(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024167507
(43)【公開日】2024-12-04
(54)【発明の名称】情報処理装置
(51)【国際特許分類】
G06Q 50/18 20120101AFI20241127BHJP
【FI】
G06Q50/18 310
【審査請求】未請求
【請求項の数】1
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023083619
(22)【出願日】2023-05-22
【公序良俗違反の表示】
(特許庁注:以下のものは登録商標)
1.Blu-ray
2.WINDOWS
3.macOS
4.Linux
5.PYTHON
6.JAVASCRIPT
(71)【出願人】
【識別番号】518394776
【氏名又は名称】株式会社椿知財サービス
(74)【代理人】
【識別番号】100110788
【弁理士】
【氏名又は名称】椿 豊
(74)【代理人】
【識別番号】100124589
【弁理士】
【氏名又は名称】石川 竜郎
(72)【発明者】
【氏名】椿 豊
【テーマコード(参考)】
5L049
5L050
【Fターム(参考)】
5L049CC33
5L050CC33
(57)【要約】
【課題】商標権の権利範囲を解り易くし、かつ取得可能な商標の商品役務を解り易くする情報処理装置を提供する。
【解決手段】情報処理装置は、商品役務の名称とその類似群コードとを対応付けて記憶するデータベースにアクセスする第1の手段と、商品役務とそれが属する区分とを対応付けて記憶するデータベースにアクセスする第2の手段と、先行する商標の複数の商品役務名、またはそれらに対応する複数の類似群コードを入力する入力手段と、前記入力手段で入力された先行する商標の複数の商品役務名、またはそれらに対応する複数の類似群コードに基づいて、前記第1の手段及び前記第2の手段とを用いてデータベースにアクセスし、前記先行する商標がカバーする商品役務、およびカバーしない商品役務を前記区分ごとに、前記入力手段で入力された先行する商標の複数の商品役務名、またはそれらに対応する複数の類似群コードと共に表示する表示手段とを備える。
【選択図】なし
【特許請求の範囲】
【請求項1】
商品役務の名称とその類似群コードとを対応付けて記憶するデータベースにアクセスする第1の手段と、
商品役務とそれが属する区分とを対応付けて記憶するデータベースにアクセスする第2の手段と、
先行する商標の複数の商品役務名、またはそれらに対応する複数の類似群コードを入力する入力手段と、
前記入力手段で入力された先行する商標の複数の商品役務名、またはそれらに対応する複数の類似群コードに基づいて、前記第1の手段及び前記第2の手段を用いてデータベースにアクセスし、前記先行する商標がカバーする商品役務、およびカバーしない商品役務を前記区分ごとに、前記入力手段で入力された先行する商標の複数の商品役務名、またはそれらに対応する複数の類似群コードと共に表示する表示手段とを備えた、情報処理装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は情報処理装置に関する。
【背景技術】
【0002】
商標権を得るためには、商標権の効力が及ぶ商品及び役務の少なくとも一方(以下、「商品役務」という。)を指定して商標登録出願を行う必要がある。このような商標登録出願時に指定される商品役務は、指定商品や指定役務と呼ばれる。商標の指定商品や指定役務は、その商標が使用される具体的な商品やサービスを意味する。指定商品や指定役務によって商標が特定の商品やサービスに関連付けられ、商標が登録された後は、商標と指定商品・指定役務とによって商標権の保護範囲が規定されることとなる。指定商品や指定役務は一般的には、国際的に認識された「ニース国際分類」に基づいて分類される。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
商標権者は、自分の望む保護範囲の商標権が取得できているのかどうか解り難いという問題があった。同様に他者の商標権の権利範囲がわかりにくいため、商標を新たに採択して使おうとする者は、その使用が他社の権利を侵害するかどうか判り難いという問題があった。
