(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024001673
(43)【公開日】2024-01-10
(54)【発明の名称】エンドエフェクタ
(51)【国際特許分類】
B67B 3/20 20060101AFI20231227BHJP
B25J 15/10 20060101ALI20231227BHJP
B25J 15/08 20060101ALI20231227BHJP
B67B 7/18 20060101ALI20231227BHJP
【FI】
B67B3/20
B25J15/10
B25J15/08 P
B25J15/08 S
B67B7/18
【審査請求】未請求
【請求項の数】5
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022100491
(22)【出願日】2022-06-22
(71)【出願人】
【識別番号】000003193
【氏名又は名称】TOPPANホールディングス株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001276
【氏名又は名称】弁理士法人小笠原特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】高野 悠人
【テーマコード(参考)】
3C707
3E080
3E081
【Fターム(参考)】
3C707ES05
3C707EV08
3C707EV11
3C707EW01
3C707EW11
3C707HS27
3C707LU07
3C707LV03
3C707NS07
3C707NS11
3E080AA07
3E080CD02
3E080CF07
3E080CF15
3E081AA14
3E081AB03
3E081BB19
3E081BB25
3E081BB29
3E081BC04
3E081BC06
3E081EE02
3E081EE12
(57)【要約】
【課題】簡易な制御でねじ込み式容器の蓋が開閉可能なエンドエフェクタを提供する。
【解決手段】ねじ込み式容器の容器本体を把持可能な容器本体把持部と、容器本体把持部の鉛直方向の上方に配置され、ねじ込み式容器の蓋を把持可能な蓋把持部と、蓋把持部を回転させるモータと、蓋把持部を昇降させる昇降部と、バネを介して蓋把持部を支持する伸縮部と、蓋の締め込み時のトルクを所定値以下に制限するトルク制御部とを備え、蓋把持部は、蓋把持部の回転軸を取り囲むように配置される3以上の指部と、指部のそれぞれの下端に取り付けられる複数のローラとを有し、複数のローラは、複数のローラのそれぞれに外接する円の直径の最小値が、蓋の直径より小さくなるように配置されており、ねじ込み式容器の蓋が複数のローラによって囲まれた空間に挿入されると、複数のローラのそれぞれが弾性変形することによって蓋を把持するエンドエフェクタ。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ねじ込み式容器の蓋を開閉可能なエンドエフェクタであって、
前記ねじ込み式容器の容器本体を把持可能な容器本体把持部と、
前記容器本体把持部の鉛直方向の上方に配置され、前記ねじ込み式容器の蓋を把持可能な蓋把持部と、
前記蓋把持部を回転させるモータと、
前記蓋把持部を昇降させる昇降部と、
鉛直方向に伸縮可能なバネを介して前記蓋把持部を支持する伸縮部と、
前記蓋の締め込み時のトルクを所定値以下に制限するトルク制御部とを備え、
前記蓋把持部は、
前記蓋把持部の回転軸を取り囲むように配置される3以上の指部と、
前記指部のそれぞれの下端に取り付けられる複数のローラとを有し、
前記複数のローラは、それぞれの回転軸が前記蓋把持部の回転軸を含む平面と直交し、かつ、それぞれの回転軸から前記蓋把持部の回転軸までの垂直距離が等しく、更に、前記蓋把持部の回転軸を中心とし、前記複数のローラのそれぞれに外接する円の直径の最小値が、前記蓋の直径より小さくなるように配置されており、
前記昇降部が前記蓋把持部を下降させるのに伴って、前記容器本体把持部によって把持された前記ねじ込み式容器の前記蓋が前記複数のローラによって囲まれた空間に挿入されると、前記複数のローラのそれぞれが弾性変形することによって前記蓋を把持し、
