(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024167510
(43)【公開日】2024-12-04
(54)【発明の名称】製造装置
(51)【国際特許分類】
C30B 15/00 20060101AFI20241127BHJP
C30B 29/06 20060101ALI20241127BHJP
F27B 14/08 20060101ALI20241127BHJP
F27D 9/00 20060101ALI20241127BHJP
F27D 7/06 20060101ALI20241127BHJP
【FI】
C30B15/00 Z
C30B29/06 502Z
C30B29/06 502E
F27B14/08
F27D9/00
F27D7/06 C
【審査請求】未請求
【請求項の数】4
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023083629
(22)【出願日】2023-05-22
(71)【出願人】
【識別番号】304021288
【氏名又は名称】国立大学法人長岡技術科学大学
(71)【出願人】
【識別番号】523188926
【氏名又は名称】燦栄コンサルティング株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100095407
【弁理士】
【氏名又は名称】木村 満
(74)【代理人】
【識別番号】100195648
【弁理士】
【氏名又は名称】小林 悠太
(74)【代理人】
【識別番号】100175019
【弁理士】
【氏名又は名称】白井 健朗
(74)【代理人】
【識別番号】100194179
【弁理士】
【氏名又は名称】中澤 泰宏
(72)【発明者】
【氏名】會田 英雄
(72)【発明者】
【氏名】原田 博文
【テーマコード(参考)】
4G077
4K046
4K063
【Fターム(参考)】
4G077AA02
4G077BA04
4G077CF10
4G077EG15
4G077EG19
4G077EG25
4K046AA02
4K046BA05
4K046CB05
4K046CB15
4K046CC01
4K046CD03
4K046CE09
4K046DA03
4K046EA05
4K063AA04
4K063AA12
4K063AA16
4K063BA12
4K063CA01
4K063DA19
4K063DA20
4K063DA33
4K063EA01
(57)【要約】
【課題】ヒータの消費電力を小さくすることができる製造装置を提供する。
【解決手段】結晶2を製造する結晶製造装置10は、結晶2を加熱する加熱ヒータ15と、加熱ヒータ15の外側に位置する断熱材20と、断熱材20及び加熱ヒータ15を収容するメインチャンバ12と、メインチャンバ12内から外への熱輸送を減少させる圧力調整層17と、を備える。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
半導体又は結晶を製造する製造装置であって、
前記半導体又は前記結晶を加熱する加熱ヒータと、
前記加熱ヒータの外側に位置する断熱材と、
前記断熱材及び前記加熱ヒータを収容する炉体と、
前記炉体内から外への熱輸送を減少させる真空断熱層と、を備える、
製造装置。
【請求項2】
前記半導体又は前記結晶の原料を収容するルツボを備え、
前記加熱ヒータは、前記原料を加熱して溶融する、
請求項1に記載の製造装置。
【請求項3】
前記真空断熱層の内部の気圧を真空状態と大気圧状態の間で切り替え可能である圧力調整部を備える、
請求項1又は2に記載の製造装置。
【請求項4】
前記炉体を冷却するための冷却液が供給される冷却層と、
前記真空断熱層の内部の気圧が大気圧状態であるときに前記冷却層内に冷却液を供給する冷却液供給部と、を備える、
請求項1又は2に記載の製造装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、製造装置に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1、2及び3に記載のシリコン単結晶製造装置は、ルツボと、ルツボに収容された原料である多結晶シリコンを加熱することでシリコン融液とする加熱ヒータと、加熱ヒータの外側に配置される断熱材(保温筒)と、ルツボ、加熱ヒータ及び断熱材を収容する炉体(チャンバ)と、を備える。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2002-201094号公報
