(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024167544
(43)【公開日】2024-12-04
(54)【発明の名称】サスペンション支持構造
(51)【国際特許分類】
B60G 11/16 20060101AFI20241127BHJP
F16F 9/54 20060101ALI20241127BHJP
B60G 15/06 20060101ALI20241127BHJP
【FI】
B60G11/16
F16F9/54
B60G15/06
【審査請求】未請求
【請求項の数】4
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023083693
(22)【出願日】2023-05-22
(71)【出願人】
【識別番号】000003207
【氏名又は名称】トヨタ自動車株式会社
(71)【出願人】
【識別番号】000219602
【氏名又は名称】住友理工株式会社
(71)【出願人】
【識別番号】000157083
【氏名又は名称】トヨタ自動車東日本株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000947
【氏名又は名称】弁理士法人あーく事務所
(72)【発明者】
【氏名】松岡 和幸
(72)【発明者】
【氏名】水崎 雅薫
(72)【発明者】
【氏名】太田 峻輔
(72)【発明者】
【氏名】庄 健吾
【テーマコード(参考)】
3D301
3J069
【Fターム(参考)】
3D301AA74
3D301CA09
3D301DA08
3D301DA33
3D301DA51
3D301DB17
3J069AA50
3J069CC01
3J069CC35
(57)【要約】
【課題】小型化を図ることが可能なサスペンション支持構造を提供する。
【解決手段】サスペンション支持構造100は、アッパサポートおよびプレート41を備える。アッパサポートは、アウタ部材と、インナ部材12と、弾性体とを含んでいる。アウタ部材は、外筒部と、外筒部の外側に設けられる3つの締結面部とを有する。3つの締結面部は、外筒部の周囲に間隔を隔てて配置され、それぞれプレート41に締結されている。インナ部材12は、外筒部の内側に配置される内筒部と、内筒部の上端部に設けられるリバウンドストッパ部121cとを有する。プレート41には開口部41aが形成され、開口部41aはリバウンドストッパ部121cが通過可能に構成されている。リバウンドストッパ部121cおよび開口部41aは、角丸三角形状に形成されている。
【選択図】
図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
サスペンションのショックアブソーバの上端部を支持するアッパサポートと、
前記アッパサポートが取り付けられる車体側プレートとを備えるサスペンション支持構造であって、
前記アッパサポートは、前記車体側プレートに取り付けられるアウタ部材と、前記ショックアブソーバのピストンロッドが連結されるインナ部材と、前記アウタ部材および前記インナ部材の間に設けられる弾性体とを含み、
前記アウタ部材は、外筒部と、前記外筒部の外側に設けられる複数の締結面部とを有し、
前記複数の締結面部は、前記外筒部の周囲に間隔を隔てて配置され、それぞれ前記車体側プレートに締結され、
前記インナ部材は、前記外筒部の内側に配置される内筒部と、前記内筒部の上端部に設けられるリバウンドストッパ部とを有し、
前記車体側プレートには開口部が形成され、前記開口部は前記リバウンドストッパ部が通過可能に構成され、
前記リバウンドストッパ部および前記開口部は、多角形状に形成されていることを特徴とするサスペンション支持構造。
【請求項2】
請求項1に記載のサスペンション支持構造において、
前記締結面部は、多角形状の開口部の辺の外側に配置されていることを特徴とするサスペンション支持構造。
【請求項3】
請求項2に記載のサスペンション支持構造において、
前記多角形状は、三角形状であり、
前記複数の締結面部は、3つの締結面部であり、
前記3つの締結面部の間には、それぞれ、前記リバウンドストッパ部の角部が配置されていることを特徴とするサスペンション支持構造。
【請求項4】
請求項1~3のいずれか1つに記載のサスペンション支持構造において、
前記サスペンションのコイルスプリングの上端部を支持するアッパスプリングシートと、
前記アッパサポートと前記アッパスプリングシートとの間に配置されるベアリングとをさらに備えることを特徴とするサスペンション支持構造。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、サスペンション支持構造に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、サスペンションの上端部を支持するサスペンション支持構造が知られている(たとえば、特許文献1参照)。
【0003】
このようなサスペンション支持構造は、アッパサポートおよび車体側プレートを備えている。アッパサポートは、サスペンションのショックアブソーバの上端部を支持するように構成されている。車体側プレートには、アッパサポートが取り付けられている。
