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特開2024-167415高速雌雄同体のコネクタ及びコネクタアセンブリ
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024167415
(43)【公開日】2024-12-03
(54)【発明の名称】高速雌雄同体のコネクタ及びコネクタアセンブリ
(51)【国際特許分類】
   H01R 24/84 20110101AFI20241126BHJP
   H01R 13/6585 20110101ALI20241126BHJP
【FI】
H01R24/84
H01R13/6585
【審査請求】有
【請求項の数】15
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2024156534
(22)【出願日】2024-09-10
(62)【分割の表示】P 2023528153の分割
【原出願日】2021-12-10
(31)【優先権主張番号】63/123,486
(32)【優先日】2020-12-10
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(71)【出願人】
【識別番号】591043064
【氏名又は名称】モレックス エルエルシー
(74)【代理人】
【識別番号】100116207
【弁理士】
【氏名又は名称】青木 俊明
(74)【代理人】
【識別番号】100096426
【弁理士】
【氏名又は名称】川合 誠
(72)【発明者】
【氏名】ジョン シー ロールクス
(72)【発明者】
【氏名】カン チュン ヨン
(72)【発明者】
【氏名】マイケル ロスト
(72)【発明者】
【氏名】プエ シエ
(57)【要約】      (修正有)
【課題】高速で雌雄同体の電気コネクタを接続することができ、既存のコネクタアセンブリよりも少ない空間を使用する雌雄同体のコネクタアセンブリを提供する。
【解決手段】ハウジング2aは、互いに係合するように意図された第1及び第2の係合機構を提供することができ、それにより、2つのそのようなコネクタ1a、1bが180°回転されると、係合機構は、2つのそのようなコネクタが互いに嵌合することを可能にする。電気的性能を向上させるように、ケーブルを端子に直接接続することができる。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
システムであって、
第1のコネクタであって、第1のコネクタが第2のコネクタに対して回転すると第1のコネクタと実質的に相似である第2のコネクタに接続されるように構成されたハウジングを有し、ハウジングが複数の導電性のシールド内に位置する複数の端子を含み、複数の端子のうちの各端子がそれぞれのテールを含む、第1のコネクタ、を備え、
複数の導電性のシールドのそれぞれが、シールドと一体的なカラーであって、複数のケーブルのそれぞれに接続されるように構成されたカラーを含み、カラーは、複数のケーブルの導体と複数の端子のテールとの重なった接続部の上に保護部分を画定する、システム。
【請求項2】
複数の導電性のシールドは、ハウジングの複数のポケットのそれぞれの中に位置し、複数のポケットのそれぞれは、複数の導電性のシールドのそれぞれの1つ以上の側面上に、第1のコネクタの誘電率に影響を及ぼす空気の領域を画定する、請求項1に記載のシステム。
【請求項3】
複数の端子のそれぞれは、エルボー形状に形成された端部を有する接触部分を更に含み、複数の導電性のシールドのそれぞれは複数のフィンガーを含み、複数のフィンガーは接地経路を提供するために電気接地構造として構成されている、請求項1に記載のシステム。
【請求項4】
複数の導電性のシールドのカラーは、複数のケーブルのそれぞれに、圧着、溶接又は半田付けによって接続されている、請求項1に記載のシステム。
【請求項5】
複数の導電性のシールドのそれぞれはU字形であり、複数の導電性のシールドは、内向きに形成された端部であって、複数の導電性のシールドのそれぞれが複数のケーブルのそれぞれのシールド層に電気的に結合される面を有する端部、を有する複数の側壁を更に含む、請求項1に記載のシステム。
【請求項6】
複数の導電性のシールドのそれぞれはチクレットを内部に有する複数の壁を含み、チクレットは、複数の導電性のシールドのそれぞれの開口部内に位置する突起を含む、請求項1に記載のシステム。
【請求項7】
第1のコネクタと実質的に相似であり、第1のコネクタに対して180度回転すると第1のコネクタに接続されるように構成された第2のコネクタを更に備え、
第1のコネクタは、第2のコネクタの対応する第2の係合機構に嵌合するように構成された第1の嵌合機構を含み、
第1のコネクタは、第2のコネクタの対応する第1の係合機構に嵌合するように構成された第2の嵌合機構を更に含む、請求項1に記載のシステム。
【請求項8】
コネクタであって、
雌雄同体のハウジングと、
複数の導電性のシールドと、
複数の導電性のシールド内に位置する複数の端子であって、それぞれがテールを含む、複数の端子と、
雌雄同体のハウジング内に画定された複数のポケットであって、複数のポケットのそれぞれの内に複数の導電性のシールドが位置し、複数のポケットのそれぞれが、コネクタの誘電率に影響を及ぼす空気の領域を複数の導電性のシールドのそれぞれの1つ以上の側面上に画定する、複数のポケットとを備え、
複数の導電性のシールドのそれぞれは、複数のケーブルのそれぞれに接続されるように構成されたカラーを含み、カラーは、複数のケーブルの導体と複数の端子のテールとの重なった接続部の上に保護部分を画定する、コネクタ。
【請求項9】
複数のポケットのそれぞれは、雌雄同体のハウジングの4つの壁によって画定され、複数のポケットは、ウエハを受け入れるようにハウジング内で1つ以上の列に整列される、請求項8に記載のコネクタ。
【請求項10】
カラーは、複数の端子のそれぞれのテールと複数のケーブルの対応する導体との重なった接続部の上に保護部分を画定する、請求項8に記載のコネクタ。
【請求項11】
カラーは複数の導電性のシールドのそれぞれと一体的であり、カラーは複数のケーブルのそれぞれのドレインワイヤのシールド層に、圧着、半田付け又は導電性接着剤によって接続されている、請求項8に記載のコネクタ。
【請求項12】
