられる。油路90は、ハウジング6内の収容空間80に位置する。油路90は、収容空間80のモータ室81とギヤ室82とに跨って構成される。油路90は、オイルOをモータ2の下側のオイル溜りP(すなわち、収容空間80内の下部領域)からモータ2を経て、再びモータ2の下側のオイル溜りPに導くオイルOの経路である。
【0044】
なお、本明細書において、「油路」とは、収容空間80を循環するオイルOの経路を意味する。したがって、「油路」とは、定常的に一方向に向かう定常的なオイルの流動を形成する「流路」のみならず、オイルを一時的に滞留させる経路(例えばリザーバ)およびオイルが滴り落ちる経路をも含む概念である。
【0045】
油路90は、モータ2の内部を通る第1の油路91と、モータ2の外部を通る第2の油路(油路)92と、を有する。オイルOは、第1の油路91および第2の油路92において、モータ2を内部および外部から冷却する。
【0046】
第1の油路91および第2の油路92は、ともにオイル溜りPからオイルOをモータ2に供給して、再びオイル溜りPに回収する経路である。第1の油路91および第2の油路92において、オイルOは、モータ2から滴下して、モータ室81内の下部領域に溜る。モータ室81内の下部領域に溜ったオイルOは、隔壁開口68を介して、ギヤ室82内の下部領域(すなわち、オイル溜りP)に移動する。すなわち、第1の油路91および第2の油路92は、オイルOをモータ室81内の下部領域からギヤ室82内の下部領域に移動させる経路を含む。
【0047】
(第1の油路)
図1に示すように、第1の油路91において、オイルOは、オイル溜りPから差動装置5によりかき上げられてロータ20の内部に導かれる。オイルOには、ロータ20の内部で、ロータ20の回転に伴う遠心力が付与される。これにより、オイルOは、ロータ20を径方向外側から囲むステータ30に向かって均等に拡散されステータ30を冷却する。
【0048】
第1の油路91は、かき上げ経路91aと、シャフト供給経路91bと、シャフト内経路91cと、ロータ内経路91dと、を有する。また、第1の油路91の経路中には、第1のリザーバ93が設けられる。第1のリザーバ93は、ギヤ室82に設けられている。
【0049】
かき上げ経路91aは、差動装置5のリングギヤ51の回転によってオイル溜りPからオイルOをかき上げて、第1のリザーバ93でオイルOを受ける経路である。図3に示すように、第1のリザーバ93は、中間軸J4と差動軸J5との間に配置される。第1のリザーバ93は、上側に開口する。第1のリザーバ93は、リングギヤ51がかき上げたオイルOを受ける。また、モータ2の駆動直後などオイル溜りPの液面が高い場合等には、第1のリザーバ93は、リングギヤ51に加えて第2のギヤ42および第3のギヤ43によってかき上げられたオイルOも受ける。
【0050】
シャフト供給経路91bは、第1のリザーバ93からモータ2にオイルOを誘導する。シャフト供給経路91bは、第2のハウジング部材62に設けられた孔部94により構成される。シャフト内経路91cは、シャフト21の中空部22内をオイルOが通過する経路である。ロータ内経路91dは、シャフト21の連通孔23からロータコア24の内部を通過して、ステータ30に飛散する経路である。
【0051】
シャフト内経路91cにおいて、ロータ20の内部のオイルOには、ロータ20の回転に伴い遠心力が付与される。これによりオイルOは、ロータ20から径方向外側に連続的に飛散する。また、オイルOの飛散に伴いロータ20内部の経路が負圧となり、第1のリザーバ93に溜るオイルOが、ロータ20の内部に吸引され、ロータ20内部の経路にオイルOが満たされる。
【0052】
ステータ30に到達したオイルOは、ステータ30から熱を奪う。ステータ30を冷却したオイルOは、下側に滴下され、モータ室81内の下部領域に溜る。モータ室81内の下部領域に溜ったオイルOは、隔壁61cに設けられた隔壁開口68を介してギヤ室82に移動する。
【0053】
(第2の油路)
図1に示すように、第2の油路92においてオイルOは、オイル溜りPからモータ2の上側まで引き上げられてモータ2に供給される。モータ2に供給されたオイルOは、ステータ30の外周面を伝いながら、ステータ30から熱を奪い、モータ2を冷却する。ステータ30の外周面を伝ったオイルOは、下方に滴下してモータ室81内の下部領域に溜る。第2の油路92のオイルOは、第1の油路91のオイルOとモータ室81内の下部領域で合流する。モータ室81内の下部領域に溜ったオイルOは、隔壁開口68を介して、ギヤ室82内の下部領域(すなわち、オイル溜りP)に移動する。
