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特開2024-167520印刷制御装置、印刷制御方法及びプログラム
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024167520
(43)【公開日】2024-12-04
(54)【発明の名称】印刷制御装置、印刷制御方法及びプログラム
(51)【国際特許分類】
   A45D 29/00 20060101AFI20241127BHJP
   B41J 2/21 20060101ALI20241127BHJP
   B41J 2/01 20060101ALI20241127BHJP
【FI】
A45D29/00
B41J2/21
B41J2/01 109
【審査請求】未請求
【請求項の数】8
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023083652
(22)【出願日】2023-05-22
(71)【出願人】
【識別番号】000001443
【氏名又は名称】カシオ計算機株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001254
【氏名又は名称】弁理士法人光陽国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】中川 到
【テーマコード(参考)】
2C056
【Fターム(参考)】
2C056EA04
2C056EB13
2C056EB36
2C056EE18
2C056FA10
2C056FB01
2C056KC21
(57)【要約】
【課題】爪の周りに液剤等が付着してしまった場合でも、ネイルプリントの見映えの悪化を抑制する。
【解決手段】印刷装置1の印刷制御装置である制御装置10が、制御部11を備えており、制御部11は、爪Tの領域を含む指先領域Arfの画像に基づいて爪Tの領域(爪領域Art)と爪Tの周辺領域Arpとの境界olを検出する検出手段として機能するとともに、爪Tの周辺領域Arpを対象として、検出された境界olに沿わせた縁取り印刷を実行させる制御手段として機能する。
【選択図】図6
【特許請求の範囲】
【請求項1】
爪の領域を含む指先の画像に基づいて爪の領域と前記爪の周辺領域との境界を検出する検出手段と、
前記爪の周辺領域を対象として、前記検出手段により検出された境界に沿わせた縁取り印刷を実行させる制御手段と、
を備えることを特徴とする印刷制御装置。
【請求項2】
前記制御手段は、前記境界に沿わせた前記縁取り印刷に先立ってデザイン印刷又はデザインの下地印刷を前記爪の領域を対象として実行させる、
ことを特徴とする請求項1に記載の印刷制御装置。
【請求項3】
前記爪の領域を対象としたデザイン印刷に先立って前記爪の領域に下地用の液剤が塗布される場合に、前記縁取り印刷は、少なくとも前記爪の周辺領域であって前記下地用の液剤が付着した箇所に対して実行される、
ことを特徴とする請求項1に記載の印刷制御装置。
【請求項4】
前記検出手段は、前記画像に基づいて前記爪の周辺領域の色を検出し、
前記制御手段は、前記検出手段により検出された前記爪の周辺領域の色に対応させた色で前記境界に沿わせた縁取り印刷を実行させる、
ことを特徴とする請求項1から請求項3のいずれか一項に記載の印刷制御装置。
【請求項5】
爪の領域を含む指先の画像に基づいて爪の領域と前記爪の周辺領域との境界を検出する検出工程と、
前記爪の周辺の領域を対象として、検出された境界に沿わせた縁取り印刷を実行させる印刷制御工程と、
を含んでいることを特徴とする印刷制御方法。
【請求項6】
前記検出工程では、前記画像に基づいて前記爪の周辺領域の色を検出し、
前記印刷制御工程では、前記検出工程において検出された前記爪の周辺領域の色に対応させた色で前記境界に沿わせた縁取り印刷を実行させる、
ことを特徴とする請求項5に記載の印刷制御方法。
【請求項7】
コンピュータに
爪の領域を含む指先の画像に基づいて爪の領域と前記爪の周辺領域との境界を検出する検出機能と、
前記爪の周辺領域を対象として、前記検出機能により検出された境界に沿わせた縁取り印刷を実行させる印刷制御機能と、
を実現させる、ことを特徴とするプログラム。
【請求項8】
前記検出機能は、前記画像に基づいて前記爪の周辺領域の色を検出するものであり、
前記印刷制御機能は、前記検出機能により検出された色に対応させた前記爪の周辺領域の色で前記境界に沿わせた縁取り印刷を実行させる、
ことを特徴とする請求項7に記載のプログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、印刷制御装置、印刷制御方法及びプログラムに関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、爪等にデザインの印刷を行う印刷装置(ネイルプリント装置)が知られている(例えば、特許文献1参照)。爪に印刷を行う場合、爪の領域を検出して爪の領域内にデザインを印刷する。
【0003】
カラーでデザイン印刷を行う場合に、デザイン印刷前に爪の上に白色等の下地用の液剤等を塗布して下地を形成することも行われる。
