IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

2024-167521水供給システム、及び、その運転制御方法
<>
  • -水供給システム、及び、その運転制御方法 図1
  • -水供給システム、及び、その運転制御方法 図2
  • -水供給システム、及び、その運転制御方法 図3
  • -水供給システム、及び、その運転制御方法 図4
  • -水供給システム、及び、その運転制御方法 図5
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024167521
(43)【公開日】2024-12-04
(54)【発明の名称】水供給システム、及び、その運転制御方法
(51)【国際特許分類】
   C02F 1/44 20230101AFI20241127BHJP
   B01D 61/58 20060101ALI20241127BHJP
   B01D 69/02 20060101ALI20241127BHJP
   B01D 71/02 20060101ALI20241127BHJP
【FI】
C02F1/44 A
C02F1/44 D
B01D61/58
B01D69/02
B01D71/02
【審査請求】未請求
【請求項の数】9
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023083653
(22)【出願日】2023-05-22
(71)【出願人】
【識別番号】000005108
【氏名又は名称】株式会社日立製作所
(74)【代理人】
【識別番号】110001807
【氏名又は名称】弁理士法人磯野国際特許商標事務所
(72)【発明者】
【氏名】佐久間 広貴
(72)【発明者】
【氏名】隅倉 みさき
【テーマコード(参考)】
4D006
【Fターム(参考)】
4D006GA03
4D006GA32
4D006JA53Z
4D006KA53
4D006KA55
4D006KA57
4D006KE04P
4D006KE05Q
4D006KE16P
4D006KE23Q
4D006MB09
4D006MB10
4D006MC03
4D006MC05
4D006MC18
4D006MC23
4D006MC29
4D006MC30
4D006MC54
4D006PA01
4D006PB02
4D006PB08
4D006PC80
(57)【要約】
【課題】低品質な水源から効率的に純水を製造して水素製造装置に供給する。
【解決手段】水供給システム10は、水素製造装置100に水素製造用水120を供給するためのシステムであって、原水110から水素製造用水120を製造する水処理システム20と、水処理システムから排出される濃縮水32から水素製造用水をさらに製造する濃縮装置30と、水処理システムの内部と濃縮装置の内部とを結ぶ濃縮水の送出ルート50上に、水素製造装置で発生する廃熱を用いて濃縮水を温める加温部51と、を備える。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
水素製造装置に水素製造用水を供給するための水供給システムであって、
原水から前記水素製造用水を製造する水処理システムと、
前記水処理システムから排出される濃縮水から前記水素製造用水をさらに製造する濃縮装置と、
前記水処理システムの内部と前記濃縮装置の内部とを結ぶ前記濃縮水の送出ルート上に、前記水素製造装置で発生する廃熱を用いて前記濃縮水を温める加温部と、を備える、
ことを特徴とする水供給システム。
【請求項2】
前記水処理システムと前記濃縮装置の動作を制御する制御部を備え、
前記制御部は、前記水素製造装置の稼働率に応じて前記水処理システムと前記濃縮装置の造水量比率を制御する
ことを特徴とする請求項1に記載の水供給システム。
【請求項3】
前記制御部は、前記水素製造装置の稼働率が任意の閾値以上になる場合に、前記濃縮装置の造水量比率を増やし、また、前記水素製造装置の稼働率が任意の閾値未満になる場合に、前記水処理システムの造水量比率を増やすように、前記水処理システムと前記濃縮装置の動作を制御する
ことを特徴とする請求項2に記載の水供給システム。
【請求項4】
前記水処理システムは、原水を濃縮水と第1透過水とに分離する第1水処理膜モジュールと、前記第1透過水を濃縮水と第2透過水とに分離する第2水処理膜モジュールと、を備え、
前記第1水処理膜モジュールは、親水性の第1水処理膜を有し、
前記第1水処理膜は、ナノカーボン構造体で構成されている
ことを特徴とする請求項1に記載の水供給システム。
【請求項5】
前記第2水処理膜モジュールは、前記第1水処理膜よりも目が細かい、親水性の第2水処理膜を有し、
前記第2水処理膜は、ナノカーボン構造体で構成されている
ことを特徴とする請求項4に記載の水供給システム。
【請求項6】
前記濃縮装置は、膜蒸留装置を有する
ことを特徴とする請求項1に記載の水供給システム。
【請求項7】
前記膜蒸留装置は、疎水性膜を有し、
前記疎水性膜は、グラフェンで構成された膜が積層された構造になっている、又は、グラフェンで構成された膜に複数の孔が形成された構造になっている
ことを特徴とする請求項6に記載の水供給システム。
【請求項8】
