(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024167355
(43)【公開日】2024-12-03
(54)【発明の名称】喫煙具用カートリッジ
(51)【国際特許分類】
A24D 1/20 20200101AFI20241126BHJP
A24F 40/42 20200101ALI20241126BHJP
A24F 40/465 20200101ALI20241126BHJP
【FI】
A24D1/20
A24F40/42
A24F40/465
【審査請求】有
【請求項の数】1
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2024150193
(22)【出願日】2024-08-30
(62)【分割の表示】P 2023542340の分割
【原出願日】2022-08-05
(31)【優先権主張番号】P 2021132250
(32)【優先日】2021-08-16
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(71)【出願人】
【識別番号】721008039
【氏名又は名称】Future Technology株式会社
(72)【発明者】
【氏名】渡邊 龍志
(57)【要約】 (修正有)
【課題】充填物の脱落がなく、電磁波による人体への影響を抑えながら、タバコ充填物を加熱することのできる喫煙システムを提供する。
【解決手段】喫煙具用カートリッジ1は、その端面に蓋と、長手方向に延びて喫煙具本体により誘導加熱されるサセプタ部材13、および発熱したサセプタ部材によって加熱されることによりエアロゾルを発生する充填物を含む円筒状の充填物集積体10と、円筒状の支持部材20と、冷却領域と、吸口部となる円筒状のフィルタ30とが喫煙具用カートリッジの長手方向に沿って配列されて、外周に外側包装部材40で巻かれることで一体化され、支持部材は、充填物集積体の支持部材側への移動を抑制するとともに、充填物集積体で発生したエアロゾルを含む気流をフィルタ側に流通させ、サセプタ部材は幅が1.5mm以上の板形状であり、充填物集積体の中心に一つ設けられている。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
喫煙具本体に挿入可能な喫煙具用カートリッジであって、
前記喫煙具用カートリッジの端面に蓋と、
長手方向に延びて前記喫煙具本体により誘導加熱されるサセプタ部材、および発熱した前記サセプタ部材によって加熱されることによりエアロゾルを発生する充填物を含む円筒状の充填物集積体と、
円筒状の支持部材と、冷却領域と、吸口部となる円筒状のフィルタとが前記喫煙具用カートリッジの長手方向に沿って配列されて、外周に外側包装部材で巻かれることで一体化され、
前記支持部材は、前記充填物集積体の支持部材側への移動を抑制するとともに、前記充填物集積体で発生したエアロゾルを含む気流をフィルタ側に流通させ、
前記サセプタ部材は幅が1.5mm以上の板形状であり、前記充填物集積体の中心に一つ設けられている、
ことを特徴とする、喫煙具用カートリッジ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、タバコまたは非タバコ植物を材料とする充填物を有する喫煙具用カートリッジ、および喫煙具用カートリッジを含む喫煙システムに関する。
【背景技術】
【0002】
近年、タバコの禁煙の傾向に合わせるために、火炎を用いることなく、タバコの成分を含むカートリッジ(喫煙具用カートリッジ)を加熱して、気化したタバコ成分を吸引することで、タバコを楽しむための加熱式タバコ製品が普及し始めている。喫煙具用カートリッジは、喫煙具本体が有するブレード等の加熱体が差し込まれて加熱されるタバコ充填物と、吸口に設けられるフィルタと、を有し、これらが紙等の包装部材で巻かれることで形成される。このような喫煙具用カートリッジとして、例えば特許文献1に挙げるようなものがある。
【0003】
また、特許文献2には、誘導加熱方式により無接触の方法でタバコ充填物を加熱するように、喫煙具用カートリッジ内に誘導加熱によって加熱するサセプタを備えた方式が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】実用新案登録第3212228号公報
【特許文献2】特許第6077145号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
一方、特許文献1の場合、ブレード状の加熱体が喫煙具用カートリッジに差し込まれる際に、わずかにタバコ充填物が脱落する場合がある。これにより、喫煙具本体を適宜清掃する必要があり、ユーザは煩雑に感じる場合がある。特許文献2の場合、プレート形態のサセプタが喫煙具用カートリッジ内に備えられ、誘電加熱によって無接触の方法でタバコ充填物の加熱がされるため、加熱体が差し込まれることがないのでタバコ充填物の脱落が発生しにくい。しかし、タバコ充填物に捲縮したシートの集合体を含んでいるため、このタバコ充填物を加熱するのに適した薄いサセプタを備え、更に薄いサセプタを加熱するのに適した高い周波数1~30MHzを生成する装置を備えなければならず、高い周波数の電磁波の使用によるユーザへの健康の影響が懸念されうる。
【0006】
また、特許文献2の場合、サセプタの形状によっては、充填物が安定して加熱されない場合がある。
【0007】
そこで、本発明は上記課題を鑑みてなされたものであり、充填物の脱落がなく、電磁波による人体への影響を抑えながら、タバコ充填物を加熱することのできる喫煙システムを提供することを目的の一つとする。
【0008】
また、本発明は、充填物の脱落がなく、充填物を安定して加熱可能な喫煙具用カートリッジおよび喫煙システムを提供することを目的の一つとする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明の一実施形態によれば、喫煙具本体と、前記喫煙具本体に挿入可能な喫煙具用カートリッジと、含み、前記喫煙具用カートリッジは、長手方向に延びて前記喫煙具本体により誘導加熱されるサセプタ部材、および発熱した前記サセプタ部材によって加熱されることによりエアロゾルを発生する充填物を含む充填物集積体と、前記エアロゾルを濾過するフィルタと、前記充填物集積体および前記フィルタの外周に巻かれた包装部材と、を含み、前記喫煙具本体は、前記喫煙具用カートリッジが挿入されたときに、前記充填物集積体が配置される部分に対応して設けられたコイルと、前記コイルに印加する交流電流の周波数を制御する制御装置と、を含み、前記周波数は、前記周波数は、1MHz未満である、喫煙システムが提供される。
【0010】
上記喫煙システムにおいて、前記サセプタ部材の長手方向の長さは、前記充填物の長手方向の長さ以上であってもよい。
【0011】
上記喫煙システムにおいて、前記サセプタ部材は、複数のサセプタ部材を含み、前記複数のサセプタ部材は、所定の間隔を有して離隔して設けられてもよい。
【0012】
上記喫煙システムにおいて、前記サセプタ部材は、円柱形状または板形状を有してもよい。
【0013】
上記喫煙システムにおいて、前記充填物は、長尺形状を有してもよい。
【0014】
上記喫煙システムにおいて、前記充填物は、前記第1サセプタ部材とは異なる第2サセプタ部材を含んでもよい。
【0015】
上記喫煙システムにおいて、前記充填物は、第2サセプタ部材が設けられた複数の第1領域を含んでもよい。
【0016】
上記喫煙システムにおいて、前記複数の第1領域は、所定の間隔を有して離隔して設けられてもよい。
【0017】
本発明の一実施形態によれば、喫煙具用カートリッジであって、長手方向に延びて喫煙具本体により誘導加熱されるサセプタ部材、および発熱した前記サセプタ部材によって加熱されることによりエアロゾルを発生する充填物を含む充填物集積体と、前記エアロゾルを濾過するフィルタと、前記充填物集積体および前記フィルタの外周に巻かれた包装部材と、を含み、前記サセプタ部材は、円筒形状を有し、前記充填物は、前記サセプタ部材の内側及び外側に設けられる 、喫煙具用カートリッジが提供される。
【0018】
上記喫煙具用カートリッジにおいて、前記円筒形状は、螺旋状に設けられたワイヤで構成されてもよい。
【0019】
上記喫煙具用カートリッジにおいて、前記螺旋状に設けられたワイヤは、隙間なく巻回されていてもよい。
【0020】
上記喫煙具用カートリッジにおいて、前記螺旋状に設けられたワイヤは、隙間を有して巻回されていてもよい。
【0021】
上記喫煙具用カートリッジにおいて、前記ワイヤは、第1ワイヤと、前記第1ワイヤを螺旋状に覆うように設けられた第2ワイヤを含んでもよい。
【0022】
上記喫煙具用カートリッジにおいて、前記サセプタ部材は、凹凸または孔を有してもよい。
【0023】
上記喫煙具用カートリッジにおいて、前記サセプタ部材は、網目を有する網状体を含んでもよい。
【0024】
