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特開2024-167378X線診断装置、医用画像処理装置、方法及びプログラム
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024167378
(43)【公開日】2024-12-03
(54)【発明の名称】X線診断装置、医用画像処理装置、方法及びプログラム
(51)【国際特許分類】
   A61B 6/02 20060101AFI20241126BHJP
   A61B 6/46 20240101ALI20241126BHJP
【FI】
A61B6/02 501H
A61B6/46 506B
【審査請求】有
【請求項の数】13
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2024151691
(22)【出願日】2024-09-03
(62)【分割の表示】P 2021007872の分割
【原出願日】2021-01-21
(71)【出願人】
【識別番号】594164542
【氏名又は名称】キヤノンメディカルシステムズ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110003708
【氏名又は名称】弁理士法人鈴榮特許綜合事務所
(72)【発明者】
【氏名】岩井 春樹
(72)【発明者】
【氏名】清水 義訓
(72)【発明者】
【氏名】島 一成
(72)【発明者】
【氏名】黒木 貴紘
(72)【発明者】
【氏名】小林 由昌
(72)【発明者】
【氏名】倉富 奈央子
(57)【要約】
【課題】 再構成範囲の設定のミスを低減可能とすること。
【解決手段】 実施形態に係るX線診断装置は、生成部及び表示制御部を備えている。前記生成部は、被検体のトモシンセシス撮影の再構成範囲、当該トモシンセシス撮影の回転中心に関する設定値に基づいて、前記再構成範囲及び前記回転中心を模式的に表す画像を生成する。前記表示制御部は、前記画像をディスプレイに表示させる。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
被検体のトモシンセシス撮影の再構成範囲と、当該トモシンセシス撮影の回転中心とに関する設定値に基づいて、前記再構成範囲と前記回転中心との位置関係を表す画像を生成する生成部と、
前記画像をディスプレイに表示させる表示制御部と
を備えたX線診断装置。
【請求項2】
前記設定値は、前記再構成範囲の上端及び下端の位置と、前記トモシンセシス撮影における回転中心の位置とを含んでおり、
前記画像は、前記設定値に基づいて生成された、前記再構成範囲の上端、下端及び前記回転中心を表す、
請求項1記載のX線診断装置。
【請求項3】
前記画像は、前記再構成範囲の上端、下端及び前記回転中心を一軸上に表す、
請求項2記載のX線診断装置。
【請求項4】
前記画像は、前記トモシンセシス撮影の全ての撮影角度で投影される領域の上端から下端をさらに表す、
請求項1乃至3のいずれか一項に記載のX線診断装置。
【請求項5】
前記設定値は、前記トモシンセシス撮影の撮影角度を更に含んでおり、
前記生成部は、前記設定値に基づいて、前記撮影角度の両端における各々のX線管からのX線ビームの輪郭と、前記輪郭に囲まれた有効領域とをさらに含む画像を生成する、
請求項2記載のX線診断装置。
【請求項6】
前記画像を、前記再構成範囲を視認可能な方向から表した背景画像に重畳させる重畳部、を備え、
前記表示制御部は、前記背景画像に重畳された前記画像を前記ディスプレイに表示させる、請求項5記載のX線診断装置。
【請求項7】
前記重畳部は、前記画像にルーラを重畳させ、
前記表示制御部は、前記ルーラが重畳された前記画像を前記ディスプレイに表示させる、請求項6記載のX線診断装置。
【請求項8】
前記表示制御部は、前記設定値と前記画像とのうち、前記設定値のみを含む第1表示画面と、前記設定値及び前記画像を含む第2表示画面とを、ユーザの操作に応じて選択的に切り替えて前記ディスプレイに表示させる、
請求項1乃至7のいずれか一項に記載のX線診断装置。
【請求項9】
前記画像に表示された前記設定値の表示位置を変更させる変更入力を受け付ける入力部をさらに備え、
前記表示制御部は、前記変更入力に応じて、前記画像における前記設定値の表示位置を変更する、
請求項1乃至8のいずれか一項に記載のX線診断装置。
【請求項10】
前記設定値の変更入力を受け付ける入力部をさらに備え、
前記表示制御部は、前記変更入力に応じて表示位置が変更された画像と、前記変更入力に応じた設定値とを表示する、
請求項1乃至8のいずれか一項に記載のX線診断装置。
【請求項11】
被検体のトモシンセシス撮影の再構成範囲と、当該トモシンセシス撮影の回転中心とに関する設定値に基づいて、前記再構成範囲と前記回転中心との位置関係を表す画像を生成する生成部と、
前記画像をディスプレイに表示させる表示制御部と
を備えた医用画像処理装置。
【請求項12】
被検体のトモシンセシス撮影の再構成範囲と、当該トモシンセシス撮影の回転中心とに関する設定値に基づいて、前記再構成範囲と前記回転中心との位置関係を表す画像を生成し、
前記画像をディスプレイに表示させる、
方法。
【請求項13】
プロセッサを、