下地の上にデザイン印刷を行うとカラーインクの発色が良くなり、仕上がり品質を向上させることができる。下地用の液剤等は、印刷装置を用いて印刷される場合の他、例えばユーザ自らが手動(手塗り等の手作業)により塗布される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特表2003-534083号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、特に下地用の液剤等が手塗りされる場合、液剤を爪の範囲からはみ出さないように、かつ爪の隅々まで過不足なく塗布することは技術を要する。
このため、慣れていないユーザにとっては施術が難しく、爪に下地用の液剤を塗布する際に液剤が爪の周りにはみ出して爪以外の箇所に付着してしまう場合がある。しかし、下地用の液剤がはみ出した状態で爪にデザイン印刷を行うと、液剤のはみ出した部分が目立ってしまい、見映えが悪くなる。
【0006】
本発明は以上のような事情に鑑みてなされたものであり、爪の周りに液剤等が付着してしまった場合でも、ネイルプリントの見映えの悪化を抑制することのできる印刷制御装置、印刷制御方法及びプログラムを提供することを利点とするものである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
前記課題を解決するために、本発明の印刷制御装置の一態様は、
爪の領域を含む指先の画像に基づいて爪の領域と前記爪の周辺領域との境界を検出する検出手段と、
前記爪の周辺領域を対象として、前記検出手段により検出された境界に沿わせた縁取り印刷を実行させる制御手段と、
を備えることを特徴としている。
【発明の効果】
【0008】
本発明によれば、爪の周りに液剤等が付着してしまった場合でも、ネイルプリントの見映えの悪化を抑制するとの効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【0009】
図1】実施形態における印刷装置の要部外観構成を示す斜視図である。
図2】実施形態における印刷装置の制御構成を示した要部ブロック図である。
図3】載置部に載置された指及び爪を示す模式的な上面図である。
図4】本実施形態における指先領域の一例を示すイメージ図である。
図5図4に示す指先領域における爪の領域と爪の周辺領域との境界を示す模式図である。
図6】本実施形態における印刷制御処理を示すフローチャートである。
図7】(a)は、爪の領域内に過不足なく下地用の液剤が塗布された状態を示す平面図であり、(b)は、下地用の液剤が爪の周辺領域にはみ出して塗布されている例を示す平面図であり、(c)は、下地用の液剤が塗布された領域のうち爪の領域と爪の周辺領域とを分ける境界の内外を明らかにした説明図であり、(d)は、(c)に示す境界の内側にデザイン印刷を行い、境界の外側に縁取り印刷部を形成した例を示す平面図である。
図8】(a)は、デザインデータの一例を示す図であり、(b)は、爪の領域と爪の周辺領域との境界の内側にデザイン印刷を行い、境界の外側に縁取り印刷部を形成した例を示す平面図であり、(c)は、境界の内側にデザイン印刷を行い、境界の外側に一変形例にかかる縁取り印刷部を形成した例を示す平面図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
[印刷制御装置を備える印刷装置の構成]
図1から図7(d)を参照しつつ、本発明に係る印刷装置、印刷制御方法及びプログラムの一実施形態について説明する。
なお、以下に述べる実施形態には、本発明を実施するために技術的に好ましい種々の限定が付されているが、本発明の範囲を以下の実施形態及び図示例に限定するものではない。
また、以下の実施形態では、印刷装置が手の指の爪を印刷対象としてこれに印刷する印刷装置を例に説明するが、本発明における印刷装置の印刷対象は手の指の爪に限るものではなく、例えば足の指の爪等を印刷対象としてもよい。
【0011】
図1は、本実施形態における印刷制御装置を備える印刷装置の要部外観構成を示す斜視図である。図2は、本実施形態における印刷制御装置を備える印刷装置の概略の制御構成を示す要部ブロック図である。
なお、以下の実施形態において、上下、左右及び前後は、図1に示した向きをいうものとする。また、x方向、y方向は、図1に示した方向をいうものとする。本実施形態においてx方向は印刷装置1の幅方向(横方向)であり、y方向は印刷装置1の奥行き方向である。
【0012】
図1に示すように、印刷装置1は、ほぼ箱形に形成された筐体2を有している。
印刷装置1の筐体2の前面側(図1においてy方向の手前側)であって装置の左右方向(図1におけるx方向)のほぼ中央部には、印刷対象となる爪Tに対応する指U(図3等参照)を装置内に挿入する指挿入口21が設けられている。
また、筐体2の上面(天板)には操作部22や表示部23等が設置されている。
なお、筐体2各部の形状や各部の配置等は、図示例に限定されず、適宜設定可能である。
【0013】
操作部22は、ユーザが各種入力を行うものである。
操作部22は、例えば、印刷装置1の電源をON/OFFする操作ボタン(電源スイッチボタン)等である。
