(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024167456
(43)【公開日】2024-12-04
(54)【発明の名称】電力制御システム
(51)【国際特許分類】
H02J 3/14 20060101AFI20241127BHJP
H02J 13/00 20060101ALI20241127BHJP
H02J 3/32 20060101ALI20241127BHJP
H02J 3/46 20060101ALI20241127BHJP
【FI】
H02J3/14 130
H02J13/00 311T
H02J13/00 301A
H02J3/32
H02J3/46
【審査請求】未請求
【請求項の数】8
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021174708
(22)【出願日】2021-10-26
(71)【出願人】
【識別番号】392026693
【氏名又は名称】株式会社NTTドコモ
(74)【代理人】
【識別番号】100088155
【弁理士】
【氏名又は名称】長谷川 芳樹
(74)【代理人】
【識別番号】100113435
【弁理士】
【氏名又は名称】黒木 義樹
(74)【代理人】
【識別番号】100121980
【弁理士】
【氏名又は名称】沖山 隆
(74)【代理人】
【識別番号】100128107
【弁理士】
【氏名又は名称】深石 賢治
(72)【発明者】
【氏名】中村 祐喜
(72)【発明者】
【氏名】龍野 友樹
(72)【発明者】
【氏名】竹野 和彦
【テーマコード(参考)】
5G064
5G066
【Fターム(参考)】
5G064AA04
5G064AC09
5G064CB08
5G064CB21
5G064DA05
5G064DA07
5G066AA02
5G066HA15
5G066HB09
5G066JB03
(57)【要約】
【課題】蓄電池が故障するリスクを考慮しながら、複数の需要家における電力制御を行う。
【解決手段】電力制御システム1は、負荷である通信装置70、整流器50及び蓄電池60を含む複数の需要家である複数の基地局20と、複数の需要家における整流器50及び蓄電池60を制御する制御部2(または制御部2A)と、を有し、複数の需要家の少なくとも一部において、蓄電池60を利用した特定の電力制御を行う。このときに、制御部2は、複数の需要家のそれぞれにおいて、蓄電池60の故障に関係する状態を推定し、当該推定結果に基づいて、特定の電力制御の対象となる需要家を選択する。そして、選択した需要家において、蓄電池60からの充放電動作を行うことで、特定の電力制御を行う。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
負荷、整流器及び蓄電池を含む複数の需要家と、
前記複数の需要家における前記整流器及び前記蓄電池を制御する制御部と、を有し、
前記複数の需要家の少なくとも一部において、前記蓄電池を利用した特定の電力制御を行う、電力制御システムであって、
前記制御部は、前記複数の需要家のそれぞれにおいて、前記蓄電池の故障に関係する状態を推定し、当該推定結果に基づいて、前記特定の電力制御の対象となる需要家を選択し、選択した前記需要家において、前記蓄電池からの充放電動作を行うことで、前記特定の電力制御を行う、電力制御システム。
【請求項2】
前記制御部は、前記複数の需要家のそれぞれにおける前記整流器の出力電力情報と、前記蓄電池の現在容量情報とを取得し、これらの情報に基づいて、対象となる需要家を選択する、請求項1に記載の電力制御システム。
【請求項3】
前記制御部は、前記複数の需要家のそれぞれにおいて、前記蓄電池におけるバックアップ容量を確保した上で前記特定の電力制御が可能な需要家を対象となる需要家として選択し、前記特定の電力制御として、選択した前記需要家において前記蓄電池からの放電動作を行う、請求項1または2に記載の電力制御システム。
【請求項4】
前記制御部は、前記複数の需要家のそれぞれにおいて、前記蓄電池における最大容量を超えない範囲で、前記特定の電力制御が可能な需要家を対象となる需要家として選択し、前記特定の電力制御として、選択した前記需要家において前記蓄電池における充電動作を行う、請求項1または2に記載の電力制御システム。
【請求項5】
前記制御部は、故障中の蓄電池を有する需要家は、前記特定の電力制御の対象となる需要家として選択しない、請求項1~4のいずれか一項に記載の電力制御システム。
【請求項6】
前記制御部は、故障の発生が予測される蓄電池を有する需要家は、前記特定の電力制御の対象となる需要家として選択しない、請求項1~5のいずれか一項に記載の電力制御システム。
【請求項7】
前記制御部は、
前記特定の電力制御の対象となる需要家として、故障の発生が予測される蓄電池を有する需要家を選択すると共に、余剰需要家として、前記特定の電力制御とは別に同様の電力制御を行うことが可能な需要家を選択し、
前記特定の電力制御を行っている途中で前記故障の発生が予測される蓄電池に故障が発生した際に、故障した蓄電池を有する需要家に代えて、前記余剰需要家の蓄電池において、前記特定の電力制御に係る充放電動作を行う、請求項1~5のいずれか一項に記載の電力制御システム。
【請求項8】
前記特定の電力制御は、デマンドレスポンス要請に応答するための電力制御である、請求項1~7のいずれか一項に記載の電力制御システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示の一側面は、電力制御システムに関する。
【背景技術】
【0002】
近年、電力供給事業者における自然エネルギーの活用割合が増加しているなかで、電力供給事業者から需要家への電力需給調整の手法としてデマンドレスポンス(DR)が注目されている。太陽光発電や風力発電の自然エネルギーによる発電量は天候(日射量、風量等)に応じて増減するため、需要家へDRを要請することで電力需給量を柔軟に調整する手法が採られていて、需要家へ節電量を指定して節電を要求するものである。これに対して、需要家では、DR応答するための電力制御方法が検討されている。例えば、特許文献1では、DRに対して応答する際に、複数の需要家が所有する蓄電池の蓄電量を考慮しながら、複数の需要家への電力制限分配量を分配する手法が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、DRに対して応答する際の制御は、需要家における蓄電池の動作が正常であることを前提としている。蓄電池が故障する可能性を考慮した制御は検討されていないため、DR応答時に蓄電池が故障したとしてもそれに対応する方法はこれまで十分に検討されていない。
【0005】
本開示は上記を鑑みてなされたものであり、蓄電池が故障するリスクを考慮しながら、複数の需要家における電力制御を行うことが可能な技術を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本開示の一側面に係る電力制御システムは、負荷、整流器及び蓄電池を含む複数の需要家と、前記複数の需要家における前記整流器及び前記蓄電池を制御する制御部と、を有し、前記複数の需要家の少なくとも一部において、前記蓄電池を利用した特定の電力制御を行う、電力制御システムであって、前記制御部は、前記複数の需要家のそれぞれにおいて、前記蓄電池の故障に関係する状態を推定し、当該推定結果に基づいて、前記特定の電力制御の対象となる需要家を選択し、選択した前記需要家において、前記蓄電池からの充放電動作を行うことで、前記特定の電力制御を行う。
【0007】
このような側面においては、特定の電力制御を行う場合に、蓄電池の故障に関係する状態を推定し、当該推定結果に基づいて、複数の需要家から電力制御を行う対象となる需要家が選択される。そして、選択した需要家において、蓄電池からの充放電動作を行うことで、特定の電力制御が行われる。したがって、複数の需要家における蓄電池が故障する可能性を考慮しながら、特定の電力制御を行う対象となる需要家を選択し、電力制御を行うことが可能となる。
【発明の効果】
【0008】
本開示の一側面によれば、蓄電池が故障するリスクを考慮しながら、複数の需要家における電力制御を行うことが可能な技術が提供される。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【
図1】
図1は、一形態に係る電力制御システムの概略構成の一例を示す図である。
【
図2】
図2は、第1実施形態に係る電力制御システムにおける制御部の概略の一例を説明する図である。
【
図3】
図3は、第1実施形態に係る電力制御システムにおける制御部の機能構成の一例を示す図である。
【
図4】
図4は、第1実施形態に係る電力制御方法の一例を示すフロー図である。
【
図5】
図5は、第2実施形態に係る電力制御システムにおける制御部の機能構成の一例を示す図である。
【
図6】
図6は、第2実施形態に係る電力制御方法の一例を示すフロー図である。
【
図7】