原水から水素製造用水を製造する水処理システムと、前記水処理システムから排出される濃縮水から前記水素製造用水をさらに製造する濃縮装置と、前記水処理システムの内部と前記濃縮装置の内部とを結ぶ前記濃縮水の送出ルート上に、水素製造装置で発生する廃熱を用いて前記濃縮水を温める加温部と、を備え、かつ、前記水素製造装置に前記水素製造用水を供給するための水供給システムの運転制御方法であって、
水供給システムでの消費エネルギーができるだけ小さくになるように、前記水素製造装置の水素製造用水の需要、廃熱量、廃熱の温度、利用可能電力量から、前記水処理システムと前記濃縮装置の造水量比率を決定する
ことを特徴とする水供給システムの運転制御方法。
【請求項9】
原水から水素製造用水を製造する水処理システムと、前記水処理システムから排出される濃縮水から前記水素製造用水をさらに製造する濃縮装置と、前記水処理システムの内部と前記濃縮装置の内部とを結ぶ前記濃縮水の送出ルート上に、水素製造装置で発生する廃熱を用いて前記濃縮水を温める加温部と、を備え、かつ、前記水素製造装置に前記水素製造用水を供給するための水供給システムの運転制御方法であって、
前記水素製造装置から前記加温部に供給される廃熱の温度、前記濃縮装置に供給される冷却水の温度、前記濃縮装置で製造される水の造水量から、前記濃縮装置の内部に設けられた膜蒸留装置への前記水処理システムからの濃縮水の流入流速を決定する
ことを特徴とする水供給システムの運転制御方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、水供給システム、及び、その運転制御方法に関する。
【背景技術】
【0002】
太陽光や風力等の再生可能エネルギーを利用した水電解によって製造された水素は、カーボンニュートラルなエネルギーとして注目されている。その水素を製造する水素製造装置としては、例えば特許文献1に開示されたものがある。特許文献1に開示された水素製造装置は、再生可能エネルギー設備で発電した変動電力から水素を製造するものであって、酸素発生極がIrとMnの合金酸化物であることを特徴とするものである。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2013-136801号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、水素製造装置は、原料として高純度の純水を要する。近隣に河川、湖沼等の淡水源がある場合は、その淡水源から水を確保することができる。しかしながら、淡水源は、飲料水や農業用水として利用されている場合が多く、十分な量の水を確保することが難しい。そのため、低品質な水源から効率的に純水を製造して水素製造装置に供給することができる水供給システムの提供が望まれる。
【0005】
また、一般的に、再生可能エネルギーの代表である太陽光や風力等の発電設備の設置に適した場所は、淡水資源に恵まれていない場所が多い。そのため、水供給システムは、産業の排水処理水や、かん水、随伴水処理水等の低品質の原水から純水を製造することが望まれており、低品質の原水から純水を製造する場合に要するエネルギーが多くなる傾向にあるため、純水の製造に要するエネルギーを抑制(低減)することが望まれる。さらに低品質の原水から純水を製造する際に、多くの不純物が残留する濃縮水が発生するが、その濃縮水には水成分が含まれているため、その濃縮水からも純水をできるだけ多く得ることが望まれる。
【0006】
本発明は、前記した課題を解決するためになされたものであり、低品質な水源から効率的に純水を製造して水素製造装置に供給する水供給システム、及び、その運転制御方法を提供することを主な目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
前記目的を達成するため、本発明は、水素製造装置に水素製造用水を供給するための水供給システムであって、原水から前記水素製造用水を製造する水処理システムと、前記水処理システムから排出される濃縮水から前記水素製造用水をさらに製造する濃縮装置と、前記水処理システムの内部と前記濃縮装置の内部とを結ぶ前記濃縮水の送出ルート上に、前記水素製造装置で発生する廃熱を用いて前記濃縮水を温める加温部と、を備える、構成とする。
その他の手段は、後記する。
【発明の効果】
【0008】
本発明によれば、低品質な水源から効率的に純水を製造して水素製造装置に供給することができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
図1】本実施形態に係る水供給システムの概略構成を示すブロック図である。
図2】本実施形態に係る水供給システムに用いる濃縮装置の膜蒸留装置の模式図である。
図3】本実施形態に係る水供給システムに用いる濃縮装置の膜蒸留装置の変形例の模式図である。
図4】本実施形態に係る水供給システムにおける第1運転制御方法の動作を示すフローチャートである。
図5】本実施形態に係る水供給システムにおける第2運転制御方法の動作を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、図面を参照して、本発明の実施の形態(以下、「本実施形態」と称する)について詳細に説明する。なお、各図は、本発明を十分に理解できる程度に、概略的に示しているに過ぎない。よって、本発明は、図示例のみに限定されるものではない。また、各図において、共通する構成要素や同様な構成要素については、同一の符号を付し、それらの重複する説明を省略する。また、本発明は、以下に説明する実施形態に限るものではなく、異なる構成同士を組み合わせたり、任意に変形したりすることができる。