操作部22が操作されると操作に応じた操作信号が制御部11に出力され、制御部11が操作信号に従った制御を行い、印刷装置1の各部を動作させる。例えば操作部22が電源スイッチボタンである場合、ボタン操作に応じて印刷装置1の電源がON/OFFされる。
なお本実施形態では、印刷装置1が図示しない各種端末装置(例えばスマートフォン)等の外部装置と連携している場合には、操作部22に代えて、外部装置の操作部等から入力された操作信号に従って印刷装置1の各部が動作してもよい。
【0014】
また筐体2の上面(天板)には、表示部23が設けられている。
表示部23は、例えば液晶ディスプレイ(LCD:Liquid Crystal Display)、有機エレクトロルミネッセンスディスプレイその他のフラットディスプレイ等で構成されている。
表示部23の表面に各種の入力を行うためのタッチパネルが一体的に構成されていてもよい。この場合には、タッチパネルが操作部22として機能する。
【0015】
筐体2の内部には、載置部3、印刷機構4、撮影部5(図2参照)等が設けられた図示しない装置本体が収容されている。
載置部3は、指挿入口21の内側に対応する位置に配置されており、指挿入口から挿入された指Uを受け入れることができるようになっている。
【0016】
図3は、指及び爪が載置された状態の載置部を示す模式的な上面図である。
図3に示すように、載置部3の下側面は、指Uの腹部分を受ける指受け部31となっている。なお、指受け部31には、例えば樹脂等の柔軟性を有する材料で形成されたクッション部材が設けられていてもよい。
載置部3の奥側(装置後方側)の上面には指挿入口21から指Uが挿入され指受け部31により保持された場合に、指Uの爪T部分及び爪T周辺の指先部分を露出させる窓部32が形成されている。なお、実施形態において「爪T周辺の指先部分」とは、例えば指Uの第一関節(図3等において「第一関節J1」とする。)よりも指Uの先端側の部分をいうものとする。
【0017】
また本実施形態では、載置部3の手前側(図1におけるy方向の手前側)に指Uの上方を囲うような枠状部33が設けられている。載置部3に配置された指Uの上側は、この枠状部33の天面に突き当てられるようになっている。これにより、枠状部33の天面が指Uの上方向の位置を規制する指押えとして機能し、指Uが上方向に上がりすぎるのを防いで、指Uの高さ方向を位置決めすることができる。
さらに載置部3の奥側(図1におけるy方向の奥側)には爪先を載せる爪載置部35が設けられている。
指挿入口21から挿入され、載置部3の指受け部31上に載置された指Uは、爪先を爪載置部35に載せ、指Uの上面が枠状部33の天面によって規定されることで、動きが規制されて、爪Tが後述の印刷ヘッド41による印刷に適した適正位置に配置された状態で保持される。
【0018】
印刷機構4は、図2に示すように、印刷ヘッド41、X方向移動モータ45及びY方向移動モータ47等を備えている。
X方向移動モータ45は印刷ヘッド41を装置の左右方向(x方向)に移動させるモータであり、Y方向移動モータ47は印刷ヘッド41を装置の前後方向(y方向)に移動させるモータである。X方向移動モータ45及びY方向移動モータ47は例えばステッピングモータであり、印刷ヘッド41を移動させるためのヘッド移動機構を構成する。
【0019】
本実施形態の印刷ヘッド41は、印刷対象面(本実施形態では、爪表面)に対向する面が、インクを吐出させる複数のノズル口を備えたインク吐出面(いずれも図示せず)となっており、インクを微滴化し、インク吐出面から印刷対象である爪T等の表面に対して直接にインクを吹き付けて印刷を行うインクジェット方式のインクジェットヘッドである。印刷ヘッド41の構成は特に限定されないが、例えばインク吐出面等の吐出機構部とインクを貯留するインクカートリッジ(いずれも図示せず)とが一体となったカートリッジ一体型のヘッドである。
印刷ヘッド41は、例えば、シアン(C;CYAN)、マゼンタ(M;MAGENTA)、イエロー(Y;YELLOW)等、ネイルデザイン(以下単に「デザイン」ともいう)の印刷を行うためのインク(デザイン印刷用のカラーインク)を吐出可能となっている。なお、印刷装置1は、印刷ヘッド41として、下地を形成する塗料として白色等の下地用インクを吐出可能な下地用のヘッド等を備えていてもよい。なお、印刷ヘッド41に備えられるインクの種類はこれに限定されない。
【0020】
本実施形態の印刷機構4は、後述するように爪Tの領域(図5等において「爪領域Art」)にデザイン印刷用のカラーインクを用いてデザインの印刷を行う。
また、後述の「指先領域Arf」であって境界olよりも外側の領域(図5等において「爪Tの周辺領域Arp」)に、「爪Tの周辺領域Arp」の色に対応させた色で縁取り印刷を施し、縁取り印刷部Bp(図7(d)参照)を形成する。
【0021】
また、筐体2の上面(天板)の内側であって、載置部3に配置された指Uの爪Tの上方に対応する位置には、載置部3の窓部32から露出する爪T(爪Tを含む指U)を撮影して画像(爪画像)を取得することのできる撮影部5が固定されている。
なお撮影部5は、載置部3に載置された指Uの爪T等を撮影可能な位置に配置されていればよく、その具体的な配置は特に限定されない。