前記蓋把持部が前記容器本体に螺合した前記蓋を把持した状態で、前記モータが前記蓋把持部を前記蓋の開方向に回転させることにより、前記蓋を前記容器本体から離脱させ、
前記蓋把持部が前記容器本体から離脱した前記蓋を把持した状態で、前記昇降部により前記蓋把持部を下降させて前記蓋を前記容器本体把持部によって支持された前記容器本体の開口部に押し当て、前記モータが前記蓋把持部を前記蓋の閉方向に回転させることにより、前記蓋を前記容器本体に螺合させ、
前記伸縮部は、前記蓋の開栓時に前記モータの回転に伴って収縮しながら前記蓋把持部を上昇させ、前記蓋の閉栓時に前記モータの回転に伴って伸張しながら前記蓋把持部を下降させる、エンドエフェクタ。
【請求項2】
前記複数のローラのそれぞれの回転軸と前記蓋把持部の回転軸との垂直距離を変更可能な調整機構を備える、請求項1に記載のエンドエフェクタ。
【請求項3】
前記複数のローラで囲まれた空間に挿入された前記蓋の上端面に当接し、前記ローラに対して前記蓋の外周面の位置決めを行う突き当て部を備える、請求項1に記載のエンドエフェクタ。
【請求項4】
前記複数のローラに対する前記突き当て部の下端位置を調整可能な調整機構を備える、請求項3に記載のエンドエフェクタ。
【請求項5】
前記ローラの外周面はゴムで構成されており、
前記ゴムの引張強さが1MPa以上50MPaであり、伸び率が100%以上であり、ポアソン比が0.4以上0.5以下である、請求項1に記載のエンドエフェクタ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ねじ込み式容器の蓋を開閉可能なエンドエフェクタに関する。
【背景技術】
【0002】
ねじこみ式容器に充填された調味料等の粉体を取り出すために蓋を開閉したり、塗料などの液体を混合するために蓋を開閉したりする工程がある。近年は工程の自動化が進められ、ねじ込み式容器の開閉工程を産業ロボットに肩代わりさせることで、工程の効率化および時短化、そして人件費を削減する取り組みが顕著になってきている。例えば、特許文献1に開示されるような、ロボットアームによりねじこみ式容器の蓋を開閉するエンドエフェクタが考えられている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかし、特許文献1に記載のエンドエフェクタは、蓋チャックが蓋部を左右方向から把持する構成であるため、蓋チャックの開閉動作をモータなどを用いて電気的に制御する必要がある。そのため、蓋チャックの開閉を制御するための設定が煩雑となる。
【0005】
それ故に、本発明は、簡易な制御でねじ込み式容器の蓋が開閉可能なエンドエフェクタを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明に係るエンドエフェクタは、ねじ込み式容器の蓋を開閉可能なエンドエフェクタであって、ねじ込み式容器の容器本体を把持可能な容器本体把持部と、容器本体把持部の鉛直方向の上方に配置され、ねじ込み式容器の蓋を把持可能な蓋把持部と、蓋把持部を回転させるモータと、蓋把持部を昇降させる昇降部と、鉛直方向に伸縮可能なバネを介して蓋把持部を支持する伸縮部と、蓋の締め込み時のトルクを所定値以下に制限するトルク制御部とを備え、蓋把持部は、蓋把持部の回転軸を取り囲むように配置される3以上の指部と、指部のそれぞれの下端に取り付けられる複数のローラとを有し、複数のローラは、それぞれの回転軸が蓋把持部の回転軸を含む平面と直交し、かつ、それぞれの回転軸から蓋把持部の回転軸までの垂直距離が等しく、更に、蓋把持部の回転軸を中心とし、複数のローラのそれぞれに外接する円の直径の最小値が、蓋の直径より小さくなるように配置されており、昇降部が蓋把持部を下降させるのに伴って、容器本体把持部によって把持されたねじ込み式容器の蓋が複数のローラによって囲まれた空間に挿入されると、複数のローラのそれぞれが弾性変形することによって蓋を把持し、蓋把持部が容器本体に螺合した蓋を把持した状態で、モータが蓋把持部を蓋の開方向に回転させることにより、蓋を容器本体から離脱させ、蓋把持部が容器本体から離脱した蓋を把持した状態で、昇降部により蓋把持部を下降させて蓋を容器本体把持部によって支持された容器本体の開口部に押し当て、モータが蓋把持部を蓋の閉方向に回転させることにより、蓋を容器本体に螺合させ、伸縮部は、蓋の開栓時にモータの回転に伴って収縮しながら蓋把持部を上昇させ、蓋の閉栓時にモータの回転に伴って伸張しながら蓋把持部を下降させる。