図7は、電力制御システムで用いられるコンピュータのハードウェア構成の一例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、添付図面を参照して、本開示を実施するための形態を詳細に説明する。なお、図面の説明においては同一要素には同一符号を付し、重複する説明を省略する。
【0011】
(第1実施形態)
図1に示すように、第1実施形態に係る電力制御システムを含む電力制御システム1は、サーバ10によって、複数(n個)の基地局20(第1基地局20
1、第2基地局20
2、第3基地局20
3、…第n基地局20
n)の電力に係る制御を行う、所謂分散型の電源システムである。
図1では、第1基地局20
1を参照しながら、基地局20の構成を説明するが、その他の基地局についても同様の構成を有している。
【0012】
基地局20は、それぞれ、スマートメータ30、ホームエネルギーマネジメントシステム(Home Energy Management System(以下「HEMS」という)40、整流器50、商用電源の停電時のバックアップのための蓄電池60、直流電流を消費する通信装置70(以下「負荷」という場合がある)を含んで構成される。商用電源90からの交流電流は、スマートメータ30経由で整流器50に入力され、整流器50によって直流電流に変換される。変換後の該直流電流は、通信装置70及び蓄電池60に供給される。HEMS40は、スマートメータ30からの商用電力情報、整流器50内に設けられ得るセンサ(例えば、電流測定部及びバス電圧測定部)等からの測定値、並びに、蓄電池60からの充電率(State Of Charge(以下「SOC」という)の情報を取得する。整流器50に設けられるセンサからの情報とは、例えば、通信装置70へ流れる電流値、通信装置70へ直流電流が供給されるバスにおけるバス電圧値等が挙げられる。また、HEMS40は、整流器50に対して、整流器電圧の設定指令を行い、整流器50に所望の動作を実行させる機能を有する。なお、整流器電圧の設定指令とは、蓄電池60の充放電に係る制御指令に相当する。
【0013】
なお、基地局20には、整流器50から供給される直流電流の電流・電圧を測定する電流・電圧センサ80(
図2を参照)が設けられていてもよい。電流・電圧センサ80における測定の結果は、基地局20の動作状況を把握するために使用され得る。この点については後述する。
【0014】
各基地局20では、それぞれ上述のHEMS40によって、基地局20内の電流の調整が図られる。また、HEMS40は、サーバ10に対して自装置が設けられる基地局20内の電力の状況を通知すると共に、サーバ10からの指示に基づいて基地局20内の各部の調整を行う。このように、サーバ10は、各基地局20に設けられたHEMS40との間で通信を行って、各基地局20における電力の運用状況を確認する。また、電力制御システム1に対してデマンドレスポンス(DR)要請等の電力使用量の調整の要請に基づいて、サーバ10は、各基地局20における電力の運用状況に基づいて各基地局20における対応可否を判定し、その結果に基づいて、各基地局20に設けられたHEMS40に対して、DR要請に対応した蓄電池の充放電の指令を行う機能を有する。
【0015】
上述の電力制御システム1では、各基地局20が所謂需要家に相当する。そして、サーバ10及びHEMS40が、複数の需要家における電力の運用を制御する制御部2としての機能を有する。
【0016】
なお、DR要請には、電力の需要量を減らすことを目的とした下げDRと、電力の需要量を増やすことを目的とした上げDRと、がある。下げDRに応答する場合には、需要家である基地局20において商用電源90から電力供給を抑制するために、蓄電池60からの放電制御が行われ得る。一方、上げDRに応答する場合には、需要家である基地局20において商用電源90から電力供給を増加するために、通常の電力消費に加えて蓄電池60への充電制御が行われ得る。
【0017】
次に、
図2及び
図3を参照しながら、制御部2として機能するサーバ10及びHEMS40の機能を説明する。
図2及び
図3では、制御部2としての機能を1つにまとめて示しているが、上述のように、制御部2としての機能は、サーバ10及びHEMS40に分散して配置されている。
図2は、制御部2の機能を大きく5つに分けて示すものであり、
図3は、制御部2の各部の機能をより詳細に説明するものである。
【0018】
制御部2は、充放電制御部21、基地局選択部22、リソース情報管理部23、状態監視部24、及び蓄電池故障予測部25を含んで構成される。これらの各機能は基本的にはサーバ10に設けられていて、その一部の機能がHEMS40に分散配置され得る。
【0019】
充放電制御部21は、基地局20における整流器50の電圧制御を行う機能を有する。
【0020】
基地局選択部22は、各基地局20におけるリソース情報(蓄電池60の容量情報等)の監視、蓄電池60の故障の予測状況等に基づいて、DR応答の際の基地局20の放電時間または充電時間を決定する。
【0021】
リソース情報管理部23は、DR応答に必要な受電点のデータ(例えば、スマートメータのBルートデータ)や各基地局20の制御量の算出に必要なデータである整流器50における設定データ、電流・電圧センサ80からの電流・電圧の情報、及び、蓄電池60の現在容量等の情報を取得して、DRに応答可能な時間である持続時間を導く。
【0022】
状態監視部24は、蓄電池60及び整流器50の状態異常を監視する機能を有する。基地局20の蓄電池60及び整流器50のいずれかが状態異常のときには、当該基地局20はDR応答に係る制御に参加させないようにする。なお、整流器50の状態異常の監視は、例えば、電流・電圧センサ80における測定結果の監視によって行われる。また、蓄電池60の状態異常の監視は、例えば、蓄電池60における蓄電容量の変動の監視によって行われる。
【0023】
蓄電池故障予測部25は、蓄電池60の電流・電圧・温度データを取得して、事前に構築してある予測モデルに基づいて各基地局20の蓄電池60の故障を予測する機能を有する。蓄電池60からは、電流、電圧、及び温度に係る情報を取得することができる。そこで、蓄電池故障予測部25では、これらの情報に基づいて蓄電池60の故障の傾向があるかを判断する機能を有する。
【0024】
次に、
図3を参照しながら、制御部2として機能するサーバ10及びHEMS40の機能についてより詳細に説明する。
【0025】
制御部2は、DR通信部201、放電電力検出部202、蓄電池容量検出部203、記憶部204、持続時間算出部205、基地局選択部206、充放電決定部207、基地局状態監視部208、警報取得部209、蓄電池電流・電圧・温度検出部210、及び、蓄電池故障予測部211を含んで構成される。
【0026】
DR通信部201は、電力供給事業者等の装置であって、電力制御システム1に対してDR指令を行う外部装置との間で通信を行う機能を有する。具体的には、DR通信部201は、電力供給事業者等からDR指令を受信する機能を担うとともに、DRの実績報告に必要なスマートメータのBルートデータなどを電力供給事業者などに送信する。
【0027】
放電電力検出部202は、整流器50から出力電力を取得する機能を有する。放電電力検出部202は、例えば、HEMS40が有する機能として実現されていてもよい。
【0028】
蓄電池容量検出部203は、蓄電池60から現在の蓄電池容量を取得する機能を有する。蓄電池容量検出部203は、例えば、HEMS40が有する機能として実現されていてもよい。
【0029】
記憶部204は、各基地局20が確保すべき災害用の蓄電池のバックアップ容量に係る情報及び蓄電池毎の最大容量を記憶する機能を有する。記憶部204は、各基地局20のHEMS40に設けられていてもよいし、サーバ10において管理下にある全ての基地局20の情報を保持していてもよい。
【0030】
持続時間算出部205は、特定の時刻を基準として、各基地局20の蓄電池60からの充放電を継続した場合の持続時間を算出する機能を有する。詳細の手順は後述するが、持続時間算出部205による算出結果は、当該基地局20におけるDR制御が可能であるかに用いられる。
【0031】
基地局選択部206は、持続時間算出部205における持続時間の算出結果と、後述の基地局状態監視部208における基地局監視結果に基づいて、管理下の基地局20からDR要請に対応する制御に参加可能な基地局群を選択する機能を有する。DR要請に対応する制御に参加可能な基地局とは、蓄電池60を含む基地局20が正常に動作可能であり、且つ、DR要請に対応するための充放電動作が可能である基地局である。したがって、基地局選択部206は上記の観点で基地局群を選択する。
【0032】
充放電決定部207は、基地局選択部206によって選択された基地局群について、DR要請に対応する制御を行う基地局20について、蓄電池60からの放電を決定し、DR要請に対応するための具体的な制御を実行する機能を有する。
【0033】
