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特開2024-167525建物用シャッター装置におけるガイドレールの取り付け構造
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024167525
(43)【公開日】2024-12-04
(54)【発明の名称】建物用シャッター装置におけるガイドレールの取り付け構造
(51)【国際特許分類】
   E06B 9/17 20060101AFI20241127BHJP
   E06B 9/58 20060101ALI20241127BHJP
【FI】
E06B9/17 M
E06B9/58 A
【審査請求】未請求
【請求項の数】8
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023083658
(22)【出願日】2023-05-22
(71)【出願人】
【識別番号】307038540
【氏名又は名称】三和シヤッター工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100085394
【弁理士】
【氏名又は名称】廣瀬 哲夫
(74)【代理人】
【識別番号】100128392
【弁理士】
【氏名又は名称】服部 秀一
(74)【代理人】
【識別番号】100165456
【弁理士】
【氏名又は名称】鈴木 佑子
(72)【発明者】
【氏名】高島 健一
(72)【発明者】
【氏名】初見 空
【テーマコード(参考)】
2E042
【Fターム(参考)】
2E042AA01
2E042DA05
(57)【要約】
【課題】建物用のシャッター装置1において、ガイドレール3が取り付けられる躯体側部材2を木製としたものが火災に曝された場合に、燃え代層Xが焼失してレール基端部3aと燃え残り層Yとの間に生じた隙間から火炎が非火災側に通過しないようにする。
【解決手段】レール基端部3と燃え代層Xの表面との対向部位Zに、火災時の熱によって膨張する熱膨張耐火材6を設けて、焼失した部位を膨張した熱膨張耐火材6で埋めるようにする。
【選択図】図3
【特許請求の範囲】
【請求項1】
開口部左右の躯体側部材に取り付けられるガイドレールと、該ガイドレールに案内されて開口部の開閉をするシャッターカーテンとを備え、
前記ガイドレールのレール基端部が取り付けられる躯体側部材の面が木製の表面層で構成されてなる建物用シャッター装置において、
前記レール基端部と表面層との対向部位に、火災時の熱を受けて膨張する熱膨張耐火材が設けられることを特徴とする建物用シャッター装置におけるガイドレールの取り付け構造。
【請求項2】
熱膨張耐火材は、前記対向部位の火災を受けて焼失する表面層部位を埋める状態で膨張することを特徴とする請求項1記載の建物用シャッター装置におけるガイドレールの取り付け構造。
【請求項3】
木製の表面層は、躯体側部材が火災条件下で燃焼する燃え代層であることを特徴とする請求項1記載の建物用シャッター装置におけるガイドレールの取り付け構造。
【請求項4】
熱膨張耐火材は、前記対向部位に挟持される状態で設けられることを特徴とする請求項1記載の建物用シャッター装置におけるガイドレールの取り付け構造。
【請求項5】
熱膨張耐火材には、前記対向部位の幅方向端部部位に配されることで対向部位から幅方向外側に膨出して該外側の表面層部位を覆蓋するものがあることを特徴とする請求項1記載の建物用シャッター装置におけるガイドレールの取り付け構造。
【請求項6】
幅方向端部部位の熱膨張耐火材は、レール基端部に形成される凹嵌状の目地部に配されることを特徴とする請求項5記載の建物用シャッター装置におけるガイドレールの取り付け構造。
【請求項7】
熱膨張耐火材として、前記対向部位の幅方向端部部位に配される端部側熱膨張耐火材と、幅方向中間部部位に配される中間部側熱膨張耐火材とが備えられることを特徴とする請求項1記載の建物用シャッター装置におけるガイドレールの取り付け構造。