【発明の効果】
【0007】
本発明によれば、簡易な制御でねじ込み式容器の蓋が開閉可能なエンドエフェクタを提供できる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【
図1】第一実施形態に係るエンドエフェクタの概略構成を示す図
【
図2】第一実施形態に係るエンドエフェクタの動作を説明する図
【
図3】第二実施形態に係るエンドエフェクタの概略構成を示す図
【
図4】第三実施形態に係るエンドエフェクタの概略構成を示す図
【
図5】第四実施形態に係るエンドエフェクタの概略構成を示す図
【発明を実施するための形態】
【0009】
[第一実施形態]
図1は、第一実施形態に係るエンドエフェクタの概略構成を示す図である。
図1(a)は、エンドエフェクタ1の正面図であり、
図1(b)は、
図1(a)のA-A’方向からみた図である。
【0010】
エンドエフェクタ1は、容器本体把持部102、蓋把持部114、伸縮部111、モータ108およびトルク制御部112を備える。エンドエフェクタ1は、ねじ込み式容器101の容器本体116に螺合した蓋106の取り外しと、容器本体116の蓋106の取り付けとの両方を行う装置である。
【0011】
容器本体把持部102は、ねじ込み式容器101の容器本体116を把持する。把持する方法は、例えば、V字型の部品の内側に容器本体116を当接させ、エアシリンダやエレシリンダなどを用いてV字型の部品に容器本体116を押し付ける方法でもよいし、容器本体116の外周面に沿う形の把持面を有する部材を用いて、モータなどの駆動機で容器本体116を対向する側方から挟む方法(特許文献1で開示されている方法)でもよい。容器本体116が容器本体把持部102によって把持されることにより、後述する蓋把持部114で蓋106を開方向または閉方向に回転させる際に容器本体116も一緒に回転してしまうのを防ぐ。
【0012】
蓋把持部114は、容器本体把持部102の鉛直方向の上方に配置されており、ねじ込み式容器101の蓋106を把持するための部分である。蓋把持部114は、蓋把持部114の回転軸Xを取り囲むように配置される複数の指部103と、指部103のそれぞれの下端に取り付けられるローラ104とを備える。
【0013】
指部103は、ローラ104の外周面をねじ込み式容器101の蓋106に押し当てるための部材である。指部103の数は、蓋106を安定して保持できるように、3以上であることが好ましい。指部103は、蓋把持部114の回転軸Xを中心として回転対称となるように配置されることが好ましい。また、例えば、蓋106が角蓋のような立方体であった場合は、指部103の数を4とすることで、4方向から容器本体116を把持し、把持されていない蓋106の面側から蓋106が脱落するのを抑制する構成が好ましい。
【0014】
ローラ104のそれぞれは、外周面の一部が蓋把持部114の回転軸X方向を向くように指部103の下端に回転可能に取り付けられている。より詳細には、ローラ104のそれぞれの回転軸は、蓋把持部114の回転軸Xを含む平面(
図1(b)に二点鎖線で示す)と直交しており、かつ、ローラ104のそれぞれの回転軸から蓋把持部114の回転軸Xまでの垂直距離が等しくなるように配置されている。また、蓋把持部114の回転軸Xを中心とし、複数のローラ104のそれぞれに外接する円Cの直径の最小値が、蓋106の直径より小さくなるように配置される。
【0015】
ローラ104の少なくとも外周面は弾性を有する材料で構成される。ローラ104の外周面を構成する弾性材料としては、例えば、ゴムを使用することができる。ローラ104の外周面にゴムを採用する場合、引張強さが1MPa以上50MPaであり、伸び率が100%以上であり、ポアソン比が0.4以上0.5以下であるゴムを使用することが好ましい。
【0016】
