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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024167496
(43)【公開日】2024-12-04
(54)【発明の名称】吸収性物品収納体
(51)【国際特許分類】
   B65D 85/07 20170101AFI20241127BHJP
   A61F 13/15 20060101ALI20241127BHJP
   A61F 13/472 20060101ALI20241127BHJP
   B65D 83/08 20060101ALI20241127BHJP
【FI】
B65D85/07
A61F13/15 220
A61F13/472 200
B65D83/08 G
【審査請求】未請求
【請求項の数】6
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023083597
(22)【出願日】2023-05-22
(71)【出願人】
【識別番号】000183462
【氏名又は名称】日本製紙クレシア株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002871
【氏名又は名称】弁理士法人坂本国際特許商標事務所
(72)【発明者】
【氏名】葭葉 椋子
【テーマコード(参考)】
3B200
3E014
3E068
【Fターム(参考)】
3B200CA11
3B200EA18
3E014MC07
3E068AA40
3E068AB02
3E068AB03
3E068BB09
3E068BB12
3E068BB16
3E068CC22
3E068CE03
3E068DD08
3E068DD19
3E068DD27
3E068DD31
3E068DE03
3E068DE06
3E068DE11
3E068DE12
3E068DE13
3E068DE15
3E068EE13
3E068EE22
3E068EE25
3E068EE32
(57)【要約】
【課題】吸収性物品であることを認識され難く、かつ肌を衛生的に保つことが可能な吸収性物品収納体を提供する。
【解決手段】本開示に係る吸収性物品収納体10は、袋長手方向の両側に2つの収納空間21,22を区画する包装体20と、第1の収納空間21に収納される複数の吸収性物品30と、第2の収納空間22に収納される複数のウェットシート40と、包装体20に支持される蓋部50と、を備え、包装体20のうち2つの収納空間21,22の袋厚み方向の一側を区画する上面部20aは、第1の収納空間21の吸収性物品30を取り出し可能な第1の取出口24と、第2の収納空間22のウェットシート40を取り出し可能な第2の取出口25と、を有し、蓋部50は、包装体20の上面部20aに対して再粘着可能な粘着部を有し、シート状に形成され、第1の取出口24及び第2の取出口25は、蓋部50に開放可能に閉止される。
【選択図】図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1方向の両側に2つの収納空間を区画する包装体と、
前記2つの収納空間のうちの第1の収納空間に収納される複数の吸収性物品と、
前記2つの収納空間のうちの第2の収納空間に収納される複数のウェットシートと、
前記包装体に支持される蓋部と、を備え、
前記包装体のうち前記2つの収納空間の前記第1方向と交叉する第2方向の一側を区画する一側面部は、前記第1の収納空間に連通して前記第1の収納空間の前記吸収性物品を取り出し可能な第1の取出口と、前記第2の収納空間に連通して前記第2の収納空間の前記ウェットシートを取り出し可能な第2の取出口と、を有し、
前記蓋部は、前記包装体の前記一側面部に対して再粘着可能な粘着部を有し、シート状に形成され、
前記第1の取出口及び前記第2の取出口は、前記蓋部に開放可能に閉止される
ことを特徴とする吸収性物品収納体。
【請求項2】
前記第1の取出口及び前記第2の取出口の最大部分の長さは、30mm以上60mm以下である
ことを特徴とする請求項1に記載の吸収性物品収納体。
【請求項3】
前記吸収性物品は、液透過性のトップシートと、液不透過性のバックシートと、前記トップシートと前記バックシートとの間に配置される吸収体と、前記バックシートの非肌側面に設けられる粘着層と、前記粘着層の全域を覆う剥離可能な剥離シートと、を有する
ことを特徴とする請求項1又は請求項2に記載の吸収性物品収納体。
【請求項4】