複数の導電性のシールドはU字形であり、複数の導電性のシールドは、それぞれ、内向きに形成された端部であって、複数の導電性のシールドのそれぞれが複数のケーブルのそれぞれのシールド層に電気的に結合される面を有する端部、を有する複数の側壁を含む、請求項8に記載のコネクタ。
【請求項13】
カラーは一体型の窪みを含み、複数の導電性のシールドのそれぞれは、一体型の窪みに接続される一体型内向きの突起を含む、請求項8に記載のコネクタ。
【請求項14】
複数の端子のそれぞれのテールは複数のケーブルの対応する導体に結合され、
複数の導電性のシールドのそれぞれのカラーは、対応する導体の端部を越えて延び、それぞれのテールと対応する導体との重なった接続部の上に保護キャノピーを提供する、請求項8に記載のコネクタ。
【請求項15】
複数のケーブルのそれぞれはデュアルサイドのドレインワイヤを含み、複数の導電性のシールドのそれぞれはデュアルサイドのドレインワイヤに電気的及び物理的に接続された保持アームを含み、保持アームは、複数の導電性のシールドのそれぞれと複数のケーブルのうちの対応するものとの間に接地経路接続を形成する、請求項8に記載のコネクタ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
(関連出願の相互参照)
本出願は、2020年12月10日に出願された米国特許仮出願第63/123,486号(‘486出願’)の優先権を主張するものであり、その全体が参照として本明細書に組み込まれる。
【0002】
本開示は、コネクタの分野に関し、より具体的には、高データレート用途での使用に好適な雌雄同体のコネクタ及びアセンブリに関する。
【背景技術】
【0003】
進化する電気通信システム及びネットワークアーキテクチャでは、より高い密度及びより高い帯域幅を(信号完全性の要件を満たしながら)、より高い柔軟性及びより低いコストでサポートすることが可能な電子チップ間の相互接続が望まれている。既存の銅ベースの相互接続(例えば、コネクタ)は、時として、実質的なプリント回路基板(PCB)の信号損失に悩まされる(例えば、電気信号が、PCB又は同様の基板に埋め込まれた配線を経由しなければならない場合)。したがって、既存の相互接続の欠点に対処するコネクタを提供することが望ましい。
【発明の概要】
【0004】
一実施形態では、既存のコネクタの欠点のいくつかに対処し、それを克服するために、1つ以上の雌雄同体のコネクタを提供することができ、このような2つの雌雄同体のコネクタを接続して雌雄同体のコネクタアセンブリを形成することができる。
【0005】
より詳細には、第1のコネクタは、複数のウエハを受け取るように構成された第1のハウジングを備えてもよく、各ウエハは複数のケーブルを支持する。更に、第1のコネクタは、第1及び第2の係合機構を備えてもよく、第1の係合機構は、第2の係合機構と嵌合するように構成される。一実施形態では、第1のコネクタは、第1のコネクタと実質的に同じであるが、第1のコネクタの向きが第2のコネクタと180°異なる第2のコネクタと嵌合するように構成されてもよい。一実施形態では、第1の係合機構は、T字形リブとして構成されてもよく、第2の係合機構は、T字形スロットとして構成されてもよい。
【0006】
ハウジングは、第1及び第2のコネクタを一緒に保持するための追加の係合機構を更に備えてもよく、追加の係合機構は、一般的には、例えば、第1及び第2のコネクタが一緒に嵌合されるときに第3の係合機構が第4の係合機構に係合することができるように、対で追加されることが理解されるであろう。一実施形態では、第3の係合機構はシュラウドであり、第4の係合機構はシュラウドに挿入する。
【0007】
例示的な第1のコネクタは、1つ以上のシールドを更に備えてもよく、各シールドは、電気接地として構成され、端子によって伝送される高速差動電気信号を電磁的に保護するように更に構成されてもよい。第1のコネクタの1つ以上のシールドの各々は、端子を構造的に支持するように更に構成されてもよい。
【0008】
一実施形態では、第1のコネクタの1つ以上のシールドの各々は、(i)U字形シールドとして構成されてもよい。(ii)ケーブル(例えば、ツイナックス(twinax)ケーブル)の接地構造(例えば、フラットドレイン箔)をそれぞれのシールドに接続して接地経路を形成するために、はんだ又は別の接続材料を受け入れるための開口部を備えてもよい。(iii)1つ以上の開口部を備えてもよく、各開口部は、誘電体部品をそれぞれのシールドに接続するために誘電体部品の突起を受け入れるように構成される。(iv)電磁的にシールドされ電気的に接地された壁と、電磁的にシールドされ電気的に接地された側壁とを備えてもよく、それぞれのシールドの側壁はケーブルの接地構造をそれぞれのシールドに電気的に接続するように構成された端部を備えるために、それぞれのシールドの端部はそれぞれのシールドがケーブルの接地構造に電気的に結合される面を提供するために、導電性テールと導体の接続部を不要な電磁信号から保護するために、ケーブルの接地構造に向かって内側に構成されてもよい。
【0009】
一実施形態では、第1のコネクタは、1つ以上の電気接地用のカラーを更に備えてもよく、各カラーは、ケーブルの接地構造及びそれぞれのシールドの端部に接続して接地経路を形成するように構成される。このような接地用のカラーは、別個の部品であってもよいし、それぞれのシールドをケーブルの接地構造に接続して接地経路を形成するためにシールドと一体であってもよい。
【0010】
別の実施形態では、第1のコネクタは、1つ以上の電気接地用のカラーを更に備えてもよく、各カラーは、第1のコネクタのそれぞれのシールド及びケーブルの接地構造(例えば、フラットドレイン箔)に接続されるように構成される。各カラーは、不要なクロストークを低減し、接続部のインピーダンスを制御するために、ケーブルの導体(略して「導体」)へのそれぞれの導電性電子テールの接続部の上に電磁的な保護キャノピーを提供するように更に構成されてもよい。各カラーは、1つ以上の一体化された窪みを備えてもよく、それぞれのシールドは、カラーをシールドに接続するための1つ以上の一体化された内向き突起を備えてもよい。
【0011】
更に別の実施形態では、第1のコネクタの1つ以上のシールドの各々は、ケーブルのデュアルサイド接地ドレインワイヤに接触して接地経路を形成するように構成され得る保持アームを備えてもよい。
【0012】
