(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024167362
(43)【公開日】2024-12-03
(54)【発明の名称】大型薬剤の経皮送達
(51)【国際特許分類】
A61K 9/107 20060101AFI20241126BHJP
A61K 9/70 20060101ALI20241126BHJP
A61K 47/42 20170101ALI20241126BHJP
A61K 45/00 20060101ALI20241126BHJP
A61K 38/16 20060101ALI20241126BHJP
A61K 31/56 20060101ALI20241126BHJP
A61K 31/573 20060101ALI20241126BHJP
A61K 31/07 20060101ALI20241126BHJP
A61K 39/395 20060101ALI20241126BHJP
A61P 17/00 20060101ALI20241126BHJP
A61P 1/00 20060101ALI20241126BHJP
A61P 3/00 20060101ALI20241126BHJP
A61P 9/00 20060101ALI20241126BHJP
A61P 11/00 20060101ALI20241126BHJP
A61P 13/00 20060101ALI20241126BHJP
A61P 19/00 20060101ALI20241126BHJP
A61P 25/00 20060101ALI20241126BHJP
A61P 27/00 20060101ALI20241126BHJP
A61P 31/00 20060101ALI20241126BHJP
A61P 35/00 20060101ALI20241126BHJP
A61K 9/08 20060101ALI20241126BHJP
A61K 9/20 20060101ALI20241126BHJP
【FI】
A61K9/107
A61K9/70
A61K47/42
A61K45/00
A61K38/16
A61K31/56
A61K31/573
A61K31/07
A61K39/395 M
A61P17/00
A61P1/00
A61P3/00
A61P9/00
A61P11/00
A61P13/00
A61P19/00
A61P25/00
A61P27/00
A61P31/00
A61P35/00
A61K9/08
A61K9/20
【審査請求】有
【請求項の数】1
【出願形態】OL
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2024150911
(22)【出願日】2024-09-02
(62)【分割の表示】P 2022134512の分割
【原出願日】2017-09-25
(31)【優先権主張番号】62/424,937
(32)【優先日】2016-11-21
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(71)【出願人】
【識別番号】519180208
【氏名又は名称】エイリオン セラピューティクス, インコーポレイテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100078282
【弁理士】
【氏名又は名称】山本 秀策
(74)【代理人】
【識別番号】100113413
【弁理士】
【氏名又は名称】森下 夏樹
(74)【代理人】
【識別番号】100181674
【弁理士】
【氏名又は名称】飯田 貴敏
(74)【代理人】
【識別番号】100181641
【弁理士】
【氏名又は名称】石川 大輔
(74)【代理人】
【識別番号】230113332
【弁護士】
【氏名又は名称】山本 健策
(72)【発明者】
【氏名】ジョナサン エデルソン
(57)【要約】
【課題】大型薬剤の経皮送達の提供。
【解決手段】大型薬剤の経皮送達を促進するための方法、組成物、及び装置。本開示は、対象となる薬剤の経皮送達のための改善された技術を提供する。とりわけ、本開示は、極微針処理技術が、対象となる薬剤の経皮送達用のエマルション技術と組み合わされた場合に、所定の利点が達成され得るという洞察を提供する。代替的にまたは追加的に、いくつかの実施形態では、本開示は、極微針処理技術が利用された場合に、大型分子構造の経皮送達のための驚くべき促進が達成され得ることを実証する。
【選択図】なし
【特許請求の範囲】
【請求項1】
図面に記載の発明。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願の相互参照
本出願は、2016年11月21日に出願された米国仮特許出願第62/424,937号の優先権を主張し、その全体が参照により本明細書に組み込まれる。
【背景技術】
【0002】
効果的な経皮送達技術の開発に多大な資金が投資されている。当業者は、特に大型薬剤のための効果的な経皮送達を達成することに関連する課題をよく認識している。分子サイズが増大するにつれて、経皮浸入は、それが僅少になり、更に存在しなくなる程度まで減少する。いくらかの浸入があるそれらの場合であっても、大型薬剤は、分解され、生物学的に不活性になる傾向がある。大型薬剤であり、かつ同様に、分解に対して感受性であるそのような薬剤、特にボツリヌス毒素及び抗体薬剤の効果的な経皮投与のための新規で効果的な技術が依然として必要とされている。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0003】
経皮投与は一般に、注射及び経口送達に関連する望ましくない結果を伴わない薬剤の代替投与経路を提供しようとする試みにおける研究の対象であり続けている。例えば、針はしばしば局所的な疼痛、出血及びあざを引き起こし、潜在的に患者を伝染病に曝露する;経口投与は、患者の胃の非常に酸性の環境のために、薬剤の不十分なバイオアベイラビリティに悩まされ得る。いくつかの実施形態では、経皮送達は、他の投与経路と比較して、より均一な、規則的な、及び/または一貫した薬物動態プロファイルを有する。
【0004】
経皮薬物送達は多くの利点を有する一方で、数多くの流通的(logistical)問題を引き起こす。限られた数の薬物のみがこの経路によって投与可能であることが示されている。親水性分子、大型分子構造(例えば、数百ダルトンを超える)、遺伝子治療、ワクチンなどを含むがこれらに限定されない活性薬剤を経皮的に送達することは困難であり続けている。Prausnitz,M.R.& Langer,R.“Transdermal drug delivery,”Nat Biotechnol.26(11):1261-1268(2008)。
【0005】
本開示は、対象となる薬剤の経皮送達のための改善された技術を提供する。とりわけ、本開示は、極微針処理技術が、対象となる薬剤の経皮送達用のエマルション技術と組み合わされた場合に、所定の利点が達成され得るという洞察を提供する。代替的にまたは追加的に、いくつかの実施形態では、本開示は、極微針処理技術が利用された場合に、大型分子構造の経皮送達のための驚くべき促進が達成され得ることを実証する。
【0006】
対象となる所定の薬剤の投与に有用であり得る様々な極微針処理技術が開発されてきた。極微針処理は、より大きな針の使用(例えば、標準的な注射技術を用いる)にしばしば関連する所定の欠点(例えば、疼痛及び/または出血の量)を回避することができる。極微針処理技術は、1つ以上の中空または中実の極微針(例えば、そのアレイ)を利用し得る。対象となる薬剤は、極微針(複数可)の中(例えば、極微針が中空である場合及び/または薬剤が極微針材料に組み込まれる場合)または上(すなわち、極微針(複数可)の表面上)に配置され、及び/または皮膚の部位の極微針処理の前、その間、またはその後にその部位に適用され得る。極微針の中または上にある薬剤は、例えば、極微針からの拡散もしくは放出によって、または部位への適用後の極微針材料の破損及び/または分裂によって放出され得る。
【0007】
いくつかの実施形態では、本開示は、経皮製品が適用された、適用されている、または適用されることになる皮膚を「調整する」(及び具体的には、大型薬剤の投与の前に皮膚を事前調整する)ために極微針処理を使用する方策を提供する。小分子(具体的には、400~1000Daの範囲の分子量を有する短い親水性のペプチド)の経皮送達を分析する研究が、「ペプチドの皮膚浸透はそれらの分子量に依存し、分子量が増加するに連れて減少する」(Zhang,S.,et al.,“Enhanced delivery
of hydrophilic peptides in vitro by transdermal microneedle pretreatment.”Acta Pharmaceutica Sinica B.4(1):100-104(2014))ことを見出したので、そのような方策は低い分子量の薬剤にのみ有用である可能性が高いという以前の報告にもかかわらず、そのような極微針調整が、驚くべきことに、大型薬剤(例えば、約100kDa以上の分子量を有する)の経皮送達を促進するのに有意な利益を提供することができるという洞察を本開示は提供する。
【0008】
それ故、本開示の前では、当業者は、皮膚の極微針調整が大型薬剤の経皮送達を促進するとは予想されないことを文献から理解していたであろう。本開示は、驚くべきことに、皮膚の極微針調整が、約150,000KDaの分子量を有するボツリヌス毒素などの薬剤の経皮送達を有意に促進し得ることを実証する。標準的な抗体も同様の分子量を有する。
【0009】
本開示は、極微針処理技術(例えば、皮膚の極微針調整)がエマルション組成物(例えば、マクロエマルション組成物及び/またはナノエマルション組成物)中の大型薬剤の経皮送達を有意に促進し得ることを特に実証する。例証されるように、例えば、関連する大型薬剤(ボツリヌス毒素)の任意の投与前に極微針を適用することによる皮膚の事前調整は、驚くべきことに皮膚を通る大型薬剤の送達を促進した。本明細書に含まれる具体的な例は、様々な条件及び/または状況(例えば、異なる皮膚部位、適用数など)の下でのそのような促進した送達を文書化している。当業者は、本開示の範囲内に入る他の類型(例えば、適用の部位、投薬数などに対する)を認識する。
【0010】
対象となる特定のナノエマルション組成物は、直径が約10nm~約300nmの範囲の液滴サイズ、約0.01:1~約20:1の範囲の油に対する水性分散媒体の比;約0.1~約40に及ぶ範囲内の油対界面活性剤比及び/または約-80mV~約+80mVに及ぶ範囲内のゼータ電位によって特徴付けられる油中水型及び水中油型ナノエマルションを含む(例えば、PCT/US2006/26918;PCT US06/46236;PCT/US2012/22276;及びPCT/US2012/22279(各々の開示はそれらの全体が参照により本明細書に組み込まれる)のうちの1つ以上におけるナノエマルション組成物の記載を参照されたい)。
【0011】
本明細書で利用されるナノエマルション組成物中の液滴のものと同等のサイズ(例えば、105±2.92nm)の固体ナノ粒子の経皮送達が、小分子薬剤でさえ皮膚を通って経皮的に効果的に送達しない(またはその送達を促進しない)という報告を考慮すると、本明細書で示される知見は特に驚くべきことである。例えば、Gomaaらは、PLGAナノ粒子中に封入されたローダミン色素(分子量479Da)の溶液を、極微針処理によって事前調整された皮膚に適用し、皮膚浸入を評価した研究を記載した。Gomaa,Y.,et al,“Effect of microneedle treatment
on the skin permeation of a nanoencapsulated dye.”J Pharm Pharmacol.2012 November;64(11):1592-1602を参照されたい。データは、6時間の連続適用の後に非常に少量の色素が皮膚に浸透し始め;皮膚が24時間連続して治療されるまで浸透の有意な増加は観察されなかったことを示した。研究者は、「NP[ナノ粒子]は通常、角質層を浸入することができないが、毛包内に良好に堆積し得るという新たなコンセンサスがある」ことを説明した。それ故、本開示の前では、ナノサイズのビヒクルを用いる極微針処理技術の使用は、小分子薬剤(例えば、ローダミン色素)でさえ経皮的に効果的に送達することができず;大型薬剤の送達は確実に不可能であると考えられたであろうことを当業者は予想するであろう。しかしながら、本開示は、極微針処理が、特にナノエマルションシステムと併せて利用される場合、大型薬剤の経皮送達を有意に促進することができることを実証する。
【0012】
とりわけ、本開示は、他の崩壊剤が利用されない(すなわち、化学的浸入促進剤が利用されず、皮膚構造を崩壊または穿刺する他の技術が利用されない)場合、極微針処理技術が(例えば、特にマクロエマルションまたはナノエマルション組成物からの大型薬剤の)経皮送達を促進することができることを実証する。極微針を使用するボツリヌス毒素と同じくらいの大きさの薬剤(すなわち、約150kDa)の経皮送達の従来の研究は、皮膚を崩壊させるために追加の治療が適用されない限り、送達が成功しないことを報告している。例えば、米国特許公開第2010/0196445号は、極微針処理の部位で皮膚構造が崩壊するように、皮膚消化酵素も適用されない限り、ボツリヌス毒素が事前被覆された極微針から効果的に送達されないことを報告している。
【0013】
いくつかの実施形態では、本開示は、浸入促進剤を追加で使用することなく、極微針処理技術を利用することによって大型薬剤(例えば、ボツリヌス毒素、抗体など)の経皮送達の促進を達成する技術を提供する。代替的にまたは追加的に、いくつかの実施形態では、本開示は、任意の他の崩壊させる方策を伴わずに、極微針処理技術を利用することによって大型薬剤(例えば、ボツリヌス毒素、抗体など)の経皮送達の促進を達成する技術を提供する。そのため、提供される技術は、しばしば皮膚崩壊剤の使用に付随して起こる炎症、刺激、及び/またはアレルギー反応を伴わずに効果的な送達を達成し得る。
【0014】
代替的にまたは追加的に、本開示は、極微針構造の中または上に、関連する大型薬剤、特に大型のタンパク質薬剤(例えば、ボツリヌス毒素、抗体など)に対する所定の従来のアプローチに関する問題の原因を特定する。典型的には、そのような従来の関連する方策は、極微針に適用され、空気乾燥させることが可能な関連薬剤の溶液を利用する。そのような方策は、上記の米国特許公開第2010/0228225号において、極微針をボツリヌス毒素で被覆するために利用された。米国特許公開第2017/0209553号は、ボツリヌスが針の中に装填された極微針アレイを記載している。本開示は、それによって製造されたボツリヌス被覆または装填材料が安定ではなく、そのため、製品を製造するために使用される場合に商業的に実行可能ではないことを理解する。実際、そのような液体が粉末材料から調製されたとしても、本開示は、多くの大型薬剤(例えば、ボツリヌス毒素)について、凍結乾燥プロセスにより形成されない粉末及び他の固体材料が非常に不安定であり得ることを理解する。例えば、Johnson,E.,et al.によれば、「ボツリヌス毒素は、表面変性、熱、及びアルカリ性条件のため、変性の影響を非常に受けやすい。ボツリヌス毒素の凍結乾燥(lyophilization)または凍結乾燥(freeze-drying)は、安定でかつ臨床医によって容易に使用される形態で製品を流通させる最も経済的に合理的かつ実用的な方法である。」米国特許第5,512,547号。同様に、そのようなアプローチは、それら自体の安定性及び保存上の課題を有する治療用抗体の投与には機能しないであろう。本明細書に記載されるエマルション組成物(例えば、いくつかの実施形態では、ナノエマルション組成物、及び/またはいくつかの実施形態では、マクロエマルション組成物)の使用が、極微針との関連で、大型薬剤、特に大型タンパク質剤(具体的には、ボツリヌス毒素及び/または抗体薬剤を含む)の安定性を保護することができるかまたはそうでなければ改善することができるという洞察を本開示は提供する。
【0015】
本開示は、大型薬剤の経皮送達のための驚くほど効果的な技術を提供する。特に、本開示は、そのような薬剤の経皮送達が所定の極微針処理技術の使用を介して有意に促進され得ることを教示する。いくつかの実施形態では、本開示は、極微針処理技術をエマルション組成物(例えば、いくつかの実施形態では、ナノエマルション組成物、及び/またはいくつかの実施形態ではマクロエマルション組成物)と組み合わせた場合に特に有利な結果が達成されることを教示する。いくつかの実施形態では、極微針処理技術は、後にエマルション組成物となり得るかまたはそれを含み得るローション、クリーム、または液体組成物と(例えば、いくつかの実施形態ではナノエマルション実施形態と、及び/または、いくつかの実施形態ではマクロエマルション組成物と)組み合わされる。いくつかの実施形態では、提供される技術は化学的浸入促進剤などの皮膚崩壊技術を利用しない。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【
図1】ボツリヌスナノエマルション製剤のバイオアベイラビリティに対するMSC(「極微針皮膚調整」)の効果のラット研究の指外転スコアリングの結果を図示している。
【
図2】ボツリヌスナノエマルション製剤のバイオアベイラビリティに対するMSCの効果のラット研究の生存率を図示している。
【発明を実施するための形態】
【0017】
定義
本出願では、文脈から別段明らかでない限り、(i)「a」という用語は「少なくとも1つ」を意味するものと理解され得;(ii)「または」という用語は「及び/または」を意味するものと理解され得;(iii)「含む(comprising)」及び「含む(including)」という用語は、項目を挙げた成分または工程を、それら自体で示されているか、または1つ以上の追加の成分または工程と共に示されているかにかかわらず包含することが理解され得;(iv)「約」及び「およそ」という用語は、当業者によって理解されるであろうが、標準偏差を許容することが理解され得;(v)範囲が提供される場合、終端は含まれる。
【0018】
摩耗:「摩耗」という用語は、本明細書で使用される場合、皮膚の最上層を改変、崩壊、除去、または破壊する任意の手段を指す。いくつかの実施形態では、摩耗は、皮膚の最上層を改変、崩壊、除去、または破壊する機械的手段を指す。いくつかの実施形態では、摩耗は、皮膚の最上層を改変、崩壊、除去、または破壊する化学的手段を指す。いくつかではあるが例を挙げると、スクラブ剤、微粒子(例えば、マグネシウムまたはアルミニウム粒子)、酸(例えば、アルファ-ヒドロキシ酸またはベータ-ヒドロキシ酸)、アルコールなどの薬剤が摩耗を引き起こし得る。一般に、例えば、Donovan(例えば、米国公開2004/009180及び2005/175636、ならびにPCT公開WO04/06954)、及びGraham(例えば、米国特許6,939,852及び米国公開2006/093624)などによって記載されているものなどの浸透促進剤は摩耗を引き起こすと予想される。当然ながら、当業者は、特定の薬剤が1つの濃度で、または1つ以上の他の薬剤と一緒に存在する場合に摩耗を引き起こし得るが、異なる状況下では摩耗を引き起こさない場合があることを理解する。それ故、特定の材料が「摩耗剤」であるかどうかは状況に依存する。摩耗は、例えば、皮膚の発赤または刺激の観察及び/または角質層の変化、崩壊、除去、または爛れを示す皮膚の観察組織学的検査によって、当業者により容易に評価され得る。
【0019】
投与:本明細書で使用される場合、「投与」という用語は、典型的には、対象またはシステムへの組成物の投与を指す。当業者は、適切な状況では、対象、例えば、ヒトへの投与に利用され得る様々な経路を認識する。例えば、いくつかの実施形態では、投与は、眼内、経口、非経口、局所などであり得る。いくつかの実施形態では、投与は、気管支内(例えば、気管支内注入による)、口腔内、経皮(例えば、真皮に局所的、皮内、皮膚間、経皮などのうちの1つ以上であり得るか、またはそれらを含み得る)、腸内、動脈内、皮内、胃内、髄内、筋肉内、鼻腔内、腹腔内、髄腔内、静脈内、脳室内、特定器官内(例えば、肝内)、粘膜、経鼻、経口、直腸、皮下、舌下、局所、気管(例えば、気管内注入による)、膣内、硝子体などであり得る。いくつかの実施形態では、投与は、間欠的(例えば、時間的に隔てられた複数の用量)及び/または定期的(例えば、共通の期間によって隔てられた個々の用量)な投薬である投薬を含み得る。いくつかの実施形態では、投与は、少なくとも選択された期間にわたる連続投薬(例えば、灌流)を含み得る。
【0020】
薬剤:一般に、「薬剤」という用語は、本明細書で使用される場合、例えば、ポリペプチド、核酸、サッカライド、脂質、小分子、金属、またはそれらの組み合わせもしくは複合体を含む任意の化学分類の化合物または実体を指すために使用され得る。適切な状況では、当業者に文脈から明らかになるように、その用語は、細胞もしくは生物、またはそれらの画分、抽出物、もしくは成分であるか、またはそれを含む実体を指すために利用され得る。代替的にまたは追加的に、文脈が明らかにするように、その用語は、天然に見られる及び/または天然から得られるという点で天然物を指すために使用され得る。いくつかの場合では、やはり文脈から明らかになるように、その用語は、ヒトの手の作用によって設計、考案、及び/または生成され、及び/または天然には見られないという点で、人工の1つ以上の実体を指すために使用され得る。いくつかの実施形態では、薬剤は単離形態または純粋形態で利用され得る;いくつかの実施形態では、薬剤は粗製形態で利用され得る。いくつかの実施形態では、潜在的な薬剤は、収集物または集合物であって、例えば、それらの中の活性薬剤を同定するか、または特徴付けるためにスクリーニングされ得る、集合物または収集物として提供され得る。いくつかの場合では、「薬剤」という用語は、ポリマーであるか、またはそれを含む化合物または実体を指し得る;いくつかの場合では、その用語は、1つ以上のポリマー部分を含む化合物または実体を指し得る。いくつかの実施形態では、「薬剤」という用語は、ポリマーではない、及び/または任意のポリマー及び/または1つ以上の特定のポリマー部分を実質的に含まない化合物または実体を指し得る。いくつかの実施形態では、その用語は、任意のポリマー部分を欠いているか、または実質的に含まない化合物または実体を指し得る。いくつかの実施形態では、その用語は分子複合体を指し得る。
【0021】
抗体:本明細書で使用される場合、「抗体」という用語は、特定の標的抗原への特異的結合を付与するのに十分な標準的な免疫グロブリン配列要素を含むポリペプチドを指す。当該技術分野で知られているように、天然で生成されるような無傷の抗体は、互いに会合して一般的に「Y型」構造と称されるものになる2つの同一の重鎖ポリペプチド(それぞれ約50kDa)及び2つの同一の軽鎖ポリペプチド(それぞれ約25kDa)を含んでなるおよそ150kDaの四量体剤である。各重鎖は、少なくとも4つのドメイン(それぞれ約110アミノ酸長)-アミノ末端可変(VH)ドメイン(Y構造の先端に位置する)、それに続く3つの定常ドメイン:CH1、CH2、及びカルボキシ末端CH3(Y’の茎部の基部に位置する)を含んでなる。「スイッチ」として知られる短い領域は、重鎖可変領域と定常領域を接続する。「ヒンジ」は、CH2及びCH3ドメインを抗体の残りの部分に接続する。このヒンジ領域における2つのジスルフィド結合は、無傷の抗体において2つの重鎖ポリペプチドを互いに結合する。各軽鎖は、2つのドメイン、すなわち、アミノ末端可変(VL)ドメイン、それに続くカルボキシ末端定常(CL)ドメインを含んでなり、それらは別の「スイッチ」によって互いに分離されている。無傷の抗体四量体は、重鎖及び軽鎖が単一のジスルフィド結合によって互いに連結した2つの重鎖-軽鎖二量体を含んでなり;2つの他のジスルフィド結合が重鎖ヒンジ領域を互いに接続し、これにより二量体が互いに接続し、四量体が形成される。天然に生成される抗体もまた典型的にはCH2ドメイン上でグリコシル化されている。天然抗体における各ドメインは、圧縮された逆平行ベータバレル中に互いに対して詰め込まれた2つのベータシート(例えば、3、4、または5本鎖シート)から形成される「免疫グロブリンフォールド」によって特徴付けられる構造を有する。各可変ドメインは、「相補性決定領域」(CDR1、CDR2、及びCDR3)として知られる3つの超可変ループ、及び4つのいくらか不変の「フレームワーク」領域(FR1、FR2、FR3、及びFR4)を含有する。天然の抗体が折り畳まれると、FR領域はドメインの構造的フレームワークを提供するベータシートを形成し、重鎖及び軽鎖の両方からのCDRループ領域は三次元空間で一緒になり、これによりそれらは、Y構造の先端に位置する単一の超可変抗原結合部位を作り出す。天然に存在する抗体のFc領域は相補性システムの要素に結合し、また、例えば、細胞毒性を媒介するエフェクター細胞を含むエフェクター細胞上の受容体に結合する。当該技術分野において知られているように、Fc受容体に対するFc領域の親和性及び/または他の結合特性は、グリコシル化または他の修飾により調節され得る。いくつかの実施形態では、本発明に従って生成及び/または利用される抗体は、グリコシル化Fcドメインを含み、これには、修飾または改変されたそのようなグリコシル化を有するFcドメインが含まれる。本発明の目的のため、いくつかの実施形態では、天然の抗体に見られるような十分な免疫グロブリンドメイン配列を含む任意のポリペプチドまたはポリペプチドの複合体は、そのようなポリペプチドが天然に生成される(例えば、抗原に対して反応する生物によって生成される)か、または組換え技術、化学的合成、または他の人工的システムもしくは方法論によって生成されるかにかかわらず、「抗体」と称され、及び/または「抗体」として使用され得る。いくつかの実施形態では、抗体はポリクローナルである;いくつかの実施形態では、抗体はモノクローナルである。いくつかの実施形態では、抗体は、マウス、ウサギ、霊長類、またはヒトの抗体に特徴的な定常領域配列を有する。いくつかの実施形態では、抗体配列要素は、当該技術分野で知られているように、ヒト化、霊長類化、キメラ化などがなされている。その上、本明細書で使用される「抗体」という用語は、適切な実施形態では(別段記述されない限り、または文脈から明らかでない限り)、代替的な提示で抗体の構造的及び機能的特徴を利用するための当該技術分野で知られているまたは開発された構成物または形式のいずれかを指し得る。例えば、実施形態では、本発明に従って利用される抗体は、無傷のIgG、IgE及びIgM、二重または多重特異性抗体(例えば、Zybody(登録商標)など)、一本鎖Fvs、ポリペプチド-Fc融合体、Fab、ラクダ抗体、マスクされた抗体(例えば、Probody(登録商標))、小モジュール免疫薬剤(Small Modular ImmunoPharmaceuticals(「SMIP(商標)」))、一本鎖またはタンデムダイアボディ(TandAb(登録商標))、VHH、Anticalin(登録商標)、Nanobody(登録商標)、ミニボディ、BiTE(登録商標)、アンキリン繰り返しタンパク質またはDARPIN(登録商標)、Avimer(登録商標)、DART、TCR様抗体、Adnectin(登録商標)、Affilin(登録商標)、Trans-body(登録商標)、Affibody(登録商標)、TrimerX(登録商標)、MicroProteins、Fynomer(登録商標)、Centyrin(登録商標)、及びKALBITOR(登録商標)から選択されるがこれらに限定されない形式である。いくつかの実施形態では、抗体は、天然に生成された場合に有するであろう共有結合修飾(例えば、グリカンの結合)を欠く場合がある。いくつかの実施形態では、抗体は、共有結合修飾(例えば、グリカン、ペイロード[例えば、検出可能部分、治療用部分、触媒部分など]、または他のペンダント基[例えば、ポリエチレングリコールなど]の結合)を含有し得る。
【0022】
抗体薬剤:本明細書で使用される場合、「抗体薬剤」という用語は、特定の抗原に特異的に結合する薬剤を指す。いくつかの実施形態では、その用語は、特異的結合を付与するのに十分な免疫グロブリン構造要素を含む任意のポリペプチドまたはポリペプチド複合体を包含する。例示的な抗体薬剤には、ヒト抗体、霊長類化抗体、キメラ抗体、二重特異性抗体、ヒト化抗体、複合体化抗体(すなわち、他のタンパク質、放射性標識、細胞毒素に複合体化または融合した抗体)、小モジュール免疫薬剤(「SMIP(商標)」)、一本鎖抗体、ラクダ抗体、及び抗体断片が含まれるがこれらに限定されない。本明細書で使用される場合、「抗体薬剤」という用語にはまた、無傷のモノクローナル抗体、ポリクローナル抗体、単一ドメイン抗体(例えば、サメ単一ドメイン抗体(例えば、IgNARまたはその断片))、少なくとも2つの無傷の抗体から形成される多重特異性抗体(例えば、二重特異性抗体)、及び抗体断片(所望の生物学的活性を示す場合に限る)が含まれる。いくつかの実施形態では、その用語はステープルペプチドを包含する。いくつかの実施形態では、その用語は1つ以上の抗体様結合ペプチド模倣薬を包含する。いくつかの実施形態では、その用語は1つ以上の抗体様結合骨格タンパク質を包含する。いくつかの実施形態では、その用語はモノボディまたはアドネクチンを包含する。多くの実施形態では、抗体薬剤は、アミノ酸配列が、相補性決定領域(CDR)として当業者に認識されている1つ以上の構造的要素を含むポリペプチドであるか、またはそれを含む;いくつかの実施形態では、抗体薬剤は、アミノ酸配列が、参照抗体に見られるものと実質的に同一の少なくとも1つのCDR(例えば、少なくとも1つの重鎖CDR及び/または少なくとも1つの軽鎖CDR)を含むポリペプチドであるか、またはそれを含む。いくつかの実施形態では、含まれるCDRは、それが参照CDRと比較して配列において同一であるか、または1~5個のアミノ酸置換を含有するという点で参照CDRと実質的に同一である。いくつかの実施形態では、含まれるCDRは、参照CDRと少なくとも85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、または100%の配列同一性を示すという点で参照CDRと実質的に同一である。いくつかの実施形態では、含まれるCDRは、参照CDRと少なくとも96%、96%、97%、98%、99%、または100%の配列同一性を示すという点で参照CDRと実質的に同一である。いくつかの実施形態では、含まれるCDRは、含まれるCDR内の少なくとも1つのアミノ酸が参照CDRと比較して欠失、付加、または置換されているが、それ以外では含まれるCDRは参照CDRのものと同一のアミノ酸配列を有するという点で参照CDRと実質的に同一である。いくつかの実施形態では、含まれるCDRは、含まれるCDR内の1~5個のアミノ酸が参照CDRと比較して欠失、付加、または置換されているが、それ以外では含まれるCDRは参照CDRと同一のアミノ酸配列を有するという点で参照CDRと実質的に同一である。いくつかの実施形態では、含まれるCDRは、含まれるCDR内の少なくとも1つのアミノ酸が参照CDRと比較して置換されているが、それ以外では含まれるCDRは参照CDRのものと同一のアミノ酸配列を有するという点で参照CDRと実質的に同一である。いくつかの実施形態では、含まれるCDRは、含まれるCDR内の1~5個のアミノ酸が参照CDRと比較して欠失、付加、または置換されているが、それ以外では含まれるCDRは参照CDRと同一のアミノ酸配列を有するという点で参照CDRと実質的に同一である。いくつかの実施形態では、抗体薬剤は、アミノ酸配列が免疫グロブリン可変ドメインとして当業者によって認識されている構造的要素を含むポリペプチドであるか、またはそれを含む。いくつかの実施形態では、抗体薬剤は、免疫グロブリン結合ドメインと相同であるか、または大部分が相同である結合ドメインを有するポリペプチドタンパク質である。いくつかの実施形態では、抗体薬剤は抗体-薬物複合体であるか、またはそれを含む。