【0004】
アッパサポートは、アウタ部材と、インナ部材と、弾性体とを含んでいる。アウタ部材は、車体側プレートに取り付けられている。インナ部材には、ショックアブソーバのピストンロッドが連結されている。弾性体は、アウタ部材およびインナ部材の間に設けられている。
【0005】
アウタ部材は、外筒部と、外筒部から外側に張り出すフランジ部とを有する。フランジ部は、3つの締結部材を用いて車体側プレートに締結されている。インナ部材は、外筒部の内側に配置される内筒部と、内筒部の上端部に設けられるリバウンドストッパ部とを有する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
ここで、上記のようなサスペンション支持構造の小型化を図ることについて改善の余地がある。
【0008】
本発明は、上記の課題を解決するためになされたものであり、本発明の目的は、小型化を図ることが可能なサスペンション支持構造を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明によるサスペンション支持構造は、アッパサポートおよび車体側プレートを備える。アッパサポートは、サスペンションのショックアブソーバの上端部を支持するように構成されている。車体側プレートには、アッパサポートが取り付けられている。アッパサポートは、アウタ部材と、インナ部材と、弾性体とを含んでいる。アウタ部材は、車体側プレートに取り付けられている。インナ部材には、ショックアブソーバのピストンロッドが連結されている。弾性体は、アウタ部材およびインナ部材の間に設けられている。アウタ部材は、外筒部と、外筒部の外側に設けられる複数の締結面部とを有する。複数の締結面部は、外筒部の周囲に間隔を隔てて配置され、それぞれ車体側プレートに締結されている。インナ部材は、外筒部の内側に配置される内筒部と、内筒部の上端部に設けられるリバウンドストッパ部とを有する。車体側プレートには開口部が形成され、開口部はリバウンドストッパ部が通過可能に構成されている。リバウンドストッパ部および開口部は、多角形状に形成されている。
【0010】
この場合において、締結面部は、多角形状の開口部の辺の外側に配置されていてもよい。
【0011】
この場合において、多角形状は、三角形状であってもよい。複数の締結面部は、3つの締結面部であってもよい。3つの締結面部の間には、それぞれ、リバウンドストッパ部の角部が配置されていてもよい。
【0012】
上記サスペンション支持構造において、アッパスプリングシートおよびベアリングをさらに備えていてもよい。アッパスプリングシートは、サスペンションのコイルスプリングの上端部を支持するように構成されていてもよい。ベアリングは、アッパサポートとアッパスプリングシートとの間に配置されていてもよい。
【発明の効果】
【0013】
本発明のサスペンション支持構造によれば、小型化を図ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【
図1】本実施形態のサスペンション支持構造を示した断面図である。
【
図2】
図1のサスペンション支持構造を上側から見た図である。
【
図3】
図1のサスペンション支持構造のアッパサポートを示した断面図である。
【
図4】
図3のアッパサポートを上側から見た図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下、本発明の一実施形態を説明する。
【0016】
まず、本実施形態によるサスペンション支持構造100について説明する。
【0017】
図1に示すように、サスペンション支持構造100は、サスペンション150の上端部を支持するように構成されている。サスペンション150は、ストラット式であり、ショックアブソーバ151およびコイルスプリング152を備えている。
【0018】
ショックアブソーバ151は、コイルスプリング152の振動を減衰させるために設けられている。ショックアブソーバ151は、シリンダ本体(図示省略)と、シリンダ本体に対して進退するピストンロッド151aとを含んでいる。シリンダ本体の下端部はナックル(図示省略)に連結され、ナックルは車輪(図示省略)を回転可能に支持している。ナックルは、ロアアーム(図示省略)を介して車体に連結されている。ピストンロッド151aの上端部は、後述するインナ部材12に連結されている。
【0019】
コイルスプリング152は、路面からの衝撃を吸収するために設けられている。コイルスプリング152の内側には、ショックアブソーバ151が配置されている。コイルスプリング152は、ロアスプリングシート(図示省略)とアッパスプリングシート2との間に挟み込まれている。ロアスプリングシートは、シリンダ本体の外周面に取り付けられている。アッパスプリングシート2は、後述するベアリング3を介してアウタ部材11に支持されている。
【0020】