被検体のトモシンセシス撮影の再構成範囲と、当該トモシンセシス撮影の回転中心とに関する設定値に基づいて、前記再構成範囲と前記回転中心との位置関係を表す画像を生成する生成部、及び
前記画像をディスプレイに表示させる表示制御部、
として機能させるためのプログラム。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本明細書及び図面に開示の実施形態は、X線診断装置、医用画像処理装置、方法及びプログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
マンモグラフィやX線テレビ寝台などのX線診断装置では、通常撮影による画像に比して被検体の重なりを低減した画像を得るためにトモシンセシス撮影が使用可能となっている。X線診断装置では、ユーザの操作に応じて再構成範囲を示す数値が設定され、設定された数値を表示してユーザに確認を促し、ユーザの指示によってトモシンセシス撮影を行う。トモシンセシス撮影の終了後、X線診断装置は、当該再構成範囲において、被検体の重なりを低減した断層画像を生成可能となっている。このため、トモシンセシス撮影では、診断精度の向上、所望の部位のみの観察、カテーテルなどのデバイスの位置の同定、などが可能となる。
【0003】
例えば、マンモグラフィにおけるトモシンセシス撮影は、腫瘤、乳腺、脂肪の重なりを低減できることにより、通常撮影による画像に比して腫瘤を明瞭に描出出来る。また、X線テレビ寝台におけるトモシンセシス撮影は、3次元的に分布する気管支や肺気腫の重なりを低減できることにより、通常撮影による画像に比して肺気腫を明瞭に描出出来る。さらに、X線テレビ寝台を用いた内視鏡的逆光性胆管膵管造影(Endoscopic retrograde cholangiopancreatography:ERCP)におけるトモシンセシス撮影は、カテーテルを胆道に挿入して進めていく際に、胆道の走行を把握しやすくなるので、カテーテルを進めやすくなる。なお、マンモグラフィやX線テレビ寝台に限らず、複数の撮影角度から被検体を撮影可能なX線診断装置であれば、トモシンセシス撮影を行うことができる。
【0004】
以上のようなX線診断装置は、本発明者の考察によれば、再構成範囲の設定が重要であるため、再構成範囲の設定のミスを低減可能とすることが好ましい。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2014-155519号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本明細書及び図面に開示の実施形態が解決しようとする課題の一つは、再構成範囲の設定のミスを低減可能とすることである。ただし、本明細書及び図面に開示の実施形態により解決しようとする課題は上記課題に限られない。後述する実施形態に示す各構成による各効果に対応する課題を他の課題として位置づけることもできる。
【課題を解決するための手段】
【0007】
実施形態に係るX線診断装置は、生成部及び表示制御部を備えている。前記生成部は、被検体のトモシンセシス撮影の再構成範囲、当該トモシンセシス撮影の回転中心に関する設定値に基づいて、前記再構成範囲及び前記回転中心を模式的に表す画像を生成する。前記表示制御部は、前記画像をディスプレイに表示させる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1図1は、第1の実施形態に係るX線診断装置の構成の一例を示すブロック図である。
図2図2は、第1の実施形態におけるトモシンセシス撮影について説明するための模式図である。
図3図3は、第1の実施形態における動作を説明するためのフローチャートである。
図4図4は、第1の実施形態におけるトモシンセシス撮影の設定に用いる表示画面の一例を示す模式図である。
図5図5は、比較例における設定に用いる2つの表示画面の一例を示す模式図である。
図6図6は、第2の実施形態における動作を説明するためのフローチャートである。
図7図7は、第2の実施形態におけるトモシンセシス撮影の設定に用いる表示画面の一例を示す模式図である。
図8図8は、第2の実施形態におけるトモシンセシス撮影の設定に用いる表示画面の他の例を示す模式図である。
図9図9は、図8に示した表示画面の変形例を示す模式図である。
図10図10は、第2の実施形態におけるトモシンセシス撮影の設定に用いる表示画面の他の例を示す模式図である。
図11図11は、第2の実施形態におけるトモシンセシス撮影の設定に用いる表示画面の他の例を示す模式図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、図面を参照しながら各実施形態に係るX線診断装置及び医用画像処理装置について説明する。説明を具体的にするため、以下の説明においてX線診断装置は、X線透視寝台装置である場合を例に挙げて述べる。但し、X線診断装置は、X線透視寝台装置に限らず、マンモグラフィ装置、X線テレビ寝台装置又はCアーム形X線寝台装置などの任意のX線寝台装置であってもよい。また同様に、説明を具体的にするため、以下の説明において医用画像処理装置はX線診断装置に組み込まれているものとする。すなわち、以下の医用画像処理装置に関する説明は、X線診断装置にも適用される。但し、医用画像処理装置は、X線診断装置に組み込まれずに、単独で用いられてもよい。
【0010】
<第1の実施形態>