【請求項8】
端部側熱膨張耐火材は、中間部側熱膨張耐火材よりも熱膨張温度が低いものに設定されていることを特徴とする請求項7記載の建物用シャッター装置におけるガイドレールの取り付け構造。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ビルや住宅等の建物の出入り口等の開口部に設けられる建物用シャッター装置におけるガイドレールの取り付け構造の技術分野に関するものである。
【背景技術】
【0002】
一般に、ビルや住宅等の建物の出入り口等の開口部に建物用のシャッター装置を建て付けることがあるが、該シャッター装置は、開口部の左右両側の躯体側部材に取り付けられるガイドレール、該ガイドレールに案内されて開口部の開閉移動(昇降移動)をするシャッターカーテン等の各種の部材装置を用いて構成される。
ところで近時、木目の美しさを表出できることもあって柱や壁等の躯体側部材の表面を木製とすることが提唱されているが、躯体側部材を木製とした場合、火災により躯体側部材が早期のうちに焼失して建物が崩落する等の大きなダメージを受けることが危惧され、そこでこれを回避するため、躯体側部材について早期の焼失がないよう準耐火構造、耐火構造等の法的基準が制定されている。これらの基準によると、躯体側部材を予め設定された火災条件下で所定時間曝した場合に、表面側(表層側)の表面層部分は焼失するものの、芯側の燃え残り層部分が所定強度のある状態で残ることが要求され、このため躯体側部材を、燃え残り層を考慮した然るべき厚さ(太さ)とすれば躯体側部材を木製としても良いとされる場合がある。
ところでシャッター装置は、シャッターカーテンが閉鎖した状態では開口部を前後に仕切る仕切り体として機能することから、開口部の前後方向一方側で発生した火災が、開口部を越えて他方側へ類焼することを防止(遅延)する防火機能を有している。
このような防火機能が発揮されるシャッター装置において、ガイドレールが取り付けられる躯体側部材を木製とした場合に、該躯体側部材としては、火災が発生した場合に燃え残る燃え残り層が存在する条件のものが採用される。そしてこのような木製の躯体側部材にガイドレールを取り付けた場合に、該ガイドレールは、躯体側部材の表面に取り付けられることになるが、火災が発生して躯体側部材の燃え代層部位が焼失して燃え残り層部位まで焼け細った場合、ガイドレールと躯体側部材の燃え残り層とのあいだに空洞状の隙間ができ、この隙間を通して火炎が火災発生のない反対側に吹き出る等して類焼(延焼)することが想定される。
そこでこのような類焼を避けるため、ガイドレールが取り付けられる躯体側部材の表面を、石膏やケイ酸カルシウム、炭酸カルシウム等の無機質の不燃材を用いて形成された不燃性(耐火性)の被覆材(ボード材)で被覆し、これによって木製の躯体側部材のガイドレールが取り付けられる表面層が焼失しないよう配慮したものが提唱されている(例えば特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2022-35414号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
前述したように不燃性の被覆材で木製の躯体側部材の表面を被覆したものでは、表面層部位の焼失を回避することができるが、このものでは躯体側部材を木製にしたにもかかわらず、躯体側部材の表面が被覆材となっていることから、折角の木材表面が外観視されないことになって躯体側部材を木製として木目を表出しようとする意図が損なわれてしまう等の問題があり、これらに本発明の解決すべき課題がある。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明は、上記の如き実情に鑑みこれらの課題を解決することを目的として創作されたものであって、請求項1の発明は、開口部左右の躯体側部材に取り付けられるガイドレールと、該ガイドレールに案内されて開口部の開閉をするシャッターカーテンとを備え、前記ガイドレールのレール基端部が取り付けられる躯体側部材の面が木製の表面層で構成されてなる建物用シャッター装置において、前記レール基端部と表面層との対向部位に、火災時の熱を受けて膨張する熱膨張耐火材が設けられることを特徴とする建物用シャッター装置におけるガイドレールの取り付け構造である。