【0023】
抗体成分:本明細書で使用される場合、エピトープまたは抗原に特異的に結合し、かつ1つ以上の免疫グロブリンの構造的特徴を含むポリペプチド要素(完全ポリペプチド、またはより大きなポリペプチドの一部、例えば、本明細書に記載さえる融合ポリペプチドなどであり得る)を指す。一般に、抗体成分は、アミノ酸配列が抗体結合領域(例えば、任意に1つ以上のフレームワーク領域の存在下で、抗体の軽鎖もしくは可変領域またはそれらの1つ以上の相補性決定領域(「CDR」)、または抗体の重鎖もしくは可変領域またはそれらの1つ以上のCDR)に特徴的な要素を含む任意のポリペプチドである。いくつかの実施形態では、抗体成分は全長抗体であるか、またはそれを含む。いくつかの実施形態では、抗体成分は、全長未満であるが、少なくとも1つの結合部位(既知の抗体の「可変領域」の構造を有する少なくとも1つの、好ましくは少なくとも2つの配列を含む)を含む。いくつかの実施形態では、「抗体成分」という用語は、免疫グロブリン結合ドメインと相同であるか、または大部分が相同である結合ドメインを有する任意のタンパク質を包含する。特定の実施形態では、含まれる「抗体成分」は、免疫グロブリン結合ドメインと少なくとも99%の同一性を示す結合ドメインを有するポリペプチドを包含する。いくつかの実施形態では、含まれる「抗体成分」は、免疫グロブリン結合ドメイン、例えば、参照免疫グロブリン結合ドメインと少なくとも70%、75%、80%、85%、90%、95%または98%の同一性を示す結合ドメインを有する任意のポリペプチドである。含まれる「抗体成分」は、天然源に見出される抗体(またはその一部、例えば、その抗原結合部分)のものと同一のアミノ酸配列を有し得る。抗体成分は、単一特異性、二重特異性、または多重特異性であり得る。抗体成分は、ヒトクラス:IgG、IgM、IgA、IgD及びIgEのいずれかを含む任意の免疫グロブリンクラスに特徴的な構造的要素を含み得る。抗体の抗原結合機能は全長抗体の断片によって行われ得ることが示されている。そのような抗体の実施形態はまた、2つ以上の異なる抗原に特異的に結合する二重特異性(bispecific)、二重特異性(dual specific)、または多重特異性形式であり得る。抗体の「抗原結合部分」という用語に包含される結合断片の例には、(i)VH、VL、CH1及びCLドメインからなる一価断片であるFab断片;(ii)ヒンジ領域でジスルフィド架橋によって連結した2つのFab断片を含む二価断片であるF(ab’)2断片;(iii)VH及びCH1ドメインからなるFd断片;(iv)抗体の単一の腕部のVH及びVLドメインからなるFv断片、(v)単一可変ドメインを含むdAb断片(Ward et al.,(1989)Nature 341:544-546);及び(vi)単離された相補性決定領域(CDR)が含まれる。更に、Fv断片の2つのドメインであるVH及びVLは、別々の遺伝子によってコードされるが、それらは、組換え法を使用して、それらを単一のタンパク質鎖(VH及びVL領域が対をなして一価の分子(一本鎖Fv(scFV)として知られる)を形成する)として作製することを可能にする合成リンカーによって連結され得る;例えば、Bird et al.(1988)Science 242:423-426;及びHuston et al.(1988)Proc.Natl.Acad.Sci.USA85:5879-5883)を参照されたい。いくつかの実施形態では、「抗体成分」は、本明細書で記載される場合、そのような一本鎖抗体であるか、またはそれを含む。いくつかの実施形態では、「抗体成分」はダイアボディであるか、またはそれを含む。ダイアボディは、VH及びVLドメインが単一のポリペプチド鎖上に発現するが、同じ鎖上の2つのドメイン間の対形成を可能にするには短すぎるリンカーを使用しており、これによりそれらのドメインを別の鎖の相補的なドメインと対形成させ、2つの抗原結合部位を作り出す二価の二重特異性抗体である(例えば、Holliger,P.,et al.,(1993)Proc.Natl.Acad.Sci.USA 90:6444-6448;Poljak,R.J.,(1994) Structure 2(12):1121-1123を参照されたい)。そのような抗体結合部分は当該技術分野で知られている(Kontermann and Dubel eds.,Antibody Engineering(2001)Springer-Verlag.New York.790pp.(ISBN 3-540-41354-5)。いくつかの実施形態では、抗体成分は、相補的軽鎖ポリペプチドと共に一対の抗原結合領域を形成する一対のタンデムFvセグメント(VH-CH1-VH-CH1)を含む一本鎖「線状抗体」であるか、またはそれを含む(Zapata et al.,(1995)Protein Eng.8(10):1057-1062;及び米国特許第5,641,870号)。いくつかの実施形態では、抗体成分は、キメラまたはヒト化抗体に特徴的な構造的要素を有し得る。一般に、ヒト化抗体は、受領者の相補性決定領域(CDR)由来の残基が、所望の特異性、親和性、及び能力を有するマウス、ラットまたはウサギなどの非ヒト種(ドナー抗体)のCDR由来の残基で置き換わっているヒト免疫グロブリン(受領者の抗体)である。いくつかの実施形態では、抗体成分は、ヒト抗体に特徴的な構造的要素を有し得る。
【0024】
抗体断片:本明細書で使用される場合、「抗体断片」は、例えば、抗体の抗原結合または可変領域などの無傷の抗体の一部を含む。抗体断片の例には、Fab、Fab’、F(ab’)2、及びFv断片;トリアボディ;テトラボディ;線状抗体;一本鎖抗体分子;及び抗体断片から形成された多重特異性抗体が含まれる。例えば、抗体断片には、単離断片、重鎖及び軽鎖の可変領域からなる「Fv」断片、軽鎖及び重鎖可変領域がペプチドリンカーによって結合した組換え一本鎖ポリペプチド分子(「ScFvタンパク質」)、及び超可変領域を模倣するアミノ酸残基からなる最小認識単位が含まれる。多くの実施形態では、抗体断片は、親抗体の十分な配列を含有し、それは親抗体と同じ抗原に結合する断片であり;いくつかの実施形態では、断片は、親抗体のものと同等の親和性で抗原に結合する、及び/または抗原への結合について親抗体と競合する。抗体の抗原結合断片の例には、Fab断片、Fab’断片、F(ab’)2断片、scFv断片、Fv断片、dsFvダイアボディ、dAb断片、Fd’断片、Fd断片、及び単離された相補性決定領域(CDR)領域が含まれるがこれらに限定されない。抗体の抗原結合断片は任意の手段によって生成され得る。例えば、抗体の抗原結合断片は、無傷の抗体の断片化によって酵素的または化学的に生成されてもよく、及び/またはそれは部分抗体配列をコードする遺伝子から組換え的に生成されてもよい。代替的にまたは追加的に、抗体の抗原結合断片は、全体的または部分的に合成して生成され得る。抗体の抗原結合断片は、一本鎖抗体断片を任意に含み得る。代替的にまたは追加的に、抗体の抗原結合断片は、例えば、ジスルフィド結合によって主に連結した複数の鎖を含み得る。抗体の抗原結合断片は、多分子複合体を任意に含み得る。機能的抗体断片は、典型的には少なくとも約50個のアミノ酸を含み、より典型的には少なくとも約200個のアミノ酸を含む。
【0025】
およそ:本明細書で使用される場合、「およそ」または「約」という用語は、対象となる1つ以上の値に適用される場合、記述された参照値と同様の値を指す。いくつかの実施形態では、「およそ」または「約」という用語は、別段記述されない限りまたは文脈から別段明らかでない限り、いずれかの方向(より大きいまたはより小さい)で記述された参照値の25%、20%、19%、18%、17%、16%、15%、14%、13%、12%、11%、10%、9%、8%、7%、6%、5%、4%、3%、2%、1%、またはそれ以下に入る値の範囲を指す(例えば、対象となる1つ以上の値が十分に狭い範囲を定義する場合、そのような百分率の不一致のその適用は記述された範囲を取り除くであろう)。
【0026】
と関連する:その用語が本明細書で使用される場合、一方の存在、レベル及び/または形態が他方のそれと相関している場合、2つの事象または実体は互いに「関連している」。例えば、特定の実体(例えば、ポリペプチド、遺伝子シグネチャー、代謝産物、微生物など)の存在、レベル及び/または形態が(例えば、関連する集団にわたって)特定の疾患、障害、または病態の発生率及び/または罹患しやすさと相関している場合、その実体はその疾患、障害、または病態と関連していると考えられる。いくつかの実施形態では、2つ以上の実体は、それらが互いに物理的に近接している及び/または近接したままであるように、それらが直接的または間接的に相互作用する場合、互いに物理的に「関連」している。いくつかの実施形態では、互いに物理的に関連している2つ以上の実体は、互いに共有結合している;いくつかの実施形態では、互いに物理的に関連している2つ以上の実体は、互いに共有結合していないが、例えば、水素結合、ファンデルワールス相互作用、疎水性相互作用、磁性、及びそれらの組み合わせによって非共有結合的に関連している。
【0027】
生体適合性:「生体適合性」という用語は、本明細書で使用される場合、例えば、インビボでそのような組織と接触して配置されたときに生体組織に著しい害を引き起こさない材料を指す。いくつかの実施形態では、材料は、それらが細胞に対して毒性ではない場合、「生体適合性」である。いくつかの実施形態では、材料は、インビトロでの細胞へのそれらの添加が20%以下の細胞死をもたらす場合、及び/またはインビボでのそれらの投与が有意な炎症または他のそのような有害作用を誘発しない場合、「生体適合性」である。
【0028】
生分解性:本明細書で使用される場合、「生分解性」という用語は、細胞に導入された場合、細胞に対して重大な毒性作用を伴わずに細胞が再利用または廃棄され得る成分に(例えば、酵素分解、加水分解、及び/またはそれらの組み合わせなどの細胞機構によって)分解される材料を指す。いくつかの実施形態では、生分解性材料の分解によって生成された成分は生体適合性であり、そのため、インビボで有意な炎症及び/または他の有害作用を誘発しない。いくつかの実施形態では、生分解性ポリマー材料はそれらの構成モノマーに分解する。いくつかの実施形態では、生分解性材料(例えば、生分解性ポリマー材料を含む)の分解は、エステル結合の加水分解を含む。代替的にまたは追加的に、いくつかの実施形態では、生分解性材料(例えば、生分解性ポリマー材料を含む)の分解は、ウレタン結合の開裂を含む。例示的な生分解性ポリマーには、例えば、ポリ(ヒドロキシル酸)、ポリ(乳酸)(PLA)、ポリ(グリコール酸)(PGA)、ポリ(乳酸-コ-グリコール酸)(PLGA)含むがこれらに限定されない乳酸及びグリコール酸などのヒドロキシ酸のポリマー、及びPEGとのコポリマー、ポリ無水物、ポリ(オルト)エステル、ポリエステル、ポリウレタン、ポリ(酪酸)、ポリ(吉草酸)、ポリ(カプロラクトン)、ポリ(ヒドロキシアルカノエート、ポリ(ラクチド-コ-カプロラクトン)、それらのブレンド及びコポリマーが含まれる。例えば、タンパク質、例えばアルブミン、コラーゲン、ゼラチン及びプロラミン、例えば、ゼイン、及びポリサッカライド、例えばアルギン酸塩、セルロース誘導体及びポリヒドロキシアルカノエート、例えば、ポリヒドロキシブチレートブレンド及びそれらのコポリマーを含む多くの天然に存在するポリマーも生分解性である。当業者は、そのようなポリマーがその生体適合性及び/または生分解性の誘導体(例えば、当該技術分野で知られているように、特定の化学基の置換または付加のみが異なる実質的に同一の構造による親ポリマーに関連する)である場合を理解するか、または決定することができる。
【0029】
生物学的活性剤:本明細書で使用される場合、「生物学的活性剤」という用語は、対象、例えば、ヒトに投与された場合に特定の生物学的効果を及ぼす薬剤を指す。いくつかの実施形態では、生物学的活性剤は、治療的活性剤、美容的活性剤、及び/または診断的活性剤であり得る。いくつかの実施形態では、生物学的活性剤は、米国食品医薬品局によって「活性医薬成分」として分類されるであろう実体または部分であり得るか、またはそれらを含み得る。いくつかの実施形態では、生物学的活性剤は大型薬剤である。いくつかの実施形態では、生物学的活性剤は、存在が所望の薬理学的及び/または治療的、美容的及び/または診断的効果と相関する薬剤であり得るか、またはそれを含み得る。いくつかの実施形態では、生物学的活性剤は、その生物学的効果が用量依存的である(例えば、任意に少なくとも第1の濃度範囲にわたって直線的に用量の増加と共に増加する)という点で特徴付けられる。いくつかの実施形態では、薬剤は、それが所望の効果を実際に達成する異なる薬剤の送達を単に促進するだけである場合、「生物学的活性剤」であるとはみなされない。
【0030】
ボツリヌスマクロエマルション組成物:「ボツリヌスマクロエマルション組成物」という用語は、本明細書で使用される場合、少なくとも1つのマクロエマルションがボツリヌス毒素を含む任意のマクロエマルション組成物を指す。ボツリヌス毒素は、マクロエマルション内、マクロエマルション表面上、及び/またはマクロエマルションを画定するミセル膜内に存在し得る。
【0031】
ボツリヌスナノエマルション組成物:「ボツリヌスナノエマルション組成物」という用語は、本明細書で使用される場合、少なくとも1つのナノエマルションがボツリヌス毒素を含む任意のナノエマルション組成物を指す。ボツリヌス毒素は、ナノエマルション内、ナノエマルション表面上、及び/またはナノエマルションを画定するミセル膜内に存在し得る。
【0032】
ボツリヌス毒素「ボツリヌス毒素」という用語は、本明細書で使用される場合、Clostridium botulinumによって生成される任意の神経毒を指す。別段示される場合を除き、その用語は、適切な活性(例えば、筋弛緩活性)を保持するそのような神経毒の断片または部分(例えば、軽鎖及び/または重鎖)を包含する。「ボツリヌス毒素」という句は、本明細書で使用される場合、ボツリヌス毒素血清型A、B、C、D、E、F、及びGを包含する。ボツリヌス毒素はまた、本明細書で使用される場合、ボツリヌス毒素複合体(すなわち、例えば、300、600、及び900kDaの複合体)及び精製された(すなわち、例えば、単離された)ボツリヌス毒素(すなわち、例えば、約150kDa)の両方を包含する。「精製されたボツリヌス毒素」は、ボツリヌス毒素複合体用のタンパク質を含む他のタンパク質から単離された、または実質的に単離されたボツリヌス毒素として定義される。精製された毒素は、95%を超える純度であり得、好ましくは99%を超える純度である。当業者は、本発明がボツリヌス毒素のいずれの特定の供給源にも限定されないことを理解する。例えば、本発明に従って使用するためのボツリヌス毒素は、Clostridium botulinumから単離され得、化学的に合成され得、組換え的に生成され得る(すなわち、宿主細胞またはClostridium botulinum以外の生物で)ことなどがなされ得る。ボツリヌスは、ボツリヌス毒素血清型Aよりも持続時間が長くまたは短く作用するように遺伝子操作または化学的修飾され得る。
【0033】
担体:本明細書で使用される場合、組成物と共に投与される希釈剤、アジュバント、賦形剤、またはビヒクルを指す。いくつかの例示的な実施形態では、担体には、滅菌液体、例えば、水及び石油、動物、植物または合成起源の油を含む油、例えば、落花生油、大豆油、鉱油、ゴマ油などが含まれ得る。いくつかの実施形態では、担体は、1つ以上の固体成分であるか、またはそれを含む。
【0034】
併用療法:本明細書で使用される場合、「併用療法」という用語は、対象が2つ以上の治療レジメン(例えば、2つ以上の治療薬剤、治療薬剤と治療様式など)に同時に曝露されるそれらの状況を指す。いくつかの実施形態では、2つ以上のレジメンは同時に投与され得る;いくつかの実施形態では、そのようなレジメンは連続して投与され得る(例えば、第1のレジメンの全ての「用量」が第2のレジメンの任意の用量の投与の前に投与される);いくつかの実施形態では、そのような薬剤は重複投薬レジメンで投与される。いくつかの実施形態では、併用療法の「投与」は、併用する他の薬剤または様式を受けている対象への1つ以上の薬剤及び/または様式の投与を含み得る。明確性のため、併用療法は、個々の薬剤が単一の組成物中で一緒に投与されることを(または必ずしも同時に投与されることでさえ)必要とされないが、いくつかの実施形態では、2つ以上の薬剤、またはそれらの活性部分は、併用組成物中で、または併用化合物中でさえも(例えば、単一の化学的複合体または共有結合的実体の一部として)一緒に投与され得る。
【0035】
同等の:本明細書で使用される場合、「同等の」という用語は、2つ以上の薬剤、実体、状況、一連の条件などであって、互いに同一ではない場合があるが、それらの間の比較を可能にするのに十分に類似しているため、観察された差異または類似性に基づいて結論が合理的に引き出され得ることを当業者が理解するものを指す。いくつかの実施形態では、同等の一連の状態、状況、個体、または集団は、複数の実質的に同一の特徴及び1つのまたは少数の様々な特徴によって特徴付けられる。当業者は、文脈において、2つ以上のそのような薬剤、実体、状況、一連の条件などのために任意の所与の状況においてどの程度の同一性が同等であるとみなされるのに必要とされるかを理解する。例えば、一連の状況、個体、または集団は、異なる一連の状況、個体、または集団の下でまたはそれを用いて得られる結果または観察される現象における差異が、変化するそれらの特徴における変動によって引き起こされるかまたはそれを示す合理的な結論を正当化するために十分な数及び実質的に同一の種類の特徴によって特徴付けられる場合に互いに匹敵することを当業者は理解する。
【0036】
組成物:当業者は、「組成物」という用語が、本明細書で使用される場合、1つ以上の特定の成分を含む個別の物理的実体を指すために使用され得ることを理解する。一般に、別段特定されない限り、組成物は任意の形態、例えば、気体、ゲル、液体、固体などのものであり得る。
【0037】
含む:1つ以上の名前の付いた要素または工程を「含む」と本明細書で記載されている組成物または方法は、オープンエンドであり、名前の付いた要素または工程が必須であるが、他の要素または工程が組成物または方法の範囲内で追加され得ることを意味する。冗長性を回避するため、1つ以上の名前の付いた要素または工程を「含む(comprising)」(または「含む(which comprises)」)ものとして記載される任意の組成物または方法はまた、同一の名前の付いた要素または工程から「実質的になる(consisting essentially of)」(または「実質的になる(which consists essentially of)」)対応するより限定された組成物または方法を記載しており、これは、その組成物または方法が名前の付いた必須の要素または工程を含み、その組成物または方法の基本的な新規の特徴(複数可)に実体的に影響を及ぼさない追加の要素または工程も含み得ることを意味することも理解される。1つ以上の名前の付いた要素または工程を「含む」またはそれから「実質的になる」ものとして本明細書に記載される任意の組成物または方法はまた、任意の他の名前の付いていない要素または工程を除外して、名前の付いた要素または工程「からなる(consisting of)」(または「からなる(consists of)」)対応するより限定されたクローズドエンドの組成物または方法を記載していることも理解される。本明細書に開示されている任意の組成物または方法において、任意の名前の付いた本質的な要素または工程の既知のまたは開示された均等物は、その要素または工程の代わりに用いられ得る。
【0038】
剤形または単位剤形:当業者は、「剤形」という用語が、対象への投与のための活性薬剤(例えば、治療または診断薬剤)の物理的に個別の単位を指すために使用され得ることを理解する。典型的には、そのような各単位は既定量の活性薬剤を含有する。いくつかの実施形態では、そのような量は、関連する集団に投与された場合に所望のまたは有益な結果と(すなわち、治療投薬レジメンと)相関すると決定された投薬レジメンに従う投薬に適切な単位投薬量(またはその全体分率)である。特定の対象に投与される治療用組成物または薬剤の総量は、一人以上の担当医によって決定され、複数の剤形の投与を含み得ることを当業者は理解する。
【0039】
投薬レジメン:当業者は、「投薬レジメン」という用語が、典型的には期間によって隔てられた、対象に個々に投与される一組の単位用量(典型的には複数)を指すために使用され得ることを理解する。いくつかの実施形態では、所与の治療薬剤は推奨される投薬レジメンを有し、これは1回以上の用量を含み得る。いくつかの実施形態では、投薬レジメンは、複数の用量を含み、各々が他の用量から時間的に隔てられている。いくつかの実施形態では、個々の用量は、同じ長さの期間だけ互いに隔てられている;いくつかの実施形態では、投薬レジメンは、複数回の用量及び個々の用量を隔てる少なくとも2つの異なる期間を含む。いくつかの実施形態では、投薬レジメン内の全ての用量は同じ単位用量の量のものである。いくつかの実施形態では、投薬レジメン内の異なる用量は異なる量のものである。いくつかの実施形態では、投薬レジメンは、第1の用量の量での第1の用量と、それに続く第1の用量の量とは異なる第2の用量の量での1つ以上の追加的な用量を含む。いくつかの実施形態では、投薬レジメンは、第1の用量の量での第1の用量と、それに続く第1の用量の量と同じ第2の用量の量での1つ以上の追加的な用量を含む。いくつかの実施形態では、投薬レジメンは、関連する集団にわたって投与された場合に所望のまたは有益な結果と相関する(すなわち、治療投薬レジメンである)。
【0040】
エマルション:「エマルション」という用語は、本明細書では、「通常はコロイドサイズよりも大きな液滴中の非混和性液体中に乳化剤を伴ってまたは伴わずに分散した液体からなる系」という当該技術分野における理解と一致する。例えば、Medline Plus Online Medical Dictionary,Merriam Webster(2005)における定義を参照されたい。
【0041】
賦形剤:本明細書で使用される場合、例えば、所望の粘稠度または安定化効果を提供するかまたはそれに寄与するために医薬組成物に含まれ得る非治療薬剤を指す。好適な医薬賦形剤には、例えば、デンプン、グルコース、ラクトース、スクロース、ゼラチン、麦芽、米、小麦粉、チョーク、シリカゲル、ステアリン酸ナトリウム、グリセロールモノステアレート、タルク、塩化ナトリウム、乾燥スキムミルク、グリセロール、プロピレン、グリコール、水、エタノールなどが含まれる。
【0042】
ヒト:いくつかの実施形態では、ヒトは、胎芽、胎児、幼児、小児、10代、成人、または高齢者である。
【0043】
親水性:本明細書で使用される場合、「親水性」及び/または「極性」という用語は、水と混合するか、または水中に容易に溶解する傾向を指す。
【0044】
疎水性:本明細書で使用される場合、「疎水性」及び/または「非極性」という用語は、水と混じり合わないか、水と組み合わさらない傾向、または水中に容易に溶解することができないことを指す。
【0045】
改善する、増加するまたは減少する:本明細書またはその文法的同等物において使用される場合、「改善する」、「増加する」または「減少する」という用語は、本明細書に記載の治療の開始前の同じ個体における測定結果などのベースラインの測定結果、または本明細書に記載の治療の非存在下での対照個体(または複数の対照個体)における測定結果に対する値を示す。いくつかの実施形態では、「対照個体」は、治療されている個体と同じ形態の疾患または負傷を患っている個体である。
【0046】
大型分子:「大型分子」という用語は、本明細書では一般に、サイズが約100キロダルトン(KDa)を超える分子を記述するために使用される。いくつかの実施形態では、大型分子は、約110KDa、120KDa、130KDa、140KDa、150KDa、160KDa、170KDa、180KDa、190KDa、200KDa、250KDa、300KDa、400KDa、または500KDaを超える。いくつかの実施形態では、大型分子はポリマーであるか、またはポリマー部分もしくは実体を含む。いくつかの実施形態では、大型分子はポリペプチドであるか、またはそれを含む。いくつかの実施形態では、大型分子は核酸であるか、またはそれを含む。
【0047】
大型薬剤:本明細書で使用される「大型薬剤」という用語は、一般に、サイズが約100キロダルトン(KDa)を超える分子量を有する薬剤を指す。いくつかの実施形態では、大型分子は、約110KDa、120KDa、130KDa、140KDa、150KDa、160KDa、170KDa、180KDa、190KDa、200KDa、250KDa、300KDa、400KDa、または500KDaを超える。いくつかの実施形態では、大型薬剤は生物学的活性剤である。いくつかの実施形態では、大型薬剤は1つ以上の大型分子であるか、またはそれを含む。いくつかの実施形態では、大型薬剤は1つ以上の分子複合体であるか、またはそれを含む。いくつかの実施形態では、大型薬剤はポリペプチドであるか、またはそれを含む。いくつかの実施形態では、大型薬剤はポリペプチドの複合体であるか、またはそれを含む。いくつかの実施形態では、大型薬剤は細菌毒素(例えば、ボツリヌス毒素)であるか、またはそれを含む。いくつかの実施形態では、大型薬剤は抗体薬剤であるか、またはそれを含む。
【0048】
マクロエマルション:「マクロエマルション」という用語は、本明細書で使用される場合、少なくともいくつかの液滴が数百ナノメートルからマイクロメートルのサイズ範囲の直径を有するエマルションを指す。当業者に理解されるように、マクロエマルションは、直径が300nmを超える液滴によって特徴付けられる。いくつかの実施形態では、本開示に従って利用されるマクロエマルション組成物は、1つ以上の大型薬剤または1つ以上の生物学的活性剤を含む。いくつかの実施形態では、マクロエマルション組成物に含まれる大型薬剤は生物学的活性剤であり得る。本開示に従って使用するためのマクロエマルション組成物が、例えば、化学的または機械的手段を含む任意の利用可能な手段に従って調製され得ることは当業者に理解される。いくつかの実施形態では、マクロエマルション中の液滴は、約301nm~約1000μmの範囲内のサイズを有する。いくつかの実施形態では、マクロエマルションは、約301nm~約1000μmのサイズ分布の液滴を有する。いくつかの実施形態では、マクロエマルション中の液滴は、約500nm~約5000μmの範囲内のサイズを有する。いくつかの実施形態では、マクロエマルションは、約500nm~約5000μmのサイズ分布の液滴を有する。
【0049】
極微針:本明細書で使用される「極微針」という用語は、一般に、皮膚を貫通するのに好適な長さ、直径、及び形状の細長い構造を指す。いくつかの実施形態では、極微針は、薬物送達のための効率的な経路を依然として作り出しながら、皮膚内に挿入されたときに神経との接触を最小限にするように(それ自体によってまたは装置内に)用意され、構成される。いくつかの実施形態では、極微針は、極微針の長さに沿って一定の直径を有する。いくつかの実施形態では、極微針は、極微針の長さに沿って変化する直径を有する。いくつかの実施形態では、極微針は、極微針の長さに沿って先細になる直径を有する。いくつかの実施形態では、極微針の直径は、皮膚を貫通する先端において最も狭い。いくつかの実施形態では、極微針は中実であり得る。いくつかの実施形態では、極微針は中空であり得る。いくつかの実施形態では、極微針は管状であり得る。いくつかの実施形態では、極微針は一端で封止され得る。いくつかの実施形態では、複数の極微針が利用される。いくつかの実施形態では、複数の極微針がアレイ形式で利用される。いくつかの実施形態では、極微針は約1μm~約4,000μmの範囲内の長さを有し得る。いくつかの実施形態では、極微針は約1μm~約2,000μmの長さを有し得る。いくつかの実施形態では、極微針は約50μm~約400μmの長さを有し得る。いくつかの実施形態では、極微針は約800μm~約1500μmの長さを有し得る。
【0050】
ナノエマルション:「ナノエマルション」という用語は、本明細書で使用される場合、少なくともいくつかの液滴がナノメートルのサイズ範囲の直径を有するエマルションを指す。当業者に理解されるように、ナノエマルションは、直径が300nm以下の液滴によって特徴付けられる。いくつかの実施形態では、本開示に従って利用されるナノエマルション組成物は、1つ以上の大型薬剤または1つ以上の生物学的活性剤を含む。いくつかの実施形態では、ナノエマルション組成物に含まれる大型薬剤は生物学的活性剤であり得る。本開示に従って使用するためのナノエマルション組成物が、例えば、化学的または機械的手段を含む任意の利用可能な手段に従って調製され得ることは当業者に理解される。いくつかの実施形態では、ナノエマルション中の液滴は、約1nm~約300nmの範囲内のサイズを有する。いくつかの実施形態では、ナノエマルションは、約1nm~約300nmのサイズ分布の液滴を有する。
【0051】
ナノ粒子:本明細書で使用される場合、「ナノ粒子」という用語は、国立科学財団(the National Science Foundation)によって定義されるように、300nm未満の直径を有する固体粒子を指す。いくつかの実施形態では、ナノ粒子は、国立衛生研究所(the National Institutes of Health)によって定義されるように100nm未満の直径を有する。
【0052】
患者:本明細書で使用される場合、「患者」という用語は、提供される組成物が、例えば、実験的、診断的、予防的、美容的、及び/または治療的目的のために投与されるまたは投与され得る任意の生物を指す。典型的な患者には、動物(例えば、マウス、ラット、ウサギ、非ヒト霊長類、及び/またはヒトなどの哺乳動物)が含まれる。いくつかの実施形態では、患者はヒトである。いくつかの実施形態では、患者は1つ以上の障害または病態に罹患しているか、または罹患しやすい。いくつかの実施形態では、患者は障害または病態の1つ以上の症状を示す。いくつかの実施形態では、患者は1つ以上の障害または病態と診断されている。いくつかの実施形態では、障害または病態は、がん、または1つ以上の腫瘍の存在であるか、またはそれを含む。いくつかの実施形態では、患者は、疾患、障害、または病態を診断及び/または治療するための所定の療法を受けているかまたは受け続けている。
【0053】