つまり、サスペンション支持構造100は、入力分離型であり、ショックアブソーバ151からの入力とコイルスプリング152からの入力とを別個に二系統で受けるようになっている。サスペンション支持構造100は、アッパサポート1と、アッパスプリングシート2と、ベアリング3と、サスペンションタワー4とを備えている。
【0021】
サスペンションタワー4は、車体の一部を構成しており、内側にサスペンション150が収容されている。サスペンションタワー4は、上端部にプレート41を有する。プレート41には、アッパサポート1が取り付けられている。プレート41には開口部41aが形成され、開口部41aにはアッパサポート1の一部が配置されている。プレート41の開口部41aの周囲には3つのボルト孔41bが形成され、3つのボルト孔41bはアッパサポート1をプレート41に取り付けるために設けられている。なお、プレート41は、本発明の「車体側プレート」の一例である。
【0022】
アッパサポート1は、サスペンション150の上端部を支持するように構成されている。アッパサポート1は、アウタ部材11と、インナ部材12と、弾性体13とを含んでいる。たとえば、アウタ部材11およびインナ部材12が金属製であり、弾性体13がゴム製である。
【0023】
アウタ部材11は、ボルト51およびナット52を用いてプレート41に取り付けられている。
図3に示すように、アウタ部材11は、外筒部11aと、下側フランジ部11bと、上側フランジ部11cとを有する。外筒部11aは、円筒状に形成されている。下側フランジ部11bは、外筒部11aの下端部から外側に張り出すように形成されている。たとえば、下側フランジ部11bは、下側から見た場合に円環状に形成されている。
【0024】
上側フランジ部11cは、外筒部11aの上端部から外側に張り出すように形成されている。
図4に示すように、上側フランジ部11cは、上側から見た場合に角丸三角形状に形成されている。上側フランジ部11cには、3つの締結面部111が設けられている。3つの締結面部111は、外筒部11aの周囲に間隔を隔てて配置されている。
【0025】
各締結面部111は、三角形状の上側フランジ部11cの角部に配置され、ボルト孔111aが形成されている。3つのボルト孔111aは、それぞれ、3つのボルト孔41b(
図1参照)と対応する位置に配置されている。
図1に示すように、各ボルト孔111aおよび41bにボルト51が挿通された状態で、ナット52がボルト51に締め付けられることにより、アウタ部材11がプレート41に取り付けられている。なお、締結面部111は、開口部41aの付近に配置されている。
【0026】
インナ部材12は、弾性体13を介してアウタ部材11に取り付けられている。インナ部材12には、ナット6を用いてピストンロッド151aが連結されている。
図3に示すように、インナ部材12は、上側部材121および下側部材122を有し、上側部材121および下側部材122が接合されることによって形成されている。
【0027】
上側部材121は、内筒部121aと、底面部121bと、リバウンドストッパ部121cとを有する。内筒部121aは、円筒状に形成され、外筒部11aの内側に配置されている。底面部121bは、内筒部121aの下端に配置され、取付孔121dが形成されている。リバウンドストッパ部121cは、内筒部121aの上端部から外側に張り出すように形成されている。リバウンドストッパ部121cの下方には、上側フランジ部11cが配置されている。リバウンドストッパ部121cは、アウタ部材11に対するインナ部材12の下方への移動を制限するために設けられている。すなわち、リバウンドストッパ部121cは、インナ部材12のリバウンド方向への移動を規制するように構成されている。
【0028】
下側部材122は、バウンドストッパ7(
図1参照)を保持するように構成されている。バウンドストッパ7は、たとえばゴム製であり、ピストンロッド151aの周囲に設けられている。バウンドストッパ7は、ショックアブソーバ151の過度の収縮を抑制するために設けられている。下側部材122は、天面部122aと、側周面部122bとを有する。
【0029】
天面部122aは、下側から見た場合に円形に形成され、底面部121bと接合されている。天面部122aには取付孔122cが形成され、取付孔122cは取付孔121dと対応する位置に配置されている。取付孔121dおよび122cは、ピストンロッド151aをインナ部材12に取り付けるために設けられている。
【0030】
天面部122aの外縁部は、バウンドストッパ部として機能する。バウンドストッパ部の上方には、下側フランジ部11bが配置されている。バウンドストッパ部は、アウタ部材11に対するインナ部材12の上方への移動を制限するために設けられている。すなわち、バウンドストッパ部は、インナ部材12のバウンド方向への移動を規制するように構成されている。側周面部122bは、円筒状であり、天面部122aの外縁から下方に延びるように形成されている。
【0031】
弾性体13は、アウタ部材11およびインナ部材12の間に設けられ、アウタ部材11およびインナ部材12に接着されている。弾性体13は、支持部13aと、バウンド緩衝部13bと、リバウンド緩衝部13cと、受け部13dとを有する。