【0004】
また、先行商標が存在する場合に、それと同一または類似商標での新たな出願で商標権を取得可能な商品役務が判り難いという問題があった。さらに、特に商標制度に馴染みのない者にとって、そもそもどのような商品役務があるか判らないという問題があった。
【課題を解決するための手段】
【0005】
上記課題を解決するため、本願は請求項に記載された手段を提供するものである。
【発明を実施するための形態】
【0006】
以下、本発明を実施するための形態について説明する。本発明を実施するために、コンピュータが用いられる。コンピュータの具体例としては、パーソナルコンピュータ(デスクトップ、ラップトップ)、スマートフォン、タブレット、サーバー、ゲーム機、スマートウォッチ、家電(スマートテレビ、スマート冷蔵庫など)、制御システムなどが挙げられる。ここでは例えばクライアントコンピュータ(クライアント)として、パーソナルコンピュータ、スマートフォン、タブレット等が用いられる。クライアントからWEBブラウザを用いてサーバーにアクセスを行い、情報を送信することで、サーバーが情報の処理を行い、処理後の情報(HTML文書など)がクライアントに送られ、クライアントのWEBブラウザでその情報が表示される例を説明する。
【0007】
処理後の情報は、電子メールやメッセンジャーソフトでクライアントに送られて表示されるようにしてもよい。クライアントからサーバーへの情報の送信も、電子メールやメッセンジャーソフトを介して行われるようにしてもよい。
【0008】
サーバーやクライアントは、インターネットに接続される。サーバーは、リクエストを送信してきたクライアントに対してデータを送信する。サーバーもクライアントもコンピュータであり、以下の構成要素を有する。
【0009】
中央処理装置(CPU): プログラム命令の実行やデータの処理を行う。CPUは複数のコアを持ち、それぞれが独立してタスクを処理することができる。
【0010】
メモリ(RAM): コンピュータが実行中のプログラムやデータを一時的に保持するための高速な記憶装置である。CPUが直接アクセスし、データの読み書きを行う。RAMは揮発性メモリであり、電源が切れるとデータが失われる。
【0011】
ストレージデバイス: 長期的なデータストレージを提供するデバイスであり、ハードディスクドライブ(HDD)、ソリッドステートドライブ(SSD)などである。これらは、オペレーティングシステム、アプリケーション、ユーザーデータなどを保存する。
【0012】
マザーボード: すべてのハードウェアコンポーネントを接続し、電力供給やデータ通信を行う基板である。マザーボードにはCPUソケット、RAMスロット、拡張スロット、入出力ポートなどが設けられている。
【0013】
グラフィックス処理装置(GPU): グラフィックスや画像処理を行うための専用プロセッサである。GPUは3Dグラフィックスレンダリング、ビデオデコーディング/エンコーディング、機械学習タスクなどに使用される。
【0014】
電源装置(PSU): コンピュータのハードウェアコンポーネントに電力を供給する装置である。PSUは、AC電源をコンピュータが必要とするDC電圧に変換する。
【0015】
クーリングシステム: コンピュータの温度を管理し、オーバーヒートによる損傷を防ぐためのシステムである。クーリングシステムには、ヒートシンク、ファン、液体クーラーなどがある。
【0016】
入力デバイス: キーボード、マウス、タッチパッド、タッチスクリーンなど、ユーザーがコンピュータに情報を入力するためのデバイスである。
【0017】
出力デバイス: モニター、プリンター、スピーカーなど、コンピュータからの情報をユーザーに伝えるためのデバイスである。モニターは画像やテキストを表示し、プリンターはドキュメントを印刷し、スピーカーは音声を出力する。コンピュータからの情報をユーザーに伝えるためには、どの出力デバイスを採用してもよい。
【0018】
ネットワークインターフェイス: イーサネットポートやWi-Fiアダプタなど、コンピュータをネットワークに接続するためのインターフェイスである。これにより、インターネットへのアクセスやローカルネットワーク上のリソースの共有が可能となる。
