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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024167436
(43)【公開日】2024-12-03
(54)【発明の名称】椅子型マッサージ機
(51)【国際特許分類】
   A61H 7/00 20060101AFI20241126BHJP
【FI】
A61H7/00 323K
A61H7/00 323L
【審査請求】有
【請求項の数】4
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2024158331
(22)【出願日】2024-09-12
(62)【分割の表示】P 2021060901の分割
【原出願日】2021-03-31
(71)【出願人】
【識別番号】592009214
【氏名又は名称】大東電機工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110003041
【氏名又は名称】安田岡本弁理士法人
(72)【発明者】
【氏名】曽根 也寸志
(72)【発明者】
【氏名】清水 新策
(57)【要約】
【課題】背もたれ部を高さを上げ下げでき、さらには、肩部マッサージ部との協同により、様々なマッサージを使用者に付与することのできる椅子型マッサージ機を提供する。
【解決手段】本発明の椅子型マッサージ機は、座部と、座部の後部に配備されて使用者の背部を支持可能に設けられた背もたれ部と、背もたれ部に内蔵され且つ座部に着座した使用者に対してマッサージ動作を行うマッサージ機構と、背もたれ部の左右両側に、互いに対向配置とされ且つ使用者の側方から押圧マッサージを施す一対の肩側部マッサージ手段と、を有する椅子型マッサージ機であって、座部を基準として背もたれ部を上方乃至は後方へ向かって突出させる突出手段を備えており、突出手段には、背もたれ部が任意の物体を挟み込んだ場合に、突出手段に備えられた駆動手段を反転させ、挟み込みを解除する挟み込み検知構造が搭載されていることを特徴とする。
【選択図】図5
【特許請求の範囲】
【請求項1】
座部と、前記座部の後部に配備されて使用者の背部を支持可能に設けられた背もたれ部と、前記背もたれ部に内蔵され且つ前記座部に着座した前記使用者に対してマッサージ動作を行うマッサージ機構と、前記背もたれ部の左右両側に、互いに対向配置とされ且つ前記使用者の側部にマッサージを施す一対の肩側部マッサージ手段と、を有する椅子型マッサージ機であって、
前記座部を基準として前記背もたれ部を上方乃至は後方へ向かって突出させる突出手段を備えており、
前記突出手段には、前記背もたれ部が任意の物体を挟み込んだ場合に、前記突出手段に備えられた駆動手段を反転させ、挟み込みを解除する挟み込み検知構造が搭載されている
ことを特徴とする椅子型マッサージ機。
【請求項2】
前記突出手段は、前記座部に上下方向を向いて設けられる長溝と、前記背もたれ部に設けられると共に前記長溝に嵌り込み且つ前記長溝に沿って案内されるガイド体と、を備えており、
前記突出手段は、前記長溝に沿って設けられたラック部と、前記ラック部に噛み合った状態で回転するピニオンギヤと、前記ピニオンギヤを回転駆動する昇降モータとを有しており、
前記突出手段に設けられた挟み込み検知構造は、前記背もたれ部が物体を挟み込んだ場合に、前記昇降モータを前記背もたれ部が上昇する方向に反転させて前記背もたれ部による挟み込みを解除するように構成されている
ことを特徴とする椅子型マッサージ機。
【請求項3】
前記左右の肩側部マッサージ手段は、互いに対向する内側面に膨張収縮するエアバッグが配設されており、
前記突出手段は、前記左右の肩側部マッサージ手段の前記エアバッグを膨張させて前記使用者を固定した状態で前記使用者を上下方向に移動させることで、前記使用者にストレッチ運動を行う構成とされている
ことを特徴とする請求項1又は2に記載の椅子型マッサージ機。
【請求項4】
前記座部の左右両側には、前記座部に着座した使用者の肘を載せる肘かけ部が配備されており、
前記ガイド体は、前記背もたれ部及び前記左右の肩側部マッサージ手段と一体に上下に移動可能とされており、
前記左右の肩側部マッサージ手段の下端と、前記肘かけ部の上端との上下方向に沿った距離は、前記長溝に沿った前記ガイド体の上下方向に沿った案内距離と同じ、又は前記案内距離より長く形成されている