図1は、第1の実施形態に係るX線診断装置1の構成の一例を示すブロック図であり、図2は、トモシンセシス撮影について説明するための模式図である。X線診断装置1は、トモシンセシス撮影装置2と医用画像処理装置3とを具備する。
【0011】
トモシンセシス撮影装置2は、X線管5と、X線検出器7と、X線管移動機構9と、検出器移動機構11と、トモシンセシス制御機構13と、天板15と、を具備する。
【0012】
X線管5は、X線管移動機構9に設けられている。X線管5は、高電圧発生器(図示せず)から高電圧の印加とフィラメント電流の供給とを受けてX線を発生する。
【0013】
X線検出器7は、X線管5から発生されたX線を検出する向きに検出器移動機構11に設けられている。X線検出器7は、X線管5から発生され、天板15上の被検体Pを透過したX線と被検体Pを透過しないX線とをそれぞれ検出する。X線検出器7は、例えば平面検出器(Flat Panel Detector:以下、FPDと呼ぶ)により実現される。FPDは、2次元状に配列された複数の素子を有する。各素子は、X線管5から発生されたX線を検出し、検出されたX線を電気信号に変換する。各素子において発生された電気信号は、アナログディジタル変換器(Analog to Digital converter:以下、A/D変換器と呼ぶ、図示せず)に出力される。A/D変換器は、電気信号をディジタルデータに変換する。A/D変換器は、ディジタルデータを後述する処理回路31に出力する。
【0014】
X線管移動機構9は、X線管5を移動させる。具体的には例えば図2に示すように、X線管移動機構9は、X線管5を、回転中心Cを中心に移動可能に支持する。なお、X線管移動機構9は、X線管5を円弧状の軌道に沿って回動可能に支持してもよく、X線管5を天板15の長手方向に沿って直線状に移動可能に支持してもよい。「回転中心」は、複数の角度から投影する際に、投影像の中心線が交差する位置である。X線診断装置を用いたトモシンセシス撮影では、X線管球の回転やスライド動作に加え、X線平面検出器の回転やスライド動作を与えることで、回転中心を検出器面上ではなく、天板上の任意の高さに合わせてトモシンセシス撮影を行うことが可能となる。補足すると、「回転中心」は、X線管5の焦点と、X線検出器7の検出面中心とを通る撮影軸のうち、X線管5及びX線検出器7の移動によっても変位しない点に対応する。図2(a)では回転中心Cが被検体Pの略中央に位置し、図2(b)では回転中心Cが被検体Pの外に位置し、図2(c)では回転中心Cが被検体Pと天板15との境界辺りに位置している。これらのうち、被検体P内の有効領域Eに相当する再構成範囲Rを最大とする観点から、図2(a)に示すように、回転中心Cの位置を被検体Pの略中央に設定することが好ましい。また、再構成範囲Rの上端Tは、天板15から被検体Pの上端までの距離に設定すればよく、再構成範囲Rの下端Bは、天板15から被検体Pの下端までの距離に設定すればよい。再構成範囲Rは、トモシンセシス撮影による被検体Pの再構成画像を生成可能な範囲に相当する。有効領域Eは、全ての撮影角度で投影される領域である。補足すると、有効領域Eは、トモシンセシス撮影の全ての撮影角度の範囲でX線管5から照射されるX線が通過する領域に相当する。言い換えると、図2中、有効領域Eは、X線検出器7を底辺とし、X線管5を頂点とした3つの三角形が互いに重なる領域に対応する。また、図2中、再構成範囲Rは、有効領域Eと被検体Pとが重なる領域に対応する。
【0015】
検出器移動機構11は、X線検出器7を移動させる。具体的には例えば図2に示すように、検出器移動機構11は、X線検出器7を天板15の長手方向に沿って移動可能に支持する。なお、図2に示されたX線検出器7は、位置によって高さが異なるが、実際は、検出器移動機構11はX線検出器7の高さを変えずに移動させる。X線検出器7の移動量は、検出面中心と回転中心Cとの間の距離に比例して大きくなる。また、検出器移動機構11は、Cアームのように、X線検出器7を円弧状の軌道に沿って回動可能に支持してもよい。
【0016】
トモシンセシス制御機構13は、X線管5とX線検出器7とを被検体Pを挟んで同期させながら移動させてトモシンセシス撮影を実行させるよう、X線管移動機構9と検出器移動機構11とを同期制御する。例えば、トモシンセシス制御機構13は、被検体Pを挟んで互いに対向配置されたX線管5及びX線検出器7が、被検体Pを挟んで図1における左右に交差し、一方が天板15の長手方向に沿って左から右に移動するのに対して他方は右から左に反対方向に移動するようにX線管移動機構9と検出器移動機構11とを同期制御する。トモシンセシス撮影の際、X線管5を直線状に移動させてもよく、X線管5を円弧状に移動させてもよい。X線検出器7についても同様である。X線検出器7は、X線絞りまたはX線管5の移動にともなって、X線が検出面に照射されるように移動される。
【0017】
天板15は、被検体Pを載置する。なお、被検体を立位にした撮影の場合、天板15は立位の被検体Pを支える。図1中、天板15は、天板15の長手方向が、被検体Pの長手方向(体軸方向)に略一致するように、被検体Pが載置されている。
【0018】
また、医用画像処理装置3は、通信インタフェース21、メモリ23、入力インタフェース25、ディスプレイ27、制御回路29及び処理回路31を備えている。
【0019】