【0019】
拡張カード: 追加の機能や性能向上を提供するために、マザーボードの拡張スロットに接続されるカードである。グラフィックスカード、サウンドカード、ネットワークカードなどがこれに該当する。
【0020】
光学ドライブ: CD、DVD、Blu-rayディスクなどの光学メディアを読み書きするためのデバイスである。コンピュータでは、光学ドライブが省略されることがある。
【0021】
ケース: コンピュータのハードウェアコンポーネントを保護し、配置するための筐体である。ケースは、ハードウェアへのアクセスや冷却システムをサポートし、コンピュータシステムのデザインや形状にも影響を与える。
【0022】
これらの構成要素は、コンピュータシステム全体を機能させるために互いに連携して動作する。ユーザーがコンピュータを使用する際には、これらのコンポーネントが連携してデータを処理し、タスクを実行し、情報を表示・出力する。
【0023】
以下に、1つのコンピュータを動作させるために重要ないくつかのソフトウェアを列挙し、それぞれの機能と動作を説明する。
【0024】
オペレーティングシステム (OS): コンピュータのハードウェアとソフトウェアリソースを管理し、ユーザーやアプリケーションがそれらにアクセスできるようにする基本的なソフトウェアである。Windows, macOS, Linuxなどが代表的なOSである。
【0025】
デバイスドライバ: コンピュータ内のハードウェアデバイスや周辺機器とオペレーティングシステム間の通信を担当するソフトウェアである。デバイスドライバは、キーボード、マウス、プリンター、グラフィックカードなどのハードウェアを正しく動作させるために必要である。
【0026】
システムソフトウェア: コンピュータの基本的な機能をサポートするソフトウェアで、ファイル管理、システム設定、ディスク管理、ネットワーク接続などを行う。例えば、ファイルエクスプローラーやディスクユーティリティがこれに該当する。
【0027】
セキュリティソフトウェア: コンピュータをセキュリティ上の脅威から保護するソフトウェアである。アンチウイルスソフトウェア、ファイアウォール、マルウェア対策ツールなどが含まれる。
【0028】
ウェブブラウザ: インターネット上のウェブページを表示し、ユーザーがオンライン情報を閲覧・検索できるようにするソフトウェアである。Google Chrome, Mozilla Firefox, Microsoft Edgeなどが代表的なウェブブラウザである。
【0029】
ユーティリティソフト: 文書作成、表計算、プレゼンテーション作成などの生産性向上に関連するタスクを実行するためのソフトウェア群である。本発明を実施するための処理を実行するソフトウェアもこれに該当する。
【0030】
通信ソフトウェア: メールクライアント、インスタントメッセンジャー、ビデオ会議ツールなど、コンピュータ上で通信を行うためのソフトウェアである。
【0031】
マルチメディアソフトウェア: 音声、画像、動画などのマルチメディアコンテンツの再生、編集、制作を行うためのソフトウェアである。
【0032】
バックアップソフトウェア: コンピュータ上のデータを定期的にバックアップし、データ喪失やシステム障害のリスクを軽減するソフトウェアである。
【0033】
開発ツール: プログラミング言語や開発フレームワークを使用して、ソフトウェアやアプリケーションの開発を行うためのツールである。統合開発環境(IDE)やテキストエディタ、バージョン管理システムなどが含まれる。
【0034】
これらのソフトウェアは、コンピュータを動作させるために必要な基本的な機能を提供し、ユーザーが様々なタスクを効率的に実行できるようにサポートする。それぞれのソフトウェアは、特定の目的に応じて設計されており、互いに連携してシステム全体の機能を向上させる。
【0035】
クライアントからのリクエストに応じて、サーバーがデータを返す処理は以下のようなものである。通信のプロトコルにはHTTP、HTTPSなどが用いられる。
【0036】
クライアント(通常はウェブブラウザ)が、URLやHTTPメソッド(GET, POSTなど)を指定してサーバーにHTTPリクエストを送信する。サーバーは、受信したHTTPリクエストを解析し、リクエストの内容に応じて処理を行う。