前記吸収性物品の長手方向の寸法は、100mm以上250mm以下であり、
前記吸収性物品の幅方向の寸法は、30mm以上100mm以下であり、
前記吸収性物品の厚み方向の寸法は、1mm以上5mm以下であり、
前記吸収性物品は、2つ折りに折り畳んだ状態で前記第1の収納空間に収納され、
2つ折りに折り畳んだ状態の前記吸収性物品の厚み方向の寸法は、2mm以上20mm以下である
ことを特徴とする請求項1又は請求項2に記載の吸収性物品収納体。
【請求項5】
前記ウェットシートは、水洗トイレに流して廃棄処理可能な水解性を有する
ことを特徴とする請求項1又は請求項2に記載の吸収性物品収納体。
【請求項6】
前記蓋部のうち前記包装体に支持される基端とは反対側の先端部には、前記基端から離間する方向へ突出する凸部が設けられる
ことを特徴とする請求項1又は請求項2に記載の吸収性物品収納体。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、吸収性物品を収納する吸収性物品収納体に関する。
【背景技術】
【0002】
ナプキン類を使用している場合、血液や尿などの体液によって肌が汚染される場合が多い。そのうえ、ナプキンと肌との間は蒸れ易く、肌が荒れ易い環境になる。好ましくは、肌の汚染を丁寧にいち早く取り除く必要がある。
【0003】
ナプキン類は外出先でも使うものであるが、体調により必要な日とそうでない日があるため、日常的に持ち歩いていない場合もあり、持ってくることを忘れてしまう可能性がある。
【0004】
従来の一般的な形状のナプキン類の個包装姿は、一目でナプキンであると分かってしまい易い見た目をしている。そのため、多くの場合ナプキンをポーチに入れるなどして人目につかないように持ち運ぶ必要があり、必要なときに気軽にさっと取り出して持ち運ぶことができない。また、災害時などに必要な人に配る際にも、それを見た製品をよく知らない人のイメージや偏見によって、消費者が心理的に傷つけられたり、間違えたイメージを抱かれたりすることもある。
【0005】
特許文献1には、外観をカムフラージュすることが可能な包装生理用ナプキンが開示されている。この包装生理用ナプキンは、ナプキン本体と、これを3つ折りに畳んだ状態で包装した包装シートと、これらの間に介挿された縦横2枚の剥離フィルムとで構成されている。バックシートの下面には、その全体にバランス良く配置された状態に、絵柄が多数印刷されている。絵柄は、比較的大柄の葉や蔓性草花をデザインした形の絵柄であり、緑色やオレンジ色などでカラー印刷してある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2003-199786号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
特許文献1に記載の包装生理用ナプキン(吸収性物品)では、使用前の状態において、生理用ナプキンであるとは分からないよう外観をカムフラージュするために、バックシートに絵柄を設けているが、形状は生理用ナプキンの個包装のままであり、見る人によっては生理用ナプキンであると認識されてしまう可能性がある。また、体液によって肌が汚染された際の衛生面については考慮されていない。
【0008】
そこで、本開示は、吸収性物品であることを認識され難く、かつ肌を衛生的に保つことが可能な吸収性物品収納体の提供を目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記課題を解決するため、本発明の第1の態様の吸収性物品収納体は、第1方向の両側に2つの収納空間を区画する包装体と、前記2つの収納空間のうちの第1の収納空間に収納される複数の吸収性物品と、前記2つの収納空間のうちの第2の収納空間に収納される複数のウェットシートと、前記包装体に支持される蓋部と、を備え、前記包装体のうち前記2つの収納空間の前記第1方向と交叉する第2方向の一側を区画する一側面部は、前記第1の収納空間に連通して前記第1の収納空間の前記吸収性物品を取り出し可能な第1の取出口と、前記第2の収納空間に連通して前記第2の収納空間の前記ウェットシートを取り出し可能な第2の取出口と、を有し、前記蓋部は、前記包装体の前記一側面部に対して再粘着可能な粘着部を有し、シート状に形成され、前記第1の取出口及び前記第2の取出口は、前記蓋部に開放可能に閉止される。
【0010】
本発明の第2の態様は、上記第1の態様の吸収性物品収納体であって、前記第1の取出口及び前記第2の取出口の最大部分の長さは、30mm以上60mm以下である。