通信インタフェース21は、有線あるいは無線にて外部装置と通信するための回路である。外部装置は、例えば、トモシンセシス撮影装置2、放射線部門情報管理システム(RIS:Radiological Information System)、病院情報システム(HIS:Hospital Information System)およびPACS(Picture Archiving and Communication System)等のシステムに含まれるサーバ、あるいは他のワークステーション等である。
【0020】
メモリ23は、ROM(Read Only Memory)、RAM(Random Access Memory)、HDD(Hardware Disk Drive)及び画像メモリなど電気的情報を記録するメモリと、それらメモリに付随するメモリコントローラやメモリインタフェースなどの周辺回路から構成されている。メモリ23は、トモシンセシス撮影のために設定された設定項目ごとの数値を記憶する。メモリ23は、トモシンセシス撮影により得られた複数の断層画像を記憶する。また、メモリ23は、処理回路31で生成されたX線画像を記憶してもよい。また、メモリ23は、トモシンセシス撮影の設定に用いる各種データを記憶してもよい。各種データとしては、例えば、背景画像やルーラなどが適宜、使用可能となっている。
【0021】
入力インタフェース25は、操作者からの各種指示・命令・情報・選択・設定を入力するためのトラックボール、スイッチボタン、マウス、キーボード、操作面へ触れることで入力操作を行うタッチパッド、および表示画面とタッチパッドとが一体化されたタッチパネルディスプレイ等によって実現される。入力インタフェース25は、制御回路29及び処理回路31等に接続されており、操作者から受け取った入力操作を電気信号へ変換し、変換した電気信号を制御回路29や処理回路31へ出力する。なお、入力インタフェース25は、トラックボール、スイッチボタン、マウス、キーボード等の物理的な操作部品を備えるものだけに限られない。例えば、装置とは別体に設けられた外部の入力機器から入力操作に対応する電気信号を受け取り、この電気信号を制御回路29及び処理回路31等へ出力する電気信号の処理回路も入力インタフェース25の例に含まれる。入力インタフェース25は、操作者が所望するX線条件、X線撮影位置、X線撮影の開始及び終了の入力を受け付ける。
【0022】
ディスプレイ27は、医用画像などを表示するディスプレイ本体と、ディスプレイ本体に表示用の信号を供給する内部回路、ディスプレイ本体と内部回路とをつなぐコネクタやケーブルなどの周辺回路から構成されている。ディスプレイ27は、制御回路29及び処理回路31による制御に従い種々のデータおよび上記医用画像等を表示する。ディスプレイ27としては、例えば、CRTディスプレイ(Cathode Ray Tube Display)、液晶ディスプレイ(LCD:Liquid Crystal Display)、有機ELディスプレイ(OELD:Organic Electro Luminescence Display)、プラズマディスプレイまたは当技術分野で知られている他の任意のディスプレイが適宜利用可能である。
【0023】
制御回路29は、ハードウェア資源として、CPU(Central Processing Unit)やMPU(Micro Processing Unit)等の専用又は汎用のプロセッサと、ROM(Read Only Memory)やRAM(Random Access Memory)等の所定のメモリとを含む。制御回路29のプロセッサは、メモリに記憶される制御プログラムにより、トモシンセシス撮影装置2における各構成の動作および処理等を統括的に制御する。
【0024】
処理回路31は、メモリ23に記憶されたデータに対して所定の処理を施すための回路である。処理回路31は、ハードウェア資源として、CPUやMPU等の所定のプロセッサと、ROMやRAM等の所定のメモリとを含む。処理回路31のメモリは、プログラムを記憶する。当該プログラムは、処理回路31のプロセッサにより実行され、当該プログラムの実行により、処理回路31は、医用画像処理機能31a、設定機能31b、ガイド画像処理機能31c、表示制御機能31dとして機能する。なお、プログラムは、適宜、編集されてもよい。
【0025】
医用画像処理機能31aは、X線検出器7から出力されたディジタルデータに前処理を施して、X線画像を発生する。前処理は、X線検出器7における素子間の感度不均一の補正、脱落(欠損)に関する補正等である。医用画像処理機能31aは、発生したX線画像を一旦、メモリ23に出力してもよい。
【0026】
また、医用画像処理機能31aは、当該発生されたX線画像に画像処理を施す。医用画像処理機能31aは、例えば、発生されたX線画像に対して、散乱線補正処理等の補正処理を施す。また、医用画像処理機能31aは、トモシンセシス撮影において、X線管5の複数の位置に応じて当該発生された複数のX線画像に基づいて、ボリュームデータを再構成する。なお、医用画像処理機能31aは、画像補正処理された複数のX線画像に基づいて、ボリュームデータを再構成して複数枚の断層画像を取得する。複数枚の断層画像は、例えば、天板15の載置面と直交する方向に並んだ画像である。
【0027】