【特許文献2】特開2013-237586号公報
【特許文献3】特開2021-42103号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上記特許文献1には、「高温の輻射熱から炉壁を守るために、炉壁を二重構造として隙間に冷却水を流し、強制的に炉壁を冷やす構造としたものが多く用いられている。これによって、より多くの熱が、炉壁を通して外部へと移送される。」と記載されており、炉体内から外に熱が逃げやすい構造であるため、ヒータの消費電力が大きくなるおそれがある。
例えば、上記特許文献2には、シリコン原料を200kWの高電力で溶融することが記載されている。
また、上記特許文献3には、279kWの高電力で炉内部材を再生することが記載されている。
【0005】
本発明は、上記実状を鑑みてなされたものであり、ヒータの消費電力を小さくすることができる製造装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記目的を達成するため、本発明に係る製造装置は、半導体又は結晶を製造する製造装置であって、前記半導体又は前記結晶を加熱する加熱ヒータと、前記加熱ヒータの外側に位置する断熱材と、前記断熱材及び前記加熱ヒータを収容する炉体と、前記炉体内から外への熱輸送を減少させる真空断熱層と、を備える。
【発明の効果】
【0007】
本発明によれば、ヒータの消費電力を小さくすることができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【
図1】本発明の第1実施形態に係る結晶製造装置の概略図である。
【
図2】本発明の第1実施形態に係る圧力調整室の圧力状態と冷却液の供給状態を示すタイミングチャートである。
【
図3】本発明の第3実施形態に係るメインチャンバの部分的な概略断面図である。
【
図4】本発明の第4実施形態に係る真空構造物と炉壁の部分的な概略断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
(第1実施形態)
本発明の第1実施形態に係る製造装置について、図面を参照して説明する。本実施形態の製造装置は、例えば、チョクラルスキー法(CZ法)により、結晶(例えば、シリコン単結晶)を製造する結晶製造装置である。
図1に示すように、結晶製造装置10は、炉体であるメインチャンバ12と、引上げチャンバ13と、引上げワイヤ8と、ルツボ14と、加熱ヒータ15と、断熱材20と、支持軸11と、真空ポンプ31と、冷却液供給部32と、大気開放弁33と、制御部34と、を備える。
【0010】
メインチャンバ12は、金属製であり、ルツボ14、加熱ヒータ15、断熱材20、支持軸11を収容する収容空間を有する中空形状をなす。メインチャンバ12の天井部には、開口部12Hが形成されている。メインチャンバ12の壁部内には、
図1の右下に拡大して示すように、圧力調整層17と冷却層18が形成されている。圧力調整層17と冷却層18については後述する。
【0011】
引上げチャンバ13は、金属製であり、上下方向に延びる円筒状をなし、メインチャンバ12の開口部12Hを囲むように、メインチャンバ12の上面に連結されている。引上げチャンバ13内には、引上げワイヤ8が収容されている。引上げチャンバ13の上部には、引上げワイヤ8を引き上げることができる引上げ機構(図示せず)が設けられている。引上げワイヤ8の下端部には種結晶9が取り付けられている。種結晶9は、ルツボ14内で加熱された原料(例えば、多結晶シリコン塊)の融液3(例えば、シリコン融液)に浸漬されて、引上げワイヤ8が引上げ機構により引き上げられる。これにより、種結晶9の下方に結晶2が育成される。
【0012】
ルツボ14は、メインチャンバ12内に位置し、開口部12Hに向けて開口する容器である。ルツボ14は、椀形状をなす。ルツボ14は、二重構造をなしている。すなわち、ルツボ14は、石英内容器14Aと、黒鉛外容器14Bと、を備える。石英内容器14Aは、石英により形成され、融液3を収容し、黒鉛外容器14Bの内側に重ねられている。黒鉛外容器14Bは、黒鉛により形成され、石英内容器14Aの外面に沿うように形成されている。黒鉛外容器14Bは、高温下で石英内容器14Aが軟化した状態で融液3に押されても石英内容器14Aの形状を保つように機能する。