本発明の一実施形態によれば、喫煙具用カートリッジであって、長手方向に延びて喫煙具本体により誘導加熱されるサセプタ部材、および発熱した前記サセプタ部材によって加熱されることによりエアロゾルを発生する充填物を含む充填物集積体と、前記エアロゾルを濾過するフィルタと、前記充填物集積体および前記フィルタの外周に巻かれた包装部材と、を含み、前記サセプタ部材は、第1板状導電部材と、前記長手方向において第1板状導電部材と交差する第2板状導電部材を有する、喫煙具用カートリッジが提供される。
【0025】
上記喫煙具用カートリッジにおいて、前記サセプタ部材は、グラフェンシートを含んでもよい。
【発明の効果】
【0026】
本発明の一実施形態を用いることにより、充填物の脱落がなく、電磁波による人体への影響を抑えながら、タバコ充填物を加熱することのできる喫煙システムを提供することができる。
【0027】
また、本発明の一実施形態を用いることにより、充填物の脱落がなく、充填物を安定して加熱可能な喫煙具用カートリッジを提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0028】
【
図1】本発明の一実施形態における喫煙具用カートリッジの長手方向に沿う中心軸を含む面で切断した断面図である。
【
図2】本発明の一実施形態における充填物集積体10の端面図である。
【
図3】本発明の一実施形態における充填物集積体10の長手方向に沿う中心軸を含む面で切断した断面図である。
【
図4】喫煙具用カートリッジの使用形態を表す喫煙システムの断面図である。
【
図6】本発明の一実施形態における充填物集積体の端面図である。
【
図7】本発明の一実施形態における充填物集積体の端面図である。
【
図8】本発明の一実施形態における充填物集積体の端面図である。
【
図9】本発明の一実施形態における充填物集積体の端面図である。
【
図10】本発明の一実施形態における充填物集積体の端面図である。
【
図11】本発明の一実施形態における充填物集積体の端面図である。
【
図12】本発明の一実施形態における充填物集積体の端面図である。
【
図13】本発明の一実施形態における充填物集積体の端面図である。
【
図14】本発明の一実施形態における充填物の模式図である。
【
図15】本発明の一実施形態における充填物の模式図である。
【
図16】本発明の一実施形態における充填物の模式図である。
【
図17】本発明の一実施形態における充填物の模式図である。
【
図18】
図18(A)は、サセプタ部材13Lの正面右側から見た時の模式的な斜視図である。
図18(B)は、サセプタ部材13Lの模式的な正面図である。
【
図19】
図19(A)は、サセプタ部材13Mの正面右側から見た時の模式的な斜視図である。
図19(B)は、サセプタ部材13Mの模式的な正面図である。
【
図20】
図20(A)、(B)、および(C)は、サセプタ部材13Nの正面右側から見た時の模式的な斜視図である。
【
図21】
図21(A)、(B)および(C)は、サセプタ部材13Pの正面右側から見た時の模式的な斜視図である。
【
図22】
図22は、サセプタ部材13Qの正面右側から見た時の模式的な斜視図である。
【
図23】
図23(A)は、サセプタ部材13Rの正面右側から見た時の模式的な斜視図である。
図23(B)は、サセプタ部材13Rの模式的な正面図である。
【
図24】
図24(A)は、サセプタ部材13Sの側面図である。
図24(B)は、サセプタ部材13Sの正面右側から見た時の模式的な斜視図である。
【
図25】
図25(A)は、サセプタ部材13Tの模式的な正面図である。
図25(B)は、サセプタ部材13Tの模式的な側面図である。
【
図26】
図26(A)は、サセプタ部材13Uの模式的な正面図である。
図26(B)は、サセプタ部材13Uの模式的な側面図である。
【
図27】
図27(A)は、サセプタ部材13Vの模式的な正面図である。
図27(B)は、サセプタ部材13Vの模式的な側面図である。
【
図28】
図28(A)は、サセプタ部材13Wの正面右側から見た時の模式的な斜視図である。
図28(B)は、サセプタ部材13Wの模式的な正面図である。
【
図29】
図29(A)は、サセプタ部材13WWの正面右側から見た時の模式的な斜視図である。
図29(B)は、サセプタ部材13WWの模式的な正面図である。
【
図30】
図30(A)は、サセプタ部材13Xの正面右側から見た時の模式的な斜視図である。
図30(B)は、サセプタ部材13Xの模式的な正面図である。
【
図31】
図31(A)は、サセプタ部材13Yの正面右側から見た時の模式的な斜視図である。
図31(B)は、サセプタ部材13Yの模式的な正面図である。
【
図32】グラフェンシート130の上面模式図である。
【
図33】
図33(A)は、喫煙具用カートリッジ1Zの断面模式図である。
図33(B)は、サセプタ部材13Zの正面右側から見た時の模式的な斜視図である。
図33(C)は、喫煙具用カートリッジ1Zの断面模式図である。
【発明を実施するための形態】
【0029】
以下、本発明の実施の形態を、図面等を参照しながら説明する。但し、本発明は多くの異なる態様で実施することが可能であり、以下に例示する実施の形態の記載内容に限定して解釈されるものではない。図面は説明をより明確にするため、模式的に表される場合があるが、あくまで一例であって、本発明の解釈を限定するものではない。
【0030】
また、各要素に対する「第1」、「第2」と付記された文字は、各要素を区別するために用いられる便宜的な標識であり、特段の説明がない限りそれ以上の意味を有さない。なお、本実施形態で参照する図面において、同一部分または同様な機能を有する部分には同一の符号または類似の符号(数字xxxにA,Bまたは1,2などを付しただけの符号)を付し、その繰り返しの説明は省略する場合がある。また、構成の一部が図面から省略されたりする場合がある。その他、本発明の属する分野における通常に知識を有する者であれば認識できるものである場合、特段の説明を行わないものとする。
【0031】
<第1実施形態>
本発明の第1実施形態に係る喫煙具用カートリッジについて、図面を参照しながら詳細に説明する。
【0032】
(1-1.喫煙具用カートリッジの構成)
図1は、本実施形態における充填物集積体10を有する喫煙具用カートリッジ1を長手方向に沿う中心軸Cを含む面で切断した断面図である。
図1に示すように、喫煙具用カートリッジ1は、充填物集積体10、支持部材20、吸口部となるフィルタ30、およびシート状の外側包装部材40(包装部材ともいう)を含む。喫煙具用カートリッジ1では、充填物集積体10、支持部材20、およびフィルタ30が長手方向D1に沿って配列され、充填物集積体10、支持部材20、およびフィルタ30の外周に外側包装部材40で巻かれることで一体化されて形成されている。なお、外側包装部材40が一定の強度を有している場合、支持部材20は設けられなくてもよい。
【0033】
喫煙具用カートリッジ1は、外径が4.0mm~7.5mm、より好ましくは5.0mm~7.0mm、長さが40mm~80mmに形成される。喫煙具用カートリッジ1の外径を6.5~7.5mmの範囲に設定すれば、
図4に示す喫煙具本体5に設けられた喫煙具用カートリッジを差し込む挿入部50よりも小さな径となり、喫煙具用カートリッジ1を喫煙具本体5に挿入するのが容易となる。喫煙具用カートリッジ1の長さを40~80mmの範囲に設定すれば、喫煙具本体5に設けられた喫煙具用カートリッジ1を受け入れる挿入部50の長さよりも長くなるので、喫煙具用カートリッジ1を喫煙具本体5に差し込んでも吸口を喫煙具本体5から露出させることができ、喫煙者が喫煙するのに必要な長さを確保可能となる。
【0034】
(1-2.充填物集積体10の構成)
次に、充填物集積体10の構成について説明する。
図2は、充填物集積体10を外側から見たときの端面図である。
図3は、充填物集積体10の長手方向に沿う中心軸Cを含む面で切断したときの断面図である。
図2および
図3に示すように、充填物集積体10は、充填物11、サセプタ部材13、内側包装部材15を含む。
【0035】
充填物集積体10では、長尺(短冊)形状の充填物11が長手方向D1に沿って束状とされ、シート状の内側包装部材15で巻かれることで略円筒状となるように形成されている。充填物11は、タバコ植物または非タバコ植物から形成される。充填物集積体10は、10~25mmの長さを有する。なお、喫煙具用カートリッジ1は、喫煙具本体5の形状に合わせて、上記とは異なる寸法を有していてもよい。
【0036】
充填物集積体10の外径D10は、支持部材20やフィルタ30の外径と等しく、また、中心軸Cに沿って概ね一定の値となっている。この外径D10の大きさは、例えば4.0mm~7.5mmの範囲が好ましく、さらに好ましくは5.0mm~7.0mmの範囲である。
【0037】
充填物11は、乾燥・粉砕された非タバコ植物に、エアロゾルを発生させるエアロゾルフォーマや、微結晶セルロース、風味を追加する添加剤、保存料、粘着剤または増粘剤等を混合し、シート状に成形した上で、所定の幅及び長さを有するように切断されることで形成される。
