(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024167426
(43)【公開日】2024-12-03
(54)【発明の名称】画像形成装置
(51)【国際特許分類】
G03G 21/00 20060101AFI20241126BHJP
【FI】
G03G21/00 370
【審査請求】有
【請求項の数】4
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2024157517
(22)【出願日】2024-09-11
(62)【分割の表示】P 2020042676の分割
【原出願日】2020-03-12
(31)【優先権主張番号】P 2019070275
(32)【優先日】2019-04-02
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(71)【出願人】
【識別番号】000005496
【氏名又は名称】富士フイルムビジネスイノベーション株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100137752
【弁理士】
【氏名又は名称】亀井 岳行
(74)【代理人】
【識別番号】100085040
【弁理士】
【氏名又は名称】小泉 雅裕
(74)【代理人】
【識別番号】100108925
【弁理士】
【氏名又は名称】青谷 一雄
(74)【代理人】
【識別番号】100087343
【弁理士】
【氏名又は名称】中村 智廣
(72)【発明者】
【氏名】田中 利尚
(57)【要約】 (修正有)
【課題】反転搬送手段の搬送路に配置され、記録媒体の搬送方向と交差する方向の位置を検知する検知手段と、検知手段により検知された記録媒体の位置に応じ画像形成手段の画像位置を調整する調整手段を備えない場合に比較して、画像形成の生産性を低下させずに、記録媒体の裏面に形成される画像の位置精度を向上する。
【解決手段】画像形成手段により画像が形成された記録媒体の表裏を反転させて画像形成手段へと搬送する反転搬送手段の搬送路に、記録媒体の搬送方向と交差する方向の位置を検知する検知手段を配置し、検知手段により検知された記録媒体の位置に応じ画像形成手段の画像位置を調整手段により調整する。
【選択図】
図9
【特許請求の範囲】
【請求項1】
記録媒体に画像を形成する画像形成部と、
前記画像形成部に向けて搬送される前記記録媒体の搬送方向と交差する方向の位置を複数回検知する検知部と、
前記検知部により検知された前記記録媒体の位置に応じ前記画像形成部が形成する画像位置を調整する調整部と、を備え、
前記検知部は、
前記記録媒体が長尺紙の場合、前記検知部が前記記録媒体の搬送方向に沿った下流側の端部を検知したと仮定した場合に、前記画像形成部における画像形成動作が開始されている位置に設けられ、
前記記録媒体の搬送方向に沿った上流側の端部と、前記記録媒体の搬送方向に沿った下流側の端部ではなく前記記録媒体の搬送方向に沿った中間位置とで、前記記録媒体の位置を検知して前記記録媒体の斜行を検知する
ことを特徴とする画像形成装置。
【請求項2】
前記画像形成部により画像が形成された前記記録媒体の表裏を反転させて前記画像形成部へと搬送する反転搬送路を備え、
前記検知部は、前記反転搬送路の搬送路に配置される請求項1に記載の画像形成装置。
【請求項3】
前記検知部は、前記反転搬送路のうち、前記記録媒体を平面状に搬送する位置に配置されている請求項2に記載の画像形成装置。
【請求項4】
前記画像形成部は、互いに異なった色の画像を保持する複数の像保持部と、前記複数の像保持部から画像が転写される中間転写ベルトと、前記中間転写ベルト上から画像を前記記録媒体に転写する転写部とを有し、
前記複数の像保持部のうち、前記中間転写ベルトの移動方向に沿った最上流側に位置する前記像保持部から前記中間転写ベルトの移動方向に沿った前記転写部までの距離が、前記検知部から前記記録媒体の搬送方向に沿った前記転写部までの距離以上である請求項1に記載の画像形成装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、画像形成装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、画像形成装置は、記録用紙に画像を形成する際、当該記録用紙の搬送方向と交差する方向に沿った位置を補正して画像を形成するよう構成されている。かかる画像形成装置に関する先行技術としては、例えば、特許文献1乃至3に記載されたものが既に提案されている。
【0003】
特許文献1は、制御手段は、記憶部に先行するシートの第2の面における画像形成位置が格納されている場合、この画像形成位置をシートの第2の面における画像形成位置に決定し、決定した画像形成位置と検知手段の検知結果に基づいて第1の搬送手段によるシー
トの移動を制御するよう構成したものである。
【0004】
特許文献2は、搬送シートの位置ずれ量を検知するずれ量検知手段と、ずれ量検知手段の検知結果に応じて、補正手段により照射位置を補正し、ずれ量検知手段の検知結果に応じて、画像の書き出し位置を制御するよう構成したものである。
【0005】
特許文献3は、エッジセンサによるサイドエッジの検出結果に応じて、主走査方向の記録位置を調節して、走査搬送手段によって走査搬送されるシート体に画像記録を行う記録手段を有するよう構成したものである。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2017-223863号公報
【特許文献2】特開2005-010239号公報
【特許文献3】特開2003-220729号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
この発明の目的は、長尺紙の搬送方向に沿った前端部と後端部を検知することで記録媒体の斜行を検知し、記録媒体に形成する画像の位置を調整する場合に比べて、長尺紙の搬送方向に沿った前端部と中間位置を検知することで、長尺紙の搬送方向に沿った前端部と後端部の双方を検知して記録媒体の斜行を検知する場合には画像位置の調整が間に合わない位置に検知部を配置しても、記録媒体の斜行に応じた画像位置の調整を可能とすることにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