【0037】
サーバー側で必要なデータやリソースがあれば、サーバーは、データベースやファイルシステムなどからデータを取得する。サーバー側のプログラム(PHP, Python, Rubyなど)は、取得したデータやリソースをもとに処理を行い、結果を生成する。サーバーは、生成した結果(HTML, JSON, XMLなど)をクライアントに返すためのHTTPレスポンスを作成する。この際、ステータスコード(200 OK, 404 Not Foundなど)やヘッダー情報も設定される。サーバーは、作成したHTTPレスポンスを、クライアントに送信する。
【0038】
クライアントは、受信したHTTPレスポンスを解析し、適切な形式で表示や処理を行う。例えば、ウェブブラウザであればHTMLを表示し、JavaScriptであればJSONデータを処理する。
【0039】
これらのプロセスを通じて、クライアントからのHTTPリクエストに応じてサーバーがデータを返す処理が行われる。このようなやり取りを行うプロトコルがHTTP(HyperText Transfer Protocol)であり、ウェブ上で情報をやり取りすることが可能となる。なお前述の通り、クライアントとサーバーの通信にメッセンジャーソフトや電子メールを用いてもよい。
【0040】
サーバーには、商品役務と類似群とを対応付けるデータベースのテーブルが記録される(当該サーバー以外の外部機器内にデータベースを記録してもよい)。このデータベースのテーブルには例えば、以下のカラムが含まれる。
【0041】
id (主キー): 各レコードを一意に識別するためのID。通常、整数型で自動インクリメントされる。
【0042】
商品・役務名 (goods_and_services_name): 商品役務の名称を格納するカラム。文字列型(VARCHAR)で定義する。
【0043】
類似群コード (similarity_group_code): そのレコードの商品役務の類似群を識別するためのコード。これは文字列型(VARCHAR)で定義する。
【0044】
区分 (class_number): そのレコードの商品役務が属する区分を格納するカラム。整数型(INT)または文字列型(VARCHAR)で定義する。
【0045】
属性 (attribute): そのレコードの商品役務の属性を格納するカラム。例えばその商品役務が以下のどのデータベース(または収録リスト)からの出典であるかを示す属性を、整数型(INT)または文字列型(VARCHAR)で定義する。
・類似商品・役務審査基準
・商品・サービス国際分類表(ニース国際分類)
・TM5 IDリスト
・審査において採用された商品・役務名
・WIPO Madrid Goods and Services Manager
このテーブル構造により、商品役務名とそれに対応する類似群や区分の情報を効率的に管理できる。これらのカラムを適切にインデックス化することで、検索性能も向上させることができる。
【0046】
また、必要に応じて、商標登録番号(または出願番号)と、その商標の指定商品・指定役務と、その指定商品・指定役務の類似群コードとを対応付けるためのテーブルを記憶させ、商標登録番号(または出願番号)の入力からその商標の指定商品・指定役務と、その指定商品・指定役務の類似群コードとを読み出してもよい。特定の商標登録番号(または出願番号)で定義される商標の指定商品・指定役務の類似群コード(単数または複数)を判別し、そのコードがカバーする商品役務や、カバーしない商品役務を判別するものである。
【0047】
または、商標登録番号(または出願番号)を送信すると、その商標の指定商品・指定役務と、その指定商品・指定役務の類似群コードとの少なくとも一方をサーバーから読み出すAPIを用いて、その商標の指定商品・指定役務と、その指定商品・指定役務の類似群コードとの少なくとも一方を得てもよい。
【0048】
同様に、商品役務名を送信すると、それに対応する類似群コードや区分をサーバーから読み出すAPIを用いて、商品役務名からその指定商品・指定役務の類似群コードや区分を得てもよい。逆に、類似群コードを送信すると、それに対応する商品役務名や区分をサーバーから読み出すAPIを用いて、指定商品・指定役務の類似群コードからその商品役務名や区分を得てもよい。