【0011】
<水供給システムの構成>
以下、図1乃至図3を参照して、本実施形態1に係る水供給システム10の構成について説明する。図1は、水供給システム10の概略構成を示すブロック図である。図2は、水供給システム10に用いる濃縮装置30の膜蒸留装置31の模式図である。図3は、水供給システム10に用いる濃縮装置30の膜蒸留装置31Aの変形例の模式図である。
【0012】
図1に示すように、本実施形態係る水供給システム10は、原水110から不純物を除去する処理を行って純水化された水素製造用水120を製造し、水素製造装置100に供給するシステムである。水供給システム10は、原水110から純水を製造する水処理システム20と、水処理システム20から排出される濃縮水32をさらに濃縮して純水を製造する濃縮装置30と、を備える。また、水供給システム10は、水処理システム20の内部と濃縮装置30の内部とを結ぶ濃縮水32の送出ルート50上に、水素製造装置100で発生する排水や排気の廃熱を用いて濃縮水32を温める加温部51を備える。
【0013】
本実施形態では、加温部51がヒートパイプ52(図2及び図3参照)を有する構成になっているものとして説明する。ヒートパイプ52(図2及び図3参照)は、水素製造装置100で水素製造の際に発生した排水や排気を流動させる流路である。ヒートパイプ52(図2及び図3参照)は、濃縮水32の送出ルート50に配置された配管に接触しながら、その配管の周囲を複数回巻くように配置されている。図1に示す例では、加温部51が水処理システム20の内部から濃縮装置30の内部に亘って設けられている。しかしながら、加温部51は、水処理システム20の内部にのみ、又は、濃縮装置30の内部にのみ、又は、水処理システム20と濃縮装置30との間に、設けるようにしてもよい。ヒートパイプ52(図2及び図3参照)を流動した排水や排気は、水供給システム10の外部に排出される。
【0014】
水供給システム10は、水素製造装置100に対して製造した水素製造用水120を供給し、水素製造装置100での水素製造の際に発生した排水や排気の廃熱130を受け取る。受け取った廃熱130は、濃縮水32を加熱するために用いられる。
【0015】
原水110については、特に限定しないが、水素製造装置100の設置場所付近で利用可能な水源から取水されるとよい。本実施形態係る水供給システム10は、水処理システム20と濃縮装置30で、不純物を多く含む低品質な水から純水を得ることができる。そのため、水供給システム10は、例えば、産業の排水処理水や、かん水、随伴水処理水等の低品質な水を原水110として用いることができる。
【0016】
水処理システム20は、原水110を水処理システム20に取り込むポンプ20aと、原水110を第1濃縮水24と第1透過水23とに分離する第1水処理膜モジュール21と、第1透過水23を第2濃縮水26と純水化された第2透過水25とに分離する第2水処理膜モジュール22と、を備える。原水110は、第1水処理膜モジュール21に供給されて、第1透過水23と第1濃縮水24に分離される。第1透過水23は、第2水処理膜モジュール22に供給されて、第2透過水25と第2濃縮水26に分離される。ただし、水処理システム20は、3つ以上の水処理膜モジュールを備える構成であってもよい。
【0017】
第1水処理膜モジュール21は、内部に、親水性で、かつ、多孔質の第1水処理膜21aを有している。第1水処理膜21aは、ナノカーボン構造体で構成されている。第1水処理膜モジュール21は、第1水処理膜21aで、原水110から、膜ファウリングの要因となる有機物や、配管の内部に固着するスケール(湯垢)の要因となる2価イオン(例えばCa2+、Mg2+等)を除去(分離)する。これにより、水処理システム20は、第2水処理膜モジュール22への膜ファウリングやスケール付着等による処理効率や第2透過水25の水質の低下を抑制することができる。さらに、水処理システム20は、洗浄頻度の低減や第2水処理膜モジュール22の寿命延長等により運転コストの低減を実現することができる。
【0018】
なお、第1水処理膜21aとしては、ナノろ過膜(NF膜;Nano Filtration)が好ましい。ナノろ過膜は、主に2価イオンの除去を目的として使用される膜である。第1水処理膜21aの材質としては、ポリアミドや酢酸セルロースなどの高分子材料、アルミナやチタニアなどの無機材料、酸化グラフェンなどのナノカーボン材料を用いることができる。第1水処理膜21aは、特に酸化グラフェンなどのナノカーボン材料を用いた場合に、耐ファウリング性が良好であるため、より好ましい。水処理システム20は、このような第1水処理膜21aを第1水処理膜モジュール21に用いることにより、第1水処理膜モジュール21の洗浄頻度の低減及び寿命延長による交換頻度の低減により運転コストの低減を実現することができる。
【0019】
第2水処理膜モジュール22は、内部に、第1水処理膜21aよりも目が細かい、親水性で、かつ、多孔質の第2水処理膜22aを有している。第2水処理膜22aは、ナノカーボン構造体で構成されている。第2水処理膜モジュール22は、第2水処理膜22aで、第1透過水23から第2透過水25を製造する。第1透過水23は、主に1価のイオンを不純物として含む。そのため、第2水処理膜モジュール22は、第2水処理膜22aで、第1透過水23からそれらの不純物を除去する。水処理システム20は、第2水処理膜モジュール22で生成される第2透過水25を水素製造用水120として水素製造装置100に送る。その際に、水処理システム20は、第2透過水25の一部を冷却用純水35として濃縮装置30に送る。