【0038】
充填物11を長尺(短冊)状で構成した場合、中心軸に直交する断面は略長方形状であり、その断面の長辺と短辺の比は、例えば、1:1~30:1の範囲であることが好ましい。長辺の長さは、0.1mm~7.5mmの範囲が好ましく、さらに好ましくは、0.1mm~3.0mmの範囲である。短辺の長さは、0.1mm~1.0mmの範囲が好ましく、さらに好ましくは0.1mm~0.5mmの範囲である。また、充填物11の長さは充填物集積体10の長さと略同一であるのが好ましい。充填物11の長さL11は10mm~25mmの範囲が好ましく、さらに好ましくは10mm~20mmの範囲である。このような充填物11の寸法の一例を挙げると、長辺が1.5mm、短辺が0.3mm、長さが12mmである。
【0039】
次に、充填物11として用いられる原料の具体例について説明する。充填物11は、以下に示す原料のうち任意の1つまたは複数の組み合わせで構成される。
【0040】
充填物11は、タバコ植物または非タバコ植物を原料とする。タバコ植物としては、タバコ葉、タバコ茎、膨張タバコ、均質化タバコ等が挙げられる。非タバコ植物としては、タバコ植物以外の植物が挙げられる。非タバコ植物の好ましい部位としては、葉、果肉、種子、根(鱗根、塊根等)、茎、塊茎、皮(茎皮、樹皮等)、花(花弁、雄蕊、雌蕊等)、幹、枝等が挙げられる。
【0041】
なお、本明細書でいう「植物」とは動物に対する一群を意味し、草および木等のように、根があって場所が固定されて生きているような生物以外に、微細藻類および海藻等のような藻類、キノコ等の菌類等をも含む。
【0042】
例えば、非タバコ植物の部位が葉である場合は、好ましくは茶類を使用できる。茶類は茶になる植物が異なるだけでなく、同じ植物であっても加工法によって異なるお茶になる。具体的には、たとえば、日本茶、紅茶、明日葉茶、甘茶、アマチャヅル茶、アロエ茶、イチョウ葉茶、ウーロン茶、ウコン茶、ウラジロガシ茶、エゾウコギ茶、オオバコ茶、カキオドシ茶、柿の葉茶、カミツレ茶、カモミールティ、河原決明茶、カリン茶、菊花茶、ギムネマ茶、グァバ茶、クコ茶、柔の葉茶、黒豆茶、ゲンノショウコ茶、玄米茶、ゴボウ茶、コンフリー茶、毘布茶、桜茶、サフラン茶、シイタケ茶、シソ茶、ジャスミン茶、しょうが茶、スギナ茶、セキショウ茶、センブリ茶、ソバ茶、タラノキ茶、タンポポ茶、甜茶、ドクダミ茶、杜仲茶、ナタマメ茶、ニワトコ茶、ネズミモチ茶、ハトムギ茶、ハブ茶、ビワの葉茶、プーアル茶、紅花茶、松葉茶、マテ茶、麦茶、メグスリノキ茶、ヨモギ茶、ユーカリ茶、羅漢果茶、ルイボスティ、ゴーヤ茶などが挙げられる。これらお茶については飲用後の茶殻を使用しても良い。茶殻などを使用すれば高価なお茶などを再利用して有効活用できる。
【0043】
さらに、上記に例示した非タバコ植物の抽出物、所謂エキスや加工品も使用することができる。抽出物の形態としては、液体、水あめ状、粉末、顆粒、溶液等が挙げられる。充填物11の原料としてのエアロゾルフォーマは、グリセリン、プロピレングリコール、ソルビトール、トリエチレングリコール、乳酸、ジアセチン(グリセリンジアセタート)、トリアセチン(グリセリントリアセタート)、トリエチレングリコールジアセタート、クエン酸トリエチル、ミリスチン酸イソプロピル、ステアリン酸メチル、ドデカンジオン酸ジメチル、テトラデカンサンジオン酸ジメチルなどが挙げられる。なかでも、グリセリン、プロピレングリコールが好ましい。
【0044】
充填物11の原料としての微結晶セルロースとは、例えば、繊維性植物のパルプから得られたα-セルロースを酸で部分的に解重合したものとして得られるものであり、セルロースから可溶性部分を取り除き、適宜、不溶性部分を結晶化したものである。
【0045】
微結晶セルロースは、粉体のままでも良いし、水などの溶媒に分散させて懸燭液でも良い。この場合、溶媒ヘの分散は、高速攪拌機や高圧ホモジナイザーなどが使用できる。
【0046】
さらに、必要に応じ充填物11の原料として風味を追加する風味添加剤も好ましく用いられる。風味添加剤としては、はっか、ココア、コーヒー、紅茶のエキス、茶抽出物のカテキンの粉末等が挙げられる。保存料としては食品に使用されるものが好ましく、例えば、ソルビン酸、ソルビン酸カリウム、安息香酸、安息香酸ナトリウム等が挙げられる。
【0047】
充填物11に、メントールおよび非水溶性架橋ポリマー(好ましくはポリビニルポリピロリドン)を含有させても良い。メントールに非水溶性架橋ポリマーを組み合わせることで、メントールの昇華を効果的に抑制でき、メントールの風味を長期間保つことができる。ここで、メントールとは、天然物から得られたものに限られず、合成物でも良い。また、はっか、ミント、ハッカ油、その他のメントールを含むものを使用しても良い。
【0048】
風味添加剤は、例えば、フィルタの壁部に含浸させることによってフィルタに設けられている。風味添加剤がフィルタに設けられている態様は、このような態様に限られず、例えば、当該風味添加剤が封入されているカプセルをフィルタの壁部に埋設することによって、フィルタに風味添加剤が設けられているようにしても良い。または、フィルタと充填物11集積体との間に風味添加剤が封入されたカプセルが配置されるようにしても良い。風味添加剤がカプセルに封入されている場合、喫煙者は、カプセルを指で押圧することにより、カプセルを破壊することができ、所望のタイミングで風味添加剤の芳香成分を揮発させることが可能となる。
【0049】
さらに、風味添加剤は、例えば、マイクロカプセルに封入されている場合、封入されているマイクロカプセルを充填物11集積体に設けても良い。勿論、当該マイクロカプセルを支持部材12に設けても良い。
【0050】
充填物11の原料としての結着剤または増粘剤としては、グアーガム、キサンタンガム、アラビアゴムおよびローカストビーンガムなどのゴム、例えばヒドロキシプロピルセルロース、カルボキシメチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース、メチルセルロースおよびエチルセルロースなどのセルロース結合剤、例えばデンプン、アルギン酸などの有機酸、アルギン酸ナトリウム、カルボキシメチルセルロースナトリウム、カラナギン、寒天およびペクチンなどの有機酸の共役塩基塩などの多糖類、およびこれらの組み合わせが挙げられる。
【0051】
(1-3.サセプタ部材13の構成)
サセプタ部材13は充填物集積体10の内部に設けられる。本実施形態では、充填物集積体10の中心に円柱形状を有するサセプタ部材13が1つ設けられる。サセプタ部材13は、外部(コイル)から発生する磁場によって誘導加熱されることができる。このため、サセプタ部材13は、磁性体を含む金属材料で形成される。磁性体は、強磁性体、常磁性体、反磁性体に大別される。磁性体のうち強磁性体は、外部磁界を加えると外部磁界と同じ方向の磁性を強く帯び、外部磁界ゼロにしても強い磁気が残る材料であり、例えば、強磁性体の材料である鉄、フェライト鉄、フェライト粉末、フェライト粒子、フェライト系ステンレス、強磁性鋼、ステンレス鋼、ニッケル、あるいはコバルト等が挙げられる。強磁性体の比透磁率は、1よりも極めて大きく、例えば、鉄であれば5000程度であり、ニッケルであれば600程度であり、コバルトであれば250程度であり、フェライト系ステンレスであれば1000~1800程度である。
【0052】
磁性体のうち常磁性体は、外部磁界を加えると外部磁界と同じ方向の磁気を弱く帯び、外部磁界をゼロにすると磁気を帯びなくなる材料であり、例えば、アルミニウム、白金およびマンガン等が挙げられる。常磁性体の比透磁率は1よりもわずかに大きく、例えば、アルミニウムであれば1.000021程度であり、白金であれば1.000265程度であり、マンガンであれば1.000830程度である。また、磁性体のうち反磁性体は、外部磁界を加えると外部磁界と反対方向の磁気を弱く帯び、外部磁界をゼロにすると磁気を帯びなくなる材料であり、例えば銅、グラファイト、クロムおよびビスマス等が挙げられる。反磁性体の比透磁率は、1よりもわずかに小さく、例えば、銅であれば0.999990程度であり、グラファイトであれば0.99980程度であり、ビスマスであれば0.999834程度である。
【0053】
強磁性体は、交流磁界が発生すると、誘導電流が流れてジュール熱が発生するだけでなく、分子同士の摩擦や振動によって熱(ヒステリシス損失)が発生するため、常磁性体や反磁性体に比べて容易に誘導加熱でき、充填物集積体10を十分に加熱できる。
【0054】
また、強磁性体は、キュリー温度が高く、例えば、ニッケルであれば358℃程度である。そのため、喫煙具用カートリッジ1を例えば200℃の高温で加熱する際にも、加熱温度がキュリー温度に達することはなく、強磁性体として性質を維持でき、充填物集積体10を安定して加熱できる。
【0055】