【0032】
支持部13aは、外筒部11aおよび内筒部121aの間に配置され、インナ部材12を支持するように構成されている。バウンド緩衝部13bは、下側フランジ部11bの下方に配置され、バウンド時にバウンドストッパ部が当接されるようになっている。バウンド緩衝部13bは、バウンド時の衝撃を緩和するために設けられている。
【0033】
リバウンド緩衝部13cは、リバウンドストッパ部121cの下方に配置され、リバウンド時に上側フランジ部11cと当接されるようになっている。リバウンド緩衝部13cは、リバウンド時の衝撃を緩和するために設けられている。受け部13dは、円環凹状に形成され、ベアリング3(
図1参照)を配置可能に構成されている。受け部13dは、下側フランジ部11bの外側に配置されるとともに、上側フランジ部11cの下側に配置されている。
【0034】
図1に示すように、ベアリング3は、受け部13dに配置され、アッパサポート1とアッパスプリングシート2との間に設けられている。このため、アッパスプリングシート2がアッパサポート1に対して回転可能である。アッパスプリングシート2は、コイルスプリング152の上端部を支持するように構成されている。アッパスプリングシート2とコイルスプリング152との間には、インシュレータ21が設けられている。
【0035】
ここで、
図2に示すように、リバウンドストッパ部121cおよび開口部41aは、上側から見た場合に角丸三角形状に形成されている。開口部41aの開口寸法は、リバウンドストッパ部121cの外形よりも若干大きい。このため、リバウンドストッパ部121cは、開口部41aを通過可能に構成されている。
【0036】
ボルト51およびナット52は、三角形状の開口部41aの辺の外側に配置されている。すなわち、締結面部111は、三角形状の開口部41aの辺の外側に配置されている。3つの締結面部111の間には、それぞれ、リバウンドストッパ部121cの角部が配置されている。すなわち、3つの締結面部111の間には、それぞれ、開口部41aの隅部が配置されている。つまり、
図4に示すように、三角形状の上側フランジ部11cと、三角形状のリバウンドストッパ部121cとが逆向きになるように構成されている。
【0037】
-効果-
本実施形態では、上記のように、リバウンドストッパ部121cおよび開口部41aを三角形状にすることによって、リバウンドストッパ部および開口部が円形状の場合に比べて、締結面部111をアッパサポート1の中心に近づけることができる。これにより、3つの締結面部111を結ぶ仮想円VC(
図2参照)の直径を小さくすることができるので、サスペンション支持構造100の小型化を図ることができる。また、サスペンション支持構造100の組立時に利用されるガイドコーン(図示省略)を三角形状にすることにより、組み付けの際に回転方向の位置決めを容易に行うことができる。
【0038】
なお、締結面部111がアッパサポート1の中心に近づけられることにより、締結面部111とアッパサポート1の中心とを結ぶ線上に位置するリバウンドストッパ部121cの上側フランジ部11cに対するオーバーラップ量が小さくなる。しかしながら、リバウンドストッパ部121cの角部では、上側フランジ部11cに対するオーバーラップ量が十分に確保されるので、リバウンド時の荷重を適切に受けることができる。
【0039】
-他の実施形態-
なお、今回開示した実施形態は、すべての点で例示であって、限定的な解釈の根拠となるものではない。したがって、本発明の技術的範囲は、上記した実施形態のみによって解釈されるものではなく、特許請求の範囲の記載に基づいて画定される。また、本発明の技術的範囲には、特許請求の範囲と均等の意味および範囲内でのすべての変更が含まれる。
【0040】
たとえば、上記実施形態では、リバウンドストッパ部121cおよび開口部41aが三角形状に形成される例を示した。これに限らず、リバウンドストッパ部および開口部が四角形状などの多角形状に形成されるようにしてもよい。
【0041】
また、上記実施形態では、3つの締結面部111が設けられる例を示した。これに限らず、4つ以上の締結面部が設けられるようにしてもよい。
【0042】
また、上記実施形態では、リバウンドストッパ部121cの角部が丸くされる例を示した。これに限らず、リバウンドストッパ部の角部が丸くされないようにしてもよい。
【0043】
また、上記実施形態では、開口部41aの隅部が丸くされる例を示した。これに限らず、開口部の隅部が丸くされないようにしてもよい。
【産業上の利用可能性】
【0044】
本発明は、サスペンションの上端部を支持するサスペンション支持構造に利用可能である。
【符号の説明】
【0045】
1 アッパサポート
2 アッパスプリングシート
3 ベアリング
11 アウタ部材
11a 外筒部
12 インナ部材
13 弾性体
41 プレート(車体側プレート)
41a 開口部
100 サスペンション支持構造
111 締結面部
121a 内筒部
121c リバウンドストッパ部
150 サスペンション
151 ショックアブソーバ
151a ピストンロッド
152 コイルスプリング