代替的に、各シールドは、接触部のテールに向かう導体終端部へアクセスするための開口部を備えてもよい。このような実施形態では、第1のコネクタは、1つ以上の導電性のマイクロクランプ(例えば、導電性めっきプラスチックで構成される)を更に備えてもよく、各マイクロクランプは、その間の不要なクロストークを低減又は軽減するために、隣接するシールドの開口部の上に配置される。マイクロクランプの各々は、ケーブルのデュアルサイド接地ドレインワイヤを1つ以上のシールドのうちの1つの一体型タブ上に押し付けて、接地経路を形成するように構成されてもよい。場合により、マイクロクランプの各々は、例えば、それぞれの接続されたテール、及びそれぞれの導体にアクセスすることを可能にするラッチ機構を備えてもよい。いくつかの実施形態では、マイクロクランプを複数のシールドにまたがって延びて係合するように構成することができる。
【0013】
シールドに加えて、1つ以上の雌雄同体のコネクタの各々(例えば、第1のコネクタ)は、導電性構造体を更に備えてもよく、各導電性構造体は、一端にそれぞれの内部導体と、反対端にそれぞれの導電性テールとを備えてもよく、各それぞれの内部導体は、導体が第2の雌雄同体のコネクタの内部導体に接触して接続された高速信号経路を形成するときに摩擦力を加えるように形成された端部を備えてもよい。
【0014】
第1のコネクタの1つ以上のシールドの各々は、第1のコネクタと第2のコネクタとの間に電気接地経路を形成し、第1のコネクタと第2のコネクタとの間の接続部を不要な電磁信号から保護するために、第2のコネクタのシールド内の凹部と接触することができる主壁、側壁、端部、又はスプリングフィンガーを備えてもよい。
【0015】
一実施形態では、前述のハウジングは、複数のポケットを備えてもよく、各ポケットは、1つ以上のシールド及び端子のうちの1つを保持し支持するように構成され、各ポケットは、隣接する端子間の潜在的なクロストークを低減するために誘電率を低下させる方法として機能する、空気で満たされた開放空間を備えるように更に構成されてもよい。ポケットは、ハウジング内に一列に設けることができる。
【0016】
更なる実施形態では、1つ以上のシールドの各々は、少なくとも端子を電磁的にシールドしてもよいし、また電気接地として構成されてもよい可撓性の導電性フィンガーを備えてもよい。
【0017】
一実施形態では、導電性構造体の各テールは、導体に接続して、高速電気信号(例えば、112Gbps、又は112Gbps~224Gbps)の伝送を可能にするように構成されてもよい。更に、各テールは、1つ以上の歯牙状構造を含む1つ以上の波形の縁部を有するように構成されてもよく、ここで、(i)テールと導体との接続部のインピーダンスを制御し、不要な電気的クロストークを回避するために、各テールの幅はテールが導体に接続される接続長さに沿って変化してもよい。(ii)各テールは、テールを導体に接続するために、1つ以上の山部分と1つ以上の谷部分とを備えてもよい。(iii)谷部分の幅は谷部分ごとに異なっていてもよく、山部分の幅は山部分ごとに10%又は20%異なっていてもよい。(iv)各波状縁部は、丸みを帯びた形、長方形、ダイヤモンド形、又はそれぞれのテールとそれぞれの導体への接続を向上させる別の形状であってもよい。更に、山部分の1つ以上は、導体をテール上に案内するように構成されていてもよい。より詳細には、山部分の1つ以上は、導体をテール上に案内するためのフックとして構成されてもよい。
【0018】
第1のコネクタは、第2の雌雄同体のコネクタに接続されてもよく、接続された第1及び第2の雌雄同体のコネクタは、雌雄同体のコネクタアセンブリを備えてもよいことを理解されたい。
【図面の簡単な説明】
【0019】
本開示は、一例として示され、添付図面に限定されるものではなく、同様の参照番号は、類似の要素を指す場合がある。
【0020】
図1】嵌合していない状態における例示的な雌雄同体の高密度高帯域幅コネクタシステムの斜視図を示す。
図2図1に示される実施形態の別の斜視図を示す。
図3図1に示されるコネクタシステムの別の斜視図を示す。
図4】また、図1に示されるコネクタシステムの別の斜視図を示す。
図5図1に示されたコネクタシステムの斜視図であるが、嵌合状態にある。
図6】例示的なコネクタアセンブリを形成するように構成されてもよい、2つの例示的な雌雄同体の高密度高帯域幅コネクタを示す。
図7】例示的な雌雄同体のコネクタの斜視断面図を示す。
図8】例示的な雌雄同体のコネクタのハウジングの簡略斜視図を示す。
図9】例示的な雌雄同体のコネクタの接続部の斜視断面図を示す。
図10】例示的なシールドと、シールドによって保護及び支持される一部の部品の拡大斜視図を示す。
図11】例示的なシールドと、シールドによって保護及び支持される一部の部品の拡大斜視図を示す。
図12】ケーブルの導体(例えば、高速(毎秒112ギガビット(Gbps)~224Gbps)差動ツイナックス導体)へのテールの例示的な接続の簡略斜視図を示す。
図13図12に示される実施形態の別の斜視図を示す。
図14】シールドが、他の特徴の中でも、図13に示される実施形態をどのように支持し得るかの例を示す。
図15】シールドの実施形態と組み合わせて、ツイナックスケーブルの導体に接続されたテールの斜視図を示す。
図16】ツイナックスケーブル上のシールド層に接続するために使用できる構造の代替実施形態の簡略斜視図を示す。
図17】ケーブル対端子配置の実施形態を示す図16に示される構造の斜視図を示す。
図18】シールド及びチクレットの一実施形態を示す。
図19】シールドをケーブル(例えば、ツイナックスケーブル)に接続するための追加の代替構造及び方法を示す実施形態を示す。
図20】シールドをケーブル(例えば、ツイナックスケーブル)に接続するための追加の代替構造及び方法を示す実施形態を示す。
図21】シールドをケーブル(例えば、ツイナックスケーブル)に接続するための追加の代替構造及び方法を示す実施形態を示す。
図22】シールドをケーブル(例えば、ツイナックスケーブル)に接続するための追加の代替構造及び方法を示す実施形態を示す。
図23】電気ケーブルのデュアルサイドドレインワイヤのシールドへの例示的な接続を示す。
図24】電気ケーブルのデュアルサイドドレインワイヤのシールドへの例示的な接続を示す。
図25】電気ケーブルのデュアルサイドドレインワイヤのシールドへの例示的な接続を示す。
図26】ケーブル(例えば、ツイナックスケーブル)をシールド及びテールに接続するための実施形態を示す。