請求項2の発明は、熱膨張耐火材は、前記対向部位の火災を受けて焼失する表面層部位を埋める状態で膨張することを特徴とする請求項1記載の建物用シャッター装置におけるガイドレールの取り付け構造である。
請求項3の発明は、木製の表面層は、躯体側部材が火災条件下で燃焼する燃え代層であることを特徴とする請求項1記載の建物用シャッター装置におけるガイドレールの取り付け構造である。
請求項4の発明は、熱膨張耐火材は、前記対向部位に挟持される状態で設けられることを特徴とする請求項1記載の建物用シャッター装置におけるガイドレールの取り付け構造である。
請求項5の発明は、熱膨張耐火材には、前記対向部位の幅方向端部部位に配されることで対向部位から幅方向外側に膨出して該外側の表面層部位を覆蓋するものがあることを特徴とする請求項1記載の建物用シャッター装置におけるガイドレールの取り付け構造である。
請求項6の発明は、幅方向端部部位の熱膨張耐火材は、レール基端部に形成される凹嵌状の目地部に配されることを特徴とする請求項5記載の建物用シャッター装置におけるガイドレールの取り付け構造である。
請求項7の発明は、熱膨張耐火材として、前記対向部位の幅方向端部部位に配される端部側熱膨張耐火材と、幅方向中間部部位に配される中間部側熱膨張耐火材とが備えられることを特徴とする請求項1記載の建物用シャッター装置におけるガイドレールの取り付け構造である。
請求項8の発明は、端部側熱膨張耐火材は、中間部側熱膨張耐火材よりも熱膨張温度が低いものに設定されていることを特徴とする請求項7記載の建物用シャッター装置におけるガイドレールの取り付け構造である。
【発明の効果】
【0006】
請求項1の発明とすることにより、ガイドレールのレール基端部と躯体側部材の表面層との対向部位に設けられた熱膨張耐火材が火災の熱を受けて膨張することになって、対向部位に形成される隙間を埋めることができて高い防火機能を有したものとなる。
請求項2の発明とすることにより、熱膨張耐火材が、火災を受けて焼失する前記対向部位の表面層を埋める状態で膨張する結果、該対向部位が空洞状の隙間になることを防止でき、高い防火機能が発揮できることになる。
請求項3の発明とすることにより、木製の表面層が躯体側部材の燃え代層である結果、躯体側部材が耐火材により被覆しないものであっても高い防火機能を発揮することができる。
請求項4の発明とすることにより、熱膨張耐火材が、前記対向部位に挟持される状態で設けられたものになる結果、高い防火可能を発揮できながら、熱膨張耐火材が外部から視認されることがなく、木製の表面としたことの意義が損なわれることがない。
請求項5の発明とすることにより、対向部位の幅方向端部部位に配された熱膨張耐火材が、焼失する部位を埋めるものだけでなく、対向部位から幅方向外側に膨出して該外側の表面層部位を覆蓋するものがある結果、該熱膨張耐火材によって覆蓋された外側の表面層部位の焼失が遅延することになって、高い防火機能を発揮することができる。
請求項6の発明とすることにより、外側の表面層部位を覆蓋する幅方向端部部位の熱膨張耐火材が、レール基端部に形成される凹嵌状の目地部に配される結果、外側の表面層部位を覆蓋することが早い段階で行われることになって、より高い防火機能を発揮することができる。
請求項7の発明とすることにより、熱膨張耐火材として、対向部位の幅方向端部部位に配される端部側熱膨張耐火材と幅方向中間部部位に配される中間側熱膨張耐火材とが備えられる結果、焼失した表面層部位を埋めるだけでなく、外側の表面層部位の覆蓋もなされることになって、より高い防火機能を発揮することができる。