ことを特徴とする請求項1又は2に記載の椅子型マッサージ機。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、使用者の身長方向に寸法を変更することができる椅子型マッサージ機に関するものであり、特に、肩側部マッサージ手段との協同により、様々なマッサージを使用者に付与することのできる椅子型マッサージ機に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、椅子型マッサージ機には、座部に着座した使用者の背部をマッサージするマッサージ部が背もたれ部に内蔵されたものであって、背もたれ部の高さを低くして収納することができる「ミニソファ型」と呼ばれるものがある。
【0003】
例えば、特許文献1には、背もたれ部を上方に向かって垂直に突出させて、座部に着座した使用者の肩などに対する上肢のマッサージを可能とした「ミニソファ型」の椅子型マッサージ機が開示されている。このように背もたれ部を上方に移動させることができれば、使用者が座部に着座したままであっても、上方に移動させた背もたれ部で肩などの施療部を存分にマッサージすることができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2013-208264号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
特許文献1の椅子型マッサージ機は、背もたれ部を上方に突出させて高さを調整でき、且つ、後方へもリクライニング可能となっている。つまり、この椅子型マッサージ機は、座部に着座した使用者の上半身を後に倒したりすることができ、リラックスしてマッサージを受けられる非常に好適なマッサージ機となっている。
【0006】
一方で、昨今、背もたれ部の両側に、使用者の肩部をマッサージする肩部マッサージ手段を備えたマッサージ機が開発されており、使用者に肩から腕の上部にかけて効果的なマッサージを付与するものとなっており、好評を得ている。
【0007】
しかしながら、使用者からは更なる多様なマッサージを望む要望が挙がっており、その要望に対応することが急務となっていた。
【0008】
本発明は、上述の問題に鑑みてなされたものであり、背もたれ部の高さを上げ下げでき、更には、肩部マッサージ部との協同により、様々なマッサージを使用者に付与することのできる椅子型マッサージ機を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記課題を解決するため、本発明の椅子型マッサージ機は以下の技術的手段を講じている。
【0010】
即ち、本発明の椅子型マッサージ機は、座部と、前記座部の後部に配備されて使用者の背部を支持可能に設けられた背もたれ部と、前記背もたれ部に内蔵され且つ前記座部に着座した前記使用者に対してマッサージ動作を行うマッサージ機構と、前記背もたれ部の左右両側に、互いに対向配置とされ且つ前記使用者の側部に押圧マッサージを施す一対の肩側部マッサージ手段と、を有する椅子型マッサージ機であって、前記座部を基準として前記背もたれ部を上方乃至は後方へ向かって突出させる突出手段を備えており、前記突出手段には、前記背もたれ部が任意の物体を挟み込んだ場合に、前記突出手段に備えられた駆動手段を反転させ、挟み込みを解除する挟み込み検知構造が搭載されていることを特徴とする。言い換えれば、本発明の椅子型マッサージ機は、挟み込みを解除する挟み込み解除構造が搭載されていることを特徴とする。
【0011】
なお、好ましくは、前記突出手段は、前記座部に上下方向を向いて設けられる長溝と、前記背もたれ部に設けられると共に前記長溝に嵌り込み且つ前記長溝に沿って案内されるガイド体と、を備えており、前記突出手段は、前記長溝に沿って設けられたラック部と、前記ラック部に噛み合った状態で回転するピニオンギヤと、前記ピニオンギヤを回転駆動する昇降モータとを有しており、前記突出手段に設けられた挟み込み検知構造(挟み込み解除構造)は、前記背もたれ部が物体を挟み込んだ場合に、前記昇降モータを前記背もたれ部が上昇する方向に反転させて前記背もたれ部による挟み込みを解除するように構成されているとよい。
【0012】
なお、好ましくは、前記左右の肩側部マッサージ手段は、互いに対向する内側面に膨張収縮するエアバッグが配設されており、前記突出手段は、前記左右の肩側部マッサージ手段の前記エアバッグを膨張させて前記使用者を固定した状態で前記使用者を上下方向に移動させることで、前記使用者にストレッチ運動を行う構成とされているとよい。