【0054】
第2の油路92は、第1の流路92aと第2の流路92bと第3の流路92cとを有する。第2の油路92の経路中には、ポンプ96と、クーラー97と、第2のリザーバ98と、が設けられる。ポンプ96は、オイルOをモータ2に供給する。また、クーラー97は、第2の油路92を通過するオイルOを冷却する。第2の油路92において、オイルOは、第1の流路92a、ポンプ96、第2の流路92b、クーラー97、第3の流路92c、第2のリザーバ98の順で各部を通過して、モータ2に供給される。
【0055】
第1の流路92a、第2の流路92bおよび第3の流路92cは、収容空間80を囲むハウジング6の壁部を通過する。第1の流路92aはオイル溜りPとポンプ96とを繋ぐ。第2の流路92bは、ポンプ96とクーラー97とを繋ぐ。第3の流路92cは、クーラー97と収容空間80とを繋ぐ。
【0056】
本実施形態において、第1の流路92a、第2の流路92bおよび第3の流路92cは、収容空間80を囲むハウジング6の壁部の内部を通過する。したがって、別途管材を用意する必要がなく部品点数減少に寄与できる。
【0057】
ポンプ96は、電気により駆動する電動ポンプである。ポンプ96は、第1の流路92aを介してオイル溜りPからオイルOを吸い上げて、第2の流路92b、クーラー97、第3の流路92cおよび第2のリザーバ98を介してモータ2に供給する。
【0058】
図6に示すように、ポンプ96は、ポンプ機構部96pと、ポンプモータ96mと、吸入口96aと吐出口96bとを有する。本実施形態において、ポンプ機構部96pは、図示略の外歯車と内歯車がかみ合って回転するトロコイダルポンプである。ポンプ機構部96pの内歯車は、ポンプモータ96mによって回転させられる。ポンプ機構部96pの内歯車と外歯車との間の隙間は、吸入口96aおよび吐出口96bに繋がる。
【0059】
ポンプ96の吸入口96aは、第1の流路92aに繋がる。また、ポンプ96の吐出口96bは、第2の流路92bに繋がる。ポンプ96は、第1の流路92aを介してオイル溜りPからオイルOを吸い上げて、第2の流路92b、クーラー97、第3の流路92cおよび第2のリザーバ98を介してモータ2に供給する。
【0060】
ポンプモータ96mは、ポンプ機構部96pの内歯車を回転させる。ポンプモータ96mの回転軸J6は、モータ軸J2と平行である。ポンプモータ96mを有するポンプ96は、回転軸J6方向に長尺となり易い。本実施形態によれば、ポンプモータ96mの回転軸J6をモータ軸J2と平行とすることで、モータユニット1の径方向の寸法を小型化することができる。また、モータユニット1の径方向寸法を小型化することで、軸方向から見てポンプ96をハウジング6の張出部6dに重ねて配置しやすい。結果的に、モータユニット1の軸方向の投影面積が大きくなることを抑制してモータユニット1を小型化しやすい構造を実現できる。
【0061】
ポンプ96は、モータ室81の下側に位置する。また、ポンプ96は、張出部6dのモータ収容部6a側を向く面に固定される。ポンプ96の吸入口96aは、張出部6dに対向して配置される。ポンプ96の吸入口96aに繋がる第1の流路92aは、張出部6dの壁面を軸方向に直線的に貫通して、ギヤ室82内の下部領域に開口する。すなわち、張出部6dには、軸方向に沿って延びギヤ室82内の下部領域(すなわち、オイル溜りP)からポンプ96に繋がる第1の流路92aが設けられる。
【0062】
本実施形態によれば、ポンプ96がモータ室81の下側に配置されるため、吸入口96aをオイル溜りPの近くに配置しやすい。結果的に、オイル溜りPと吸入口96aとを繋ぐ第1の流路92aを短くすることができる。また、オイル溜りPと吸入口96aとの距離が近いために、第1の流路92aを直線的な流路とすることができる。第1の流路92aを直線的な短い流路とすることで、オイル溜りPからポンプ96に至る経路の圧力損失を低減し、効率的なオイルOの循環を実現することができる。
【0063】
図1に示すように、クーラー97には、第1の流路92aおよび第2の流路92bが接続される。第1の流路92aおよび第2の流路92bは、クーラー97の内部流路を介して繋がる。クーラー97には、ラジエーター(図示略)で冷却された冷却水を通過させる冷却水用配管97jが接続される。クーラー97の内部を通過するオイルOは、冷却水用配管97jを通過する冷却水との間で熱交換されて冷却される。なお、冷却水用配管97jの経路中には、インバータユニット8が設けられる。冷却水用配管97jを通過する冷却水は、インバータユニット8を冷却する。
【0064】