請求項8の発明とすることにより、端部側熱膨張耐火材が、中間部側熱膨張耐火材よりも低い熱膨張温度で膨張する設定になっている結果、幅方向外側の表面層部位の覆蓋が焼失する前の早い段階でできることになってより高い防火機能を発揮することができる。
【図面の簡単な説明】
【0007】
図1】シャッター装置の正面図である。
図2】(A)(B)は躯体側部材の見込み面にガイドレールを取り付けた状態の正常時、火災焼失時の水平断面図である。
図3】(A)(B)はガイドレール取り付け部位の正常時、火災焼失時の拡大水平断面図である。
図4】第二の実施の形態を示すものであって、(A)(B)は躯体側部材の見付け面にガイドレールを取り付けた状態の正常時、火災焼失時の水平断面図である。
図5】第三の実施の形態を示すものであって、(A)(B)は目地部が形成されたガイドレールを取り付けた状態の正常時、火災焼失時の水平断面図である。
図6】第四の実施の形態を示すものであって、(A)(B)は端部側熱膨張耐火材が膨張した状態、全ての熱膨張耐火材が熱膨張した状態を示す取り付け部位の水平断面図である。
図7】第五の実施の形態を示すものであって、(A)(B)は正常時、火災焼失時の水平断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0008】
以下、本発明の実施の形態について、図面に基づいて説明する。図面において、1は建物用のシャッター装置であって、該シャッター装置1は、建物の出入り口等の前後方向に出入り可能な開口部Eの左右に設けられる躯体側部材2、該躯体側部材2に取り付けられるガイドレール3、該ガイドレールに昇降案内されて開口部Eの開閉をするシャッターカーテン4、開口部Eの上方に配され、シャッターカーテン4の巻装をする巻き取り体5、該巻き取り体5の巻装駆動をするための電動式の開閉機M等の各種の部材装置を用いて構成されること等は何れも従来通りである。
【0009】
本実施の形態の躯体側部材2は木製の柱(四角柱)が採用されるが、該躯体側部材2は、火災に曝された場合に、表面側の層(表面層)が燃え代層Xとなって焼失し、芯(中心)側の層が燃え残り層Yとして残る肉厚のものとなっていて、所謂準耐火構造になっている。そして該柱を構成する躯体側部材2の開口部E側の見込み面2aにガイドレール3が取り付け固定されるように設定される。
【0010】
前記ガイドレール3は、躯体側部材2の見込み面2aに取り付けられるレール基端部3aと、シャッターカーテン4の左右端縁部が遊嵌状に嵌入してシャッターカーテン3の昇降案内をするガイド溝部3baが形成されたレール先端部3bとを備えて構成されるが、レール基端部3aは、躯体側部材2に取り付けられる取り付け片部3aaが平面状の跨部となり、該取り付け片部3aaの前後両端縁部から左右方向内側(開口部E側)に向けて脚片部3abが突出形成された平面視でコ字形に構成されている。そしてレール基端部3aは、取り付け片部3aaから挿入したビス3cを、躯体側部材2の燃え代層Xを貫通して燃え残り層Yにまで深く螺入することで躯体側部材2に取り付け固定される。
【0011】
一方、レール先端部3bは、左右方向内側に前記ガイド溝部3baが形成され、左右方向外側にレール基端部3aの脚片部3abに外嵌(または内嵌)する脚片部3bbが形成されたものとなっている。そして前記躯体側部材2にビス3cを介して取り付けられたレール基端部3aの脚片部3abに、レール先端部3bの脚片部3bbを外嵌した重合状態で、互いに重合する(当接する)脚片部3ab、3bb同士をビス3dを介して締結することで、ガイドレール3の躯体側部材2への取り付けができるように構成されている。
【0012】