【0049】
ニース国際分類とは、商標の指定商品・役務を分類するための国際的に統一された番号である。正式名称は、「商標に関するニース協定による国際商品及び役務の分類」で、略称として「ニース分類」と呼ばれる。ニース国際分類は、1957年に制定されたニース協定(Nice Agreement)に基づいて設立され、世界知的所有権機関(WIPO)が管理している。この分類システムは、国際的な商標登録を簡素化し、商標登録手続きの一貫性を確保することを目的とする。
【0050】
ニース国際分類では、商品・役務は以下の2つの部門(区分、クラス)に分けられている。
【0051】
商品: 第1類から第34類までの34の区分に分類される。
【0052】
役務: 第35類から第45類までの11の区分に分類される。
【0053】
ニース国際分類には合計で45のクラス(区分)が存在し、それぞれのクラスには、関連性のある商品・役務が含まれている。例えば、第9類にはコンピュータや電子機器が、第41類には教育やエンターテインメントに関する役務が分類されている。
【0054】
商標登録の際には、対象となる商品・役務がどの区分に属するかを特定し、その区分に基づいて登録が行われる。これにより、商標検索や競合分析が容易になり、商標権の範囲や権利行使の明確化が可能となる。
【0055】
以上のようなデータベースやAPI等により、サーバーは、商品役務の名称とその類似群コードとを対応付けて記憶するデータベースにアクセスする第1の機能と、商品役務とそれが属する区分とを対応付けて記憶するデータベースにアクセスする第2の機能とを有することとなる。
【0056】
WEBブラウザを用いてクライアントからサーバーにアクセスすると、ログイン処理の後、入力フォームを含むHTML文書がサーバーからクライアントに送られる。クライアントはHTML文書をWEBブラウザ上に表示する。この画面によりクライアントのユーザは、先行する商標の単数または複数の指定商品役務、またはそれらに対応する単数または複数の類似群コードを入力することができる。指定商品役務が入力されたときは、データベースを参照することでそれが類似群コードに変換される。この変換はクライアントで行ってもよいし、サーバで行ってもよい。
【0057】
入力が行われ、送信ボタン(submitボタンなど)がクリックされると、先行する商標の単数または複数の指定商品役務、またはそれらに対応する単数または複数の類似群コードがサーバーに入力される。これに代え、クライアントでは単数または複数の商標登録番号(または商標出願番号)を入力してもよい。データベースを用いてクライアントまたはサーバで、入力に対応する単数または複数の指定商品役務、またはそれらに対応する単数または複数の類似群コードが検索されるものである。
【0058】
なお複数の先行商標の複数の指定商品役務、またはそれらに対応する複数の類似群コードを入力することとしてもよい。この場合、複数の先行商標のそれぞれに対応する指定商品役務、または類似群コードの入力欄を設けてもよいし、複数の先行商標の全ての指定商品役務、または類似群コードを入力する1つの入力欄を設けてもよい。
【0059】
サーバーは、入力された先行する商標の単数または複数の指定商品役務、またはそれらに対応する単数または複数の類似群コードに基づいて、データベースにアクセスし、先行する商標がカバーする商品役務、およびカバーしない商品役務を区分ごとに表示するためのHTMLデータ(またはテキストデータ)を作成し、それをクライアントのWEBブラウザに表示させる。
【0060】
例えば1つの類似群コードが入力されたとき、サーバーはその情報を取得し、以下のステップによってそれがカバーする商品役務、およびカバーしない商品役務を区分ごとに表示するためのHTMLデータ(またはテキストデータ)を作成し、それをクライアントのWEBブラウザに表示させる。
(1)上記1つの類似群コードに対応する商品役務名をデータベースから検索する。
(2)上記(1)でヒットした商品役務名を、先行商標がカバーする商品役務名としてリストに登録する。
(3)上記(2)でリストに含まれていない商品役務名を、先行商標がカバーしてない商品役務名としてリストに登録する。