【0020】
なお、第2水処理膜22aとしては、逆浸透膜(RO膜;Reverse Osmosis Membrane)や電気透析膜が好ましい。逆浸透膜や電気透析膜は、全てのイオンの不純物の除去を目的として使用される膜である。また、第2水処理膜22aは、逆浸透膜と電気透析膜のいずれか一方のみの構成でも、両者を組み合わせた構成でも構わない。水処理システム20は、このような第2水処理膜22aを第2水処理膜モジュール22に用いることにより、第1水処理膜モジュール21で生成された第1透過水23を第2濃縮水26と純水化された第2透過水25とに分離することができる。水処理システム20は、第1水処理膜モジュール21から排出される第1濃縮水24と第2水処理膜モジュール22から排出される第2濃縮水26とを合わせて濃縮水32として濃縮装置30に送る。
【0021】
濃縮装置30は、内部に、膜蒸留装置31を有する。膜蒸留装置31は、濃縮水32をさらに濃縮された濃縮水(第3濃縮水34)と純水化された透過水(第3透過水33)とに分離する装置である。膜蒸留装置31は、内部に、疎水性多孔質膜36を有している。疎水性多孔質膜36は、濃縮水32を第3濃縮水34と第3透過水33(純水)とに分離するための膜である。疎水性多孔質膜36は、疎水性で、かつ、多孔質な構成になっている。疎水性多孔質膜36は、水を透過できないが、水蒸気を透過することができる性質を有している。
【0022】
濃縮装置30は、水処理システム20で原水110から分離された濃縮水32を供給水として受けると、膜蒸留装置31の疎水性多孔質膜36で、濃縮水32を第3透過水33と第3濃縮水34に分離する。
【0023】
濃縮装置30は、例えば、図2に示すように構成することができる。図2に示す例では、濃縮装置30の膜蒸留装置31の内部は、疎水性多孔質膜36によって、冷却用純水35よりも高温の濃縮水32が流入する区画と、濃縮水32よりも低温の純水(冷却用純水35)が流入する区画とに分割(分離)されている。図2に示す例では、高温の濃縮水32が流入する区画は、疎水性多孔質膜36よりも左側の区画である。また、低温の純水(冷却用純水35)が流入する区画は、疎水性多孔質膜36よりも右側の区画である。
【0024】
膜蒸留装置31の内部では、高温の濃縮水32から水蒸気が発生する。水蒸気は、疎水性多孔質膜36を透過した後、低温の冷却用純水35(純水)と合わさり、冷却用純水35によって冷却されることで、凝縮して液状化する。これにより、第3透過水33が生成される。このようにして膜蒸留装置31は、膜蒸留による濃縮で純水(第3透過水33)を製造する。製造された第3透過水33は、第2透過水25と合わせて水素製造用水120として水素製造装置100に供給される。
【0025】
なお、膜蒸留装置31の内部に濃縮水32と冷却用純水35を流す際に、同一方向に流してもよい。しかしながら、逆方向に流す方が濃縮水32と冷却用純水35との間に温度差を確保して、濃縮水32から発生する水蒸気を効率よく冷却して純水(第3透過水33)を製造し易くすることができるため、より好ましい。
【0026】
また、水素製造装置100の廃熱130を利用して濃縮水32を加熱する方法としては、濃縮水32と直接熱交換する方式や専用の熱伝導媒体(例えばヒートパイプ52等)を介して熱交換する方法等を挙げることができる。本実施形態では、水供給システム10は、加温部51において専用の熱伝導媒体としてヒートパイプ52を介して熱交換する方法を用いるものとして説明する。
【0027】
低温の冷却用純水35としては、水処理システム20で製造した第2透過水25を用いてもよいし、図示せぬシステムで製造された純水を用いるようにしてもよい。疎水性多孔質膜36の素材としては、ポリプロピレン(PP)やポリテトラフルオロエチレン(PTFE)、疎水化表面処理を施したポリフッ化ビニリデン(PVDF)、グラフェンなどのナノカーボン材料等を挙げることができる。特にグラフェンは、良好な耐ファウリング性を示すことから、膜洗浄頻度や交換頻度の低減による運転コストの低減効果が期待できる。
【0028】
濃縮装置30から排出された第3濃縮水34は、乾固装置140において乾固され固形廃棄物150とすることができる。濃縮装置30で十分に濃縮されているため、少ない消費エネルギーで乾固することができ、廃棄物の容積を減少させること(減容させること)ができる。
【0029】
なお、濃縮装置30は、図2に示す構成を、例えば、図3に示す構成に変更することができる。図3に示す構成は、濃縮水32から純水(第3透過水33)を生成する際に、図2に示す構成で用いられる冷却用純水35の代わりに、不純物を含む可能性がある冷却水39を用いることができるようにしたものである。ここでは、冷却水39として、不純物を含む可能性がある原水110Aが用いられるものとして説明する。
【0030】
図3に示す例では、濃縮装置30は、膜蒸留装置31(図2参照)の代わりに、膜蒸留装置31Aを有する構成になっている。膜蒸留装置31Aは、内部に、疎水性多孔質膜36と、凝縮板38を有している。
【0031】