撮影部5は、例えば200万画素以上の画素を有するCCD(Charge Coupled Device)型やCMOS(Complementary Metal Oxide Semiconductor)型等の固体撮影素子とレンズ等を備えて構成された小型カメラ等であるカメラ51と、撮影対象を照明する白色LED等で構成された光源52とを備えている(図2参照)。
【0022】
本実施形態では、載置部3に載置された指Uの、第一関節J1よりも先端側の部分(「爪T周辺の指先部分」)のうち、爪Tの領域(図5等において「爪領域Art」)及び爪Tの周辺領域(図5等において「爪Tの周辺領域Arp」)が窓部32から露出する。
撮影部5のカメラ51では、少なくとも窓部32から露出している爪領域Art及び爪Tの周辺領域Arpを含む指Uの爪先側の領域(図5等において「指先領域Arf」)を撮影し、画像(爪画像)を取得する。
図4は、カメラで撮影される指先領域Arfの一例を示すイメージ図である。
撮影部5で取得された画像(爪画像)は制御装置10に送られて、制御部11に取得される。
【0023】
また図2に示すように、印刷装置1は、上述した印刷機構4及び撮影部5のほかに、通信部25と、制御装置10等を備えている。
通信部25は、印刷装置1と各種外部装置との間で情報の送受信が可能に構成されたものである。
印刷装置1と外部装置との間での通信は、例えば無線LAN等により行われる。なお、印刷装置1と外部装置との間での通信はこれに限定されず、いかなる方式によるものでもよい。例えば、インターネット等のネットワーク回線を使うものであってもよいし、Bluetooth(登録商標)やWi-Fi等の近距離無線通信規格に基づく無線通信を行うものであってもよい。また、この通信は無線に限定されず、有線接続により両者間で各種データの送受信が可能な構成としてもよい。通信部25は通信先の外部装置の通信方式に対応するアンテナチップ等を備えている。
【0024】
印刷装置1に搭載される制御装置10は、図示しないCPU(Central Processing Unit)等のプロセッサを有する制御部11と、ROM(Read Only Memory)及びRAM(Random Access Memory)等(いずれも図示せず)を有する記憶部12とを備えるコンピュータである。
記憶部12のROM等には、印刷装置1を動作させるための各種プログラムや各種データ等が格納されている。
本実施形態において制御装置10は、ROM等に格納された各種プログラムを制御部11がRAMの作業領域に展開して実行することによって、印刷装置1の各部の動作を統合的に制御する印刷制御装置である。
制御部11はプログラム(例えば印刷制御処理プログラム等)との協働により、印刷装置1が印刷制御処理等を行うための各種機能を実現する。
【0025】
まず、本実施形態の制御部11は、爪Tの領域を含む指先の画像に基づいて爪Tの領域(爪領域Art)と爪Tの周辺領域Arpとの境界ol(爪輪郭)を検出する検出手段として機能する。
本実施形態において「爪Tの領域を含む指先の画像」は、撮影部5のカメラ51が載置部3に載置された爪Tを含む指Uを撮影することにより得られた爪画像である。
制御部11は、撮影部5のカメラ51及び光源52を制御して爪画像を撮影させる。撮影された爪画像は撮影部5から制御装置10に送られて制御部11に取得される。
【0026】
前述のように、本実施形態において指Uの第一関節J1よりも指Uの先端側を指先部分とするが、実施形態では図3に示すように指Uの第一関節J1の周辺部分が枠状部33に覆われて隠れている。このため、実際にカメラ51で撮影され取得される爪画像(「爪Tの領域を含む指先の画像」)は、枠状部33で隠れずに窓部32から露出する爪Tを含む指Uの指先領域Arf(図4等参照)の画像である。なお、図4等において指先領域Arfを二点鎖線で囲んで示している。また図4等では実際には爪画像には含まれない指Uの付け根側の部分を破線で示している。
【0027】
なお、爪画像(「爪Tの領域を含む指先の画像」)は、印刷装置1の撮影部5によって撮影されるものに限定されない。
例えば装置外でスマートフォン等の外部装置によって爪Tの領域を含む指先部分を撮影することで得られた画像を爪画像(「爪Tの領域を含む指先の画像」)として制御部11が取得してもよい。この場合、爪画像として取得される範囲は、指Uの第一関節J1から指先までの全体等、より広い範囲であってもよい。
【0028】
図5は、図4に示すような指先領域を撮影した爪画像から検出された爪の領域と爪の周辺領域との境界の一例を示すイメージ図である。
図5では、指先領域Arfを一点鎖線で示し、爪Tの領域(爪領域Art)と爪Tの周辺領域Arpとの境界ol(爪輪郭)を点線で示している。
制御部11が、爪画像(「爪Tの領域を含む指先の画像」)に基づいて爪Tの領域(爪領域Art)と爪Tの周辺領域Arpとの境界ol(爪輪郭)を検出する手法は特に限定されない。例えば制御部11は、爪画像について各種の画像解析を行うことによって、爪Tとそれ以外の部分(指Uの皮膚等)との輝度差等を検出し、爪Tの領域(爪領域Art)の内外を画する境界ol(爪輪郭)を検出する。
【0029】
