(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024167534
(43)【公開日】2024-12-04
(54)【発明の名称】既設管更生方法
(51)【国際特許分類】
B29C 63/32 20060101AFI20241127BHJP
F16L 1/00 20060101ALI20241127BHJP
【FI】
B29C63/32
F16L1/00 J
【審査請求】未請求
【請求項の数】5
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023083674
(22)【出願日】2023-05-22
(71)【出願人】
【識別番号】000002174
【氏名又は名称】積水化学工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110003340
【氏名又は名称】弁理士法人湧泉特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】白瀧 滉司
(72)【発明者】
【氏名】津田 直弥
(72)【発明者】
【氏名】山下 卓也
【テーマコード(参考)】
4F211
【Fターム(参考)】
4F211AG08
4F211AH43
4F211SA05
4F211SC03
4F211SD06
4F211SJ11
4F211SJ21
4F211SJ29
4F211SP04
4F211SW26
(57)【要約】
【課題】既設管に屈曲部が有る場合に、その屈曲部に適応した更生管の製管を行なう。
【解決手段】
屈曲部11を含む既設管10の内周に沿って、帯状部材21を螺旋状に巻回してなる更生管20を製管することにより、既設管10を更生する方法である。既設管10の屈曲部11に連なり屈曲部11より製管進行側の真直部13において、屈曲部11の屈曲形状の外側部に隣接する領域13Rの内面に、所定長さにわたって管軸方向に延びる細長い側部スペーサ50A,50Bを予め設置する。更生管20の製管が屈曲部11を超えて真直部13を進行する過程において、更生管20を、側部スペーサ50A,50Bにより規制する。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
屈曲部を含む既設管の内周に沿って、帯状部材を螺旋状に巻回してなる更生管を製管する既設管更生方法であって、
前記既設管の前記屈曲部に連なり前記屈曲部より製管進行側の真直部において、前記屈曲部の屈曲形状の外側部に隣接する領域の内面に、所定長さにわたって管軸方向に延びる細長い側部スペーサを予め設置し、
前記更生管の製管が前記屈曲部を超えて前記真直部を進行する過程において、前記更生管を、前記側部スペーサにより規制することを特徴とする既設管更生方法。
【請求項2】
前記側部スペーサの前記更生管に対向する面は、前記既設管の内面からの高さが製管進行方向に向かって高くなる勾配を有することを特徴とする請求項1に記載の既設管更生方法。
【請求項3】
前記側部スペーサを周方向に離れて複数設置することを特徴とする請求項1に記載の既設管更生方法。
【請求項4】
前記更生管の製管工程に先立ち、前記既設管の管頂又はその近傍部の内面に、管頂スペーサを設置し、
前記複数の側部スペーサは、前記既設管または前記更生管の真横部に設置された第1側部スペーサと、前記管頂スペーサと前記第1側部スペーサとの間の角度範囲において、前記管頂スペーサおよび前記第1側部スペーサから周方向に離れて設置された少なくとも1つの第2側部スペーサと、を含むことを特徴とする請求項3に記載の既設管更生方法。
【請求項5】
少なくとも前記第1側部スペーサの前記更生管に対向する面は、前記既設管の内面からの高さが製管進行方向に向かって高くなる勾配を有していることを特徴とする請求項4に記載の既設管更生方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、屈曲部を含む既設管を更生する方法に関する。
【背景技術】
【0002】
下水管などの老朽化した既設管を更生する方法として、例えば特許文献1に開示されている自走式の製管機を用い、既設管の内周に沿って帯状部材を螺旋状に巻回して製管することにより、螺旋管状の更生管を構築することは公知である。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