【0011】
本発明の第3の態様は、上記第1の態様又は上記第2の態様の吸収性物品収納体であって、前記吸収性物品は、液透過性のトップシートと、液不透過性のバックシートと、前記トップシートと前記バックシートとの間に配置される吸収体と、前記バックシートの非肌側面に設けられる粘着層と、前記粘着層の全域を覆う剥離可能な剥離シートと、を有する。
【0012】
本発明の第4の態様は、上記第1の態様又は上記第2の態様の吸収性物品収納体であって、前記吸収性物品の長手方向の寸法は、100mm以上250mm以下であり、前記吸収性物品の幅方向の寸法は、30mm以上100mm以下であり、前記吸収性物品の厚み方向の寸法は、1mm以上5mm以下であり、前記吸収性物品は、2つ折りに折り畳んだ状態で前記第1の収納空間に収納され、2つ折りに折り畳んだ状態の前記吸収性物品の厚み方向の寸法は、2mm以上20mm以下である。
【0013】
本発明の第5の態様は、上記第1の態様又は上記第2の態様の吸収性物品収納体であって、前記ウェットシートは、水洗トイレに流して廃棄処理可能な水解性を有する。
【0014】
本発明の第6の態様は、上記第1の態様又は上記第2の態様の吸収性物品収納体であって、前記蓋部のうち前記包装体に支持される基端とは反対側の先端部には、前記基端から離間する方向へ突出する凸部が設けられる。
【発明の効果】
【0015】
本開示によれば、吸収性物品であることを認識され難く、かつ肌を衛生的に保つことが可能な吸収性物品収納体を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
図1】本発明の一実施形態に係る吸収性物品収納体の上方からの平面図である。
図2図1のII-II矢視断面図である。
図3】吸収性物品収納体の斜視図であって、一方の蓋部を開放している状態を示す。
図4】吸収性物品の肌側からの平面図である。
図5図4のV-V矢視断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
以下、図面を参照しつつ、本発明の一実施形態に係る吸収性物品収納体について説明する。
【0018】
本明細書において、「袋長手方向」とは、包装体の長手の方向を意味し、本開示における第1方向に対応し、図中の矢印Xに沿った方向である。また、「袋幅方向」とは、包装体の短手の方向を意味し、袋長手方向と交叉(直交)する方向であり、図中の矢印Yに沿った方向である。また、「袋厚み方向」とは、袋長手方向及び袋幅方向の双方を交叉(直交)する方向であり、本開示における第2方向に対応し、図中の矢印Zに沿った方向である。また、吸収性物品の着用とは、体液の吸収前、吸収時、及び吸収後を問わず、身体に装着した状態を意味する。また、吸収性物品の「長手方向」とは、吸収性物品の長手の方向を意味し、図中の矢印Aに沿った方向である。また、吸収性物品の「幅方向」とは、吸収性物品の短手の方向を意味し、長手方向と交叉(直交)する方向であり、図中の矢印Bに沿った方向である。また、吸収性物品の「厚み方向」とは、各構成部材を積層する方向をいい、図中の矢印Cに沿った方向を意味する。また、「肌側」とは、厚み方向のうち吸収性物品を着用した際に着用者の身体に向かう方向を意味し、図中の矢印Cが向く方向である。また、「非肌側」とは、厚み方向のうち肌側とは反対の方向を意味し、図中の矢印Cが向く方向とは反対側の方向である。また、体液とは、尿や血液、軟便中の水分等の体内から体外に排出された液体をいう。
【0019】
図1は、本発明の一実施形態に係る吸収性物品収納体の上方からの平面図である。図2は、図1のII-II矢視断面図である。図3は、吸収性物品収納体の斜視図であって、一方の蓋部を開放している状態を示す。図4は、吸収性物品の肌側からの平面図である。図5は、図4のV-V矢視断面図である。
【0020】
[吸収性物品収納体]
図1図3に示すように、本実施形態に係る吸収性物品収納体10は、包装体20と、複数の吸収性物品30と、複数のウェットシート40と、包装体20に支持される蓋部50と、を備える。なお、以下の説明では、袋厚み方向(矢印Zに沿う方向)を上下方向とし、矢印Zが指し示す方向を「上方」として説明する。
【0021】
(包装体)
図1図3に示すように、包装体20は、複数の吸収性物品30及び複数のウェットシート40を収納する部材であって、防水性を有するシート状の部材(例えば、樹脂フィルム)によって複数の吸収性物品30及び複数のウェットシート40を包んだ袋状に形成される。
【0022】