設定機能31bは、被検体Pのトモシンセシス撮影の再構成範囲Rを含む幾何学的な条件に関する数値を設定値として設定する。具体的には、設定機能31bは、被検体のトモシンセシス撮影の再構成範囲R、当該トモシンセシス撮影の回転中心Cに関する設定値を設定する。設定機能31bは、当該設定値に基づく画像(ガイド画像)の表示中、ユーザの操作に応じて、当該ガイド画像の一部を移動させ、当該設定値を変更する。但し、これはガイド画像がGUIの場合である。当該設定値は、再構成範囲Rの上端T及び下端Bの位置と、トモシンセシス撮影における回転中心Cの位置とを含んでいてもよい。
【0028】
ガイド画像処理機能31cは、設定機能31bにより設定された設定値に基づいて、当該再構成範囲R及び当該回転中心Cを模式的に表す画像(ガイド画像)を生成する。ガイド画像処理機能31cは、当該ガイド画像をGUI(グラフィカルユーザインタフェース)として生成してもよい。当該ガイド画像は、再構成範囲Rの上端T及び下端B、回転中心Cを表す画像である。なお、当該ガイド画像は、再構成範囲Rの上端T及び下端B、回転中心Cを一軸上に表す画像であってもよい。
【0029】
表示制御機能31dは、医用画像処理機能31a、設定機能31b及びガイド画像処理機能31cによる処理途中や処理結果などのデータをディスプレイ27に表示させる。例えば、表示制御機能31dは、医用画像処理機能31aにより得られた断層画像をディスプレイ27に表示させる。また、表示制御機能31dは、設定機能31bによる設定に用いる画面をディスプレイ27に表示させる。また例えば、表示制御機能31dは、ガイド画像処理機能31cにより生成された画像(ガイド画像)をディスプレイ27に表示させる。表示制御機能31dは、当該設定値と、生成されたガイド画像とのうち、当該設定値のみを含む第1表示画面と、当該設定値及びガイド画像を含む第2表示画面とを、ユーザの操作に応じて選択的に切り替えてディスプレイ27に表示させてもよい。
【0030】
次に、トモシンセシス撮影のための設定に関する動作について図3及び図4を用いて説明する。
【0031】
図3に示すように、ステップST10において、処理回路31は、ユーザによる入力インタフェース25の操作に応じて、トモシンセシスの収集及び再構成に関する情報を設定する。収集に関する情報としては、例えば、取得時間、総フレーム数、空間分解能(高精細/標準)、視野(FOV:field of view)、撮影角度、SID(X線管5とX線検出器7との間の距離)などがあり、各々に関する数値が適宜、設定値として設定可能となっている。SID(source image distance)としては、例えば、X線管5の焦点と、X線検出器7の検出面中心とを通る撮影軸が鉛直方向の場合の数値が設定値として設定される。この場合の撮影軸をセンターラインと呼んでもよい。撮影角度の設定は、センターライン±撮影角度の数値を設定値として設定してもよい。例えば、撮影角度40度の設定値は、センターライン±20度として設定してもよい。再構成に関する情報は、再構成範囲を含む幾何学的な条件に関する数値である。再構成に関する情報としては、例えば、再構成範囲Rの上端Tと下端B、トモシンセシス撮影における回転中心C、断層画像のピッチなどの数値が含まれる。
【0032】
ステップST10の後、ステップST20において、処理回路31は、当該設定された設定値に基づいて、例えば、再構成範囲R及び回転中心Cを模式的に表すガイド画像を生成する。ガイド画像は、例えば、再構成範囲Rの上端Tと下端B、及び回転中心Cを一軸上に表す画像である。
【0033】
ステップST20の後、ステップST30において、処理回路31は、当該生成されたガイド画像をディスプレイ27に表示させる。処理回路31は、図4の左側に示すように、ガイド画像を含まず、設定値を含む第1表示画面27aをディスプレイ27に表示させてもよい。この場合、処理回路31は、ユーザの操作に応じてカーソルcsがボタン27bをクリックすると、図4の右側に示すように、設定値と、ガイド画像gdとを含む第2表示画面27cを展開してディスプレイ27に表示させてもよい。なお、処理回路31は、ユーザの操作に応じて、第1表示画面27aと第2表示画面27cとを選択的に切り替えてディスプレイ27に表示させてもよい。
【0034】
ガイド画像gdは、再構成範囲Rの上端Tと下端B、及び回転中心Cを一軸上に表す画像である。このため、ユーザは、ガイド画像gdを視認することで、再構成範囲の設定ミスの有無を容易に把握できる。ガイド画像gdにより示された、再構成範囲Rの上端T、下端B、回転中心Cは、各位置を調整可能に表示される。また、ガイド画像gdでは、有効領域Eを緑色の太線(図中、黒い太線)で表している。有効領域Eは、正常な場合、再構成範囲Rの上端T、下端B、及び回転中心Cの位置を含む。このため、ユーザが上端T、下端B又は回転中心Cの位置の設定を修正する場合でも、修正後の位置が有効領域E内にあるようにして、正しく修正を行うことが可能である。
【0035】
ステップST30の後、処理回路31は、ユーザの操作を受けたか否かを判定し(ステップST40)、操作を受けた場合には、操作に応じて設定を変更する(ステップST50)。例えば、再構成範囲Rの上端T、下端B、回転中心Cは、ユーザによるドラッグアンドドロップ操作又はスライド操作に応じて、上端T、下端B、回転中心Cの各位置が調整され、これに伴い、図4に示されたガイド画像gdの右側に示された再構成範囲の対応する各種設定値が変更される。なお、ユーザは、ガイド画像gdに示された再構成範囲の上端T、下端B、回転中心Cの位置を変更する操作以外に、ガイド画像gdの右側に示された再構成範囲の各種設定値を所定単位でカウントアップまたはカウントダウンする操作を行ってもよい。ユーザの操作に応じて、ガイド画像gdの右側に示された再構成範囲の各種設定値が変更された場合、ガイド画像gdに示された上端T、下端B、回転中心Cの位置も変更される。