さらに制御部11は、検出手段として、爪画像(「爪Tの領域を含む指先の画像」)に基づいて爪Tの周辺領域Arpの色を検出する。「爪Tの周辺領域の色」とは、境界olを境とした爪Tの外側の領域(爪Tの周辺領域Arp)の皮膚等の色である。制御部11が爪画像から検出する色情報は、例えば「CIE色度図(xy色度図)」においてx,y座標で表される色度座標である。制御部11は、検出結果を記憶部12等に記憶させる。
なお、色情報は爪Tの周辺領域Arpの画素ごとのRGB値の平均値等であってもよい。
【0030】
また制御部11は、印刷機構4の各部を制御して印刷動作を行わせる。
具体的には、制御部11は印刷データに基づいて印刷ヘッド41を制御し、適宜インクを吐出させて、印刷を行わせる。また、制御部11は、適宜X方向移動モータ45、Y方向移動モータ47を動作させて適宜印刷ヘッド41をxy方向に移動させる。
【0031】
特に本実施形態では、制御部11は印刷機構4により、爪Tの周辺領域Arpを対象として、爪画像に基づいて検出された境界olに沿わせた縁取り印刷を実行させ、境界olに沿う爪Tの周辺領域Arpに縁取り印刷部Bp(図7(d)等参照)を形成させる。
縁取り印刷は、制御部11が爪画像(「爪Tの領域を含む指先の画像」)に基づいて検出した爪Tの周辺領域Arpの色(爪T周辺の皮膚等の色)に対応させた色で行われる。
【0032】
爪Tにデザインを印刷するネイルプリントでは、爪Tの領域(爪領域Art)を対象としたデザイン印刷に先立って爪Tの領域に白色等の下地用の液剤が塗布される場合がある。この下地用の液剤の塗付は、ユーザが手動(手塗り)で行うことが想定される。このため、ユーザの技量によっては下地用の液剤が爪Tの領域外の爪Tの周辺領域Arpにはみ出して塗布されてしまうことがあり得る。特に利き手(例えば右手)側の指Uの爪Tに利き手でない側の手(例えば左手)で液剤を塗布する場合には、爪Tの領域内に正しく液剤を塗布することが難しく、液剤が爪領域Artの周辺領域Arpに付着してしまうことが想定される。
【0033】
この点、本実施形態において制御部11は、少なくとも爪Tの周辺領域Arpであって下地用の液剤が付着した箇所(図7(b)等において「はみ出し領域Po」とする)に対して、印刷機構4による縁取り印刷を行わせるようになっている。
本来爪Tではなく爪T周辺の指U部分に液剤が付着している「はみ出し領域Po」に爪Tの周辺領域Arpの色又は当該色に近い色の縁取り印刷が施されることで、下地用の液剤が爪領域Artからはみ出して爪T周辺の指U部分等に付着してしまった場合にも、見映えに影響しない程度に目立たなくすることができる。
【0034】
また制御部11は、境界olに沿わせた縁取り印刷に先立って、印刷機構4により、爪領域Art(すなわち境界olを境とした爪Tの内側の領域)を対象としてデザイン印刷を行わせる。
具体的には、制御部11はユーザによって選択されたデザイン(ネイルデザイン)の画像データを適宜拡大縮小、配置の調整等を行って、爪画像から検出された境界ol(爪輪郭)の内側の領域に合わせ込み、印刷データを生成する。
そして、制御部11は印刷機構4に印刷データを出力し、X方向移動モータ45、Y方向移動モータ47を動作させるとともに、印刷ヘッド41により印刷データにしたがった印刷を行わせる。
【0035】
[印刷制御装置を備える印刷装置の作用、印刷制御方法]
次に、図6等を参照しつつ、本実施形態の印刷制御装置である制御装置10を含む印刷装置の作用、印刷制御処理について説明する。
図6は、本実施形態における印刷制御処理を示すフローチャートである。
【0036】
図6に示すように、本実施形態では、爪Tに白色等の下地用の液剤を爪Tに塗布して下地を形成する前に、制御部11はまず撮影部5の動作を制御し、載置部3上に配置された爪Tを含む指Uの指先部分をカメラ51で撮像させ、爪画像を取得する(ステップS1、図4参照)。この爪画像は、下地等が形成されていない地爪の爪画像(これを「第1の爪画像」とする。)である。
なお、制御部11は載置部3に指Uが配置(セット)されるまで、指Uを載置部3に配置するようにユーザに促すメッセージ等を表示部23等に表示させてもよい。
【0037】
爪画像(第1の爪画像)が取得されると、制御部11は、この「第1の爪画像」に対して画像処理、画像解析等を行うことにより、爪画像(第1の爪画像)に基づいて、爪T(爪領域Art)と爪Tの周辺領域Arpとを画する境界ol(爪輪郭)を検出する(ステップS2、図5参照)。
また制御部11は、爪Tの周辺領域Arpとされた領域の色情報(色度座標)を、「第1の爪画像」から取得する(ステップS3)。
【0038】
またユーザが操作部22等を操作することにより、爪Tに印刷したい所望のデザイン(ネイルデザイン)を選択すると、当該選択が制御部11によって受け付けられる(ステップS4)。制御部11は、選択されたデザインを境界ol(爪輪郭)の内側領域(図5等の爪領域Art)に合わせ込み、印刷データを生成する(ステップS5)。
【0039】
他方、ユーザは、カメラ51による地爪の撮影が行われると、一旦指Uを印刷装置1の外に取り出し、爪T(図5等の爪領域Art)に下地用の液剤を塗布して下地を形成する。下地の形成は、例えば筆や刷毛等を用いてユーザが手塗りすることにより行われる。