図27】ケーブル(例えば、ツイナックスケーブル)をシールド及びテールに接続するための実施形態を示す。
図28】ケーブル(例えば、ツイナックスケーブル)をシールド及びテールに接続するための実施形態を示す。
図29】ケーブル(例えば、ツイナックスケーブル)をシールド及びテールに接続するための実施形態を示す。
図30】シールド及びテールへのケーブル(例えば、ツイナックスケーブル)の例示的接続の拡大図を示す。
図31】特に、テールの表面上にケーブルの導体を案内するように成形された部分を有する例示的なテールを示す。
図32】あるコネクタの端子と別のコネクタの端子との例示的な接続の例示的な図を示す。
図33】あるコネクタの端子と別のコネクタの端子との例示的な接続の例示的な図を示す。
図34】あるコネクタの端子と別のコネクタの端子との例示的な接続の例示的な図を示す。
【発明を実施するための形態】
【0021】
当業者が、当該技術分野において既に知られていることに鑑みて、本明細書に開示される実施形態を製作、使用、及び最良に実施することを効果的に可能にするために、例示及び記載の両方における簡潔さ及び明瞭さが求められる。当業者であれば、本開示の趣旨及び範囲から逸脱することなく、本明細書に記載の特定の実施形態に様々な修正及び変更がなされ得ることが理解されよう。そのため、本明細書及び図面は、限定的又は包括的ではなく、例証的かつ例示的であると見なされるべきであり、本明細書に記載される特定の実施形態への全てのそのような修正は、本開示の範囲内に含まれることが意図される。更に、特に明記されない限り、本明細書で開示される特徴は、簡潔にする目的で別様に説明又は示されなかった追加の組合せを形成するために、一緒に組み合わせてもよい。
【0022】
1つ以上の例示的な実施形態を、方法又は工程として説明する場合があることにも留意されたい。方法又は工程は、例示的なシーケンスとして(すなわち、順次に)説明され得るが、特に断らない限り、シーケンス内のステップは、並行して、同時並行して、又は同時に実施され得ることを理解されたい。加えて、方法や工程内の各形成ステップの順序を変更してもよい。説明する方法又は工程は、完了したときに終了することができ、また、例えば、そのようなステップが当業者に既知である場合、本明細書に説明されていない追加のステップを含んでもよい。
【0023】
本明細書で使用される場合、「高速」及び「高データレート」という用語は、互換的に使用され得る。本明細書で使用する場合、「実施形態」又は「例示的」という用語は、本開示の範囲内に入る実施例を意味する。第1及び第2のコネクタに言及する場合、実質的に類似しているとは、両方のコネクタが互いに嵌合して、雌雄同体のコネクタアセンブリを形成することができるように、十分に同一に近いことを意味する。
【0024】
図1図6は、例示的な雌雄同体のコネクタ1a及び1bの実施形態を示しており、これらの雌雄同体のコネクタ1a及び1bは、特に、既存のコネクタと比較して、柔軟性の向上及び低コストを実現することができる一方で、潜在的に密度を高め、より高いデータレートをサポートすることもできる。2つのコネクタ1a、1bを互いに接続した場合、例えば、雌雄同体のコネクタアセンブリ1c(図5参照)と呼ぶ場合がある。図示のように、各コネクタ1a、1bは、実質的に同一であり、それぞれのハウジング2aを備えてもよく、このハウジング2aは、複数の電気又は電子用導電性ケーブル5a(例えば、ツイナックスケーブル)を受け取り、各ケーブルを密閉され保護された内部導電性部品に接続するように構成された絶縁材料で形成され得る。各コネクタ1a、1bは、それぞれの電気ケーブル5aを受け入れるように示されているが、後述するテールは、ケーブル内の導体に終端するのではなく、基板に終端するように修正することができる。別の言い方をすれば、図1図4は、ケーブルに接続されたコネクタシステムの実施形態を示す。
【0025】
理解することができるように、コネクタ1a、1bの各々は、ハウジング2aに挿入される複数のウエハ22を支持する。ウエハ22は、ハウジング2a内で部品を支持し、かつケーブル5aの歪みを軽減するために、1つ以上のケーブル5a及び関連付けられたシールド/端子の部分をオーバーモールドすることによって形成することができる。両方のコネクタ用にケーブルを同じにすることはできるが、このような均一なケーブルの構造は必要なく、所望に応じて、両方のコネクタに異なるケーブルを使用できることに留意されたい。
【0026】
参照を容易にするために、コネクタ1aが受け取るケーブルを本明細書では「第1の」複数のケーブルと呼ぶ場合があり、コネクタ1b、5bが受け取るケーブルを本明細書では「第2の」複数のケーブルと呼ぶ場合がある。
【0027】
各コネクタ1a、1bは、それぞれのハウジング2aの一部として(すなわち、一体的に)形成された1つ以上のそれぞれの係合機構部を備えてもよい。図1は、単純な突起及び対応するスロットを含む第1の実施形態を示し、図2図6は、第2の実施形態を示す。各ハウジングに対して1つの第1の係合機構及び1つの第2の係合機構を使用することが示されているが、これは、例示的であり、追加の係合機構を所望に応じて提供できることを理解されたい。より詳細には、一実施形態では、コネクタ1aのハウジング2a(「第1の」ハウジングと呼ばれる場合もある)は、コネクタ1bのハウジング2a(「第2の」ハウジングと呼ばれる場合もある)の対応する第2の係合機構3bと嵌合するように構成されてもよい第1の係合機構3aを備えてもよい。更に、コネクタ1aの第2の係合機構4aは、コネクタ1bの第1の係合機構4bと嵌合する形状に構成されてもよい(図2図6参照)。係合機構4a及び4bの組合せは、集合的に、嵌合コネクタが接触領域の周囲にシュラウドを提供することを可能にする係合構成4abを提供することができる。したがって、理解することができるように、各コネクタは、嵌合コネクタの第2及び第1の係合機構にそれぞれ係合するように構成される第1の係合機構及び第2の係合機構を有することができる。
【0028】
図1図6に示すように、例えば、第1の係合機構3aは「T」字形リブとして構成されてもよく、一方、第2の係合機構3bは「T」字形スロットとして構成されてもよい。しかしながら、T字形のリブ及びスロットは単に例示であり、1つのコネクタを別のコネクタに整列して接続するために他の形状を使用してもよいことを理解されたい。一実施形態では、コネクタ1a、1bを整列させて接続するために、それぞれのT字形リブ3aをそれぞれのT字形スロット3bに挿入してもよい。