(4)上記(2)、(3)のそれぞれのリストに含まれている商品役務名を、データベースを用いて区分ごとに分類し、カバーする商品役務名とカバーされない商品役務名を区分ごとに表示するためのデータを作成する。区分は昇順表示(1類から45類に向かう順)、その区分に属する商品役務は例えば対応する類似群コードによる昇順表示(0やAを始めとして、9やZに向かう順)、または、類似商品・役務審査基準での登録順の表示とする。
【0061】
なお、カバーする商品役務を含まない区分については、その区分に属する商品役務の簡単な説明を表示するだけでもよい。また、「この区分ではカバーされている商品役務は、1つもありません。」などのメッセージを表示してもよい。
【0062】
同様に、全ての商品役務がカバーされている区分については、その区分に属する商品役務の簡単な説明を表示するだけでもよい。また、「この区分の商品役務は、全てカバーされています。」などのメッセージを表示してもよい。
【0063】
一部の商品役務がカバーされている区分については、カバーされている商品役務と、カバーされていない商品役務とが区別できるように表示が行われる。
【0064】
また、(3)の検索では、前記1つの類似群コードに対応しない商品役務名をデータベースから検索して(NOT検索)、リストに登録してもよい。また、検索は区分ごとに行う(区分ごとにその区分内でカバーされる商品役務とカバーされない商品役務とを検索する)こととしてもよい。
【0065】
さらに、1つの商品役務について複数の類似群コードが付与されている場合もある。この場合上記(1)では、少なくとも上記1つの類似群コードが付与されている商品役務をデータベースから検索することとなる。
【0066】
例えば2つ以上の類似群コードが入力されたとき、サーバーはその情報を取得し、以下のステップによってそれらによってカバーされる商品役務名、およびカバーされない商品役務名を区分ごとに表示するためのHTMLデータ(またはテキストデータ)を作成し、それをクライアントのWEBブラウザに表示させる。
(1)複数の類似群コードのいずれか(OR検索)に対応する商品役務名をデータベースから検索する。
(2)上記(1)でヒットした商品役務名を、先行商標がカバーする商品役務名としてリストに登録する。
(3)上記(2)でリストに含まれていない商品役務名を、先行商標がカバーしてない商品役務名としてリストに登録する。
(4)上記(2)、(3)のそれぞれのリストに含まれている商品役務名を、データベースを用いて区分ごとに分類し、カバーする商品役務名とカバーされない商品役務名を区分ごとに表示するためのデータを作成する。区分は昇順表示、その区分に属する商品役務は例えば対応する類似群コードによる昇順表示、または、類似商品・役務審査基準の登録順の表示とする。
【0067】
また、(3)の検索では、複数の類似群コードのいずれにも対応しない商品役務名をデータベースから検索して(NOT検索)、リストに登録してもよい。
【0068】
さらに、1つの商品役務について複数の類似群コードが付与されている場合もある。この場合上記(1)では、(1)における複数の類似群コードの少なくともいずれかが付与されている商品役務名をデータベースから検索することとなる。
【0069】
なお、WEBブラウザにデータを表示させるのではなく、電子メールやメッセンジャー系のソフトウェアによってクライアント端末にデータを表示させることとしてもよい。
【0070】
以上の構成により、例えば先行商標で指定されている商品役務に抵触せずに新たに商標が取得可能な商品役務名、取得不可能な商品役務名を区分ごとに表示させることができる。さらに、属する全ての商品役務が新たに取得可能な区分は「この区分に属する商品役務は、全て取得可能です」と表示することもできる。
【0071】
また、先行商標(または先行登録商標)でカバーされている商品役務、カバーされていない商品役務を区分ごとに表示させることができる。
【0072】
なお、ユーザは類似群コードを入力するのではなく、1以上の商品役務名を入力することとしてもよい。この場合、入力された商品役務名からデータベースを用いて、対応する1以上の類似群コードが検索され、上記(1)以降の処理が行われる。