サセプタ部材13には、強磁性体の材料である、上述した鉄、フェライト鉄、フェライト粉末、フェライト粒子、フェライト系ステンレス、強磁性鋼、ステンレス鋼(SUS430)、ニッケル、コバルト、またはこれらを組み合わせた金属材料を採用してもよい。例えば、フェライト系ステンレスとニッケルを組み合わせたもの等が挙げられる。また、サセプタ部材13は、強磁性体を主成分として含む金属材料によって構成されてもよく、例えば磁性体を、60%以上、好ましくは80%以上含む合金である強磁性合金を採用してもよい。例えば、ニッケル合金あるいはニッケル鉄合金等が挙げられ、より好ましくは、鉄とクロムおよびアルミニウムを組み合わせた合金である。この場合でも、強磁性体が誘導加熱されることで、充填物集積体10を十分に加熱できる。なお、強磁性体の代わりに、常磁性体および反磁性体を含む金属材料を用いてもよい。この場合でも誘導加熱自体は可能である。ただし、加熱時間の短縮化や消費電力の低減の観点から強磁性体を含む金属材料を用いる方が好ましい。
【0056】
サセプタ部材13には、強磁性体、常磁性体または反磁性体の材料を組み合わせてもよい。例えば、強磁性体の材料であるニッケルで形成された第一のサセプタ部材と強磁性体の材料である鉄で形成された第二のサセプタ部材とを物理的に密着したもの、または第一のサセプタ部材と常磁性体の材料であるアルミニウムで形成された第三のサセプタ部材とを物理的に密着したもの、第一のサセプタ部材の外表面を第三のサセプタ部材で被覆する等が挙げられる。
【0057】
また、サセプタ部材13は、磁性体または磁性体以外の材料の表面に磁性体のめっき処理を施したものであってもよい。例えば、サセプタ部材13は、鉄の表面に亜鉛またはニッケルのめっき処理を施したものであってもよい。
【0058】
上述において、
図3に示すように、サセプタ部材13の長手方向の長さL13は、充填物11の長手方向の長さL11以上であることが望ましい。
【0059】
サセプタ部材13の長さL13は、充填物集積体10の全長に対して占める割合が100%である。この例では、サセプタ部材13は、充填物集積体10の全長に渡る長さを有している。なお、サセプタ部材13は、充填物集積体10の全長に渡っていなくてもよく、充填物集積体10の全長に対して占める割合が25%以上100%以下の長さであればよい。サセプタ部材13の長手方向の長さL13が、充填物11の長手方向の長さL11以上であることにより、サセプタ部材13の外表面上のいずれかの位置に充填物11の外表面が接することが確実となることによって充填物の温度を確実に上昇させることができる。
【0060】
本実施形態では、サセプタ部材13の長さは、9mmよりも大きいことが好ましい。この例では、サセプタ部材13の長さは12mmである。また、サセプタ部材13の直径は、0.5mm以上であることが好ましい。本実施形態では、サセプタ部材13の直径は1mmである。また、サセプタ部材13の体積は、2.5mm3以上であることが好ましい。本実施形態では、サセプタ部材13の体積は、9.4mm3である。
【0061】
(1-4.支持部材の構成)
支持部材20は、充填物集積体10の支持部材20側への移動を抑制するとともに、充填物集積体10で発生したエアロゾルを含む気流をフィルタ30側に流通させる。支持部材20は、例えば円筒状かつ中実状に設けられ、その軸方向が中心軸Cに沿うように充填物11とフィルタ30との間に配置される。支持部材20は、例えば、中心軸Cに沿った長さが3.0mm以上50mm以下に形成される。なお、支持部材20は、適宜機能および構成に応じて上記とは異なる寸法を有していてもよい。
【0062】
(1-5.フィルタの構成)
フィルタ30は、円筒状に形成され、例えば直径が6.5mm~7.5mm、中心軸Cに沿った長さが50mm以下に形成される。フィルタ30は、喫煙具用カートリッジ1の吸口を構成する部分である。フィルタ30は、例えば紙等を用いて形成される。また、フィルタ30は、例えば紙からなるシート状の部材を巻いて円筒状に設けられてもよいし、微粒子を取り除くセルロースアセテートフィルタ等を含んでいてもよい。フィルタ30は、充填物集積体10で生成された水蒸気やエアロゾル中の微粒子の一部を濾過する機能を有する。
【0063】
(1-6.喫煙システムの構成)
図4は、喫煙具用カートリッジ1の使用形態を表す喫煙システム100の断面図である。
図5は、喫煙具本体5のブロック図である。喫煙具用カートリッジ1は、喫煙具本体5に装着されて使用される。
図4に示すように、喫煙具本体5は、挿入部50、制御装置51、DC/ACインバータ52、電源部53、およびコイル55を含む。喫煙具用カートリッジ1は、挿入部50に挿入される。制御装置51、DC/ACインバータ52、電源部53、およびコイル55は、喫煙具本体5の内部に設けられる。コイル55は、挿入部50に挿入された喫煙具用カートリッジ1のうち、充填物集積体10に対応する位置に設けられる。具体的には、コイル55は、挿入部50の入り口(近位部分)50aの反対側の遠位部分50bに設けられる。
【0064】
図5に示すように、喫煙具本体5において、制御装置51は、CPU(Central Processing Unit)511、RAM(Random Access Memory)およびROM(Read On Memory)で構成されるメモリ513、および入出力インターフェース515を備える。制御装置51は、メモリ513に格納されたプログラムを用いて、CPU511で演算処理を行う。入出力インターフェース515は、DC/ACインバータ52、コイル55と接続され、情報が入出力される。電源部53はDC電流を制御装置51に供給する。DC/ACインバータ52は、高周波AC電流を供給する。つまり、喫煙具本体5では、電源部53より供給された直流が制御装置51からの命令に基づきDC/ACインバータ52によって所定の周波数を有する交流電流に変換される。当該交流電流は、コイル55に供給される。
【0065】
上記に基づき、喫煙具本体5が作動する時、交流電流がコイル55に印加される。このときの交流電流の周波数は、電磁波による人体への影響を考慮して1MHz未満、好ましくは1kHz以上800kHz以下、より好ましくは50kHz以上500kHz以下で制御することが好ましい。これにより、人体への影響を抑えながらコイル55により喫煙具本体5の挿入部50の遠位部分50bにおいて電磁場が生成される。充填物集積体10が挿入部50内に正しく配置された時、充填物集積体10のサセプタ部材13はこの電磁場内に位置する。電磁場はサセプタ部材13内に渦電流を生成し、その結果渦電流に対してサセプタ部材13が抵抗加熱される。加熱されたサセプタ部材13はエアロゾルを形成するのに十分な温度まで充填物集積体10の充填物11を加熱する。エアロゾルは充填物集積体10を通して下流に引き出され、ユーザによって吸い込まれる。
【0066】
本実施形態の喫煙システムを用いることにより、電磁波による人体への影響を抑えながら、充填物が誘導加熱により発熱したサセプタ部材13によって安定して加熱される。これにより、安定した芳香を楽しむことができる。また、このとき喫煙具本体5において、ブレード状の発熱体が充填物集積体10に差し込まれることもない。したがって、充填物の脱落も抑えることができる。
【0067】
<第2実施形態>
本発明の第1実施形態では、充填物集積体10の中心に円柱形状を有するサセプタ部材13が1つ設けられる例を示したが、本発明ではこれに限定されない。本実施形態では、複数のサセプタ部材が設けられる例について説明する。なお、本実施形態において、第1実施形態と同様の構成については、適宜説明を省略する。また、説明の関係上、図面における充填物は、簡単に記載する。
【0068】
図6は、充填物集積体10Aを外側から見たときの端面図である。
図6に示すように、充填物集積体10Aは、充填物11、包装部材15に加えて、2つのサセプタ部材13A(サセプタ部材13A-1,13A-2)を含む。サセプタ部材13A-1と、サセプタ部材13A-2は、所定の間隔を有して離隔する。サセプタ部材13A-1とサセプタ部材13A-2との間隔は、中心軸Cに対して所定の間隔を有して離隔してもよいし、中心軸Cに対して所定の角度をもって間隔を有して離隔していてもよい。本実施形態におけるサセプタ部材13A-1とサセプタ部材13A-2は、中心軸Cに対して所定の間隔を有して離隔しており、それぞれのサセプタ部材は、充填物集積体10Aの中心軸Cから外周までの長さを等分した位置にサセプタ部材の中心がくるように配置されている。なお、サセプタ部材13A-1およびサセプタ部材13A-2を分けて記載する必要がないときは、サセプタ部材13Aとして説明する。
【0069】