蓋把持部114の回転軸Xは、モータ108の回転軸と一致しており、蓋把持部114は、モータ108の回転力によって回転することができる。また、蓋把持部114は、後述する昇降部によって上下方向に移動可能である。
【0017】
蓋把持部114におけるローラ104(指部103)に囲まれた部分には、突き当て部107が設けられている。突き当て部107は、ローラ104で囲まれた空間に挿入された蓋106の上端面に当接し、ローラ104に対して蓋106の位置決めを行うために設けられている。
【0018】
伸縮部111は、モータ108と蓋把持部114との間に設けられ、鉛直方向(上下方向)に伸縮可能なバネ117を介して蓋把持部114を支持する。伸縮部111は、例えば、貫通孔を有する板状のプレート109と、プレート109と蓋把持部114との間に設けられるバネ117と、プレート109の貫通孔およびバネ117に挿入されるロッド110とで構成される。ロッド110の下端は蓋把持部114に固定されている。バネ117が伸縮することにより、プレート109に対する蓋把持部114の位置が可変となっている。
【0019】
モータ108は、正転方向と逆転方向(蓋106の開閉方向)に可変であり、伸縮部111および蓋把持部114を回転させる。モータ108は、蓋106を開けるためのトルクを有していれば良く、モータ108の回転数は自動化工程におけるタクトタイムで求められる回転数を満たすモータを選定すればよい。
【0020】
トルク制御部112は、蓋106の締め込み時のトルクを所定位置以下に制限する部材であり、蓋106のねじ込み過ぎによる変形破損を防止することができる。トルク制御部112としては、外部動力および電気制御を要しない機械式のトルクリミッタ(例えば、摩擦板とバネを用いたもの)を使用しても良いし、トルクエンコーダのようなトルク値の変動を電気的に感知して、モータ108の回転を停止させる構成を使用してもよい。
【0021】
モータ108と伸縮部111(蓋把持部114)とは、例えば、モータ108と蓋把持部114および伸縮部111とのアライメントを吸収するためのカップリング113を介して接続される。カップリング113として、例えば、トルクリミッタとカップリングの両方の機能を兼ね備えたものを使用しても良い。
【0022】
モータ108、伸縮部111および蓋把持部114は、ロボットアームや各種昇降装置等の図示しない昇降部に取り付けられ、鉛直方向に移動可能である。
【0023】
本実施形態に係るエンドエフェクタ1による、ねじ込み式容器の開閉方法について説明する。
図2は、第一実施形態に係るエンドエフェクタの動作を説明する図である。
【0024】
図2(a)は、蓋把持部114が蓋106を把持する前の状態を示す。ねじ込み式容器101の容器本体116は、容器本体把持部102に把持されて固定されている。蓋把持部114は容器本体116の鉛直上方かつ、蓋把持部114の回転軸Xと蓋106の回転軸とがほぼ一致する位置に配置される。
【0025】
図2(b)は、蓋把持部114が蓋106を把持しており、かつ、蓋106が締め込まれた状態を示す。
図2(a)の状態から、昇降部が蓋把持部114を下降させると、下降に伴って蓋106が複数のローラ104によって囲まれた空間に挿入さる。上述したように、ローラ104は、ローラ104で囲まれた空間においてローラ104に外接する円の最小径が、蓋106の外径より小さくなるように配置されている。ただし、ローラ104の外周面は弾性材料で形成されているため、複数のローラ104のそれぞれが弾性変形することによって蓋106がローラ104で囲まれた空間に挿入される。ローラ104の表面が弾性変形することによって生じた反力が蓋106を脱落しないための外力として作用するため、蓋把持部114に蓋106を把持させることができる。蓋106の上端面が突き当て部107に当接するまで蓋把持部114を下降させることにより、蓋106をローラ104によって安定して保持される位置に位置決めすることができる。また、伸縮部111のバネ117が一定量縮む位置までモータ108を下降させることにより、蓋106の高さ方向における位置や大きさのばらつきに関わらず、蓋106を確実に突き当て部107に接触させてローラ104に対する位置決めを行うことができる。尚、