【0013】
なお、好ましくは、前記座部の左右両側には、前記座部に着座した使用者の肘を載せる肘かけ部が配備されており、前記ガイド体は、前記背もたれ部及び前記左右の肩側部マッサージ手段と一体に上下に移動可能とされており、前記左右の肩側部マッサージ手段の下端と、前記肘かけ部の上端との上下方向に沿った距離は、前記長溝に沿った前記ガイド体の上下方向に沿った案内距離と同じ、又は前記案内距離より長く形成されているとよい。
【発明の効果】
【0014】
本発明の椅子型マッサージ機によれば、背もたれ部の高さを上げ下げでき、さらには、肩部マッサージ部との協同により、様々なマッサージを使用者に付与することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
図1】本実施形態の椅子型マッサージ機を示した斜視図である(背もたれ部が収納状態と突出状態を示す)。
図2】本実施形態の椅子型マッサージ機の背もたれ部が突出していく状況を示した図である。
図3】(a)は、本実施形態の椅子型マッサージ機に配設された肩側部マッサージ手段が左右に開く状況を示し、(b)は、前後に揺動する状況を示した図である。
図4】背もたれ部が収容状態とされた本実施形態の椅子型マッサージ機の内部構造を示した側面図である。
図5】背もたれ部が上方へ突出状態とされた本実施形態の椅子型マッサージ機の内部構造を示した側面図である。
図6】背もたれ部が上方へ突出した後にリクライニング状態とされた本実施形態の椅子型マッサージ機の内部構造を示した側面図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下に、本発明の椅子型マッサージ機の実施形態について、図を基に説明する。
【0017】
なお、図1図6は、本実施形態に係る椅子型マッサージ機1の様々な形態を示したものである。
【0018】
図1に示すように、本発明の椅子型マッサージ機1は、使用者が着座可能な座部2を備えており、座部2に着座した使用者に対してマッサージを行うものとなっている。座部2の後方には背もたれ部3が設けられており、背もたれ部3にもたれかかっている使用者の背部に対して、背もたれ部3に内蔵されたマッサージ機構50を用いてマッサージ動作を行うものとなっている。
【0019】
また、本実施形態の椅子型マッサージ機1は、座部2の前部に、使用者の下肢をマッサージするフットレスト部6を有している。この図1の椅子型マッサージ機1は下肢のマッサージを行う場合のものであり、上述したフットレスト部6は下肢のマッサージを行わない場合は座部2の下側に収納可能とされている。
【0020】
なお、以降の図面においては、椅子型マッサージ機1の内部構造を説明しやすくするために、図4図6においては部材の配備位置や構造の一部を省略したり、一部透過にしたりして描画する場合がある。
【0021】
さらに、以降の説明において、図4の左右方向を実際の装置での前後方向と呼び、図4の上下方向を実際の装置における上下方向と呼ぶ。図4の紙面貫通方向を実際の装置での左右方向又は幅方向と呼ぶ。これらの方向は、座部2に着座した使用者から見た方向と一致するものであり、適宜、図面において矢印を用いて示している。
【0022】
次に、本実施形態の椅子型マッサージ機1を構成する座部2、背もたれ部3、マッサージ部、フットレスト部6について説明する。
【0023】
座部2は、椅子型マッサージ機1の前後方向及び左右方向の中央に形成された部分であり、マッサージを受けようとする使用者が着座する部分となっている。座部2の下部には床面Fの上方に上面を略水平方向に向けて座部2を支える基礎フレーム9が設けられている。基礎フレーム9は、金属製のパイプ材やアングル材など棒状の部材を、上下方向、左右方向、前後方向に複数交差状に組み合わせて形成されている。
【0024】
基礎フレーム9は下側が空洞となっており、座部2と床面Fとの間には上下方向に上述したフットレスト部6を収納可能な空間が形成されている。
【0025】
背もたれ部3は、前面視で略矩形状とされた部材であり、内部にはクッション材が設けられている。この背もたれ部3は、後述する突出手段7を用いて、座部2を基準として上方へ突出した後、後方へ向かって傾斜可能となっている。
【0026】
背もたれ部3の内部には、背もたれ部3の骨格となる背もたれフレーム10と、座部2に着座した使用者の背部の施療部に対して揉みや叩き、或いは振動などのマッサージ動作を行うマッサージ機構50と、が設けられている。