サセプタ部材13A-1と、サセプタ部材13A-2とは、同じ磁性材料で形成されてもよいし、異なる磁性材料で形成されてもよい。サセプタ部材13A-1と、サセプタ部材13A-2とが異なる磁性材料で形成されることにより、サセプタ部材を安価に製造しやすくなる。例えば、強磁性体に常磁性体を混ぜて形成することにより、サセプタ全体の製造コストが抑えられる。また、温度制御用に強磁性体を用いてキュリー点の変化を検知させる用途、熱効率の良い強磁性体以外の材料を発熱の用途に用いることにより、異なる機能を持たせることができる。また、本実施形態において、サセプタ部材13Aは、円柱形状を有する。このとき、サセプタ部材13Aの長さは、第1実施形態のサセプタ部材13と同様の長さを有してもよい。一方で、サセプタ部材13Aの直径は、第1実施形態のサセプタ部材13の直径よりも小さくてもよい。例えば、サセプタ部材13Aの直径は0.5mm以上であればよい。本実施形態におけるサセプタ部材13Aの直径は0.55mmである。またサセプタ部材13Aの体積は2.5mm3よりも大きいことが好ましい。本実施形態におけるサセプタ部材13Aの体積は、2.85mm3である。
【0070】
本実施形態では、2つのサセプタ部材13Aを有することにより、サセプタ部材13Aの合計表面積が大きくなる。このため、サセプタ部材13Aの1本あたりの直径を小さくしてもサセプタ部材13と同等以上の充填物11の加熱機能を有することができる。
【0071】
なお、サセプタ部材13Aは、円柱形状を有するが、本発明はこれに限定されない。例えば、
図7は、充填物集積体10Bを外側から見たときの端面図およびサセプタ部材の拡大図である。
図7に示すように、充填物集積体10Bは、サセプタ部材13B(サセプタ部材13B-1,サセプタ部材13B-2)を有する。サセプタ部材13Bは、外周面に凹凸部14を有してもよい。これにより、サセプタ部材13Bの表面積を大きくすることができ、充填物11との接触する面積が大きくなる。したがって、充填物11の加熱機能をより高めることができる。なお、凹凸部14の形状、数、寸法および配置については、
図7の例に限られず、任意に設定できる。凹凸部14は、例えば、サセプタ部材13Aの表面から最も高く突出した頂部までの距離を1.0mm以下、サセプタ部材13Aの表面から中心に向かって最も深い位置にある深部までの距離を1.0mm以下の範囲とすることができる。また、凹凸部14は、第1実施形態のサセプタ13にも備えることができる。
【0072】
図8は、充填物集積体10Cを外側から見たときの端面図である。
図8に示すように、充填物集積体10Cは、6個のサセプタ部材13C(サセプタ部材13C-1~6)を有する。サセプタ部材13Cは、中心Cと2つの隣接するサセプタ部材13Cの中心とがなす角θが60°となるように所定の間隔を有して離隔する。サセプタ部材13Cは、6個のサセプタ部材13を有することにより、表面積がさらに向上する。したがって、充填物11の加熱機能をより高めることができる。
【0073】
<第3実施形態>
本発明の第1、2実施形態では、充填物集積体10に円柱形状を有するサセプタ部材13が設けられる例を示したが、本発明ではこれに限定されない。本実施形態では、異なる形状を有するサセプタ部材13について説明する。
【0074】
図9は、充填物集積体10Dを外側から見たときの端面図である。
図9に示すように、充填物集積体10Dは、サセプタ部材13Dを有する。サセプタ部材13Dは、円筒型(中空型)の形状を有する。円筒型の形状の場合、サセプタ部材13の外側および内側に充填物が配置されるため、充填物との接触面積が大きくなる。また、円筒型の形状を有することにより、加熱部材であるコイル55からサセプタ13Dまでの距離Dが均一になる。したがって、円筒型の形状を有することにより、充填物の加熱機能を高めることができる。サセプタ部材13Dの長さは、9mmよりも大きいことが好ましい。サセプタ部材13Dの円筒型の外径は、1mm以上7.5mm未満の範囲、好ましくは3mm以上7mm以下の範囲で任意に設定できる。サセプタ部材13Eaの外径と内径の差(厚さ)は、0.1mm以上であることが好ましい。
【0075】
図10は、充填物集積体10Eを外側から見たときの端面図である。
図10に示すように、充填物集積体10Eは、サセプタ部材13Eaとサセプタ部材13Ebを有する。サセプタ部材13Eaと、サセプタ部材13Ebは、異なる形状を有してもよい。この例では、サセプタ部材13Eaは、サセプタ部材13Dと同様に円筒型の形状を有する。サセプタ部材13Ebは、サセプタ部材13と同様に円柱形状(中実形状)を有する。サセプタ部材13Ebは、サセプタ部材13Eaの中心に設けられる。サセプタ部材13Eaの内部の充填物11を加熱しづらいときには、サセプタ部材13Ebを有することにより、安定して充填物11を加熱することができる。したがって、サセプタ部材13Eを有することにより、充填物11の加熱機能を高めることができる。なお、サセプタ部材13Ebの配置される場所は、特に制限されずサセプタ部材13Eaの外側に配置されてもよい。この例におけるサセプタ部材13Ebの長さが9mmよりも大きいことが好ましい。サセプタ部材13Ebの直径は0.5mm以上であることが好ましい。サセプタ部材13Ebの体積は2.5mm
3以上であることが好ましい。また、この例におけるサセプタ部材13Eaの長さが9mmよりも大きいことが好ましい。サセプタ部材13Eaの円筒型の内径と外径は、サセプタ部材13Ebの直径よりも大きく、充填物集積体10Eの1mm以上7.5mm未満の範囲、好ましくは3mm以上7mm以下の範囲で任意に設定できる。サセプタ部材13Eaの外径と内径の差(厚さ)は、0.1mm以上であることが好ましい。なお、サセプタ部材13Eaと、サセプタ部材13Ebとは、同じ磁性材料で形成されてもよいし、異なる磁性材料で形成されてもよい。
【0076】
図11は、充填物集積体10Fを外側から見たときの端面図である。
図11に示すように、充填物集積体10Fは、サセプタ部材13Fを有する。サセプタ部材13Fは、渦巻きの形状を有する。渦巻きの形状の場合、サセプタ部材13の外側および内側に充填物11が配置されるため、充填物11との接触面積が大きくなる。したがって、充填物11の加熱機能を高めることができる。また、サセプタ部材13Fは、充填物11の形状に合わせて適宜変形することができる。また、サセプタ部材13Fは、例えばシート体の磁性材料を丸めることにより形成することができる。したがって、サセプタ部材13Fを容易に製造することができる。サセプタ部材13Fはシート体であるため、充填物集積体10Fの軽量化を図ることもできる。なお、サセプタ部材13Fの形状、数、寸法および配置については、
図11の例に限られず、任意に設定できる。サセプタ部材13Fの長さは1.5mm以上であることが好ましく、厚さは、0.1mm以上であることが好ましい。
【0077】
図12は、充填物集積体10Gを外側から見たときの端面図である。
図12に示すように、充填物集積体10Gは、一つのサセプタ部材13Gを有する。サセプタ部材13Gは、板形状を有してもよい。サセプタ部材13Gは、このとき、サセプタ部材の13Gの厚さは、0.1mm以上であることが好ましい。この例では、サセプタ部材13Gの厚さは、0.2mmである。サセプタ部材13Gの幅は、1.5mm以上であることが好ましい。この例では、サセプタ部材13Gの幅は、4mmである。またサセプタ部材13Gの体積は2.5mm
3よりも大きいことが好ましい。本実施形態における、サセプタ部材13Gの体積は9.6mm
3となる。
【0078】
なお、
図12では、一つの板形状のサセプタ部材が設けられたが、複数であってもよい。
図13は、充填物集積体10Hを外側から見たときの端面図である。
図13に示すように、充填物集積体10Hは、複数の板形状を有するサセプタ部材13H(サセプタ部材13H-1、13H-2)を有してもよい。サセプタ部材13H-1と、サセプタ部材13H-2とは、所定の間隔を有して離隔する。サセプタ部材13H-1とサセプタ部材13H-2との間隔は、中心軸Cに対して所定の間隔を有して離隔してもよいし、中心軸Cに対して所定の角度をもって間隔を有して離隔していてもよい。本実施形態におけるサセプタ部材13H-1とサセプタ部材13H-2は、中心軸Cに対して所定の間隔を有して離隔しており、それぞれのサセプタ部材は、充填物集積体の中心軸Cから外周までの長さを等分した位置にサセプタ部材の中心がくるように配置されている。また、この例では、サセプタ部材13H-1と、サセプタ部材13H-2は、同じ形状を有するが、個数に応じて形状を異ならせてもよいし、同じ磁性材料で形成されてもよいし、異なる磁性材料で形成されてもよい。サセプタ部材13Hの厚さは、サセプタ部材13Gと同様の厚さを有する。一方で、サセプタ部材13Hの幅は、サセプタ部材13Gよりも小さくてもよい。このとき、サセプタ部材13Hの幅は1.5mm以上であることが好ましい。この例では、サセプタ部材13Hの幅は1.5mmである。このとき、サセプタ部材13Hの体積は、7.2mm
3となり、一つのサセプタ部材13Gの場合よりも体積が小さくなる。本実施形態では、2つのサセプタ部材13Hを有することにより、サセプタ部材13Hの合計体積は小さくなってもよい。合計表面積が大きくなる。このため、サセプタ部材13Hの一つあたりの幅を小さくしてもサセプタ部材13Gと同等以上の充填物11の加熱機能を有することができる。
【0079】