基地局状態監視部208は、後述の警報取得部209から基地局20の状態を取得して、正常な基地局20と故障中の基地局20とを区別する。また、基地局状態監視部208は、後述の蓄電池故障予測部211から取得される各基地局20における蓄電池60の故障予測結果に基づいて故障予測を行い、故障が予見される基地局20と予見されない基地局20を区別する。
【0034】
警報取得部209は、管理下の基地局20から発出される警報を取得する機能を有する。基地局20では、予め定められた動作を適切に行うことが困難な状態になると、HEMS40またはその他の装置から警報を発出する機能を有する。警報取得部209は、基地局20からの警報を取得すると、基地局状態監視部208へ通知する。基地局状態監視部208では、警報を発出している基地局20を故障中として取り扱う。
【0035】
蓄電池電流・電圧・温度検出部210は、各基地局20の蓄電池60の電流・電圧・温度に係る情報を取得する機能を有する。蓄電池60からのこれらの情報の取得は、所定の間隔をあけて定期的に行うこととしてもよいし、蓄電池電流・電圧・温度検出部210が蓄電池60に対して情報の送信要求を行うことによって行われてもよい。
【0036】
蓄電池故障予測部211は、各基地局20の蓄電池60の電流・電圧・温度に係る情報に基づいて蓄電池60の故障予測を行う。故障予測には、過去の蓄電池60に係る電流・電圧・温度と、故障発生の動向(例えば、数日~数週間以内に故障が発生するか否か)との関係性に基づいて構築された予測モデルを利用してもよい。予測モデルは、例えば、kNN(k-nearest neighbor algorithm;k-近傍法)やSVM(Support Vector Machine;サポートベクターマシン)等の公知の機械学習手法を用いてもよい。なお、モデルの構築に利用するアルゴリズムは上記のものに限定されない。また、蓄電池60の故障予測を行う際に、電流・電圧・温度のすべてを用いてもよいし、その一部のみを使用してもよい。蓄電池故障予測部211では、予め準備された予測モデルを利用し、各基地局20の蓄電池60の電流・電圧・温度から、蓄電池60の故障発生を予測する。故障が発生する可能性があると判断された場合には、その結果を基地局状態監視部208に通知する。
【0037】
図3に示す各部のうち充放電決定部207が充放電制御部21に対応する。また、基地局選択部206が基地局選択部22に対応し、放電電力検出部202、蓄電池容量検出部203、記憶部204、持続時間算出部205がリソース情報管理部23に対応する。さらに、基地局状態監視部208が状態監視部24に対応し、蓄電池故障予測部211が蓄電池故障予測部25に対応する。その他の機能部は、
図2に示す制御部2の各機能を実現するための補助的な機能部に対応する。
【0038】
次に、
図4を参照しながら、制御部2による処理の具体的な手順(電力制御方法)について説明する。
【0039】
DR通信部201は、電力供給事業者などからDR指令を受信することを契機として、以下の処理を開始する。DR要請は、例えば、「3時間後から3時間・100kW節電要請」というように、制御が必要な時間帯と、当該時間帯における制御内容(下げDRまたは上げDR及びその制御量)を特定する情報が含まれる。まず、ステップS01として、DR通信部11は、DR要請が下げDRであるか否かを判定する。下げDRである場合(S01-YES)、以降のステップS02~S08が行われる。一方、上げDRである場合(S01-NO)、以降のステップS11~S17が行われる。
【0040】
下げDRに応答する場合には、蓄電池60からの放電制御を行うための処理が行われる。まず、ステップS02として、放電電力検出部202が基地局20における整流器50からの出力電力P(放電電力)を取得する。次に、ステップS03として、蓄電池容量検出部203が、基地局20の蓄電池60から、蓄電池60の現在容量Wを取得する。
【0041】
次に、ステップS04では、持続時間算出部205が、記憶部204から、当該基地局が確保すべき蓄電池60のバックアップ容量WBUを取得する。このバックアップ容量とは、災害時等を考慮して設定されたものである。さらに、持続時間算出部205では、整流器50からの出力電力P、蓄電池60の現在容量W、記憶部204から取得した蓄電池60のバックアップ容量WBUを用いて、蓄電池60から放電可能な持続時間Tを算出する。持続時間とは、現在の出力電力Pをすべて蓄電池60から通信装置70へ供給した場合、蓄電池60の容量がバックアップ容量となるまでの所要時間を算出したものである。したがって、持続時間Tは以下の数式によって算出することができる。
T=(W-WBU)/P
【0042】
なお、ステップS02~S04の計算は、基地局20毎に行われる。すなわち、持続時間Tは基地局20毎に算出される。
【0043】
次に、ステップS05では、蓄電池電流・電圧・温度検出部210が、各基地局20における蓄電池60における電流・電圧・温度のデータを取得し、蓄電池故障予測部211において蓄電池60の故障の発生可能性を予測する。この結果、DR要請に応答する制御を行う期間またはその近傍で故障が発生すると予測される蓄電池60がある場合には、蓄電池故障予測部211は、その蓄電池60含む基地局20の情報を基地局状態監視部208へ通知する。
【0044】
次に、ステップS06では、基地局状態監視部208において、警報取得部209及び蓄電池故障予測部211から取得する情報に基づいて、各基地局20の状態を確認する。このとき、基地局状態監視部208は、警報取得部209からの情報に基づいて故障中であると推定される基地局20と、蓄電池故障予測部211からの情報に基づいて故障が発生し得ると予測される基地局20と、について、各基地局20を特定する情報を基地局選択部206へ送信する。これにより、基地局選択部206では、正常に動作すると推測される基地局20を特定することが可能となる。
【0045】
なお、ステップS05及びS06の処理の順序の一部を変更してもよい。例えば、警報取得部209からの情報に基づいて、警報を発出している基地局20、すなわち故障中の基地局20を除外した後に、警報を発出していない(故障中ではない)基地局20についてのみ、蓄電池60の故障予測を行う構成としてもよい。このような構成とすることで、蓄電池60の故障予測を行う対象となる基地局20の数を減らすことができる。一方、上記のステップS05,S06で説明したように、警報取得部209からの情報に基づく故障中の基地局20の特定と、蓄電池故障予測部211による蓄電池60の故障発生の予測と、を並行して行うこととしてもよい。
【0046】
次に、ステップS07では、基地局選択部206において、制御に参加する基地局20を選択する。選択基準としては、DR制御が必要な時間帯に、放電制御を持続可能な基地局20を、基地局20毎の持続時間Tの算出結果から特定する。さらに、これらの基地局20のうち、故障が発生しているまたは発生する可能性がある基地局20を制御に参加可能な基地局20から除外する。その条件で、DR要請に応答可能とうなるように、各基地局20の出力電力を考慮して、制御対象の基地局20を選択する。下げDRの場合、節電制御が可能な基地局20群の節電可能量の合計がDR要請で指定される電力量を超える場合、基地局選択部206は、合計の節電量が節電要請量により近くなるように、制御を行う基地局20を選択してもよい。また、蓄電池60の現在容量が大きい基地局20から優先して節電を行う構成としてもよい。また、適切な基地局20を選択するための手法として、整数計画問題を設定してこれを解くこととしてもよく、具体的にはナップサック問題を解くことで、基地局20を選択してもよい。このように、基地局選択部206による基地局の選択方法は適宜設定され得る。
【0047】
ステップS08として、充放電決定部207から対象の各基地局20に放電指令が送信される。各基地局20は、所定の時間になると蓄電池60からの放電動作が行われる。蓄電池60からの放電については、ステップS08に示すように、HEMS40の指示に基づいて整流器電圧VRF(例:45V)を蓄電池電圧VLIB(例:48V)より低く設定することによって行われる。
【0048】
次に、上げDRに応答する場合には、蓄電池60からの充電制御を行うための処理が行われるが、基本的な処理の手順は下げDRのときと同様である。まず、ステップS11として、放電電力検出部202が基地局20における整流器50からの出力電力Pを取得する。出力電力Pは、蓄電池60への充電電力として取り扱うことができる。次に、ステップS12として、蓄電池容量検出部203が、基地局20の蓄電池60から、蓄電池60の現在容量Wを取得する。
【0049】
さらに、ステップS13では、持続時間算出部205が、記憶部204から、蓄電池60の最大容量WFULLを取得する。上げDRに対して応答する場合には、蓄電池60への充電が行われるため、最大容量が重要となる。その後、持続時間算出部205では、整流器50からの出力電力P、蓄電池60の現在容量W、記憶部204から取得した蓄電池60の最大容量WFULLを用いて、蓄電池60へ充電可能な持続時間Tを算出する。持続時間とは、現在の出力電力Pに基づいて蓄電池60への充電を行った場合、蓄電池60の容量が最大容量となるまでの所要時間を算出したものである。したがって、持続時間Tは以下の数式によって算出することができる。