請求項1に記載された発明は、記録媒体に画像を形成する画像形成部と、
前記画像形成部に向けて搬送される前記記録媒体の搬送方向と交差する方向の位置を複数回検知する検知部と、
前記検知部により検知された前記記録媒体の位置に応じ前記画像形成部が形成する画像位置を調整する調整部と、を備え、
前記検知部は、
前記記録媒体が長尺紙の場合、前記検知部が前記記録媒体の搬送方向に沿った下流側の端部を検知したと仮定した場合に、前記画像形成部における画像形成動作が開始されている位置に設けられ、
前記記録媒体の搬送方向に沿った上流側の端部と、前記記録媒体の搬送方向に沿った下流側の端部ではなく前記記録媒体の搬送方向に沿った中間位置とで、前記記録媒体の位置を検知して前記記録媒体の斜行を検知する
ことを特徴とする画像形成装置である。
【0009】
請求項2に記載された発明は、前記画像形成部により画像が形成された前記記録媒体の表裏を反転させて前記画像形成部へと搬送する反転搬送路を備え、
前記検知部は、前記反転搬送路の搬送路に配置される請求項1に記載の画像形成装置である。
【0010】
請求項3に記載された発明は、前記検知部は、前記反転搬送路のうち、前記記録媒体を平面状に搬送する位置に配置されている請求項2に記載の画像形成装置である。
【0011】
請求項4に記載された発明は、前記画像形成部は、互いに異なった色の画像を保持する複数の像保持部と、前記複数の像保持部から画像が転写される中間転写ベルトと、前記中間転写ベルト上から画像を前記記録媒体に転写する転写部とを有し、
前記複数の像保持部のうち、前記中間転写ベルトの移動方向に沿った最上流側に位置する前記像保持部から前記中間転写ベルトの移動方向に沿った前記転写部までの距離が、前記検知部から前記記録媒体の搬送方向に沿った前記転写部までの距離以上である請求項1に記載の画像形成装置である。
【発明の効果】
【0012】
請求項1に記載された発明によれば、長尺紙の搬送方向に沿った前端部と後端部を検知することで記録媒体の斜行を検知し、記録媒体に形成する画像の位置を調整する場合に比べて、長尺紙の搬送方向に沿った前端部と中間位置を検知することで、長尺紙の搬送方向に沿った前端部と後端部の双方を検知して記録媒体の斜行を検知する場合には画像位置の調整が間に合わない位置に検知部を配置しても、記録媒体の斜行に応じた画像位置の調整が可能となる。
【0013】
請求項2に記載された発明によれば、検知部を反転搬送路以外の搬送部に配置した場合に比べて、記録媒体の搬送を一時的に停止させることなく、記録媒体に画像を形成することが可能となる。
【0014】
請求項3に記載された発明によれば、検知部は、反転搬送路のうち、記録媒体を湾曲状に搬送する位置に配置されている場合に比べて、記録媒体の位置の検知精度が向上する。
【0015】
請求項4に記載された発明によれば、複数の像保持手段のうち、中間転写ベルトの移動方向に沿った最上流側に位置する像保持部から中間転写ベルトの移動方向に沿った転写部までの距離が、検知部から記録媒体の搬送方向に沿った転写部までの距離より短い場合に比べて、記録媒体の搬送を不要に遅らせることなく、検知部の検知結果に基づいて調整部が画像の位置を調整するのに要する時間を確実に確保することができる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【
図1】この発明の実施の形態1に係る画像形成装置示す構成図である。
【
図2】この発明の実施の形態1に係る画像形成装置の作像装置を示す構成図である。
【
図3】長尺紙及び通常の記録用紙を示す説明図である。
【
図4】この発明の実施の形態1に係る画像形成装置の用紙搬送ロールを示す構成図である。
【
図5】この発明の実施の形態1に係る画像形成装置の搬送装置を示す構成図である。
【
図6】この発明の実施の形態1に係る画像形成装置の制御装置を示すブロック図である。
【
図7】この発明の実施の形態1に係る画像形成装置の動作を示す説明図である。
【
図8】この発明の実施の形態1に係る画像形成装置の動作を示す説明図である。
【
図9】この発明の実施の形態1に係る画像形成装置の動作を示す説明図である。
【
図10】この発明の実施の形態1に係る画像形成装置の動作を示す説明図である。
【
図11】この発明の実施の形態1に係る画像形成装置の動作を示す説明図である。
【
図12】この発明の実施の形態2に係る画像形成装置の動作を示す説明図である。
【
図13】この発明の実施の形態2に係る画像形成装置の動作を示す説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
以下に、この発明の実施の形態について図面を参照して説明する。
【0018】
[実施の形態1]
図1及び
図2は、実施の形態1に係る画像形成装置を示すものである。
図1はその画像形成装置の全体の概要を示し、
図2はその画像形成装置における要部(作像装置など)を拡大して示している。
【0019】
<画像形成装置の全体の構成>
画像形成装置1は、電子写真方式を採用して、文字、写真、図形等からなる画像情報に基づきトナーで構成される画像を最終的に記録媒体の一例である記録用紙9に形成するフルカラープリンタである。画像形成装置1は、
図1に示されるように、全体が箱状の外観からなる装置本体10を有している。画像形成装置1は、装置本体10の内部に、現像剤としてのトナーで構成されるトナー像を形成する画像形成手段の一例としての作像装置20と、作像装置20で形成されたトナー像を一次転写により保持した後に記録用紙9に二次転写する二次転写位置まで搬送する中間転写装置30と、中間転写装置30の二次転写位置に供給する記録用紙9を収容するとともに供給する給紙装置40と、中間転写装置30で二次転写されたトナー像を記録用紙9に定着させる定着装置50と、給紙装置40等から供給される記録用紙9を所要の搬送路に沿って搬送する用紙搬送装置60等が配置されている。装置本体10は、例えば、支持部材、外装材等の材料を用いて支持構造部や外装部が形成されている。
図1に示す一点鎖線は、装置本体10の内部における記録用紙9の主な搬送路である。
【0020】