図3に示す例では、膜蒸留装置31Aの内部は、疎水性多孔質膜36と凝縮板38によって、冷却水39よりも高温の濃縮水32が流入する区画と、濃縮水32よりも低温の冷却水39が流入する区画と、高温の濃縮水32から発生する水蒸気が流れ込む区画とに分割(分離)されている。図3に示す例では、高温の濃縮水32が流入する区画は、疎水性多孔質膜36よりも左側の区画)である。冷却水39が流入する区画は、凝縮板38よりも右側の区画である。高温の濃縮水32から発生する水蒸気が流れ込む区画は、疎水性多孔質膜36と凝縮板38との間の区画である。
【0032】
膜蒸留装置31Aの内部では、低温の冷却水39が凝縮板38を冷却する。また、高温の濃縮水32から水蒸気が発生する。水蒸気は、疎水性多孔質膜36を透過してエアギャップ37に流入した後、凝縮板38を介して低温の冷却水39によって冷却されることで、凝縮して液状化する。これにより、第3透過水33が生成される。このようにして膜蒸留装置31Aは、膜蒸留による濃縮で純水(第3透過水33)を製造する。製造された第3透過水33は、第2透過水25と合わせて水素製造用水120として水素製造装置100に供給される。
【0033】
なお、膜蒸留装置31Aの内部に濃縮水32と冷却水39を流す際に、同一方向に流してもよい。しかしながら、逆方向に流す方が濃縮水32と冷却水39との間に温度差を確保して、濃縮水32から発生する水蒸気を効率よく冷却して純水(第3透過水33)を製造し易くすることができるため、より好ましい。冷却水39としては、不純物を除去する処理が行われていない原水110を用いてもよい。
【0034】
<水供給システムの運転制御方法>
以下、図4及び図5を参照して、水供給システム10の動作について説明する。図4は、水供給システム10における第1運転制御方法の動作を示すフローチャートである。また、図5は、水供給システム10における第2運転制御方法の動作を示すフローチャートである。
【0035】
(運転制御方法についての考察)
純水の供給先(需要先)であり廃熱源である水素製造装置100は、電力源である再生可能エネルギー量や調整電力量に応じて稼働率を変化させる場合がある。このような水素製造装置100では必要な純水量や発生する廃熱量が変化するため、それに応じて水供給システム10の運転条件を制御することが好ましい。
【0036】
なお、水供給システム10は、水処理システム20において、逆浸透膜モジュール用の高圧ポンプや電気透析用電源等に、ある程度のエネルギー(電力)を用いる。一方で、水供給システム10は、濃縮装置30において、純水(第3透過水33)を製造するための供給水として水処理システム20の濃縮水32を用いるため、追加のポンプ等がなくとも一定以上の濃縮水32の流入流速を確保することができる。
【0037】
また、濃縮水32の加熱についても、水素製造装置100からの廃熱130を熱源とするため、水供給システム10は、別途熱源を必要としない。このような水供給システム10は、造水時の消費エネルギーを抑制(低減)することができる。したがって、水供給システム10は、濃縮装置30による造水量を増加させた方が消費エネルギーを抑制(低減)することができる。しかしながら、水供給システム10は、純水(第3透過水33)を製造するための供給水として水処理システム20の濃縮水32を用いるため、濃縮水32の流入速度を速くしすぎると、濃縮水32から純水を製造する処理量を超えてしまい、外部に排出される濃縮水(第3濃縮水34)の量が増加する可能性がある。
【0038】
また、水素製造装置100の稼働率が低い場合に、廃熱量が少ないまたは廃水温が低くなる。そのため、濃縮装置30の造水量が減少する。このような水供給システム10は、水素製造装置100の稼働率(純水の需要量、廃熱量/廃水温)に応じて、水処理システム20と濃縮装置30の造水量の比率を制御することで、造水にかかる消費エネルギー(電力)を最適化することができる。具体的には、水素製造装置100の稼働率が高い場合に十分な廃熱量があるため、水供給システム10は、濃縮装置30の造水量を増加させて、水処理システム20の造水量(回収率)を低減させるとよい。その際に、水処理システム20のポンプ圧力や原水流速を下げることで、水供給システム10は、水処理システム20の造水量(回収率)を低減させることができ、かつ濃縮装置30に必要量の濃縮水を送ることができる。これにより、水供給システム10は、造水にかかる消費エネルギーを抑制(低減)することができる。
【0039】
また、水素製造装置100の稼働率が低い場合に、廃熱量が少ないまたは廃水温が低くなる。それによって、濃縮装置30で処理可能な濃縮水量(濃縮水32の量)の減少や、造水速度の低下が発生する可能性がある。そこで、水供給システム10は、濃縮装置30が処理可能な濃縮水量を送るように水処理システム20の造水量(回収率)を設定することで、水素製造装置100に供給する水素製造用水120の必要量を確保するとともに、消費エネルギーを抑制(低減)することができる。
【0040】
また、膜蒸留装置31において造水速度(透過速度)は、高温側の濃縮水32と低温側の冷却用純水35(図2参照)(又は、冷却水39(図3参照))との温度差に比例する。そのため、水素製造装置100の廃水温が低下すると、濃縮水32の温度が低下して、高温側の濃縮水32と低温側の冷却用純水35(図2参照)(又は、冷却水39(図3参照))との温度差が小さくなる。その結果、造水速度(透過速度)が低下する。このような条件においても十分な造水量を確保するために、水供給システム10は、水素製造装置100の廃水温に応じて膜蒸留装置31の運転条件を制御することが好ましい。運転条件の制御としては、水素製造装置100の廃水温を制御入力として、膜蒸留装置31への濃縮水32の流入速度を変化させる方法や、膜蒸留装置31に濃縮水32を複数回流入させるようにし、その流入回数を変化させる方法等がある。