T=(WFULL-W)/P
【0050】
なお、ステップS11~S13の計算は、基地局20毎に行われる。すなわち、持続時間Tは基地局20毎に算出される。
【0051】
次に、ステップS14では、蓄電池電流・電圧・温度検出部210が、各基地局20における蓄電池60における電流・電圧・温度のデータを取得し、蓄電池故障予測部211において蓄電池60の故障の発生可能性を予測する。この結果、故障が発生すると予測される蓄電池60がある場合には、蓄電池故障予測部211は、その蓄電池60含む基地局20の情報を基地局状態監視部208へ通知する。
【0052】
次に、ステップS15では、基地局状態監視部208において、警報取得部209及び蓄電池故障予測部211から取得する情報に基づいて、各基地局20の状態を確認する。基地局状態監視部208は、警報取得部209からの情報に基づいて故障中であると推定される基地局20と、蓄電池故障予測部211からの情報に基づいて故障が発生し得ると予測される基地局20と、について、各基地局20を特定する情報を基地局選択部206へ送信する。
【0053】
次に、ステップS16では、基地局選択部206において、制御に参加する基地局20を選択する。選択基準としては、DR制御が必要な時間帯に、充電制御を持続可能な基地局20を、基地局20毎の持続時間Tの算出結果から特定する。さらに、これらの基地局20のうち、故障が発生しているまたは発生する可能性がある基地局20を制御に参加可能な基地局20から除外する。その条件で、DR要請に応答可能となるように、各基地局20の出力電力を考慮して、制御対象の基地局20を選択する。上げDRの場合、充電制御が可能な基地局20群の充電可能量の合計がDR要請で指定される電力量を超える場合、基地局選択部206は、合計の充電量が充電要請量により近くなるように、制御を行う基地局20を選択してもよい。そのほか、下げDRの場合と同様に、基地局選択部206による基地局の選択方法は適宜設定され得る。
【0054】
ステップS17として、充放電決定部207から対象の各基地局20に放電指令が送信される。各基地局20は、所定の時間になると蓄電池60からの充電動作が行われる。蓄電池60への充電については、ステップS17に示すように、HEMS40の指示に基づいて整流器電圧VRF(例:52V)を蓄電池電圧VLIB(例:48V)より高く設定することによって行われる。
【0055】
(第2実施形態)
次に、第2実施形態に係る電力制御システムについて説明する。
【0056】
第1実施形態にかかる電力制御システム1は、DR要請に基づく動作を行う際に、故障の可能性があると推定される基地局20はDR要請に基づく制御対象にしないこととしていた。一方、DR要請に応答することで得られる報奨金を最大化しようとすると、より多くの基地局20をDR応答のための制御に参加させることで、DR要請への応答回数を増やすことが望ましい。そこで、第2実施形態では、故障の可能性があると推定される基地局20についても、DR要請に基づく制御対象としている。この場合、故障の可能性があると推定されたものの実際には故障が発生しない基地局20のリソースも有効に活用ができる。一方、故障の可能性があると推定された基地局20について実際に故障が発生した場合には、余力のある基地局20を利用して充放電の補正を行う。このような構成とすることで、故障の可能性を考慮しながらも各基地局20のリソースを有効に活用することができる。
【0057】
上記の構成を実現するため、サーバ10及びHEMS40の制御部2としての機能が一部相違する。
【0058】
図5を参照しながら、第2実施形態に係る電力制御システム1において制御部2Aとして機能するサーバ10及びHEMS40の機能を説明する。なお、
図5では、制御部2Aとしての機能を1つにまとめて示しているが、上述のように、制御部2Aとしての機能は、サーバ10及びHEMS40に分散して配置されている。
【0059】
制御部2Aは、DR通信部221、放電電力検出部222、蓄電池容量検出部223、記憶部224、持続時間算出部225、基地局選択部226、充放電決定部227、警報取得部228、充放電余剰局検出部229、DRスケジュール管理部230、蓄電池電流・電圧・温度検出部231、蓄電池故障予測部232、及び、補正部233を含んでいる。DR通信部221、放電電力検出部222、蓄電池容量検出部223、記憶部224、持続時間算出部225、基地局選択部226、充放電決定部227、警報取得部228、蓄電池電流・電圧・温度検出部231、蓄電池故障予測部232の機能は基本的に第1実施形態の制御部におけるDR通信部201、放電電力検出部202、蓄電池容量検出部203、記憶部204、持続時間算出部205、基地局選択部206、充放電決定部207、警報取得部209、蓄電池電流・電圧・温度検出部210、蓄電池故障予測部211と同様であるため、共通部分についての説明は簡単に行う。
【0060】
DR通信部221は、電力供給事業者等の装置であって、電力制御システム1に対してDR指令を行う外部装置との間で通信を行う機能を有する。
【0061】
放電電力検出部222は、整流器50から出力電力を取得する機能を有する。蓄電池容量検出部223は、蓄電池60から現在の蓄電池容量を取得する機能を有する。記憶部224は、各基地局20が確保すべき災害用の蓄電池のバックアップ容量に係る情報及び蓄電池の最大容量を記憶する機能を有する。
【0062】
持続時間算出部225は、特定の時刻を基準として、各基地局20の蓄電池60における充放電を継続した場合の持続時間を算出する機能を有する。
【0063】
持続時間算出部205は、特定の時刻を基準として、各基地局20の蓄電池60からの充放電を継続した場合の持続時間を算出する機能を有する。詳細の手順は後述するが、持続時間算出部205による算出結果は、当該基地局20におけるDR制御が可能であるかに用いられる。
【0064】
基地局選択部226は、持続時間算出部225における持続時間の算出結果と、後述の警報取得部228における基地局監視結果に基づいて、管理下の基地局20からDR要請に対応する制御に参加可能な基地局群を選択する機能を有する。DR要請に対応する制御に参加可能な基地局とは、蓄電池60を含む基地局20が現在故障しておらず(すなわち警報が発出されておらず)、且つ、DR要請に対応するための充放電動作が可能である基地局である。したがって、基地局選択部226は上記の観点で基地局群を選択する。
【0065】
充放電決定部227は、基地局選択部226によって選択された基地局群について、DR要請に対応する制御を行う基地局20について、蓄電池60からの放電を決定し、DR要請に対応するための具体的な制御を実行する機能を有する。
【0066】
警報取得部228は、管理下の基地局20から発出される警報を取得する機能を有する。警報取得部228が、基地局20からの警報を取得した場合、当該基地局20は故障中として取り扱う。
【0067】
充放電余剰局検出部229は、基地局選択部226によって選択された、DR要請に対応する制御に参加予定の基地局のうち、DR要請に対する応答時間を越えて充放電する余力のある基地局(充放電余剰局群)を検出する機能を有する。
【0068】
DRスケジュール管理部230は、基地局選択部226によって特定されたDR要請に応答するための充放電を行う基地局20を特定する情報と、充放電余剰局検出部229によって検出された充放電余剰局群を特定する情報と、を管理する機能を有する。つまり、DRスケジュール管理部230は、DR要請の応答時間の特定の時間帯において、DR要請に対応した制御が行われる基地局20がどれかを把握すると共に、当該時間帯にはDR要請に対応した制御は行わないものの充放電の余力がある基地局20がどれかを把握する。
【0069】
蓄電池電流・電圧・温度検出部231は、各基地局20の蓄電池60の電流・電圧・温度に係る情報を取得する機能を有する。また、蓄電池故障予測部211は、各基地局20の蓄電池60の電流・電圧・温度に係る情報に基づいて蓄電池60の故障予測を行う。故障予測には、第1実施形態で説明した手法と同様の手法を用いることができる。故障が発生する可能性があると判断された蓄電池60については、その結果を補正部233に通知する。
【0070】
補正部233は、DRスケジュール管理部230において管理されている情報を参照し、故障が発生する可能性があると判断された基地局20がDR要請に対応する制御の対象に組み込まれている場合に、当該基地局20が制御対象となる時間に制御対象とされていない基地局20を特定する。そのうえで、補正部233は、故障が発生する可能性があると判断された基地局20が実際に故障してしまった場合には、DR要請で要求されている電力量からの差分を満たすように充放電余剰局を制御する。すなわち、補正部233は、故障が発生する可能性があると判断された基地局20が実際に故障してしまった場合に、DR要請への応答に影響を与えないように、充放電余剰局を用いた充放電制御を行う。