浸入促進剤:本明細書で使用される場合、「浸入促進剤」という用語は、存在またはレベルが、その非存在下で観察されるものと比較して、皮膚を通る対象となる薬剤の浸入の増加と相関する薬剤を指す。いくつかの実施形態では、浸入促進剤は、それが皮膚構造を分解及び/または崩壊させる点で特徴付けられる。いくつかの実施形態では、浸入促進剤は化学的薬剤(例えば、化学物質または酵素など)であるか、またはそれを含む。例えば、1つ以上の角質成分を損傷し、崩壊させ、及び/または分解し得る化学的薬剤には、例えば、短鎖アルコール、長鎖アルコール、またはポリアルコールなどのアルコール;尿素、アミノ酸またはそれらのエステル、アミド、AZONE(登録商標)、AZONE(登録商標)の誘導体、ピロリドン、またはピロリドンの誘導体などのアミン及びアミド;テルペン及びテルペンの誘導体;脂肪酸及びそれらのエステル;マクロ環状化合物;表面活性剤;またはスルホキシド(例えば、ジメチルスルホキシド(DMSO))、デシルメチルスルホキシドなど);アニオン性、カチオン性、及び非イオン性界面活性剤などの界面活性剤;ポリオール;精油;及び/またはヒアルロニダーゼが含まれる。いくつかの実施形態では、浸入促進剤は、薬剤が皮膚に適用されたときに炎症性及び/またはアレルギー性反応が起こるという点で刺激物であり得る。いくつかの実施形態では、浸入促進剤は刺激物ではない。いくつかの実施形態では、浸入促進剤は、皮膚構造を損傷、崩壊、または分解しないが、存在またはレベルがそれでもなお、その非存在下で観察されるものと比較して、皮膚を通る対象となる薬剤の浸入の増加と相関する化学的薬剤であり得るか、またはそれを含み得る。いくつかの実施形態では、コペプチド、担体分子、及び担体ペプチドは、皮膚構造(複数可)を損傷、崩壊、及び/または分解しない浸入促進剤であり得る。いくつかの実施形態では、コペプチド、担体分子、及び担体ペプチドは、皮膚を刺激しない浸入促進剤であり得る。「浸入促進剤」という用語は、機械的装置(例えば、針、メス、など)、またはその同等物(例えば、他の損傷治療)を包含しない。また、ナノ粒子またはエマルションなどの構造は、化学的薬剤ではなく、そのため、その存在が、構造に関連し得る対象となる薬剤の皮膚浸入の促進と相関する場合であっても、化学的浸入促進剤ではないことを当業者は理解する。
【0054】
医薬組成物:本明細書で使用される場合、「医薬組成物」という用語は、活性薬剤が1つ以上の医薬的に許容可能な担体と共に製剤化されている組成物を指す。いくつかの実施形態では、活性薬剤は、関連する集団に投与されたときに既定の治療効果を達成する統計的に有意な可能性を示す治療レジメンにおける投与に適切な単位用量の量で存在する。いくつかの実施形態では、医薬組成物は、局所投与に適合されたもの、例えば、滅菌溶液もしくは懸濁液、または皮膚、肺、もしくは口腔に適用されるゲル、クリーム、軟膏、もしくは制御放出パッチもしくはスプレーとしての持続放出製剤;例えば、ペッサリー、クリーム、またはフォームとしての膣内または直腸内;舌下;眼内;経皮的;または経鼻的、肺内、及び他の粘膜表面に対するものを含む固体または液体形態での投与のために特別に製剤化され得る。
【0055】
医薬的に許容可能な:本明細書で使用される場合、本明細書に開示される組成物を製剤化するために使用される担体、希釈剤、または賦形剤に適用される「医薬的に許容可能な」という用語は、担体、希釈剤、または賦形剤が、組成物の他の成分と適合性がなければならず、その服用者に有害であってはならないことを意味する。
【0056】
医薬的に許容可能な担体:本明細書で使用される場合、「医薬的に許容可能な担体」という用語は、対象化合物を1つの臓器、または身体の一部から別の臓器、または身体の一部に運搬または輸送する際に関与する、液体もしくは固体充填剤、希釈剤、賦形剤、または溶媒封入材料などの医薬的に許容可能な材料、組成物またはビヒクルを意味する。各担体は、製剤の他の成分と適合性があり、かつ対象または患者に有害ではないという意味で「許容可能」でなければならない。医薬的に許容可能な担体として機能し得る材料のいくつかの例には、糖類、例えばラクトース、グルコース及びスクロース;デンプン、例えばトウモロコシデンプン及びジャガイモデンプン;セルロース、及びその誘導体、例えばカルボキシメチルセルロースナトリウム、エチルセルロース及び酢酸セルロース;粉末トラガカント;麦芽;ゼラチン;タルク;賦形剤、例えばココアバター及び座薬ワックス;油、例えばピーナツ油、綿実油、サフラワー油、ゴマ油、オリーブ油、トウモロコシ油、中鎖トリグリセリド、及び大豆油;グリコール、例えばプロピレングリコール;ポリオール、例えばグリセリン、ソルビトール、マンニトール及びポリエチレングリコール;エステル、例えばオレイン酸エチル及びラウリン酸エチル;寒天;緩衝剤、例えば水酸化マグネシウム及び水酸化アルミニウム;アルギン酸;発熱物質非含有水;等張食塩水;リンゲル液;エチルアルコール;pH緩衝溶液;ポリエステル、ポリカーボネート及び/またはポリ無水物;ならびに医薬製剤に用いられる他の非毒性適合性物質が含まれる。
【0057】
プレミックス:本明細書で使用される「プレミックス」という用語は、本発明によるナノエマルション組成物を生成するために後に使用される成分の任意の組み合わせを指す。例えば、プレミックスは、高剪断力に供された場合に、本発明によるナノエマルションを生成する成分の任意の集合物である。いくつかの実施形態では、プレミックスは、高剪断力に供された場合に、均一なナノエマルション組成物などのナノエマルション組成物を生成する成分の集合物である。プレミックスはしばしば、液体分散媒体及び分散媒体内にナノエマルションを生成するのに十分な他の成分を含有する。本開示のいくつかの実施形態によれば、1つ以上の大型薬剤がプレミックスに含まれ得る。本開示のいくつかの実施形態によれば、1つ以上の生物学的薬剤がプレミックスに含まれ得る。本発明によれば、ボツリヌス毒素がプレミックスに含まれ得る。本発明によれば、1つ以上の抗体がプレミックスに含まれ得る。いくつかの実施形態では、プレミックスは、1つ以上の界面活性剤、浸入促進剤、及び/または他の薬剤を含有し得る。いくつかの実施形態では、プレミックスは溶液を含む。プレミックスがボツリヌス毒素、抗体、別の生物学的活性剤及び/または浸入促進剤を含むいくつかの実施形態では、ボツリヌス毒素、抗体、別の生物学的活性剤及び/または浸入促進剤は、高剪断力がプレミックスに適用される前では溶液中にある。
【0058】
予防するまたは予防:本明細書で使用されるように、疾患、障害、及び/または病態の発生に関連して使用される場合、疾患、障害、及び/または病態を発症するリスクを減少させること、及び/または疾患、障害、または病態の1つ以上の特徴または症状の開始を遅らせることを指す。予防は、疾患、障害または病態の開始が既定の期間遅延した場合に完了と見なされ得る。
【0059】
タンパク質:本明細書で使用される場合、「タンパク質」という用語は、ポリペプチド(すなわち、ペプチド結合によって互いに連結された少なくとも2つのアミノ酸の鎖)を指す。タンパク質は、アミノ酸以外の部分を含んでもよく(例えば、糖タンパク質、プロテオグリカンなどであってもよく)、及び/またはそうでなければ処理または修飾されてもよい。当業者は、「タンパク質」が細胞によって生成されるような完全なポリペプチド鎖(シグナル配列を有するか有しない)であり得るか、またはその特徴的部分であり得ることを理解する。当業者は、タンパク質が、例えば、1つ以上のジスルフィド結合によって連結されているか、または他の手段によって会合されている、複数のポリペプチド鎖を時に含み得ることを理解する。ポリペプチドは、L-アミノ酸、D-アミノ酸、またはその両方を含有し得、当該技術分野で知られている様々なアミノ酸修飾または類似体のいずれかを含有し得る。有用な修飾には、例えば、末端アセチル化、アミド化、メチル化などが含まれる。いくつかの実施形態では、タンパク質は、天然アミノ酸、非天然アミノ酸、合成アミノ酸、及びそれらの組み合わせを含み得る。「ペプチド」という用語は一般に、約100アミノ酸未満、約50アミノ酸未満、20アミノ酸未満、または10アミノ酸未満の長さを有するポリペプチドを指すために使用される。いくつかの実施形態では、タンパク質は、抗体、抗体断片、それらの生物学的に活性な部分、及び/またはそれらの特徴的な部分である。
【0060】
ポリペプチド:「ポリペプチド」という用語は、本明細書で使用される場合、一般に、少なくとも3つのアミノ酸のポリマーのその当該技術分野で認識されている意味を有する。当業者は、「ポリペプチド」という用語が、本明細書に列挙される完全な配列を有するポリペプチドを包含するだけでなく、そのような完全なポリペプチドの機能的断片(すなわち、少なくとも1つの活性を保持する断片)を表すポリペプチドも包含するものとして十分に一般的であることが意図されていることを理解する。その上、当業者は、タンパク質配列が一般に、活性を破壊することなくいくらかの置換を許容することを理解する。それ故、任意のポリペプチドであって、活性を保持し、かつ少なくとも約30~40%の全体配列同一性を共有し、それがしばしば約50%、60%、70%、または80%を超え、更に通常は、同じ分類の別のポリペプチドと共に、少なくとも3~4個でしばしば最大で20個以上のアミノ酸を通常は包含する1つ以上の高度な保存領域においてはるかに高い同一性(しばしば90%または更に95%、96%、97%、98%、または99%を超える)の少なくとも1つの領域を含む、任意のポリペプチドは本明細書で使用される「ポリペプチド」という関連用語内に包含される。ポリペプチドは、L-アミノ酸、D-アミノ酸、またはその両方を含有し得、当該技術分野で知られている様々なアミノ酸修飾または類似体のいずれかを含有し得る。有用な修飾には、例えば、末端アセチル化、アミド化、メチル化などが含まれる。いくつかの実施形態では、タンパク質は、天然アミノ酸、非天然アミノ酸、合成アミノ酸、及びそれらの組み合わせを含み得る。「ペプチド」という用語は一般に、約100アミノ酸未満、約50アミノ酸未満、20アミノ酸未満、または10アミノ酸未満の長さを有するポリペプチドを指すために使用される。いくつかの実施形態では、タンパク質は、抗体、抗体断片、それらの生物学的に活性な部分、及び/またはそれらの特徴的な部分である。
【0061】
参照:本明細書で使用される場合、比較が行われる基準となる標準または対照を表す。例えば、いくつかの実施形態では、対象となる薬剤、動物、個体、集団、試料、レジメン、配列または値は、参照または対照の薬剤、動物、個体、集団、試料、レジメン、配列または値と比較される。いくつかの実施形態では、参照または対照は、対象となる試験または決定と実質的に同時に試験及び/または決定される。いくつかの実施形態では、参照または対照は、任意に有形的表現媒体で具体化された履歴参照または対照である。典型的には、当業者に理解されるであろうが、参照または対照は、評価下のものと同等の条件または状況下で決定または特徴付けられる。当業者は、特定の可能性のある参照または対照への依存及び/またはそれとの比較を正当化するのに十分な類似性が存在する場合を理解する。
【0062】
自己投与:「自己投与」という用語は、本明細書で使用される場合、対象が医学的管理を必要とせずに自分自身に組成物を投与する能力を有する状況を指す。本発明のいくつかの実施形態では、自己投与は臨床環境外で実施され得る。1つではあるが例を挙げると、本発明のいくつかの実施形態では、顔用美容クリームは、自分自身の家で対象によって投与され得る。
【0063】
小分子:一般に、「小分子」は、サイズが約5キロダルトン(Kd)未満の有機分子であることが当該技術分野で理解されている。いくつかの実施形態では、小分子は約3Kd、2Kd、または1Kd未満である。いくつかの実施形態では、小分子は、約800ダルトン(D)、600D、500D、400D、300D、200D、または100D未満である。いくつかの実施形態では、小分子は非ポリマー性である。いくつかの実施形態では、小分子はタンパク質、ペプチド、またはアミノ酸ではない。いくつかの実施形態では、小分子は核酸またはヌクレオチドではない。いくつかの実施形態では、小分子はサッカライドまたはポリサッカライドではない。
【0064】
対象:本明細書で使用される場合、「対象」は、生物、典型的には哺乳動物(例えば、ヒト、いくつかの実施形態では出生前のヒト形態を含む)を意味する。いくつかの実施形態では、対象は関連疾患、障害または病態に罹患している。いくつかの実施形態では、対象は疾患、障害または病態に罹患しやすい。いくつかの実施形態では、対象は、疾患、障害または病態の1つ以上の症状または特徴を示す。いくつかの実施形態では、対象は、疾患、障害または病態のいずれの症状または特徴も示さない。いくつかの実施形態では、対象は、疾患、障害、または病態の罹患しやすさまたは危険性に特徴的な1つ以上の特性を有する者である。いくつかの実施形態では、対象は患者である。いくつかの実施形態では、対象は、診断及び/または療法が行われている及び/または行われてきた個体である。
【0065】
実質的に:本明細書で使用される場合、「実質的に」という用語は、対象となる特徴または特性の全体的またはほぼ全体的な程度または度合いを示す定性的状態を指す。生物学の技術分野の当業者は、生物学的及び化学的現象が、もしあるとしたら、まれにしか完成まで進展しないこと、及び/または完全体まで進行しないことまたは絶対的な結果を達成もしくは回避しないことを理解するであろう。そのため、「実質的に」という用語は、多くの生物学的及び化学的現象に固有の完全性の潜在的な欠如を捉えるために本明細書で使用される。
【0066】
治療薬剤:本明細書で使用される場合、「治療薬剤」という句は、一般に、生物に投与されたときに所望の薬理学的効果を引き出す任意の薬剤を指す。いくつかの実施形態では、薬剤は、それが適切な集団にわたって統計的に有意な効果を実証する場合、治療薬剤であるとみなされる。いくつかの実施形態では、適切な集団はモデル生物の集団であり得る。いくつかの実施形態では、適切な集団は、所定の年齢層、性別、遺伝的背景、既存の臨床病態などの様々な基準によって定義され得る。いくつかの実施形態では、治療薬剤は、疾患、障害、及び/または病態の1つ以上の症状または特徴を軽減し、改善し、緩和し、阻害し、予防し、開始を遅らせ、重症度を減少させ、及び/または発生率を減少させるために使用され得る物質である。いくつかの実施形態では、「治療薬剤」は、ヒトへの投与のために市販され得る前に政府機関によって承認されているかまたは承認されることが要求される薬剤である。いくつかの実施形態では、「治療薬剤」は、ヒトへの投与のために医学的処方が必要とされる薬剤である。いくつかの実施形態では、薬剤は、それが所望の効果を実際に達成する異なる薬剤の送達を単に促進するだけである場合、「治療薬剤」であるとはみなされない。
【0067】
治療的に効果的な量:本明細書で使用される場合、それが投与されることで所望の効果を生じる量を意味する。いくつかの実施形態では、その用語は、治療投薬レジメンに従って疾患、障害、及び/または病態に罹患しているかまたは罹患しやすい集団に投与したときに、疾患、障害、及び/または病態を治療するのに十分な量を指す。いくつかの実施形態では、治療的に効果的な量は、疾患、障害、及び/または病態の1つ以上の症状の発生率及び/または重症度を減少させ、及び/またはその開始を遅らせるものである。当業者は、「治療的に効果的な量」という用語が、実際には特定の個体において成功した治療が達成されることを必要としないことを理解する。むしろ、治療的に効果的な量は、そのような治療を必要とする患者に投与されたときにかなりの数の対象において特定の所望の薬理学的応答を提供する量であり得る。いくつかの実施形態では、治療的に効果的な量への言及は、1つ以上の特定の組織(例えば、疾患、障害または病態に冒された組織)または体液(例えば、血液、唾液、血清、汗、涙、尿など)において測定される量への言及であり得る。当業者は、いくつかの実施形態では、治療的に効果的な量の特定の薬剤または療法が、単回用量で製剤化及び/または投与され得ることを理解する。いくつかの実施形態では、治療的に効果的な薬剤は、複数回の用量で、例えば、投薬レジメンの一部として製剤化及び/または投与され得る。
【0068】
治療レジメン:「治療レジメン」は、その用語が本明細書で使用される場合、関連する集団にわたる投与が所望のまたは有益な治療結果と相関し得る投薬レジメンを指す。
【0069】
治療:本明細書で使用される場合、「治療」(また「治療する」または「治療すること」)という用語は、特定の疾患、障害、及び/または病態の1つ以上の症状、特徴、及び/または原因を部分的または完全に軽減し、改善し、緩和し、阻害し、開始を遅らせ、重症度を減少させ、及び/または発生率を減少させる療法の任意の実行を指す。いくつかの実施形態では、そのような治療は、関連する疾患、障害及び/または病態の徴候を示さない対象のもの、及び/または疾患、障害及び/または病態の初期徴候のみを示す対象のものであり得る。代替的にまたは追加的に、そのような治療は、関連する疾患、障害及び/または病態の1つ以上の確立された徴候を示す対象のものであり得る。いくつかの実施形態では、治療は、関連する疾患、障害、及び/または病態に罹患しているものとして診断された対象のものであり得る。いくつかの実施形態では、治療は、関連する疾患、障害、及び/または病態の発症の危険性の増加と統計的に相関する1つ以上の感受性因子を有することが知られている対象のものであり得る。
【0070】
均一な:「均一な」という用語は、本明細書でナノエマルション組成物に関して使用される場合、個々の液滴が特定の範囲の液滴直径サイズを有するナノエマルション組成物を指す。例えば、いくつかの実施形態では、均一なナノエマルション組成物は、最小直径と最大直径との間の差がおよそ300nm、250nm、200nm、150nm、100nm、90nm、80nm、70nm、60nm、50nm、またはそれ以下を超えないものである。いくつかの実施形態では、本発明の均一な大型薬剤のナノエマルション組成物内の液滴(例えば、大型薬剤含有液滴)は、約300nm、250nm、200nm、150nm、130nm、120nm、115nm、110nm、100nm、90nm、80nm、またはそれ以下よりも小さな直径を有する。いくつかの実施形態では、本発明の均一な大型薬剤ナノエマルション組成物内の液滴(例えば、大型薬剤含有液滴)は、約10~約300ナノメートルの範囲内の直径を有する。いくつかの実施形態では、本発明の均一な大型薬剤ナノエマルション組成物内の液滴は、約10~300、10~200、10~150、10~130、10~120、10~115、10~110、10~100、または10~90nmの範囲内の直径を有する。いくつかの実施形態では、本発明の大型薬剤ナノエマルション組成物内の液滴(例えば、大型薬剤含有液滴)は、約300、250、200、150、130、120、または115、110、100、または90nm未満である平均液滴サイズを有する。いくつかの実施形態では、平均液滴サイズは、約10~300、50~250、60~200、65~150、70~130nmの範囲内である。いくつかの実施形態では、平均液滴サイズは約80~110nmである。いくつかの実施形態では、平均液滴サイズは約90~100nmである。いくつかの実施形態では、本発明の均一なナノエマルション組成物内の大部分の液滴(例えば、大型薬剤含有液滴)は、特定のサイズ未満または特定の範囲内の直径を有する。いくつかの実施形態では、大部分は、組成物中の液滴の50%、60%、70%、75%、80%、85%、90%、95%、96%、97%、98%、99%、99.5%、99.6%、99.7%、99.8%、99.9%を超えるか、またはそれ以上である。本発明のいくつかの実施形態では、均一なナノエマルション組成物は、試料の微小流動化によって達成される。
【0071】
所定の実施形態の詳細な説明
経皮薬物送達
いくつかの実施形態では、本発明は、大型薬剤(例えば、ボツリヌス毒素、抗体)を経皮的に投与するための技術を提供する。いくつかの実施形態では、本開示は、極微針処理技術をエマルション組成物と組み合わせた場合に特に有利な結果が達成されることを教示する。いくつかの実施形態では、極微針処理技術は、後にエマルション組成物(例えば、マクロエマルション組成物及び/またはナノエマルション組成物)となり得るかまたはそれを含み得るローション、クリーム、または液体組成物と組み合わされる。いくつかの実施形態では、提供される技術は浸入促進剤を利用しない。いくつかの実施形態では、提供される技術は、皮膚を損傷、崩壊、及び/または分解する化学的浸入促進剤を利用しない。いくつかの実施形態では、提供される技術は化学的浸入促進剤を利用しない。
【0072】
ヒトの皮膚は真皮及び表皮を含む。表皮は、いくつかの組織層、すなわち、角質層、透明層、顆粒層、有棘層、及び基底層(皮膚の外側表面から内側に向かって順に特定される)を有する。
【0073】
角質層は、一般に、かつおそらく特に大型薬剤の経皮送達において最も重大な障害を提示する。角質層は典型的には約10~15μmの厚さであり、それは数層に配列された平坦化ケラチン化(keratised)細胞(角質細胞)からなる。角質細胞間の細胞間隙は、脂質構造体で満たされており、皮膚を介して物質の浸透に重要な役割を果たし得る(Bauerova et al.,2001,European Journal of Drug Metabolism and Pharmacokinetics,26:85)。
【0074】
角質層の下の表皮の残りの部分はおよそ150μmの厚さである。真皮は約1~2mmの厚さであり、表皮の下に位置している。真皮は、様々な毛細血管及び神経突起によって支配されている。
【0075】
経皮投与は一般に、注射及び経口送達に関連する望ましくない結果を伴わない代替投与経路を提供しようとする試みにおける研究の対象であり続けている。例えば、針はしばしば局所的な疼痛を引き起こし、注射を受けている患者を血液媒介性疾患に潜在的に曝露する。経口投与はしばしば、患者の胃の極端に酸性の環境のために、薬剤の不十分なバイオアベイラビリティに悩まされる。
【0076】
非侵襲的投与を提供することによってこれらの欠点を克服する試みにおいて、所定の医薬のための経皮投与技術を開発する努力がなされてきた。経皮投与では、患者の皮膚への損傷を最小限にすることが一般に望ましい。それ故、経皮投与は、注射に関連する疼痛を減少または排除し、血液汚染の可能性を減少させ、それらが全身的に組み込まれると薬物のバイオアベイラビリティを改善し得る。
【0077】
伝統的に、経皮投与の試みは角質層の崩壊及び/または分解に目が向けられてきた。いくつかの試みは化学的浸入促進剤を使用することを含んでいる。浸入促進剤は、皮膚構造を分解及び/または崩壊させるように機能し得る。いくつかの実施形態では、浸入促進剤は、化学薬剤(例えば、1つ以上の角質層成分を崩壊及び/または分解し得る化学物質または酵素)であるか、またはそれを含む。いくつかの実施形態では、浸入促進剤は、その薬剤が皮膚に適用されたときに炎症性及び/またはアレルギー性反応が起こるという点で刺激物であり得る。
【0078】
「しかしながら、浸入促進剤の主な制限は、それらの有効性がしばしば皮膚刺激の発生と密接に関連していることである。」Alkilani,A.Z.,et al.,“Transdermal drug delivery:Innovative pharmaceutical developments based on disruption of the barrier properties of the stratum corneum.”Pharmaceutics.7:438-470(2015)。浸入促進剤は、不十分な有効性及び安全性プロファイルを有する傾向がある。「それらは、所望の皮膚崩壊を達成せず、皮膚を通る輸送を増加させるそれらの能力は低く、可変である。」同文献。
【0079】
いくつかの試みは、角質層の一部を迂回または除去するために機械的装置を使用することを含めてきた。また、試みは、皮膚を介する医薬の浸入を容易にするために超音波またはイオン導入の使用を含めてきた。ほとんどの場合、治療効果を達成するために薬剤が対象内に全身的に組み込まれ得る場合に、薬剤が真皮内の毛細血管床を通過し得るように、医薬品、典型的には小分子を利用可能にすることが目的であり続けている。これらの方法は、不快感及び/または皮膚損傷を引き起こすことなく皮膚に適用され得るエネルギーの量によって制限される。
【0080】
大型分子の経皮送達
極微針処理技術は、カルセイン(約623Da)、デスモプレシン(約1070Da)、ジクロフェナク(約270Da)、ニコチン酸メチル(約40Da)、ビスクロロエチルニトロソウレア(約214Da)、インスリン(約5.8KDa)、ウシ血清アルブミン(約66.5KDa)及びオボアルブミン(約45KDa)などの様々な小型薬剤の経皮送達を促進することが示されているが、本開示まで、大型薬剤、特に100KDa以上のものの送達は依然として問題があった。
【0081】
大型分子の経皮送達は大きな課題を提起することが認識されている。本開示までは、極微針処理、特に極微針皮膚事前調整は、大型薬剤の経皮投与に影響を与えるかまたはそれをもたらすとは考えられていなかった。例えば、低分子量のテトラペプチド-3(456.6Da);ヘキサペプチド(498.6Da);アセチルヘキサペプチド-3(889Da);及びオキシトシン(1007.2Da)の4つの親水性ペプチド、ならびにL-カルニチン(161.2Da)の送達のための中実極微針の使用の研究は、極微針事前処理がこれらのペプチドの各々の浸入を著しく促進した一方で、ペプチドの皮膚浸透はそれらの分子量に依存し、分子量が増加するにつれて減少することを示した。Zhang,S.,et al.,“Enhanced delivery of hydrophilic peptides in vitro by transdermal microneedle pretreatment.”Acta Pharmaceutica
Sinica B.4(1):100-104(2014)。
【0082】
サンドペーパー摩耗、テープ剥離、及びMSCの単穿刺皮下注射針モデルを、経皮送達に対するより大きなFITC(フルオレセインイソチオシアネート)結合分子の分子サイズの影響の研究において比較した場合、全ての方法について、治療していない皮膚に対して試験した場合と同様に、経皮薬物送達はやはり、試験分子のサイズが増加するにつれて(4.3、9.6及び42.0KDaのFITC複合体)低下したことを示したことが見出された。テープ剥離は最も効果的な技術であったが、サンドペーパー摩耗は最も皮膚を損傷することが見出された。Wu,X.,et al.,“Effects of pretreatment of needle puncture and sandpaper abrasion on the in vitro skin permeation of fluorescein isothiocyanate (FITC)-dextran.”International Journal of Pharmaceutics.316:102-108(2006)。
【0083】
他の研究は更により大型の分子:カスケードブルー(CB、Mw538)、デキストラン-カスケードブルー(DCB、Mw10kDa)、及びFITC結合デキストラン(FITC-Dex、Mw72kDa)の送達を試みた。その研究では、様々な長さ(300、550、700または900μm)の極微針を使用して、剥がされた(dermatomed)ヒトの皮膚を穿刺し、前述の化合物の各々の拡散を評価した。化合物の各々の輸送は300μmの極微針アレイ以外の全てで見られたが、DCB及びFITC-Dexの分解が観察された。
【0084】
先行技術が実証するように、分子サイズが増大するにつれて、MSC(「極微針皮膚調整」)を使用する経皮浸入は、それが僅少になり、更に存在しなくなる程度まで減少する。いくらかの僅少の浸入が観察されたそれらの場合であっても、より大型の分子は、分解され、生物学的に不活性になることが観察された。したがって、本発明までは、機械的または化学的浸透促進剤を使用しても、およそ150KDaで、FITC-Dexのサイズの2倍を超えるボツリヌスなどの大型薬剤は、無傷の活性薬剤のバイオアベイラビリティはもちろんのこと、浸透を全く有さないであろうことを当業者は予測したであろう。ボツリヌスは複雑なタンパク質であり、そのタンパク質が生物学的に活性であるためには3つの領域または機能的部分が無傷であることを必要とする。それ故、そのタンパク質の3つの領域のうちのいずれか1つに対する損傷は、そのタンパク質を生物学的に不活性にする。Johnson,E et al.によれば、「ボツリヌス毒素は、表面変性、熱、及びアルカリ性条件のため、変性の影響を非常に受けやすい。」米国特許公開第5512547号。それ故、Wuによって記載された極微針処理条件下では、ボツリヌスの有意なレベルの分解及び不活性化が予想されるであろう。
【0085】
とりわけ、本開示は、他の浸入促進剤、特に、崩壊剤が利用されない(すなわち、化学的浸入促進剤が利用されず、皮膚構造を崩壊または穿刺する他の技術が利用されない)場合、極微針処理技術が(例えば、特にマクロエマルションまたはナノエマルション組成物からの大型薬剤の)経皮送達を促進することができることを実証する。
【0086】
極微針処理
本開示は、MSCが大型薬剤の経皮送達を驚くほど改善することができるという驚くべき知見を提供する。いくつかの実施形態では、大型薬剤はクリーム及び/またはローションとして製剤化され得る。いくつかの実施形態では、大型薬剤は、1つ以上の生物学的活性剤と組み合わされ得る。いくつかの実施形態では、大型薬剤は、エマルション(例えば、マクロエマルションとしてまたはナノエマルションとして)組成物としてまたはその中に製剤化され得る。いくつかの実施形態では、1つ以上の大型薬剤を含むエマルションは、クリーム及び/またはローションとして製剤化され得る。
【0087】
いくつかの実施形態では、本開示に従って使用するための極微針(MN)アレイは、皮下(hypodermic)及び皮下(subcutaneous)注射針の使用に一般的に関連する欠点の一部を克服するため、及び患者の快適性及びコンプライアンスを改善するために開発された、最小限に侵襲的なシステムであるか、またはその特徴を共有する。そのような欠点には、例えば、医療専門家が針が正確にどこに進むのかを視覚化することができないために皮下注射針を用いて針の先端を誤って配置する潜在性が含まれる;そのような針の誤った配置は、ボツリヌスが顔面に不正確に注射された場合に、垂れ下がったまぶた(「眼瞼下垂」)などの有害反応を引き起こし得る。MNはそのような問題を起こしにくいであろう。MNの他の利点は、それらが出血を引き起こさず、MNにより生成された孔を通る病原体の導入を最小限にし、経皮投薬変動を排除し得ることである。他の利点は、自己投与の可能性、偶発的な針刺による負傷の危険性の低下、感染症の伝染の危険性の低下、及び処分の容易さである。いくつかの実施形態では、MNは、パッチまたは装置(例えば、スタンプ、ローラー、アレイ、アプリケーター、ペン)などの支持体の片側に組み立てられた複数の微細突起である。
【0088】
いくつかの実施形態では、本開示に従って使用するためのMNは、皮膚接触を改善し、皮膚内への貫通を容易にするためにアレイで設計及び/または構成され得る。いくつかの実施形態では、利用されるMNは、薬物送達のための効率的な経路を依然として作り出しながら、皮膚内に挿入されたときに神経との接触を最小限にするために好適な長さ、幅及び形状のものである。Alkilani,A.Z.,et al.,“Transdermal drug delivery:Innovative pharmaceutical developments based on disruption of the barrier properties of the stratum corneum.”Pharmaceutics.7:438-470(2015)。
【0089】