サセプタ部材13Hは、外周面に凹凸部を有してもよい。これにより、サセプタ部材13Hの表面積を大きくすることができ、充填物11との接触する面積が大きくなる。したがって、充填物11の加熱機能をより高めることができる。なお、凹凸部の形状、数、寸法および配置については、任意に設定できる。凹凸部は、例えば、サセプタ部材13Hの表面から最も高く突出した頂部までの距離を1.0mm以下、サセプタ部材13Hの表面から中心に向かって最も深い位置にある深部までの距離を1.0mm以下の範囲とすることができる。また、凹凸部は、サセプタ13Gにも備えることができる。
【0080】
<第4実施形態>
本実施形態では、充填物が磁性材料を含む例について説明する。
【0081】
図14は、充填物11Jの側面図である。
図14に示すように、充填物11Jは、領域11Jaおよび領域11Jb(第1領域ともいう)を有する。11Jaは、充填物として上述したように加熱されることによりエアロゾルを発生する材料により形成される。領域11Jbは、サセプタ部材13と同様の磁性材料により形成される。つまり、充填物11Jは、サセプタ部材13とは異なるサセプタ部材(第2サセプタ部材ともいう)を含むということができる。
【0082】
充填物11Jは、複数の領域11Jbを含む。本実施形態における充填物11Jは、シート体から短冊状に切り出されることにより形成される。このとき、各々の領域11Jbは、所定の間隔を有して離隔して配置される。この例では、長手方向D1に領域11Jbが離隔して配置される。なお、領域11Jb間の間隔はすべて同じでなくてもよい。充填物11Jを長尺(短冊)状で構成した場合、充填物11Jの長さは充填物集積体10の長さと略同一であるのが好ましい。充填物11Jの長さは10mm~25mmの範囲が好ましく、さらに好ましくは10mm~20mmの範囲である。このような充填物11Jの寸法の一例を挙げると、長辺が1.5mm、短辺が0.3mm、長さが12mmである。領域11Jaと領域11Jbの形状、数、寸法および配置については、
図14の例に限られず、任意に設定できる。領域11Jbの長手方向の長さは、例えば1mm~24mmの長さの範囲であることが好ましい。
【0083】
充填物11Jは、磁性材を含む領域11Jbを有することにより、サセプタ部材13からの加熱に加えて領域11Jbからも加熱されるため、安定して熱エネルギーを取得することができる。したがって、本実施形態を用いることにより充填物を加熱することができ、安定してエアロゾルを発生させることができる。なお、サセプタ部材13を備えずに、充填物11Jのみをサセプタとして使用することもできる。
【0084】
なお、本実施形態では、長手方向D1に領域11Jbが離隔して配置される例について示したが、本発明はこれに限定されない。
図15は、充填物11Kの側面図である。
図15に示すように、充填物11Kは、エアロゾルを発生する材料により形成される領域11Ka、および磁性材料により形成される領域11Kbを含む。このとき、領域11Kbは、格子状に複数設けられてもよい。このときの、領域11Kaと領域11Kbの形状、数、寸法および配置については、
図15の例に限られず、任意に設定できる。領域11Kbの長手方向の長さは、例えば1~24mmの長さの範囲であり、短手方向D2の長さは例えば0.3mm以下、長辺の長さは1.5mm以下であることが好ましい。
【0085】
図16は、充填物11Lの側面図である。
図16に示すように、充填物11Lは、エアロゾルを発生する材料により形成される領域11La、および磁性材料により形成される領域11Lbを含む。このとき、領域11Lbは、ドット状に所定の間隔を有して離隔して設けられてもよい。このときの、領域11Lbの形状、数、寸法および配置については、
図16例に限られず、任意に設定できる。領域11Lbは、例えば直径0.3mm以下の粒形状である。
【0086】
図17は、充填物11Mの側面図である。
図17に示すように、充填物11Mは、エアロゾルを発生する材料により形成される領域11Ma、および磁性材料により形成される領域11Mbを含む。このとき、領域11Mbは、短手方向D2に離隔して複数設けられてもよい。充填物11Mを長尺(短冊)状で構成した場合、充填物11Mの長さは充填物集積体10の長さと略同一であるのが好ましい。充填物11Mの長さは10mm~25mmの範囲が好ましく、さらに好ましくは10mm~20mmの範囲である。このような充填物11Mの寸法の一例を挙げると、長辺が1.5mm、短辺が0.3mm、長さが12mmである。領域11Maと領域11Mbの形状、数、寸法および配置については、
図14の例に限られず、任意に設定できる。領域11Mbの長手方向の長さは、充填物11Mの長さ以下であることが好ましい。このときの、領域11Maと領域11Mbの形状、数、寸法および配置については、
図17の例に限られず、任意に設定できる。領域11Mbの短手方向D2の長さは例えば0.3mm以下、長辺の長さは1.5mm以下であることが好ましい。
【実施例0087】
以下に、本発明の一実施形態の喫煙具用カートリッジを用いて加熱実験を行った結果について、以下に示す。
【0088】
(1.サセプタ部材の形状について)
本実施例に用いたサセプタ部材の形状を以下に示す。以下のサセプタ部材は、充填物集積体の中に挿入された。
【0089】
(1-1.実施例1)
サセプタ部材の形状:円柱形状(ピン形状)
サセプタ部材の材料:鉄の表面に亜鉛メッキ処理したもの
サセプタ部材の数量:1本
サセプタ部材の大きさ:長さ:12.0mm、直径:1.0mm(体積9.4mm3)
充填物の長さ:10~12mm
【0090】
(1-2.実施例2)
サセプタ部材の形状:円柱形状(ピン形状)
サセプタ部材の材料:鉄の表面に亜鉛メッキ処理したもの
サセプタ部材の数量:2本
サセプタ部材の大きさ:長さ:12.0mm、直径:0.55mm(体積5.7mm3)
充填物の長さ:10~12mm
【0091】
(1-3.実施例3)
サセプタ部材の形状:板形状(ブレード形状)
サセプタ部材の材料:ニッケル単体
サセプタ部材の数量:1本
サセプタ部材の大きさ:長さ:12.0mm、幅:4.0mm、厚さ:0.2mm
(体積9.6mm3)
【0092】
(1-4.実施例4)
サセプタ部材の形状:板形状(ブレード形状)
サセプタ部材の材料:ニッケル単体
サセプタ部材の数量:2本
サセプタ部材の大きさ:長さ:12.0mm、幅:1.5mm、厚さ:0.2mm
(体積7.2mm3)
充填物の長さ:10~12mm
【0093】
(1-5.比較例1)
サセプタ部材の形状:粒状
サセプタ部材の材料:鉄単体
サセプタ部材の数量:1個
サセプタ部材の大きさ:粒径:3mm(体積14mm3)
充填物の長さ:10~12mm
【0094】
(1-6.比較例2)
サセプタ部材の形状:粒状
サセプタ部材の材料:鉄単体
サセプタ部材の数量:2個
サセプタ部材の大きさ:粒径:3mm(体積28mm3)
充填物の長さ:10~12mm
【0095】
加熱実験における誘導加熱装置として、誘導加熱に用いた交流電流の周波数は、450kHzとした。
【0096】
(実験結果)
表1に上述したサセプタ部材を用いて充填物集積体を含む喫煙具カートリッジ加熱した時の実験結果を表1に示す。表1における「〇」は、良好に加熱されたことを示す。「×」は、加熱されなかったことを示す。「△」は、一部加熱されたことを示す。
【表1】
(表1)
【0097】
表1に示す結果より、比較例1,2ではサセプタ部材の加熱が一部出来たもの、充填物の加熱はされなかった。一方、本発明の一実施形態を用いた実施例1~4では、サセプタ部材の加熱、さらに充填物の加熱が良好になされた。
【0098】
つまり、本発明の一実施形態を用いることにより、充填物を安定して加熱することができ、安定してエアロゾルを発生させることができる。
【0099】
(変形例)
なお、本発明の思想の範疇において、当業者であれば、各種の変更例および修正例に想到し得るものであり、それら変更例および修正例についても本発明の範囲に属するものと了解される。例えば、前述の各実施形態に対して、当業者が適宜、構成要素の追加、削除若しくは設計変更を行ったもの、又は、ステップの追加、省略若しくは条件変更を行ったものも、本発明の要旨を備えている限り、本発明の範囲に含まれる。
【0100】
本発明の第1実施形態では、長尺状の充填物について説明したが、本発明はこれに限定されず、多様な形状を有してもよい。例えば、ペースト状に形成されてもよいし、顆粒状に形成されてもよい。この場合、喫煙具カートリッジの端面に蓋を設けてもよい。
【0101】
また、喫煙具用カートリッジは、長手方向において、充填物集積体と、フィルタとの間に冷却領域を設けてもよい。
【0102】
本発明の各実施形態において、複数のサセプタ部材に対して異なる磁性材料が用いられる例を示したが、このとき、制御装置51は、材料を検知するセンサ、温度を計測する温度計を備えてもよい。例えば、センサは、強磁性体、常磁性体、または反磁性体のいずれであるかを検知してもよい。または、センサは、具体的なサセプタ部材13の材料を検知してもよい。制御装置50は、検知された材料に応じて、コイル55に印加する電流(電力)を制御することにより充填物11の加熱温度を制御してもよい。