既設管は、2つのマンホール間に設置されるが、その全長にわたって真っ直ぐとは限らず、屈曲部を含む場合がある。上記自走式の製管機を用いて更生管を製管する工程において、屈曲部の手前の真直部での製管が完了した後、屈曲部での製管の過程で、更生管が徐々に屈曲形状の外側に偏る。この偏りにより、更生管は、屈曲部より製管進行側の真直部おいて屈曲部の外側部に隣接する領域の内面に接し、真円形状を維持できずに変形する。この更生管の偏り、変形状態は、正常な製管状態(既設管に対して左右に偏らず真円形状を維持した状態)に回復するまで、当該真直部の菅軸方向に長く続く。
上記のように屈曲部より製管進行側の真直部において、更生管が屈曲形状の外側に偏るとともに変形して真円形状を保てない状態が長く続くと、更生管の製管完了後に更生管と既設管との間に裏込め材を充填する際に、更生管の左右に均等に充填できず、更生管のバックリング等を誘発する原因となる。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明は前記課題を解決するためになされたもので、屈曲部を含む既設管の内周に沿って、帯状部材を螺旋状に巻回してなる更生管を製管する既設管更生方法であって、
前記既設管の前記屈曲部に連なり前記屈曲部より製管進行側の真直部において、前記屈曲部の屈曲形状の外側部に隣接する領域の内面に、所定長さにわたって管軸方向に延びる細長い側部スペーサを予め設置し、前記更生管の製管が前記屈曲部を超えて前記真直部を進行する過程において、前記更生管を、前記側部スペーサにより規制することを特徴とする。
この方法によれば、側部スペーサにより既設管の真直部での更生管の偏り・変形を矯正し、短い製管距離で、更生管を正常な製管状態に復帰させることができる。
【0006】
好ましくは、前記側部スペーサの前記更生管に対向する面は、前記既設管の内面からの高さが製管進行方向に向かって高くなる勾配を有する。この方法によれば、円滑に更生管を正常な製管状態に復帰させることができる。
【0007】
好ましくは、前記側部スペーサを周方向に離れて複数設置する。この方法によれば、更生管の偏り・変形をより効果的に抑制することができる。
【0008】
好ましくは、前記更生管の製管工程に先立ち、前記既設管の管頂又はその近傍部の内面に、管頂スペーサを設置し、前記複数の側部スペーサは、前記既設管または前記更生管の真横部に設置された第1側部スペーサと、前記管頂スペーサと前記第1側部スペーサとの間の角度範囲において、前記管頂スペーサおよび前記第1側部スペーサから周方向に離れて設置された少なくとも1つの第2側部スペーサと、を含む。
第1側部スペーサと管頂スペーサとの間の角度範囲では既設管と更生管の間の隙間が大きく、更生管はこの角度範囲において既設管に向かって偏る傾向があるが、この方法では、第2側部スペーサにより更生管が偏るのを確実に抑制することができる。
【0009】
好ましくは、少なくとも前記第1側部スペーサの前記更生管に対向する面は、前記既設管の内面からの高さが製管進行方向に向かって高くなる勾配を有している。
この方法によれば、真横に位置する第1側部スペーサの勾配により、効果的かつ円滑に更生管を正常な製管状態に復帰させることができる。
【発明の効果】
【0010】
本発明によれば、屈曲部を含む既設管の内周に螺旋管状の更生管を製管する場合に、特に屈曲部より製管進行側の真直部における更生管の偏りや変形を抑制できる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【
図1】本発明の一実施形態に係る既設管更生方法において、更生管の製管途中の状態を示す平断面図である。
【
図2】
図1のII-II線に沿う縦断面図であり、製管機を省略して示す。
【
図3】
図1のIII-III線に沿う拡大横断面図である。
【
図4】本方法で用いられる側部スペーサを示し、(A)は正面図、(B)は既設管の内面に設置した状態での平面図である。
【
図5】同側部スペーサの変形例を示す
図4(B)相当図である。
【
図6】同側部スペーサの別の変形例を示す断面図であり、(A)は既設管の屈曲部側の端の断面図、(B)は製管進行方向側の端の断面図である。
【
図7】同側部スペーサのさらに別の変形例を示す
図4(B)相当図である。