さらに、ユーザは下地が形成されると、その上からプレプリントコート剤を塗布し、印刷装置1の印刷ヘッド41により印刷されるインクを受容する受容層を爪Tの表面に形成する。プレプリントコート剤の塗布も、例えば筆や刷毛等を用いてユーザが手塗りすることにより行われる。
なお、下地の塗布やプレプリントコート剤の塗布等に関して例えば表示部23等に適宜手順を表示する等により、ユーザをガイドしてもよい。
【0040】
制御部11は、一旦装置外に指Uが取り出された後、再度載置部3に指Uが載置されたか否かを随時判断し(ステップS6)、載置されるまで当該判断を繰り返す(ステップS6;NO)。
他方載置部3に指Uが載置された場合(ステップS6;YES)には、制御部11は撮影部5の動作を制御し、載置部3上に配置された爪Tを含む指Uの指先部分をカメラ51で撮像させ、爪画像を取得する(ステップS7)。この爪画像は、下地形成後の爪Tの爪画像(これを「第2の爪画像」とする。)である。
【0041】
爪画像(第2の爪画像)が取得されると、制御部11は、この「第2の爪画像」から下地が形成された領域(下地塗布領域)を検出する(ステップS8)。具体的には、例えば制御部11は「第2の爪画像」に対して画像処理、画像解析等を行うことにより、輝度や白色度(Y値)等を検出し、下地用の液剤が塗布された下地塗布領域を検出する。
次に制御部11は、検出した下地塗布領域のうち、「第1の爪画像」から検出した境界ol(爪輪郭)の内側の領域を爪領域Artと判断し、境界ol(爪輪郭)の外側の領域をはみ出し領域Poと判別する(ステップS9)。
【0042】
例えば図7(a)は、下地用の液剤が境界ol(爪輪郭)の内側の領域(爪領域Art)からはみ出さず、爪領域Artのみに過不足なく塗布された例を示す図である。
これに対して、例えば図7(b)等は、爪領域Artの外側にまで下地用の液剤がはみ出して塗布された場合を示す図である。図7(c)に示すように、境界ol(爪輪郭)の外側にはみ出して液剤が塗布されている領域(図中、破線で示した領域)がはみ出し領域Poである。
【0043】
制御部11は、爪領域Art内にデザインを印刷し、はみ出し領域Poに爪Tの周辺領域Arpの色情報(色度座標)に応じた色で縁取り印刷を施した場合の仕上がりイメージを表示部23等に表示させる(ステップS10)。
そして、制御部11は、表示部23に表示された仕上がりイメージがユーザによって了承されたか否かを判断する(ステップS11)。ユーザが了承したか否かは、例えば操作部22等において印刷開始指示が入力されたか否かや、OKボタン等が操作されたか否か等によって判断される。
【0044】
ユーザによって仕上がりイメージが了承されない場合(例えば操作部22等においてNGボタンが操作された場合等、ステップS11;NO)には、制御部11はデザインの変更等を受け付ける(ステップS12)。この場合、例えば制御部11は、デザインを変更するか否かを問い合わせるメッセージや、変更可能なデザインの候補等を表示させる画面等を表示部23に表示させて、デザインの変更等を入力するよう、ユーザに促す。そしてステップS11に戻って処理を繰り返す。
【0045】
これに対して、例えば操作部22から印刷開始指示が入力された場合や、OKボタン等が操作された場合には、制御部11は仕上がりイメージがユーザによって了承されたものとして(ステップS11;YES)、印刷機構4の各部の動作を制御し、爪領域Art内に印刷データにしたがってデザインD(図7(d)参照)を印刷させる(ステップS13)。
また制御部11は、はみ出し領域Poには、印刷機構4により爪Tの周辺領域Arpの色情報(色度座標)に応じた色で縁取り印刷を行わせ、境界olに沿って縁取り印刷部Bp(図7(d)参照)を形成させる(ステップS14)。これにより、一連の処理を終了する。
【0046】
このように、爪画像から爪Tの内外の領域を画する境界olを検出し、境界olの内側の爪領域Artにはデザインを印刷し、境界olの外側の爪Tの周辺領域Arpには当該周辺領域Arpの色に応じた色で縁取り印刷を行う。このため、白色等の下地用の液剤が爪Tの領域(爪領域Art)からはみ出して爪Tの周辺領域Arpに付着した場合にも、あたかもはみ出していないような外観とすることができ、ネイルプリントの見映えの悪化を抑えることができる。
【0047】
[効果]
以上のように、本実施形態によれば、印刷装置1を制御する印刷制御装置(本実施形態において制御装置10)が、爪Tの領域を含む指先(指先領域Arf)の画像に基づいて爪Tの領域(爪領域Art)と爪Tの周辺領域(爪の周辺領域Arp)との境界ol(爪輪郭)を検出する検出手段、爪Tの周辺領域Arpを対象として、検出された境界olに沿わせた縁取り印刷を実行させる制御手段、として機能する制御部11を備えている。
これにより、例えばネイルプリントの施術に慣れていないユーザ等が下地用の液剤を手塗りする際に液剤が爪Tからはみ出して爪T周辺の皮膚に付着してしまった場合等、爪Tの領域(爪領域Art)の周りに液剤等が付着して汚れてしまった場合でも、あたかも爪領域Artのみに下地が塗布され、デザインDが印刷されているような見映えの仕上がりを実現でき、ネイルプリントの見映えの悪化を抑制することができる。このため、ユーザの技量等に関わらず、手軽に見映えの良いネイルプリントの施術を行うことができる。