【0029】
更に、それぞれのリブ及びスロットにより、本明細書の他の箇所でより詳細に説明されるように、高速電気信号(例えば、112Gbps)をケーブルからケーブルに伝送又は伝導することを可能にするために、それぞれのコネクタ1a、1bのそれぞれの端子7aも整列する。理解することができるように、各コネクタについて、第1及び第2の係合機構は、2つのそのようなコネクタが適切に配向されたときに互いに嵌合することができるように、それぞれのコネクタの両側に配置され得る。
【0030】
各コネクタ1a、1bは、第1及び第2の係合機構の両方を有しており、2つのこのようなコネクタは、互いに嵌合することができるため、このようなコネクタを雌雄同体のコネクタと呼ぶ場合がある。また、図3及び図4は、追加の係合機構4a、4bを示しており、これらは、それぞれのハウジング2aと一体となり得る係合機構の組4abを集合的に形成し、2つのコネクタを整列させ嵌合を制御するのを助ける。図4から理解することができるように、両方のコネクタは同一であり得るが、単に180°回転すればそれらは互いに嵌合することができる。
【0031】
図示のように、2つのコネクタが互いに嵌合された場合に、完全に保護された嵌合インタフェースを提供することができるように、係合機構4a、4bは両側に設けられる。したがって、係合機構4aは係合機構4bに嵌合することができる。
【0032】
図7を参照すると、例示的なコネクタ1aの一部の例示的な断面図が示されている。この図から、各例示的なコネクタは、1つ以上の電気的に接地されたシールド8aを備えてもよく、シールド8aは、所望の合金、多くの場合銅ベースで形成することができ、各シールド8aは、電気的接地として機能してコモンモードエネルギーの接地経路を提供するように構成され、更に、各シールド8a内の対応する内部端子7aによって送信される高速差動信号を、不要な電磁信号(例えば、高周波(RF)信号)からシールドするように構成されることが分かる。更に、各シールド8aは、各シールド8aの壁内に配置され得るそれぞれの端子7a及びチクレット6aを構造的に支持するように追加的に構成されてもよい。
【0033】
ここで図8を参照すると、複数のそれぞれのシールド8a及びそれぞれの端子7aの簡略図が示されており、ハウジング2aのそれぞれの壁24a(例えば、4つの壁)によって形成された複数のそれぞれの開口部又は「ポケット」23aのうちの1つの中に、端子7aがそれぞれ配置される。図示のように、ハウジング2aは、複数のポケット23aを備えてもよく、各ポケットは、例えば、それぞれのシールド8aと端子7aを保持及び支持するように構成され、ハウジング内の各列がウエハ22を受け入れるように構成された状態で、ポケット23aを1つ以上の列に整列させることができる。
【0034】
一実施形態では、一組の壁24aは、それぞれのシールド8aと端子7aを支持して整列させ、それぞれのシールド8a及び導体7aの各々を、例えば、同じコネクタ1aの他のシールド及び導体から分離することがある。更に、一実施形態では、各形成されたポケット23aは、シールドの1つ以上の側面上に空気の領域を提供するように構成されてもよく、空気の領域は、コネクタシステムの誘電率を修正して信号完全性を改善するのに役立つことができる。
【0035】
図9は、コネクタ1a、1bの接続部の簡略断面図を示しており、特に、それぞれのコネクタ1a、1bの各々は、互いに嵌合できるように、各コネクタにおいて同一であるが向きが反対であり得る端子7aの対を有するように構成されてもよいことを示している。理解することができるように、各テール10aは端子7aの端部にある。実施形態では、コネクタ1aのそれぞれのテール10aの各々は、高速差動信号を伝送し得るケーブル5aの導体11a(以下、「ケーブル」導体)に接続されてもよく、コネクタ1bのそれぞれのテール10bの各々は、高速差動信号を伝送し得るケーブル5bの導体11bに接続されてもよい。更に、コネクタ1a、1bが雌雄同体アセンブリ1cを形成するように接続されると、コネクタ1aのそれぞれの端子7aは、コネクタ1bのそれぞれの端子7aに接続され得る。
【0036】
ここで図10及び図11を参照すると、例示的なシールド8a及びシールド8aが保護及び支持し得る部品の拡大図が示されている。一実施形態では、コネクタ1aの各シールド8aは、それぞれの端子7a及びチクレット6aを支持及び保護するのに役立つようにU字形シールドとして構成されてもよい。
【0037】
一実施形態では、チクレット6a(端子ハウジング6aとも呼ぶことができる)をシールド8aに取り付けることによって、それぞれのシールド8aによって端子7aを支持することができる。更に、各端子7aは、嵌合する端子7aが互いにスタブすることなく係合して、接続された高速信号経路を形成することができるために、「エルボー」形状(すなわち、曲がった形状)に形成された端部を有する接触部分を備えてもよい。
【0038】
各シールド8aはフィンガー9aを備えてもよく、フィンガー9aは可撓性であり得、あるコネクタ(例えば、コネクタ1a)の導体7aが別のコネクタ(例えば、コネクタ1b)の導体(例えば、導体7b)と物理的に接触するように配置される場合、接続が形成されたときに少なくとも導体7aをシールドするのを助けることができる(図9図32図34参照)。接地経路を提供するために、フィンガー9aを電気接地構造として構成してもよい(図33参照)。例えば、一実施形態では、コネクタ1aのそれぞれのフィンガー9aは、電気接地経路(図33及び図34参照)を形成(及び維持)するために、相手側嵌合コネクタ(例えば、コネクタ1b)内のシールド8aの凹部29と接触するように構成された可撓性構造を備えてもよい。このような接続は、コネクタ1aがコネクタ1bに接続されて雌雄同体アセンブリ1c(例えば、図5及び図9参照)を形成するときに生じ得る。
【0039】
図12及び図13は、コネクタ1aの一組の例示的なテール10aとケーブル5aの一組の導体11a(例えば、高速差動ツイナックス導体)との接続部の簡略図を示す。図12はそのような接続部の上面図を示し、図13は同じ接続部の底面図を示す。図12及び図13の両方において、シールド8a(内部端子7a、チクレット6a、及びテール10aと導体11aとの間の接続部を保護し得る)は、読者が内部機構を見ることができるように示されていないが、シールド8aは、これらの実施形態において利用されることを理解されたい(図14参照)。図示のように、テール10aは、端子7aとは反対側のシールド8aの端部に配置することができる。更に理解することができるように、ケーブル5aはシールド層13aとフラットドレインワイヤ16を含み、ツイナックスケーブルの他の構成を使用することができ、以下で議論することが理解される。