図5に示すように、クーラー97は、モータ室81の下側において、モータ収容部6aの径方向外側を向く外周面に固定される。図1に示すように、モータ2に供給されたオイルOは、モータ室81内の下部領域に一時的に溜った後に、隔壁開口68を介してギヤ室82内の下部領域に移動する。本実施形態によれば、クーラー97が、モータ室81の下側で、モータ収容部6aの外周面に固定されるため、クーラー97の設置面からモータ収容部6aの壁面を介してモータ室81内の下部領域に溜ったオイルOを冷却することができる。
【0065】
図5に示すように、クーラー97およびポンプ96は、軸方向から見て少なくとも一部がギヤ収容部6bの張出部6dに重なる。張出部6dの内部には、ギヤ部3が収容される。張出部6dの軸方向の投影面積は、ギヤ部3の各ギヤの大きさに依存して決まる。ギヤ部3を構成する各ギヤの大きさは、所望のギヤ比を満たすために設定されている。このため、張出部6dの軸方向の投影面積を小さくすることは、困難である。本実施形態によれば、軸方向においてクーラー97およびポンプ96を張出部6dに重ねて配置することで、モータユニット1の軸方向の投影面積が、クーラー97およびポンプ96によって大きくなることを抑制できる。これにより、モータユニット1の軸方向の投影面積が大きくなることを抑制して、モータユニット1を小型化することができる。
【0066】
本実施形態によれば、クーラー97およびポンプ96は、軸方向から見て、少なくとも一部がギヤ部3の第2のギヤ42に重なる。このため、張出部6dの軸方向から見た投影面積をギヤ部3の各ギヤの外形に沿ってできるだけ小さくした場合であっても、軸方向から見てクーラー97およびポンプ96が張出部6dに重なる構成が実現できる。結果的に、モータユニット1の軸方向の投影面積が大きくなることを抑制して、モータユニット1を小型化することができる。
【0067】
本実施形態によれば、クーラー97およびポンプ96は、張出部6dの下端より上側に位置する。すなわち、クーラー97およびポンプ96が、張出部6dの下端からさらに下側に飛び出すことがない。このため、上下方向において、モータユニット1を小型化することができる。
【0068】
クーラー97およびポンプ96は、モータ室81の鉛直方向下側に位置する。モータユニット1は、例えば車両のボンネット内に配置される。また、モータユニット1において、クーラー97およびポンプ96は、ハウジング6に対して突出する突起物である。本実施形態によれば、クーラー97およびポンプ96をモータ室81の鉛直方向下側に配置することで、車両が事故などによって対象物に衝突した場合であっても、突起物であるクーラー97およびポンプ96が、対象物に突き刺さることを抑制できる。
【0069】
本実施形態によれば、ポンプ96およびクーラー97が、ハウジング6の外周面に固定される。このため、ポンプ96およびクーラー97が、ハウジング6の外部の構造物に固定される場合と比較して、モータユニット1の小型化に寄与できる。加えて、ポンプ96およびクーラー97が、ハウジング6の外周面に固定されることで、ハウジング6の壁部を通過する第1の流路92a、第2の流路92bおよび第3の流路92cにより、収容空間80とポンプ96およびクーラー97とを繋ぐ流路を構成することができる。
【0070】
図6に示すように、本実施形態によれば、軸方向におけるポンプ96の位置とクーラー97の位置とは、互いに重なる。クーラー97とポンプ96とは、第2の流路92bを介して繋がる。すなわち、第2の油路92には、ポンプ96とクーラー97とを繋ぐ第2の流路92bが設けられる。本実施形態によれば、ポンプ96およびクーラー97の軸方向位置が互いに重なることで、第2の流路92bを軸方向と直交する方向に直線的に延ばす構造を実現できる。すなわち、第2の流路92bを直線的な短い流路とすることができ、ポンプ96からクーラー97に至る経路の圧力損失を低減し、効率的なオイルOの循環を実現することができる。
【0071】
図1に示すように、第2のリザーバ98は、収容空間80のモータ室81に位置する。第2のリザーバ98は、モータの上側に位置する。第2のリザーバ98は、第3の流路92cを介してモータ室81に供給されたオイルOを貯留する。第2のリザーバ98は、複数の流出口98aを有する。第2のリザーバ98内に溜ったオイルOは、各流出口98aからモータ2に供給される。第2のリザーバ98の流出口98aから流出したオイルOは、上側から下側に向かってモータ2の外周面を伝って流れてモータ2の熱を奪う。これにより、モータ2全体を冷却することができる。
【0072】