【0027】
背もたれフレーム10は、使用者の背部を十分に支持することができる枠体であって、上下方向に伸びる左右一対の縦フレーム10aの上端同士及び下端同士を、左右方向に伸びる上下一対の横フレーム10bでつなぎ合わせたような構造であり、正面から見ると上下方向に長い長方形状(略ロ字状)に形成されている。縦フレーム10aの下側には、幅方向外方に向かって張り出すようにサイドフレーム11が設けられている。このサイドフレーム11の幅方向外側に後述する突出手段7が取り付けられている。
【0028】
一方、フットレスト部6は、使用者の下肢(膝より下側の下肢)を施療可能な部材であり、上述した座部2の下側に収容可能とされている。フットレスト部6は、図1に示すように、フットレスト部6の前面には、使用者の膝から下側の下肢を差し込み可能な下肢差込部12(凹部)が左右に1つずつ、前方上側に向かって開口するように形成されている。この下肢差込部12に対しては、使用者の下肢を前方から差し入れられるようになっている。
【0029】
フットレスト部6の内部には、下肢差込部12に差し込まれた使用者の下肢に対してマッサージを行うフットマッサージ機構(図示せず)(図示略)が設けられている。また、図2に示すように、フットレスト部6の下側には、前方延出手段8により前後方向に延出する際に、床面F上を転動してフットレスト部6のスムーズな移動を補助する転動体13が設けられている場合もあれば、図1のように、転動体13なしのフットレスト構造を採用することも可能である。
【0030】
なお、図1図5などに示すように、フットレスト部6は、その裏面側に、使用者の下肢を載置可能とする下肢載置部42を備えている。フットレスト部6の側面には左右方向を向く回動軸41回りにフットレスト部6を回動可能に支持するフットレスト支持部40が設けられており、このフットレスト支持部40を用いて、回動軸41回りに回動させることで、フットレスト部は下肢差込部12を上方(使用者側)に向けるマッサージ姿勢と、下肢載置部42を上方に向けるレスト姿勢との双方に、フットレスト部6の姿勢を変更可能な構成とされている。
【0031】
更には、図1に示すようなフットレスト部の場合、足部をマッサージする前方フットレスト部と、ふくらはぎをマッサージする後方フットレスト部を有していて、後方フットレスト部に対して前方フットレスト部を前方に押し出すことにより、前方フットレスト部と後方フットレスト部との間隔を調整できるようになっている。
【0032】
なお、図1などに示すように、上述した座部2の左右両側には、座部2に着座した使用者の肘を載せる肘掛け部5が配備されている。この肘掛け部5は、上下方向に向かって起立するように配備された板状の部材である。
【0033】
ところで、本発明の椅子型マッサージ機1は、座部2を基準として上述した背もたれ部3を上方へ持ち上げた上で後方へ向かって突出させる突出手段7を備えていることを特徴とするものである。なお、突出手段7には、挟み込み検知構造を搭載するようにしており、背もたれ部が任意の物体を挟み込んだ場合には、突出手段7に備えられた駆動手段(昇降モータ24)を反転させ、挟み込みを解除するものとしている。
【0034】
また、本発明の椅子型マッサージ機1は、突出手段7だけでなく、座部2を基準としてフットレスト部6を前方へ延出させる前方延出手段8 を備えたものとなっている。これらの突出手段7及び前方延出手段8を設ければ、背もたれ部3からフットレスト部6までの長さを、座部2を境に前後方向に向かって延伸可能となるため、さまざまな体格の使用者に対して、足を伸ばしたリラックスした姿勢でマッサージを行うことが可能となる。
【0035】
以降では、本発明の椅子型マッサージ機1が備える突出手段7及び前方延出手段8のうち、まず突出手段7について説明する。
【0036】
図5以降に示すように、突出手段7は、座部2側に設けられる長溝14に、背もたれ部3側に設けられるガイド体15(詳細な構成は後述)を嵌め込んで、長溝14の形成方向に沿って背もたれ部3を案内するものとなっている。この突出手段7に設けられる長溝14により、背もたれ部3を座部2に対して後方に延出することが可能となっている。
【0037】
長溝14は、基礎フレーム9に形成されたガイド板16に上下方向に沿って形成された溝であり、ガイド体15の嵌め込みを可能とする程度の溝幅を備えている。この長溝14における下側から上下方向の中途側までは、略上下方向(鉛直方向)に沿って直線状に形成されている。また、長溝14の上側は、上下方向に沿って形成される長溝14の下側に比して、後方に向かって湾曲している。つまり、上側の長溝14Uは水平方向に沿うように傾動したものとなっている。