【0036】
一方、ステップST40の判定の結果、否の場合には、終了か否かを判定し(ステップST60)、否の場合にはステップST40に戻る。一方、ステップST60の判定の結果、終了の場合には、トモシンセシス撮影のための設定に関する処理を終了する。これにより、設定に基づくトモシンセシス撮影が実行可能となる。
【0037】
上述したように第1の実施形態によれば、被検体のトモシンセシス撮影の再構成範囲、当該トモシンセシス撮影の回転中心に関する設定値に基づいて、当該再構成範囲及び当該回転中心を模式的に表す画像を生成し、当該画像をディスプレイに表示させる。このように、設定値に基づく画像を表示する構成により、設定値が適切か否かをユーザが把握し易くなるので、再構成範囲の設定のミスを低減可能とすることができる。
【0038】
例えば図5に示す比較例の場合、再構成に関する情報を設定する医用画像処理装置3*と、トモシンセシスの収集に関する情報を設定する別の操作卓3*-1とがネットワークNwを介して接続されている。医用画像処理装置3*では、設定値に基づく画像が表示されず、設定値のみを表す第1表示画面27a*がディスプレイ27*に表示されている。また同様に、操作卓3*-1には、設定値に基づく画像が表示されず、設定値のみを表す表示画面27a*-1がディスプレイ27*-1に表示される。このような比較例の場合、ユーザは、再構成範囲の上端、下端、回転中心の位置関係を直感的に把握するのが難しいので、再構成範囲の設定を失敗する懸念がある。また、比較例の場合、再構成範囲の設定ミスを防ぐために、再構成範囲を余分に広くとると、再構成に余分な時間を要してしまう。このため、適切な再構成範囲の設定が必要となる。これに対し、第1の実施形態によれば、前述した通り、設定値に基づく画像を表示するので、ユーザは、再構成範囲の上端、下端、回転中心の位置関係を直感的に把握しやすく、再構成範囲の設定のミスを低減可能とすることができる。
【0039】
また、第1の実施形態によれば、当該画像をGUI(グラフィカルユーザインタフェース)として生成してもよく、当該画像の表示中、当該画像の一部を移動させるユーザの操作に応じて、設定値を変更するようにしてもよい。この場合、上述した作用効果に加え、画像を視認しながら、容易に設定変更を行うことができる。
【0040】
また、第1の実施形態によれば、上記設定値は、再構成範囲の上端及び下端の位置と、トモシンセシス撮影における回転中心の位置とを含んでいてもよく、上記画像は、上端、下端及び回転中心を一軸上に表す画像であってもよい。この場合、上述した作用効果に加え、上端、下端、回転中心を模式的に表す簡易な画像を表示する構成により、ユーザが、これらの設定内容を容易に視認することができる。例えば、ユーザは、1軸上で表示した回転中心、再構成範囲の上端、下端を一目が分かる。
【0041】
また、第1の実施形態によれば、設定した設定値と生成した画像とのうち、設定値のみを含む第1表示画面と、設定値及び画像を含む第2表示画面とを、ユーザの操作に応じて選択的に切り替えてディスプレイに表示させるようにしてもよい。この場合、上述した作用効果に加え、ユーザが、第1表示画面と第2表示画面とをそれぞれ確認することができる。
【0042】
また、第1の実施形態では、ガイド画像gdは、トモシンセシス撮影の実行前に表示される例を説明したが、トモシンセシス撮影の実行後に表示され、トモシンセシス撮影後に変更可能な各種設定値(再構成範囲の上端、下端等)が設定されてもよい。
【0043】
<第2の実施形態>
次に、第2の実施形態について説明するが、前述した構成要素と同一部分には同一符号を付してその詳しい説明を省略し、ここでは、主に、異なる部分について述べる。
【0044】
第2の実施形態は、第1の実施形態の変形例であり、前述したガイド画像gdに比べ、より多くの設定内容を表すガイド画像を用いる形態となっている。例えば、前述したガイド画像gdをシンプル版とした場合、第2の実施形態に係るガイド画像は、グラフィカル版としてもよい。これに伴い、ガイド画像の生成に用いられる設定値と、当該生成されるガイド画像とが次のようになっている。
【0045】
すなわち、設定値は、トモシンセシス撮影の撮影角度を更に含んでいる。具体的には、設定値は、再構成範囲の上端、下端、トモシンセシス撮影における回転中心の位置と、トモシンセシス撮影の撮影角度と、を含んでいる。また、設定値は、トモシンセシス撮影の視野と、トモシンセシス撮影におけるX線管とX線検出器との間の距離と、を更に含んでもよい。
【0046】
これに伴い、処理回路31のガイド画像処理機能31cは、当該設定値に基づいて、撮影角度の両端における各々のX線管からのX線ビームの輪郭と、当該輪郭に囲まれた有効領域とをさらに含むガイド画像を生成する。具体的には、当該ガイド画像は、前述した再構成範囲の上端、下端及び回転中心を表すガイド画像に加え、当該X線ビームの輪郭と、当該有効領域とをさらに含んでいる。ここで、撮影角度の両端のうち、一端はトモシンセシス撮影の開始位置に対応し、他端はトモシンセシス撮影の終了位置に対応する。