【
図8】本発明の側部スペーサを用いない場合に生じる更生管の偏り・変形を仮想線で概略的に示す
図3相当図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、本発明の一実施形態を図面にしたがって説明する。
<既設管の構造>
図1,
図2には、地中に埋設された更生対象の既設管10が示されている。本実施形態の既設管10は下水道管であり、2つのマンホール(図示しない)間に配置されている。なお、既設管10は下水道管に限らず、上水道管、農業用水管、水力発電導水管、ガス管、トンネル等であってもよい。
【0013】
図1に示すように、既設管10はほぼ水平面上で管軸が屈曲する屈曲部11を含んでおり、その両側に真直部12,13が連なっている。後述するように更生管20の製管は
図1、
図2の左から右に向かって進む。この製管進行方向を基準にして、屈曲部11より左側の真直部12を手前側の真直部と言い、右側の真直部13を先側(進行方向側)の真直部と言うことにする。
【0014】
<更生管の構造>
既設管10の内周に沿って更生管20が構築される。更生管20は、帯状部材21(プロファイル)からなる螺旋管である。帯状部材21の主材は、ポリ塩化ビニル等の合成樹脂である。帯状部材21が、既設管1の内周に沿って螺旋状に巻回されるとともに、一周ずれて隣接する側縁の嵌合部どうしが嵌合されることによって、更生管20が製管される。
【0015】
<製管機の概略構成>
図3に示すように、帯状部材21から更生管20への製管は、自走式の製管機30によって行われる。本実施形態の製管機30は、ボデイ31と、このボデイ31に設けられ互いに離間した駆動部35と嵌合部36を有している。駆動部35は一対の駆動ローラ35a,35bを有し、嵌合部36は嵌合ローラ36aと受け部材36bを有している。製管機30はさらにワイヤ(図示しない)を装備している。このワイヤの両端は、ボデイ31の両端の係着部31a,31bに係着されている。なお、本実施形態の製管機30は、多数のリンクとローラからなり更生管20の内周に当接される環状の内周規制体を、備えていない。
【0016】
<製管機の作用>
製管機30の作用を簡単に説明する。巻き癖を付けられた帯状部材21が、既設管1の
図1、
図2の左側の端に連なるマンホール(発進側マンホール)を介して供給される。製管機30は、既設管1の発進側の端から更生管20の製管を開始し、
図1に示すように、常に製管中の更生管20の延伸方向先端に位置する。帯状部材20は製管中の更生管2の内部を通ってその延伸方向先端の製管機30へと送られる。
【0017】
図3に示すように、製管機30では、帯状部材21における未製管の後続帯部21aが、駆動部35の一対の駆動ローラ35a,35b間に導入され、駆動部35から嵌合部36へと送り出される。嵌合部36では、嵌合ローラ36aと受け部材36bにより、更生管20の延伸方向の先端部の帯部と後続帯部21aの、一周違いに対向する側縁どうしが嵌合される。これによって、後続帯部21aが更生管20に組み込まれ、更生管20の製管が進む。製管に伴って、製管機30が、既設管1の内周を螺旋巻回方向に自走する。製管機30のワイヤは、製管中の更生管20の延伸方向の先端部の帯部外周に掛け回されており、これにより更生管20の周長ひいては管径を調整できる。
【0018】
<準備工程(管頂スペーサの設置)>
更生管20の製管工程に先立ち、
図2に示すように既設管1の管頂の内面に管頂スペーサ40を設置する。管頂スペーサ40は、既設管10の管軸に沿って延びる例えば四角形断面の長尺棒状に形成された本体41と、この本体41に間隔をおいてねじ込まれた突き当てボルト45(いもねじ)とを有している。管頂スペーサ40は、本体41を貫通して既設管10に打ち込まれる打ち込みビス46により既設管10に固定される。突き当てボルト45が既設管1に突き当てられることによって、管頂スペーサ40が既設管1に対して高さ調節可能である。管頂スペーサ40は複数本連ねることより、実質的に既設管1のほぼ全長にわたって設置される。なお、この管頂スペーサ40の構造は、後述する側部スペーサの構造と同様であってもよい。
【0019】
<準備工程(側部スペーサの設置)>
図1~