【0038】
そのため、長溝14に沿ってガイド体15を移動させると、ガイド体15が下側の長溝14Dに位置する場合は、ガイド体15は専ら上下方向に案内され、前後方向にはほとんど移動することはない。しかし、ガイド体15が上側の長溝14Uに位置する場合は、専ら水平方向に沿って案内されることになり、背もたれ部3の位置は座部2を基準として後方に移動し、座部2に対して上述した背もたれ部3を後方へ向かって延出させることが可能となる。
【0039】
具体的には、上述した長溝14は、基礎フレーム9の後端側の側部に設けられたガイド板16に形成されている。ガイド板16は、長方形とされた帯板であり、長手方向に沿って上側1/4程度が後方へ屈曲し略への字状に形成されている。つまり、ガイド板16は、下端部から屈曲箇所までの上下方向に沿わせると共に、屈曲箇所から上端部までを傾斜させるようにして、基礎フレーム9に取り付けられている。
【0040】
ガイド板16は基礎フレーム9の左側部と右側部とにそれぞれ設けられており、左右それぞれのガイド板16にはこのガイド板16を左右方向に貫通すると共に上下方向に伸びるように、上述した長溝14が形成されている。この長溝14には、背もたれ部3の側部に設けられたガイド体15が嵌め込まれている。
【0041】
ガイド体15は、背もたれ部3の側部、すなわち背もたれ部3のサイドフレーム11に形成された部材であり、長溝14に嵌め込まれた状態で、長溝14の形成方向に沿って案内されることで、座部2に対して背もたれ部3を上下方向や前後方向に案内可能とされている。ガイド体15は、サイドフレーム11の上側に配備された上部ガイド体17と、サイドフレーム11における上部ガイド体17の下側に離れた箇所に配備された下部ガイド体18と、で構成されている。つまり、ガイド体15は、上下2箇所で長溝14に係合して、背もたれ部3を昇降させたり、傾斜させたりする構成となっている。
【0042】
図5図6に示す如く、上述した上部ガイド体17は左右方向に軸心を向けて配備された第1シャフト19の先端に取り付けられており、また下部ガイド体18は第1シャフト19と同様に左右方向に軸心を向けて配備された第2シャフト20の先端に取り付けられている。
【0043】
第1シャフト19は、サイドフレーム11の側面から、幅方向の外方に向かって突出する棒状の部材であり、上述した長溝14の開口幅よりも小さな径を備えた棒状に形成されている。具体的には、第1シャフト19には、左側のサイドフレーム11の側面から左方に向かって突出する左シャフトと、右側のサイドフレーム11の側面から右方に向かって突出する右シャフトとの2本がある。左右それぞれの第1シャフト19の先端には上述した上部ガイド体17が取り付けられており、上部ガイド体17が左右の長溝14のそれぞれに上下方向に移動自在に嵌合している。
【0044】
また、第2シャフト20は、背もたれフレーム10の左端から右端までを左右方向に貫通する棒状の部材であり、背もたれフレーム10に左右方向を向く軸回りに回転自在に配備されている。この第2シャフト20の左右両端にも、第1シャフト19と同様にガイド体15が配備されており、下部ガイド体18も左右の長溝14のそれぞれに上下方向に移動自在に嵌合している。
【0045】
一方、上述した突出手段7は、座部2に対して背もたれ部3を昇降させる昇降機構21を有している。この昇降機構21は、長溝14に対応して(本実施形態では、長溝14に沿って)設けられたラック部22と、ラック部22に噛み合った状態で回転駆動されることで、背もたれ部3に設けられたガイド体15を長溝14に沿って移動させるピニオンギヤ23と、を備えている。このピニオンギヤ23には、背もたれフレーム10の左下側に位置する昇降モータ24により回転駆動力が伝達されている。
【0046】
具体的には、上述した昇降モータ24は、上下方向に駆動軸の軸心を向けるように配備されており、駆動軸に発生した回転駆動力を、ウォームギヤを介して第2シャフト20に伝達することで、左右方向を向く軸回りに第2シャフト20を回転駆動できるようになっている。
【0047】
ピニオンギヤ23は、上述したガイド体15よりも幅方向内側に位置する第2シャフト20に設けられたギヤ(平ギヤ)であり、第2シャフト20と一体に回転可能となっている。
【0048】