図2(b)の状態では、バネ117は伸張しており、バネ117の長さは
図2(a)に示す初期状態とほぼ同じである。
【0026】
図2(c)は、蓋把持部114が蓋106を把持しており、かつ、蓋106が取り外された状態を示す。
図2(b)の状態から、モータ108が蓋把持部114を蓋106の開方向に回転させる。蓋把持部114は、伸縮部111を介してモータ108に接続されているので、蓋把持部114は、蓋106の開栓に伴って伸縮部111を収縮させながら上昇する。このとき、蓋把持部114の上昇量は伸縮部111によって吸収されるため、蓋把持部114の上昇に連動して、モータ108および伸縮部111の鉛直位置を調整する必要はない(
図2(c))。
【0027】
蓋106の容器本体116との螺合が解除されたら、昇降部が蓋把持部114を上昇させ、容器本体116と蓋106とを分離する。螺合が解除されたか否かの判定は、例えば、トルク制御部112が検出するトルク値に基づいて行ってもよい。
【0028】
以上、蓋106を開栓するためのエンドエフェクタ1の動作について説明したが、閉栓については開栓と逆の動作で行うことができる。具体的には、蓋把持部114が蓋106を把持した状態で、蓋把持部114を下降させて蓋106を容器本体116の開口部に押し当て、更に伸縮部111のバネ117が完全に収縮するまで蓋把持部114を下降させる。次に、蓋106の閉栓方向にモータ108を回転させることで、蓋106が容器本体116に螺合する。蓋106の閉栓に伴って、伸縮部111のバネ117が伸張するため、蓋106に追従して蓋把持部114が下降する。蓋106が完全に締め込まれるとトルク制御部112がモータからの動力伝達を遮断する。これにより、蓋106の過剰なねじ込みによる破損を防止することができる。その後、昇降部が蓋把持部114を上昇させることにより蓋把持部114を蓋106から分離させ、閉栓が完了する。
【0029】
以上説明したように、第一実施形態に係るエンドエフェクタ1は、蓋把持部114の指部103の下端に弾性変形可能なローラ104が設けられており、蓋把持部114が蓋106を把持していない状態において、複数のローラ104のそれぞれに外接する円の直径の最小値が、蓋106の直径より小さくなるように配置されている。そのため、ローラ104で囲まれた空間に、ねじ込み式容器101の蓋106の部分を挿入するだけで、ローラ104の弾性変形により蓋106を把持することができる。従って、本実施形態に係るエンドエフェクタ1は、モータなどの駆動機によって指部を対向する状態で開閉させて蓋を把持するような複雑な機構と制御を用いることなく蓋106を把持することができる。
【0030】
また、本実施形態に係るエンドエフェクタ1は、トルク制御部112を備えている。そのため、蓋106の締め込み時にトルクが一定値以上となると、モータ108の動力伝達が遮断され、蓋106のねじ込み過ぎによる変形破損を防止することができる。また、適切なトルクで蓋106の締め込みが可能となるので、ねじ込み式容器101に攪拌といった振動を与える工程で蓋106が緩み、中身が漏れてしまうのを抑制できる。なお、従来技術(例えば特許文献1)においては、リニアガイドに位置センサを設け、リニアガイドの変位から蓋のねじ込みが停止位置に到達したどうかを推定し、ねじ込み動作を停止させている。この場合、適切なトルクで蓋を閉栓できていない可能性があり、ねじ込み式容器101に攪拌といった振動を与える工程で蓋が緩み、中身が漏れてしまう恐れがある。
【0031】
また、トルク制御部112として、外部動力および電気制御を要しない機械式のトルクリミッタを用いれば、電気制御が必要な位置センサを用いることなく、容易な構成で蓋106を過剰にねじ込んだ場合に生じる問題を解消することができる。
【0032】
[第2実施形態]
図3を用いて、第2実施形態に係るエンドエフェクタ2について説明する。
図3は、第2実施形態に係るエンドエフェクタの概略構成を示す図である。本実施形態において、第1実施形態と異なる点を説明する。
【0033】