本実施形態の包装体20は、防水性を有するシート状の部材を筒状に形成し、その内部に複数の吸収性物品30及び複数のウェットシート40を配置した状態で、袋長手方向(第1方向)の両側の開口をシールすることによって、複数の吸収性物品30及び複数のウェットシート40を包んだ袋状に形成される。包装体20は、その内部空間の上方(第2方向の一側)を区画する上面部(一側面部)20aと、内部空間の下方を区画する下面部20bと、内部空間の袋幅方向の両側を区画する側面部20cとを有する。
【0023】
包装体20の下面部20bの袋長手方向の中央部は、上面部20aに対して袋幅方向に沿って直線状に固着される。このように、包装体20は、袋長手方向の中央部にシール部23を有しており、シール部23によって袋長手方向の両側に2つの収納空間21,22を区画している。包装体20の上面部20aは、略平らな形状となっており、下面部20bは、袋長手方向の略中央部が袋幅方向に沿って上方へ持ち上がった形状となっている。包装体20の下面部20bを上面部20aに対して固着する方法は、特に限定されるものではないが、例えば、熱融着、または超音波融着、もしくは接着剤等による固着が挙げられる。
【0024】
包装体20の2つの収納空間21,22のうち、袋長手方向の一側に配置される第1の収納空間21には、複数の吸収性物品30が収納され、袋長手方向の他側に配置される第2の収納空間22には、複数のウェットシート40が収納される。
【0025】
包装体20の上面部20aには、2つの取出口24,25が形成される。2つの取出口24,25のうちの第1の取出口24は、第1の収納空間21に収納された吸収性物品30を取り出し可能な開口であって、上面部20aのうちシール部23よりも袋長手方向の一側に配置され、第1の収納空間21に連通する。2つの取出口24,25のうちの第2の取出口25は、第2の収納空間22に収納されたウェットシート40を取り出し可能な開口であって、上面部20aのうちシール部23よりも袋長手方向の他側に配置され、第2の収納空間22に連通する。すなわち、包装体20の上面部(一側面部)20aは、第1の収納空間21に連通して第1の収納空間21の吸収性物品30を取り出し可能な第1の取出口24と、第2の収納空間22に連通して第2の収納空間22のウェットシート40を取り出し可能な第2の取出口25とを有する。
【0026】
第1の取出口24及び第2の取出口25の形状は、吸収性物品30及びウェットシート40を取り出し可能であれば、特に限定されるものではない。例えば、第1の取出口24及び第2の取出口25は、上面部20aの所定の領域を切り抜いた開口であってもよいし、或いは、切り込み(スリット)であってもよい。また、第1の取出口24及び第2の取出口25の長尺となる方向(切り抜いた開口又は切り込みが延びる方向)も、特に限定されるものではない。本実施形態では、第1の取出口24及び第2の取出口25を、上面部20aの所定の領域を袋幅方向に長尺に矩形状に切り抜いた開口としている。
【0027】
第1の取出口24及び第2の取出口25の最大長さ(最大部分の長さ)L1,L2は、30mm以上60mm以下であることが好ましい。第1の取出口24及び第2の取出口25の寸法を上記範囲内に設定することによって、吸収性物品30及びウェットシート40を取り出し易く、かつ大きさを抑えた取出口にすることができる。なお、本実施形態では、第1の取出口24及び第2の取出口25を袋幅方向に長尺にしているので、その最大長さL1,L2は、袋幅方向の長さとなるが、例えば第1の取出口24及び第2の取出口25を袋長手方向に長尺にした場合には、その最大長さL1,L2は、袋長手方向の長さとなる。
【0028】
(吸収性物品)
吸収性物品30は、体液を吸収するための物品であって、例えば、生理用ナプキンが挙げられる。図4及び図5に示すように、吸収性物品30は、液透過性のトップシート31と、液不透過性のバックシート32と、トップシート31とバックシート32との間に配置される吸収体33と、バックシート32の非肌側面に設けられる粘着層34と、粘着層34の全域を覆う剥離可能な剥離シート35とを有する。吸収性物品30の形状は、特に限定されるものではないが、例えば、略矩形型や小判型等が挙げられる。なお、吸収性物品30に、吸収体33を包むカバーシートや立体ギャザー等の他のシートを設けてもよいが、包装体20の第1の収納空間21に複数収納可能なコンパクトな吸収性物品30を得るためには、他のシートを設けないことが好ましい。また、吸収性物品30は、生理用ナプキンに限定されるものではなく、例えば、軽失禁用製品等のパッド状の他の吸収性物品であってもよい。