【0013】
支持軸11は、上下方向に沿って延びる。支持軸11の上端はルツボ14(黒鉛外容器14B)の外側底面の中央に固定されている。支持軸11は、図示しない回転駆動部によりルツボ14とともに支持軸11の中心軸を回転軸として回転し、図示しない昇降駆動部により上下方向に昇降する。
【0014】
加熱ヒータ15は、黒鉛により形成され、ルツボ14の外周面に位置する。加熱ヒータ15は、制御部34による制御のもと、電源から電力が供給されて発熱する。加熱ヒータ15の発熱により、ルツボ14内の温度が原料の融点よりも高い温度まで高まり、ルツボ14に収容される原料が融解した融液3となる。
【0015】
引上げチャンバ13内には、図示しないガス供給手段により、不活性ガス、例えば、アルゴン(Ar)ガスが供給される。不活性ガスは、引上げチャンバ13内からメインチャンバ12内を通って外部に排出される。
【0016】
断熱材20は、加熱ヒータ15の外周面を囲むように筒状、本例では円筒状に形成されている。断熱材20は、加熱ヒータ15とメインチャンバ12の内周面の間に位置し、加熱ヒータ15からメインチャンバ12への熱輸送を減少させる。このように、断熱材20はメインチャンバ12への熱輸送を減少させてはいるが、メインチャンバ12内の温度は非常に高温となるため、メインチャンバ12に熱が伝わることによる熱的なロスは無視できないものである。
【0017】
次に、圧力調整層17と冷却層18について説明する。
圧力調整層17と冷却層18は、圧力調整層17が内側層、冷却層18が外側層として、互いに重なって2層で形成されている。
圧力調整層17は、互いに隙間を持って対面する内壁部17A及び外壁部17Bを備える。各壁部17A,17Bの間には圧力調整室17Cが形成されている。圧力調整室17Cは、接続口17Eを備える。接続口17Eは、接続管を介して真空ポンプ31と大気開放弁33に接続されている。
【0018】
圧力調整室17C内の気圧は、真空ポンプ31と大気開放弁33の動作により、真空状態と大気圧状態の間で切り替え可能に構成されている。
圧力調整層17は、圧力調整室17C内の気圧が真空状態となっているときに、真空断熱層として断熱機能を発揮する。真空状態での真空度は、高真空(10-1Pa~10-5Pa)に設定されている。
【0019】
冷却層18は、メインチャンバ12の熱を冷却液Cが回収することによりメインチャンバ12の温度を下げる水冷ジャケットである。
冷却層18は、冷却液Cが流れる流路18Aと、冷却液供給部32から冷却液Cが流路18A内に流入する流入口18Bと、流路18Aを通過して熱を回収した冷却液Cを流路18Aから排出するための流出口18Cと、を備える。流路18Aは、圧力調整層17の外側全域にわたって管状に形成されている。
【0020】
真空ポンプ31は、制御部34による制御のもと、圧力調整室17C内の圧力を真空状態にする。
大気開放弁33は、制御部34による制御のもと開閉する。大気開放弁33は、閉じることにより真空ポンプ31による圧力調整室17C内の圧力調整を可能とし、開くことにより圧力調整室17C内が大気に開放される。
【0021】
冷却液供給部32は、制御部34による制御のもと、流入口18Bを介して冷却液Cを流路18A内に供給する。冷却液供給部32は、貯蔵タンクから冷却液Cを汲み出して流入口18Bに供給するポンプからなる。
【0022】
制御部34は、加熱ヒータ15、真空ポンプ31、大気開放弁33及び冷却液供給部32等を制御する。
【0023】
制御部34は、大気開放弁33を閉じつつ、一定時間(圧力調整室17C内の真空引きに必要な時間)にわたって真空ポンプ31を駆動させることにより圧力調整室17C内を真空状態とする。制御部34は、真空状態において、大気開放弁33を開くことにより圧力調整室17C内を大気圧状態とする。
制御部34は、