【0047】
また、処理回路31のガイド画像処理機能31cは、ガイド画像を、再構成範囲を視認可能な方向から表した背景画像に重畳させてもよい。この場合、処理回路31の表示制御機能31dは、背景画像に重畳されたガイド画像をディスプレイ27に表示させる。背景画像は、予めメモリ23に保存される。背景画像としては、被検体を横方向(再構成範囲を視認可能な方向)から撮影したカメラ画像、被検体を横方向(再構成範囲を視認可能な方向)から描画したポンチ画やCT画像などから生成した仮想画像、被検体の身体的特徴(身長、体格、性別、国籍等)を表す情報を基に作成された被検体の3Dモデルを横方向(再構成範囲を視認可能な方向)に投影した画像を用いてもよい。この場合、天板15の位置情報から、背景画像の位置を自動的に変化させることで、より具体的な状況が把握し易くなる。
【0048】
また、処理回路31のガイド画像処理機能31cは、ガイド画像にルーラを重畳させてもよい。この場合、処理回路31の表示制御機能31dは、ルーラが重畳されたガイド画像をディスプレイ27に表示させる。なお、ルーラは、背景画像の有無によらず、ガイド画像に重畳させてもよい。
【0049】
また、処理回路31のガイド画像処理機能31cは、背景画像、ガイド画像、ルーラを順に重畳させてもよい。この場合、表示制御機能31dは、背景画像、ガイド画像、ルーラを順に重畳させた重畳画像をディスプレイ27に表示させる。
【0050】
次に、トモシンセシス撮影のための設定に関する動作について図3図6乃至図11を用いて説明する。
【0051】
第1の実施形態と同様に、ステップST10では、処理回路31は、ユーザによる入力インタフェース25の操作に応じて、トモシンセシスの収集及び再構成に関する情報を設定する。設定される情報は、例えば、再構成範囲Rの上端T及び下端Bの位置と、トモシンセシス撮影における回転中心Cの位置と、視野(FOV)及び撮影角度と、SID(トモシンセシス撮影におけるX線管5とX線検出器7との間の距離)と、を含む。また、図7に示すように、設定画面27a1をディスプレイ27に表示させ、背景画像に関する設定を可能としてもよい。図7中、背景画像(Background)に関する設定は、背景画像無し(None)、ルーラ(Ruler)、骨(Bone)が選択可能となっている。但し、背景画像としては、これらに限らず、天板15付近の装置画像などといった所望の画像を使用できる。
【0052】
ステップST10の後、処理回路31は、図6に示すステップST21~ST28を実行する。処理回路31は、設定内容に基づき、図8に示すように、ガイド画像gd1に関する情報を算出する(ステップST21)。例えば、処理回路31は、撮影角度と、視野(FOV)と、SIDとに基づいて、撮影角度の両端における各々のX線管5からのX線ビームの輪郭BLを算出する。輪郭BLは、例えば、視野(FOV)を底辺とし、撮影角度とSIDから得られる位置のX線管5を頂点とした三角形の残り二辺として算出可能である。また、処理回路31は、撮影角度の両端におけるX線ビームの輪郭BLに囲まれた有効領域Eを算出する。また、処理回路31は、視野(FOV)の長さを上辺及び下辺とし、上辺と下辺とを、上端Tと下端Bとの間の距離だけ離して配置し、上辺と下辺との端部をそれぞれ左辺と右辺とで結ぶことにより四角形状の枠Fを算出する。
【0053】
ステップST21の後、処理回路31は、ステップST21で得られた結果に基づき、ガイド画像を生成する(ステップST22)。
【0054】
ステップST22の後、処理回路31は、設定画面27a1の設定内容に基づき、背景画像を用いるか否かを判定する(ステップST23)。例えば、設定画面27a1の設定内容が背景画像無し(None)の場合、背景画像を用いないと判定される。背景画像を用いない場合にはステップST30に移行し、ガイド画像を表示させる。この場合、図8に示すように、背景画像のないガイド画像gd1が表示される。なお、処理回路31は、図9に示すように、再構成範囲Rを囲む枠Fを拡大したガイド画像gd11を更に表示させてもよい。ガイド画像gd11は、ステップST10の設定内容に基づいて算出された断層画像のピッチに基づき、枠F内に水平方向の破線を描画している。
【0055】
一方、ステップST23の判定の結果、背景画像を用いる場合、処理回路31は、設定画面27a1の設定内容に基づき、背景画像が3D画像の側面か否かを判定する(ステップST24)。例えば、設定画面27a1の設定内容が3Dの骨(Bone)の場合、背景画像が3D画像の側面であると判定される。この場合、処理回路31は、上面からの2D透視像(被検体PのX線画像)と、上面からの3D画像(骨画像)とを位置合わせする(ステップST25)。また、処理回路31は、位置合わせ結果に基づき、3D画像の側面を用いた背景画像(骨画像の側面像)を作成する(ステップST26)。その後、処理回路31は、ガイド画像を背景画像に重畳して(ステップST27)、ステップST30に移行し、ガイド画像を表示させる。この場合、図10に示すように、骨の側面を表す背景画像bk1を有するガイド画像gd2が表示される。
【0056】