【0071】
次に、
図6を参照しながら、制御部2Aによる処理の具体的な手順(電力制御方法)について説明する。
【0072】
DR通信部221は、電力供給事業者などからDR指令を受信することを契機として、以下の処理を開始する。まず、ステップS21として、DR通信部11は、DR要請が下げDRであるか否かを判定する。下げDRである場合(S21-YES)、以降のステップS22~S33が行われる。一方、上げDRである場合(S21-NO)、以降のステップS42~S53が行われる。
【0073】
下げDRに応答する場合には、蓄電池60からの放電制御を行うための処理が行われる。まず、ステップS22として、放電電力検出部222が基地局20における整流器50からの出力電力P(放電電力)を取得する。次に、ステップS23として、蓄電池容量検出部223が、基地局20の蓄電池60から、蓄電池60の現在容量Wを取得する。さらに、ステップS24では、持続時間算出部225が、記憶部224から、当該基地局が確保すべき蓄電池60のバックアップ容量WBUを取得する。そして、持続時間算出部225では、整流器50からの出力電力P、蓄電池60の現在容量W、記憶部224から取得した蓄電池60のバックアップ容量WBUを用いて、蓄電池60から放電可能な持続時間Tを算出する。持続時間Tは以下の数式によって算出することができる。
T=(W-WBU)/P
【0074】
なお、ステップS22~S24の計算は、基地局20毎に行われる。すなわち、持続時間Tは基地局20毎に算出される。
【0075】
次に、ステップS25では、警報取得部228が各基地局20の状態として、故障の有無を確認する。すなわち、警報を発出している基地局20の有無を確認し、警報を発出している基地局20については故障していると判断する。なお、ステップS25では、併せて、基地局20の状態として、蓄電池電流・電圧・温度検出部231が、各基地局20における蓄電池60における電流・電圧・温度のデータを取得し、蓄電池故障予測部232において蓄電池60の故障の発生可能性を予測する。この結果、DR要請に応答する制御を行う期間またはその近傍で故障が発生すると予測される蓄電池60がある場合には、蓄電池故障予測部232は、その蓄電池60含む基地局20の情報を補正部233へ通知する。
【0076】
次に、ステップS26では、基地局選択部226において、制御に参加する基地局20を選択する。選択基準としては、DR制御が必要な時間帯に、放電制御を持続可能であって、且つ、故障が発生していない基地局20を特定する。その条件で、DR要請に応答可能となるように、各基地局20の出力電力を考慮して、制御対象の基地局20を選択する。下げDRの場合、節電制御が可能な基地局20群の節電可能量の合計がDR要請で指定される電力量を超える場合、基地局選択部206は候補となる基地局20から制御を行う基地局20を選択してもよい。
次に、ステップS27では、充放電余剰局検出部229により、放電余剰局があるかが確認される。放電余剰局がある場合(S27-YES)、ステップS28として、DRスケジュール管理部230において、蓄電池故障予測部232から補正部233へ送信された、故障の可能性がある基地局20が、DR制御の対象として選択されているか確認する。このとき、故障の可能性がある基地局20が、DR制御の対象として選択されている場合(S28-YES)、ステップS29として、故障の可能性がある基地局20がDR制御の対象として選択されている時間帯に、放電可能な放電余剰局もDR制御の対象として選択されているか(放電動作時間帯が重複するか)を確認する。故障の可能性がある基地局20がDR制御の対象として選択されている時間帯に、放電可能な放電余剰局はDR制御の対象として選択されていない場合には(S29-NO)、ステップS30として補正部233は補正スケジュールを作成する。具体的には、補正部233は、当該放電余剰局が基地局20が故障した場合の節電量の不足を賄うことが可能であるとして、基地局20故障時に適用するスケジュールを作成する。なお、放電余剰局がない場合(S27-NO)、故障の可能性がある基地局20が、DR制御の対象として選択されていない場合(S28-NO)、及び、故障の可能性がある基地局20がDR制御の対象として選択されている時間帯に、放電可能な放電余剰局もDR制御の対象として選択されている場合には(S29-YES)、補正スケジュールの作成(S30)は行わない。
【0077】
次に、ステップS31として、充放電決定部227から対象の各基地局20に放電指令が送信される。各基地局20では、所定の時間になると蓄電池60からの放電動作が行われる。蓄電池60からの放電については、ステップS31に示すように、HEMS40の指示に基づいて整流器電圧VRF(例:45V)を蓄電池電圧VLIB(例:48V)より低く設定することによって行われる。
【0078】
放電動作を行っている間は、ステップS32として、警報取得部228によって基地局20の故障が発生していないか監視が行われる。このとき、故障の発生が予測された基地局20において故障が発生した場合(S32-YES)、補正部233は、補正スケジュールによって特定された放電余剰局(補正局)に対して、放電指令を行う。この結果、放電余剰局においても、HEMS40の指示に基づいて整流器電圧VRF(例:45V)を蓄電池電圧VLIB(例:48V)より低く設定する。この結果、故障が発生した基地局20に代えて、放電余剰局が放電を行うことで、DR要請に対する応答動作を継続することができる。
【0079】
次に、上げDRに応答する場合には、蓄電池60からの充電制御を行うための処理が行われるが、基本的な処理の手順は下げDRのときと同様である。まず、ステップS42として、放電電力検出部222が基地局20における整流器50からの出力電力P(充電電力)を取得する。次に、ステップS43として、蓄電池容量検出部223が、基地局20の蓄電池60から、蓄電池60の現在容量Wを取得する。さらに、ステップS44では、持続時間算出部205が、記憶部204から、蓄電池60の最大容量WFULLを取得する。その後、持続時間算出部205では、整流器50からの出力電力P、蓄電池60の現在容量W、記憶部204から取得した蓄電池60の最大容量WFULLを用いて、蓄電池60へ充電可能な持続時間Tを算出する。持続時間とは、現在の出力電力Pに基づいて蓄電池60への充電を行った場合、蓄電池60の容量が最大容量となるまでの所要時間を算出したものである。したがって、持続時間Tは以下の数式によって算出することができる。
T=(WFULL-W)/P
【0080】
なお、ステップS42~S44の計算は、基地局20毎に行われる。すなわち、持続時間Tは基地局20毎に算出される。
【0081】
次に、ステップS45では、警報取得部228が各基地局20の状態として、故障の有無を確認する。すなわち、警報を発出している基地局20の有無を確認し、警報を発出している基地局20については故障していると判断する。なお、ステップS45では、併せて、基地局20の状態として、蓄電池電流・電圧・温度検出部231が、各基地局20における蓄電池60における電流・電圧・温度のデータを取得し、蓄電池故障予測部232において蓄電池60の故障の発生可能性を予測する。この結果、DR要請に応答する制御を行う期間またはその近傍で故障が発生すると予測される蓄電池60がある場合には、蓄電池故障予測部232は、その蓄電池60含む基地局20の情報を補正部233へ通知する。
【0082】
次に、ステップS46では、基地局選択部226において、制御に参加する基地局20を選択する。選択基準としては、DR制御が必要な時間帯に、充電制御を持続可能であって、且つ、故障が発生していない基地局20を特定する。その条件で、DR要請に応答可能となるように、各基地局20の出力電力を考慮して、制御対象の基地局20を選択する。下げDRの場合、節電制御が可能な基地局20群の節電可能量の合計がDR要請で指定される電力量を超える場合、基地局選択部206は候補となる基地局20から制御を行う基地局20を選択してもよい。
次に、ステップS47では、充放電余剰局検出部229により、充電余剰局があるかが確認される。充電余剰局がある場合(S47-YES)、ステップS48として、DRスケジュール管理部230において、蓄電池故障予測部232から補正部233へ送信された、故障の可能性がある基地局20が、DR制御の対象として選択されているか確認する。このとき、故障の可能性がある基地局20が、DR制御の対象として選択されている場合(S48-YES)、ステップS49として、故障の可能性がある基地局20がDR制御の対象として選択されている時間帯に、充電可能な充電余剰局もDR制御の対象として選択されているか(充電動作時間帯が重複するか)を確認する。故障の可能性がある基地局20がDR制御の対象として選択されている時間帯に、充電可能な放電余剰局はDR制御の対象として選択されていない場合には(S49-NO)、ステップS50として補正部233は補正スケジュールを作成する。具体的には、補正部233は、当該充電余剰局が基地局20が故障した場合の充電量の不足を賄うことが可能であるとして、基地局20故障時に適用するスケジュールを作成する。なお、充電余剰局がない場合(S47-NO)、故障の可能性がある基地局20が、DR制御の対象として選択されていない場合(S48-NO)、及び、故障の可能性がある基地局20がDR制御の対象として選択されている時間帯に、充電可能な充電余剰局もDR制御の対象として選択されている場合には(S49-YES)、補正スケジュールの作成(S50)は行わない。