ラック部22は、ピニオンギヤ23に噛み合い可能とされており、後方に向かって歯先を向けるようにして、上述したガイド板16に上下方向に沿って取り付けられている。具体的には、このラック部22は、上述した長溝14の開口縁(前側の開口縁)に沿うようにガイド板16に取り付けられており、前方からピニオンギヤ23が噛み合わされている。
【0049】
それゆえ、上述した昇降モータ24を用いて第2シャフト20を回転駆動させると、第2シャフト20に一体に取り付けられたピニオンギヤ23も回転する。そうすると、ピニオンギヤ23がラック部22に噛み合った状態で上下方向に移動し、ピニオンギヤ23が設けられた背もたれ部3が、ラック部22が設けられた座部2(基礎フレーム9)に対して昇降するようになる。
【0050】
以上のことから、上述した突出手段7を設けた椅子型マッサージ機1では、背もたれ部3を上方に突出させて高さを変更するだけでなく、背もたれ部3を座部2に対して上方及び後方に延出させて、椅子型マッサージ機1の前後方向に沿った長さを長くすることができる。
【0051】
一方、図4図6に示すように、本発明の椅子型マッサージ機1には、座部2を基準としてフットレスト部6を前方へ延出させる前方延出手段8が設けられている。
【0052】
この前方延出手段8は、座部2の下側からフットレスト部6を前方に引き出すフットレスト進出手段26と、フットレスト進出手段26で進出したフットレスト部6をさらに前方に向かって延出する追加延出手段27と、を備えたものとなっている。
【0053】
フットレスト進出手段26は、基礎フレーム9における座部2の下側に対して、左右方向を向く軸回りに揺動自在に取り付けられた棒状の揺動アーム部材28と、この揺動アーム部材28を基礎フレーム9に対して前方に揺動させるフットレスト用駆動モータ29と、を備えている。
【0054】
上述した揺動アーム部材28は、基礎フレーム9とフットレスト部6とを連結する部材であり、基礎フレーム9側から第1アーム部材30、第2アーム部材31、第3アーム部材32の3つの棒状の部材を長手方向に繋ぎ合わせて形成されている。これらの第1アーム部材30~第3アーム部材32は、座部2の左側と右側とのそれぞれ1組ずつ設けられており、左右あわせて2組で揺動アーム部材28が構成されている。
【0055】
第1アーム部材30は、第2アーム部材31及び第3アーム部材32の1/4~1/2程度の短尺な棒状部材である。第1アーム部材30の一端側(基礎フレーム9側)は、基礎フレーム9における座部2の下側に、左右方向を向く軸回りに揺動自在に連結されている。また、第1アーム部材30の他端側(フットレスト部6側)は、第2アーム部材31の一端側に、左右方向を向く軸回りに揺動自在に連結されている。
【0056】
なお、座部2の左側に設けられる第1アーム部材30の他端側と、右側に設けられる第1アーム部材30の他端側とは、左右方向を向く連結シャフト33で連結されている。そして、この連結シャフト33には、後述するアクチュエータ34が取り付けられている。
【0057】
第2アーム部材31は、第3アーム部材32とほぼ同じ長さを備えた棒状部材であり、第1アーム部材30と第3アーム部材32とを連結している。第2アーム部材31の一端側(基礎フレーム9側)は、第1アーム部材30の他端側に、左右方向を向く軸回りに揺動自在に連結されている。また、第2アーム部材31の他端側(フットレスト部6側)は、第3アーム部材32の一端側に、左右方向を向く軸回りに揺動自在に連結されている。
【0058】
第3アーム部材32は、第2アーム部材31とフットレスト部6とを連結している棒状の部材である。第3アーム部材32の一端側(基礎フレーム9側)は、第2アーム部材31の他端側(フットレスト部6側)に、左右方向を向く軸回りに揺動自在に連結されている。第3アーム部材32の他端側には、床面F上を転動可能な転動体13が取り付けられている。第3アーム部材32の長手方向の中途側には、追加延出手段27の支持体35が配備されている。
【0059】
フットレスト用駆動モータ29は、基礎フレーム9の後側に配備されており、上述したアクチュエータ34に回転駆動力を伝達している。このアクチュエータ34は、フットレスト用駆動モータ29で発生した回転駆動力を用いて長手方向(前後方向)に伸縮自在とされており、フットレスト用駆動モータ29に取り付けられた基端側に対して、連結シャフト33に取り付けられた先端側を前後方向に伸縮できるようになっている。
【0060】