いくつかの実施形態では、好適なMNは、中実であり得、被覆され得、多孔質であり得、溶解性であり得、中空であり得、またはヒドロゲルMNであり得る。中実のMNは、皮膚に微小孔を作り出し、これにより薬物製剤の輸送を増加させる(例えば、「突いて貼付する」方法)。被覆されたMNは、被覆された薬物の皮膚への迅速な溶解を可能にする(例えば、「被覆して突く」方法)。溶解性MNは、極微針内に組み込まれた薬物の迅速な及び/または制御された放出を可能にする。中空のMNは、皮膚を穿刺し、極微針の穴を通しての製剤の能動的注入または拡散の後の組成物の放出を可能するために使用され得る(例えば、「突いて流す」方法)。溶解性のMNの場合、MNは、薬物デポ剤として作用し、溶解性MNの場合には溶解によって放出されるまで、ヒドロゲルMNの場合には膨潤するまで薬物組成物を保持することができる(例えば、「突いて放出する」方法)。しかしながら、本明細書で既に記載したように、多くの実施形態では、大型薬剤は1つ以上の極微針を介する注射によって送達されない。すなわち、多くの実施形態では、そのような実施形態に従って利用される任意の極微針は、大型薬剤の送達を達成するであろういかなる方法でも大型薬剤で被覆、装填、または構成されない。代替的に、いくつかの実施形態では、本明細書に記載されるように、本開示に従って利用されるMN(MSCであろうとなかろうと)は、大型薬剤が本明細書に記載されるマクロまたはナノエマルション組成物で製剤化される場合、大型薬剤を含み得る及び/または送達し得る。それ故、本出願に記載の明細書を読む当業者によって理解されるように、大型薬剤を(例えば、極微針を介する注射によって、極微針被覆の放出によって、または溶解極微針からの放出によって)送達する極微針(複数可)での皮膚の治療は、極微針皮膚調整ではない。
【0090】
いくつかの実施形態では、極微針は、極微針の長さ全体にわたって一定の直径を有する。いくつかの実施形態では、極微針の直径は、極微針の基端部で最大である。いくつかの実施形態では、極微針は、極微針の基部に対して遠位の端部の点まで先細になっている。いくつかの実施形態では、極微針は中実であり得る。いくつかの実施形態では、極微針は中洞であり得る。いくつかの実施形態では、極微針は管状であり得る。いくつかの実施形態では、極微針は一端で封止され得る。いくつかの実施形態では、極微針は極微針のアレイの一部である。いくつかの実施形態では、極微針は約1μm~約4,000μmの長さを有し得る。いくつかの実施形態では、極微針は約1μm~約2,000μmの長さを有し得る。いくつかの実施形態では、極微針は約50μm~約400μmの長さを有し得る。いくつかの実施形態では、極微針は約800μm~約1500μmの長さを有し得る。
【0091】
いくつかの実施形態では、本開示に従って使用するためのMNは、マイクロ成形プロセスまたはレーザーを含むがこれらに限定されない技術を使用して、種々の材料から構成され得る。いくつかの実施形態では、MNは、ポリマー、金属、セラミック、半導体、有機物、複合体、またはシリコンを含む様々な種類の生体適合性材料を使用して製造され得る。それらが皮膚中に切り離されて溶解するように設計されていない限り、いくつかの実施形態では、極微針は、皮膚内に挿入され及び/または挿入後に皮膚から除去される間、無傷のままで薬物を送達し、または生体液を集めるための機械的強度を有する。いくつかの実施形態では、MNは、無傷の除去の前に最大で何日もの間、所定位置に留まることが可能である。いくつかの実施形態では、極微針は標準技術を使用して無菌化可能であり得る。いくつかの実施形態では、MNは生分解性である。いくつかの実施形態では、MNはポリマー材料を含む。いくつかの実施形態では、ポリマー材料は、ポリL-乳酸、ポリグリコール酸、ポリカーボネート、ポリ乳酸-コ-グリコール酸(PLGA)、ポリジメチルシロキサン、ポリビニルピロリドン(PVP)、メチルビニルエーテルと無水マレイン酸のコポリマー、ヒアルロン酸ナトリウム、カルボキシメチルセルロース、マルトース、デキストリン、ガラクトース、デンプン、ゼラチン、またはそれらの組み合わせを含む。
【0092】
大型薬剤の経皮送達のための大型薬剤を含む組成物と組み合わせて使用するのに好適なMNアレイ及びMSC装置には、例えば、米国特許第6,334,856号;第6,503,231号;第6,908,453号;第8,257,324号;及び第9,144,671号に記載されているものなどの装置が含まれる。
【0093】
大型薬剤
いくつかの実施形態では、本明細書に記載されているように提供及び/または利用される組成物は、1つ以上の大型薬剤を含む。いくつかの実施形態では、利用される大型薬剤は、生物学的活性剤(例えば、治療的活性剤)である。とりわけ、本開示は、MSCと組み合わせて大型薬剤を含む組成物を局所投与するための方策を提供する。
【0094】
1.タンパク質剤
様々なタンパク質剤のいずれかが、提供される組成物に組み込まれ、MSCと組み合わせて投与され得る。いくつかの実施形態では、タンパク質剤はペプチド剤であり得る。いくつかの実施形態では、ペプチドは100KDaを超える分子量を有する。いくつかの実施形態では、ペプチド剤は少なくとも150KDaの分子量を有する。いくつかの実施形態では、ペプチド剤は天然に存在するアミノ酸のみから構成される。いくつかの実施形態では、ペプチド剤は1つ以上の天然に存在しないアミノ酸を含む。
【0095】
(i)ボツリヌス毒素
いくつかの実施形態では、大型薬剤はボツリヌス毒素であり得る。ボツリヌス毒素(BTX)BTXは、嫌気性グラム陽性桿菌Clostridium botulinumによって天然で生成され、強力なポリペプチド神経毒である。最も注目すべきは、BTXは、ボツリヌス中毒症と称される、ヒト及び動物における神経麻痺性疾病を引き起こす。BTXは明らかに、消化管の内膜を通過し、末梢運動ニューロンを攻撃し得る。ボツリヌス毒素中毒の症状は、歩行、嚥下、及び会話の困難性から呼吸筋の麻痺、及び死亡に進行し得る。
【0096】
7つの全ての既知のボツリヌス毒素血清型についてのボツリヌス毒素タンパク質分子の分子量は約150kDaである。ボツリヌス毒素は、関連する非毒素タンパク質と共に150kDaのボツリヌス毒素タンパク質分子を含む複合体としてClostridium細菌によって放出される。それ故、BTX-A複合体は、Clostridium細菌によって900kDa、500kDa及び360kDaの形態として生成され得る。ボツリヌス毒素B型及びC1型は明らかに500kDaの複合体としてのみ生成される。ボツリヌス毒素D型は、300kDa及び500kDaの両方の複合体として生成される。最後に、ボツリヌス毒素E型及びF型は、およそ300kDaの複合体としてのみ生成される。
【0097】
BTX複合体(すなわち、約150kDaを超える分子量を有するそれらの組成物)は、非毒素の血球凝集素タンパク質及び非毒素で非毒性の非血球凝集素タンパク質を含有すると考えられている。これらの2つの非毒素のタンパク質(ボツリヌス毒素分子と共に関連する神経毒複合体を含む)は、ボツリヌス毒素分子への変性に対する安定性及び毒素が摂取されたときの消化酸に対する保護を提供するように作用し得る。
【0098】
BTXタンパク質またはBTX複合体のいずれかが、本発明に従って既知の治療薬剤及び/または独立して活性な生物学的活性剤として利用され得る。実際、適切な活性を保持するBTXタンパク質または複合体の任意の部分または断片が本明細書に記載されているように利用され得ることが当業者によって理解される。
【0099】
いくつかの実施形態では、ボツリヌス毒素は、A型、Ab型、Af型、B型、Bf型、C1型、C2型、D型、E型、F型、及びG型;それらの突然変異体;それらの変異体;それらの断片;それらの特徴的部分;及び/またはそれらの融合体からなる群から選択され得る。いくつかの実施形態では、ボツリヌス毒素は、Sakaguchi,1982,Pharmacol.Ther.,19:165;及び/またはSmith et al.,2005,Infect.Immun.,73:5450(これらの両方が参照により本明細書に組み込まれる)に記載されているサブタイプのいずれかとして存在する。
【0100】
いくつかの実施形態では、本発明はボツリヌス毒素組成物を提供する。いくつかの実施形態では、本発明はナノエマルションボツリヌス毒素組成物を提供する。本発明に従って利用され得るボツリヌス毒素の市販の供給源には、BOTOX(登録商標)、DYSPORT(登録商標)(ヒト血清アルブミン及びラクトースとのClostridium botulinumA型毒素血球凝集素複合体;Ispen Limited、Berkshire U.K.)、Xeomin(登録商標)、PurTox(登録商標)、Medy-Tox、NT-201(Merz Pharmaceuticals)、及び/またはMYOBLOC(登録商標)(ボツリヌス毒素B型、ヒト血清アルブミン、コハク酸ナトリウム、及び塩化ナトリウムからなる注射可能な溶液、pH5.6、Elan Pharmaceuticals、Dublin、Ireland)、NEURONOX(Medytox)、HENGLI(Lanzhou Institute)などが含まれるがこれらに限定されない。当業者は、そのような市販のボツリヌス毒素組成物についての標準的な及び/または承認された投与レジメンを認識しており、任意の関連するそのような組成物及び/またはレジメンが本明細書に記載されているように極微針処理技術(例えば、特にMSC)と共に利用され得ることを理解する。
【0101】
いくつかの実施形態では、ボツリヌス毒素組成物を含み、クリーム及び/またはローションとして製剤化される提供される組成物は、1mL当たり約1~約50,000単位のボツリヌス毒素を含む。いくつかの実施形態では、ボツリヌス毒素組成物を含み、クリーム及び/またはローションとして製剤化される提供される組成物は、1mL当たり約500~約20,000単位のボツリヌス毒素を含む。いくつかの実施形態では、ボツリヌス毒素組成物を含み、クリーム及び/またはローションとして製剤化される提供される組成物は、1mL当たり約100~約2,000単位のボツリヌス毒素を含む。いくつかの実施形態では、ボツリヌス毒素組成物を含み、クリーム及び/またはローションとして製剤化される提供される組成物は、1mL当たり約50~約500単位のボツリヌス毒素を含む。いくつかの実施形態では、ボツリヌス毒素組成物を含み、クリーム及び/またはローションとして製剤化される提供される組成物は、1mL当たり約25~約400単位のボツリヌス毒素を含む。
【0102】
いくつかの実施形態では、ボツリヌス毒素組成物は、1mL当たり約2~約40,000単位のボツリヌス毒素を含む。いくつかの実施形態では、ボツリヌス毒素組成物は、1mL当たり約2~約12,000単位のボツリヌス毒素を含む。いくつかの実施形態では、ボツリヌス毒素組成物は、1mL当たり約100~約2,000単位のボツリヌス毒素を含む。いくつかの実施形態では、ボツリヌス毒素組成物は、1mL当たり約50~約1,000単位のボツリヌス毒素を含む。
【0103】
いくつかの実施形態では、ボツリヌス毒素組成物は、ボツリヌス毒素以外の少なくとも1つの生物学的活性剤を含む。代替的にまたは追加的に、いくつかの実施形態では、ボツリヌス組成物は、そのような生物学的活性剤を含む少なくとも1つの他の組成物と組み合わせて投与される。いくつかの実施形態では、ボツリヌス組成物は浸入促進剤と組み合わせて投与される。いくつかの実施形態では、ボツリヌス組成物は別の生物学的活性剤と組み合わせて投与される。いくつかの実施形態では、ボツリヌス組成物は別の生物学的活性剤及び浸入促進剤と組み合わせて投与される。
【0104】
いくつかの実施形態では、本明細書に記載されるボツリヌス毒素と組み合わせて利用される生物学的活性剤は、皮膚上または皮膚内で作用する及び/または治療的及び/または美容的効果を付与する薬剤であり得る。例えば、いくつかの実施形態では、そのような生物学的活性剤は、麻酔薬(例えば、リドカイン)、ステロイド(例えば、ヒドロコルチゾン)、及び/またはレチノイド(例えば、レチンA)などの治療薬剤、皮膚充填剤、コラーゲン、及び/またはシリコーンなどの美容薬剤から選択され得る。いくつかの実施形態では、ボツリヌス組成物は、浸入促進剤などの送達調節剤(いくつかの実施形態では、刺激物ではなく、及び/または皮膚構造(複数可)及び/または皮膚を分解、崩壊及び/または損傷しない)と組み合わせて投与される。
【0105】
いくつかの実施形態では、非刺激性の浸入促進剤は、例えば、コペプチド、担体分子、及び担体ペプチドから選択され得る。いくつかの実施形態では、担体分子は正に荷電している。いくつかの実施形態では、担体分子はコペプチドであり得る。いくつかの実施形態では、担体分子は、長鎖の正に荷電したポリペプチドまたは正に荷電した非ペプチジルポリマー、例えば、ポリアルキレンイミンであり得る。いくつかの実施形態では、担体ペプチドはカチオン性ペプチドであり得る。いくつかの実施形態では、担体ペプチドは、配列RKKRRQRRRG-(K)15-GRKKRRQRRRを有する正に荷電した担体である。いくつかの実施形態では、担体分子は、米国特許公開2010/0168023または米国特許公開2009/0247464号に開示されているものであり得、それらの内容はそれらの全体が参照により本明細書に組み込まれる。
【0106】
いくつかの実施形態では、ボツリヌス毒素ナノエマルション組成物ならびにクリーム及び/またはローション製剤の両方を含む提供される組成物は、1mL当たり約1~約50,000単位のボツリヌス毒素を含む。いくつかの実施形態では、ナノエマルション組成物ならびにクリーム及び/またはローション製剤の両方を含む提供される組成物は、1mL当たり約500~約20,000単位のボツリヌス毒素を含む。いくつかの実施形態では、ナノエマルション組成物ならびにクリーム及び/またはローション製剤の両方を含む提供される組成物は、1mL当たり約100~約2,000単位のボツリヌス毒素を含む。いくつかの実施形態では、ボツリヌス毒素ナノエマルション組成物ならびにクリーム及び/またはローション製剤の両方を含む提供される組成物は、1mL当たり約50~約500単位のボツリヌス毒素を含む。いくつかの実施形態では、ボツリヌス毒素ナノエマルション組成物ならびにクリーム及び/またはローション製剤の両方を含む提供される組成物は、1mL当たり約25~約400単位のボツリヌス毒素を含む。
【0107】
いくつかの実施形態では、ボツリヌス毒素ナノエマルション組成物は、1mL当たり約2~約40,000単位のボツリヌス毒素を含む。いくつかの実施形態では、ボツリヌス毒素ナノエマルション組成物は、1mL当たり約2~約12,000単位のボツリヌス毒素を含む。いくつかの実施形態では、ボツリヌス毒素ナノエマルション組成物は、1mL当たり約100~約2,000単位のボツリヌス毒素を含む。いくつかの実施形態では、ボツリヌス毒素ナノエマルション組成物は、1mL当たり約50~約1,000単位のボツリヌス毒素を含む。
【0108】
(ii)抗体薬剤
いくつかの実施形態では、本開示は抗体薬剤の送達に関する。いくつかの実施形態では、大型薬剤は抗体またはその断片もしくは誘導体であり得る。とりわけ、本開示は、抗体薬剤を含む所定の組成物を提供し、抗体薬剤を含む組成物の投与のための技術も提供し、そのような投与はMSCと組み合わされる。
【0109】
いくつかの実施形態では、抗体薬剤は皮膚病態を治療するのに好適で有り得る。いくつかの実施形態では、抗体薬剤は融合タンパク質であり得る。いくつかの実施形態では、抗体薬剤は別の部分に結合され得る。いくつかの実施形態では、抗体薬剤はポリエチレングリコールに結合され得る。
【0110】
いくつかの実施形態では、抗体薬剤はTNFαを標的とする(例えば、インフリキシマブ、アダリムマブ、ゴリムマブ、エタネルセプト、エタネルセプト-szzs、及び/またはセルトリズマブペゴルなどの抗TNFα抗体に見られるエピトープ結合要素を含む)。いくつかの実施形態では、抗体薬剤はCD2を標的とする(例えば、シプリズマブなどの抗CD2抗体に見られるエピトープ結合要素を含む)。いくつかの実施形態では、抗体薬剤はCD4を標的とする(例えば、ザノリムマブなどの抗CD4抗体に見られるエピトープ結合要素を含む)。
【0111】
いくつかの実施形態では、抗体薬剤は、IL-12を標的とする(例えば、ブリアキヌマブなどの抗IL-12抗体に見られるエピトープ結合要素を含む)。いくつかの実施形態では、抗体薬剤は、IL-17を標的とする(例えば、セクキヌマブ及び/またはブロダルマブなどの抗IL-17抗体に見られるエピトープ結合要素を含む)。いくつかの実施形態では、抗体薬剤は、IL-22を標的とする(例えば、フェザキヌマブなどの抗IL-22抗体に見られるエピトープ結合要素を含む)。いくつかの実施形態では、抗体薬剤は、IL-23を標的とする(例えば、ウステキヌマブ及び/またはグセルクマブなどに見られるエピトープ結合要素を含む)。
【0112】
いくつかの実施形態では、抗体薬剤組成物は、抗体薬剤以外の少なくとも1つの生物学的活性剤を含む。代替的にまたは追加的に、いくつかの実施形態では、抗体薬剤組成物は、そのような生物学的活性剤を含む少なくとも1つの他の組成物と組み合わせて投与される。いくつかの実施形態では、抗体薬剤組成物は浸入促進剤と組み合わせて投与される。いくつかの実施形態では、抗体薬剤組成物は別の生物学的活性剤と組み合わせて投与される。いくつかの実施形態では、抗体薬剤組成物は別の生物学的活性剤及び浸入促進剤と組み合わせて投与される。いくつかの実施形態では、抗体薬剤組成物はナノエマルションである。いくつかの実施形態では、抗体薬剤組成物はクリーム及び/またはローション製剤である。
【0113】
いくつかの実施形態では、本明細書に記載される抗体薬剤と組み合わせて利用される生物学的活性剤は、皮膚上または皮膚内で作用する及び/または治療的及び/または美容的効果を付与する薬剤であり得る。例えば、いくつかの実施形態では、そのような生物学的活性剤は、麻酔薬(例えば、リドカイン)、ステロイド(例えば、ヒドロコルチゾン)、及び/またはレチノイド(例えば、レチンA)などの治療薬剤、皮膚充填剤、コラーゲン、及び/またはシリコーンなどの美容薬剤から選択され得る。いくつかの実施形態では、抗体薬剤組成物は、浸入促進剤などの送達調節剤(いくつかの実施形態では、刺激物ではなく、及び/または皮膚構造(複数可)及び/または皮膚を分解、崩壊及び/または損傷しない)と組み合わせて投与される。
【0114】
いくつかの実施形態では、非刺激性の浸入促進剤は、例えば、コペプチド、担体分子、及び担体ペプチドから選択され得る。いくつかの実施形態では、担体分子は正に荷電している。いくつかの実施形態では、担体分子はコペプチドであり得る。いくつかの実施形態では、担体分子は、長鎖の正に荷電したポリペプチドまたは正に荷電した非ペプチジルポリマー、例えば、ポリアルキレンイミンであり得る。いくつかの実施形態では、担体ペプチドはカチオン性ペプチドであり得る。いくつかの実施形態では、担体ペプチドは、配列RKKRRQRRRG-(K)15-GRKKRRQRRRを有する正に荷電した担体である。いくつかの実施形態では、担体分子は、米国特許公開2010/0168023または米国特許公開2009/0247464号に開示されているものであり得、それらの内容はそれらの全体が参照により本明細書に組み込まれる。
【0115】
2.予防薬剤
様々な予防薬剤のいずれかが、提供される組成物に組み込まれ、本発明によるMSCと組み合わせて投与され得る。いくつかの実施形態では、予防薬剤にはワクチンが含まれるがこれに限定されない。いくつかの実施形態では、ワクチンは、単離されたタンパク質またはペプチド、不活性化された生物及びウイルス、死滅生物及びウイルス、遺伝子改変された生物またはウイルス、ならびに細胞抽出物を含み得る。いくつかの実施形態では、予防薬剤は、インターロイキン、インターフェロン、サイトカイン、及びアジュバント、例えばコレラ毒素、ミョウバン、フロイントアジュバントなどと組み合わされ得る。いくつかの実施形態では、予防薬剤には、Streptococcus pnuemoniae、Haemophilus influenzae、Staphylococcus aureus、Streptococcus pyrogenes、Corynebacterium diphtheriae、Listeria monocytogenes、Bacillus anthracis、Clostridium tetani、Clostridium botulinum、Clostridium perfringens、Neisseria meningitidis、Neisseria gonorrhoeae、Streptococcus mutans、Pseudomonas aeruginosa、Salmonella typhi、Haemophilus parainfluenzae、Bordetella pertussis、Francisella tularensis、Yersinia pestis、Vibrio cholerae、Legionella pneumophila、Mycobacterium tuberculosis、Mycobacterium leprae、Treponema pallidum、Leptospirosis interrogans、Borrelia burgdorferi、Camphylobacter jejuniなどの細菌性生物の抗原;天然痘、インフルエンザA型及びB型、呼吸器合胞体ウイルス、パラインフルエンザ、麻疹、HIV、水痘帯状ヘルペス、単純ヘルペス1型及び2型、サイトメガロウイルス、エプスタイン・バー・ウイルス、ロタウイルス、ライノウイルス、アデノウイルス、パピローマウイルス、ポリオウイルス、おたふく風邪、狂犬病、風疹、コクサッキーウイルス、馬脳炎、日本脳炎、黄熱、リフトバレー熱、A型、B型、C型、D型、及びE型肝炎ウイルスなどのウイルスの抗原;Cryptococcus neoformans、Histoplasma capsulatum、Candida albicans、Candida tropicalis、Nocardia asteroides、Rickettsia ricketsii、Rickettsia typhi、Mycoplasma pneumoniae、Chlamydial psittaci、Chlamydial trachomatis、Plasmodium falciparum、Trypanosoma brucei、Entamoeba histolytica、Toxoplasma gondii、Trichomonas vaginalis、Schistosoma mansoniなどの真菌、原生動物、及び寄生生物の抗原が含まれ得る。いくつかの実施形態では、これらの抗原は、全死滅生物、ペプチド、タンパク質、糖タンパク質、炭水化物、またはそれらの組み合わせの形態であり得る。
【0116】
当業者は、先行する段落が、本発明による技術を使用して送達され得る例示的な、包括的ではない薬剤のリストを提供することを認識する。任意の薬剤が、本発明に従って提供される組成物と関連し得る。
【0117】
局所製剤
本明細書に記載される組成物は、それらが局所及び/または経皮(例えば、ローション、クリーム、粉末、軟膏、リニメント、ゲル、ドロップなどによる)投与を介して大型薬剤をそれを必要とする対象に送達するために使用され得るという点で特に有用である。いくつかの実施形態では、大型薬剤を含む提供されるクリーム及び/またはローション製剤は、それを必要とする対象に、局所及び/または経皮(例えば、ローション、クリーム、粉末、軟膏、リニメント、ゲル、ドロップなどによる)投与を介して投与される。
【0118】
いくつかの実施形態では、クリーム及び/またはローション製剤は、精製水、メチルパラベン、鉱油、イソプロピルミリステート、白色ワセリン、乳化ワックス、及びプロピルパラベンを含む。いくつかの実施形態では、クリーム及び/またはローション製剤は、精製水、鉱油、イソプロピルミリステート、白色ワセリン、及び乳化ワックスを含む。
【0119】
いくつかの実施形態では、本発明は、本明細書に記載される特定のクリーム及び/またはローション製剤を提供する。いくつかの実施形態では、提供されるクリーム及び/またはローション製剤は水を含む。いくつかの実施形態では、提供されるクリーム及び/またはローション製剤はメチルパラベンを含む。いくつかの実施形態では、提供されるクリーム及び/またはローション製剤は鉱油を含む。いくつかの実施形態では、提供されるクリーム及び/またはローション製剤はイソプロピルミリステートを含む。いくつかの実施形態では、提供されるクリーム及び/またはローション製剤は白色ワセリンを含む。いくつかの実施形態では、提供されるクリーム及び/またはローション製剤は乳化ワックスを含む。いくつかの実施形態では、提供されるクリーム及び/またはローション製剤はプロピルパラベンを含む。いくつかの実施形態では、提供されるクリーム及び/またはローション製剤はいかなるパラベンも含まない。いくつかの実施形態では、提供されるクリーム及び/またはローション製剤はメチルパラベンを含まない。いくつかの実施形態では、提供されるクリーム及び/またはローション製剤はプロピルパラベンを含まない。例示的なローション製剤を表1に提供する。
【表1】
【0120】
いくつかの実施形態では、クリーム及び/またはローション製剤は、局所及び/または経皮投与に有用であり得る。本発明は、提供されるクリーム及び/またはローション製剤が皮膚の真皮層への薬剤の送達に特に有用であり得るという認識を包含する。いくつかの実施形態では、提供されるクリーム及び/またはローション製剤は、それを必要とする対象への局所及び/または経皮送達のために製剤化される。いくつかの実施形態では、提供されるクリーム及び/またはローション製剤は、それを必要とする対象に局所及び/または経皮送達を介して投与される。
【0121】
いくつかの実施形態では、提供される組成物は、美容的に許容可能な成分を用いて製剤化される。例えば、いくつかの実施形態では、提供される組成物は、水及び更に任意の美容的に許容可能な溶媒、特に、単独でまたは混合物で使用されるモノアルコール、例えば1~8個の炭素原子を有するアルカノール(エタノール、イソプロパノール、ベンジルアルコール及びフェニルエチルアルコールなど)、ポリアルコール、例えばアルキレングリコール(グリセリン、エチレングリコール及びプロピレングリコールなど)、及びグリコールエーテル、例えばモノ-、ジ-、及びトリ-エチレングリコールモノアルキルエーテル、例えば、エチレングリコールモノメチルエーテル及びジエチレングリコールモノメチルエーテルを用いて製剤化される。そのような成分は、例えば、全組成物の重量に対して、最大で60重量%、70重量%、80重量%、または90重量%もの割合で存在し得る。
【0122】
いくつかの実施形態では、局所投与用の提供される組成物は、組成物が適用されるべき対象にとって望ましいまたは適切な外観特性(例えば、脂性の皮膚を有する対象への投与に特に望ましいまたは適切であり得る艶のない外観)を付与する1つ以上の美容的に許容可能な成分を含む。
【0123】
いくつかの実施形態では、提供される組成物は、例えば、脂性の皮膚を有する個人にとって特に望ましい場合がある艶無し生成物を得るために、少なくとも1つの美容的に許容可能な充填材料を用いて製剤化される。
【0124】
いくつかの実施形態では、大型薬剤は局所投与に好適な組成物に製剤化される。例示的な大型薬剤には、本明細書に記載されているものが含まれる。いくつかの実施形態では、提供される組成物は、全身送達が達成されるようにMSCと組み合わせて製剤化され、送達され得る;いくつかの実施形態では、提供される組成物は、局所的であるが全身的ではない送達が達成されるように製剤化及び/または送達され得る。
【0125】
いくつかの実施形態では、局所製剤に好適な組成物は浸入促進剤を含む。いくつかの実施形態では、浸入促進剤は、皮膚構造(複数可)及び/または皮膚を分解、崩壊及び/または損傷する。いくつかの実施形態では、浸入促進剤は、皮膚構造(複数可)及び/または皮膚を分解、崩壊及び/または損傷しない。いくつかの実施形態では、浸入促進剤は刺激物である。いくつかの実施形態では、浸入促進剤は刺激物ではない。
【0126】
本開示は、MSCと組み合わせて提供される組成物を使用して真皮に治療薬剤(及び、特に、ボツリヌス毒素及び/または抗体薬剤などの大型生物学的薬剤)を効果的かつ効率的に送達することを具体的に実証する。例えば、いくつかの実施形態では、本発明は、臨床的に有意な副作用を伴わずに、本明細書に記載される組成物の投与を含む方法を提供する。1つではあるが例を挙げると、局所送達が企図される場合、臨床的に有意な副作用には、望ましくない全身的副作用、真皮の下にある神経組織の損傷(例えば、神経麻痺)、筋肉に対する望ましくない効果(例えば、筋肉麻痺)、及び/または治療薬剤の望ましくない血中レベルなどが含まれるがこれらに限定されない。
【0127】
当業者は、提供される組成物が、例えば、パッチなどの装置に組み込まれ得ることを理解する。様々な経皮パッチ構造が当該技術分野で知られている;当業者は、提供される組成物が様々なそのような構造のいずれかに容易に組み込まれ得ることを理解する。いくつかの実施形態では、経皮パッチは、皮膚に適用されるパッチの片側から延びる複数の針を含み得、針はパッチから延びて皮膚の角質層を通って突出する。いくつかの実施形態では、針は血管を破裂させない。いくつかの実施形態では、針は、皮膚の真皮内の神経に達するまで十分に深く貫通しない。
【0128】
いくつかの実施形態では、経皮パッチは接着剤を含む。接着パッチのいくつかの例はよく知られている(例えば、米国意匠特許第296,006号;ならびに米国特許第6,010,715号;第5,591,767号;第5,008,110号;第5,683,712号;第5,948,433号;及び第5,965,154号を参照されたい;これらの全てが参照により本明細書に組み込まれる)。接着パッチは一般に、患者の皮膚に適用される接着剤層、提供される組成物を保持するためのデポ剤または保持体、及び提供される組成物のデポ剤からの漏出を防止する外表面を有するものとして特徴付けられる。パッチの外表面は非接着性であり得る。
【0129】
本発明によれば、提供される組成物は、長期間継続して安定であるようにパッチに組み込まれる。例えば、いくつかの実施形態では、提供される組成物は、大型薬剤を安定化し、薬剤がマトリックス及びパッチから拡散することを可能にするポリマーマトリックスに組み込まれ得る。提供される組成物はまた、パッチが皮膚に適用されると、提供される組成物が皮膚を通って拡散し得るように、パッチの接着剤層に組み込まれ得る。いくつかの実施形態では、接着剤層は、薬剤が皮膚を通って拡散するように約37℃の温度が接着剤を徐々に液化させる場合に熱活性化され得る。接着剤は、37℃未満で保存されたときに粘着性のままであり得、皮膚に適用されると、接着剤は液化するにつれてその粘着性を失う。
【0130】
いくつかの実施形態では、提供される組成物は、パッチに加えられた圧力が、提供される組成物を極微針を通って、かつ角質層を通ってパッチの外に向かうようにパッチ内のデポ剤中に提供され得る。極微針の例示的な実施形態は上述されている。提供される組成物を皮内投与する際に使用するのに好適な装置には、米国特許第4,886,499号;第5,190,521号;第5,328,483号;第5,527,288号;第4,270,537号;第5,015,235号;第5,141,496号;及び第5,417,662号に記載されているものなどの装置が含まれる。皮内組成物は、PCT公報WO99/34850及びその機能的同等物に記載されているものなどの、皮膚への針の効果的な貫通長さを制限する装置によって投与され得る。