【0083】
次に、ステップS51として、充放電決定部227から対象の各基地局20に充電指令が送信される。各基地局20では、所定の時間になると蓄電池60からの充電動作が行われる。蓄電池60からの充電については、HEMS40の指示に基づいて整流器電圧VRF(例:52V)を蓄電池電圧VLIB(例:48V)より高く設定することによって行われる。
【0084】
充電動作を行っている間は、ステップS52として、警報取得部228によって基地局20の故障が発生していないか監視が行われる。このとき、故障の発生が予測された基地局20において故障が発生した場合(S52-YES)、補正部233は、補正スケジュールによって特定された充電余剰局(補正局)に対して、充電指令を行う。この結果、充電余剰局においても、HEMS40の指示に基づいて整流器電圧VRF(例:52V)を蓄電池電圧VLIB(例:48V)より高く設定する。この結果、故障が発生した基地局20に代えて、充電余剰局が充電を行うことで、DR要請に対する応答動作を継続することができる。
【0085】
(作用)
上記の電力制御システム1は、負荷である通信装置70、整流器50及び蓄電池60を含む複数の需要家である複数の基地局20と、複数の需要家における整流器50及び蓄電池60を制御する制御部2(または制御部2A)と、を有し、複数の需要家の少なくとも一部において、蓄電池60を利用した特定の電力制御を行う。このときに、制御部2は、複数の需要家のそれぞれにおいて、蓄電池60の故障に関係する状態を推定し、当該推定結果に基づいて、特定の電力制御の対象となる需要家を選択する。そして、選択した需要家において、蓄電池60からの充放電動作を行うことで、特定の電力制御を行う。
【0086】
電力制御システム1では、特定の電力制御を行う場合に、蓄電池60の故障に関係する状態を推定し、当該推定結果に基づいて、複数の需要家から電力制御を行う対象となる需要家が選択される。そして、選択した需要家において、蓄電池からの充放電動作を行うことで、特定の電力制御が行われる。したがって、複数の需要家における蓄電池60が故障する可能性を考慮しながら、特定の電力制御を行う対象となる需要家を選択し、電力制御を行うことが可能となる。電力制御を行う際に蓄電池60からの充放電動作が必要な場合、蓄電池60が故障していると所望の動作を行うことができない可能性がある。さらに、電力制御を開始した後に蓄電池60が故障する可能性もある。したがって、上記のように蓄電池60の故障に関係する状態を推定し、この情報を利用する構成とすることで、蓄電池60に故障が発生することで所望の動作が行えないケースを防ぐことができる。
【0087】
制御部2は、複数の需要家のそれぞれにおける整流器50の出力電力情報と、蓄電池60の現在容量情報とを取得し、これらの情報に基づいて、対象となる需要家を選択してもよい。
【0088】
上記の構成とすることで、特定の電力制御に対応可能であることに加えて、条件に適した需要家を適切に選択することが可能となる。
【0089】
制御部2は、複数の需要家のそれぞれにおいて、蓄電池60におけるバックアップ容量を確保した上で特定の電力制御が可能な需要家を対象となる需要家として選択し、特定の電力制御として、選択した需要家において蓄電池60からの放電動作を行う態様としてもよい。
【0090】
特定の電力制御として蓄電池60からの放電動作を行う場合に、バックアップ容量を確保することを条件として、電力制御に対応可能な需要家を選択する構成とすることで、電力制御として蓄電池60からの放電動作を行った結果バックアップ容量を超えて放電してしまうことが防がれる。
【0091】
制御部2は、複数の需要家のそれぞれにおいて、蓄電池に60おける最大容量を超えない範囲で、特定の電力制御が可能な需要家を対象となる需要家として選択し、特定の電力制御として、選択した需要家において蓄電池60における充電動作を行う態様としてもよい。
【0092】
特定の電力制御として蓄電池60への充電動作を行う場合に、最大容量を超える充電は基本的に不可能である。そこで、最大容量を考慮して電力制御に対応可能な需要家を選択する構成とすることで、電力制御として蓄電池60への充電動作を適切に行うことができる。
【0093】
制御部2は、故障中の蓄電池60を有する需要家は、特定の電力制御の対象となる需要家として選択しない態様としてもよい。
【0094】
上記の構成とすることで、故障中の蓄電池60を利用した充放電動作が行われることが防がれる。
【0095】
制御部2は、故障の発生が予測される蓄電池60を有する需要家は、前記特定の電力制御の対象となる需要家として選択しない態様としてもよい。
【0096】
上記の構成とすることで、特定の電力制御を行っている間に蓄電池60が故障してしまい、所望の電力制御ができなくなる状態が発生することを防ぐことができる。
【0097】
制御部2は、特定の電力制御の対象となる需要家として、故障の発生が予測される蓄電池60を有する需要家を選択すると共に、余剰需要家として、特定の電力制御とは別に同様の電力制御を行うことが可能な需要家を選択してもよい。このとき、特定の電力制御を行っている途中で故障の発生が予測される蓄電池60に故障が発生した際に、故障した蓄電池60を有する需要家に代えて、余剰需要家の蓄電池60において、特定の電力制御に係る充放電動作を行う態様としてもよい。
【0098】
上記のように、故障の発生が予測される蓄電池60を有する需要家についても特定の電力制御の対象となる需要家として選択可能な構成とした場合、特定の電力制御の対象となる需要家の選択肢が広がることから、より多くの電力制御を行うことが可能となると考えられる。一方、故障の発生が予測される蓄電池60が電力制御中に故障した場合には、余剰需要家の蓄電池60が代わりに充放電動作を行う構成とされているため、予測通りに蓄電池60が故障した場合であっても、特定の電力制御を適切に行うことができる。
【0099】
特定の電力制御は、デマンドレスポンス要請に応答するための電力制御であってもよい。デマンドレスポンス要請に応答するための電力制御の場合、蓄電池60の故障等に由来して特定の電力制御を完遂できない場合には、インセンティブの減少につながる。そこで、特定の電力制御を完遂できるように、上記の構成を有することで、デマンドレスポンス要請への応答をより適切に行うことができる。
【0100】
なお、特定の電力制御は、デマンドレスポンス要請への応答には限定されない。例えば、商用電源90からの電力供給が適切に行えない等の理由により、需要家における節電が要求される場合や、電力需要の平滑化等を目的とした充放電要請が行われる場合等に応じるための電力制御も、特定の電力制御になり得る。
【0101】
電力制御システム1は、技術分野として、無線基地局の直流電力制御技術にも関するものである。
【0102】
上述の電力制御システム1及び電力制御方法の別側面として、それぞれ以下に示す(整流器と蓄電池を備えた)分散型電源システム又は電力制御方法が挙げられる。
【0103】
[項目1]
整流器と蓄電池を備えた分散型電源システムにおいて、前記整流器と前記蓄電池を基地局毎に監視制御する制御部をもち、蓄電池の振る舞いを考慮して、制御に参加する基地局を選択することによりデマンドレスポンスに応答することを特徴とする分散型電源システム。
【0104】
[項目2]
項目1の分散型電源システムであり、整流器の出力電圧を調整することで、蓄電池の充放電量を調節することを特徴とする電力制御方法。
【0105】
[項目3]
項目1の分散型電源システムであり、整流器情報と蓄電池情報から基地局毎にデマンドレスポンスへの応答可能量を計算することで災害時のバックアップ容量を確保することを特徴とする電力制御方法。
【0106】
[項目4]
項目1の分散型電源システムであり、基地局の蓄電池情報から蓄電池の故障予測を行い、前記基地局のデマンドレスポンスへの応答可否を判定することを特徴とする電力制御方法。
【0107】
[項目5]
整流器と蓄電池を備えた分散型電源システムにおいて、前記整流器と前記蓄電池を基地局毎に監視制御する制御部をもち、蓄電池の故障予測に基づき、故障が予見される基地局に不測の事態が生じた際に、予め余力のある基地局で要請量の不足に備えることを特徴とする分散型電源システム。
【0108】
[項目6]
項目5の分散型電源システムであり、整流器の出力電圧を調整することで、蓄電池の充放電量を調節することを特徴とする電力制御方法。
【0109】
[項目7]
項目5の分散型電源システムであり、整流器情報と蓄電池情報から基地局毎にデマンドレスポンスへの応答可能量を計算することで災害時のバックアップ容量を確保することを特徴とする電力制御方法。