第2のリザーバ98は、軸方向に沿って延びる。また、第2のリザーバ98の流出口98aは、第2のリザーバ98の軸方向の両端部に設けられる。流出口98aは、コイルエンド31aの上側に位置する。これにより、ステータ30の軸方向両端に位置するコイルエンド31aにオイルOをかけてコイル31を直接的に冷却できる。
【0073】
コイル31を冷却したオイルOは、下側に滴下され、モータ室81内の下部領域に溜る。モータ室81内の下部領域に溜ったオイルOは、隔壁61cに設けられた隔壁開口68を介してギヤ室82に移動する。
【0074】
本実施形態によれば、第2の油路92の経路中には、オイルOを冷却するクーラー97が設けられる。第2の油路92を通過しクーラー97により冷却されたオイルOは、オイル溜りPにおいて第1の油路91を通過したオイルOと合流する。オイル溜りPにおいて、第1の油路91および第2の油路92を通過したオイルOは、互いに混ざりあって熱交換が行われる。このため、第2の油路92の経路中に配置されてクーラー97の冷却の効果を第1の油路91を通過するオイルOにも及ぼすことができる。
【0075】
<インバータユニット>
インバータユニット8は、モータ2と電気的に接続される。インバータユニット8は、モータ2に供給される電流を制御する。図5に示すように、インバータユニット8は、ハウジング6に固定される。より具体的には、インバータユニット8は、モータ収容部6aの径方向外側を向く外周面に固定される。
【0076】
インバータユニット8は、軸方向から見て、少なくとも一部がギヤ収容部6bの張出部6dに重なる。本実施形態によれば、軸方向から見て、インバータユニット8を張出部6dに重ねて配置することで、モータユニット1の軸方向の投影面積が、インバータユニット8によって大きくなることを抑制できる。これにより、モータユニット1の軸方向の投影面積が大きくなることを抑制して、モータユニット1を小型化することができる。
【0077】
本実施形態によれば、インバータユニット8は、軸方向から見て少なくとも一部がギヤ部3のリングギヤ51に重なる。このため、張出部6dの軸方向から見た投影面積をギヤ部3の各ギヤの外形に沿ってできるだけ小さくした場合であっても、軸方向から見てインバータユニット8が張出部6dに重なる構成が実現できる。結果的に、モータユニット1の軸方向の投影面積が大きくなることを抑制して、モータユニット1を小型化することができる。
【0078】
本実施形態によれば、インバータユニット8は、鉛直方向から見て、モータ軸J2を挟んでクーラー97と反対側に位置する。このため、軸方向から見て張出部6dと重なる領域を有効的に活用して、モータユニット1の水平方向に沿う寸法を小さくすることが可能となり、モータユニット1の小型化を図ることができる。
【0079】
図1に示すように、インバータユニット8には、図示略のラジエータから延びる冷却水用配管97jが接続される。これにより、インバータユニット8を効率的に冷却できる。また、冷却水用配管97jを流れる冷却水は、インバータユニット8の筐体部を介して筐体部に接触するモータ収容部6aをも冷却する。
【0080】
<パーキング機構>
電気自動車では、サイドブレーキ以外に車両にブレーキをかける制動機構が無いため、モータユニット1にパーキング機構7が必要となる。
【0081】
図1に示すように、パーキング機構7は、中間シャフト45に固定され中間シャフト45とともに中間軸J4周りに回転するパーキングギヤ71と、パーキングギヤ71の歯間に移動してパーキングギヤ71の回転を阻止する回転阻止部72と、回転阻止部72を駆動するパーキングモータ73と、を有する。モータ2の動作時において、回転阻止部72は、パーキングギヤ71から退避する。一方、シフトレバーがパーキングの位置にある時は、パーキングモータ73が回転阻止部72をパーキングギヤ71の歯間に移動させパーキングギヤ71の回転を阻止する。
【0082】
以上に、本発明の実施形態および変形例を説明したが、実施形態における各構成およびそれらの組み合わせ等は一例であり、本発明の趣旨から逸脱しない範囲内で、構成の付加、省略、置換およびその他の変更が可能である。また、本発明は実施形態によって限定されることはない。
【符号の説明】
【0083】
1…モータユニット、2…モータ、3…ギヤ部、6…ハウジング、6a…モータ収容部、6b…ギヤ収容部、6d…張出部、8…インバータユニット、21…シャフト(モータシャフト)、81…モータ室、82…ギヤ室、90…油路、92…第2の油路(油路)、96…ポンプ、96m…ポンプモータ、97…クーラー、J2…モータ軸、J6…回転軸、O…オイル
図1
図2
図3
図4
図5
図6