【0040】
1つのシールド8a、一組の端子7a、及び導体11aを備える1つのケーブル5aのみが示されているが、コネクタ1aを構成する、又はコネクタ1aに接続される各シールド8a、各端子7a、及び各ケーブル5a/導体11aは、同様の方法で図示され得ることを理解されたい。
【0041】
続いて、一実施形態では、例示的なケーブル5aは、そのそれぞれの導体11aが、例えば、溶接工程によってコネクタ1aのそれぞれのテール10aに接続される場合、高速差動信号を伝送するためにコネクタ1aとの接続を形成することができる。一実施形態では、例えば、導体11aで伝送される高速電気信号(例えば、112Gbps信号、112Gbpsと224Gbpsとの間の信号)がテール10aを通って、最終的に端子7aに継続して伝送され得ることを保証するために、1つの導体11aを1つのテール10aに重ね合わせて接続してもよい(又はその逆でもよい)。前述したように、コネクタ1aの各導電性テール10aは、内部導体7a(図9参照)も備える導電性構造体27aの一端であってもよい。
【0042】
差動高速信号導体11aをコネクタ1aのテール10aに接続することに加えて、ケーブル5aのシールド層もコネクタ1aに接続してもよい。例えば、図14を参照すると、シールド8aが示されており、シールド8aは、シールド層13a及びケーブル5a(例えば、差動高速信号ケーブル)のドレインワイヤ16をシールド8aに接続して接地経路を形成し、ドレインワイヤ、シールド及びシールド層を一緒に電気的に接続するために、はんだ又は別の接続材料12abを受け入れるための開口部12aを備えてもよい。
【0043】
図14はまた、例示的なシールド8aがどのようにチクレット6aを支持し得るかの一例を示す。一実施形態では、シールド8aは、1つ以上の開口部14aaを備えてもよく、各開口部は、チクレット6aをシールド8aに接続するためにチクレット6aの突起14abを受け入れるように構成され、それによって、チクレット6aをシールド8aに固定し、チクレット6aに構造的支持及び安定性を与える。
【0044】
図15は、例示的なテール10aの導体11aへの接続の拡大図を示す。図示のように、重なり合って接続されたテール10aと導体11aを、シールド8aの主壁20a(図15の導体11aの下に示す)及び側壁15a内に配置してもよい。
【0045】
図15に示す実施形態では、側壁15aは、ケーブル5aのシールド層13aをシールド8aに電気的に接続するように構成されたそれぞれの端部21aを含んでもよい。更に、端部21aは、単に例示的なものであるが、内向きに(すなわち、ケーブル5aのシールド層13aに向いて曲がって)構成されてもよい。側壁15aの内向きに形成された端部21aは、シールド8aがケーブル5aのシールド層13aに(例えば、はんだ又は導電性接着剤を用いて)電気的に結合されてもよい面(トラフ)を提供し得る。このような構成は、側壁15a及び壁20aが、導体10aとシールド層13aとの間のコモンモード結合から、端子7aとシールド8aとの間のコモンモード結合へ遷移するのを助けることができる一方で、隣接する端子からの潜在的なクロストークを低減するためのシールドも提供する。
【0046】
ここで図16図18を参照すると、シールドをケーブル(例えば、ツイナックスケーブル)の導体に接続するための、及びその逆のための代替的な構造及び方法を示す実施形態が示されている。図16に示すように、導電性の接地用のカラー5abは、シールド層13a及びケーブル5aのドレインワイヤ16に取り付けられてもよい(例えば、圧着する、はんだ付けする、導電性接着剤で接続する)。その後、シールド8aの側壁15aの内側端部21aをカラー5abに接続(例えば、溶接、はんだ付け)してもよく、接地経路接続を形成することができる(図17参照)。
【0047】
図16及び図17では、カラー5abは別個の部品として示されている。しかしながら、更に別の実施形態では、カラーをシールドの一体部分として形成してもよい。例えば、図18において、カラー8abは、例えば、シールド8aの一体部分として示されている。シールド8aのカラー8abは、接地経路接続を形成するためにケーブル5aのシールド層13aに接続(例えば、溶接、はんだ付け)されてもよい。カラー8abは、ドレインワイヤ16に係合することもできる。
【0048】
ここで図19図22を参照すると、シールドをケーブル(例えば、ツイナックスケーブル)に接続するための追加の代替的な構造及び方法を示す実施形態が示されている。図19に示すように、電気接地用のカラー5acは、ケーブル5aのシールド層13aに接続(例えば、圧着、はんだ付け、導電性接着剤による接続)されてもよい。更に、一実施形態では、カラー5acを例示的なシールド8aに接続して接地経路を完成させるために、例えば、一組以上の嵌合した内向きの突起と内向きの窪みを使用してもよい。図19図22に示される実施形態では、例えば、カラー5acは、1つ以上の一体型の窪み5adを備えてもよく、一方、シールド8aは、1つ以上の一体型内向きの突起5aeを備えてもよく、これは単なる例示であることを理解されたい(例えば、突起は外向きでカラーと一体化されてもよく、窪みは外向きでシールドと一体化されてもよい)。したがって、1つ以上の突起5aeの各々を1つ以上の窪み5adのうちの少なくとも1つに押し込む力をシールド8a又はカラー5acに加えることによって(又はその逆も同様である)、シールド8aをカラー5acに接続することができる。その後、追加の接続方法を使用してもよく、カラー5acをシールド8aに更に接続することができる(例えば、はんだ付け、レーザ溶接、又は機械的圧着、導電性接着剤など)。
【0049】