また、画像形成装置1には、画像形成装置1の動作に関する指示、条件等を入力する入力部14aとその動作の条件、状態等の各種情報を表示する表示部14bを有する情報提示手段の一例としての操作表示装置14や、画像形成装置1の全体(上記の各装置など)の動作を総括して制御する制御装置100等も配置されている。
【0021】
作像装置20は、イエロー(Y)、マゼンタ(M)、シアン(C)及びブラック(K)の4色の現像剤(トナー)像をそれぞれ個別に形成する4つの作像装置20Y,20M,20C,20Kを用いて構成されている。この作像装置20(Y,M,C,K)はいずれも、
図1や
図2に示されるように、矢印Aで示す方向に回転駆動される像保持手段の一例としての感光体ドラム21をそれぞれ備えている。各感光体ドラム21の周囲には、帯電装置22、露光装置23、現像装置24、一次転写装置25、ドラム清掃装置26、除電器27(
図2参照)等がそれぞれ配置されている。
【0022】
感光体ドラム21は、例えば、接地処理される円筒又は円柱状の導電性基材の周面に感光材料からなる光誘電層(感光体層)を有する像形成面(像形成可能範囲)を形成したドラム形態の感光体である。この感光体ドラム21は、図示しない駆動装置から動力を受けて矢印Aで示す方向に回転駆動するよう設けられている。
【0023】
帯電装置22は、例えば、感光体ドラム21の像形成面に接触して従動回転する状態で
配置されるとともにマイナス極性の所要の帯電バイアスが供給される帯電ロール221を備えた接触型の帯電装置である。帯電ロール221は、
図2に示されるように、円柱形状の金属からなる回転軸223の外周に導電性を有する弾性体層224を被覆して構成されている。なお、帯電装置22としては、接触型の帯電装置に限定されるものではなく、スコロトロン等の非接触型の帯電装置を用いても良い。
【0024】
露光装置23は、例えば、発光ダイオードと光学部品等を用いて構成される非走査型の露光装置か、あるいは、半導体レーザとポリゴンミラー等の光学部品を用いて構成される走査型の露光装置である。露光装置23には、通信手段、画像読取装置等を通して外部から入力された画像情報や内部の記憶部に格納されている画像情報が、後述する画像処理装置110(
図6参照)で所要の処理を施された後に各色成分(Y,M,C,K)に分解された画像信号として入力される。露光装置23は、その入力される画像信号に応じた露光を行う。
【0025】
現像装置24は、例えば、前記4色(Y,M,C,K)のいずれか1色のトナーと磁性キャリアを含む二成分現像剤を利用する現像装置24(Y,M,C,K)である。また、現像装置24(Y,M,C,K)は、例えばトナーをマイナス極性に帯電させて反転現像を行うよう使用される。さらに、現像装置24(Y,M,C,K)は、
図2に示されるように、筐体内に収容されている二成分現像剤を保持して感光体ドラム21と対向する現像領域に搬送するよう回転する現像剤保持手段の一例としての現像ロール241等を備えている。現像ロール241には、感光体ドラム21との間に例えば直流成分に交流成分を重畳した現像バイアスが供給される。
【0026】
一次転写装置25は、例えば、感光体ドラム21の一次転写位置とする像形成面部分に(後述の中間転写ベルト31を介した状態で)接触して従動回転するよう配置されるとともに、所要の一次転写バイアスが供給される一次転写ロールを備えた接触型の転写装置である。
【0027】
ドラム清掃装置26は、筐体の清掃作業用開口において感光体ドラム21の少なくとも一次転写後の像形成面部分に接触するよう配置されて、その像形成面上にある残留トナー等の不要物を掻き取って除去する弾性板等の清掃部材等を備えている。
【0028】
除電器27は、例えば、感光体ドラム21の像形成面を露光等により除電して表面電位をほぼゼロにするものである。
【0029】
中間転写装置30は、4つの作像装置20(Y,M,C,K)の下方側となる位置に配置されている。この中間転写装置30は、作像装置20(Y,M,C,K)における感光体ドラム21の一次転写装置25と向き合う一次転写位置をそれぞれ通過しながら矢印Bで示す方向に回転するよう配置される中間転写手段の一例としての中間転写ベルト31を備えている。
【0030】
中間転写ベルト31は、ポリイミド樹脂、ポリアミドイミド樹脂等の基材にカーボン等の抵抗調整剤を分散してなる材料を用いて所要の厚さ及び電気抵抗値からなる無端ベルト状に成形されたものである。
【0031】
また、中間転写ベルト31は、複数の支持ロール32a~32cに掛け回されて回転自在に支持されている。支持ロール32aは駆動ロールとして、支持ロール32bは支持ロール32aと協働して中間転写ベルト31の一次転写面を保持する従動ロールとして、支持ロール32cは二次転写バックアップロールとして、それぞれ構成されている。
【0032】
また、中間転写装置30は、中間転写ベルト31上に転写されたトナー像を記録用紙9に二次転写させる転写手段の一例としての二次転写装置33と、中間転写ベルト31の外周面における像保持面に残留して付着するトナー等の不要物を除去して清掃する中間転写装置30の清掃手段の一例としてのベルト清掃装置34等を備えている。
【0033】
二次転写装置33は、例えば、通常の画像形成時、中間転写ベルト31の支持ロール32cに支持されている像保持面部分に接触して回転するよう配置される二次転写ロール331を備えた接触型の転写装置が採用される。また、二次転写装置33は、二次転写ロール331が接地処理されている。支持ロール32cには、トナーの帯電極性と同極性であるマイナス極性の所要の二次転写バイアスが図示しない高圧電源から供給される。二次転写ロール331は、所要のタイミングで支持ロール32cに対して接離する方向に沿って図示しない接離手段により移動可能に配置されている。なお、二次転写装置33は、二次転写ロール331にトナーの帯電極性と逆極性であるプラス極性の所要の二次転写バイアスを供給し、支持ロール32cを接地するよう構成しても勿論良い。
【0034】
ベルト清掃装置34は、筐体の清掃作業用開口において中間転写ベルト31の少なくとも二次転写後の像保持面部分に接触するよう配置されて、その像保持面上にある残留トナー等の不要物を掻き取って清掃する弾性板等の清掃部材等を備えている。
【0035】