【0048】
また本実施形態の制御装置10の制御部11は、印刷機構4を制御して、境界olに沿わせた縁取り印刷に先立ってデザイン印刷等を爪Tの領域(爪領域Art)を対象として実行させる。
これにより、爪TにデザインDを印刷するネイルプリントの施術を、印刷装置1を用いて比較的容易に行うことができる。
【0049】
また本実施形態では、爪Tの領域(爪領域Art)を対象としたデザイン印刷に先立って爪Tの領域(爪領域Art)に下地用の液剤が塗布される場合に、少なくとも爪Tの周辺領域Arpであって下地用の液剤が付着した箇所(図7(c)等においてはみ出し領域Po)に対して縁取り印刷が実行される。
このため、下地用の液剤が爪領域Artからはみ出して爪Tの周辺に付着してしまった場合にも、手を洗って下地用の液剤を除去したり、爪領域Artからはみ出さないように下地を塗り直す等の手間をかけることなく、下地のはみ出しが目立たない、見映えの良い仕上がりとすることができる。
そしてこの場合の縁取り印刷は、境界olに沿って、境界olの外側だけに施される。このため、爪Tの周辺領域Arpの色が誤って爪領域Artに対して塗られることが防止される。これにより、爪領域Artの中だけに下地の塗布及びデザイン印刷が行われた外観を実現することができる。
【0050】
また本実施形態の制御装置10の検出手段として機能する制御部11は、画像に基づいて爪Tの周辺領域Arpの色を検出し、制御手段として機能する制御部11は、検出手段そして検出した色に対応させた色で境界olに沿わせた縁取り印刷を実行させる。
これにより、縁取り印刷により形成された縁取り印刷部Bpが爪Tの周辺の指先部分の色と自然に馴染み、下地用の液剤の塗布時に液剤のはみ出しや、指Uへの付着等を生じた場合にも仕上がりに影響しない程度に目立たないようにすることができる。このため、ネイルプリントの見映えの悪化を抑えることができる。
【0051】
[変形例]
なお、以上本発明の実施形態について説明したが、本発明は、かかる実施形態に限定されず、その要旨を逸脱しない範囲で、種々変形が可能であることは言うまでもない。
【0052】
例えば、縁取り印刷としてどのような印刷を行うかは、実施形態に説明した例に限定されない。
ユーザによって選択されたデザインDが図8(a)に示すような、背景に樹木と星が描かれているようなものであった場合を例に、縁取り印刷の一例について説明する。
図8(b)は、上記の実施形態と同様にデザインDの印刷を境界ol(爪輪郭)の内側の爪領域Art内のみに行い、境界ol(爪輪郭)の外側の爪Tの周辺領域Arpには爪Tの周辺領域Arpの色に応じた色の縁取り印刷を行った例を示した図である。図8(b)に示す例では、縁取り印刷が施された縁取り印刷部Bpは、全体が爪Tの周辺領域Arpの色に応じた色となっている。
【0053】
これに対して図8(c)は、デザインDの印刷を境界ol(爪輪郭)の内側の爪領域Art内に行うとともに、境界ol(爪輪郭)の外側の爪Tの周辺領域Arpのうち、デザインDの、背景以外のデザイン部分(図示例では樹木の幹部分)に隣接するはみ出し領域Poには、デザイン部分(すなわち、樹木の幹部分)を延長した絵柄を印刷させ、それ以外のはみ出し領域Poには、爪Tの周辺領域Arpの色に応じた色の縁取り印刷を施して、縁取り印刷部Bp2を形成した例である。
【0054】
図8(c)に示すような印刷を行った場合には、下地用の液剤が爪領域Artからはみ出して指Uに付着した箇所を目立たないように見映え良く仕上げることができるとともに、デザイン部分(樹木の幹部分)を延長して印刷した箇所では、デザインDの一部が爪Tから飛び出したような印象を与える仕上がりとすることができる。
このため、縁取り印刷に、単なるはみ出し領域Poを隠すリカバリーの効果以上の視覚的効果を持たせることができる。
【0055】
また上記実施形態では、図6に示すフローチャートに示したように、下地用の液剤等を塗布する前の地爪を撮影し、地爪の画像(「第1の爪画像」)を取得して、「第1の爪画像」に基づいて境界olの検出等を行う場合を例示したが(図6のステップS1、ステップS2等)、下地用の液剤等の塗布前に地爪の画像(「第1の爪画像」)を取得することは必須ではない。
例えば下地用の液剤等の塗布後の爪Tを撮影し、画像(「第2の爪画像」)を取得して、「第2の爪画像」に基づいて境界olの検出等を行ってもよい。
【0056】
この場合には図6のステップS1からステップS6を省略することができ、ユーザは下地用の液剤等の塗布後に載置部3に指Uを配置すればよい。このため、一旦印刷装置1から指Uを取り出して、その後に指Uを再配置する等の手間を省くことができる。
下地用の液剤等の塗布後であっても、爪Tと、爪T以外の指Uの部分(周辺領域Arp)とでは、表面の状態や質感等が異なる。また、境界olは段差を伴っている。このため、下地用の液剤等の塗布後の爪Tを撮影した画像(「第2の爪画像」)を解析することによっても、爪Tの領域(爪領域Art)と爪T以外の周辺領域Arpとを区別して、その境界ol(爪輪郭)を検出することは可能である。
【0057】