ガイドレール3はこのようにして躯体側部材2に取り付けられるが、本実施の形態においては、レール基端部3aの取り付け片部3aaと前記躯体側部材2の見込み面2aとの対向部位に、火災の熱(高熱)に曝されることで膨張(熱膨張)するシート状の熱膨張耐火材(例えば「フィブロック(登録商標)」)6が、取り付け片部3aaの前後方向全幅に亘って挟持される状態で設けられている。
このように熱膨張耐火材6が前後方向全幅に亘って設けられることで、該熱膨張耐火材6としては、前後方向端部部位に配される端部側熱膨張耐火材6aと、前後方向中間部(中央部)部位に配される中間側熱膨張耐火材6bとが前後に一連状に連結された幅広の状態で設けられたものとなっている。
【0013】
そしてガイドレール3が火災に曝されたとき、該火災の熱を受けて熱膨張耐火材6が膨張することになるが、該膨張した熱膨張耐火材6は、取り付け片部3aaに対向する対向部位Zの躯体側部材2が火災を受けて焼失する燃え代層X部位を埋める状態で膨張するよう設定されている。そしてこのように構成されることで、前記対向部位Zの燃え代層Xが焼失することで、該対向部位Zに、前後に貫通する隙間が形成されたとして、該隙間は、膨張した熱膨張耐火材6によって埋められたものとなって封止され、これによって燃え代層Yが焼失することによって対向部位Zに形成される隙間を介して火炎が火災発生側とは反対側に吹き出る等して類焼してしまうことの防止が図れることになる。
【0014】
叙述の如く構成された本実施の形態において、建物用のシャッター装置1では、構成するガイドレール3のレール基端部3aと躯体側部材見込み面2aの表面との対向部位Zに熱膨張耐火材6が設けられたものとなっており、そして該熱膨張耐火材6が、火災に曝されたときの熱を受けて膨張することになるが、該膨張した熱膨張耐火材6は、レール基端部3aと躯体側部材2との対向部位Zの燃え代層Xが焼失することで形成される空洞状の隙間を埋めることになる。
この結果、躯体側部材2を表面まで木製としながら、火災発生時において前記対向部位Zでの燃え代層Xの焼失により形成される隙間が、熱膨張した熱膨張耐火材6によって埋められたものとなり、該対向部位Zでの遮炎機能が維持され、躯体側部材2の表面を耐火材によって被覆することなく木材表面としたままのものであっても高い防火機能が発揮されることになる。
しかもこの様に高い防火機能を発揮せしめるため設けられる熱膨張耐火材6は、レール基端部3aと躯体側部材2との対向部位Zに挟持される状態で設けられる結果、該熱膨張耐火材6は、レール基端部3aによって隠された覆蓋状態で設けられることとなって外部から直接視認されることがなく、躯体側部材2を木製の表面としたことの意義が損なわれることがない。
【0015】
尚、本発明は前記実施の形態に限定されないものであることは勿論であって、ガイドレール3が設けられる躯体側部材2としては、前記実施の形態のように柱に限定されず、図4、5、6に示す第二、第三、第四の実施の形態のように、壁7(2)等、開口部Eの左右両端部を構成するものであればよい。そして躯体側部材2にガイドレール3のレール基端部3aを取り付ける場合に、前記実施の形態では躯体側部材2の見込み面2aにレール基端部3aを取り付けたが、第二、第三、第四の実施の形態では見付け面2bに取り付けるものとしており、このようにしたものでもよい。
この場合にガイドレール3としては、レール先端部3bをL字形に形成したものとしているが、レール基端部3aをL字形に形成したものであっても勿論よい。
【0016】
さらに図5、6に示す第三、第四の実施の形態のものでは、見込み面2bに取り付けられるレール基端部3aの左右両端部に凹嵌状の目地部3acが形成されたものとし、該目地部3acに、端部側熱膨張耐火材6aとしての熱膨張耐火材6が設けたものとなっている。
この場合に目地部3acは、見付け面2bと平行な横片3adと垂直な縦片3aeとを備えたL字形の凹溝となっているが、図5に示す第三の実施の形態のものでは、熱膨張耐火材6は横片3adに設けられたものとなっている。しかしながら本発明としては、横片3adではなく、縦片3aeに設けたもの、さらには両片3ad、3aeに設けたものであってもよく、この場合、目地部3ac全体を埋める充填状態で設けたものとすることもできる。