給紙装置40は、中間転写装置30の下方側になる位置に配置されている。この給紙装置40は、装置本体10に対して引き出し自在に取り付けられ、所望のサイズ、種類等の記録用紙9が図示しない積載板の上に積み重ねた状態で収容される収容体41と、その収容体41から記録用紙9を1枚ずつ給紙搬送路にむけて送り出す送出装置42とを備えている。送出装置42は、収容体41から記録用紙9を1枚ずつ給紙搬送路に向けて送り出す送出ロール42aと、送出ロール42aが送り出した記録用紙9を二次転写位置に向けて供給するための供給ロール42bと、供給ロール42bが接触していない記録用紙9が搬送されることを阻止して記録用紙9を1枚ずつ捌く捌きロール42cとから構成されている。収容体41及び送出装置42の数は、必要に応じて増減される。
【0036】
また、画像形成装置1は、装置本体10の側面(図中、左側面)に開いた状態で使用され、手差しトレイ71から所望のサイズ、種類等の記録用紙9を供給する手差し給紙装置70を備えている。
【0037】
手差し給紙装置70は、装置本体10の左側面に開閉可能となるよう取り付けられ、所望のサイズ、種類等の記録用紙9が積み重ねた状態で載置される手差しトレイ71と、手差しトレイ71から記録用紙9を1枚ずつ給紙搬送路にむけて送り出す送出装置72とを備えている。送出装置72は、手差しトレイ71から記録用紙9を1枚ずつ給紙搬送路にむけて送り出す送出ロール72aと、送出ロール72aが送り出した記録用紙9を二次転写位置に向けて供給するための供給ロール72bと、供給ロール72bが接触していない記録用紙9が搬送されることを阻止して記録用紙9を1枚ずつ捌く捌きロール72cとから構成されている。画像形成装置1の装置本体10には、手差しトレイ71の開閉状態を検知する図示しない開閉センサが配置されている。画像形成装置1は、図示しない開閉センサによって手差しトレイ71が開かれた状態にあることを検知すると、給紙装置40ではなく、手差し給紙装置70から記録用紙9が供給されると判別して動作する。
【0038】
記録用紙9は、装置本体10内における搬送路による搬送が可能であってトナー像の転写及び定着が可能な記録媒体であれば適用することができる。記録用紙9としては、例えば、電子写真方式の複写機、プリンタ等に使用される普通紙やトレーシングペーパー等の薄紙、あるいはOHPシート等が挙げられる。定着後における画像表面の平滑性をさらに向上させるには、記録用紙9の表面もできるだけ平滑であることが好ましく、例えば、普
通紙の表面を樹脂等でコーティングしたコート紙、印刷用のアート紙等の坪量が相対的に大きい所謂厚紙なども好適に使用することができる。
【0039】
また、画像形成装置1は、例えば、手差し給紙装置70から給紙することで長尺な記録媒体の一例としての所謂長尺紙9aも使用可能となっている。ここで、長尺紙9aとは、
図3に示されるように、画像形成装置1において通常の画像形成が可能な定型サイズの記録用紙のうち、最大サイズの記録用紙9(例えば、A3サイズ)の搬送方向に沿った長さL1(=420mm)より長さLp(=450~1200mm程度)が長い記録用紙をいう。長尺紙9aとしては、例えば、210mm×600mm、210mm×900mm、297mm×900mm、297mm×1200mmなどのサイズの記録用紙が挙げられる。ただし、長尺紙9aは、これに限定されるものではなく、他のサイズのものであっても勿論よい。
【0040】
定着装置50は、中間転写装置30の二次転写位置より記録用紙9の搬送方向に沿った下方側に配置されている。この定着装置50は、記録用紙9の導入口51a及び排出口51bが形成された筐体51の内部に、矢印で示す方向に回転するとともに表面温度が所定の温度に保持されるよう加熱手段によって加熱されるロール形態又はベルト形態からなる加熱用回転体52と、この加熱用回転体52の軸方向にほぼ沿う状態で所定の圧力で接触して従動回転するロール形態又はベルト形態からなる加圧用回転体53とを設置したものである。この定着装置50では、加熱用回転体52と加圧用回転体53とが接触する部分が、トナー像を保持する記録用紙9が導入されて定着処理(加熱及び加圧)される定着処理部として構成されている。
【0041】
また、画像形成装置1には、装置本体10の内部に記録用紙9の主な用紙搬送路として、給紙装置40と中間転写装置30との間をつなぐ供給搬送路Rt1と、手差し給紙装置70と中間転写装置30との間をつなぐ補助供給搬送路Rt1’と、中間転写装置30の二次転写位置と定着装置50との間をつなぐ中継搬送路Rt2と、定着装置50と装置本体10の用紙排出口11との間をつなぐ排出搬送路Rt3と、排出搬送路Rt3の途中から下方に分岐して記録用紙9の表裏を反転させる反転搬送路Rt4と、反転搬送路Rt4の途中から側方に分岐して表裏が反転された記録用紙9を供給搬送路Rt1へ搬送する両面搬送路Rt5が設けられている。
【0042】
用紙搬送装置60は、供給搬送路Rt1,補助供給搬送路Rt1’、中継搬送路Rt2、排出搬送路Rt3、反転搬送路Rt4及び両面搬送路Rt5に沿って記録用紙9を搬送するよう構成されている。
【0043】
供給搬送路Rt1及び補助供給搬送路Rt1’は、給紙装置40及び手差し給紙装置70から送り出される記録用紙9を中間転写装置30の二次転写位置まで搬送して供給する搬送路である。供給搬送路Rt1は、給紙装置40から送り出される記録用紙9を搬送する複数の用紙搬送ロール対45a~45c等と図示しない複数の用紙案内部材等を備えている。補助供給搬送路Rt1’は、手差し給紙装置70から送り出される記録用紙9を供給搬送路Rt1へと直接搬送する。補助供給搬送路Rt1’は、用紙搬送ロール対45cの記録用紙9の搬送方向に沿った上流側において供給搬送路Rt1と合流されている。
【0044】
供給搬送路Rt1において二次転写位置の直前の位置に配置される用紙搬送ロール対45cは、例えば記録用紙9の搬送時期を調整する第1搬送手段の一例としてのレジストロールとして構成されている。用紙搬送ロール対45bは、用紙搬送ロール対45cの記録用紙9の搬送方向に沿った上流側に配置された第2搬送手段の一例としてのプリレジストロールをそれぞれ構成している。
【0045】
プリレジストロールとしての用紙搬送ロール対45bは、