図2に示すように、メインチャンバ12内の温度を高める必要がある断熱期間T1においては、圧力調整室17C内を真空状態としつつ、冷却液供給部32からの冷却液Cの供給を停止した状態とする。断熱期間T1は、加熱ヒータ15の発熱によりルツボ14に収容される原料を融解する期間と、融液3から結晶2を育成する期間を含む。断熱期間T1は、例えば、加熱ヒータ15が発熱している期間に設定される。断熱期間T1においては、圧力調整室17Cの真空断熱機能が発揮され、メインチャンバ12の保温性能が高まり、原料の融解と結晶2の育成に必要となる加熱ヒータ15の消費電力を小さくすることができる。また、真空断熱により、メインチャンバ12の外側が高温となりづらいため、メインチャンバ12の熱的なダメージを減らすことができる。
なお、本例に限らず、断熱期間T1において、冷却液Cの供給を継続状態としてもよい。
【0024】
制御部34は、断熱期間T1から、メインチャンバ(炉体)12の温度を下げる冷却期間T2に移行すると、大気開放弁33を開き、圧力調整室17C内を大気圧状態としつつ、冷却液供給部32を動作させることにより流路18Aへの冷却液Cの供給を開始する。冷却期間T2においては、冷却液供給部32から冷却液Cを流路18Aへ供給し続ける。冷却期間T2は、結晶2の全ての引き上げ完了後に炉体の冷却を待つ期間である。そして、制御部34は、冷却期間T2が経過すると、冷却液供給部32の動作を停止する。冷却液Cの供給により、炉体の冷却待ち時間を短縮することができる。制御部34は、タイマにより冷却期間T2が経過したことを判別してもよいし、温度センサにより検出されたチャンバ内温度が常温近くに設定される閾値以下となったときに冷却期間T2が経過したと判別してもよい。
【0025】
以上、説明した第1実施形態によれば、以下の効果を奏する。
(1)結晶2を製造する製造装置の一例である結晶製造装置10は、結晶2を加熱する加熱ヒータ15と、加熱ヒータ15の外側に位置する断熱材20と、断熱材20及び加熱ヒータ15を収容する炉体の一例であるメインチャンバ12と、メインチャンバ12の壁部内に位置し、メインチャンバ12内(収容空間)から外への熱輸送を減少させる真空断熱層の一例である圧力調整層17と、を備える。
この構成によれば、圧力調整層17の内部が真空状態とされることにより、結晶2の製造時(原料の融解時と結晶2の育成時)における、メインチャンバ12内から外への熱輸送が減少される。よって、メインチャンバ12内の温度低下が抑制され、加熱ヒータ15の消費電力を小さくすることができる。また、メインチャンバ12の炉壁への熱的なダメージを小さくすることができる。
【0026】
(2)結晶製造装置10は、結晶2の原料を収容するルツボ14を備える。加熱ヒータ15は、原料を加熱して溶融する。
この構成によれば、結晶2の製造時における加熱ヒータ15の消費電力を小さくすることができる。
【0027】
(3)結晶製造装置10は、圧力調整層17の内部の圧力調整室17Cの気圧を真空状態と大気圧状態の間で切り替え可能である圧力調整部の一例である真空ポンプ31及び大気開放弁33を備える。
この構成によれば、結晶2の製造時には、圧力調整室17Cを真空状態とすることにより、メインチャンバ12内の温度低下が抑制され、加熱ヒータ15の消費電力を小さくすることができる。また、結晶2の冷却時には、圧力調整室17Cを大気圧状態とすることにより、メインチャンバ12内の温度を迅速に低下させることができる。
【0028】
(4)結晶製造装置10は、圧力調整層17の外側に位置し、メインチャンバ12を冷却する冷却液Cが供給される冷却層18と、圧力調整室17Cの気圧が大気圧状態であるときに冷却層18内に冷却液Cを供給する冷却液供給部32と、を備える。
この構成によれば、冷却層18の冷却液Cがメインチャンバ12から熱を回収することによりメインチャンバ12を迅速に冷却することができる。このため、結晶2の冷却待ち時間を短縮することができる。また、メインチャンバ12を輻射熱から守ることができる。
【0029】
(第2実施形態)
本発明の第2実施形態に係る結晶製造装置は、上記第1実施形態の結晶製造装置10から冷却層18と冷却液供給部32が省略されて構成されている。
本実施形態では、上記(1)と(2)に記載の効果を奏することができる。
【0030】
(第3実施形態)
本発明の第3実施形態に係る結晶製造装置は、上記第1実施形態の結晶製造装置10から冷却層18、冷却液供給部32、真空ポンプ31、冷却液供給部32、大気開放弁33及び制御部34が省略されて構成される。