図3に示すように、既設管10の先側の真直部13には、屈曲部11における屈曲形状の外側部に隣接する領域13Rの内面に,管軸方向に所定長さにわたって延びる細長い第1側部スペーサ50Aと第2側部スペーサ50Bを設置する。第1側部スペーサ50Aは、既設管10の真横部(管頂からほぼ90°離れた部位)または製管されるべき更生管20の真横部に設置され、第2側部スペーサ50Bは、管頂スペーサ40と第1側部スペーサ50A間の角度範囲において両者からほぼ等しい角度離間した位置に設置される。
【0020】
第1、第2側部スペーサ50A,50Bは、共通の構造を有しており、
図4(A)、(B)に示すように、板金を折り曲げ加工してなる本体51と、突き出しボルト55(いもねじ)とを有している。本体51は、基板部とこの基板部の両側縁に連なる断面L字形の脚部とを有している。突き出しボルト55は、本体51に収容固定されたナット51aに螺合され、本体51からの突出高さを調節できるようになっている。本体51には、貫通穴51bが間隔を置いて複数形成されており、これら貫通穴51bを通る打ち込みビス56を既設管10に打ち込むことにより、第1、第2側部スペーサ50A.50Bが既設管10に固定される。
【0021】
図4(B)に示すように、第1側部スペーサ50Aの基板部の面51x(更生管20を向く面)は、既設管10の管軸に沿う勾配を有している。より具体的には、3本(複数)の突き出しボルト55の突出量を変えることにより、基板部の面51xの既設管10の内面からの高さが、屈曲部11側の端で低く、屈曲部11から離れるにしたがって漸次高くなるように傾斜している。なお、
図1では第1側部スペーサ50Aが概略的に断面で示されている。例えば、本体51は、長さが2m、厚さが18mmであり、屈曲部11側の端で既設管10の内面に接し(隙間ゼロ)、反対側(製管進行側)の端で既設管10の内面との間の隙間が12mmである。
【0022】
第1側部スペーサ50Aの製管進行側の端における基板部の面51xの高さは、更生管20が正常に製管される場合にスペーサ設置箇所に現れる既設管10と更生管20の間の間隙に相当する。
第2側部スペーサ50Bの基板部の面は勾配を有さなくてもよいし、第1側部スペーサ50Aと同様に勾配を有していてもよい。側部スペーサ50A,50Bの寸法、勾配は、既設管10の管径、屈曲部11の角度等に応じて変えることができる。
【0023】
<製管工程>
既設管10の手前の真直部12では、上述したように自走式製管機30により、更生管20は良好に製管される。すなわち、更生管20は所定レベルの真円度を確保でき、既設管10の管軸に対して左右に偏らない。さらに、更生管20の管頂部が管頂スペーサ40の下面に当たることによって、既設管10と更生管20の管頂部どうしの間隔が保持されるとともに、更生管20の管底部が既設管10の管底部に着地された状態が保持される。なお、この管頂スペーサ40による機能は既設管10の全長にわたり確保される。
【0024】
既設管10における手前側真直部12での更生管20の製管が完了して屈曲部11に移行すると、更生管20は屈曲形状の外側に偏り始め、偏り量が徐々に増大する。ここで、側部スペーサ50A、50Bを設置しない比較例について
図8を参照しながら説明する。この比較例では、更生管20の製管が屈曲部11を超えて既設管10の先側真直部13に至ると、更生管20は、実線で示す正常な製管位置から屈曲形状の外側に大きく偏る。より具体的には、更生管20が矢印Aで示す方向に膨らみ、想像線で示すように、先側真直部13において既設管10の屈曲部11の外側部に隣接する領域13Rの上半分の内面にほぼ接する。この時、更生管20の反対側では矢印Bで示す方向すなわち想像線で示すように径方向内側に偏る。その結果、更生管20は全体として屈曲形状の外側に大きく偏るとともに変形して真円形状を保てず、既設管10と更生管20の間の左右の隙間が均等でなくなる。このような正常でない製管状態が、長い距離にわたって矯正されない。
【0025】
本実施形態では、側部スペーサ50A、50Bが既設管10の先側真直部13の上記領域13Rに設置されているため、上述した更生管20の偏りや変形を抑制することができる。詳述すると、更生管20は製管の際に側部スペーサ50A.50Bに接して規制されるため、領域13Rの上半分に接することなく、領域13Rの上半分への膨らみを抑制され、反対側でも径方向内側への偏りが抑制される。しかも、第1側部スペーサ50A(または第1、第2側部スペーサ50A.50B)の更生管20を向く面51xは勾配を有しており、上記更生管20を徐々に管軸に向かって押し戻すので、更生管20が円滑に偏り・変形を矯正され、更生管20の先端が側部スペーサ50A,50Bを通過した段階では、更生管20の偏りがほぼ解消されるとともに真円形状に回復する。このように、比較的短い距離で正常な製管状態に回復することができる。