図4に示されるように、記録用紙9の先端が停止状態にある用紙搬送ロール対45cのニップ部に当接するよう搬送する。記録用紙9の先端は、停止状態にあるレジストロールとしての用紙搬送ロール対45cのニップ部に突き当てられてループ9Lを形成(湾曲)し、記録用紙9の先端が用紙搬送ロール対45cの軸方向と一致するよう整列(レジスト合わせ)される。
【0046】
その後、レジストロールとしての用紙搬送ロール対45cは、中間転写ベルト31上に一次転写されたトナー像と同期して回転を開始し、記録用紙9を用紙搬送ロール対45bと共に中間転写ベルト31の二次転写ロール331と支持ロール32cが中間転写ベルト31を介して接触する二次転写位置へと搬送する。
【0047】
中継搬送路Rt2は、二次転写後の記録用紙9を定着装置50まで搬送する搬送路である。中継搬送路Rt2には、必要に応じて、二次転写後の記録用紙9を搬送する搬送ベルト等が配置される。排出搬送路Rt3は、定着後で画像が形成された記録用紙9を排出ロール対45eによって装置本体10の用紙排出口11から排出収容部12に排出するよう搬送する搬送路である。
【0048】
排出搬送路Rt3は、排出ロール対45e等と図示しない用紙案内部材で構成されている。反転搬送路Rt4は、その上端部に、排出搬送路Rt3の途中から下方に向けて湾曲した形状に分岐する導入搬送路Rt4’と、排出ロール対45eの記録用紙9の搬送方向に沿った上流側において排出搬送路Rt3と合流するよう上方に向けて湾曲した形状に形成される導出搬送路Rt4”とを備えている。導出搬送路Rt4”は、排出ロール対45eによって排出収容部12へ排出される記録用紙9の表裏を反転する場合などに使用される。反転搬送路Rt4の上端部には、排出搬送路Rt3から記録用紙9の搬送方向を下方に切り替える切替部材46が設けられている。また、反転搬送路Rt4の上部は、記録用紙9を反転搬送路Rt4へと搬送する用紙搬送ロール対45fが配置されている。さらに、反転搬送路Rt4の中間部には、回転方向が正転方向と逆転方向に切替可能な用紙搬送ロール対45gが設けられている。ここで、反転搬送路Rt4及び反転搬送路Rt4に沿って記録用紙9を搬送する部材が反転搬送手段を構成している。反転搬送路Rt4は、記録媒体としての長尺紙9aにも対応可能なように給紙装置40の上部にわたる相対的に長い搬送路を有している。
【0049】
両面搬送路Rt5は、反転搬送路Rt4によって表裏が反転された記録用紙9を供給搬送路Rt1へ搬送する水平な搬送路に配置された複数の両面搬送ロール対45h,45i等と図示しない複数の用紙案内部材等で構成されている。両面搬送路Rt5は、その記録用紙9の搬送方向に沿った上流側の端部Rt5’が反転搬送路Rt4の中間部から左側方へ分岐した湾曲形状の図示しない用紙案内部材等で形成されている。また、両面搬送路Rt5は、湾曲した上流側の端部Rt5’に続く領域が水平方向に沿って平面状に形成されている。
【0050】
手差し給紙装置70から中間転写装置30の二次転写位置へと記録用紙9を搬送する補助供給搬送路Rt1’は、用紙搬送ロール対45cの記録用紙9の搬送方向に沿って略直線状に配置されている。
【0051】
<画像形成装置による基本的な画像形成動作>
この画像形成装置1では、以下に説明する基本的な画像形成動作が行われる。ここでは、4色(Y,M,C,K)のトナー像を組み合わせて構成されるフルカラー画像を形成する場合の動作を例にして説明する。
【0052】
まず、画像形成装置1は、制御装置100が外部等から画像形成動作の要求指令を受け
ると、4つの作像装置20(Y,M,C,K)において、各感光体ドラム21が矢印Aで示す方向にそれぞれ回転され、各帯電装置22が帯電電流の供給を受けて接触放電を発生させる。これにより、各感光体ドラム21は、その像形成面が所要の極性(例えばマイナス極性)及び電位にそれぞれ帯電される。
【0053】
続いて、各露光装置23が、各感光体ドラム21の帯電後における像形成面に対して各色成分(Y,M,C,K)に分解された画像信号に応じた露光をそれぞれ行う。これにより、各感光体ドラム21の像形成面には、所定の電位からなる各色成分の静電潜像がそれぞれ形成される。
【0054】
続いて、各現像装置24(Y,M,C,K)が、所定の極性(マイナス極性)に帯電された各色(Y,M,C,K)のトナーを、現像ロール241から供給するとともに、現像バイアスの供給を受けて現像ロール241と感光体ドラム21との間に形成される現像電界により、感光体ドラム21の像形成面における各色成分の静電潜像の部分に静電的に付着させる。これにより、各感光体ドラム21の像形成面には、4色(Y,M,C,K)のうちの対応する色のトナー像が個別に形成される。
【0055】
続いて、各一次転写装置25が一次転写電流の供給を受けて感光体ドラム21との間に一次転写電界を形成することにより、各感光体ドラム21上のトナー像を中間転写装置30における中間転写ベルト31の像保持面に対して順番(Y,M,C,Kの順)に一次転写させる。また、ドラム清掃装置26が、一次転写後等における各感光体ドラム21の像形成面を清掃する。さらに、除電器27が、一次転写後等における各感光体ドラム21の像形成面を除電して、各感光体ドラム21における次の作像動作に備える。
【0056】
次いで、中間転写装置30において、中間転写ベルト31が矢印Bで示す方向に回転することにより、その像保持面に一次転写されて保持された未定着のトナー像を二次転写装置33と向き合う二次転写位置まで搬送する。一方、給紙装置40又は手差し給紙装置70において、送出装置42,72が所要の記録用紙9を収容体41又は手差しトレイ71から供給搬送路Rt1又は補助供給搬送路Rt1’に送り出した後、供給搬送路Rt1又は補助供給搬送路Rt1’を経由させて中間転写装置30の二次転写位置に送り込むよう供給する。そして、二次転写位置においては、二次転写装置33が二次転写バイアスの供給を受けて中間転写ベルト31との間に二次転写電界を形成することにより、中間転写ベルト31上の4色のトナー像を記録用紙9の片面に対して二次転写させる。
【0057】
次いで、未定着のトナー像が二次転写された記録用紙9が、中間転写ベルト31から剥離された後に中継搬送路Rt2を経由して定着装置50に送り込まれるよう搬送される。定着装置50では、その記録用紙9が加熱用回転体52と加圧用回転体53の接触部分である定着処理部に導入されて通過する際に加熱及び加圧される。これにより、トナー像を構成するトナーが加圧下で溶融されて、トナー像が記録用紙9に定着される。