【0131】
いくつかの実施形態では、例えば、提供される組成物の効果を長引かせるために、提供される組成物の皮膚への吸収を遅くすることが望ましい場合がある。いくつかの実施形態では、これは、不十分な水溶性を有する結晶性または非晶質材料の液体懸濁液を使用することによって達成され得る。次いで、提供される組成物の吸収速度はその溶解速度に依存し、それはまた結晶サイズ及び結晶形態に依存し得る。いくつかの実施形態では、提供される組成物のポリマーに対する比及び用いられる特定のポリマーの性質に応じて、提供される組成物の放出速度が制御され得る。他の生分解性ポリマーの例には、ポリ(オルトエステル)及びポリ(無水物)が含まれる。
【0132】
エマルション
本開示は、エマルション技術が、特にボツリヌス毒素及び/または抗体薬剤を含む本明細書に記載される大型薬剤を含む対象となる薬剤に安定化の利益を提供し得るという認識を包含する。
【0133】
その上、本開示は、所定の液体ナノエマルション技術が、ボツリヌス及び/または抗体薬剤などの非常に大型の分子に対してさえも顕著な経皮送達特性を提供することが実証されていることを理解している。例えば、米国特許公開第2012/0328701号、米国特許公開第2012/0328702号、第8,318,181号、及び米国特許第8,658,391号(これらの開示はそれらの全体が参照により本明細書に組み込まれる)を参照されたい。これらの液体ナノエマルションは、固体ナノ粒子薬物送達、特に、Gomaaによって記述されているように、固体ナノ粒子が皮膚に浸入することができず、毛包に蓄積するにすぎない経皮薬物送達よりもはるかに優れている。これらの液体ナノエマルションはまた、少なくとも34か月間安定であり、この観点からもそれらを商業的に実行可能なものとする。
【0134】
1.マクロエマルション
いくつかの実施形態では、本開示は、経皮製品が適用された、適用されている、または適用されることになる皮膚を「調整する」ために極微針処理を使用する方策を提供する。小さな分子(具体的には、400~1000Daの範囲の分子量を有する短い親水性のペプチド)の経皮送達を分析する研究が、「ペプチドの皮膚浸透はそれらの分子量に依存し、分子量が増加するに連れて減少する」(Zhang,S.,et al.,“Enhanced delivery of hydrophilic peptides in
vitro by transdermal microneedle pretreatment.”Acta Pharmaceutica Sinica B.4(1):100-104(2014))ことを見出したので、そのような方策は低い分子量の薬剤にのみ有用である可能性が高いという以前の報告にもかかわらず、そのような極微針調整が、驚くべきことに、大型薬剤(例えば、約100kDa以上の分子量を有する)の経皮送達を促進するのに有意な利益を提供することができるという洞察を本開示は提供する。
【0135】
本開示は、そのような液体マクロエマルション組成物による大型分子の効果的かつ迅速な(すなわち、数分にわたる投与)経皮送達が、驚くべきことに、マクロエマルション投与を極微針皮膚調整(MSC)と組み合わせることによって改善され得るという洞察を提供する。
本開示は、特にマクロエマルション技術と併せて利用される場合、極微針処理技術(例えば、皮膚の極微針調整)が大型薬剤(例えば、ボツリヌス及び/または抗体薬剤)の経皮送達を有意に促進し得ることを特に実証する。対象となる特定のマクロエマルション組成物は、直径が約300nmを超え約5,000μm以下の範囲の液滴サイズ、約0.01:1~約20:1の範囲の油に対する水性分散媒体の比;約0.1~約40の範囲の油対界面活性剤比及び/または約-80mV~約+80mVの範囲のゼータ電位によって特徴付けられる油中水型及び水中油型マクロエマルションを含む。組成物の界面活性剤部分は、1つ以上の界面活性剤を含有し得る。
マクロエマルション製剤
【表6】
*当業者は、本明細書を考慮して、利用される大型薬剤の容量、重量、及び/または用量に応じて、この及び他の成分に合理的な調節を加え得る。
【0136】
マクロエマルション製剤は、ボツリヌス及び/または抗体薬剤などの大型薬剤を安定化させるように作用し得る。マクロエマルション製剤は、それら自体が大型薬剤の経皮送達を達成することが必ずしも予想されないであろうが、それにもかかわらず、マクロエマルション組成物への組み込みによって提供され得る安定化の改善が、本明細書に記載される極微針処理技術と組み合わせた場合、経皮送達の相乗的促進を達成し得るという洞察を本開示は包含する。
【0137】
本開示は、MSCが小さな化合物の経皮送達を容易にする際にのみ役立つという予想にもかかわらず、マクロエマルション組成物による大型薬剤の経皮送達が、極微針技術との組み合わせによって可能となり得ることを教示する。また、本開示は、Gomaaによって記載されているように、固体ナノ粒子中への小分子薬剤の封入と組み合わせた極微針調整が、投与から6時間後で初めて少量の浸入を提供し、投与から24時間後まで材料の浸入が観察されなかったことを考慮すると、特に驚くべきことである。
【0138】
いくつかの実施形態では、大型薬剤を含むマクロエマルション製剤は、中実極微針を用いた極微針調整と併せて投与される。いくつかの実施形態では、部位のMSCは、大型薬剤を含むマクロエマルション製剤をその部位に適用する前(例えば、特定の適用前及び/または各適用前)に実施される。いくつかの実施形態では、部位のMSCは、大型薬剤を含むマクロエマルション製剤をその部位に適用した後に実施される。いくつかの実施形態では、部位のMSC及び大型薬剤を含むマクロエマルション製剤のその部位への適用は、実質的に同時に行われる。いくつかの実施形態では、大型薬剤を含むマクロエマルション製剤は、1つ以上の極微針を介して注射されない。いくつかの実施形態では、極微針は極微針のアレイの一部である。いくつかの実施形態では、極微針は約1μm~約4,000μmの長さを有し得る。いくつかの実施形態では、極微針は約1μm~約2,000μmの長さを有し得る。いくつかの実施形態では、極微針は約50μm~約400μmの長さを有し得る。いくつかの実施形態では、極微針は約800μm~約1500μmの長さを有し得る。
【0139】
本明細書で利用されるマクロエマルション組成物中の液滴よりもはるかに小さなサイズ(例えば、105±2.92nm)の固体ナノ粒子の経皮送達が、小分子薬剤でさえ皮膚を通って経皮的に効果的に送達しない(またはその送達を促進しない)という報告を考慮すると、本明細書で示される知見は特に驚くべきことである。例えば、Gomaa et
alは、PLGAナノ粒子中に封入されたローダミン色素(分子量479Da)の溶液を、極微針処理によって事前調整された皮膚に適用し、皮膚浸入を評価した研究を記載した。Gomaa,Y.,et al,“Effect of microneedle treatment on the skin permeation of a nanoencapsulated dye.” J Pharm Pharmacol.2012 November;64(11):1592-1602を参照されたい。データは、6時間の連続適用の後に非常に少量の色素が皮膚に浸透し始め;皮膚が24時間連続して治療されるまで浸透の有意な増加は観察されなかったことを示した。研究者は、「NP[ナノ粒子]は通常、角質層を浸入することができないが、毛包内に良好に堆積し得るという新たなコンセンサスがある」ことを説明した。それ故、本開示の前では、105nmよりもかなり大きなビヒクルを用いる極微針処理技術の使用は、小分子薬剤(例えば、ローダミン色素)でさえ経皮的に効果的に送達することができず;大型薬剤の送達は確実に不可能であると考えられたであろうことを当業者は予想するであろう。しかしながら、本開示は、極微針処理が、特にマクロエマルション技術と併せて利用される場合、大型薬剤の経皮送達を有意に促進することができることを実証する。
【0140】
とりわけ、本開示は、他の崩壊剤が利用されない(すなわち、化学的浸入促進剤が利用されず、皮膚構造を崩壊または穿刺する他の技術が利用されない)場合、極微針処理技術が(例えば、特にマクロエマルション組成物からの大型薬剤の)経皮送達を促進することができることを実証する。極微針を使用するボツリヌス毒素と同じくらいの大きさの薬剤(すなわち、約150kDa)の経皮送達の従来の研究は、皮膚を崩壊させるために追加の治療が適用されない限り、送達が成功しないことを報告している。例えば、米国特許公開第2010/0196445号は、極微針処理の部位で皮膚構造が崩壊するように、皮膚消化酵素も適用されない限り、ボツリヌス毒素が事前被覆された極微針から効果的に送達されないことを報告している。
【0141】
本開示は、とりわけ、極微針の被覆または装填が利用されない場合及び/または極微針が皮膚内に残るように設計されていない場合、極微針処理技術は、(例えば、特にマイクロエマルション及びナノエマルション組成物からの大型薬剤の)経皮送達を達成することができることを実証する。とりわけ、既に記述したように、本開示は、少なくともボツリヌス被覆または装填材料の不安定性のために、そのような極微針の被覆または装填が商業的に実行可能ではない場合があることを理解する。例えば、Johnson,E.,et
al.によれば、「ボツリヌス毒素は、表面変性、熱、及びアルカリ性条件のため、変性の影響を非常に受けやすい。ボツリヌス毒素の凍結乾燥(lyophilization)または凍結乾燥(freeze-drying)は、安定でかつ臨床医によって容易に使用される形態で製品を流通させる最も経済的に合理的かつ実用的な方法である。」米国特許第5,512,547号。また、本明細書を読む当業者によって理解されるように、本明細書に記載の技術は、極微針を組織内にまたは組織と一緒に残す必要がないことを含む所定の利点を有する。例えば、当業者は、極微針を皮膚内に残すことは、皮膚の刺激、炎症、アレルギー反応、及び/または美容上望ましくない瘢痕化の危険性があり得ることを理解する。本発明とは対照的に、米国特許公開第2017/0209553号に記載されているような技術は、ボツリヌスが針内に装填され、極微針が皮膚内に切り離されるように設計された極微針アレイを利用している(米国特許第2017/0209553号及び第2016/0263362号による)。
【0142】
本開示は、大型薬剤(例えば、ボツリヌス毒素、抗体など)の経皮送達のための驚くほど効果的な技術を提供する。特に、本開示は、そのような薬剤の経皮送達が、任意の他の崩壊方策を伴わずに、極微針処理技術の使用を介して有意に促進され得ることを教示する。そのため、提供される技術は、しばしば皮膚崩壊剤の使用に付随して起こる炎症、刺激、及び/またはアレルギー反応を伴わずに効果的な送達を達成し得る。本明細書を読む当業者によって理解されるように、本開示は、大型薬剤が極微針に装填されず、極微針上に被覆されず、及び/または極微針の一部として構成されない場合であっても、そのような大型薬剤の経皮送達は極微針処理技術の使用を介して有意に促進され得ることを教示する。同様に、本明細書を読む当業者によって理解されるように、本開示は、本明細書に記載される大型薬剤の送達が、極微針を皮膚内に残さずに(例えば、それらを切り離すことによって及び/またはそうでなければその場で保持及び/または分解されることによって)、極微針処理技術の使用を介して(特にMSCの使用を介して)有意に促進され得ることを教示する。例えば、当業者は、提供される技術が商業的に実行可能な製品に必要な大型薬剤の長期安定性に関する問題を回避することができ、皮膚内に残っている皮膚崩壊剤及び/または極微針に起因し得る炎症、刺激、及び/またはアレルギー反応を伴わずに効果的な送達を達成することができることを理解する。実際、実施例及び他の箇所において、本開示は、ボツリヌス毒素を含有しない極微針を用いて実施されるMSCが、局所(例えば、クリーム、軟膏)組成物、特にマクロまたはナノエマルションを含む組成物からのボツリヌス毒素の経皮送達を容易にすることを明示的に教示する。
【0143】
いくつかの実施形態では、本開示は、極微針処理技術をマクロエマルション組成物と組み合わせた場合に特に有利な結果が達成されることを教示する。いくつかの実施形態では、極微針処理技術は、後にマクロエマルション組成物になり得るか、またはそれを含み得るローション、クリーム、または液体組成物と組み合わされる。いくつかの実施形態では、提供される技術は化学的浸入促進剤などの皮膚崩壊技術を利用しない。
【0144】
いくつかの実施形態では、本発明は、例えば、治療目的のために、医学的状況において特に効果的及び/または有用である大型薬剤を含むマクロエマルション組成物を利用する。いくつかの実施形態では、特定のマクロエマルション組成物は、それを必要とする対象への薬剤の局所投与に特に効果的及び/または有用である。いくつかの実施形態では、マクロエマルション組成物は、1つ以上の大型薬剤を含み得る。
【0145】
いくつかの実施形態では、マクロエマルションは、皮膚での局所投与に好適な組成物に製剤化され得る。いくつかの実施形態では、局所投与に好適な組成物は、ローション、クリーム、粉末、軟膏、リニメント、ゲル、またはドロップであり得る。
【0146】
いくつかの実施形態では、マクロエマルション製剤は、水、中鎖トリグリセリド、スパン65、ポリソルベート80、メチルパラベン、及びプロピルパラベンを含む。いくつかの実施形態では、マクロエマルション製剤は、水、中鎖トリグリセリド、スパン65、及びポリソルベート80を含む。
【0147】
いくつかの実施形態では、提供される組成物は、提供されるマクロエマルション組成物と1つ以上の医薬的に許容可能な賦形剤との混合物を含む。いくつかの実施形態では、クリーム及び/またはローション製剤は、提供されるマクロエマルション組成物及び/または生理食塩水の混合物を含む。
【0148】
いくつかの実施形態では、提供される組成物は、1つ以上の大型薬剤を含むマクロエマルション組成物を含む。いくつかの実施形態では、提供される組成物はクリーム及び/またはローション製剤である。いくつかの実施形態では、提供されるクリーム及び/またはローション製剤はマクロエマルション組成物を含む。いくつかの実施形態では、組成物は、提供されるマクロエマルション組成物を含むが、クリーム及び/またはローション製剤ではない。いくつかの実施形態では、好適な組成物は、クリーム及び/またはローションに製剤化されるが、マクロエマルション組成物を含まない。
【0149】
いくつかの実施形態では、提供される組成物は、提供されるマクロエマルション組成物と、例えば、局所及び/または経皮(例えば、ローション、クリーム、粉末、軟膏、リニメント、ゲル、ドロップなどによる)投与用の1つ以上の医薬的に許容可能な賦形剤との混合物を含む。
【0150】
2.ナノエマルション
いくつかの実施形態では、本開示は、経皮製品が適用された、適用されている、または適用されることになる皮膚を「調整する」ために極微針処理を使用する方策を提供する。小さな分子(具体的には、400~1000Daの範囲の分子量を有する短い親水性のペプチド)の経皮送達を分析する研究が、「ペプチドの皮膚浸透はそれらの分子量に依存し、分子量が増加するに連れて減少する」(Zhang,S.,et al.,“Enhanced delivery of hydrophilic peptides in
vitro by transdermal microneedle pretreatment.”Acta Pharmaceutica Sinica B.4(1):100-104(2014))ことを見出したので、そのような方策は低い分子量の薬剤にのみ有用である可能性が高いという以前の報告にもかかわらず、そのような極微針調整が、驚くべきことに、大型薬剤(例えば、約100kDa以上の分子量を有する)の経皮送達を促進するのに有意な利益を提供することができるという洞察を本開示は提供する。
【0151】
本開示は、そのような液体ナノエマルション組成物による大型分子の効果的かつ迅速な(すなわち、数分にわたる投与)経皮送達が、驚くべきことに、ナノエマルション投与を極微針皮膚調整(MSC)と組み合わせることによって改善され得るという洞察を提供する。
【0152】
本開示は、特にナノエマルション技術と併せて利用される場合、極微針処理技術(例えば、皮膚の極微針調整)が大型薬剤(例えば、ボツリヌス及び/または抗体薬剤)の経皮送達を有意に促進し得ることを特に実証する。対象となる特定のナノエマルション組成物は、直径が約1nm~約300nmの範囲の液滴サイズ、約0.01:1~約20:1の範囲の油に対する水性分散媒体の比;約0.1~約40の範囲の油対界面活性剤比及び/または約-80mV~約+80mVの範囲のゼータ電位によって特徴付けられる油中水型及び水中油型ナノエマルションを含む。
【0153】
いくつかの実施形態では、提供されるナノエマルション組成物は、油及び界面活性剤を約0.1:1~約2:1の範囲の比で含む。いくつかの実施形態では、提供されるナノエマルション組成物は、油及び界面活性剤を約0.1:1~約1:1の比で含む。いくつかの実施形態では、提供されるナノエマルション組成物は、油及び界面活性剤を約0.5:1~約1:1の比で含む。いくつかの実施形態では、提供されるナノエマルション組成物は、油及び界面活性剤を約0.5:1~約1:1.5の比で含む。いくつかの実施形態では、提供されるナノエマルション組成物は、油及び界面活性剤を約0.1:1、約0.15:1、約0.2:1、約0.25:1、約0.3:1、約0.35:1、約0.4:1、約0.45:1、約0.5:1、約0.5:1、約0.55:1、約0.6:1、約0.65:1、約0.7:1、約0.75:1、約0.8:1、約0.85:1、約0.9:1、約0.95:1、または約1:1の比で含む。いくつかの実施形態では、提供されるナノエマルション組成物は、油及び界面活性剤を約0.67:1の比で含む。
【0154】
いくつかの実施形態では、水性分散媒体(例えば、水、緩衝液、塩溶液など)及び界面活性剤は、0.01~20の範囲の比で利用される。いくつかの実施形態では、水性分散媒体(例えば、水、緩衝液、塩溶液など)及び界面活性剤は、0.1~20の範囲の比で利用される。いくつかの実施形態では、水性分散媒体(例えば、水、緩衝液、塩溶液など)及び界面活性剤は、0.5~10の範囲の比で利用される。いくつかの実施形態では、水性分散媒体(例えば、水、緩衝液、塩溶液など)及び界面活性剤は、0.5~1の範囲の比で利用される。いくつかの実施形態では、水性分散媒体(例えば、水、緩衝液、塩溶液など)の界面活性剤に対する比は、およそ0.01:1、およそ0.02:1、およそ0.03:1、およそ0.04:1、およそ0.05:1、およそ0.06:1、およそ0.07:1、およそ0.08:1、およそ0.0:1、およそ0.1:1、およそ0.2:1、およそ0.3:1、およそ0.4:1、およそ0.5:1、およそ1:1、およそ2:1、およそ3:1、およそ4:1、およそ5:1、およそ6:1、およそ7:1、およそ8:1、およそ9:1または10:1である。いくつかの実施形態では、界面活性剤の水に対する比は、およそ0.5:1、およそ1:1、およそ2:1、およそ3:1、およそ4:1、およそ5:1、およそ6:1、およそ7:1、およそ8:1、およそ9:1、およそ10:1、およそ11:1、およそ12:1、およそ13:1、およそ14:1、およそ15:1、およそ16:1、およそ17:1、およそ18:1、およそ19:1、またはおよそ20:1である。いくつかの実施形態では、水性分散媒体(例えば、水、緩衝液、塩溶液など)及び界面活性剤は、0.5~2の範囲の比で利用される。いくつかの実施形態では、水性分散媒体(例えば、水、緩衝液、塩溶液など)の界面活性剤に対する比は、およそ0.5:1、およそ1:1、またはおよそ2:1である。いくつかの実施形態では、界面活性剤の水性分散媒体(例えば、水、緩衝液、塩溶液など)に対する比は、およそ0.5:1、およそ1:1、またはおよそ2:1である。いくつかの実施形態では、水性分散媒体(例えば、水、緩衝液、塩溶液など)の界面活性剤に対する比は、およそ1:1である。いくつかの実施形態では、水性分散媒体(例えば、水、緩衝液、塩溶液など)の界面活性剤に対するそのような比を利用する組成物は、油中水型エマルションを含む。
【0155】
いくつかの実施形態では、ナノエマルション組成物内の液滴は、約10nm~約300nm、約10nm~約200nm、約10nm~約150nm、約10nm~約130nm、約10nm~約120nm、約10nm~約115nm、約10nm~約110nm、約10nm~約100nm、または約10nm~約90nmの範囲内の直径(例えば、平均及び/またはメジアン径)を有する。いくつかの実施形態では、ナノエマルション組成物内の液滴は、1nm~300nm、1nm~200nm、1nm~150nm、1nm~120nm、1nm~100nm、1nm~75nm、1nm~50nm、または1nm~25nmの範囲内の直径(例えば、平均及び/またはメジアン径)を有する。いくつかの実施形態では、ナノエマルション組成物内の液滴は、1nm~15nm、15nm~200nm、25nm~200nm、50nm~200nm、または75nm~200nmの直径(例えば、平均及び/またはメジアン径)を有する。
【0156】
いくつかの実施形態では、総液滴分布は、液滴直径サイズの特定の範囲内に包含される。いくつかの実施形態では、総液滴分布の50%、25%、10%、5%、または1%未満が液滴直径サイズの特定の範囲外である。いくつかの実施形態では、総液滴分布の1%未満が液滴直径サイズの特定の範囲外である。いくつかの実施形態では、ナノエマルション組成物は、300nm、250nm、200nm、150nm、120nm、100nm、75nm、50nm、または25nmより大きな直径を有する液滴を実質的に含まない。いくつかの実施形態では、総液滴分布の50%、25%、10%、5%、または1%未満が、300nm、250nm、200nm、150nm、120nm、100nm、75nm、50nm、または25nmより大きな直径を有する。
【0157】
いくつかの実施形態では、ナノエマルション組成物内の液滴は、約300nm、約250nm、約200nm、約150nm、約130nm、約120nm、約115nm、約110nm、約100nm、約90nm、または約50nm未満の平均液滴サイズを有する。いくつかの実施形態では、平均液滴サイズは、約10nm~約300nm、約50nm~約250、約60nm~約200nm、約65nm~約150nm、または約70nm~約130nmの範囲内である。いくつかの実施形態では、平均液滴サイズは約80nm~約110nmである。いくつかの実施形態では、平均液滴サイズは約90nm~約100nmである。
【0158】
いくつかの実施形態では、ナノエマルション液滴は、-80mV~+80mVの範囲のゼータ電位を有する。いくつかの実施形態では、ナノエマルション液滴は、-50mV~+50mVの範囲のゼータ電位を有する。いくつかの実施形態では、ナノエマルション液滴は、-25mV~+25mVの範囲のゼータ電位を有する。いくつかの実施形態では、ナノエマルション液滴は、-10mV~+10mVの範囲のゼータ電位を有する。いくつかの実施形態では、ナノエマルション液滴は、約-80mV、約-70mV、約-60mV、約50mV、約-40mV、約-30mV、約-25mV、約-20mV、約-15mV、約-10mV、または約-5mVのゼータ電位を有する。いくつかの実施形態では、ナノエマルション液滴は、約+50mV、約+40mV、約+30mV、約+25mV、約+20mV、約+15mV、約+10mV、または約+5mVのゼータ電位を有する。いくつかの実施形態では、ナノエマルション液滴は、約0mVであるゼータ電位を有する。
【0159】
本開示は、大型薬剤(例えば、ボツリヌス毒素、抗体など)の経皮送達のための驚くほど効果的な技術を提供する。特に、本開示は、そのような薬剤の経皮送達が、任意の他の崩壊させる方策を伴わずに、極微針処理技術の使用を介して有意に促進され得ることを教示する。そのため、提供される技術は、しばしば皮膚崩壊剤の使用に付随して起こる炎症、刺激、及び/またはアレルギー反応を伴わずに効果的な送達を達成し得る。本明細書を読む当業者によって理解されるように、本開示は、大型薬剤が極微針に装填されず、極微針上に被覆されず、及び/または極微針の一部として構成されない場合であっても、そのような大型薬剤の経皮送達は極微針処理技術の使用を介して有意に促進され得ることを教示する。同様に、本明細書を読む当業者によって理解されるように、本開示は、本明細書に記載される大型薬剤の送達が、極微針を皮膚内に残さずに(例えば、それらを切り離すことによって及び/またはそうでなければその場で保持及び/または分解されることによって)、極微針処理技術の使用を介して(及び特にMSCの使用を介して)有意に促進され得ることを教示する。例えば、当業者は、提供される技術が商業的に実行可能な製品に必要な大型薬剤の長期安定性に関する問題を回避することができ、皮膚内に残っている皮膚崩壊剤及び/または極微針に起因し得る炎症、刺激、及び/またはアレルギー反応を伴わずに効果的な送達を達成することができることを理解する。実際、実施例及び他の箇所において、本開示は、ボツリヌス毒素を含有しない極微針を用いて実施されるMSCが、局所(例えば、クリーム、軟膏)組成物、特にマクロまたはナノエマルションを含む組成物からのボツリヌス毒素の経皮送達を容易にすることを明示的に教示する。
【0160】
いくつかの実施形態では、本開示は、極微針処理技術をナノエマルション組成物と組み合わせた場合に特に有利な結果が達成されることを教示する。いくつかの実施形態では、極微針処理技術は、後にナノエマルション組成物になり得るか、またはそれを含み得るローション、クリーム、または液体組成物と組み合わされる。いくつかの実施形態では、提供される技術は化学的浸入促進剤などの皮膚崩壊技術を利用しない。
【0161】
本明細書で利用されるナノエマルション組成物中の液滴のものと同等のサイズ(例えば、105±2.92nm)の固体ナノ粒子の経皮送達が、小分子薬剤でさえ皮膚を通って経皮的に効果的に送達しない(またはその送達を促進しない)という報告を考慮すると、本明細書で示される知見は特に驚くべきことである。例えば、Gomaa et alは、PLGAナノ粒子中に封入されたローダミン色素(分子量479Da)の溶液を、極微針処理によって事前調整された皮膚に適用し、皮膚浸入を評価した研究を記載した。Gomaa,Y.,et al,“Effect of microneedle treatment on the skin permeation of a nanoencapsulated dye.” J Pharm Pharmacol.2012 November;64(11):1592-1602を参照されたい。データは、6時間の連続適用の後に非常に少量の色素が皮膚に浸透し始め;皮膚が24時間連続して治療されるまで浸透の有意な増加は観察されなかったことを示した。研究者は、「NP[ナノ粒子]は通常、角質層を浸入することができないが、毛包内に良好に堆積し得るという新たなコンセンサスがある」ことを説明した。それ故、本開示の前では、ナノサイズのビヒクルを用いる極微針処理技術の使用は、小分子薬剤(例えば、ローダミン色素)でさえ経皮的に効果的に送達することができず;大型薬剤の送達は確実に不可能であると考えられたであろうことを当業者は予想するであろう。しかしながら、本開示は、極微針処理が、特にナノエマルションシステムと併せて利用される場合、大型薬剤の経皮送達を有意に促進することができることを実証する。
【0162】
とりわけ、本開示は、他の崩壊剤が利用されない(すなわち、化学的浸入促進剤が利用されず、皮膚構造を崩壊または穿刺する他の技術が利用されない)場合、極微針処理技術が(例えば、特にナノエマルション組成物からの大型薬剤の)経皮送達を促進することができることを実証する。極微針を使用するボツリヌス毒素と同じくらいの大きさの薬剤(すなわち、約150kDa)の経皮送達の従来の研究は、皮膚を崩壊させるために追加の治療が適用されない限り、送達が成功しないことを報告している。例えば、米国特許公開第2010/0196445号は、極微針処理の部位で皮膚構造が崩壊するように、皮膚消化酵素も適用されない限り、ボツリヌス毒素が、事前被覆された極微針から効果的に送達されないことを報告している。
【0163】
本開示は、とりわけ、極微針の被覆または装填が利用されない場合及び/または極微針が皮膚内に残るように設計されていない場合、極微針処理技術は、(例えば、特にマイクロエマルション及びナノエマルション組成物からの大型薬剤の)経皮送達を達成することができることを実証する。とりわけ、既に記述したように、本開示は、少なくともボツリヌス被覆または装填材料の不安定性のために、そのような極微針の被覆または装填が商業的に実行可能ではない場合があることを理解する。例えば、Johnson,E.,et
al.によれば、「ボツリヌス毒素は、表面変性、熱、及びアルカリ性条件のため、変性の影響を非常に受けやすい。ボツリヌス毒素の凍結乾燥(lyophilization)または凍結乾燥(freeze-drying)は、安定でかつ臨床医によって容易に使用される形態で製品を流通させる最も経済的に合理的かつ実用的な方法である。」米国特許第5,512,547号。また、本明細書を読む当業者によって理解されるように、本明細書に記載の技術は、極微針を組織内にまたは組織と一緒に残す必要がないことを含む所定の利点を有する。例えば、当業者は、極微針を皮膚内に残すことは、皮膚の刺激、炎症、アレルギー反応、及び/または美容的に望ましくない瘢痕化の危険性があり得ることを理解する。本発明とは対照的に、米国特許第2017/0209553号に記載されているような技術は、ボツリヌスが針内に装填され、極微針が皮膚内に切り離されて突き刺さるように設計された極微針アレイを利用している(米国特許第2017/0209553号及び第2016/0263362号による)。
【0164】
本開示は、MSCが小さな化合物の経皮送達を容易にする際にのみ役立つという予想にもかかわらず、ナノエマルション組成物による大型薬剤の既に非常に効果的な経皮送達が、極微針技術との組み合わせによって劇的に促進され得ることを教示する。また、本開示は、Gomaaによって記載されているように、固体ナノ粒子中への小分子薬剤の封入と組み合わせた極微針調整が、投与から6時間後で初めて少量の浸入を提供し、投与から24時間後まで材料の浸入が観察されなかったことを考慮すると、特に驚くべきことである。
【0165】
いくつかの実施形態では、大型薬剤を含むナノエマルション製剤は、中実極微針を用いた極微針調整と併せて投与される。いくつかの実施形態では、部位のMSCは、大型薬剤を含むナノエマルション製剤をその部位に適用する前(例えば、特定の適用前及び/または各適用前)に実施される。いくつかの実施形態では、部位のMSCは、大型薬剤を含むナノエマルション製剤をその部位に適用した後に実施される。いくつかの実施形態では、部位のMSC及び大型薬剤を含むナノエマルション製剤のその部位への適用は、実質的に同時に行われる。いくつかの実施形態では、大型薬剤を含むマクロエマルション製剤は、1つ以上の極微針を介して注射されない。いくつかの実施形態では、極微針は極微針のアレイの一部である。いくつかの実施形態では、極微針は約1μm~約4,000μmの長さを有し得る。いくつかの実施形態では、極微針は約1μm~約2,000μmの長さを有し得る。いくつかの実施形態では、極微針は約50μm~約400μmの長さを有し得る。いくつかの実施形態では、極微針は約800μm~約1500μmの長さを有し得る。