【0026】
更生管20を既設管10の全長にわたって製管した後、更生管20と既設管10との間の間隙にモルタル等の裏込め材(図示せず)を充填する。上述したように更生管20は、外側への偏りを抑制されるとともに比較的短い距離で偏りを解消されるとともに真円形状を回復するので、既設管10と更生管20の左右の隙間にほぼ均等に裏込め材を充填できる。なお、裏込め材を充填する際に、管頂スペーサ40によって更生管20の浮きを防止でき、更生管20が既設管10の管底部に着地された状態に保たれ、更生管20の流下勾配を確保することができる。
【0027】
屈曲部11では更生管20の外側の製管距離が内側の製管距離より長いので、屈曲部11での製管工程において外側の帯部が内側の帯部に比べて遅れる。この遅れ状態が先側の真直部13で長い距離続くとバックリングの原因となる。しかし、本実施形態では、側部スペーサ50A,50Bにより、特に第1側部スペーサ50Aの勾配により、円滑かつ強制的に正常な製管状態に復帰するので、上記遅れも短い距離で解消される。
【0028】
<側部スペーサの配置の他の態様>
第2側部スペーサ50Bは、
図3の配置に限らず、種々の配置が可能である。例えば、管頂と第1側部スペーサ50Aとの間のほぼ90°の角度範囲を2等分する
図3の位置P1,P2に2本の第2側部スペーサ50Bを配置してもよい。また、位置P2と位置P3(第1側部スペーサ50Aから下方にほぼ30°離れた位置)に2本の第2側部スペーサを配置してもよい。さらに、第2側部スペーサ50Bを位置P1,P2、P3に、あるいは位置P1,P2、P3およびP4(位置P3よりさらに下方に離れた位置)に配置してもよい。
真横部の第1側部スペーサ50Aを省いて、位置P2,P3を含む位置に複数の第2側部スペーサ50Bを配置してもよい。
上述した側部スペーサの配置において、選択された側部スペーサ例えば第1側部スペーサだけが勾配を有していてもよいし、全ての側部スペーサが勾配を有していてもよい。
【0029】
<側部スペーサの変形例>
次に、勾配を有するスペーサの変形例について説明する。
図5に示す側部スペーサ60は、断面矩形をなす中実の棒材で構成されている。この側部スペーサ60は既設管の屈曲部側で薄く、屈曲部から離れるにしたがって厚くなっており、これにより更生管を向く面60xが、
図4の側部スペーサ50Aと同様の勾配を有している。
【0030】
図6に示す側部スペーサ70は中空円管形状をなしており、既設管の屈曲部側の端で大きく潰れた形状をなし、屈曲部から離れにしたがって潰れ量が小さくなっている。これにより更生管を向く面が、勾配を有している。
【0031】
図7に示す側部スペーサ80は、長さの異なる細長い複数の薄板81を積層した形状を有し、屈曲部から離れるにしたがって積層枚数が増大するようになっており、これにより更生管を向く面が、段階的に高くなるような勾配を有している。
なお、
図5~
図7のスペーサ60,70,80も、
図4の側部スペーサ50Aと同様に打ち込みビスで既設管に固定される。
【0032】
本発明は、前記実施形態に限定されるものではなく、その趣旨を逸脱しない範囲において種々の改変をなすことができる。
前記実施形態では、既設管において屈曲部を超えた先側の真直部に側部スペーサを設置したが、この側部スペーサを屈曲部まで延伸させてもよい。この場合、側部スペーサの延伸部は屈曲部の内面形状に対応して湾曲される。
管頂スペーサ40は、管頂に一つ設置したが、例えば管頂の左右近傍部に2つ設置してもよい。
【産業上の利用可能性】
【0033】
本発明は、例えば、老朽化した下水道管の更生方法に適用できる。
【符号の説明】
【0034】
10 既設管
11 屈曲部
12 手前側の真直部
13 先側の真直部
20 更生管
21 帯状部材
30 製管機
40 管頂スペーサ
50A 第1側部スペーサ
50B 第2側部スペーサ
51x 基板部の面(更生管を向く面)
60,70,80 側部スペーサ