【0058】
続いて、トナー像が定着された後の記録用紙9が、定着装置50の筐体51内から排出された後に排出搬送路Rt3を経由して搬送され、最後に用紙排出口11から装置本体10の外部に排出されて排出収容部12に収容される。
【0059】
また、記録用紙9の両面に画像を形成する場合は、片面に画像が形成された記録用紙9を排出収容部12へ排出せずに、切替部材46によって排出搬送路Rt3から反転搬送路Rt4へと搬送する。反転搬送路Rt4の用紙搬送ロール対45gは、搬送されてきた記録用紙9の上端を挟持したままの状態で回転方向が正転方向から逆転方向に変更され、表裏を反転させた状態で記録用紙9を両面搬送路Rt5へと搬送する。両面搬送路Rt5へ搬送された記録用紙9は、供給搬送路Rt1を経由して裏面にトナー像が転写される。そ
の後、記録用紙9は、中継搬送路Rt2を経由して定着装置50まで搬送され、定着装置50により定着処理(加熱及び加圧)を施され、排出搬送路Rt3を経由して排出収容部12に収容される。
【0060】
以上の動作が行われることにより、フルカラー画像が片面又は両面に形成された1枚の記録用紙9が出力される。また、複数枚の画像形成動作の要求指令を受けた場合は、その枚数分だけ上記画像形成動作が同様に繰り返して行われる。
【0061】
この他、画像形成装置1では、上記画像形成動作において、4つの作像装置20(Y,M,C,K)のいずれか1つを作動させることにより単色の画像を形成することや、4つの作像装置20(Y,M,C,K)の2つ又は3つを組み合わせて作動させることによりフルカラー画像以外のカラー画像を形成することもできる。
【0062】
<画像形成装置の特徴部分の構成>
ところで、この実施の形態1に係る画像形成装置1は、
図1及び
図5に示されるように、記録用紙9を搬送する搬送路として、供給搬送路Rt1,補助供給搬送路Rt1’、中継搬送路Rt2、排出搬送路Rt3、反転搬送路Rt4及び両面搬送路Rt5を備えている。
【0063】
画像形成装置1では、
図5に示されるように、記録用紙9の両面に画像を形成する際、片面に画像が形成された記録用紙9を用紙搬送ロール対45gによって反転搬送路Rt4へと一旦搬送し、用紙搬送ロール対45gが記録用紙9の後端を挟持している状態で当該用紙搬送ロール対45gの回転方向を反転させて反転搬送路Rt4から両面搬送路Rt5を介して供給搬送路Rt1へと搬送することにより、記録用紙9の裏面に画像が形成される。なお、反転搬送路Rt4と両面搬送路Rt5の分岐位置には、図示しないマイラーフィルム等からなる図示しない切替部材が配置されており、記録用紙9の後端が切替部材を通過することにより長尺紙9aの搬送路が反転搬送路Rt4から両面搬送路Rt5へと切り替えられる。
【0064】
このとき、画像形成装置1では、記録用紙9を用紙搬送ロール対45gによって反転搬送路Rt4へと一旦搬送した後、用紙搬送ロール対45gによって反転搬送路Rt4から両面搬送路Rt5へと搬送方向を反転させて搬送路を切り替える際、記録用紙9が用紙搬送ロール対45gのみによって搬送され、且つ両面搬送路Rt5の記録用紙9の搬送方向に沿った上流側に位置する湾曲した搬送路Rt5’を介して両面搬送路Rt5へと搬送する必要がある。そのため、記録用紙9は、その搬送方向と交差する方向に沿って上流側の端部Rt5’との接触抵抗にバラツキが存在したり、用紙搬送ロール対45gの外径や取付位置に誤差があると、搬送方向と交差する方向に沿った位置がずれて両面搬送路Rt5へと搬送される場合がある。このとき、記録媒体の一例としての長尺紙9aは、
図3に示されるように、通常の記録用紙9に比較して搬送方向に沿った長さが長いため、用紙搬送ロール対45gによって反転搬送路Rt4から両面搬送路Rt5へと搬送される際に搬送方向と交差する方向に沿った位置ずれや斜行(スキュー)が発生しやすい傾向にある。
【0065】
そこで、この実施の形態に係る画像形成装置1では、反転搬送手段の搬送路に配置され、記録媒体の搬送方向と交差する方向の位置を検知する検知手段と、検知手段により検知された記録媒体の位置に応じて画像形成手段の画像位置を調整する調整手段とを備えるように構成されている。
【0066】
すなわち、この実施の形態では、
図1及び
図5に示されるように、両面搬送路Rt5に記録用紙9の搬送方向と交差する方向の位置を検知する検知手段の一例としての用紙センサ80が設けられている。用紙センサ80は、両面搬送路Rt5の湾曲した上流側の端部
Rt5’より記録用紙9の搬送方向に沿った下流側である平面状の両面搬送路Rt5に配置される。用紙センサ80としては、例えば、記録用紙9に接触又は近接した位置で記録用紙9の搬送方向と交差する方向に沿った端部の位置を検知するコンタクトイメージセンサ(CIS:Contact Image Sensor)が用いられる。用紙センサ80の検知信号は、調整手段としての機能を備えた制御装置100に入力される。
【0067】
用紙センサ80は、用紙センサ80から二次転写ロール331と支持ロール32cが接触する二次転写位置までの記録用紙9の搬送方向に沿った搬送路長Lが、二次転写ロール331と支持ロール32cが接触する二次転写位置から中間転写ベルト31の搬送方向に沿った最も上流側に位置するイエロー(Y)の作像装置20Yにおける感光体ドラム21Yと一次転写ロール25Yが中間転写ベルト31を介して接触する一次転写位置までの中間転写ベルト31の移動方向に沿った長さL0より長くなる位置に配置されている。
【0068】
その理由は、用紙センサ80が記録用紙9の搬送方向と交差する方向に沿った端部の位置を検知した後に、当該用紙センサ80の検知信号に基づいて最初に画像が形成されるイエロー(Y)の作像装置20Yによる画像の形成位置を調整するための時間を確保するためである。
【0069】
図6は画像形成装置の制御装置を示すブロック図である。
【0070】