【0041】
これらの観点から、本実施形態では、水供給システム10の運転条件の制御の一例としては、以下の第1運転制御方法と第2運転制御方法の2通りの方法を提供する。
(第1運転制御方法)水処理システム20での消費エネルギーを低減するように、水処理システム20と濃縮装置30での造水量比率(稼動率)を決定(調整)する方法(図4参照)。
(第2運転制御方法)濃縮装置30の内部に設けられた膜蒸留装置31への水処理システム20からの濃縮水32の流入流速を決定する方法(図5参照)。
【0042】
(第1運転制御方法)
図4に示すように、第1運転制御方法では、まず、水供給システム10の制御部CLは、水供給システム10に通信可能に接続された外部のサーバ(不図示)や水供給システム10の内部又は外部に設けられたデータベース(不図示)等にアクセスする。そして、制御部CLは、水素製造装置100の水素製造用水120の需要、水素製造装置100での水素製造の際に発生する排水や排気の廃熱量、排水や排気の廃熱温度、水供給システム10の利用可能電力量等の情報を参照する(ステップS105)。
【0043】
次に、制御部CLは、ステップS105で参照された情報に基づいて、水処理システム20と濃縮装置30の造水量比率を決定する(ステップS110)。このとき、制御部CLは、水供給システム10での消費エネルギーができるだけ小さくになるように(特に好ましくは、最小になるように)、水処理システム20と濃縮装置30の造水量比率を決定するとよい。
【0044】
次に、制御部CLは、ステップS110で決定された造水量比率に沿うように、水処理システム20と濃縮装置30を稼働させる(ステップS115)。
【0045】
(第2運転制御方法)
図5に示すように、第2運転制御方法では、まず、水供給システム10の制御部CLは、水供給システム10に通信可能に接続された外部のサーバ(不図示)や水供給システム10の内部又は外部に設けられたデータベース(不図示)等にアクセスする。そして、制御部CLは、水素製造装置100から水供給システム10に供給される排水や排気の廃熱温度、濃縮装置30に供給する冷却用純水35(図2参照)(又は、冷却水39(図3参照))の冷却水温度、濃縮装置30での造水量等の情報を参照する(ステップS205)。
【0046】
次に、制御部CLは、ステップS205で参照された情報に基づいて、膜蒸留装置31への水処理システム20からの濃縮水32の流入流速を決定する(ステップS210)。このとき、制御部CLは、膜蒸留装置31で製造される純水(第3透過水33)の量により水素製造装置100に供給する水素製造用水120の必要量を確保することができるように、膜蒸留装置31への水処理システム20からの濃縮水32の流入流速を決定するとよい。
【0047】
次に、制御部CLは、ステップS210で決定された濃縮水32の流入流速に沿うように、水処理システム20と濃縮装置30を稼働させる(ステップS215)。
【0048】
<水供給システムの作用効果>
ここでは、以下の実施例1と実施例2と比較例とを対比して、水供給システム10の作用効果について、説明する。
【0049】
(実施例1)
実施例1では、水供給システム10は、水処理システム20を構成する第1水処理膜モジュール21として酸化グラフェン膜から構成される水処理膜モジュールを用い、第2水処理膜モジュール22として逆浸透膜モジュールを用いる構成とした。また、濃縮装置30は、膜蒸留装置31(図2参照)を備え、疎水性多孔質膜36としてはグラフェン膜から構成される多孔質膜を用いた。また、実施例1では、水供給システム10は、水処理システム20の内部と濃縮装置30の内部とを結ぶ濃縮水32の送出ルート50上に、水素製造装置100で発生する排水や排気の廃熱を用いて濃縮水32を温める加温部51を備える構成とした。また、実施例1では、水供給システム10は、水処理システム20で生成された純水(第2透過水25)を冷却用純水35として膜蒸留装置31に送り、濃縮水32から発生して疎水性多孔質膜36を透過する水蒸気を冷却用純水35で冷却する構成とした。
【0050】
(実施例2)
実施例2では、水供給システム10は、実施例1と比較して、膜蒸留装置31(図2参照)の代わりに、膜蒸留装置31A(図3参照)を備える点で相違する構成とした。それ以外の構成は、実施例1と同様である。
【0051】
(比較例)
比較例では、水供給システムは、加温部51(図1参照)と濃縮装置30(図1参照)を備えず、水処理システム20(図1参照)のみを備える構成とした。
【0052】
比較例の水供給システムは、水素製造装置100で発生する排水や排気の廃熱を利用する加温部51(図1参照)と濃縮装置30(図1参照)を備えていない。このような比較例の水供給システムは、水素製造装置100に供給する純水の全量を水処理システム20で製造する。このような比較例の水供給システムは、純水の回収率(取水量に対する造水量の比率)が70%程度となる。また、比較例の水供給システムは、実施例1及び実施例2の水供給システム10と比較して消費エネルギー(消費電力)が例えば20%以上増加する。
【0053】