【0103】
<第5実施形態>
本実施形態では、円筒形状を有するサセプタ部材について説明する。なお、説明の関係上、図面においてサセプタ部材以外の部材を除いて説明する。
【0104】
図18(A)は、サセプタ部材13Lの正面右側から見た時の模式的な斜視図である。
図18(B)は、サセプタ部材13Lの模式的な正面図である。
図18(A)および
図18(B)に示すように、サセプタ部材13Lは、円筒型(中空型)の形状を有する。また、サセプタ部材13Lは、正面から見たときに(長手方向に)一部に隙間13Lsを有する。
【0105】
また、サセプタ部材13Lは、1枚の一定の厚みを有する板状の導電部材13La(例えば矩形の薄い金属板)を芯材に対して円筒状に巻くことにより製造することができる。導電部材13Laの厚さは、0.1mm以上であることが好ましい。この例では、導電部材13Laの厚さは、0.2mmである。導電部材13Laの幅は、1.5mm以上であることが好ましい。この例では、導電部材13Laの幅は、4mmである。導電部材13Laの長さは、9mmよりも大きいことが好ましい。サセプタ部材13Lの円筒型の外径は、1mm以上7.5mm未満の範囲、好ましくは3mm以上7mm以下の範囲で任意に設定できる。なお、サセプタ部材13Lは、板状部材に対して金型成形によって成形されてもよい。
【0106】
サセプタ部材13Lが円筒型の形状を有することにより、サセプタ部材13Lの外側および内側に充填物が配置されるため、充填物との接触面積が大きくなる。また、円筒型の形状を有することにより、加熱部材であるコイル(コイル55)からサセプタ部材13Lまでの距離Dが均一になる。これにより、充填物の加熱機能を高めることができる。したがって、充填物を十分に加熱することができ、長時間にわたって喫煙を楽しむことをできる。
【0107】
なお、サセプタ部材13Lにおいて、隙間13Lsを有してなくもよい。例えば、板状の導電部材13Laを円筒状に巻いたときに、一部が重なるようにしてもよい。この場合、重複する部分を接着させてもよい。
【0108】
図19(A)は、サセプタ部材13Mの正面右側から見た時の模式的な斜視図である。
図19(B)は、サセプタ部材13Mの模式的な正面図である。
図19(A)および
図19(B)に示すように、サセプタ13Mは、円筒形状を有するとともに、正面から見たときに端部13Maeが円筒の内側に向かって折り込まれる。サセプタ部材13Mは、薄い板状の導電部材13Maを円筒状に巻くとともに、端部13Maeを円筒の内側に向かって折り込むことにより製造される。これにより、サセプタ部材を誤飲した場合、またはサセプタ部材がカートリッジから突き出た際の安全性を確保することができる。
【0109】
図20(A)、(B)、および(C)は、サセプタ部材13Nの正面右側から見た時の模式的な斜視図である。
図20(A)、(B)、および(C)に示すように、サセプタ部材13Nは、円筒形状を有する板状の導電部材13Naで構成されるとともに、その表面に凹凸を有してもよい。より具体的には、
図20(A)に示すように、サセプタ部材13Nは、複数の長方形型の凹部13Nbを有する。
図20(B)に示すように、サセプタ部材13Nは、複数の長方形型の凸部13Ncを有する。
図20(C)に示すように、サセプタ部材13Nは、複数の長方形型の凹部13Nbおよび凸部13Ncを有する。サセプタ部材13Nは、大きな板状の導電材料に対してロールプレスにより凹部または凸部を形成し、所望のサイズにカットし、円筒状に巻くことにより製造することができる。なお、凹凸は、上記に長方形に限定されず、三角形、正方形、その他の多角形(鋭角、鈍角、180度以上の角度を有するものも含む)であってもよい。
【0110】
図21(A)、(B)および(C)は、サセプタ部材13Pの正面右側から見た時の模式的な斜視図である。
図21(A)、(B)および(C)に示すように、サセプタ部材13Pは、表面に半球型の凹凸を有してもよい。より具体的には、
図20(A)に示すように、サセプタ部材13Pは、複数の半球型の凹部13Pbを有する。
図20(B)に示すように、サセプタ部材13Pは、複数の半球型の凸部13Pcを有する。
図20(C)に示すように、サセプタ部材13Pは、複数の半球型の凹部13Pbおよび凸部13Pcを有する。サセプタ部材13Pは、大きな板状の導電材料13Paに対してロールプレスにより半球状の凹部または凸部を形成し、所望のサイズにカットし、円筒状に巻くことにより製造することができる。なお、本実施形態は、半球型の凹凸に限定されず、上から見たときに楕円でもよいし、円弧を有するものであれば適用可能である。
【0111】
図22は、サセプタ部材13Qの正面右側から見た時の模式的な斜視図である。
図22に示すように、サセプタ部材13Qは、円筒形状を有する板状の導電部材13Qaで構成されるとともに、複数の孔13Qb(この例では丸い孔)を有してもよい。複数の孔13Qbは、規則的に配置されてもよいし、不規則に配置されてもよい。サセプタ部材13Qは、大きな板状の導電材料13Qaに対して複数の孔を開け、所望のサイズにカットし、円筒状に巻くことにより製造することができる。なお、本実施形態では、孔の形状は、丸い孔に限定されず、三角形、正方形、その他の多角形(鈍角、鋭角、180度以上の角度を有するものも含む)であってもよい。
【0112】
図23(A)は、サセプタ部材13Rの正面右側から見た時の模式的な斜視図である。
図23(B)は、サセプタ部材13Rの模式的な正面図である。
図23(A)および
図23(B)に示すように、サセプタ部材13Rは2つの薄い板状の導電部材13Raを用いて円筒形状を有してもよい。具体的には、サセプタ部材13Rでは、一方の板状の導電部材13Ra-1は、正面から見たときに上側の半円を有するように加工される。また、他方の板状の導電部材13Ra-2は、正面から見たときに下側の半円を有するように加工される。なお、本実施形態では、2枚の板状の導電部材を有する例を示したが、本発明はこれ限定されない。例えば、3枚以上の板状の導電部材が用いられてもよい。
【0113】
<第6実施形態>
本実施形態では、第5実施形態とは異なる円筒形状を有するサセプタ部材について説明する。具体的には、網状物を巻いて構成されたサセプタ部材について説明する。
【0114】
図24(A)は、サセプタ部材13Sの側面図である。
図24(B)は、サセプタ部材13Sの正面右側から見た時の模式的な斜視図である。
図24(A)および
図24(B)に示すように、サセプタ部材13Sは、円筒形状を有するとともに、網目を有する網状物13Saから構成されてもよい。サセプタ部材13Sは、薄い網状の導電部材(網状物)を円筒状に巻くことにより形成される。網状の導電部材の厚さは、0.1mm以上であることが好ましい。この例では、網状の導電部材の厚さは、0.2mmである。網状の導電部材の幅は、1.5mm以上であることが好ましい。この例では、網状の導電部材の幅は、4mmである。網状の導電部材13Sの長さは、9mmよりも大きいことが好ましい。サセプタ部材13Sの円筒型の外径は、1mm以上7.5mm未満の範囲、好ましくは3mm以上7mm以下の範囲で任意に設定できる。
【0115】
サセプタ部材13Sは、網状の円筒形状を有することにより、網を構成する線への加熱効率は板状物より高くなる。これにより、適度な加熱を行うことができ、また、喫煙の吸引時における空気の流れ(吸いづらさ)を低減することができ、長時間にわたって喫煙を楽しむことをできる。
【0116】
<第7実施形態>
本実施形態では、第5,6実施形態とは異なる円筒形状を有するサセプタ部材について説明する。具体的には、ワイヤを円筒状に巻いて構成されたサセプタ部材について説明する。
【0117】
図25(A)は、サセプタ部材13Tの模式的な正面図である。
図25(B)は、サセプタ部材13Tの模式的な側面図である。
図25(A)および
図25(B)に示すように、サセプタ部材13Tは、円筒形状を有するとともに、当該円筒形状は、螺旋状に設けられたワイヤ13Taで構成されてもよい。また、サセプタ部材13Tにおいて、螺旋状に設けられたワイヤ13Taは、隙間なく巻回されている。なお、この例では、ワイヤ13Taの端部は、上下方向に延びているが、巻回方向に延びてもよいし、円筒の内側に向かって延びてもよい。
【0118】
図26(A)は、サセプタ部材13Uの模式的な正面図である。
図26(B)は、サセプタ部材13Uの模式的な側面図である。
図26(A)および
図26(B)に示すように、サセプタ部材13Uは、円筒形状を有するとともに、当該円筒形状は、螺旋状に設けられたワイヤ13Uaで構成されてもよい。また、サセプタ部材13Uにおいて、螺旋状に設けられたワイヤ13Uaは、隙間13Usを有して巻回されている。
【0119】