また、ステップST24の判定の結果、背景画像が3D画像の側面でないと判定されたとする。例えば、設定画面27a1の設定内容が背景画像無し(None)でもなく、3Dの骨(Bone)でもない場合、背景画像が3D画像の側面でないと判定される。これは、図7中、設定画面27a1の設定内容がルーラである場合が該当する。但し、ルーラである場合に限定されず、例えば、「2D画像」という設定内容でもよい。いずれにしても、背景画像が3D画像の側面でない場合、処理回路31は、天板15の位置から背景画像を位置合わせする(ステップST28)。その後、処理回路31は、ガイド画像を背景画像に重畳して(ステップST27)、ステップST30に移行し、ガイド画像を表示させる。この例では、ステップST27において、ルーラを更に重畳させる。この場合、図11に示すように、X線診断装置を寝台の長手方向とは直交する方向から表す背景画像bk2と、ルーラruとを有するガイド画像gd3が表示される。
【0057】
以下、ステップST30にて、図8乃至図11のいずれのガイド画像gd1~gd3が表示された場合であっても、前述同様に、ステップST40以降の処理が実行される。
【0058】
上述したように第2の実施形態によれば、設定値としては、トモシンセシス撮影の撮影角度を更に含んでいる。また、当該設定値に基づいて、撮影角度の両端における各々のX線管からのX線ビームの輪郭と、輪郭に囲まれた有効領域と、再構成範囲と、回転中心の位置とを含む画像を生成する。従って、第1の実施形態に係るガイド画像gdに比べ、撮影角度の両端における各々のX線管からのX線ビームの輪郭と、輪郭に囲まれた有効領域とを更に表す画像を生成するので、一層、再構成範囲の設定のミスを低減可能とすることが期待できる。また、X線ビームの輪郭を表示するので、有効領域の目視が簡単になる。
【0059】
また、第2の実施形態によれば、生成された画像を、再構成範囲を視認可能な方向から表した背景画像に重畳させ、当該背景画像に重畳された当該画像をディスプレイに表示させてもよい。この場合、背景画像の内容に応じて、より一層、再構成範囲の設定のミスを低減可能とすることが期待できる。
【0060】
また、第2の実施形態によれば、当該画像にルーラを重畳させ、ルーラが重畳された当該画像をディスプレイに表示させてもよい。この場合、ルーラに応じて、より一層、再構成範囲の設定のミスを低減可能とすることが期待できる。
【0061】
また、第2の実施形態において、ガイド画像gd1,gd2は、トモシンセシス撮影の実行前に表示される例を説明したが、トモシンセシス撮影の実行後に表示され、トモシンセシス撮影後に変更可能な各種設定値(再構成範囲の上端、下端等)が設定されてもよい。
【0062】
以上説明した少なくとも一つの実施形態によれば、再構成範囲の設定のミスを低減可能とすることができる。
【0063】
上記説明において用いた「プロセッサ」という文言は、例えば、CPU(central processing unit)、GPU(Graphics Processing Unit)、或いは、特定用途向け集積回路(Application Specific Integrated Circuit:ASIC)、プログラマブル論理デバイス(例えば、単純プログラマブル論理デバイス(Simple Programmable Logic Device:SPLD)、複合プログラマブル論理デバイス(Complex Programmable Logic Device:CPLD)、及びフィールドプログラマブルゲートアレイ(Field Programmable Gate Array:FPGA)等の回路を意味する。プロセッサはメモリに保存されたプログラムを読み出し実行することで機能を実現する。なお、メモリにプログラムを保存する代わりに、プロセッサの回路内にプログラムを直接組み込むよう構成しても構わない。この場合、プロセッサは回路内に組み込まれたプログラムを読み出し実行することで機能を実現する。なお、本実施形態の各プロセッサは、プロセッサごとに単一の回路として構成される場合に限らず、複数の独立した回路を組み合わせて1つのプロセッサとして構成し、その機能を実現するようにしてもよい。さらに、図1における複数の構成要素を1つのプロセッサへ統合してその機能を実現するようにしてもよい。
【0064】
なお、本発明のいくつかの実施形態を説明したが、これらの実施形態は、例として提示したものであり、発明の範囲を限定することは意図していない。これら実施形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更を行うことができる。これら実施形態やその変形は、発明の範囲や要旨に含まれると同様に、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれる。
【符号の説明】
【0065】
1 X線診断装置
2 トモシンセシス撮影装置
3 医用画像処理装置
5 X線管
7 X線検出器
9 X線管移動機構
11 検出器移動機構
13 トモシンセシス制御機構
15 天板
21 通信インタフェース
23 メモリ
25 入力インタフェース
27 ディスプレイ
27a 第1表示画面
27a1 設定画面
27b ボタン
27c 第2表示画面
29 制御回路
31 処理回路
31a 医用画像処理機能
31b 設定機能
31c ガイド画像処理機能
31d 表示制御機能
C 回転中心
cs カーソル
E 有効領域
gd,gd1~gd3 ガイド画像
P 被検体
R 再構成範囲
T 上端
B 下端
BL 輪郭
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11