【0166】
いくつかの実施形態では、本発明は、例えば、治療目的のために、医学的状況において特に効果的及び/または有用である大型薬剤を含むナノエマルション組成物を利用する。いくつかの実施形態では、特定のナノエマルション組成物は、それを必要とする対象への薬剤の局所投与に特に効果的及び/または有用である。いくつかの実施形態では、ナノエマルション組成物は、1つ以上の大型薬剤を含み得る。例示的なナノエマルション組成物及び製造方法は、例えば、WO2012/103035に記載されており、その開示はその全体が参照により組み込まれる。
【0167】
いくつかの実施形態では、ナノエマルションは局所投与に好適な組成物に製剤化され得る。いくつかの実施形態では、局所投与に好適な組成物は、ローション、クリーム、粉末、軟膏、リニメント、ゲル、またはドロップであり得る。
【0168】
いくつかの実施形態では、ナノエマルション製剤は、水、中鎖トリグリセリド、ポリソルベート80、メチルパラベン、及びプロピルパラベンを含む。いくつかの実施形態では、ナノエマルション製剤は、水、中鎖トリグリセリド、及びポリソルベート80を含む。限定することを意味するものではない例示的なプレミックスを表2に提供する。
【表2】
*緩衝液は、0.199%のゼラチン、0.398%の二塩基性リン酸ナトリウム、99.4%の精製水を含有し(w/w)、pHは塩酸で6.0±0.2に調節した。
**当業者は、本明細書を考慮して、利用される大型薬剤の容量、重量、及び/または用量に応じて、この及び他の成分に合理的な調節を加え得る。
【0169】
これらの組成物は、それらが局所及び/または経皮(例えば、ローション、クリーム、粉末、軟膏、リニメント、ゲル、ドロップなどによる)投与を介して薬剤をそれを必要とする対象に送達するために使用され得るという点で特に有用である。いくつかの実施形態では、提供されるクリーム及び/またはローション製剤は、それを必要とする対象に、局所及び/または経皮(例えば、ローション、クリーム、粉末、軟膏、リニメント、ゲル、ドロップなどによる)投与を介して投与され得る。いくつかの実施形態では、提供されるナノエマルション組成物は、クリーム及び/またはローション製剤に製剤化され得る。いくつかの実施形態では、ナノエマルション組成物を含む提供されるクリーム及び/またはローション製剤は、対象への局所投与に有用及び/または効果的であり得る。いくつかの実施形態では、提供されるナノエマルション組成物は、医薬組成物を調製するためのクリーム製剤(例えば、提供されるクリーム製剤)及び/または生理食塩水中で1つ以上のクリーム成分と混合され得る。
【0170】
本発明は、エマルション組成物(例えば、マクロエマルション組成物及びナノエマルション組成物)が、対象への投与のためのクリーム及び/またはローション製剤に製剤化され得るという認識を包含する。本発明は、提供されるクリーム及び/またはローション製剤が、対象への投与のために、本明細書に記載されているものなどのエマルションを製剤化するのに特に有用であり得るという認識を包含する。限定すること意味するものではない例示的なナノエマルション製剤を表3に提供する。
【表3】
*当業者は、本明細書を考慮して、利用される大型薬剤の容量、重量、及び/または用量に応じて、この及び他の成分に合理的な調節を加え得る。
【0171】
いくつかの実施形態では、提供される組成物は、提供されるナノエマルション組成物と1つ以上の医薬的に許容可能な賦形剤との混合物を含む。いくつかの実施形態では、クリーム及び/またはローション製剤は、提供されるナノエマルション組成物及び/または生理食塩水の混合物を含む。
【0172】
いくつかの実施形態では、提供される組成物は提供されるナノエマルション組成物を含む。いくつかの実施形態では、提供される組成物はクリーム及び/またはローション製剤である。いくつかの実施形態では、提供されるクリーム及び/またはローション製剤はナノエマルション組成物を含む。いくつかの実施形態では、組成物は、提供されるナノエマルション組成物を含むが、クリーム及び/またはローション製剤ではない。いくつかの実施形態では、好適な組成物は、クリーム及び/またはローションに製剤化されるが、ナノエマルション組成物を含まない。
【0173】
いくつかの実施形態では、提供される組成物は、提供されるナノエマルション組成物と、例えば、局所及び/または経皮(例えば、ローション、クリーム、粉末、軟膏、リニメント、ゲル、ドロップなどによる)投与用の1つ以上の医薬的に許容可能な賦形剤との混合物を含む。
【0174】
いくつかの実施形態では、既知の治療薬剤及び/または独立して活性な生物学的活性剤を含むナノエマルション組成物の場合、そのようなナノエマルション組成物は、治療薬剤の量が、病態または障害を治療するのに十分な所望の標的部位に(例えば、表皮及び/または真皮構造に)送達されるようにMSCと組み合わせて用意され、構成され、投与される。いくつかの実施形態では、提供されるナノエマルション組成物は、それらが皮膚への投与の際に所望の治療効果を達成するように(例えば、薬剤の選択及び/または組み合わせ、組成物の構造などにより)用意され、構成される。いくつかの実施形態では、提供されるナノエマルション組成物は、それらが所望の作用部位(例えば、皮膚の表面、真皮など)の内側及び/または外側で望ましくない臨床的効果を誘発しないように用意され、構成される。いくつかの実施形態では、提供されるナノエマルション組成物は、それらが全身的効果を有するようにMSCと組み合わせて用意され、構成され、投与される。
【0175】
いくつかの実施形態では、提供される組成物は、全身送達が達成されるようにMSCと組み合わせて製剤化され、送達され得る;いくつかの実施形態では、提供される組成物は、局所的であるが全身的ではない送達が達成されるように製剤化及び/または送達され得る。
【0176】
本開示は、MSCと組み合わせて提供される組成物を使用して真皮に治療薬剤(及び、特に、ボツリヌス毒素または抗体薬剤などの大型生物学的薬剤)を効果的かつ効率的に送達することを具体的に実証する。例えば、いくつかの実施形態では、本発明は、臨床的に有意な副作用を伴わずに、本明細書に記載される組成物の投与を含む方法を提供する。1つではあるが例を挙げると、局所送達が企図される場合、臨床的に有意な副作用には、望ましくない全身的副作用、真皮の下にある神経組織の損傷(例えば、神経麻痺)、筋肉に対する望ましくない効果(例えば、筋肉麻痺)、及び/または治療薬剤の望ましくない血中レベルなどが含まれるがこれらに限定されない。限定することを意味するものではないボツリヌスナノエマルションプレミックスの例示的な製剤を表4に提供する。
【表4】
*緩衝液は、0.199%のゼラチン、0.398%の二塩基性リン酸ナトリウム、99.4%の精製水を含有し(w/w)、pHは塩酸で6.0±0.2に調節した。
【0177】
疾患、障害、及び病態
本発明は、任意の様々な全身的または皮膚疾患、障害、及び/または病態を治療及び/または予防するための技術を提供する。いくつかの実施形態では、本発明は、汗腺及び/または皮脂腺の活性に関連する疾患、障害、または病態を治療及び/または予防するための技術を提供する。いくつかの実施形態では、本発明は、感染症に関連する疾患、障害、または病態を治療及び/または予防するための技術を提供する。いくつかの実施形態では、本発明は、炎症に関連する疾患、障害、または病態を治療及び/または予防するための技術を提供する。いくつかの実施形態では、本発明は、炎症に関連する疾患、障害、または病態を治療及び/または予防するための技術を提供する。いくつかの実施形態では、本発明は、がんに関連する疾患、障害、または病態を治療及び/または予防するための技術を提供する。いくつかの実施形態では、本発明は、全身性である疾患、障害、または病態を治療及び/または予防するための技術を提供する。いくつかの実施形態では、本発明は、自己免疫性である疾患、障害、または病態を治療及び/または予防するための技術を提供する。いくつかの実施形態では、本発明は、皮膚の表皮及び/または真皮レベルに関連する疾患、障害または病態を治療及び/または予防するための技術を提供する。
【0178】
いくつかの実施形態では、本発明は、座瘡、不要な発汗、体臭、多汗症、臭汗症、色汗症、酒さ、脱毛、乾癬、光線性角化症、湿疹様皮膚炎(例えば、アトピー性皮膚炎など)、皮脂過剰生成障害(例えば、脂漏症、脂漏性皮膚炎など)、火傷、レイノー現象、エリテマトーデス、色素沈着過剰障害(例えば、黒皮症など)、色素沈着低下障害(例えば、白斑など)、皮膚癌(例えば、扁平上皮皮膚癌、基底細胞皮膚癌など)、皮膚感染症(例えば、細菌感染症、ウイルス感染症、真菌感染症など)、顔面のしわ(例えば、額、眉間、皺及び/または眼窩周囲の領域を含むしわ)、頭痛、醜い顔面表情(例えば、下層の顔面筋肉組織の過活動による)、首筋、多機能顔面筋、過収縮顔面筋、広頸筋帯、筋肉痙攣及び/または拘縮を含む神経筋障害及び病態(様々な形態の顔面麻痺、脳性麻痺、眼瞼痙攣、顔面拘縮を含む)、ジストニア、前立腺肥大、頭痛、斜視、片側顔面痙攣、振戦、多発性硬化症に起因するものなどの痙縮、眼窩後方筋、様々な眼科及び泌尿器病態(例えば、陰茎及び/または膀胱障害)、及び/またはそれらの組み合わせのうちの1つ以上を治療及び/または予防するための技術を提供する。
【0179】
いくつかの実施形態では、本発明は、関節リウマチを治療及び/または予防するための技術を提供する。いくつかの実施形態では、本発明は、乾癬性関節炎を治療及び/または予防するための技術を提供する。いくつかの実施形態では、本発明は、変形性関節症を治療及び/または予防するための技術を提供する。
【0180】
いくつかの実施形態では、本発明は、エリテマトーデスを治療及び/または予防するための技術を提供する。いくつかの実施形態では、エリテマトーデスは、全身性、円盤状、薬物誘発性、または新生児性である。
【0181】
いくつかの実施形態では、本発明は、クローン病を治療及び/または予防するための技術を提供する。いくつかの実施形態では、本発明は、炎症性腸疾患を治療及び/または予防するための技術を提供する。いくつかの実施形態では、本発明は、潰瘍性大腸炎を治療及び/または予防するための技術を提供する。
【0182】
いくつかの実施形態では、本発明は、肺障害を治療及び/または予防するための技術を提供する。いくつかの実施形態では、肺障害は喘息または慢性閉塞性肺疾患であり得る。
【0183】
いくつかの実施形態では、本発明は、アミロイドーシスを治療及び/または予防するための技術を提供する。いくつかの実施形態では、アミロイドーシスは全身性または皮膚性である。
【0184】
いくつかの実施形態では、本発明は、がんを治療及び/または予防するための技術を提供する。いくつかの実施形態では、がんは皮膚、血液、乳房、結腸、または肺のものである。
【0185】
いくつかの実施形態では、本発明は、脂質異常症を治療及び/または予防するための技術を提供する。いくつかの実施形態では、脂質異常症は高コレステロール血症である。
【0186】
いくつかの実施形態では、本発明は、感染症を治療及び/または予防するための技術を提供する。いくつかの実施形態では、感染症はC.difficileまたはStaphylococcusであるか、またはそれらによって引き起こされる。
【0187】
いくつかの実施形態では、本発明は、疼痛を治療及び/または予防するための技術を提供する。いくつかの実施形態では、疼痛は関節炎に関連している。いくつかの実施形態では、関節炎は関節リウマチ、乾癬性関節炎、または変形性関節症である。
【0188】
いくつかの実施形態では、本発明は、神経学的病態を治療及び/または予防するための技術を提供する。いくつかの実施形態では、神経学的病態はアルツハイマー病、パーキンソン病、または脳卒中である。
【0189】
いくつかの実施形態では、本発明は、少なくとも約20%の関連する皮膚病態の程度及び/または罹患率の低下を達成するのに十分な投薬レジメンに従って;いくつかの実施形態では、少なくとも約25%の低下を達成するのに十分な投薬レジメンに従って;いくつかの実施形態では、少なくとも約30%の低下を達成するのに十分な投薬レジメンに従って;いくつかの実施形態では、少なくとも約31%、約32%、約33%、約34%、約35%、約36%、約37%、約38%、約39%、約40%、約41%、約42%、約43%、約44%、約45%、約46%、約47%、約48%、約49%、約50%、約51%、約52%、約53%、約54%、約55%、約56%、約57%、約58%、約59%、約60%、約61%、約62%、約63%、約64%、約65%、約66%、約67%、約68%、約69%、約70%、約71%、約72%、約73%、約74%、約75%、約76%、約77%、約78%、約79%、約80%、約81%、約82%、約83%、約84%、約85%、約86%、約87%、約88%、約89%、約90%、またはそれ以上の低下を達成するのに十分な投薬レジメンに従って、MSCと組み合わせて投与される少なくとも1つの提供される組成物の投与を含む。
【0190】
いくつかの実施形態では、本発明は、組成物が投与された患者の集団の特定の割合において少なくとも約20%の関連する皮膚病態の程度及び/または罹患率の低下を達成するのに十分な投薬レジメンに従って;いくつかの実施形態では、組成物が投与された患者の集団の特定の割合において少なくとも約25%の低下を達成するのに十分な投薬レジメンに従って;いくつかの実施形態では、組成物が投与された患者の集団の特定の割合において少なくとも約30%の低下を達成するのに十分な投薬レジメンに従って;いくつかの実施形態では、組成物が投与された患者の集団の特定の割合において少なくとも約31%、約32%、約33%、約34%、約35%、約36%、約37%、約38%、約39%、約40%、約41%、約42%、約43%、約44%、約45%、約46%、約47%、約48%、約49%、約50%、約51%、約52%、約53%、約54%、約55%、約56%、約57%、約58%、約59%、約60%、約61%、約62%、約63%、約64%、約65%、約66%、約67%、約68%、約69%、約70%、約71%、約72%、約73%、約74%、約75%、約76%、約77%、約78%、約79%、約80%、約81%、約82%、約83%、約84%、約85%、約86%、約87%、約88%、約89%、約90%、またはそれ以上の低下を達成するのに十分な投薬レジメンに従って、MSCと組み合わせて投与される少なくとも1つの提供される組成物の投与を含む。いくつかの実施形態では、組成物が投与された患者の集団の特定の割合は、少なくとも約5%、約10%、約15%、約20%、約25%、約30%、約35%、約40%、約45%、約50%、約55%、約60%、約65%、約70%、約75%、約80%、約85%、約90%、約95%、または約100%である。少しではあるが説明のための例を挙げると、いくつかの実施形態では、本発明は、組成物が投与された患者の集団の少なくとも約50%において少なくとも約20%の関連する皮膚病態の程度及び/または罹患率の低下を達成するのに十分な投薬レジメンに従って少なくとも1つの提供される組成物の投与を含む。いくつかの実施形態では、本発明は、組成物が投与された患者の集団の少なくとも約50%において少なくとも約30%の関連する皮膚病態の程度及び/または罹患率の低下を達成するのに十分な投薬レジメンに従って少なくとも1つの提供される組成物の投与を含む。
【0191】
本発明は、皮膚病態の症状に罹患している、罹患しやすい、及び/またはその症状を示す対象へのMSCと組み合わせた提供される組成物の投与を含む、皮膚病態を治療及び/または予防するための技術を提供する。いくつかの実施形態では、本明細書に記載される皮膚病態の治療のための提供される組成物は、本明細書に記載の任意の投与経路用に製剤化される。いくつかの実施形態では、提供される組成物は局所投与用に製剤化される。いくつかの実施形態では、提供される組成物は、治療されている病態に適切であるように、クリーム、リニメント、ローション、ゲル、シャンプー、コンディショナー、日焼け止め剤、消臭剤、及び/または制汗剤(例えば、ロールオン、固体スティック、ゲル、クリーム、エアロゾルなど)などに製剤化される。
【0192】
いくつかの実施形態では、そのような提供される組成物は、病気に冒された部位(例えば、治療されている特定の病態に適切であるように、腋窩、手、足、頭皮、毛包、顔、首、背中、腕、胸、脚、鼠径部、股間など)にMSCと組み合わせて局所投与される。いくつかの実施形態では、局所投与はMSCと組み合わせた局所投与によって達成される。
【0193】
組成物及び製剤
本明細書で記述されているように、本発明は、MSCと組み合わせて投与するための1つ以上の大型薬剤を含む組成物を提供及び/または利用する。いくつかの実施形態では、提供される組成物は、局所及び/または経皮送達のために(例えば、ローション、クリーム、リニメント、軟膏、粉末、ゲル、ドロップなどとして)製剤化され得る。いくつかの実施形態では、提供される組成物は、ナノエマルションであり得るか、またはそれを含み得る。いくつかの実施形態では、提供される組成物は、マクロエマルションであり得るか、またはそれを含み得る。
【0194】
提供される組成物の製剤は、例えば、薬理学の技術分野で知られているまたは今後開発されるような任意の適切な方法によって調製され得る。一般に、そのような調製方法は、提供される組成物を1つ以上の賦形剤と会合させ、次いで必要な場合及び/または望ましい場合、投与に適した形態に、例えば単回または複数回の用量単位としてまたはその中に成形及び/または包装する工程を含む。
【0195】
いくつかの実施形態では、組成物は、大量に、単一単位用量として、及び/または複数の単一用量として調製、包装、及び/または販売され得る。本明細書で使用される場合、「単位用量」は、既定量の提供される組成物を含む個別量の医薬組成物である。提供される組成物の量は一般に、対象に投与されるであろう提供される組成物の投薬量及び/またはそのような投薬量の好都合な割合、例えば、そのような投薬量の2分の1または3分の1などに等しい。
【0196】
いくつかの実施形態では、組成物(例えば、医薬的及び/または美容的に許容可能な組成物)に使用するのに適切な賦形剤は、例えば、1つ以上の賦形剤、例えば、溶媒、分散媒体、造粒媒体、希釈剤、または他の液体ビヒクル、分散もしくは懸濁助剤、表面活性剤及び/または乳化剤、等張剤、増粘剤もしくは乳化剤、保存剤、固体結合剤、滑剤、分裂剤、結合剤、保存剤、緩衝剤など(所望の特定の剤形に向いているもの)を含み得る。いくつかの実施形態では、賦形剤、例えばココアバター及び/または座薬ワックス、着色剤、被覆剤、甘味剤、香味剤、及び/または芳香剤が利用され得る。Remington’s The Science and Practice of Pharmacy,21st Edition,A.R.Gennaro(Lippincott,Williams & Wilkins,Baltimore,MD,2005;参照により本明細書に組み込まれる)は、医薬組成物を製剤化する際に使用される様々な賦形剤及びその調製のための既知の技術を開示している。
【0197】
いくつかの実施形態では、適切な賦形剤(例えば、医薬的及び/または美容的に許容可能な賦形剤)は、少なくとも95%、少なくとも96%、少なくとも97%、少なくとも98%、少なくとも99%、または100%純粋である。いくつかの実施形態では、賦形剤は、米国食品医薬品局によって承認されている。いくつかの実施形態では、賦形剤は医薬品グレードである。いくつかの実施形態では、賦形剤は、米国薬局方(USP)、欧州薬局方(EP)、英国薬局方、及び/または他の国際薬局方の基準を満たす。
【0198】
いくつかの実施形態では、提供される組成物は、クリーム、リニメント、軟膏、油、フォーム、スプレー、ローション、液体、粉末、増粘ローション、またはゲルとして製剤化される(例えば、本明細書に記載される経皮送達用に製剤化される)。特定の例示的なそのような製剤は、例えば、皮膚柔軟剤、栄養ローション型エマルション、クレンジングローション、クレンジングクリーム、スキンミルク、エモリエントローション、マッサージクリーム、エモリエントクリーム、化粧ベース、顔用パックもしくは顔用ゲルなどの美容製剤製品、シャンプー、リンス、ボディ洗浄剤、ヘアートニック、もしくは石鹸などの洗浄製剤、またはローション、軟膏、ゲル、クリーム、リニメント、パッチ、消臭剤、もしくはスプレーなどの皮膚用組成物として調製され得る。いくつかの実施形態では、局所投与用の組成物は、粘膜への投与用に製剤化されない(例えば、粘膜への適用には不適切であり、及び/または粘膜へまたは粘膜を越えて適切な量の大型薬剤を送達するために製剤化されない)。
【0199】
治療部位
本発明の技術はヒト及び獣医学的使用の両方に好適である。活性薬剤の局所適用から利益を受けるであろう任意の障害に罹患している対象は、経皮薬物送達のための開示された技術で治療され得る。
【0200】
MSCのための任意の部位の好適な部位は好適な投与部位である。いくつかの実施形態では、投与部位は、対象の筋肉または筋肉群を覆う皮膚である。いくつかの実施形態では、その部位は無毛である。いくつかの実施形態では、その部位は胴体にある。いくつかの実施形態では、その部位は背中にある。いくつかの実施形態では、その部位は胸部にある。いくつかの実施形態では、その部位は臀部にある。いくつかの実施形態では、その部位は股間にある。いくつかの実施形態では、その部位は鼠径部にある。いくつかの実施形態では、その部位は頭部にある。いくつかの実施形態では、その部位は頭皮にある。いくつかの実施形態では、その部位は顔にある。いくつかの実施形態では、その部位は首にある。いくつかの実施形態では、その部位は胸元にある。いくつかの実施形態では、その部位は脇の下にある。いくつかの実施形態では、その部位は腋窩にある。いくつかの実施形態では、その部位は手にある。いくつかの実施形態では、その部位は足にある。いくつかの実施形態では、その部位は腕にある。いくつかの実施形態では、その部位は脚にある。いくつかの実施形態では、その部位は粘膜ではない。
【0201】
いくつかの実施形態では、その部位は皮膚病態によって影響を受ける。いくつかの実施形態では、その部位は、神経筋病態の影響を受けた筋肉または筋肉群を覆う皮膚である。いくつかの実施形態では、MSCで使用される極微針の長さは治療部位の皮膚の厚さに基づいて調節される。
【0202】
いくつかの実施形態では、MSCは、MNまたはMNアレイの1つの圧痕を含む。いくつかの実施形態では、MSCは、MNまたはMNアレイの2つの圧痕を含む。いくつかの実施形態では、MSCは、MNまたはMNアレイの3つの圧痕を含む。いくつかの実施形態では、MSCは、MNまたはMNアレイの4つの圧痕を含む。いくつかの実施形態では、MSCは、MNまたはMNアレイの5つの圧痕を含む。いくつかの実施形態では、MSCは、MNまたはMNアレイの6つの圧痕を含む。いくつかの実施形態では、MSCは、MNまたはMNアレイの7つの圧痕を含む。いくつかの実施形態では、MSCは、MNまたはMNアレイの8つの圧痕を含む。いくつかの実施形態では、MSCは、MNまたはMNアレイの9つの圧痕を含む。いくつかの実施形態では、MSCは、MNまたはMNアレイの10個の圧痕を含む。いくつかの実施形態では、MSCは、MNまたはMNアレイの11個の圧痕を含む。いくつかの実施形態では、MSCは、MNまたはMNアレイの12個の圧痕を含む。いくつかの実施形態では、MSCは、MNまたはMNアレイの13個の圧痕を含む。いくつかの実施形態では、MSCは、MNまたはMNアレイの14個の圧痕を含む。いくつかの実施形態では、MSCは、MNまたはMNアレイの15個の圧痕を含む。いくつかの実施形態では、MSCは、MNまたはMNアレイの16個の圧痕を含む。いくつかの実施形態では、MSCは、MNまたはMNアレイの17個の圧痕を含む。いくつかの実施形態では、MSCは、MNまたはMNアレイの18個の圧痕を含む。いくつかの実施形態では、MSCは、MNまたはMNアレイの19個の圧痕を含む。いくつかの実施形態では、MSCは、MNまたはMNアレイの20個の圧痕を含む。いくつかの実施形態では、MSCは、MNまたはMNアレイを皮膚上で1回以上回転させることを含む。いくつかの実施形態では、MNアレイは圧痕間で回転される。いくつかの実施形態では、MNアレイは圧痕間で回転されない。いくつかの実施形態では、圧痕は同じ部位上で行われる。いくつかの実施形態では、圧痕は重複部位上で行われる。いくつかの実施形態では、圧痕は異なる部位上で行われる。いくつかの実施形態では、圧痕はMNアレイのスタンプ押しによって行われる。いくつかの実施形態では、圧痕は、部位上で極微針ローラーを1回以上回転させることによって行われる。確立されたMN実務に従って、いくつかの実施形態では、MNアレイの皮膚圧痕は1秒未満持続するか、代替的に、いくつかの実施形態では、それらは1秒を超えて持続し、例えば、30秒以上、60秒以上、2分以上、5分以上、10分以上、30分以上など持続し得る。
【0203】
投与
本発明は、例えば、美容剤、栄養補助食品、及び医学的用途を含む様々な用途のためのエマルション組成物(例えば、ボツリヌスエマルション組成物または抗体薬剤エマルション組成物)を送達するための技術を提供する。そのようなエマルション組成物は、1つ以上の生物学的活性剤を含み得る。いくつかの実施形態では、エマルション組成物はボツリヌス毒素を含む。いくつかの実施形態では、エマルション組成物は抗体薬剤を含む。いくつかの実施形態では、エマルション組成物は、ナノエマルション組成物及び/またはマクロエマルション組成物である。
【0204】
本発明は、MSCと組み合わせて本明細書に記載される提供される組成物のいずれか(例えば、提供されるエマルション組成物;クリーム及び/またはローション製剤;提供されるエマルション組成物とクリーム及び/またはローション製剤との組み合わせ;など)を使用して病態または障害を治療するための技術を提供する。
【0205】
いくつかの実施形態では、そのような方法は、疾患、病態、または障害に罹患している及び/または罹患しやすい患者へのMSCと組み合わせた提供される組成物の投与を含む。いくつかの実施形態では、そのような方法は、皮膚の真皮層に関連する疾患、病態、または障害に罹患している及び/または罹患しやすい患者へのMSCと組み合わせた提供されるナノエマルション組成物の投与を含む。いくつかの実施形態では、そのような方法は、疾患、病態または障害を罹患している及び/または罹患しやすい患者への少なくとも1つの既知の治療薬剤及び/または独立して活性な生物学的活性剤を含むMSCと組み合わされたエマルション組成物の投与を含む。いくつかの実施形態では、そのような方法は、疾患、病態または障害を罹患している及び/または罹患しやすい患者へのMSCと組み合わされた提供されるクリーム及び/またはローション製剤で製剤化されたエマルション組成物及び/または少なくとも1つの既知の治療薬剤及び/または独立して活性な生物学的活性剤の投与を含む。いくつかの実施形態では、そのような方法は、MSCと組み合わされた局所及び/または経皮(例えば、ローション、クリーム、粉末、軟膏、リニメント、ゲル、ドロップなどによる)投与を介する組成物の投与を含む。いくつかの実施形態は、浸入促進剤の投与を更に含む。いくつかの実施形態は、非刺激性の浸入促進剤の投与を更に含む。
【0206】
いくつかの実施形態では、本発明は、任意の病態または障害を治療するための技術を提供する。いくつかの実施形態では、本発明は、MSCと組み合わされた本明細書に記載される所定の組成物が、生物学的に関連する標的部位(例えば、特定の組織、皮膚内の位置、細胞など)に効率的かつ特異的に活性薬剤の制御された送達を達成し得ることを実証する。いくつかの実施形態では、本発明は、他の領域への送達に関連する重大な副作用を伴わずに、所定の生物学的に関連する標的部位における制御された送達及び/または治療効果の達成を実証する。
【0207】
いくつかの実施形態では、本発明は、表皮及び/または真皮の構造(例えば、汗腺、皮脂腺、毛包など)に関連する病態または障害を治療するための技術を提供する。いくつかの実施形態では、本発明は、MSCと組み合わされた本明細書に記載される提供される組成物(例えば、提供されるナノエマルション組成物;クリーム及び/またはローション製剤;提供されるナノエマルション組成物とクリーム及び/またはローション製剤との組み合わせ;など)が、真皮に効率的かつ具体的に活性薬剤を送達することができ、本明細書に記載される提供される組成物が、投与時に対象の皮膚に対して治療効果を及ぼすことができることを実証する。いくつかの実施形態では、本発明は、他の領域への(例えば、皮下もしくは皮膚外の構造及び/または真皮以外の組織への)送達に関連する重大な副作用を伴わずに、真皮送達及び/または治療効果の達成を実証する。いくつかの実施形態では、MSCと組み合わされた本明細書に記載される提供される組成物(例えば、提供されるエマルション組成物;クリーム及び/またはローション製剤;提供されるエマルション組成物とクリーム及び/またはローション製剤との組み合わせ;など)は、治療薬剤などの活性薬剤(例えば、ボツリヌス毒素、抗体薬剤など)を経皮送達することができる。
【0208】
本発明は、MSCと組み合わせて本明細書に記載される提供される組成物(例えば、提供されるエマルション組成物;クリーム及び/またはローション製剤;提供されるエマルション組成物とクリーム及び/またはローション製剤との組み合わせ;など)を患者に投与することによって病態または障害を治療するための技術を提供する。いくつかの実施形態では、本発明は、本明細書に記載されるMSCと組み合わせて提供されるエマルション組成物を含有する組成物を患者に局所投与することによって病態または障害を治療するための技術を提供する。
【0209】
いくつかの実施形態では、大型薬剤は、投与から約1、2、3、4、5、6、7、8、9、または10分以内に皮膚に浸入する。いくつかの実施形態では、大型薬剤は、投与から約5~約60分以内に皮膚に浸入する。いくつかの実施形態では、大型薬剤は、投与から約5~約12分以内に皮膚に浸入する。いくつかの実施形態では、大型薬剤は、投与から約5~約15分以内に皮膚に浸入する。いくつかの実施形態では、大型薬剤は、投与から約15~約30分以内に皮膚に浸入する。いくつかの実施形態では、大型薬剤は、投与から約1時間以内に皮膚に浸入する。いくつかの実施形態では、大型薬剤は、投与から約2時間以内に皮膚に浸入する。いくつかの実施形態では、大型薬剤は、投与から約3時間以内に皮膚に浸入する。いくつかの実施形態では、大型薬剤は、投与から約4時間以内に皮膚に浸入する。いくつかの実施形態では、大型薬剤は、投与から約5時間以内に皮膚に浸入する。いくつかの実施形態では、大型薬剤は、投与から約6時間以内に皮膚に浸入する。
【0210】
いくつかの実施形態では、大型薬剤は、投与から約1、2、3、4、5、6、7、8、9、または10分以内に皮膚の層に浸入する。いくつかの実施形態では、大型薬剤は、投与から約5~約60分以内に皮膚の層に浸入する。いくつかの実施形態では、大型薬剤は、投与から約5~約12分以内に皮膚の層に浸入する。いくつかの実施形態では、大型薬剤は、投与から約5~約15分以内に皮膚の層に浸入する。いくつかの実施形態では、大型薬剤は、投与から約15~約30分以内に皮膚の層に浸入する。いくつかの実施形態では、大型薬剤は、投与から約1時間以内に皮膚の層に浸入する。いくつかの実施形態では、大型薬剤は、投与から約2時間以内に皮膚の層に浸入する。いくつかの実施形態では、大型薬剤は、投与から約3時間以内に皮膚の層に浸入する。いくつかの実施形態では、大型薬剤は、投与から約4時間以内に皮膚の層に浸入する。いくつかの実施形態では、大型薬剤は、投与から約5時間以内に皮膚の層に浸入する。いくつかの実施形態では、大型薬剤は、投与から約6時間以内に皮膚の層に浸入する。