【0110】
[項目8]
項目5の分散型電源システムであり、基地局の蓄電池情報からデマンドレスポンスの発動時間中の蓄電池の故障を予見することを特徴とする電力制御方法。
【0111】
[項目9]
項目5の分散型電源システムであり、発動時間を越えて余剰に充放電が想定される基地局に対して、当該基地局の充放電スケジュールを参照して、蓄電池故障が予見される基地局の蓄電池の故障が発生したときに当該基地局を充放電することを特徴とする電力制御方法。
【0112】
(その他)
なお、上記実施形態の説明に用いたブロック図は、機能単位のブロックを示している。これらの機能ブロック(構成部)は、ハードウェア及びソフトウェアの少なくとも一方の任意の組み合わせによって実現される。また、各機能ブロックの実現方法は特に限定されない。すなわち、各機能ブロックは、物理的又は論理的に結合した1つの装置を用いて実現されてもよいし、物理的又は論理的に分離した2つ以上の装置を直接的又は間接的に(例えば、有線、無線などを用いて)接続し、これら複数の装置を用いて実現されてもよい。機能ブロックは、上記1つの装置又は上記複数の装置にソフトウェアを組み合わせて実現されてもよい。
【0113】
機能には、判断、決定、判定、計算、算出、処理、導出、調査、探索、確認、受信、送信、出力、アクセス、解決、選択、選定、確立、比較、想定、期待、見做し、報知(broadcasting)、通知(notifying)、通信(communicating)、転送(forwarding)、構成(configuring)、再構成(reconfiguring)、割り当て(allocating、mapping)、割り振り(assigning)などがあるが、これらに限られない。たとえば、送信を機能させる機能ブロック(構成部)は、送信部(transmitting unit)や送信機(transmitter)と呼称される。いずれも、上述したとおり、実現方法は特に限定されない。
【0114】
例えば、本開示の一実施の形態における電力制御システム1などは、本開示の電力制御方法の処理を行うコンピュータとして機能してもよい。
図7は、本開示の一実施の形態に係る電力制御システム1のハードウェア構成の一例を示す図である。上述の電力制御システム1は、物理的には、プロセッサC1、メモリC2、ストレージC3、通信装置C4、入力装置C5、出力装置C6、バスC7などを含むコンピュータ装置として構成されてもよい。
【0115】
なお、以下の説明では、「装置」という文言は、回路、デバイス、ユニットなどに読み替えることができる。制御部2,2A(サーバ10、HEMS40)のハードウェア構成は、
図7に示した各装置を1つ又は複数含むように構成されてもよいし、一部の装置を含まずに構成されてもよい。
【0116】
制御部2,2A(サーバ10、HEMS40)における各機能は、プロセッサC1、メモリC2などのハードウェア上に所定のソフトウェア(プログラム)を読み込ませることによって、プロセッサC1が演算を行い、通信装置C4による通信を制御したり、メモリC2及びストレージC3におけるデータの読み出し及び書き込みの少なくとも一方を制御したりすることによって実現される。
【0117】
プロセッサC1は、例えば、オペレーティングシステムを動作させてコンピュータ全体を制御する。プロセッサC1は、周辺装置とのインターフェース、制御装置、演算装置、レジスタなどを含む中央処理装置(CPU:Central Processing Unit)によって構成されてもよい。例えば、上述の制御部2,2Aに含まれる各部などは、プロセッサC1によって実現されてもよい。
【0118】
また、プロセッサC1は、プログラム(プログラムコード)、ソフトウェアモジュール、データなどを、ストレージC3及び通信装置C4の少なくとも一方からメモリC2に読み出し、これらに従って各種の処理を実行する。プログラムとしては、上述の実施の形態において説明した動作の少なくとも一部をコンピュータに実行させるプログラムが用いられる。例えば、上述の制御部2,2Aに含まれる各部は、メモリC2に格納され、プロセッサC1において動作する制御プログラムによって実現されてもよい。上述の各種処理は、1つのプロセッサC1によって実行される旨を説明してきたが、2以上のプロセッサC1により同時又は逐次に実行されてもよい。プロセッサC1は、1以上のチップによって実装されてもよい。なお、プログラムは、電気通信回線を介してネットワークから送信されてもよい。
【0119】
メモリC2は、コンピュータ読み取り可能な記録媒体であり、例えば、ROM(Read Only Memory)、EPROM(Erasable Programmable ROM)、EEPROM(Electrically Erasable Programmable ROM)、RAM(Random Access Memory)などの少なくとも1つによって構成されてもよい。メモリC2は、レジスタ、キャッシュ、メインメモリ(主記憶装置)などと呼ばれてもよい。メモリC2は、本開示の一実施の形態に係る無線通信方法を実施するために実行可能なプログラム(プログラムコード)、ソフトウェアモジュールなどを保存することができる。
【0120】
ストレージC3は、コンピュータ読み取り可能な記録媒体であり、例えば、CD-ROM(Compact Disc ROM)などの光ディスク、ハードディスクドライブ、フレキシブルディスク、光磁気ディスク(例えば、コンパクトディスク、デジタル多用途ディスク、Blu-ray(登録商標)ディスク)、スマートカード、フラッシュメモリ(例えば、カード、スティック、キードライブ)、フロッピー(登録商標)ディスク、磁気ストリップなどの少なくとも1つによって構成されてもよい。ストレージC3は、補助記憶装置と呼ばれてもよい。上述の記憶媒体は、例えば、メモリC2及びストレージC3の少なくとも一方を含むデータベース、サーバその他の適切な媒体であってもよい。
【0121】
通信装置C4は、有線ネットワーク及び無線ネットワークの少なくとも一方を介してコンピュータ間の通信を行うためのハードウェア(送受信デバイス)であり、例えばネットワークデバイス、ネットワークコントローラ、ネットワークカード、通信モジュールなどともいう。通信装置C4は、例えば周波数分割複信(FDD:Frequency Division Duplex)及び時分割複信(TDD:Time Division Duplex)の少なくとも一方を実現するために、高周波スイッチ、デュプレクサ、フィルタ、周波数シンセサイザなどを含んで構成されてもよい。例えば、上述の上述の制御部2,2Aに含まれる各部は、通信装置C4によって実現されてもよい。また、例えば、DR通信部11は、受信機能と送信機能とが、物理的に、または論理的に分離された実装がなされてもよい。
【0122】
入力装置C5は、外部からの入力を受け付ける入力デバイス(例えば、キーボード、マウス、マイクロフォン、スイッチ、ボタン、センサなど)である。出力装置C6は、外部への出力を実施する出力デバイス(例えば、ディスプレイ、スピーカー、LEDランプなど)である。なお、入力装置C5及び出力装置C6は、一体となった構成(例えば、タッチパネル)であってもよい。
【0123】
また、プロセッサC1、メモリC2などの各装置は、情報を通信するためのバスC7によって接続される。バスC7は、単一のバスを用いて構成されてもよいし、装置間ごとに異なるバスを用いて構成されてもよい。
【0124】
また、上述の制御部2,2Aは、マイクロプロセッサ、デジタル信号プロセッサ(DSP:Digital Signal Processor)、ASIC(Application Specific Integrated Circuit)、PLD(Programmable Logic Device)、FPGA(Field Programmable Gate Array)などのハードウェアを含んで構成されてもよく、当該ハードウェアにより、各機能ブロックの一部又は全てが実現されてもよい。例えば、プロセッサC1は、これらのハードウェアの少なくとも1つを用いて実装されてもよい。
【0125】
情報の通知は、本開示において説明した態様/実施形態に限られず、他の方法を用いて行われてもよい。
【0126】
本開示において説明した各態様/実施形態の処理手順、シーケンス、フローチャートなどは、矛盾の無い限り、順序を入れ替えてもよい。例えば、本開示において説明した方法については、例示的な順序を用いて様々なステップの要素を提示しており、提示した特定の順序に限定されない。
【0127】
入出力された情報等は特定の場所(例えば、メモリ)に保存されてもよいし、管理テーブルを用いて管理してもよい。入出力される情報等は、上書き、更新、又は追記され得る。出力された情報等は削除されてもよい。入力された情報等は他の装置へ送信されてもよい。
【0128】
判定は、1ビットで表される値(0か1か)によって行われてもよいし、真偽値(Boolean:true又はfalse)によって行われてもよいし、数値の比較(例えば、所定の値との比較)によって行われてもよい。