図16図18に示されるカラー5ab、8abと比較して、カラー5acは、例えば、カラー5ab、8abよりもその長さに沿って大きい寸法を有してもよく、導体11aのより長い長さ及びより広い面積に亘って、導体11aと接触することができる。そうすることによって、カラー5acを導体11aに、よりしっかりと取り付けることができると考えられる。更に、(導体11aの軸に沿って)長さがより長いカラー5acを構成することによって、カラー5acは、導体11a(及びそのシールド層13a)の端部を越えて延びることができ、それによって、不要なクロストークを低減し、かつこのような接続部のインピーダンスを制御することに役立ち得る、導体11aにテール10aが重なった接続部の上に電磁保護「キャノピー」を備えることができる。
【0050】
カラー5ab、8ab又は5acのいずれかの追加は、端子に向かうケーブル終端部の構造的剛性を高めることができ、またシールド8aとの電気接続を容易にするのに役立つ好ましい面を提供することができると考えられる。ケーブル(例えば、ケーブル5a又は5b)が図14図22に示されるものとは異なる接地構造を含む場合、電気接地経路を維持するために、そのような接地構造をコネクタの例示的なシールド(例えば、シールド8a)に接続してもよいことを理解されたい。
【0051】
例えば、ここで図23図25を参照すると、デュアルサイドのドレインワイヤ13abを有する例示的なケーブル5aが示されている。一実施形態では、例示的なシールド8aをドレインワイヤ13abに電気的及び物理的に接続するために、シールド8aは保持アーム21abを含んでもよく、保持アーム21abは、図24及び図25に示すように、シールド及び/又は露出側のドレイン接地ワイヤ13abと電気的及び物理的に接触するクレードルとして構成されてもよい。各保持アーム21abは、ドレインワイヤ13abと摩擦接触して、コネクタ1aのシールド8aとケーブル5aとの間に接地経路接続を形成することができるが、このような接続には、保持アーム21abを対応するドレインワイヤ13abに更に固定するために、はんだ、レーザ溶接、又は接着剤コーティングが含まれてもよい。
【0052】
ケーブル(例えば、ツイナックスケーブル)を端子に接続するための更に別の実施形態が、図26図29に示される。図26及び図27は、デュアルサイドのドレインワイヤ13abを有する例示的なシールド8a及び例示的なケーブル5aの上面図及び底面図を示す。一実施形態では、テール10aをケーブル5aの導体11aに電気的に接続するために、例示的なシールド8aは、開口部8acを有するように構成されてもよい。一実施形態では、開口部8acにより、例えば、抵抗溶接工程を用いて、導体11aをテール10aに接続することが可能になる場合がある。しかしながら、開口部が存在すると、隣接する一組の端子からの不要なクロストークが増加する可能性がある。したがって、本発明者らは、図28及び図29に示すように、不要なクロストークを低減することができる例示的な構造及び技法を提供する。
【0053】
図示のように、導電性のマイクロクランプ26ab(例えば、導電性めっきプラスチックから作られる)は、接続されたテール10aと導体11a(後は隠されて見えない)の上に配置されてもよく、別のシールド8aと整列したとき、マイクロクランプ26abは、不要なクロストークの潜在的影響を低減又は軽減するように、開口部8acをブロックする。
【0054】
図29では、一実施形態では、マイクロクランプ26abは、ドレインワイヤ13abを、接地シールド8aの一体型タブ5afに圧迫し、例えば、接地経路を形成するように構成され得ることが分かる。
【0055】
一実施形態では、マイクロクランプ26abは、必要に応じて、接続されているテール10aと導体11aに開口部8acを介してアクセスできるようにするラッチ機構(図示せず)を含んでもよい。更に、マイクロクランプ26abは、例えば、ウエハオーバーモールド価格の間に、接続されたテール及び/又は導体に更に固定される場合がある。理解することができるように、複数のマイクロクランプを複数のシールドにまたがる単一構造として提供することができる。
【0056】
ここで図30を参照すると、ある実施形態では、各例示的テール10aは、1つ以上の窪みを備える1つ以上の波状の縁部を備えて構成されてもよい。図示のように、例示的なテール10aは、複数の波状縁部16aを備えてもよく、各縁部は、1つ以上の窪み17aを有する。したがって、テールの幅wt1は、テール10aの接続長さlt1に沿って変化してもよい(いわゆる「ホタテ状」テールを提供する)。本発明者らは、テール10aの巾をその接続長さlt1に沿って変化させることによって、対応するテール10aと導体11aとの間の接続部のインピーダンスをより良く制御できることを発見した。これは、信号経路に沿ってより一貫したインピーダンスを提供するのに役立つため、シールド8aの壁15aとテール10aとの間の距離d1を広げる必要がなく、システムの信号完全性を改善するのに役立つが、これにより、シールド8aの対向する壁15a間の全体的な距離が広がり得、したがって、コネクタ1aによって取り囲まれる領域が不都合なほどに拡大する可能性がある。更に、テールの幅を変えることで表面積を追加することができ、導体とテールとの間の接続を確実にすることができる。ホタテ状テール10aは、その幅が狭くなる「谷」部分17a(すなわち、窪み)を備えてもよいが、それはまた、例えば、ケーブル5a内の導体11aの位置決めの変動に関連する問題を回避するために、テール10aを導体11aに(例えば、溶接によって)接続できるようにするのに十分に広い幅の「山」部分18aも備える。
【0057】
要するに、ホタテ状テール10aは、(コネクタ1aの)サイズ又は接続の機械的完全性を犠牲にすることなく、テール10aと導体11aの接続部に十分な電気的性能を与えると考えられる。
【0058】
実施形態では、谷部分17a及び/又は山部分18aの最小幅は、テール10aに接続(例えば、溶接)される導体11a(すなわち、ワイヤゲージ)の幅に依存し得て、最小幅は、導体11aの幅とほぼ等しいか又はわずかに小さい。
【0059】
図に示されるテール10aは、各谷部分17aに対して同じ均一な幅を備え、各山部分18aに対して同じ均一な幅を備えるが(部分17a及び18aの幅は異なるが)、これは単に例示的なものである。代替的に、各谷部分17aの幅は、ある部分17aから別の部分17aまで変化する場合がある。そのため、各山部分18aの幅も、所定のテール10aについて、ある山部分18aから別の山部分18aまで変化する場合がある。例えば、所定のテールの谷部分及び/又は山部分の幅は、テールの接続長さlt1に沿って部分ごとに増加又は減少し得る(例えば、谷部分及び/又は山部分は、部分がケーブルに近いほど広くなり得る)。更に、それぞれの谷部分及び山部分の幅は、接続部のインピーダンスを低減するために、又は、接続部の電気的及び/又は機械的信頼性を最適化するために、接続長さに沿って部分ごとに変化する異なる幅を有してもよい。