そして目地部3acに設けられた端部側熱膨張耐火材6aは、火災に曝された場合の熱を受けて膨張して焼失した燃え代層Y部位を埋めることになり、前述したように対向部位Zが焼失して空洞状の間隙になることを防止できることになる(図5(B)参照)。
【0017】
そしてこのように目地部3acがガイドレール3に設けられたものにおいて熱膨張耐火材6を設ける場合に、図6に示す第四の実施の形態のように、目地部3acに設けられた端部側熱膨張耐火材6aに加えて、さらに取り付け片部3aaとのあいだに挟持されるように中間部側熱膨張耐火材6bが別途配設されたものとすることもできる。
そして端部側熱膨張耐火材6aを、燃え代層Yが焼失する前の段階で熱膨張するもの、つまり焼失する以前の低い温度で熱膨張するものを選定した場合には、図6(A)に示すように、火災発生側の燃え代層Xが焼失する前の躯体側部材2の表面が残っている状態で熱膨張することになって、火災発生している側の対向部位Zよりも外側(または内側)の燃え代層Xの表面を覆蓋することになって、燃え代層Xの焼失を遅延させる機能を発揮することになる。この結果、レール基端部3aが対向する対向部位Zの焼失も遅延することになって高い防火機能を発揮することになる。
【0018】
このように目地部3acに設けられる端部側熱膨張耐火材6aが、燃え代層Xが焼失する前に熱膨張して躯体側部材2の表面部位を覆蓋するようにしたものにおいて、火災が進行して対向部位Zの燃え代層Xが焼失した場合(図6(B)参照)には、熱膨張した中間側熱膨張耐火材6bが焼失した対向部位Zを埋めることになる。この結果、熱膨張耐火材6が段階的な熱膨張をするものとなってより高い防火機能を発揮できることになる。
そしてこのように、段階的な熱膨張耐火材6の熱膨張をより確実なものとするためには、熱膨張耐火材6が熱膨張する温度を、端部側熱膨張耐火材6aよりも中間部側熱膨張耐火材6bよりも低いものとなるよう選定しておくことが好ましい。
【0019】
さらに本発明を実施するにあたり、レール基端部3aの取り付け片部3aaの形状として、図7に示す第五の実施の形態のように、取り付け片部3aaから躯体側部材2の表面に、先端縁が当接する突起片3afが形成されたものとして熱膨張耐火材6を左右に分割配設したものとすることができ、このようにしたときには、対向部位Zに挟持状に設けられる熱膨張耐火材6の厚さを、突起片3afの長さ(高さ)に対応して厚くしてより高い防火機能を発揮できるものにしながら、ガイドレール3の躯体側部材2への取り付けが不安定化することがない。
【0020】
なお本発明は、躯体側部材を、表面層が木製のものとし、該木製の表面層が火災時に焼失して対向面部Zに間隙ができるものであれば実施することができ、この様な躯体側部材として、芯部がコンクリート、鋼材等の不燃材で形成され、このものの表面を木製被覆材で被覆したものや、木製の芯部を不燃材で被覆し、さらに該不燃材を木製被覆材で被覆したものが例示される。
【産業上の利用可能性】
【0021】
本発明は、ビルや住宅等の建物の出入り口等の開口部に設けられる建物用シャッター装置におけるガイドレールの取り付け構造として利用することができる。
【符号の説明】
【0022】
1 シャッター装置
2 躯体側部材
2a 見込み面
2b 見付け面
3 ガイドレール
3a レール基端部
3aa 取り付け片部
3ac 目地部
3b レール先端部
3ba ガイド溝部
4 シャッターカーテン
6 熱膨張耐火材
6a 端部側熱膨張耐火材
6b 中間側熱膨張耐火材
E 開口部
X 燃え代層
Y 燃え残り層
Z 対向部位
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7