サセプタ部材13Tおよびサセプタ部材13Uは、1本のワイヤを円柱の芯材に巻きつけ、その後芯材を外すことにより製造することができる。このとき、隙間なく巻き付けることによりサセプタ部材13Tが製造され、隙間を設けて巻き付けることによりサセプタ部材13Uが製造される。サセプタ部材13Uは、サセプタ部材13Tを形成してから両端部から延ばすことにより形成されてもよい。
【0120】
本実施形態において、サセプタ部材13Tは、ワイヤが隙間なく巻回されていることにより、巻き数が多い(高密度、高占積率を有する)ため、放熱を抑えることができ、充填物を高温で加熱することができる。一方、サセプタ部材13Uは、ワイヤが隙間を有して巻回されていることにより、巻き数が小さい(低密度、低占積率を有する)ため、放熱しやすくなり、加熱温度を下げることができる。つまり、ワイヤの隙間(密度、占積率)に応じて、充填物の加熱温度を調整することができる。したがって、本実施形態を用いることにより、充填物を最適な温度で加熱することができる。
【0121】
本実施形態では、ワイヤは、一本のワイヤで構成される例を示したが、本発明はこれに限定されない。
図27(A)は、サセプタ部材13Vの模式的な正面図である。
図27(B)は、サセプタ部材13Vの模式的な側面図である。
図27(A)および
図27(B)に示すように、サセプタ部材13Vは、円筒形状を有するとともに、当該円筒形状は、螺旋状に設けられたワイヤ13Vaで構成されてもよい。さらに、ワイヤ13Vaは、第1ワイヤ13Va1および第2ワイヤ13Va2を有する。第1ワイヤ13Va1は、芯材に対応する。第2ワイヤ13Va2は、第1ワイヤ13Vaを螺旋状に覆うように設けられる。第2ワイヤ13Va2は、第1ワイヤ13Va1よりも細い。ワイヤ13Vaは、クラプトンワイヤともいうことができる。また、本実施形態では、ワイヤ13Vaは、上述のクラプトンワイヤのほか、2本の芯ワイヤ(第1ワイヤ)を有するワイヤ(フューズドクラプトンワイヤ)であってもよいし、芯ワイヤ(第1ワイヤ)を有さず、外周のコイルを一回引き伸ばしたもの(アレンクラプトンワイヤ)であってもよい。また、外周コイル(第2ワイヤ)が等間隔で隙間が空くように巻かれたクラプトンワイヤを2本、隙間が揃うように配置し、その隙間部分に新たなワイヤ(第3ワイヤ)を巻きつけるワイヤ(スタッガードクラプトンワイヤ)であってもよい。また、上述したワイヤは、隙間を有して巻回されてもよい。
【0122】
<第8実施形態>
本実施形態では、第3実施形態とは異なるサセプタ部材について説明する。具体的には、複数の板状部材を交差して設けられたサセプタ部材について説明する。
【0123】
図28(A)は、サセプタ部材13Wの正面右側から見た時の模式的な斜視図である。
図28(B)は、サセプタ部材13Wの模式的な正面図である。
図28(A)および
図28(B)に示すように、サセプタ部材13Wは、2つの板状の導電部材13Wa、具体的には板状の導電部材13Wa1(第1板状導電部材)および板状の導電部材13Wa2(第2板状導電部材)を有する。導電部材13Wa1および導電部材13Wa2は交差して配置される。導電部材の厚さは、0.1mm以上であることが好ましい。この例では、導電部材の厚さは、0.2mmである。導電部材の幅は、1.5mm以上であることが好ましい。この例では、導電部材の幅は、4mmである。導電部材13Lの長さは、9mmよりも大きいことが好ましい。サセプタ部材13Lの円筒型の外径は、1mm以上7.5mm未満の範囲、好ましくは3mm以上7mm以下の範囲で任意に設定できる。なお、2つの導電部材の幅および長さは、それぞれ異なってもよい。
【0124】
また、サセプタ部材13Wは、
図28(C)に示すように2枚の板状の導電部材(金属片)13Waに切り欠き13Wakを形成し、組み合わせることにより形成される。本実施形態を用いることにより、一つの板状のサセプタ部材を用いる場合に比べて、2倍の面積分充填物を加熱することができる。
【0125】
図29(A)は、サセプタ部材13WWの正面右側から見た時の模式的な斜視図である。
図29(B)は、サセプタ部材13WWの模式的な正面図である。
図29(A)および
図29(B)に示すように、サセプタ部材13WWにおいて、2つの板状の導電部材13WWaは折り曲げられてもよい。この場合、2つの板状の導電部材の幅および長さは、それぞれ異なってもよい。これにより、サセプタ部材の面積がより大きくなるため、より効率的に充填物を加熱することができる。したがって、充填物を十分に加熱することができ、長時間にわたって喫煙を楽しむことをできる。
【0126】
本実施形態では、2つの板状の導電部材を組み合わせた例を示したが、本発明はこれに限定されない。
図30(A)は、サセプタ部材13Xの正面右側から見た時の模式的な斜視図である。
図30(B)は、サセプタ部材13Xの模式的な正面図である。
図30(A)および
図30(B)に示すように、サセプタ部材13Xにおいて、4つの板状の導電部材13Xaを組み合わせてもよい。この場合、4つの板状の導電部材の幅および長さは、それぞれ異なってもよい。
【0127】
図31(A)は、サセプタ部材13Yの正面右側から見た時の模式的な斜視図である。
図31(B)は、サセプタ部材13Yの模式的な正面図である。
図31(A)および
図31(B)に示すように、サセプタ部材13Yにおいて、3つの板状の導電部材を組み合わせるとともに、端部を曲げてもよい。この場合、3つの板状の導電部材の幅および長さは、それぞれ異なってもよい。本実施形態を用いることにより、サセプタ部材の面積がより大きくなるため、より効率的に充填物を加熱することができる。なお、サセプタ部材は5つ以上の板状の導電部材を組み合わせて形成されてもよい。
【0128】
本発明の各実施形態では、サセプタを形成する際に、板状の導電部材として金属部材を円筒状に巻く例を示したが本発明はこれに限定されない。
図32は、グラフェンシート130の上面模式図である。
図32に示すように、板状の導電部材をとしてグラフェンシートを用いた場合、高い導電率により効果的に充填物を加熱することができるとともに、サセプタの軽量化を図ることができる。
【0129】
(第9実施形態)
本実施形態では、異なる形状を有するサセプタ部材および喫煙具カートリッジについて説明する。
【0130】
図33は、本実施形態における充填物集積体10を有する喫煙具用カートリッジ1Zの断面模式図である。
図33(A)に示すように、喫煙具用カートリッジ1Zは、充填物集積体10、フィルタ30、蓋45およびシート状の外側包装部材40を含んでもよい。また、喫煙具用カートリッジ1Zでは、外側包装部材40が一定の強度を有している場合、支持部材20が設けられずに、充填物集積体10とフィルタ30との間に空洞部35が設けられてもよい。蓋45は、喫煙具カートリッジ1Zの端面に設けられてもよい。
【0131】
(サセプタ13Zの構成)
図33(B)は、サセプタ部材13Zの模式的な斜視図である。
図33(A)および
図33(B)に示すように、サセプタ部材13Zは、円筒部分13Zaとともに片側に複数の凹凸13Zb(この例では6個の尖った凸部)を有する王冠形状を有する。サセプタ部材13Zは、大きな板状の導電材料13Paに対して、片側に複数の凹凸を形成するように切り取り、円筒状に巻くことにより製造することができる。導電部材の厚さは、0.1mm以上であることが好ましい。この例では、導電部材の厚さは、0.2mmである。導電部材の幅は、1.5mm以上であることが好ましい。この例では、導電部材の幅は、4mmである。導電部材13Lの長さは、9mmよりも大きいことが好ましい。サセプタ部材13Lの円筒型の外径は、1mm以上7.5mm未満の範囲、好ましくは3mm以上7mm以下の範囲で任意に設定できる。
【0132】
サセプタ13Zの場合、円筒部分13Zaを有することにより、充填物の加熱面積を大きくすることができる。また、凹凸13Zbの形状は、
図33(B)の形状に限定されず、凹凸13Zbの各々の長さが異なってよいし、凹凸13Zbの先端が円状であってもよいし、凹凸13Zbの先端が円状であってもよいし、凹凸13Zbの数は6個以外の数であってもよい。つまり、凹凸の形状を調整することにより、充填物の加熱具合を調整することができる。
【0133】
なお、
図33(A)では、1つのサセプタ部材13Zが設けられる例を示したが、本発明はこれに限定されない。
図33(C)に示すように、複数のサセプタ部材13Zが設けられてもよい。この場合、サセプタ部材13Zのうち凹凸13Zaを有する側が向かい合うようにサセプタ部材13Zが配置されてもよいし。同じ方向を向くように配置されてもよい。
1・・・カートリッジ,5・・・喫煙具本体,10・・・充填物集積体,11・・・充填物,12・・・支持部材,13・・・サセプタ部材,14・・・凹凸部,15・・・包装部材,20・・・支持部材,30・・・フィルタ,40・・・包装部材,50・・・挿入部,51・・・制御装置,52・・・インバータ,53・・・電源部,55・・・コイル,100・・・喫煙システム,511・・・CPU,513・・・メモリ,515・・・入出力インターフェース