図3に示すように、本実施形態に係る結晶製造装置のメインチャンバ62は、真空断熱層57を備える。真空断熱層57は、内壁部17A及び外壁部17Bと、各壁部17A,17Bの間に形成される真空室17Dと、を備える。真空室17Dは、真空状態に常時維持されている。
本実施形態では、上記(1)に記載の効果を奏することができる。
【0031】
(第4実施形態)
本発明の第4実施形態に係る結晶製造装置は、
図4に示すように、メインチャンバ(炉体)12Wとは別体で構成される真空断熱層を有する真空構造物87を備える。本実施形態では、上記第1実施形態と異なり、メインチャンバ12Wの壁部内には、圧力調整層17と冷却層18が形成されていない。真空構造物87は、メインチャンバ12Wの内側の収容空間(断熱材20等が収容される空間と同一の空間)に位置し、断熱材20の周囲を囲む筒状をなす。真空構造物87は、断熱材20とメインチャンバ12Wの間に位置する。
真空構造物87は、内壁部87A及び外壁部87Bと、各壁部87A,87Bの間に形成される真空室87Dと、を備える。真空室87Dは、真空状態に常時維持されている。真空室87Dは、上記第1実施形態における真空状態の圧力調整室17Cと同様に、真空断熱機能を発揮する。
【0032】
以上、説明した第4実施形態によれば、以下の効果を奏する。
結晶2を製造する製造装置の一例である結晶製造装置10は、結晶2の原料を収容するルツボ14と、原料を加熱する加熱ヒータ15と、ルツボ14及び加熱ヒータ15を収容するメインチャンバ12Wと、メインチャンバ12Wの収容空間に位置し、内部の真空室87Dの気圧が真空状態であることによりメインチャンバ12W内から外への熱輸送を減少させる真空構造物87と、を備える。
この構成によれば、真空構造物87により、メインチャンバ12W内から外への熱輸送が減少される。よって、加熱ヒータ15の消費電力を小さくすることができる。また、メインチャンバ12の炉壁への熱的なダメージを小さくすることができる。
【0033】
なお、本発明は以上の実施形態及び図面によって限定されるものではない。本発明の要旨を変更しない範囲で、適宜、変更(構成要素の削除も含む)を加えることが可能である。以下に、変形の一例を説明する。
【0034】
(変形例)
上記各実施形態においては、結晶製造装置(半導体製造装置)は、半導体としても用いられるシリコン単結晶を製造していたが、このシリコン単結晶に限らず、その他の結晶又は半導体を製造してもよい。例えば、リン化ガリウム(GaP)結晶等の化合物半導体等を製造してもよいし、半導体以外にサファイア等の結晶(単結晶と多結晶の何れも含む)を製造してもよい。また、結晶製造装置10は、融液3に磁場を印加しながら結晶又は半導体を育成するMCZ法(Magnetic Field AppliedCzochralski Method、磁界下引上法)を用いて結晶又は半導体を製造してもよいし、CZ法以外の方法、例えば、EFG(Edge-defined Film-fed Growth)法、キロプロス法、るつぼ溶融法等により結晶又は半導体を製造してもよい。
また、半導体製造装置は、半導体基板を加熱するウェーハ熱処理装置であってもよく、この場合、炉体は、ウェーハ熱処理炉であってもよい。
【0035】
上記第4実施形態においては、真空構造物87内の気圧は真空状態に保たれていたが、上記第1実施形態と同様に、真空ポンプと大気開放弁により真空状態と大気圧状態の間で切り替え可能であってもよい。また、上記第4実施形態においては、真空構造物87の外周側又はメインチャンバ12Wの外周側に上記第1実施形態と同様の冷却層が設けられていてもよい。
上記第1実施形態において、上記第4実施形態の真空構造物87がメインチャンバ12内に設けられていてもよい。
【符号の説明】
【0036】
2…結晶、3…融液、8…引上げワイヤ、9…種結晶、10…結晶製造装置、11…支持軸、12,12W,62…メインチャンバ、12H…開口部、13…引上げチャンバ、14…ルツボ、14A…石英内容器、14B…黒鉛外容器、15…加熱ヒータ、17…圧力調整層、17A,87A…内壁部、17B,87B…外壁部、17C…圧力調整室、17E…接続口、17D,87D…真空室、18…冷却層、18A…流路、18B…流入口、18C…流出口、20…断熱材、31…真空ポンプ、32…冷却液供給部、33…大気開放弁、34…制御部、57…真空断熱層、87…真空構造物、C…冷却液、T1…断熱期間、T2…冷却期間