【0211】
いくつかの実施形態では、大型薬剤は、投与から約1、2、3、4、5、6、7、8、9、または10分以内に皮膚の最上層に浸入する。いくつかの実施形態では、大型薬剤は、投与から約5~約60分以内に皮膚の最上層に浸入する。いくつかの実施形態では、大型薬剤は、投与から約5~約12分以内に皮膚の最上層に浸入する。いくつかの実施形態では、大型薬剤は、投与から約5~約15分以内に皮膚の最上層に浸入する。いくつかの実施形態では、大型薬剤は、投与から約15~約30分以内に皮膚の最上層に浸入する。いくつかの実施形態では、大型薬剤は、投与から約1時間以内に皮膚の最上層に浸入する。いくつかの実施形態では、大型薬剤は、投与から約2時間以内に皮膚の最上層に浸入する。いくつかの実施形態では、大型薬剤は、投与から約3時間以内に皮膚の最上層に浸入する。いくつかの実施形態では、大型薬剤は、投与から約4時間以内に皮膚の最上層に浸入する。いくつかの実施形態では、大型薬剤は、投与から約5時間以内に皮膚の最上層に浸入する。いくつかの実施形態では、大型薬剤は、投与から約6時間以内に皮膚の最上層に浸入する。
【0212】
いくつかの実施形態では、大型薬剤は、投与から約1、2、3、4、5、6、7、8、9、または10分以内に角質層、真皮孔、及び/または皮膚腺を含む皮膚の最上層に浸入する。いくつかの実施形態では、大型薬剤は、投与から約5~約60分以内に角質層、真皮孔、及び/または皮膚腺を含む皮膚の最上層に浸入する。いくつかの実施形態では、大型薬剤は、投与から約5~約12分以内に角質層、真皮孔、及び/または皮膚腺を含む皮膚の最上層に浸入する。いくつかの実施形態では、大型薬剤は、投与から約5~約15分以内に角質層、真皮孔、及び/または皮膚腺を含む皮膚の最上層に浸入する。いくつかの実施形態では、大型薬剤は、投与から約15~約30分以内に角質層、真皮孔、及び/または皮膚腺を含む皮膚の最上層に浸入する。いくつかの実施形態では、大型薬剤は、投与から約1時間以内に角質層、真皮孔、及び/または皮膚腺を含む皮膚の最上層に浸入する。いくつかの実施形態では、大型薬剤は、投与から約2時間以内に角質層、真皮孔、及び/または皮膚腺を含む皮膚の最上層に浸入する。いくつかの実施形態では、大型薬剤は、投与から約3時間以内に角質層、真皮孔、及び/または皮膚腺を含む皮膚の最上層に浸入する。いくつかの実施形態では、大型薬剤は、投与から約4時間以内に角質層、真皮孔、及び/または皮膚腺を含む皮膚の最上層に浸入する。いくつかの実施形態では、大型薬剤は、投与から約5時間以内に角質層、真皮孔、及び/または皮膚腺を含む皮膚の最上層に浸入する。いくつかの実施形態では、大型薬剤は、投与から約6時間以内に角質層、真皮孔、及び/または皮膚腺を含む皮膚の最上層に浸入する。
【0213】
キット
いくつかの実施形態では、本発明は、本発明による1つ以上のエマルション組成物及び1つ以上の極微針装置を含む医薬パックまたはキットを提供する。いくつかの実施形態では、医薬パックまたはキットは、任意に医薬組成物の1つ以上の追加の成分が充填された1つ以上の容器内に、提供される組成物を含有する調製物または医薬組成物を含む。いくつかの実施形態では、医薬パックまたはキットは、併用療法で使用するための追加の承認された治療薬剤(例えば、座瘡の治療のためのベンゾイルパーオキサイド;多汗症の治療のためのアルミニウム化合物;など)を含む。いくつかの実施形態では、ヒト投与のための製造、使用または販売の機関による承認を反映する、医薬製品の製造、使用または販売を規制する政府機関によって規定された形態の通知は、そのような容器(複数可)と任意に関連し得る。
【0214】
いくつかの実施形態では、治療薬剤を含むキットが提供される。1つではあるが非限定的な例として、提供される組成物は、局所製剤として提供され得、極微針処理装置の使用と組み合わせた療法として投与され得る。そのため、自己投与のための医薬用量または指示書は、病態または障害、例えば、皮膚の真皮レベルに関連するものに罹患しているかまたはその危険性がある個体に投与するためのキットで提供され得る。
【0215】
いくつかの実施形態では、キットは、(i)提供される組成物;及び(ii)少なくとも1つの医薬的に許容可能な賦形剤;及び(iii)皮膚を極微針処理するための少なくとも1つの装置;及び(iv)使用のための指示書を含み得る。
【0216】
本発明は、とりわけ、後にMSCと組み合わせて投与される1つ以上のエマルション組成物に1つ以上の大型薬剤を組み込むことによって、大型薬剤、例えば、ボツリヌス毒素または抗体薬剤を経皮投与するための技術を提供する。本発明者は、驚くべきことに、ナノエマルション組成物に組み込まれたボツリヌス毒素または抗体薬剤の経皮浸透及びバイオアベイラビリティが、MSCと組み合わせて使用される場合に劇的に改善されることを見出した。本発明の利益は、皮膚への刺激または損傷を最小限にしつつ、そのような大型薬剤を皮内に投与する能力である。エマルション組成物及びMSCと共に他の薬剤または工程を使用することは、本発明の全ての実施形態において必ずしも排除されるわけではないが、必要とされるわけでもない。
【0217】
そのため、本発明は、MSCと組み合わせて優れたエマルション組成物(例えば、マクロエマルション組成物及び/またはナノエマルション組成物)を局所適用することにより大型薬剤を投与するための技術を提供する。いくつかの実施形態では、大型薬剤はボツリヌス毒素である。いくつかの実施形態では、ボツリヌスエマルション組成物は、MSCの前に表皮層を介する吸収のために皮膚に直接適用される。いくつかの実施形態では、ボツリヌスエマルション組成物は、MSCの後に表皮層を介する吸収のために皮膚に直接適用される。いくつかの実施形態では、ボツリヌスエマルション組成物は、MSCと実質的に同時に表皮層を介する吸収のために皮膚に直接適用される。
【0218】
いくつかの実施形態では、MSCと組み合わせたボツリヌスエマルション組成物は、浸入促進剤を使用せずに、角質層、真皮孔、及び/または皮膚腺を含む皮膚の最上層に浸入し得る。いくつかの実施形態では、MSCと組み合わせたボツリヌスエマルション組成物は、分解剤、刺激物、及び/または摩耗剤を使用せずに、角質層、真皮孔、及び/または皮膚腺を含む皮膚の最上層に浸入し得る。
【0219】
いくつかの実施形態では、MSCと組み合わせた抗体薬剤エマルション組成物は、浸入促進剤を使用せずに、角質層、真皮孔、及び/または皮膚腺を含む皮膚の最上層に浸入し得る。いくつかの実施形態では、大型薬剤は抗体薬剤である。いくつかの実施形態では、抗体薬剤エマルション組成物は、MSCの前に表皮層を介する吸収のために皮膚に直接適用される。いくつかの実施形態では、抗体薬剤エマルション組成物は、MSCの後に表皮層を介する吸収のために皮膚に直接適用される。いくつかの実施形態では、抗体薬剤エマルション組成物は、MSCと実質的に同時に表皮層を介する吸収のために皮膚に直接適用される。いくつかの実施形態では、抗体薬剤エマルション組成物は、全身的な吸収のために皮膚に直接適用される。
【0220】
いくつかの実施形態では、MSCと組み合わせた抗体薬剤エマルション組成物は、分解剤、刺激物、及び/または摩耗剤を使用せずに、角質層、真皮孔、及び/または皮膚腺を含む皮膚の最上層に浸入し得る。
【0221】
本発明の局所投与用の組成物が、皮膚柔軟剤、栄養ローション型エマルション、クレンジングローション、クレンジングクリーム、スキンミルク、エモリエントローション、マッサージクリーム、エモリエントクリーム、化粧ベース、顔用パックもしくは顔用ゲルなどの美容製剤、シャンプー、リンス、ボディ洗浄剤、ヘアートニック、もしくは石鹸などの洗浄製剤、またはローション、軟膏、ゲル、クリーム、パッチ、もしくはスプレーなどの皮膚用組成物を有し得ることは当業者に理解される。いくつかの実施形態では、局所投与用の組成物は、粘膜への投与用に製剤化されない(例えば、粘膜への適用には不適切であり、及び/または粘膜へまたは粘膜を越えて適切な量の大型薬剤を送達するために製剤化されない)。
【0222】
当業者は、本明細書における単位が、ボツリヌス毒素の商業的製造者によって定義される単位と生物学的に同等または生物活性的に同等である単位に関することを理解する。
【0223】
いくつかの実施形態では、本発明に従って投与されたボツリヌス毒素の治療効果は、注射された溶液の効果が持続する限り持続し得る。いくつかの実施形態では、そのような注射された溶液の効果は、最大で約6~7ヶ月間持続し得る。いくつかの実施形態では、本発明に従って投与されたボツリヌス毒素の治療効果は、最大で6~7ヶ月間持続し得る。いくつかの実施形態では、ボツリヌス毒素が徐々に放出されるようにボツリヌス毒素を保持し得る合成ポリマー担体の使用は、効果を最大で約5年間長引かせ得る(米国特許第6,312,708号)。
【0224】
いくつかの実施形態では、本発明は、全身毒性またはボツリヌス中毒を含むがこれらに限定されない潜在的な合併症を回避するボツリヌス毒素の局所製剤を提供する。いくつかの実施形態では、ボツリヌス毒素(A型、B型、C型、D型、E型、F型、もしくはG型またはボツリヌス毒素血清型Aよりも持続時間が長くまたは短く作用するように遺伝子操作または化学的修飾されたボツリヌスを含む)の投薬量は、有害な副作用の最小のリスクでは、約1単位ほどの少ないものから約20,000単位ほどの多いものまでの範囲であり得る。特定の投薬量は、治療されている病態及び利用されている治療レジメンに応じて変わり得る。例えば、皮下の過活動筋の治療は、高い経皮投薬量(例えば、1000単位~20,000単位)のボツリヌス毒素を必要とし得る。対象的に、神経性炎症または過活動汗腺の治療は、比較的少ない経皮投薬量(例えば、約1単位~約1,000単位)のボツリヌス毒素を必要とし得る。
【0225】
本発明のいくつかの実施形態は、ヒト患者への経皮送達のための安定化されたボツリヌス毒素を含む医薬組成物を企図している。ボツリヌス毒素は、ボツリヌス毒素A型、B型、C1型、D型、E型、F型及びG型、単離及び/または精製された(すなわち、約150kDaの)ボツリヌス毒素、ならびに天然のまたは組換えで作製されたボツリヌス毒素からなる群から選択され得る。いくつかの実施形態では、組成物は、約1単位~約20,000単位のボツリヌス毒素を含み得、組成物は、1ヶ月~5年持続する治療効果を達成するのに十分な量のボツリヌス毒素を含み得る。
【0226】
いくつかの実施形態では、本発明は、ボツリヌス毒素が血管を介して有意な量で浸透することなく、対象の皮膚を介して浸透することを可能にするボツリヌス毒素の(例えば、ボツリヌスエマルション組成物の)局所製剤を提供する。例えば、本発明のいくつかの実施形態では、医薬組成物中に存在するボツリヌス毒素の約25%未満、約20%未満、約15%未満、約10%未満、約5%未満、約4%未満、約3%未満、約2%未満、または約1%未満が、本発明の局所及び/または経皮調製物の適用の際に血管内に浸透する。
【0227】
いくつかの実施形態では、本発明は、抗体薬剤が血管を介して有意な量で浸透することなく、対象の皮膚を介して浸透することを可能にする抗体薬剤の(例えば、抗体薬剤エマルション組成物の)局所製剤を提供する。例えば、本発明のいくつかの実施形態では、医薬組成物中に存在する抗体薬剤の約25%未満、または更に約5%未満が、本発明の局所及び/または経皮調製物の適用の際に血管内に浸透する。
【0228】
いくつかの実施形態では、本発明は、抗体薬剤が対象の皮膚を介して浸透し、血管を介して有意な量で浸透することを可能にする抗体薬剤の(例えば、抗体薬剤エマルション組成物の)局所製剤を提供する。いくつかの実施形態では、本発明は、抗体薬剤が対象の皮膚を介して浸透し、血管を介して治療的に効果的な量で浸透することを可能にする抗体薬剤の(例えば、抗体薬剤エマルション組成物の)局所製剤を提供する。例えば、本発明のいくつかの実施形態では、医薬組成物中に存在する抗体薬剤の約25%、50%、75%、90%、または95%超が、本発明の局所及び/または経皮調製物の適用の際に血管内に浸透する。いくつかの実施形態では、本発明は、抗体薬剤が対象に対して全身的効果を及ぼすことを可能にする抗体薬剤の(例えば、抗体薬剤エマルション組成物の)局所製剤を提供する。
【0229】
当業者は、ボツリヌス毒素または抗体薬剤の経皮投与を達成する本発明の組成物が、例えば、パッチなどの装置に組み込まれ得ることを理解する。
【実施例0230】
例証
実施例1:ボツリヌス毒素のバイオアベイラビリティに対する極微針皮膚事前調整(MSC)事前治療の効果
ボツリヌスナノエマルションの局所投与後のボツリヌス毒素のバイオアベイラビリティの単回用量局所研究を実施した。研究は、極微針皮膚調整事前処理(すなわち、本明細書に記載されているように、ボツリヌス治療の任意の投与の前に実施されるMSC)がボツリヌスのバイオアベイラビリティを有意に促進するかどうかを試験するために設計された。
【0231】
研究は、それぞれ8匹のラットの2つの試験群を含んでいた。各群を、右後肢の大腿二頭筋、腓腹筋、及び前脛骨筋を覆う皮膚に一定濃度のボツリヌスの一定容量のボツリヌスナノエマルションで1回、局所的に1回治療した。局所調製物の皮膚への投与は約10分かかり、その時点で局所調製物は皮膚内に完全に吸収された。そのような治療の効果は、四肢麻痺を測定する尺度を使用して測定され、四肢麻痺はその肢へのボツリヌスの投与の既知の効果である。その尺度は、Aoki(2001,Toxicon,39:1815;及び2002,Toxicon,40:923)によって開発された4点尺度である指外転スコア(DASスコア)に基づいており、治療されたラットにおいて容易に評価され得る。0のスコアは麻痺がなく、4のスコアは完全麻痺である。麻痺を誘発するのに十分な濃度で投与される用量のボツリヌスはまた、動物における死を誘発するために継続され得ることも知られている。そのため、死亡率も2つの治療群で比較した。
【0232】
表5に記載されているように、群1は、MNでの皮膚の事前調整をしなかった。群2を、右後肢の大腿二頭筋、腓腹筋、及び前脛骨筋の各々を覆う各領域の1400mmの針を有する極微針アレイの5回の皮膚圧痕で治療した(すなわち、皮膚の事前調整をした)。ボツリヌスナノエマルションの局所治療は、治療が皮膚で観察されなくなるまでまたは感じられなくなるまで、手袋をはめた指で皮膚に十分擦り込んだ。
【表5】
【0233】
図1に示されるように、治療の1日後、MSCに供された動物は、そのような事前調整をしなかった対照群のおよそ2倍のDASスコアを有し、MSCが、ボツリヌス毒素を含む局所大型薬剤ナノエマルションのバイオアベイラビリティを予想外に増大させることを確立する。同様に、
図2に示されるように、MSCに供された動物における死亡率(100%)は、そのような事前調整をしなかった対照群における死亡率(50%)と比較した場合、治療の40時間後でおよそ2倍の死亡率であり、これもまた、MSCが、ボツリヌス毒素を含む局所大型薬剤ナノエマルションのバイオアベイラビリティを予想外に増大させることを確立することが分かった。
【0234】
要するに、研究の結果は、MSCがボツリヌスのバイオアベイラビリティを有意に促進することを確認した。
【0235】
実施例2:ヒトにおけるボツリヌス毒素のバイオアベイラビリティに対するMSC事前調整の効果:汗減少に対する効果
ヒトにおける局所ボツリヌスナノエマルション製剤の局所投与後のボツリヌス毒素のバイオアベイラビリティの単回用量局所研究を実施する。研究は、ボツリヌスナノエマルション製剤での局所治療後に皮膚における汗減少を測定することによって、極微針皮膚事前調整がヒトにおけるボツリヌスのバイオアベイラビリティを有意に促進したかどうかを試験するために設計される。
【0236】
研究は1つの対象を含む。それぞれ腹部にあり、それぞれ面積がおよそ2cm四方であり、それぞれ互いに5cm離れている2つのスポットを選択し、マーカーでマークする。各スポットを、一定濃度のボツリヌスでの一定容量のボツリヌスナノエマルション製剤で局所的に1回治療する。局所調製物の皮膚への投与は約5分かかり、その時点で局所調製物は皮膚内に完全に吸収される。第1のスポットは極微針アレイでの事前調整をせず、対照部位である。第2のスポットは、ボツリヌス製剤の適用前に長さ1400マイクロメートルの極微針アレイの3回の圧痕で事前調整され、介入部位である。
【0237】
そのような治療の予想される効果は、ボツリヌスナノエマルション治療の部位における発汗の減少である。治療部位における発汗の量は2つの方法によって測定される:1)蒸発計試験(皮膚からの水分蒸発速度を測定するために使用される機器が、(より多くの蒸発が発汗の増加と共に検出されるように)その発汗速度を検出するために使用される);または2)デンプン-ヨウ素試験(対象が治療部位に適用されたポビジンを有し;それを乾燥させ;トウモロコシデンプンが治療部位上に撒き散らされ;対象の汗が白色のトウモロコシデンプンに入った場合、それは紫色に変わり;対象が発汗しない場合、それは白色を保ち;これはデンプン-ヨウ素試験と呼ばれる)。いずれの汗検出方法についても、発汗を誘発するために、対象はヒートランプの下に配置され、次いでその汗検出方法が用いられる。
【0238】
汗検出方法は、ボツリヌスナノエマルション治療の前のベースライン;治療後2週間及び治療後4週間で用いられる。研究では、ベースラインにおいて、蒸発計試験またはデンプン-ヨウ素試験のいずれかによって検出された平均汗量が、対照部位及び介入部位でほぼ等しいことが分かる。治療後2週間及び4週間では、対照部位において蒸発計試験またはデンプン-ヨウ素試験のいずれかによって検出された平均汗量は、これらの治療後の週で介入部位において検出されるものより多い。
【0239】
この研究は、極微針事前調整が、ボツリヌス毒素を含む局所大型薬剤ナノエマルションのバイオアベイラビリティを予想外に上昇させることを確立する。
【0240】
実施例3:ヒトにおけるボツリヌス毒素のバイオアベイラビリティに対するMSC事前調整の効果:汗減少に対する効果
ヒトにおける局所ボツリヌスナノエマルション製剤の局所投与後のボツリヌス毒素のバイオアベイラビリティの単回用量局所研究を実施する。研究は、ボツリヌスナノエマルション製剤での局所治療後に皮膚における汗減少を測定することによって、極微針皮膚事前調整がヒトにおけるボツリヌスのバイオアベイラビリティを有意に促進したかどうかを試験するために設計される。
【0241】
研究は12人の対象を含む。それぞれ背中にあり、それぞれ面積がおよそ2cm四方であり、それぞれ互いに5cm離れている2つのスポットを選択し、マーカーでマークする。各スポットを、一定濃度のボツリヌスでの一定容量のボツリヌスナノエマルション製剤で局所的に1回治療する。局所調製物の皮膚への投与は約5分かかり、その時点で局所調製物は皮膚内に完全に吸収される。第1のスポットは極微針アレイでの事前調整をせず、対照部位である。第2のスポットは、ボツリヌス製剤の適用前に長さ1400マイクロメートルの極微針アレイの3回の圧痕で事前調整され、介入部位である。
【0242】
そのような治療の予想される効果は、ボツリヌスナノエマルション治療の部位における発汗の減少である。治療部位における発汗の量は2つの方法によって測定される:1)蒸発計試験(皮膚からの水分蒸発速度を測定するために使用される機器が、(より多くの蒸発が発汗の増加と共に検出されるように)その発汗速度を検出するために使用される);または2)デンプン-ヨウ素試験(対象が治療部位に適用されたポビジンを有し;それを乾燥させ;トウモロコシデンプンが治療部位上に撒き散らされ;対象の汗が白色のトウモロコシデンプンに入った場合、それは紫色に変わり;対象が発汗しない場合、それは白色を保ち;これはデンプン-ヨウ素試験と呼ばれる)。いずれの汗検出方法についても、発汗を誘発するために、対象はサウナ内に配置され、次いでその汗検出方法が用いられる。
【0243】
汗検出方法は、ボツリヌスナノエマルション治療の前のベースライン;治療後2週間及び治療後4週間で用いられる。研究では、ベースラインにおいて、蒸発計試験またはデンプン-ヨウ素試験のいずれかによって検出された平均汗量が、対照部位及び介入部位でほぼ等しいことが分かる。治療後2週間及び4週間では、対照部位において蒸発計試験またはデンプン-ヨウ素試験のいずれかによって検出された平均汗量は、これらの治療後の週で介入部位において検出されるものより多い。
【0244】
この研究は、極微針事前調整が、ボツリヌス毒素を含む局所大型薬剤ナノエマルションのバイオアベイラビリティを予想外に上昇させることを確立する。
【0245】
実施例4:ヒトにおけるボツリヌス毒素のバイオアベイラビリティに対するMSC事前調整の効果:汗減少に対する効果
ヒトにおける局所ボツリヌスナノエマルション製剤の局所投与後のボツリヌス毒素のバイオアベイラビリティの単回用量局所研究を実施する。研究は、ボツリヌスナノエマルション製剤での局所治療後に皮膚における汗減少を測定することによって、極微針皮膚調整がヒトにおけるボツリヌスのバイオアベイラビリティを有意に促進したかどうかを試験するために設計される。
【0246】
研究は1人の対象を含む。それぞれ腹部にあり、それぞれ面積がおよそ3cm四方であり、それぞれ互いに5cm離れている2つのスポットを選択し、マーカーでマークする。各スポットを、一定容量のボツリヌスナノエマルション製剤で局所的に1回治療する。局所調製物の皮膚への投与は約5分かかり、その時点で局所調製物は皮膚内に完全に吸収される。第1のスポットは、ボツリヌス製剤の適用前に極微針アレイでの事前調整をせず、対照部位である。第2のスポットは、ボツリヌス製剤の適用前に長さ1400マイクロメートルの極微針アレイの3回の圧痕で事前調整され、介入部位であり、介入部位に投与されたボツリヌス製剤の濃度は対照部位のものの半分である。
【0247】
そのような治療の予想される効果は、ボツリヌスナノエマルション治療の部位における発汗の減少である。治療部位における発汗の量は2つの方法によって測定される:1)蒸発計試験(皮膚からの水分蒸発速度を測定するために使用される機器が、(より多くの蒸発が発汗の増加と共に検出されるように)その発汗速度を検出するために使用される);または2)デンプン-ヨウ素試験(対象が治療部位に適用されたポビジンを有し;それを乾燥させ;トウモロコシデンプンが治療部位上に撒き散らされ;対象の汗が白色のトウモロコシデンプンに入った場合、それは紫色に変わり;対象が発汗しない場合、それは白色を保ち;これはデンプン-ヨウ素試験と呼ばれる)。いずれの汗検出方法についても、発汗を誘発するために、対象はヒートランプの下に配置され、次いでその汗検出方法が用いられる。
【0248】
汗検出方法は、ボツリヌスナノエマルション治療の前のベースライン;治療後2週間及び治療後4週間で用いられる。研究では、ベースラインにおいて、蒸発計汗試験またはデンプン-ヨウ素試験のいずれかによって検出された平均汗量が、対照部位及び介入部位でほぼ等しいことが分かる。治療後2週間及び4週間では、対照部位において蒸発計試験またはデンプン-ヨウ素試験のいずれかによって検出された平均汗量は、介入部位に投与されたボツリヌス製剤の濃度が対照部位のものの半分であるという事実にもかかわらず、互いに同等である。この研究は、極微針事前調整が、ボツリヌス毒素を含む局所大型薬剤ナノエマルションのバイオアベイラビリティを予想外に上昇させることを確立する。
【0249】
実施例5:ヒトにおけるボツリヌス毒素のバイオアベイラビリティに対する極微針処理(MN)皮膚事前調整の効果:汗及びしわの減少に対する効果
ヒトにおける局所ボツリヌスナノエマルション製剤の局所投与後のボツリヌス毒素のバイオアベイラビリティの単回用量局所研究を実施する。研究は、ボツリヌスナノエマルション製剤での局所治療後に皮膚における汗減少及びしわ減少を測定することによって、極微針皮膚事前調整がヒトにおけるボツリヌスのバイオアベイラビリティを有意に促進したかどうかを試験するために設計される。
【0250】
研究は、額に重度の前頭(または水平)しわを有する1人の対象を含む。それぞれ対象の額にあり、それぞれ面積がおよそ2cm四方であり、それぞれ互いに5cm離れている2つのスポットを選択し、マーカーでマークする。各スポットを、一定濃度のボツリヌスでの一定容量のボツリヌスナノエマルション製剤で局所的に1回治療する。局所製剤の皮膚への投与は約5分かかり、その時点で局所製剤は皮膚内に完全に吸収される。第1のスポットは極微針アレイでの事前調整をせず、対照部位である。第2のスポットは、ボツリヌス製剤の適用前に長さ1400マイクロメートルの極微針アレイの3回の圧痕で事前調整され、介入部位である。
【0251】
そのような治療の予想される効果は、ボツリヌスナノエマルション治療の部位における発汗の減少である。治療部位における発汗の量は2つの方法によって測定される:1)蒸発計試験(皮膚からの水分蒸発速度を測定するために使用される機器が、(より多くの蒸発が発汗の増加と共に検出されるように)その発汗速度を検出するために使用される);または2)デンプン-ヨウ素試験(対象が治療部位に適用されたポビジンを有し;それを乾燥させ;トウモロコシデンプンが治療部位上に撒き散らされ;対象の汗が白色のトウモロコシデンプンに入った場合、それは紫色に変わり;対象が発汗しない場合、それは白色を保ち;これはデンプン-ヨウ素試験と呼ばれる)。いずれの汗検出方法についても、発汗を誘発するために、対象はサウナ内に配置され、次いでその方法が用いられる。
【0252】
ボツリヌスナノエマルション治療の予想される効果は、ボツリヌスナノエマルション治療の部位における前頭しわを減少させることである。しわの重症度は、4点しわ尺度(しわ尺度)を使用して測定される:0=なし、1=軽度、2=中程度、3=重度。
【0253】
汗検出方法は、ボツリヌスナノエマルション治療の前のベースライン;治療後2週間及び治療後4週間で用いられる。研究では、ベースラインにおいて、蒸発計試験またはデンプン-ヨウ素試験のいずれかによって検出された平均汗量が、対照部位及び介入部位でほぼ等しいことが分かる。治療後2週間及び4週間では、対照部位において蒸発計試験またはデンプン-ヨウ素試験のいずれかによって検出された平均汗量は、これらの治療後の週で介入部位において検出されるものより多い。研究では、ベースラインにおいて、しわ尺度によって測定される前頭しわの平均重症度が対照部位及び介入部位でほぼ等しいことが分かる。治療後2週間及び4週間では、対照部位でのしわ尺度によって測定される前頭しわの平均重症度は、これらの治療後の週で介入部位において検出されるものより高い。
【0254】
この研究は、極微針事前調整が、ボツリヌス毒素を含む局所大型薬剤ナノエマルションのバイオアベイラビリティを予想外に上昇させることを確立する。
【0255】
実施例6:ヒトにおけるボツリヌス毒素のバイオアベイラビリティに対する極微針処理(MN)皮膚事前調整の効果:多汗症の対象における汗減少に対する効果
ヒトにおける局所ボツリヌスナノエマルション製剤の局所投与後のボツリヌス毒素のバイオアベイラビリティの単回用量局所研究を実施する。研究は、ボツリヌスナノエマルション製剤での局所治療後に皮膚における汗減少を測定することによって、極微針皮膚事前調整がヒトにおけるボツリヌスのバイオアベイラビリティを有意に促進したかどうかを試験するために設計される。
【0256】
研究は、脇の下での過度の発汗によって特徴付けられる病態腋窩多汗症を有する各々20人の対象の2つの治療群を含む:群1は対照群であり、各対象の脇の下に適用されたボツリヌスナノエマルションを有する;群2は介入群であり、ボツリヌスナノエマルション製剤の適用前に、脇の下の皮膚の各部分に長さ1400マイクロメートルの極微針アレイの3回の圧痕で事前調整する。群1及び2における各対象を、一定濃度のボツリヌスでの一定容量のボツリヌスナノエマルション製剤で1回、局所的に1回治療する。局所製剤の皮膚への投与は約5分かかり、その時点で局所製剤は皮膚内に完全に吸収される。
【0257】
そのような治療の予想される効果は、脇の下であるボツリヌスナノエマルション治療の部位における発汗の減少である。治療部位における発汗の量は、重量汗測定(GS試験)によって測定される:対象の脇の下をペーパータオルで乾燥させ;濾紙を秤量し;濾紙を脇の下に5分間適用し;次いで再度秤量し;その紙を再秤量した後の過剰重量が、対象が5分で生成した汗の重量である。対象の多汗症病態の重症度は、対象によって評価される4点尺度である多汗症発汗重症度尺度(HDSS)を使用して対象によって測定される:0=なし、1=軽度、2=中程度、3=重度。
【0258】
GS試験及びHDSSは、ボツリヌスナノエマルション治療の前のベースライン;治療後2週間及び治療後4週間で用いられる。研究では、ベースラインにおいて、GS試験によって検出される汗の平均量またはHDSSによって測定される疾患重症度が群1~2を通してほぼ等しいことが分かる。治療後2週間及び4週間では、群1における検出された平均汗量または疾患重症度は、これらの治療後の週で検出された群2のものより大きい。
【0259】
この研究は、極微針事前調整が、ボツリヌス毒素を含む局所大型薬剤ナノエマルションのバイオアベイラビリティを予想外に上昇させることを確立する。
【0260】
実施例7:ヒトにおけるボツリヌス毒素のバイオアベイラビリティに対する極微針処理(MN)皮膚事前調整の効果:カラスの足のしわの減少に対する効果
ヒトにおける局所ボツリヌスナノエマルション製剤の局所投与後のボツリヌス毒素のバイオアベイラビリティの単回用量局所研究を実施した。研究は、ボツリヌスナノエマルション製剤での局所治療後に皮膚におけるしわ減少を測定することによって、極微針皮膚事前調整がヒトにおけるボツリヌスのバイオアベイラビリティを有意に促進したかどうかを試験するために設計された。
【0261】
研究は、1人の対象を含み、その対象は彼女の目の側に重度のカラスの足のしわを有していた。ボツリヌスナノエマルションを対象のカラスの足のしわに適用した。皮膚に適用されたボツリヌスの用量は、極微針皮膚事前調整を行わずにボツリヌスナノエマルションを適用した場合の効果的な用量のおよそ15%の量であった。効果的な用量は、5点しわ評価尺度によって測定されるように、対象がカラスの足のしわを引き起こす筋肉を収縮させていたときにしわの外観に少なくとも2点の改善を引き起こすであろう用量として定義された。顔の一方の側へのボツリヌスナノエマルション製剤の適用前に、カラスの足のしわが位置する皮膚の各部分に対して長さ1400マイクロメートルの極微針アレイの2回の圧痕で対象を事前調整し、顔の他方の側へのボツリヌスエマルション製剤の適用前に、カラスの足のしわが位置する皮膚の各部分に対して長さ800マイクロメートルの極微針アレイの2回の圧痕で事前調整した。局所製剤の皮膚への投与は約5分かかり、その時点で局所製剤は皮膚内に完全に吸収された。
【0262】
ボツリヌスナノエマルション治療の予想される効果は、ボツリヌスナノエマルション治療の部位におけるカラスの足のしわの減少である。しわの重症度は、5点しわ尺度(しわ尺度)を使用して測定された:0=なし、1=最小、2=軽度、3=中程度、4=重度。
【0263】