これに対し、実施例1及び実施例2の水供給システム10は、水素製造装置100の稼働率が十分に高い場合に、十分な量でかつ十分な廃熱温度(例えば80℃)の排水や排気が水素製造装置100から排出される。水供給システム10は、例えば水処理システム20と濃縮装置30での造水量の比率を15:85とすると、水処理システム20での純水の回収率(取水量に対する造水量の比率)を15%程度とすることができ、また、消費エネルギー(消費電力)を抑制(低減)することができる。また、水供給システム10は、水供給システム10全体での純水の回収率(取水量に対する造水量の比率)は90%以上とすることができ、原水110を効率的に利用することができ、乾固処理を行う濃縮水量を抑制(低減)することができる。
【0054】
なお、実施例1及び実施例2の水供給システム10は、水素製造装置100の稼働率が50%程度である場合に、廃熱温度が70℃程度となる。そのため、膜蒸留装置31での造水速度が40%程度低下する。そこで、実施例1及び実施例2の水供給システム10は、水処理システム20と濃縮装置30での造水量の比率を65:35とし、膜蒸留装置31への濃縮水32の流入速度を低下させる、あるいは、膜蒸留装置31へ濃縮水32を複数回流入させることで所定の造水量を確保し、水供給システム10全体の回収率も90%以上を確保することができる。これにより、実施例1及び実施例2の水供給システム10は、原水110を効率的に利用することができる。
【0055】
<水供給システムの主な特徴>
(1)図1に示すように、本実施形態に係る水供給システム10は、水素製造装置100に水素製造用水120を供給するためのシステムであって、水処理システム20と、濃縮装置30と、を備える。水処理システム20は、原水110から水素製造用水120を製造するシステムである。濃縮装置30は、水処理システム20から排出される濃縮水32から水素製造用水120をさらに製造する装置である。水供給システム10は、水処理システム20の内部と濃縮装置30の内部とを結ぶ濃縮水32の送出ルート50上に、水素製造装置100で発生する排水や排気の廃熱を用いて濃縮水32を温める加温部51を備える。
【0056】
このような本実施形態に係る水供給システム10は、水処理システム20の内部と濃縮装置30の内部とを結ぶ送出ルート50上に設けられた加温部51で、水素製造装置100で発生する排水や排気の廃熱を用いて濃縮水32を温める。そのため、水供給システム10は、水処理システム20での消費エネルギーを抑制(低減)しながら、効率的に純水を製造することができる。その結果、水供給システム10は、低品質な水源から効率的に純水を製造して水素製造装置100に供給することができる。
【0057】
(2)図1に示すように、本実施形態に係る水供給システム10は、水処理システム20と濃縮装置30の動作を制御する制御部CLを備える。制御部CLは、水素製造装置100の稼働率に応じて水処理システム20と濃縮装置30の造水量比率を制御するとよい。
【0058】
このような本実施形態に係る水供給システム10は、水素製造装置100の稼働率に応じて水処理システム20と濃縮装置30の造水量比率を制御するため、効率的に純水を製造して水素製造装置100に供給することができる。
【0059】
(3)本実施形態に係る水供給システム10において、制御部CLは、水素製造装置100の稼働率が任意の閾値以上になる場合に、濃縮装置30の造水量比率を増やし、また、水素製造装置100の稼働率が任意の閾値未満になる場合に、水処理システム20の造水量比率を増やすように、水処理システム20と濃縮装置30の動作を制御するとよい。
【0060】
このような本実施形態に係る水供給システム10は、水素製造装置100の稼働率と閾値との関係に合わせて、濃縮装置30の造水量比率又は水処理システム20の造水量比率を増減すること(調整すること)ができる。そのため、これによっても、水供給システム10は、効率的に純水を製造して水素製造装置100に供給することができる。
【0061】
(4)図1に示すように、本実施形態に係る水供給システム10において、水処理システム20は、原水110を第1濃縮水24と第1透過水23とに分離する第1水処理膜モジュール21と、第1透過水23を第2濃縮水26と第2透過水25とに分離する第2水処理膜モジュール22と、を備える。第1水処理膜モジュール21は、親水性の第1水処理膜21aを有し、第1水処理膜21aは、ナノカーボン構造体で構成されているとよい。
【0062】
このような本実施形態に係る水供給システム10は、タンパク質や糖質を第1水処理膜21aに付着し難くすることができる。そのため、水供給システム10は、第1水処理膜21aの洗浄頻度を少なくすることができる。また、水供給システム10は、洗浄による第1水処理膜21aの劣化を抑制することができるため、第1水処理膜21aの交換頻度を少なくすることができる。
【0063】
(5)本実施形態に係る水供給システム10において、第2水処理膜モジュール22は、第1水処理膜21aよりも目が細かい、親水性の第2水処理膜22aを有し、第2水処理膜22aは、ナノカーボン構造体で構成されているとよい。
【0064】
このような本実施形態に係る水供給システム10は、第1水処理膜モジュール21で生成された第1透過水23から純水化された第2透過水25を第2水処理膜モジュール22で生成するとともに、タンパク質や糖質を第2水処理膜22aに付着し難くすることができる。そのため、水供給システム10は、透過水の純水化を促進しつつ、第2水処理膜22aの洗浄頻度を少なくすることができる。また、水供給システム10は、洗浄による第2水処理膜22aの劣化を抑制することができるため、第2水処理膜22aの交換頻度を少なくすることができる。