【0029】
吸収性物品30の長手方向の長さL3は、100mm以上250mm以下であることが好ましい。吸収性物品30の幅方向の長さWは、30mm以上100mm以下であることが好ましい。吸収性物品30の厚み方向の長さT1は、1mm以上5mm以下であることが好ましい。吸収性物品30の寸法を上記範囲に設定することにより、包装体20の第1の収納空間21に複数収納可能なコンパクトな吸収性物品30を得ることができる。
【0030】
(トップシート)
トップシート31は、着用時に肌側に位置するシートであって、吸収体33に向けて体液を速やかに通過させて吸収体33の面方向に体液を拡散させる液透過性のシート状基材である。トップシート31は、吸収体33を挟んで、バックシート32に対向して配置される。トップシート31は、着用者の肌に直接当接してもよいように、柔らかな感触で、肌に刺激を与えない基材が好ましい。基材の一例としては、例えば、エアスルー不織布、サーマルボンド不織布、スパンボンド不織布等の不織布、開口ポリエチレンフィルム等の開口性フィルム、ポリエチレンフォーム、ウレタンフォーム等の発泡フィルム、これらの2種以上を積層した複層シート等が挙げられる。
【0031】
トップシート31には、液透過性を向上させるために、表面にエンボス加工や穿孔加工を施してもよい。これらのエンボス加工や穿孔加工を施すための方法としては、公知の方法を制限なく実施することができる。また、肌への刺激を低減させるため、トップシート31には、ローション、酸化防止剤、抗炎症成分、pH調整剤、抗菌剤、保湿剤等を含有させてもよい。
【0032】
(バックシート)
バックシート32は、着用時に非肌側に位置するシートであって、吸収体33が保持する体液が着用者の衣類を濡らさないような液不透過性を備えた基材を用いて形成されればよく、該基材としては、例えば、樹脂フィルム、樹脂フィルムと不織布との積層体である複合シート等が挙げられる。複合シートに用いられる不織布としては、製法を特に限定せず、例えば、スパンボンド不織布、メルトブロー不織布等の単層不織布、スパンボンド不織布/メルトブロー不織布積層体、スパンボンド不織布/メルトブロー不織布/スパンボンド不織布積層体等の複合不織布、これらの複合材料等が挙げられる。また、樹脂フィルムとしては、例えば、ポリエステル、ポリビニルアルコール、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリエチレンとポリプロピレンの複合フィルム等が挙げられる。バックシート32は、通気性を備えていることが好ましい。バックシート32に通気性を備えさせるためには、例えば、基材の樹脂フィルムにフィラーを配合したり、バックシート32にエンボス加工を施したりすればよい。なお、フィラーとしては炭酸カルシウムを挙げることができ、その配合方法は、公知の方法を制限なく行うことができる。
【0033】
(吸収体)
吸収体33としては、例えば、吸収性繊維と高吸収性ポリマー(以下、「SAP」という場合がある。)とを含むフラッフ吸収体や、液吸収性シート間にSAP粒子を固着したSAPシートが挙げられる。
【0034】
吸収性繊維は、一般に生理用ナプキンや紙おむつ、尿取りパッド等の吸収性物品に使用されるものであれば特に制限はなく、例えば、フラッフパルプ、コットン、レーヨン、アセテート、ティシュー、吸収紙、親水性不織布等を挙げることができる。フラッフパルプとしては、木材パルプ(例えば、サウザンパインやダグラスファー等の針葉樹晒クラフトパルプ(N-BKP))、合成繊維、樹脂繊維、非木材パルプ等を綿状に解繊したものを挙げることができる。また、液吸収性シートとしては、上記吸収性繊維の1種又は2種以上から構成されるシートが挙げられる。
【0035】
高吸収性ポリマーとしては、体液を吸収し、かつ、逆流を防止できるものであれば特に制限はなく、ポリアクリル酸塩、ポリアスパラギン酸塩、(デンプン-アクリル酸)グラフト共重合体、(アクリル酸-ビニルアルコール)共重合体、(イソブチレン-無水マレイン酸)共重合体及びそのケン化物等が挙げられる。これらの中でも、重量当たりの吸収量の観点から、ポリアクリル酸塩が好ましく、ポリアクリル酸アルカリ金属塩がより好ましく、ポリアクリル酸ナトリウムが更に好ましい。高吸収性ポリマーは、1種を単独で又は2種以上を組み合わせて使用できる。
【0036】
(粘着層)