図において、符号101は、画像形成装置1の動作を統括的に制御する制御装置100の制御手段の一例としての制御部を示している。制御部101は、画像形成動作を統括的に制御するCPU(Central Processing Unit)102や、CPU102が実行する制御プログラム等を記憶するROM(Read Only Memory)103、CPU102が実行する制御プログラム等で使用するパラメータ等を記憶するRAM(Random Access Memory)104、あるいはこれらCPU102やROM103等を接続する図示しないバス、外部のパーソナルコンピュータや画像読取装置などと通信する通信インターフェイス105などを備える。
【0071】
制御部101には、用紙センサ80から記録用紙9の検知信号が適宜入力される。また、制御部101は、用紙センサ80からの検知信号に基づいて、調節手段の一例としての画像処理装置110によって画像データを展開する画像メモリ上の主走査方向に沿った画像位置をシフトさせたり、画像データを副走査方向に対して傾斜させることなどにより回転させることで、イエロー(Y)、マゼンタ(M)、シアン(C)及びブラック(K)の各作像装置20(Y,M,C,K)における画像の形成位置を調節(制御)する。
【0072】
制御部101には、操作表示装置14が接続されている。制御部101は、操作表示装置14の入力部14aから各種の指令を受信するとともに、表示部14bに所要の情報を表示する動作を実行する。
【0073】
<画像形成装置の動作>
この実施の形態1に係る画像形成装置1では、次のようにして、反転搬送手段の搬送路に配置されて記録媒体の搬送方向と交差する方向の位置を検知する検知手段により検知された記録媒体の位置に応じて、画像形成手段の画像位置を調整しない場合に比較して、画像形成の生産性を低下させずに、記録媒体の裏面に形成される画像の位置精度を向上させている。
【0074】
すなわち、この実施の形態1に係る画像形成装置1では、
図1及び
図5に示されるように、記録媒体として長尺紙9aの両面に画像を形成する場合、長尺紙9aが手差し給紙装置70の手差しトレイ71にセットされる。操作表示装置14の入力部14a等から画像
形成の開始が指示されると、長尺紙9aが手差しトレイ71から送出装置72によって補助供給搬送路Rt1’へと送り出される。その後、長尺紙9aは、供給搬送路Rt1を経由して中間転写装置30の二次転写位置に送り込むよう搬送される。そして、二次転写位置においては、二次転写装置33が二次転写バイアスの供給を受けて中間転写ベルト31との間に二次転写電界を形成することにより、中間転写ベルト31上の4色のトナー像を長尺紙9aの片面に対して二次転写させる。
【0075】
それに先立って、画像形成装置1では、イエロー(Y)、マゼンタ(M)、シアン(C)及びブラック(K)の各作像装置20(Y,M,C,K)において、画像処理装置110で画像形成位置の調整を含む所要の画像処理が施された各色のトナー像が形成され中間転写ベルト31上に一次転写される。
【0076】
次いで、未定着のトナー像が二次転写された長尺紙9aは、中継搬送路Rt2を経由して定着装置50に送り込まれ定着処理が施される。トナー像が定着された長尺紙9aは、排出搬送路Rt3から切替部材46によって反転搬送路Rt4へと搬送される。反転搬送路Rt4の用紙搬送ロール対45gは、搬送されてきた長尺紙9aを反転搬送路Rt4に一旦収容する。そして、反転搬送路Rt4の用紙搬送ロール対45gは、搬送されてきた長尺紙9aの上端を挟持したままの状態で回転方向が正転方向から逆転方向に変更され、表裏を反転させた状態で長尺紙9aを両面搬送路Rt5へと搬送し、長尺紙9aの裏面に画像が形成される。その後、長尺紙9aは、中継搬送路Rt2を経由して定着装置50まで搬送され、定着装置50により定着処理(加熱及び加圧)を施され、排出搬送路Rt3を経由して排出収容部12に収容される。
【0077】
その際、搬送方向に沿った後端が反転搬送路Rt4に一旦搬送された長尺紙9aは、反転搬送路Rt4の用紙搬送ロール対45gによって長尺紙9aの後端が挟持されたままの状態で搬送方向が反転され、両面搬送路Rt5へと搬送される。
【0078】
両面搬送路Rt5へと搬送される長尺紙9aは、
図7に示されるように、その搬送方向に沿った先端の位置において、両面搬送路Rt5に配置された用紙センサ80によって搬送方向と交差する方向に沿った端部の位置が1回のみ検知される。用紙センサ80の検知信号は、制御装置100の制御部101に送られる。
【0079】
制御装置100の制御部101は、長尺紙9aの搬送方向と交差する方向に沿った端部の位置が適正な位置であると判別すると、イエロー(Y)、マゼンタ(M)、シアン(C)及びブラック(K)の各作像装置20(Y,M,C,K)において通常の画像形成位置に裏面用の画像を形成し、長尺紙9aの裏面にイエロー(Y)、マゼンタ(M)、シアン(C)及びブラック(K)等の各色の画像を一括して転写し、フルカラー等の画像を形成する。
【0080】
このとき、長尺紙9aは、その先端がレジストロールとして機能する用紙搬送ロール対45cに突き当てられて先端位置が整合される。
【0081】
一方、制御装置100の制御部101は、
図8に示されるように、用紙センサ80の検知結果に基づいて、長尺紙9aの搬送方向と交差する方向に沿った端部の位置が適正な位置からレジずれ量L
Xだけずれていると判別すると、
図9に示されるように、イエロー(Y)、マゼンタ(M)、シアン(C)及びブラック(K)の各作像装置20(Y,M,C,K)において通常の画像形成位置から長尺紙9aの端部のレジずれ量L
Xに対応した距離だけ長尺紙9aの搬送方向と交差する方向に沿った画像の位置をずらして画像を形成する。
【0082】
このように、画像形成装置1では、長尺紙9aの搬送方向と交差する方向に沿った位置ずれが存在する場合であっても、長尺紙9aの搬送方向と交差する方向に沿った端部のレジずれ量LXに応じて画像の形成位置を制御(調節)することにより、長尺紙9aの裏面に形成される画像に位置ずれが生じることが防止乃至抑制される。
【0083】
また、制御装置100の制御部101は、
図10に示されるように、用紙センサ80によって長尺紙9aの搬送方向と交差する方向に沿った端部の位置を、長尺紙9aの搬送方向に沿った先端部で検知することにより、長尺紙9aにレジずれが生じていることが検出される。図示の例では、長尺紙9aにレジずれに加えて斜行(スキュー)が生じている。
【0084】
この場合、制御装置100の制御部101は、