【0065】
(6)図1に示すように、本実施形態に係る水供給システム10において、濃縮装置30は、膜蒸留装置31を有するとよい。
【0066】
このような本実施形態に係る水供給システム10は、濃縮装置30の膜蒸留装置31で、濃縮水32をさらに濃縮された濃縮水(第3濃縮水34)と純水化された透過水(第3透過水33)とに分離することができる。
【0067】
(7)図2及び図3に示すように、本実施形態に係る水供給システム10において、膜蒸留装置31は、疎水性膜(疎水性多孔質膜36)を有している。疎水性膜(疎水性多孔質膜36)は、グラフェンで構成された膜が積層された構造になっている、又は、グラフェンで構成された膜に複数の孔が形成された構造になっているとよい。
【0068】
このような本実施形態に係る水供給システム10は、疎水性膜(疎水性多孔質膜36)で、濃縮水32をさらに濃縮された濃縮水(第3濃縮水34)と純水化された透過水(第3透過水33)とに効率よく分離することができる。
【0069】
(8)図4に示すように、水供給システム10の運転制御方法は、水供給システム10での消費エネルギーができるだけ小さくになるように(特に好ましくは、最小になるように)、水素製造装置100の水素製造用水120の需要、廃熱量、廃熱の温度、利用可能電力量から、水処理システム20と濃縮装置30の造水量比率を決定するとよい。
【0070】
このような本実施形態に係る水供給システム10の運転制御方法は、水供給システム10での消費エネルギーができるだけ小さくになるように(特に好ましくは、最小になるように)、水素製造装置100の水素製造用水120の需要、廃熱量、廃熱の温度、利用可能電力量から、水処理システム20と濃縮装置30の造水量比率を決定する。そのため、この水供給システム10の運転制御方法は、水供給システム10での消費エネルギーを抑制(低減)することができる。
【0071】
(9)図5に示すように、水供給システム10の運転制御方法は、水素製造装置100から加温部51に供給される廃熱の温度、濃縮装置30に供給される冷却水の温度、濃縮装置30で製造される水の造水量から、濃縮装置30の内部に設けられた膜蒸留装置31への水処理システム20からの濃縮水32の流入流速を決定するとよい。
【0072】
このような本実施形態に係る水供給システム10の運転制御方法は、水素製造装置100から加温部51に供給される廃熱の温度、濃縮装置30に供給される冷却水の温度、濃縮装置30で製造される水の造水量から、濃縮装置30の内部に設けられた膜蒸留装置31への水処理システム20からの濃縮水32の流入流速を決定する。そのため、この水供給システム10の運転制御方法は、濃縮水32からから効率的に純水を製造することができる。
【0073】
以上の通り、本実施形態に係る水供給システム10によれば、水素製造装置100で発生する廃熱を用いて加温部51で濃縮水32を温めるため、低品質な水源から効率的に純水を製造して水素製造装置100に供給することができる。
【0074】
本発明は、前記した実施形態に限定されるものではなく、様々な変形例が含まれる。例えば、前記した実施形態は、本発明を分かり易く説明するために詳細に説明したものであり、必ずしも説明した全ての構成を備えるものに限定されるものではない。また、施形態の構成の一部を他の構成に置き換えることが可能であり、また、実施形態の構成に他の構成を加えることも可能である。また、各構成の一部について、他の構成の追加・削除・置換をすることが可能である。
【0075】
例えば、前記した実施形態では、水処理システム20が2つの水処理膜モジュール(第1水処理膜モジュール21と第2水処理膜モジュール22)を備えるものとして説明したが、水処理システム20は3つ以上の水処理膜モジュールを備える構成にしてもよい。この場合に、水供給システム10は、各水処理膜モジュールから排出された濃縮水を合わせて濃縮水32として水処理システム20から濃縮装置30に送る。その際に、水供給システム10は、水処理システム20の内部と濃縮装置30の内部とを結ぶ送出ルート50上に設けられた加温部51で、水素製造装置100で発生する排水や排気の廃熱を用いて濃縮水32を温める。これにより、水供給システム10は、エネルギーの消費を抑制(低減)しながら、効率的に純水を製造することができる。また、水供給システム10は、最終段の水処理膜モジュールで生成された透過水を濃縮装置30の膜蒸留装置31で生成された透過水に混入させて水素製造用水120として水素製造装置100に供給する。これにより、水供給システム10は、濃縮水32から純水をできるだけ多く得ることができる。
【符号の説明】
【0076】
10 水供給システム
20 水処理システム
20a ポンプ
21 第1水処理膜モジュール
21a 第1水処理膜
22 第2水処理膜モジュール
22a 第2水処理膜
23 第1透過水
24 第1濃縮水
25 第2透過水
26 第2濃縮水
30 濃縮装置
31,31A 膜蒸留装置
32 濃縮水
33 第3透過水
34 第3濃縮水
35 冷却用純水
36 疎水性多孔質膜(疎水性膜)
37 エアギャップ
38 凝縮板
39 冷却水
50 送出ルート
51 加温部
52 ヒートパイプ
100 水素製造装置
110 原水
110A 原水
120 水素製造用水
130 廃熱
140 乾固装置
150 固形廃棄物
CL 制御部
図1
図2
図3
図4
図5