【0060】
同様に、図中の山部分18a及び谷部分17aの縁部16aの形状は丸みを帯びているが、これも単なる例示に過ぎない。代替的に、谷部分17a及び/又は山部分18aの縁部16aの形状は、長方形、ダイヤモンド形、又はテールと導体との接続部の電気的及び/又は機械的性能を向上させる別の形状であってもよい。
【0061】
実施形態では、各山部分18aの頂部間及び各谷部分17aの底部間のそれぞれの長さ方向の距離d2及びd3(すなわち、分離度)は、それぞれ、一様に同じであってもよく、又は接続長さに沿って変化してもよい。例えば、距離d2、d3は、接続長さに沿って徐々に増加又は減少してもよい。更に、距離d2、d3は、テールの接続長さlt1に沿って、それぞれの部分からそれぞれの部分へ(山部分18aの頂部から別の山部分18aの頂部へ、又は谷部分17aの底部から別の谷部分17aの底部へ)変化してもよい(例えば、谷部分及び/又は山部分は、部分がケーブルに近いほど広くてもよい)。更に、それぞれの谷部分及び山部分のそれぞれの頂部間及び底部間の距離d2、d3は、接続部のインピーダンスを低減するために、又は、接続部の電気的及び/又は機械的信頼性を最適化するために、接続長さに沿ってある部分から別の部分に変化してもよい(すなわち、山部分の各頂部間の長さが異なる、及び/又は谷部分の各底部間の長さが異なる)。
【0062】
更に、テールの1つ以上の山部分は、接続工程中に導体をテール上に案内するように成形又は構成されてもよい。例えば、図31を参照すると、テールと導体との整列を管理しやすくするように、導体11aをテール10aの表面上に案内するように構成された「フック」形状部分19aを備える例示的なテール10aが示されている。更に、このようなフック部分19aはまた、導体11aをテール10aに接続(例えば、溶接、オーバーモールド)中に導体11aが動くのを防止することを助けることもできて、やはり信頼性のある接続をもたらす。
【0063】
図9図31には、1つのコネクタ1aの部品(及びそれらの接続)が示されているが、ほとんどの場合、コネクタ1bはコネクタ1aの複製であるが180°回転したものであるため、コネクタ1bは同じ機能を有することができることを理解されたい。したがって、先に示したように、コネクタ1a及び1bを互いに接続して、雌雄同体のコネクタアセンブリ1cを形成することができる。
【0064】
ここで図32図34を参照すると、コネクタ1aの端子7aとコネクタ1bの端子7aとの例示的な接続、及びコネクタ1aのシールド8aとコネクタ1bのシールド8aとの例示的な接続の図が示されている。それぞれのコネクタ1a、1bの各々の一対の端子7aと1つのそれぞれのシールド8aのみが示されているが、コネクタ1a、1bの追加の端子7aとシールド8aが同様の方法で接続されてもよいことを理解されたい。
【0065】
図32では、どのように端子7aが互いに接触して接続された高速信号経路を形成するかを示すためにシールド8aは図示されていないが、図33及び図34ではシールド8aが示されている。図34では、シールドは透明であるように示されているが、これは、読者が、どのように端子7aが互いに接触して接続された高速信号経路を形成するかを再度確認できるようにするための単なる例示である。
【0066】
一実施形態では、コネクタ1bのそれぞれの端子7aの各々は、図32図34に示すように、コネクタ1aの端子7aの上に重なって配置され(又はその逆)、導体7aと物理的及び電気的に接触し、接続された高速信号経路を形成することができる。図示された構成は、電気的に好ましくない大きなスタブを設けることなく、二重の接点と望ましいレベルのワイプを提供することができる。
【0067】
図33に見られるように、導体11aはシールド8a内に配置されてもよく、例えば、各シールド8aは、コネクタ1a、1b間の電気的接地経路を形成(及び維持)するために、例えば、ポイント22で互いに物理的及び電気的に接触し得る主壁、側壁、端部及び/又はアームを備えてもよい。したがって、シールドは、例えば、接続部のインピーダンス、信号経路と接地経路との間のカップリングを制御し、隣接又は近くの導体からの不要な電磁信号(例えば、クロストーク)から接続部を保護するのに役立つように構成される。
【0068】
本発明者らは、本明細書で説明のコネクタ及びコネクタアセンブリは、例えば、既存のコネクタ/コネクタアセンブリの空間の75%以下を使用し得る一方で、電気的又は機械的性能(例えば、非常に低いクロストーク、厳重なインピーダンス制御、低いコモンモード変換)を犠牲にすることなく、かつ既存のコネクタ及びコネクタアセンブリに対して工具費用の削減及び部品数の減少に起因してより低コストで、高速差動信号(例えば、112GbpsPAM4対応及び潜在的に224GbpsPAM4)の伝送を可能にすると考えている。
【0069】
本発明の特定の実施形態に関して、利益、利点、及び解決策を以上で説明してきたが、そのような利益、利点、若しくは解決策をより顕著にし得る、又はもたらし得る部品(複数可)は、本開示に添付された若しくは本開示に起因する、いずれか若しくは全ての請求項の重要な、必要な、又は必須の特徴若しくは要素として解釈されるべきではないことを理解されたい。
【0070】
更に、本明細書で提供される開示は、特定の例示的な実施形態の観点から特徴を説明する。しかしながら、添付の請求項の範囲及び趣旨内での多数の追加の実施形態及び修正が、本開示を検討することにより当業者に想起されるであろうし、本開示及び添付の特許請求の範囲に含まれることが意図される。したがって、本開示は、適用法によって許容されるように、本明細書に添付された特許請求の範囲に列挙された主題の全ての修正及び等価物を含む。更に、本明細書に別段の記載がない限り、又は文脈に明らかな矛盾がない限り、その全ての可能な変形における上述の部品の任意の組合せが本開示に含まれる。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
図15
図16
図17
図18
図19
図20
図21
図22
図23
図24
図25
図26
図27
図28
図29
図30
図31
図32
図33
図34