図5に示すように、粘着層34は、吸収性物品30を着用者の下着等に対して取り付け可能な粘着力を有し、バックシート32の非肌側面に設けられる。例えば、長手方向に沿って延びて幅方向に互いに離間する複数の粘着層34を、バックシート32の非肌側面に設けてもよい。或いは、粘着層34を、バックシート32の非肌側面の略全域に設けてもよい。粘着層34を構成する粘着剤については、公知の材料(例えば、ホットメルト接着剤)を用いることができる。
【0037】
(剥離シート)
剥離シート35は、粘着層34を保護するためのシートであって、バックシート32の非肌側面の粘着層34に対して剥離可能に接着される。剥離シート35の基材としては、例えば、不織布、樹脂フィルム、紙、又はこれらの2種以上の積層体等が挙げられる。剥離シート35のうち粘着層34に対して接着される一方の面には、シリコーン系剥離剤又はフッ素系剥離剤等の剥離剤が塗布されることが好ましい。
【0038】
図2に示すように、複数の吸収性物品30は、包装体20の第1の収納空間21に上下に積層されて収納されている。複数の吸収性物品30の収納態様は、特に限定されるものではないが、本実施形態では、トップシート31側を内側にして2つ折りに折り畳んだ状態で上下に積層されて第1の収納空間21に収納される。2つ折りに折り畳んだ状態の吸収性物品30の厚み方向の寸法T2は、2mm以上20mm以下であることが好ましい。これにより、包装体20の第1の収納空間21に収納される吸収性物品30の収納枚数を多くすることができる。なお、図2には、4つの吸収性物品30を包装体20の第1の収納空間21に収納している状態を図示しているが、これに限定されるものではなく、少なくとも2つ以上の吸収性物品30を包装体20の第1の収納空間21に収納していればよい。
【0039】
(ウェットシート)
ウェットシート40は、人体の汚れ等を拭き取り可能なシートであって、例えば、基材に薬液を含浸させたものを使用できる。基材としては、水洗トイレに流して廃棄処理可能な水解性を有するものが好ましく、例えば、ティシュー、スパンレース(パルプレーヨンスパンレース)等の水解性不織布等が挙げられる。薬液としては、例えば、エタノール等のアルコール類、除菌剤、抗菌剤、メントール等の清涼剤、水等が挙げられる。ウェットシート40は、人体への影響が少ない、安全で刺激性の低いものが好ましい。
【0040】
複数のウェットシート40は、第2の取出口25から取り出し可能に上下に積層されて包装体20の第2の収納空間22に収納される。複数のウェットシート40は、第2の取出口25からポップアップ式に取り出し可能に積層されてもよい。
【0041】
(蓋部)
図1図3に示すように、蓋部50は、再粘着可能な粘着部51を有し、シート状に形成され、包装体20に支持される。本実施形態の吸収性物品収納体10には、袋長手方向の両側に配置される2つの蓋部50が設けられる。
【0042】
2つの蓋部50は、包装体20の上面部20aのシール部23を中心として袋長手方向に対称的に設けられ、略同様の構成を有する。2つの蓋部50は、第1の取出口24又は第2の取出口25を閉止可能な大きさをそれぞれ有する。2つの蓋部50は、シール部23に沿って包装体20の上面部20aに支持される。2つの蓋部50は、包装体20の上面部20aに支持される基端50aから、袋長手方向の外側へ向かって延びる。2つの蓋部50は、第1の取出口24(又は第2の取出口25)を閉止した閉止状態(図2に実線で示す状態)と、第1の取出口24(又は第2の取出口25)を開放した開放状態(図2に二点鎖線で示す状態)にすることができる。すなわち、第1の取出口24及び第2の取出口25は、蓋部50に開放可能に閉止される。以下の説明では、特に説明のない限り、閉止状態における蓋部50について説明する。
【0043】
図1図3に示すように、蓋部50は、蓋部50の内側面(包装体20の上面部20aに対向する面)には、再粘着可能な粘着部51が設けられる。粘着部51は、蓋部50の内側面のうち、第1の取出口24又は第2の取出口25を、袋幅方向の両側、及び袋長手方向の外側の3方向から囲む位置に設けられる。蓋部50は、所謂フラップラベルであってもよい。蓋部50のうち包装体20の上面部20aに支持される基端50aとは反対側の先端部50bには、袋長手方向の外側(基端50aから離間する方向)へ突出する凸部52が設けられる。本実施形態の凸部52は、蓋部50の先端部50bの袋幅方向の中央部から袋長手方向の外側へ突出する。凸部52には、粘着部51が設けられていないことが好ましい。
【0044】