図10(a)に示されるように、用紙センサ80からの検知結果に基づいて、長尺紙9aの搬送方向と交差する方向に沿った端部の位置が適正な位置からレジずれ量L
Xだけずれていると判別する。
【0085】
すると、制御装置100の制御部101は、
図10(b)に示されるように、長尺紙9aの先端をレジストロールとしての用紙搬送ロール対45cに突き当てることにより、長尺紙9aの斜行を補正する。
【0086】
その後、制御部101は、
図11に示されるように、イエロー(Y)、マゼンタ(M)、シアン(C)及びブラック(K)の各作像装置20(Y,M,C,K)において通常の画像形成位置から長尺紙9aの端部のずれ量に対応した距離L
Xに応じて、画像の位置をずらして画像を形成することにより、レジずれ及び斜行によって長尺紙9aの裏面に形成される画像に位置ずれが生じることが防止乃至抑制される。
【0087】
なお、この場合には、長尺紙9aにレジずれ以外に斜行が生じているため、用紙搬送ロール対45cに突き当てることにより長尺紙9aの斜行を補正する際に、長尺紙9aに新たなレジずれが発生することがある。
【0088】
その際は、制御部101は、長尺紙9aの斜行を補正する際に新たに生じるレジずれ量を予測して、イエロー(Y)、マゼンタ(M)、シアン(C)及びブラック(K)の各作像装置20(Y,M,C,K)において画像の位置をずらすことにより、斜行を補正することに伴うレジずれを抑制することができる。
【0089】
[実施の形態2]
図12は、実施の形態2に係る画像形成装置を示すものである。この実施の形態2では、検知手段が記録媒体の搬送方向と交差する方向に沿った位置を複数回にわたり検知可能であり、搬送手段は、検知手段が記録媒体の搬送方向と交差する方向に沿った位置を複数回検知する場合は、調整動作を実行しないよう構成されている。
【0090】
すなわち、この実施の形態2では、
図12(a)(b)に示されるように、制御装置100の制御部101が、用紙センサ80によって長尺紙9aの搬送方向と交差する方向に沿った端部の位置を、長尺紙9aの搬送方向に沿った先端部及び後端部の双方で合計の検知回数が複数回(例えば、2回)となるよう検知することにより、長尺紙9aにレジずれ及び斜行が生じていることが検出可能に構成されている。
【0091】
このとき、制御装置100の制御部101は、
図12に示されるように、用紙センサ80からの複数回にわたる検知結果に基づいて、長尺紙9aの先端部の搬送方向と交差する方向に沿った端部の位置が適正な位置からレジずれ量L
Xだけずれており、且つ長尺紙9aに角度θの斜行が生じていると判別する。
【0092】
ここで、長尺紙9aに生じる斜行の角度θは、長尺紙9aの搬送方向に沿った先端部のレジずれ量LX1と、長尺紙9aの搬送方向に沿った後端部のレジずれ量LX2と、長尺紙9aの搬送方向に沿った先端部と後端部の距離LYに基づいて、制御装置100の制御部101によって、θ=arktan(LX2-LX1)/LYの値を演算することにより求められる。なお、制御装置100の制御部101は、(LX2-LX1)の値の正負によって長尺紙9aに生じた斜行の方向を判別する。
【0093】
すると、制御装置100の制御部101は、
図13に示されるように、イエロー(Y)、マゼンタ(M)、シアン(C)及びブラック(K)の各作像装置20(Y,M,C,K)において通常の画像形成位置から長尺紙9aの端部のずれ量に対応したレジずれ量L
X、及び長尺紙9aに生じた斜行の角度θに応じて、画像の位置をずらすと共に傾斜(回転)させて画像を形成する。
【0094】
このとき、制御装置100の制御部101は、
図12(b)に示されるように、レジストロールとして機能する用紙搬送ロール対45cによって長尺紙9aのレジずれを補正せずに、長尺紙9aにレジずれ及び斜行が生じたままの状態で長尺紙9aを中間転写装置30の二次転写位置へと搬送する。そして、中間転写装置30の二次転写位置において、中間転写ベルト31上に長尺紙9aのレジずれ量L
X1及び斜行の角度θに応じて画像位置が調整されて形成されたトナー像が長尺紙9a上に転写される。
【0095】
その際、用紙センサ80の位置が上述したL>L0の関係を満たしても、当該用紙センサ80が長尺紙9aの搬送方向に沿った下流側の端部を検知した際には、イエロー(Y)、マゼンタ(M)、シアン(C)及びブラック(K)の各作像装置20(Y,M,C,K)における画像形成動作が開始している虞れがある。
【0096】
そこで、制御装置100の制御部101は、長尺紙9aの斜行を検知した場合であっても、イエロー(Y)、マゼンタ(M)、シアン(C)及びブラック(K)の各作像装置20(Y,M,C,K)における画像形成位置の制御が可能となるように、上述したL>L0の関係を満たしつつ可能な限り早期に、長尺紙9aの搬送方向に沿った下流側の端部ではなく、長尺紙9aの搬送方向に沿った中間位置で長尺紙9aの斜行を検知するのが望ましい。
【0097】
このように、上記実施の形態2は、レジストロールとして機能する用紙搬送ロール対45cに突き当てるレジ合わせ動作を実行する時間を不要とし、画像形成に要する時間を短縮することができる。
【0098】
その他の構成及び作用は、前記実施の形態1と同様であるので、その説明を省略する。
【0099】
なお、前記実施の形態では、記録媒体として搬送方向に沿った長さが通常の記録用紙に比較して長い長尺紙9aである場合について説明したが、記録媒体が通常の記録用紙である場合においても、A3サイズ等の記録用紙9のように搬送方向に沿って所要の長さを有するときは、上述した実施の形態と同様の処理を行っても勿論良い。
【0100】
なお、上記実施例では、電子写真方式の画像形成装置を例として説明したが、電子写真方式以外の画像形成装置に本発明を適用してもよい。例えば、インクジェット方式の画像形成装置に適用してもよい。具体的には、インク吐出ヘッドを用いて中間転写体上にインク画像を描画し、このインク画像を中間転写体から用紙に転写する方式の画像形成装置に適用してもよい。
【符号の説明】
【0101】
1…画像形成装置
20(Y,M,C,K)…イエロー(Y)、マゼンタ(M)、シアン(C)及びブラック(K)の作像装置
9a…長尺紙
80…用紙センサ
100…制御装置
101…制御部
110…画像処理装置