蓋把持部114は、第1ボルト201と、第2ボルト202とを備える。第1ボルト201は、把持部114のベース部203を貫通して突き当て部107に接続されており、ローラ104に対する突き当て部107の下端位置を調節可能とする。これにより、
図3(a)および
図3(b)に示すような、様々な高さを有する蓋106に対応することができる。
【0034】
第2ボルト202は、蓋把持部114のベース部203の外周縁近傍から垂下して設けられる部材を貫通して指部103に接続されている。第2ボルト202の回転に伴って、指部103及びローラ104が一体となって移動可能であり、ローラ104のそれぞれの回転軸と蓋把持部114の回転軸Xとの垂直距離を調節可能とする。これにより、
図3(a)および
図3(b)に示すような、様々な直径を有する蓋106に対応することができる。また、蓋106の材質に応じてローラ104のそれぞれの回転軸と蓋把持部114の回転軸Xとの垂直距離を変えることで、蓋106の把持力を維持することができる。例えば、蓋106が柔らかい材質の場合、把持する力が大き過ぎると蓋106が変形し、ねじ込みの際の螺合が噛み合わない恐れがあるが、垂直距離を大きくすることでこれを緩和できる。なお、第2ボルト202ではなく、旋盤などに用いられる、ハンドルの回転と連動して指部が可動するスクロールチャックのような機構によって、指部103の半径方向の距離を調節しても良い。
【0035】
[第3実施形態]
図4を用いて、第3実施形態に係るエンドエフェクタ3について説明する。
図4は、第3実施形態に係るエンドエフェクタの概略構成を示す図である。本実施形態において、第1実施形態と異なる点を説明する。
【0036】
エンドエフェクタ3において、ローラ104は、リンク機構302によって把持部114と接続され、同時に、バネなどで伸縮する伸縮機構304によって把持部114のベース部203と接続されている。この構成により、エンドエフェクタ3は、複数のローラ104のそれぞれの回転軸と蓋把持部114の回転軸Xとの垂直距離を自動で調整可能となる。これにより自動化工程中において、
図4(a)および
図4(b)に示すような、直径の異なる蓋106を2種以上把持することができる。例えば、直径の大きい蓋106を把持する場合、蓋把持部114が下降して蓋106が複数のローラ104によって囲まれた空間に挿入されるのに伴って、伸縮機構304が縮む方向にローラ104が変位する。そのため、複数のローラ104によって囲まれた空間が広がり、直径の大きい蓋106を把持することができる。また、圧縮された伸縮機構304のバネの反発力によって蓋106が離脱しないように保持することができる。
【0037】
[第4実施形態]
図5を用いて第4実施形態に係るエンドエフェクタ4について説明する。
図5は、第4実施形態に係るエンドエフェクタの概略構成を示す図である。本実施形態において、第1実施形態と異なる点を説明する。
【0038】
エンドエフェクタ4は、ノズルを備えた蓋106を備えるねじ込み式容器101に好適な構成を有する。具体的には、第1実施形態の容器本体把持部102に相当する構成の蓋把持部401で蓋106を固定し、蓋把持部114に相当する構成の容器本体把持部402で容器本体116を把持する。このとき、エンドエフェクタ4は蓋106のノズルが上を向くように、蓋把持部401は容器本体把持部402の鉛直方向の上方に配置され、蓋106を開閉する場合は、蓋106に対して容器本体116を回転させればよい。このような構成とすることで、ノズルが下向きになることによる内容物の漏れを防ぐことができる。
【0039】
なお、蓋106の外周面を把持して容器本体116を押込み挿入する場合、蓋106の外周面と蓋把持部401の内周面との間で生じる軸方向の滑りを抑制するため、ノズルの頭頂部を突き当てる構成を蓋把持部401に設けることが望ましい。
【産業上の利用可能性】
【0040】
本発明に係るエンドエフェクタは、ねじ込み式容器の蓋を開閉するロボットとして利用できる。
【符号の説明】
【0041】
1,2,3,4 エンドエフェクタ
101 ねじ込み式容器
102 容器本体把持部
103 指部
104 ローラ
106 蓋
107 突き当て部
108 モータ
111 伸縮部
112 トルク制御部
114 蓋把持部
116 容器本体
117 バネ
X 蓋把持部の回転軸