【0073】
さらにユーザは類似群コードを入力するのではなく、先行商標の商標登録番号、出願番号などを入力することとしてもよい。この場合も、商標データベースを用いて、その商標権または商標出願がカバーする類似群コードが検索され、上記(1)以降の処理が行われる。さらに、商標の同一・類似検索でヒットした先行商標それぞれに対して、上記(1)以降の処理が行われてもよい。複数の先行商標の商標登録番号、出願番号などを入力することとしてもよい。この場合も、商標データベースを用いて、それら商標権または商標出願がカバーする複数の類似群コードが検索され、上記(1)以降の処理が行われる。
【0074】
また、先行商標に対しての上記処理を行う場合に、商標データベースを用いて先行商標の権利存続期限を読出し、更新が行われない場合のその指定商品役務が権利としてカバーされている保護期間を表示するようにしてもよい。複数の先行商標ごとに、そのような表示を行ってもよい。
【0075】
カバーされている商品役務名、カバーされていない商品役務名を区分ごとに表示させる場合、以下の全てのデータベースに掲載されている商品役務を対象としてもよいし、一部のデータベースだけを対象としてもよい。最も基本的な、類似商品・役務審査基準に掲載されている商品役務のみを対象としてもよい。データベースは、年(または年度)ごとに変わるので、ユーザがシステムを利用するときに適用されるデータベースが用いられることが望ましい。
・類似商品・役務審査基準
・商品・サービス国際分類表(ニース国際分類)
・TM5 IDリスト
・審査において採用された商品・役務名
・WIPO Madrid Goods and Services Manager
処理結果の出力フォーマットとしては、区分1から45類まで順に「第○○類」と表示する項目を作り、各項目内において例えば(1)その区分に所属する商品役務の概要の説明、(2)その区分でカバーされている商品役務が1つも無い場合には、1つもカバーされていない旨、またはその区分に属する全ての商品役務名を表示し、それらがカバーされていない旨、(3)その区分内の全ての商品役務がカバーされているのであれば、全ての商品役務がカバーされている旨、またはその区分に属する全ての商品役務名を表示し、それらがカバーされている旨、(4)その区分内の一部の商品役務がカバーされているのであれば、その区分に属するカバーされている商品役務名を表示し、それらがカバーされている旨、および、その区分に属するカバーされていない商品役務名を表示し、それらがカバーされていない旨、を表示することが望ましい。
【0076】
商品役務名を複数表示するときには、それぞれが属する区分、および/またはそれぞれの類似群コードを対応付けて表にしてわかりやすく表示することが望ましい。1つの商品役務名に対して類似群コードが複数あるときには、全ての類似群コードが表示される。
【0077】
上記実施例によると、他類間類似を判断することもできる。「他類間類似」とは、区分が異なるにもかかわらず商品・役務が類似することをいう。
【0078】
なお、備考類似を判断してもよい。例えば、9類の「電子出版物」(類似群コード:26A01・26D01)と41類の「電子出版物の提供」(類似群コード:41C02)は類似群コードが異なり、通常は類似であると判断されないが、「類似商品・役務審査基準」の備考欄に、「(備考)「電子出版物」は、第41類「電子出版物の提供」に類似と推定する。」と書かれている。このような備考類似の関係にある商品役務を判断するものである。なお、備考類似については類似群コードが共通する場合とは異なり、備考類似であることが解るように表示を行うことが望ましい。
【0079】
また、登録3年を経過している登録商標についての処理を行う場合には、不使用取消審判の可能性の確認を促すメッセージを出してもよい。
【0080】
クライアントに表示する商品役務名の入力欄、または類似群コードの入力欄は、1つのボックスで複数の商品役務名、または複数の類似群コードを入力できるようにすることが望ましい。1つのボックスとは、HTMLのinput type="text"タグやtextareaタグで表示される入力欄を意味する。1つのボックス内で複数のアイテム(商品役務名または類似群コード)の各々を区別するための区切りの文字コードは、全角スペース、半角スペース、カンマ、句点、読点、改行コードなどが用いられる。textareaタグで表示される入力欄では複数行を入力できるので、商品役務名または類似群コードが多い場合でもユーザは解り易く入力することができる。