つまり、フットレスト用駆動モータ29を駆動させると、アクチュエータ34が前後方向に伸長し、連結シャフト33の位置が前方に移動する。そうすると、連結シャフト33が取り付けられた揺動アーム部材28の第1アーム部の他端側が、一端側を中心に前方に揺動する。そして、第1アーム部材30の前方揺動に連動して、第2アーム部材31及び第3アーム部材32が前方に移動し、フットレスト部6が転動体13を転動させながら床面F上を前方に移動して、フットレスト部6が座部2の下側から前方に引き出される。
【0061】
なお、前方に引き出されたフットレスト部6を座部2の下側に引き入れる場合は、フットレスト用駆動モータ29を引き出し時とは反対側に回転させる。そうすると、引き出し時とは逆の手順で、フットレスト部6が座部2の下側に引き込まれる。
【0062】
この追加延出手段27は、フットレスト部6を支持すると共に、フットレスト進出手段26により前方に引き出される支持体35と、支持体35に対してフットレスト部6を前後方向に揺動自在に連結するリンク機構36と、を備えている。
【0063】
リンク機構36を備えた追加延出手段27を設ければ、付勢手段39の付勢力に抗してフットレスト部6を前方に向かって押動すれば、リンク機構36が前方に揺動してフットレスト部6の進出位置をさらに前方に変更することが可能となる。
【0064】
なお、フットレスト部6の構成は上記のものに限定はされない。図1に示すように、フットレスト部6に転動体13がない構成でもよく、図2の如くフットレスト部6が左右軸心周りに回動しない構成であっても良い。
【0065】
さらに、本発明の椅子型マッサージ機は、肩側部マッサージ手段51を有している。
【0066】
この肩側部マッサージ手段51は、背もたれ部3の左右両側に、互いに対向配置とされ且つ使用者の体の側部にマッサージを施すものである。この肩側部マッサージ手段51は、図3(a)のように、背もたれ部3の左右両側に一対備えられており、背もたれ部3から前方に突出するように備えられている。右側のマッサージ部材と、左側のマッサージ部材は、左右方向において対面する位置に備えられている。図3(a)に示すように、肩側部マッサージ手段51は互いに近接状態と離反状態とを切り換え自在とする幅切換機構を介して、背もたれ部3に取り付けられている。また、図3(b)のように、背もたれ部3の前方へ突出した使用状態とこの使用状態より後方へ移動した収納状態とで切り換え自在となっていても良い。この場合、肩側部マッサージ手段51はその上部が背もたれ部3に回動自在に取り付けられており、肩側部マッサージ手段51を動かすために揺動切換機構が備えられている。
【0067】
肩側部マッサージ手段51の内側(使用者に対面する側)には、施療部が設けられており、施療部は、背もたれ部の幅方向に沿って内側に膨張するエアバッグで構成されている。
[本発明が奏する著しい作用効果]
背もたれ部3の姿勢を「突出状態」から更に「リクライニング状態」に変化させる突出手段7と、前述した肩側部マッサージ手段51とが協同することで、本実施形態の椅子型マッサージ機は以下のような効果的なマッサージを使用者に付与することが可能となる。
【0068】
まず、背もたれ部3を突出手段7を用いて、背もたれ部3を下方に最も引き入れた場合、ミニソファ型の椅子として使用でき、このような椅子としての使用時、使用者に圧迫感を抱かせることが無くなる、従来からある上腕を横方向から押す椅子型マッサージ機(背もたれ部3が上下に長い椅子型マッサージ機)は、使用者の顏に近い位置、すなわち、顔の横近傍に構造物(肩側部マッサージ手段51)が配設されているため、使用者に対して圧迫感を与えることは否めない。しかしながら、本発明の椅子型マッサージ機1であれば、背もたれ部3を下方に降下させている際には、上記した圧迫感を使用者に感じさせることはない。
【0069】
また、図1に示すように、背もたれ部3を降下させた状態とすれば、マッサージ施術時に、使用者の腰から臀部にかけてマッサージ機構50が存在することになるため、腰マッサージの体感を確実に向上させることができる。特に、背もたれ部3が下がった状態で、肩側部マッサージ手段51に設けられたエアバッグを膨張させ、このエアバッグで使用者の上腕をはさみつつ使用者の上体を固定した上で、マッサージ機構50を駆動させることにより、使用者の体を固定した状態で、腰部を確実にマッサージできることから、腰への強いマッサージ感を得ることが可能となる。
【0070】