しわ尺度は、ボツリヌスナノエマルション治療の前のベースライン;治療後2週間及び治療後4週間で用いられた。研究では、ベースラインにおいて、対象は、しわ尺度によって評価されるように、5点しわ尺度の4のスコアを有する重度のしわを有することが分かった。治療後2週間で、しわの平均重症度は、しわ尺度で1点減少して、顔の各側で3(中程度)のスコアになった。治療後4週間で、しわの平均重症度は、しわ尺度で2点減少して、顔の各側で2(軽度)のスコアになった。
【0264】
この研究は、極微針事前調整が、ボツリヌス毒素を含む局所大型薬剤ナノエマルションのバイオアベイラビリティを予想外に上昇させたことを確立した。
【0265】
実施例8:ヒトにおけるボツリヌス毒素のバイオアベイラビリティに対する極微針処理(MN)皮膚事前調整の効果:カラスの足のしわの減少に対する効果
ヒトにおける局所ボツリヌスナノエマルション製剤の局所投与後のボツリヌス毒素のバイオアベイラビリティの単回用量局所研究を実施する。研究は、ボツリヌスナノエマルション製剤での局所治療後に皮膚におけるしわ減少を測定することによって、極微針皮膚事前調整がヒトにおけるボツリヌスのバイオアベイラビリティを有意に促進したかどうかを試験するために設計される。
【0266】
研究は20人の対象の2つの治療群を含み、各々の対象が重度のカラスの足のしわを彼らの目の側に有する:群1は対照群であり、各対象のカラスの足のしわに適用されたボツリヌスナノエマルションを有する;群2は介入群であり、ボツリヌスナノエマルション製剤の適用前に、カラスの足のしわが位置する皮膚の各部分に長さ1400マイクロメートルの極微針アレイの3回の圧痕で事前調整する。群1及び2における各対象を、一定濃度のボツリヌスでの一定容量のボツリヌスナノエマルション製剤で局所的に1回治療する。局所製剤の皮膚への投与は約5分かかり、その時点で局所製剤は皮膚内に完全に吸収される。
【0267】
ボツリヌスナノエマルション治療の予想される効果は、ボツリヌスナノエマルション治療の部位におけるカラスの足のしわの減少である。しわの重症度は、4点しわ尺度(しわ尺度)を使用して測定される:0=なし、1=軽度、2=中程度、3=重度。
【0268】
しわ尺度は、ボツリヌスナノエマルション治療の前のベースライン;治療後2週間及び治療後4週間で用いられる。研究では、ベースラインにおいて、しわ尺度によって検出されるしわの平均重症度が群1~2を通してほぼ等しいことが分かる。治療後2週間及び4週間では、群1におけるしわの平均重症度は、これらの治療後の週で群2で検出されるものより高い。
【0269】
この研究は、極微針事前調整が、ボツリヌス毒素を含む局所大型薬剤ナノエマルションのバイオアベイラビリティを予想外に上昇させることを確立する。
【0270】
実施例9:ヒトにおけるボツリヌス毒素のバイオアベイラビリティに対する極微針処理(MN)皮膚事前調整の効果:カラスの足のしわの減少に対する用量変化の効果
ヒトにおける局所ボツリヌスナノエマルション製剤の局所投与後のボツリヌス毒素のバイオアベイラビリティの単回用量局所研究を実施する。研究は、ボツリヌスナノエマルション製剤での局所治療後に皮膚におけるしわ減少を測定することによって、極微針皮膚事前調整がヒトにおけるボツリヌスのバイオアベイラビリティを有意に促進したかどうかを試験するために設計される。
【0271】
研究は20人の対象の2つの治療群を含み、各々の対象が重度のカラスの足のしわを有する:群1は対照群であり、各対象のカラスの足のしわにボツリヌスナノエマルションを有する;群2は介入群であり、ボツリヌスナノエマルション製剤の適用前に、カラスの足のしわが位置する皮膚の各部分に長さ1400マイクロメートルの極微針アレイの3回の圧痕で事前調整する。群1の治療が群2の治療の2倍のボツリヌス濃度であることを除き、各対象を一定濃度のボツリヌスでの一定容量のボツリヌスナノエマルション製剤で局所的に1回治療する。局所製剤の皮膚への投与は約5分かかり、その時点で局所製剤は皮膚内に完全に吸収される。
【0272】
ボツリヌスナノエマルション治療の予想される効果は、ボツリヌスナノエマルション治療の部位におけるカラスの足のしわの減少である。しわの重症度は、4点しわ尺度(しわ尺度)を使用して測定される:0=なし、1=軽度、2=中程度、3=重度。
【0273】
しわ尺度は、ボツリヌスナノエマルション治療の前のベースライン;治療後2週間及び治療後4週間で用いられる。研究では、ベースラインにおいて、しわ尺度によって検出されるしわの平均重症度が群1及び2を通してほぼ等しいことが分かる。治療後2週間及び4週間で、群1及び2におけるしわの平均重症度は、群1が群2の2倍の濃度で治療されたにもかかわらず、ベースラインと比較してほぼ同量減少する。
【0274】
この研究は、極微針皮膚事前調整を受けなかった患者と比較した場合、より低い用量のボツリヌスが同等の治療効果を得るように用いられ得るように、極微針事前調整が、ボツリヌス毒素を含む局所大型薬剤ナノエマルションのバイオアベイラビリティを予想外に上昇させることを確立する。
【0275】
実施例10:ヒトにおけるボツリヌス毒素のバイオアベイラビリティに対する極微針処理(MN)皮膚事前調整の効果:カラスの足のしわの減少に対する用量変化の効果
ヒトにおける局所ボツリヌスマクロエマルション製剤の局所投与後のボツリヌス毒素のバイオアベイラビリティの単回用量局所研究を実施する。研究は、ボツリヌスマクロエマルション製剤での局所治療後に皮膚におけるしわ減少を測定することによって、極微針皮膚事前調整がヒトにおけるボツリヌスのバイオアベイラビリティを有意に促進したかどうかを試験するために設計される。
【0276】
研究は20人の対象の2つの治療群を含み、各々の対象が重度のカラスの足のしわを有する:群1は対照群であり、各対象のカラスの足のしわにボツリヌスマクロエマルションを有する;群2は介入群であり、ボツリヌスマクロエマルション製剤の適用前に、カラスの足のしわが位置する皮膚の各部分に長さ1400マイクロメートルの極微針アレイの3回の圧痕で事前調整する。各対象を、一定濃度のボツリヌスでの一定容量のボツリヌスナノエマルション製剤で局所的に1回治療する。局所製剤の皮膚への投与は約5分かかり、その時点で局所製剤は皮膚内に完全に吸収される。
【0277】
ボツリヌスナノエマルション治療の予想される効果は、ボツリヌスナノエマルション治療の部位におけるカラスの足のしわの減少である。しわの重症度は、4点しわ尺度(しわ尺度)を使用して測定される:0=なし、1=軽度、2=中程度、3=重度。
【0278】
しわ尺度は、ボツリヌスナノエマルション治療の前のベースライン;治療後2週間及び治療後4週間で用いられる。研究では、ベースラインにおいて、しわ尺度によって検出されるしわの平均重症度が群1及び2を通してほぼ等しいことが分かる。治療後2週間及び4週間で、群1におけるしわの平均重症度は群2におけるしわの平均重症度よりも大きい。
【0279】
この研究は、極微針皮膚事前調整を受けなかった患者と比較した場合、極微針事前調整が、ボツリヌス毒素を含む局所大型薬剤マクロエマルションのバイオアベイラビリティを予想外に上昇させることを確立する。
【0280】
参考文献
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【0281】
均等物
当業者は、本明細書に記載の本発明の特定の実施形態に対する多くの均等物を認識するか、または日常的な実験を超えることなく確認することができる。本発明の範囲は、上記の説明に限定されることは意図されていないが、以下の特許請求の範囲に記載されているとおりである。
本発明は以下の項目を提供する。
(項目1)
100,000KDa以上の分子量を有する大型薬剤を含むエマルション組成物を部位に適用することを前記部位の極微針皮膚調整(MSC)と組み合わせて行うことを含む方法。
(項目2)
大型薬剤を含む前記組成物が、前記大型薬剤を含むナノエマルションを含む、項目1に記載の方法。
(項目3)
大型薬剤を含む前記組成物が、前記大型薬剤を含むマクロエマルションを含む、項目1に記載の方法。
(項目4)
非刺激性浸入促進剤の投与を更に含む、項目1~3のいずれか1項に記載の方法。
(項目5)
前記非刺激性浸入促進剤が、担体ペプチド及びコペプチドから選択される、項目4に記載の方法。
(項目6)
前記非刺激性浸入促進剤が、カチオン性ペプチド及び配列RKKRRQRRRG-(K)15-GRKKRRQRRRを有する正に荷電した担体から選択される、項目4~5のいずれか1項に記載の方法。
(項目7)
前記部位の前記MSCが、大型薬剤を含む前記組成物を前記部位に適用する前に実施される、項目1~6のいずれか1項に記載の方法。
(項目8)
前記部位の前記MSCが、大型薬剤を含む前記組成物を前記部位に適用した後に実施される、項目1~6のいずれか1項に記載の方法。
(項目9)
前記部位の前記MSC及び大型薬剤を含む前記組成物の前記部位への適用が実質的に同時に行われる、項目1~6のいずれか1項に記載の方法。
(項目10)
前記大型薬剤がボツリヌス毒素である、項目1~9のいずれか1項に記載の方法。
(項目11)
ボツリヌス毒素を生物学的活性剤と共に送達することを更に含む、項目10に記載の方法。
(項目12)
前記生物学的活性剤が、ステロイド、レチノイド、麻酔薬、充填剤、シリコーン、及び/またはコラーゲンから選択される、項目11に記載の方法。
(項目13)
前記生物学的活性剤が、ヒドロコルチゾン、レチンA、及び/またはリドカインから選択される、項目12に記載の方法。
(項目14)
前記大型薬剤が抗体薬剤である、項目1~9のいずれか1項に記載の方法。
(項目15)
前記抗体薬剤が、抗TNFα抗体、抗CD2抗体、抗CD4抗体、抗IL-12抗体、抗IL-17抗体、抗IL-22抗体、及び抗IL-23抗体から選択される、項目14に記載の方法。
(項目16)
前記抗体薬剤が、インフリキシマブ、アダリムマブ、ゴリムマブ、エタネルセプト、エタネルセプト-szzs、セルトリズマブペゴル、シピリズマブ、ザノリムマブ、ブリアキヌマブ、セクキヌマブ、ブロダルマブ、フェザキヌマブ、ウステキヌマブ及び/またはグセルクマブのうちの1つ以上に見られるエピトープ結合要素を有する抗体から選択される、項目14~15のいずれか1項に記載の方法。
(項目17)
前記抗体薬剤を生物学的活性剤と共に送達することを更に含む、項目14~16のいずれか1項に記載の方法。
(項目18)
前記抗体薬剤を非刺激性浸入促進剤と共に送達することを更に含む、項目14~17のいずれか1項に記載の方法。
(項目19)
前記非刺激性浸入促進剤が、コペプチド、及び担体ペプチドから選択される、項目18に記載の方法。
(項目20)
前記部位の前記MSCが、複数の針を含む装置で達成される、項目1~19のいずれか1項に記載の方法。
(項目21)
前記装置が、パッチ、ローラー、スタンプ、またはペンである、項目20に記載の方法。
(項目22)
前記部位が、対象の筋肉または筋肉群を覆う皮膚表面である、項目1~21のいずれか1項に記載の方法。
(項目23)
前記部位が、汗腺を含有する皮膚表面である、項目1~22のいずれか1項に記載の方法。
(項目24)
前記部位が、皮脂腺を含有する皮膚表面である、項目1~23のいずれか1項に記載の方法。
(項目25)
前記部位が、毛包を含有する皮膚表面である、項目1~24のいずれか1項に記載の方法。
(項目26)
前記針が、前記皮膚の角質層を通して突出するのに十分な長さを有する、項目20~25のいずれか1項に記載の方法。
(項目27)
前記針が、前記皮膚の真皮における神経に達するのに不十分な長さを有する、項目20~26のいずれか1項に記載の方法。
(項目28)
前記針が、約10~約4000μmの長さを有する、項目20~27のいずれか1項に記載の方法。
(項目29)
前記針が、約100μm以上の長さを有する、項目20~28のいずれか1項に記載の方法。
(項目30)
前記針が、約25μm以上の長さを有する、項目20~28のいずれか1項に記載の方法。
(項目31)
前記針が、約300μm、約500μm、約800μm、約1000μm、約1500μm、約2000μm、または約4000μm以上の長さを有する、項目20~28のいずれか1項に記載の方法。
(項目32)
前記針が、生体適合性材料から構成される、項目20~31のいずれか1項に記載の方法。
(項目33)
前記針が、金属から構成される、項目20~31のいずれか1項に記載の方法。
(項目34)
前記MSCが、1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、または20回のMNまたはMNアレイ圧痕の投与を含む、項目1~33のいずれか1項に記載の方法。
(項目35)
前記MNアレイが、1回以上の圧痕間で回転される、項目34に記載の方法。
(項目36)
前記MNアレイが、1回以上の圧痕間で回転されない、項目34に記載の方法。
(項目37)
前記圧痕がほぼ同じ部位上で行われる、項目34~36のいずれか1項に記載の方法。(項目38)
前記圧痕が、重複部位上で行われる、項目34~36のいずれか1項に記載の方法。
(項目39)
前記圧痕が、異なる部位上で行われる、項目34~36のいずれか1項に記載の方法。(項目40)
前記MNアレイが、スタンプまたはローラーの形態である、項目34~39のいずれか1項に記載の方法。
(項目41)
前記圧痕が、スタンプ押しまたはローラー回転によって行われる、項目40に記載の方法。
(項目42)
前記大型薬剤が、投与から約1、2、3、4、5、6、7、8、9、または10分以内に前記皮膚に浸入する、項目1~41のいずれか1項に記載の方法。
(項目43)
前記大型薬剤が、投与から約5~約60分、約5~約12分、約5~約15分、または約15~約30分以内に前記皮膚に浸入する、項目1~41のいずれか1項に記載の方法。
(項目44)
前記大型薬剤が、投与から約1、2、3、4、5、または6時間以内に前記皮膚に浸入する、項目1~41のいずれか1項に記載の方法。
(項目45)
前記針が、溶解ポリマーから構成される、項目20~32のいずれか1項に記載の方法。
(項目46)
前記投与が、極微針が用いられない参照局所治療レジメンと比較してより少ない用量で大型薬剤を含む前記組成物を投与することを含む、項目1~45のいずれか1項に記載の方法。
(項目47)
複数の用量の大型薬剤を含む前記組成物を経時的に投与することを含む、項目1~46のいずれか1項に記載の方法。
(項目48)
前記投与することが、極微針が用いられない参照治療レジメンと比較してより少ない用量の大型薬剤を含む前記組成物を一定治療期間にわたって投与して同等の治療効果を生じさせる、項目47に記載の方法。
(項目49)
大型薬剤を含む前記組成物の各用量が、特定の期間で隔てられている、項目47または項目48に記載の方法。
(項目50)
前記特定の期間が、極微針が用いられない参照治療レジメンを投与するための特定の期間と比較して長い、項目49に記載の方法。
(項目51)
前記参照治療レジメンが、MSCを伴わずに大型薬剤を含む前記組成物を投与することを含む、項目46~50のいずれか1項に記載の方法。
(項目52)
項目1~51のいずれか1項に記載の方法を含む、皮膚障害を治療する方法。
(項目53)
前記皮膚障害が、座瘡、不要な発汗、体臭、多汗症、臭汗症、色汗症、酒さ、脱毛、乾癬、光線性角化症、湿疹様皮膚炎、皮脂過剰生成障害、火傷、エリテマトーデス、色素沈着過剰障害、色素沈着低下障害、皮膚癌、皮膚感染症、顔面のしわ、醜い顔面表情、首筋、多機能顔面筋、過収縮顔面筋、広頸筋帯、及び/またはそれらの組み合わせから選択される、項目52に記載の方法。
(項目54)
項目1~52いずれか1項に記載の方法を含む、不要な発汗、体臭、多汗症、臭汗症、色汗症、脱毛、レイノー現象、関節リウマチ、乾癬性関節炎、変形性関節症、エリテマトーデス、全身性エリテマトーデス、円盤状ループス、薬物誘発ループス、新生児ループス、クローン病、炎症性腸疾患、潰瘍性大腸炎、肺障害、喘息、慢性閉塞性気道障害、アミロイド症、全身性アミロイドーシス、皮膚性アミロイドーシス、がん、皮膚癌、血液癌、乳癌、結腸癌、肺癌、前立腺肥大、脂質異常症、高コレステロール血症、感染症、C.difficile感染症、Staphylococcus感染症、ジストニア、頭痛、疼痛、関節炎に関連する疼痛、関節リウマチに関連する疼痛、乾癬性関節炎に関連する疼痛、変形性関節症に関連する疼痛、所定の眼科病態、所定の泌尿器病態、神経筋障害、筋肉痙攣及び/または拘縮を含む病態、斜視、片側顔面痙攣、振戦、多発性硬化症に起因するものなどの痙縮、眼窩後方筋、神経病態、アルツハイマー病、パーキンソン病、または脳卒中から選択される障害を治療または予防する方法。
(項目55)
大型薬剤を含む前記組成物が、ローション、クリーム、粉末、軟膏、リニメント、ゲル、またはドロップとして製剤化されている、項目1~54のいずれか1項に記載の方法。(項目56)
大型薬剤を含む組成物と、複数の極微針とを含むパッチ。
(項目57)
大型薬剤を含む前記組成物が、ナノエマルションを含む、項目56に記載のパッチ。
(項目58)
大型薬剤を含む前記組成物が、マクロエマルションを含む、項目56に記載のパッチ。(項目59)
前記針が、前記皮膚の角質層を通して突出するのに十分な長さを有する、項目56~58のいずれか1項に記載のパッチ。
(項目60)
前記針が、前記皮膚の真皮における神経に達するのに不十分な長さを有する、項目57~59のいずれか1項に記載のパッチ。
(項目61)
前記針が、約10~約1000μmの長さを有する、項目57~60のいずれか1項に記載のパッチ。
(項目62)
前記針が、約100μm以上の長さを有する、項目57~61のいずれか1項に記載のパッチ。
(項目63)
前記針が、約300μm以上の長さを有する、項目57~62のいずれか1項に記載のパッチ。
(項目64)
前記針が、生体適合性材料から構成される、項目57~63のいずれか1項に記載のパッチ。
(項目65)
前記針が、金属から構成される、項目57~64のいずれか1項に記載のパッチ。
(項目66)
前記針が、溶解ポリマーから構成される、項目57~64のいずれか1項に記載のパッチ。
(項目67)
前記大型薬剤が、100KDa以上の分子量を有する、項目57~66のいずれか1項に記載のパッチ。
(項目68)
前記大型薬剤が、ボツリヌス毒素である、項目57~67のいずれか1項に記載のパッチ。
(項目69)
前記大型薬剤が、抗体薬剤である、項目57~67のいずれか1項に記載のパッチ。
(項目70)
大型薬剤を含む組成物と、大型薬剤を含む前記組成物を部位に適用するのに使用するためのパッチとを含むキット。
(項目71)
大型薬剤を含む前記組成物が前記パッチに組み込まれている、項目70に記載のキット。
(項目72)
大型薬剤を含む組成物と、部位の極微針調整のための装置とを含むキット。
(項目73)
大型薬剤を含む前記組成物が、ナノエマルションを含む、項目70~72のいずれか1項に記載のキット。
(項目74)
大型薬剤を含む前記組成物が、マクロエマルションを含む、項目70~72のいずれか1項に記載のキット。
(項目75)
前記装置が、複数の針を含む、項目70~74のいずれか1項に記載のキット。
(項目76)
前記装置が、パッチ、ローラー、スタンプ、またはペンである、項目70~75のいずれか1項に記載のキット。
(項目77)
項目56~68のいずれか1項に記載のパッチを含む、項目70~76のいずれか1項に記載のキット。
(項目78)
大型薬剤を含む前記組成物が、ローション、クリーム、粉末、軟膏、リニメント、ゲル、またはドロップとして製剤化されている、項目70または72~77のいずれか1項に記載のキット。
本発明は、例えば、以下の項目を提供する。
(項目1)
100,000Da以上の分子量を有する大型薬剤を含むエマルション組成物を部位に適用することを前記部位の極微針皮膚調整(MSC)と組み合わせて行うことを含む方法。
(項目2)
大型薬剤を含む前記組成物が、前記大型薬剤を含むナノエマルションを含む、項目1に記載の方法。
(項目3)
大型薬剤を含む前記組成物が、前記大型薬剤を含むマクロエマルションを含む、項目1に記載の方法。
(項目4)
非刺激性浸入促進剤の投与を更に含む、項目1~3のいずれか1項に記載の方法。
(項目5)
前記非刺激性浸入促進剤が、担体ペプチド及びコペプチドから選択される、項目4に記載の方法。
(項目6)
前記非刺激性浸入促進剤が、カチオン性ペプチド及び配列RKKRRQRRRG-(K)15-GRKKRRQRRRを有する正に荷電した担体から選択される、項目4~5のいずれか1項に記載の方法。
(項目7)
前記部位の前記MSCが、大型薬剤を含む前記組成物を前記部位に適用する前に実施される、項目1~6のいずれか1項に記載の方法。
(項目8)
前記部位の前記MSCが、大型薬剤を含む前記組成物を前記部位に適用した後に実施される、項目1~6のいずれか1項に記載の方法。
(項目9)
前記部位の前記MSC及び大型薬剤を含む前記組成物の前記部位への適用が実質的に同時に行われる、項目1~6のいずれか1項に記載の方法。
(項目10)
前記大型薬剤がボツリヌス毒素である、項目1~9のいずれか1項に記載の方法。
(項目11)
ボツリヌス毒素を生物学的活性剤と共に送達することを更に含む、項目10に記載の方法。
(項目12)
前記生物学的活性剤が、ステロイド、レチノイド、麻酔薬、充填剤、シリコーン、及び/またはコラーゲンから選択される、項目11に記載の方法。
(項目13)
前記生物学的活性剤が、ヒドロコルチゾン、レチンA、及び/またはリドカインから選択される、項目12に記載の方法。
(項目14)
前記大型薬剤が抗体薬剤である、項目1~9のいずれか1項に記載の方法。
(項目15)
前記抗体薬剤が、抗TNFα抗体、抗CD2抗体、抗CD4抗体、抗IL-12抗体、抗IL-17抗体、抗IL-22抗体、及び抗IL-23抗体から選択される、項目14に記載の方法。
(項目16)
前記抗体薬剤が、インフリキシマブ、アダリムマブ、ゴリムマブ、エタネルセプト、エタネルセプト-szzs、セルトリズマブペゴル、シプリズマブ、ザノリムマブ、ブリアキヌマブ、セクキヌマブ、ブロダルマブ、フェザキヌマブ、ウステキヌマブ及び/またはグセルクマブのうちの1つ以上に見られるエピトープ結合要素を有する抗体から選択される、項目14~15のいずれか1項に記載の方法。
(項目17)
前記抗体薬剤を生物学的活性剤と共に送達することを更に含む、項目14~16のいずれか1項に記載の方法。
(項目18)
前記抗体薬剤を非刺激性浸入促進剤と共に送達することを更に含む、項目14~17のいずれか1項に記載の方法。
(項目19)
前記非刺激性浸入促進剤が、コペプチド、及び担体ペプチドから選択される、項目18に記載の方法。
(項目20)
前記部位の前記MSCが、複数の針を含む装置で達成される、項目1~19のいずれか1項に記載の方法。
(項目21)
前記装置が、パッチ、ローラー、スタンプ、またはペンである、項目20に記載の方法。
(項目22)
前記部位が、対象の筋肉または筋肉群を覆う皮膚表面である、項目1~21のいずれか1項に記載の方法。
(項目23)
前記部位が、汗腺を含有する皮膚表面である、項目1~22のいずれか1項に記載の方法。
(項目24)
前記部位が、皮脂腺を含有する皮膚表面である、項目1~23のいずれか1項に記載の方法。
(項目25)
前記部位が、毛包を含有する皮膚表面である、項目1~24のいずれか1項に記載の方法。
(項目26)
前記針が、前記皮膚の角質層を通して突出するのに十分な長さを有する、項目20~25のいずれか1項に記載の方法。
(項目27)
前記針が、前記皮膚の真皮における神経に達するのに不十分な長さを有する、項目20~26のいずれか1項に記載の方法。
(項目28)
前記針が、約10~約4000μmの長さを有する、項目20~27のいずれか1項に記載の方法。
(項目29)
前記針が、約100μm以上の長さを有する、項目20~28のいずれか1項に記載の方法。
(項目30)
前記針が、約25μm以上の長さを有する、項目20~28のいずれか1項に記載の方法。
(項目31)
前記針が、約300μm、約500μm、約800μm、約1000μm、約1500μm、約2000μm、または約4000μm以上の長さを有する、項目20~28のいずれか1項に記載の方法。
(項目32)
前記針が、生体適合性材料から構成される、項目20~31のいずれか1項に記載の方法。
(項目33)
前記針が、金属から構成される、項目20~31のいずれか1項に記載の方法。
(項目34)
前記MSCが、1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、または20回のMNまたはMNアレイ圧痕の投与を含む、項目1~33のいずれか1項に記載の方法。
(項目35)
前記MNアレイが、1回以上の圧痕間で回転される、項目34に記載の方法。
(項目36)
前記MNアレイが、1回以上の圧痕間で回転されない、項目34に記載の方法。
(項目37)
前記圧痕がほぼ同じ部位上で行われる、項目34~36のいずれか1項に記載の方法。(項目38)
前記圧痕が、重複部位上で行われる、項目34~36のいずれか1項に記載の方法。
(項目39)
前記圧痕が、異なる部位上で行われる、項目34~36のいずれか1項に記載の方法。(項目40)
前記MNアレイが、スタンプまたはローラーの形態である、項目34~39のいずれか1項に記載の方法。
(項目41)
前記圧痕が、スタンプ押しまたはローラー回転によって行われる、項目40に記載の方法。
(項目42)
前記大型薬剤が、投与から約1、2、3、4、5、6、7、8、9、または10分以内に前記皮膚に浸入する、項目1~41のいずれか1項に記載の方法。
(項目43)
前記大型薬剤が、投与から約5~約60分、約5~約12分、約5~約15分、または約15~約30分以内に前記皮膚に浸入する、項目1~41のいずれか1項に記載の方法。
(項目44)
前記大型薬剤が、投与から約1、2、3、4、5、または6時間以内に前記皮膚に浸入する、項目1~41のいずれか1項に記載の方法。
(項目45)
前記針が、溶解ポリマーから構成される、項目20~32のいずれか1項に記載の方法。
(項目46)
前記投与が、極微針が用いられない参照局所治療レジメンと比較してより少ない用量で大型薬剤を含む前記組成物を投与することを含む、項目1~45のいずれか1項に記載の方法。
(項目47)
複数の用量の大型薬剤を含む前記組成物を経時的に投与することを含む、項目1~46のいずれか1項に記載の方法。
(項目48)
前記投与することが、極微針が用いられない参照治療レジメンと比較してより少ない用量の大型薬剤を含む前記組成物を一定治療期間にわたって投与して同等の治療効果を生じさせる、項目47に記載の方法。
(項目49)
大型薬剤を含む前記組成物の各用量が、特定の期間で隔てられている、項目47または項目48に記載の方法。
(項目50)
前記特定の期間が、極微針が用いられない参照治療レジメンを投与するための特定の期間と比較して長い、項目49に記載の方法。
(項目51)
前記参照治療レジメンが、MSCを伴わずに大型薬剤を含む前記組成物を投与することを含む、項目46~50のいずれか1項に記載の方法。
(項目52)
項目1~51のいずれか1項に記載の方法を含む、皮膚障害を治療する方法。
(項目53)
前記皮膚障害が、座瘡、不要な発汗、体臭、多汗症、臭汗症、色汗症、酒さ、脱毛、乾癬、光線性角化症、湿疹様皮膚炎、皮脂過剰生成障害、火傷、エリテマトーデス、色素沈着過剰障害、色素沈着低下障害、皮膚癌、皮膚感染症、顔面のしわ、醜い顔面表情、首筋、多機能顔面筋、過収縮顔面筋、広頸筋帯、及び/またはそれらの組み合わせから選択される、項目52に記載の方法。
(項目54)
項目1~52いずれか1項に記載の方法を含む、不要な発汗、体臭、多汗症、臭汗症、色汗症、脱毛、レイノー現象、関節リウマチ、乾癬性関節炎、変形性関節症、エリテマトーデス、全身性エリテマトーデス、円盤状ループス、薬物誘発ループス、新生児ループス、クローン病、炎症性腸疾患、潰瘍性大腸炎、肺障害、喘息、慢性閉塞性気道障害、アミロイド症、全身性アミロイドーシス、皮膚性アミロイドーシス、がん、皮膚癌、血液癌、乳癌、結腸癌、肺癌、前立腺肥大、脂質異常症、高コレステロール血症、感染症、C.difficile感染症、Staphylococcus感染症、ジストニア、頭痛、疼痛、関節炎に関連する疼痛、関節リウマチに関連する疼痛、乾癬性関節炎に関連する疼痛、変形性関節症に関連する疼痛、所定の眼科病態、所定の泌尿器病態、神経筋障害、筋肉痙攣及び/または拘縮を含む病態、斜視、片側顔面痙攣、振戦、多発性硬化症に起因するものなどの痙縮、眼窩後方筋、神経病態、アルツハイマー病、パーキンソン病、または脳卒中から選択される障害を治療または予防する方法。
(項目55)
大型薬剤を含む前記組成物が、ローション、クリーム、粉末、軟膏、リニメント、ゲル、またはドロップとして製剤化されている、項目1~54のいずれか1項に記載の方法。(項目56)
100,000Da以上の分子量を有する大型薬剤を含むエマルション組成物と、複数の極微針とを含むパッチ。
(項目57)
大型薬剤を含む前記組成物が、ナノエマルションを含む、項目56に記載のパッチ。
(項目58)
大型薬剤を含む前記組成物が、マクロエマルションを含む、項目56に記載のパッチ。(項目59)
前記針が、前記皮膚の角質層を通して突出するのに十分な長さを有する、項目56~58のいずれか1項に記載のパッチ。
(項目60)
前記針が、前記皮膚の真皮における神経に達するのに不十分な長さを有する、項目57~59のいずれか1項に記載のパッチ。
(項目61)
前記針が、約10~約1000μmの長さを有する、項目57~60のいずれか1項に記載のパッチ。
(項目62)
前記針が、約100μm以上の長さを有する、項目57~61のいずれか1項に記載のパッチ。
(項目63)
前記針が、約300μm以上の長さを有する、項目57~62のいずれか1項に記載のパッチ。
(項目64)
前記針が、生体適合性材料から構成される、項目57~63のいずれか1項に記載のパッチ。
(項目65)
前記針が、金属から構成される、項目57~64のいずれか1項に記載のパッチ。
(項目66)
前記針が、溶解ポリマーから構成される、項目57~64のいずれか1項に記載のパッチ。
(項目68)
前記大型薬剤が、ボツリヌス毒素である、項目57~66のいずれか1項に記載のパッチ。
(項目69)
前記大型薬剤が、抗体薬剤である、項目57~66のいずれか1項に記載のパッチ。
(項目70)
100,000Da以上の分子量を有する大型薬剤を含むエマルション組成物と、前記エマルション組成物を部位に適用するのに使用するための複数の針を含むパッチとを含むキット。
(項目71)
前記エマルション組成物が前記パッチに組み込まれている、項目70に記載のキット。(項目72)
100,000Da以上の分子量を有する大型薬剤を含むエマルション組成物と、部位の極微針調整のための装置とを含むキット。
(項目73)
前記エマルション組成物が、ナノエマルションを含む、項目70~72のいずれか1項に記載のキット。
(項目74)
前記エマルション組成物が、マクロエマルションを含む、項目70~72のいずれか1項に記載のキット。
(項目75)
前記装置が、複数の針を含む、項目72~74のいずれか1項に記載のキット。
(項目76)
前記装置が、パッチ、ローラー、スタンプ、またはペンである、項目72~75のいずれか1項に記載のキット。
(項目77)
項目56~69のいずれか1項に記載のパッチを含む、項目70または71のいずれか1項に記載のキット。
(項目78)
前記エマルション組成物が、ローション、クリーム、粉末、軟膏、リニメント、ゲル、またはドロップとして製剤化されている、項目70または72~77のいずれか1項に記載のキット。