【0081】
また、クライアントに表示する商品役務名の入力欄、または類似群コードの入力欄とともにメールアドレスの入力欄を表示してもよい。サーバーでメールアドレスを受取り、処理結果をHTMLメール(テキストメールでもよい)などでメールアドレス宛に送信するものである。サーバー処理に時間がかかる場合など、後にメールで結果を送信する旨をクライアントのWEBブラウザに表示しておくことが望ましい。送信予定の時刻などを共に表示することとしてもよい。
【0082】
結果をクライアントで表示する場合、またはメールで送信する場合、その情報の中に、ユーザが入力した商品役務名、類似群コード、商標登録番号、商標出願番号の少なくともいずれかを含めることが望ましい。どのような情報の処理結果であるかをユーザに解り易くするためである。
【0083】
結果をユーザに表示するフォーマットは、例えば以下のようなものである。ここでは、先願の商標があり、その指定商品・指定役務に01A01、21A01の2つの類似群コードが付与されていて、同一類似商標で新たに商標出願を行うときに権利取得可能な商品役務名と、権利取得不可能な商品役務名を表示することとしている。
[分析対象]類似群コード:01A01 21A01
[結果]
[第1類]工業用、科学用又は農業用の化学品
[取得不可能なもの(先行商標でカバーされているもの)]
商品役務 類似群
かす除去剤 01A01
か性カリ 01A01
・・・(中略)
[取得可能なもの(先行商標でカバーされていないもの)]
商品役務 類似群
工業用でん粉のり 01A02
工業用にかわ 01A02
・・・(中略)
[第2類]塗料、着色料及び腐食の防止用の調製品
[取得不可能なもの(先行商標でカバーされているもの)]
商品役務 類似群
カナダバルサム 01A01
コパール 01A01
・・・(中略)
[取得可能なもの(先行商標でカバーされていないもの)]
商品役務 類似群
建て染め染料 03A01
あかね 03A01
・・・(中略)
[第5類]薬剤
全て取得可能です。(先行商標でカバーされているものはありません)
[第6類]卑金属及びその製品
全て取得可能です。(先行商標でカバーされているものはありません)
・・・(以下省略)
このような表示により、わかりやすく類似群コードでカバーされる商品役務、カバーされない商品役務をユーザに提示することができる。なお、HTMLで表示を行うのであれば、商品役務とそれに対応する類似群コードは、表形式で表示することが望ましい。
【0084】
また、1つの商品役務に複数の類似群コードが付与されている場合は、各々の区切りがわりやすいように、全角スペース、半角スペース、カンマ、句点、読点、改行コードなどで区切って表示を行うことが望ましい。
【0085】
本実施の形態における処理やフローは、複数のソフトウェアにより実行されてもよい。
【0086】
上述の実施の形態、およびそれに含まれる要素(一部の構成、一部の処理)を組み合わせたり、入替えたりすることで新たな別の実施の形態とすることもできる。
【0087】
上述の実施の形態における処理は、ソフトウェアにより行っても、ハードウェア回路を用いて行ってもよい。また、上述の実施の形態における処理を実行するプログラムを提供することもできるし、そのプログラムをCD-ROM、フレキシブルディスク、ハードディスク、ROM、RAM、メモリカードなどの記録媒体に記録してユーザーに提供することにしてもよい。プログラムは、CPUなどのコンピューターにより実行される。また、プログラムはインターネットなどの通信回線を介して、装置にダウンロードするようにしてもよい。
【0088】
上記実施の形態は、すべての点で例示であって制限的なものではないと考えられるべきである。本発明の範囲は上記した説明ではなくて特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味及び範囲内でのすべての変更が含まれることが意図される。