突出手段7を用いて背もたれ部3を上昇、下降させた場合、上腕に対するマッサージ位置を可変とすることが可能となる。例えば、背もたれ部3が下降しているときは、肩側部マッサージ手段51によるマッサージは、使用者の上腕下部を中心に行われることになり、背もたれ部3が上昇しているときは、肩側部マッサージ手段51によるマッサージは、使用者の上腕上部を中心に行われることになる。
【0071】
さらに、肩側部マッサージ手段51のエアバッグを膨張させて上腕を固定した後、背もたれ部3を上昇させることで、使用者の上腕を上方向に引き上げる運動(引き上げストレッチ)を行わせることが可能となる。逆に、肩側部マッサージ手段51のエアバッグを膨張させて上腕を固定した後、背もたれ部3を降下させることで、使用者の上腕を下方向に引き下げる運動(引き下げストレッチ)を行わせることも可能となる。
【0072】
また、肘掛け部5の上部に配設された腕部マッサージ手段(図示せず)により、上肢の肘より先側ないしは掌を保持した状態で、背もたれ部3を上昇させることで、上肢の肘より上側~肩部に対してストレッチ運動を行わせることが可能となる。この腕部マッサージ手段(図示せず)は、腕部を挿入する事が可能な筒状となっており、先端部を回転中心として上下に回動する構造とされている。したがって、腕を挿入する際は、腕部マッサージ手段(図示せず)の後方を回転中心を中心として上側に持ち上げ、後方から腕を差し入れるようにすることが可能となる。腕部マッサージ手段(図示せず)を使用しない際は、腕部マッサージ手段(図示せず)の後方を回転中心を中心として下側に押し込み、肘掛け部5の上部と面一の状態とすることもできる。このようにすることで、使用者は、腕部マッサージ手段(図示せず)の上面、言い換えれば、肘掛け部5の上面に腕をのせることが可能となり、楽な姿勢でマッサージを受けることが可能となる。
【0073】
椅子型マッサージ機1の肘掛け部5の内側、言い換えれば、使用者の臀部の側方にエアバッグが配設されている場合、臀部側方エアバッグを膨張させ、使用者の臀部を保持した状態で、肩側部マッサージ手段51のエアバッグを膨張させて上腕を固定した後、背もたれ部3を上昇させることで、使用者の上体全体の体伸ばし(背筋伸ばしストレッチ)を行うことができる。
【0074】
フットレスト部6の内部には、下肢差込部12に差し込まれた使用者の下肢に対してマッサージを行うフットマッサージ機構(図示せず)が設けられている。このフットマッサージ機構(図示せず)を動作させ、使用者の足を保持状態としたまま、突出手段7を用いて背もたれ部3を上昇、下降させた場合、使用者の体全体を伸ばすようなストレッチ運動を行うことが可能となる。
【0075】
また、座部の内部に、使用者の臀部をマッサージ可能とする座部マッサージ機構(図示せず)が内蔵されていた場合、突出手段7を用いて背もたれ部3を下降させると、使用者の体、特に臀部が確実に座部2の上面に押し付けられるようになり、座部マッサージ機構(図示せず)によるマッサージを確実に使用者に付与することが可能となる。
【0076】
以上、今回開示された実施形態はすべての点で例示であって制限的なものではないと考えられるべきである。特に、今回開示された実施形態において、明示的に開示されていない事項、例えば、運転条件や操業条件、各種パラメータ、構成物の寸法、重量、体積などは、当業者が通常実施する範囲を逸脱するものではなく、通常の当業者であれば、容易に想定することが可能な値を採用している。
【符号の説明】
【0077】
1 椅子型マッサージ機
2 座部
3 背もたれ部
4 マッサージ部
5 肘かけ部
6 フットレスト部
7 突出手段
8 前方延出手段
9 基礎フレーム
10 背もたれフレーム
10a 縦フレーム
10b 横フレーム
11 サイドフレーム
12 下肢差込部(凹部)
13 転動体
14 長溝
15 ガイド体
16 ガイド板
14U 上側の長溝
14D 下側の長溝
17 上部ガイド体
18 下部ガイド体
19 第1 シャフト
20 第2 シャフト
21 昇降機構
22 ラック部
23 ピニオンギヤ
24 昇降モータ
26 フットレスト進出手段
27 追加延出手段
28 揺動アーム部材
29 フットレスト用駆動モータ
30 第1 アーム部材
31 第2 アーム部材
32 第3 アーム部材
33 連結シャフト
34 アクチュエータ
35 支持体
36 リンク機構
39 付勢手段
40 フットレスト支持部
41 回動軸
42 下肢載置部
50 マッサージ機構
51 肩側部マッサージ手段
F 床面
図1
図2
図3
図4
図5
図6