上記のように構成された吸収性物品収納体10では、包装体20が2つの収納空間21,22を内部に区画しており、第1の収納空間21に吸収性物品30を収納し、第2の収納空間22にウェットシート40を収納している。このように、包装体20が吸収性物品30に加えて、ウェットシート40も収納しているので、生理用ナプキン等の吸収性物品30を交換する際に、ウェットシート40をすぐに使用することができる。このため、生理用ナプキン等の吸収性物品30を交換する際に、血液や尿などの体液によって汚染された肌をウェットシート40で早期に清浄することができ、肌を清潔に衛生的に保つことができる。
【0045】
また、包装体20が吸収性物品30に加えて、ウェットシート40も収納しているので、吸収性物品30とウェットシート40とを別々に持ち歩く必要がなく、また、吸収性物品30を交換する際に、吸収性物品30を包装した包装体とウェットシート40を包装した包装体とを別々に用意して取り出す必要がない。
【0046】
また、包装体20が、日常的に使用される生理用ナプキン等の吸収性物品30に加えて、ウェットシート40も収納しているので、ウェットシート40を日常的に持ち歩いていない人でも、忘れることなく持ち運ぶことができる。
【0047】
また、吸収性物品30及びウェットシート40を収納する包装体20と、第1の取出口24及び第2の取出口25を閉止可能な蓋部50とを備えるので、吸収性物品収納体10の見た目は、一般的な生理用ナプキン等の吸収性物品30の包装体とは大きく異なる。このため、吸収性物品収納体10を視た人に、吸収性物品30であることを認識され難い。
【0048】
また、包装体20の第1の収納空間21に複数の吸収性物品30を収納するので、従来のように各吸収性物品30を個包装する場合とは異なり、環境配慮とコストダウンを同時に行うことができる。
【0049】
このように、本実施形態によれば、吸収性物品30であることを認識され難く、かつ肌を衛生的に保つことが可能な吸収性物品収納体10を提供することができる。
【0050】
また、吸収性物品30は、バックシート32に設けられる粘着層34の全域を覆う剥離可能な剥離シート35を有する。このため、各吸収性物品30を個包装することなく包装体20の第1の収納空間21に収納しても、第1の収納空間21内で粘着層34が他の部材に接着することがなく、吸収性物品30を容易に取り出すことができる。
【0051】
また、ウェットシート40を、水洗トイレに流して廃棄処理可能な水解性を有するものにすることによって、トイレで生理用ナプキン等の吸収性物品30を交換する際に、ウェットシート40を使用して肌を洗浄した後、ウェットシート40を水洗トイレに流して廃棄することができる。
【0052】
また、蓋部50の先端部50bに凸部52を設けることによって、蓋部50の先端側(凸部52)を掴み易くなるので、蓋部50の開封を容易に行うことができる。また、蓋部50のデザイン性が向上する。
【0053】
なお、本実施形態では、包装体20に2つの収納空間21,22を設けたが、これに限定されるものではなく、少なくとも2つの収納空間21,22を設けていればよく、例えば2つの収納空間21,22を含む3つ以上の収納空間を設けてもよい。
【0054】
また、本実施形態では、第1の取出口24及び第2の取出口25を別々に閉止する2つの蓋部50を設けたが、これに限定されるものではなく、例えば、第1の取出口24及び第2の取出口25の双方を閉止可能な1つの蓋部50を設けてもよい。すなわち、第1の取出口24及び第2の取出口25が、1つ又は2つの蓋部に開放可能に閉止されるものであればよい。
【0055】
また、蓋部50の形状は、上記に限定されるものではなく、様々な形状を適用することができる。また、包装体20に対する蓋部50の取り付け位置は、上記に限定されるものではない。
【0056】
以上、本発明について、上記実施形態に基づいて説明を行ったが、本発明は上記実施形態の内容に限定されるものではなく、当然に本発明を逸脱しない範囲で適宜変更が可能である。すなわち、この実施形態に基づいて当業者等によりなされる他の実施形態、実施例及び運用技術等は全て本発明の範疇に含まれることは勿論である。
【符号の説明】
【0057】
10:吸収性物品収納体
20:包装体
20a:上面部(一側面部)
21:第1の収納空間
22:第2の収納空間
24:第1の取出口
25:第2の取出口
30:吸収性物品
31:トップシート
32:バックシート
33:吸収体
34:粘着層
35:剥離シート
40:ウェットシート
50:蓋部
50b:先端部
51:粘着部
52:凸部
図1
図2
図3
図4
図5