なお「第2の爪画像」に基づいて境界olの検出等を行う場合には、例えば図6のステップS7又はステップS8のあと、ステップS9の前にステップS2の処理を行う。また、ステップS7又はステップS8のあと、ステップS10の前までのいずれかのタイミングでステップS3からステップS5の処理を行う。なお、ユーザによるデザインの選択を受け付けるステップS4の処理は、印刷制御処理(図6に示すフロー)に入る前の段階等で行われてもよい。
【0058】
また、本実施形態では、印刷装置1の制御装置10が印刷制御装置として機能し、印刷装置1が単体で印刷処理を完結させる場合を例示したが、印刷制御装置は、印刷装置1の制御装置10である場合に限定されない。
例えば印刷装置1が外部装置(例えばスマートフォン等の端末装置)と連携している場合には、外部装置の制御部等が印刷制御装置として機能してもよい。
この場合には、例えば外部装置の記憶部等に、印刷装置1と連携するためのネイルプリントアプリケーションプログラム等、所定の印刷制御処理を印刷装置1に行わせるためのプログラムや各種でデータ等が格納される。
【0059】
外部装置の制御部等が印刷制御装置として機能する場合には、例えば外部装置の制御部等が爪Tの領域を含む指先(指先領域Arf等)の画像(爪画像)を印刷装置1や自機に設けられている撮影手段等から取得し、検出手段として、当該画像(爪画像)に基づいて爪Tの領域(爪領域Art)と爪Tの周辺領域Arpとの境界ol(爪輪郭)を検出する。
また、外部装置の制御部等は、画像(爪画像)に基づいて爪Tの周辺領域Arpの色情報を取得し、印刷装置1で爪Tの周辺領域Arpを対象とした縁取り印刷を行う場合の色を決定する。そして検出した境界ol(爪輪郭)の情報や決定した色の情報を印刷装置1に送信し、印刷装置1において爪Tの周辺領域Arpを対象として、境界ol(爪輪郭)に沿わせた縁取り印刷を実行させる。
さらにこの場合、外部装置の制御部等は、ユーザによって選択されたデザインの情報等に基づいて印刷装置1で印刷させる印刷データを生成して、印刷装置1に出力してもよい。
【0060】
このように、スマートフォン等の外部装置の制御部等が印刷制御装置として機能する場合には、印刷装置1側の制御装置10の制御部11は、外部装置の制御部等において検出された検出結果や処理結果等を外部装置から受け取り、当該検出結果や処理結果等に基づいて印刷機構4等の動作制御を行えばよい。このため、印刷装置1の制御部11や記憶部12にかかる負荷を軽減することができ、印刷装置1の制御構成をより簡易なものとすることができる。
【0061】
また本実施形態では、印刷機構4に設けられている印刷ヘッド41が、デザイン印刷用のカラーインクを吐出可能なものであり、白色等の下地用の液剤は、ユーザが手塗りすることを想定したが、下地用の液剤の塗布は手塗りされる場合に限定されない。
例えば、印刷機構4が白色等の下地用の液剤を吐出可能な下地用の印刷ヘッドを備え、下地用の液剤が印刷ヘッドによって印刷されるようにしてもよい。
この場合には、制御部11は、境界ol(爪輪郭)に沿わせた縁取り印刷に先立って、まずデザインの下地印刷を爪Tの領域(爪領域Art)を対象として実行させ、その後デザイン印刷を爪Tの領域(爪領域Art)を対象として実行させる。
【0062】
なお、本実施形態では、印刷装置1の印刷ヘッド41として、インクジェット方式の印刷ヘッド41を備える構成としたが、印刷ヘッド41の構成はこれに限定されない。
例えばシリンジ型のヘッドやペン型のヘッド等、インクジェット方式の印刷ヘッド41とは異なる構成のものを備えてもよい。
この場合には、白色等の色材を含む下地用の液剤や、ある程度粘度の高いインク等を用いて印刷する場合であっても、良好に印刷することが可能となる。
【0063】
また本実施形態では、爪Tの領域(爪領域Art)を対象としたデザイン印刷に先立って爪Tの領域に下地用の液剤が塗布される場合に、爪Tの周辺領域Arpであって下地用の液剤が付着した箇所(図7(c)等に示すはみ出し領域Po)に対して縁取り印刷を施す場合を例示したが、縁取り印刷は、爪Tの周辺領域Arpを対象として、爪Tの領域(爪領域Art)と爪Tの周辺領域Arpとの境界ol(爪輪郭)に沿わせて行われるものであればよく、必ずしも下地用の液剤の塗布や液剤のはみ出し領域Poがあることを前提としない。例えば下地用の液剤の塗布等とは関係なく、爪Tの周辺領域Arpに汚れ等が付着してしまった場合等に、境界ol(爪輪郭)に沿わせて縁取り印刷を施すことによって汚れ等を隠し、ネイルプリント後の見映えを向上させてもよい。
【0064】
以上本発明のいくつかの実施形態を説明したが、本発明の範囲は、上述の実施の形態に限定するものではなく、特許請求の範囲に記載された発明の範囲とその均等の範囲を含む。
【符号の説明】
【0065】
1 印刷装置
3 載置部
4 印刷機構
41 印刷ヘッド
5 撮影部
51 カメラ
52 光源
10 制御装置(印刷制御装置)
11 制御部(検出手段、制御手段)
12 記憶部
Arf 指先領域
Arp 爪の周辺領域
Art 爪領域
Bp 縁取り印刷部
D デザイン(ネイルデザイン)
J1 第一関節
ol 境界(爪輪郭)
Po はみ出し領域
T 爪
U 指
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8