【0129】
本開示において説明した各態様/実施形態は単独で用いてもよいし、組み合わせて用いてもよいし、実行に伴って切り替えて用いてもよい。また、所定の情報の通知(例えば、「Xであること」の通知)は、明示的に行うものに限られず、暗黙的(例えば、当該所定の情報の通知を行わない)ことによって行われてもよい。
【0130】
以上、本開示について詳細に説明したが、当業者にとっては、本開示が本開示中に説明した実施形態に限定されるものではないということは明らかである。本開示は、請求の範囲の記載により定まる本開示の趣旨及び範囲を逸脱することなく修正及び変更態様として実施することができる。したがって、本開示の記載は、例示説明を目的とするものであり、本開示に対して何ら制限的な意味を有するものではない。
【0131】
ソフトウェアは、ソフトウェア、ファームウェア、ミドルウェア、マイクロコード、ハードウェア記述言語と呼ばれるか、他の名称で呼ばれるかを問わず、命令、命令セット、コード、コードセグメント、プログラムコード、プログラム、サブプログラム、ソフトウェアモジュール、アプリケーション、ソフトウェアアプリケーション、ソフトウェアパッケージ、ルーチン、サブルーチン、オブジェクト、実行可能ファイル、実行スレッド、手順、機能などを意味するよう広く解釈されるべきである。
【0132】
また、ソフトウェア、命令、情報などは、伝送媒体を介して送受信されてもよい。例えば、ソフトウェアが、有線技術(同軸ケーブル、光ファイバケーブル、ツイストペア、デジタル加入者回線(DSL:Digital Subscriber Line)など)及び無線技術(赤外線、マイクロ波など)の少なくとも一方を使用してウェブサイト、サーバ、又は他のリモートソースから送信される場合、これらの有線技術及び無線技術の少なくとも一方は、伝送媒体の定義内に含まれる。
【0133】
本開示において説明した情報、信号などは、様々な異なる技術のいずれかを使用して表されてもよい。例えば、上記の説明全体に渡って言及され得るデータ、命令、コマンド、情報、信号、ビット、シンボル、チップなどは、電圧、電流、電磁波、磁界若しくは磁性粒子、光場若しくは光子、又はこれらの任意の組み合わせによって表されてもよい。
【0134】
なお、本開示において説明した用語及び本開示の理解に必要な用語については、同一の又は類似する意味を有する用語と置き換えてもよい。
【0135】
本開示において使用する「システム」及び「ネットワーク」という用語は、互換的に使用される。
【0136】
また、本開示において説明した情報、パラメータなどは、絶対値を用いて表されてもよいし、所定の値からの相対値を用いて表されてもよいし、対応する別の情報を用いて表されてもよい。例えば、無線リソースはインデックスによって指示されるものであってもよい。
【0137】
上述したパラメータに使用する名称はいかなる点においても限定的な名称ではない。さらに、これらのパラメータを使用する数式等は、本開示で明示的に開示したものと異なる場合もある。様々な情報要素は、あらゆる好適な名称によって識別できるので、これらの様々な情報要素に割り当てている様々な名称は、いかなる点においても限定的な名称ではない。
【0138】
本開示においては、「基地局(BS:Base Station)」、「無線基地局」、「固定局(fixed station)」、「NodeB」、「eNodeB(eNB)」、「gNodeB(gNB)」、「アクセスポイント(access point)」、「送信ポイント(transmission point)」、「受信ポイント(reception point)、「送受信ポイント(transmission/reception point)」、「セル」、「セクタ」、「セルグループ」、「キャリア」、「コンポーネントキャリア」などの用語は、互換的に使用され得る。基地局は、マクロセル、スモールセル、フェムトセル、ピコセルなどの用語で呼ばれる場合もある。
【0139】
本開示で使用する「判断(determining)」、「決定(determining)」という用語は、多種多様な動作を包含する場合がある。「判断」、「決定」は、例えば、判定(judging)、計算(calculating)、算出(computing)、処理(processing)、導出(deriving)、調査(investigating)、探索(looking up、search、inquiry)(例えば、テーブル、データベース又は別のデータ構造での探索)、確認(ascertaining)した事を「判断」「決定」したとみなす事などを含み得る。また、「判断」、「決定」は、受信(receiving)(例えば、情報を受信すること)、送信(transmitting)(例えば、情報を送信すること)、入力(input)、出力(output)、アクセス(accessing)(例えば、メモリ中のデータにアクセスすること)した事を「判断」「決定」したとみなす事などを含み得る。また、「判断」、「決定」は、解決(resolving)、選択(selecting)、選定(choosing)、確立(establishing)、比較(comparing)などした事を「判断」「決定」したとみなす事を含み得る。つまり、「判断」「決定」は、何らかの動作を「判断」「決定」したとみなす事を含み得る。また、「判断(決定)」は、「想定する(assuming)」、「期待する(expecting)」、「みなす(considering)」などで読み替えられてもよい。
【0140】
「接続された(connected)」、「結合された(coupled)」という用語、又はこれらのあらゆる変形は、2又はそれ以上の要素間の直接的又は間接的なあらゆる接続又は結合を意味し、互いに「接続」又は「結合」された2つの要素間に1又はそれ以上の中間要素が存在することを含むことができる。要素間の結合又は接続は、物理的なものであっても、論理的なものであっても、或いはこれらの組み合わせであってもよい。例えば、「接続」は「アクセス」で読み替えられてもよい。本開示で使用する場合、2つの要素は、1又はそれ以上の電線、ケーブル及びプリント電気接続の少なくとも一つを用いて、並びにいくつかの非限定的かつ非包括的な例として、無線周波数領域、マイクロ波領域及び光(可視及び不可視の両方)領域の波長を有する電磁エネルギーなどを用いて、互いに「接続」又は「結合」されると考えることができる。
【0141】
本開示において使用する「に基づいて」という記載は、別段に明記されていない限り、「のみに基づいて」を意味しない。言い換えれば、「に基づいて」という記載は、「のみに基づいて」と「に少なくとも基づいて」の両方を意味する。
【0142】
本開示において使用する「第一」、「第二」などの呼称を使用した要素へのいかなる参照も、それらの要素の量又は順序を全般的に限定しない。これらの呼称は、2つ以上の要素間を区別する便利な方法として本開示において使用され得る。したがって、第一及び第二の要素への参照は、2つの要素のみが採用され得ること、又は何らかの形で第一の要素が第二の要素に先行しなければならないことを意味しない。
【0143】
上記の各装置の構成における「手段」を、「部」、「回路」、「デバイス」等に置き換えてもよい。
【0144】
本開示において、「含む(include)」、「含んでいる(including)」及びそれらの変形が使用されている場合、これらの用語は、用語「備える(comprising)」と同様に、包括的であることが意図される。さらに、本開示において使用されている用語「又は(or)」は、排他的論理和ではないことが意図される。
【0145】
本開示において、例えば、英語でのa、an及びtheのように、翻訳により冠詞が追加された場合、本開示は、これらの冠詞の後に続く名詞が複数形であることを含んでもよい。
【0146】
本開示において、「AとBが異なる」という用語は、「AとBが互いに異なる」ことを意味してもよい。なお、当該用語は、「AとBがそれぞれCと異なる」ことを意味してもよい。「離れる」、「結合される」などの用語も、「異なる」と同様に解釈されてもよい。
【符号の説明】
【0147】
1…電力制御システム、2,2A…制御部、10…サーバ、20…基地局、21…充放電制御部、22…基地局選択部、23…リソース情報管理部、24…状態監視部、25…蓄電池故障予測部、30…スマートメータ、40…HEMS、50…整流器、60…蓄電池、70…通信装置、80…電圧センサ、90…商用電源、201…DR通信部、202…放電電力検出部、203…蓄電池容量検出部、204…記憶部、205…持続時間算出部、206…基地局選択部、207…充放電決定部、208…基地局状態監視部、209…警報取得部、210…温度検出部、211…蓄電池故障予測部、221…DR通信部、222…放電電力検出部、223…蓄電池容量検出部、224…記憶部、225…持続時間算出部、226…基地局選択部、227…充放電決定部、228…警報取得部、229…充放電余剰局検出部、230…DRスケジュール管理部、231…温度検出部、232…蓄電池故障予測部、233…補正部。